説明

吸引装置およびこれを搭載した吸引車

【課題】簡便な改造により、吸引作業時の燃料消費量を低減することが可能な吸引装置およびこれを搭載した吸引車の提供。
【解決手段】回収対象物を回収するレシーバタンクと、レシーバタンク内の空気を減圧するためのブロワと、ブロワに連結されてブロワを回転駆動するエンジン30と、レシーバタンク内の圧力を測定する連成計と、連成計に至るエア配管に分岐して設けられた圧力センサ34と、圧力センサ34により検出された圧力に応じてエンジン30の回転数を制御するアクセル制御装置33とを有することにより、簡単な改造で吸引作業時の燃料消費量を低減し、燃料代を削減することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負圧により吸引対象物をレシーバタンク内に吸引する吸引装置およびこれを搭載した吸引車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水道、マンホールや道路の側溝等における汚泥回収作業や、浄水場の泥砂回収作業などにおいて、汚泥や泥水などの回収対象物を、負圧を利用して吸引回収する吸引車が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この吸引車では、PTO(動力取出装置)を介して車両のエンジンの回転動力により駆動されるブロワにより、レシーバタンク内の空気を減圧して負圧とする。
【0003】
このような吸引車では、回転対象物をレシーバタンク内に吸引回収する際には、まずエンジン回転数をアイドル回転数としてPTOを介してブロワを回転駆動させる。このとき、吸引力はレシーバタンク内の真空度が高いほど、また、ブロアの風量が多いほど大きくなるので、所望の真空度と風量が得られるように、エンジンの回転数を設定する手動アクセルを回すことにより、電子ガバナーを調整して、エンジンの回転数(ブロワの回転数)を所定の回転数まで上昇させる。
【0004】
ところで、このようなレシーバタンク内の真空度の調整は、作業者が圧力計でレシーバタンク内の真空度を確認しながら、手動アクセルを操作する必要があり、作業開始当初に調整した後は高い回転数に固定されたままとなる。ところが、このように作業中にエンジンの回転数が高いままでは、エンジンの燃料費および騒音の面で問題が生じる。
【0005】
例えば特許文献2には、タンクに真空圧が生じたとき、真空圧を検出し、検出信号を生じさせる圧力センサと、圧力センサに接続され、圧力センサの検出信号に基づき、インジェクション装置を制御する制御機構とを備え、汚泥が吸引されるとき、インジェクション装置によってエンジンおよびブロワが高速化され、汚泥が吸引されないとき、インジェクション装置によってエンジンが低速化されるようにした汚泥吸引装置が記載されている。なお、この汚泥吸引装置では、圧力センサはブロワとタンクとを接続するパイプまたはタンクに設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−92733号公報
【特許文献2】特開2010−37807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載の汚泥吸引装置では、圧力センサがブロワとタンクとを接続するパイプまたはタンクに設けられているが、これらのパイプやタンクを改造して圧力センサを設けることは極めて大変である。
【0008】
そこで、本発明においては、簡便な改造により、吸引作業時の燃料消費量を低減することが可能な吸引装置およびこれを搭載した吸引車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の吸引装置は、回収対象物を回収するレシーバタンクと、レシーバタンク内の空気を減圧するためのブロワと、ブロワに連結されてブロワを回転駆動するエンジンと、レシーバタンク内の圧力を測定する連成計と、連成計に至るエア配管に分岐して設けられた圧力センサと、圧力センサにより検出された圧力に応じてエンジンの回転数を制御するアクセル制御装置とを有するものである。
【0010】
本発明によれば、圧力センサは、レシーバタンク内の圧力を測定する連成計に至るエア配管に分岐して設けるため、簡単な改造で良い。そして、この吸引装置では、圧力センサにより検出された圧力に応じてエンジンの回転数を制御することで、ブロワの回転数を制御し、吸引作業時の燃料消費量を低減することができる。
