説明

双方向直流絶縁送信チャネル

直流信号および交流信号を電気的に絶縁して送信するための、構成および方法。同じ唯一使用可能な直流絶縁チャネルを使用して、これらの信号を両方向に送信することができる。本構成は、第1の送受信システム(1)、短絡モードの直流変圧器(4)、演算増幅器装置(5)、およびイベント信号発生器(9)を有する第2の送受信システム(2)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流信号および交流信号を、2つの送受信システム間の測定信号およびメッセージ信号として、電気的に絶縁して送信するための構成および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような構成は、例えば独国実用新案第297 18 405U1、独国実用新案第298 16 659U1および欧州特許第0 658 866B1に記載されている。これらの文献では、測定信号が第1のチャネルで送信され、メッセージ信号が第2のチャネルで送信される方法が開示されている。第1のチャネルは、結合段を備え、第2のチャネルは、トランスミッタまたは別の結合段を備える。したがって、全体として、2つの直流絶縁チャネルが必要である。しかしながら、2つの直流絶縁チャネルを使用することは、コストが高くつき、高い空間的要件を伴う。
【0003】
測定信号用信号供給アイソレータ(独国特許出願公開第103 22 262A1)では、信号の送信には、ただ1つの2コンダクタ・チャネルが要求され、この場合、伝送路での直流絶縁に電圧変換器が使用されているが、実際の電力条件に応じた受信電圧信号を作成するために、補助電源供給回路が必要となる。しかしながら、この回路では、エネルギーが供給回路によって入手可能となるため、送受信システムがアクティブな電流出力に接続されておらず、したがって、2つの電圧源が互いに逆らって働くことになる。
【0004】
変圧器を使った、2つの電子ユニット間の無電位信号送信のための回路構成もまた知られており(独国特許第35 33 278C2)、この構成では、変圧器の二次巻線が、返送メッセージ信号の存在のために短絡されている。しかしながら、制御信号および返送メッセージ信号は交互に実行される必要があり、すなわち、単一の2コンダクタ・チャネルを使って、一方のユニットからの電流信号と、他方のユニットからの電圧信号とを、同時に送信することができない。
【特許文献1】独国実用新案第297 18 405U1
【特許文献2】独国実用新案第298 16 659U1
【特許文献3】欧州特許第0 658 866B1
【特許文献4】独国特許出願公開第103 22 262A1
【特許文献5】独国特許第35 33 278C2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、双方向の直流絶縁送信チャネルを発生させる課題に基づき、各々が2つのコンダクタを有するチャネル領域を使って、両方の送受信システムから発生する信号を、同時に送信することを可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、第1の送受信システムと第2の送受信システムとの間で、直流信号および交流信号の電位を制御して送信する構成により解決され、この構成は以下の特徴、すなわち、
単一の2コンダクタ・チャネルにより2つの送受信システムを接続する、送受信導体領域対、
直流信号を用いて信号送信を行うために短絡され、一次回路および二次回路を有する絶縁変換器を含み、導体領域の直流絶縁を用いて直流信号を交流信号に変換し、かつ直流信号に逆変換する直流トランスミッタ、
チャネルを介して送信された信号がその入力側に印加され、使用可能な信号が、第2の送受信システムへの電流信号または電圧信号として、その出力側で出力される、I/I電子変換器またはI/U電子変換器、
メッセージ信号を送信するために直流トランスミッタへ二次側で接続され、その結果、一次側で、電圧変化を判定し、それが送信されたメッセージ信号として第1の送受信システムで評価されることが可能となる、メッセージ信号トランスミッタ
を有する。
【0007】
この課題はまた、第1の送受信システムと第2の送受信システムとの間で直流信号および交流信号を電気的に絶縁して送信するための方法であって、
第1の送受信システムにおいて、互いに直流絶縁された領域を有する2コンダクタ・チャネルを介して送信されるように作成される、測定信号を得るステップと、
絶縁変換器を有する直流トランスミッタを使用することにより、この直流信号および交流信号を、2コンダクタ・チャネルを介してI/I電子変換器またはI/U電子変換器に供給するステップと、
