説明

内燃機関の点火装置

【課題】低電力で放電が可能な内燃機関の点火装置を提供する。
【解決手段】内燃機関の点火装置30は、制御装置31と、マイクロ波発生電源32と、マイクロ波伝送路33と、マイクロ波放射器34と、を備えている。マイクロ波放射器34は、柱状の内側導体36と、内側導体36の外側に同軸状に設けられた筒状の外側導体35と、を備えている。マイクロ波放射器34の先端部34aが内燃機関の燃焼室に臨む状態で、マイクロ波放射器34がシリンダヘッドに配置されている。マイクロ波放射器34の先端部34a側には、マイクロ波によるプラズマ放電を発生させる間隙38が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の点火装置に関し、特に、電磁波を利用して燃焼室内の混合気の点火を行う点火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の点火装置として、下記の特許文献1にはマイクロ波を利用した点火装置が開示されている。図12を参照して、特許文献1に記載の内燃機関の点火装置について説明する。図12は、従来技術に係る内燃機関の点火装置の概略構成を示す図である。点火装置101において、同軸的な共振器(同軸線路)103は、外側導体104と内側導体105とによって構成されている。内側導体105の一端部に設けられた結合箇所107には、供給線路108が同軸的に結合されている。マイクロ波発生電源によって発生させた例えばマイクロ波などの電磁波が、供給線路108を介して共振器103に供給される。一方、共振器103の開放した内側導体105の他端部105aは内燃機関の燃焼室内に突出しており、他端部105aが点火ピンとして燃焼室内の混合気の点火を行う。
【0003】
また、下記の特許文献2には、内側導体が外側導体よりも内燃機関の燃焼室内に突出した点火装置が開示されている。
【0004】
また、下記の特許文献3には、内部に放電空間が形成された放電容器を備えた放電ランプが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−87498号公報
【特許文献2】特開2010−96109号公報
【特許文献3】特開2007−115534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1,2に記載の点火装置は、マイクロ波を燃焼室内に効率良く供給することを目的としている。そのため、点火装置の終端部では、外側導体と内側導体とが一定の距離を隔てて設けられており、また、内側導体が外側導体よりも内燃機関の燃焼室内に突出している。このような点火装置では、外側導体と内側導体との間の距離が長くなるため、放電(点火)に際しては、大きな電力を供給する必要があったり、DC放電によるアシストが必要となったりする場合がある。
【0007】
また、特許文献3に記載の点火装置は、点光源を形成することを目的としており、広域放電には適応していない。
【0008】
本発明の目的は、低電力で放電が可能な内燃機関の点火装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、燃焼室内の混合気の点火を行う内燃機関の点火装置であって、電磁波を発生させる電磁波発生電源と、柱状の内側導体および前記内側導体の外側に同軸状に設けられた筒状の外側導体を備え、一端が前記燃焼室内に臨む状態で配置されて、前記電磁波発生電源にて発生した電磁波を、前記内側導体と前記外側導体との間を伝播させて前記燃焼室内に放射する電磁波放射器と、を備え、前記電磁波放射器には、前記内側導体と前記外側導体との間を伝播してきた電磁波を前記外側導体の内側に反射させる部材と、電磁波によるプラズマ放電を発生させる間隙とが、前記燃焼室内に臨む一端側に形成されている、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る内燃機関の点火装置であって、前記燃焼室内に臨む一端側において、前記内側導体と前記外側導体とが接続されており、前記間隙は前記外側導体に形成されている、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る内燃機関の点火装置であって、前記外側導体には、周方向に沿って前記間隙が複数形成されている、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る内燃機関の点火装置であって、前記電磁波放射器は、前記燃焼室内に臨む一端側において、前記内側導体と前記外側導体とを接続する接続部を有し、前記間隙は前記接続部に形成されている、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る内燃機関の点火装置であって、前記燃焼室内に臨む一端側において、前記内側導体および前記外側導体のうち少なくとも一方には、他方に対向する突起部が設けられており、前記突起部と他方との間で前記間隙を形成して、電磁波によるプラズマ放電を発生させる、