内視鏡装置、内視鏡システム及び内視鏡装置本体部
【課題】回路規模を増大させること無く、挿入部の種類を判別することができる内視鏡装置を提供する。
【解決手段】内視鏡装置1は、本体部3と、本体部3に対して着脱自在で、被写体を撮像する撮像素子が先端部に設けられた、複数の細長の挿入部2と、それぞれが複数の挿入部2の先端部に設けられ、互いに出力特性が異なる、先端部の温度を検出するための複数のサーミスタ13と、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13の出力値から、出力特性に基づき、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13を特定することによって、挿入部2の種類を判別する種類判別部と、を有する。
【解決手段】内視鏡装置1は、本体部3と、本体部3に対して着脱自在で、被写体を撮像する撮像素子が先端部に設けられた、複数の細長の挿入部2と、それぞれが複数の挿入部2の先端部に設けられ、互いに出力特性が異なる、先端部の温度を検出するための複数のサーミスタ13と、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13の出力値から、出力特性に基づき、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13を特定することによって、挿入部2の種類を判別する種類判別部と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部が着脱自在の内視鏡装置において、挿入部の種類を判別することができる内視鏡装置、内視鏡システム及び内視鏡装置本体部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療分野において、体腔内に細長の挿入部を挿入することにより、体腔内臓器等を観察したり、必要に応じ処置具チャンネル内に挿通した処置具を用いて各種処置のできる内視鏡が広く利用されている。また、工業分野においても、ボイラ、タービン、エンジン、化学プラント等の内部の傷、腐食等の観察、検査に内視鏡が広く利用されている。
【0003】
このような工業用内視鏡の検査では、検査効率を上げるために被検体の温度が下がりきる前に挿入部を被検体に挿入して検査を行わなければならない場合がある。そのため、高温下における挿入部の先端部の温度ストレスによる破壊を防止するために、挿入部の先端部に温度センサを搭載して、挿入部の先端部の温度を検出できる内視鏡装置が広く使われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、工業用内視鏡においては、様々な被険体に対応するため、外径、長さ等が異なる複数種類の挿入部を、本体部に着脱自在に取り付けられるようになっている内視鏡装置がある。このような内視鏡装置によれば、ユーザは、複数種類の内視鏡を所持しておき、被検体に応じて、内視鏡の使い分けをすることができる。
【0005】
挿入部の外径や長さが異なると、CCD信号線の外径や長さが異なるため、挿入部の外径や長さに応じてCCD駆動を最適化する必要がある。また、挿入部の外径や長さが同じでも、挿入部の先端部に取り付けられたCCDの種類が異なる場合があり、その場合にはCCD駆動及び信号処理側も変更する必要がある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、挿入部の先端部にLED光源を搭載する場合には、LED光源の並列数(LEDが並列接続されているときのLEDの数)や、直列数(LEDが直列接続されたときのLEDの数)、駆動するための信号線の外径、などが変わるので、LED光源の駆動も、挿入部の外径や長さに応じて最適化する必要がある。
【0007】
その他にも、外径や長さが異なる挿入部に応じて、挿入部の先端部を同じ角度に湾曲させるためには、挿入部の先端部に固定されている湾曲ワイヤーの牽引力を本体部側で変更する必要がある。挿入部が太くなるほど、あるいは長くなるほど、その牽引力を強くしなければ、外径や長さが異なる挿入部に対して、同じ湾曲角度を得ることが出来ない。
【0008】
そこで、これらの課題を解決するためには挿入部の種類を判別して、その判別結果に応じて、本体部において、CCD駆動、LED光源駆動などの制御を変更する内視鏡も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−151594号公報
【特許文献2】特開昭62−213387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、このような挿入部が本体部に着脱可能な内視鏡装置において、本体部に接続された挿入部の種類を判別するためには、挿入部の種類を判別するための専用の判別回路が必要となり、回路規模が増大してしまうという問題があった。
【0011】
また、従来の挿入部の先端に設けられている温度センサは、温度検出のために各挿入部には同一特性の温度センサが搭載されているため、温度センサの出力に基づいて、挿入部の種類判別に用いることはできない。
そこで、本発明では、回路規模を増大させること無く、挿入部の種類を判別することができる内視鏡装置、内視鏡システム及び内視鏡装置本体部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、本体部と、前記本体部に対して着脱自在で、被写体を撮像する撮像素子が先端部に設けられた、複数の細長の挿入部と、それぞれが前記複数の挿入部の前記先端部に設けられ、互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための複数の第1の温度センサと、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサの出力値から、前記出力特性に基づき、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することによって、前記挿入部の種類を判別する種類判別部と、を有する内視鏡装置を提供することができる。
【0013】
本発明の一態様によれば、本体部と、前記本体部に対して着脱自在で、被写体を撮像する撮像素子が先端部に設けられた、複数の細長の挿入部と、それぞれが前記複数の挿入部の前記先端部に設けられ、互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための複数の第1の温度センサと、前記本体部に設けられた第2の温度センサと、前記第2の温度センサの検出温度に対応する前記出力特性に基づき、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することによって、前記挿入部の種類を判別する種類判別部と、を有する内視鏡装置を提供することができる。
【0014】
本発明の一態様によれば、内視鏡装置の本体部に対して着脱自在な複数の細長の挿入部からなる内視鏡システムであって、各挿入部は、先端部に設けられ、被写体を撮像する撮像素子と、前記先端部に設けられ、他の挿入部の温度センサとは互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための温度センサと、を有する内視鏡システムを提供することができる。
【0015】
本発明の一態様によれば、被写体を撮像する撮像素子が先端部に設けられ、互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための温度センサを有する複数の細長の挿入部が着脱可能な本体部であって、前記本体部に接続された挿入部の温度センサの出力値から、前記出力特性に基づき、前記本体部に接続された挿入部の温度センサを特定することによって、前記挿入部の種類を判別する種類判別部と、を有する内視鏡装置本体部を提供することができる。
【0016】
本発明の一態様によれば、被写体を撮像する撮像素子が先端部に設けられ、互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための複数の第1の温度センサを有する複数の細長の挿入部が着脱可能な本体部であって、前記本体部に設けられた第2の温度センサと、前記第2の温度センサの検出温度に対応する前記出力特性に基づき、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することによって、前記挿入部の種類を判別する種類判別部と、を有する内視鏡装置本体部を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、回路規模を増大させること無く、挿入部の種類を判別することができる内視鏡装置、内視鏡システム及び内視鏡装置本体部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる内視鏡装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わるCCD駆動回路24とシステム制御部27の構成を説明するためのブロックである。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係わる、A/Dコンバータ51に入力されるサーミスタ13の出力電圧(縦軸)と、挿入部2の先端部の温度(横軸)の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係わる、挿入部2の種類を判別するための判別処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係わる、A/Dコンバータ51に入力されるサーミスタ13の出力電圧(縦軸)と、挿入部2の先端部の温度(横軸)の関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係わる、挿入部2の種類を判別するための判別処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係わる、A/Dコンバータ51に入力される電圧(縦軸)と、挿入部2の先端部の温度(横軸)の関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係わる、挿入部2の種類を判別するための判別処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係わる、CCD駆動回路24Aとシステム制御部27の構成を説明するためのブロックである。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係わる、サーミスタ13の出力であるA/Dコンバータ51に入力される電圧(縦軸)と、挿入部2の先端部の温度(横軸)の関係を示すグラフである。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係わる、挿入部2の種類を判別するための判別処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係わる、挿入部2の種類を判別するための判別処理の流れの例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
(全体構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係わる内視鏡装置の構成を示す構成図である。
【0020】
内視鏡装置1は、細長の挿入部2と、本体部3と、液晶表示装置(LCD)等の表示装置4を含み、挿入部2は、本体部3に着脱自在に構成されている。また、本体部3には記録媒体5が取り付け可能となっており、記録媒体5に静止画、動画の記録が可能となっている。また、挿入部2と本体部3との接続部分には、電気的な接続を行うための着脱コネクタ6a、6b、複数の湾曲用ワイヤーを接続する湾曲ワイヤー接続機構7a、7bが配置されている。
【0021】
挿入部2は、先端部に、固体撮像素子としての電荷結合素子(以下、CCDと略記)11と、対物レンズ12と、温度センサであるサーミスタ13と、照明用の発光ダイオード14と、複数の湾曲ワイヤーを固定するためのワイヤー固定部15とを有している。
対物レンズ12は、先端部の観察窓を介する被写体からの光を集光してCCD11の撮像面に結像させる。CCD11は、撮像面の像を光電変換して撮像信号を生成し、着脱コネクタ6a、6bを介して、本体部3に出力する。CCD11は、複合同軸ケーブルにより本体部3と接続され、複合同軸ケーブルを介してCCD駆動信号を受信し、複合同軸ケーブルを介して撮像信号を送信する。
そして、本体部3には、複数の挿入部2が着脱可能となっている。複数の挿入部2は、内視鏡システムを構成する。よって、内視鏡装置1は、本体部3に対して着脱自在で、被写体を撮像する撮像素子であるCCD11が先端部に設けられた、複数の細長の挿入部2を含む。
【0022】
サーミスタ13は、挿入部2の先端部の温度、特にCCD11の温度、を検出するように、CCD11の近傍に配置されている。後述するように、サーミスタ13は、挿入部2の種類を判別するためにも用いられる。サーミスタ13の出力(すなわち電圧信号)も、着脱コネクタ6a、6bを介して、本体部3に出力される。
LED14は、先端部の照明窓を介して被写体を照明するために照明部であり、着脱コネクタ6a、6bを介する本体部3からのLED駆動信号に基づいて、駆動されて発光する。
従って、LED14により照明されて反射する被写体からの光は、挿入部2の先端部に配置された対物レンズ12により、その結像位置に配置されたCCD11の撮像面上に結像され、CCD11で光電変換されて撮像信号が生成され、CCD11に接続された複合同軸ケーブルを介して、本体部3へ供給される。
【0023】
また、ワイヤー固定部15は、湾曲ワイヤー接続機構7a、7bを介して、挿入部2内に挿通された複数の湾曲ワイヤーの先端部が接続されて、各湾曲ワイヤーの先端部を固定する。
【0024】
本体部3は、プリアンプ21と、アナログフロントエンド(以下、AFEと略記)22と、画像処理部23と、CCD駆動回路24と、タイミングジェネレータ25と、LED駆動回路26と、システム制御部27と、湾曲制御部28と、UD湾曲モータ29と、RL湾曲モータ30と、画像記録部31と、LCDコントローラ32と、ユーザインターフェース33とを含んで構成されている。
【0025】
CCD11に接続された複合同軸ケーブルの信号線は、着脱コネクタ6a、6bを介してプリアンプ21と、CCD駆動回路24に接続されている。CCD駆動回路24は、タイミングジェネレータ25からのCCD11を駆動するためのパルス信号を受信し、CCD11までの伝送路長(複合同軸ケーブルの長さ)に応じた駆動処理を施して、CCD駆動信号を、CCD11に伝送する。また、CCD駆動回路24は、システム制御部27からの切替制御信号SSが入力されるように、システム制御部27と接続されている。
【0026】
CCD11は、CCD駆動信号に基づいて光電変換を行い、撮像信号であるCCD出力信号を出力する。CCD出力信号は、複合同軸ケーブルを介してプリアンプ21に入力される。プリンアンプ21は、複合同軸ケーブルを介する伝送により減衰した信号レベルを補うためにCCD出力信号を増幅する。プリアンプ21にて増幅されたCCD出力信号は、AFE22に入力される。AFE22は、CCD出力信号を、CDS(相関二重サンプリング)処理、AGC(自動ゲイン調整)処理、及びA/D変換(アナログデジタル変換)処理した後、画像処理部23に出力する。
【0027】
画像処理部23は、ホワイトバランス、ガンマ補正、輪郭補正、電子ズーム、色補正、コントラスト補正、AE(自動露出)制御、等の各種画像信号処理を行う。画像処理部23は、システム制御部27と通信を行う。システム制御部27は、ユーザインターフェース33からの入力信号(ズーム指示信号、ブライトネス指示信号、等)を受け取り、入力信号に対応したコマンドを画像処理部23に対して出力し、画像処理部23は、そのコマンドに従って各処理を行う。
【0028】
挿入部2の先端部に配置された照明用のLED14は、着脱コネクタ6a、6bを介して接続されたケーブルにより、LED駆動回路26と接続されている。LED駆動回路26は、システム制御部27と接続されている。LED駆動回路26は、システム制御部27からのLED点灯信号に応じて、LED14の点灯及び消灯が制御される。システム制御部27は、ユーザインターフェース33からの入力信号(LEDのオン信号、オフ信号)を受信し、LED駆動回路26を制御する。
【0029】
挿入部2の先端部に設けられたワイヤー固定部15には、4本のワイヤーが接続されている。それらのワイヤーは上下左右方向の湾曲をさせるためのものであり、上下方向(UD方向)を制御するワイヤー2本はUD湾曲モータ29に接続されており、左右方向(RL方向)を制御するワイヤー2本はRL湾曲モータ30に接続されている。それらのUD湾曲モータ29及びRL湾曲モータ30は、湾曲制御部28に接続されている。さらに、湾曲制御部28は、システム制御部27に接続されている。
【0030】
ユーザインターフェース33には、挿入部の先端部を湾曲するためのジョイスティックが搭載されており、ユーザがそのジョイスティックを上下方向に傾倒させると、システム制御部27は湾曲制御部28に上下方向湾曲指示信号を出力する。湾曲制御部28は受信した上下方向湾曲指示信号に基づいてUD湾曲モータ29を駆動制御して、UD湾曲モータ29に接続されている2本の湾曲ワイヤーの牽引及び弛緩を行う。それにより、ユーザは、挿入部2の先端部を上下方向に湾曲させることができる。
【0031】
左右方向の湾曲も同様に、ユーザがジョイスティックが左右方向に傾倒させると、システム制御部27は湾曲制御部28に左右方向湾曲指示信号を出力する。湾曲制御部28は受信した左右方向湾曲指示信号に基づいてRL湾曲モータ30を駆動制御して、RL湾曲モータ30に接続さている2本の湾曲ワイヤーの牽引及び弛緩を行う。それにより、ユーザは、挿入部2の先端部を左右方向に湾曲させることができる。
【0032】
画像記録部31は、フリーズ、静止画記録及び動画記録の制御を行う処理部である。画像記録部31に入力された映像信号は、エンコーダにて圧縮され、静止画もしくは動画として記録媒体5に記録される。
【0033】
この画像記録動作は、システム制御部27が、ユーザインターフェース33からの入力に基づいて記録指示信号を画像記録部31へ送信し、画像記録部31がその記録指示信号を受信した場合に行われる。なお、画面に対して一旦フリーズを実施した後に記録をする場合には静止画記録、フリーズせずに記録をする場合には動画記録となる。
【0034】
