収穫機
【課題】稈長が長く背の高さの高い植物の収穫をスムーズに行おうとするものである。
【解決手段】機体１ａの下部に設ける走行装置３と、機体１ａの前部に設けてひまわり等の植物を刈り取り後方へ移送する刈取装置４と、該刈取装置４の後側に設けて種子を脱粒させる脱粒装置５とを備える収穫機において、前記刈取装置４には、植立状態の植物を切断する第一切断装置８と、該第一切断装置８によって切断した植物を所定位置へ移送する横移送装置９と、該横移送装置９によって移送された植物を引き継いで脱穀装置５へ供給する搬送装置１０とを設け、前記横移送装置９の前側に幅狭に形成した複数の移送装置１１を左右方向に互いに間隔をおいて配置すると共に、横移送装置９の後側に第二切断装置２１を設けたことを特徴とする収穫機の構成とする。
【解決手段】機体１ａの下部に設ける走行装置３と、機体１ａの前部に設けてひまわり等の植物を刈り取り後方へ移送する刈取装置４と、該刈取装置４の後側に設けて種子を脱粒させる脱粒装置５とを備える収穫機において、前記刈取装置４には、植立状態の植物を切断する第一切断装置８と、該第一切断装置８によって切断した植物を所定位置へ移送する横移送装置９と、該横移送装置９によって移送された植物を引き継いで脱穀装置５へ供給する搬送装置１０とを設け、前記横移送装置９の前側に幅狭に形成した複数の移送装置１１を左右方向に互いに間隔をおいて配置すると共に、横移送装置９の後側に第二切断装置２１を設けたことを特徴とする収穫機の構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、ひまわり等の植物を刈り取る収穫機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、油糧作物を原料として、バイオディーゼル燃料の精製やパルプの製造を行なう、いわゆるバイオマス利用技術が注目されている。
このバイオマスの資源作物として、種子等が利用されるひまわり等の植物は、茎部が長く背丈が高い。
【０００３】
このような植物を収穫する収穫機として、特許文献１に示すように、機体の前部に、植物の花托部のみを刈り取りながら取り込む刈取装置を設け、その後方に茎部を刈り払う第二刈刃装置を設けた構成のものがある。この構成により、刈り取られた花托部は、脱粒装置内へ供給されて種子が脱粒される。また、残った茎部は、第二刈刃装置によって短く切断されて圃場へ放置される。
【特許文献１】特開平９−１５４３６９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、例えば上記特許文献１には、ひまわりの花托部だけを刈り取るための刈取装置の具体構成が開示されていない。即ち、従来では、例えばこのひまわりの花托部を刈り取るための技術が確立されておらず、倒伏したひまわりを刈取装置内に円滑に取り込むことができなかったり、刈取装置内へ掻き込む際に、花托部ごと種子を圃場へ脱落させて収穫損失が発生する問題があった。
【０００５】
また、花托部を刈り取った後の茎部を収穫機の走行装置で踏みつけて損傷させてしまうと、この茎部のパルプの原料等としての利用価値が低下してしまう問題がある。
この発明により、これらの問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上述のような課題を解決するために、この発明は、次のような技術手段を講じる。
即ち、請求項１に記載の発明においては、機体（１ａ）の下部に設ける走行装置（３）と、機体（１ａ）の前部に設けてひまわり等の植物を刈り取り後方へ移送する刈取装置（４）と、該刈取装置（４）の後側に設けて種子を脱粒させる脱粒装置（５）とを備える収穫機において、前記刈取装置（４）には、植立状態の植物を切断する第一切断装置（８）と、該第一切断装置（８）によって切断した植物を所定位置へ移送する横移送装置（９）と、該横移送装置（９）によって移送された植物を引き継いで脱穀装置（５）へ供給する搬送装置（１０）とを設け、前記横移送装置（９）の前側に幅狭に形成した複数の移送装置（１１）を左右方向に互いに間隔をおいて配置すると共に、横移送装置（９）の後側に第二切断装置（２１）を設けたことを特徴とする収穫機としたものである。
【０００７】
例えばこの収穫機によるひまわりの収穫作業においては、この収穫機の機体（１ａ）の下部に設けた走行装置３を前進駆動し、前部に設けた刈取装置４を高刈り収穫作業位置（通常、稲麦の刈取作業高さよりも高い位置）に高さ調節して収穫作業を開始する。
【０００８】
すると、刈取装置４における横移送装置９の前側に設けた幅狭の複数の移送装置１１の間に植立状態のひまわりの茎部が導入され、この移送装置１１の上側に花托部が載るようにして後方へ移送され、第一切断装置８によって花托部よりも下側の茎部が切断される。そして、この花托部は、横移送装置９へ引き継がれ、この横移送装置９によって刈取装置４の所定位置へ向けて移送され、搬送装置１０に引き継がれて脱粒装置５へ供給される。脱粒装置５内で脱粒された種子を、貯留タンクへ投入して一時貯留できるように構成してもよい。
【０００９】
また、花托部が切断されて圃場に植立状態で残った茎部は、前記横移送装置９の後側に設けた第二切断装置２１によって根元部から切断される。
請求項２に記載の発明においては、前記走行装置（３）の左右両側へ設けた左右の走行クローラ（３ａ，３ａ）間の間隔部の前側に前記第二切断装置（２１）を設けたことを特徴とする請求項１に記載の収穫機としたものである。
【００１０】
花托部が切断されて圃場に残った茎部は、走行装置３の左右両側に設けた左右の走行クローラ３ａ，３ａ間の間隔部の前側に設けた第二切断装置２１によって根元部から切断される。
【発明の効果】
【００１１】
請求項１記載の発明によると、横移送装置９の前側に幅狭に形成した複数の移送装置１１を左右方向に所定の間隔をおいて設け、横移送装置９の後側に第二切断装置２１を設けたことにより、これら複数の移送装置１１の間に、例えばひまわり等の植物の茎部が導入されれば、その花托部を移送装置１１の上側に載るようにして移送してこの茎部を第一切断装置８によって切断できるため、花托部の脱落を少なくして種子の収穫を能率良く行なうことができる。
【００１２】
また、花托部が切断された後の茎部の上部を、前記移送装置１１間に支持したまま、第二切断装置２１によって根元部から切断することができ、この第二切断装置２１による茎部の切断作業を精度良く行なうことができる。
【００１３】
請求項２記載の発明によると、上記請求項１記載の発明の効果に加え、ひまわり等の植物を収穫する際に、左右の走行クローラ３ａ，３ａ間の間隔部へ茎部を導入できるように操縦して収穫作業を行なえば、花托部の刈取後に残った茎部を適切に切断することができる。また、この切断した茎部を左右の走行クローラ３ａ，３ａで踏んで損傷させることが少なくなり、この茎部を回収して、例えばパルプの原料とするなど、バイオマス原料として有効利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
以下、この発明における収穫機の一実施例として、ひまわり収穫用のコンバインを例示して説明する。
図１〜図４に示すように、このコンバイン１の機体１ａは、走行車台２の前側にひまわりを刈り取って後方へ移送する刈取装置４を設けている。また、走行車台２の上側で刈取装置４の後側にひまわりの花托等から種子を脱粒させる脱装置（脱粒装置）５を搭載し、この脱穀装置５の右横側に脱粒されたひまわりの種子を受けて貯留する貯留タンク５ａを搭載している。そして、刈取装置４には、前部より、立毛状態のひまわりを分離する左右両外側の分草体６と、刈取装置４の略全巾に亘ってひまわりを掻込するリール装置７と、ひまわりの花托部を茎部と共に、後方上部へ移送する複数のチェン駆動式の移送装置１１と、花托部の下側の茎部を切断する切断装置８と、茎部から切断された花托部を引き継いで横移送する横移送装置（掻込オーガ）９と、この横移送装置９から花托部を引き継いで脱穀装置５へ供給する搬送コンベア装置（搬送装置）１０等よりなる構成である。
【００１５】
前記走行車台２の下側には、土壌面を走行する左右一対の走行クローラ３ａを張設した走行装置３を配設している。
また、前記刈取装置４全体は、油圧式の伸縮シリンダ１３により、走行車台２に対して昇降調節自在に構成する。これにより、ひまわりを収穫する場合には、刈取装置４全体を、稲麦の刈取作業時よりも高い高刈位置へ操作して、収穫作業を行なうものである。
【００１６】
前記貯留タンク５ａの前側には、図１及び図４に示すように、コンバイン１のエンジン１６の始動及び停止、走行変速、刈取装置４の昇降調節、刈取装置４及び脱穀装置５の駆動開始及び駆動停止、貯留タンク５ａからの種子の排出開始及び排出停止等の操作を行う操作装置１４と、操縦席１５とを設け、又、この操縦席１５の下側にエンジン１６を搭載している。
【００１７】
前記走行車台２の前端部に取り付けた走行用のミッションケース１７内の伝動機構１７ａの伝動経路中には、その伝動軸又は伝動ギヤの回転数の検出に基づいて、走行車速を検出することのできるフォトカプラ式又は電磁ピックアップ式の車速センサ１７ｂを設けている。
【００１８】
前記貯留タンク５ａ内に貯留したひまわりの種子を機外へ排出する構成として、この貯留タンク５ａの後側には、図１及び図４に示すように、縦移送螺旋１８ａを内装した縦支持筒１８を略垂直姿勢で旋回自在に装着している。又、この縦支持筒１８の上端部には、その全長がコンバイン１の前後長に亘り排出螺旋１９ａを伸縮自在に内装軸支した排出オーガ１９を伸縮自在、上下回動自在、及び左右旋回自在に設けている。
【００１９】
しかして、前記刈取装置４は、図１及び図４に示すように、前方の植物群から刈取対象の植物を掻込み分離する側面視六角形状のリール装置７と、チェン駆動式の移送装置１１と、第一切断装置８と、横移送装置９と、搬送コンベア装置１０とから構成する。
【００２０】
前記リール装置７は、左右両側の支持杆２０に設けた支持軸２０ａへ回転自在に軸支し、六箇所の隅部に左右方向にスラットバーを設け、このスラットバーに所定間隔で複数のリールタイン７ａを取り付け、平行リンク機構（図示省略）により、リール装置７が回転してもこのリールターン７ａは略一定の下向き姿勢を保ったまま周回移動するように構成し、この各リールタイン７ａでひまわりを引起し、刈取対象のひまわりを分離して掻込む。このリール装置７は、上下伸縮シリンダ（図示せず）の作動により、刈取装置４に対して独立して昇降させることができる。
【００２１】
また、前記第一切断装置８はバリカン式の刈刃を左右方向に摺動駆動する構成のもので、上下の刈刃を対称形状に形成して上側の刈刃のみを左右摺動させるもの、又は、上下の刈刃を互いに逆方向に摺動させるものである。又、左右方向に所定間隔をおいてフィンガを配置し、このフィンガ内に刈刃を左右移動するように設けたものでもよい。
【００２２】
また、前記横移送装置９は、刈取装置４の左右幅に相当する長さのオーガ（外周に螺旋を備えた回転胴）を、左右方向の軸芯周りに駆動回転するように設けて構成する。該オーガにおける前記搬送コンベア装置１０始端部との対応位置には、該オーガによって左右一側へ移送されてきた花托部を搬送コンベア装置１０の始端部へ引き継がせるクランクフィンガＫを設ける。
【００２３】
