説明

光源装置

【課題】受光装置に接続しなくても、電源の電圧低下を安全に確認できる光源装置を得る。
【解決手段】光源装置が内視鏡本体に装着されると、接続確認スイッチ24がオンにされる。すると、電源線から第4の抵抗49を介して第2のNPNトランジスタ48のベースに電圧が印加され、第2の抵抗42が接地される。そのため、第1の抵抗47及び第2の抵抗42の合成抵抗値と制御電圧端子46eの電圧とにより、光源28に流れる電流の値が決定される。第1の抵抗47及び第2の抵抗42の合成抵抗値は、第1の抵抗47の値よりも小さい。そのため、接続確認スイッチ24がオンであるときには、オフであるときよりも光源28に流れる電流値が大きくなる。すなわち、光源28は、接続確認スイッチ24がオンであるときには、オフであるときよりも大きな光量で発光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光を受光する装置に接続され、その装置に照明光を提供する光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光源装置は、例えば携帯内視鏡の一部を構成し、内視鏡本体に接続される。電池の無駄な消耗を防ぐため、光源装置の主電源スイッチが投入され、かつ内視鏡本体が接続されたときにのみ照明光を照射する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−43666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような光源装置では、電源電圧が低下すると使用を中止しなければならないため、ユーザは使用前に照明光を試験的に照射して、電源電圧が低下していないことを確認する必要がある。しかし、従来の構成では、光源装置の主電源スイッチが投入され、かつ内視鏡本体が接続されたときしか照明光を照射することができない。そのため、内視鏡本体がないときにユーザは電源電圧が低下していないことを確認することができず、光源装置の利便性が低下し、検査の手間が増える。
【0005】
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、受光装置に接続しなくても、電源の電圧低下を安全に確認できる光源装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1の発明による光源装置は、電源から受けた電力を調整して出力する電力制御部と、電力制御部からの電力により発光する発光部と、発光部からの光を受光する受光装置との接続を検知する接続確認部と、電力制御部に接続される電力調整部とを備え、接続検知部は、受光装置の接続を検知したとき、電力調整部を接地し、電力制御部は、電力調整部が接地されたとき、電力調整部を接地されないときよりも発光部の発光量が小さくなるように出力電力を調整することを特徴とする。
【0007】
電力制御部は、電力調整部が接地されたとき、電力調整部を接地されないときよりも出力電力の電流量を小さくすることが好ましい。
【0008】
電力制御部に電源を接続し、又は切り離す主電源スイッチをさらに備えることが好ましい。
【0009】
接続確認部は、受光装置が光源装置と接続されたときにオンになる接続検知スイッチと、受光装置が光源装置と接続されたときに電力調整部を接地する接地部とをさらに備え、受光装置が光源装置と接続されたとき、電源から接地部に電力が流れ、これにより接地部がオンになって電力調整部を接地するものであればなお良い。
【0010】
電力制御部は定電流回路、電力調整部は抵抗器、接地部はNPNトランジスタが各々好適であり、接続検知スイッチはNPNトランジスタのベースに接続され、電力調整部はNPNトランジスタのコレクタに接続され、NPNトランジスタのエミッタは接地されることが好ましい。
【0011】
発光部は、発光ダイオードが好適である。
【0012】
本願第1の発明による携帯用内視鏡装置は、受光装置としての内視鏡本体と前記光源装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、受光装置に接続しなくても、電源の電圧低下を安全に確認できる光源装置を得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本願発明による光源装置を備える内視鏡装置のブロック図である。
【図2】光源装置内部に設けられる回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による光源装置12について図1及び2を参照して説明する。