また、記録媒体5に記録されている静止画もしくは動画は、画像記録部31においてデコーダされて伸張され、LCDコントローラ32に出力される。この画像再生動作は、システム制御部27が、ユーザインターフェース33からの入力に基づいて再生指示信号を画像記録部31に送信し、画像記録部31がその再生指示信号を受信した場合に行われる。
【0035】
画像記録部31から出力された映像信号は、LCDコントローラ32に出力される。LCDコントローラ32では、入力された映像信号に対して最適な画像処理(ガンマ補正、スケーリング、RGB変換、等)を施し、その画像処理された映像信号をLCD4に出力する。LCD4では、入力された映像信号に基づき映像信号を表示画像として表示する。
【0036】
挿入部2の先端部に配置されたサーミスタ13は、着脱コネクタ6a、6bを介して接続される信号線を介して、システム制御部27と接続されている。システム制御部27は、サーミスタ13の出力を元に、LCD4の画面上に挿入部2の先端部の温度情報を表示する。
【0037】
次に、CCD駆動回路24とシステム制御部27の構成について説明する。
図2は、CCD駆動回路24とシステム制御部27の構成を説明するためのブロックである。
CCD駆動回路24は、スイッチ41と複数の駆動回路を有している。ここでは、挿入部2の径や長さが異なる3種類の挿入部に対応可能なように3つの駆動回路42,43,44が設けられている。駆動回路42,43,44は、タイミングジェネレータ25と接続され、タイミングジェネレータ25からのパルス信号が入力される。3つの駆動回路42,43,44は、入力されたパルス信号の振幅をそれぞれの所定の大きさに増幅して、CCD駆動信号として、各駆動回路に接続されているスイッチ41に出力する。
【0038】
スイッチ41は、複数の(ここでは3つの)駆動回路の出力を切り替えて出力する切り替え回路である。そのため、スイッチ41は、3つの駆動回路の出力にそれぞれ接続された3つの入力端子C1、C2、C3と、1つの出力端子CCを、内部に含み、後述するように、接続された挿入部2に対応する入力端子を出力端子CCに接続できるように構成されている。その接続は、システム制御部27からの切替制御信号SSに基づいて行われる。
【0039】
さらに、スイッチ41は、何にも接続されていない入力端子C0も有し、通常は、すなわち、CPU52からの切替制御信号SSが無ければ、図2において点線で示すように、スイッチ41は、入力端子C0と出力端子CCを接続するようになっている。すなわち、挿入部2が本体部3に接続されていないときは、スイッチ41は、いずれの駆動回路42,43,44も出力端子CCに接続しない。以下、スイッチ41において、入力端子C0と出力端子CCが接続されている状態を、スイッチ41はオフ状態にあるともいう。
【0040】
後述するように、挿入部2の種類が判別される前はスイッチ41はオフ状態とし、挿入部2の種類が判別された後は、スイッチ41をオン、すなわちいずれかの駆動回路に接続されるように制御されるので、挿入部2の種類を判別する前に駆動回路からCCD11に対して誤って過大な電圧を印加されてCCD11が破壊されるのが防止されるように、CCD駆動回路24は構成されている。
【0041】
以上のように、スイッチ41は、システム制御部27からの切替制御信号SSに基づいて、駆動回路42〜44のいずれか1つの出力のCCD駆動信号を選択して、CCD11へその選択したCCD駆動信号を出力するように構成されている。
【0042】
挿入部2の長さ及び/又は太さに応じて、挿入部2のCCD11までの信号線の長さ及び/又は太さが異なるので、CCD11までCCD駆動信号を伝送する場合の、CCD駆動信号の減衰量、歪み量などは異なる。
【0043】
そこで、その減衰量、歪み量などを補正するために、挿入部2の種類ごとに、CCD駆動信号の電圧及び/又は電流の増幅を行う駆動回路が個別に設けられている。上述したように、ここでは、取り付けられる挿入部2の種類が3つであるので、それぞれの挿入部に対応する駆動回路42,43,44が設けられている。3つの駆動回路42,43,44において挿入部2の種類に応じて最適に電圧及び/又は電流が増幅されたCCD駆動信号が、スイッチ41に入力される。
【0044】
例えば、挿入部2が径6mmで長さ10mの種類のものであると、駆動回路42の出力が選択され、挿入部2が径6mmで長さ5mの種類のものであると、駆動回路43の出力が選択され、挿入部2が径4mmで長さ5mの種類のものであると、駆動回路44の出力が選択されるように、スイッチ41の選択は制御される。
【0045】
なお、ここでは、3種類の挿入部に対応する3つの駆動回路とスイッチ41が設けられている例を説明しているが、挿入部が4種以上あれば、種類に応じて4以上の駆動回路を設けるようにすればよい。
さらになお、ここでは、3種類の挿入部に対応する3つの駆動回路とスイッチ41が設けられているが、出力されるCCD駆動信号の電圧及び/又は電流の増幅量を変更可能な1つの駆動回路を用いて、CPU52からの制御信号に基づいてCCD駆動信号の電圧及び/又は電流を調整して出力するようにしてもよい。
【0046】
システム制御部27は、アナログデジタル変換器(以下、A/Dコンバータという)51と、中央処理装置(以下、CPUという)52と、不揮発性メモリであるEEPROM53を含む。
挿入部2が本体部3に接続されたときに、A/Dコンバータ51には、サーミスタ13の電圧信号が入力される。また、A/Dコンバータ51の入力端は抵抗器rによりプルアップされている。図2に示すように、サーミスタ13の一端は、システム制御部27内にある抵抗器rの一端と接続され、他端は、接地(GND)される。抵抗器rの他端は、電源(VDD)に接続される。サーミスタ13と抵抗rとの接続点の電圧が、A/Dコンバータ51に入力される。なお、挿入部2が本体部3に接続されていないときは、A/Dコンバータ51の入力電圧は、抵抗器rによりプルアップされて、高くなる。A/Dコンバータ51は、入力された電圧信号をデジタル信号に変換して、CPU52へ出力する。
【0047】
CPU52は、サーミスタ13の電圧信号を元に、挿入部2の種類を判別して、その判別結果に応じて画像処理部23及びスイッチ41を制御する。CPU52にはEEPROM53が接続されている。EEPROM53には、各種制御を行うための各種設定値と共に、挿入部2の種類を判別するための閾値情報、及び温度情報を得るためのテーブル情報が格納されている。CPU52は、EEPROM53から閾値情報及びテーブル情報を読み出して、サーミスタ13の出力と、閾値情報及びテーブル情報とからの挿入部2の種類の判別と温度検出を行っている。
【0048】
具体的には、CPU52は、CPU52に接続されたEEPROM53に記憶されている電圧値・温度テーブルのテーブル情報を参照することによって、サーミスタ13の出力から温度の算出を行う。すなわち、EEPROM53には、サーミスタ13の出力に対応した温度を示すテーブル情報が予め記憶されており、CPU52は、入力されたサーミスタ13の電圧信号から、そのテーブル情報を参照することによって、温度を導出する。
また、EEPROM53には、挿入部2の種類の判別のための閾値情報も記憶されている。後述するように、CPU52は、サーミスタ13の出力と閾値情報に基づいて、挿入部2の種類を判別する。
【0049】
CPU52は、判別された挿入部2の種類に応じて、CCD駆動信号、画像処理部23の画像処理、湾曲制御部28の湾曲制御信号、及びLED駆動信号を変更する。
【0050】
画像処理については、CPU52は、画像処理部23と通信して、接続された挿入部2の種類に対応したコマンドCSを、画像処理部23へ供給する。画像処理部23は、受信したコマンドCSに応じたパルス信号を出力するようにタイミングジェネレータ25を制御する。例えば、画像処理部23が、CCD駆動信号のタイミングデータとパルス幅データをタイミングジェネレータ25の所定のレジスタに書き込むことによって、タイミングジェネレータ25は、接続された挿入部2に応じたタイミングとパルス幅を有するパルス信号を出力する。すなわち、タイミングジェネレータ25は、画像処理部23からの指示に応じて、接続された挿入部2のCCD11に応じたパルス信号を駆動回路42,43,44に出力する。
【0051】
スイッチ41は、CPU52からの切替制御信号SSに応じて、駆動回路42,43,44の出力のうちの一つを選択して、その出力をCCD駆動信号としてCCD11に出力する。すなわち、CPU52は、挿入部2の種類に応じて、スイッチ41の切替を制御して、最適なCCD駆動信号がCCD11へ供給されるように制御している。
【0052】
さらに、CPU52は、接続された挿入部2の種類に応じて適切な画像処理を行えるように、CCD11からの撮像信号に対して適切なタイミングでサンプリングするようにAFE22の制御を行っている。AFE22は、画像処理部23からのタイミング調整信号に基づいて、CDS回路等のタイミングを変更して、CDS等の処理を行う。
【0053】
さらに、CPU52は、接続された挿入部2の種類に応じて適切な照明がされるように、LED駆動回路26を制御し、接続された挿入部2の種類に応じて適切な湾曲制御がされるように、湾曲制御部28を制御している。
【0054】
以上のように、CPU52は、挿入部2内に配置されるCCD11の種類に応じて画像処理部23に対して所定のコマンド信号を送信し、画像処理部23は、CPU52からのコマンド信号を元に、適切な画像処理を行えるようにAFE22の制御等を行うと共に、タイミングジェネレータ25に対して、接続された挿入部に応じた最適なタイミングとなるようにCCD駆動信号などの制御を行う。さらに、CPU52は、接続された挿入部2の種類に応じて適切な照明制御と湾曲制御がされるように、LED駆動信号と湾曲駆動信号の制御を行う。
【0055】
次に、CPU52において、接続された挿入部2の種類を判別するためのサーミスタの出力(電圧信号)と各閾値の関係について説明する。
図3は、A/Dコンバータ51に入力されるサーミスタ13の出力電圧(縦軸)と、挿入部2の先端部の温度(横軸)の関係を示すグラフである。3種類の挿入部2に搭載されるサーミスタ13をサーミスタT1,T2,T3としたときに、各サーミスタ13は、温度の上昇に伴って出力電圧が低下する負の特性を有しているサーミスタである。さらに、3つサーミスタT1,T2,T3からの電圧が、挿入部2の使用される温度範囲内において一致することがないように、3つのサーミスタT1,T2,T3は選択される。言い換えれば、3つのサーミスタT1,T2,T3の抵抗値が、挿入部2の使用環境温度範囲(例えば、−25℃〜+100℃)の中で重ならないように、3つのサーミスタT1,T2,T3が選定される。すなわち、複数の(ここでは3つ)のサーミスタの出力特性は、内視鏡装置1の使用環境温度において、複数のサーミスタ13の出力値が、互いに異なり、重ならない特性を有する。
【0056】
これにより、どのサーミスタが接続されたかが、点線で示している閾値TH1及び閾値TH2の電圧値と、A/Dコンバータ51に入力される電圧(A/D電圧)とを比較することによって、判別することが可能となる。具体的には、サーミスタ13の電圧値が閾値TH1以上のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、サーミスタT1であると判別される。サーミスタ13の電圧値が閾値TH1未満でかつ閾値TH2以上のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、サーミスタT2であると判別される。サーミスタ13の電圧値が閾値TH2未満のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、サーミスタT3であると判別される。以上のように、本実施の形態の内視鏡装置1は、複数の挿入部2を含み、各挿入部2は、互いに出力特性が異なる、先端部の温度を検出するための温度センサとしてのサーミスタ13を先端部に有している。
【0057】
以下、サーミスタT1が搭載されている挿入部2を挿入部2(T1)と記し、サーミスタT2が搭載されている挿入部2を挿入部2(T2)と記し、サーミスタT3が搭載されている挿入部2を挿入部2(T3)と記す。また、上述した駆動回路42は、挿入部2(T1)のための回路であり、駆動回路43は、挿入部2(T2)のための回路であり、駆動回路44は、挿入部2(T3)のための回路であるとして、以下、説明する。
【0058】
さらに、挿入部2が本体部3に接続されていないと、A/Dコンバータ51に入力される電圧(A/D電圧)の値は、抵抗器rによってプルアップされて、高くなる。よって、サーミスタT1が使用環境温度範囲で取り得る電圧値よりも高い閾値TH0を設定し、A/Dコンバータ51に入力される電圧が、閾値TH0以上の場合は、挿入部2は接続されていないと判定することもできる。
【0059】
また、各サーミスタは、挿入部2の先端部の温度に応じた抵抗値になるので、A/Dコンバータ51に入力される電圧(A/D電圧)に基づいて、CPU52は、挿入部2の先端部の温度を算出することができる。
【0060】
挿入部2に設けたサーミスタ13の特性を以上のような関係になるように、選択することによって、CPU52は、挿入部2の温度を検出することができると共に、A/Dコンバータ51に入力される電圧(A/D電圧)と、各閾値TH1,TH2とに基づいて、どの挿入部が接続されたかを判別することが出来る。
(作用)
次に、挿入部2の種類を判別する処理について説明する。
図4は、挿入部2の種類を判別するための判別処理の流れの例を示すフローチャートである。なお、図4では、CCD駆動回路24と画像処理部23に対する処理について説明し、LED駆動回路26と湾曲制御部28に対する処理については説明を省略する。
【0061】
まず、内視鏡装置1の電源がオンされた後に、CPU52によって図4の処理が実行される。電源がオンされたときは、スイッチ41は、いずれの駆動回路42,43,44とも未接続の状態、すなわちオフ状態となっている。
【0062】
内視鏡装置1の電源がオンされた後、CPU52は、A/Dコンバータ51に入力されるサーミスタ13の出力電圧(以下、A/D電圧ともいう)が、閾値TH0以上であるか否かを判定する(S1)。この判定は、CPU52が、A/Dコンバータ51により変換されたA/D電圧のデジタルデータと、EEPROM53から読み出した閾値のデジタルデータとを比較することによって行われる。なお、以下のA/D電圧と各閾値との比較判定も同様である。
A/D電圧が閾値TH0以上であると(S1:YES)、スイッチ41はオフ状態とし(S2)、処理は、S1へ戻る。
【0063】
A/D電圧が閾値TH0未満であると(S1:NO)、CPU52は、A/D電圧が、閾値TH1以上であるか否かを判定する(S3)。A/D電圧が閾値TH1以上であると(S3:YES)、挿入部2(T1)が接続されていると判定し(S4)、挿入部2(T1)に対応するコマンドCSを、通信により画像処理部23へ送信すなわち出力し(S5)、挿入部2(T1)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S6)、スイッチ41は、駆動回路42を選択するように切り替わる。そして、処理は、S1へ戻る。
【0064】
A/D電圧が閾値TH1未満であると(S3:NO)、CPU52は、A/D電圧が、閾値TH1未満でかつ閾値TH2以上であるか否かを判定する(S7)。A/D電圧が閾値TH1未満でかつ閾値TH2以上であると(S7:YES)、挿入部2(T2)が接続されていると判定し(S8)、挿入部2(T2)に対応するコマンドCSを画像処理部23へ出力し(S9)、挿入部2(T2)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S10)、スイッチ41は、駆動回路43を選択するように切り替わる。そして、処理は、S1へ戻る。
【0065】
A/D電圧が閾値TH2未満であると(S7:NO)、CPU52は、挿入部2(T3)が接続されていると判定し(S11)、挿入部2(T3)に対応するコマンドCSを画像処理部23へ出力し(S12)、挿入部2(T3)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S13)、スイッチ41は、駆動回路44を選択するように切り替わる。そして、処理は、S1へ戻る。
以上のように、S3、S4,S7,S8,S11の処理が、本体部3に接続された挿入部2の温度センサであるサーミスタ13の出力値から、出力特性に基づき、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタを特定することによって、挿入部2の種類を判別する種類判別部を構成する。具体的には、複数の温度センサであるサーミスタ13の出力値を区別するための閾値データと、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13の出力値とを比較することによって、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13が特定される。
なお、S5とS6の処理の順番は逆でもよく、S9とS10の処理及びS12とS13の処理の順番も、それぞれ逆でもよい。
【0066】
以上の処理により、挿入部の温度を検出するために設けられた温度センサを用いて挿入部の種類が判別され、さらに、以上の処理が繰り返されることによって、途中での挿入部の変更にも対応することができる。
【0067】
以上のように、本実施の形態によれば、挿入部の温度を検出するために設けられた温度センサを用いて挿入部の種類を判別できるので、回路規模を増大させること無く、挿入部の種類を判別することができる内視鏡装置を提供することができる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態は、挿入部の種類に応じて温度センサの出力が異なるようにして、温度センサの出力に基づいて挿入部の種類を判別しているが、本実施の形態では、挿入部の種類に応じて温度センサの出力の変化が異なるようにして、温度センサの出力の変化に基づいて挿入部の種類を判別している。特に、本実施の形態では、温度変化に伴う温度センサの出力電圧の傾きに基づいて、挿入部の種類が判別される。
【0068】
本実施の形態の構成は、第1の実施の形態の回路構成と同一であり、温度センサの特性とCPUの処理が、第1の実施の形態と異なる。よって、以下、第2の実施の形態について説明するが、第1の実施の形態と同じ構成については、説明は省略し、異なる部分のみ説明する。
【0069】
まず、本体部3に接続される挿入部2の種類を判別するためのサーミスタの出力(電圧信号)と各閾値の関係について説明する。
