説明

受信装置

【課題】 放送局の切り替えが行われた際に、高速で出力装置に映像や音声を出力させる情報を送信することのできる受信装置を提供する。
【解決手段】 受信装置1は、複数の受信系統20を備えてダイバーシティ方式による受信を可能とする受信装置1であって、放送局の論理チャンネルリストと予測チャンネルリストを記憶する記憶手段と、予測チャンネルリストを生成するリスト生成手段と、制御手段と、を備え、制御手段は、選局が行われる度に、複数の受信系統20の内の少なくとも一つの受信系統20に、選局対象とは異なる放送局であって、予測チャンネルリストにおいて選局対象の次に配置される放送局の放送を予め受信させておくことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の受信系統を用いて無線放送を受信する受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地上デジタルテレビ放送や地上デジタル音声放送等の地上デジタル放送を受信装置で受信し、ディスプレイやスピーカなどの出力装置によって映像や音声を出力する機器が、自宅などに設置されるテレビなどの固定機器に限ることなく、携帯電話などの携帯機器や自動車などに搭載され広く利用されている。
【0003】
この地上デジタル放送は、時間インタリーブ技術及び復号化処理によって、受信されてから出力装置によって映像及び音声が出力されるまでに所定時間を必要とするため、受信後の処理の高速化など、放送局の切替え時間に対する短縮化が要望されている。
【0004】
選局を高速化する方法としては、チャンネル数に対応する多数の受信系統を搭載して、夫々の受信系統で同時に受信系統毎に割り当てられた放送局の放送の受信を行う方法が考えられるが、この場合、受信系統の数が増加してしまうといった問題点が生じ、又、多数の回路が同時に動作するために消費電力が大きくなってしまうといった問題点もあるため、実用的ではない。
【0005】
そして、複数の受信系統を利用する受信装置に関する提案は種々されており、例えば、特開2004−320406号公報(特許文献1)では、二つの受信系統を備え、ダイバーシティ方式の受信を可能とする受信装置であって、電波が安定しているときなどに、一の受信系統で一のチャンネルを受信中に、他の受信系統で隣接地域などの他のチャンネルを順次受信して予め記憶(プリセット)しておき、隣接地域に移動したときにその地域の放送チャンネルをサーチすることなく、シームレスな放送受信を可能とする受信方法が提案されている。
【0006】
これは、地上デジタル放送が、地域ごとに放送局の物理チャンネルが異なり、出力装置を有するユーザが移動することによって受信地域が変った場合、通常であればチャンネルスキャンを実行して、新しい受信地域の放送局の情報を記憶(プリセット)する必要があり、チャンネルスキャンに多くの時間を要するため、この時間を省略することを目的として提案されているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−320406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、特許文献1に記載の発明は、電波が不安定のときはダイバーシティ受信を行い、電波が安定しているときなどに一の受信系統にチャンネルスキャンを実行させて受信可能なチャンネルをプリセットして、新たにチャンネルスキャンをする際の時間を省略することができるも、ユーザによる選局操作に応じた放送局の変更をする際の時間を短縮させるようなものではなかった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、複数の受信系統を備え、選局が行われない状態にあってはダイバーシティ方式による高品質受信を実現し、少なくとも一つの受信系統に次に選局対象となる放送局を予め受信させておくことにより、選局の高速化を実現した受信装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の受信装置は、複数の受信系統を備えてダイバーシティ方式による受信を可能とする受信装置であって、放送局の論理チャンネルリストと予測チャンネルリストを記憶する記憶手段と、前記予測チャンネルリストを生成するリスト生成手段と、制御手段と、を備え、前記制御手段は、選局が行われる度に、前記複数の受信系統の内の少なくとも一つの受信系統に、選局対象とは異なる放送局であって、前記予測チャンネルリストにおいて前記選局対象の次に配置される放送局の放送を予め受信させておくことを特徴とする。
【0011】
又、前記制御手段は、選局が行われる度に、前記記憶手段に選局実績を記憶させ、前記リスト生成手段は、前記記憶手段に随時記憶される前記選局実績に基づいて適宜実績記録予測チャンネルリストを生成することを特徴とする。
【0012】
そして、前記リスト生成手段は、曜日及び時間帯毎に前記実績記録予測チャンネルリストを生成することもある。
