説明

吸水性および/または通気性の支持材の上に軟質熱可塑性材料から成型された開いた砂時計型の吸着盤を有する膜

本発明は、履物に関連し、より具体的には付属品として前部に取り付ける、または靴底の中敷全面をカバーする膜に関連し、その膜は吸水性または通気性および防水性の材料の支持材からなり、その膜には開いた砂時計、じゃばら、または円柱の形を備えた一連の吸着盤が、靴の効果的な通気および防水性と、歩行時のより高い快適性とを提供するために、足をのせる(foot rest)部分に面して収まるように可撓性の熱可塑性材料で直接成型されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物に関連し、より具体的には付属品として前部に取り付ける、または靴底の中敷全面をカバーする膜に関連し、その膜は吸水性または通気性および防水性の材料の支持材からなり、その膜には開いた砂時計、じゃばら、または円柱の形を備えた一連の吸着盤が、靴の効果的な通気および防水性と、歩行時のより高い快適性とを提供するために、足をのせる(foot rest)部分に面して収まるように可撓性の熱可塑性材料で直接成型されている。
【背景技術】
【0002】
履物製造業者の主な目標のひとつは、歩行を楽にし、かつ足の発汗によって靴の内部に発生する蒸気を除去するために、製品の快適性を使用者のために常に向上させることである。
【0003】
この意味において、快適性、および靴内部の通気性を増すためのエアクッションおよび穴を装備した底は、多数の特許の目的となっており、1884年まで遡ると特許文献1「ブーツまたは靴の底用エアクッション」、続いて1912年11月19日出願の特許文献2、1926年11月2日出願の特許文献3、1936年2月出願の特許文献4などがある。
【0004】
特に最近では、足をのせる面と靴底外部との間に、靴内の空気を下方に押すための複数の等間隔スリットがある中底を取り付けることによって、靴内部の通気の問題が扱われている。(1996年6月21日出願特許文献5)
【0005】
また似たような解決法が、「靴の一方向性空気移動システム」と題する1996年12月31日出願特許文献6に採用されており、中敷および靴底に穴を開け、一連の穴によって中敷および靴底の開口部の間を空気の一方向の移動が促進されるように設計されている。
【0006】
靴内部の汗に対する他の解決法は、「履物の底構造」と題する1991年9月3日出願特許文献7に説明され、権利が主張されており、微小な穴を有するトレッドソールからなり、穴は厚み全体を横切り、微孔性、通気性および防水性材料から作られた膜、好ましくはゴアテックスによって覆われているため、足を乾いた状態に保ち、かつ足の汗による湿気から、またはトレッドソールに作られた微小な穴を通じて進入する水から保護することができる。
【0007】
いずれ場合も、1990年代までに採用され特許を受けた解決法によってもたらされる結果は、足の通気性を増すことを保証するものではなく、トレッドソールの微小な穴からの水の浸入を防ぐものでもないため満足できるものではない。
【0008】
特に、特許文献7に説明され、権利を主張されている解決法は、きわめて薄いタイプの通気性膜の使用による問題が存在し、それにより発泡体材料またはポリエステルのフェルトによって前記膜を歩行中の足の研磨動作から保護する必要性が生じる。圧縮に対して小さい抵抗を有するこの保護材料は、使用を通じてその厚さを失って非可逆的に平らになる傾向があり、靴の快適性を著しく失う結果となる。
【0009】
圧縮に対してより抵抗力のある他の材料、例えば圧縮に対し高い抵抗力のポリウレタンなどは、それらが断熱材であるため靴内部の温度が上昇するという問題がある。
【0010】
前述の問題を克服するために、例えば2001年4月3日出願の特許文献8に説明し、権利が請求されているように、他の技術的な解決法が採用され、どんな場合でも歩行中に足の靴底下にて空気の交換が生じるように靴底の全厚みを通じて延在し、弾性スペーサによって形成された空気室の採用を提供している。
【0011】
他の解決法が2004年6月24日出願の特許文献9(2005年12月29日公開第US2005/0283996号)に採用され、これは、小さい弾性の薄膜からなる柔らかい膜が取り付けられる、好ましくは長方形の、靴底に向かって靴底内部分の空洞の形成を提供し、その結果足をのせる場所に加えられた体重からの圧力により、および薄膜の角の増加により、膜と靴底の凹状基底との間のすきまに形成されたエアクッションは、靴底の内部構造にあって一方向性出口バルブを装備した経路を通じて外に排出される。
【0012】
