説明

加熱真空処理方法

【課題】突入電流やノイズを発生させずに加熱ランプを昇温させる。
【解決手段】加熱ランプ15を室温から昇温させる場合、室温から変更温度までは位相制御で昇温させ、変更温度から処理温度まではサイクル制御で昇温させる。処理温度から変更温度よりも低い最低温度まで降温した場合、サイクル制御によって処理温度まで上昇させる。加熱ランプのフィラメントが低抵抗の室温のときは、位相制御を用いているので突入電流が発生せず、変更温度以上のときは、サイクル制御を用いているのでノイズが発生しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリング処理、蒸着処理、エッチング処理等の、処理対象物を真空雰囲気内で加熱しながら処理する加熱真空処理方法に関し、特に、加熱ランプで処理対象物を加熱する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハや液晶ガラス基板を処理対象物とし、スパッタリングや蒸着によって処理対象物に薄膜を形成したり、又はエッチング等によって処理対象物上の薄膜をパターニングするようなことが行われている。
【0003】
このような処理をする際、処理対象物は加熱され、加熱真空処理が行われるが、通電によって発熱する抵抗発熱体を加熱装置として用いる他、処理対象物として離れた位置に配置できる加熱ランプが加熱装置として用いられている。
【0004】
加熱ランプの場合、180度全期間導通している半波と180度全期間遮断されている半波とを組み合わせたサイクル制御によって通電量を制御し、処理対象物を所定の処理温度に加熱して加熱真空処理を行っている。
【0005】
しかしながら、加熱真空処理が行われる真空槽内で処理対象物を保持する保持具を含み、それらの他に加熱ランプが室温にある状態でサイクル制御を行うと大きな突入電流が流れてしまい、制御装置や加熱電源が破壊したりすることがある。
尚、抵抗加熱コイルの通電量を制御する加熱方法としては下記特許文献1が公知であり、加熱ランプで加熱する加熱方法としては下記特許文献2が公知である。
【特許文献1】特開平10−294285号公報
【特許文献2】特開2002−190452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
加熱ランプが加熱されていて熱線が放射されている場合は加熱ランプの抵抗値は高いが、加熱ランプの温度が室温にある状態では加熱ランプの抵抗値が低いため、室温にある加熱ランプの温度を上昇させる場合に突入電流が発生する原因は、このような抵抗値が低いためであり、特に、交流電圧の半波を加熱ランプに印加するサイクル制御を行っている場合、半波の電圧のピーク位置の大きな電圧が印加されるときに突入電流が生じることが分かった。
【0007】
他方、半波の一部を導通させる位相制御を行う場合、半波のピーク位置以降を部分的に導通させると突入電流は発生しないが、電圧が印加されている状態で遮断から導通に転じるため、ノイズが生じてしまう不都合があった。
このノイズは高調波として、供給電源側に影響を与え、当装置のみならず、他の機器への影響を与える懸念がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、真空槽内に処理対象物を搬入し、前記真空槽内で保持具によって処理対象物を保持し、加熱電源が出力する交流電圧を制御装置によって制御して加熱ランプに印加し、前記加熱ランプから熱線を放射させ、真空雰囲気にされた前記真空槽内に配置された前記処理対象物と前記保持具に照射して加熱し、前記処理対象物を真空処理する加熱真空処理方法であって、予め、室温より高い最低温度と、前記最低温度よりも高い処理温度と、前記最低温度と前記処理温度の間の変更温度とを設定しておき、前記処理対象物の温度をセンサによって測定し、前記処理対象物の温度が室温にある場合は、前記処理対象物が前記変更温度に達するまで、180度の途中から導通させる半波長の一部を組み合わせた位相制御によって前記加熱ランプの熱線の放射を制御して前記処理対象物を昇温させ、変更温度に達した後は、180度全期間導通している半波と180度全期間遮断されている半波とを組み合わせたサイクル制御によって前記加熱ランプの熱線の放射を制御して前記処理対象物を昇温させて変更温度以上に昇温させ、前記処理温度にして真空処理を行う加熱真空処理方法である。