また、前記搬送コンベア装置（搬送装置）１０は、前端部の回転軸に設けた左右の従動スプロケット１０Ａと後端部の回転軸に設けた左右の駆動スプロケット１０Ｂとにわたって無端チェンを巻き掛け、該左右の無端チェン間に多数の係止片１０Ｃを所定間隔ごとに取り付けて構成する。
【００２４】
しかして、前記チェン駆動式の移送装置１１は、図１〜図４に示すように、刈取装置４における左右両側の側板間の中央部よりも左寄りの位置に、互いに左右方向に所定間隔（ひまわりの茎部が通過可能であるが、花托部は通過不能な間隔。４０ｍｍ程度の間隔が好ましい。）をおいて６基ないし５基設けると共に、側面視で分草体６の前側下部から横移送装置９の前部上方位置の間に設けている。この移送装置１１は６基共に同様の構成であり、支持フレーム１１ｚの前端部に、左右方向姿勢とした前下軸１２ａを螺子式のチェン緊張調節機構１２ｚを介して支持して設け、この前下軸１２ａに前下スプロケット１２ｄをベアリングを介して回転自在に軸支している。又、横移送装置９の前方上方位置に、左右方向姿勢とした前上軸１２ｂを設け、この前上軸１２ｂに前上スプロケット１２ｅを軸支する。更に、この前上軸１２ｂよりも所定距離後側で横移送装置９の前側上方位置に、刈取装置４の略全巾に亘る後上軸１２ｃを左右方向姿勢にして軸受して設け、この後上軸１２ｃにおける前記６基の移送装置１１との対応位置に、６個の後上スプロケット１２ｆを取り付ける。尚、前記前上スプロケット１２ｅと後上スプロケット１２ｆとは前後方向に所定の間隔を設けて配置し、前記前下スプロケット１２ｄの前下軸１２ａと前上スプロケット１２ｅの前上軸１２ｂと後上スプロケット１２ｆの後上軸１２ｃとを結ぶ仮想線が、側面視で不等辺三角形状を形成する。そして、これら前下・前上・後上スプロケット１２ｄ、１２ｅ、１２ｆには、無端状のチェン１１ａを掛け回す。入力プーリを軸支した入力軸から伝動ギャーケース（共に図示せず）を介して、後上軸１２ｃが回転駆動されて、移送装置１１のチェン１１ａが回転駆動される構成とする。
【００２５】
また、上記６基の移送装置１１は、後述する第一切断装置８よりも後側の位置において、左右方向に長尺の角パイプ状の連結フレーム１２ｙによって一体的に連結し、前記後上軸１２ｃを中心にして、この５基の移送装置１１の全てを一体的に上下回動調節して姿勢変更できるように構成する。尚、この６基の移送装置１１を夫々独立して上下回動調節して姿勢変更できるように構成してもよい。
【００２６】
図５及び図６で示すように、前記移送装置１１におけるチェン１１ａを構成する左右の多数のチェンプレート１１ｂのうち、所定間隔をおいて配置されるチェンプレート１１ｂごとにその一部を上方へ突出させて形成する。そして、Ｌ字形状の移送プレート（移送片）１１ｊの底面側に左右の取付板１１ｍを固着し、この左右の取付板１１ｍを、ピン等により前記左右両側のチェンプレート１１ｂの突出部に軸着する。これにより、図６で示すように、この取付用の軸着部が移送プレート１１ｊの回動中心（イ）となる。このＬ字形状の移送プレート１１ｊの下側の水平部を移送方向の後側へ向けて装着すると共に、垂直部を移送方向の前側へ向けて設けている。又、この移送プレート１１ｊの移送方向前側の垂直部の左右両側端部を円弧形状に形成して、ひまわりの花托部や茎部の損傷を防止している。
【００２７】
また、前記支持フレーム１１ｚには、チェン１１ａの通過部を凹状に形成すると共に移送プレート１１ｊよりも所定幅だけ幅狭に形成した上側の受板１１ｎと、該受板１１ｎの下側において左右両側に設けた側板１１ｐとにより箱型に形成して設ける。
【００２８】
そして、刈取装置４の背面壁に軸支した入力プーリに前記搬送コンベア装置１０の外側壁面に沿って配置した伝動ベルトを巻き掛けて、機体１ａ側からの駆動力を入力するように構成する。そして、該入力プーリと第一切断装置駆動用伝動ケースＡ１の入力軸に設けた入力プーリＡ２との間に伝動ベルトを巻き掛ける。また、前記入力プーリとリール装置７の駆動力入力用のプーリＡ３との間に伝動ベルトを巻き掛けると共に、該伝動ベルトに対して外側からプーリを当接させ、該プーリを伝動ベルトの背面駆動によって駆動回転させるように構成する。更に、該プーリと前記後上軸１２ｃとの間に伝動ベルトを巻き掛ける。これにより、前記刈取装置４の背面壁に軸支した入力プーリに駆動力が入力されると、リール装置７と第一切断装置８と５基の移送装置１１とが連動して駆動される。また、前記横移送装置９と搬送コンベア装置１０とを連動して駆動するように構成する。前記横移送装置９を前記第一切断装置８への伝動機構の途中から駆動するように構成してもよい。
【００２９】
以上の構成により、コンバインを前進走行させて、ひまわりの茎部が６基の移送装置１１の受板１１ｎの間の間隔部へ導入されると、花托部はこの受板１１ｎの上側に載り、移送プレート１１ｊに係止されて後方上方へ移送され、この移送装置１１の終端部の前側下方に設けた第一切断装置８によって、花托部の下側の茎部が切断される。
【００３０】
尚、前記移送装置１１の前端部には、略三角形状の分草具１１ｆを前記支持フレーム１１ｚに対して支持具１１ｈによって支持して設ける。
また、前記各移送装置１１の左右方向略中央後方部には、図１及び図４で示すように、詳細構成は後述するが、ひまわりの花托部を切断した後に圃場へ残った茎部を切断する第二切断装置２１を設けている。
【００３１】
また、前記走行車台２の下側に設けた走行装置３において、左右両側へ所定間隔をおいて配置した左右の走行クローラ３ａの轍間の中心位置（Ａ）に対して、前記６基の移送装置１１の配置範囲を左右いずれか一方側へ偏倚させて設ける。本実施例においては、図４で示すように、左側（未刈取作業側）へ寄せて配置した構成である。
【００３２】
これにより、移送装置１１を偏倚させた側の走行クローラ３ａで圃場に残ったひまわりの茎部を踏むことを無くすることができる。又、一方側へ偏倚させたことにより、操縦者の視界が良好になる。更に、この各移送装置１１の間隔部へ、ひまわりの茎部の導入が容易になる。
【００３３】
また、上述のように、前記各移送装置１１間へひまわりの茎稈を取り込みすると共に、チェン１１ａへ設けた移送プレート１１ｊでひまわりの花托部を係止し茎部を該移送チェンプレート１１ｊの左右両端部で係止して、この花托部及び茎部を後方上部へ移送して、この後方上部に設けた前上・後上スプロケット１２ｅ、１２ｆへ張設したチェン１１ａの上側巻回域の下側に設けた第一切断装置８により、花托部の下側近傍部の茎部が切断され、この切断された花托部と一部の茎部とは、移送プレート１１ｊによって後方へ移送され、移送終端部から横移送装置９側へ放出される。尚、花托部は、移送プレート１１ｊに係止されて移送されることにより、確実に移送される。
【００３４】
尚、前記掻込移送装置９は、左右両側の左・右移送螺旋板９ｂ、９ｃと、この左・右移送螺旋板９ｂ、９ｃ間に複数個配置した掻込杆９ｄ（クランクフィンガＫ）とを装備した掻込円筒９ａを回転自在に軸支して構成する。ひまわりの花托部と下側の茎稈とを、掻込円筒９ａの外径部へ設けた、左・右移送螺旋板９ｂ、９ｃにより、掻込杆９ｄ部側へ移送し、この各掻込杆９ｄにより、後側へ設けた搬送コンベア装置１０へ供給するものである。
【００３５】
前記脱穀装置５は、図１に示すように、この脱穀装置５へ軸支内装した扱胴５ｂの始端部外周へ装着した移送螺旋５ｃと、多数本の扱歯５ｄとにより、ひまわりの花托部が脱粒処理され、風選別及び揺動選別等が行われ、種子は昇降装置５ｅ等で貯留タンク５ａ内へ供給されて、一時貯留される。
【００３６】
また、ひまわりの花托部とこの花托部の下側の茎稈とが刈取りされて圃場へ残った茎部は、走行装置３の左右両側の各走行クローラ３ａ，３ａの間の間隔部の前側に設けた第二切断装置２１によって根元から切断され、圃場面へ倒される。
【００３７】
また、前記移送装置１１を、ひまわりの倒伏状態により、上下回動させて姿勢調節でき、ひまわりの倒伏状態適応性の向上を図ることができる。又、第一切断装置８は、花托部の下側近傍を切断する位置に配置しているため、切断長さの安定化を図ることができる。これにより、切断性能及び脱粒性能が安定する。
【００３８】
また、図１で示すように、刈取装置４をひまわりの刈取作業に適した高さに調節した状態において、前記移送装置１１のチェン１１ａにおける前上軸１２ｂと後上軸１２ｃとの間の巻回軌跡が、地面に対して略平行になるように設ける。また、この平行部の上側にリール装置７を軸支し、このリール装置７のリールタイン７ａの先端部の移動軌跡（Ｌ２）が、チェン１１ａの上側の平行面部へ接触しないように設けている。
【００３９】
これにより、切断したひまわりの花托部等は、前方へ落下することなく、確実に後方の横移送装置９側へ移送供給される。
また、図２に示すように、リール装置７における側面視六角形状の隅部に支持杆７ｃを設け、この支持杆７ｃに帯状のスラット７ｂを設け、この帯状のスラット７ｂの下側面により、切断した花托部等を移送装置１１上に保持して後方へ移送させるように構成してもよい。この場合、リール装置７のスラット７ｂの移動速度と、移送装置１１のチェン１１ａの回転速度とは、略同じ速度に設定するとよい。
【００４０】
これにより、切断した花托部を前記リール装置７の帯状のスラット７ｂにより、面で花托部等を保持しながら後方へ移送させると共に、回転速度を同じにしたことにより、花托部からの種子の脱落を防止することができる。
【００４１】
前述のように、花托部が切断され、圃場へ残っている残茎部の根元部を切断する第二切断装置２１の回転中心位置は、図４で示すように、左右両側の走行クローラ３ａ、３ａ間の中心位置（Ａ）の前方延長線上に設け、この各走行クローラ３ａの前方部へ支持装置２１ａによって上下移動自在に設け、この第二切断装置２１の回転刃２１ｂにより、残茎部を切断するものである。
【００４２】
即ち、図８〜図１０に示すように、前記第二切断装置２１の下部に伝動ケース２５を設け、この伝動ケース２５内に、油圧モータ２６の出力軸であるモータ軸２６ａに取り付けたモータギヤーと、カウンタ軸２７へ軸支したカウンタギヤー２７ａと、回転刃２１ｂの回転軸２１ｃへ取り付けた回転ギヤー２１ｄ等とを内装している。これら各ギヤー２６ｂ、２７ａ、２１ｄは噛合して、油圧モータ２６の駆動により、回転刃２１ｂを回転駆動する。
【００４３】
また、図８、及び図９で示すように、前記支持装置２１ａは、へ字形状の長アーム２８ａの基部を第１支持ピン２８ｃによって軸支して第１回動支点とし、第２支持ピン２８ｄを長アーム２８ａで軸支している。短アーム２８ｂの先端部を第２回動支点として第２支持ピン２８ｄで軸支している。伝動ケース２５は、圃場面に対して、これら各ピン２８ｃ、２８ｄ、２８ｅを回動中心としたリンク機構によって昇降自在に支持されて圃場面に追従移動できるように設けている。
【００４４】
又、上アーム２９ａの基部は後支持ピン２９ｄで軸支し、下アーム２９ｂの長孔２９ｃ部と、上アーム２９ａの前端部とは、前支持ピン２９ｅで軸支し、この下アーム２９ｂの下部と、短アーム２８ｂの後部とは、第３支持ピン２８ｅで軸支して設け、これらにより、形成された支持装置２１ａの上下回動移動により、第二切断装置２１が上下移動する。
【００４５】
上述のように、回転刃２１ｂの下側へ伝動機構を内装した伝動ケース２５を設けたことにより、切断したひまわりの茎部が、回転刃２１ｂの上部を移送されることにより、移送が良好である。また、回転刃２１ｂの上下移動により、圃場の凹凸に対応が可能である。
