説明

内視鏡画像再生装置

【課題】動画中のある時点の画像が被検体のどの位置でどの方向から撮影したかを容易に把握できる内視鏡画像再生装置を提供することである。
【解決手段】内視鏡挿入部先端の光学系と撮像素子で被検体を撮像する撮像部6と、撮像された信号に基づき画像データを生成する画像生成手段8と、撮像部の3軸加速度を計測する加速度計測手段7と、生成された画像データと計測された加速度データを記憶媒体に記録し動画ファイルを生成する動画ファイル生成手段121と、記録された動画ファイルから画像データと加速度データを読み出す読み出し手段122と、動画のある時点の撮像部の位置と方向を加速度に基づき算出する算出手段131と、算出された動画のある時点の撮像部の位置と方向を該時点の画像データと関連付ける関連付け手段132と、撮像部の位置に基づき動画のある範囲で挿入経路を算出する挿入経路算出手段133とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡画像再生装置に係り、特に内視鏡画像が被検体のどの位置でどの方向から撮影されたかを特定できる内視鏡画像再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡装置は、観察対象に挿入部を挿入して観察画像を得る内視鏡と、この観察画像を表示する表示手段を備えて構成したものが一般的に使用されている。観察対象としては、体腔内のほか、配管やエンジン等の構造物の内部がある。特に配管の内部を検査する際には、長尺な挿入部を有する内視鏡装置が使用される。そして、配管の形状が複雑で長い場合には、挿入するに従って挿入部先端の位置や方向が分かりにくい。
【0003】
特許文献1には、挿入部先端に3軸加速度センサを搭載するとともに、挿入部先端の移動距離を計測する挿入距離検出部を設けることで、挿入部先端の位置や方向を把握できる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−133687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、配管などの被検体の実際の検査においては、検査者は時間的な制約から、検査現場では詳細な検査を行わず、動画記録機能などを利用することで被検体の一通りの画像を撮影して動画ファイルとして記録するにとどめておき、後に動画ファイルを再生して詳細な検査を行うことがある。
【0006】
このような検査の場合、動画内の画像が被検体のどの位置でどの方向から撮影されたか分からなくなるという問題があった。
そこで、本発明は上記の問題に鑑み、動画中のある時点の画像が被検体のどの位置でどの方向から撮影したかを容易に把握できる内視鏡画像再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による内視鏡画像再生装置は、内視鏡挿入部の先端に設けられた光学系と撮像素子により被検体を撮像する撮像部により撮像された撮像信号に基づいて画像データを生成する画像生成手段と、前記画像生成手段により生成された前記画像データと前記撮像部の3軸加速度を計測する加速度計測手段により計測された加速度データとをともに連続して記憶媒体に記録することによって動画ファイルを生成する動画ファイル生成手段と、前記記憶媒体に記録された前記動画ファイルから画像データと加速度データを読み出す読み出し手段と、動画のある時点における前記撮像部の位置と方向を加速度データに基づいて算出する算出手段と、算出された動画のある時点における前記撮像部の位置と方向を該時点の画像データと関連付ける関連付け手段と、前記算出手段が算出する前記撮像部の位置に基づいて動画のある範囲での挿入経路を算出する挿入経路算出手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、動画中のある時点の画像が被検体のどの位置でどの方向から撮影したかを容易に把握できる内視鏡画像再生装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の内視鏡装置の構成を示すブロック図。
【図2】AVIファイルの構造の例を説明する図。