また、本発明は、前記処理対象物が前記最低温度よりも高い温度から前記最低温度よりも低い温度に降温したことが前記センサによって測定されると、前記サイクル制御によって前記加熱ランプの熱線の放射を制御して前記処理対象物を昇温させる加熱真空処理方法である。
また、本発明は、前記センサを前記保持具又は前記真空槽に取り付けておき、前記保持具又は前記真空槽の温度を測定して前記処理対象物の温度とする加熱真空処理方法である。
【発明の効果】
【0009】
加熱ランプの温度が低く、低抵抗の場合に位相制御によって加熱されるため、突入電流が発生せず、加熱ランプが昇温した後はサイクル制御によって加熱ランプを昇温させるため、ノイズが生じなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
先ず、加熱ランプを使用する本発明方法を説明する。
図1の符号1は成膜装置であり、搬入室11と、加熱室12と、処理室13と、搬出室14を有している。
各室11〜14は、真空槽51〜54を有しており、各真空槽51〜54には真空排気系21〜24が接続され、それぞれ個別に真空排気できるようにされている。
【0011】
この成膜装置1では、真空雰囲気中で、半導体基板や液晶ガラス基板等の処理対象物を加熱室12の真空槽内で加熱した後、処理室13の真空槽53内で表面に薄膜を形成するようになっている。
【0012】
そのような加熱真空処理方法を説明すると、先ず、予め加熱室12の真空槽52内と処理室13の真空槽53内を真空排気しておき、搬入室11の真空槽51内に処理対象物を搬入した後、搬入室11の真空槽51を真空排気し、搬入室11と加熱室12の真空槽51、52を接続し、処理対象物を加熱室12の真空槽52内に搬入する。
【0013】
加熱室12の真空槽52内では、加熱ランプ15が天井側と底面側に複数ずつ配置されており、天井側と底面側の加熱ランプ15の間の位置に処理対象物を保持する保持具18が配置されている。搬入された処理対象物は保持具18に保持させる。
【0014】
図1の符号7は、処理対象物であり、加熱ランプ15は処理対象物7の表面側と裏面側に平行に配置されている。
加熱ランプ15の構成は図3に示す。加熱ランプ15は細長いガラス管31と、ガラス管31内に配置されたフィラメント32を有しており、細長いガラス管31の両端には個別電極33が配置され、フィラメント32の両端はそれぞれ個別電極33に結線されている。
【0015】
図4に示すように、複数の規定本数(ここでは4本)の加熱ランプ15の個別電極33は、それぞれ共通電極34に結線され、並列にまとめられてモジュール16が構成されている。
このモジュール16は加熱室12内に複数配置されており、複数本配置された加熱ランプ15と処理対象物7の位置関係は図2に示す。加熱ランプ15によって処理対象物7の両面が覆われるように複数のモジュール16が配置されている。
【0016】
モジュール16を二個一組とし、この一組に二台の制御装置17と、一台の電圧変換装置27が設けられている。
電圧変換装置27は一次巻線41と二次巻線42を有しており、加熱電源29は一次巻線41の両端に結線され、加熱電源29が出力する交流電圧は一次巻線41の両端に印加されている。
【0017】
一次巻線41と二次巻線42は磁気結合されており、一次巻線41に印加された交流電圧によって二次巻線42に交流電圧が誘起される。
二次巻線42の両端は、別の制御装置17を介して、一台のモジュール16の一方の共通電極34にそれぞれ接続されている。
【0018】
各モジュール16の他方の共通電極34は、各モジュール16が制御装置17を介して接続された端子とは反対側の二次巻線42の端子に結線されており、モジュール16と制御装置17との直列回路が二次巻線42の両端に接続され、二次巻線42に誘起された電圧が、モジュール16と制御装置17との直列回路に印加されるように構成されている。
【0019】
二次巻線42はセンタータップ(二次巻線42の中央部分)28が取り出され、該センタータップ28は接地電位に接続されている。