【００４６】
また、図１０に示すように、ひまわりの茎部を切断する前記回転刃２１ｂの後方部で回転外周の外側に、油圧モータ２６を設けている。
これにより、前記回転刃２１ｂで切断したひまわりの茎部の通過に障害になることがない。又、回転方向の逆側に油圧モータ２６を配置していることにより、切断した茎部を後方へ移送する際に障害になることがない。
【００４７】
また、前記刈取装置４と第二切断装置２１との昇降を、操作装置１４へ設けた「ＯＮ」−「ＯＦＦ」スイッチ方向の昇降スイッチ１４ａの操作によって操作可能であり、トラック等へ積み降ろしするときは、これらを上昇させて行う。
【００４８】
また、図１１に示すように、前記刈取装置４の移送コンベア装置１０の下側面には、正逆回転切換自在のモータ３０を設け、このモータ３０のモータ軸３０ａの先端部に上下移動装置３１の上回動アーム３１ａを装着し、この上回動アーム３１ａと下回動アーム３１ｂとを、接続杆３１ｃで接続して構成してもよい。そして、前記下回動アーム３１ｂの一方側を取付板３１ｄへ回動自在に装着すると共に、他方側を第二切断装置２１の受板２１ｅと、支持装置２１ａの長アーム２８ａとへ装着した上下杆２８ｆの略中央部へ回動自在に装着する。モータ３０の正逆回転駆動により、上回動アーム３１ａと、接続杆３１ｃと、下回動アーム３１ｂと、上下杆２８ｆと、受板２１ｅ等とを介して、第二切断装置２１を昇降させる構成である。
【００４９】
このように、前記モータ３０を刈取装置４部側に取付けることにより、この刈取装置４と、第二切断装置２１とが連動して昇降し、互いに干渉することを防止できる。
また、図１２及び図１３に示すように、前記刈取装置４の前部に設けた６基の移送装置１１の前端部に夫々分草装置３２を設け、この各分草装置３２は各移送装置１１の先端部へ取付板３２ａを装着し、この取付板３２ａへ円盤状の分草板３２ｂを支持軸３２ｃで回転自在に軸支して設けてもよい。
【００５０】
これにより、ひまわりの茎部がこの分草板３２ｂへ当接したときでも、左右へ抵抗なく回動することにより、茎部を押し倒すことがなく、ロス発生の原因になることがない。
更に、図１２に示すように、所定間隔で左右方向に６列設けた移送装置１１のチェン１１ａにおいて、所定間隔で設けた移送プレート１１ｊの取付位置を、平面視隣接する各チェン１１ａへ設ける各移送プレート１１ｊの移送方向における位相が所定寸法ずれるように設定する。
【００５１】
これにより、ひまわりの倒伏状態及び茎部の稈長のばらつきが大きい場合、最初の移送プレート１１ｊが花托部を取りこぼしたときであっても、隣接の移送プレート１１ｊが作用してこの花托部をキャッチングすることにより、花托部のキャッチングミスの減少を図ることができる。
【００５２】
また、分草板３２ｂの後方上側面を、チェン１１ａへ設けた各移送プレート１１ｊが通過すべく設けている。
これにより、前記分草板３２ｂの上側面上を、チェン１１ａの各移送プレート１１ｊが通過することにより、この分草板３２ｂの上側面が常に掃除されることにより、溜りが防止されて、詰り発生を解消できる。
【００５３】
また、前記各移送装置１１を上下回動操作する回動操作レバーを設けると共に該回動操作レバーを所定位置で固定できる複数段の調節用溝を有する調節ガイドを設け、この回動操作レバーを回動操作して、調節ガイドの調節用溝の所定位置へ操作して挿入することにより、各移送装置１１の前後傾斜姿勢を任意の姿勢に調節できるように構成するとよい。この調節ガイドの取付位置は、操縦席１５側で運転作業者の視界に入り、容易に操作可能な位置へ設ける。
【００５４】
これにより、運転中に操縦席１５から前記回動操作レバーを操作することにより、簡単に各移送装置１１の前後傾斜姿勢を調節できる。これにより、精度のよい収穫作業ができる。
【００５５】
また、図１２に示すように、各移送装置１１の左右両外側に、左・右分草カバー３５ｅ、３５ｅを、下部に設けた軸を回動中心として上下回動自在に設け、この左・右分草カバー３５ｅ、３５ｅを、各移送装置１１と同じように上下回動自在に設けてもよい。
【００５６】
このように左・右分草カバー３５ｅ、３５ｅを上下回動自在に設けたことにより、畦への突込み及びアユミとの干渉の際には、左・右分草カバー３５ｅ、３５ｅが上方へ逃げることにより、破損、及び変形の防止ができる。
【００５７】
また、左右両外側の各移送装置１１のチェン１１ａの下側へ設けた受板１１ｎの外側端部と、左右両側の左・右分草カバー３５ｅ、３５ｅの内側面との間には、所定間隔を設けて、この所定間隔の間へひまわりの茎稈が挿入されたときであっても、後方部へ移送されて、ひまわりの花托が第一切断装置８で切断できる。これにより、刈取り巾の増加を図ることができる。又、二条列の収穫も可能になった。
【００５８】
また、図１４に示すように、前記各移送装置１１のチェン１１ａへ所定間隔で設ける移送プレート１１ｊを支持する受装置３６は、受板１１ｎの略中央部にチェン１１ａが通る凹部を設け、この受板１１ｎの下側面にコ字形状の受ガイド３６ａを装着し、この受ガイド３６ａの下部の左右両側に、外側へ所定角度で傾斜すると共に下方へ垂直状態に垂れ下がり部を設けた下受ガイド３６ｂを装着する。
【００５９】
前記受装置３６の受板１１ｎの上面によって、この受板１１ｎの上側を通過する各移送プレート１１ｊを摺動支持すると共に、下側を通過するチェン１１ａ、及び移送プレート１１ｊは、受ガイド３６ａの下部の左右両側へ設けた下受ガイド３６ｂ、３６ｂ間の空間部を通過させる。移送プレート１１ｊの全巾（Ｌ５）、及び受ガイド３６ａの全巾（Ｌ４）より、下部左右両側の下受ガイド３６ｂ、３６ｂ間の全巾（Ｌ６）を所定巾広巾にして設けている。複数設けた各移送装置１１間の隙間を下部ほど狭くして設け、これにより、移送するひまわりの茎稈の振れを防止している。又、図１５で示すように、受装置３６は、左右両側の下受ガイド３６ｂを受板１１ｎの下側面まで延長して設け、上下方向略中間位置へ接続板３６ｃを設けた構成とするもよい。
【００６０】
これにより、前記移送プレート１１ｊの移送面を広くして、搬送能力の向上を図ることができる。又、チェン１１ａの非作用側をカバーして、障害発生を防止でき、下部巾を広くして、ひまわりの茎稈の振れを防止する。更に、上下方向の中間部における間隔部を広くして搬送容量の拡大と、剛性のアップとを図ることができる。
【００６１】
尚、図１３に示す例では、移送装置１１のチェン１１ａの上平行部の下側へ設けた第一切断装置８は、フィンガー式のものとしている。これにより、前記各移送装置１１は、チェン１１ａ方式であり、ひまわりを強制的に第一切断装置８部まで移送することにより、フィンガー式であっても確実に切断できる。又、上下に切断刃を設ける構成に比較して、コスト低減を図ることができる。
【００６２】
また、前記チェン１１ａへ装着した移送プレート１１ｊと、受装置３６等よりなる複数個設けた、移送装置１１の左右両外側のこの各移送装置１１の外側へ設けた各分草カバー３５ｅの外周部へ設けたフランジの高さは、前部は高く後部へ向けて、順次低くして設けている。これにより、どの位置においても、該フランヂ部から各移送プレート１１ｊが外れることなく、ひまわりの茎稈を確実に移送することができる。
【００６３】
また、前記各移送装置１１を上下回動操作する回動操作レバー３５ａを最下方位置へ操作して、各移送装置１１を最上部位置へ操作したときに、この回動操作レバー３５ａによって調節ガイド３５ｂへ設けた「ＯＮ」−「ＯＦＦ」式の上昇スイッチ３５ｍが「ＯＮ」されて、この「ＯＮ」に基づいて、第二切断装置２１が最上部位置へ移動制御されるように構成してもよい。又、各移送装置２１を下方回動させると、これに伴い、第二切断装置２１も下降制御される。
【００６４】
これにより、前記各移送装置１１を最上部位置へ操作したときには、第二切断装置２１も最上部位置へ移動されることにより、運搬車（トラック）等へ積み込みのときに、この第二切断装置２１の破損を防止できる。又、各移送装置１１を下降させると、第二切断装置２１が同時に下降することにより、下げ忘れを防止できる。
【００６５】
前記各移送装置１１を最上昇位置へ回動操作レバー３５ａの操作により、上昇操作したときに、刈取装置４及び脱穀装置５の駆動が「入」時（作業状態）のときには、リール装置７及び第一切断装置８が停止するか、又は該リール装置７と第一切断装置８と第二切断装置２１とが停止すべく制御するように構成してもよい。
【００６６】
これにより、各移送装置１１を最上昇位置へ操作することで、第一切断装置８及びリール装置７が停止することにより、従来の枕扱ぎ時に操作する枕扱ぎ用の操作具が不用となり、コスト低減になる。又、安全に枕扱ぎができる。更に、該各移送装置１１は回転駆動されていることにより、花托部をこの各移送装置１１上へ乗せるだけで、枕扱ぎが可能で作業が楽にできる。
【００６７】
前記複数の移送装置１１の左右両外側の各移送装置１１、１１の外側部には、図１２及び図１６で示すように、前方部及び外側部へ突出して、先端部（前部）を山形状に形成した左・右ガイド３７ａ、３７ｂを設けている。又、この左・右ガイド３７ａ、３７ｂの内側の後端部は、左右両外側の各移送装置１１の前方下部へ設けた、円形状の各分草板３２ｂ、３２ｂの上側面上へ交差状態に延長して設けている。
【００６８】
このように、左右両側の左・右ガイド３７ａ、３７ｂを、左右両側の分草板３２ｂ、３２ｂと交差状態に設けていることにより、左右に倒伏したひまわりの茎部は、これら左・右ガイド３７ａ、３７ｂに導かれ、適切に左右両側の各移送装置１１、１１の内側部へ導かれるようになる。
【００６９】
また、図１、図３、図７、図２０に示す３８は、下部移送装置である。この下部移送装置３８は、前記入力プーリＡ２からベルト伝動される構成である。下部移送装置３８は、軸３８ａに対してラセン３８ｂが固着して設けられている構成である。
【００７０】
ひまわりの茎部が前記下部搬送装置３８に当たると、茎部はほんの少し機体進行方向右側よりに姿勢変更され、このような状態で後述する第二切断装置２１で茎部の下側部分が切断される構成である。これにより、第二切断装置２１で茎部の下側部分が切断しやすくなり、茎部は略整列した状態で倒れるようになる。よって、後工程での茎部の収納作業が容易となる。
【００７１】
また、この下部搬送装置３８は、図２に示すように、取り外して作業してもよい。この場合においては、伝動系については、前記入力プーリＡ２からのベルトを外すのみでよいので、能率の良い作業が可能となる。
【００７２】
前記複数の移送装置１１の前端側部へ設ける分草装置３２の円形状の分草板３２ｂを装着する取付板３２ａについては、図１４で示すように、正面視左側へ所定角度（α１）で傾斜させている。この所定角度（α１）で傾斜した取付板３２ａへ茎部を掻込み移送する円形状の分草板３２ｂを設けていることにより、この分草板３２ｂも同じ角度に傾斜させるように構成している。
【００７３】
これにより、隣接する前記分草板３２ｂ、３２ｂ間に、上下及び左右に隙間が増加して通路が拡大されるようになり、詰り発生が防止できるようになる。又、塵埃、及び稈屑等が滑り落ちて、更に詰りを解消できる。
【００７４】
前記複数の各移送装置１１のチェン１１ａには、所定間隔で移送片１１ｊを設けているが、チェン１１ａの回転速度よりもリール装置７の回転速度を所定回転高速にすると共に、走行装置３の走行クローラ３ａの車速に対して、上記各回転を追従させて設けている。
