説明

収束アンテナ、多目的アンテナ、およびそれに関連する方法

例示的な実施形態は、収束アンテナを含むデバイスを対象とする。デバイスは、短平面および短平面に近接して配置されたアンテナを含んでもよい。アンテナは、短平面の周りに収束される電磁界を生成するために構成されてもよい。アンテナは、さらに、短平面から、デバイスの別の短平面に向かって延在する要素を含んでもよい。アンテナは、螺旋形状および渦巻き形状の一方を備えてもよい。アンテナは、1つまたは複数の巻線を有するコイルアンテナを備えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許法第119条に基づく優先権の主張
本出願は、
その開示が参照によりその全体を組込まれる2009年9月14日に出願された「FOCUSED ANTENNA FOR TOUCH OPERATIONS IN A HANDHELD DEVICE」という名称の米国仮特許出願第61/242,295号、および、
その開示が参照によりその全体を組込まれる2009年9月14日に出願された「COMBINED WIDE AREA AND FOCUSED ANTENNA FOR NFC AND WIRELESS POWER」という名称の米国仮特許出願第61/242,275号
に対して、米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、近距離電磁界通信および無線電力に関し、より具体的には、収束電磁界を生成するように構成されたアンテナ、ならびに、収束電磁界を生成するための少なくとも1つの要素および無線電力を受信するために構成された別の要素を含む多目的アンテナに関する。
【背景技術】
【0003】
通常、各電池式デバイスは、それ自身の充電器および通常AC電源出力(power outlet)である電力源を必要とする。これは、多くのデバイスが充電を必要とするときやっかいになる。
【0004】
送信機と充電されるデバイスとの間のオーバザエア (over the air)電力伝送を使用する手法が開発されている。これらは、一般に2つのカテゴリに入る。1つは、充電されるデバイス上の送信アンテナと受信アンテナとの間の平面波放射(遠距離電磁界放射とも呼ばれる)の結合に基づき、受信アンテナは、電池を充電するために、放射電力を収集しそれを整流する。アンテナは、一般に、結合効率を改善するために、共振長である。この手法は、電力結合が、アンテナ間の距離と共に急速に低下することにさらされる。そのため適度の距離(たとえば、>1〜2m)にわたる充電が難しくなる。さらに、システムが平面波を放出するため、フィルタリングによって適切に制御されない場合、意図しない放射が他のシステムに干渉する可能性がある。
【0005】
他の手法は、たとえば「充電(charging)」マットまたは表面に埋め込まれた送信アンテナと、充電されるホストデバイスに埋め込まれた受信アンテナプラス整流用回路との間の誘導結合に基づく。この手法は、送信アンテナと受信アンテナとの間の間隔が非常に近く(たとえば数mm)なければならないという欠点がある。この手法は、同じエリア内の複数のデバイスを同時に充電する能力を実際に持つが、このエリアは、通常小さく、したがって、ユーザは、デバイスを特定のエリアに位置付けなければならない。
【0006】
当業者に理解されるように、電子デバイスは、近距離電磁界通信(NFC)を介してデータを送信するかつ/または受信するように構成されてもよい。たとえば、デバイスは、「オイスターカード(Oystar Card)」読取り器(reader)などの電子読取り器と通信するように構成されてもよい。NFCを介して、電子デバイスは、支払いを行い、障壁を通してアクセスを行い、またはその組合せを行ってもよい。
【0007】
既存のアンテナを用い、電子デバイス内へそのアンテナを設置する場合、読取り器などの別のデバイスと通信するために、ユーザは、電子デバイスを、その縁部または背面によって保持しなければならない可能性があり、それは、不自然であり、また、電子デバイスを落とすリスクを増す可能性がある。さらに、既存の手法は、より大きなコイルアンテナを用い、より大きなコイルアンテナは、電子デバイスがユーザの手に自然に保持されると、その軸が上および下に(すなわち、関連する電子デバイスの背面および前面の方に)を向くことを要求する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/242,295号
【特許文献2】米国仮特許出願第61/242,275号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ユーザ体験を高めることを可能にするために、アンテナが内部に配置されている電子デバイスについての必要性が存在する。より具体的には、電子デバイスが別のデバイスとNFCを介して通信することを可能にしながら、ユーザが、自然な位置に電子デバイスを保持することを可能にするように適切に配置されたアンテナを有する電子デバイスについての必要性が存在する。さらに、NFCのために適切に配置されるアンテナを有し、無線電力を受信し、無線電力を送信し、または両方を行うように構成された電子デバイスについての必要性が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】無線電力伝達システムの略ブロック図である。
【図2】無線電力伝達システムの略図である。
【図3A】本発明の例示的な実施形態で使用するための、ループアンテナの略図である。
【図3B】本発明の例示的な実施形態で使用される差動アンテナの代替の実施形態の図である。
【図4】本発明の例示的な実施形態による送信機の略ブロック図である。
【図5】本発明の例示的な実施形態による受信機の略ブロック図である。
【図6】送信機と受信機との間でメッセージングを実施する送信回路要素の一部分の略図である。
【図7】本発明の例示的な実施形態による、アンテナを含む電子デバイスのブロック図である。
【図8】本発明の例示的な実施形態による、別の電子デバイスに近接して配置されたアンテナを含む電子デバイスの図である。
【図9】本発明の例示的な実施形態による、アンテナを含む電子デバイスの別の図である。
【図10】本発明の例示的な実施形態による、別の電子デバイスに近接して配置されたアンテナを含む電子デバイスの別の図である。
【図11】本発明の例示的な実施形態による、アンテナを含む別の電子デバイスのブロック図である。
【図12】本発明の例示的な実施形態による、近距離電磁界通信ならびに無線電力送信および受信のために構成されたアンテナを含む電子デバイスの図である。
【図13】本発明の例示的な実施形態による、無線電力デバイスの無線充電領域内に配置された図12の電子デバイスの図である。