【図3】図2のAVIファイルにおける、動画ファイルに格納される加速度センサデータの詳細な構造を示す図。
【図4】設計図として用いるCADデータから得られるパイプの例を3次元的に示す図。
【図5】図4に示すパイプのA点からB点まで挿入した際に得られる加速度センサの3軸方向の値の例を示す図。
【図6】撮像部位置テーブルを示す図。
【図7】図6の撮像部位置テーブルを作成するフローチャート。
【図8】図6に示した撮像部位置テーブルの位置の値を3次元座標上にプロットし、かつ図4に示した設計図のパイプに重ねた状態を示す図。
【図9】管路内で撮像される内視鏡画像の動画フレーム、及び、その動画フレームを撮像する撮像部が挿入される管路内の挿入経路を示す挿入経路図を画面上に表示した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[構成]
図1は本発明の一実施形態の内視鏡画像再生装置の構成を示すブロック図である。
図1において、内視鏡画像再生装置20は、挿入部1と、本体部2と、表示装置3と、操作部4と、RAM14と、記録媒体15と、パーソナルコンピュータ(以下、PC)16とを備えている。操作部4は、位置指定手段としての機能も備えている。
【0011】
挿入部1は、配管の管路内に挿入可能な長尺の筒状体で構成されており、内視鏡挿入部1の先端部分に先端部5を備えている。
【0012】
先端部5は、内視鏡挿入部の先端に設けられた光学系61とCCD等の撮像素子62により被検体を撮像し、撮像面に入射された被写体像を光電変換し撮像信号を生成する撮像部6と、この撮像部の3軸加速度を計測する加速度計測手段としての加速度センサ7とを備える。
加速度センサ7による3軸加速度の計測は、撮像部6を管路内に挿入する過程で実施するほか、管路内から抜去する過程で実施することもできる。
【0013】
本体部2は、画像生成手段としての画像処理部8と、加速度センサ処理部9と、グラフィック生成部10と、画像合成部11と、記録媒体読み書き部12と、メイン制御部13とを備えている。なお、グラフィック生成部10は、挿入経路図生成手段としての機能も備えている。また、記録媒体15には、予め配管の設計図又は敷設図となるCADデータを記録させておく。
【0014】
上記画像処理部8は、撮像部6により撮像された撮像信号に基づいて動画の画像データを生成する。画像処理部8は、挿入部1の先端部5に内蔵されている撮像部6から出力された撮像信号が入力され、この撮像信号に対し、例えば、ガンマ補正処理、エッジ強調処理及びデジタルズーム処理等の画像処理を施し、動画の内視鏡画像データを生成する。画像処理部8は、この生成した内視鏡画像データを画像合成部11に供給する。
【0015】
また、挿入部1は、先端部5に、先端部5内の撮像部6の加速度に関する情報(以下、加速度データ)を検出する加速度センサ7を備える。
加速度センサ7は、例えば、3軸加速度センサであり、検出した撮像部6の加速度データに応じた信号、即ち、先端部5内の撮像部6の3軸方向の加速度値を本体部2の加速度センサ処理部9に出力する。なお、3軸加速度センサは、X軸、Y軸、Z軸の各検出軸を互いに直交させた形の3つのセンサを用いることによって、3次元空間内における3軸方向の加速度の大きさを得、それらをベクトル成分として合成して加速度がかかっている向きと大きさを検出できるものである。
【0016】
加速度センサ処理部9には、加速度センサ7から出力された先端部5内の撮像部6の加速度データ信号が入力される。加速度センサ処理部9は、この加速度データ信号を入力し、重力(鉛直)方向に対する傾斜角度等を表す加速度情報に変換し、変換した加速度情報をメイン制御部13に供給する。
【0017】
メイン制御部13においては、供給された加速度センサのデータに基づいて再生時に撮像部位置テーブル(図6参照)の値が算出され、撮像部位置テーブルのデータにより撮像部の位置を3次元空間座標にプロットして挿入経路f(図8参照)が求められる。この挿入経路fのデータは、メイン制御部13からグラフィック生成部10に供給される。