【００７５】
これにより、前記リール装置７の回転速度の方が、各移送装置１１の各チェン１１ａよりも高回転速度にしたことにより、機体１ａ内への取り込み側にリール装置７が作用するようになるので、各移送装置１１上のひまわりを適切に取り込むことが可能となる。即ち、ひまわりの取り込み失敗（ヘッドロス）を防止できるようになる。
【００７６】
前記複数の移送装置１１の各チェン１１ａの後方上部の平行面部（ニ）と、リール装置７のリールタイン７ａ回転外周の下端部（ハ）との間の隙間は、図１３で示すように、最小隙間（Ｈ１）にして設けている。最小隙間（Ｈ１）とは、リールタイン７ａがチェン１１ａに当接しない限界の距離である。
【００７７】
これにより、前記各移送装置１１の移送終端部近傍は、上下移動調節しない構成としているので、その上方部にリール装置７の各リールタイン７ａの最接近する最下端部（ハ）点を配置するが、その隙間についてはほとんど変化しないために、花托部の移送が可能になる。
【００７８】
複数の移送装置１１の各チェン１１ａには、所定間隔に移送プレート１１ｊを設けると共に、図１７及び図１８で示すように、切断装置８の後側にフレーム３９ａを設けている。そして、駆動用の後上軸１２ｃの上側であって各移送装置１１間には、略Ｌ字形の各ガイド３９ｂを、フレーム３９ａの上側面へ装着して設けている。
【００７９】
これにより、前記各ガイド３９ｂを設けることにより、駆動用の後上軸１２ｃ上の移送がスムーズになる。又、この後上軸１２ｃへの巻き付きを防止、及び通路の障害による詰りを解消することができる。
【００８０】
図１２及び図１８で示すように、左右両外側の各移送装置１１の外側には、左右のカバー３５ｅ、３５ｅを設ける構成としている。このカバー３５ｅ、３５ｅと、左右両外側の各移送装置１１、１１との間においては、図１８に示すように、所定間隔Ｌ３、Ｌ３を設けている。この所定間隔Ｌ３、Ｌ３部分へひまわりの茎部が導入されたときであっても、ひまわりは後方部へ移送されて、ひまわりの花托部は第一切断装置８で切断できる構成としている。
【００８１】
これにより、刈取り幅の増加を図ることができる。又、二条列や多条列の収穫も可能になる。
また、前記所定間隔Ｌ３、Ｌ３にひまわりの茎稈が挿入されて花托部が切断され、残った残茎部は後方の走行装置３の左右両側の走行クローラ３ａ、３ａで踏み付けするようにしてもよい。
【００８２】
これにより、残茎部を再利用しない時には、前記所定間隔Ｌ３、Ｌ３にひまわりの茎部二条列が個別に挿入されるように運転操作し、花托部が切断された後に、花托部切断済みの残茎部を左右両側の各クローラ３ａで踏み付けることにより、後処理が不要となる。この場合においては、第二切断装置２１は駆動しないが、駆動しても問題はない。
【００８３】
前記搬送装置１０の上側前部に案内板１０ｃを設け、この案内板１０ｃの下側へ供給口１０ｄを設けると共に、この供給口１０ｄの前側へ設けた横移送装置９の掻込円筒９ａには、図１９〜図２０で示すように、取付板９ｅを軸心に対して移送方向に所定角度で傾斜させて設けている。この取付板９ｅへゴム材等よりなるゴム掻込板９ｆを設け、このゴム掻込板９ｆと移送装置１０の移送チェン１０ａに設けた移送ラグ１０ｂとが当接する状態に設けている。
【００８４】
これにより、前記ゴム掻込板９ｆを軸心に対して傾斜させて設けたことにより、このゴム掻込板９ｆが相手に対して、連続的に当接することで騒音もなく、又、傾斜させたことにより、被搬送物（種子、花托部等）の送り効果の向上を図ることができる。
【００８５】
図２１で示すように、前記脱穀装置５の扱室内には、扱胴５ｂを回転自在に軸支し、この扱胴５ｂの外径部には、移送始端部側に移送ラセン５ｃを二重に設けている。また、この移送ラセン５ｃの後側には、複数の扱歯５ｄ群を設けている。また、扱胴５ｂの下側には、脱穀処理物が漏下する脱穀網５ｆを張設している。
【００８６】
又、前記脱穀網５ｆの下側の選別室内には、被処理物を揺動選別する揺動選別装置５ｈを設け、この揺動選別装置５ｈの下側前部には、この揺動選別装置５ｈから落下する被処理物を風選する唐箕５ｊを設け、この唐箕５ｊの後側には、一番ラセン５ｍと、二番ラセン５ｎとを設けている。一番ラセン５ｍ内に取り込まれた一番物（種子）は、右横外側へ設けた昇降機５ｅで貯留タンク５ａ内へ揚送供給され、この貯留タンク５ａ内へ一時貯留される。二番ラセン５ｎ内に取り込まれた二番物は、右横外側へ設けた二番用の昇降機５０で揚送されて、扱室や棚上等へ還元されて再度脱穀処理される。
【００８７】
前記扱胴５ｂの外径部の後方部（複数の扱歯５ｄ群の後方）へ設ける移送ラセン５１を設ける構成としている。これにより、移送ラセン５１で脱穀しながら脱被処理物を早く後方へ搬送可能となる。
【００８８】
図２２で示すように、前記移送ラセン５１は、複数個に分割する構成としている。分割した移送ラセン５１を重合させて、ボルト及びナット等により締付けて一体的に形成する。又、分割した移送ラセン５１の下端部には、複数個の取付板５ｐを固着し、この各取付板５ｐを介してボルト及びナット等により、移送ラセン５１を扱胴５ｂの外径部へ装着するように構成している。
【００８９】
また、移送ラセン５１を複数個に分割する構成としているので、脱穀処理状態により、移送ラセン５１を取り外しできることで、良好な脱穀処理ができる。また、移送ラセン５１の一部が破損した場合、容易に交換可能となる。
【００９０】
前記コンバイン１の第二切断装置２１が位置する右横外側部の走行車台２には、図２３〜図２６で示すように、ガード装置４２を設けている。
前記ガード装置４２は、Ｌ字形状の取付板４２ａを走行車台２の右横前部と前側右部とへ装着する構成である。該取付板４２ａの前側面においては、パイプ材等よりなる逆Ｌ字形状の取付杆４２ｂを設け、この取付杆４２ｂの下側部分と取付板４２ａとには支持板４２ｃを設けている。また、この取付杆４２ｂの前側下端部には、受板４２ｄを設けている。該支持板４２ｃには、所定間隔で複数個のチェン４２ｅを吊り下げ状態に設けると共に、取付杆４２ｂに設けた受板４２ｄに所定間隔でチェン４２ｅを装着している構成である。
【００９１】
又、図２７で示すように、隣接するチェン４２ｅ、４２ｅを交互に、固定板４２ｆで接続して固定している。
更に、図２８で示すように、前記取付杆４２ｂを直線状に形成し、下側の支持板４２ｃへ複数個のチェン４２ｅを吊り下げ状態に設けると共に、隣接するチェン４２ｅ、４２ｅを固定板４２ｆで接続して固定している。
【００９２】
これにより、収穫作業を安全に行うことができる。又、吊り下げたチェン４２ｅは固定したことにより、走行クローラ３ａへ接触することを防止できる。
前記ガード装置４２は、図２９及び図３０で示すように、走行車台２へ設けている取付板４２ａの前側へ支持軸４３ａを設け、この支持軸４３ａにガイド板４３ｂを固着又は回動自在に設けている構成である。該取付板４２ａの右側には、上側面部を山形状に形成したステップ板４３ｃを固着して設け、作業者がコンバイン１へ搭乗する時のステップとする。ガード装置４２及びステップ板４３ｃとを装着した取付板４２ａを、走行車台２の右側前部と前側右部とへ装着している。
【００９３】
又、前記支持軸４３へ設けたガイド板４３ｂの上側部は、山形状に形成しており、作業者がコンバイン１へ搭乗する時に、ステップ兼用できるようにしてもよい。
これにより、収穫作業を安全に行うことができると共に、ステップを兼用できてコストダウンになり、又、コンバインへの搭乗が容易になる。
【００９４】
図３１で示すように、前記縦移送筒１８と、排出オーガ１９とは、空気搬送方式に構成したものにおいて、この排出オーガ１９の先端部には、排出筒２２を設け、この排出筒２２には、網部材で形成した上補助筒２２ａを設け、この上補助筒２２ａの下側には、樹脂材で形成した下補助筒２２ｂとを設けている。そして、収容袋２３で排出物を受けて収容するときに、上補助筒２２ａ部より、塵埃等を排出させるように構成することで、この収容袋２３部内に塵埃が吹き込むのを防止している。
【００９５】
又、前記下補助筒２２ｂを使用しないときには、排出オーガ１９の外径部へ巻き付けて収納する。このため、下補助筒２２ｂは、ビニールチューブ等で構成している。
更に、図３２で示すように、前記脱穀装置５内を清掃するときには、上・下補助筒２２ａ、２２ｂを使用して、移送風を送風して清掃する。又、図３３で示すように、収穫作業後にコンバイン１全体へ送風して清掃することもできる。これにより、衛生的な作業ができる。又、清掃も容易である。
【図面の簡単な説明】
【００９６】
【図１】コンバインの側面視における説明図
【図２】コンバインの側面視における作用説明図
【図３】コンバインの側面視における作用説明図
【図４】コンバインの全体平面図
【図５】移送装置のチェン部の拡大平面図
【図６】移送装置のチェン部の拡大側面図
【図７】移送装置部の拡大側面図
【図８】第二切断装置部の拡大側面図
【図９】第二切断装置部の拡大平面図
【図１０】第二切断装置部の拡大側面図
【図１１】第二切断装置部の側面図
【図１２】移送装置部の平面図
【図１３】分草装置部と、移送装置部との拡大側面図
【図１４】受装置部の拡大正面図
【図１５】受装置部の正面図
【図１６】分草装置と、左・右ガイドとの側面図
【図１７】切断装置と、ガイドと、移送装置との拡大側面図
【図１８】切断装置と、ガイドと、移送装置との拡大平面図
【図１９】掻込移送装置部と、搬送コンベア装置部との拡大側面図
【図２０】掻込移送装置のゴム掻込板部の平面図
【図２１】脱穀装置部の拡大側断面図
【図２２】脱穀装置の移送プレートの拡大平面斜視図
【図２３】コンバインのガード装置取付部の右側側面図
【図２４】コンバインのガード装置取付部の平面図
【図２５】ガード装置の拡大側面図
【図２６】ガード装置の拡大正面図
【図２７】ガード装置の拡大側面図
【図２８】ガード装置の拡大側面図
【図２９】コンバインのガード装置取付部の右側側面図
【図３０】ガード装置の拡大側面斜視図
【図３１】コンバインの排出装置部の側面図
【図３２】コンバインの排出装置で清掃時の側面図
【図３３】コンバインの排出装置で清掃時の側面図
【符号の説明】
【００９７】
１ａ 機体
３ 走行装置
３ａ 走行クローラ
４ 刈取装置
５ 脱穀装置（脱粒装置）
８ 第一切断装置
９ 横移送装置
１０ 搬送コンベア装置（搬送装置）
１１ 移送装置
２１ 第二切断装置
【技術分野】
【０００１】
この発明は、ひまわり等の植物を刈り取る収穫機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、油糧作物を原料として、バイオディーゼル燃料の精製やパルプの製造を行なう、いわゆるバイオマス利用技術が注目されている。
このバイオマスの資源作物として、種子等が利用されるひまわり等の植物は、茎部が長く背丈が高い。
【０００３】
このような植物を収穫する収穫機として、特許文献１に示すように、機体の前部に、植物の花托部のみを刈り取りながら取り込む刈取装置を設け、その後方に茎部を刈り払う第二刈刃装置を設けた構成のものがある。この構成により、刈り取られた花托部は、脱粒装置内へ供給されて種子が脱粒される。また、残った茎部は、第二刈刃装置によって短く切断されて圃場へ放置される。