センタータップ28の電圧は、二次巻線42の両端の間の電圧の1/2の電圧になるようにされており、従って、二次巻線42の両端に電圧Vが誘起されたときには、二次巻線42の一端は+V/2の電位になり、他端は−V/2の電位なるように構成されている。
【0020】
制御装置17内には両方向スイッチ43が設けられており、後述するようにこの両方向スイッチ43が導通したときに、加熱電源29が出力した交流電圧の全部又は一部が電圧変換装置27で変換され、加熱ランプ15の両端には、+V/2と−V/2の電圧が印加される。
【0021】
加熱室12の真空槽52は接地電位に接続されており、加熱ランプ15や制御装置17と真空槽52の間には、大きさがVの電位差は発生せず、最大±V/2の電位差であるので、真空槽52と加熱ランプ15等の間に放電が発生しないようになっている。
【0022】
両方向スイッチ43の動作を説明すると、両方向スイッチ43は、二個のサイリスタ45a、45bが逆方向に向けて並列に結線されて構成されており、制御装置17内には、両方向スイッチ43を構成する二個のサイリスタ45a、45bのゲート端子に結線されたスイッチコントローラー44がそれぞれ設けられている。
【0023】
スイッチコントローラー44は、ゲート端子に電流を流し(ゲート端子に電流を流入させるか、又はゲート端子から電流を流出させる)、ゲート端子に電流が流れたサイリスタ45a、45bのアノード端子とカソード端子の間を導通させ、アノード端子からカソード端子に向けて電流を流させる。
【0024】
二次巻線42の制御装置17に結線された端部は、両方向スイッチ43素子のアノード端子とカソード端子が結線された部分に結線されている。他方、両方向スイッチ43素子の反対側のアノード端子とカソード端子が結線された部分は、加熱ランプ15の共通電極34に結線されている。
【0025】
加熱ランプ15は導通したサイリスタ45a、45bを介して二次巻線42に接続されると、各加熱ランプ15には、二次巻線42の両端に誘起された電圧が印加され、各モジュール16内の加熱ランプ15のフィラメント32に電流が流れる。
この電流によりフィラメント32が加熱され、高温になると熱線(赤外線)が放射され、処理対象物7に照射される。この熱線により、処理対象物7の温度が上昇する。
【0026】
保持具18の近くにはセンサ19が取り付けられており、各モジュール16の加熱ランプ15から熱線が放出されると、保持具18の温度が上昇するようになっている。センサ19によってその温度変化が感知される。
【0027】
保持具18の温度と、保持具18が保持する処理対象物7の温度はほぼおなじであり、センサ19によって保持具18の温度が検出され、温度測定器20によって温度が求められると、センサ19が検出した保持具18の温度が処理対象物7の温度とされ、スイッチコントローラー44が両方向スイッチ43を下記のように制御する。
【0028】
図5の符号Lの折線は、加熱室12内部で加熱した処理対象物7の温度(縦軸)と時間(横軸)の関係を示しており、先ず、加熱室12内に配置された処理対象物7を、処理室13で維持される温度と同程度の温度であって、室温よりも高い処理温度dまで上昇させ、加熱室12の後段の処理室13内で、処理温度dを維持したまま成膜等の真空処理が行われる。
【0029】
成膜装置1の使用が停止されていて、加熱室12の真空槽52や保持具18が室温a(図5)にある状態では、先ず、処理対象物7を加熱室12内に搬入する前、又は搬入した後に、加熱室12の真空槽や保持具18を処理温度dまで上昇させる。
【0030】
制御装置17による加熱ランプ15への通電方法は、二次巻線42に生じた交流電圧のゼロVとゼロVの間の半波長の期間を180度とすると、両方向スイッチ43内の電流が流れる方のサイリスタ45a、45b(又は両方のサイリスタ)を180度全期間導通させ、その間加熱ランプ15に印加する半波長と、電流が流れるサイリスタ45a、45b(又は両方のサイリスタ)を180度全期間遮断させ、その間には加熱ランプ15に印加しない交流電圧の半波長とを組み合わせるサイクル制御により加熱ランプ15に電流を流すか、又は、半波長の途中から両方向スイッチ43内の電流が流れる方のサイリスタ45a、45b(又は両方のサイリスタ)を二次巻線42に生じた交流電圧の半波長を180度の途中から導通させ、半波長の一部を組み合わせる位相制御を行うことのいずれかの制御を行うことができる。