グラフィック生成部10は、挿入経路図生成手段101を備えている。グラフィック生成部10は、先端部5内の撮像部6の管路内での位置に基づいて算出された挿入経路fと、該挿入経路f上での撮像部の方向をインジケータgを用いて表す挿入経路図71とのデータを生成する。このグラフィック生成部10からの挿入経路図71のデータは、前記画像合成部11に供給され、前記画像処理部8からの動画データと同一画面上に合成されて表示及び又は記録される。
なお、グラフィック生成部10は、挿入経路f上の撮像部の位置での方向を示すデータとして図9に示すようなインジケータgを生成する。
【0018】
上記画像合成部11は、第1の表示制御手段111と、第2の表示制御手段112と、第3の表示制御手段113と、第4の表示制御手段114と、を備えている。
第1の表示制御手段111は、挿入経路図71のみを表示する機能を備える。第2の表示制御手段112は、再生された画像データが撮影された時点での撮像部の位置と方向を関連付け手段132により取得して、画像データおよび挿入経路図データをともに表示する機能を備える。第3の表示制御手段113は、挿入経路上のある位置と関連付けられた画像データを表示する機能を備える。第4の表示制御手段114は、挿入経路図生成手段としてのグラフィック生成部10により生成された挿入経路f(図9参照)とCADデータから得られる被検体の形状を示す設計図データに基づくパイプ形状eとをともに表示する機能を備える。
【0019】
画像合成部11では、第4の表示制御手段114によって、設計図に相当するCADデータから作成した被検体のパイプ形状e(図4参照)に挿入経路fを重ね合わせた挿入経路図71(図9参照)を生成する。そして、第2の表示制御手段112によって、この挿入経路図71と動画フレーム51とを合成して図9に示すような画像表示領域9-1と挿入経路図表示領域9-2とを備えた合成画像を生成し、表示部3aに表示する。
【0020】
なお、この画像合成部11は、メイン制御部13による制御に応じて、内視鏡画像を表示装置3に単独で表示するための処理を行うことも可能である。
【0021】
上記記録媒体読み書き部12は、動画ファイル生成手段121と、読み出し手段122と、画像再生手段123と、を備えている。
動画ファイル生成手段121は、画像処理部8により生成された画像データと加速度センサ7により計測された加速度データとを共に連続して記憶媒体15に記録することによって動画ファイルを生成する機能を備える。読み出し手段122は、記憶媒体15に記録された動画ファイルから画像データと加速度データを読み出す機能を備える。画像再生手段123は、動画または動画中の画像を再生する機能を備える。
【0022】
記録媒体読み書き部12には、例えば、フラッシュメモリカード等の記録媒体15が着脱自在に接続されるようになっている。記録媒体読み書き部12に記録媒体15が装着された状態では、記録媒体読み書き部12は操作部4からの記録指示に基づき、メイン制御部13からの制御に従って画像合成部11に供給される内視鏡画像データ及び挿入経路図71のデータを読み出し、1つの動画ファイルとして記録媒体15に供給して記録する。動画ファイルとしては、例えば、Motion JPEG形式のAVIファイルが用いられる。
【0023】
操作部4には、先端部5の湾曲操作及び上述した記録媒体15への記録操作等を行うための図示しない操作スイッチ等が設けられており、検査者は、操作部4の操作スイッチを操作し、湾曲操作及び記録操作等の所望の操作を行う。操作部4は、検査者の操作に応じた操作信号をメイン制御部13に供給する。
【0024】
上記メイン制御部13は、操作部4からの操作信号に応じた処理を行うように各回路部等を制御し、内視鏡画像再生装置20全体の動作制御を行う。
【0025】
メイン制御部13は、動画のある時点における撮像部6の位置と方向を加速度に基づいて算出する算出手段131と、算出された動画のある時点における撮像部6の位置と方向を該時点の画像と関連付ける関連付け手段132と、算出手段131が算出する撮像部6の位置に基づいて動画のある範囲での挿入経路を算出する挿入経路算出手段133と、を備えている。
【0026】
なお、操作部4は、表示されている挿入経路f上でカーソルとしての撮像部位置インジケータgを移動させて、挿入経路図71(図9参照)における撮像部位置を指定する位置指定手段としても用いられる。この場合、挿入経路f上のインジケータgの位置の変更に応じて表示画面上の動画フレーム51も変化し、再生バー53上のスライダ52の位置も変化することになる。インジケータgは、所定長の長さでかつ撮像部のある位置での撮影方向を示す機能も備えている。