図5は、A/Dコンバータ51に入力されるサーミスタ13の出力電圧(縦軸)と、挿入部2の先端部の温度(横軸)の関係を示すグラフである。3種類の挿入部2のそれぞれに搭載されるサーミスタ13をサーミスタT11,T12,T13としたときに、2つサーミスタT11,T12からの電圧は、それぞれ、温度の上昇に伴って出力電圧が低下する負の特性を有しているサーミスタである。さらに、2つのサーミスタT11とT12は、その温度に対する電圧の低下の程度、すなわち傾きが異なっている。ここでは、サーミスタT11の傾きは、サーミスタT12の傾きよりも小さい。
【0070】
サーミスタT13は、温度の上昇に伴って出力電圧が上昇する正の特性を有しているサーミスタである。言い換えれば、3つのサーミスタT11,T12,T13の出力の、温度に対する変化が異なるように、3つのサーミスタT11,T12,T13が選定される。すなわち、複数の(ここでは3つ)のサーミスタの出力特性は、内視鏡装置1の使用環境温度において、複数のサーミスタ13の出力値の温度変化に対する変化率が、互いに異なる特性を有する。
【0071】
これにより、どのサーミスタが接続されたかが、点線で示している傾きの閾値THc1及び閾値THc2と、A/Dコンバータ51に入力されるサーミスタ13の温度変化に伴う電圧(A/D電圧)の変化(傾き)とを比較することによって、判別することが可能となる。具体的には、サーミスタ13の電圧変化が閾値THc1(図5では、閾値THc1の傾きは0)以上のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、サーミスタT13であると判別される。サーミスタ13の電圧変化が閾値THc1未満でかつ閾値THc2以上のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、サーミスタT11であると判別される。サーミスタ13の電圧変化が閾値THc2未満のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、サーミスタT12であると判別される。
【0072】
以下、サーミスタT11が搭載されている挿入部2を挿入部2(T11)と記し、サーミスタT12が搭載されている挿入部2を挿入部2(T12)と記し、サーミスタT13が搭載されている挿入部2を挿入部2(T13)と記す。また、上述した駆動回路42は、挿入部2(T11)のための回路であり、駆動回路43は、挿入部2(T12)のための回路であり、駆動回路44は、挿入部2(T13)のための回路であるとして、以下、説明する。
【0073】
挿入部2に設けたサーミスタ13の特性を以上のような関係になるように選択することによって、CPU52は、挿入部2の温度を検出することができると共に、A/Dコンバータ51に入力される電圧(A/D電圧)の変化と、各閾値THc1,THc2とに基づいて、どの挿入部が接続されたかを判別することが出来る。
(作用)
次に、挿入部2の種類を判別する処理について説明する。
図6は、挿入部2の種類を判別するための判別処理の流れの例を示すフローチャートである。なお、図6では、CCD駆動回路24と画像処理部23に対する処理について説明し、LED駆動回路26と湾曲制御部28に対する処理については説明を省略する。
【0074】
まず、内視鏡装置1の電源がオンされた後に、CPU52によって図6の処理が実行される。電源がオンされたときは、スイッチ41は、いずれの駆動回路42,43,44とも未接続の状態、すなわちオフ状態となっている。
【0075】
内視鏡装置1の電源がオンされた後、CPU52は、A/Dコンバータ51に入力されるA/D電圧が、閾値TH0以上であるか否かを判定する(S21)。
A/D電圧が閾値TH0以上であると(S21:YES)、スイッチ41はオフ状態とし(S22)、処理は、終了する。
【0076】
A/D電圧が閾値TH0未満であると(S21:NO)、CPU52は、LED駆動回路26を駆動して、所定時間だけ、LED14を点灯させる(S23)。LED14は、点灯により発熱する。LED14も挿入部2の先端部に設けられているので、LED14が点灯することによって、サーミスタ13が加熱される。LED14を点灯する所定時間は、以下に説明するサーミスタ13の温度変化に伴う出力の変化(傾き)を検出することが可能となる時間である。
【0077】
なお、ここでは、LED14を点灯させて、サーミスタ13を加熱しているが、CCD11を駆動させることによって、サーミスタ13を加熱するようにしてもよい。また、照明にLED14ではなく、ライトガイドを利用している場合は、ライトガイドに接続された光源装置をオンにして、ライトガイドから照明光を出射させることによって、サーミスタ13を加熱するようにしてもよい。
【0078】
所定時間LED14が点灯することによって、サーミスタ13の温度は上昇する。図5に示したように、3つのサーミスタT11,T12,T13は、温度上昇に伴う出力電圧の変化が異なっている。
【0079】
図5において、温度がPT1からPT2に変化したとすると、サーミスタT11は、抵抗値が小さくなって、出力電圧が小さくなるように変化する。このときの、A/D電圧の変化の傾きは、α1である。サーミスタT12も、抵抗値が小さくなって、出力電圧が小さくなるように変化するが、その変化量(すなわち傾き)は、マイナス方向に大きい(逆にプラス方向では小さい)。このときの、A/D電圧の変化の傾きは、α2である。また、サーミスタT13は、抵抗値が大きくなって、出力電圧が大きくなるように変化する。このときの、A/D電圧の変化の傾きは、α3である。
【0080】
そこで、S23の後、CPU52は、A/D電圧の変化が、閾値THc1以上であるか否かを判定する(S24)。ここでは、閾値THc1は、ゼロである。A/D電圧の変化が閾値THc1以上であると(S24:YES)、挿入部2(T13)が接続されていると判定し(S25)、挿入部2(T13)に対応するコマンドCSを、通信により画像処理部23へ送信すなわち出力し(S26)、挿入部2(T13)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S27)、スイッチ41は、駆動回路44を選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
【0081】
A/D電圧の変化が閾値THc1未満であると(S24:NO)、CPU52は、A/D電圧の変化が、閾値THc1未満でかつ閾値THc2以上であるか否かを判定する(S28)。A/D電圧の変化が閾値THc1未満でかつ閾値THc2以上であると(S28:YES)、挿入部2(T11)が接続されていると判定し(S29)、挿入部2(T11)に対応するコマンドCSを画像処理部23へ出力し(S30)、挿入部2(T11)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S31)、スイッチ41は、駆動回路42を選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
【0082】
A/D電圧の変化が閾値THc2未満であると(S28:NO)、CPU52は、挿入部2(T12)が接続されていると判定し(S32)、挿入部2(T12)に対応するコマンドCSを画像処理部23へ出力し(S33)、挿入部2(T12)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S34)、スイッチ41は、駆動回路43を選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
以上のように、S24,S25,S28,S29,S32の処理が、本体部3に接続された挿入部2の温度センサであるサーミスタ13の出力値から、出力特性に基づき、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタを特定することによって、挿入部2の種類を判別する種類判別部を構成する。具体的には、複数の温度センサであるサーミスタ13の出力値の変化率を区別するための閾値データと、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13の出力値の変化率とを比較することによって、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタが特定される。
なお、S26とS27の処理の順番は逆でもよく、S30とS31の処理及びS33とS34の処理の順番も、それぞれ逆でもよい。
【0083】
以上の処理により、挿入部の温度を検出するために設けられた温度センサを用いて挿入部の種類が判別され、その後、CCD11は適切に駆動され、かつCCD11から撮像信号も適切に処理される。そして、CPU52は、入力されたサーミスタ13の電圧信号から、そのテーブル情報を参照することによって、挿入部2の先端部の温度を検出することができる。
【0084】
以上のように、本実施の形態によれば、挿入部の温度を検出するために設けられた温度センサを用いて挿入部の種類を判別できるので、回路規模を増大させること無く、挿入部の種類を判別することができる内視鏡装置を提供することができる。
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態は、挿入部の種類に応じて温度センサの出力が異なるようにして、温度センサの出力に基づいて挿入部の種類を判別し、第2の実施の形態では、挿入部の種類に応じて温度センサの出力の変化が異なるようにして、温度センサの出力の変化に基づいて挿入部の種類を判別しているが、本実施の形態は、第1の実施の形態と第2の実施の形態の2つの判別方法を組み合わせて、挿入部の種類を判別している。すなわち、本実施の形態では、温度センサの出力電圧と、温度変化に伴う温度センサの電圧の傾きの両方を組み合わせて、挿入部の種類が判別される。
【0085】
本実施の形態の構成は、第1及び第2の実施の形態の回路構成と同一であり、温度センサの特性とCPUの処理が、第1及び第2の実施の形態と異なる。よって、以下、第3の実施の形態について説明するが、第1及び第2の実施の形態と同じ構成については、説明は省略し、異なる部分のみ説明する。
【0086】
まず、本体部3に接続される挿入部2の種類を判別するためのサーミスタの出力(電圧信号)と各閾値の関係について説明する。
図7は、A/Dコンバータ51に入力される電圧(縦軸)と、挿入部2の先端部の温度(横軸)の関係を示すグラフである。3種類の挿入部2に搭載されるサーミスタ13をサーミスタT21,T22,T23としたときに、サーミスタT21の出力電圧は、他の2つのサーミスタT22,T23とは、挿入部2の使用される温度範囲内において一致することがないように選択されている。さらに、2つサーミスタT22,T23の出力電圧は、それぞれ、温度の上昇に伴って出力電圧が低下する負の特性を有しているサーミスタである。2つのサーミスタT22とT23は、その温度に対する電圧の低下の程度、すなわち傾きが異なっている。ここでは、サーミスタT23の傾きは、サーミスタT22の傾きよりも小さい(マイナス方向では大きい)。
すなわち、複数の(ここでは3つ)のサーミスタの出力特性は、内視鏡装置1の使用環境温度において、複数のサーミスタ13のうち、少なくとも1つの出力値が他のサーミスタ13の出力値と異なり、重ならず、かつ他のサーミスタ13の出力値の温度変化に対する変化率が、互いに異なる特性を有する。
【0087】
従って、どのサーミスタが接続されたかが、点線で示している閾値TH3とA/Dコンバータ51に入力されるA/D電圧との比較、及び閾値THc3とA/Dコンバータ51に入力されるA/D電圧の変化(傾き)との比較によって、判別することが可能となる。具体的には、サーミスタ13の電圧が閾値TH3以上のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、サーミスタT21であると判別される。また、サーミスタ13の電圧変化が閾値THc3以上のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、サーミスタT22であると判別される。サーミスタ13の電圧変化が閾値THc3未満のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、サーミスタT23であると判別される。
【0088】
以下、サーミスタT21が搭載されている挿入部2を挿入部2(T21)と記し、サーミスタT22が搭載されている挿入部2を挿入部2(T22)と記し、サーミスタT23が搭載されている挿入部2を挿入部2(T23)と記す。また、上述した駆動回路42は、挿入部2(T21)のための回路であり、駆動回路43は、挿入部2(T22)のための回路であり、駆動回路44は、挿入部2(T23)のための回路であるとして、以下、説明する。
【0089】
挿入部2に設けたサーミスタ13の特性を以上のような関係になるように、選択することによって、CPU52は、挿入部2の温度を検出することができると共に、A/Dコンバータ51に入力される電圧(A/D電圧)と電圧の変化と、各閾値TH3,THc3とに基づいて、どの挿入部が接続されたかを判別することが出来る。
(作用)
次に、挿入部2の種類を判別する処理について説明する。
図8は、挿入部2の種類を判別するための判別処理の流れの例を示すフローチャートである。なお、図8では、CCD駆動回路24と画像処理部23に対する処理について説明し、LED駆動回路26と湾曲制御部28に対する処理については説明を省略する。
【0090】
まず、内視鏡装置1の電源がオンされた後に、CPU52によって図8の処理が実行される。電源がオンされたときは、スイッチ41は、いずれの駆動回路42,43,44とも未接続の状態、すなわちオフ状態となっている。
【0091】
内視鏡装置1の電源がオンされた後、S21からS23の処理は、第2の実施の形態と同様であるので、説明は省略する。
図7において、温度がPT1からPT2に変化したとしても、サーミスタ21は、その出力電圧は、他のサーミスタT22,T23よりも大きい。また、サーミスタT22は、抵抗値が小さくなって、出力電圧が小さくなるように変化する。このときの、A/D電圧の変化の傾きは、α4である。サーミスタT23も、抵抗値が小さくなって、出力電圧が小さくなるように変化するが、その変化量(すなわち傾き)は、マイナス方向に大きい(逆にプラス方向では小さい)。このときの、A/D電圧の変化の傾きは、α5である。
【0092】
そこで、S23の後、CPU52は、A/D電圧の変化が、閾値TH3以上であるか否かを判定する(S41)。A/D電圧が閾値TH3以上であると(S41:YES)、挿入部2(T21)が接続されていると判定し(S42)、挿入部2(T21)に対応するコマンドCSを、通信により画像処理部23へ送信すなわち出力し(S43)、挿入部2(T21)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S44)、スイッチ41は、駆動回路42を選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
【0093】
A/D電圧の変化が閾値TH3未満であると(S41:NO)、CPU52は、A/D電圧の変化が、閾値THc3以上であるか否かを判定する(S45)。A/D電圧の変化が閾値THc3以上であると(S45:YES)、挿入部2(T22)が接続されていると判定し(S46)、挿入部2(T22)に対応するコマンドCSを画像処理部23へ出力し(S47)、挿入部2(T22)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S48)、スイッチ41は、駆動回路43を選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
【0094】
A/D電圧の変化が閾値THc3未満であると(S45:NO)、CPU52は、挿入部2(T23)が接続されていると判定し(S49)、挿入部2(T23)に対応するコマンドCSを画像処理部23へ出力し(S50)、挿入部2(T23)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S51)、スイッチ41は、駆動回路44を選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
以上のように、S41,S42,S45,S46,S49の処理が、本体部3に接続された挿入部2の温度センサであるサーミスタ13の出力値から、出力特性に基づき、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタを特定することによって、挿入部2の種類を判別する種類判別部を構成する。
具体的には、複数の温度センサであるサーミスタ13の出力値を区別するための第1の閾値データと、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13の出力値とを比較することによって、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13が特定され、かつ、他のサーミスタ13の出力値の変化率を区別するための第2の閾値データと、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13の出力値の変化率とを比較することによって、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13が特定される。
なお、S43とS44の処理の順番は逆でもよく、S47とS48の処理及びS50とS51の処理の順番も、それぞれ逆でもよい。
【0095】
以上の処理により、挿入部の温度を検出するために設けられた温度センサを用いて挿入部の種類が判別され、その後、CCD11は適切に駆動され、かつCCD11から撮像信号も適切に処理される。そして、CPU52は、入力されたサーミスタ13の電圧信号から、そのテーブル情報を参照することによって、挿入部2の先端部の温度を検出することができる。
【0096】
以上のように、本実施の形態によれば、挿入部の温度を検出するために設けられた温度センサを用いて挿入部の種類を判別できるので、回路規模を増大させること無く、挿入部の種類を判別することができる内視鏡装置を提供することができる。
(第4の実施の形態)
上述した3つの実施の形態では、挿入部2の先端部に設けた温度センサのみを用いて挿入部の種別を判定しているが、本実施の形態では、本体部3にも温度センサを設け、挿入部2の先端部に設けた温度センサと、本体部3に設けた温度センサの2つの出力に基づいて、挿入部の種別が判定される。
【0097】