【0013】
又、前記リスト生成手段は、予め前記記憶手段に記憶された前記論理チャンネルリストと同一の配置構成となるように順次選局予測チャンネルリストを生成することもある。
【0014】
更に、この受信装置は、少なくとも三つ以上の受信系統を備え、少なくとも一つの受信系統に特定の放送局を常に受信させておくこともできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の受信系統を備え、選局が行われない状態にあってはダイバーシティ方式による高品質受信を実現し、少なくとも一つの受信系統に次に選局対象となる放送局を予め受信させておくことにより、選局の高速化を実現した受信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例に係る受信装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施例に係る受信装置に利用される論理チャンネルリストと予測チャンネルリストを示す図である。
【図3】本発明の実施例に係る受信装置の処理動作の例を示すタイムチャートである。
【図4】本発明の実施例に係る受信装置の処理動作の例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例に係る受信装置の処理動作の例を示すタイムチャートである。
【図6】本発明の実施例に係る受信装置の処理動作の例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態を述べる。本発明の受信装置1は、二つの受信系統20を備えてダイバーシティ方式による受信を可能とする受信装置1である。この受信装置1は、放送局の論理チャンネルリスト、実績記録予測チャンネルリスト及び順次選局予測チャンネルリストを記憶する記憶手段としてのチャンネルメモリ4と、実績記録予測チャンネルリスト及び順次選局予測チャンネルリストを生成するリスト生成手段と、制御手段としての制御部10と、を備えている。
【0018】
この制御手段は、選局が行われる度に、一つの受信系統20に、選局対象とは異なる放送局であって、実績記録予測チャンネルリスト或いは順次選局予測チャンネルリストにおいて選局対象の次に配置される放送局の放送を予め受信させておくことができるため、選局が行われたときに直ちに放送局を切替えることができる。又、制御手段は、選局が行われる度に、記憶手段に選局実績を記憶させる。
【0019】
リスト生成手段は、初期状態にあっては予め記憶手段に記憶された論理チャンネルリストと同一の配置構成となるように実績記録予測チャンネルリストを生成し、記憶手段に随時記憶される選局実績に基づいて適宜実績記録予測チャンネルリストを修正する。更に、リスト生成手段は、曜日及び時間帯毎に実績記録予測チャンネルリストを生成する。これにより、ユーザの曜日及び時間帯毎の選局予測をして、次に選局されると予測される放送局を予め一つの受信系統20に受信させておくことができるため、選局をスムーズに行うことができる。
【0020】
又、リスト生成手段は、予め記憶手段に記憶された論理チャンネルリストと同一の配置構成となるように順次選局予測チャンネルリストを生成する。これにより、論理チャンネルリスト番号順に選局が行われたときに、放送中の論理チャンネル番号の次の番号(或いは前の番号)に対応する放送局を予め一つの受信系統20に受信させておくことができるため、選局をスムーズに行うことができる。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。図1は、本発明の実施例に係る受信装置1の機能ブロック図である。
【0022】
本発明の受信装置1は、第一受信系統20a及び第二受信系統20bの二つの受信系統20を備えてダイバーシティ方式による受信を可能とする受信装置1である。ここで、ダイバーシティ方式による受信とは、複数のアンテナにより受信した同一の無線信号について、受信状況の優れたアンテナの信号を優先的に用いる技術を利用した受信のことをいう。本実施例においては、夫々のアンテナ5に、チューナ6、復調回路7、分離回路8、復号回路9を接続して第一及び第二受信系統20a,20bとすることによって、ダイバーシティ方式による受信を可能としている。
【0023】
そして、この受信装置1は、制御手段とされる制御部10、入力手段としての入力部3や表示手段としての表示部14、複数のチャンネルリストを記憶する記憶手段としてのチャンネルメモリ4、第一及び第二受信系統20a,20b、選択回路12やタイマ(図示せず)を備え、受信した映像や音声等の情報を出力装置2に送信することができるようになっている。
【0024】
入力部3は、入力手段とされるものであって、放送局に割り当てられた論理チャンネル番号に対応するチャンネルスイッチや、論理チャンネルリスト順に選局を実行させる次局選択スイッチや前局選択スイッチ等によって構成され、選局操作がユーザによって行われた際に、操作信号を制御手段に送出する。
