説明

内視鏡用緊縛糸、外皮固定方法、内視鏡用可撓管および内視鏡

【課題】チューブ状の内視鏡用可撓管用の外皮をその内側に配置される部材に対して、傷付けることなく強固に固定し得る内視鏡用緊縛糸、かかる内視鏡用緊縛糸を用いて外皮をその内側に配置される部材に対して強固に固定する外皮固定方法、かかる外皮固定方法により外皮が固定され、繰り返し消毒・滅菌処理を行った場合でも高い液密性を長期にわたって維持することができる内視鏡用可撓管、およびかかる内視鏡用可撓管を備え、患者に与える苦痛を最小限に抑えることができる内視鏡を提供すること。
【解決手段】内視鏡用緊縛糸9は、複数本の第1のフィラメント91を撚り合わせてなる第1の撚糸93'と、複数本の第2のフィラメント92を撚り合わせてなる第2の撚糸93''とを、さらに撚り合わせてなるフィラメント集合体94で構成されている。また内視鏡緊縛用糸9はチューブ状の内視鏡用可撓管用の外皮を緊縛した状態で、接着剤で外皮の外表面に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用緊縛糸、外皮固定方法、内視鏡用可撓管および内視鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療の分野では、消化管等の検査や診断に、内視鏡が使用されている。
このような内視鏡は、体腔内に挿入される挿入部可撓管と、該挿入部可撓管の操作を行う操作部と、操作部に接続された接続部可撓管と、接続部可撓管の先端部に接続された光源差込部とを有している。
【0003】
このうち挿入部可撓管は、長尺の可撓管部と、可撓管部の先端部に接続され、湾曲可能な湾曲部を有しており、この挿入部可撓管を回転させるとともに湾曲部を湾曲操作することにより、体腔内の全方向が観察し得るようになっている。
【0004】
通常、可撓管部および湾曲部は、それぞれ、芯材が可撓性を有する外皮により被覆されて構成されている。そして、この可撓管部と湾曲部との接続は、次のようにして行われる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
まず、可撓管部および湾曲部の芯材の端部同士を接合した後、この接合部を湾曲部の外皮で覆い、可撓管の外皮の端と湾曲部の外皮の端とを当接させる。
【0006】
次に、可撓管の外皮および湾曲部の外皮を、それぞれ、これらの境界部を挟んだ部分において糸で緊縛した後、この糸の上から接着剤を塗布する。
【0007】
このように緊縛された糸の上から接着剤を塗布することにより、糸が可撓管の外皮および湾曲部の外皮に固定される。
【0008】
ところが、糸の特性によっては、外皮を傷付ける場合があり、それにより可撓管部および湾曲部の液密性が低下して内視鏡が故障するという問題がある。
【0009】
また、内視鏡を挿入される患者への苦痛を最小限に抑えつつ、より強固に外皮を固定する必要性から、内視鏡用の緊縛糸としてより最適な糸の開発が期待されている。
【0010】
【特許文献1】特開平5−277061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、チューブ状の内視鏡用可撓管用の外皮をその内側に配置される部材に対して、傷付けることなく強固に固定し得る内視鏡用緊縛糸、かかる内視鏡用緊縛糸を用いて、外皮をその内側に配置される部材に対して強固に固定する外皮固定方法、かかる外皮固定方法により外皮が固定され、繰り返し消毒・滅菌処理を行った場合でも、高い液密性を長期にわたって維持することができる内視鏡用可撓管、および、かかる内視鏡用可撓管を備え、患者に与える苦痛を最小限に抑えることができる内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的は、下記(1)〜(20)の本発明により達成される。
(1) チューブ状の内視鏡用可撓管用の外皮の内側に配設された部材に対して、前記外皮を固定する内視鏡用緊縛糸であって、
常温での破断伸びが10%以下の第1のフィラメントと、常温での破断伸びが10%超の第2のフィラメントとを含んだものを撚り合わせてなるフィラメント集合体で構成されていることを特徴とする内視鏡用緊縛糸。
【0013】
これにより、チューブ状の内視鏡用可撓管用の外皮をその内側に配置される部材に対して、傷付けることなく強固に固定し得る内視鏡用緊縛糸を得ることができる。
【0014】
(2) 前記フィラメント集合体は、前記第1のフィラメントと前記第2のフィラメントとを撚り合わせてなる撚糸を含むものである上記(1)に記載の内視鏡用緊縛糸。
これにより、内視鏡用緊縛糸は、外皮をより確実に固定し得るものとなる。
【0015】
(3) 前記フィラメント集合体は、複数本の前記撚糸を撚り合わせてなるものである上記(2)に記載の内視鏡用緊縛糸。
これにより、接着剤と内視鏡用緊縛糸との間により強いアンカー効果が生じる。
【0016】
(4) 前記フィラメント集合体は、複数本の前記第1のフィラメントを撚り合わせてなる第1の撚糸と、複数本の前記第2のフィラメントを撚り合わせてなる第2の撚糸とを含むものである上記(1)に記載の内視鏡用緊縛糸。
これにより、内視鏡用緊縛糸は、外皮をより確実に固定し得るものとなる。
【0017】
(5) 前記フィラメント集合体は、前記第1の撚糸と前記第2の撚糸とを撚り合わせてなるものである上記(4)に記載の内視鏡用緊縛糸。
これにより、接着剤と内視鏡用緊縛糸との間により強いアンカー効果が生じる。
【0018】
(6) 前記撚糸、前記第1の撚糸および前記第2の撚糸は、その撚り数が700〜1500T/mである上記(2)ないし(5)のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸。
【0019】
これにより、撚糸は、外皮をより確実に固定し得るものとなる。また、接着剤と撚糸との間により強いアンカー効果が生じる。
【0020】
(7) 前記フィラメント集合体は、その撚り数が400〜800T/mである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸。
【0021】
これにより、内視鏡用緊縛糸は、外皮をより確実に固定し得るものとなる。また、接着剤と内視鏡用緊縛糸との間により強いアンカー効果が生じる。
【0022】
(8) 前記第1のフィラメントの常温での破断伸びをS[%]、前記第2のフィラメントの常温での破断伸びをS[%]としたとき、S/Sが0.02〜0.95である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸。
【0023】
これにより、内視鏡用緊縛糸は、外皮をより強固に緊縛しつつも、適度な伸張性を発揮して、緊縛によって外皮が傷付けられるのをより確実に防止することができる。
【0024】
(9) 前記第2のフィラメントの横断面積をA[mm]、前記フィラメント集合体の横断面積をB[mm]としたとき、A/Bが0.05〜0.5である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸。
【0025】
これにより、破断伸びが小さい第1のフィラメントによって外皮が強固に緊縛されるとともに、破断伸びが大きい第2のフィラメントが伸びることにより、外皮が傷付くのを確実に防止するという相乗効果がより顕著なものとなる。
【0026】
(10) 前記フィラメント集合体の外径をC[mm]、前記外皮の平均厚さをD[mm]としたとき、C/Dが0.05〜0.5である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸。
【0027】
これにより、内視鏡用緊縛糸は、外皮を確実に緊縛しつつ、挿入部可撓管の外径が太くなり過ぎて、患者の苦痛が増大するのを防止することができる。
【0028】
(11) 前記第1のフィラメントは、ポリアリレート系樹脂を主材料として構成されるものである上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸。
【0029】
これにより、外皮を強固に緊縛しつつ、切断され難い内視鏡用緊縛糸を得ることができる。また、内視鏡用緊縛糸を引っ張りつつ外皮を緊縛することで、緊縛後に内視鏡用緊縛糸が収縮して、緊縛がより強固なものとなる。
【0030】
(12) 前記第2のフィラメントは、樹脂材料を主材料として構成されるもの、および/または、金属材料を主材料として構成されるものである上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸。
【0031】
これにより、常温での破断伸びが10%超の第2のフィラメントをより容易に得ることができる。
【0032】
(13) 前記樹脂材料は、ポリアミドおよびポリフェニレンサルファイドのうちの少なくとも一方を主成分とするものである上記(12)に記載の内視鏡用緊縛糸。
【0033】
これらの樹脂は、その常温での破断伸びが10%超のもので、かつ外皮を確実に緊縛し得る引張強度を有しているものである。
【0034】
(14) 前記金属材料は、ステンレス鋼およびタングステンのうちの少なくとも一方を主成分とするものである上記(12)に記載の内視鏡用緊縛糸。
【0035】
これらの材料は、常温での破断伸びが10%超の比較的細いフィラメントを容易に得ることができるものである。また、これらの材料は、硬度が相対的に非常に高いため、外皮を緊縛する際に、摩擦による磨耗で内視鏡用緊縛糸が切断されるのを防止することができる。
【0036】
