説明

光学走査装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】複雑な構成を用いることなく、受光素子に用いられる樹脂製の光学素子部材が変質や劣化した場合でも、画像形成に必要な発光光量を一定に保つことが可能な光学走査装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】BD28の初期状態において、BD28に入射する露光用レーザ光の駆動電流Ibを段階的に下げ、BD28により光量が検知できなくなった水準の1段階前における駆動電流Ibを制御部32により特定し、これを設定用電流値Ibsとする。そして、制御部32は、設定用電流値Ibsに基づき、検知用レーザ光を発光させるための検知用電流値Idsを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ及び複写機等の画像形成装置において書き込み用光学系として用いられる光学走査装置の発光光量の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタ、ファクシミリ及び複写機等の電子写真方式を用いる画像形成装置において、光学走査装置には、レーザ発光部(以下LDという)、コリメータレンズやシリンドリカルレンズ等から構成される光源装置から射出されたレーザ光を、ポリゴンミラー等の偏光器により偏向し、かかる偏向されたビームをfθレンズ等から構成される走査光学系により、ビームスポットとして被走査面上に結像させ、ポリゴンミラーを回転させることにより、被走査面上を主走査方向に等速走査させるようにしたものが用いられている。
【0003】
図7はこのような光学走査装置の斜視図である。なお、説明の便宜上、図7においては光走査装置の筐体を閉塞する蓋部材を除外して図示している。図7に示すように、露光装置(光学走査装置)1は筐体22の内側面又は内底面に配設された、LDモジュール20、シリンドリカルレンズ23、ポリゴンミラー24及びその駆動モータ(図示せず)、走査レンズ25、折り返しミラー26、ミラー27及びビーム検知センサ(以下BDという)28から構成されている。筐体22の底面には、レーザ光を筐体22から感光体ドラム(ここでは図示せず)に向けて導くための窓部29が設けられている。
【0004】
そして、上記構成の露光装置1においては、LDモジュール20に備えられた後述のLD54(図8参照)は、図示しない電流発生装置から出力された電流(駆動電流I)が入力されると、駆動電流Iに応じたレーザ光を発生する。LD54から射出されたレーザ光は、シリンドリカルレンズ23によって線状の光束に集光され、ポリゴンミラー24により所定の走査方向に偏向走査され、走査レンズ25、折り返しミラー26を経て感光体ドラム上へと結像される。
【0005】
この結像された光束は、感光体ドラム上をポリゴンミラー24の回転により主走査方向に、感光体ドラムの回転により副走査方向に走査することによって感光体ドラム表面に静電潜像を形成することとなる。
【0006】
また、ポリゴンミラー24の走査光は、その主走査方向の一端においてミラー27によって走査面に対し走査方向下流側へ分離され、BD28に導入される。導入された走査光はBD28において走査開始信号に変換され、LDモジュール20に備えられたLD54に送信される。そして、LD54は走査開始信号を受信した後、書き込み変調を開始することとなる。
【0007】
このような露光装置1に用いられるLDモジュール20の一例を図8に示す。LDモジュール20は、円盤形状からなるステム51の上面の一端部に突設された固定部52にブラケット53を介して配設されたLD54と、ステム31の上面の中央部にブラケット55を介して配設された受光素子(以下PDという)56とが配設されており、LD54とPD56とは、それぞれステム51を下面から貫通した端子57aと端子57b及び57cとに接続されている。
【0008】
端子57a、57b及び57cは、画像形成装置本体の制御部(図示せず)に接続されている。また、LD54及びPD56は、ステム51の上面に立設された保護部材58により覆われている。
【0009】
また、LD54においてレーザ発振により感光体ドラムを露光するための露光用レーザ光が射出されると同時に、かかるレーザ光と同一波長の検知用レーザ光が、露光用レーザ光とは反対方向に、PD56に向かって射出される。PD56は、例えばシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)若しくはインジウム−リン(In−P)系からなり、PD56が検知用レーザ光の光量を検知する。シリコン系PDは可視光から近赤外光を受光するのに適しており、In-P系PDは赤外光を受光するのに適している。また、PDの封止材として、通常、エポキシ樹脂やシリコン樹脂等の樹脂が用いられている。
【0010】
かかるPD56によって検知用レーザ光の光量を検知することにより、駆動電流Iが入力されたときのLD54の露光用レーザ光の光量を、PD56の出力値Pとして示すことができる。駆動電流Iと出力値Pとの関係(以下、IP特性という)を図9に示す。図9に示すように、一般に、LD54に駆動する電流が増加すると、出力値Pが増加し、ある駆動電流(以下Ithという)を境に、駆動電流Iに対する出力値Pが急激に大きくなる。
【0011】