【0031】
サイクル制御によって二次巻線42の交流電圧の半波長が加熱ランプ15に印加されると、半波長の中央位置の電圧も加熱ランプ15に印加される。
半波長の中央位置の電圧は、交流電圧のうちの最も大きいピーク電圧であるため、加熱ランプ15が室温であり、フィラメント32の抵抗値が低い場合、ピーク電圧が印加されると突入電流が発生してしまう。
【0032】
そこで、加熱ランプ15を室温から昇温させる場合、ピーク電圧よりも後の位置で両方向スイッチ43を導通させ(両方向スイッチ43内の電流が流れる方のサイリスタ45a、45b、又は両方のサイリスタ45a、45bを導通させ)、その後の交流電圧がゼロVの時に(自動的に)遮断する位相制御方法によって加熱ランプ15に電流を流すと突入電流が生じない。
【0033】
このような位相制御方法の場合に、加熱ランプ15に電圧を印加する期間を長くしてゆくと、加熱ランプ15の温度は上昇する。図6(a)、(b)の符号Vは、二次巻線42に生じた電圧であり、s1、s2は、位相制御を行っている際に、それぞれ加熱ランプ15に印加された電圧期間である。s1<s2であるから、電圧Vが期間s1中に加熱ランプ15に印加されている場合よりも、期間s2中に印加されている場合の方が、加熱ランプ15は高温になる。
【0034】
しかし、二次巻線42に電圧が生じているとき導通するため、ノイズが発生してしまう。
そのため、加熱ランプ15への電圧印加を、位相制御からサイクル制御に変更する必要がある。
【0035】
処理温度dより低く、室温aよりも高い変更温度cが、加熱ランプ15が昇温する場合に位相制御からサイクル制御に移行する温度として予め設定されており、加熱ランプ15の温度が位相制御によって上昇し、室温aから昇温し、変更温度cに達したことがセンサ19によって検出されたら、位相制御を終了させ、サイクル制御によって導通と遮断の半波長を組み合わせ、導通する半波長の割合を増やしてゆくことで加熱ランプ15の温度を上昇させる。例えば、図6(c)は導通期間が40%であり、同図(d)は60%であり、同図(d)の方が熱線の放射量が多い。
【0036】
図5に示されるように、時刻t0で位相制御により室温aにある加熱ランプ15の昇温が開始され、時刻t1で変更温度cになってサイクル制御に変わり、時刻t2で処理温度cに達している。
加熱室12内に処理対象物7が配置されていなかった場合、処理温度cに達したことがセンサ19によって検出されたときに、加熱室12内に処理対象物7が搬入される。
【0037】
この場合、加熱室12内に搬入される処理対象物7の温度は室温aであるから、周囲の保持具18や真空槽52の温度は低下する。
従って、加熱室12の真空槽52の温度や保持具18の温度をセンサ19によって検出すると、その温度は処理温度dよりも低くなっているので、サイクル制御の導通半波長を増やし、処理温度dに復帰させる。処理温度dよりも高くなると、導通半波長を減少させる。
【0038】
次に、加熱室12内への処理対象物7の搬入が長期間停止されると、加熱ランプ15への通電が停止される。この通電が停止された時刻t3から、保持具18や真空槽52の温度が低下し、センサ19の検出する温度が低下してゆく。
【0039】
室温aよりも高いが変更温度cよりも低い最低温度bが予め設定されており、処理対象物7や他の部材である保持具18や真空槽52の温度降下により、センサ19が検出する温度が最低温度bに達すると、その時刻t4でサイクル制御を再開し、処理温度dに戻し(時刻t5)、加熱ランプ15から熱線を放射させる。例えば、図6(d)のように、100%の導通にすることもできる。
【0040】
加熱ランプ15が最低温度bにあっても、加熱ランプ15のフィルタ32の抵抗値は室温aの状態よりも高いため、突入電流は発生しない。
なお、加熱室12内で処理温度dに昇温された処理対象物7は処理室13に移動され、処理室13内に配置されたヒータ25の表面に配置され、ヒータ25の発熱によって処理温度dが維持されながら、処理室13内のターゲット26がスパッタリングされ、処理対象物7の表面に薄膜が形成される。