(15) 前記第1のフィラメントおよび前記第2のフィラメントは、その長手方向の少なくとも一部において固定されている上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸。
【0037】
これにより、フィラメント同士の結束力が高まり、内視鏡用緊縛糸は、外皮の固定状態を、長期間安定的に維持することができる。
【0038】
(16) 前記第1のフィラメントの構成材料と前記第2のフィラメントの構成材料は、それぞれ、その融点または軟化点が150℃以上である上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸。
【0039】
これにより、内視鏡用緊縛糸は、オートクレーブ等の高温下における消毒・滅菌処理に対して、十分な耐久性を有するものとなる。
【0040】
(17) チューブ状の内視鏡用可撓管用の外皮の内側に配設された部材に対して、前記外皮を固定する外皮固定方法であって、
前記外皮の内側に前記部材を配設する第1の工程と、
上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸により、前記外皮を、その外表面側から緊縛する第2の工程と、
前記内視鏡用緊縛糸を、接着剤で被覆して、固定する第3の工程とを有することを特徴とする外皮固定方法。
これにより、外皮をその内側に配置される部材に対して強固に固定することができる。
【0041】
(18) 前記接着剤は、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂およびエステル系樹脂のうちの少なくとも1種を主成分とするものである上記(17)に記載の外皮固定方法。
【0042】
これらの接着剤は、耐薬品性や耐熱性に比較的高いものである。したがって、内視鏡に対して繰り返し消毒・滅菌処理を行った場合でも、接着剤は、変質・劣化するのが防止される。このため、内視鏡用緊縛糸による外皮の芯材に対する固定状態が確実に維持され、可撓管部と湾曲部との間の高い液密性を長期にわたって維持することができる。
【0043】
(19) 芯材と、該芯材の外周を被覆する外皮とを有する可撓管部と、
該可撓管部の先端部に設けられ、芯材と、該芯材の外周を被覆する外皮とを有する湾曲部とを備える内視鏡用可撓管であって、
前記湾曲部の外皮の基端部および前記可撓管部の外皮の先端部が、上記(1)ないし(16)のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸により、前記湾曲部の芯材または前記可撓管部の芯材に対して固定されてなることを特徴とする内視鏡用可撓管。
【0044】
これにより、繰り返し消毒・滅菌処理を行った場合でも、高い液密性を長期にわたって維持することができる内視鏡用可撓管が得られる。
【0045】
(20) 上記(19)に記載の内視鏡用可撓管を備えることを特徴とする内視鏡。
これにより、患者に与える苦痛を最小限に抑えることができる内視鏡が得られる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、内視鏡用可撓管用の外皮を、その内側に配設された部材に対して強固に固定し得る内視鏡用緊縛糸を得ることができる。
【0047】
また、破断伸びの異なるフィラメントを撚り合わせているため、外皮を確実に緊縛しつつも、内視鏡用緊縛糸が適度に伸びることにより、緊縛によって外皮を傷付けられるのを防止することができる。これにより、電子内視鏡に対して滅菌処理(特に、オートクレーブ滅菌)を繰り返し施した場合でも、可撓管部と湾曲部との間の高い液密性を長期にわたって、より確実に維持することができる。
【0048】
さらに、撚り合わせられたフィラメント同士の間には空隙が形成され、この空隙に接着剤が浸透することで、接着剤と内視鏡用緊縛糸との間にアンカー効果が生じる。その結果、接着剤はより高い密着強度で内視鏡用緊縛糸を固定することができる。
【0049】
また、第2のフィラメントが金属材料で構成されている場合、金属の硬度が相対的に非常に高いため、外皮を緊縛する際に、摩擦による磨耗で内視鏡用緊縛糸が切断されるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、本発明の内視鏡用緊縛糸、外皮固定方法、内視鏡用可撓管および内視鏡を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0051】
図1は、本発明の内視鏡を電子内視鏡(電子スコープ)に適用した場合の実施形態を示す全体図、図2は、図1に示す電子内視鏡が備える挿入部可撓管(本発明の内視鏡用可撓管)の構成を示す部分縦断面図である。以下、図1中の上側を「基端」、下側を「先端」として、図2中の右側を「基端」、左側を「先端」として説明する。
【0052】
図1に示す電子内視鏡1は、可撓性(柔軟性)を有する長尺の挿入部可撓管2と、挿入部可撓管2の基端部に接続され、術者が把持して電子内視鏡1全体を操作する操作部6と、操作部6に接続された接続部可撓管7と、接続部可撓管7の先端部に接続された光源差込部8とを有している。
【0053】
挿入部可撓管2は、例えば生体の管腔(体腔)内に挿入して使用される。図1に示すように、挿入部可撓管2は、手元(基端)側から可撓管部3と、可撓管部3の先端部に設けられ、湾曲操作可能な湾曲部4とを有している。
【0054】
可撓管部3および湾曲部4には、それぞれ、その内部に、例えば、光ファイバ、画像信号ケーブルまたはチューブ類等の内蔵物等(図中省略)を配置、挿通することができる空間が設けられている。
【0055】
図2に示すように、可撓管部3は、芯材31と、この芯材31の外周を被覆する外皮32とを有している。
【0056】
芯材31は、螺旋管311と、この螺旋管311の外周を被覆する網状管(編組体)312とで構成され、全体としてチューブ状の長尺物として形成されている。
【0057】
螺旋管311は、帯状材を均一な径で螺旋状に間隙313を空けて巻いて形成されたものである。帯状材を構成する材料としては、例えば、ステンレス鋼、銅合金等が好ましく用いられる。
【0058】
網状管312は、金属製または非金属製の細線を複数並べたものを編組して形成されている。細線を構成する材料としては、例えば、ステンレス鋼、銅合金等が好ましく用いられる。また、網状管312を形成する細線のうち少なくとも1本に合成樹脂の被覆(図示せず)が施されていてもよい。
【0059】
芯材31には、その先端部を除く部分に、外皮32が被覆されている。この外皮32は、樹脂材料を主材料として構成されている。
【0060】
樹脂材料としては、可撓性(柔軟性)を有するものであればよく、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマーまたはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。外皮32を、このような可撓性を有する樹脂材料を主材料として構成することにより、後述する内視鏡用緊縛糸により外皮32を緊縛した際に、内視鏡用緊縛糸が外皮32に食い込んで、外皮32を芯材31に対してより強固に固定することができる。
【0061】
外皮32および後述する外皮42の平均厚さは、それぞれ、可撓管部3および湾曲部4内に配設された内蔵物を保護可能であり、かつ、可撓管部3および湾曲部4の可撓性・湾曲性を妨げないものであれば、特に限定されないが、100〜3000μm程度であるのが好ましく、200〜1000μm程度であるのがより好ましい。
【0062】
この可撓管部3の外表面には、図1に示すように、その体腔内への挿入深さを示す目盛り22が付されている。これにより、挿入部可撓管2を体腔内に挿入する際に、この目盛り22を視認しつつ操作することにより、挿入部可撓管2の先端を、所望の位置に確実に誘導することができる。
このような可撓管部3の先端部には、湾曲部4が連結されている。
【0063】
図2に示すように、湾曲部4は、芯材41と、この芯材41の外周を被覆する外皮42とを有している。
【0064】
芯材41は、節輪アセンブリ411と、この節輪アセンブリ411の外周を被覆する網状管412とで構成され、全体としてチューブ状の長尺物として形成されている。
【0065】
節輪アセンブリ411は、断面が略円形に形成された複数の節輪411aが、その中心線A(軸)に沿って並列配置されることにより構成されている。これらの節輪411aにおいて、隣り合う節輪411a同士は、図示しないリベットによって連結され、互い傾動可能となっている。節輪411aを構成する材料としては、例えば、ステンレス鋼、銅合金等が好ましく用いられる。
【0066】
また、これらの節輪411aには、所定数の節輪411a毎に、ワイヤガイド(図示せず)が設けられている。このワイヤガイドには、後述する硬性部5に接続され、湾曲部4内および可撓管部3内に連続して配設された湾曲操作ワイヤーが挿通されている。この湾曲操作ワイヤーは、例えば、一対で二組で設けられており、各湾曲操作ワイヤーを牽引または開放することにより、湾曲部4は、節輪411aの傾動を伴って任意の方向に湾曲操作される。
【0067】
また、この際、ワイヤガイドにより、湾曲操作ワイヤーは、先端方向および基端方向に進退可能に支持される。
【0068】
この節輪アセンブリ411の外周には、前記網状管312と同様の構成の網状管412が被覆されている。
【0069】
このような芯材41の基端部が、可撓管部3が備える芯材31の先端部に接続管43を介して接続されている。
【0070】