このIthを閾値としてLD54のレーザ発振が始まり、LD54におけるレーザ光の発生量が増加するためである。しかし、LD54の自己発熱や環境温度の上昇にともない、LDの発光(レーザ光発生)状態が変化し、これによりLD54の発光光量が変化するため、I−P特性が変化する。この変化を図10に示す。図10に示すように、環境温度の上昇に伴い、Ithが増大すると共にIth以上ではI−P直線の傾きが減少する。
【0012】
このように、環境温度の変化によりI−P特性が変化すると、駆動電流Iが一定であっても、LD54の発光状態が変化し、PD56の出力値Pが変化する。このため、LD54を光源とする露光装置1を備えたような画像形成装置(ここでは図示せず)には、LD54の発光光量を一定に保つための光量制御機能(以下APC)が制御部(ここでは図示せず)に搭載されている。
【0013】
APCでは、PD54の出力値Pを、予め設定された設定出力値Psと比較し、設定出力値Psに対する出力値Pの変化を、LD54の発光状態の変化とみなし、駆動電流Iを変化させることにより、出力値Pが設定出力値Psに一致するように駆動電流Iの制御を行っている。これにより、環境温度の変化等によりLD54の発光状態が変化した場合でも、LD54の露光光量を一定に保ち、露光光量の安定化を図っている。
【0014】
しかし、近年、LDを光源とする画像形成装置や、光ピックアップ装置等において、画像の高解像、高密度化に伴い、青色LDや青紫LD等を用いる等、光源波長の短波長化が進んでいる。LDとして短波長の青色LD(波長380〜460nm)を採用した場合、例えば、シリコン系PDでは、短波長のレーザ光に対する受光感度が低いため、受光光量を多くする必要がある。
【0015】
またPDがLDモジュール内に配設されると近距離から連続的なレーザ光がPDに入射されることになる。このため露光装置に配設された樹脂製の光学素子部材は、より高エネルギー密度であり且つ多くの短波長光束の照射を受けることにより、変質や劣化が生じ易くなる。
【0016】
特に、PDの封止材である樹脂が変質或いは劣化すると、PD封止材の透過率の低下を招き易くなる。PD封止材の透過率が低下すると、実際のLDの発光光量よりも低い発光光量がPDによって検知されてしまうため、制御部はPDからの検知結果に基づき駆動電流を増加させる。これにより、LDの発光光量が増加されると、感光体ドラムには、必要以上に大きな露光光量が照射され、画像品質に大きな問題を引き起こすおそれがある。
【0017】
そこで、短波長のレーザ光に対する耐レーザ性や耐環境性を高めた樹脂を光学素子として用いることが提案されている。例えば、特許文献1には、メタクリル酸メチルと、エステル部分に炭素数5〜22の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルと、エステル部分にフッ素原子を有するメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルとを必須成分とする単量体混合物を重合してなる樹脂から主として構成することにより、青色レーザ波長における透明性、耐レーザ光性や、耐環境性に優れる光学用樹脂組成物を得る方法が開示されている。また、かかる樹脂組成物を光学素子に用いることにより光学素子の変質や劣化等を防いでいる。
【特許文献1】特開2004−204018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、特許文献1の技術では、光学素子として特定組成の樹脂を用いる必要があるため、構成が複雑になるおそれがある。一方、PD封止材の変質や劣化を防止するためには、PDへ入射する光量を小さくすることが考えられる。この場合、露光用のレーザ光は小さくすることができないため、PDへ入射させるレーザ光を露光用レーザ光とは同一波長且つ異なる方向にLDから射出することが必要となる。
【0019】
ここで、通常、走査タイミングを検知するBDにも、PD封止材と同様の樹脂製の封止材が用いられているため、BDで検知可能な最小限の光量を求めれば、この光量に基づいてPDに入射させる光量を設定できると考えられる。
【0020】
本発明は、上記事情に鑑み、複雑な構成を用いることなく、受光素子に用いられる樹脂製の光学素子部材の変質や劣化を抑制し、画像形成に必要な露光光量を一定に保つことが可能な光学走査装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために本発明は、レーザ光を発生させ、像担持体にレーザ光を射出する発光素子、及び前記発光素子から射出されたレーザ光の光量を検知する受光素子を有する光学走査装置において、前記レーザ光は、像担持体を露光する第1のレーザ光と、該第1のレーザ光と同一波長で射出される第2のレーザ光とから成り、前記第1のレーザ光を検知することにより前記第1のレーザ光の射出タイミングを検知する同期検知手段が配設されており、前記第1のレーザ光の光量を段階的に下げると共に各水準における前記第1のレーザ光を前記同期検知手段を用いて検知し、前記同期検知手段により前記第1のレーザ光が検知されなかったとき、検知されなかった水準より1段階前の水準の前記第1のレーザ光の光量に基づき、前記第2のレーザ光の光量を設定することを特徴としている。
【0022】
また、本発明は、前記同期検知手段により検知されなかった水準より1段階前の水準の前記第1のレーザ光の光量を設定用光量とするとき、前記同期検知手段の初期状態における前記設定用光量を初期設定用光量とし、所定時点において検知された前記設定用光量の初期設定用光量に対する変化率に基づき前記第2のレーザ光の光量を設定することを特徴としている。
【0023】