【図14】本発明の例示的な実施形態による方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面に関連して以下で述べる詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態の説明として意図され、本発明が実施されうる実施形態のみを示すことを意図されない。本説明全体を通して使用される用語「例示的な(exemplary)」は、「例、事例、または例証として役立つこと(serving as an example, instance, or illustration)」を意味し、他の例示的な実施形態に比べて好ましいまたは有利であるものとして必ずしも解釈されるべきでない。詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態の完全な理解を提供するために特定の詳細を含む。本発明の例示的な実施形態が、これらの特定の詳細なしで実施されてもよいことが当業者に明らかであろう。いくつかの事例では、よく知られている構造およびデバイスは、本明細書で提示される例示的な実施形態の新規性を曖昧にすることを回避するためにブロック図の形態で示される。
【0012】
単語「無線電力(wireless power)」は、電界、磁界、電磁界に関連する任意の形態のエネルギー、または物理電磁導体を使用することなく送信機から受信機に送信される任意の形態のエネルギーを意味するために本明細書で使用される。
【0013】
図1は、本発明の種々の例示的な実施形態による、無線送信または充電システム100を示す。入力電力102は、エネルギー伝達を行うための放射電磁界106を生成するために送信機104に提供される。受信機108は、放射電磁界106に結合し、出力電力110に結合されたデバイス(図示せず)が貯蔵するかまたは消費するための出力電力110を生成する。送信機104および受信機108は共に、距離112だけ分離される。1つの例示的な実施形態では、送信機104および受信機108は、相互共振関係に従って構成され、受信機108の共振周波数と送信機104の共振周波数が非常に近いときに、送信機104と受信機108との間の伝送損失は、受信機108が放射電磁界106の「近距離電磁界(near-field)」内に位置付けられると最小になる。
【0014】
送信機104はさらに、エネルギー送信用の手段を提供する送信アンテナ114を含み、受信機108はさらに、エネルギー受信用の手段を提供する受信アンテナ118を含む。送信アンテナおよび受信アンテナは、用途および用途に関連するデバイスに応じてサイズ決定される。述べたように、効率的なエネルギー伝達は、エネルギーのほとんどを電磁波で遠距離電磁界に伝搬させるのではなく、エネルギーの大部分を送信用アンテナの近距離電磁界内で受信用アンテナに結合させることによって起こる。この近距離電磁界にあるときに、結合モードが、送信アンテナ114と受信アンテナ118との間で生じる可能性がある。この近距離電磁界結合が起こる可能性があるアンテナ114および118の周りのエリアは、本明細書で結合モード領域と呼ばれる。
【0015】
図2は、無線電力伝達システムの略図を示す。送信機104は、発振器122、電力増幅器124、ならびにフィルタおよび整合回路126を含む。発振器は、調整信号123に応答して調整されうる所望の周波数で信号を生成するように構成される。発振器信号は、制御信号125に応答する増幅量で電力増幅器124によって増幅されうる。フィルタおよび整合回路126は、高調波または他の好ましくない周波数をフィルタリング除去し、送信機104のインピーダンスを送信アンテナ114に整合させるために含まれてもよい。
【0016】
受信機108は、図2に示すように電池136を充電するため、または受信機に結合されたデバイスに電力供給するために、整合回路132ならびにDC電力出力を生成する整流器およびスイッチング回路134を含んでもよい。整合回路132は、受信機108のインピーダンスを受信アンテナ118に整合させるために含まれてもよい。受信機108および送信機104は、別個の通信チャネル119(たとえば、ブルートゥース、ジグビー、セルラーなど)上で通信することができる。
【0017】
図3Aに示すように、例示的な実施形態で使用されるアンテナは、本明細書で「磁気アンテナ(magnetic antenna)」と呼ばれてもよい「ループ(loop)」アンテナ150として構成されうる。ループアンテナは、空心またはフェライトコアなどの物理コアを含むように構成されうる。空心ループアンテナは、コアの近くに設置された異質の物理デバイスに対して許容される可能性がある。さらに、空心ループアンテナは、コアエリア内への他のコンポーネントの設置を可能にする。さらに、空心ループアンテナは、送信アンテナ114(図2)の結合モード領域がより強力になる可能性がある送信アンテナ114(図2)の平面内への受信アンテナ118(図2)の設置をより容易に可能にすることができる。
【0018】
述べたように、送信機104と受信機108との間でのエネルギーの効率的な伝達は、送信機104と受信機108との間の整合した共振またはほぼ整合した共振中に起こる。しかし、送信機104と受信機108との間の共振が整合しなくても、エネルギーは、低い効率で伝達される可能性がある。エネルギーの伝達は、送信用アンテナからのエネルギーを自由空間に伝搬させるのではなく、送信用アンテナの近距離電磁界からのエネルギーを、この近距離電磁界が確立される近傍に存在する受信用アンテナに結合させることによって起こる。
【0019】
ループアンテナまたは磁気アンテナの共振周波数は、インダクタンスおよびキャパシタンスに基づく。ループアンテナのインダクタンスは、一般に、単にループによって生成されるインダクタンスであり、一方、キャパシタンスは、一般に、所望の共振周波数で共振構造を生成するためにループアンテナのインダクタンスに追加される。非制限的な例として、キャパシタ152およびキャパシタ154は、アンテナに付加されて、共振信号156を生成する共振回路を生成することができる。したがって、大きな径のループアンテナの場合、共振を誘発するために必要とされるキャパシタンスの大きさは、ループの径またはインダクタンスが増加するにつれて減少する。さらに、ループまたは磁気アンテナの径が増加するにつれて、近距離電磁界の効率的なエネルギー伝達エリアが増加する。もちろん、他の共振回路が可能である。別の非制限的な例として、キャパシタは、ループアンテナの2つの端子間で並列に設置されうる。さらに、送信アンテナの場合、共振信号156がループアンテナ150への入力であってよいことを当業者は認識するであろう。
【0020】
図3Bは、本発明の例示的な実施形態で使用される差動アンテナ250の代替の実施形態を示す。アンテナ250は、差動コイルアンテナとして構成されうる。差動アンテナ構成では、アンテナ250の中心はグラウンドに接続される。アンテナ250の各端部は、図3Aの場合のように一方の端部がグラウンドに接続されるのではなく、受信機/送信機ユニット(図示せず)になるように接続される。キャパシタ252、253、254は、アンテナ250に付加されて、差動共振信号を生成する共振回路を生成することができる。差動アンテナ構成は、通信が双方向であり、コイル内への送信が必要とされる状況で有用である可能性がある。1つのこうした状況は、近距離電磁界通信(NFC)システム用であってよい。
【0021】