本実施の形態の構成は、第1の実施の形態の回路構成と略同一であるが、例えば、本体部3に温度センサを設けたことと、温度センサの特性と、CPUの処理等において異なっている。よって、以下、第4の実施の形態について説明するが、第1の実施の形態と同じ構成については、説明は省略し、異なる部分のみ説明する。なお、本実施の形態では、N(Nは、正の整数)種類の挿入部2を判別する例で説明する。
【0098】
本実施の形態の内視鏡装置1Aは、図1において、点線で示すように、本体部3に温度センサ(以下、本体部温度センサという)61を設けた点が、第1の実施の形態の内視鏡装置1と異なっている。本体部3に設けられた本体部温度センサ61は、例えば、サーミスタである。
【0099】
図9は、CCD駆動回路24Aとシステム制御部27の構成を説明するためのブロックである。
CCD駆動回路24Aは、スイッチ41と複数の駆動回路を有している。ここでは、挿入部2の径や長さが異なるN種類の挿入部に対応可能なようにN個の駆動回路42−1,42−2,・・・、42−Nが設けられている。そのため、スイッチ41Aも、内部に、N個の入力端子を有しており、選択制御信号SSに基づいていずれかの入力端子が選択される。また、A/Dコンバータ51には、本体部温度センサ61の出力も入力可能となっている。A/Dコンバータ51は、サーミスタ13と本体部温度センサ61の両方を同時にA/D変換するものでもよいし、サーミスタ13と本体部温度センサ61の入力を切り替えて、A/D変換するものでもよい。
【0100】
まず、挿入部2の種類を判別するためのサーミスタの出力(電圧信号)と各閾値の関係について説明する。
図10は、サーミスタ13の出力であるA/Dコンバータ51に入力される電圧(縦軸)と、挿入部2の先端部の温度(横軸)の関係を示すグラフである。N種類の挿入部2に搭載されるサーミスタ13をサーミスタT31,T32,T33、・・・T3Nとしたときに、一のサーミスタの出力電圧は、他のサーミスタの出力電圧と、挿入部2の使用される温度範囲内において同じ値となる場合がある特性を有する。なお、ここでは、N個のサーミスタT31等は、それぞれ、温度の上昇に伴って出力電圧が低下する負の特性を有しているサーミスタである。
【0101】
しかし、図10に示すように、N個のサーミスタは、本体部3が置かれる環境温度においては、互いに異なる抵抗値を有する。例えば、図10に示すように、挿入部2が本体部3と同じ温度H1、例えば25℃、のときには、N個のサーミスタは、互いに異なる抵抗値を有し、さらに、挿入部2が本体部3が置かれる他の温度H2、例えば35℃、のときには、N個のサーミスタは、温度H1のときとは互いに異なる抵抗値を有する。よって、本体部温度センサ61のA/D電圧値の所定の範囲毎に、(N−1)個の閾値を、EEPROM53に予め記憶しておき、挿入部2を本体部3と同じ温度環境下において、挿入部2と本体部3とを接続し、そのときの本体部温度センサ61のA/D電圧、と、その本体部3の温度に対応する(N−1)個の閾値とを比較することによって、挿入部2の判別をすることが可能となる。
【0102】
例えば、図10に示すように、本体部温度センサ61からのA/D電圧に対応する温度が範囲R1内のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、閾値セット1(閾値データTH1(R1),TH2(R1),・・・TH(N−1)(R1)を含む)を用いて、サーミスタ13の判別を行う。本体部温度センサ61からのA/D電圧に対応する温度が範囲R2内のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、閾値セット2(閾値データTH1(R2),TH2(R2),・・・TH(N−1)(R2)を含む)を用いて、サーミスタ13の判別を行う。このように、本体部温度センサ61の検出した温度(あるいは電圧値)に対応して予め設定された1又は2以上の閾値を用いて、接続されている挿入部2のサーミスタ13の判別、すなわち挿入部2の種類の判別が行われる。
ここでは、2つの閾値セットを例として挙げたが、閾値セットの数は、本体部3の使用環境において取り得る温度あるいは温度範囲に対して、各サーミスタを識別するために必要な数であり、3以上でもよい。
【0103】
以下、サーミスタT31が搭載されている挿入部2を挿入部2(T31)と記し、サーミスタT32が搭載されている挿入部2を挿入部2(T32)と記し、サーミスタT33が搭載されている挿入部2を挿入部2(T33)と記し、以下同様にして、サーミスタT3Nが搭載されている挿入部2を挿入部2(T3N)と記す。また、上述した駆動回路42−1は、挿入部2(T31)のための回路であり、駆動回路42−2は、挿入部2(T32)のための回路であり、駆動回路42−3は、挿入部2(T33)のための回路であり、以下同様にして、駆動回路42−Nは、挿入部2(T3N)のための回路であるとして、以下、説明する。
【0104】
挿入部2に設けたサーミスタ13の特性を以上のような関係になるように、選択することによって、CPU52は、挿入部2の温度を検出することができると共に、A/Dコンバータ51に入力される本体部温度センサ61とサーミスタ13のA/D電圧と、各閾値とに基づいて、どの挿入部が接続されたかを判別することが出来る。
(作用)
次に、挿入部2の種類を判別する処理について説明する。
図11及び図12は、挿入部2の種類を判別するための判別処理の流れの例を示すフローチャートである。なお、図11及び図12では、CCD駆動回路24と画像処理部23に対する処理について説明し、LED駆動回路26と湾曲制御部28に対する処理については説明を省略する。
【0105】
まず、内視鏡装置1の電源がオンされた後に、CPU52によって図11の処理が実行される。電源がオンされたときは、スイッチ41は、いずれの駆動回路42−1,42−2,等とも未接続の状態、すなわちオフ状態となっている。
【0106】
内視鏡装置1の電源がオンされた後、S1とS2の処理は、第1の実施の形態と同様であるので、説明は省略する。
A/D電圧が閾値TH0未満であると(S1:NO)、CPU52は、A/Dコンバータ51からの本体部温度センサ61の出力電圧を得て、その出力電圧に対応する閾値セットを決定する(S61)。図10の例で言えば、本体部3の温度が温度H1(例えば25℃)であれば、判別に使用する閾値セットを、閾値セット1と決定する。閾値セット1は、複数の閾値(TH1(R1),TH2(R1)、・・・TH(N−1)(R1))を含むデータである。以下、閾値セット1が選択された例で説明する。
【0107】
S61の後、CPU52は、A/D電圧が、閾値TH1(R1)以上であるか否かを判定する(S62)。A/D電圧が閾値TH1(R1)以上であると(S62:YES)、挿入部2(T31)が接続されていると判定し(S63)、挿入部2(T31)に対応するコマンドCSを、通信により画像処理部23へ送信すなわち出力し(S64)、挿入部2(T31)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S65)、スイッチ41Aは、駆動回路42−1を選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
【0108】
A/D電圧が閾値TH1(R1)未満であると(S62:NO)、CPU52は、A/D電圧が、閾値TH1(R1)未満でかつ閾値TH2(R1)以上であるか否かを判定する(S66)。A/D電圧が閾値TH1(R1)未満でかつ閾値TH2(R1)以上であると(S66:YES)、挿入部2(T32)が接続されていると判定し(S67)、挿入部2(T32)に対応するコマンドCSを画像処理部23へ出力し(S68)、挿入部2(T32)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S69)、スイッチ41Aは、駆動回路42−1を選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
【0109】
S66でNOの場合は、以下同様にして、A/D電圧が隣り合う2つの閾値の間にあるか否かの判定が行われ、A/D電圧が隣り合う2つの閾値の間にあると判定されると、CPU52は、挿入部2の種類を判定し、対応するコマンドCSと切替制御信号SSを出力する。
【0110】
最後に、A/D電圧が閾値TH(N−2)(R1)未満でかつ閾値TH(N−1)(R1)以上であるか否かが判定される(S70)。A/D電圧が閾値TH(N−2)(R1)未満でかつ閾値TH(N−1)(R1)以上であると(S70:YES)、挿入部2(T3(N−1))が接続されていると判定し(S71)、挿入部2(T3(N−1))に対応するコマンドCSを画像処理部23へ出力し(S72)、挿入部2(T3(N−1))に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S73)、スイッチ41Aは、駆動回路42−(N−1)を選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
【0111】
A/D電圧が閾値TH(N−1)(R1)未満であると(S70:NO)、挿入部2(T3(N))が接続されていると判定し(S74)、挿入部2(T3(N))に対応するコマンドCSを画像処理部23へ出力し(S75)、挿入部2(T3(N))に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S76)、スイッチ41Aは、駆動回路42−Nを選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
以上のように、S61,S62,S63,S66,S67,S70,S71,S74等の処理が、本体部温度センサ61の検出温度に対応する出力特性に基づき、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13を特定することによって、挿入部2の種類を判別する種類判別部を構成する。具体的には、本体部温度センサ61の検出温度に対応する複数のサーミスタ13の出力値を区別するための閾値データと、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13の出力値とを比較することによって、本体部3に接続された挿入部2サーミスタ13が特定される。
なお、S64とS65の処理の順番は逆でもよく、S68とS69の処理、S72とS73の処理、及びS75とS76の処理の順番も、それぞれ逆でもよい。
【0112】
以上の処理により、挿入部の温度を検出するために設けられた温度センサと本体部の温度センサとを用いて挿入部の種類が判別され、その後、CCD11は適切に駆動され、かつCCD11から撮像信号も適切に処理される。そして、CPU52は、入力されたサーミスタ13の電圧信号から、そのテーブル情報を参照することによって、挿入部2の先端部の温度を検出することができる。
【0113】
以上のように、本実施の形態によれば、挿入部の温度を検出するために設けられた温度センサと本体部の温度を検出する温度センサとを用いて挿入部の種類を判別できるので、回路規模を増大させること無く、挿入部の種類を判別することができる内視鏡装置を提供することができる。
【0114】
以上の各実施の形態によれば、回路規模を増大させること無く、挿入部の種類を判別することができる内視鏡装置を提供することができ、その結果、挿入部の種類に応じた、撮像素子の駆動制御、画像処理、LED駆動制御、挿入部先端の湾曲制御、を最適化することができる。
【0115】
なお、上述した各実施の形態では、挿入部2の先端部に搭載されている温度センサがサーミスタで、また第4の実施の形態では本体部に搭載されている温度センサも、サーミスタであるとして説明したが、温度を検出し、温度に対応する電圧を出力する温度センサIC等でもよい。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0116】
1、1A 内視鏡装置、2 挿入部、3 内視鏡装置の本体部、4 表示装置、5 記録媒体、6a、6b 着脱コネクタ、7a、7b 湾曲ワイヤー接続機構、11 CCD、12 対物レンズ、13 サーミスタ、14 LED、15 ワイヤー固定部、21 プリアンプ、22 アナログフロントエンド、23 画像処理部、24、24A CCD駆動回路、25 タイミングジェネレータ、26 LED駆動回路、27 システム制御部、28 湾曲制御部、29 UD湾曲モータ、30 RL湾曲モータ、31 画像記録部、32 LCDコントローラ、33 ユーザインターフェース、41、41A スイッチ、42,42−1,42−2,・・・、42−N,43,44 駆動回路、51 A/Dコンバータ、52 CPU、53 EEPROM,61 本体部温度センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部が着脱自在の内視鏡装置において、挿入部の種類を判別することができる内視鏡装置、内視鏡システム及び内視鏡装置本体部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療分野において、体腔内に細長の挿入部を挿入することにより、体腔内臓器等を観察したり、必要に応じ処置具チャンネル内に挿通した処置具を用いて各種処置のできる内視鏡が広く利用されている。また、工業分野においても、ボイラ、タービン、エンジン、化学プラント等の内部の傷、腐食等の観察、検査に内視鏡が広く利用されている。
【0003】
このような工業用内視鏡の検査では、検査効率を上げるために被検体の温度が下がりきる前に挿入部を被検体に挿入して検査を行わなければならない場合がある。そのため、高温下における挿入部の先端部の温度ストレスによる破壊を防止するために、挿入部の先端部に温度センサを搭載して、挿入部の先端部の温度を検出できる内視鏡装置が広く使われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、工業用内視鏡においては、様々な被険体に対応するため、外径、長さ等が異なる複数種類の挿入部を、本体部に着脱自在に取り付けられるようになっている内視鏡装置がある。このような内視鏡装置によれば、ユーザは、複数種類の内視鏡を所持しておき、被検体に応じて、内視鏡の使い分けをすることができる。
【0005】
挿入部の外径や長さが異なると、CCD信号線の外径や長さが異なるため、挿入部の外径や長さに応じてCCD駆動を最適化する必要がある。また、挿入部の外径や長さが同じでも、挿入部の先端部に取り付けられたCCDの種類が異なる場合があり、その場合にはCCD駆動及び信号処理側も変更する必要がある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、挿入部の先端部にLED光源を搭載する場合には、LED光源の並列数(LEDが並列接続されているときのLEDの数)や、直列数(LEDが直列接続されたときのLEDの数)、駆動するための信号線の外径、などが変わるので、LED光源の駆動も、挿入部の外径や長さに応じて最適化する必要がある。
【0007】
その他にも、外径や長さが異なる挿入部に応じて、挿入部の先端部を同じ角度に湾曲させるためには、挿入部の先端部に固定されている湾曲ワイヤーの牽引力を本体部側で変更する必要がある。挿入部が太くなるほど、あるいは長くなるほど、その牽引力を強くしなければ、外径や長さが異なる挿入部に対して、同じ湾曲角度を得ることが出来ない。
【0008】
そこで、これらの課題を解決するためには挿入部の種類を判別して、その判別結果に応じて、本体部において、CCD駆動、LED光源駆動などの制御を変更する内視鏡も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−151594号公報
【特許文献2】特開昭62−213387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、このような挿入部が本体部に着脱可能な内視鏡装置において、本体部に接続された挿入部の種類を判別するためには、挿入部の種類を判別するための専用の判別回路が必要となり、回路規模が増大してしまうという問題があった。
【0011】
また、従来の挿入部の先端に設けられている温度センサは、温度検出のために各挿入部には同一特性の温度センサが搭載されているため、温度センサの出力に基づいて、挿入部の種類判別に用いることはできない。
そこで、本発明では、回路規模を増大させること無く、挿入部の種類を判別することができる内視鏡装置、内視鏡システム及び内視鏡装置本体部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によれば、本体部と、前記本体部に対して着脱自在で、被写体を撮像する撮像素子が先端部に設けられた、複数の細長の挿入部と、それぞれが前記複数の挿入部の前記先端部に設けられ、互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための複数の第1の温度センサと、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサの出力値から、前記出力特性に基づき、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することによって、前記挿入部の種類を判別する種類判別部と、を有する内視鏡装置を提供することができる。
【0013】
本発明の一態様によれば、本体部と、前記本体部に対して着脱自在で、被写体を撮像する撮像素子が先端部に設けられた、複数の細長の挿入部と、それぞれが前記複数の挿入部の前記先端部に設けられ、互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための複数の第1の温度センサと、前記本体部に設けられた第2の温度センサと、前記第2の温度センサの検出温度に対応する前記出力特性に基づき、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することによって、前記挿入部の種類を判別する種類判別部と、を有する内視鏡装置を提供することができる。
【0014】
本発明の一態様によれば、内視鏡装置の本体部に対して着脱自在な複数の細長の挿入部からなる内視鏡システムであって、各挿入部は、先端部に設けられ、被写体を撮像する撮像素子と、前記先端部に設けられ、他の挿入部の温度センサとは互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための温度センサと、を有する内視鏡システムを提供することができる。
【0015】
