説明

内視鏡プロセッサ固定装置

【課題】ラックに対して内視鏡プロセッサを容易に着脱可能な内視鏡プロセッサ固定装置を得る。
【解決手段】第1の固定装置100は、棚板210に向けて突出可能である第1の柱状部材110と、第1の柱状部材110の一端から伸びる第1の操作部材120とを有する。第1の柱状部材110は円柱形状を有し、その径は第1の収容部241の径よりも小さく、軸方向長さは脚240の長さよりも長い。第1の操作部材120は円柱形状であって、第1の柱状部材110の軸に対し垂直方向に向けて第1の柱状部材110の一端に取り付けられる。第1の柱状部材110が第1の収容部241に嵌挿されるとともに、第1の操作部材120が第1の操作穴236に嵌挿されて、第1の固定装置100が内視鏡プロセッサ230に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡プロセッサを戴置台に固定するための固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡装置は、内視鏡スコープと内視鏡プロセッサとを主に備える。内視鏡スコープの挿入部は、例えば人体の体内に挿入されて体内の画像を内視鏡プロセッサに送信し、内視鏡プロセッサは内視鏡スコープから受信した画像を画像処理する。
【0003】
内視鏡プロセッサは、ディスプレイ等の内視鏡装置を使用するために必要な装置と共に戴置台、例えば車輪付きのラックに置かれる。内視鏡プロセッサに内視鏡スコープを接続するとき、あるいはラックを移動するときに、内視鏡プロセッサが動いたり、ラックから転落したりすることを防止するため、内視鏡プロセッサが置かれたラックの棚板の裏から螺子や突起を内視鏡プロセッサに係合させて、内視鏡プロセッサをラックに固定する構成が知られている。
【特許文献1】特開平9−308603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、内視鏡装置の操作性を考慮して、ラックの上段にディスプレイが、中段に内視鏡プロセッサが、下段に周辺機器などが戴置されることがある。このような位置に内視鏡プロセッサが置かれると、棚板の裏から螺子や突起を操作することが困難となり、ラックに対して内視鏡プロセッサを着脱することに手間が必要となる。
【0005】
本発明はこれらの問題を鑑みてなされたものであり、ラックに対して内視鏡プロセッサを容易に着脱可能な内視鏡プロセッサ固定装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1の発明による内視鏡プロセッサ固定装置は、嵌合穴を有する板状部材に内視鏡プロセッサを固定するため内視鏡プロセッサに設けられる内視鏡プロセッサ固定装置であって、内視鏡プロセッサの底面から嵌合穴の深さ方向に向けて進退自在に突出し、嵌合穴と遊嵌可能である遊嵌端を有する柱状部材と、遊嵌端の他方の端部である接続端から伸びて、内視鏡プロセッサの外面から外部に突出する操作部材とを備えることを特徴とする。
【0007】
柱状部材は円柱体であり、嵌合穴は円筒形状であって、嵌合穴の径は柱状部材の径よりも大きいことが好ましい。
【0008】
内視鏡プロセッサ固定装置は、接続端に接続される係合片をさらに備え、係合片は、直方体であって、柱状部材の突出方向に対し平行な方向に向けた厚さと、柱状部材の直径よりも長い長手方向長さと、柱状部材の直径と略同じ幅とを有し、嵌合穴は、角筒型であって、柱状部材の突出方向に垂直な断面における長手方向長さが係合片の長手方向長さよりも大きく、柱状部材の突出方向に垂直な断面における幅が係合片の幅よりも大きく、かつ係合片の長手方向長さよりも短いように構成されても良い。
【0009】
内視鏡プロセッサの筐体には、柱状部材の進退方向における長さが柱状部材の進退長さ以上である操作穴が設けられ、操作部材が操作穴から突出することが好ましい。
【0010】
操作部材は、柱状部材の軸に対して直角方向に柱状部材から伸びることが好ましい。
【0011】
内視鏡プロセッサの筐体には操作穴が設けられ、柱状部材の進退方向における操作穴の長さは柱状部材の進退長さ以上であり、操作部材が操作穴から突出することが好ましい。
【0012】
操作部材は、柱状部材の軸に対して直角方向に柱状部材から伸びることが好ましい。
【0013】
内視鏡プロセッサの筐体には、操作部材が突出する操作穴が設けられ、柱状部材の進退方向に対し直角方向における操作穴の長さは、係合片が板状部材と係合可能な程度に係合片を操作部材が移動可能な程度の長さ以上であることが好ましい。
【0014】