このI/I電子変換器またはI/U電子変換器が、直流信号および交流信号から、測定信号に対応する電流信号または電圧信号を回復し、それを第2の送受信システムで使用可能にするステップと、
第2の送受信システムから第1の送受信システムにメッセージ信号を送信する場合には、
メッセージ信号が直流トランスミッタの二次回路に供給され、一次回路を介して第1の送受信システムに供給されるステップと
を含む方法で解決される。
【0008】
本発明による構成では、同じ直流絶縁チャネルを用いて、直流信号が測定信号として、直流電圧/交流電圧帰還信号がメッセージ信号として、有利に送信される。ここでは、2つの電子装置の間に、絶縁変換器と、I/I電子変換器またはI/U電子変換器とを有する、直流トランスミッタがある。2つの電子装置、直流トランスミッタ、およびI/I変換器またはI/U変換器は、2線式コンダクタの領域により直列に接続される。絶縁変換器は、2つの端末装置の電流回路の直流絶縁に使用される。直流トランスミッタは、1つの信号方向で短絡されており、その結果、実質的に電力は送信されない。
【0009】
直流トランスミッタの一次側では、第1の端末装置からの直流信号が、交流信号に、有利に変換される。二次側では、そこに現われる交流信号が、再度、直流信号に接続される。
【0010】
直流トランスミッタの回路に関連する実現については、いくつかの可能性がある。第1に、直流トランスミッタを、能動スイッチ(トランジスタ、アナログスイッチなど)を有するハーフ・ブリッジ電流変換器として形成することができ、これは二次側でダイオードに置き換えることも可能である。第2に、直流トランスミッタを、フル・ブリッジ電流変換器として実現することができる。中央タップのある絶縁変換器を備える直流トランスミッタを構成することもまた、可能である。
【0011】
直流トランスミッタの短絡を確実にするために、I/I変換器がその二次側に使用され、第2の端末装置から直流トランスミッタを分断する。
【0012】
第2の端末装置が第1の端末装置に帰還信号を出力すべき場合には、この信号を、様々な位置の、パルス、直流電圧または交流電圧信号として、直流トランスミッタの二次側に供給することが可能である。
【0013】
帰還信号を供給する第1の可能性は、直流トランスミッタの二次側に直列に接続された、制御された電圧源を使用することにある。さらに、帰還信号を、I/I変換器またはI/U変換器の入力部に印加することができる。
【0014】
このパルス、直流電圧または交流電圧信号の供給は、直流トランスミッタの二次側の短絡の解除をもたらし、これにより、一次側で、二次側に供給されたパルスの値、直流電圧または交流電圧信号により電圧が増加するときに限り、第1の電子装置から送信された直流信号が有利に駆動される結果となる。このように、一次側で、二次側に供給されたパルス、直流電圧または交流電圧信号を、帰還信号として測定し、かつ評価することが可能となる。
【0015】
その結果、有利な直流信号の方向に逆らった帰還信号を送信するための第2の直流絶縁送信チャネルが不要となる。
【0016】
このような構成の主な利用分野は、爆発の危険性のある領域とない領域において、HART通信を備えた増幅器を絶縁するものとして使用されるものである。爆発の危険性のある領域で使用される電子装置には、例えば、圧力、および/または温度値を測定するための装置あるいはバルブなどのアクチュエータを挙げることができる。爆発の危険性のない領域で使用される電子装置については、例えば、「野外で」測定された値をモニタリングするための制御室を挙げることができる。
【0017】
さらに、本発明による構成を、「配線の断線」、「短絡」などの、メッセージ信号およびステータス信号のフィードバックのために使用することが考えられる。
【0018】
本発明をさらによく理解するために、添付の図面を参照されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、回路図において、本発明による構成の原則的な配置を示している。第1の送受信システム1は、導体領域6a、6b、または7a、7b、または8a、8bを含む、単一の2コンダクタ・チャネルを介して、直流トランスミッタ4の一部分である、絶縁変圧器、すなわち、絶縁変換器3に接続されている。これが、I/I電子変換器またはI/U電子変換器5を介して、第2の送受信システム2に接続されている。絶縁変換器3は、一次側巻線31および二次側巻線32を有する。これらの一次側巻線31および二次側巻線32が、直流トランスミッタ4の、一次側45(=一次回路)および二次側46(=二次回路)を画定する。直流トランスミッタ4の一次側45において、印加されたアナログ直流信号が分割され、この分割された信号が、絶縁変換器3によって二次側46に送信され、この二次側から、アナログ直流信号に逆変換される。このプロセスについては、図6から図10を参照してより詳細に説明する。