本発明の一態様によれば、被写体を撮像する撮像素子が先端部に設けられ、互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための温度センサを有する複数の細長の挿入部が着脱可能な本体部であって、前記本体部に接続された挿入部の温度センサの出力値から、前記出力特性に基づき、前記本体部に接続された挿入部の温度センサを特定することによって、前記挿入部の種類を判別する種類判別部と、を有する内視鏡装置本体部を提供することができる。
【0016】
本発明の一態様によれば、被写体を撮像する撮像素子が先端部に設けられ、互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための複数の第1の温度センサを有する複数の細長の挿入部が着脱可能な本体部であって、前記本体部に設けられた第2の温度センサと、前記第2の温度センサの検出温度に対応する前記出力特性に基づき、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することによって、前記挿入部の種類を判別する種類判別部と、を有する内視鏡装置本体部を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、回路規模を増大させること無く、挿入部の種類を判別することができる内視鏡装置、内視鏡システム及び内視鏡装置本体部を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる内視鏡装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わるCCD駆動回路24とシステム制御部27の構成を説明するためのブロックである。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係わる、A/Dコンバータ51に入力されるサーミスタ13の出力電圧(縦軸)と、挿入部2の先端部の温度(横軸)の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係わる、挿入部2の種類を判別するための判別処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係わる、A/Dコンバータ51に入力されるサーミスタ13の出力電圧(縦軸)と、挿入部2の先端部の温度(横軸)の関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係わる、挿入部2の種類を判別するための判別処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係わる、A/Dコンバータ51に入力される電圧(縦軸)と、挿入部2の先端部の温度(横軸)の関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係わる、挿入部2の種類を判別するための判別処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係わる、CCD駆動回路24Aとシステム制御部27の構成を説明するためのブロックである。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係わる、サーミスタ13の出力であるA/Dコンバータ51に入力される電圧(縦軸)と、挿入部2の先端部の温度(横軸)の関係を示すグラフである。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係わる、挿入部2の種類を判別するための判別処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係わる、挿入部2の種類を判別するための判別処理の流れの例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
(全体構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係わる内視鏡装置の構成を示す構成図である。
【0020】
内視鏡装置1は、細長の挿入部2と、本体部3と、液晶表示装置(LCD)等の表示装置4を含み、挿入部2は、本体部3に着脱自在に構成されている。また、本体部3には記録媒体5が取り付け可能となっており、記録媒体5に静止画、動画の記録が可能となっている。また、挿入部2と本体部3との接続部分には、電気的な接続を行うための着脱コネクタ6a、6b、複数の湾曲用ワイヤーを接続する湾曲ワイヤー接続機構7a、7bが配置されている。
【0021】
挿入部2は、先端部に、固体撮像素子としての電荷結合素子(以下、CCDと略記)11と、対物レンズ12と、温度センサであるサーミスタ13と、照明用の発光ダイオード14と、複数の湾曲ワイヤーを固定するためのワイヤー固定部15とを有している。
対物レンズ12は、先端部の観察窓を介する被写体からの光を集光してCCD11の撮像面に結像させる。CCD11は、撮像面の像を光電変換して撮像信号を生成し、着脱コネクタ6a、6bを介して、本体部3に出力する。CCD11は、複合同軸ケーブルにより本体部3と接続され、複合同軸ケーブルを介してCCD駆動信号を受信し、複合同軸ケーブルを介して撮像信号を送信する。
そして、本体部3には、複数の挿入部2が着脱可能となっている。複数の挿入部2は、内視鏡システムを構成する。よって、内視鏡装置1は、本体部3に対して着脱自在で、被写体を撮像する撮像素子であるCCD11が先端部に設けられた、複数の細長の挿入部2を含む。
【0022】
サーミスタ13は、挿入部2の先端部の温度、特にCCD11の温度、を検出するように、CCD11の近傍に配置されている。後述するように、サーミスタ13は、挿入部2の種類を判別するためにも用いられる。サーミスタ13の出力(すなわち電圧信号)も、着脱コネクタ6a、6bを介して、本体部3に出力される。
LED14は、先端部の照明窓を介して被写体を照明するために照明部であり、着脱コネクタ6a、6bを介する本体部3からのLED駆動信号に基づいて、駆動されて発光する。
従って、LED14により照明されて反射する被写体からの光は、挿入部2の先端部に配置された対物レンズ12により、その結像位置に配置されたCCD11の撮像面上に結像され、CCD11で光電変換されて撮像信号が生成され、CCD11に接続された複合同軸ケーブルを介して、本体部3へ供給される。
【0023】
また、ワイヤー固定部15は、湾曲ワイヤー接続機構7a、7bを介して、挿入部2内に挿通された複数の湾曲ワイヤーの先端部が接続されて、各湾曲ワイヤーの先端部を固定する。
【0024】
本体部3は、プリアンプ21と、アナログフロントエンド(以下、AFEと略記)22と、画像処理部23と、CCD駆動回路24と、タイミングジェネレータ25と、LED駆動回路26と、システム制御部27と、湾曲制御部28と、UD湾曲モータ29と、RL湾曲モータ30と、画像記録部31と、LCDコントローラ32と、ユーザインターフェース33とを含んで構成されている。
【0025】
CCD11に接続された複合同軸ケーブルの信号線は、着脱コネクタ6a、6bを介してプリアンプ21と、CCD駆動回路24に接続されている。CCD駆動回路24は、タイミングジェネレータ25からのCCD11を駆動するためのパルス信号を受信し、CCD11までの伝送路長(複合同軸ケーブルの長さ)に応じた駆動処理を施して、CCD駆動信号を、CCD11に伝送する。また、CCD駆動回路24は、システム制御部27からの切替制御信号SSが入力されるように、システム制御部27と接続されている。
【0026】
CCD11は、CCD駆動信号に基づいて光電変換を行い、撮像信号であるCCD出力信号を出力する。CCD出力信号は、複合同軸ケーブルを介してプリアンプ21に入力される。プリンアンプ21は、複合同軸ケーブルを介する伝送により減衰した信号レベルを補うためにCCD出力信号を増幅する。プリアンプ21にて増幅されたCCD出力信号は、AFE22に入力される。AFE22は、CCD出力信号を、CDS(相関二重サンプリング)処理、AGC(自動ゲイン調整)処理、及びA/D変換(アナログデジタル変換)処理した後、画像処理部23に出力する。
【0027】
画像処理部23は、ホワイトバランス、ガンマ補正、輪郭補正、電子ズーム、色補正、コントラスト補正、AE(自動露出)制御、等の各種画像信号処理を行う。画像処理部23は、システム制御部27と通信を行う。システム制御部27は、ユーザインターフェース33からの入力信号(ズーム指示信号、ブライトネス指示信号、等)を受け取り、入力信号に対応したコマンドを画像処理部23に対して出力し、画像処理部23は、そのコマンドに従って各処理を行う。
【0028】
挿入部2の先端部に配置された照明用のLED14は、着脱コネクタ6a、6bを介して接続されたケーブルにより、LED駆動回路26と接続されている。LED駆動回路26は、システム制御部27と接続されている。LED駆動回路26は、システム制御部27からのLED点灯信号に応じて、LED14の点灯及び消灯が制御される。システム制御部27は、ユーザインターフェース33からの入力信号(LEDのオン信号、オフ信号)を受信し、LED駆動回路26を制御する。
【0029】
挿入部2の先端部に設けられたワイヤー固定部15には、4本のワイヤーが接続されている。それらのワイヤーは上下左右方向の湾曲をさせるためのものであり、上下方向(UD方向)を制御するワイヤー2本はUD湾曲モータ29に接続されており、左右方向(RL方向)を制御するワイヤー2本はRL湾曲モータ30に接続されている。それらのUD湾曲モータ29及びRL湾曲モータ30は、湾曲制御部28に接続されている。さらに、湾曲制御部28は、システム制御部27に接続されている。
【0030】
ユーザインターフェース33には、挿入部の先端部を湾曲するためのジョイスティックが搭載されており、ユーザがそのジョイスティックを上下方向に傾倒させると、システム制御部27は湾曲制御部28に上下方向湾曲指示信号を出力する。湾曲制御部28は受信した上下方向湾曲指示信号に基づいてUD湾曲モータ29を駆動制御して、UD湾曲モータ29に接続されている2本の湾曲ワイヤーの牽引及び弛緩を行う。それにより、ユーザは、挿入部2の先端部を上下方向に湾曲させることができる。
【0031】
左右方向の湾曲も同様に、ユーザがジョイスティックが左右方向に傾倒させると、システム制御部27は湾曲制御部28に左右方向湾曲指示信号を出力する。湾曲制御部28は受信した左右方向湾曲指示信号に基づいてRL湾曲モータ30を駆動制御して、RL湾曲モータ30に接続さている2本の湾曲ワイヤーの牽引及び弛緩を行う。それにより、ユーザは、挿入部2の先端部を左右方向に湾曲させることができる。
【0032】
画像記録部31は、フリーズ、静止画記録及び動画記録の制御を行う処理部である。画像記録部31に入力された映像信号は、エンコーダにて圧縮され、静止画もしくは動画として記録媒体5に記録される。
【0033】
この画像記録動作は、システム制御部27が、ユーザインターフェース33からの入力に基づいて記録指示信号を画像記録部31へ送信し、画像記録部31がその記録指示信号を受信した場合に行われる。なお、画面に対して一旦フリーズを実施した後に記録をする場合には静止画記録、フリーズせずに記録をする場合には動画記録となる。
【0034】
また、記録媒体5に記録されている静止画もしくは動画は、画像記録部31においてデコーダされて伸張され、LCDコントローラ32に出力される。この画像再生動作は、システム制御部27が、ユーザインターフェース33からの入力に基づいて再生指示信号を画像記録部31に送信し、画像記録部31がその再生指示信号を受信した場合に行われる。
【0035】
画像記録部31から出力された映像信号は、LCDコントローラ32に出力される。LCDコントローラ32では、入力された映像信号に対して最適な画像処理(ガンマ補正、スケーリング、RGB変換、等)を施し、その画像処理された映像信号をLCD4に出力する。LCD4では、入力された映像信号に基づき映像信号を表示画像として表示する。
【0036】
挿入部2の先端部に配置されたサーミスタ13は、着脱コネクタ6a、6bを介して接続される信号線を介して、システム制御部27と接続されている。システム制御部27は、サーミスタ13の出力を元に、LCD4の画面上に挿入部2の先端部の温度情報を表示する。
【0037】
次に、CCD駆動回路24とシステム制御部27の構成について説明する。
図2は、CCD駆動回路24とシステム制御部27の構成を説明するためのブロックである。
CCD駆動回路24は、スイッチ41と複数の駆動回路を有している。ここでは、挿入部2の径や長さが異なる3種類の挿入部に対応可能なように3つの駆動回路42,43,44が設けられている。駆動回路42,43,44は、タイミングジェネレータ25と接続され、タイミングジェネレータ25からのパルス信号が入力される。3つの駆動回路42,43,44は、入力されたパルス信号の振幅をそれぞれの所定の大きさに増幅して、CCD駆動信号として、各駆動回路に接続されているスイッチ41に出力する。
【0038】
スイッチ41は、複数の(ここでは3つの)駆動回路の出力を切り替えて出力する切り替え回路である。そのため、スイッチ41は、3つの駆動回路の出力にそれぞれ接続された3つの入力端子C1、C2、C3と、1つの出力端子CCを、内部に含み、後述するように、接続された挿入部2に対応する入力端子を出力端子CCに接続できるように構成されている。その接続は、システム制御部27からの切替制御信号SSに基づいて行われる。
【0039】
さらに、スイッチ41は、何にも接続されていない入力端子C0も有し、通常は、すなわち、CPU52からの切替制御信号SSが無ければ、図2において点線で示すように、スイッチ41は、入力端子C0と出力端子CCを接続するようになっている。すなわち、挿入部2が本体部3に接続されていないときは、スイッチ41は、いずれの駆動回路42,43,44も出力端子CCに接続しない。以下、スイッチ41において、入力端子C0と出力端子CCが接続されている状態を、スイッチ41はオフ状態にあるともいう。
【0040】
後述するように、挿入部2の種類が判別される前はスイッチ41はオフ状態とし、挿入部2の種類が判別された後は、スイッチ41をオン、すなわちいずれかの駆動回路に接続されるように制御されるので、挿入部2の種類を判別する前に駆動回路からCCD11に対して誤って過大な電圧を印加されてCCD11が破壊されるのが防止されるように、CCD駆動回路24は構成されている。
【0041】
以上のように、スイッチ41は、システム制御部27からの切替制御信号SSに基づいて、駆動回路42〜44のいずれか1つの出力のCCD駆動信号を選択して、CCD11へその選択したCCD駆動信号を出力するように構成されている。
【0042】
挿入部2の長さ及び/又は太さに応じて、挿入部2のCCD11までの信号線の長さ及び/又は太さが異なるので、CCD11までCCD駆動信号を伝送する場合の、CCD駆動信号の減衰量、歪み量などは異なる。
【0043】
そこで、その減衰量、歪み量などを補正するために、挿入部2の種類ごとに、CCD駆動信号の電圧及び/又は電流の増幅を行う駆動回路が個別に設けられている。上述したように、ここでは、取り付けられる挿入部2の種類が3つであるので、それぞれの挿入部に対応する駆動回路42,43,44が設けられている。3つの駆動回路42,43,44において挿入部2の種類に応じて最適に電圧及び/又は電流が増幅されたCCD駆動信号が、スイッチ41に入力される。
【0044】
例えば、挿入部2が径6mmで長さ10mの種類のものであると、駆動回路42の出力が選択され、挿入部2が径6mmで長さ5mの種類のものであると、駆動回路43の出力が選択され、挿入部2が径4mmで長さ5mの種類のものであると、駆動回路44の出力が選択されるように、スイッチ41の選択は制御される。
【0045】
なお、ここでは、3種類の挿入部に対応する3つの駆動回路とスイッチ41が設けられている例を説明しているが、挿入部が4種以上あれば、種類に応じて4以上の駆動回路を設けるようにすればよい。
さらになお、ここでは、3種類の挿入部に対応する3つの駆動回路とスイッチ41が設けられているが、出力されるCCD駆動信号の電圧及び/又は電流の増幅量を変更可能な1つの駆動回路を用いて、CPU52からの制御信号に基づいてCCD駆動信号の電圧及び/又は電流を調整して出力するようにしてもよい。
【0046】
システム制御部27は、アナログデジタル変換器(以下、A/Dコンバータという)51と、中央処理装置(以下、CPUという)52と、不揮発性メモリであるEEPROM53を含む。
挿入部2が本体部3に接続されたときに、A/Dコンバータ51には、サーミスタ13の電圧信号が入力される。また、A/Dコンバータ51の入力端は抵抗器rによりプルアップされている。図2に示すように、サーミスタ13の一端は、システム制御部27内にある抵抗器rの一端と接続され、他端は、接地(GND)される。抵抗器rの他端は、電源(VDD)に接続される。サーミスタ13と抵抗rとの接続点の電圧が、A/Dコンバータ51に入力される。なお、挿入部2が本体部3に接続されていないときは、A/Dコンバータ51の入力電圧は、抵抗器rによりプルアップされて、高くなる。A/Dコンバータ51は、入力された電圧信号をデジタル信号に変換して、CPU52へ出力する。
【0047】
CPU52は、サーミスタ13の電圧信号を元に、挿入部2の種類を判別して、その判別結果に応じて画像処理部23及びスイッチ41を制御する。CPU52にはEEPROM53が接続されている。EEPROM53には、各種制御を行うための各種設定値と共に、挿入部2の種類を判別するための閾値情報、及び温度情報を得るためのテーブル情報が格納されている。CPU52は、EEPROM53から閾値情報及びテーブル情報を読み出して、サーミスタ13の出力と、閾値情報及びテーブル情報とからの挿入部2の種類の判別と温度検出を行っている。
【0048】
具体的には、CPU52は、CPU52に接続されたEEPROM53に記憶されている電圧値・温度テーブルのテーブル情報を参照することによって、サーミスタ13の出力から温度の算出を行う。すなわち、EEPROM53には、サーミスタ13の出力に対応した温度を示すテーブル情報が予め記憶されており、CPU52は、入力されたサーミスタ13の電圧信号から、そのテーブル情報を参照することによって、温度を導出する。
また、EEPROM53には、挿入部2の種類の判別のための閾値情報も記憶されている。後述するように、CPU52は、サーミスタ13の出力と閾値情報に基づいて、挿入部2の種類を判別する。
【0049】
CPU52は、判別された挿入部2の種類に応じて、CCD駆動信号、画像処理部23の画像処理、湾曲制御部28の湾曲制御信号、及びLED駆動信号を変更する。
【0050】