特許文献9に説明され、権利が主張された膜の問題は、装備された薄膜が使用とともに弾性を失い壊れる傾向にあるということであり、その結果それらのクッション効果および足の内部の通気はやがて不足する。
【0013】
上記に示した解決法の他の問題は、一方向バルブが時間とともに正しく機能しなくなり、湿った空気の排出を妨げる、または降雨時に水を浸入させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第302,190号
【特許文献2】米国特許第1,044,941号
【特許文献3】米国特許第1,605,588号
【特許文献4】米国特許第2,030,545号
【特許文献5】米国特許第3,256,621号
【特許文献6】米国特許第5,588,226号
【特許文献7】米国特許第5,044,096号
【特許文献8】米国特許第6,209,226号
【特許文献9】米国特許出願第10/874,213号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、付属品として前部に取り付けられる、または靴底の中敷表面全体をカバーする膜の提案により現在思い当たる問題を解決することであり、その膜は、吸水性または通気性および防水性材料から作られている支持材からなり、その膜の上には所定の距離を隔てて軟性熱可塑性材料の吸着盤が成型され、高い快適性を保証するために足をのせる面に対して開いた砂時計、じゃばらまたは円柱に似た特定の形によって高い柔軟性および持続的な変形に対する抵抗が与えられる。
【0016】
さらに本発明の目的は、吸水性または通気性および防水性材料から作られる支持材の上に特殊なタイプの成型にて成型される開いた砂時計、じゃばらまたは円柱の形を有する吸着盤を有する膜を持つことであり、この特殊なタイプの成型は出願人をEurosuole spaとした2007年6月4日出願イタリア特許出願第2007A000114号の優先権を主張する「中間移動式表面を伴う成型」と題するPCT出願の目的である。
【0017】
さらに本発明の目的は、どのような条件でも乾いた状態を保つように足の発汗を促進することである。
【0018】
さらに本発明の目的は、特にコンクリートの上でのテニスの練習、競歩、またはマラソンおよび同様のスポーツのためのスポーツ用の靴に特に適するように、極度に熱い条件でさえ、靴内部に局所気候を作ることである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
これらの目的は、本発明によって達成され、本願の目的は、付属品として前部の空洞に取り付けられる、または靴底表面全体をカバーする膜であって、吸水性または通気性および防水性材料作られている支持材からなり、その上に所定の距離を隔てて軟性熱可塑性材料の吸着盤が成型され、足の発汗を促進すると同時により高い、かつより持続的な快適性を保証するために、足をのせる面に向かって開いた砂時計、じゃばらまたは円柱に似た特定の形によるより高い柔軟性および持続的な変形に対する抵抗によって特徴付けられる膜に関連している。
【0020】
本発明のさらなる特徴、および利点は、添付図面において直接法的ではあるが限定的ではない例によって例示された、本願の好ましいが限定されない実施形態の説明によってより理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】上部に番号(1)が付与された靴の断面を示した図であり、内底(2)は膜(3)をカバーし、膜(3)は、吸水性または通気性および防水性材料(4)から作られた支持材からなり、その上に開いた砂時計(8)、じゃばらまたは円柱の形を有する吸着盤が使用者の足をのせる面に向かって可撓性の熱可塑性材料により直接成型され、実際の靴底自体(6)に空洞(5)が作られ、その上に、押された空気が排出されるように膜(3)が取り付けられた場所に複数の微小な穴(7)が配置されている。
【図2】靴底(6)の空洞(5)に配置される膜(3)の側面図を示した図であり、吸着盤は開いた砂時計(8)の形を有し、足をのせる面に向かって所定の距離を隔てて支持材の上に成型され、支持材は、吸水性または通気性材料(4)から空洞(5)の底に向かって作られ、空洞(5)内部に生じた水蒸気を外へ排出し、かつ靴底(6)に作られた微小な穴(7)の出口を通る水の浸入から靴内部の不浸透性を保証する2つの機能として働く。
【図3】歩行中および休息時における開いた砂時計(8)、じゃばら、または円柱の形を有する吸着盤の動きを示す。
【図4】本発明の機能を例示した側断面を示す。