【0020】
一次側45および二次側46により、2つの領域AおよびBを、第1および第2の送受信システム間の全体の構成から識別することができ、これらの領域は、爆発の危険性のある領域とない領域を表す。一次側45と二次側46との間に導電接続がないため、2つの側は互いに直流絶縁されている。
【0021】
直流トランスミッタ4の二次側46は、2コンダクタ・チャネルの第2の領域を介して、すなわち、接続導体対7aおよび7bを介して、I/I電子変換器またはI/U電子変換器5の入力側に接続されている。I/I電子変換器またはI/U電子変換器5の出力側は、出力導体対8aおよび8bを含む、2コンダクタ・チャネルの第3の領域によって、第2の送受信システム2に接続されている。さらに、メッセージ信号トランスミッタ9が、I/I電子変換器またはI/U電子変換器5に接続されている。メッセージ信号トランスミッタ9は、直流電圧信号と交流電圧信号の両方を出力できる。例えば、あるスイッチのスイッチ状態を報告するために、異なる電位(例えば0Vと0.5Vなど)の直流電圧信号を発生させることができる。例えば、HARTプロトコルによるものなどの、FSK信号(周波数偏移方式)を、交流電圧信号として使用することができる。
【0022】
第1の送受信システム1は、入力導体対6a、6bを介して、一次電流信号を直流トランスミッタ4へと導く。DIN IEC 60 381 Part 1に規定されるように、この一次電流信号は、0mAから20mAまたは4mAから20mAの範囲の標準電流信号IN1を含むことができる。これらの標準電流信号は、遠距離にわたって送信されることが可能である。例えば、0℃から100℃の温度領域に対して、0から20mAまでの標準電流信号へと、温度に関しての測定信号をマップすることができる。この場合、10mAの電流値は、50℃の温度に対応する。システム1からの測定信号の信号方向に関し、直流トランスミッタ4の二次側は短絡している。これは、二次電圧が0に等しいことを意味しており、その結果、実質的に、電力は送信されない。二次側で流れる電流IN2は、一次電流IN1に比例し、また、二次巻線32に対する一次巻線31の送信比率に比例する。これらの巻線31、32の数が等しい場合、一次電流IN1は二次電流IN2に等しいが、電流の方向は互いに逆である。このように、信号方向と電流方向とは一致しない。直流トランスミッタ4が第2の送受信システム自体を駆動するなら、それはもはや短絡されることはなくなり、それにより、送電が大きすぎる場合に、このシステムは直線電流の送電範囲から離れる結果となるであろう。
【0023】
第2の送受信システム2から直流トランスミッタ4を減結合するために、演算増幅器装置として構成された、I/I電子変換器またはI/U電子変換器5が使用される。この演算増幅器装置5は、その反転増幅器としての接続によって、制御操作によりフィードバックとの接続を仮想接地に導くことを確実にし、これにより、2つの入力部P、Nは同じ電位となり、その結果、直流トランスミッタ4の二次側短絡が保証される。ここには、いわゆる仮想短絡が関与する。ここでは、メッセージ信号トランスミッタ9は短絡されたものとして考えられる。その電圧Uはゼロに等しい。
【0024】
このことは図2において明らかとなる。演算増幅器装置5は、P側入力部、N側入力部、および出力部を有する演算増幅器51を備える。演算増幅器51は、そのP側入力部で接地電位に接続され、そのN側入力部は、直流トランスミッタ4の二次側46に接続される。その出力は、第2の送受信システム2を介してN側入力部にフィードバックされる。演算増幅器装置5の演算増幅器51に電圧Uが供給される。両方とも接地電位に接続されるため、直流トランスミッタ4の端子基部と、演算増幅器装置5の演算増幅器51のP側入力は、両方とも、同じ電位である。ここでは、メッセージ信号トランスミッタ9もまた、短絡されたものとして考えられる。演算増幅器51の仮想短絡に関連して、直流トランスミッタ4が短絡される。演算増幅器入力部の高インピーダンスによって、第2の送受信システム2を経由した電流が、直流トランスミッタ4の二次電流IN2にまったく等しくなることが保証される。第2の送受信システム2を流れる電流は、演算増幅器51から伝達される。この演算増幅器51は、この電流のためのエネルギーを、その電源電圧Uから受け取る。
【0025】
