説明

半導体発光素子、光モジュール及び半導体発光素子の製造方法

【課題】耐久性及び信頼性を向上させた半導体発光素子を提供する。
【解決手段】半導体発光素子は、N型半導体層3、活性層2及びP型半導体層1と共に積層され、多層金属からなるP側電極層4と、前記積層の側面に形成され、光学的損傷を防ぐための端面保護膜13と、を備え、前記端面保護膜13は、前記P側電極層4の少なくとも1層を拡散質である金属薄膜として、拡散媒となりにくい物質からなる保護膜5と、前記拡散媒となる物質からなり、前記金属薄膜と接しないように前記保護膜5上に形成される拡散媒膜6と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子、光モジュール及び半導体発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットが世界中に行き渡り、今日では我々の経済活動や日常生活に欠かせないインフラストラクチャーとなった。現在でもインターネットのトラフィック量は爆発的に増大しており、日本では年率1.3倍の割合で増大している。それに伴って、幹線網から加入者網に至るメトロ網内に配置されたルータの大容量化が必要となった。特に、1990年後半からの10Gb/s幹線光通信システムの導入加速により、ルータ間の光インタフェースとなる10Gb/sトランシーバモジュールが待望視された。このモジュールには、伝送距離が短いことと、それに伴うコスト及び消費電力、単一モードファイバで分散極小波長という観点から、光源には広温度範囲で10Gb/s動作する1.3μm帯直接変調レーザを搭載することが望ましいと考えられた。その結果、1990年代後半より進展したInGaAlAs系材料の研究開発により、2000年代初めには広温度範囲で1.3μm帯で10Gb/s直接変調動作が実証された。
【0003】
しかし、特に活性層にAlを含む半導体レーザでは、自ら発する強い光によって端面が破壊されてしまう、いわゆる光学損傷を引き起こし易いため、信頼性の確保が課題であった。信頼性確保の1つには、端面に保護膜を形成する方法がある。この端面保護膜に関して、これまで特許文献1乃至4が知られている。これら端面保護膜は、通常、所望の反射(透過)率が得られるようにお互いに屈折率が異なる多層膜で形成される。例えば、通信波長帯では低屈折率材料としてAlなど、高屈折率材料として非晶質Siなど使用されることが特許文献1にある。以上のような端面保護膜の適用により、10Gb/sで動作するInGaAlAs系1.3μm帯直接変調レーザの信頼性が確保され、低消費電力の小型光モジュールに採用されるに至った。この小型光モジュールは世界各社のコア/エッジルータに適用され、現在の高度情報社会のインフラストラクチャーを支えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4699432号公報
【特許文献2】特許第4178022号公報
【特許文献3】特開平6−204602号公報
【特許文献4】特開2004−327637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような半導体発光素子の電極表面には通常Auが使用されており、劈開の際に発生する電極金属のバリや端面保護膜の形成誤差などのため、高屈折率材料として使用されている非晶質Siが電極を形成しているAuに接することがあり、このような素子に外部から熱が加わることで電極を形成しているAuが急速に非晶質Siに拡散し、端面保護膜の反射(透過)率の変化や剥離が発生する恐れがあった。さらに前記半導体発光素子への通電や前記半導体発光素子の発光光によっても拡散は加速され、素子の初期劣化、自発光の光吸収による光学損傷の発生など信頼性を低下させるという恐れがあった。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みてされたものであり、耐久性及び信頼性を向上させた半導体発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体発光素子は、半導体基板に活性層及び半導体層と共に積層され、多層金属からなる電極層と、少なくとも前記積層の側面に形成され、光学的損傷を防ぐための端面保護膜と、を備え、前記端面保護膜は、前記電極層の少なくとも1層を拡散質である金属薄膜として、拡散媒となりにくい物質からなる保護膜と、前記拡散媒となる物質からなり、前記金属薄膜と接しないように前記保護膜上に形成される拡散媒膜と、を有する、ことを特徴とする半導体発光素子である。
【0008】
ここで、端面保護膜が形成される「積層の側面」は、信号光となる光の出射面であってもよいし、制御のために計測されるモニター光の出射面であってもよい。
【0009】
また、本発明の半導体発光素子において、前記拡散媒膜は、前記保護膜を形成した面の面積よりも小さい面積で前記保護膜に接するように形成されている、とすることができる。
【0010】
また、本発明の半導体発光素子において、前記保護膜は、前記電極層上の一部に更に積層されるように形成される第1保護膜と、少なくとも前記積層の端面に形成される第2保護膜と、を有していてもよい。
【0011】
また、本発明の半導体発光素子において、前記電極層上には、前記拡散質となりにくい難拡散性金属層が更に積層されていてもよい。
【0012】
また、本発明の半導体発光素子において、前記難拡散性金属層は、Pt、Ni、Pdのいずれかである、とすることができる。
【0013】
また、本発明の半導体発光素子において、前記拡散質である金属薄膜は、Au、Ag及びCuのいずれかであり、前記拡散媒となる物質は、非晶質珪素及び珪素のいずれかであり、前記拡散媒となりにくい物質は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素及び酸化タンタルのいずれかである、とすることができる。
【0014】
また、本発明の半導体発光素子において、前記半導体層は、InP基板又はGaAs基板とすることができる。
【0015】
また、本発明の半導体発光素子は、前記活性層にはAlが含まれていてもよい。
【0016】
本発明の光モジュールは、上述の半導体発光素子のうちのいずれかの半導体発光素子と、前記半導体発光素子から発光された光を受光する受光素子と、を備える光モジュールである。
【0017】
本発明の半導体発光素子の製造方法は、半導体基板に活性層及び半導体層と共に、多層金属からなる電極層を積層する積層工程と、前記電極層からの距離が大きくなるに従って光の出射方向に延びる断面形状を有するマスクを、前記電極層上に重ねて設置するマスク工程と、前記マスク工程の後、前記積層の側面に、前記電極層の少なくとも1層を拡散質である金属薄膜として、拡散媒となりにくい物質からなる保護膜、及び前記拡散媒となる物質からなる拡散媒膜を順に重ねて端面保護膜を形成する端面保護膜形成工程と、を備えることを特徴とする半導体発光素子の製造方法である。
【0018】
ここで「電極層からの距離が大きくなるに従って光の出射方向に延びる断面形状」とは、電極層の面に対して斜めに形成された面であってもよいし、階段状に形成された面であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、半導体発光素子の耐久性及び信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1に係る半導体発光素子を搭載した光モジュールの分解斜視図である。
【図2】図1のII−II線における断面の概略図である。
【図3】本発明の実施例1に係る半導体発光素子の断面図である。
【図4】本発明の実施例1に係る半導体発光素子の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】図4の半導体発光素子の製造方法を説明するための図である。
【図6】本発明の実施例2に係る半導体発光素子の断面図である。
【図7】図6の半導体発光素子の製造方法を説明するための図である。
【図8】本発明の実施例3に係る半導体発光素子の断面図である。
【図9】本発明の実施例4に係る半導体発光素子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施例1〜4について説明する。なお、以下の実施例1〜4の説明及び図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例1に係る半導体発光素子26を搭載した光モジュール100の分解斜視図であり、図2は、図1のII−II線における断面の概略図である。図1及び図2に示されるように、光モジュール100は、ステム22と、ステム22に取り付けられ、光モジュール100の電気的な端子となる3本のリードピン23と、ステム22に取り付けられたマウント部24と、マウント部24から積み重ねられるように取り付けられたサブマウント部25及び半導体発光素子26と、ステム22に取り付けられ、半導体発光素子26からのモニター光29を受光する受光素子27と、マウント部24、サブマウント部25、半導体発光素子26及び受光素子27を覆うようにステム22に取り付けられるキャップ21と、キャップ21に取り付けられ、出射光7が略中心を透過するように設置された非球面レンズ20と、リードピン23から半導体発光素子26及び受光素子27に電気信号を伝えるリード線28と、を備えている。
【0023】
リードピン23およびリード線28を介して半導体発光素子26へ伝えられた電気信号は、半導体発光素子26にて光信号に変換され、出射光7として外部へ伝えられる。一方、モニター光29は受光素子27で電気信号などに変換され、リードピン23およびリード線28を介して外部へ半導体発光素子26の状態などの情報を伝える。
【0024】
図3は、半導体発光素子26の断面図であり、N型半導体層3上に活性層2が形成されており、上記活性層2上にはP型半導体層1が形成されており、P型半導体層1上には、少なくとも表面が易拡散性金属からなる多層のP側電極層4が形成されている。また半導体発光素子26の少なくとも1つの端面には反射率が概0%となるように、少なくとも端面側からP側電極層4の易拡散性金属が拡散質とならない保護膜5、次いでP側電極層4の易拡散性金属の拡散媒となる拡散媒膜6の順で、少なくとも2層からなる端面保護膜13が形成されており、半導体発光素子26への通電により出射光7が出射される。なお、この図において、N型半導体層3に形成されたN側電極は省略されている。保護膜5はP側電極層4の易拡散性金属の端面側を覆うようにかつ端面に対して概均一に形成されており、拡散媒膜6は端面に対して概均一、かつ保護膜5よりも面積が小さく、かつ内側となるように形成されている。つまり、拡散媒膜6は、保護膜5を形成した面の面積よりも小さい面積で保護膜5に接するように形成されている。このように形成することで、劈開時の偶発的な電極のバリや端面保護膜13の膜厚などの形成誤差が発生したとしても、P側電極層4の易拡散性金属が拡散媒膜6と接することはなく、その結果、組立時に熱が加わることでP側電極層4の易拡散性金属が拡散媒膜6へ拡散することを防止し、端面保護膜13の剥離や初期不良、動作時に突発的な故障が発生することを防いでいる。
【0025】
図4には、半導体発光素子26の製造方法が示されている。この図に示されるように、まず、ステップS11の成膜工程において、N型半導体の基板(ウェハ)上に上述した活性層2、P型半導体層1及びP側電極層4を順に積層し、基板の反対側面にはN側電極を形成する。次いで、ステップS12の劈開工程において、基板を劈開させ半導体発光素子26が一列に並んだ棒状物体とする。この時の棒状物体における一半導体発光素子26の断面の様子が図5のステップS21に示されている。なお、図5において、N側電極については図示していない。引き続き、ステップS13において、その棒形物体における積層面の端面であり、出射光7及びモニター光29の出射面に該当する面に端面コーティング用のマスク10を取り付ける。図5のステップS22には、マスク10が取り付けられたときの様子が示されている。この図に示されるように、マスク10は、P側電極側とN側電極側の両方に棒状物体を挟むように取り付けられる。また、P側電極側に取り付けられるマスク10は、電極層からの距離が大きくなるに従って光の出射方向に延びる断面形状を有している。なお、本実施形態においては、マスク10は、P側電極層4側の出射光側の面のみが斜めの面を有していることとしたが、モニター光側の面がモニター光の出射方向に延びる斜めの面を有していてもよいし、N側電極側のマスク10がこのような斜めの面を有していてもよい。
【0026】
図4に戻り、ステップS14の端面コーティング工程において、保護膜5及び拡散媒膜6を順に成膜する(図5のステップS23)。その後マスク10を取り外すことにより、図5のステップS24に示されるように、拡散媒膜6が保護膜5の内側に、より小さい面積で形成されることによりP側電極層4の易拡散性金属に触れない形状の端面保護膜13が形成される。最後に図4のステップS15のダイシング工程において、棒形物体を切断し、半導体発光素子26とする。
【0027】
上述のように形成することで、保護膜5はP側電極層4の易拡散性金属の端面側を覆うようにかつ端面に対して概均一に形成され、拡散媒膜6は、マスク10の特殊な形状により、端面に対して概均一かつ保護膜5よりも面積が小さくかつ内側となるように形成される。また、端面保護膜13はP側電極層4の端面側の易拡散性金属のP側電極側の面にも形成される。
【0028】
活性層2にはInGaAlAs系材料やInGaAsP系材料を、P型半導体層1やN型半導体層3にはInP材料やGaAs材料などが用いられるが、これらに限定されるものではない。保護膜5として、例えば酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、酸化タンタルがあるが、これらに限定されるものではない。また拡散媒膜6として、例えば非晶質珪素、珪素があるが、これらに限定されるものではない。さらにP側電極層4に用いられる易拡散性電極材料として、例えばAu、Ag、Cuがあるが、これらに限定されるものではない。
【実施例2】
【0029】
図6は、本発明の実施例2に係る半導体発光素子36の断面図である。N型半導体層3上に活性層2が形成されており、上記活性層2上にはP型半導体層1が形成されており、P型半導体層1上には、少なくとも表面が易拡散性金属からなる多層のP側電極層4が形成されており、P側電極層4の易拡散性金属上には半導体発光素子端面付近に第1保護膜11が形成されている。また半導体発光素子の少なくとも1つの端面には反射率が概0%となるように、少なくとも端面側からP側電極層4の易拡散性金属が拡散質とならない第2保護膜8、次いでP側電極層4の易拡散性金属の拡散媒となる拡散媒膜6の順で、かつ少なくとも2層からなる端面保護膜13が形成されており、半導体発光素子36への通電により出射光7が出射される。第2保護膜8は端面に対して概均一に形成されており、拡散媒膜6は端面に対して概均一となるように形成され、第1保護膜11及び第2保護膜8を形成した面の面積よりも小さい面積で、第1保護膜11及び第2保護膜8に接するように形成されている。
【0030】
第1保護膜11は以下の方法で形成される。N型半導体層3の基板(ウェハ)上に周知の半導体プロセスで活性層2、P型半導体層1及びP側電極層4を順に形成する。次いで、図7に示すようにP側電極層4の易拡散性金属が形成されている表面に第1保護膜11を形成する。次いで、通常のフォトリソグラフィー工程などにより、P側電極層4の易拡散性金属の特定部分だけ第1保護膜11が残るようにエッチングする。この状態で、第1保護膜11の概中心位置12を劈開する。このように形成することで、劈開時の偶発的な電極のバリを抑制し、かつ端面保護膜13の膜厚などの形成誤差が発生したとしても、P側電極層4の易拡散性金属が拡散媒膜6と接することはなく、その結果、組立などで熱が加わることでP側電極層4の易拡散性金属が拡散媒膜6へ拡散することを防止し、端面保護膜13の剥離や初期不良、動作時に突発的な故障が発生しなくなった。
【0031】
第1保護膜11として酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、酸化タンタルなどがあるが、これらに限るものではない。
【実施例3】
【0032】
図8は、本発明の実施例3に係る半導体発光素子46の断面図であり、N型半導体層3上に活性層2が形成されており、上記活性層2上にはP型半導体層1が形成されており、P型半導体層1上には、少なくとも表面が易拡散性金属からなる多層のP側電極層4が形成されており、P側電極層4の易拡散性金属上の全体もしくは一部には表面が難拡散性金属からなる難拡散性金属層9が形成されている。また半導体発光素子46の少なくとも1つの端面には反射率が概0%となるように、少なくとも端面側からP側電極層4の易拡散性金属が拡散質とならない保護膜5、次いでP側電極層4の易拡散性金属の拡散媒となる拡散媒膜6の順で端面に対して概均一に、少なくとも2層からなる端面保護膜13が形成されており、半導体発光素子46への通電により出射光7が出射される。このように形成することで、劈開時の偶発的な電極のバリや端面保護膜13の膜厚などの形成誤差が発生したとしても、P側電極層4の易拡散性金属が拡散媒膜6と接することはなく、その結果、組立時に熱が加わることでP側電極層4の易拡散性金属が拡散媒膜6へ拡散することを防止し、端面保護膜13の剥離や初期不良、動作時に突発的な故障が発生しなくなった。本実施例は本発明を説明する1つの例に過ぎず、これに限るものでない。
【0033】
難拡散性金属層9を形成する難拡散性電極材料として、例えばPt、Ni、Pdを使用するのが好適であるが、これらに限定されるものではない。
【実施例4】
【0034】
図9は、本発明の実施例4に係る半導体発光素子56の断面図であり、N型半導体層3上に活性層2が形成されており、上記活性層2上にはP型半導体層1が形成されており、P型半導体層1上には、少なくとも表面が易拡散性金属からなる多層のP側電極層4が形成されている。また半導体発光素子の少なくとも1つの端面には反射率が概0%となるように、少なくとも端面側からP側電極層4の易拡散性金属が拡散質とならない保護膜5、次いでP側電極層4の易拡散性金属の拡散媒となる拡散媒膜6の順で、少なくとも2層からなる端面保護膜13が形成されており、半導体発光素子56への通電により出射光7が出射される。
【0035】
保護膜5は端面に対して概均一に形成されており、拡散媒膜6は端面に対して概均一、かつ保護膜5よりも十分に面積が小さく、かつ内側となるように、かつ半導体発光素子の発光光の近視野像よりも大きくなるように形成されている。つまり、拡散媒膜6は、保護膜5を形成した面の面積よりも小さい面積で保護膜5に接するように形成されている。このように形成することで、劈開時の偶発的な電極のバリや端面保護膜13の膜厚などの形成誤差が発生したとしても、P側電極層4の易拡散性金属が拡散媒膜6と接することはなく、その結果、組立時に熱が加わることでP側電極層4の易拡散性金属が拡散媒膜6へ拡散することを防止し、端面保護膜13の剥離や初期不良、動作時に突発的な故障が発生しなくなった。
【0036】
以上説明したように、本発明の半導体発光素子では、耐久性及び信頼性をより向上させることができる。
【0037】
なお、上述の実施例では各半導体発光素子にはN型基板を用いているが、P型基板や絶縁基板を用いた場合でも同様である。さらにN側の電極に易拡散性金属が用いられている場合でも同様の手法により耐久性及び信頼性をより向上させることができる。また、図面において端面保護膜13は2層で記載されているが2層以上で形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 P型半導体層、2 活性層、3 N型半導体層、4 P側電極層、5 保護膜、6 拡散媒膜、7 出射光、8 第2保護膜、9 難拡散性金属層、10 マスク、11 第1保護膜、13 端面保護膜、20 非球面レンズ、21 キャップ、22 ステム、23 リードピン、24 マウント部、25 サブマウント部、26 半導体発光素子、27 受光素子、28 リード線、29 モニター光、36 半導体発光素子、46 半導体発光素子、56 半導体発光素子、100 光モジュール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に活性層及び半導体層と共に積層され、多層金属からなる電極層と、
少なくとも前記積層の側面に形成され、光学的損傷を防ぐための端面保護膜と、を備え、
前記端面保護膜は、
前記電極層の少なくとも1層を拡散質である金属薄膜として、拡散媒となりにくい物質からなる保護膜と、
前記拡散媒となる物質からなり、前記金属薄膜と接しないように前記保護膜上に形成される拡散媒膜と、を有する、ことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体発光素子であって、
前記拡散媒膜は、前記保護膜を形成した面の面積よりも小さい面積で前記保護膜に接するように形成されている、ことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体発光素子であって、
前記保護膜は、
前記電極層上の一部に更に積層されるように形成される第1保護膜と、
少なくとも前記積層の端面に形成される第2保護膜と、
を有している、ことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体発光素子であって、
前記電極層上には、前記拡散質となりにくい難拡散性金属層が更に積層される、ことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体発光素子であって、
前記難拡散性金属層は、Pt、Ni、Pdのいずれかである、ことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体発光素子であって、
前記拡散質である金属薄膜は、Au、Ag及びCuのいずれかであり、
前記拡散媒となる物質は、非晶質珪素及び珪素のいずれかであり、
前記拡散媒となりにくい物質は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素及び酸化タンタルのいずれかである、ことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体発光素子であって、前記半導体層は、InP基板又はGaAs基板である、ことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の半導体発光素子であって、前記活性層にはAlが含まれる、ことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の半導体発光素子と、
前記半導体発光素子から発光された光を受光する受光素子と、を備える光モジュール。
【請求項10】
半導体基板に活性層及び半導体層と共に、多層金属からなる電極層を積層する積層工程と、
前記電極層からの距離が大きくなるに従って光の出射方向に延びる断面形状を有するマスクを、前記電極層上に重ねて設置するマスク工程と、
前記マスク工程の後、前記積層の側面に、前記電極層の少なくとも1層を拡散質である金属薄膜として、拡散媒となりにくい物質からなる保護膜、及び前記拡散媒となる物質からなる拡散媒膜を順に重ねて端面保護膜を形成する端面保護膜形成工程と、を備えることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−244011(P2012−244011A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114001(P2011−114001)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(301005371)日本オクラロ株式会社 (311)
【Fターム(参考)】