芯材41の外周には、芯材41の両端部をはみ出して、外皮42が被覆されている。
この外皮42の両端部は、それそれ、後述する硬性部5の基端部および可撓管部3が備える芯材31の先端部を覆っている。換言すれば、外皮42の両端部の内側に、それぞれ、硬性部5の基端部および芯材31の先端部が挿入(配設)されている。
【0071】
そして、本発明の外皮固定方法により、湾曲部4の外皮42の先端部が、硬性部5(外皮の内側に配設される部材)に固定され、湾曲部4の外皮42の基端部および可撓管部3の外皮32の先端部が、それぞれ可撓管部3の芯材31(外皮の内側に配設される部材)に固定されている。
【0072】
外皮42は、ゴム材料を主材料として構成されている。これにより、ゴム材料が可撓性を有しているため、後述する内視鏡用緊縛糸が外皮42を緊縛した際に、内視鏡用緊縛糸が外皮42に食い込んで、外皮42を芯材31に対してより強固に固定することができる。
【0073】
ゴム材料としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR、1,2−BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等のブタジエン系ゴム、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエン−アクリロニトリルゴム(NBR)等のジエン系特殊ゴム、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)、アクリル系ゴム(ACM、ANM)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)等のオレフィン系ゴム、ウレタンゴム(AU、EU)等のウレタン系ゴム、ヒドリンゴム(CO、ECO、GCO、EGCO)等のエーテル系ゴム、多硫化ゴム(T)等のポリスルフィド系ゴム、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM、FZ)、塩素化ポリエチレン(CM)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0074】
また、この湾曲部4の先端部には、硬性部5が接続されている。硬性部5は、円柱状のブロック体で構成されている。
【0075】
この硬性部5の内部には、観察部位における被写体像を撮像する図示しない撮像素子(CCD)が設けられており、この撮像素子は、挿入部可撓管2内、操作部6内および接続部可撓管7内に連続して配設された画像信号ケーブル(図示せず)により、光源差込部8に設けられた画像信号用コネクタ82に接続されている。
【0076】
また、この硬性部5には、湾曲操作ワイヤーの先端が固定されている。
硬性部5の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金等が挙げられる。
【0077】
また、光源差込部8の先端部には、光源用コネクタ81が画像信号用コネクタ82と併設され、光源用コネクタ81および画像信号用コネクタ82を、光源プロセッサ装置(図示せず)の接続部に挿入することにより、光源差込部8が光源プロセッサ装置に接続される。この光源プロセッサ装置には、ケーブルを介してモニタ装置(図示せず)が接続されている。
【0078】
光源プロセッサ装置から発せられた光は、光源用コネクタ81、光源差込部8内、接続部可撓管7内、操作部6内および挿入部可撓管2内に連続して配設されたライトガイド(図示せず)を通り、硬性部5の先端部より観察部位に照射され、照明する。このようなライトガイドは、例えば、石英、多成分ガラス、プラスチック等により構成される光ファイバーが複数本束ねられて構成されている。
【0079】
前記照明光により照明された観察部位からの反射光(被写体像)は、撮像素子で撮像される。撮像素子では、撮像された被写体像に応じた画像信号が出力される。この画像信号は、画像信号ケーブルを介して光源差込部8に伝達される。
【0080】
そして、光源差込部8内および光源プロセッサ装置内で所定の処理(例えば、信号処理、画像処理等)がなされ、その後、モニタ装置に入力される。モニタ装置では、撮像素子で撮像された画像(電子画像)、すなわち動画の内視鏡モニタ画像が表示される。
また、操作部6には、図1中上面に、第1操作ノブ61、第2操作ノブ62、第1ロックレバー63および第2ロックレバー64が、それぞれ独立に回動自在に設けられている。各操作ノブ61、62を回転操作すると、挿入部可撓管2内に配設された湾曲操作ワイヤー(図示せず)が牽引されて、湾曲部4が4方向に湾曲し、湾曲部4の方向を変えることができる。
【0081】
また、各ロックレバー63、64を反時計回りに回転操作すると、それぞれ、湾曲部4の湾曲状態(上下方向および左右方向への湾曲状態)を固定(保持)することができ、一方、時計回りに回転操作すると、湾曲した状態で固定された湾曲部4の固定を解除することができる。
【0082】
また、操作部6の図1中側面(周面)には、複数(本実施形態では、3つ)の制御ボタン65、吸引ボタン66および送気・送液ボタン67が設けられている。
【0083】
電子内視鏡1を光源プロセッサ装置(外部装置)に接続した状態で、各制御ボタン65を押圧操作することにより、光源プロセッサ装置やモニタ装置等の周辺機器の諸動作(例えば、電子画像の動画と静止画との切り替え、電子画像のファイリングシステムや撮影装置の作動および/または停止、電子画像の記録装置の作動および/または停止等)を遠隔操作することができる。
【0084】
吸引ボタン66および送気・送液ボタン67は、それぞれ、光源差込部8内、接続部可撓管7内、操作部6内および挿入部可撓管2内に連続して形成され、一端が挿入部可撓管2の先端で開放し、他端が光源差込部8で開放する吸引チャンネルおよび送気・送液チャンネル(いずれも図示せず)を開閉する機能を有している。
【0085】
すなわち、吸引ボタン66および送気・送液ボタン67を押圧操作する前には、吸引チャンネルおよび送気・送液チャンネルは閉塞されており(流体が通過不能な状態とされており)、一方、吸引ボタン66および送気・送液ボタン67を押圧操作すると、吸引チャンネルおよび送気・送液チャンネルが連通する(流体が通過可能な状態となる)。
【0086】
なお、電子内視鏡1の使用時には、吸引チャンネルの他端には、吸引手段が接続され、送気・送液チャンネルの他端には、送気・送液手段が接続される。
【0087】
これにより、吸引チャンネルが連通した状態では、挿入部可撓管2の先端から体腔内の体液や血液等を吸引することができ、また、送気・送液チャンネルが連通した状態では、挿入部可撓管2の先端から体腔内へ液体や気体を供給することができる。
【0088】
次に、本発明の外皮固定方法について説明する。
なお、以下では、本発明の外皮固定方法を、図1に示す内視鏡が備える挿入部可撓管において、可撓管部と湾曲部とを接合する場合を一例に説明する。
【0089】
図3は、本発明の外皮固定方法を説明するための図(部分縦断面図)であり、図3中(b)および(c)は、それぞれ、外皮付近を拡大して示す図である。
【0090】
[1] まず、芯材31の外周を外皮32で被覆した可撓管部3と、芯材41の外周を外皮42で被覆した湾曲部4とを用意する。
【0091】
次いで、図3(a)に示すように、芯材31の先端部と芯材41の基端部とを、接続管43を介して連結し、外皮42を芯材31の先端部に被せる(第1の工程)。
【0092】
[2] 次に、図3(b)に示すように、内視鏡用緊縛糸9により、外皮32の先端部および外皮42の基端部を連続して、これらの外表面側から緊縛する(第2の工程)。
【0093】
ここで、本発明では、内視鏡用緊縛糸9として、第1のフィラメント91と第2のフィラメント92とを含んだものを撚り合わせてなるフィラメント集合体94で構成されたものを用いる。
【0094】
ここで、フィラメントとは、長く連続して形成された接続部を有さない一本の繊維のことを言う。
なお、内視鏡用緊縛糸9の構成については、後に詳述する。
【0095】
[3] 次に、内視鏡用緊縛糸9を、図3(c)に示すように、接着剤95で被覆して、固定する(第3の工程)。
【0096】
これにより、内視鏡用緊縛糸9は、外皮32および外皮42を緊縛した状態で、接着剤95により外皮32および外皮42の外表面に固定される。また、内視鏡用緊縛糸9は、接着剤95で被覆されることにより固定されることにより、緩んだり脱落したりするのが防止される。また、このとき、外皮32と外皮42との境界部も接着剤95で覆われる。その結果、可撓管部3と湾曲部4との間に、高い液密性が確保される。
【0097】
接着剤95は、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤およびエステル系接着剤のうちの少なくとも1種を主成分とするものであるのが好ましい。これらの接着剤は、耐薬品性や耐熱性に比較的高いものである。したがって、電子内視鏡1に対して繰り返し消毒・滅菌処理を行った場合でも、接着剤95は、変質・劣化するのが防止される。このため、内視鏡用緊縛糸9による外皮32および外皮42の芯材31に対する固定状態が確実に維持され、可撓管部3と湾曲部4との間の高い液密性を長期にわたって維持することができる。
【0098】
接着剤95としては、その硬化方式は特に限定されず、ホットメルト型、熱硬化型、光硬化型等の硬化性を有するものを用いることができる。また、接着剤95を外皮32および外皮42の外表面に供給する際の、接着剤95の形態としては、1液型または2液混合型のいずれであってもよい。