【0016】
携帯用内視鏡10は、内視鏡本体11と光源装置12とからなる。内視鏡本体11は、操作部および該操作部から延出し体腔内に挿入される細径の挿入部から構成される。光源装置12は内視鏡本体11の操作部近傍の所定位置(後述の光源装置取付部11A)に着脱自在である。内視鏡本体11内には、照明光を内視鏡先端にまで伝送するためのライトガイド13と照明光により照明された内視鏡先端の映像を観察するためのイメージガイド14が配設される。
【0017】
ライトガイド13の一端である入射端は、内視鏡本体11の操作部近傍に位置し、その前方にはレンズ15が設けられる。装着された光源装置12からの光は、レンズ15を通してライトガイド13の入射端に集光され入射される。ライトガイド13の他端である射出端は、内視鏡挿入部の先端に配置され、入射された光はライトガイド13内を伝搬されて他端である射出端からレンズ16を通して照射される。
【0018】
また、イメージガイド14の一端は、内視鏡挿入部の先端に配置され、ライトガイド13からの照明光は、観察対象物で反射され対物レンズ17を通してイメージガイド14に入射される。イメージガイド14の他端は接眼レンズ18の近傍に配置され、イメージガイド14を通して伝送された光学像は、接眼レンズ18を通して観察される。
【0019】
内視鏡本体11の操作部には、光源装置12を装着するための光源装置取付部11Aが設けられる。光源装置取付部11Aの円筒中央には、円筒軸に沿った円筒形の窪部11Rが形成され、その底面にレンズ15が配置される。窪部11Rには、後述するように光源装置12の光源部12Lが挿入される。
【0020】
光源装置12の筐体12C内には、例えば電池である電源19が装填される。電源19の正極は例えば接点20に電気的に接続され、接点20は主電源スイッチ21の一方の端子に接続される。また、主電源スイッチ21の他方の端子は光源用回路基板22に接続される。一方、電源19の負極は例えば接点23に電気的に接続され、接点23はグラウンド及び光源用回路基板22に接続される。
【0021】
ピン25の先端は、モメンタリスイッチ27が有するスプリングなどの付勢部材により光源装置12の筐体12Cの外部へと押し出されているが、その先端が付勢部材の付勢力に抗して押し戻されるとピン25は筐体12C内に向けて引っ込められる。ピン25が所定値以上引っ込められると、モメンタリスイッチ27がオンとなる。
【0022】
光源用回路基板22には、例えばLEDなどの光源28が取り付けられる。光源28は、光源用回路基板22に設けられた光源駆動回路30によりその点灯が駆動制御され、光源28から照射された光は照明用レンズ29を介して射出される。また、光源用回路基板22の光源駆動回路30は、光源装置12の筐体12Cに接地される。
【0023】
光源装置12の筐体12Cは円筒形であって、窪部11Rに対応する円筒形状の光源部12Lが一体的に形成される。円筒形の光源部12Lには光源28および照明用レンズ29が納められ、光源28および照明用レンズ29が筐体12Cの円筒軸に沿って延出する。また、光源部12Lの根本部付近には、接続確認スイッチ24が設けられる。接続確認スイッチ24は、そのピン25の軸が筐体12Cの円筒軸に平行になるように配置される。
【0024】
接続確認スイッチ24は、棒状のピン25と、ピン25によって押圧されるモメンタリスイッチ27とから構成される。ピン25の一端は光源装置12の筐体12C内に配置されるが、他端は筐体12Cの外へ突出する。ピン25は絶縁部材26内において軸方向に摺動自在である。
【0025】
光源装置12を内視鏡本体11へ取り付ける際には、光源部12Lが光源装置取付部11Aの窪部11Rに挿入される。
【0026】
次に、光源駆動回路30について説明する。
【0027】
光源駆動回路30は、例えばLEDである光源28と、電力制御部である定電流回路部35と、内視鏡本体11の接続を検知する接続確認部36とを主に備える。
【0028】
電源19の正極は主電源スイッチ21の一端に接続され、負極は接地される。主電源スイッチ21の他端は電源線に接続される。
【0029】
定電流回路部35は、LEDドライバ46と第1の抵抗47とを有し、電源線からの電圧を用いて定電流を生成する。
【0030】
LEDドライバ46は、電源線に接続される電源入力端子46a、第2の制御端子46b、グラウンドに接続される第2の接地端子46c、並びに電力供給部を成す駆動電圧端子46d及び制御電圧端子46eを有する。第2の制御端子46bに印加される電圧が第2の接地端子46cと略同じ値となったとき、LEDドライバ46が動作する。LEDドライバ46は、駆動電圧端子46d及び制御電圧端子46eとの間に光源28が発光するに必要かつ十分な電圧を生じさせる。