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る内燃機関の点火装置であって、前記燃焼室内に臨む一端側において前記外側導体は開放されており、前記間隙は前記外側導体に形成されている、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、燃焼室内の混合気の点火を行う内燃機関の点火装置であって、電磁波を発生させる電磁波発生電源と、柱状の内側導体および前記内側導体の外側に同軸状に設けられた筒状の外側導体を備え、一端が前記燃焼室内に臨む状態で配置されて、前記電磁波発生電源にて発生した電磁波を、前記内側導体と前記外側導体との間を伝播させて前記燃焼室内に放射する電磁波放射器と、を備え、前記電磁波放射器には、前記燃焼室に臨む一端側に、前記内側導体と前記外側導体との間を伝播してきた電磁波を前記外側導体の内側に反射させる部材が形成されており、前記外側導体には、前記燃焼室内に臨む一端側に、混合気を前記燃焼室から前記外側導体内に導入するための第1の間隙が形成されており、前記内側導体には、前記燃焼室内に臨む一端側に、電磁波によるプラズマ放電を発生させる第2の間隙が形成されており、前記第2の間隙にて発生したプラズマ放電によって前記外側導体内の混合気の温度を上昇させて、前記第1の間隙から前記燃焼室に噴出させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、電磁波放射器の燃焼室内に臨む一端側に、電磁波を外側導体の内側に反射させる部材と、電磁波によるプラズマ放電を発生させる間隙とが形成されているため、DC放電などを用いずに又は低いDC電力で、プラズマ放電を発生させて燃焼室内の混合気の点火を行うことが可能となる。すなわち、内側導体と外側導体との間を伝播してきた電磁波は、燃焼室内に臨む一端側で内側に反射される。このような状態の中で、電磁波放射器の燃焼室内に臨む一端側に間隙を設けることが、本発明の主たる構成である。このように電磁波が電磁波放射器の外側に放射され難い系に間隙を設けると、間隙での電磁波のエネルギー密度が容易に高まり、高電界部が形成される。その電界は電磁波の電力の増加に伴って増加することになるが、電界が雰囲気の絶縁破壊電界を超えると、プラズマ放電が生じる。本発明では、供給された電磁波が燃焼室内に放射されることがほとんど無いため、より小さい電力でプラズマ放電を誘起することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る内燃機関の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る点火装置のマイクロ波放射器を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る点火装置のマイクロ波放射器を示す側面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る点火装置のマイクロ波放射器を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るマイクロ波放射器によって形成される電界分布を示す図である。
【図6】マイクロ波放射器の他の構成例を示す断面図である。
【図7】マイクロ波放射器の他の構成例を示す断面図である。
【図8】マイクロ波放射器の他の構成例を示す断面図である。
【図9】マイクロ波放射器の他の構成例を示す正面図である。
【図10】マイクロ波放射器の他の構成例によって形成される電界分布を示す図である。
【図11】マイクロ波放射器の他の構成例を示す断面図である。
【図12】従来技術に係る内燃機関の点火装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1から図3を参照して、本発明の実施形態に係る内燃機関の点火装置について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る内燃機関の概略構成を示す図である。図2は、本発明の実施形態に係る点火装置のマイクロ波放射器を示す断面図である。図3は、本発明の実施形態に係る点火装置のマイクロ波放射器を示す側面図である。本実施形態に係る内燃機関の点火装置は、マイクロ波を利用して内燃機関の燃焼室内の混合気の点火を行う。
【0019】
図1に示すように、内燃機関10は、シリンダヘッド11と、シリンダ12と、シリンダ12及びピストン13により形成される燃焼室14と、シリンダヘッド11に設けられた吸気口15を開閉する吸気弁16と、シリンダヘッド11に設けられた排気口17を開閉する排気弁18と、燃料噴射弁19と、を備えている。吸気行程においては、吸気弁16が開きピストン13が下降することで吸気口15から燃焼室14内に吸気ガスが導入される。図1に示す内燃機関10では、燃料噴射弁19が吸気口15に臨む状態で配置され、ここから燃料が吸気口15に噴射されるため、燃焼室14内には混合気が導入される。圧縮行程においては、吸気弁16が閉じてピストン13の上昇により混合気が圧縮される。本実施形態に係る点火装置30は、燃焼室14を臨む一端側に狭い間隙を設けて、強いマイクロ波電界を誘起して放電を形成することで、燃焼室14内の圧縮混合気の点火を行う。これにより、ピストン13が押し下げられ図示しないクランク軸に回転力が発生する。燃焼後のガスは、排気行程において排気弁18が開きピストン13が上昇することで、排気口17へ排出される。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る点火装置30は、制御装置31と、マイクロ波発生電源32と、マイクロ波伝送路33と、マイクロ波放射器34と、を備えている。