【0099】
ところで、電子内視鏡1は、オートクレーブ等の消毒・滅菌処理を繰り返し施されるが、内視鏡用緊縛糸9を接着剤95で被覆することにより、水や薬品等と接触することを防止することができる。したがって、耐水性や耐薬品性等の優劣を考慮することなく、第1のフィラメントおよび第2のフィラメントの各構成材料を、機能的および価格的な観点で、より広い選択肢の中から選択することができる。
【0100】
また、内視鏡用緊縛糸9が接着剤95で被覆されることにより、挿入部可撓管2の外表面に形成される内視鏡用緊縛糸9による凹凸が、接着剤95により緩和または消失するので、挿入部可撓管2を体腔内に挿入するのに際して、患者の苦痛が増大するのを防止することもできる。また、凹凸が緩和または消失して表面積が減少することにより、洗浄における汚れの除去をより確実に行うことができるとともに、薬液等による緊縛箇所の劣化を抑制することができる。
【0101】
次に、内視鏡用緊縛糸9の構成について、詳述する。
前述したように、本発明の内視鏡用緊縛糸9は、常温での破断伸びが10%以下の第1のフィラメント91と、常温での破断伸びが10%超の第2のフィラメント92とを含んだものを、撚り合わせてなるフィラメント集合体94で構成されている。これにより、内視鏡用緊縛糸9は、外皮32および外皮42を確実に固定し得るものとなる。また、このように破断伸びの異なるフィラメントを撚り合わせているため、外皮32および外皮42を確実に緊縛しつつも、内視鏡用緊縛糸9が適度に伸びることにより、緊縛によって外皮32および外皮42が傷付けられるのを防止することができる。
【0102】
ここで、破断伸びとは、フィラメントに対して引張試験を行った場合の最大変化量(最大に伸びた長さ)の、フィラメントの元の長さに対する割合である。
【0103】
また、内視鏡用緊縛糸9は、前述のように、しなやかで非常に長い繊維(フィラメント)で構成されているため、外皮32および外皮42に巻き付けて緊縛した際に、内視鏡用緊縛糸9が切断されたり、繊維の端部が外皮表面から多数突出する(毛羽立つ)のを防止することができる。これにより、内視鏡用緊縛糸9を接着剤95で被覆した際に、接着剤95の表面に微小な凹凸が生じるのを防止することができる。その結果、前述のように挿入部可撓管2を体腔内に挿入するのに際して、患者の苦痛が増大するのを防止することができる。
【0104】
また、フィラメント集合体は、複数本のフィラメント同士を撚り合わせたものを含んでいるため、撚り合わせによって生じる凹凸が外皮32および外皮42に食い込むことにより、外皮32および外皮42を強固に固定することができる。
【0105】
さらに、撚り合わせられたフィラメント同士の間には空隙が形成される。そして、この撚糸中の空隙に接着剤95が浸透することで、接着剤95と内視鏡用緊縛糸9との間にアンカー効果が生じる。その結果、接着剤95はより高い密着強度で内視鏡用緊縛糸9を固定することができる。
【0106】
<第1実施形態>
まず、本発明の内視鏡用緊縛糸の第1実施形態について説明する。
【0107】
図4は、本発明の内視鏡用緊縛糸の第1実施形態を示す斜視図である。
図4に示す内視鏡用緊縛糸9は、4本の第1のフィラメント91と、1本の第2のフィラメント92とを撚り合わせてなる撚糸93を含むフィラメント集合体94で構成されている。これにより、内視鏡用緊縛糸9は、外皮32および外皮42をより確実に固定し得るものとなる。また、接着剤95と内視鏡用緊縛糸9との間により強いアンカー効果が生じる。
【0108】
このうち、第1のフィラメント91は、その常温での破断伸びが10%以下のフィラメントである。
【0109】
第1のフィラメント91の外径としては、0.003〜0.02mm程度であるのが好ましく、0.005〜0.01mm程度であるのがより好ましい。このような比較的細い第1のフィラメント91では、その用いる本数を変えることによって、内視鏡用緊縛糸9の外径をより厳密かつ容易に調整することができる。
【0110】
また、内視鏡用緊縛糸9を形成する際に、細い第1のフィラメント91および第2のフィラメント92を多数束ねることができ、内視鏡用緊縛糸9の表面積をより増大させることができるため、接着剤95のアンカー効果をより高めることができる。
【0111】
このような第1のフィラメント91としては、その引張強度が20[g/デニール]以上であるものが好ましく、25[g/デニール]以上であるものがより好ましい。ここで、デニールは、繊度を表す単位であり、1デニールは、長さが9000mで質量が1gの糸の外径を表す。
【0112】
また、第1のフィラメント91の構成材料としては、樹脂材料であるのが好ましい。樹脂材料で構成されたフィラメントは、しなやかな繊維であるため、外皮32および外皮42を緊縛した際に、切断され難いものである。
【0113】
この樹脂材料としては、その主鎖および/または側鎖に極性構造を有するものが好ましい。これにより、この極性構造と接着剤95との間の相互作用が高まり、第1のフィラメント91と接着剤95との接合力を向上させることができる。
【0114】
このような樹脂材料としては、極性構造として、−OH、−CHO、−NCO、−COOH、−NO、−NH、−SH、−SOH、−CN、−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−CONHCO−、−NHCOO−および−S−のうちの少なくとも1つを含むものが挙げられる。
【0115】
これらの極性構造の中でも、樹脂材料としては、−OH、−CHO、−NCO、−COOH、−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−CONHCO−および−NHCOO−のうちの少なくとも1つを含むものであるのが好ましい。これらの極性構造は、前述の接着剤95の構成材料中にも多く含まれているものであるため、樹脂材料中の主鎖および/または側鎖に前記極性構造を含むことにより、第1のフィラメント91と接着剤95との間の結合力をより増大させることができる。
【0116】
さらに、樹脂材料の中でもポリアリレート系樹脂を主材料として構成されるものが好ましい。ポリアリレート系樹脂は、その常温での破断伸びが10%以下で、かつ引張強度に優れているため、外皮32および外皮42を強固に緊縛しつつ、切断され難い内視鏡用緊縛糸9を得ることができる。また、ポリアリレート系樹脂は、弾性が高いものである。このため、内視鏡用緊縛糸9を引っ張りつつ外皮32および外皮42を緊縛することで、緊縛後に内視鏡用緊縛糸9が収縮して、緊縛がより強固なものとなる。
【0117】
このような第1のフィラメント91としては、例えば、市販のミシン糸や縫い糸等のマルチフィラメントを解す(分線する)こと等により得たものであってもよい。
【0118】
一方、第2のフィラメント92は、その常温での破断伸びが10%超のフィラメントである。
【0119】
第2のフィラメント92の外径としては、0.003〜0.02mm程度であるのが好ましく、0.005〜0.01mm程度であるのがより好ましい。このような比較的細い第2のフィラメント92では、第1のフィラメント91と同様に、内視鏡用緊縛糸9の外径をより厳密に調整すること、および、内視鏡用緊縛糸9の表面積を増大させ、接着剤95のアンカー効果をより高めることができる。
【0120】
このような第2のフィラメント92としては、その引張強度が20[g/デニール]未満であるものが好ましく、10[g/デニール]以下であるものがより好ましい。
【0121】
また、第2のフィラメント92は、常温での破断伸びが10%超のような材料で構成されるのが好ましく、例えば、樹脂材料を主材料として構成されるもの、および/または、金属材料を主材料として構成されるものが好ましい。これにより、常温での破断伸びが10%超の第2のフィラメント92をより容易に得ることができる。
【0122】
これらの材料のうち、樹脂材料としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン612、アラミドのようなポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルのようなアクリル系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0123】
これらの材料の中でも、ポリアミド系樹脂およびポリフェニレンサルファイド系樹脂のうちの少なくとも一方を主成分とするものが好ましい。これらの樹脂は、その常温での破断伸びが10%超のもので、かつ外皮32および外皮42を確実に緊縛し得る引張強度を有しているものである。
【0124】
このような第2のフィラメント92としては、前述の第1のフィラメント91と同様に、例えば、市販のミシン糸や縫い糸等のマルチフィラメントを解す(分線する)こと等により得たものであってもよい。
【0125】
また、金属材料としては、ステンレス鋼、タングステン、モリブデン、銅、黄銅、ニッケル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0126】
これらの材料の中でも、ステンレス鋼およびタングステンのうちの少なくとも一方を主成分とするものが好ましい。これらの材料は、形状(例えば、フィラメントの外径)等によっても若干異なるが、常温での破断伸びが10%超の比較的細いフィラメントを容易に得ることができるものである。また、これらの材料は、硬度が相対的に非常に高いため、外皮32および外皮42を緊縛する際に、摩擦による磨耗で内視鏡用緊縛糸9が切断されるのを防止することができる。