【0031】
光源28のアノードは駆動電圧端子46dに接続され、カソードは制御電圧端子46eに接続される。そして、光源28のカソードとグラウンドとの間に第1の抵抗47が接続される。第1の抵抗47の値と制御電圧端子46eの電圧とにより、光源28に流れる電流の値が決定される。光源28の動作電圧は光源28の温度等により変化する。そこで、LEDドライバ46は、光源28に流れる電流値を一定に保つために、駆動電圧端子46dと制御電圧端子46eとの間の電圧を調整する。
【0032】
第2の制御端子46bと電源線との間に、第3の抵抗44及び第1のNPNトランジスタ45が設けられる。第3の抵抗44は、第1のNPNトランジスタ45のベースと電源線に接続される。第1のNPNトランジスタ45のコレクタは第2の制御端子46bに接続され、エミッタは接地される。電源線から第3の抵抗44に電圧が加えられると、第1のNPNトランジスタ45のコレクタ−エミッタ間が導通し、第2の制御端子46bが接地される。
【0033】
制御電圧端子46eには、電力調整部である第2の抵抗42の一端が接続される。第2の抵抗42の他端には、接続確認部36が接続される。
【0034】
接続確認部36は、光源装置12に内視鏡本体11が接続されたか否かを確認するものであり、接続確認スイッチ24と、第4の抵抗49と、接地部である第2のNPNトランジスタ48とを有する。
【0035】
接続確認スイッチ24は電源線にその一端が接続され、他端が第4の抵抗49に接続される。第4の抵抗49は、一端が第2のNPNトランジスタ48のベースに接続される。第2のNPNトランジスタ48のコレクタは、第2の抵抗42と接続され、エミッタは接地される。接続確認スイッチ24がオンになると、電源線から第4の抵抗49を介して第2のNPNトランジスタ48のベースに電圧が加えられ、第2のNPNトランジスタ48のコレクタ−エミッタ間が導通し、第2の抵抗42が接地される。すなわち、内視鏡本体11が光源装置12に接続されているとき、つまり接続確認スイッチ24がオンになっているとき、第1の抵抗47及び第2の抵抗42の合成抵抗値と制御電圧端子46eの電圧とにより、光源28に流れる電流の値が決定される。ここで、第1の抵抗47の抵抗値をR1、第2の抵抗42の抵抗値をR2、制御電圧端子46eの電圧をViとすると、光源28に流れる電流の値Iiは以下の式により決定される。
Ii=Vi(R1+R2)/(R1・R2)
【0036】
一方、内視鏡本体11が光源装置12に接続されていないとき、つまり接続確認スイッチ24がオフになっているとき、第1の抵抗47の抵抗値と制御電圧端子46eの電圧とにより、光源28に流れる電流の値が決定される。このとき、光源28に流れる電流の値Ijは以下の式により決定される。
Ij=Vi/R1
【0037】
次に、主電源スイッチ21が投入され、かつ内視鏡本体11が接続されていないときの光源装置12の動作について説明する。
【0038】
主電源スイッチ21が投入されると、電源19から電源線に電力が供給される。電力は、第3の抵抗44を介して第1のNPNトランジスタ45のベースに伝えられ、ベース電圧が所定値まで上昇して、第2の制御端子46bが接地される。これにより、LEDドライバ46は動作を開始して、駆動電圧端子46dと制御電圧端子46eとの間に電圧差を生じさせる。このとき、内視鏡本体11が光源装置12に接続されていないため、接続確認スイッチ24はオフである。そのため、第2の抵抗42は接地されない。よって、第1の抵抗47の値と制御電圧端子46eの電圧とにより光源28に流れる電流の値が決定され、光源28はこの電流値に応じた光量で発光する。
【0039】
すなわち、光源装置12に電池残量の警告手段を設けずとも、そして内視鏡本体11を接続せずとも、光源装置12単体で電池残量を確認できる。また、光源装置12は、内視鏡本体11と接続されていないときには、接続されているときよりも小さな光量で発光するため、ユーザは電池の消耗を抑えながら電池残量を確認でき、かつユーザが光源28からの光によりユーザが不快感を持つこともない。
【0040】