また、本発明は、前記光学走査装置と、前記第1のレーザ光の光量を段階的に下げると共に各水準における前記同期検知手段の検知結果を受信し、該検知結果に基づき前記第2のレーザ光の光量を設定する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0024】
また、本発明は、前記同期検知手段の初期状態における検知結果を予め記憶する記憶手段が設けられたことを特徴としている。
【0025】
また本発明は、前記制御手段は、前記受光素子による前記第2のレーザ光の検知結果に基づき、前記発光素子に入力される駆動電流を可変することにより、前記発光素子の前記第1のレーザ光の露光光量を制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
本発明の第1の構成によれば、同期検知手段を用いて第1のレーザ光を検知することとし、第1のレーザ光の第1の光量を段階的に下げたときの、各水準における第1のレーザ光を検知し、同期検知手段により第1のレーザ光が検知されなかった水準より1段階前の水準の第1のレーザ光に基づき、第2のレーザ光の光量を設定することができる。
【0027】
これにより、同期検知手段により検知可能な最小限の光量から第2のレーザ光の光量を設定することができるため、第2のレーザ光の光量をできる限り小さくすることができる。従って、受光素子に用いる樹脂製部材の変質や劣化を抑制することが可能となるため、受光素子の誤検知による発光光量の過誤増加を防ぐことができ、画像形成に必要な露光光量を一定に保つことができ、露光を安定させることができる。
【0028】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の画像形成装置において、同期検知手段により検知されなかった水準の1段階前の水準の第1のレーザ光の光量を設定用光量とするとき、同期検知手段の初期状態における設定用光量を初期設定用光量とし、所定時点において検知された設定用光量の初期設定用光量に対する変化率に基づき、第2のレーザ光の光量を設定することができる。
【0029】
これにより、同期検知手段により検知された設定用光量が初期設定用光量から変化した場合には、受光素子に劣化が生じたとみなし、設定用光量の変化率に基づき第2のレーザ光の光量を設定することができるため、経時的に受光素子が劣化した場合であっても、受光素子の劣化した分に応じて第2のレーザ光の光量を抑えると共にできる限り小さくなるよう適切に増加することができる。従って、上記樹脂製部材の変質や劣化スピードを抑制しつつ第2のレーザ光の光量を受光素子の検知に適切なものとすることができる。
【0030】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1または2の構成の光学走査装置と、第1のレーザ光の光量を段階的に下げると共に各水準における同期検知手段の検知結果を受信し、該検知結果に基づき第2のレーザ光の光量を設定する制御手段と、を備えた画像形成装置とすることによって、受光素子に用いる樹脂製部材の変質や劣化、或いはこれら変質や劣化のスピードを抑制することが可能となるため、受光素子の誤検知による発光光量の過誤増加を防ぐことができ、画像形成に必要な露光光量を一定に保つことができ、露光を安定させた画像形成を行うことができる。
【0031】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成の画像形成装置において、同期検知手段の初期状態における検知結果を予め記憶する記憶手段を設けることにより、経時的に受光素子が劣化した場合であっても、受光素子の劣化の程度をより適切に算出することができ、受光素子の劣化分に応じて第2のレーザ光の光量をより適切に設定することができる。
【0032】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第3または4の構成の画像形成装置において、第2のレーザ光の光量を設定した後、該第2のレーザ光の入射による受光素子の検知結果に基づき、発光素子に入力される駆動電流を可変して発光素子の第1のレーザ光の露光光量を制御することにより、受光素子の劣化を抑制した状態で、また受光素子の劣化が生じた場合であっても劣化スピードを抑制しつつ受光素子へ入射する第2のレーザ光の光量を適切な状態に設定し、第1のレーザ光の露光光量を制御できる。従って、駆動電流による第1のレーザ光の露光光量の制御を精度良く行うことができ、画像形成に必要な露光光量をより一定に保ち、露光をより安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略断面図である。この画像形成装置(例えばプリンタ)100は、露光装置(レーザスキャンユニット)1、感光体ドラム3、帯電ユニット4、現像装置6、クリーニング装置7、トナーコンテナ8、転写ローラ9、給紙機構10、搬送部11、定着部12、及び排紙部13等から構成されている。
【0034】
露光装置(LSU)1は、画像データに基づいて、光ビーム(例えばレーザビーム)を感光体ドラム3に照射し、感光体ドラム3表面に静電潜像を形成させるものである。なお、画像データは不図示のパーソナルコンピュータから送信されたものである。
【0035】
感光体ドラム3は、例えばアルミドラムに感光層が積層されたものであり、帯電ユニット4により表面を帯電させるようになっている。そして、後述する露光装置1からのレーザビームを受けた表面に、帯電を減衰させた静電潜像を形成する。なお、上記の感光層は、特に限定するものではないが、例えば耐久性に優れるアモルファスシリコン層(a−Si)や有機感光層(OPC)等が好ましい。