画像処理については、CPU52は、画像処理部23と通信して、接続された挿入部2の種類に対応したコマンドCSを、画像処理部23へ供給する。画像処理部23は、受信したコマンドCSに応じたパルス信号を出力するようにタイミングジェネレータ25を制御する。例えば、画像処理部23が、CCD駆動信号のタイミングデータとパルス幅データをタイミングジェネレータ25の所定のレジスタに書き込むことによって、タイミングジェネレータ25は、接続された挿入部2に応じたタイミングとパルス幅を有するパルス信号を出力する。すなわち、タイミングジェネレータ25は、画像処理部23からの指示に応じて、接続された挿入部2のCCD11に応じたパルス信号を駆動回路42,43,44に出力する。
【0051】
スイッチ41は、CPU52からの切替制御信号SSに応じて、駆動回路42,43,44の出力のうちの一つを選択して、その出力をCCD駆動信号としてCCD11に出力する。すなわち、CPU52は、挿入部2の種類に応じて、スイッチ41の切替を制御して、最適なCCD駆動信号がCCD11へ供給されるように制御している。
【0052】
さらに、CPU52は、接続された挿入部2の種類に応じて適切な画像処理を行えるように、CCD11からの撮像信号に対して適切なタイミングでサンプリングするようにAFE22の制御を行っている。AFE22は、画像処理部23からのタイミング調整信号に基づいて、CDS回路等のタイミングを変更して、CDS等の処理を行う。
【0053】
さらに、CPU52は、接続された挿入部2の種類に応じて適切な照明がされるように、LED駆動回路26を制御し、接続された挿入部2の種類に応じて適切な湾曲制御がされるように、湾曲制御部28を制御している。
【0054】
以上のように、CPU52は、挿入部2内に配置されるCCD11の種類に応じて画像処理部23に対して所定のコマンド信号を送信し、画像処理部23は、CPU52からのコマンド信号を元に、適切な画像処理を行えるようにAFE22の制御等を行うと共に、タイミングジェネレータ25に対して、接続された挿入部に応じた最適なタイミングとなるようにCCD駆動信号などの制御を行う。さらに、CPU52は、接続された挿入部2の種類に応じて適切な照明制御と湾曲制御がされるように、LED駆動信号と湾曲駆動信号の制御を行う。
【0055】
次に、CPU52において、接続された挿入部2の種類を判別するためのサーミスタの出力(電圧信号)と各閾値の関係について説明する。
図3は、A/Dコンバータ51に入力されるサーミスタ13の出力電圧(縦軸)と、挿入部2の先端部の温度(横軸)の関係を示すグラフである。3種類の挿入部2に搭載されるサーミスタ13をサーミスタT1,T2,T3としたときに、各サーミスタ13は、温度の上昇に伴って出力電圧が低下する負の特性を有しているサーミスタである。さらに、3つサーミスタT1,T2,T3からの電圧が、挿入部2の使用される温度範囲内において一致することがないように、3つのサーミスタT1,T2,T3は選択される。言い換えれば、3つのサーミスタT1,T2,T3の抵抗値が、挿入部2の使用環境温度範囲(例えば、−25℃〜+100℃)の中で重ならないように、3つのサーミスタT1,T2,T3が選定される。すなわち、複数の(ここでは3つ)のサーミスタの出力特性は、内視鏡装置1の使用環境温度において、複数のサーミスタ13の出力値が、互いに異なり、重ならない特性を有する。
【0056】
これにより、どのサーミスタが接続されたかが、点線で示している閾値TH1及び閾値TH2の電圧値と、A/Dコンバータ51に入力される電圧(A/D電圧)とを比較することによって、判別することが可能となる。具体的には、サーミスタ13の電圧値が閾値TH1以上のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、サーミスタT1であると判別される。サーミスタ13の電圧値が閾値TH1未満でかつ閾値TH2以上のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、サーミスタT2であると判別される。サーミスタ13の電圧値が閾値TH2未満のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、サーミスタT3であると判別される。以上のように、本実施の形態の内視鏡装置1は、複数の挿入部2を含み、各挿入部2は、互いに出力特性が異なる、先端部の温度を検出するための温度センサとしてのサーミスタ13を先端部に有している。
【0057】
以下、サーミスタT1が搭載されている挿入部2を挿入部2(T1)と記し、サーミスタT2が搭載されている挿入部2を挿入部2(T2)と記し、サーミスタT3が搭載されている挿入部2を挿入部2(T3)と記す。また、上述した駆動回路42は、挿入部2(T1)のための回路であり、駆動回路43は、挿入部2(T2)のための回路であり、駆動回路44は、挿入部2(T3)のための回路であるとして、以下、説明する。
【0058】
さらに、挿入部2が本体部3に接続されていないと、A/Dコンバータ51に入力される電圧(A/D電圧)の値は、抵抗器rによってプルアップされて、高くなる。よって、サーミスタT1が使用環境温度範囲で取り得る電圧値よりも高い閾値TH0を設定し、A/Dコンバータ51に入力される電圧が、閾値TH0以上の場合は、挿入部2は接続されていないと判定することもできる。
【0059】
また、各サーミスタは、挿入部2の先端部の温度に応じた抵抗値になるので、A/Dコンバータ51に入力される電圧(A/D電圧)に基づいて、CPU52は、挿入部2の先端部の温度を算出することができる。
【0060】
挿入部2に設けたサーミスタ13の特性を以上のような関係になるように、選択することによって、CPU52は、挿入部2の温度を検出することができると共に、A/Dコンバータ51に入力される電圧(A/D電圧)と、各閾値TH1,TH2とに基づいて、どの挿入部が接続されたかを判別することが出来る。
(作用)
次に、挿入部2の種類を判別する処理について説明する。
図4は、挿入部2の種類を判別するための判別処理の流れの例を示すフローチャートである。なお、図4では、CCD駆動回路24と画像処理部23に対する処理について説明し、LED駆動回路26と湾曲制御部28に対する処理については説明を省略する。
【0061】
まず、内視鏡装置1の電源がオンされた後に、CPU52によって図4の処理が実行される。電源がオンされたときは、スイッチ41は、いずれの駆動回路42,43,44とも未接続の状態、すなわちオフ状態となっている。
【0062】
内視鏡装置1の電源がオンされた後、CPU52は、A/Dコンバータ51に入力されるサーミスタ13の出力電圧(以下、A/D電圧ともいう)が、閾値TH0以上であるか否かを判定する(S1)。この判定は、CPU52が、A/Dコンバータ51により変換されたA/D電圧のデジタルデータと、EEPROM53から読み出した閾値のデジタルデータとを比較することによって行われる。なお、以下のA/D電圧と各閾値との比較判定も同様である。
A/D電圧が閾値TH0以上であると(S1:YES)、スイッチ41はオフ状態とし(S2)、処理は、S1へ戻る。
【0063】
A/D電圧が閾値TH0未満であると(S1:NO)、CPU52は、A/D電圧が、閾値TH1以上であるか否かを判定する(S3)。A/D電圧が閾値TH1以上であると(S3:YES)、挿入部2(T1)が接続されていると判定し(S4)、挿入部2(T1)に対応するコマンドCSを、通信により画像処理部23へ送信すなわち出力し(S5)、挿入部2(T1)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S6)、スイッチ41は、駆動回路42を選択するように切り替わる。そして、処理は、S1へ戻る。
【0064】
A/D電圧が閾値TH1未満であると(S3:NO)、CPU52は、A/D電圧が、閾値TH1未満でかつ閾値TH2以上であるか否かを判定する(S7)。A/D電圧が閾値TH1未満でかつ閾値TH2以上であると(S7:YES)、挿入部2(T2)が接続されていると判定し(S8)、挿入部2(T2)に対応するコマンドCSを画像処理部23へ出力し(S9)、挿入部2(T2)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S10)、スイッチ41は、駆動回路43を選択するように切り替わる。そして、処理は、S1へ戻る。
【0065】
A/D電圧が閾値TH2未満であると(S7:NO)、CPU52は、挿入部2(T3)が接続されていると判定し(S11)、挿入部2(T3)に対応するコマンドCSを画像処理部23へ出力し(S12)、挿入部2(T3)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S13)、スイッチ41は、駆動回路44を選択するように切り替わる。そして、処理は、S1へ戻る。
以上のように、S3、S4,S7,S8,S11の処理が、本体部3に接続された挿入部2の温度センサであるサーミスタ13の出力値から、出力特性に基づき、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタを特定することによって、挿入部2の種類を判別する種類判別部を構成する。具体的には、複数の温度センサであるサーミスタ13の出力値を区別するための閾値データと、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13の出力値とを比較することによって、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13が特定される。
なお、S5とS6の処理の順番は逆でもよく、S9とS10の処理及びS12とS13の処理の順番も、それぞれ逆でもよい。
【0066】
以上の処理により、挿入部の温度を検出するために設けられた温度センサを用いて挿入部の種類が判別され、さらに、以上の処理が繰り返されることによって、途中での挿入部の変更にも対応することができる。
【0067】
以上のように、本実施の形態によれば、挿入部の温度を検出するために設けられた温度センサを用いて挿入部の種類を判別できるので、回路規模を増大させること無く、挿入部の種類を判別することができる内視鏡装置を提供することができる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態は、挿入部の種類に応じて温度センサの出力が異なるようにして、温度センサの出力に基づいて挿入部の種類を判別しているが、本実施の形態では、挿入部の種類に応じて温度センサの出力の変化が異なるようにして、温度センサの出力の変化に基づいて挿入部の種類を判別している。特に、本実施の形態では、温度変化に伴う温度センサの出力電圧の傾きに基づいて、挿入部の種類が判別される。
【0068】
本実施の形態の構成は、第1の実施の形態の回路構成と同一であり、温度センサの特性とCPUの処理が、第1の実施の形態と異なる。よって、以下、第2の実施の形態について説明するが、第1の実施の形態と同じ構成については、説明は省略し、異なる部分のみ説明する。
【0069】
まず、本体部3に接続される挿入部2の種類を判別するためのサーミスタの出力(電圧信号)と各閾値の関係について説明する。
図5は、A/Dコンバータ51に入力されるサーミスタ13の出力電圧(縦軸)と、挿入部2の先端部の温度(横軸)の関係を示すグラフである。3種類の挿入部2のそれぞれに搭載されるサーミスタ13をサーミスタT11,T12,T13としたときに、2つサーミスタT11,T12からの電圧は、それぞれ、温度の上昇に伴って出力電圧が低下する負の特性を有しているサーミスタである。さらに、2つのサーミスタT11とT12は、その温度に対する電圧の低下の程度、すなわち傾きが異なっている。ここでは、サーミスタT11の傾きは、サーミスタT12の傾きよりも小さい。
【0070】
サーミスタT13は、温度の上昇に伴って出力電圧が上昇する正の特性を有しているサーミスタである。言い換えれば、3つのサーミスタT11,T12,T13の出力の、温度に対する変化が異なるように、3つのサーミスタT11,T12,T13が選定される。すなわち、複数の(ここでは3つ)のサーミスタの出力特性は、内視鏡装置1の使用環境温度において、複数のサーミスタ13の出力値の温度変化に対する変化率が、互いに異なる特性を有する。
【0071】
これにより、どのサーミスタが接続されたかが、点線で示している傾きの閾値THc1及び閾値THc2と、A/Dコンバータ51に入力されるサーミスタ13の温度変化に伴う電圧(A/D電圧)の変化(傾き)とを比較することによって、判別することが可能となる。具体的には、サーミスタ13の電圧変化が閾値THc1(図5では、閾値THc1の傾きは0)以上のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、サーミスタT13であると判別される。サーミスタ13の電圧変化が閾値THc1未満でかつ閾値THc2以上のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、サーミスタT11であると判別される。サーミスタ13の電圧変化が閾値THc2未満のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、サーミスタT12であると判別される。
【0072】
以下、サーミスタT11が搭載されている挿入部2を挿入部2(T11)と記し、サーミスタT12が搭載されている挿入部2を挿入部2(T12)と記し、サーミスタT13が搭載されている挿入部2を挿入部2(T13)と記す。また、上述した駆動回路42は、挿入部2(T11)のための回路であり、駆動回路43は、挿入部2(T12)のための回路であり、駆動回路44は、挿入部2(T13)のための回路であるとして、以下、説明する。
【0073】
挿入部2に設けたサーミスタ13の特性を以上のような関係になるように選択することによって、CPU52は、挿入部2の温度を検出することができると共に、A/Dコンバータ51に入力される電圧(A/D電圧)の変化と、各閾値THc1,THc2とに基づいて、どの挿入部が接続されたかを判別することが出来る。
(作用)
次に、挿入部2の種類を判別する処理について説明する。
図6は、挿入部2の種類を判別するための判別処理の流れの例を示すフローチャートである。なお、図6では、CCD駆動回路24と画像処理部23に対する処理について説明し、LED駆動回路26と湾曲制御部28に対する処理については説明を省略する。
【0074】
まず、内視鏡装置1の電源がオンされた後に、CPU52によって図6の処理が実行される。電源がオンされたときは、スイッチ41は、いずれの駆動回路42,43,44とも未接続の状態、すなわちオフ状態となっている。
【0075】
内視鏡装置1の電源がオンされた後、CPU52は、A/Dコンバータ51に入力されるA/D電圧が、閾値TH0以上であるか否かを判定する(S21)。
A/D電圧が閾値TH0以上であると(S21:YES)、スイッチ41はオフ状態とし(S22)、処理は、終了する。
【0076】
A/D電圧が閾値TH0未満であると(S21:NO)、CPU52は、LED駆動回路26を駆動して、所定時間だけ、LED14を点灯させる(S23)。LED14は、点灯により発熱する。LED14も挿入部2の先端部に設けられているので、LED14が点灯することによって、サーミスタ13が加熱される。LED14を点灯する所定時間は、以下に説明するサーミスタ13の温度変化に伴う出力の変化(傾き)を検出することが可能となる時間である。
【0077】
なお、ここでは、LED14を点灯させて、サーミスタ13を加熱しているが、CCD11を駆動させることによって、サーミスタ13を加熱するようにしてもよい。また、照明にLED14ではなく、ライトガイドを利用している場合は、ライトガイドに接続された光源装置をオンにして、ライトガイドから照明光を出射させることによって、サーミスタ13を加熱するようにしてもよい。
【0078】
所定時間LED14が点灯することによって、サーミスタ13の温度は上昇する。図5に示したように、3つのサーミスタT11,T12,T13は、温度上昇に伴う出力電圧の変化が異なっている。
【0079】
図5において、温度がPT1からPT2に変化したとすると、サーミスタT11は、抵抗値が小さくなって、出力電圧が小さくなるように変化する。このときの、A/D電圧の変化の傾きは、α1である。サーミスタT12も、抵抗値が小さくなって、出力電圧が小さくなるように変化するが、その変化量(すなわち傾き)は、マイナス方向に大きい(逆にプラス方向では小さい)。このときの、A/D電圧の変化の傾きは、α2である。また、サーミスタT13は、抵抗値が大きくなって、出力電圧が大きくなるように変化する。このときの、A/D電圧の変化の傾きは、α3である。
【0080】
そこで、S23の後、CPU52は、A/D電圧の変化が、閾値THc1以上であるか否かを判定する(S24)。ここでは、閾値THc1は、ゼロである。A/D電圧の変化が閾値THc1以上であると(S24:YES)、挿入部2(T13)が接続されていると判定し(S25)、挿入部2(T13)に対応するコマンドCSを、通信により画像処理部23へ送信すなわち出力し(S26)、挿入部2(T13)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S27)、スイッチ41は、駆動回路44を選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
【0081】
A/D電圧の変化が閾値THc1未満であると(S24:NO)、CPU52は、A/D電圧の変化が、閾値THc1未満でかつ閾値THc2以上であるか否かを判定する(S28)。A/D電圧の変化が閾値THc1未満でかつ閾値THc2以上であると(S28:YES)、挿入部2(T11)が接続されていると判定し(S29)、挿入部2(T11)に対応するコマンドCSを画像処理部23へ出力し(S30)、挿入部2(T11)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S31)、スイッチ41は、駆動回路42を選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
【0082】
A/D電圧の変化が閾値THc2未満であると(S28:NO)、CPU52は、挿入部2(T12)が接続されていると判定し(S32)、挿入部2(T12)に対応するコマンドCSを画像処理部23へ出力し(S33)、挿入部2(T12)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S34)、スイッチ41は、駆動回路43を選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