一方、光源装置12が内視鏡本体11に装着されると、ピン25はモメンタリスイッチ27を押圧し、モメンタリスイッチ27がオンに、すなわち接続確認スイッチ24がオンにされる。すると、電源線から第4の抵抗49を介して第2のNPNトランジスタ48のベースに電圧が印加され、第2の抵抗42が接地される。そのため、第1の抵抗47及び第2の抵抗42の合成抵抗値と制御電圧端子46eの電圧とにより、光源28に流れる電流の値が決定される。第1の抵抗47及び第2の抵抗42の合成抵抗値は、第1の抵抗47の値よりも小さい。そのため、接続確認スイッチ24がオンであるときには、オフであるときよりも光源28に流れる電流値が大きくなる。すなわち、光源28は、接続確認スイッチ24がオンであるときには、オフであるときよりも大きな光量で発光する。
【0041】
本実施形態によれば、光源装置12に内視鏡本体11を接続することなく、光源装置12単体で電池残量を確認できる。また、光源装置12に内視鏡本体11が接続されていないときには、接続されているときよりも小さな光量で発光するため、ユーザが光源28からの光により目を痛める危険性はない。そして、小さな光量で電池残量を確認できるため、電池の消耗を抑えることができる。
【0042】
なお、光源28はLEDでなくても良い。
【0043】
また、光源装置12に接続する装置は内視鏡本体11に限定されない。
【符号の説明】
【0044】
10 携帯用内視鏡
11 内視鏡本体
11A 光源装置取付部
11R 窪部
12 光源装置
12C 筐体
12L 光源部
13 ライトガイド
14 イメージガイド
15 レンズ
16 レンズ
17 対物レンズ
18 接眼レンズ
19 電源
20 接点
21 主電源スイッチ
22 光源用回路基板
23 接点
24 接続確認スイッチ
25 ピン
26 絶縁部材
27 モメンタリスイッチ
28 光源
29 照明用レンズ
30 光源駆動回路
35 定電流回路部
36 接続確認部
40 警告用LED
42 第2の抵抗
44 第3の抵抗
45 第1のNPNトランジスタ
46 LEDドライバ
46a 電源入力端子
46b 第2の制御端子
46c 第2の接地端子
46d 駆動電圧端子
46e 制御電圧端子
47 第1の抵抗
48 第2のNPNトランジスタ
49 第4の抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から受けた電力を調整して出力する電力制御部と、
前記電力制御部からの電力により発光する発光部と、
前記発光部からの光を受光する受光装置との接続を検知する接続確認部と、
前記電力制御部に接続される電力調整部とを備え、
前記接続検知部は、前記受光装置の接続を検知したとき、前記電力調整部を接地し、
前記電力制御部は、前記電力調整部が接地されたとき、前記電力調整部を接地されないときよりも前記発光部の発光量が小さくなるように出力電力を調整する光源装置。
【請求項2】
前記電力制御部は、前記電力調整部が接地されたとき、前記電力調整部を接地されないときよりも出力電力の電流量を小さくする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記電力制御部に電源を接続し、又は切り離す主電源スイッチをさらに備える請求項1または2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記接続確認部は、前記受光装置が前記光源装置と接続されたときにオンになる接続検知スイッチと、前記受光装置が前記光源装置と接続されたときに前記電力調整部を接地する接地部とをさらに備え、
前記受光装置が前記光源装置と接続されたとき、電源から前記接地部に電力が流れ、これにより前記接地部がオンになって前記電力調整部を接地する請求項1から3のいずれかに記載の光源装置。
【請求項5】
前記電力制御部は定電流回路であり、前記電力調整部は抵抗器であり、前記接地部はNPNトランジスタであり、前記接続検知スイッチは前記NPNトランジスタのベースに接続され、前記電力調整部は前記NPNトランジスタのコレクタに接続され、前記NPNトランジスタのエミッタは接地される請求項1から4のいずれかに記載の光源装置。
【請求項6】
前記発光部は、発光ダイオードから成る請求項1から5のいずれかに記載の光源装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の光源装置と、受光装置としての内視鏡本体とを備える携帯用内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−143114(P2011−143114A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7349(P2010−7349)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】