内視鏡プロセッサは、操作スイッチ等が設けられる前面と、前面に接続される側面とを有し、内視鏡プロセッサ固定装置は、前面付近の底面に設けられることが好ましい。
【0015】
本願第2の発明による内視鏡プロセッサは複数の前記内視鏡プロセッサ固定装置を備えることを特徴とする。
【0016】
内視鏡プロセッサは底面から突出する脚部材を備え、内視鏡プロセッサ固定装置は脚部材の内部に設けられ、柱状部材又は係合片が脚部材の底面から嵌合穴の深さ方向に向けて進退自在に突出することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ラックに対して内視鏡プロセッサを容易に着脱可能な内視鏡プロセッサ固定装置を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明における内視鏡プロセッサ固定装置の第1の実施形態について図1から6を参照して説明する。
【0019】
内視鏡装置は、人体内部に挿入される内視鏡スコープ(非図示)と、挿入部の近位端が接続される内視鏡プロセッサ230と、内視鏡スコープが有する送気送水管に空気及び水を送る送気送水装置252とを有する。内視鏡プロセッサ230は内視鏡スコープから送信される映像信号を処理して、モニタ251に表示する。内視鏡プロセッサ230、モニタ251、及び送気送水装置252は、ラック200が有する棚板210の上に設置される。
【0020】
ラック200は、板状の部材から成る複数の棚板210と、棚板210を支持する複数の柱221と、最下段の棚板210に取り付けられた複数のキャスター222とから主に構成される。棚板210の上面は、様々な物を載せるための戴置面を成す。最上段の棚板210にはモニタ251が設置される。最上段と最下段の棚板210の間には、上から中間第1段、中間第2段、中間第3段、及び中間第4段の4枚の棚板210が取り付けられる。中間第2段の棚板210には内視鏡プロセッサ230が設置され、中間第4段の棚板210には送気送水装置252が設置される。
【0021】
ユーザが操作しやすいように、天地方向における棚板210の間隔が決定される。このとき、棚板210と送気送水装置252、あるいは棚板210どうしの間隔が近接して、棚板210と送気送水装置252、あるいは棚板210どうしの間に、ユーザが手を入れにくくなる。
【0022】
最下段の棚板210の四隅にキャスター222が4つ取り付けられる。これにより、ユーザはラック200を所望の場所へ容易に移動することができる。
【0023】
棚板210において、内視鏡プロセッサ230の4つの脚240が置かれる位置に、4つの円筒形の第1の嵌合穴211が設けられる。第1の嵌合穴211は棚板210の厚さ方向に貫通する。第1の嵌合穴211の径は後述する第1の柱状部材110の径よりもわずかに大きい。
【0024】
内視鏡プロセッサ230は、筐体231と、筐体231の底面239の四隅に取り付けられた4本の脚240と、全ての脚240の内部に設けられる第1の内視鏡プロセッサ固定装置(以下、第1の固定装置という)100とを有する。
【0025】
筐体231の前面232には、内視鏡プロセッサ230及び内視鏡スコープを操作するためのスイッチ233、並びに内視鏡スコープを接続するための取付口234等が設けられる。脚240は、第1の嵌合穴211の径よりも大きい径を有する円柱であり、円筒形状の第1の収容部241を内部に有する。脚240の中心軸と第1の収容部241の中心軸は同軸である。
【0026】
筐体231の側面235には、角筒形状の第1の操作穴236が設けられる。第1の操作穴236は筐体231の外面から内部まで貫通する。第1の操作穴236の高さは後述する第1の操作部材120の進退長さよりも長く、第1の操作穴236の幅は第1の操作部材120の径よりもわずかに大きい。
【0027】
第1の固定装置100は、棚板210に向けて突出可能である第1の柱状部材110と、第1の柱状部材110の一端から伸びる第1の操作部材120とを有する。
【0028】
第1の柱状部材110は円柱形状を有し、その径は第1の収容部241の径よりも小さく、軸方向長さは脚240の長さよりも長い。
【0029】
第1の操作部材120は円柱形状であって、第1の柱状部材110の軸に対し垂直方向に向けて第1の柱状部材110の一端に取り付けられる。第1の操作部材120の径は第1の柱状部材110の径よりも小さく、軸方向長さは第1の柱状部材110から第1の操作穴236を貫通して筐体231の外部に突出する程度である。
【0030】