【0021】
マイクロ波発生電源32は、例えばマグネトロンや進行波増幅管や固体発振素子により構成することができ、マイクロ波などの電磁波を発生させる。なお、マイクロ波発生電源32が、電磁波発生電源の一例に相当する。制御装置31は、マイクロ波発生電源32が発生させるマイクロ波のパルスの高さ及び幅のいずれか1つ以上を制御することで、その出力(電力)を制御する。マイクロ波発生電源32は、燃焼室14内の混合気の点火を行うタイミングでマイクロ波パルスを出力し、この出力されたマイクロ波パルスはマイクロ波伝送路33を伝播する。
【0022】
マイクロ波伝送路33は、シリンダヘッド11の内部を通ってその端部が燃焼室14に臨んでいる。マイクロ波伝送路33の端部には、マイクロ波発生電源32にて発生しマイクロ波伝送路33を伝播したマイクロ波などの電磁波を放射するマイクロ波放射器34が設けられている。マイクロ波伝送路33は、例えば同軸ケーブルや導波管により構成することができる。このように、マイクロ波放射器34が燃焼室14に臨む状態でシリンダヘッド11に配置されていることで、マイクロ波放射器34から燃焼室14内にマイクロ波などの電磁波が放射される。すなわち、所定の部位において放電を生起し、燃焼室14内の混合気に点火する。図1に示す例では、マイクロ波放射器34が燃焼室14の上面の中央部に配置されている場合を示している。なお、マイクロ波放射器34が、電磁波放射器の一例に相当する。
【0023】
次に、図2及び図3を参照してマイクロ波放射器34について説明する。マイクロ波放射器34は、外側導体35と内側導体36とによって構成された同軸構造を有する。外側導体35は筒状の形状を有し、接地されている。内側導体36は柱状の形状を有し、外側導体35の中心軸に沿って外側導体35内に配置されている。外側導体35と内側導体36とは、一定の間隔Lを隔てて配置されている。外側導体35と内側導体36との間には、空洞部37が形成されている。空洞部37には、固体状の誘電体が設置されていてもよい。マイクロ波放射器34の先端部34a(終端部)の反対側において、マイクロ波伝送路33が内側導体36に接続されている。マイクロ波発生電源32により発生させたマイクロ波などの電磁波が、マイクロ波伝送路33を介してマイクロ波放射器34に供給される。マイクロ波放射器34の先端部34a(終端部)が内燃機関10の燃焼室14に臨む状態で、マイクロ波放射器34がシリンダヘッド11に配置される。マイクロ波伝送路33を介してマイクロ波放射器34に供給されたマイクロ波などの電磁波は、外側導体35と内側導体36との間を伝播し、その一部が燃焼室14内に放射される。そして、燃焼室14を臨む一端側に狭い間隙を設けて、強いマイクロ波電界を誘起して放電を形成する。
【0024】
また、外側導体35と内側導体36とは、マイクロ波発生電源32の出力インピーダンスと整合を図るために必要な間隔Lを隔てて配置されている。外側導体35と内側導体36との間(空洞部37)に配置される誘電体の誘電率に依存するが、外側導体35と内側導体36との間の間隔Lは、一例として数mm程度(例えば3mm〜10mm程度)となっている。
【0025】
また、マイクロ波放射器34の先端部34a側において、空洞部37に連通する間隙38がマイクロ波放射器34の側面に形成されている。一例として、先端部34a(終端部)が、内側導体36と外側導体35とを接続する接続部に相当し、間隙38は、外側導体35の側面に形成されている。すなわち、内側導体36と外側導体35とは、先端部34a(終端部)で接続されており、外側導体35に間隙38が形成されている。内側導体36と外側導体35とを先端部34aで接続すると、外側導体35と内側導体36との間を伝播してきたマイクロ波などの電磁波は、燃焼室14内に放射されず、先端部34aにおいて外側導体35の内側に反射されることになる。そのような状態の中で、小さな間隙38を設けることが、本実施形態に係るマイクロ波放射器34の主たる構成である。間隙38を設けることにより、内側導体36と外側導体35との間を伝播するマイクロ波は、その一部が燃焼室14内に放射されるが、そのほとんどが先端部34aで反射される状況に変わりはない。マイクロ波放射器34の外側にマイクロ波が放射されない系に小さな間隙38を設けると、間隙38でのマイクロ波のエネルギー密度が高まり、高電界部が形成される。その電界はマイクロ波の電力の増加によって増加することになるが、その電界が雰囲気の絶縁破壊電界を超えると、プラズマ放電が生じる。