【0025】
表示部14は、表示手段とされる液晶ディスプレイである。この表示手段には、入力手段からの操作信号に基づいて、選局された論理チャンネルの番号や周波数、各種の設定のための選択メニュー、各種の処理に関するメッセージ等が表示される。尚、表示部14は、受信装置1に設けることなく、出力装置2の表示手段を利用して各種の表示を行うこととしてもよい。
【0026】
制御手段とされる制御部10は、マイクロコンピュータとしてのCPUと、各種のシステムプログラムが記憶されたROM及びワークメモリとしてのRAMと、から構成されるものであり、制御部10は、入力部3からの操作信号に応じて、又は自動でROMに予め記憶されているシステムプログラムを起動させ、RAMをワークメモリとして回路各部の動作を制御する。
【0027】
チャンネルメモリ4は、放送局の論理チャンネルリストと予測チャンネルリストを記憶する記憶手段とされるものである。予測チャンネルリストには、実績記録予測チャンネルリストと順次選局予測チャンネルリストとがある。又、このチャンネルメモリ4は、ユーザの選局実績も記憶する。ここで、論理チャンネルリストは、図2(a)に示すように、予めチャンネルスキャンによって、当該受信エリアにおいて受信可能な全ての放送局に関する情報が記憶(プリセット)されたリストである。
【0028】
この論理チャンネルリストは、例えば、論理チャンネル1番には放送局A(物理チャンネル27)、論理チャンネル2番には放送局B(物理チャンネル26)を割り当て、論理チャンネル3番には放送局を割り当てずに論理チャンネル4番には放送局Cを割り当て、以下同様にDからHまでの放送局に論理チャンネル5番から9番を割り当てて、論理チャンネル番号順に配置構成されているものである。
【0029】
これにより、例えば、C局の放送が出力されているときに次局選択スイッチを操作すれば、論理チャンネル4番の次の番号である5番に対応するD局の放送を出力させることができ、C局の放送が出力されているときに前局選択スイッチを操作すれば、論理チャンネル4番の前の番号である3番に放送局が割り当てられていないため、更に前の番号である論理チャンネル2番に対応するB局の放送を出力させることができる。又、C局の放送が出力されているときに、チャンネルスイッチの7番を操作すれば、論理チャンネル7番に対応するF局を出力させることができる。
【0030】
又、制御手段は、リスト生成手段とされるものであり、記憶手段に随時記憶される選局実績に基づいて適宜実績記録予測チャンネルリストを修正する。更に、リスト生成手段としての制御手段は、プリセット時に記憶手段に記憶された論理チャンネルリストと同一の配置構成となるように順次選局予測チャンネルリストを生成する。
【0031】
つまり、リスト生成手段によって生成される実績記録予測チャンネルリストは、図2(b)に示すように、初期状態にあっては予めプリセットされた論理チャンネルリストと同一の配置構成とされるものであるが、ユーザの選局実績に応じて、適宜修正されるものである。又、リスト生成手段によって生成される順次選局予測チャンネルリストは、予めプリセットされた論理チャンネルリスト(図2(a)参照)と同一の配置構成とされるものであり、プリセットする度に更新される。
【0032】
そして、この受信装置1は、図1に示したように、2つの受信系統20を有している。アンテナ5は、放送局の無線信号を受信し、チューナ6は、制御部10からの信号に基づいてアンテナ5から入力される無線信号における特定の周波数を増幅することで当該周波数を分離選別(選局)し、復調回路7に変調信号を送出する。復調回路7は、入力された変調信号を復調して、制御部10に受信情報を送出するとともに映像、音声、データ放送やEPG(Electronic Program Guide)、選局に必要な情報などが含まれるTS(Transport Stream)パケットなどの多重化信号を分離回路8に送出する。ここで、制御部10に送出される受信情報は、信号強度や受信品質等の受信状況を示す情報であって、ダイバーシティ方式の受信における受信系統20の切替え判断に用いられる。
【0033】
分離回路8は、入力された多重化信号を分離して映像、音声のパケットを復号回路9へ送出し、データ放送のパケットは制御部10に送出する。復号回路9は、分離された映像信号と音声信号を復号する。復号された映像信号と、制御部10で処理された字幕やデータ放送の画像などは、図示しない画像重畳部で重ね合わされた信号とされ、音声信号とともに選択回路12を介して出力装置2に送信される。
【0034】
選択回路12は、制御部10からの信号に基づいて、何れか一方の受信系統20と接続されて、接続した受信系統20からの信号を出力装置2へ送信することができるようになっている。
【0035】