標準電流信号IN1の信号方向と逆の向きの信号の送信ができるようにするために、電圧Uを有する制御された電圧源を表すメッセージ信号トランスミッタ9は、直流トランスミッタ4の二次回路46に直列に接続される。電圧源としてのメッセージ信号トランスミッタ9は、二次回路46の直流トランスミッタ4の短絡を解除するが、演算増幅器51の仮想短絡は解除しない。しかしながら、標準電流信号IN1は、もはやそのオリジナル値で流れることができない。この信号が、電圧Uが二次側に送給されるにもかかわらず流れ続けると、一次側において、入力電流源の役割をする第1の送受信システム1が、二次側に供給された電圧Uの値にまったく一致する値だけ、その電圧Uを増加させなければならない。このような電圧の増加が行われるために、二次側に供給された電圧Uを、一次側45で測定することが可能となる。このようにして、メッセージ信号の信号送信が、一次側での電圧の増加の測定を用いて行われる。
【0026】
第2の実施形態において、図3により、二次側に供給された電圧Uを一次回路45へ送信する別の実用可能性を示す。メッセージ信号トランスミッタとして使用される制御された電圧源9は、この実施形態では、演算増幅器51の高インピーダンス入力部に接続され、この入力部は図2では接地接続されていた。電圧源9が、直流トランスミッタ46の出力部と有効に直列関係にあるので、このアクティブ化によって、直流トランスミッタ4の二次側の短絡は解除される。したがって、二次側に供給された電圧Uの値だけ一次電圧Uを増加させなければならず、その結果、標準電流信号IN1が流れ続けることができる。このように、メッセージ信号を一次側で測定することができ、記載された方法で規定することができる。
【0027】
図4は、本発明による構成の一実施形態を示しており、ここでは、演算増幅器5の演算増幅器51のP側入力部は、抵抗Rを介して接地電位に接続されている。N側入力部は、直流トランスミッタ4の二次側46と接触する。演算増幅器51の出力には、演算増幅器51の出力信号を増幅し、この出力信号をN側入力部にフィードバックするためのトランジスタTがある。
【0028】
特に有利なのは、第2の送受信システム2から交流電圧信号トランスミッタ11の交流電圧信号Uを直流絶縁送信するためのこの構成であり、これは、見かけのオーム抵抗15を有する電界装置として構成することが可能である。ここでは、出力導体対8a、8bは、フィールド間に延びる2コンダクタ・チャネルを形成する。交流電圧信号Uは、標準電流信号IN1の信号方向と反対のプロセス・データを送信するために、標準電流信号IN2上に変調される。交流電圧用の動作電圧源10の動作電圧Uが短絡されたものとして考慮されるとの考えで、交流電圧信号Uは、コンデンサCにより出力導体8aから減結合され、接地接続された演算増幅器51の高インピーダンス入力部と、抵抗Rを介して接触する。したがって、交流電圧信号Uは、演算増幅器51の仮想短絡を介して直流トランスミッタ4の出力部と直列に接続されており、直流トランスミッタ4の一次側45に送信されて、そこで測定することができる。この測定は信号を決定することに相当する。したがって、信号は、システム2からシステム1に間接的に送信される。
【0029】
図5は、原則として図4のものと同等の構成を示しているが、交流電圧信号Uが、低インピーダンス電圧源92として動作する演算増幅器52によって、直流トランスミッタ4の二次回路46の端子基部に供給されるという違いがある。
【0030】
図6から図10は、本発明の回路構成に組み入れられる際の、直流トランスミッタ構成4の様々な実施形態を示す。
【0031】
図6は、能動スイッチ35、36を備えるハーフ・ブリッジ電流変換器としての直流トランスミッタ4を示している。ここでは、一次側タイミング発生器43および二次側タイミング発生器44により、一次側スイッチ35と、二次側回路36とを、入力導体対6a、6bまたは接続導体対7a、7bのワイヤ間で、同期して往復に切り替えることが確実になる。変換の周波数(およそ100kHzから200kHz)は、巻線31、32のインダクタンスおよびコンデンサ33a、33b、34a、34bの静電容量に適合させられる。一次側45で、アナログ直流信号である標準電流信号IN1は、一次側タイミング発生器43によって設定された周期に応じて電流の方向を変える。絶縁変圧器または絶縁変換器3を介して送信することが可能な適切な交流信号を生成するために、交互に荷電される2つのコンデンサ33a、33bが、一次側45に提供される。同じことが、2つのコンデンサ34a、34bと、巻線32の給電ライン7a1、7b1への接続導体7a、7bのワイヤの同期スイッチングにより、二次側46で起こる。したがって、一次側の標準電流信号IN1に釣り合う標準電流信号IN2が二次側に発生し、そこでは電流の方向は逆になる。
【0032】
図6のこの実施形態においては、メッセージ信号トランスミッタ9の交流電圧信号Uが、直流トランスミッタ4の二次側46の端子基部で供給される。
【0033】