【0027】
次に、図1の内視鏡画像再生装置の動作を説明する。図2以降のいずれかの図も参照しながら説明する。
[撮影及び記録動作]
内視鏡挿入部1の先端部分(撮像部6を含む)を被検体である配管の管路内に挿入していくことによって、撮像部6が管路内部をほぼ一定速度で移動して撮影する。このとき、管路の挿入端から管路のある範囲に亘って撮像部6を移動しながら動画撮影する。撮像した撮像信号は画像処理部8で画像処理され、内視鏡画像データとして記録媒体15に記録される。この記録動作では、メイン制御部13における関連付け手段132によって、内視鏡画像データの動画フレームと、加速度センサ7からの加速度データとが関連付けられた後、記録媒体読み書き部12によりこれらの関連付けされた動画フレーム及び加速度データが動画ファイルとして記録媒体15に記録される。
【0028】
[再生動作]
上記の記録動作の後に、検査者が操作部4の操作により、記録媒体15の動画ファイルを開く操作などにより動画ファイルを開くと、メイン制御13は、図7のフローチャートの処理により、読み出し手段122を制御して、前記記録媒体15に記録された前記動画ファイルから画像データと加速度データを読み出す。図7については後述する。その後に、メイン制御部13は、算出手段131を制御してその加速度データの加速度値を積分することによって、図6に示すような管路内での撮像部6の撮影位置と撮影方向を算出して撮像部位置テーブルを作成する。撮像部位置テーブルは、作成後に記録媒体15に保存しておく。そして、この作成した撮像部位置テーブルの位置データを用いてその位置での撮像部6の撮影方向も算出する。さらに、メイン制御部13は、挿入経路算出手段133を制御して、算出されている撮像部5の位置に基づいて動画のある範囲での挿入経路fを算出し、その挿入経路fを動画フレーム51とともに表示部3aに表示する。挿入経路fは、算出後に記録媒体読み書き部12を用いて記録媒体15に保存しておく。
なお、記録媒体15には予め配管の設計図となるCADデータが記録してあり、管路内における撮像部6の挿入経路fが設計図のパイプ形状eに重ね合わされて、表示部3aの画面に表示される。
【0029】
動画フレーム51の再生と同時に、挿入経路f上にはカーソルとしての撮像部位置インジケータgが表示される。インジケータgは、点(・)は撮像部の位置を示し、所定長の矢印(↑)は撮像部の撮影する方向を示している。そして、動画フレーム51の再生と連動して、該インジケータgは撮像部6の挿入経路f上を時間経過とともに移動する。つまり、このインジケータ位置の移動に対応して、管路内を撮影した動画フレーム51も順次に表示されると同時に、図9に示す再生バー53上の時間的な再生位置を示すスライダ52も再生バー上を移動する。
【0030】
なお、再生動作時に行っている撮像部位置テーブルの算出を、撮影及び記録動作時に行ってもよい。つまり、撮影及び記録動作時に、動画データと加速度データを動画ファイルとして記録媒体15に記録した後に、撮像部位置テーブルの速度と位置データを算出して記録媒体15に保存しておくようにしてよい。
【0031】
なお、表示部3aには、画像合成部11を構成する第1乃至第4の表示制御手段111〜114によって、図9に示した表示状態以外の表示も可能である。メイン制御部13は、第1の表示制御手段111を制御することによって、挿入経路図71のみを画面上に表示することが可能である。また、メイン制御部13は、第2の表示制御手段112を制御することによって、動画フレーム51と挿入経路図71をともに同一画面上に表示することが可能である。さらに、メイン制御部13は、第3の表示制御手段113を制御することによって、挿入経路f上のある撮像部位置に対応した動画フレーム51を画面上に表示させることが可能である。さらに、メイン制御部13は、第4の表示制御手段114を制御することによって、挿入経路fと設計図データに基づくパイプ形状eをともに重ねて画面上に表示することが可能である。
【0032】