つまり、本実施例の受信装置1は、二つの受信系統20を備えて、当該二つの受信系統20に同一の放送局を受信させ、制御部10が入力される受信情報に基づいて受信状況のよい受信系統20を判定し、スイッチ切替え信号(接続信号或いは切断信号)を選択回路12に送出することで受信状況のよい受信系統20を選択回路12に接続させて出力装置2に映像等を出力させることで、ダイバーシティ方式の受信が可能となっている。
【0036】
又、この受信装置1は、二つの受信系統20に夫々異なる放送局を受信させることもできるため、選局が行われたとき、第一受信系統20aには選局対象の受信をさせ、第二受信系統20bには当該選局対象とは異なる放送局を予め受信させておくことで、続けて選局が行われたときに、直ちに第二受信系統20bに受信させておいた放送局の放送を出力させることができる。
【0037】
そして、予め受信させておく放送局は、実績記録予測チャンネルリスト或いは順次選局予測チャンネルリストに基づいて決定することができるため、スムーズに選局を行うことができる。具体的には、順次選局予測チャンネルリストは、論理チャンネルリストと同一の構成となっているため、次局選択スイッチが操作されたときには、一方の受信系統20に選局対象を受信させて直ちに出力させ、他方の受信系統20に選局対象の次の論理チャンネル番号に対応する放送局の受信を行わせて待機状態としておくことで、続けて選局操作が実行されたときに、直ちに次の放送局の放送を出力させることができる。
【0038】
又、実績記録予測チャンネルリストは、曜日及び時間帯毎に生成される。即ち、特定の曜日における特定の時間帯において選局される可能性の高い放送局を上位の候補として位置づけ、時間帯によって夫々異なる構成とされる。例えば、月曜日の7時前後において最も選局率の高い放送局がA局、2番目に選局率の高い放送局がC局、次いでE局、B局の順である場合、A局の予測チャンネルが1番、C局の予測チャンネルが2番、E局の予測チャンネルが3番、B局の予測チャンネルが4番というように、実績データに基づいて選局の頻度の高い順に予測チャンネルが配置されることになる。
【0039】
このように実績記録予測チャンネルリストを構築すれば、選局操作が実行される前に、ダイバーシティ方式の受信を中断して、一方の受信系統20に当該時間帯において選局されると予測される放送局を受信させ待機させておくことができるため、最初の選局時にも直ちに放送局を切替えて放送を出力させることができる。又、所定の時間になっても選局操作が実行されない場合、選局を促すメッセージを表示手段に表示させることもできる。これにより、ユーザは、見たい番組を逃すことなく、スムーズに放送局を切替えて当該番組を鑑賞することができる。
【0040】
次に、図3及び図4を参照して本実施例の受信装置1における処理動作について具体的に述べる。図3は、受信装置1の処理動作の例を示すタイムチャートであり、図4は、受信装置1の処理動作の例を示すフローチャートである。尚、この処理は、図2(a)に示した論理チャンネルリストと同一の配置構成とされている順次選局予測チャンネルリストを用いた場合の例について述べる。又、処理動作中の受信処理とは、アンテナ5が受信する無線信号をチューナ6によって分離選別し、復調回路7によって復調し、分離回路8によって分離し、復号回路9によって復号し、復号化した映像等の信号を送出する一連の処理のことを指す。
【0041】
先ず、C局がダイバーシティ方式によって受信され出力されているとき(ステップS100)に、ユーザが入力手段を操作してD局を選択すると、入力手段からD局選択の信号が制御手段に送出されるとともに、当該信号が記憶手段に送出され実績データとして記憶されるD局選択処理(ステップS105)が実行される。
【0042】
D局選択処理(ステップS105)が実行されると、制御手段は、接続信号を選択回路12に送出して選択回路12を第一受信系統20aに接続させる選択回路接続処理(ステップS110)を実行する。これにより、ダイバーシティ方式により受信していたC局を第一受信系統20aによって継続して受信させ、当該放送を出力させることができる(ステップS113)。
【0043】
又、D局選択処理(ステップS105)が実行されたとき、制御手段は、切断信号を選択回路12に送出して選択回路12を第二受信系統20bから切り離す選択回路切断処理(ステップS120)を実行する。そして、制御手段は、第二受信系統20bにD局の受信処理(ステップS123)を実行させる。
【0044】
又、制御手段は、受信判定処理(ステップS125)によってD局の受信情報が入力されてD局の受信を判別したとき、第二受信系統20bを選択回路12に接続する選択回路接続処理(ステップS127)を実行するとともに、第一受信系統20aを選択回路12から切り離す選択回路切断処理(ステップS115)を実行する。受信判定処理(ステップS125)において、D局の受信が判別できないときは、判別されるまでD局の受信を試みる(ステップS123)。尚、受信装置1に内蔵されるタイマによる時間計測により所定の時間が経過しても受信が判別できないときには、受信が不可能である旨をメッセージとして表示手段に表示させて、次の放送局を選択させるように促してもよい。