【特許文献１】特開平９−１５４３６９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、例えば上記特許文献１には、ひまわりの花托部だけを刈り取るための刈取装置の具体構成が開示されていない。即ち、従来では、例えばこのひまわりの花托部を刈り取るための技術が確立されておらず、倒伏したひまわりを刈取装置内に円滑に取り込むことができなかったり、刈取装置内へ掻き込む際に、花托部ごと種子を圃場へ脱落させて収穫損失が発生する問題があった。
【０００５】
また、花托部を刈り取った後の茎部を収穫機の走行装置で踏みつけて損傷させてしまうと、この茎部のパルプの原料等としての利用価値が低下してしまう問題がある。
この発明により、これらの問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上述のような課題を解決するために、この発明は、次のような技術手段を講じる。
即ち、請求項１に記載の発明においては、機体（１ａ）の下部に設ける走行装置（３）と、機体（１ａ）の前部に設けてひまわり等の植物を刈り取り後方へ移送する刈取装置（４）と、該刈取装置（４）の後側に設けて種子を脱粒させる脱粒装置（５）とを備える収穫機において、前記刈取装置（４）には、植立状態の植物を切断する第一切断装置（８）と、該第一切断装置（８）によって切断した植物を所定位置へ移送する横移送装置（９）と、該横移送装置（９）によって移送された植物を引き継いで脱穀装置（５）へ供給する搬送装置（１０）とを設け、前記横移送装置（９）の前側に幅狭に形成した複数の移送装置（１１）を左右方向に互いに間隔をおいて配置すると共に、横移送装置（９）の後側に第二切断装置（２１）を設けたことを特徴とする収穫機としたものである。
【０００７】
例えばこの収穫機によるひまわりの収穫作業においては、この収穫機の機体（１ａ）の下部に設けた走行装置３を前進駆動し、前部に設けた刈取装置４を高刈り収穫作業位置（通常、稲麦の刈取作業高さよりも高い位置）に高さ調節して収穫作業を開始する。
【０００８】
すると、刈取装置４における横移送装置９の前側に設けた幅狭の複数の移送装置１１の間に植立状態のひまわりの茎部が導入され、この移送装置１１の上側に花托部が載るようにして後方へ移送され、第一切断装置８によって花托部よりも下側の茎部が切断される。そして、この花托部は、横移送装置９へ引き継がれ、この横移送装置９によって刈取装置４の所定位置へ向けて移送され、搬送装置１０に引き継がれて脱粒装置５へ供給される。脱粒装置５内で脱粒された種子を、貯留タンクへ投入して一時貯留できるように構成してもよい。
【０００９】
また、花托部が切断されて圃場に植立状態で残った茎部は、前記横移送装置９の後側に設けた第二切断装置２１によって根元部から切断される。
請求項２に記載の発明においては、前記走行装置（３）の左右両側へ設けた左右の走行クローラ（３ａ，３ａ）間の間隔部の前側に前記第二切断装置（２１）を設けたことを特徴とする請求項１に記載の収穫機としたものである。
【００１０】
花托部が切断されて圃場に残った茎部は、走行装置３の左右両側に設けた左右の走行クローラ３ａ，３ａ間の間隔部の前側に設けた第二切断装置２１によって根元部から切断される。
【発明の効果】
【００１１】
請求項１記載の発明によると、横移送装置９の前側に幅狭に形成した複数の移送装置１１を左右方向に所定の間隔をおいて設け、横移送装置９の後側に第二切断装置２１を設けたことにより、これら複数の移送装置１１の間に、例えばひまわり等の植物の茎部が導入されれば、その花托部を移送装置１１の上側に載るようにして移送してこの茎部を第一切断装置８によって切断できるため、花托部の脱落を少なくして種子の収穫を能率良く行なうことができる。
【００１２】
また、花托部が切断された後の茎部の上部を、前記移送装置１１間に支持したまま、第二切断装置２１によって根元部から切断することができ、この第二切断装置２１による茎部の切断作業を精度良く行なうことができる。
【００１３】
請求項２記載の発明によると、上記請求項１記載の発明の効果に加え、ひまわり等の植物を収穫する際に、左右の走行クローラ３ａ，３ａ間の間隔部へ茎部を導入できるように操縦して収穫作業を行なえば、花托部の刈取後に残った茎部を適切に切断することができる。また、この切断した茎部を左右の走行クローラ３ａ，３ａで踏んで損傷させることが少なくなり、この茎部を回収して、例えばパルプの原料とするなど、バイオマス原料として有効利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
以下、この発明における収穫機の一実施例として、ひまわり収穫用のコンバインを例示して説明する。
図１〜図４に示すように、このコンバイン１の機体１ａは、走行車台２の前側にひまわりを刈り取って後方へ移送する刈取装置４を設けている。また、走行車台２の上側で刈取装置４の後側にひまわりの花托等から種子を脱粒させる脱装置（脱粒装置）５を搭載し、この脱穀装置５の右横側に脱粒されたひまわりの種子を受けて貯留する貯留タンク５ａを搭載している。そして、刈取装置４には、前部より、立毛状態のひまわりを分離する左右両外側の分草体６と、刈取装置４の略全巾に亘ってひまわりを掻込するリール装置７と、ひまわりの花托部を茎部と共に、後方上部へ移送する複数のチェン駆動式の移送装置１１と、花托部の下側の茎部を切断する切断装置８と、茎部から切断された花托部を引き継いで横移送する横移送装置（掻込オーガ）９と、この横移送装置９から花托部を引き継いで脱穀装置５へ供給する搬送コンベア装置（搬送装置）１０等よりなる構成である。
【００１５】
前記走行車台２の下側には、土壌面を走行する左右一対の走行クローラ３ａを張設した走行装置３を配設している。
また、前記刈取装置４全体は、油圧式の伸縮シリンダ１３により、走行車台２に対して昇降調節自在に構成する。これにより、ひまわりを収穫する場合には、刈取装置４全体を、稲麦の刈取作業時よりも高い高刈位置へ操作して、収穫作業を行なうものである。
【００１６】
前記貯留タンク５ａの前側には、図１及び図４に示すように、コンバイン１のエンジン１６の始動及び停止、走行変速、刈取装置４の昇降調節、刈取装置４及び脱穀装置５の駆動開始及び駆動停止、貯留タンク５ａからの種子の排出開始及び排出停止等の操作を行う操作装置１４と、操縦席１５とを設け、又、この操縦席１５の下側にエンジン１６を搭載している。
【００１７】
前記走行車台２の前端部に取り付けた走行用のミッションケース１７内の伝動機構１７ａの伝動経路中には、その伝動軸又は伝動ギヤの回転数の検出に基づいて、走行車速を検出することのできるフォトカプラ式又は電磁ピックアップ式の車速センサ１７ｂを設けている。
【００１８】
前記貯留タンク５ａ内に貯留したひまわりの種子を機外へ排出する構成として、この貯留タンク５ａの後側には、図１及び図４に示すように、縦移送螺旋１８ａを内装した縦支持筒１８を略垂直姿勢で旋回自在に装着している。又、この縦支持筒１８の上端部には、その全長がコンバイン１の前後長に亘り排出螺旋１９ａを伸縮自在に内装軸支した排出オーガ１９を伸縮自在、上下回動自在、及び左右旋回自在に設けている。
【００１９】
しかして、前記刈取装置４は、図１及び図４に示すように、前方の植物群から刈取対象の植物を掻込み分離する側面視六角形状のリール装置７と、チェン駆動式の移送装置１１と、第一切断装置８と、横移送装置９と、搬送コンベア装置１０とから構成する。
【００２０】
前記リール装置７は、左右両側の支持杆２０に設けた支持軸２０ａへ回転自在に軸支し、六箇所の隅部に左右方向にスラットバーを設け、このスラットバーに所定間隔で複数のリールタイン７ａを取り付け、平行リンク機構（図示省略）により、リール装置７が回転してもこのリールターン７ａは略一定の下向き姿勢を保ったまま周回移動するように構成し、この各リールタイン７ａでひまわりを引起し、刈取対象のひまわりを分離して掻込む。このリール装置７は、上下伸縮シリンダ（図示せず）の作動により、刈取装置４に対して独立して昇降させることができる。
【００２１】
また、前記第一切断装置８はバリカン式の刈刃を左右方向に摺動駆動する構成のもので、上下の刈刃を対称形状に形成して上側の刈刃のみを左右摺動させるもの、又は、上下の刈刃を互いに逆方向に摺動させるものである。又、左右方向に所定間隔をおいてフィンガを配置し、このフィンガ内に刈刃を左右移動するように設けたものでもよい。
【００２２】
また、前記横移送装置９は、刈取装置４の左右幅に相当する長さのオーガ（外周に螺旋を備えた回転胴）を、左右方向の軸芯周りに駆動回転するように設けて構成する。該オーガにおける前記搬送コンベア装置１０始端部との対応位置には、該オーガによって左右一側へ移送されてきた花托部を搬送コンベア装置１０の始端部へ引き継がせるクランクフィンガＫを設ける。
【００２３】
また、前記搬送コンベア装置（搬送装置）１０は、前端部の回転軸に設けた左右の従動スプロケット１０Ａと後端部の回転軸に設けた左右の駆動スプロケット１０Ｂとにわたって無端チェンを巻き掛け、該左右の無端チェン間に多数の係止片１０Ｃを所定間隔ごとに取り付けて構成する。
【００２４】
しかして、前記チェン駆動式の移送装置１１は、図１〜図４に示すように、刈取装置４における左右両側の側板間の中央部よりも左寄りの位置に、互いに左右方向に所定間隔（ひまわりの茎部が通過可能であるが、花托部は通過不能な間隔。４０ｍｍ程度の間隔が好ましい。）をおいて６基ないし５基設けると共に、側面視で分草体６の前側下部から横移送装置９の前部上方位置の間に設けている。この移送装置１１は６基共に同様の構成であり、支持フレーム１１ｚの前端部に、左右方向姿勢とした前下軸１２ａを螺子式のチェン緊張調節機構１２ｚを介して支持して設け、この前下軸１２ａに前下スプロケット１２ｄをベアリングを介して回転自在に軸支している。又、横移送装置９の前方上方位置に、左右方向姿勢とした前上軸１２ｂを設け、この前上軸１２ｂに前上スプロケット１２ｅを軸支する。更に、この前上軸１２ｂよりも所定距離後側で横移送装置９の前側上方位置に、刈取装置４の略全巾に亘る後上軸１２ｃを左右方向姿勢にして軸受して設け、この後上軸１２ｃにおける前記６基の移送装置１１との対応位置に、６個の後上スプロケット１２ｆを取り付ける。尚、前記前上スプロケット１２ｅと後上スプロケット１２ｆとは前後方向に所定の間隔を設けて配置し、前記前下スプロケット１２ｄの前下軸１２ａと前上スプロケット１２ｅの前上軸１２ｂと後上スプロケット１２ｆの後上軸１２ｃとを結ぶ仮想線が、側面視で不等辺三角形状を形成する。そして、これら前下・前上・後上スプロケット１２ｄ、１２ｅ、１２ｆには、無端状のチェン１１ａを掛け回す。入力プーリを軸支した入力軸から伝動ギャーケース（共に図示せず）を介して、後上軸１２ｃが回転駆動されて、移送装置１１のチェン１１ａが回転駆動される構成とする。
【００２５】
また、上記６基の移送装置１１は、後述する第一切断装置８よりも後側の位置において、左右方向に長尺の角パイプ状の連結フレーム１２ｙによって一体的に連結し、前記後上軸１２ｃを中心にして、この５基の移送装置１１の全てを一体的に上下回動調節して姿勢変更できるように構成する。尚、この６基の移送装置１１を夫々独立して上下回動調節して姿勢変更できるように構成してもよい。
【００２６】