第1の柱状部材110が第1の収容部241に嵌挿されるとともに、第1の操作部材120が第1の操作穴236に嵌挿されて、第1の固定装置100が内視鏡プロセッサ230に取り付けられる。
【0031】
第1の操作部材120は第1の操作穴236に嵌挿されて水平方向の移動が規制されるため、第1の柱状部材110は第1の収容部241の内部で回転しない。その一方で第1の操作部材120は第1の操作穴236の内側で鉛直方向へ自由に移動可能であるため、第1の柱状部材110は第1の収容部241の内部で鉛直方向に進退可能である。
【0032】
第1の操作部材120が第1の操作穴236の底面237と接するとき、第1の柱状部材110が脚240の底面242から突出する。突出する長さは、棚板210の厚さ以上である。第1の操作部材120が第1の操作穴236の天井面238と接するとき、第1の柱状部材110は脚240の底面242から突出しない。脚240の底面242から突出する端部を遊嵌端111といい、第1の操作部材120が取り付けられる端部を接続端112という。
【0033】
次に、内視鏡プロセッサ230を棚板210に固定する手順について説明する。
【0034】
内視鏡プロセッサ230を棚板210の戴置面に戴置する前、ユーザが内視鏡プロセッサ230を空中において保持しているとき、第1の柱状部材110の一部は重力により付勢されて第1の収容部241から突出する。第1の操作部材120が第1の操作穴236の底面237と係合して、第1の固定装置100が第1の収容部241から外部へ脱落することを防止する。
【0035】
ユーザが棚板210に内視鏡プロセッサ230を置くと、棚板210が遊嵌端111を押圧し、第1の柱状部材110が第1の収容部241の内部に退行する。これにより、遊嵌端111と、脚240の底面242とが同一の平面上に置かれる。
【0036】
次に、ユーザは、内視鏡プロセッサ230を棚板210上で平行移動させる。第1の柱状部材110が第1の嵌合穴211の位置まで移動すると、第1の柱状部材110が重力により第1の嵌合穴211の内部に自動的に進行する。そして、第1の柱状部材110の外側面が第1の嵌合穴211の内側面と係合する。これにより、棚板210の戴置面と平行方向における内視鏡プロセッサ230の移動が規制される。
【0037】
次に、内視鏡プロセッサ230を棚板210から取り外す手順について説明する。
【0038】
第1の柱状部材110が第1の嵌合穴211と嵌合しながら棚板210に内視鏡プロセッサ230が戴置されている状態において、ユーザが第1の操作部材120を鉛直上方に押し上げる。第1の操作部材120は、第1の柱状部材110を第1の収容部241の内部に退行する。そして、遊嵌端111と、脚240の底面242とが同一の平面上に置かれる。これにより、棚板210の戴置面と平行方向において内視鏡プロセッサ230は自由に移動可能となり、内視鏡プロセッサ230が棚板210から取り外される。
【0039】
本実施形態によれば、第1の柱状部材110と第1の嵌合穴211の位置をユーザが合わせるだけで、容易に内視鏡プロセッサ230をラック200に固定することができる。内視鏡プロセッサ230は約20キロ程度の重量を有するため、重力方向に固定しなくても内視鏡プロセッサ230の移動を十分に規制することができる。内視鏡プロセッサ230が戴置されたラック200を移動するときに発生する振動や衝撃により、内視鏡プロセッサ230がラック200から落下することを防止できる。また、内視鏡スコープを内視鏡プロセッサ230に挿抜するとき、内視鏡プロセッサ230が移動してしまうことを防止できる。
【0040】
さらに、第1の固定装置100を格納するための部材を特別に設ける必要がない。部品点数をいたずらに増やすことなく内視鏡プロセッサ230を棚板210に固定することができる。また、複数の第1の固定装置100を設けることにより、確実に内視鏡プロセッサ230を棚板210に固定できる。
【0041】
なお、4つの脚240全てに第1の固定装置100を設けなくてもよく、4未満の数の脚240の内部にのみ第1の固定装置100が設けられても良い。特に、前面232に近い位置にある2つの脚240に第1の固定装置100が設けられることが好ましい。ユーザが第1の嵌合穴211の位置を容易に確認できるため、第1の柱状部材110の位置を第1の嵌合穴211と一致させやすくなる。
【0042】
また、第1の嵌合穴211は棚板210を貫通していなくても良く、内視鏡プロセッサ230が棚板210の戴置面と平行方向において移動しないように第1の柱状部材110が第1の嵌合穴211と十分に嵌合するだけの深さがあれば良い。
【0043】