本実施形態では、供給されたマイクロ波が燃焼室14内に放射されることがほとんどないため、より小さな電力でプラズマ放電を誘起することが可能となる。以上のように、間隙38の軸方向の幅Dは、マイクロ波のエネルギー密度を高めて、マイクロ波によるプラズマ放電の発生が可能な幅となっている。間隙38の軸方向の幅Dは、一例として0.1mm〜1mm程度であることが好ましい。図3に示す例においては、外側導体35の側面には、周方向に沿って部分的に軸方向の幅が異なる間隙が形成されており、その間隙において軸方向の幅が幅Dとなっている箇所が、上述の間隙38に相当する。このように、幅Dを有する複数の間隙38が、外側導体35の側面において周方向に沿って互いに所定距離を隔てた箇所に形成されていてもよい。すなわち、周方向に沿って部分的に幅Dを有する間隙38が形成されていてもよい。
【0026】
本実施形態においては、マイクロ波放射器34の先端部34a側において、外側導体35及び内側導体36のうち少なくとも一方に、他方に対向する突起部が設けられており、突起部と他方との間で間隙38が形成されている。図2及び図3に示す例では、内側導体36の先端部34a側に、外側導体35に対向する突起部36aが設けられており、その突起部36aと外側導体35との間に間隙38が形成されている。
【0027】
以上のように、間隙38の軸方向の幅Dを、外側導体35と内側導体36との間の間隔Lよりも短くすることにより、マイクロ波などの電磁波の供給に伴って間隙38に高い電界が生じやすくなる。一例として、間隙38の軸方向の幅Dを0.1mm〜1mm程度にすることにより、間隙38に高い電界が生じて絶縁破壊が生じ、その結果、マイクロ波によるプラズマ放電が間隙38にて発生する。間隙38にて発生したプラズマ放電によって、燃焼室14内の混合気の点火を行うことが可能となる。このように間隙38によってプラズマ放電を発生させることができるため、従来技術と比べて大きな電力を供給しなくてもプラズマ放電を発生させることが可能となる。また、DC放電によるアシストが不要となり、又は、DC放電の低電力化が可能となる。そのため、本実施形態に係るマイクロ波放射器34によると、従来技術よりも低電力でプラズマ放電を発生させて、燃焼室14内の混合気の点火を行うことが可能となる。従来技術においては、図12に示すように、内側導体105と外側導体104とはその間隔Lを変えることなく、内側導体105が外側導体104に対して外側に突出している。そのような構造では、内側導体105と外側導体104との間を伝播するマイクロ波は、先端部(終端部)で反射されるのはその一部であり、多くは燃焼室内に放射される。このような従来技術に係る構成では、本実施形態に係るマイクロ波放射器34と比較して、先端部での電界はより低くならざるを得ない。そのため、従来技術においては、放電(点火)時にDC放電によるアシストが必要になったり、より大きな電力が必要になったりする。
【0028】
また、本実施形態に係るマイクロ波放射器34によると、間隙38によって従来技術よりも低電力で放電塊を生成することが可能となる。そのことにより、火炎伝播が促進されて、希薄燃焼限界を向上させることが可能となる。その結果、燃焼効率を向上させることが可能となる。
【0029】
次に、図4及び図5を参照して、マイクロ波放射器34の具体例について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る点火装置のマイクロ波放射器を示す断面図である。図5は、本発明の実施形態に係るマイクロ波放射器によって形成される電界分布を示す図である。ただし、以下に説明するマイクロ波の周波数及びマイクロ波放射器34の寸法は一例であり、本発明はこの例に限定されない。また、以下に説明する条件を必ずしも満たさなくても、間隙38にてプラズマ放電を発生させることができる。
【0030】
図4に示すように、外側導体35の内径φ1を6mmとし、内側導体36の直径φ2を2.5mmとした。また、外側導体35の側面に周方向に沿って12箇所に間隙38を設けた。間隙38の軸方向の幅Dを0.5mmとした。なお、図4及び図5においては、間隙38及び間隙38の周囲に形成される電界分布を分かりやすく説明するために、間隙38を拡大して示している。また、固体状の誘電体39を空洞部37に設けた。誘電体39の比誘電率は1.25である。そして、マイクロ波発生電源32によって1Wで2.45GHzのマイクロ波を発生させて、内側導体36に供給した。
【0031】
図5(a),(b)に、電界分布の一例を示す。ここで、この例においては、間隙38は、所定間隔をおいて軸方向の幅Dの部分を設けたものである。図5(b)は、図5(a)のA−A断面図である。電界分布は、間隙38において最も高く(高電界域)、周囲へ向かうほど低くなっている(低電界域)。例えば間隙38において、電界の最大値が1W供給時に32000V/mとなった。このように、間隙38において電界強度を高めることができるため、間隙38にてプラズマ放電を発生させることが可能となる。そのため、燃焼室14内の混合気の点火を行うことが可能となる。従来技術と比べて大きな電力を供給せずに、また、DC放電によるアシストを用いずに又は低いDC電力で、プラズマ放電を発生させることができるため、従来技術よりも低電力でプラズマ放電を発生させて、燃焼室14内の混合気の点火を行うことが可能となる。