このように、本実施形態によれば、動画中のある時点の画像データが被検体のどの部分をどの方向から撮影したかを容易に把握でき、操作性、視認性及び利便性に優れた管路内点検を実施することが可能となる。
【0033】
次に、図2を参照して記録媒体15に記録されるAVIファイルの構造について説明する。
図2は、AVIファイルの構造の例を説明するための図である。
図2に示すように、AVIファイル30は、RIFF(Resource Interchange File Format)というフォーマットであり、ファイルの先頭から順に、LIST“hdrl”で示すヘッダ部31と、JUNKで示すダミーチャンク32と、LIST“movi”で示すストリームデータ部33と、idx1で示すインデックス34とを有した構造となっている。
【0034】
このヘッダ部31は、Avihで示すAVIメインヘッダ35と、LIST“strl”で示すビデオデータ用のストリームリスト36と、LIST“strl”で示すオーディオデータ用のストリームリスト37とを有した構造となっている。
【0035】
このオーディオデータ用のストリームリスト37は、strhで示すAVIストリームヘッダ38と、strfで示すストリームフォーマット39、strnで示すオプションデータ40とを有した構造となっている。
【0036】
本実施の形態では、ヘッダ部31のオプションデータ40のオプションデータ内容に付加情報フラグが追加されている。この付加情報フラグは、AVIファイル30に加速度情報が格納されているか否かを示すフラグである。AVIファイル30に加速度センサのデータが格納されていない場合、付加情報フラグのフラグ情報は0に設定され、AVIファイル30に加速度情報が格納されている場合、付加情報フラグのフラグ情報は1に設定される。この付加情報フラグのフラグ情報の設定は、メイン制御部13の制御に応じて、記録媒体読み書き部12が設定する。
【0037】
また、ストリームデータ部33は、単位時間毎に区切られた複数、ここでは2つのストリームデータ33a及び33bを有した構造となっている。なお、図2では、2つのストリームデータ33a及び33bのみを記載しているが、動画像の撮影時間に応じたストリームデータがストリームデータ部33に格納される。即ち、AVIファイル30に60秒の動画像を記録する場合、ストリームデータ部33は、60個のストリームデータを有することになる。なお、各ストリームデータの構成は同一のため、以下では、ストリームデータ33aの構成を例に説明する。なお、ストリームデータ部33の右側に付した符号Aの範囲にはフレーム毎のJPEGデータを1秒分格納しており、符号Bの範囲には1秒分の加速度センサ値を格納している。
【0038】
ストリームデータ領域としてのストリームデータ33aは、画像格納領域である30個の画像ストリーム41aにより構成され、さらに、加速度情報を付加する場合、情報格納領域である情報ストリーム42aの領域が確保される。そして、加速度情報を付加する場合、この情報ストリーム42aの領域に加速度情報が格納される。この画像ストリーム41aには、内視鏡画像のデータが格納され、情報ストリーム42aには、その内視鏡画像のデータに対応付けられた加速度情報が格納される。
【0039】
なお、単位時間あたりのストリームデータ33aには、30個の画像ストリーム41aが格納されている、即ち、フレームレートが30となっているが、フレームレートは30に限定されることなく、例えば、24であってもよい。
【0040】
また、ストリームデータ33aに1つの情報ストリーム42aを設けているが、2つ以上の情報ストリームを設けてもよい。例えば、単位時間あたりのストリームデータ33aに30個の画像ストリーム41aのそれぞれに対応する30個の情報ストリームを設ける。そして、30個の情報ストリームの領域のそれぞれに、30個の画像ストリーム41aに対応する加速度情報を格納する。これにより、30個のフレームデータに対応した30個の加速度情報が表示されるため、正確な加速度情報を表示することができる。
【0041】