【0045】
そして、第二受信系統20bが選択回路12に接続される選択回路接続処理(ステップS127)が実行されると、映像信号等が出力装置2に送信され、D局の放送が出力される(ステップS129)。又、第一受信系統20aが選択回路12から切断される選択回路切断処理(ステップS115)が実行されると、制御手段は、順次選局予測チャンネルリストにしたがって、D局に対応する論理チャンネル5番の次の番号である論理チャンネル6番に対応するE局の受信処理(ステップS117)を第一受信系統20aに実行させる。そして、第一受信系統20aは、受信した情報の復号化処理等の各処理を行うが、当該第一受信系統20aは選択回路12に接続されていないため、E局の放送は出力されることなく待機状態(ステップS119)とされる。
【0046】
そして、ユーザが続けて次局選択スイッチを操作してE局を選択すると、制御手段は、E局選択処理(ステップS130)を実行する。そして、第一受信系統20aは、予めE局の放送を受信して待機状態とされているため、制御手段が選択回路12を第一受信系統20aに接続させる選択回路接続処理(ステップS140)を実行することにより、E局選択後直ちにE局の放送が出力される(ステップS145)。
【0047】
そして、E局選択信号が制御手段に入力されると(ステップS130)、制御手段は第ニ受信系統20bを選択回路12から切り離す選択回路切断処理(ステップS150)を実行し、順次選局予測チャンネルリストにしたがって、E局に対応する論理チャンネル6番の次の番号である論理チャンネル7番に対応するF局の受信処理(ステップS153)を実行し、F局は待機状態とされる(ステップS155)。
【0048】
更に続けて選局が行われれば、予測チャンネルリストにしたがって、ステップS130〜ステップS155までと同様の処理が各受信系統20で交互に実行されることとなる。
【0049】
そして、制御手段は、視聴対象局が確定したと判断したとき(ステップS200)、当該視聴対象局を二つの受信系統20に受信させ、復調回路7から当該制御手段に入力される受信情報に基づき、受信状況の良好な受信系統20を判定して、受信状況の良好な一方の受信系統20を選択回路12と接続し、他方の受信系統20を選択回路12から切り離すことでダイバーシティ方式の受信を実行する(ステップS210)。
【0050】
尚、視聴対象局の確定判断は、受信装置1に内蔵するタイマが所定時間を計測し、所定時間が経過しても、入力手段から制御手段に選局操作信号が入力されなかった場合に視聴対象局が確定したと判断してもよいし、ユーザに確定させる操作を実行させて確定判断をすることとしてもよい。
【0051】
つまり、この受信装置1は、夫々の受信系統20で交互に次に選択されると予測される放送局を予め受信して待機状態としておき、待機状態の放送局が選局されたときに、直ちに当該放送局の映像等を出力することができる。又、この受信装置1は、視聴対象局が確定したとき、ダイバーシティ方式の受信に移行して、安定して高品質な映像等を出力することができる。
【0052】
又、次局選択スイッチ或いは前局選択スイッチではなく、論理チャンネル番号に対応するチャンネルスイッチが操作された場合には、実績記録予測チャンネルリストを利用して上記と同様の制御手段による処理が実行される。そして、実績記録予測チャンネルリストは選局率の高い順に配置構成されているため、特定の曜日、時間帯において、選択されると予測される放送局の放送を、一方の受信系統20に予め受信させておくことで、選局をスムーズに実行することができる。
【0053】
つまり、実績記録予測チャンネルリストを利用すれば、選局操作が実行される前に、ダイバーシティ方式の受信を自動で中断して、当該時間帯において選局されると予測される放送局を一方の受信系統20に予め受信させておくことにより、最初の放送局の変更も高速で行うことができる。
【0054】
したがって、本発明によれば、二つの受信系統20を備え、選局が行われない状態にあってはダイバーシティ方式による高品質受信を実現し、少なくとも一つの受信系統20に次に選局対象となる放送局を予め受信させておくことにより、選局の高速化を実現した受信装置1を提供することができる。
【0055】
そして、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。例えば、受信系統20は、三つ以上設けてもよい。以下、受信系統20を三つ有した場合の受信装置1の処理動作例について述べる。三つ有した場合の受信装置1の処理動作は、基本的には上記した処理動作と同じであるが、受信系統20が一つ増えたことにより、予測チャンネルリストの番号順にしたがって予め受信させておくことのできる放送局を二つにすることができる。
【0056】