【0011】
また、本発明の吸引装置は、エンジンの回転数を設定する手動アクセルと、エンジンの回転数の手動制御と自動制御とを切り換える切換スイッチとを有し、アクセル制御装置は、切換スイッチが自動制御に切り換えられ、かつ圧力センサにより検出された圧力が所定の負圧より低い負圧のときは、エンジンの回転数をアイドル回転数とし、圧力センサにより検出された圧力が所定の負圧より高い負圧のときは圧力に応じてエンジンの回転数を手動アクセルにより設定された回転数以下で増減するものであることが望ましい。
【0012】
これにより、手動アクセルによりエンジンの回転数を設定して、切換スイッチを自動制御に切り換えると、圧力センサにより検出された圧力が所定の負圧より低い負圧のときは、エンジンの回転数がアイドル回転数となり、燃料消費量が低減される。そして、吸引作業を開始し、圧力センサにより検出された圧力が所定の負圧より高い負圧となると、その圧力に応じてエンジンの回転数が増減することにより、吸引に必要な負圧と風量を得ることができる。また、このときのエンジンの回転数は、手動アクセルにより設定された回転数以下で増減されるので、必要以上にエンジンが回転することがなく、無駄な燃料の消費が防止される。
【0013】
また、本発明の吸引装置は、連成計、圧力センサ、手動アクセル、切換スイッチおよびアクセル制御装置を内蔵する操作盤を有することが望ましい。これにより、操作盤において連成計を見ながら手動アクセルによりエンジンの回転数を設定し、切換スイッチを切り換えてエンジンの回転数の自動制御を開始することができる。
【0014】
また、アクセル制御装置は、エンジンを電子制御するエンジンコントロール装置に対してスロットルセンサと同様の電圧を出力することによりエンジンの回転数を制御するものであることが望ましい。これにより、アクセル制御装置の電圧出力をエンジンコントロール装置に接続するだけで良いため、エンジンコントロール装置の改造を行う必要がない。
【発明の効果】
【0015】
(1)回収対象物を回収するレシーバタンクと、レシーバタンク内の空気を減圧するためのブロワと、ブロワに連結されてブロワを回転駆動するエンジンと、レシーバタンク内の圧力を測定する連成計と、連成計に至るエア配管に分岐して設けられた圧力センサと、圧力センサにより検出された圧力に応じてエンジンの回転数を制御するアクセル制御装置とを有することにより、簡単な改造で吸引作業時の燃料消費量を低減し、燃料代を削減することが可能となる。
【0016】
(2)エンジンの回転数を設定する手動アクセルと、エンジンの回転数の手動制御と自動制御とを切り換える切換スイッチとを有し、アクセル制御装置は、切換スイッチが自動制御に切り換えられ、かつ圧力センサにより検出された圧力が所定の負圧より低い負圧のときは、エンジンの回転数をアイドル回転数とし、圧力センサにより検出された圧力が所定の負圧より高い負圧のときは圧力に応じてエンジンの回転数を手動アクセルにより設定された回転数以下で増減するものであることにより、所定の負圧より低い負圧のときは、エンジンの回転数がアイドル回転数となって燃料消費量が低減され、高い負圧となったときのみ、その圧力に応じてエンジンの回転数が増減し、吸引に必要な負圧と風量が得られるので、無駄な燃料消費がなくなり、燃料代を削減することができる。また、このときのエンジンの回転数は、手動アクセルにより設定された回転数以下で増減されるので、必要以上にエンジンが回転することがなく、さらに無駄な燃料の消費が防止される。
【0017】
(3)連成計、圧力センサ、手動アクセル、切換スイッチおよびアクセル制御装置を内蔵する操作盤を有することにより、操作盤において連成計を見ながら手動アクセルによりエンジンの回転数を設定し、切換スイッチを切り換えてエンジンの回転数の自動制御を開始することができ、操作性が良い。
【0018】
(4)アクセル制御装置が、エンジンを電子制御するエンジンコントロール装置に対してスロットルセンサと同様の電圧を出力することによりエンジンの回転数を制御するものであることにより、アクセル制御装置の電圧出力をエンジンコントロール装置に接続するだけで良いため、エンジンコントロール装置の改造を行う必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態における吸引車の側面図である。
【図2】図1の吸引車の平面図である。