【0041】
薄膜が形成された処理対象物7は、真空雰囲気にされた搬出室14に移行され、処理室13との間が閉じられ、搬出室14の真空槽54内に大気が導入され、処理対象物7が大気中に取り出される。
【0042】
なお、制御装置17がサイクル制御の動作をする場合、一次、二次巻線41、42に、正電圧の半波長期間だけ連続して電流が流れるか、又は、負電圧の半波長期間だけ連続して電流が流れる場合には、一次、二次巻線41、42に正又は負の同一方向の電流しか流れず、同一方向の磁束しか生じないため、コイル焼損する恐れがある。
【0043】
従って、本発明の制御装置17は、正電圧の半波長期間と負電圧の半波長期間を交互に導通し、±V/2の交流電圧が一次、二次巻線41、42に印加されるように動作すると、一次、二次巻線41、42には交流電流が流れ、コイル焼損しないようになっている。
【0044】
上記実施例では、真空処理として、スパッタリングによる成膜処理を説明したが、スパッタリングではなく、CVDや蒸着の他の成膜処理も真空処理に含まれる。また、エッチング等の成膜処理でない処理や、加熱室12で行うアニール処理についての真空処理も含まれる。
【0045】
更にまた、上記実施例ではセンサ19が保持具18の近くに取り付けられ、保持具18の温度を処理対象物7の温度としていたが、処理対象物7の温度を直接測定することや、真空槽の温度を測定して処理対象物7の温度とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本願発明が適用される成膜装置を説明するための図
【図2】モジュールと処理対象物の位置関係を説明するための図
【図3】加熱ランプ
【図4】加熱ランプに電圧を印加するブロック図
【図5】加熱ランプの温度を示すグラフ
【図6】(a)、(b):位相制御 (c)〜(e):サイクル制御
【符号の説明】
【0047】
7……処理対象物
15……加熱ランプ
18……保持具
19……センサ
29……加熱電源
52……真空槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空槽内に処理対象物を搬入し、
前記真空槽内で保持具によって処理対象物を保持し、
加熱電源が出力する交流電圧を制御装置によって制御して加熱ランプに印加し、前記加熱ランプから熱線を放射させ、真空雰囲気にされた前記真空槽内に配置された前記処理対象物と前記保持具に照射して加熱し、前記処理対象物を真空処理する加熱真空処理方法であって、
予め、室温より高い最低温度と、前記最低温度よりも高い処理温度と、前記最低温度と前記処理温度の間の変更温度とを設定しておき、
前記処理対象物の温度をセンサによって測定し、前記処理対象物の温度が室温にある場合は、前記処理対象物が前記変更温度に達するまで、180度の途中から導通させる半波長の一部を組み合わせた位相制御によって前記加熱ランプの熱線の放射を制御して前記処理対象物を昇温させ、
変更温度に達した後は、180度全期間導通している半波と180度全期間遮断されている半波とを組み合わせたサイクル制御によって前記加熱ランプの熱線の放射を制御して前記処理対象物を昇温させて変更温度以上に昇温させ、前記処理温度にして真空処理を行う加熱真空処理方法。
【請求項2】
前記処理対象物が前記最低温度よりも高い温度から前記最低温度よりも低い温度に降温したことが前記センサによって測定されると、前記サイクル制御によって前記加熱ランプの熱線の放射を制御して前記処理対象物を昇温させる請求項1記載の加熱真空処理方法。
【請求項3】
前記センサを前記保持具又は前記真空槽に取り付けておき、前記保持具又は前記真空槽の温度を測定して前記処理対象物の温度とする請求項1又は2のいずれか1項記載の加熱真空処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−97854(P2010−97854A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268587(P2008−268587)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】