この受信装置1は、図5に示すように、三つの受信系統20の全てを利用してD局(予測チャンネル5番)をダイバーシティ方式にて受信して出力しているときに、E局が選局されると、制御手段は、第一受信系統と選択回路12を接続してD局の受信を継続させて出力装置2にD局の放送を出力させる。同時に、制御手段は、選択回路12から第二及び第三受信系統を切り離し、夫々にE局(予測チャンネル6番)及びF局(予測チャンネル7番)に対する受信処理を実行させる。第二受信系統の受信処理が完了したとき、第二受信系統のみを選択回路12に接続するとともにその他の受信系統を切断し、当該第二受信系統によってE局の放送を出力し、第三受信系統はそのままF局を受信させた待機状態としておく。
【0057】
そして、第一受信系統にはG局(予測チャンネル8番)に対する受信処理を実行させ待機状態としておく。更に次の局としてF局(予測チャンネル7番)が選択されたときには、第三受信系統と選択回路12を接続することで直ちにF局を出力させることができる。又、このとき、第二受信系統にH局(予測チャンネル9番)の受信処理を実行させる。
【0058】
そして、視聴対象局が確定したときは、再び複数の受信系統でダイバーシティ方式による受信を行う。つまり、このように三つの受信系統を備えれば、選局操作が素早く行われたときにもスムーズに選局を行うことができる。又、実測用予測チャンネルリストを利用する場合は、第二候補の予測チャンネルに対応する放送局を予め受信しておくこともできる。更に、選局が行われていないときにはダイバーシティ方式による高品質受信を実現できる。
【0059】
又、三つ以上の受信系統を備えることで、図示するように、ダイバーシティ方式による高品質受信中に、一つの受信系統を裏番組の録画用として利用することもできる。
【0060】
そして、三つ以上の受信系統を有する受信装置1は、特定局をユーザによって設定させ、或いは、最も頻繁に選局を行っている放送局を特定局として実績記録予測チャンネルリストなどに基づいて自動で決定して、図6に示すように、ダイバーシティ方式による受信中や、選局中に(図示せず)、常に特定局を受信させ待機状態とさせておくこととすれば、ユーザが常に高速で選局したい放送局或いはユーザが頻繁に選局する放送局を特定局として、確実に高速で出力させることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 受信装置 2 出力装置
3 入力部 4 チャンネルメモリ
5 アンテナ 6 チューナ
7 復調回路 8 分離回路
9 復号回路 10 制御部
12 選択回路 14 表示部
20 受信系統 20a 第一受信系統
20b 第二受信系統


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受信系統を備えてダイバーシティ方式による受信を可能とする受信装置であって、
放送局の論理チャンネルリストと予測チャンネルリストを記憶する記憶手段と、
前記予測チャンネルリストを生成するリスト生成手段と、
制御手段と、を備え、
前記制御手段は、選局が行われる度に、前記複数の受信系統の内の少なくとも一つの受信系統に、選局対象とは異なる放送局であって、前記予測チャンネルリストにおいて前記選局対象の次に配置される放送局の放送を予め受信させておくことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記制御手段は、選局が行われる度に、前記記憶手段に選局実績を記憶させ、
前記リスト生成手段は、前記記憶手段に随時記憶される前記選局実績に基づいて適宜実績記録予測チャンネルリストを生成することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記リスト生成手段は、曜日及び時間帯毎に前記実績記録予測チャンネルリストを生成することを特徴とする請求項2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記リスト生成手段は、予め前記記憶手段に記憶された前記論理チャンネルリストと同一の配置構成となるように順次選局予測チャンネルリストを生成することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の受信装置。
【請求項5】
少なくとも三つ以上の受信系統を備え、
少なくとも一つの受信系統に特定の放送局を常に受信させておくことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の受信装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−233068(P2010−233068A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79853(P2009−79853)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】