本発明の例示的な実施形態は、互いの近距離電磁界内にある2つのアンテナ間で電力を結合することを含む。述べたように、近距離電磁界は、電磁界が存在するが、アンテナから遠くに伝搬または放射しない可能性があるアンテナの周りのエリアである。電磁界は、通常、アンテナの物理体積に近い体積に限定される。本発明の例示的な実施形態では、単巻きまたは多巻きループアンテナなどの磁気タイプアンテナは、送信(Tx)アンテナシステムと受信(Rx)の両方に使用される。その理由は、磁気的近距離電磁界振幅が、電気タイプアンテナ(たとえば、小さなダイポール)の電気的近距離電磁界と比較して磁気タイプアンテナの場合に高くなる傾向があるからである。これは、対間のおそらくは高い結合を可能にする。さらに、「電気的(electric)」アンテナ(たとえば、ダイポールおよびモノポール)または磁気アンテナと電気アンテナの組合せもまた想定される。
【0022】
Txアンテナは、先に述べた遠距離電磁界および誘導性手法によって許容されるよりもかなり長い距離で小さなRxアンテナに対する良好な結合(たとえば、>-4dB)を達成するのに十分に低い周波数および十分に大きなアンテナサイズで動作されうる。Txアンテナが正しくサイズ決定される場合、ホストデバイス上のRxアンテナが励振(driven)Txループアンテナの結合モード領域(すなわち、近距離電磁界)内に設置されると、高い結合レベル(たとえば、-2〜-4dB)が達成されうる。
【0023】
図4は、本発明の例示的な実施形態による送信機200の略ブロック図である。送信機200は、送信回路要素202および送信アンテナ204を含む。一般に、送信回路要素202は、送信アンテナ204の周りに近距離電磁界エネルギーの生成をもたらす発振信号を提供することによって送信アンテナ204にRF電力を提供する。例として、送信機200は、13.56MHz ISMバンドで動作してもよい。
【0024】
例示的な送信回路要素202は、送信回路要素202のインピーダンス(たとえば、50オーム)を送信アンテナ204に整合させる固定インピーダンス整合回路206および受信機108(図1)に結合したデバイスの自己妨害(self-jamming)を防止するレベルまで高調波放出を減少させるように構成されたローパスフィルタ(LPF)208を含む。他の例示的な実施形態は、限定はしないが、他の周波数を通過させながら特定の周波数を減衰させるノッチフィルタを含む異なるフィルタトポロジを含んでもよく、また、アンテナに対する出力電力または電力増幅器によるDC電流引込み(current draw)などの測定可能な送信メトリクスに基づいて変動しうる適応的インピーダンス整合を含んでもよい。送信回路要素202はさらに、発振器212によって決定されたRF信号を駆動するように構成された電力増幅器210を含む。送信回路要素は、ディスクリートデバイスまたは回路からなってもよく、または別法として、一体型アセンブリからなってもよい。送信アンテナ204からの例示的なRF電力出力は、2.5ワット程度である可能性がある。
【0025】
送信回路要素202はさらに、特定の受信機について送信フェーズ(またはデューティーサイクル)中に発振器212を使用可能にし、発振器の周波数を調整し、その取付けられた受信機を通して近傍のデバイスと相互作用するための通信プロトコルを実装するために出力電力レベルを調整するコントローラ214を含む。
【0026】
送信回路要素202はさらに、送信アンテナ204によって生成される近距離電磁界の近くでのアクティブ受信機の存在または不在を検出する負荷検知回路216を含むことができる。例として、負荷検知回路216は、送信アンテナ204によって生成される近距離電磁界の近くでのアクティブ受信機の存在または不在によって影響を受ける、電力増幅器210に流れる電流を監視する。電力増幅器210にかかる負荷の変化の検出は、アクティブ受信機と通信するためのエネルギーを送信するために発振器212を使用可能にするかどうかを判定するときに使用するためにコントローラ214によって監視される。
【0027】
送信アンテナ204は、抵抗損を低く保つために選択された厚さ、幅、および金属タイプを有するアンテナストリップとして実装されうる。従来の実装形態では、送信アンテナ204は、一般に、テーブル、マット、ランプ、または他の可搬性の低い構成などの大きな構造に関連するように構成されうる。したがって、送信アンテナ204は、一般に、実用的な寸法にするための「巻き(turns)」を必要としないことになる。送信アンテナ204の例示的な実装形態は、「電気的に小型(electrically small)」(すなわち、波長の数分の1)とし、共振周波数を規定するキャパシタを使用することによって、低い使用可能周波数で共振するように同調されうる。送信アンテナ204の径が、または、正方形ループの場合、辺の長さが、受信アンテナに対して大きい(たとえば、0.50メートル)可能性がある例示的な用途では、送信アンテナ204は、妥当な(reasonable)キャパシタンスを得るために多数の巻きを必ずしも必要でないことになる。
【0028】
送信機200は、送信機200に関連する可能性がある受信デバイスの所在および状態に関する情報を採取し追跡することができる。そのため、送信機回路要素202は、コントローラ214(本明細書でプロセッサとも呼ばれる)に接続された、存在検出器280、閉鎖検出器(enclosed detector)290、またはその組合せを含んでもよい。コントローラ214は、存在検出器280および閉鎖検出器290からの存在信号に応答して増幅器210によって送出される電力量を調整することができる。送信機は、たとえば、建物内に存在する従来のAC電力を変換するAC-DC変換器(図示せず)、従来のDC電力源を送信機200に適した電圧に変換するDC-DC変換器(図示せず)などのいくつかの電力源を通して、または、直接、従来のDC電力源(図示せず)から電力を受信してもよい。
【0029】
非制限的な例として、存在検出器280は、送信機のカバレージエリア内に挿入される、被充電デバイスの初期の存在を検知するために利用される動き検出器であってよい。検出後、送信機は、ターンオンされ、デバイスによって受信されるRF電力は、所定の方法でRxデバイス上のスイッチをトグルで切換えるために使用されてもよく、それは、次に、送信機の駆動点インピーダンスに対する変更をもたらす。
【0030】
別の非制限的な例として、存在検出器280は、たとえば赤外線検出、動き検出、または他の適した手段によって人を検出することが可能な検出器であってよい。いくつかの例示的な実施形態では、送信アンテナが特定の周波数で送信することができる電力量を制限する規制が存在する可能性がある。いくつかの場合、これらの規制は、電磁放射から人を保護することを意図される。しかし、人が占有しないエリア、または、たとえばガレージ、工場のフロア、店、および同様なものなどの人がまれに占有するエリアに送信アンテナが設置される環境が存在する可能性がある。これらの環境に人がいない場合、通常電力制限規制を超えて送信アンテナの電力出力を増加させることが許可される可能性がある。換言すれば、コントローラ214は、人の存在に応答して送信アンテナ204の電力出力を規制レベル以下に調整し、人が、送信アンテナ204の電磁界から規制距離の外にいるときに、送信アンテナ204の電力出力を、規制レベルを超えるレベルに調整されうる。