【0032】
次に、図6を参照して、本実施形態に係るマイクロ波放射器の他の構成例について説明する。図6は、マイクロ波放射器の他の構成例を示す断面図である。図6に示すマイクロ波放射器34においては、外側導体35と内側導体36との間の空洞部37に、固体状の誘電体39が配置されている。例えば、間隙38にも誘電体39が配置されている。このように誘電体39を配置することにより、マイクロ波放射器34の側面(間隙38に存在する誘電体39の表面上)でプラズマ放電が発生する。そのことにより、より低電力でプラズマ放電を発生させることが可能となる。
【0033】
次に、図7を参照して、本実施形態に係るマイクロ波放射器の他の構成例について説明する。図7は、マイクロ波放射器の他の構成例を示す断面図である。図7に示すマイクロ波放射器34においては、マイクロ波放射器34の先端部34a(終端部)が開放している。すなわち、マイクロ波放射器34の先端部34a側において、外側導体35が開放している。さらに換言すると、マイクロ波放射器34の先端部34a(終端部)では、内側導体36と外側導体35とはその間隔Lを変えることが無い状態で、ともに先端部34aに達している。さらに、内側導体36と外側導体35とは、先端部34aにおいて接続されていない。このように、外側導体35と内側導体36とは間隔Lを隔てて配置されており、一例として、外側導体35と内側導体36との間には固体状の誘電体39が配置されている。また、マイクロ波放射器34の先端部34a側において、外側導体35の側面に周方向に沿って複数の間隙38が形成されている。このように、マイクロ波放射器34の先端部34aを開放した場合であっても、図2に示すように先端部34aで内側導体36と外側導体35とが接続している場合と同様に、主たるマイクロ波は先端部34aで反射され、燃焼室14に放射されるのはわずかである。その結果、外側導体35に間隙38を設けると、間隙38で高電界が生じるため、低電力でプラズマ放電を誘起することが可能となる。
【0034】
次に、図8から図10を参照して、本実施形態に係るマイクロ波放射器の他の構成例について説明する。図8は、マイクロ波放射器の他の構成例を示す断面図である。図9は、マイクロ波放射器の他の構成を示す正面図である。図10は、マイクロ波放射器の他の構成例における電界分布を示す図である。
【0035】
図8に示すマイクロ波放射器50は、上述したマイクロ波放射器34と同様に、外側導体35と内側導体36とによって構成された同軸構造を有する。マイクロ波放射器50の先端部50a(終端部)が内燃機関10の燃焼室14に臨む状態で、マイクロ波放射器50がシリンダヘッド11に配置される。上述したマイクロ波放射器34においては、マイクロ波放射器34の側面に間隙38が形成されている。これに対してマイクロ波放射器50においては、マイクロ波放射器50の先端部50aに、空洞部37に連通する間隙51が形成されている。一例として、先端部50aが、内側導体36と外側導体35とを接続する接続部に相当し、間隙51は先端部50aに形成されている。すなわち、図2に示す構成と同様に、内側導体36と外側導体35とは先端部50a(終端部)で接続されており、先端部50a(接続部)に間隙51が形成されている。内側導体36と外側導体35とを先端部50aで接続すると、外側導体35と内側導体36との間を伝播してきたマイクロ波などの電磁波は、燃焼室14内に放射されず、先端部50aにおいて外側導体35の内側に反射されこととなる。そのような状態の中で、小さな間隙51を設けることが、本実施形態に係るマイクロ波放射器50の主たる構成である。間隙51を設けることにより、内側導体36と外側導体35との間を伝播するマイクロ波は、その一部が燃焼室14内に放射されるが、そのほとんどが先端部50aで反射される状況に変わりはない。マイクロ波放射器50の外側にマイクロ波が放射されない系に小さな間隙50を設けると、間隙50でのマイクロ波のエネルギー密度が高まり、高電界部が形成される。上述したように、電界が雰囲気の絶縁破壊電界を超えると、プラズマ放電が生じる。本実施形態では、供給されたマイクロ波が燃焼室14内に放射されることがほとんどないため、より小さな電力で放電を誘起することが可能となる。本実施形態では、間隙51の一部又はすべての幅は、上述した間隙38と同様に、マイクロ波のエネルギー密度を高めて、マイクロ波によるプラズマ放電の発生が可能な幅となっている。
【0036】
例えば、マイクロ波放射器50の先端部50a側において、外側導体35には内側導体36に対向する突起部35aが設けられており、内側導体36には外側導体35に対向する突起部36aが設けられている。そして、突起部35aと突起部36aとの間に間隙51が形成されている。
【0037】