図５及び図６で示すように、前記移送装置１１におけるチェン１１ａを構成する左右の多数のチェンプレート１１ｂのうち、所定間隔をおいて配置されるチェンプレート１１ｂごとにその一部を上方へ突出させて形成する。そして、Ｌ字形状の移送プレート（移送片）１１ｊの底面側に左右の取付板１１ｍを固着し、この左右の取付板１１ｍを、ピン等により前記左右両側のチェンプレート１１ｂの突出部に軸着する。これにより、図６で示すように、この取付用の軸着部が移送プレート１１ｊの回動中心（イ）となる。このＬ字形状の移送プレート１１ｊの下側の水平部を移送方向の後側へ向けて装着すると共に、垂直部を移送方向の前側へ向けて設けている。又、この移送プレート１１ｊの移送方向前側の垂直部の左右両側端部を円弧形状に形成して、ひまわりの花托部や茎部の損傷を防止している。
【００２７】
また、前記支持フレーム１１ｚには、チェン１１ａの通過部を凹状に形成すると共に移送プレート１１ｊよりも所定幅だけ幅狭に形成した上側の受板１１ｎと、該受板１１ｎの下側において左右両側に設けた側板１１ｐとにより箱型に形成して設ける。
【００２８】
そして、刈取装置４の背面壁に軸支した入力プーリに前記搬送コンベア装置１０の外側壁面に沿って配置した伝動ベルトを巻き掛けて、機体１ａ側からの駆動力を入力するように構成する。そして、該入力プーリと第一切断装置駆動用伝動ケースＡ１の入力軸に設けた入力プーリＡ２との間に伝動ベルトを巻き掛ける。また、前記入力プーリとリール装置７の駆動力入力用のプーリＡ３との間に伝動ベルトを巻き掛けると共に、該伝動ベルトに対して外側からプーリを当接させ、該プーリを伝動ベルトの背面駆動によって駆動回転させるように構成する。更に、該プーリと前記後上軸１２ｃとの間に伝動ベルトを巻き掛ける。これにより、前記刈取装置４の背面壁に軸支した入力プーリに駆動力が入力されると、リール装置７と第一切断装置８と５基の移送装置１１とが連動して駆動される。また、前記横移送装置９と搬送コンベア装置１０とを連動して駆動するように構成する。前記横移送装置９を前記第一切断装置８への伝動機構の途中から駆動するように構成してもよい。
【００２９】
以上の構成により、コンバインを前進走行させて、ひまわりの茎部が６基の移送装置１１の受板１１ｎの間の間隔部へ導入されると、花托部はこの受板１１ｎの上側に載り、移送プレート１１ｊに係止されて後方上方へ移送され、この移送装置１１の終端部の前側下方に設けた第一切断装置８によって、花托部の下側の茎部が切断される。
【００３０】
尚、前記移送装置１１の前端部には、略三角形状の分草具１１ｆを前記支持フレーム１１ｚに対して支持具１１ｈによって支持して設ける。
また、前記各移送装置１１の左右方向略中央後方部には、図１及び図４で示すように、詳細構成は後述するが、ひまわりの花托部を切断した後に圃場へ残った茎部を切断する第二切断装置２１を設けている。
【００３１】
また、前記走行車台２の下側に設けた走行装置３において、左右両側へ所定間隔をおいて配置した左右の走行クローラ３ａの轍間の中心位置（Ａ）に対して、前記６基の移送装置１１の配置範囲を左右いずれか一方側へ偏倚させて設ける。本実施例においては、図４で示すように、左側（未刈取作業側）へ寄せて配置した構成である。
【００３２】
これにより、移送装置１１を偏倚させた側の走行クローラ３ａで圃場に残ったひまわりの茎部を踏むことを無くすることができる。又、一方側へ偏倚させたことにより、操縦者の視界が良好になる。更に、この各移送装置１１の間隔部へ、ひまわりの茎部の導入が容易になる。
【００３３】
また、上述のように、前記各移送装置１１間へひまわりの茎稈を取り込みすると共に、チェン１１ａへ設けた移送プレート１１ｊでひまわりの花托部を係止し茎部を該移送チェンプレート１１ｊの左右両端部で係止して、この花托部及び茎部を後方上部へ移送して、この後方上部に設けた前上・後上スプロケット１２ｅ、１２ｆへ張設したチェン１１ａの上側巻回域の下側に設けた第一切断装置８により、花托部の下側近傍部の茎部が切断され、この切断された花托部と一部の茎部とは、移送プレート１１ｊによって後方へ移送され、移送終端部から横移送装置９側へ放出される。尚、花托部は、移送プレート１１ｊに係止されて移送されることにより、確実に移送される。
【００３４】
尚、前記掻込移送装置９は、左右両側の左・右移送螺旋板９ｂ、９ｃと、この左・右移送螺旋板９ｂ、９ｃ間に複数個配置した掻込杆９ｄ（クランクフィンガＫ）とを装備した掻込円筒９ａを回転自在に軸支して構成する。ひまわりの花托部と下側の茎稈とを、掻込円筒９ａの外径部へ設けた、左・右移送螺旋板９ｂ、９ｃにより、掻込杆９ｄ部側へ移送し、この各掻込杆９ｄにより、後側へ設けた搬送コンベア装置１０へ供給するものである。
【００３５】
前記脱穀装置５は、図１に示すように、この脱穀装置５へ軸支内装した扱胴５ｂの始端部外周へ装着した移送螺旋５ｃと、多数本の扱歯５ｄとにより、ひまわりの花托部が脱粒処理され、風選別及び揺動選別等が行われ、種子は昇降装置５ｅ等で貯留タンク５ａ内へ供給されて、一時貯留される。
【００３６】
また、ひまわりの花托部とこの花托部の下側の茎稈とが刈取りされて圃場へ残った茎部は、走行装置３の左右両側の各走行クローラ３ａ，３ａの間の間隔部の前側に設けた第二切断装置２１によって根元から切断され、圃場面へ倒される。
【００３７】
また、前記移送装置１１を、ひまわりの倒伏状態により、上下回動させて姿勢調節でき、ひまわりの倒伏状態適応性の向上を図ることができる。又、第一切断装置８は、花托部の下側近傍を切断する位置に配置しているため、切断長さの安定化を図ることができる。これにより、切断性能及び脱粒性能が安定する。
【００３８】
また、図１で示すように、刈取装置４をひまわりの刈取作業に適した高さに調節した状態において、前記移送装置１１のチェン１１ａにおける前上軸１２ｂと後上軸１２ｃとの間の巻回軌跡が、地面に対して略平行になるように設ける。また、この平行部の上側にリール装置７を軸支し、このリール装置７のリールタイン７ａの先端部の移動軌跡（Ｌ２）が、チェン１１ａの上側の平行面部へ接触しないように設けている。
【００３９】
これにより、切断したひまわりの花托部等は、前方へ落下することなく、確実に後方の横移送装置９側へ移送供給される。
また、図２に示すように、リール装置７における側面視六角形状の隅部に支持杆７ｃを設け、この支持杆７ｃに帯状のスラット７ｂを設け、この帯状のスラット７ｂの下側面により、切断した花托部等を移送装置１１上に保持して後方へ移送させるように構成してもよい。この場合、リール装置７のスラット７ｂの移動速度と、移送装置１１のチェン１１ａの回転速度とは、略同じ速度に設定するとよい。
【００４０】
これにより、切断した花托部を前記リール装置７の帯状のスラット７ｂにより、面で花托部等を保持しながら後方へ移送させると共に、回転速度を同じにしたことにより、花托部からの種子の脱落を防止することができる。
【００４１】
前述のように、花托部が切断され、圃場へ残っている残茎部の根元部を切断する第二切断装置２１の回転中心位置は、図４で示すように、左右両側の走行クローラ３ａ、３ａ間の中心位置（Ａ）の前方延長線上に設け、この各走行クローラ３ａの前方部へ支持装置２１ａによって上下移動自在に設け、この第二切断装置２１の回転刃２１ｂにより、残茎部を切断するものである。
【００４２】
即ち、図８〜図１０に示すように、前記第二切断装置２１の下部に伝動ケース２５を設け、この伝動ケース２５内に、油圧モータ２６の出力軸であるモータ軸２６ａに取り付けたモータギヤーと、カウンタ軸２７へ軸支したカウンタギヤー２７ａと、回転刃２１ｂの回転軸２１ｃへ取り付けた回転ギヤー２１ｄ等とを内装している。これら各ギヤー２６ｂ、２７ａ、２１ｄは噛合して、油圧モータ２６の駆動により、回転刃２１ｂを回転駆動する。
【００４３】
また、図８、及び図９で示すように、前記支持装置２１ａは、へ字形状の長アーム２８ａの基部を第１支持ピン２８ｃによって軸支して第１回動支点とし、第２支持ピン２８ｄを長アーム２８ａで軸支している。短アーム２８ｂの先端部を第２回動支点として第２支持ピン２８ｄで軸支している。伝動ケース２５は、圃場面に対して、これら各ピン２８ｃ、２８ｄ、２８ｅを回動中心としたリンク機構によって昇降自在に支持されて圃場面に追従移動できるように設けている。
【００４４】
又、上アーム２９ａの基部は後支持ピン２９ｄで軸支し、下アーム２９ｂの長孔２９ｃ部と、上アーム２９ａの前端部とは、前支持ピン２９ｅで軸支し、この下アーム２９ｂの下部と、短アーム２８ｂの後部とは、第３支持ピン２８ｅで軸支して設け、これらにより、形成された支持装置２１ａの上下回動移動により、第二切断装置２１が上下移動する。
【００４５】
上述のように、回転刃２１ｂの下側へ伝動機構を内装した伝動ケース２５を設けたことにより、切断したひまわりの茎部が、回転刃２１ｂの上部を移送されることにより、移送が良好である。また、回転刃２１ｂの上下移動により、圃場の凹凸に対応が可能である。
【００４６】
また、図１０に示すように、ひまわりの茎部を切断する前記回転刃２１ｂの後方部で回転外周の外側に、油圧モータ２６を設けている。
これにより、前記回転刃２１ｂで切断したひまわりの茎部の通過に障害になることがない。又、回転方向の逆側に油圧モータ２６を配置していることにより、切断した茎部を後方へ移送する際に障害になることがない。
【００４７】
また、前記刈取装置４と第二切断装置２１との昇降を、操作装置１４へ設けた「ＯＮ」−「ＯＦＦ」スイッチ方向の昇降スイッチ１４ａの操作によって操作可能であり、トラック等へ積み降ろしするときは、これらを上昇させて行う。
【００４８】
また、図１１に示すように、前記刈取装置４の移送コンベア装置１０の下側面には、正逆回転切換自在のモータ３０を設け、このモータ３０のモータ軸３０ａの先端部に上下移動装置３１の上回動アーム３１ａを装着し、この上回動アーム３１ａと下回動アーム３１ｂとを、接続杆３１ｃで接続して構成してもよい。そして、前記下回動アーム３１ｂの一方側を取付板３１ｄへ回動自在に装着すると共に、他方側を第二切断装置２１の受板２１ｅと、支持装置２１ａの長アーム２８ａとへ装着した上下杆２８ｆの略中央部へ回動自在に装着する。モータ３０の正逆回転駆動により、上回動アーム３１ａと、接続杆３１ｃと、下回動アーム３１ｂと、上下杆２８ｆと、受板２１ｅ等とを介して、第二切断装置２１を昇降させる構成である。
【００４９】
このように、前記モータ３０を刈取装置４部側に取付けることにより、この刈取装置４と、第二切断装置２１とが連動して昇降し、互いに干渉することを防止できる。
また、図１２及び図１３に示すように、前記刈取装置４の前部に設けた６基の移送装置１１の前端部に夫々分草装置３２を設け、この各分草装置３２は各移送装置１１の先端部へ取付板３２ａを装着し、この取付板３２ａへ円盤状の分草板３２ｂを支持軸３２ｃで回転自在に軸支して設けてもよい。
【００５０】
これにより、ひまわりの茎部がこの分草板３２ｂへ当接したときでも、左右へ抵抗なく回動することにより、茎部を押し倒すことがなく、ロス発生の原因になることがない。
更に、図１２に示すように、所定間隔で左右方向に６列設けた移送装置１１のチェン１１ａにおいて、所定間隔で設けた移送プレート１１ｊの取付位置を、平面視隣接する各チェン１１ａへ設ける各移送プレート１１ｊの移送方向における位相が所定寸法ずれるように設定する。
【００５１】