【0031】
非制限的な例として、(本明細書で閉鎖区画検出器または閉鎖空間検出器と呼ばれてもよい)閉鎖検出器290は、格納容器が閉鎖状態または開口状態にあるときを判定するセンススイッチなどのデバイスであってよい。送信機が、閉鎖状態にある格納容器内にある場合、送信機の電力レベルは増加されてもよい。
【0032】
例示的な実施形態では、送信機200が、無期限にオンのままにならない方法が使用されうる。この場合、送信機200は、ユーザが決定した期間後に停止する(shut off)ようにプログラムされうる。この機構(feature)は、その周囲の無線デバイスが完全に充電された後に、送信機200、特に電力増幅器210が長い間動作することを防止する。このイベントは、デバイスが完全に充電されているという、リピータまたは受信コイルから送出される信号を回路が検出することに失敗することによる可能性がある。別のデバイスがその周囲に設置される場合、送信機200が自動的にシャットダウンすることを防止するために、送信機200自動停止機構は、設定された動き欠如期間がその周囲において検出された後にだけ起動されうる。ユーザは、無活動時間間隔を決定し、所望に応じてそれを変更することができてもよい。非制限的な例として、時間間隔は、デバイスが最初に完全に放電されているという仮定の下で、特定のタイプの無線デバイスを完全に充電するために必要とされる時間間隔より長くてもよい。
【0033】
図5は、本発明の例示的な実施形態による受信機300の略ブロック図である。受信機300は、受信回路要素302および受信アンテナ304を含む。受信機300はさらに、受信電力をデバイス350に提供するためにデバイス350に結合される。受信機300は、デバイス350の外部にあるものとして示されるが、デバイス350に一体化されてもよいことが留意されるべきである。一般に、エネルギーは、受信アンテナ304に無線で伝搬され、その後、受信回路要素302を通してデバイス350に結合される。
【0034】
受信アンテナ304は、送信アンテナ204(図4)と同じ周波数またはほぼ同じ周波数で共振するように同調させられる。受信アンテナ304は、送信アンテナ204と同様に寸法決定されてもよく、または、関連するデバイス350の寸法に基づいて異なるようにサイズ決定されてもよい。例として、デバイス350は、送信アンテナ204の径または長さより小さい径寸法または長さ寸法を有する可搬型電子デバイスであってよい。こうした例では、受信アンテナ304は、同調用キャパシタ(図示せず)のキャパシタンス値を減少させ、受信アンテナのインピーダンスを増加させるために、多巻きアンテナとして実装されてもよい。例として、受信アンテナ304は、アンテナ径を最大にし、受信アンテナのループ巻き(すなわち、巻線)の数および巻線間キャパシタンスを減少させるために、デバイス350の実質的な外周の周りに設置されてもよい。
【0035】
受信回路要素302は、受信アンテナ304に対するインピーダンス整合を行う。受信回路要素302は、受信されたRFエネルギー源を、デバイス350が使用するための充電用電力に変換する電力変換回路要素306を含む。電力変換回路要素306は、RF-DC変換器308を含み、DC-DC変換器310を含んでもよい。RF-DC変換器308は、受信アンテナ304で受信されたRFエネルギー信号を非交流電力に整流し、一方、DC-DC変換器310は、整流されたRFエネルギー信号を、デバイス350に適合するエネルギーポテンシャル(たとえば、電圧)に変換する。部分および完全整流器、調整器、ブリッジ、ダブラー、ならびに線形およびスイッチング変換器を含む、種々のRF-DC変換器が想定される。
【0036】
受信回路要素302は、受信アンテナ304を電力変換回路要素306に接続するため、または別法として電力変換回路要素306を切断するためのスイッチング回路要素312をさらに含んでもよい。電力変換回路要素306から受信アンテナ304を切断することは、デバイス350の充電を中断するだけでなく、送信機200(図2)から「見た(seen)」「負荷(load)」を変化させる。
【0037】
先に開示したように、送信機200は、送信機電力増幅器210に提供されたバイアス電流の変動を検出する負荷検知回路216を含む。したがって、送信機200は、受信機が送信機の近距離電磁界内に存在するときを判定するメカニズムを有する。
【0038】
複数の受信機300が送信機の近距離電磁界内に存在するとき、他の受信機がより効率的に送信機に結合することができるように、1つまたは複数の受信機のローディングおよびアンローディングを時間多重化することが望ましい場合がある。受信機はまた、他の近くの受信機への結合を解消するため、または近くの送信機に対するローディングを低減するためにクローキングされうる。受信機のこの「アンローディング(unloading)」は、本明細書で「クローキング(cloaking)」とも知られている。さらに、受信機300によって制御され、送信機200によって検出されるアンローディングとローディングとの間のこのスイッチングは、以下でより完全に説明されるように受信機300から送信機200への通信メカニズムを与える。さらに、受信機300から送信機200へのメッセージの送信を可能にするプロトコルがスイッチングに関連付けられうる。例として、スイッチング速度は100μ秒の程度であってよい。
【0039】
例示的な実施形態では、送信機と受信機との間の通信は、従来の2方向通信ではなく、デバイス検知および充電制御メカニズムを指す。換言すれば、送信機は、近距離電磁界内でエネルギーが利用可能であるかどうかを調整するために、送信された信号のオン/オフキーイングを使用する。受信機は、これらのエネルギーの変化を送信機からのメッセージとして解釈する。受信機側から、受信機は、どれだけの電力が近距離電磁界内で許容されるかを調整するための受信アンテナの同調および脱同調(de-tuning)を使用する。送信機は、近距離電磁界から使用されるこの電力の差を検出し、これらの変化を受信機からのメッセージとして解釈する。
【0040】
受信回路要素302は、さらに、送信機から受信機への情報シグナリングに対応することができる、受信エネルギーの変動を識別するために使用される、シグナリング検出器およびビーコン回路要素314を含んでもよい。さらに、シグナリングおよびビーコン回路要素314はまた、低減されたRF信号エネルギー(すなわち、ビーコン信号)の送信を検出し、無線充電のために受信回路要素302を構成するために、低減されたRF信号エネルギーを整流して、受信回路要素302内の無電力供給回路または電力消耗回路のいずれかをアウェイクさせるための公称電力にするために使用されうる。
【0041】
受信回路要素302は、さらに、本明細書で説明するスイッチング回路要素312の制御を含む、本明細書で説明する受信機300のプロセスを調整するプロセッサ316を含む。受信機300のクローキングはまた、デバイス350に充電電力を供給する外部有線充電源(たとえば、壁/USB電力)の検出を含む他のイベントの発生時にも行われる場合がある。プロセッサ316は、受信機のクローキングを制御することに加えて、ビーコン状態を判定し、送信機から送信されたメッセージを抽出するためにビーコン回路要素314を監視することができる。プロセッサ316はまた、性能の改善ためにDC-DC変換器310を調整することができる。