【0127】
また、第1のフィラメント91の構成材料と第2のフィラメント92の構成材料は、それぞれ、その融点または軟化点が150℃以上であるのが好ましく、170℃以上であるのがより好ましい。これにより、内視鏡用緊縛糸9は、オートクレーブ等の高温下における消毒・滅菌処理に対して、十分な耐久性を有するものとなる。その結果、電子内視鏡1に対して滅菌処理(特に、オートクレーブ滅菌)を繰り返して施した場合でも、可撓管部3と湾曲部4との間の高い液密性を長期にわたって、より確実に維持することができる。
【0128】
さらに、このような滅菌処理を施した場合に、第1のフィラメント91の構成材料および第2のフィラメント92の構成材料は、溶解、加水分解、収縮および変形等しないことが好ましいことは言うまでもない。
【0129】
また、第1のフィラメント91の常温での破断伸びをS[%]、第2のフィラメント92の常温での破断伸びをS[%]としたとき、S/Sが0.02〜0.95程度であるのが好ましく、0.1〜0.7程度であるのがより好ましい。これにより、内視鏡用緊縛糸9は、外皮32および外皮42をより強固に緊縛しつつも、適度な伸張性を発揮して、緊縛によって外皮32および外皮42が傷付けられるのをより確実に防止することができる。
【0130】
なお、第1のフィラメント91の構成材料および第2のフィラメント92の構成材料として、2種類以上の材料が用いられ、それに伴って2種類以上の破断伸びが存在する場合は、第1のフィラメント91の破断伸びの平均値および第2のフィラメント92の破断伸びの平均値を、それぞれSおよびSとする。
【0131】
撚糸93は、上記のような第1のフィラメント91と第2のフィラメント92とを撚り合わせて作製される。
【0132】
このときの撚り数(下撚り数)としては、700〜1500[T/m]程度であるのが好ましく、800〜1200[T/m]程度であるのがより好ましい。これにより、内視鏡用緊縛糸9は、外皮32および外皮42をより確実に固定し得るものとなる。また、接着剤と内視鏡用緊縛糸9との間により強いアンカー効果が生じる。なお、撚り数を前記範囲より多くしてもよいが、各フィラメント91、92に対して強い張力が生じ、構成材料によっては切断され易い状態となるため、撚りの効果をそれ以上得ることができない。
【0133】
なお、撚糸93の撚りの方向は、特に限定されない。
ここで、撚糸93は、第1のフィラメント91と第2のフィラメント92とを撚り合わせただけのものでもよいが、その長手方向の少なくとも一部において、各フィラメント同士が固定されているものが好ましい。これにより、フィラメント同士の結束力が高まり、内視鏡用緊縛糸9は、外皮32および外皮42の固定状態を、長期間安定的に維持することができる。
【0134】
フィラメント同士を固定する方法としては、例えば、熱を付与する方法、接着剤を用いる方法、融着(熱融着、超音波融着、高周波融着等)させる方法等が挙げられる。
【0135】
このうち、熱を付与する方法は、第1のフィラメント91および第2のフィラメント92のうちの少なくとも一方が樹脂材料で構成されている場合に、特に好適に適用できる方法であり、例えば、以下のようにして行うことができる。
【0136】
まず、前述のようにして、第1のフィラメント91と第2のフィラメント92とを撚り合わせて撚糸93を作製する。
【0137】
次に、この撚糸93を、湿潤雰囲気下または乾燥雰囲気下で加熱する。これにより、第1のフィラメント91または第2のフィラメント92を構成している樹脂材料中の分子結合等に再配置が生じる。その結果、分子結合が撚られた状態で安定化し、それにより第1のフィラメント91および第2のフィラメント92とが絡まり合って、長手方向の少なくとも一部を固定することができる。
このとき、加熱の温度としては、100〜200℃程度であるのが好ましい。
【0138】
また、加熱の際に、撚糸93に対して、押圧力および/または張力を付与することにより、安定化および固定がより確実に行われる。
【0139】
フィラメント集合体94は、撚糸93を含んでいるものであり、本実施形態では、1本の撚糸93で構成されている。
【0140】
フィラメント集合体94の外径としては、第1のフィラメント91および第2のフィラメント92の各外径や、撚糸93の撚り数等に応じて若干異なるが、0.05〜0.15mm程度であるのが好ましく、0.075〜0.125mm程度であるのがより好ましい。フィラメント集合体94の外径が前記範囲内であることにより、フィラメント集合体94は、挿入部可撓管2の外径を不必要に増大させることなく、十分な強度を有する内視鏡用緊縛糸9を構成することができる。
【0141】
また、第2のフィラメント92の横断面積をA[mm]とし、フィラメント集合体94の横断面積をB[mm]としたとき、A/Bが0.05〜0.5程度であるのが好ましく、0.2〜0.5程度であるのがより好ましい。これにより、破断伸びの小さい第1のフィラメント91によって外皮32および外皮42が強固に緊縛されるとともに、破断伸びの大きい第2のフィラメント92が伸びることにより、外皮32および外皮42が傷付くのを確実に防止するという相乗効果がより顕著なものとなる。すなわち、前記範囲の割合で第1のフィラメント91と第2のフィラメント92とを撚り合わせることにより、両者による最大の相乗効果を得ることができる。また、外皮32および外皮42の傷付きを防止することで、電子内視鏡1に対して滅菌処理(特に、オートクレーブ滅菌)を繰り返し施した場合でも、可撓管部3と湾曲部4との間の高い液密性を長期にわたって、より確実に維持することができる。
【0142】
また、フィラメント集合体94の外径をC[mm]とし、外皮32および外皮42の平均厚さをD[mm]としたとき、C/Dが0.05〜0.5程度であるのが好ましく、0.1〜0.3程度であるのがより好ましい。これにより、内視鏡用緊縛糸9は、外皮32および外皮42を確実に緊縛しつつ、挿入部可撓管2の外径が太くなり過ぎて、患者の苦痛が増大するのを防止することができる。
【0143】
<第2実施形態>
次に、本発明の内視鏡用緊縛糸の第2実施形態について説明する。
図5は、本発明の内視鏡用緊縛糸の第2実施形態を示す斜視図である。
【0144】
以下、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0145】
本実施形態の内視鏡用緊縛糸9は、複数本の撚糸93を撚り合わせてなるフィラメント集合体94で構成されている以外は、前記第1実施形態と同様である。なお、図5には、その一例として、2本の撚糸93を撚り合わせた場合を示している。
【0146】
撚糸93の外径は、特に限定されないが、0.01〜0.075mm程度であるのが好ましく、0.025〜0.070mm程度であるのがより好ましい。
【0147】
このようなフィラメント集合体94は、複数本の撚糸93を束ね、撚り合わせて作製する。このときの撚り数(上撚り数)は、撚糸93の撚り数に応じて適宜設定され、特に限定されないが、400〜800[T/m]程度であるのが好ましく、500〜700[T/m]程度であるのがより好ましい。これにより、内視鏡用緊縛糸9は、外皮32および外皮42をより確実に固定し得るものとなる。また、接着剤と内視鏡用緊縛糸9との間により強いアンカー効果が生じる。
【0148】
なお、このときのフィラメント集合体94の撚りの方向は、特に限定されない。また、撚糸93とフィラメント集合体94の撚りの方向の関係も、特に限定されないが、互いに異なるのが好ましい。これにより、撚糸93とフィラメント集合体94の各撚りが解除され難くなる。
【0149】
また、フィラメント集合体94としては、複数本の撚糸93を撚り合わせただけのものでもよいが、その長手方向の少なくとも一部において、撚糸93同士が固定されているものが好ましい。これにより、撚糸93の弾性力による撚りの解除を防止し、フィラメント集合体94の撚りが長期間安定的に維持される。
【0150】
このような撚糸93同士の固定は、前記第1実施形態の第1のフィラメント91および第2のフィラメント92の固定と同様にして行うことができる。
【0151】
以上のような第2実施形態の内視鏡用緊縛糸9によっても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
【0152】
すなわち、フィラメント集合体94が、複数本の撚糸93を撚り合わせたもので構成されていることにより、フィラメント集合体94の表面には多数の凹凸が形成され、その表面積は特に大きくなる。その結果、前記アンカー効果が特に強く発揮されることになり、接着剤95は、内視鏡用緊縛糸9を、さらに確実に固定することができる。また、撚糸93をさらに撚り合わせたことにより、内視鏡用緊縛糸9自体の機械的強度をも向上させることができる。
【0153】
<第3実施形態>
次に、本発明の内視鏡用緊縛糸の第3実施形態について説明する。
【0154】
図6は、本発明の内視鏡用緊縛糸の第3実施形態を示す斜視図である。
以下、第3実施形態について説明するが、前記第1および前記第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0155】
本実施形態の内視鏡用緊縛糸9は、複数本の第1のフィラメント91を撚り合わせてなる第1の撚糸93’と、複数本の第2のフィラメント92を撚り合わせてなる第2の撚糸93”とを、さらに撚り合わせてなるフィラメント集合体94で構成されている以外は、前記第1実施形態と同様である。なお、図6には、その一例として、5本の第1のフィラメント91を撚り合わせた第1の撚糸93’と、2本の第2のフィラメントを撚り合わせた第2の撚糸93”とを用いた場合について示している。