第2の実施形態による第2の内視鏡プロセッサ固定装置(以下、第2の固定装置という)500について図7から12を参照して説明する。第1の実施形態と同様の構成については、第1の実施形態と同じ番号を付し、説明を省略する。
【0044】
棚板210は、内視鏡プロセッサ230の4つの脚240が置かれる位置に、4つの角筒形状である第2の嵌合穴611が設けられる。第2の嵌合穴611の大きさは、後述する係合片530が通過可能な程度の大きさである。第2の嵌合穴611は棚板210の厚さ方向に貫通する。
【0045】
脚240は、第2の嵌合穴611の径よりも大きい径を有する円柱であり、第2の収容部243を内部に有する。脚240の中心軸と第2の収容部243の中心軸は同軸である。第2の収容部243は、脚240の筐体231側に円筒形状の空間、そして脚240の底面242側に直方体形状の空間を有する。直方体形状の空間は、後述する係合片530を格納可能な形状である。
【0046】
内視鏡プロセッサ230の筐体231の側面235には、凸字形に開口する第2の操作穴261が設けられる。第2の操作穴261は筐体231の外面から内部まで貫通する。第2の操作穴261のうち上方に向けて突出する穴部の高さは、後述する第2の柱状部材510の進退長さと略同じである。第2の操作穴261のうち水平方向に向けて突出する穴部の長さ、つまり第2の操作穴261の幅は、後述する係合片530を棚板210と係合させるに必要な程度の長さ、例えば係合片530が第2の収容部243の軸周りに45度回転する程度の長さである。
【0047】
第2の固定装置500は、棚板210に向けて突出可能である第2の柱状部材510と、第2の柱状部材510の一端112から伸びる第2の操作部材520と、第2の柱状部材510の遊嵌端512の近辺に取り付けられる係合片530とを有する。
【0048】
第2の柱状部材510は円柱形状を有する。第2の柱状部材510の径及び軸方向長さは、内視鏡プロセッサ230を棚板210に固定可能な強度を第2の柱状部材510が有する程度の長さである。また、径は第2の収容部243の径よりも小さく、軸方向長さは脚240の長さよりも長い。
【0049】
第2の操作部材520は円柱形状であって、第2の柱状部材510の軸に対し垂直方向に向けて第2の柱状部材510の一端に取り付けられる。第2の操作部材520の径は第2の柱状部材510の径よりも小さく、軸方向長さは第2の柱状部材510から第2の操作穴261を貫通して筐体231の外部に突出する程度である。
【0050】
係合片530は直方体形状であって、第2の柱状部材510の径と略同じ幅と、第2の柱状部材510の径よりも短い厚さと、幅よりも長い長手方向長さとを有する。幅及び長手方向の中央に第2の柱状部材510の中心軸が交わるように、第2の柱状部材510が係合片530に取り付けられる。
【0051】
第2の固定装置500は、内視鏡プロセッサ230の筐体231及び脚240の内部に設けられる。筐体231に開口する第2の操作穴261には第2の操作部材520が嵌挿され、脚240に設けられる第2の収容部243には第2の柱状部材510が嵌挿される。
【0052】
第2の操作部材520は、第2の操作穴261のうち上方に向けて突出する穴部の内側で鉛直方向へ自由に移動可能、すなわち上下方向に移動可能である。第2の操作部材520が上下すると、第2の固定装置500が第2の収容部243の内部で鉛直方向に進退する。第2の操作部材520が第2の操作穴261の天井面262と接するとき、第2の柱状部材510及び係合片530は第2の収容部243に格納されて、脚240の底面242から突出しない。第2の操作部材520が第2の操作穴261の底面263と接するとき、第2の柱状部材510が脚240の底面242から突出する。突出する長さは、棚板210の厚さよりわずかに長い。すなわち、第2の柱状部材510が脚240の底面242から突出するとき、棚板210の裏面212から係合片530が完全に露出する。
【0053】
第2の操作部材520は、第2の操作穴261のうち水平方向に向けて延びる穴部、つまり第2の操作穴261の底面263側の穴部において水平方向に移動可能である。第2の操作部材520が第2の操作穴261の底面263側の穴部内で水平方向に移動すると、第2の柱状部材510が第2の収容部243の内部で回転する。第2の柱状部材510が回転すると、その遊嵌端512に取り付けられた係合片530もまた回転する。
【0054】
次に、内視鏡プロセッサ230を棚板210に固定する手順について説明する。
【0055】