以上のように、S24,S25,S28,S29,S32の処理が、本体部3に接続された挿入部2の温度センサであるサーミスタ13の出力値から、出力特性に基づき、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタを特定することによって、挿入部2の種類を判別する種類判別部を構成する。具体的には、複数の温度センサであるサーミスタ13の出力値の変化率を区別するための閾値データと、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13の出力値の変化率とを比較することによって、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタが特定される。
なお、S26とS27の処理の順番は逆でもよく、S30とS31の処理及びS33とS34の処理の順番も、それぞれ逆でもよい。
【0083】
以上の処理により、挿入部の温度を検出するために設けられた温度センサを用いて挿入部の種類が判別され、その後、CCD11は適切に駆動され、かつCCD11から撮像信号も適切に処理される。そして、CPU52は、入力されたサーミスタ13の電圧信号から、そのテーブル情報を参照することによって、挿入部2の先端部の温度を検出することができる。
【0084】
以上のように、本実施の形態によれば、挿入部の温度を検出するために設けられた温度センサを用いて挿入部の種類を判別できるので、回路規模を増大させること無く、挿入部の種類を判別することができる内視鏡装置を提供することができる。
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態は、挿入部の種類に応じて温度センサの出力が異なるようにして、温度センサの出力に基づいて挿入部の種類を判別し、第2の実施の形態では、挿入部の種類に応じて温度センサの出力の変化が異なるようにして、温度センサの出力の変化に基づいて挿入部の種類を判別しているが、本実施の形態は、第1の実施の形態と第2の実施の形態の2つの判別方法を組み合わせて、挿入部の種類を判別している。すなわち、本実施の形態では、温度センサの出力電圧と、温度変化に伴う温度センサの電圧の傾きの両方を組み合わせて、挿入部の種類が判別される。
【0085】
本実施の形態の構成は、第1及び第2の実施の形態の回路構成と同一であり、温度センサの特性とCPUの処理が、第1及び第2の実施の形態と異なる。よって、以下、第3の実施の形態について説明するが、第1及び第2の実施の形態と同じ構成については、説明は省略し、異なる部分のみ説明する。
【0086】
まず、本体部3に接続される挿入部2の種類を判別するためのサーミスタの出力(電圧信号)と各閾値の関係について説明する。
図7は、A/Dコンバータ51に入力される電圧(縦軸)と、挿入部2の先端部の温度(横軸)の関係を示すグラフである。3種類の挿入部2に搭載されるサーミスタ13をサーミスタT21,T22,T23としたときに、サーミスタT21の出力電圧は、他の2つのサーミスタT22,T23とは、挿入部2の使用される温度範囲内において一致することがないように選択されている。さらに、2つサーミスタT22,T23の出力電圧は、それぞれ、温度の上昇に伴って出力電圧が低下する負の特性を有しているサーミスタである。2つのサーミスタT22とT23は、その温度に対する電圧の低下の程度、すなわち傾きが異なっている。ここでは、サーミスタT23の傾きは、サーミスタT22の傾きよりも小さい(マイナス方向では大きい)。
すなわち、複数の(ここでは3つ)のサーミスタの出力特性は、内視鏡装置1の使用環境温度において、複数のサーミスタ13のうち、少なくとも1つの出力値が他のサーミスタ13の出力値と異なり、重ならず、かつ他のサーミスタ13の出力値の温度変化に対する変化率が、互いに異なる特性を有する。
【0087】
従って、どのサーミスタが接続されたかが、点線で示している閾値TH3とA/Dコンバータ51に入力されるA/D電圧との比較、及び閾値THc3とA/Dコンバータ51に入力されるA/D電圧の変化(傾き)との比較によって、判別することが可能となる。具体的には、サーミスタ13の電圧が閾値TH3以上のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、サーミスタT21であると判別される。また、サーミスタ13の電圧変化が閾値THc3以上のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、サーミスタT22であると判別される。サーミスタ13の電圧変化が閾値THc3未満のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、サーミスタT23であると判別される。
【0088】
以下、サーミスタT21が搭載されている挿入部2を挿入部2(T21)と記し、サーミスタT22が搭載されている挿入部2を挿入部2(T22)と記し、サーミスタT23が搭載されている挿入部2を挿入部2(T23)と記す。また、上述した駆動回路42は、挿入部2(T21)のための回路であり、駆動回路43は、挿入部2(T22)のための回路であり、駆動回路44は、挿入部2(T23)のための回路であるとして、以下、説明する。
【0089】
挿入部2に設けたサーミスタ13の特性を以上のような関係になるように、選択することによって、CPU52は、挿入部2の温度を検出することができると共に、A/Dコンバータ51に入力される電圧(A/D電圧)と電圧の変化と、各閾値TH3,THc3とに基づいて、どの挿入部が接続されたかを判別することが出来る。
(作用)
次に、挿入部2の種類を判別する処理について説明する。
図8は、挿入部2の種類を判別するための判別処理の流れの例を示すフローチャートである。なお、図8では、CCD駆動回路24と画像処理部23に対する処理について説明し、LED駆動回路26と湾曲制御部28に対する処理については説明を省略する。
【0090】
まず、内視鏡装置1の電源がオンされた後に、CPU52によって図8の処理が実行される。電源がオンされたときは、スイッチ41は、いずれの駆動回路42,43,44とも未接続の状態、すなわちオフ状態となっている。
【0091】
内視鏡装置1の電源がオンされた後、S21からS23の処理は、第2の実施の形態と同様であるので、説明は省略する。
図7において、温度がPT1からPT2に変化したとしても、サーミスタ21は、その出力電圧は、他のサーミスタT22,T23よりも大きい。また、サーミスタT22は、抵抗値が小さくなって、出力電圧が小さくなるように変化する。このときの、A/D電圧の変化の傾きは、α4である。サーミスタT23も、抵抗値が小さくなって、出力電圧が小さくなるように変化するが、その変化量(すなわち傾き)は、マイナス方向に大きい(逆にプラス方向では小さい)。このときの、A/D電圧の変化の傾きは、α5である。
【0092】
そこで、S23の後、CPU52は、A/D電圧の変化が、閾値TH3以上であるか否かを判定する(S41)。A/D電圧が閾値TH3以上であると(S41:YES)、挿入部2(T21)が接続されていると判定し(S42)、挿入部2(T21)に対応するコマンドCSを、通信により画像処理部23へ送信すなわち出力し(S43)、挿入部2(T21)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S44)、スイッチ41は、駆動回路42を選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
【0093】
A/D電圧の変化が閾値TH3未満であると(S41:NO)、CPU52は、A/D電圧の変化が、閾値THc3以上であるか否かを判定する(S45)。A/D電圧の変化が閾値THc3以上であると(S45:YES)、挿入部2(T22)が接続されていると判定し(S46)、挿入部2(T22)に対応するコマンドCSを画像処理部23へ出力し(S47)、挿入部2(T22)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S48)、スイッチ41は、駆動回路43を選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
【0094】
A/D電圧の変化が閾値THc3未満であると(S45:NO)、CPU52は、挿入部2(T23)が接続されていると判定し(S49)、挿入部2(T23)に対応するコマンドCSを画像処理部23へ出力し(S50)、挿入部2(T23)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S51)、スイッチ41は、駆動回路44を選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
以上のように、S41,S42,S45,S46,S49の処理が、本体部3に接続された挿入部2の温度センサであるサーミスタ13の出力値から、出力特性に基づき、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタを特定することによって、挿入部2の種類を判別する種類判別部を構成する。
具体的には、複数の温度センサであるサーミスタ13の出力値を区別するための第1の閾値データと、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13の出力値とを比較することによって、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13が特定され、かつ、他のサーミスタ13の出力値の変化率を区別するための第2の閾値データと、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13の出力値の変化率とを比較することによって、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13が特定される。
なお、S43とS44の処理の順番は逆でもよく、S47とS48の処理及びS50とS51の処理の順番も、それぞれ逆でもよい。
【0095】
以上の処理により、挿入部の温度を検出するために設けられた温度センサを用いて挿入部の種類が判別され、その後、CCD11は適切に駆動され、かつCCD11から撮像信号も適切に処理される。そして、CPU52は、入力されたサーミスタ13の電圧信号から、そのテーブル情報を参照することによって、挿入部2の先端部の温度を検出することができる。
【0096】
以上のように、本実施の形態によれば、挿入部の温度を検出するために設けられた温度センサを用いて挿入部の種類を判別できるので、回路規模を増大させること無く、挿入部の種類を判別することができる内視鏡装置を提供することができる。
(第4の実施の形態)
上述した3つの実施の形態では、挿入部2の先端部に設けた温度センサのみを用いて挿入部の種別を判定しているが、本実施の形態では、本体部3にも温度センサを設け、挿入部2の先端部に設けた温度センサと、本体部3に設けた温度センサの2つの出力に基づいて、挿入部の種別が判定される。
【0097】
本実施の形態の構成は、第1の実施の形態の回路構成と略同一であるが、例えば、本体部3に温度センサを設けたことと、温度センサの特性と、CPUの処理等において異なっている。よって、以下、第4の実施の形態について説明するが、第1の実施の形態と同じ構成については、説明は省略し、異なる部分のみ説明する。なお、本実施の形態では、N(Nは、正の整数)種類の挿入部2を判別する例で説明する。
【0098】
本実施の形態の内視鏡装置1Aは、図1において、点線で示すように、本体部3に温度センサ(以下、本体部温度センサという)61を設けた点が、第1の実施の形態の内視鏡装置1と異なっている。本体部3に設けられた本体部温度センサ61は、例えば、サーミスタである。
【0099】
図9は、CCD駆動回路24Aとシステム制御部27の構成を説明するためのブロックである。
CCD駆動回路24Aは、スイッチ41と複数の駆動回路を有している。ここでは、挿入部2の径や長さが異なるN種類の挿入部に対応可能なようにN個の駆動回路42−1,42−2,・・・、42−Nが設けられている。そのため、スイッチ41Aも、内部に、N個の入力端子を有しており、選択制御信号SSに基づいていずれかの入力端子が選択される。また、A/Dコンバータ51には、本体部温度センサ61の出力も入力可能となっている。A/Dコンバータ51は、サーミスタ13と本体部温度センサ61の両方を同時にA/D変換するものでもよいし、サーミスタ13と本体部温度センサ61の入力を切り替えて、A/D変換するものでもよい。
【0100】
まず、挿入部2の種類を判別するためのサーミスタの出力(電圧信号)と各閾値の関係について説明する。
図10は、サーミスタ13の出力であるA/Dコンバータ51に入力される電圧(縦軸)と、挿入部2の先端部の温度(横軸)の関係を示すグラフである。N種類の挿入部2に搭載されるサーミスタ13をサーミスタT31,T32,T33、・・・T3Nとしたときに、一のサーミスタの出力電圧は、他のサーミスタの出力電圧と、挿入部2の使用される温度範囲内において同じ値となる場合がある特性を有する。なお、ここでは、N個のサーミスタT31等は、それぞれ、温度の上昇に伴って出力電圧が低下する負の特性を有しているサーミスタである。
【0101】
しかし、図10に示すように、N個のサーミスタは、本体部3が置かれる環境温度においては、互いに異なる抵抗値を有する。例えば、図10に示すように、挿入部2が本体部3と同じ温度H1、例えば25℃、のときには、N個のサーミスタは、互いに異なる抵抗値を有し、さらに、挿入部2が本体部3が置かれる他の温度H2、例えば35℃、のときには、N個のサーミスタは、温度H1のときとは互いに異なる抵抗値を有する。よって、本体部温度センサ61のA/D電圧値の所定の範囲毎に、(N−1)個の閾値を、EEPROM53に予め記憶しておき、挿入部2を本体部3と同じ温度環境下において、挿入部2と本体部3とを接続し、そのときの本体部温度センサ61のA/D電圧、と、その本体部3の温度に対応する(N−1)個の閾値とを比較することによって、挿入部2の判別をすることが可能となる。
【0102】
例えば、図10に示すように、本体部温度センサ61からのA/D電圧に対応する温度が範囲R1内のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、閾値セット1(閾値データTH1(R1),TH2(R1),・・・TH(N−1)(R1)を含む)を用いて、サーミスタ13の判別を行う。本体部温度センサ61からのA/D電圧に対応する温度が範囲R2内のときは、接続されている挿入部2のサーミスタ13は、閾値セット2(閾値データTH1(R2),TH2(R2),・・・TH(N−1)(R2)を含む)を用いて、サーミスタ13の判別を行う。このように、本体部温度センサ61の検出した温度(あるいは電圧値)に対応して予め設定された1又は2以上の閾値を用いて、接続されている挿入部2のサーミスタ13の判別、すなわち挿入部2の種類の判別が行われる。
ここでは、2つの閾値セットを例として挙げたが、閾値セットの数は、本体部3の使用環境において取り得る温度あるいは温度範囲に対して、各サーミスタを識別するために必要な数であり、3以上でもよい。
【0103】
以下、サーミスタT31が搭載されている挿入部2を挿入部2(T31)と記し、サーミスタT32が搭載されている挿入部2を挿入部2(T32)と記し、サーミスタT33が搭載されている挿入部2を挿入部2(T33)と記し、以下同様にして、サーミスタT3Nが搭載されている挿入部2を挿入部2(T3N)と記す。また、上述した駆動回路42−1は、挿入部2(T31)のための回路であり、駆動回路42−2は、挿入部2(T32)のための回路であり、駆動回路42−3は、挿入部2(T33)のための回路であり、以下同様にして、駆動回路42−Nは、挿入部2(T3N)のための回路であるとして、以下、説明する。
【0104】
挿入部2に設けたサーミスタ13の特性を以上のような関係になるように、選択することによって、CPU52は、挿入部2の温度を検出することができると共に、A/Dコンバータ51に入力される本体部温度センサ61とサーミスタ13のA/D電圧と、各閾値とに基づいて、どの挿入部が接続されたかを判別することが出来る。
(作用)
次に、挿入部2の種類を判別する処理について説明する。
図11及び図12は、挿入部2の種類を判別するための判別処理の流れの例を示すフローチャートである。なお、図11及び図12では、CCD駆動回路24と画像処理部23に対する処理について説明し、LED駆動回路26と湾曲制御部28に対する処理については説明を省略する。
【0105】
まず、内視鏡装置1の電源がオンされた後に、CPU52によって図11の処理が実行される。電源がオンされたときは、スイッチ41は、いずれの駆動回路42−1,42−2,等とも未接続の状態、すなわちオフ状態となっている。
【0106】
内視鏡装置1の電源がオンされた後、S1とS2の処理は、第1の実施の形態と同様であるので、説明は省略する。
A/D電圧が閾値TH0未満であると(S1:NO)、CPU52は、A/Dコンバータ51からの本体部温度センサ61の出力電圧を得て、その出力電圧に対応する閾値セットを決定する(S61)。図10の例で言えば、本体部3の温度が温度H1(例えば25℃)であれば、判別に使用する閾値セットを、閾値セット1と決定する。閾値セット1は、複数の閾値(TH1(R1),TH2(R1)、・・・TH(N−1)(R1))を含むデータである。以下、閾値セット1が選択された例で説明する。
【0107】
S61の後、CPU52は、A/D電圧が、閾値TH1(R1)以上であるか否かを判定する(S62)。A/D電圧が閾値TH1(R1)以上であると(S62:YES)、挿入部2(T31)が接続されていると判定し(S63)、挿入部2(T31)に対応するコマンドCSを、通信により画像処理部23へ送信すなわち出力し(S64)、挿入部2(T31)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S65)、スイッチ41Aは、駆動回路42−1を選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
【0108】