さらに、本実施の形態では、1つのAVIファイル30に内視鏡画像及び加速度情報を格納して保存している。例えば、動画ファイルが大量にある場合、内視鏡画像のデータと、加速度情報とを別のファイルに保存していると、ファイルのコピー及び移動等が煩わしい。また、動画ファイルが大量にある場合、内視鏡画像のデータと、加速度情報とを別のファイルに保存していると、ファイルのコピー及び移動等の漏れが発生することがある。即ち、内視鏡画像のデータのファイルと、加速度情報のファイルとのいずれか一方にコピー漏れ等があると、詳細な検査ができなくなる。これに対し、本実施の形態では、1つのAVIファイル30に内視鏡画像及び加速度情報を記録するので、ファイルのコピー漏れ等の発生を防ぐことができ、ファイルの管理が容易になる。
【0042】
なお、動画ファイルの形式は、AVIファイル30に限定されることなく、MOVファイル等であってもよい。MOVファイルは、トラック単位で構成されており、動画に加え、テキストトラック、チャプタトラック等を含むことできる。例えば、このテキストトラックまたはチャプタトラックに加速度情報を記録することができる。
【0043】
このような記録媒体15に記録されたAVIファイル30は、上述したように、内視鏡画像再生装置20で再生することも可能であるが、検査者が記録媒体15を事務所等に持ち帰り、詳細な検査を行う場合、重量のある内視鏡画像再生装置20も持ち運ぶことは面倒である。そこで、検査者は、記録媒体15のみを事務所等に持ち帰り、記録媒体15に記録されたAVIファイル30を図示しないPCで構成される再生装置で再生し、詳細な検査を行うとともに、詳細な検査結果に応じた検査レポートを作成することも可能である。
【0044】
図3は図2のAVIファイルにおける、動画ファイルに格納される加速度センサデータの詳細な構造を示している。例えば図2の加速度センサデータ42aの構成例を示している。
【0045】
加速度センサデータとしては、サイズ、サンプリング回数、サンプリング時刻、X軸加速度センサ値、Y軸加速度センサ値、Z軸加速度センサ値を備えている。加速度センサの単位時間当たりのサンプリング回数は、単位時間当たりの動画フレーム数と必ずしも同じでなくてもよい。例えば、画フレーム数が1sec当たり30枚である場合、加速度センサの1sec当たりのサンプリング回数が2倍の60回であってもよい。図6には、動画フレーム1枚につき、加速度センサのサンプリング回数が2回である場合を示してある。
【0046】
図4は、設計図として用いるCADデータから得られるパイプ形状eの例を示している。X軸、Y軸、Z軸の3軸による3次元空間に立体的に表示した例を示している。
図5は図4に示すパイプのA点からB点まで挿入した際に得られる3軸加速度センサの値の例である。内視鏡挿入部1の先端部分がパイプのA点に挿入されたとき、撮像部6のZ軸加速度値がZ軸(+)方向に短時間に急速に増加及び減少した後、加速度0即ち一定速度でZ軸(+)方向に移動する。その後、第1の屈曲箇所に至り、Z軸(−)方向加速度が急速に増加及び減少しかつX軸(+)方向加速度が急速に増加及び減少する。そして、再び加速度0即ち一定速度でX軸(+)方向に移動して第2の屈曲箇所に至って、X軸(−)方向加速度が急速に増加及び減少しかつY軸(+)方向加速度が急速に増加及び減少する。以降同様にして、図4のパイプ形状に対応する移動に伴って、特に屈曲箇所において該当する各軸の加速度が急速に変化し増減する。
3軸加速度センサのX,Y,Z軸方向の各加速度値は、時間経過に対応して撮像された画像データとともに記録媒体15上の動画ファイルに記録される。
【0047】
メイン制御部13の制御に基づいて動作する記録媒体読み書き部12(或いはPC16)が記録媒体15上の動画ファイルを読み込むと、図7のフローチャートの処理により、動画ファイル内の加速度センサデータに基づいて図6に示すような撮像部位置テーブルを作成する。
【0048】
図6は撮像部位置テーブルを示し、図7は図6の撮像部位置テーブルを作成するフローチャートを示している。
まず、動画ファイルの加速度センサデータから、時刻ごとの加速度センサ値を得る(ステップS1)。次に、加速度センサ値を積分して速度と位置を計算し(ステップS2)、計算して得られたデータを撮像部位置テーブルに登録する。さらに、時刻ごとの動画フレームの番号を計算する(ステップS3)。同じ番号は同じ動画フレームであることを表している。
【0049】