【0036】
帯電ユニット(帯電チャージャ)4は、放電(例えばコロナ放電)することで感光体ドラム3の表面を帯電させるものである。帯電ユニット4は、例えば細いワイヤ等を有しており、これを電極として高電圧を印加されることで放電するようになっている。
【0037】
現像装置6は、感光体ドラム3の静電潜像にトナーを付着させて、トナー像を形成させるものである。なお、現像装置6に収容されている現像剤としては、例えばトナー成分とキャリアとから構成される2成分現像剤やトナー成分のみから構成される1成分現像剤が挙げられる。
【0038】
トナーコンテナ8は、現像装置6内部のトナーが不足するようになれば、現像装置6にトナーを供給するとともに、予備のトナーを貯留しておくものである。転写ローラ9は、感光体ドラム3表面に形成されたトナー像を乱さずに搬送部11を搬送されてくるシート上に移行(転写)させるものである。
【0039】
クリーニング装置7は、トナー像がシートに転写された後に、感光体ドラム3の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去するものであり、感光体ドラム3の長手方向に線接触する摺擦ローラやクリーニングブレード等から構成される。給紙機構10は、画像(トナー像)が印刷されるシート(用紙やOHP等)を収容するとともに、給紙機構10から排紙部13までのシートの通路である搬送部11にシートを給送するものである。
【0040】
定着部12は、シートに転写されたトナー像を安定な永久像とするものであり、例えば加熱ローラ及び加圧ローラを用いて熱や圧力等のエネルギーを付与することにより、粉体状態のトナー像を溶融させる熱ローラ定着方式が用いられる。排紙部13は、定着部12を経たシート、すなわち永久像が印刷されたシートを収容するものである。
【0041】
そして、予め入力された画像データに基づいて露光装置1が感光体ドラム3上にレーザビームを発することで、その画像データに基づく静電潜像を感光体ドラム3表面に形成する。その後、現像装置6により静電潜像にトナーを付着させるとともに(トナー像を形成させるとともに)、転写ローラ9によりシート上にそのトナー像が転写される。次に、定着部12によりトナー像の転写されたシートに熱及び圧力を加え、永久像とさせるようになっている。
【0042】
以下、本実施形態の画像形成装置の第1制御について説明する。図2は、第1制御に用いられる制御経路を示すブロック図である。図1、図7及び図8と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。画像形成装置100は、画像形成部2、画像入力部30、AD変換部31、制御部(制御手段)32、記憶部(記憶手段)33、操作パネル34、露光装置1、定着部12等を含む構成である。
【0043】
画像入力部30は、画像形成装置100が図1に示すようなモノクロプリンタである場合、パーソナルコンピュータ等から送信される画像データを受信する受信部であり、画像形成装置100がモノクロ複写機である場合、複写時に原稿を照明するスキャナランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCD等から構成される画像読取部である。画像入力部30より入力された画像信号はAD変換部31においてデジタル信号に変換された後、記憶部33内の画像メモリ40に送出される。
【0044】
記憶部33は、画像メモリ40、RAM41、及びROM42を備えており、画像メモリ40は、画像入力部30から入力され、AD変換部31においてデジタル変換された画像信号を記憶し、制御部32に送出する。RAM41及びROM42は、制御部32の処理プログラムや処理内容等を記憶する。
【0045】
RAM41(或いはROM42)には、後述するAPCを行うための基準となるPD56の設定出力値Psや、後述する第1制御に用いられるBD28の出力値Pbが光量を検知しているか否かの基準となるパラメータや、BD28の駆動電流Ibと検知用レーザ光の駆動電流Idとを関連付けたパラメータ等が格納されている。また後述する第2制御に用いられるBDの所定時間tにおける設定用電流値Ibs(t)の初期状態における設定用電流値Ibs(0)に対する変化率と検知用レーザ光の検知用電流値Ids(t)とを関連付けたパラメータ等が格納されている。
【0046】
操作パネル34は、複数の操作キーから成る操作部と、設定条件や装置の状態等を表示する表示部(いずれも図示せず)とから構成されており、ユーザが印刷条件等の設定を行う他、例えば画像形成装置100がファクシミリ機能を有する場合は、記憶部33にファクシミリ送信先を登録し、さらに登録された送信先の読み出しや書き換えを行う等の種々の設定にも使用される。
【0047】
制御部32は、例えば中央処理装置(CPU)であり、設定されたプログラムに従って画像入力部30、画像形成部2、定着部12、給紙機構10(図1参照)からの用紙Sの搬送等を全般的に制御するとともに、画像入力部30から入力された画像信号を、必要に応じて変倍処理或いは階調処理して画像データに変換して、露光装置1に露光信号を送信する。露光装置1は、露光信号を受け、変換処理後の画像データに基づいてLD54からレーザ光を照射し、感光体ドラム3上に潜像を形成(露光)する。
【0048】