これにより、ひまわりの倒伏状態及び茎部の稈長のばらつきが大きい場合、最初の移送プレート１１ｊが花托部を取りこぼしたときであっても、隣接の移送プレート１１ｊが作用してこの花托部をキャッチングすることにより、花托部のキャッチングミスの減少を図ることができる。
【００５２】
また、分草板３２ｂの後方上側面を、チェン１１ａへ設けた各移送プレート１１ｊが通過すべく設けている。
これにより、前記分草板３２ｂの上側面上を、チェン１１ａの各移送プレート１１ｊが通過することにより、この分草板３２ｂの上側面が常に掃除されることにより、溜りが防止されて、詰り発生を解消できる。
【００５３】
また、前記各移送装置１１を上下回動操作する回動操作レバーを設けると共に該回動操作レバーを所定位置で固定できる複数段の調節用溝を有する調節ガイドを設け、この回動操作レバーを回動操作して、調節ガイドの調節用溝の所定位置へ操作して挿入することにより、各移送装置１１の前後傾斜姿勢を任意の姿勢に調節できるように構成するとよい。この調節ガイドの取付位置は、操縦席１５側で運転作業者の視界に入り、容易に操作可能な位置へ設ける。
【００５４】
これにより、運転中に操縦席１５から前記回動操作レバーを操作することにより、簡単に各移送装置１１の前後傾斜姿勢を調節できる。これにより、精度のよい収穫作業ができる。
【００５５】
また、図１２に示すように、各移送装置１１の左右両外側に、左・右分草カバー３５ｅ、３５ｅを、下部に設けた軸を回動中心として上下回動自在に設け、この左・右分草カバー３５ｅ、３５ｅを、各移送装置１１と同じように上下回動自在に設けてもよい。
【００５６】
このように左・右分草カバー３５ｅ、３５ｅを上下回動自在に設けたことにより、畦への突込み及びアユミとの干渉の際には、左・右分草カバー３５ｅ、３５ｅが上方へ逃げることにより、破損、及び変形の防止ができる。
【００５７】
また、左右両外側の各移送装置１１のチェン１１ａの下側へ設けた受板１１ｎの外側端部と、左右両側の左・右分草カバー３５ｅ、３５ｅの内側面との間には、所定間隔を設けて、この所定間隔の間へひまわりの茎稈が挿入されたときであっても、後方部へ移送されて、ひまわりの花托が第一切断装置８で切断できる。これにより、刈取り巾の増加を図ることができる。又、二条列の収穫も可能になった。
【００５８】
また、図１４に示すように、前記各移送装置１１のチェン１１ａへ所定間隔で設ける移送プレート１１ｊを支持する受装置３６は、受板１１ｎの略中央部にチェン１１ａが通る凹部を設け、この受板１１ｎの下側面にコ字形状の受ガイド３６ａを装着し、この受ガイド３６ａの下部の左右両側に、外側へ所定角度で傾斜すると共に下方へ垂直状態に垂れ下がり部を設けた下受ガイド３６ｂを装着する。
【００５９】
前記受装置３６の受板１１ｎの上面によって、この受板１１ｎの上側を通過する各移送プレート１１ｊを摺動支持すると共に、下側を通過するチェン１１ａ、及び移送プレート１１ｊは、受ガイド３６ａの下部の左右両側へ設けた下受ガイド３６ｂ、３６ｂ間の空間部を通過させる。移送プレート１１ｊの全巾（Ｌ５）、及び受ガイド３６ａの全巾（Ｌ４）より、下部左右両側の下受ガイド３６ｂ、３６ｂ間の全巾（Ｌ６）を所定巾広巾にして設けている。複数設けた各移送装置１１間の隙間を下部ほど狭くして設け、これにより、移送するひまわりの茎稈の振れを防止している。又、図１５で示すように、受装置３６は、左右両側の下受ガイド３６ｂを受板１１ｎの下側面まで延長して設け、上下方向略中間位置へ接続板３６ｃを設けた構成とするもよい。
【００６０】
これにより、前記移送プレート１１ｊの移送面を広くして、搬送能力の向上を図ることができる。又、チェン１１ａの非作用側をカバーして、障害発生を防止でき、下部巾を広くして、ひまわりの茎稈の振れを防止する。更に、上下方向の中間部における間隔部を広くして搬送容量の拡大と、剛性のアップとを図ることができる。
【００６１】
尚、図１３に示す例では、移送装置１１のチェン１１ａの上平行部の下側へ設けた第一切断装置８は、フィンガー式のものとしている。これにより、前記各移送装置１１は、チェン１１ａ方式であり、ひまわりを強制的に第一切断装置８部まで移送することにより、フィンガー式であっても確実に切断できる。又、上下に切断刃を設ける構成に比較して、コスト低減を図ることができる。
【００６２】
また、前記チェン１１ａへ装着した移送プレート１１ｊと、受装置３６等よりなる複数個設けた、移送装置１１の左右両外側のこの各移送装置１１の外側へ設けた各分草カバー３５ｅの外周部へ設けたフランジの高さは、前部は高く後部へ向けて、順次低くして設けている。これにより、どの位置においても、該フランヂ部から各移送プレート１１ｊが外れることなく、ひまわりの茎稈を確実に移送することができる。
【００６３】
また、前記各移送装置１１を上下回動操作する回動操作レバー３５ａを最下方位置へ操作して、各移送装置１１を最上部位置へ操作したときに、この回動操作レバー３５ａによって調節ガイド３５ｂへ設けた「ＯＮ」−「ＯＦＦ」式の上昇スイッチ３５ｍが「ＯＮ」されて、この「ＯＮ」に基づいて、第二切断装置２１が最上部位置へ移動制御されるように構成してもよい。又、各移送装置２１を下方回動させると、これに伴い、第二切断装置２１も下降制御される。
【００６４】
これにより、前記各移送装置１１を最上部位置へ操作したときには、第二切断装置２１も最上部位置へ移動されることにより、運搬車（トラック）等へ積み込みのときに、この第二切断装置２１の破損を防止できる。又、各移送装置１１を下降させると、第二切断装置２１が同時に下降することにより、下げ忘れを防止できる。
【００６５】
前記各移送装置１１を最上昇位置へ回動操作レバー３５ａの操作により、上昇操作したときに、刈取装置４及び脱穀装置５の駆動が「入」時（作業状態）のときには、リール装置７及び第一切断装置８が停止するか、又は該リール装置７と第一切断装置８と第二切断装置２１とが停止すべく制御するように構成してもよい。
【００６６】
これにより、各移送装置１１を最上昇位置へ操作することで、第一切断装置８及びリール装置７が停止することにより、従来の枕扱ぎ時に操作する枕扱ぎ用の操作具が不用となり、コスト低減になる。又、安全に枕扱ぎができる。更に、該各移送装置１１は回転駆動されていることにより、花托部をこの各移送装置１１上へ乗せるだけで、枕扱ぎが可能で作業が楽にできる。
【００６７】
前記複数の移送装置１１の左右両外側の各移送装置１１、１１の外側部には、図１２及び図１６で示すように、前方部及び外側部へ突出して、先端部（前部）を山形状に形成した左・右ガイド３７ａ、３７ｂを設けている。又、この左・右ガイド３７ａ、３７ｂの内側の後端部は、左右両外側の各移送装置１１の前方下部へ設けた、円形状の各分草板３２ｂ、３２ｂの上側面上へ交差状態に延長して設けている。
【００６８】
このように、左右両側の左・右ガイド３７ａ、３７ｂを、左右両側の分草板３２ｂ、３２ｂと交差状態に設けていることにより、左右に倒伏したひまわりの茎部は、これら左・右ガイド３７ａ、３７ｂに導かれ、適切に左右両側の各移送装置１１、１１の内側部へ導かれるようになる。
【００６９】
また、図１、図３、図７、図２０に示す３８は、下部移送装置である。この下部移送装置３８は、前記入力プーリＡ２からベルト伝動される構成である。下部移送装置３８は、軸３８ａに対してラセン３８ｂが固着して設けられている構成である。
【００７０】
ひまわりの茎部が前記下部搬送装置３８に当たると、茎部はほんの少し機体進行方向右側よりに姿勢変更され、このような状態で後述する第二切断装置２１で茎部の下側部分が切断される構成である。これにより、第二切断装置２１で茎部の下側部分が切断しやすくなり、茎部は略整列した状態で倒れるようになる。よって、後工程での茎部の収納作業が容易となる。
【００７１】
また、この下部搬送装置３８は、図２に示すように、取り外して作業してもよい。この場合においては、伝動系については、前記入力プーリＡ２からのベルトを外すのみでよいので、能率の良い作業が可能となる。
【００７２】
前記複数の移送装置１１の前端側部へ設ける分草装置３２の円形状の分草板３２ｂを装着する取付板３２ａについては、図１４で示すように、正面視左側へ所定角度（α１）で傾斜させている。この所定角度（α１）で傾斜した取付板３２ａへ茎部を掻込み移送する円形状の分草板３２ｂを設けていることにより、この分草板３２ｂも同じ角度に傾斜させるように構成している。
【００７３】
これにより、隣接する前記分草板３２ｂ、３２ｂ間に、上下及び左右に隙間が増加して通路が拡大されるようになり、詰り発生が防止できるようになる。又、塵埃、及び稈屑等が滑り落ちて、更に詰りを解消できる。
【００７４】
前記複数の各移送装置１１のチェン１１ａには、所定間隔で移送片１１ｊを設けているが、チェン１１ａの回転速度よりもリール装置７の回転速度を所定回転高速にすると共に、走行装置３の走行クローラ３ａの車速に対して、上記各回転を追従させて設けている。
【００７５】
これにより、前記リール装置７の回転速度の方が、各移送装置１１の各チェン１１ａよりも高回転速度にしたことにより、機体１ａ内への取り込み側にリール装置７が作用するようになるので、各移送装置１１上のひまわりを適切に取り込むことが可能となる。即ち、ひまわりの取り込み失敗（ヘッドロス）を防止できるようになる。
【００７６】
前記複数の移送装置１１の各チェン１１ａの後方上部の平行面部（ニ）と、リール装置７のリールタイン７ａ回転外周の下端部（ハ）との間の隙間は、図１３で示すように、最小隙間（Ｈ１）にして設けている。最小隙間（Ｈ１）とは、リールタイン７ａがチェン１１ａに当接しない限界の距離である。
【００７７】
これにより、前記各移送装置１１の移送終端部近傍は、上下移動調節しない構成としているので、その上方部にリール装置７の各リールタイン７ａの最接近する最下端部（ハ）点を配置するが、その隙間についてはほとんど変化しないために、花托部の移送が可能になる。
【００７８】
複数の移送装置１１の各チェン１１ａには、所定間隔に移送プレート１１ｊを設けると共に、図１７及び図１８で示すように、切断装置８の後側にフレーム３９ａを設けている。そして、駆動用の後上軸１２ｃの上側であって各移送装置１１間には、略Ｌ字形の各ガイド３９ｂを、フレーム３９ａの上側面へ装着して設けている。
【００７９】
これにより、前記各ガイド３９ｂを設けることにより、駆動用の後上軸１２ｃ上の移送がスムーズになる。又、この後上軸１２ｃへの巻き付きを防止、及び通路の障害による詰りを解消することができる。
【００８０】
図１２及び図１８で示すように、左右両外側の各移送装置１１の外側には、左右のカバー３５ｅ、３５ｅを設ける構成としている。このカバー３５ｅ、３５ｅと、左右両外側の各移送装置１１、１１との間においては、図１８に示すように、所定間隔Ｌ３、Ｌ３を設けている。この所定間隔Ｌ３、Ｌ３部分へひまわりの茎部が導入されたときであっても、ひまわりは後方部へ移送されて、ひまわりの花托部は第一切断装置８で切断できる構成としている。
【００８１】
これにより、刈取り幅の増加を図ることができる。又、二条列や多条列の収穫も可能になる。
また、前記所定間隔Ｌ３、Ｌ３にひまわりの茎稈が挿入されて花托部が切断され、残った残茎部は後方の走行装置３の左右両側の走行クローラ３ａ、３ａで踏み付けするようにしてもよい。
【００８２】