図7は、図6と同じ実施形態における、能動スイッチを備えるハーフ・ブリッジ電流変換器としての直流トランスミッタ4を示している。図7と図6との違いは、図7では、図3に記載されたように、メッセージ信号トランスミッタ9の交流電圧信号Uの供給が、演算増幅器51のP側入力部で起こることである。
【0034】
図8は、能動スイッチ37a、37b、38a、38bを備えるフル・ブリッジ電流変換器としての直流トランスミッタ4を示している。このように、一次側タイミング発生器43は、巻線31の交流接続に導体線6a、6bを接続し、かつ、巻線32の交流接続に導体線7a、7bを接続するため、一次側スイッチ37a、37bの両方を、2つの位置の間で切り替える。2つの一次側のスイッチ37a、37bの位置が周期的に変化することにより、入力される直流信号IN1がパルス信号または交流信号に変換される。一次側タイミング発生器43と同期化して、二次側タイミング発生器44は、同様に、2つの位置間で2つの二次側スイッチ38a、38bを切り替える。2つの二次側のスイッチ38a、38bの位置が周期的に変わることにより、入力される二次側46のパルス信号または交流信号が、直流信号IN2に変換される。
【0035】
図9は、センター・タップを含む構造における、直流トランスミッタ4を示している。ここでは、一次側タイミング発生器43は、2つの一次側のスイッチ43a、43bを接続導体6b、6bに交互に切り替える。2つの一次側のスイッチ43a、43bの位置が周期的に変わることにより、入力される直流信号IN1が、パルス信号または交流信号に変換される。一次側タイミング発生器43と同期して、二次側タイミング発生器44は、2つの二次側スイッチ44a、44bを接続導体7b、7bに交互に切り替える。2つの二次側のスイッチ44a、44bの位置が周期的に変わることにより、入力される二次側46のパルス信号または交流信号が、直流信号IN2に変換される。
【0036】
図10は、ダイオード47、48を備えるハーフ・ブリッジ電流変換器としての電流変換器4を示している。一次側では、直流信号IN1が、図6および図7にすでに記載された方法でパルス信号または交流信号に変換される。二次側では、入力されるパルス信号または交流信号が、ダイオード47、48と、2つのコンデンサ34a、34bとにより、直流信号IN2変換される。
【0037】
上述の構成のための可能な1つの応用は、第1の送受信システム1が、例えば、標準電流信号IN1を発生させる、メモリプログラム・システムSPSにある。この標準電流信号IN1は、二次側46では、アクチュエータ(=電界装置の一部分としての見かけのオーム抵抗15)が、その状態を変えるという結果をもたらす。このアクチュエータは、例えば、標準電流信号IN1に応じてその状態を変える、バルブでもよい。帰還信号によって、バルブは、一次側45でバルブポジションの実際の状態を、折り返し伝えることができる。しかしながら、二次側では、例えばバス・サブスクライバなどの複雑な電子機器により、第2の送受信システム2を表すことも可能である。
【0038】
本発明による構成のための別の可能な応用は、一次側45において、第1の送受信システム1が、標準電流信号IN1を発生させる温度センサを含むものである。この場合、第2の送受信システム2は、例えば、評価回路である。この方法で、センサによって測定された温度を、表示することができ、かつ/または、制御上の問題のために使用することができる。このセンサは、帰還信号によってパラメータで表すことができる。
【0039】
一般に、第1の送受信システム1および/または第2の送受信システム2は、電界装置として構成することができ、それによると、導体領域6a、6bおよび/または、8a、8bは、フィールド間に延び、かつ両方の方向に信号を送信できる、伝送路を表す。直流トランスミッタ4および演算増幅器装置5は、これに関連して「セントラル・オフィス」と考えることができる。このセントラル・オフィスは、わずか数モジュールだけを有し、小スペースに収容することができ、望ましいものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による構成の原則的な配置のブロック回路図である。
【図2】メッセージ信号の結合に関するブロック回路図において、本発明による構成の第1の実施形態の構成を示す図である。
【図3】メッセージ信号の結合に関するブロック回路図において、本発明による構成の第2の実施形態の構成を示す図である。
【図4】図3で示された本発明による構成の一実施形態の回路図である。
【図5】図2で示された本発明による構成の一実施形態の回路図である。
【図6】ハーフ・ブリッジ電流変換器の一例を含む、図2で示された本発明による構成を示す回路図である。