【図3】図1の吸引車に搭載された吸引装置のエア系統図である。
【図4】図1の吸引車のエンジンの回転数制御系を示すブロック図である。
【図5】図1の吸引車の電気回路の一部を示す図である。
【図6】エンジンの回転数制御のフロー図である。
【図7】エンジン回転数のタイムチャートを比較した図であって、(a)は本発明の実施の形態における吸引車、(b)は従来の吸引車をそれぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明の実施の形態における吸引車の側面図、図2は図1の吸引車の平面図、図3は図1の吸引車に搭載された吸引装置のエア系統図である。
【0021】
図1および図2において、本発明の実施の形態における吸引車1は、車両10と、車両10に搭載された吸引装置20とから構成される。車両10は、キャブ11と、シャーシフレーム12とを有する。シャーシフレーム12には、エンジン30(図4参照。)、ドライブシャフト(図示せず。)、車輪13や、PTO(動力取り出し装置)14(図4参照。)とが取り付けられている。
【0022】
シャーシフレーム12に搭載されるサブフレーム21は、車両10の前後方向に延びている。吸引装置20は、このサブフレーム21を含み、サブフレーム21上に搭載される各機器で構成されている。サブフレーム21の後側部分には、回収対象物を回収する1次キャッチャとしてのレシーバタンク22が設置されている。なお、本明細書中においては、車両10のキャブ11側を前側、レシーバタンク22側を後側とし、レシーバタンク22側からキャブ11側に向かって車両10の右側を右側、左側を左側として説明する。
【0023】
レシーバタンク22は、後端に開口を有する本体22aと、後端の開口を開閉するテールゲート22bとを備えている。テールゲート22bは、本体22aの上部後端部にヒンジピン22cを介して回動自在に軸支されている。また、本体22aとテールゲート22bとの間には開閉シリンダ22dが配設されている。この開閉シリンダ22dを伸縮作動させることによってテールゲート22bは本体22aの後端開口を開閉する。
【0024】
また、レシーバタンク22の本体22aの上部には、エア配管50(図3参照。)が接続されている。テールゲート22bの下側には、回収対象物の吸引口となる開閉弁付き吸引口22eと、回収対象物の排出口となる開閉弁付き排出口22fとが設けられている。
【0025】
また、レシーバタンク22は、サブフレーム21に対して傾動ピン22gを介して傾動自在に軸支されている。サブフレーム21およびレシーバタンク22の間には傾倒シリンダ22hが配設されている。この傾倒シリンダ22hを伸縮作動させることにより、レシーバタンク22が傾動ピン22g周りに起立回動または倒伏回動する。なお、エア配管50は、レシーバタンク22の回動動作に対応するため、その一部がフレキシブルホース等の可撓材料で構成されている。
【0026】
サブフレーム21の前側部分には、2次,3次一体型キャッチャとしてのサイクロン式集塵機23と、4次キャッチャとしてのサイクロン式集塵機24と、レシーバタンク22内の空気を加減圧するためのブロワ25と、サイレンサ26,27とが配置されている。サイクロン式集塵機23,24は、共通のキャッチャタンク28上に設けられている。キャッチャタンク28内は隔壁(図示せず。)によってサイクロン式集塵機23側とサイクロン式集塵機24側とが分離されている。ブロワ25は、前述のPTO14を通じてエンジンにより回転駆動される。また、サブフレーム21の左側には後述する操作盤29が設けられている。
【0027】
次に、図3を参照して、吸引装置20のエア系統について説明する。
図3に示すように、レシーバタンク22の排気口22jとサイクロン式集塵機23の吸気口23aとは、エア配管50により接続されている。このエア配管50の途中にはバルブ61が設けられている。
【0028】
サイクロン式集塵機23の排気口23bには、エア配管52が接続されている。このエア配管52の先は、ブロワ25の吸気口25aに接続されている。サイレンサ27は、このエア配管52の途中に設けられている。一方、ブロワ25の排気口25bには、エア配管53が接続されている。このエア配管53の先は、サイレンサ26に接続されている。
【0029】