さらに、制御部32は、露光の際、PD56からの検出信号を受信し、記憶部33に記憶された設定出力値に基づいて、PD56の出力値が設定出力値となるよう、LD54に入力する駆動電流Iを調整する光量制御機能(APC)を有している。
【0049】
また制御部32は、操作パネル34のキー操作等によりキャリブレーションモードが設定されると、後述するように、BD28へ射出する露光用レーザ光(第1のレーザ光)の駆動電流Ibを段階的に下げる機能、各水準においてBD28からの出力値Pbを受信し、記憶部33に記憶されたパラメータから出力値Pbが光量を検知したか否かを判断する機能、出力値Pbが光量を検知していないと判断したとき、その1段階前の駆動電流Ibを設定用電流値Ibsとして特定する機能、設定用電流値Ibsに基づき検知用レーザ光(第2のレーザ光)を発光させるための検知用電流値Idsを算出して設定する機能を有している。
【0050】
次に、本実施形態の制御例について説明する。LD54(図8参照)からは、レーザ光として、青紫色や青色、又は青緑色のレーザ光を射出することができる。なお、レーザ光をより短波長とすることにより、画像の高解像、高密度化を図ることができる。これを考慮すれば、レーザ光の波長は380nm〜500nmが好ましく、380〜460nmがより好ましい。例えば、青紫色や青色レーザ光は、波長380〜460nmに発振波長を有している。
【0051】
図3は、PD56の初期状態及び所定時点における、駆動電流Iと、駆動電流Iが発光素子54に入力されたときのPD56の出力値Pとの関係(I−P特性)を示す図である。なお、図3において、初期状態とは、PD56がユーザによって使用開始される前の状態をいい、出荷前若しくは出荷時の状態等を含む。また、所定時点は、出荷後、PD56がユーザによって使用開始された後の所定時点をいう。図3に示すように、ユーザによる画像形成が繰り返されると、PD56の出力値Pは経時的に低下し、I−P曲線の傾きが小さくなる。
【0052】
PD56に用いられるPD封止材は、特に上記500nm以下といった短波長の光を受けると、変質や劣化し易いため、レーザ光の透過率が低下し易くなる。PD封止材の透過率の低下はPD56の出力値Pの低下、すなわち劣化を引き起こす。このため、上記短波長のレーザ光をLD54から発光した場合には、PD56が劣化し易くなる。図3では、所定電流ImがLD54に入力されたとき、初期状態ではPD56の出力値PがPpaであるのに対し、所定時点tではPptと小さくなっている。
【0053】
このように、PD56の劣化により出力値Pが小さくなると、APCによりPD56の出力値Ppaに対する出力値Pptの低下の分だけ駆動電流Iが増加されるため、LD54は、実際に感光体ドラム3の露光に必要な光量より大きな光量を発光し、画像形成に影響を及ぼしてしまう。
【0054】
そこで、PD56へ入射する検知用レーザ光の光量をできるだけ小さくすることによって、PD56の劣化を抑制することとした。そして、このための検知用レーザ光の設定にあたり、BD28の検知結果を用いることとした。BD28とPD56には、いずれも樹脂製の封止材が用いられており、樹脂に起因する透過率の相関は予め求めておくことができる。
【0055】
一方、図7に示すように、ここではPD56がLDモジュール20内に配設されているため、PD56の封止材よりBD28の封止材の方が厚い場合がある。これらを考慮して、樹脂の種類や厚みに等に応じて、BD28とPD56との透過率の相関関係を求めておけば、BD28の検知結果から検知用レーザ光の光量(駆動電流Id)を算出することができる。
【0056】
そして、まず露光用レーザ光を発光させるための駆動電流IbをIbmに設定して(mは1以上の整数とする)、LD54を発光させ、このときの露光用レーザ光の光量をBD28により検知する。この検知結果を出力Pbmとして制御部32が受信すると、制御部32は、出力値Pbmが光量信号を示し、光量を検知しているか否かを判断する。光量を検知していれば、駆動電流Ibmから所定量xだけ下げた駆動電流Ib(m−x)によりLD54を発光させる(xは0以上の整数)。これにより、LDからは、所定量aだけ小さい光量の露光用レーザ光が発光され、このときのBD28の出力値Pb(m−x)を制御部32が受信し、出力値Pb(m−x)が光量を検知しているか否かを判断する。
【0057】
光量を検知していれば、さらに所定量xだけ低い電流I(m−2x)によりLD54を発光させる。このとき、LD54からは、さらに所定量aだけ小さい光量の露光用レーザ光が発光され、BD28によって検知される。このように、所定量xずつ下げ、BD28により光量が検知されなくなるまで繰り返す。そして、所定量xずつn回(n水準)駆動電流Ibを下げたとき(Ib(m−nx))、BD28の主力値Pb(m−nx)で光量が検知されていないと判断すると、制御部32は、このときの直前のn−1回目(1水準前)の駆動電流Ib(m−nx+1)を、設定用電流値(設定用光量)Ibsとして特定する。なお、nは1以上の整数である。
【0058】
そして、制御部32は設定用電流値Ibsに基づき、記憶部33からBD28の設定用電流値IbsとPD56に入射する検知用レーザ光の駆動電流Idとを関連付けたパラメータを読み出し、これに基づいて検知用レーザ光の光量(検知用電流値Ids)を設定する。
【0059】
次に、本制御経路を用いた制御例について説明する。図4は、本制御経路を用いた第1制御手順を示すフローチャートである。図1及び図2を参照しながら、図4のステップに従いキャリブレーションの実行手順について説明する。
【0060】