内視鏡プロセッサ230を棚板210に戴置する前、ユーザが内視鏡プロセッサ230を空中において保持しているとき、第2の柱状部材510及び係合片530は重力により付勢されて第2の収容部243から突出する。第2の操作部材520が第2の操作穴261の底面263と係合して、第2の柱状部材510が第2の収容部243から外部へ脱落することを防止する。
【0056】
ユーザが棚板210に内視鏡プロセッサ230を置くと、棚板210が係合片530を押圧し、第2の柱状部材510及び係合片530が第2の収容部243の内部に退行する。これにより、係合片530の先端と、脚240の底面242とが同一の平面上に置かれる。
【0057】
次に、ユーザは、内視鏡プロセッサ230を棚板210上で平行移動させる。第2の柱状部材510及び係合片530が第2の嵌合穴611の位置まで移動すると、係合片530が重力により第2の嵌合穴611の内部に自動的に進行する。そして、棚板210の裏面212から係合片530が完全に露出する。
【0058】
第2の操作穴261のうち水平方向に向けて突出する穴部、つまり第2の操作穴261の底面263側の穴部において、第2の操作部材520を水平方向にユーザが移動させる。すると、第2の柱状部材510は、第2の収容部243の内部において、第2の収容部243及び第2の柱状部材510の軸周りに回転すると共に、遊嵌端512に取り付けられた係合片530もまた回転する。回転する角度は45度である。
【0059】
これにより、係合片530の頂面が棚板210の裏面212と係合する。内視鏡プロセッサ230が、脚240の底面242と係合片530の頂面との間に棚板210を挟持するため、鉛直方向に移動することがない。
【0060】
次に、内視鏡プロセッサ230を棚板210から取り外す手順について説明する。
【0061】
第2の柱状部材510が第2の嵌合穴611と嵌合しながら棚板210に内視鏡プロセッサ230が戴置されている状態において、第2の操作部材520を第2の操作穴261内で水平方向に移動させ、水平方向の中央に第2の操作部材520を置く。つまり、第2の操作穴261のうち上方に向けて突出する穴部の底面に第2の操作部材520が置かれる。これは、第2の収容部243の内部において第2の柱状部材510を軸周りに回転させると共に、遊嵌端512に取り付けられた係合片530をもまた回転させる。回転する角度は45度である。これにより、係合片530が第2の収容部243の直下に移動し、係合片530の頂面と棚板210の裏面との係合が解かれる。
【0062】
次に、ユーザが第2の操作部材520を鉛直上方に押し上げる。第2の操作部材520は、第2の柱状部材510を第2の収容部243の内部に退行する。そして、係合片530の先端と、脚240の底面242とが同一の平面上に置かれる。これにより、棚板210の戴置面と平行方向において内視鏡プロセッサ230は自由に移動可能となり、内視鏡プロセッサ230が棚板210から取り外される。
【0063】
本実施形態によれば、内視鏡プロセッサ230は、脚240の底面242と係合片530の頂面との間に棚板210を挟持するため、鉛直方向に移動することがない。さらに、第2の固定装置500を格納するための部材を特別に設ける必要がない。部品点数をいたずらに増やすことなく内視鏡プロセッサ230を棚板210に固定することができる。また、複数の第2の固定装置500を設けることにより、確実に内視鏡プロセッサ230を棚板210に固定できる。
【0064】
なお、第2の嵌合穴611が延びる方向を互いに直交する方向としても良い。棚板210の戴置面と平行方向における内視鏡プロセッサ230の移動を規制することができる。
【0065】
第2の柱状部材510及び係合片530が回転する角度は45度でなくても良く、内視鏡プロセッサ230が棚板210に保持される程度に係合片530が棚板210の裏面212と係合する角度であれば良い。
【0066】
また、4つの脚240全てに第2の固定装置500を設けなくてもよく、4未満の数の脚240の内部にのみ第2の固定装置500が設けられても良い。特に、前面232に近い位置にある2つの脚240に固定部が設けられることが好ましい。ユーザが第2の嵌合穴611の位置を容易に確認できるため、第2の柱状部材510の位置を第2の嵌合穴611に一致させやすくなる。
【0067】
また、脚240の内部に固定装置を設けなくてもよく、脚240と固定装置が別に設けられてもよい。すなわち、固定装置が内視鏡プロセッサ230の底面239に設けられる。
【0068】
第1および第2の柱状部材110、510は矩形、あるいは楕円の断面を有してもよい。
【0069】