サイレンサ26の1つの排気口26aには、中途部にバルブ62が設けられたエア配管54が接続されている。エア配管54の先は、エア配管50のバルブ61とレシーバタンク22の排気口22jとの間に接続されている。また、サイレンサ26の別の1つの排気口26bには、中途部にバルブ63が設けられたエア配管55が接続されている。エア配管55の先は、サイクロン式集塵機24の吸気口24aに接続されている。サイレンサ26のさらに別の1つの排気口26cは、リリーフバルブ64を通じて大気解放されている。
【0030】
サイクロン式集塵機24の排気口24bは、大気解放されている。また、サイクロン式集塵機24の大気吸入口24cには、エア配管52からバイパスする配管56が接続されている。この配管の途中には、負荷開放弁65が設けられている。
【0031】
次に、図4および図5を参照して、吸引車1のエンジンの回転数制御系について説明する。図4は図1の吸引車1のエンジンの回転数制御系を示すブロック図、図5は圧力測定用のエア系統図である。
【0032】
図4に示すように、吸引車1は、エンジン30の回転数を調整する電子ガバナ31と、電子ガバナ31に制御電圧を送出することによりエンジン30を電子制御するエンジンコントロール装置としてのECU(エンジンコントロールユニット)32とを備えている。また、前述のように吸引車1のサブフレーム21の左側に設けられた操作盤29内に、図4に示すアクセル制御装置33、圧力センサ34、アクセルノブ35、アクセルセンサ36、モード切換トグルスイッチ37およびオートアクセルランプ37aが設けられている。また、操作盤29内には、図1に示すように連成計38および回転計39が設けられている。
【0033】
連成計38は、レシーバタンク22内の圧力(正および負のゲージ圧)を測定するものであり、レシーバタンク22とブロワ25とを接続するエア配管54の途中から引き出された圧力測定用のエア配管40(図5参照。)に接続されている。図5に示すように、圧力センサ34は、このエア配管40の途中に設けられた分岐管41にエア配管42を通じ、分岐して設けられている。圧力センサ34は、検出される圧力が所定の負圧より低い負圧(例えば、負圧が−20kPaより低い負圧)のときに接点出力がオンとなり、この所定の負圧より高い負圧(例えば、負圧が−20kPaより高い負圧)になると、負圧の高さに応じた電圧を出力するものである。また、エア配管40の途中であって分岐管41とエア配管54の間には急激な圧力変動を吸収するためのエアタンク43が設けられている。エアタンク43にはドレンバルブ44が設けられている。
【0034】
アクセル制御装置33は、この圧力センサ34により検出された圧力に応じ、ECU32に対してシャシ側スロットルセンサと同様の電圧(以下、「スロットル電圧」と称す。)を出力することにより、エンジン30の回転数を制御するものである。シャシ側スロットルセンサは、吸引車1のアクセルペダルの踏み量に応じたスロットル電圧を出力するものであり、ECU32は、通常このシャシ側スロットルセンサから入力されるスロットル電圧に応じてエンジン30を制御するものである。
【0035】
また、アクセルノブ35はエンジン30の回転数を手動により設定するための手動アクセルである。アクセルセンサ36はアクセルノブ35の操作量に応じた電圧を出力するものであり、アクセル制御装置33はこのアクセルセンサ36から入力された電圧に応じたスロットル電圧をECU32に対して出力する。また、モード切換トグルスイッチ37は、エンジン30の回転数の手動制御と自動制御とを切り換えるための切換スイッチである。オートアクセルランプ37aは、モード切換トグルスイッチ37により自動制御が選択された際に点灯するLEDランプである。
【0036】
上記構成の吸引車1では、吸引装置20によりレシーバタンク22内に回収対象物を吸引回収する場合、レシーバタンク22内の空気を減圧し、開閉弁付き吸引口22eに接続した図示しない吸引ホースを通じて外部からレシーバタンク22内に回収対象物を吸引する。このとき、本実施形態における吸引装置20では、以下の手順によりエンジンの回転数を制御する。図6はエンジンの回転数制御のフロー図である。
【0037】
まず、アクセル制御装置33の電源はオフの状態であり(S100)、吸引車1のエンジン30をかけ、キースイッチ(SW)30aがオンの状態で(S101)、アクセル制御装置33の電源はオンとなる(S102)。次に、PTO14のオン信号が入力されると(S103)、モード切換トグルスイッチ37が通常モードの場合には(S104)、アクセルノブ35の操作によりエンジン30の回転数を増減することができる(S105,S106)。