【0042】
図6は、送信機と受信機との間のメッセージングを実施する送信回路要素の一部分の略図を示す。本発明のいくつかの例示的な実施形態では、送信機と受信機との間で通信手段が使用可能にされうる。図6では、電力増幅器210は、送信アンテナ204を励振して放射電磁界を生成させる。電力増幅器は、送信アンテナ204に対して所望の周波数で発振しているキャリア信号220によって駆動される。電力増幅器210の出力を制御するために送信変調信号224が使用される。
【0043】
送信回路要素は、電力増幅器210に対してオン/オフキーイングプロセスを使用することによって受信機に信号を送信することができる。換言すれば、送信変調信号224が有効にされると、電力増幅器210は、送信アンテナ204に対してキャリア信号220の周波数を励振する。送信変調信号224が無効にされると、電力増幅器は送信アンテナ204に対して周波数を励振しないことになる。
【0044】
図6の送信回路要素はまた、電力増幅器210に電力を供給し、受信信号235出力を生成する負荷感知回路216を含む。負荷検知回路216では、信号の電力226と電力増幅器210への電力供給228との間で、抵抗器Rsの両端の電圧降下が生じる。電力増幅器210によって消費される電力のいずれの変化も、差動増幅器230によって増幅される電圧降下の変化を引き起こすことになる。送信アンテナが受信機内の受信アンテナとの結合モードにあるとき(図6に図示せず)、電力増幅器210によって引出される電流量は変化することになる。換言すれば、送信アンテナ204について結合モード共振が存在しない場合、放射電磁界を駆動するために必要とされる電力が最初の量であることになる。結合モード共振が存在する場合、電力の大部分が受信アンテナに結合されているので、電力増幅器210によって消費される電力量は上昇することになる。したがって、受信信号235は、送信アンテナ235に結合された受信アンテナの存在を示すことができ、受信アンテナから送信された信号を検出することもできる。さらに、受信機消費電流(receiver current draw)の変化は、送信機の電力増幅器消費電流において観測可能であり、この変化を使用して、受信アンテナからの信号を検出することができる。
【0045】
先に述べたように、電子デバイスは、近距離電磁界通信(NFC)のために構成されてもよく、また、一例によれば、電子デバイスは、NFC手段によって、支払いを行う、障壁を通してアクセスを行う、または両方を行ってもよい。当業者によって理解されるように、電子デバイス間のNFCは、デバイスが、互いの短い距離(たとえば、1〜2cm)内に配置されることを必要とする場合がある。したがって、NFCを実施するために、「タッチオペレーション(touch operation)」または「タッピングオペレーション(tapping operation)」が必要とされる場合がある(すなわち、電子デバイスは、互いに接触するか、または、共にタッピングされる)。
【0046】
本発明の例示的な実施形態は、たとえばNFCによって少なくとも1つの他のデバイス(たとえば、電子読取り器)と通信するために配置され構成される少なくとも1つのアンテナを有する電子デバイスに関連する。より具体的には、種々の例示的な実施形態は、少なくとも1つのアンテナであって、関連するユーザが電子デバイスを適切に配置することを可能にするために電子デバイス内に配置される、少なくとも1つのアンテナ、より具体的には、自然な方法で、安全な方法で、かつ/または容易な方法で別のデバイスと通信するための、別のデバイスに近接する少なくとも1つのアンテナを有する電子デバイスに関する。少なくとも1つのアンテナは、手持ち式デバイスにおけるNFC支払いなどのタッチオペレーションをサポートする人間工学的ニーズに好適である場合がある。本発明の他の例示的な実施形態は、NFCオペレーション(たとえば、タッチオペレーション)および無線充電のために構成されたアンテナに関する。
【0047】
図7は、少なくとも1つのアンテナ702を含む電子デバイス700のブロック図を示す。電子デバイス700は、移動体電話などの任意の知られている電子デバイスを含むことができる。本発明の1つの例示的な実施形態によれば、アンテナ702は、1つまたは複数の巻線を有するコイルを備えることができる。さらに、アンテナ702は、螺旋形状、渦巻き形状、または任意の知られており適した他の形状を含んでもよい。さらに、近距離電磁界通信(NFC)のために構成されるアンテナ702は、電子デバイス700の短平面720に近接して配置されうる。さらに、電子デバイス700は、電子デバイス700の別の短平面721に近接して配置される別のアンテナ703を含むことができる。アンテナ702およびアンテナ703はそれぞれ、本明細書で「収束エリアコイル(focused area coil)」と呼ばれてもよいことが留意される。
【0048】
図8を参照して、電子デバイス700の別の図が提供される。図8に示すように、電子デバイス700は、第1の短平面720、および、第1の短平面720に対向しかつ実質的に平行である第2の短平面721を含むことができる。さらに、電子デバイス700は、第1の長平面(major plane surface)723、および、第1の長平面723に対向しかつ実質的に平行である第2の長平面725を含む。電子デバイス700はまた、たとえばディスプレイを備えることができる出力デバイス722を含んでもよい。電子デバイス700は、さらに、たとえばキーボードを備えることができる入力デバイス724を含んでもよい。
【0049】
さらに、アンテナ702は、電子デバイス700の短平面(すなわち、表面720)に近接して配置されているものとして示される。アンテナ(すなわち、アンテナ702)は、短平面720に近接して配置されているものとして示されるが、アンテナは、または別法として、短平面721に近接して配置されてもよいことが留意される。1つの例示的な実施形態によれば、短平面720および短平面721はそれぞれ、短平面に近接して配置されたアンテナを有することができる。アンテナ702は出力デバイス722内に示されるように見えるが、アンテナ702は、出力デバイス722を通して見えるのではなく、むしろ、アンテナ702は、短平面720に対するアンテナ702の位置を示すために、図8に示されることがさらに留意される。例示的な実施形態では、アンテナ702は、短平面720から外に延在する軸709を中心とするコイルを含むことができる。十分な数の巻線の巻きが与えられると、アンテナ702は、移動体電話などの手持ち式デバイス内に配置されるのに十分に小さくなりながら、NFCに適することができることが留意される。
【0050】