A/D電圧が閾値TH1(R1)未満であると(S62:NO)、CPU52は、A/D電圧が、閾値TH1(R1)未満でかつ閾値TH2(R1)以上であるか否かを判定する(S66)。A/D電圧が閾値TH1(R1)未満でかつ閾値TH2(R1)以上であると(S66:YES)、挿入部2(T32)が接続されていると判定し(S67)、挿入部2(T32)に対応するコマンドCSを画像処理部23へ出力し(S68)、挿入部2(T32)に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S69)、スイッチ41Aは、駆動回路42−1を選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
【0109】
S66でNOの場合は、以下同様にして、A/D電圧が隣り合う2つの閾値の間にあるか否かの判定が行われ、A/D電圧が隣り合う2つの閾値の間にあると判定されると、CPU52は、挿入部2の種類を判定し、対応するコマンドCSと切替制御信号SSを出力する。
【0110】
最後に、A/D電圧が閾値TH(N−2)(R1)未満でかつ閾値TH(N−1)(R1)以上であるか否かが判定される(S70)。A/D電圧が閾値TH(N−2)(R1)未満でかつ閾値TH(N−1)(R1)以上であると(S70:YES)、挿入部2(T3(N−1))が接続されていると判定し(S71)、挿入部2(T3(N−1))に対応するコマンドCSを画像処理部23へ出力し(S72)、挿入部2(T3(N−1))に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S73)、スイッチ41Aは、駆動回路42−(N−1)を選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
【0111】
A/D電圧が閾値TH(N−1)(R1)未満であると(S70:NO)、挿入部2(T3(N))が接続されていると判定し(S74)、挿入部2(T3(N))に対応するコマンドCSを画像処理部23へ出力し(S75)、挿入部2(T3(N))に対応する切替制御信号SSをスイッチ41へ出力し(S76)、スイッチ41Aは、駆動回路42−Nを選択するように切り替わる。そして、処理は、終了する。
以上のように、S61,S62,S63,S66,S67,S70,S71,S74等の処理が、本体部温度センサ61の検出温度に対応する出力特性に基づき、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13を特定することによって、挿入部2の種類を判別する種類判別部を構成する。具体的には、本体部温度センサ61の検出温度に対応する複数のサーミスタ13の出力値を区別するための閾値データと、本体部3に接続された挿入部2のサーミスタ13の出力値とを比較することによって、本体部3に接続された挿入部2サーミスタ13が特定される。
なお、S64とS65の処理の順番は逆でもよく、S68とS69の処理、S72とS73の処理、及びS75とS76の処理の順番も、それぞれ逆でもよい。
【0112】
以上の処理により、挿入部の温度を検出するために設けられた温度センサと本体部の温度センサとを用いて挿入部の種類が判別され、その後、CCD11は適切に駆動され、かつCCD11から撮像信号も適切に処理される。そして、CPU52は、入力されたサーミスタ13の電圧信号から、そのテーブル情報を参照することによって、挿入部2の先端部の温度を検出することができる。
【0113】
以上のように、本実施の形態によれば、挿入部の温度を検出するために設けられた温度センサと本体部の温度を検出する温度センサとを用いて挿入部の種類を判別できるので、回路規模を増大させること無く、挿入部の種類を判別することができる内視鏡装置を提供することができる。
【0114】
以上の各実施の形態によれば、回路規模を増大させること無く、挿入部の種類を判別することができる内視鏡装置を提供することができ、その結果、挿入部の種類に応じた、撮像素子の駆動制御、画像処理、LED駆動制御、挿入部先端の湾曲制御、を最適化することができる。
【0115】
なお、上述した各実施の形態では、挿入部2の先端部に搭載されている温度センサがサーミスタで、また第4の実施の形態では本体部に搭載されている温度センサも、サーミスタであるとして説明したが、温度を検出し、温度に対応する電圧を出力する温度センサIC等でもよい。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0116】
1、1A 内視鏡装置、2 挿入部、3 内視鏡装置の本体部、4 表示装置、5 記録媒体、6a、6b 着脱コネクタ、7a、7b 湾曲ワイヤー接続機構、11 CCD、12 対物レンズ、13 サーミスタ、14 LED、15 ワイヤー固定部、21 プリアンプ、22 アナログフロントエンド、23 画像処理部、24、24A CCD駆動回路、25 タイミングジェネレータ、26 LED駆動回路、27 システム制御部、28 湾曲制御部、29 UD湾曲モータ、30 RL湾曲モータ、31 画像記録部、32 LCDコントローラ、33 ユーザインターフェース、41、41A スイッチ、42,42−1,42−2,・・・、42−N,43,44 駆動回路、51 A/Dコンバータ、52 CPU、53 EEPROM,61 本体部温度センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に対して着脱自在で、被写体を撮像する撮像素子が先端部に設けられた、複数の細長の挿入部と、
それぞれが前記複数の挿入部の前記先端部に設けられ、互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための複数の第1の温度センサと、
前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサの出力値から、前記出力特性に基づき、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することによって、前記挿入部の種類を判別する種類判別部と、
を有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記出力特性は、前記内視鏡装置の使用環境温度において、前記複数の第1の温度センサの出力値が、互いに異なり、重ならない特性であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記種類判別部は、前記複数の第1の温度センサの出力値を区別するための閾値データと、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサの出力値とを比較することによって、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記出力特性は、前記内視鏡装置の使用環境温度において、前記複数の第1の温度センサの出力値の温度変化に対する変化率が、互いに異なる特性であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記種類判別部は、前記複数の第1の温度センサの出力値の前記変化率を区別するための閾値データと、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサの出力値の変化率とを比較することによって、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することを特徴とする請求項4に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記出力特性は、前記内視鏡装置の使用環境温度において、前記複数の第1の温度センサのうち、少なくとも1つの出力値が他の第1の温度センサの出力値と異なり、重ならず、かつ前記他の第1の温度センサの出力値の温度変化に対する変化率が、互いに異なる特性であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記種類判別部は、前記少なくとも1つの第1の温度センサの出力値を区別するための第1の閾値データと、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサの出力値とを比較することによって、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定し、かつ、前記他の第1の温度センサの出力値の変化率を区別するための第2の閾値データと、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサの出力値の変化率とを比較することによって、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することを特徴とする請求項6に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
本体部と、
前記本体部に対して着脱自在で、被写体を撮像する撮像素子が先端部に設けられた、複数の細長の挿入部と、
それぞれが前記複数の挿入部の前記先端部に設けられ、互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための複数の第1の温度センサと、
前記本体部に設けられた第2の温度センサと、
前記第2の温度センサの検出温度に対応する前記出力特性に基づき、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することによって、前記挿入部の種類を判別する種類判別部と、
を有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項9】
前記種類判別部は、前記第2の温度センサの検出温度に対応する前記複数の第1の温度センサの出力値を区別するための閾値データと、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサの出力値とを比較することによって、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することを特徴とする請求項8に記載の内視鏡装置。
【請求項10】
内視鏡装置の本体部に対して着脱自在な複数の細長の挿入部からなる内視鏡システムであって、
各挿入部は、
先端部に設けられ、被写体を撮像する撮像素子と、
前記先端部に設けられ、他の挿入部の温度センサとは互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための温度センサと、
を有することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項11】
被写体を撮像する撮像素子が先端部に設けられ、互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための温度センサを有する複数の細長の挿入部が着脱可能な本体部であって、
前記本体部に接続された挿入部の温度センサの出力値から、前記出力特性に基づき、前記本体部に接続された挿入部の温度センサを特定することによって、前記挿入部の種類を判別する種類判別部と、
を有することを特徴とする内視鏡装置本体部。
【請求項12】
被写体を撮像する撮像素子が先端部に設けられ、互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための複数の第1の温度センサを有する複数の細長の挿入部が着脱可能な本体部であって、
前記本体部に設けられた第2の温度センサと、
前記第2の温度センサの検出温度に対応する前記出力特性に基づき、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することによって、前記挿入部の種類を判別する種類判別部と、
を有することを特徴とする内視鏡装置本体部。
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に対して着脱自在で、被写体を撮像する撮像素子が先端部に設けられた、複数の細長の挿入部と、
それぞれが前記複数の挿入部の前記先端部に設けられ、互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための複数の第1の温度センサと、
前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサの出力値から、前記出力特性に基づき、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することによって、前記挿入部の種類を判別する種類判別部と、
を有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記出力特性は、前記内視鏡装置の使用環境温度において、前記複数の第1の温度センサの出力値が、互いに異なり、重ならない特性であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記種類判別部は、前記複数の第1の温度センサの出力値を区別するための閾値データと、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサの出力値とを比較することによって、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記出力特性は、前記内視鏡装置の使用環境温度において、前記複数の第1の温度センサの出力値の温度変化に対する変化率が、互いに異なる特性であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記種類判別部は、前記複数の第1の温度センサの出力値の前記変化率を区別するための閾値データと、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサの出力値の変化率とを比較することによって、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することを特徴とする請求項4に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記出力特性は、前記内視鏡装置の使用環境温度において、前記複数の第1の温度センサのうち、少なくとも1つの出力値が他の第1の温度センサの出力値と異なり、重ならず、かつ前記他の第1の温度センサの出力値の温度変化に対する変化率が、互いに異なる特性であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記種類判別部は、前記少なくとも1つの第1の温度センサの出力値を区別するための第1の閾値データと、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサの出力値とを比較することによって、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定し、かつ、前記他の第1の温度センサの出力値の変化率を区別するための第2の閾値データと、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサの出力値の変化率とを比較することによって、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することを特徴とする請求項6に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
本体部と、
前記本体部に対して着脱自在で、被写体を撮像する撮像素子が先端部に設けられた、複数の細長の挿入部と、
それぞれが前記複数の挿入部の前記先端部に設けられ、互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための複数の第1の温度センサと、
前記本体部に設けられた第2の温度センサと、
前記第2の温度センサの検出温度に対応する前記出力特性に基づき、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することによって、前記挿入部の種類を判別する種類判別部と、
を有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項9】
前記種類判別部は、前記第2の温度センサの検出温度に対応する前記複数の第1の温度センサの出力値を区別するための閾値データと、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサの出力値とを比較することによって、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することを特徴とする請求項8に記載の内視鏡装置。
【請求項10】
内視鏡装置の本体部に対して着脱自在な複数の細長の挿入部からなる内視鏡システムであって、
各挿入部は、
先端部に設けられ、被写体を撮像する撮像素子と、
前記先端部に設けられ、他の挿入部の温度センサとは互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための温度センサと、
を有することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項11】
被写体を撮像する撮像素子が先端部に設けられ、互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための温度センサを有する複数の細長の挿入部が着脱可能な本体部であって、
前記本体部に接続された挿入部の温度センサの出力値から、前記出力特性に基づき、前記本体部に接続された挿入部の温度センサを特定することによって、前記挿入部の種類を判別する種類判別部と、
を有することを特徴とする内視鏡装置本体部。
【請求項12】
被写体を撮像する撮像素子が先端部に設けられ、互いに出力特性が異なる、前記先端部の温度を検出するための複数の第1の温度センサを有する複数の細長の挿入部が着脱可能な本体部であって、
前記本体部に設けられた第2の温度センサと、
前記第2の温度センサの検出温度に対応する前記出力特性に基づき、前記本体部に接続された挿入部の第1の温度センサを特定することによって、前記挿入部の種類を判別する種類判別部と、
を有することを特徴とする内視鏡装置本体部。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−54198(P2013−54198A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191970(P2011−191970)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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