【0156】
このように第1の撚糸93’および第2の撚糸93”は、複数本の第1のフィラメント91のみ、または、複数本の第2のフィラメント92のみを、それぞれ撚り合わせて構成されているため、第1のフィラメント91と第2のフィラメント92とを撚り合わせる場合に比べ、撚糸を作製する作業にかかる手間を省略することができる。
【0157】
また、第1の撚糸93’と第2の撚糸93”の各外径、各撚り数および各撚りの方向は、それぞれ、撚糸93と同様である。
【0158】
以上のような第3実施形態の内視鏡用緊縛糸9によっても、前記第1および第2実施形態と同様の作用・効果が得られる。
【0159】
<第4実施形態>
次に、本発明の内視鏡用緊縛糸の第4実施形態について説明する。
図7は、本発明の内視鏡用緊縛糸の第4実施形態を示す斜視図である。
【0160】
以下、第4実施形態について説明するが、前記第1〜第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0161】
本実施形態の内視鏡用緊縛糸9は、1本または複数本の第1の撚糸93’と、1本または複数本の第2の撚糸93”と、1本または複数本の第2のフィラメント92とを撚り合わせてなるフィラメント集合体94で構成されている以外は、前記第3実施形態と同様である。なお、図7には、その一例として、5本の第1のフィラメント91を撚り合わせた第1の撚糸93’と、2本の第2のフィラメント92を撚り合わせた第2の撚糸93”と、1本の第2のフィラメント92とを用いた場合について示している。
【0162】
このとき、前記第2のフィラメント92の構成材料として、金属材料を用いることにより、内視鏡用緊縛糸9の耐磨耗性を向上することができる。
【0163】
以上のような第4実施形態の内視鏡用緊縛糸9によっても、前記第1〜第3実施形態と同様の作用・効果が得られる。
【0164】
なお、本発明の内視鏡用緊縛糸9では、前記第1〜第4実施形態の構成を組み合わせることもできる。
【0165】
例えば、内視鏡用緊縛糸9は、1本または複数本の撚糸93と、1本または複数本の第1のフィラメント91および第2のフィラメント92とを組み合わせることによりフィラメント集合体94を構成するようにしてもよい。
【0166】
以上、本発明の内視鏡用緊縛糸、外皮固定方法、内視鏡用可撓管および内視鏡について図示の実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0167】
また、本発明の外皮固定方法は、必要に応じて、任意の目的の工程を追加することもできる。
【0168】
本発明の外皮固定方法は、例えば、挿入部可撓管の外皮を操作部に固定する場合、接続部可撓管の外皮を操作部や光源差込部に固定する場合等にも適用することができる。
【0169】
また、内視鏡の各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することもできる。
【0170】
本発明の内視鏡は、電子内視鏡に限らず、光学内視鏡(ファイバースコープ)であってもよく、さらに、医療用内視鏡に限らず、工業用途に用いられる内視鏡であってもよい。
【実施例】
【0171】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.電子内視鏡の製造
以下に示すようにして、各実施例および各比較例において、それぞれ、図1に示す電子内視鏡を15個ずつ製造した。
【0172】
(実施例1)
まず、図1に示すような内視鏡の硬性部、湾曲部および可撓管部(いずれもペンタックス社製軟性内視鏡FB−29X)を用意した。
【0173】
次に、湾曲部の外皮の先端部内側に硬性部の基端部を、また、基端部内側に可撓管部の芯材の先端部を、それぞれ挿入して固定した。
【0174】
次に、内視鏡用緊縛糸を用意した。
4本の第1のフィラメントと1本の第2のフィラメントとを撚り合わせてフィラメント集合体を得て、これを内視鏡用緊縛糸とした。以下に、本実施例の内視鏡用緊縛糸の構成の詳細を示す。なお、フィラメントの破断伸びは、島津製作所社製オートグラフによる測定値である。
【0175】
・内視鏡用緊縛糸の構成
・第1のフィラメント(以下、省略して単に「F1」とも言う。)
構成材料 :ポリアリレート(クラレ社製「ベクトラン」を分線)
軟化点 :175℃
常温での破断伸び :10%以下
外径 :0.006[mm]
【0176】
・第2のフィラメント(以下、省略して単に「F2」とも言う。)
構成材料 :ポリフェニレンサルファイド(東洋紡績社製「プロコン」を分線)
軟化点 :260℃
常温での破断伸び :10%超
外径 :0.01[mm]
【0177】
・フィラメント集合体(内視鏡用緊縛糸)
F1の本数 :4本
F2の本数 :1本
撚り数 :950[T/m]
外径(C) :0.034[mm]
F2の横断面積(A):7.9×10−5[mm
横断面積(B) :1.9×10−4[mm
【0178】
次に、湾曲部の外皮の先端部と、湾曲部の外皮の基端部および可撓管部の外皮の先端部とを、作製した内視鏡用緊縛糸で緊縛した。そして、内視鏡用緊縛糸を被覆するように、エポキシ系樹脂を主成分とする接着剤を供給した。次いで、接着剤に対して85℃×1時間で加熱し、接着剤を硬化させ、内視鏡用緊縛糸を固定した。
次に、得られた接合体(内視鏡の挿入部)を用いて、電子内視鏡を製造した。
【0179】
各部の構成は、以下に示す通りである。
・硬性部
構成材料 :アルミニウム合金
形状 :円柱状、3段階で外径変化
中間部分の外径 :9mm
【0180】
・湾曲部
節輪アセンブリの寸法:外径9mm×内径7mm
節輪の構成材料 :ステンレス鋼
網状管の構成材料 :ステンレス鋼
外皮の寸法 :外径10mm×内径9mm(平均厚さ(D)500μm)
外皮の構成材料 :フッ素ゴム
【0181】
・可撓管部
芯材の寸法 :外径9mm×内径7mm
螺旋管の構成材料 :ステンレス鋼
網状管の構成材料 :ステンレス鋼
外皮の寸法 :外径10mm×内径9mm(平均厚さ(D)500μm)
外皮の構成材料 :ポリウレタン系熱可塑性エラストマー
【0182】
(実施例2)
第2のフィラメントの構成材料をナイロン6に変更した以外は、前記実施例1と同様にして電子内視鏡を製造した。以下に、第2のフィラメントの詳細を示す。
【0183】
・第2のフィラメント(F2)
構成材料 :ナイロン6
軟化点 :210℃
常温での破断伸び :10%超
外径 :0.01[mm]
【0184】
(実施例3)
第2のフィラメントの構成材料をタングステンに変更した以外は、前記実施例1と同様にして電子内視鏡を製造した。以下に、第2のフィラメントの詳細を示す。
【0185】
・第2のフィラメント(F2)
構成材料 :タングステン
融点 :3380℃
常温での破断伸び :10%超
外径 :0.01[mm]
【0186】
(実施例4)
第2のフィラメントの構成材料をステンレス鋼に変更した以外は、前記実施例1と同様にして電子内視鏡を製造した。以下に、第2のフィラメントの詳細を示す。
【0187】
・第2のフィラメント(F2)
構成材料 :ステンレス鋼
融点 :1500℃
常温での破断伸び :10%超
外径 :0.01[mm]
【0188】
(実施例5)
4本の第1のフィラメントと1本の第2のフィラメントとを撚り合わせた撚糸を3本作製し、これら3本の撚糸を撚り合わせてフィラメント集合体を得て、これを内視鏡用緊縛糸とした以外は、前記実施例1と同様にして電子内視鏡を製造した。以下に、本実施例の内視鏡用緊縛糸の構成の詳細を示す。
【0189】
・内視鏡用緊縛糸の構成
・第1のフィラメント(F1)
構成材料 :ポリアリレート(クラレ社製「ベクトラン」を分線)
軟化点 :175℃
常温での破断伸び :10%以下
外径 :0.006[mm]
【0190】
・第2のフィラメント(F2)
構成材料 :ポリフェニレンサルファイド(東洋紡績社製「プロコン」を分線)
軟化点 :260℃
常温での破断伸び :10%超
外径 :0.01[mm]
【0191】
・撚糸
F1の本数 :4本
F2の本数 :1本
撚り数(下撚り数) :950[T/m]
外径 :0.034[mm]
【0192】
・フィラメント集合体(内視鏡用緊縛糸)
撚糸の本数 :3本
撚り数(上撚り数) :550[T/m]
外径(C) :0.09[mm]
F2の横断面積(A):2.4×10−4[mm
横断面積(B) :5.7×10−4[mm
【0193】
(実施例6)
5本の第1のフィラメントを撚り合わせた撚糸2本と、2本の第2のフィラメントを撚り合わせた撚糸1本とを作製し、これら3本の撚糸を撚り合わせてフィラメント集合体を得て、これを内視鏡用緊縛糸とした以外は、前記実施例1と同様にして電子内視鏡を製造した。以下に、本実施例の内視鏡用緊縛糸の構成の詳細を示す。
【0194】
・内視鏡用緊縛糸の構成
・第1のフィラメント(F1)
構成材料 :ポリアリレート(クラレ社製「ベクトラン」を分線)
軟化点 :175℃
常温での破断伸び :10%以下
外径 :0.006[mm]
【0195】
・第1のフィラメントの撚糸(以下、省略して単に「T1」とも言う。)
F1の本数 :5本
撚り数(下撚り数) :950[T/m]
外径 :0.03[mm]
【0196】
・第2のフィラメント(F2)
構成材料 :ポリフェニレンサルファイド(東洋紡績社製「プロコン」を分線)
軟化点 :260℃
常温での破断伸び :10%超