図9に、間隙51の形状の一例を示す。例えば図9(a)に示すように、内側導体36の突起部36aの形状が円形の場合には、外側導体35の突起部35aと内側導体36の突起部36aとの間に形成される間隙51の形状は環状となる。また、図9(b)に示すように、円形の形状を有する突起部36aの一部が外側導体35に向かって突起している場合には、環状の形状を有する間隙51において、突起している箇所に対応する幅が狭くなっている。また、図9(c)に示すように、内側導体36の突起部36aが、中心から放射状に延びる4本の棒状の導体を有していてもよい。この場合、間隙51は内側導体36の突起部36aに対応した形状となり、部分的に間隙51の幅が狭くなる。例えば、棒状の導体の先端から外側導体35までの幅が狭くなる。また、図9(d)に示すように、内側導体36の突起部36aが、中心から放射状に延びる8本の棒状の導体を有していてもよい。この場合も、間隙51の幅は部分的に狭くなる。図9(a)〜(d)に示す例では、外側導体35と内側導体36とは、先端部50aにおいて接触(接続)していない。別の形態として、外側導体35と内側導体36とが、先端部50aにおいて部分的に接触(接続)していてもよい。例えば、複数の間隙が、先端部50aに部分的に形成されていてもよい。
【0038】
図8及び図9に示すマイクロ波放射器50によっても、上述したマイクロ波放射器34と同様に、間隙51にて電界強度を高めることができ、その結果、間隙51によってプラズマ放電を発生させることが可能となる。間隙51の形状によっては、間隙51の一部にて電界強度を局所的に高めて、マイクロ波によるプラズマ放電を発生させることが可能となる。
【0039】
次に、図10を参照して、マイクロ波放射器50の具体例について、従来技術に係る点火装置101と比較しながら説明する。図10は、マイクロ波放射器の他の構成例によって形成される電界分布を示す図である。図10(a)は、本実施形態に係るマイクロ波放射器の他の構成例における電界分布を示す図である。図10(b)は、従来技術に係る点火装置における電界分布を示す図である。ただし、以下に説明するマイクロ波の周波数及びマイクロ波放射器50の寸法は一例であり、本発明はこの例に限定されない。また、以下に説明する条件を必ずしも満たさなくても、間隙51にてプラズマ放電を発生させることができる。
【0040】
図10(a)に示す本実施形態に係るマイクロ波放射器50において、外側導体35の内径を12mmとし、内側導体36の直径を5.2mmとし、間隙51の幅を1mmとした。また、空洞部37における比誘電率を1とした。
【0041】
一方、図10(b)に示す従来技術に係る点火装置101において、外側導体104の内径を12mmとし、内側導体105の直径を5.2mmとした。また、外側導体104と内側導体105との間の距離を、3.4mmとした。また、外側導体104と内側導体105との間の空洞部における比誘電率を1とした。内側導体105は、外側導体104よりも突出している。内側導体105の突出している部分の長さは、15mmである。なお、本実施形態に係るマイクロ波放射器50においては、内側導体36は外側導体35よりも突出していないため、内側導体36の突出している部分の長さは、0mmである。
【0042】
そして、マイクロ波発生電源32によって1Wで2.45GHzのマイクロ波を発生させて、本実施形態に係る内側導体36と従来技術に係る内側導体105とに供給する。
【0043】
本実施形態に係るマイクロ波放射器50によると、図10(a)に示すように、電界分布は、間隙51において最も高く(高電界域)、周囲へ向かうほど低くなっている(低電界域)。一方、図10(b)に示すように、従来技術に係る点火装置101では、電界分布は、内側導体105の突出した部分の周囲において高く(中電界域)、周囲へ向かうほど低くなっている(低電界域)。
【0044】
図10(a),(b)の矢印B−B間における1W供給時の電界分布を、図10(c)に示す。図10(c)において、横軸は位置mmを示し、縦軸は電界V/mを示している。マイクロ波放射器50及び点火装置101が配置された位置を中心としている。電界分布60は、本実施形態に係るマイクロ波放射器50によって形成された電界分布を示す。電界分布61は、従来技術に係る点火装置101によって形成された電界分布を示す。本実施形態に係るマイクロ波放射器50によると、間隙51において、電界の最大値が例えば11600V/mとなった。このように、間隙51において電界強度を高めることができるため、間隙51にてより低い電力でプラズマ放電を発生させることが可能となる。
【0045】
一方で、従来技術に係る点火装置101においては、内側導体105と外側導体104とはその間隔Lを変えることなく、内側導体105が外側導体104に対して外側に突出している。このような構造では、内側導体105と外側導体104との間を伝播してきたマイクロ波は、先端部(終端部)で反射されるのはその一部であり、図10(b)に示すように、多くは燃焼室内に放射される。このような従来技術に係る点火装置101では、本実施形態に係るマイクロ波放射器と比較して、先端部での電界はより低くなる。そのため、従来技術においては、放電(点火)時にDC放電によるアシストが必要になったり、大きな電力が必要になったりする。