内視鏡プロセッサ230に取り付けられる固定装置について説明したが、モニタ等の他の機器に固定装置が用いられても良い。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1の実施形態による固定装置を有する内視鏡スコープとラックとを示した図である。
【図2】嵌合穴と係合する第1の固定装置の正面図である。
【図3】図2のIII−III線による嵌合穴と係合する第1の固定装置の断面図である。
【図4】図2のIV−IV線による嵌合穴と係合する第1の固定装置の断面図である。
【図5】嵌合穴と柱状部材が嵌合するときの第1の固定装置の断面斜視図である。
【図6】嵌合穴と柱状部材が嵌合しないときの第1の固定装置の断面斜視図である。
【図7】第2の嵌合穴と係合する第2の固定装置の正面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線による第2の固定装置の断面図である。
【図9】図7のIX−IX線による第2の固定装置の断面図である。
【図10】係合片が棚板を貫通したときの第2の固定装置の断面斜視図である。
【図11】係合片が収納部に格納されているときの第2の固定装置の断面斜視図である。
【図12】係合片が棚板の裏面と係合したときの第2の固定装置の断面斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
100 第1の固定装置
110 第1の柱状部材
120 第1の操作部材
130 第1の格納部
210 棚板
211 第1の嵌合穴
230 内視鏡プロセッサ
240 脚
500 第2の固定装置
510 第2の柱状部材
520 第2の操作部材
530 係合片
611 第2の嵌合穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合穴を有する板状部材に内視鏡プロセッサを固定するため内視鏡プロセッサに設けられる内視鏡プロセッサ固定装置であって、
前記内視鏡プロセッサの底面から前記嵌合穴の深さ方向に向けて進退自在に突出し、前記嵌合穴と遊嵌可能である遊嵌端を有する柱状部材と、
前記遊嵌端の他方の端部である接続端から伸びて、前記内視鏡プロセッサの外面から外部に突出する操作部材とを備える内視鏡プロセッサ固定装置。
【請求項2】
前記柱状部材は円柱体であり、
前記嵌合穴は円筒形状であって、
前記嵌合穴の径は、前記柱状部材の径よりも大きい請求項1に記載の内視鏡プロセッサ固定装置。
【請求項3】
前記接続端に接続される係合片をさらに備え、
前記係合片は、直方体であって、前記柱状部材の突出方向に対し平行な方向に向けた厚さと、前記柱状部材の直径よりも長い長手方向長さと、前記柱状部材の直径と略同じ幅とを有し、
前記嵌合穴は、角筒型であって、前記柱状部材の突出方向に垂直な断面における長手方向長さが前記係合片の長手方向長さよりも大きく、前記柱状部材の突出方向に垂直な断面における幅が前記係合片の幅よりも大きく、かつ前記係合片の長手方向長さよりも短い
請求項1に記載の内視鏡プロセッサ固定装置。
【請求項4】
前記内視鏡プロセッサの筐体には操作穴が設けられ、
前記柱状部材の進退方向における前記操作穴の長さは前記柱状部材の進退長さ以上であり、前記操作部材が前記操作穴から突出する請求項1又は3に記載のプロセッサ固定装置。
【請求項5】
前記操作部材は、前記柱状部材の軸に対して直角方向に前記柱状部材から伸びる請求項4に記載のプロセッサ固定装置。
【請求項6】
前記内視鏡プロセッサの筐体には、前記操作部材が突出する操作穴が設けられ、
前記柱状部材の進退方向に対し直角方向における前記操作穴の長さは、前記係合片が前記板状部材と係合可能な程度に前記係合片を前記操作部材が移動可能な程度の長さ以上である請求項4に記載のプロセッサ固定装置。
【請求項7】
前記内視鏡プロセッサは、操作スイッチ等が設けられる前面と、前記前面に接続される側面とを有し、
前記内視鏡プロセッサ固定装置は、前記前面付近の前記底面に設けられる請求項1又は3に記載の内視鏡プロセッサ固定装置。
【請求項8】
複数の請求項1又は3に記載の内視鏡プロセッサ固定装置を備える内視鏡プロセッサ。
【請求項9】
前記内視鏡プロセッサは前記底面から突出する脚部材を備え、
前記内視鏡プロセッサ固定装置は前記脚部材の内部に設けられ、前記柱状部材又は前記係合片が前記脚部材の底面から前記嵌合穴の深さ方向に向けて進退自在に突出する請求項8に記載の内視鏡プロセッサ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate