半導体装置
【課題】半導体装置内に保護ダイオードをレイアウトする。
【解決手段】半導体装置は、電界効果トランジスタ11と、電界効果トランジスタ11の形成領域30に隣接するダイオード形成領域12とを備え、ダイオード形成領域12はトランジスタの形成領域30と半導体基板上で絶縁され、ダイオード形成領域12内において、電界効果トランジスタ11のゲート電極1がバス配線7を介して半導体基板とショットキー接合とオーミック接合のいずれか又は両方の接合をする第1のダイオード電極20と、電界効果トランジスタ11のソース電極2がパッド5を介して半導体基板とオーミック接合とショットキー接合のいずれか又は両方の接合をする第2のダイオード電極21とを備えることによってゲート電極1とソース電極2間にダイオードが形成されたことを特徴とする。
【解決手段】半導体装置は、電界効果トランジスタ11と、電界効果トランジスタ11の形成領域30に隣接するダイオード形成領域12とを備え、ダイオード形成領域12はトランジスタの形成領域30と半導体基板上で絶縁され、ダイオード形成領域12内において、電界効果トランジスタ11のゲート電極1がバス配線7を介して半導体基板とショットキー接合とオーミック接合のいずれか又は両方の接合をする第1のダイオード電極20と、電界効果トランジスタ11のソース電極2がパッド5を介して半導体基板とオーミック接合とショットキー接合のいずれか又は両方の接合をする第2のダイオード電極21とを備えることによってゲート電極1とソース電極2間にダイオードが形成されたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GaNやSiCやダイヤモンドなどのワイドギャップ半導体は、Siに比べて、絶縁破壊電圧、電子移動度、熱伝導率などの半導体装置として重要な要素が優れているという特徴があり、製品化を目指して近年盛んに研究開発が行われている。特に、AlGaN/GaNなどのヘテロ接合チャネルをもつHEMT構造では、高い電子移動度とキャリア密度を有する。この事から、GaNデバイスはSiデバイスに対して、優れた高周波特性や低オン抵抗を実現可能であり、パワーエレクトロニクス分野における次世代のスイッチング素子として、多くの期待を集めている。
【0003】
ただし、通常のAlGaN/GaNヘテロ接合チャネルをもつGaNデバイスは、ゲート閾値電圧が負電圧となるノーマリオン型であり、ゲート電極に過大な正電圧が印加された場合に、ゲート電極が容易に破壊される懸念がある。これを回避する為に、ゲート電極保護の目的でゲート電圧をクリップするダイオードを、チップの外部でゲートとソース間に設ける事が一般的であり、回路の部品点数が増える事や回路基板上の配線が複雑になるなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−80815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、このような問題点に鑑みて成されたものであり、電界効果トランジスタチップ内にゲート電極保護用ダイオードをレイアウトすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置は、半導体基板と、半導体基板上に形成された電界効果トランジスタと、前記電界効果トランジスタの形成領域に隣接するダイオード形成領域とを備え、前記ダイオード形成領域は前記トランジスタの形成領域と前記半導体基板上で絶縁され、前記ダイオード形成領域内において、前記電界効果トランジスタのゲート電極がバス配線又はパッドを介して前記半導体基板とショットキー接合とオーミック接合のいずれか又は両方の接合をする第1のダイオード電極と、前記電界効果トランジスタのソース電極がバス配線又はパッドを介して前記半導体基板とオーミック接合とショットキー接合のいずれか又は両方の接合をする第2のダイオード電極とを備えることによって前記ゲート電極と前記ソース電極間にゲート電極保護用のダイオードが形成されたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態1の半導体装置の上面図である。
【図2】実施形態1の半導体装置の回路図である。
【図3】実施形態1の半導体装置のA−A’の断面図の例である。
【図4】実施形態1の半導体装置のA−A’の断面図の例である。
【図5】実施形態2の半導体装置の上面図である。
【図6】実施形態2の半導体装置の回路図である。
【図7】実施形態2の半導体装置のB−B’の断面図の例である。
【図8】実施形態2の半導体装置のB−B’の断面図の例である。
【図9】実施形態2の半導体装置の他の例の上面図である。
【図10】実施形態3の半導体装置の上面図である。
【図11】実施形態4の半導体装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図面を参照して、本発明実施の形態を説明する。
(実施形態1)
実施形態1に係わる半導体装置の構成を図に基づいて説明する。図1は、実施形態1の半導体装置の上面図であり、図2は、実施形態1の半導体装置の回路図である。
【0009】
実施形態1の半導体装置1は電界効果トランジスタ11と電界効果トランジスタ11のゲート電極1を保護するダイオード10が同一半導体基板9上(1チップ上)に形成されている。電界効果トランジスタ11は半導体基板9上のトランジスタ形成領域30に構成され、ダイオード10は半導体基板9上のダイオード形成離領12域に構成されている。トランジスタの形成領域30とダイオードの形成領域12は半導体基板9をメサ分離し又は半導体基板9にイオン注入することによって、半導体基板9上で電気的に絶縁している。実施形態1の電界効果トランジスタ11は絶縁ゲート構造を有したノーマリオン型AlGaN/GaN−HEMTであり、ゲート電極1とソース電極2とドレイン電極3の組み合わせが櫛状に折り返し対称になるように配置されている。電界効果トランジスタ11のゲート電極1はこれらを束ねるゲート電極バス配線7と接続している。ソース電極2はこれらを束ねるソース電極パッド5と接続している。ドレイン電極3はこれらを束ねるドレイン電極パッド6と接続している。実施形態のゲート電極1とゲート電極バス配線7の少なくとも一部は同一の金属である。実施形態のソース電極3とソース電極バス6の少なくとも一部は同一の金属である。ダイオードの形成領域12上にあるゲート電極バス配線7の一部は半導体基板9とショットキー接合して、ダイオード10のアノード電極20(第1のダイオード電極)となる。ダイオードの形成領域12上にあるソース電極パッド5の一部は半導体基板9とオーミック接合してダイオード12のカソード電極21(第2のダイオード電極)となる。第1のダイオード電極と第2のダイオード電極20,21によってダイオード10が形成される。ゲート電極バス配線7の端部はゲート電極パッド4であり、外部回路と接続可能な端子として機能する。
【0010】
図3と図4は図1のA領域の(a−a’の矢印がある点線で囲まれた領域)のa−a’における断面図の例である。図3の断面図は、デバイス形成領域12,30を半導体層のエッチング工程によってメサ分離領域13形成し、ゲート電極1とアノード電極20となるゲート電極バス配線7を別々に形成し、カソード電極21とソース電極パッド5を別々に形成した形態を示している。図4の断面図は、デバイス形成領域10,30をイオン注入よる絶縁領域14にて周囲から電気的に分離し、アノード電極20となるゲート電極バス配線7をゲート電極1の形成時に同時に形成し、カソード電極21をソース電極パッド5で兼ねた場合の形態を示している。図3、図4の構造の何れの場合においても、ゲート電極1とソース電極パッド5の間はSiO2膜あるいはSiN膜、もしくはSiO2膜とSiN膜の積層膜から形成される絶縁膜15によって電気的に絶縁されている。
【0011】
実施形態の半導体装置は、従来はゲート電極バス配線7とソース電極パッド5間の電気的な絶縁性を確保する為に設けた領域にダイオード10を形成したため、チップ面積の増大することなくゲート電極保護のダイオードを付加することが可能であり、材料コストの観点から利点がある。実施形態の半導体装置は、電界効果トランジスタ形成領域30とソース電極パッド5の間にダイオード10を形成したため、トランジスタ11のゲート電極1と、ゲート電極1を保護するダイオード10間の配線長が非常に短くなり、配線長に起因する寄生成分が排除できる事から、ゲート電極保護効果が高い。実施形態の半導体装置のようにダイオード10を形成する場合、ダイオード10形成しない従来プロセスと同一の工程手順によって作製することができる。従って、実施形態の半導体装置を作製するために、新規に製造工程を特別に増やす必要がない。実施形態の半導体装置は、製造プロセスコストにも利点がある。
【0012】
(実施形態2)
電界効果トランジスタ11に、絶縁ゲート構造を有したノーマリオフ型AlGaN/GaN−HEMTを用いた実施形態である。図5に実施形態2の上面図を示す。図6に実施形態2の回路図を示す。
【0013】
ノーマリオフ型では、ゲート電極1の保護用のダイオードとして、正電圧側と負電圧側の双方に電圧のクリップが可能な双方向のダイオード特性が求められる。そこで、ゲート電極保護ダイオードとして双方向ダイオード16を形成した。
実施形態2の半導体装置は、電界効果トランジスタの種類と、ダイオードの構成以外は実施形態1の半導体装置と共通する。
【0014】
実施形態2の双方向ダイオード16は、ゲート電極バス配線7とソース電極パッド5とが半導体基板9とオーミック接合又はショットキー接合することによって形成している。双方向ダイオード16以外の構成は実施形態1と同様である。実施形態2では、ゲート電極バス配線7と半導体基板9との接合はオーミック接合とショットキー接合が順に交互に並び、ソース電極パッド5と半導体基板9とのオーミック接合とショットキー接合も順に交互に並び、具体的には隣り合うB領域(b−b’の矢印がある点線で囲まれた領域)とC領域(c−c’の矢印がある点線で囲まれた領域)で逆向きのダイオード10を形成しており、逆向きのダイオードが交互に繰りかえして形成されることで、双方向ダイオード16を形成している。図7はC領域における素子分離をメサ分離によって行った場合の断面図の例である。この場合、B領域の例は図3と同じである。図8はC領域における素子分離をイオン注入によって行った場合の断面図の例である。この場合、B領域の例は図4と同じである。B領域のゲート電極バス配線7は半導体基板9とショットキー接合(アノード電極20)しているが、C領域のゲート電極バス配線7は半導体基板9とオーミック接合(カソード電極21)している。B領域のソース電極パッド5は半導体基板9とオーミック接合(カソード電極21)しているが、C領域のソース電極パッドは半導体基板9とショットキー接合(アノード電極20)している。B領域とC領域の間は、半導体基板9をメサ分離し又は半導体基板9にイオン注入することによって、半導体基板上で電気的に絶縁している。
【0015】
図9では、ソース電極2からソース電極パッドへの配線を境に、逆向きのダイオードが交互にならんでいるが、図9に示した上面図のようにソース電極2からソース電極パッドへの配線を跨ぐようにダイオード形成領域12を設けても構わない。図9では、高耐圧動作を考慮したゲート電極1とソース電極2の終端構造を有したチップレイアウトの例である。図9は概念図であり、各電極を矩形で表現しているが、終端部は滑らかな曲率を有した形状が好ましい。図9の場合、ソース電極2を挟んで並ぶ2本のゲート電極1同士が、ソース電極2を囲うように接続される。したがってソース電極2を挟んで並ぶ2本のゲート電極1は、同方向のゲート保護用ダイオードに接続することが最適であり、図9の上面図に示すような双方向ダイオードの形態となる。
【0016】
実施形態2の双方向ダイオード16を形成する場合であっても、実施形態1と同様の利点を有し、双方向のダイオード16が形成された半導体装置であっても製造工程数を増やすことなく製造できる利点を有する。
【0017】
(実施形態3)
図10には、双方向ダイオード16の異なる配置を持った実施例を示す。実施形態2では、BとC領域に方向の異なるダイオード形成領域12を配置し、BとC領域の1対で双方向ダイオード16の要素を形成しているが、実施形態3では、隣り合うゲート電極1の1本ごとに方向の異なるダイオードを接続し、B領域内で1対の逆方向ダイオードを形成した形態である。したがってB領域とC領域は同一の構造となる。このこと以外は実施形態2と同様である。BとCの領域以外のダイオードの符号は省略している。
図10のように、ゲート電極1の1本ごとに保護ダイオードを設け、1対ごとに交互に配列することで、複数本のゲート電極1を束ねた逆方向ダイオードを交互にならべる構成に比べて、チップ内の動作の均一化と合わせて、動作時の発熱箇所を1本ごとに分散することが可能になり、信頼性が向上する利点がある。
【0018】
(実施形態4)
図11は実施形態4の半導体装置の上面図である。実施形態4の半導体装置は、実施形態1のソース電極パッド5の代わりに、ソース電極パッドに接続するソース電極バス配線8を用い、ソース電極バス配線8に対して電界効果トランジスタ11と保護ダイオード10を対称に配置したこと以外は実施形態1と同様である。図11の半導体装置は、電界効果トランジスタの構成を実施形態1の2倍にしているが、ソース電極パッド5を共通化することで、実施形態1よりも小さなスペースにダイオード10を形成することができる。また、実施形態4の半導体装置は、実質的に実施形態1の2倍の構成であるため、より大電流に対応することができる。実施形態に示した半導体装置図のレイアウトを大型化もしくは繰り返し構成することで、更なる大電流化が可能である。
【0019】
上記実施形態では、AlGaN/GaN−HEMTを用いて示したが、電界効果トランジスタはAlGaN/GaN−HEMTに限られるものではなく、窒化物半導体であるAlInGaN、InGaN,AlNのいずれかの電界効果トランジスタ、およびSiC,GaAs,InP、InGaAs、InGaPのいずれかの電界効果トランジスタにおいても同様の効果を得る事が可能である。
【0020】
実施形態の半導体装置において、双方向ダイオード12内のアノード電極とカソード電極は規則的(交互)に配列しているが、目的に応じて、アノード電極とカソード電極の配列を適宜変更しても構わない。
【0021】
実施形態の半導体装置において、ゲート電極バス配線7とソース電極パッド5、あるいはソース電極バス配線8が半導体基板9と接合したものを上記に説明したが、これは一例である。従って、ゲート電極1とソース電極2がダイオード形成領域内で半導体基板9と接合する配線は、ダイオード10あるいは12を電解効果トランジスタ11と隣接する領域に形成できるものであれば、ゲート電極1、ソース電極2の配線の形状は特に限定されない。そこで、実施形態において、目的とするダイオード10あるいは12を形成するアノード電極20あるいはカソード電極21が電界効果トランジスタ11の電極と接続する配線を総称して、バス配線及びパッドと記載した。
【0022】
図で示した半導体装置はいずれも概念図であり、図内のゲート電極1の本数は構成の説明上で便宜的に示した数である。実施形態に示した半導体装置図のレイアウトを折り返して接続する、もしくは繰り返して接続する等の構成とすることで、チップの大型化が可能であり、大電流化の要求に応えることができる。
【0023】
実施形態では、電界効果トランジスタの形成領域11は、ゲート電極(バス配線、パッド)と半導体基板が接合する電極側と隣接しているが、ソース電極(バス配線、パッド)側が電界効果トランジスタの形成領域30と隣接しても良い。
【0024】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態そのままに限定解釈されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成することができる。例えば、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い
【符号の説明】
【0025】
1・・・ゲート電極
2・・・ソース電極
3・・・ドレイン電極
4・・・ゲート電極パッド
5・・・ソース電極パッド
6・・・ドレイン電極パッド
7・・・ゲート電極バス配線
8・・・ソース電極バス配線
9・・・半導体基板
10・・・ゲート電極保護用ダイオード
11・・・電界効果トランジスタ
12・・・ダイオードの形成領域
13・・・メサ分離により絶縁化された半導体層
14・・・イオン注入により絶縁化された半導体層
15・・・半導体層と配線間、および各配線間に形成した絶縁膜
16・・・ゲート電極保護用双方向ダイオード
20・・・アノード電極
21・・・カソード電極
30・・・電界効果トランジスタの形成領域
【技術分野】
【0001】
半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GaNやSiCやダイヤモンドなどのワイドギャップ半導体は、Siに比べて、絶縁破壊電圧、電子移動度、熱伝導率などの半導体装置として重要な要素が優れているという特徴があり、製品化を目指して近年盛んに研究開発が行われている。特に、AlGaN/GaNなどのヘテロ接合チャネルをもつHEMT構造では、高い電子移動度とキャリア密度を有する。この事から、GaNデバイスはSiデバイスに対して、優れた高周波特性や低オン抵抗を実現可能であり、パワーエレクトロニクス分野における次世代のスイッチング素子として、多くの期待を集めている。
【0003】
ただし、通常のAlGaN/GaNヘテロ接合チャネルをもつGaNデバイスは、ゲート閾値電圧が負電圧となるノーマリオン型であり、ゲート電極に過大な正電圧が印加された場合に、ゲート電極が容易に破壊される懸念がある。これを回避する為に、ゲート電極保護の目的でゲート電圧をクリップするダイオードを、チップの外部でゲートとソース間に設ける事が一般的であり、回路の部品点数が増える事や回路基板上の配線が複雑になるなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−80815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、このような問題点に鑑みて成されたものであり、電界効果トランジスタチップ内にゲート電極保護用ダイオードをレイアウトすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置は、半導体基板と、半導体基板上に形成された電界効果トランジスタと、前記電界効果トランジスタの形成領域に隣接するダイオード形成領域とを備え、前記ダイオード形成領域は前記トランジスタの形成領域と前記半導体基板上で絶縁され、前記ダイオード形成領域内において、前記電界効果トランジスタのゲート電極がバス配線又はパッドを介して前記半導体基板とショットキー接合とオーミック接合のいずれか又は両方の接合をする第1のダイオード電極と、前記電界効果トランジスタのソース電極がバス配線又はパッドを介して前記半導体基板とオーミック接合とショットキー接合のいずれか又は両方の接合をする第2のダイオード電極とを備えることによって前記ゲート電極と前記ソース電極間にゲート電極保護用のダイオードが形成されたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態1の半導体装置の上面図である。
【図2】実施形態1の半導体装置の回路図である。
【図3】実施形態1の半導体装置のA−A’の断面図の例である。
【図4】実施形態1の半導体装置のA−A’の断面図の例である。
【図5】実施形態2の半導体装置の上面図である。
【図6】実施形態2の半導体装置の回路図である。
【図7】実施形態2の半導体装置のB−B’の断面図の例である。
【図8】実施形態2の半導体装置のB−B’の断面図の例である。
【図9】実施形態2の半導体装置の他の例の上面図である。
【図10】実施形態3の半導体装置の上面図である。
【図11】実施形態4の半導体装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図面を参照して、本発明実施の形態を説明する。
(実施形態1)
実施形態1に係わる半導体装置の構成を図に基づいて説明する。図1は、実施形態1の半導体装置の上面図であり、図2は、実施形態1の半導体装置の回路図である。
【0009】
実施形態1の半導体装置1は電界効果トランジスタ11と電界効果トランジスタ11のゲート電極1を保護するダイオード10が同一半導体基板9上(1チップ上)に形成されている。電界効果トランジスタ11は半導体基板9上のトランジスタ形成領域30に構成され、ダイオード10は半導体基板9上のダイオード形成離領12域に構成されている。トランジスタの形成領域30とダイオードの形成領域12は半導体基板9をメサ分離し又は半導体基板9にイオン注入することによって、半導体基板9上で電気的に絶縁している。実施形態1の電界効果トランジスタ11は絶縁ゲート構造を有したノーマリオン型AlGaN/GaN−HEMTであり、ゲート電極1とソース電極2とドレイン電極3の組み合わせが櫛状に折り返し対称になるように配置されている。電界効果トランジスタ11のゲート電極1はこれらを束ねるゲート電極バス配線7と接続している。ソース電極2はこれらを束ねるソース電極パッド5と接続している。ドレイン電極3はこれらを束ねるドレイン電極パッド6と接続している。実施形態のゲート電極1とゲート電極バス配線7の少なくとも一部は同一の金属である。実施形態のソース電極3とソース電極バス6の少なくとも一部は同一の金属である。ダイオードの形成領域12上にあるゲート電極バス配線7の一部は半導体基板9とショットキー接合して、ダイオード10のアノード電極20(第1のダイオード電極)となる。ダイオードの形成領域12上にあるソース電極パッド5の一部は半導体基板9とオーミック接合してダイオード12のカソード電極21(第2のダイオード電極)となる。第1のダイオード電極と第2のダイオード電極20,21によってダイオード10が形成される。ゲート電極バス配線7の端部はゲート電極パッド4であり、外部回路と接続可能な端子として機能する。
【0010】
図3と図4は図1のA領域の(a−a’の矢印がある点線で囲まれた領域)のa−a’における断面図の例である。図3の断面図は、デバイス形成領域12,30を半導体層のエッチング工程によってメサ分離領域13形成し、ゲート電極1とアノード電極20となるゲート電極バス配線7を別々に形成し、カソード電極21とソース電極パッド5を別々に形成した形態を示している。図4の断面図は、デバイス形成領域10,30をイオン注入よる絶縁領域14にて周囲から電気的に分離し、アノード電極20となるゲート電極バス配線7をゲート電極1の形成時に同時に形成し、カソード電極21をソース電極パッド5で兼ねた場合の形態を示している。図3、図4の構造の何れの場合においても、ゲート電極1とソース電極パッド5の間はSiO2膜あるいはSiN膜、もしくはSiO2膜とSiN膜の積層膜から形成される絶縁膜15によって電気的に絶縁されている。
【0011】
実施形態の半導体装置は、従来はゲート電極バス配線7とソース電極パッド5間の電気的な絶縁性を確保する為に設けた領域にダイオード10を形成したため、チップ面積の増大することなくゲート電極保護のダイオードを付加することが可能であり、材料コストの観点から利点がある。実施形態の半導体装置は、電界効果トランジスタ形成領域30とソース電極パッド5の間にダイオード10を形成したため、トランジスタ11のゲート電極1と、ゲート電極1を保護するダイオード10間の配線長が非常に短くなり、配線長に起因する寄生成分が排除できる事から、ゲート電極保護効果が高い。実施形態の半導体装置のようにダイオード10を形成する場合、ダイオード10形成しない従来プロセスと同一の工程手順によって作製することができる。従って、実施形態の半導体装置を作製するために、新規に製造工程を特別に増やす必要がない。実施形態の半導体装置は、製造プロセスコストにも利点がある。
【0012】
(実施形態2)
電界効果トランジスタ11に、絶縁ゲート構造を有したノーマリオフ型AlGaN/GaN−HEMTを用いた実施形態である。図5に実施形態2の上面図を示す。図6に実施形態2の回路図を示す。
【0013】
ノーマリオフ型では、ゲート電極1の保護用のダイオードとして、正電圧側と負電圧側の双方に電圧のクリップが可能な双方向のダイオード特性が求められる。そこで、ゲート電極保護ダイオードとして双方向ダイオード16を形成した。
実施形態2の半導体装置は、電界効果トランジスタの種類と、ダイオードの構成以外は実施形態1の半導体装置と共通する。
【0014】
実施形態2の双方向ダイオード16は、ゲート電極バス配線7とソース電極パッド5とが半導体基板9とオーミック接合又はショットキー接合することによって形成している。双方向ダイオード16以外の構成は実施形態1と同様である。実施形態2では、ゲート電極バス配線7と半導体基板9との接合はオーミック接合とショットキー接合が順に交互に並び、ソース電極パッド5と半導体基板9とのオーミック接合とショットキー接合も順に交互に並び、具体的には隣り合うB領域(b−b’の矢印がある点線で囲まれた領域)とC領域(c−c’の矢印がある点線で囲まれた領域)で逆向きのダイオード10を形成しており、逆向きのダイオードが交互に繰りかえして形成されることで、双方向ダイオード16を形成している。図7はC領域における素子分離をメサ分離によって行った場合の断面図の例である。この場合、B領域の例は図3と同じである。図8はC領域における素子分離をイオン注入によって行った場合の断面図の例である。この場合、B領域の例は図4と同じである。B領域のゲート電極バス配線7は半導体基板9とショットキー接合(アノード電極20)しているが、C領域のゲート電極バス配線7は半導体基板9とオーミック接合(カソード電極21)している。B領域のソース電極パッド5は半導体基板9とオーミック接合(カソード電極21)しているが、C領域のソース電極パッドは半導体基板9とショットキー接合(アノード電極20)している。B領域とC領域の間は、半導体基板9をメサ分離し又は半導体基板9にイオン注入することによって、半導体基板上で電気的に絶縁している。
【0015】
図9では、ソース電極2からソース電極パッドへの配線を境に、逆向きのダイオードが交互にならんでいるが、図9に示した上面図のようにソース電極2からソース電極パッドへの配線を跨ぐようにダイオード形成領域12を設けても構わない。図9では、高耐圧動作を考慮したゲート電極1とソース電極2の終端構造を有したチップレイアウトの例である。図9は概念図であり、各電極を矩形で表現しているが、終端部は滑らかな曲率を有した形状が好ましい。図9の場合、ソース電極2を挟んで並ぶ2本のゲート電極1同士が、ソース電極2を囲うように接続される。したがってソース電極2を挟んで並ぶ2本のゲート電極1は、同方向のゲート保護用ダイオードに接続することが最適であり、図9の上面図に示すような双方向ダイオードの形態となる。
【0016】
実施形態2の双方向ダイオード16を形成する場合であっても、実施形態1と同様の利点を有し、双方向のダイオード16が形成された半導体装置であっても製造工程数を増やすことなく製造できる利点を有する。
【0017】
(実施形態3)
図10には、双方向ダイオード16の異なる配置を持った実施例を示す。実施形態2では、BとC領域に方向の異なるダイオード形成領域12を配置し、BとC領域の1対で双方向ダイオード16の要素を形成しているが、実施形態3では、隣り合うゲート電極1の1本ごとに方向の異なるダイオードを接続し、B領域内で1対の逆方向ダイオードを形成した形態である。したがってB領域とC領域は同一の構造となる。このこと以外は実施形態2と同様である。BとCの領域以外のダイオードの符号は省略している。
図10のように、ゲート電極1の1本ごとに保護ダイオードを設け、1対ごとに交互に配列することで、複数本のゲート電極1を束ねた逆方向ダイオードを交互にならべる構成に比べて、チップ内の動作の均一化と合わせて、動作時の発熱箇所を1本ごとに分散することが可能になり、信頼性が向上する利点がある。
【0018】
(実施形態4)
図11は実施形態4の半導体装置の上面図である。実施形態4の半導体装置は、実施形態1のソース電極パッド5の代わりに、ソース電極パッドに接続するソース電極バス配線8を用い、ソース電極バス配線8に対して電界効果トランジスタ11と保護ダイオード10を対称に配置したこと以外は実施形態1と同様である。図11の半導体装置は、電界効果トランジスタの構成を実施形態1の2倍にしているが、ソース電極パッド5を共通化することで、実施形態1よりも小さなスペースにダイオード10を形成することができる。また、実施形態4の半導体装置は、実質的に実施形態1の2倍の構成であるため、より大電流に対応することができる。実施形態に示した半導体装置図のレイアウトを大型化もしくは繰り返し構成することで、更なる大電流化が可能である。
【0019】
上記実施形態では、AlGaN/GaN−HEMTを用いて示したが、電界効果トランジスタはAlGaN/GaN−HEMTに限られるものではなく、窒化物半導体であるAlInGaN、InGaN,AlNのいずれかの電界効果トランジスタ、およびSiC,GaAs,InP、InGaAs、InGaPのいずれかの電界効果トランジスタにおいても同様の効果を得る事が可能である。
【0020】
実施形態の半導体装置において、双方向ダイオード12内のアノード電極とカソード電極は規則的(交互)に配列しているが、目的に応じて、アノード電極とカソード電極の配列を適宜変更しても構わない。
【0021】
実施形態の半導体装置において、ゲート電極バス配線7とソース電極パッド5、あるいはソース電極バス配線8が半導体基板9と接合したものを上記に説明したが、これは一例である。従って、ゲート電極1とソース電極2がダイオード形成領域内で半導体基板9と接合する配線は、ダイオード10あるいは12を電解効果トランジスタ11と隣接する領域に形成できるものであれば、ゲート電極1、ソース電極2の配線の形状は特に限定されない。そこで、実施形態において、目的とするダイオード10あるいは12を形成するアノード電極20あるいはカソード電極21が電界効果トランジスタ11の電極と接続する配線を総称して、バス配線及びパッドと記載した。
【0022】
図で示した半導体装置はいずれも概念図であり、図内のゲート電極1の本数は構成の説明上で便宜的に示した数である。実施形態に示した半導体装置図のレイアウトを折り返して接続する、もしくは繰り返して接続する等の構成とすることで、チップの大型化が可能であり、大電流化の要求に応えることができる。
【0023】
実施形態では、電界効果トランジスタの形成領域11は、ゲート電極(バス配線、パッド)と半導体基板が接合する電極側と隣接しているが、ソース電極(バス配線、パッド)側が電界効果トランジスタの形成領域30と隣接しても良い。
【0024】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態そのままに限定解釈されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成することができる。例えば、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い
【符号の説明】
【0025】
1・・・ゲート電極
2・・・ソース電極
3・・・ドレイン電極
4・・・ゲート電極パッド
5・・・ソース電極パッド
6・・・ドレイン電極パッド
7・・・ゲート電極バス配線
8・・・ソース電極バス配線
9・・・半導体基板
10・・・ゲート電極保護用ダイオード
11・・・電界効果トランジスタ
12・・・ダイオードの形成領域
13・・・メサ分離により絶縁化された半導体層
14・・・イオン注入により絶縁化された半導体層
15・・・半導体層と配線間、および各配線間に形成した絶縁膜
16・・・ゲート電極保護用双方向ダイオード
20・・・アノード電極
21・・・カソード電極
30・・・電界効果トランジスタの形成領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
半導体基板上に形成された電界効果トランジスタと、
前記電界効果トランジスタの形成領域に隣接するダイオード形成領域とを備え、
前記ダイオード形成領域は前記トランジスタの形成領域と前記半導体基板上で絶縁され、
前記ダイオード形成領域内において、前記電界効果トランジスタのゲート電極がバス配線又はパッドを介して前記半導体基板とショットキー接合とオーミック接合のいずれか又は両方の接合をする第1のダイオード電極と、前記電界効果トランジスタのソース電極がバス配線又はパッドを介して前記半導体基板とオーミック接合とショットキー接合のいずれか又は両方の接合をする第2のダイオード電極とを備えることによって前記ゲート電極と前記ソース電極間にダイオードが形成されたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記電界効果トランジスタは、複数部存在しかつ櫛状に折り返し対称になるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1のダイオード電極は、ショットキー接合し、かつ、前記第2のダイオード電極は、オーミック接合していることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1のダイオード電極は、前記半導体基板上で互いに電気的に絶縁されたショットキー接合する電極とオーミック接合する電極が交互に配置された電極であり、かつ、前記第2のダイオード電極は、前記半導体基板上で互いに電気的に絶縁されたオーミック接合する電極とショットキー接合する電極が交互に配置された電極であり、それぞれ対向する前記第1のダイオード電極と前記第2のダイオード電極によって前記ゲート電極と前記ソース電極間には双方向ダイオードが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記電界効果トランジスタは、AlGaN/GaN、AlInGaN、InGaN、AlN、SiC、GaAs、InP、InGaAs、InGaPのいずれかのトランジスタであること特徴とする請求項1乃至5に記載の半導体装置。
【請求項1】
半導体基板と、
半導体基板上に形成された電界効果トランジスタと、
前記電界効果トランジスタの形成領域に隣接するダイオード形成領域とを備え、
前記ダイオード形成領域は前記トランジスタの形成領域と前記半導体基板上で絶縁され、
前記ダイオード形成領域内において、前記電界効果トランジスタのゲート電極がバス配線又はパッドを介して前記半導体基板とショットキー接合とオーミック接合のいずれか又は両方の接合をする第1のダイオード電極と、前記電界効果トランジスタのソース電極がバス配線又はパッドを介して前記半導体基板とオーミック接合とショットキー接合のいずれか又は両方の接合をする第2のダイオード電極とを備えることによって前記ゲート電極と前記ソース電極間にダイオードが形成されたことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記電界効果トランジスタは、複数部存在しかつ櫛状に折り返し対称になるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1のダイオード電極は、ショットキー接合し、かつ、前記第2のダイオード電極は、オーミック接合していることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1のダイオード電極は、前記半導体基板上で互いに電気的に絶縁されたショットキー接合する電極とオーミック接合する電極が交互に配置された電極であり、かつ、前記第2のダイオード電極は、前記半導体基板上で互いに電気的に絶縁されたオーミック接合する電極とショットキー接合する電極が交互に配置された電極であり、それぞれ対向する前記第1のダイオード電極と前記第2のダイオード電極によって前記ゲート電極と前記ソース電極間には双方向ダイオードが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記電界効果トランジスタは、AlGaN/GaN、AlInGaN、InGaN、AlN、SiC、GaAs、InP、InGaAs、InGaPのいずれかのトランジスタであること特徴とする請求項1乃至5に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−190980(P2012−190980A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52783(P2011−52783)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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