キャリブレーションモードが実行されて、検知用レーザ光の光量設定が開始されると(スタート)、露光用レーザ光の駆動電流Ibが所定の駆動電流Ibmに設定される(ステップS1)。ポリゴンミラー24を駆動するためのポリゴンモータ(図示せず)が始動し、ポリゴンモータが安定すると、LD54が発光し、露光用レーザ光が射出される(ステップS2)。このときBD28による検知を行い(ステップS3)、BD28の出力値Pbmが制御部32に送信され、制御部32は、出力値Pbmが光量を検知しているか否かを判断する(ステップS4)。
【0061】
光量が検知されていれば、次に、駆動電流Ibmから所定量xだけ小さい駆動電流Ib(m−x)によりLD54を発光させて(ステップS5)、BD28による検知を行う(ステップS6)。このときのBD28の出力値Pb(m−x)が制御部32に送信され、制御部32は、出力値Pb(m−x)が光量を検知しているか否かを判断する(ステップS7)。光量が検知されていれば、ステップS5に戻り、ステップS5〜S7を実施する。
【0062】
これがn回繰り替えされ、露光用レーザ光の駆動電流IbがIb(m−nx)となったとき、ステップS7で光量が検知されていないと判断されれば、駆動電流Ibを1段階上げ(ステップS8)、n回目の1段階前の駆動電流Ib(m−nx+1)を設定用電流値Ibsと特定する(ステップS9)。そして、設定用電流値Ibsに基づき、記憶部33からBD28の駆動電流Ibと検知用レーザ光の駆動電流Idとを関連付けたパラメータを読み出して、検知用レーザ光の駆動電流Idsを算出し、これを設定し(ステップS10)、キャリブレーションが終了する。
【0063】
なお、ステップS4で、出力値Pbmが光量を検知していないと判断された場合には、制御部32はエラーと判断し(ステップS11)、キャリブレーションが終了する。
【0064】
上記手順で検知用レーザ光の検知用電流値Idsを設定することにより、BD28により検知可能な最小限の光量を特定し、この特定結果に基づきPD56に射出される検知用レーザ光の光量を設定することができるため、検知用レーザ光の光量をできる限り小さくすることができる。また、PD56に大きな光量のレーザ光を入射する必要もない。従って、PD56に用いる樹脂製部材の変質や劣化を抑制することが可能となるため、PD56の誤検知による発光光量の過誤増加を防ぐことができ、画像形成に必要な露光光量を一定に保つことができ、露光を安定させることができる。
【0065】
このように、本実施形態により、PD56の劣化を防ぐことが可能であるが、本実施形態の画像形成装置に用いられる制御は、上記制御例に限定されるものではなく、PD56の劣化等を考慮して適宜設計可能である。短波長のレーザ光の照射により、PD56及びBD28が経時的に劣化する場合もあり得る。この場合に、PD56の劣化によるPD56の出力値Ppの低下に応じて、PD56へ入射される検知用レーザ光の入射光量を増加させることができれば、PD56による誤検知を防ぐことができる。
【0066】
以下、本実施形態の画像形成装置の第2制御について、図1、図2及び図4を参照して図6に従い説明する。図5は、所定駆動電流が発光素子に入力されたときの、環境温度と受光素子の出力値との関係を示す図であり、図6は、第2制御の制御手順を示すフローチャートを示す図である。図1、図2または図4と共通する部分には共通する符号を付し説明を省略する。
【0067】
図5に示すように、BD28、PD56は、短波長レーザ光の入射により、経時的に劣化し、出力値Pb、Ppが小さくなる。また、上述したようにPD封止材よりBD封止材の方が厚く、ここでは、BD28の方が劣化が大きいことを示す。なお、樹脂の種類、厚み等によって劣化の程度は異なるため、予めBD28とPD56との劣化の相関を調べておけばよい。
【0068】
そして、BD28の劣化を検知して検知用レーザ光の光量を変化させれば、PD56による誤検知を経時的により防ぐことができる。また、劣化の程度は、BD28の設定用電流値Ibsの増加によって表すことができる。従って、初期状態における設定用電流値Ibsを、t=0における初期設定用電流値(初期設定用光量)Ibs(0)として記憶し、その後、所定時点tにおける設定用電流値Ibs(t)を特定し、初期設定用電流値Ibs(0)に対する設定用電流値Ibs(t)の増加率に基づき、改めて検知用レーザ光の検知用電流値Ids(t)の設定を行うこととする。
【0069】
本制御手順では、図6に示すように、まず、BD28の初期状態(t=0)において、上記ステップS1〜S11を実行することにより、初期設定用電流値Ibs(0)を特定し、記憶部33に記憶する(ステップS12)。同時に、初期検知用電流値Ids(0)が設定され、記憶部33に記憶され、その後、初期設定用電流値Ibs(0)によりLD54からPD56に検知用レーザ光が射出され、PD56の出力値Ppに基づきAPCが実行される。
【0070】
そして、所定時点tにおいて、再度ステップS1〜S11を実行することにより(ステップS13)、所定時点tにおける設定用電流値Ibs(t)が特定される(ステップS14)。次に、制御部32により、初期設定電流値Ibs(0)に対する設定用電流値Ibs(t)の増加率Ibs(t)/Ibs(0)を算出し(ステップS15)、BD28の駆動電流Ibと検知用レーザ光の駆動電流Idとを関連付けたパラメータを記憶部33から読み出し、この増加率に基づき検知用レーザ光の検知用電流値Ids(t)を算出し、これを設定し(ステップS16)、キャリブレーションが終了する(エンド、[1])。
【0071】