これにより、残茎部を再利用しない時には、前記所定間隔Ｌ３、Ｌ３にひまわりの茎部二条列が個別に挿入されるように運転操作し、花托部が切断された後に、花托部切断済みの残茎部を左右両側の各クローラ３ａで踏み付けることにより、後処理が不要となる。この場合においては、第二切断装置２１は駆動しないが、駆動しても問題はない。
【００８３】
前記搬送装置１０の上側前部に案内板１０ｃを設け、この案内板１０ｃの下側へ供給口１０ｄを設けると共に、この供給口１０ｄの前側へ設けた横移送装置９の掻込円筒９ａには、図１９〜図２０で示すように、取付板９ｅを軸心に対して移送方向に所定角度で傾斜させて設けている。この取付板９ｅへゴム材等よりなるゴム掻込板９ｆを設け、このゴム掻込板９ｆと移送装置１０の移送チェン１０ａに設けた移送ラグ１０ｂとが当接する状態に設けている。
【００８４】
これにより、前記ゴム掻込板９ｆを軸心に対して傾斜させて設けたことにより、このゴム掻込板９ｆが相手に対して、連続的に当接することで騒音もなく、又、傾斜させたことにより、被搬送物（種子、花托部等）の送り効果の向上を図ることができる。
【００８５】
図２１で示すように、前記脱穀装置５の扱室内には、扱胴５ｂを回転自在に軸支し、この扱胴５ｂの外径部には、移送始端部側に移送ラセン５ｃを二重に設けている。また、この移送ラセン５ｃの後側には、複数の扱歯５ｄ群を設けている。また、扱胴５ｂの下側には、脱穀処理物が漏下する脱穀網５ｆを張設している。
【００８６】
又、前記脱穀網５ｆの下側の選別室内には、被処理物を揺動選別する揺動選別装置５ｈを設け、この揺動選別装置５ｈの下側前部には、この揺動選別装置５ｈから落下する被処理物を風選する唐箕５ｊを設け、この唐箕５ｊの後側には、一番ラセン５ｍと、二番ラセン５ｎとを設けている。一番ラセン５ｍ内に取り込まれた一番物（種子）は、右横外側へ設けた昇降機５ｅで貯留タンク５ａ内へ揚送供給され、この貯留タンク５ａ内へ一時貯留される。二番ラセン５ｎ内に取り込まれた二番物は、右横外側へ設けた二番用の昇降機５０で揚送されて、扱室や棚上等へ還元されて再度脱穀処理される。
【００８７】
前記扱胴５ｂの外径部の後方部（複数の扱歯５ｄ群の後方）へ設ける移送ラセン５１を設ける構成としている。これにより、移送ラセン５１で脱穀しながら脱被処理物を早く後方へ搬送可能となる。
【００８８】
図２２で示すように、前記移送ラセン５１は、複数個に分割する構成としている。分割した移送ラセン５１を重合させて、ボルト及びナット等により締付けて一体的に形成する。又、分割した移送ラセン５１の下端部には、複数個の取付板５ｐを固着し、この各取付板５ｐを介してボルト及びナット等により、移送ラセン５１を扱胴５ｂの外径部へ装着するように構成している。
【００８９】
また、移送ラセン５１を複数個に分割する構成としているので、脱穀処理状態により、移送ラセン５１を取り外しできることで、良好な脱穀処理ができる。また、移送ラセン５１の一部が破損した場合、容易に交換可能となる。
【００９０】
前記コンバイン１の第二切断装置２１が位置する右横外側部の走行車台２には、図２３〜図２６で示すように、ガード装置４２を設けている。
前記ガード装置４２は、Ｌ字形状の取付板４２ａを走行車台２の右横前部と前側右部とへ装着する構成である。該取付板４２ａの前側面においては、パイプ材等よりなる逆Ｌ字形状の取付杆４２ｂを設け、この取付杆４２ｂの下側部分と取付板４２ａとには支持板４２ｃを設けている。また、この取付杆４２ｂの前側下端部には、受板４２ｄを設けている。該支持板４２ｃには、所定間隔で複数個のチェン４２ｅを吊り下げ状態に設けると共に、取付杆４２ｂに設けた受板４２ｄに所定間隔でチェン４２ｅを装着している構成である。
【００９１】
又、図２７で示すように、隣接するチェン４２ｅ、４２ｅを交互に、固定板４２ｆで接続して固定している。
更に、図２８で示すように、前記取付杆４２ｂを直線状に形成し、下側の支持板４２ｃへ複数個のチェン４２ｅを吊り下げ状態に設けると共に、隣接するチェン４２ｅ、４２ｅを固定板４２ｆで接続して固定している。
【００９２】
これにより、収穫作業を安全に行うことができる。又、吊り下げたチェン４２ｅは固定したことにより、走行クローラ３ａへ接触することを防止できる。
前記ガード装置４２は、図２９及び図３０で示すように、走行車台２へ設けている取付板４２ａの前側へ支持軸４３ａを設け、この支持軸４３ａにガイド板４３ｂを固着又は回動自在に設けている構成である。該取付板４２ａの右側には、上側面部を山形状に形成したステップ板４３ｃを固着して設け、作業者がコンバイン１へ搭乗する時のステップとする。ガード装置４２及びステップ板４３ｃとを装着した取付板４２ａを、走行車台２の右側前部と前側右部とへ装着している。
【００９３】
又、前記支持軸４３へ設けたガイド板４３ｂの上側部は、山形状に形成しており、作業者がコンバイン１へ搭乗する時に、ステップ兼用できるようにしてもよい。
これにより、収穫作業を安全に行うことができると共に、ステップを兼用できてコストダウンになり、又、コンバインへの搭乗が容易になる。
【００９４】
図３１で示すように、前記縦移送筒１８と、排出オーガ１９とは、空気搬送方式に構成したものにおいて、この排出オーガ１９の先端部には、排出筒２２を設け、この排出筒２２には、網部材で形成した上補助筒２２ａを設け、この上補助筒２２ａの下側には、樹脂材で形成した下補助筒２２ｂとを設けている。そして、収容袋２３で排出物を受けて収容するときに、上補助筒２２ａ部より、塵埃等を排出させるように構成することで、この収容袋２３部内に塵埃が吹き込むのを防止している。
【００９５】
又、前記下補助筒２２ｂを使用しないときには、排出オーガ１９の外径部へ巻き付けて収納する。このため、下補助筒２２ｂは、ビニールチューブ等で構成している。
更に、図３２で示すように、前記脱穀装置５内を清掃するときには、上・下補助筒２２ａ、２２ｂを使用して、移送風を送風して清掃する。又、図３３で示すように、収穫作業後にコンバイン１全体へ送風して清掃することもできる。これにより、衛生的な作業ができる。又、清掃も容易である。
【図面の簡単な説明】
【００９６】
【図１】コンバインの側面視における説明図
【図２】コンバインの側面視における作用説明図
【図３】コンバインの側面視における作用説明図
【図４】コンバインの全体平面図
【図５】移送装置のチェン部の拡大平面図
【図６】移送装置のチェン部の拡大側面図
【図７】移送装置部の拡大側面図
【図８】第二切断装置部の拡大側面図
【図９】第二切断装置部の拡大平面図
【図１０】第二切断装置部の拡大側面図
【図１１】第二切断装置部の側面図
【図１２】移送装置部の平面図
【図１３】分草装置部と、移送装置部との拡大側面図
【図１４】受装置部の拡大正面図
【図１５】受装置部の正面図
【図１６】分草装置と、左・右ガイドとの側面図
【図１７】切断装置と、ガイドと、移送装置との拡大側面図
【図１８】切断装置と、ガイドと、移送装置との拡大平面図
【図１９】掻込移送装置部と、搬送コンベア装置部との拡大側面図
【図２０】掻込移送装置のゴム掻込板部の平面図
【図２１】脱穀装置部の拡大側断面図
【図２２】脱穀装置の移送プレートの拡大平面斜視図
【図２３】コンバインのガード装置取付部の右側側面図
【図２４】コンバインのガード装置取付部の平面図
【図２５】ガード装置の拡大側面図
【図２６】ガード装置の拡大正面図
【図２７】ガード装置の拡大側面図
【図２８】ガード装置の拡大側面図
【図２９】コンバインのガード装置取付部の右側側面図
【図３０】ガード装置の拡大側面斜視図
【図３１】コンバインの排出装置部の側面図
【図３２】コンバインの排出装置で清掃時の側面図
【図３３】コンバインの排出装置で清掃時の側面図
【符号の説明】
【００９７】
１ａ 機体
３ 走行装置
３ａ 走行クローラ
４ 刈取装置
５ 脱穀装置（脱粒装置）
８ 第一切断装置
９ 横移送装置
１０ 搬送コンベア装置（搬送装置）
１１ 移送装置
２１ 第二切断装置
【特許請求の範囲】
【請求項１】
機体（１ａ）の下部に設ける走行装置（３）と、機体（１ａ）の前部に設けてひまわり等の植物を刈り取り後方へ移送する刈取装置（４）と、該刈取装置（４）の後側に設けて種子を脱粒させる脱粒装置（５）とを備える収穫機において、前記刈取装置（４）には、植立状態の植物を切断する第一切断装置（８）と、該第一切断装置（８）によって切断した植物を所定位置へ移送する横移送装置（９）と、該横移送装置（９）によって移送された植物を引き継いで脱穀装置（５）へ供給する搬送装置（１０）とを設け、前記横移送装置（９）の前側に幅狭に形成した複数の移送装置（１１）を左右方向に互いに間隔をおいて配置すると共に、横移送装置（９）の後側に第二切断装置（２１）を設けたことを特徴とする収穫機。
【請求項２】
前記走行装置（３）の左右両側へ設けた左右の走行クローラ（３ａ，３ａ）間の間隔部の前側に前記第二切断装置（２１）を設けたことを特徴とする請求項１に記載の収穫機。
【請求項１】
機体（１ａ）の下部に設ける走行装置（３）と、機体（１ａ）の前部に設けてひまわり等の植物を刈り取り後方へ移送する刈取装置（４）と、該刈取装置（４）の後側に設けて種子を脱粒させる脱粒装置（５）とを備える収穫機において、前記刈取装置（４）には、植立状態の植物を切断する第一切断装置（８）と、該第一切断装置（８）によって切断した植物を所定位置へ移送する横移送装置（９）と、該横移送装置（９）によって移送された植物を引き継いで脱穀装置（５）へ供給する搬送装置（１０）とを設け、前記横移送装置（９）の前側に幅狭に形成した複数の移送装置（１１）を左右方向に互いに間隔をおいて配置すると共に、横移送装置（９）の後側に第二切断装置（２１）を設けたことを特徴とする収穫機。
【請求項２】
前記走行装置（３）の左右両側へ設けた左右の走行クローラ（３ａ，３ａ）間の間隔部の前側に前記第二切断装置（２１）を設けたことを特徴とする請求項１に記載の収穫機。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【図２６】
【図２７】
【図２８】
【図２９】
【図３０】
【図３１】
【図３２】
【図３３】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【図２６】
【図２７】
【図２８】
【図２９】
【図３０】
【図３１】
【図３２】
【図３３】
【公開番号】特開２００７−２５２２５９（Ｐ２００７−２５２２５９Ａ）
【公開日】平成１９年１０月４日（２００７．１０．４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−７９７５９（Ｐ２００６−７９７５９）
【出願日】平成１８年３月２２日（２００６．３．２２）
【出願人】（００００００１２５）井関農機株式会社 (3,813)
【出願人】（５９２１３４５８３）愛媛県 (53)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年１０月４日（２００７．１０．４）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年３月２２日（２００６．３．２２）
【出願人】（００００００１２５）井関農機株式会社 (3,813)
【出願人】（５９２１３４５８３）愛媛県 (53)
【Ｆターム（参考）】
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