【0046】
次に、図11を参照して、本実施形態に係るマイクロ波放射器の他の構成例について説明する。図11は、マイクロ波放射器の他の構成例を示す断面図である。
【0047】
図11に示すマイクロ波放射器70は、上述したマイクロ波放射器34と同様に、外側導体71と内側導体72とによって構成された同軸構造を有する。外側導体71は筒状の形状を有し、接地されている。内側導体72は柱状の形状を有し、外側導体71の中心軸に沿って外側導体71内に配置されている。外側導体71と内側導体72との間には、空洞部73が形成されている。また、内側導体72の太さは途中で変化しており、マイクロ波放射器70の先端部70a側で相対的に太くなっている。このように、内側導体72は、直径が相対的に短い部分72aと、直径が相対的に長い部分72bとを含む。直径が相対的に短い部分72aと外側導体71との間には、固体状の誘電体74が配置されている。また、直径が相対的に長い部分72bと外側導体71との間には、空洞部73が形成されている。マイクロ波放射器70の先端部70aの反対側において、マイクロ波伝送路33が内側導体72に接続されている。マイクロ波発生電源32により発生させたマイクロ波が、マイクロ波伝送路33を介してマイクロ波放射器70に供給される。マイクロ波放射器70の先端部70aが内燃機関10の燃焼室14に臨む状態で、マイクロ波放射器70がシリンダヘッド11に配置される。マイクロ波伝送路33を介してマイクロ波放射器70に供給されたマイクロ波は、外側導体71と内側導体72との間を伝播し、その一部が燃焼室14内に放射される。そして、燃焼室14内を臨む一端側に狭い間隙を設けて、強いマイクロ波電界を誘起して放電を形成する。
【0048】
内側導体72の直径が相対的に長い部分72bには、間隙76が形成されている。間隙76は、上述したマイクロ波放射器34の間隙38と同じ機能を有し、マイクロ波のエネルギー密度を高めて、マイクロ波によるプラズマ放電を発生させる。すなわち、間隙76の軸方向の幅Dは、マイクロ波のエネルギー密度を高めて、マイクロ波によるプラズマ放電の発生が可能な幅となっている。間隙76の軸方向の幅Dは、一例として0.1mm〜1mm程度であることが好ましい。また、先端部70aが、内側導体72と外側導体71とを接続する接続部に相当する。マイクロ波放射器70の先端部70aは閉じており、外側導体71と内側導体72との間を伝播してきたマイクロ波は、先端部70aにおいて外側導体71の内側に反射される。そして、間隙76によってマイクロ波によるプラズマ放電が発生する。なお、間隙76が、第2の間隙の一例に相当する。
【0049】
マイクロ波放射器70の先端部70a側において、空洞部73に連通する間隙75が外側導体71の側面に形成されている。間隙75の大きさは、マイクロ波の伝播に支障がない大きさである。マイクロ波放射器70の先端部70aが燃焼室14に臨む状態でマイクロ波放射器70が内燃機関10に配置されることで、燃焼室14内の混合気が間隙75を介して空洞部73に導入される。間隙75が、第1の間隙の一例に相当する。なお、内側導体72の直径が細い部分72aと外側導体71との間に、固体状の誘電体74を設けて隙間を埋めることにより、空洞部73に導入された混合気がマイクロ波放射器50の内部まで流入することを防止することができる。
【0050】
次に、マイクロ波放射器70の具体例について説明する。ただし、以下に説明するマイクロ波放射器70の寸法は一例であり、本発明はこの例に限定されない。固体状の誘電体74には、一例として石英を用いた。誘電体74(石英)の比誘電率は3.8である。また、空洞部73における比誘電率を1とした。内側導体72のうち相対的に細い部分72aの直径を2.4mmとし、相対的に太い部分72bの直径を5.2mmとした。また、外側導体71の内径を12mmとした。外側導体71と内側導体72との間のインピーダンスは50Ωである。誘電体74の比誘電率と空洞部73の比誘電率とが異なるため、内側導体72の直径を変えて内側導体72と外側導体71との間の距離を変えることにより、インピーダンスを整合させることが可能となる。その結果、インピーダンスの不整合に起因するマイクロ波の反射を抑制し、その反射によるマイクロ波の損失を低減することが可能となる。
【0051】
本実施形態に係るマイクロ波放射器70によると、内側導体72に形成された間隙76において電界強度を高めることができため、間隙76にてプラズマ放電を発生させることが可能となる。このように間隙76によってプラズマ放電が可能となるため、従来技術と比べて大きな電力を供給しなくてもプラズマ放電を発生させることが可能となる。また、DC放電によるアシストが不要となり、又は、DC放電の低電力化が可能となる。そのため、本実施形態に係るマイクロ波放射器70によると、従来技術よりも低電力でプラズマ放電を発生させて、燃焼室14内の混合気の点火を行うことが可能となる。
【0052】