その後、検知用電流値Ids(t)によりLD54から検知用レーザ光がPD56に射出され、PD56の出力値Ppに基づきAPCが実行される。そして、さらに時間が経過した所定時点t’において、ステップS13〜S16を実行することにより、所定時点t’における検知用電流値Ids(t’)を設定することができる。
【0072】
このように、第2制御手順で検知用電流値Ids(t)の設定を行うことにより、所定時点tにおけるBD28の設定用電流値Ibs(t)の初期設定用電流値Ibs(0)に対する増加率から、検知用電流値Ids(t)を算出することができる。なお、この制御は、装置の電源ON時、所定枚数の画像形成処理が終了した時、スリープ解除直後、画像形成間(紙間)、にも行うことができ、これらが自動的に設定されるようにしてもよい。
【0073】
これにより、経時的にPD56が劣化した場合であっても、PD56の劣化による出力値Ppの低下に応じてPD56に入射する検知用レーザ光の光量を抑えると共に、できる限り小さくなるよう適切に増加することができる。従って、PD封止材の変質や劣化のスピードを抑制しつつ検知用レーザ光の光量をPD56の検知に適切なものとすることができる。また、初期状態における設定用電流値Ibs(0)を算出して記憶部33に記憶しておくことにより、より適切に所定時点における設定用電流値Ibs(t)の増加率、すなわちPD56の劣化の程度を算出することができ、劣化分に応じた検知用電流値Ids(t)をより適切に設定することができる。
【0074】
なお、ここでは、設定用電流値Ibs(t)の初期設定用電流値Ibs(0)に対する増加率に基づき検知用電流値Ids(t)を算出したが、その他の予め設定したパラメータに基づき、BD28において、所定時点tでの所定検知結果の初期状態での所定検知結果に対する変化率を算出し、この算出結果に基づき検知用電流値Ids(t)を算出することもできる。
【0075】
また、このように設定した検知用電流設定値Ids(t)により検知用レーザ光をLD54からPD56に射出し、PD56の出力値Ppに基づき露光用レーザ光の駆動電流Iを制御することにより、PD56の劣化を抑制した状態で、またPD56の劣化が生じた場合であっても劣化のスピードを抑制しつつPD56へ入射する検知用レーザ光の光量を適切に設定し、APCを実行することができる。従って、駆動電流Iによる露光用レーザ光の露光光量の制御を精度良く行うことができ、画像形成に必要な露光光量をより一定に保ち、露光をより安定させることができる。
【0076】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、PD56をLDモジュール20内に配設したが、LD54の光量を検知可能であれば、PD56の配置や受光光量は特に限定されるものではない。また、上記制御例における駆動電流Ibを1段階ずつ下げる所定量xや、所定時点t等は、BD28やPD56の特性等に応じて適宜設定することができ、特に限定されるものではない。
【0077】
また、本実施形態では、制御部32、記憶部33を画像形成装置本体に配置したが、これらの配置は特に限定されるものではなく、その他、例えば露光装置1内に配設することもできる。また、本実施形態では、モノクロ印刷用の画像形成装置に適用したが、他の画像形成装置に適用することもでき、特に限定されるものではない。例えば、モノクロ複写機や、中間転写方式のタンデム型画像形成装置、直接転写式のタンデム型画像形成装置、といったカラープリンタやカラー複写機等にも適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、レーザ光を発生させ、像担持体にレーザ光を射出する発光素子、及び前記発光素子から射出されたレーザ光の光量を検知する受光素子を有する光学走査装置において、前記レーザ光は、像担持体を露光する第1のレーザ光と、該第1のレーザ光と同一波長で射出される第2のレーザ光とから成り、前記第1のレーザ光を検知することにより前記第1のレーザ光の射出タイミングを検知する同期検知手段が配設されており、前記第1のレーザ光の光量を段階的に下げると共に各水準における前記第1のレーザ光を前記同期検知手段を用いて検知し、前記同期検知手段により前記第1のレーザ光が検知されなかったとき、検知されなかった水準より1段階前の水準の前記第1のレーザ光の光量に基づき、前記第2のレーザ光の光量を設定するものである。
【0079】
これにより、同期検知手段により検知可能な最小限の光量から第2のレーザ光の光量を設定することができるため、第2のレーザ光の光量をできる限り小さくすることができる。従って、受光素子に用いる樹脂製部材の変質や劣化を抑制することが可能となるため、受光素子の誤検知による発光光量の過誤増加を防ぐことができ、画像形成に必要な露光光量を一定に保つことができ、露光を安定させることができる。
【0080】
また、同期検知手段により検知されなかった水準の1段階前の水準の第1のレーザ光の光量を設定用光量とするとき、同期検知手段の初期状態における設定用光量を初期設定用光量とし、所定時点において検知された設定用光量の初期設定用光量に対する変化率に基づき、第2のレーザ光の光量を設定することができる。
【0081】
これにより、経時的に受光素子が劣化した場合であっても、受光素子の劣化した分に応じて第2のレーザ光の光量を抑えると共にできる限り小さくなるよう適切に増加することができる。従って、上記樹脂製部材の変質や劣化スピードを抑制しつつ第2のレーザ光の光量を受光素子の検知に適切なものとすることができる。
【0082】