構成されると、アンテナ702は、短平面720の近くで局在化した磁界を生成することができる。したがって、従来技術の構成と比較して、アンテナ702から生成される磁界は、短平面720の近くで強められる可能性がある。換言すると、電子デバイス内により広く分布され、したがって、より広く分散する磁界を生成する可能性があるアンテナと対照的に、アンテナ702は、短平面720の周りに収束され局在化する磁界を提供する可能性がある。収束電磁界は非光学的に収束される電磁界を含むことができることが留意される。
【0051】
図9は、たとえば電子読取り器を備えることができるデバイス710に近接して配置された電子デバイス700を示す。単に例として、アンテナ712を備えることができるデバイス710は、販売時点情報管理端末、(たとえば、大量輸送システムに入る)パスゲート、スマートポスター、またはその組合せを含むことができる。図10は、電子デバイス700、より具体的にはデバイス710に近接して配置されているアンテナ702の別の図である。図10は、電子デバイス700のアンテナ702が、従来の方法で保持されながら、デバイス710の近くにどのように容易に配置されうるかを示す。換言すれば、アンテナ702が短平面(たとえば、短平面720)に近接して配置されるため、背面713および少なくとも1つの長平面にまたがって電子デバイス700を保持することができるデバイスユーザは、短平面であって、短平面に近接してアンテナを有する、短平面を、デバイス710に隣接してまたおそらくはデバイス710に接触して容易に配置することができる。したがって、「タッチ」または「タッピング」オペレーションは、短平面の近くに収束される電磁界を生成するように構成されないアンテナを有する電子デバイスと比較して、より容易に実施される可能性がある。
【0052】
したがって、別のデバイス(たとえば、NFC読取り器)に隣接して電子デバイスの背面または前面をユーザがぎこちなく配置することを要求する可能性がある従来技術の構成と対照的に、本明細書で述べる例示的な実施形態は、従来の自然な方法で電子デバイス700を保持しながら、1つまたは複数のオペレーション(たとえば、販売時点情報管理端末での支払い、大量輸送システム入るパスゲートを開くための検証、または、スマートポスターに埋め込まれたタグの読取り)をユーザが実施することを可能にすることができる。換言すると、デバイスユーザは、販売時点情報管理端末での支払い、パスゲートでの検証の提供、スマートポスターに埋め込まれたタグの読取り、および多くの他のものなどの、1つまたは複数のオペレーションを実施しながら、従来の方法で電子デバイス700を保持することができる。アンテナ702、おそらくはアンテナ703の位置は、デバイスユーザに知られていてもよいことが留意される。
【0053】
別の例示的な実施形態によれば、アンテナ702は、アンテナ702の性能を高める可能性がある、適した磁気材料を含んでもよい、または、適した磁気材料に隣接してもよい。アンテナ702、アンテナ702に隣接するコンポーネント(たとえば、締結具)、または両方が、適した磁気材料を含む例示的な実施形態では、関連する電子デバイスのコストおよび/または重量が増加しない可能性があることが留意される。
【0054】
図11は、本発明の例示的な実施形態による別の電子デバイス800のブロック図を示す。電子デバイス800は、移動体電話などの任意の知られている電子デバイスを含むことができる。本発明の1つの例示的な実施形態によれば、電子デバイス800は、第1の短平面820に近接して配置された1つまたは複数の要素802を含むアンテナ801を含むことができる。さらに、アンテナ801は、第1の短平面820から、第1の短平面820に対向する第2の短平面821に向かって延在するループを含む第2の要素804を含むことができる。さらに、アンテナ801は、第2の短平面821に近接して配置された1つまたは複数の要素802を含む。
【0055】
図12は、ディスプレイを備えることができる出力デバイス822およびキーボードを備えることができる入力デバイス824を有する電子デバイス800の別の図である。さらに、本発明の例示的な実施形態によれば、電子デバイス800は、上述したように1つまたは複数の要素802および別の要素804を備えることができるアンテナ801を含む。各要素802は、1または複数の巻線を有するコイルを備えることができる。図12に示すように、各要素802は、全ての他の要素802から離間することができる。各要素802は、本明細書で「収束エリアコイル」と呼ばれてもよいことが留意される。要素802の数は、空間、コスト、および性能要件に合うように選択されてもよいことが留意される。さらに、要素804は、要素802に関連するコイルより大きい可能性がある1つまたは複数のコイルを備えることができる。要素804は、本明細書で「ワイドエリアコイル(wide area coil)」と呼ばれてもよい。図12に示すように、1つの例示的な実施形態によれば、要素804は、出力デバイス822に近接しかつ出力デバイス822の周りに配置されるコイルを備えることができる。電子デバイス800はまた、アンテナ802に結合し、アンテナ802から無線電力、データ、または両方を受信するために構成された送受信機807を備えることができる。
【0056】
複数のアンテナを含むことができる従来技術の構成と対照的に、1つまたは複数の要素802および要素804は、単一の多目的アンテナを形成することができることが留意される。より具体的には、電子デバイス800の短平面に近接して配置される1つまたは複数の要素802は、図7〜10を参照して上述したアンテナ702と同様の1つまたは複数のオペレーション(たとえば、販売時点情報管理端末での支払い、大量輸送システムに入るパスゲートを開くための検証の提供、または、スマートポスターに埋め込まれたタグの読取り)に適する可能性がある。さらに、要素804は、無線電力を受信するように構成されうる。
【0057】
1つまたは複数の要素802がNFCに適し、要素804が無線電力を受信するのに適しうるが、本発明の実施形態はそのように制限されない。むしろ、要素802は無線電力のために利用されてもよく、要素804は通信のために利用されてもよい。単に例として、要素804は、ロンドン地下鉄の「オイスターカード」端末などの水平読取り器との通信に適しうる。
【0058】
NFC読取り器に隣接して電子デバイスの背面または前面をユーザがぎこちなく配置することを要求する可能性がある従来技術の構成と対照的に、本明細書で述べる例示的な実施形態は、従来の自然な方法で電子デバイス800を保持しながら、1つまたは複数のNFCオペレーション(たとえば、支払いを行うこと、検証を提供すること、または、タグを読取ること)をユーザが実施することを可能にすることができる。換言すると、デバイスユーザは、販売時点情報管理端末での支払い、パスゲートでの検証の提供、スマートポスターに埋め込まれたタグの読取り、および多くの他のものなどの、1つまたは複数のオペレーションを実施しながら、従来の方法で電子デバイス800を保持することができる。要素802の位置は、デバイスユーザに知られていてもよいことが留意される。
【0059】