【0038】
アクセル制御装置33は、このアクセルセンサ36から入力された電圧に応じたスロットル電圧をECU32に対して出力する(S106)。これにより、ECU32から電子ガバナ31に制御電圧が送出され、エンジン30の回転数が調整される。
【0039】
一方、モード切換トグルスイッチ37がオートアクセルモードに切り換えられ(S104)、圧力センサ34の接点出力がオン(前述のように圧力が所定の負圧より低い負圧(例えば、負圧が−20kPaより低い負圧)のときにオン)のときは(S107)、アクセル制御装置33は、エンジン30の回転数がアイドル回転数となるようにECU32にスロットル電圧を出力する(S108)。
【0040】
そして、吸引作業を開始して、圧力センサ34により検出される圧力が前述の所定の負圧より高い負圧(例えば、負圧が−20kPaより高い負圧)になると、圧力センサ34の接点出力がオフとなり(S107)、負圧の高さに応じた電圧が圧力センサ34から出力される(S109)。アクセル制御装置33は、この圧力センサ34から入力された電圧に応じたスロットル電圧をECU32に対して出力する(S110)。これにより、ECU32から電子ガバナ31に制御電圧が送出され、圧力センサ34により検出される圧力に応じてエンジン30の回転数が増減され、調整される。そして、PTO14のオフ信号により、アクセル制御装置33の制御はオフとなる(S111)。
【0041】
なお、アクセル制御装置33は、負圧が高くなってもアクセルノブ35により設定されたエンジン30の回転数を超えないようにする。すなわち、アクセル制御装置33は、アクセルノブ35により設定されたエンジン30の回転数以下で増減するようにECU32に対してスロットル電圧を出力する。また、アクセル制御装置33は、アクセルノブ35の操作量に関わらず、エンジン30の使用最高回転数を超えないようにスロットル電圧を出力するようになっている。
【0042】
以上のように、本実施形態における吸引車1では、回収対象物を回収するレシーバタンク22と、レシーバタンク22内の空気を減圧するためのブロワ25と、ブロワ25に連結されてブロワ25を回転駆動するエンジン30と、レシーバタンク22内の圧力を測定する連成計38と、連成計38に至るエア配管54に分岐して設けられた圧力センサ34と、圧力センサ34により検出された圧力に応じてエンジン30の回転数を制御するアクセル制御装置33とを有する吸引装置20により、簡単な改造で吸引作業時の燃料消費量を低減し、燃料代を削減することが可能となる。
【0043】
また、この吸引装置20では、所定の負圧より低い負圧のときは、エンジン30の回転数がアイドル回転数となって燃料消費量が低減され、高い負圧となったときのみ、その圧力に応じてエンジン30の回転数が増減し、吸引に必要な負圧が得られるので、無駄な燃料消費がなくなり、燃料代を削減することができる。また、このときのエンジン30の回転数は、アクセルノブ35により設定された回転数以下で増減されるので、必要以上にエンジン30が回転することがなく、さらに無駄な燃料の消費が防止される。
【0044】
図7はエンジン回転数のタイムチャートを比較した図であって、(a)は本発明の実施の形態における吸引車、(b)は従来の吸引車をそれぞれ示す図である。図7(a)に示すように、本発明の実施の形態における吸引車1の場合、アクセルノブ35による回転数の設定後、モード切換トグルスイッチ37をオートアクセルモードに切り換えると、エンジン回転数がアイドル回転数まで低減し、吸引作業を開始すると負荷(負圧)に応じてエンジン回転数がアイドル回転数から設定回転数までの間で増減する。例えば、負荷が増加すると(負圧が高くなると)、エンジン回転数が増加し、負荷が減少すると(負圧が低くなると)、エンジン回転数が減少する。
【0045】
一方、図7(b)に示すように、従来の吸引車の場合には、吸引作業時のエンジン回転数は設定した高回転数一定であるため、吸引作業を行っていない準備、待機、片付けのすべての段階で燃料を無駄に消費している。したがって、図7の(a)と(b)を比較すると、同図(a)の網掛け部分のエンジン回転数が同図(b)の一定設定エンジン回転数より低減するので、この部分の燃料消費量が低減し、その分だけ燃料代を削減することができる。