また、上記光学走査装置と、第1のレーザ光の光量を段階的に下げると共に各水準における同期検知手段の検知結果を受信し、該検知結果に基づき第2のレーザ光の光量を設定する制御手段と、を備えた画像形成装置とすることによって、受光素子に用いる樹脂製部材の変質や劣化、或いはこれら変質や劣化のスピードを抑制することが可能となるため、受光素子の誤検知による発光光量の過誤増加を防ぐことができ、画像形成に必要な露光光量を一定に保つことができ、露光を安定させた画像形成を行うことができる。
【0083】
また、同期検知手段の初期状態における検知結果を予め記憶する記憶手段を設けることにより、経時的に受光素子が劣化した場合であっても、受光素子の劣化の程度をより適切に算出することができ、受光素子の劣化分に応じた第2のレーザ光の光量をより適切に設定することができる。
【0084】
また、第2のレーザ光の光量を設定した後、該第2のレーザ光の入射による受光素子の検知結果に基づき、発光素子に入力される駆動電流を可変して発光素子の第1のレーザ光の露光光量を制御することにより、受光素子の劣化を抑制した状態で、また受光素子の劣化が生じた場合であっても劣化スピードを抑制しつつ受光素子へ入射する第2のレーザ光の光量を適切な状態に設定し、第1のレーザ光の露光光量を制御できる。従って、駆動電流による第1のレーザ光の露光光量の制御を精度良く行うことができ、画像形成に必要な発光光量をより一定に保ち、露光をより安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】は、本発明の画像形成装置の概略断面図である。
【図2】は、本実施形態の画像形成装置の制御に用いられる制御経路を示すブロック図である。
【図3】は、初期状態及び所定時点tにおける、駆動電流Iと受光素子の出力値Pとの関係を示す図である。
【図4】は、本実施形態の画像形成装置の第1制御の制御手順を示すフローチャートである。
【図5】は、所定駆動電流が発光素子に入力されたときの、受光素子及びビーム検知センサの出力値の経時的な関係を示す図である。
【図6】は、本実施形態の画像形成装置の第2制御の制御手順を示すフローチャートである。
【図7】は、従来の露光装置の斜視図である。
【図8】は、従来のLDモジュールの内部構造を示す斜視図である。
【図9】は、駆動電流Iと出力値Pとの関係を示す図である。
【図10】は、異なる環境温度における駆動電流Iと出力値Pとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1 露光装置(光学走査装置)
3 感光体ドラム(像担持体)
20 LDモジュール(光源装置)
22 筐体
23 シリンドリカルレンズ
24 ポリゴンミラー
25 走査レンズ
26 折り返しミラー
27 ミラー
28 BD(同期検知手段)
29 窓部
32 制御部(制御手段)
33 記憶部(記憶手段)
54 LD(発光素子)
56 PD(受光素子)
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発生させ、像担持体にレーザ光を射出する発光素子、及び前記発光素子から射出されたレーザ光の光量を検知する受光素子を有する光学走査装置において、
前記レーザ光は、像担持体を露光する第1のレーザ光と、該第1のレーザ光と同一波長で射出される第2のレーザ光とから成り、
前記第1のレーザ光を検知することにより前記第1のレーザ光の射出タイミングを検知する同期検知手段が配設されており、
前記第1のレーザ光の光量を段階的に下げると共に各水準における前記第1のレーザ光を前記同期検知手段を用いて検知し、前記同期検知手段により前記第1のレーザ光が検知されなかったとき、検知されなかった水準より1段階前の水準の前記第1のレーザ光の光量に基づき、前記第2のレーザ光の光量を設定することを特徴とする光学走査装置。
【請求項2】
前記同期検知手段により検知されなかった水準より1段階前の水準の前記第1のレーザ光の光量を設定用光量とするとき、
前記同期検知手段の初期状態における前記設定用光量を初期設定用光量とし、所定時点において検知された前記設定用光量の初期設定用光量に対する変化率に基づき前記第2のレーザ光の光量を設定することを特徴とする請求項1に記載の光学走査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学走査装置と、
前記第1のレーザ光の光量を段階的に下げると共に各水準における前記同期検知手段の検知結果を受信し、該検知結果に基づき前記第2のレーザ光の光量を設定する制御手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記同期検知手段の初期状態における検知結果を予め記憶する記憶手段が設けられたことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記受光素子による前記第2のレーザ光の検知結果に基づき、前記発光素子に入力される駆動電流を可変することにより、前記発光素子の前記第1のレーザ光の露光光量を制御することを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−98388(P2009−98388A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269693(P2007−269693)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】