図13は、少なくとも1つの送信アンテナ(たとえば、図4の送信アンテナ204)を有する少なくとも1つの送信機(図12には示さず、たとえば、図4の送信機200を参照)を備えることができる無線電力デバイス850に近接して配置された電子デバイス800を示す。当業者によって理解されるように、無線電力デバイス850は、関連する充電領域内に配置された電子デバイス(たとえば、電子デバイス800)に電力を無線で伝達するように構成されうる。1つの例示的な実施形態によれば、少なくともアンテナ802の要素804は、無線電力デバイス850から電力を無線で受信できる。
【0060】
図14は、1つまたは複数の例示的な実施形態による方法980を示すフローチャートである。方法980は、短平面に近接して配置された少なくとも1つの第1の要素を有するアンテナを用いてデバイスの短平面の周りに収束される電磁界を生成すること(数字982で示す)を含むことができる。方法980は、さらに、短平面の周りに収束される電磁界を通じて通信すること(数字984で示す)を含むことができる。
【0061】
情報および信号が、種々の異なる技術および技法のうちの任意のものを使用して表されてもよいことを当業者は理解するであろう。たとえば、先の説明全体を通して言及されるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップは、電圧、電流、電磁波、磁界または磁気粒子、光学場または光学粒子、あるいはその任意の組合せによって表されてもよい。
【0062】
本明細書で開示される実施形態に関連して述べられる、種々の例証的なロジカルブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組合せとして実装されてもよいことを当業者は理解するであろう。ハードウェアおよびソフトウェアのこの相互交換可能性を明確に示すために、種々の例証的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、およびステップは、一般にその機能に関して上述された。こうした機能がハードウェアとして実装されるかまたはソフトウェアとして実装されるかは、特定のアプリケーションおよびシステム全体に課される設計制約に依存する。当業者は、それぞれの特定のアプリケーションについて種々の方法で、述べる機能を実装してもよいが、こうした実装の決定は、本発明の範囲からの逸脱をもたらすものと解釈されるべきでない。
【0063】
本明細書で開示した実施形態に関連して述べられる種々の例証的なロジカルブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、あるいは、本明細書で述べる機能を実施するように設計されたその任意の組合せによって実装または実施されてもよい。汎用プロセッサは、マイクロコントローラであってよいが、代替法では、プロセッサは、任意の従来のプロセス、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であってよい。プロセッサはまた、コンピューティグデバイスの組合せ、たとえば、DSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、あるいは任意の他のこうした構成として実装されてもよい。
【0064】
本明細書で開示される実施形態に関連して述べられる方法またはアルゴリズムのステップは、直接ハードウェアで、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで、または両者の組合せで具現化されてもよい。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読取り専用メモリ(ROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM (EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または、当技術分野で知られている任意の他の形態の記憶媒体に存在してもよい。例示的な記憶媒体は、プロセッサが、記憶媒体から情報を読出し、記憶媒体に情報を書込むことができるようにプロセッサに結合される。代替法では、記憶媒体は、プロセッサと一体であってよい。プロセッサおよび記憶媒体は、ASIC内に存在してもよい。ASICは、ユーザ端末内に存在してもよい。代替法では、プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザ端末内でディスクリートコンポーネントとして存在してもよい。
【0065】
1つまたは複数の例示的な実施形態では、述べた機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはその任意の組合せで実装されてもよい。ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体に1つまたは複数の命令またはコードとして格納されるか、または送信されてもよい。コンピュータ可読媒体は、1つの場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む、コンピュータ記憶媒体と通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされうる任意の利用可能な媒体であってよい。制限するのではなく例として、こうしたコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMまたは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶デバイス、あるいは、所望のプログラムコードを、命令またはデータ構造の形態で搬送するかまたは格納するために使用でき、かつ、コンピュータによってアクセスされうる任意の他の媒体を含みうる。同様に、どの接続も、当然、コンピュータ可読取媒体と呼ばれる。たとえば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または、赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他の遠隔ソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または、赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術は、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用されるディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(disc) (CD)、レーザディスク(disc)、光ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(disc) (DVD)、フロッピディスク(disk)、およびブルーレイディスク(disc)を含み、ディスク(disk)は、通常、データを磁気的に再生し、一方、ディスク(disc)は、レーザによってデータを光学的に再生する。上記の組合せもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0066】