【0046】
また、本実施形態における吸引車1では、操作盤29に連成計38、圧力センサ34、アクセルノブ35、モード切換トグルスイッチ37およびオートアクセルランプ37aを内蔵するので、この操作盤29において連成計38を見ながらアクセルノブ35によりエンジン30の回転数を設定し、モード切換トグルスイッチ37を切り換えてエンジンの回転数の自動制御を開始することができ、操作性が良い。また、圧力センサ34は連成計38とともに操作盤29内で風雨や塵埃から保護されているため、誤作動が防止されるとともに、耐久性が向上している。
【0047】
また、本実施形態における吸引車1では、アクセル制御装置33がエンジン30を電子制御するECU32に対してシャシ側スロットルセンサと同様の電圧を出力することによりエンジン30の回転数を制御するものであるため、アクセル制御装置33の電圧出力をECU32に接続するだけで良いため、ECU32の改造を行う必要がなく、安価に吸引作業時の燃料消費量を低減することが可能な吸引装置20およびこれを搭載した吸引車1を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、吸引作業時の燃料消費量を低減することが可能な吸引装置およびこれを搭載した吸引車として有用である。
【符号の説明】
【0049】
1 吸引車
10 車両
11 キャブ
12 シャーシフレーム
13 車輪
14 PTO
20 吸引装置
21 サブフレーム
22 レシーバタンク
22a 本体
22b テールゲート
23,24 サイクロン式集塵機
25 ブロワ
26,27 サイレンサ
28 キャッチャタンク
29 操作盤
30 エンジン
30a キースイッチ
31 電子ガバナ
32 ECU
33 アクセル制御装置
34 圧力センサ
35 アクセルノブ
36 アクセルセンサ
37 モード切換トグルスイッチ
37a オートアクセルランプ
38 連成計
39 回転計
40,42 エア配管
41 分岐管
43 エアタンク
44 ドレンバルブ
50,52,53,54,55,56 エア配管
51 バイパス管
60 電動ボールバルブ
61,62,63 バルブ
64 リリーフバルブ
65 負荷開放弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収対象物を回収するレシーバタンクと、
前記レシーバタンク内の空気を減圧するためのブロワと、
前記ブロワに連結されて前記ブロワを回転駆動するエンジンと、
前記レシーバタンク内の圧力を測定する連成計と、
前記連成計に至るエア配管に分岐して設けられた圧力センサと、
前記圧力センサにより検出された圧力に応じて前記エンジンの回転数を制御するアクセル制御装置と
を有する吸引装置。
【請求項2】
前記エンジンの回転数を設定する手動アクセルと、
前記エンジンの回転数の手動制御と自動制御とを切り換える切換スイッチとを有し、
前記アクセル制御装置は、前記切換スイッチが自動制御に切り換えられ、かつ前記圧力センサにより検出された圧力が所定の負圧より低い負圧のときは、前記エンジンの回転数をアイドル回転数とし、前記圧力センサにより検出された圧力が所定の負圧より高い負圧のときは圧力に応じて前記エンジンの回転数を前記手動アクセルにより設定された回転数以下で増減するものである
請求項1記載の吸引装置。
【請求項3】
前記連成計、圧力センサ、手動アクセル、切換スイッチおよびアクセル制御装置を内蔵する操作盤を有する請求項2記載の吸引装置。
【請求項4】
前記アクセル制御装置は、前記エンジンを電子制御するエンジンコントロール装置に対してスロットルセンサと同様の電圧を出力することにより前記エンジンの回転数を制御するものである請求項1から3のいずれかに記載の吸引装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の吸引装置が搭載された吸引車。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−77548(P2012−77548A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225229(P2010−225229)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】