外径 :0.01[mm]
【0197】
・第2のフィラメントの撚糸(以下、単に省略して「T2」とも言う。)
F2の本数 :2本
撚り数(下撚り数) :950[T/m]
外径 :0.02[mm]
【0198】
・フィラメント集合体(内視鏡用緊縛糸)
T1の本数 :2本
T2の本数 :1本
撚り数(上撚り数) :550[T/m]
外径(C) :0.08[mm]
F2の横断面積(A):1.6×10−4[mm
横断面積(B) :4.4×10−4[mm
【0199】
(実施例7)
前記実施例6の内視鏡用緊縛糸に、さらに1本の別の第2のフィラメントを加え、撚り合わせてフィラメント集合体を得て、これを内視鏡用緊縛糸とした以外は、前記実施例1と同様にして電子内視鏡を製造した。以下に、本実施例の内視鏡用緊縛糸の構成の詳細を示す。
【0200】
・内視鏡用緊縛糸の構成
・第1のフィラメント(F1)
構成材料 :ポリアリレート(クラレ社製「ベクトラン」を分線)
軟化点 :175℃
常温での破断伸び :10%以下
外径 :0.006[mm]
【0201】
・第1のフィラメントの撚糸(T1)
F1の本数 :5本
撚り数(下撚り数) :950[T/m]
外径 :0.03[mm]
【0202】
・第2のフィラメント(F2)
構成材料 :ポリフェニレンサルファイド(東洋紡績社製「プロコン」を分線)
軟化点 :260℃
常温での破断伸び :10%超
外径 :0.01[mm]
【0203】
・第2のフィラメントの撚糸(T2)
F2の本数 :2本
撚り数(下撚り数) :950[T/m]
外径 :0.02[mm]
【0204】
・別の第2のフィラメント(以下、省略して単に「F2’」とも言う。)
構成材料 :タングステン
融点 :3380℃
常温での破断伸び :10%超
外径 :0.01[mm]
【0205】
・フィラメント集合体(内視鏡用緊縛糸)
T1の本数 :2本
T2の本数 :1本
F2’の本数 :1本
撚り数(上撚り数) :550[T/m]
外径(C) :0.09[mm]
F2の横断面積(A) :1.6×10−4[mm
F2’の横断面積(A):7.9×10−5[mm
横断面積(B) :5.2×10−4[mm
【0206】
(比較例1)
内視鏡用緊縛糸として、市販のポリアリレート樹脂のマルチフィラメント撚糸(クラレ社製「ベクトラン」)3本を撚り合わせてフィラメント集合体を得て、これを内視鏡用緊縛糸とした以外は、前記実施例1と同様にして、電子内視鏡を製造した。以下に、本比較例の内視鏡用緊縛糸の構成の詳細を示す。
【0207】
・内視鏡用緊縛糸の構成
・第1のフィラメント(F1)
構成材料 :ポリアリレート(クラレ社製「ベクトラン」)
軟化点 :175℃
常温での破断伸び :10%以下
外径 :0.006[mm]
【0208】
・第1のフィラメントの撚糸(T1)
F1の本数 :20本
撚り数(下撚り数):950[T/m]
外径 :0.12[mm]
【0209】
・フィラメント集合体(内視鏡用緊縛糸)
T1の本数 :3本
撚り数(上撚り数):550[T/m]
外径 :0.36[mm]
【0210】
(比較例2)
内視鏡用緊縛糸として、1本のフィラメントを用意し、これを内視鏡用緊縛糸とした以外は、前記実施例1と同様にして、電子内視鏡を製造した。以下に、本比較例の内視鏡用緊縛糸の構成の詳細を示す。
【0211】
・内視鏡用緊縛糸の構成
・フィラメント
構成材料 :絹
常温での破断伸び:10%超
本数 :1本
外径 :0.08[mm]
以上の各実施例および各比較例で製造した内視鏡用緊縛糸の構成を、表1に示す。
【0212】
【表1】

【0213】
2.評価
2.1 耐磨耗性の評価
各実施例および各比較例で作製した内視鏡用緊縛糸の耐磨耗性を評価した。なお、評価は、JIS L1096 C法に基づいて行い、以下の基準にしたがって行った。
【0214】
◎:実使用時を超える程度の摩擦でも全く問題ない
○:実使用時以下の摩擦では問題ないが、実使用時を超える程度の摩擦で磨耗が生じる
△:実使用時以下の摩擦でわずかに磨耗が生じる
×:実使用時以下の摩擦で磨耗が生じる
【0215】
2.2 緊縛時の外観の評価
各実施例および各比較例の電子内視鏡の製造過程において、各電子内視鏡を同条件で緊縛した後、それぞれ、湾曲部の外皮の先端部と、湾曲部の外皮の基端部および可撓管部の外皮の先端部とを、内視鏡用緊縛糸で緊縛した際の緊縛部の外観を目視にて評価した。なお、この評価は、次の基準にしたがって行った。
【0216】
◎:外皮にキズ等が認められない
○:緊縛可能だが、外皮に緊縛による若干のキズ等が認められる
△:緊縛可能だが、外皮に緊縛による明らかなキズ等が認められる
×:緊縛により外皮が切断される
【0217】
2.3 操作時の外観の評価
各実施例および各比較例の電子内視鏡において、それぞれ、操作ノブを、実使用範囲のアングル力量から、実使用を超える範囲のアングル力量になるまで、徐々に回転させ、湾曲部を湾曲させた。
【0218】
次に、操作後の各電子内視鏡において、それぞれ、内視鏡用緊縛糸を被覆している接着剤の剥離の有無(緊縛部の外観)を評価した。なお、この評価は、次の基準にしたがって行った。
【0219】
◎:実使用を超える範囲まで湾曲させても接着剤の剥離が認められない
○:実使用範囲では問題ないが、実使用を超える範囲まで湾曲させると接着剤が剥離する
△:実使用範囲で湾曲させると接着剤がわずかに剥離する
×:実使用範囲で湾曲させると接着剤が剥離する
【0220】
2.4 緊縛部の外径の評価
各実施例および各比較例の電子内視鏡において、それぞれ、緊縛部の外径を測定した。そして、この外径を、患者の体内に電子内視鏡を挿入する場合を想定し、次の基準にしたがって評価した。
【0221】
○:挿入に支障がない程度の外径
△:挿入可能だが、挿入し難い程度の外径
×:挿入できない程度の外径
【0222】
2.5 洗浄後の残留物の評価
まず、被検体に適用後の各実施例および各比較例の電子内視鏡において、それぞれ、内視鏡用緊縛糸で緊縛した部位を、流水洗浄する。次いで、滅菌した綿棒で前記部位の表面を拭き取る。
【0223】
そして、拭き取りに用いた綿棒に付着した残留物(細菌等)の濃度に比例するATP相対発光量(単位:RLU)を、ATP測定法(JIS L 1902に規定)により評価した。なお、ATP相対発光量の評価は、次の基準にしたがって行った。
【0224】
○:150RLU以下
△:151〜300RLU
×:301RLU以上
【0225】
2.6 耐薬品性の評価
まず、各実施例および各比較例の各15個の電子内視鏡において、それぞれ、内視鏡用緊縛糸で緊縛した部位を、下記の各浸漬試験の概要にしたがって、薬液に浸漬した。
【0226】
・浸漬試験A
薬液の成分 :グルタルアルデヒド
成分含有率 :3%
浸漬時間 :30分間
試験サイクル:5000回
試験個数 :5個
【0227】
・浸漬試験B
薬液の成分 :過酢酸(60℃)
成分含有率 :0.3%
浸漬時間 :30分間
試験サイクル:5000回
試験個数 :5個
【0228】
・浸漬試験C
薬液の成分 :過酸化水素
成分含有率 :30%
浸漬時間 :60分間
試験サイクル:5000回
試験個数 :5個
【0229】
次に、浸漬試験終了後の各電子内視鏡において、それぞれ、操作ノブを、実使用範囲のアングル力量から、実使用を超える範囲のアングル力量になるまで、徐々に回転させ、湾曲部を湾曲させた。
【0230】
次に、操作後の各電子内視鏡において、それぞれ、内視鏡用緊縛糸を被覆している接着剤の剥離の有無(耐薬品性)を評価した。なお、この評価は、次の基準にしたがって行った。
【0231】
◎:実使用を超える範囲まで湾曲させても接着剤の剥離が全く認められない
○:実使用範囲では問題ないが、実使用を超える範囲まで湾曲させると接着剤が剥離する
△:実使用範囲で湾曲させると接着剤がわずかに剥離する
×:実使用範囲で湾曲させると接着剤が剥離する
【0232】
2.7 液密性の評価
各実施例および各比較例の電子内視鏡に対して、オートクレーブによる高温下での滅菌処理を繰り返し行った。以下に、滅菌処理の条件を示す。
【0233】
・滅菌処理の条件
温度 :120℃
時間 :10分
処理サイクル:3000回
【0234】
なお、処理サイクル500回ごとに、電子内視鏡の機能に不具合が生じていないか、内視鏡の画像を確認した。そして、その結果を次の基準にしたがって評価した。
【0235】
◎:処理サイクル3000回後でも不具合が認められない
○:処理サイクル3000回後に、不具合が認められた
△:処理サイクル1500〜2500回で、不具合が認められた
×:処理サイクル0〜1000回で、不具合が認められた
以上、2.1〜2.7の評価結果を表2に示す。
【0236】
【表2】

【0237】
表2から明らかなように、各実施例で作製した内視鏡用緊縛糸の耐磨耗性は、いずれも、実使用時を超える程度の摩擦でも全く問題なかった。これは、破断伸びが10%以下の第1のフィラメントは耐磨耗性が比較的高いため、内視鏡用緊縛糸全体の耐磨耗性が向上したものと考えられる。
【0238】
また、各実施例で作製した内視鏡用緊縛糸は、いずれも、緊縛時の外観に優れていた。これは、破断伸びの異なるフィラメントを撚り合わせることによって内視鏡用緊縛糸に生じる適度な伸張性によるものと推察される。すなわち、この伸張性によって、内視鏡用緊縛糸は、被緊縛部の形状に沿ってしなやかに湾曲するとともに、必要以上に外皮に食い込むことを防止して、緊縛による外皮のキズを抑制したためと考えられる。
【0239】