【図7】ハーフ・ブリッジ電流変換器の一例を含む、図3で示された本発明による構成を示す回路図である。
【図8】フル・ブリッジ電流変換器を含む、本発明による構成を示す回路図である。
【図9】電流変換器としてセンター・タップを含むトランスミッタを有する、本発明による構成を示す回路図である。
【図10】ハーフ・ブリッジ電流変換器のもう1つの例を含む、図3で示された本発明による構成を示す回路図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の送受信システム(1)と第2の送受信システム(2)との間で直流信号と交流信号とを電気的に絶縁して送信するための構成であって、
単一の2コンダクタ・チャネルにより前記2つの送受信システム(1、2)を接続する、送受信導体対(6a、6b;7a、7b;8a、8b)の領域と、
直流信号(IN1、IN2)を用いて前記信号送信を行うために短絡され、一次回路(45)および二次回路(46)を有する絶縁変換器(3)を含み、前記導体領域の直流絶縁のために、直流信号(IN1)を交流信号に変換し、かつそれらを直流信号(IN2)に逆変換する、直流トランスミッタ(4)と、
前記チャネルを介して送信された前記信号がその入力側に印加され、かつ、その出力側で、使用可能な信号が、前記第2の送受信システム(2)への電流または電圧信号として出力される、I/I電子変換器またはI/U電子変換器(5)と、
メッセージ信号(U)を送信するために前記直流トランスミッタ(4)へ二次側で接続され、その結果、一次側で、電圧変化を判定し、それが送信メッセージ信号として前記第1の送受信システム(1)により評価されることが可能となる、メッセージ信号トランスミッタ(9)とを含む構成。
【請求項2】
前記メッセージ信号トランスミッタ(9)が、前記直流トランスミッタ(4)の前記二次回路(46)に直列に接続された、制御された電圧源を表し、前記第1の送受信システム(1)が、前記直流トランスミッタ(4)の前記一次回路(45)に標準電流信号(IN1)を供給し、メッセージ信号によって電圧に変化が現われたとき、測定された電源電圧から前記一次回路(45)への前記メッセージ信号の値を決定するために、前記電源電圧(U)が、前記二次側に供給された前記メッセージ信号トランスミッタ(9)の前記電圧の値(U)に相当する値だけ増加することを特徴とする、請求項1に記載の構成。
【請求項3】
前記メッセージ信号トランスミッタ(9)が、前記I/I電子変換器またはI/U電子変換器(5)の演算増幅器(51)の第1の入力部に接続され、別の第2の入力部は、前記直流トランスミッタ(4)の前記二次回路(46)に接続され、
前記演算増幅器(51)の出力が、前記演算増幅器(51)の前記第2の入力部にフィードバックされることを特徴とする、請求項1または2に記載の構成。
【請求項4】
前記第2の送受信システム(2)が交流電圧信号ソース(11)を有し、その交流電圧信号(U)は、前記受信された直流信号(IN2)上に変調され、すなわち、コンデンサ(C)を介して前記I/I電子変換器またはI/U電子変換器(5)の入力部内の抵抗(R)に結合され、前記交流電圧信号が、前記I/I電子変換器またはI/U電子変換器(5)の直接の接地基準を相殺し、その制御特性によって、前記I/I電子変換器またはI/U電子変換器(5)が、前記標準電流信号(IN1)の前記二次側電流(IN2)上に前記交流電圧信号(U)を変調し、その結果、前記第1の送受信システム(1)に電源電圧(U)と同じ電圧を発生させることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の構成。
【請求項5】
一方の側で、前記直流トランスミッタ(4)の前記二次側(46)に接続され、他方の側で、見かけのオーム抵抗(15)および交流電圧信号トランスミッタ(11)を備える電界装置に、コンデンサ(C)を介して接続される、前記メッセージ信号トランスミッタ(9)が低インピーダンス電圧源(92)によって形成され、前記標準電流信号(IN1)の前記二次側電流(IN2)上に交流電圧信号として変調された前記メッセージ信号が、前記第1の送受信システム(1)に送信されることを特徴とする、請求項3に記載の構成。
【請求項6】
ハーフ・ブリッジ電流変換器を形成するように、前記絶縁変換器(3)の前記一次側(45)の接続導体と、前記絶縁変換器(3)の前記二次側(46)の接続導体とを、同期して切り替えることができることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の構成。
【請求項7】
前記一次回路(45)において切り替えを行うために、能動スイッチ(35、37a、37b、43a、43b)が設けられ、前記二次回路(46)には、能動スイッチ(36、38a、38b、44a、44b)またはダイオード(47、48)のいずれかが設けられることを特徴とする、請求項6に記載の構成。