図8は、図6に示した撮像部位置テーブルの位置の値を3次元座標上にプロットした状態を示している。プロットの結果、内視鏡撮像部の挿入経路f(太線にて示す)が得られる。
図8では上記挿入経路fを、CADデータに基づいて得られた図4の設計図のパイプ形状eに重ねて示している。
【0050】
図9は配管等の管路内で撮像される内視鏡画像である動画フレーム51及びその表示状態を変更する操作ボタンと、その動画フレームを撮像する撮像部が挿入される管路内の挿入経路を示す挿入経路図71及び撮像部位置を示すインジケータgの位置及び方向表示と、を内視鏡画像再生装置20の表示装置3の表示部3aに表示した状態を示している。
表示部3aにおいて、符号9-1は内視鏡画像の画像表示領域、9-2は挿入経路図表示領域である。画像表示領域9-1において、符号51は動画フレーム、52は再生バー53上を移動可能なスライダ、53は再生バー、54は再生ボタン、55は停止ボタン、56は巻き戻しボタン、57は早送りボタンである。挿入経路図表示領域9-2において、符号eは設計図に基づく管路であるパイプ、fは加速度データに基づいて算出された撮像部位置をプロットして得られた撮像部の挿入経路、gは動画再生時に表示されている動画の撮影位置に対応した挿入経路f上の位置を示す撮像部位置インジケータ、72は撮像部位置インジケータgの位置及び方向をX,Y,Zの座標で表した位置及び方向表示、を示している。
【0051】
メイン制御部13の制御に基づいて動作する記録媒体読み書き部12(或いはPC16)が記録媒体15上の動画ファイルを開くと、図6の撮像部位置テーブルを作成して挿入経路fを計算し、該挿入経路fを動画フレーム51とともに表示装置3の表示部3aに表示する。
【0052】
動画フレーム51の再生と連動して、撮像部位置インジケータgが挿入経路fに沿って動く。撮像部位置インジケータgの位置は、表示している動画フレーム51に応じて図6の撮像部位置テーブルから取得する。撮像部位置インジケータgは操作部4のキー操作(或いはマウス操作)で挿入経路f上で移動することができる。撮像部位置インジケータgが移動されると、撮像部位置に対応する動画中の動画フレームの番号を撮像部位置テーブルから取得し、動画フレームの再生位置を移動させる。
【0053】
以上の構成では、内視鏡先端に設けた3軸加速度センサの出力値は対応する動画ファイルに記録されている。図6に示したように3軸加速度センサの値が出力されたタイミングと動画のフレームはタイミングが関連付けられている。
【0054】
動画ファイルに記録された3軸加速度センサの出力値を積分することで、動画のフレームごとに内視鏡先端の位置と方向を計算する。方向は、X軸,Y軸,Z軸による3軸空間座標上での位置座標の変化から求められる。複数の位置と方向を計算することで、図9の符号9-2に示すような挿入経路図71を作成し表示する。そして、図9の符号9-2に示すように被検体の設計図に相当するパイプ形状eを挿入経路図71の挿入経路fに重ねて表示する。
【0055】
動画を再生すると、表示画像を撮影した位置に対応する挿入経路図71の挿入経路f上の位置に撮像部位置インジケータgを表示する。このインジケータgの位置によって、表示している画像が被検体であるパイプのどの位置でどの方向から撮影したものか簡単に把握できる利点がある。
【0056】
一方、画像表示領域9-1における再生時間軸を示す再生バー53上に置かれている移動可能なスライダ52にキー操作(或いはマウスカーソル)を用いて左右に移動し再生バー53上のある位置にスライダ52を置くことにより、そのスライダの位置に対応した時間経過点の動画フレーム51が表示されると同時に、挿入経路図表示領域9-2における挿入経路f上の撮像部位置インジケータgも表示されている動画フレーム51に対応した挿入経路f上の位置に移動して表示される。これにより、被検体(例えばパイプ)の所望の場所の画像を動画フレームとして画像表示すると同時に被検体の形状に沿ってプロットされた挿入経路f上の撮像部位置インジケータgも対応した位置に同時に移動して表示でき、操作性、視認性及び利便性に優れた管路内点検を実施することが可能となる。
【0057】
なお、PC16に、画像合成部11と、グラフィック生成部10と、メイン制御部13と、動画ファイル生成手段を除く記録媒体読み書き部12と、の各部の機能を持たせた構成としてもよい。