また、外側導体71に間隙75を形成することにより、燃焼室14内の混合気が間隙75を介して空洞部73(外側導体71の内部)に導入される。内側導体72に形成された間隙76にて発生したプラズマ放電によって、空洞部73に存在する混合気の温度が上昇し、また、混合気が膨張する。そして、高温で膨張した混合気は、外側導体71に形成された間隙75を介して燃焼室14内に噴出する。燃焼室14内に噴出した高温の混合気は、燃焼室14内の広い範囲で点火(着火)源となり、燃焼室14内の混合気を燃焼させる。そのことにより、火炎伝播が促進されて、希薄燃料限界を向上させることが可能となる。その結果、燃料効率を向上させることが可能となる。
【0053】
なお、図11に示すマイクロ波放射器70においては、混合気を空洞部73に導入するための間隙75が、外側導体71の側面に形成されている。別の形態として、混合気を空洞部73に導入するための間隙75が、マイクロ波放射器70の先端部70aに形成されていてもよい。この場合においても、空洞部73内で高温に膨張した混合気が、先端部70aに形成された間隙75から燃焼室14内に噴出し、燃焼室14内の広い範囲で点火(着火)源となる。
【符号の説明】
【0054】
10 内燃機関、11 シリンダヘッド、12 シリンダ、13 ピストン、14 燃焼室、15 吸気口、16 吸気弁、17 排気口、18 排気弁、19 燃料噴射弁、30 点火装置、31 制御装置、32 マイクロ波発生電源、33 マイクロ波伝送路、34,50,70 マイクロ波放射器、35,71 外側導体、35a,36a 突起部、36,72 内側導体、37,73 空洞部、38,51,75,76 間隙、39,74 誘電体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室内の混合気の点火を行う内燃機関の点火装置であって、
電磁波を発生させる電磁波発生電源と、
柱状の内側導体および前記内側導体の外側に同軸状に設けられた筒状の外側導体を備え、一端が前記燃焼室内に臨む状態で配置されて、前記電磁波発生電源にて発生した電磁波を、前記内側導体と前記外側導体との間を伝播させて前記燃焼室内に放射する電磁波放射器と、
を備え、
前記電磁波放射器には、前記内側導体と前記外側導体との間を伝播してきた電磁波を前記外側導体の内側に反射させる部材と、電磁波によるプラズマ放電を発生させる間隙とが、前記燃焼室内に臨む一端側に形成されている、
ことを特徴とする内燃機関の点火装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関の点火装置であって、
前記燃焼室内に臨む一端側において、前記内側導体と前記外側導体とが接続されており、前記間隙は前記外側導体に形成されている、
ことを特徴とする内燃機関の点火装置。
【請求項3】
請求項2に記載の内燃機関の点火装置であって、
前記外側導体には、周方向に沿って前記間隙が複数形成されている、
ことを特徴とする内燃機関の点火装置。
【請求項4】
請求項1に記載の内燃機関の点火装置であって、
前記電磁波放射器は、前記燃焼室内に臨む一端側において、前記内側導体と前記外側導体とを接続する接続部を有し、
前記間隙は前記接続部に形成されている、
ことを特徴とする内燃機関の点火装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の内燃機関の点火装置であって、
前記燃焼室内に臨む一端側において、前記内側導体および前記外側導体のうち少なくとも一方には、他方に対向する突起部が設けられており、前記突起部と他方との間で前記間隙を形成して、電磁波によるプラズマ放電を発生させる、
ことを特徴とする内燃機関の点火装置。
【請求項6】
請求項1に記載の内燃機関の点火装置であって、
前記燃焼室内に臨む一端側において前記外側導体は開放されており、前記間隙は前記外側導体に形成されている、
ことを特徴とする内燃機関の点火装置。
【請求項7】
燃焼室内の混合気の点火を行う内燃機関の点火装置であって、
電磁波を発生させる電磁波発生電源と、
柱状の内側導体および前記内側導体の外側に同軸状に設けられた筒状の外側導体を備え、一端が前記燃焼室内に臨む状態で配置されて、前記電磁波発生電源にて発生した電磁波を、前記内側導体と前記外側導体との間を伝播させて前記燃焼室内に放射する電磁波放射器と、
を備え、
前記電磁波放射器には、前記燃焼室に臨む一端側に、前記内側導体と前記外側導体との間を伝播してきた電磁波を前記外側導体の内側に反射させる部材が形成されており、
前記外側導体には、前記燃焼室内に臨む一端側に、混合気を前記燃焼室から前記外側導体内に導入するための第1の間隙が形成されており、
前記内側導体には、前記燃焼室内に臨む一端側に、電磁波によるプラズマ放電を発生させる第2の間隙が形成されており、
前記第2の間隙にて発生したプラズマ放電によって前記外側導体内の混合気の温度を上昇させて、前記第1の間隙から前記燃焼室に噴出させる、
ことを特徴とする内燃機関の点火装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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