開示した例示的な実施形態の先の説明は、当業者が本発明を実施または使用することを可能にするために提供される。これらの例示的な実施形態に対する種々の修正が、当業者に容易に明らかになり、本明細書で定義される一般的な原理が、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく他の実施形態に適用されてもよい。したがって、本発明は、本明細書で示す例示的な実施形態に限定されることを意図されるのではなく、本明細書で開示される原理および新規の特徴に整合する最も広い範囲を与えられるべきである。
【符号の説明】
【0067】
104 送信機
108 受信機
114 Txアンテナ
118 Rxアンテナ
122 発振器
124 電力増幅器
126 フィルタおよび整合回路
132 整合回路
134 整流器およびスイッチング回路
150、250 アンテナ
200 送信機
202 送信回路要素
204 Txアンテナ
216 負荷検知回路
206 整合回路
208 フィルタ
210 電力増幅器
212 発振器
214 コントローラ
230 差動増幅器
260 閉鎖検出器
270 メモリ
280 存在検出器
300 受信機
302 受信回路要素
304 Rxアンテナ
306 電力変換回路要素
308 RF-DC変換器
310 DC-DC変換器
312 Rx整合-スイッチ
314 ビーコン検出器
316 プロセッサ-シグナリングコントローラ
350 充電デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
短平面と、
前記短平面に近接して配置され、前記短平面の周りに収束される電磁界(field)を生成するために構成されたアンテナとを備えるデバイス。
【請求項2】
前記アンテナは、螺旋形状および渦巻き形状の一方を備える請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記アンテナは、1つまたは複数の巻線を有するコイルアンテナを備える請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記コイルは、前記短平面から外に延在する軸を中心とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記アンテナは、近距離電磁界通信のために構成される請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記短平面に対向する、別の短平面に近接して配置され、前記別の短平面の周りに収束される別の電磁界を生成するために構成された別のアンテナをさらに備える請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記アンテナは、前記短平面に隣接して配置された別のデバイスに信号を送信すること、および、前記別のデバイスから信号を受信することの少なくとも一方を行うように構成される請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記アンテナの位置は、デバイスユーザに知られている請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
デバイスであって、
少なくとも1つのアンテナを備え、前記少なくとも1つのアンテナは、
デバイスの短平面の周りに収束される電磁界を生成するための少なくとも1つの第1の要素と、
前記短平面から、前記短平面に対向する、デバイスの別の短平面に向かって延在するループを含む第2の要素とを備えるデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの第1の要素は、前記短平面に近接して配置された少なくとも1つのコイルを備える請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つのコイルは、1つまたは複数の巻線を備える請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの第1の要素は、螺旋形状および渦巻き形状の一方を備える請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第1の要素は、前記短平面に近接して配置された複数のコイルを備える請求項9に記載のデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第1の要素は、前記短平面に近接して配置された複数のコイルを備え、各コイルは、前記短平面の周りに収束される電磁界を生成するために構成される請求項9に記載のデバイス。
【請求項15】
前記複数のコイルの各コイルは、前記複数のコイルの全ての他のコイルから離間する請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記アンテナは、デバイスの別の短平面の周りに収束される別の電磁界を生成するための第3の要素をさらに備える請求項9に記載のデバイス。
【請求項17】
方法であって、
デバイスの短平面の周りに収束される電磁界を、前記短平面に近接して配置された少なくとも1つの第1の要素を有するアンテナによって生成するステップと、
前記短平面の周りに収束される前記電磁界を通じて通信するステップとを含む方法。
【請求項18】
通信するステップは、別のデバイスの表面に隣接して前記短平面を配置することによって前記別のデバイスと通信するステップを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
別のデバイスと通信するステップは、支払いオペレーションを実施すること、検証オペレーションを実施すること、および読取りオペレーションを実施することの少なくとも1つを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
無線電力デバイスから前記アンテナの別の要素によって無線電力を受信するステップをさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
デバイスであって、
デバイスの短平面の周りに収束される電磁界を、前記短平面に近接して配置された少なくとも1つの第1の要素を有するアンテナによって生成する手段と、
前記短平面の周りに収束される前記電磁界を通じて通信する手段とを含むデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2013−504949(P2013−504949A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528997(P2012−528997)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/048816
【国際公開番号】WO2011/032170
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(507364838)クアルコム,インコーポレイテッド (446)
【Fターム(参考)】