【0058】
本実施形態によれば、動画中のある時点の画像が被検体のどの部分をどの方向から撮影したかを容易に把握できる内視鏡画像再生装置を実現することが可能となる。
【0059】
本発明の一実施形態を説明したが、本発明の実施形態は、例として示したものであり、発明の範囲を限定するものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の置き換え、変更、変形、省略を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…挿入部、2…本体部、3…表示装置、4…操作部(位置指定手段)、5…先端部、6…撮像部、7…加速度センサ(加速度計測手段)、8…画像処理部(画像生成手段)、9…加速度センサ処理部、10…グラフィック部(挿入経路図生成手段)、11…画像合成部、12…記録媒体読み書き部、13…メイン制御部、14…RAM、15…記録媒体、16…PC、61…光学系、62…撮像素子、71…挿入経路図、72…位置及び方向表示、111…第1の表示制御手段、112…第2の表示制御手段、113…第3の表示制御手段、114…第4の表示制御手段、121…動画ファイル生成手段、122…読み出し手段、123…画像再生手段、131…算出手段、132…関連付け手段、133…挿入経路算出手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡挿入部の先端に設けられた光学系と撮像素子により被検体を撮像する撮像部により撮像された撮像信号に基づいて画像データを生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段により生成された前記画像データと前記撮像部の3軸加速度を計測する加速度計測手段により計測された加速度データとをともに連続して記憶媒体に記録することによって動画ファイルを生成する動画ファイル生成手段と、
前記記憶媒体に記録された前記動画ファイルから画像データと加速度データを読み出す読み出し手段と、
動画のある時点における前記撮像部の位置と方向を加速度データに基づいて算出する算出手段と、
算出された動画のある時点における前記撮像部の位置と方向を該時点の画像データと関連付ける関連付け手段と、
前記算出手段が算出する前記撮像部の位置に基づいて動画のある範囲での挿入経路を算出する挿入経路算出手段と、
を有することを特徴とする内視鏡画像再生装置。
【請求項2】
前記挿入経路と該挿入経路上での前記撮像部の方向とを表す挿入経路図を生成する挿入経路図生成手段と、
前記挿入経路図を表示する第1の表示制御手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡画像再生装置。
【請求項3】
動画または動画中の画像データを再生する画像再生手段と、
画像再生時に再生された画像データに対応して、該画像データが撮影された時点での前記撮像部の位置と方向を前記関連付け手段により取得して、画像データおよび挿入経路図をともに表示する第2の表示制御手段と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡画像再生装置。
【請求項4】
前記挿入経路上のある位置を指定する位置指定手段と、
該位置と関連付けられた画像データを表示する第3の表示制御手段と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡画像再生装置。
【請求項5】
前記挿入経路図生成手段により生成された挿入経路と被検体の形状を示す設計図をともに表示する第4の表示制御手段、
を有することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡画像再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−139456(P2012−139456A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−796(P2011−796)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】