【請求項8】
能動スイッチ(37a、37b;38a、38b)を備えるフル・ブリッジ電流変換器を形成するように、前記絶縁変換器(3)の前記一次側(45)の前記接続導体と、前記絶縁変換器(3)の前記二次側(46)の前記接続導体とを、同期して切り替えることができることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の構成。
【請求項9】
前記絶縁変換器(3)が、その一次側(45)およびその二次側(46)においてセンター・タップされ、前記絶縁変換器(3)の前記接続導体(6b、6b;7b、7b)を同期して切り替えることができることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の構成。
【請求項10】
第1の送受信システム(1)と第2の送受信システム(2)との間で直流信号および交流信号を電気的に絶縁して送信するための方法であって、
a)前記第1の送受信システム(1)において、互いに直流絶縁される領域を有する2コンダクタ・チャネルを介して送信を行うための直流信号または交流信号として作成される、測定信号を得るステップと、
b)前記絶縁変換器(3)を備える直流トランスミッタ(4)の使用により、直流信号および交流信号を、前記2コンダクタ・チャネルを介して、I/I電子変換器またはI/U電子変換器(5)に供給するステップと、
c)前記I/I電子変換器またはI/U電子変換器(5)が、直流信号および交流信号から、前記測定信号に相当する電流信号または電圧信号を回復し、それを前記第2の送受信システム(2)で使用可能にするステップと、
d)前記第2の送受信システム(2)から、前記第1送受信システム(1)にメッセージ信号に送信する場合には、前記メッセージ信号が、前記直流トランスミッタ(4)の前記二次回路(46)に供給され、前記一次回路(45)を介して前記第1の送受信システム(1)に供給されるステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記測定信号が、測定信号トランスミッタの直流信号を表し、前記絶縁変換器(3)を介した送信のために分割されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記直流測定信号が、それぞれが設定された電流の強さを有する、標準信号(IN1)を表すことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記メッセージ信号が、電圧信号(U)を表し、前記二次側(46)で供給され、前記一次側(45)の電圧の変化の補償によって前記一次側(45)で検知することができることを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1送受信システム(1)がメモリ・プログラマブル・システムを表し、前記第2の送受信システム(2)が、前記測定信号により反応し、任意にメッセージ信号の返送をトリガする、制御された装置を含むことを特徴とする、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記制御された装置が、前記測定信号に応じてその状態または位置を変える、アクチュエータを表すことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記制御された装置がバス・サブスクライバを表すことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記制御された装置が評価回路を表すことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1送受信システム(1)がセンサ・デバイスを表すことを特徴とする、請求項10乃至17のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−528736(P2009−528736A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556698(P2008−556698)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001640
【国際公開番号】WO2007/098909
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(504019733)フェニックス コンタクト ゲーエムベーハー ウント コムパニー カーゲー (72)
【Fターム(参考)】