さらに、この伸張性により、湾曲操作時の緊縛部の外観にも優れていたと考えられる。これは、湾曲操作時に内視鏡用緊縛糸にかかる引張応力を緩和し、内視鏡用緊縛糸が切断されたり、接着剤が剥離したりするのを防止したためと推察される。
【0240】
また、各実施例で作製した電子内視鏡の緊縛部の外径は、いずれも、患者の体内への挿入に際して、支障がない程度に細い外径であった。これは、各実施例で作製した電子内視鏡の緊縛部が、十分に細い内視鏡用緊縛糸で緊縛されていたことによるものである。さらに、この内視鏡用緊縛糸は、極めて細いフィラメントから構成され、かつ、破断伸びの異なるフィラメントを撚り合わせることによって、細い内視鏡用緊縛糸でも十分な引張強度と緊縛性を有していた。
【0241】
さらに、各実施例で製造した電子内視鏡では、洗浄後の残留物の評価の結果、ATP相対発光量が150RLU以下と低く、洗浄後の緊縛部で、残留物(細菌等)の濃度が低いことが明らかとなった。これは、内視鏡用緊縛糸がしなやかで非常に長い繊維で構成されているため、緊縛部に毛羽立ち等が生じ難い。このため、緊縛部の表面の平滑性が高くなり、細菌等が残留し難く、洗浄によって容易に除去できたためと推察される。
【0242】
これに対し、比較例2で製造した電子内視鏡では、ATP相対発光量が151RLU以上と高く、残留物の濃度が高いことが明らかとなった。これは、比較例2の電子内視鏡では、内視鏡用緊縛糸(フィラメント)が切れて毛羽立ったり、接着剤が剥離したりしているため、細菌等が残留し易く、流水洗浄では容易に除去できなかったためと推察される。
【0243】
また、各実施例で製造した電子内視鏡の緊縛部は、グルタルアルデヒド、過酢酸および過酸化水素のような殺菌力の強い高水準消毒薬液に対しても高い耐久性を示した。
【0244】
これに対し、各比較例で製造した電子内視鏡の緊縛部は、薬液の成分によっては劣化し、実使用を超える力量での操作により緊縛部の接着剤が剥離した。
【0245】
さらに、各実施例で製造した電子内視鏡は、オートクレーブによる滅菌処理を繰り返しても、その機能に不具合を生じることはなかった。
【0246】
これに対し、各比較例で製造した電子内視鏡では、処理サイクルの増加に伴い、内視鏡の画像がかすむ現象が確認された。この現象は、撮像素子に曇りが生じたためと考えられる。また、この曇りの原因は、湾曲部および可撓管部の外皮にキズが生じ、滅菌処理の際にこのキズを介して、水分等が電子内視鏡の内部に浸入したことにあると推察される。
【図面の簡単な説明】
【0247】
【図1】本発明の内視鏡を電子内視鏡(電子スコープ)に適用した場合の実施形態を示す全体図である。
【図2】図1に示す電子内視鏡が備える挿入部可撓管(本発明の内視鏡用可撓管)の構成を示す部分縦断面図である。
【図3】本発明の外皮固定方法を説明するための図(部分縦断面図)である。
【図4】本発明の内視鏡用緊縛糸の第1実施形態を示す斜視図である。
【図5】本発明の内視鏡用緊縛糸の第2実施形態を示す斜視図である。
【図6】本発明の内視鏡用緊縛糸の第3実施形態を示す斜視図である。
【図7】本発明の内視鏡用緊縛糸の第4実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0248】
1 電子内視鏡
2 挿入部可撓管
22 目盛り
3 可撓管部
31 芯材
311 螺旋管
312 網状管
313 間隙
32 外皮
4 湾曲部
41 芯材
411 節輪アセンブリ
411a 節輪
412 網状管
42 外皮
43 接続管
5 硬性部
6 操作部
61 第1操作ノブ
62 第2操作ノブ
63 第1ロックレバー
64 第2ロックレバー
65 制御ボタン
66 吸引ボタン
67 送気・送液ボタン
7 接続部可撓管
8 光源差込部
81 光源用コネクタ
82 画像信号用コネクタ
9 内視鏡用緊縛糸
91 第1のフィラメント
92 第2のフィラメント
93 撚糸
93’ 第1の撚糸
93” 第2の撚糸
94 フィラメント集合体
95 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ状の内視鏡用可撓管用の外皮の内側に配設された部材に対して、前記外皮を固定する内視鏡用緊縛糸であって、
常温での破断伸びが10%以下の第1のフィラメントと、常温での破断伸びが10%超の第2のフィラメントとを含んだものを撚り合わせてなるフィラメント集合体で構成されていることを特徴とする内視鏡用緊縛糸。
【請求項2】
前記フィラメント集合体は、前記第1のフィラメントと前記第2のフィラメントとを撚り合わせてなる撚糸を含むものである請求項1に記載の内視鏡用緊縛糸。
【請求項3】
前記フィラメント集合体は、複数本の前記撚糸を撚り合わせてなるものである請求項2に記載の内視鏡用緊縛糸。
【請求項4】
前記フィラメント集合体は、複数本の前記第1のフィラメントを撚り合わせてなる第1の撚糸と、複数本の前記第2のフィラメントを撚り合わせてなる第2の撚糸とを含むものである請求項1に記載の内視鏡用緊縛糸。
【請求項5】
前記フィラメント集合体は、前記第1の撚糸と前記第2の撚糸とを撚り合わせてなるものである請求項4に記載の内視鏡用緊縛糸。
【請求項6】
前記撚糸、前記第1の撚糸および前記第2の撚糸は、その撚り数が700〜1500T/mである請求項2ないし5のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸。
【請求項7】
前記フィラメント集合体は、その撚り数が400〜800T/mである請求項1ないし6のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸。
【請求項8】
前記第1のフィラメントの常温での破断伸びをS[%]、前記第2のフィラメントの常温での破断伸びをS[%]としたとき、S/Sが0.02〜0.95である請求項1ないし7のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸。
【請求項9】
前記第2のフィラメントの横断面積をA[mm]、前記フィラメント集合体の横断面積をB[mm]としたとき、A/Bが0.05〜0.5である請求項1ないし8のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸。
【請求項10】
前記フィラメント集合体の外径をC[mm]、前記外皮の平均厚さをD[mm]としたとき、C/Dが0.05〜0.5である請求項1ないし9のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸。
【請求項11】
前記第1のフィラメントは、ポリアリレート系樹脂を主材料として構成されるものである請求項1ないし10のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸。
【請求項12】
前記第2のフィラメントは、樹脂材料を主材料として構成されるもの、および/または、金属材料を主材料として構成されるものである請求項1ないし11のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸。
【請求項13】
前記樹脂材料は、ポリアミドおよびポリフェニレンサルファイドのうちの少なくとも一方を主成分とするものである請求項12に記載の内視鏡用緊縛糸。
【請求項14】
前記金属材料は、ステンレス鋼およびタングステンのうちの少なくとも一方を主成分とするものである請求項12に記載の内視鏡用緊縛糸。
【請求項15】
前記第1のフィラメントおよび前記第2のフィラメントは、その長手方向の少なくとも一部において固定されている請求項1ないし14のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸。
【請求項16】
前記第1のフィラメントの構成材料と前記第2のフィラメントの構成材料は、それぞれ、その融点または軟化点が150℃以上である請求項1ないし15のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸。
【請求項17】
チューブ状の内視鏡用可撓管用の外皮の内側に配設された部材に対して、前記外皮を固定する外皮固定方法であって、
前記外皮の内側に前記部材を配設する第1の工程と、
請求項1ないし16のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸により、前記外皮を、その外表面側から緊縛する第2の工程と、
前記内視鏡用緊縛糸を、接着剤で被覆して、固定する第3の工程とを有することを特徴とする外皮固定方法。
【請求項18】
前記接着剤は、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂およびエステル系樹脂のうちの少なくとも1種を主成分とするものである請求項17に記載の外皮固定方法。
【請求項19】
芯材と、該芯材の外周を被覆する外皮とを有する可撓管部と、
該可撓管部の先端部に設けられ、芯材と、該芯材の外周を被覆する外皮とを有する湾曲部とを備える内視鏡用可撓管であって、
前記湾曲部の外皮の基端部および前記可撓管部の外皮の先端部が、請求項1ないし16のいずれかに記載の内視鏡用緊縛糸により、前記湾曲部の芯材または前記可撓管部の芯材に対して固定されてなることを特徴とする内視鏡用可撓管。
【請求項20】
請求項19に記載の内視鏡用可撓管を備えることを特徴とする内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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