【図5】靴底(6)の全表面を覆った場合の膜(3)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明において、本願の目的は膜(3)に関連し、足の発汗を促進させると同時により高い、かつより持続的な快適性を保証するために、膜は微小な穴(7)が設けられた靴底(6)の上部に作られた特別な空洞(5)に靴の付属品として取り付けられ、吸水性または他の通気性および防水性材料(4)から作られている支持材からなり、その上に、開いた砂時計(8)、じゃばら、または円柱の形を有する吸着盤が超弾性熱可塑性ポリマーにより直接成型されて、足をのせる面に対面して取り付けられている。
【0023】
砂時計、じゃばら、または円柱に似た高い弾性を有する吸着盤(8)の特定の形は、吸着盤が歩行による圧力により屈折し、足が上がるとすぐに初期位置に急に戻ることによる直接接触の優しいマッサージを足に伝える。
【0024】
本発明の代替形は図5に示され、開いた砂時計、じゃばら、または円柱(8)形の吸着盤を有する膜(3)が靴底(6)全表面を覆っている。
【0025】
膜(3)の特徴は、歩行中の足に対する衝撃を吸収するために、吸水性または通気性および防水性材料(4)から作られる支持材と開いた砂時計(8)、開いたじゃばらまたは円柱の形を有し、超軟性熱可塑性材料にて直接成型された吸着盤との組合せからなるということであり、これにより長時間の可撓性、耐摩耗性、および柔らかくすることができる。
【0026】
開いた砂時計(8)、開いたじゃばら、または円柱の形を有する吸着盤の他の特徴は、発汗を促進させるため、支持材(4)面部分の空間をあけるように、吸水性または通気性材料(4)から作られる支持材の上に所定の距離を隔てて直接成型されることである。
【0027】
開いた砂時計(8)、開いたじゃばら、または円柱の形を有する前述の吸着盤の機能は、図3に例示され、図3には、静止位置の吸着盤の砂時計形状(8)、足が吸着盤を押す場合つまり、最大の垂直の圧力の吸着盤の砂時計形状(8/a)、足の静止状態の始まりの斜めの圧力の吸着盤(8/b)、歩行中に足から受ける最大水平圧力の吸着盤(8/c)が図示されている。
【0028】
開いたじゃばらまたは円柱に似た形であっても、図3に示した吸着盤(8)、(8a)、(8b)および(8c)の機能が変化しないことは明らかである。
【0029】
開いた砂時計、開いたじゃばら、または円柱の形を有する膜(3)の吸着盤の上述した動き(8)、(8a)、(8b)および(8c)は、地面に対する足の衝撃の全体の吸収を保証することに加えて、対面するそれらの位置により、空洞(5)に密閉された空気の下向きの圧力を発生して、その空気を靴底(6)に開けられた一方向性の微小な穴(7)から強制的に排出させる。これは吸水性または通気性(4)および防水性の材料の膜(3)から作られた支持材により促進され、その膜は靴内部に湿気が生じることを防ぎ、前述の微小な穴(7)を通じて外部から水が浸入することを防ぐ働きをする。
【0030】
足の発汗を促進するために面の大部分を自由にさせるように、開いた砂時計(8)、じゃばら、または円柱の特定の形を有する吸着盤が、吸水性または通気性材料(4)から作られる支持材の上に所定の距離を隔てて成型されるということによって、発汗はさらに促進される
【0031】
最後に上述した本発明の実現には、出願人をEurosuole spaとした2007年6月4日出願イタリア特許第2007A000114号の優先権を主張する「中間移動式表面を伴う成型」と題するPCT出願の特別な成型技術を含むことを明記することが重要である。
【0032】
添付図面および特許請求の範囲に示す本発明の材料および寸法は、要求により変えることができる。さらに全ての詳細は、本発明の特許請求の範囲を逸脱することなく他の技術的に同等なものに置き換えることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 靴
2 内底
3 膜
4 支持材
5 空洞
6 靴底
7 微小な穴
8 吸着盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の効果的な通気および防水、ならびに歩行中の改善された快適性を提供するために、付属品として靴の前部に取り付ける、または靴底の中敷表面全体をカバーする吸着盤を有する膜であって、支持材が吸水性材料または他の通気性および防水性材料から作られ、足の発汗を促進しながらより高い、かつより持続的な快適性を保証するために、前記支持材の上に開いた砂時計、じゃばら、または円柱の形を有する一連の吸着盤が足をのせる表面に向かって直接成型されていることを特徴とする膜。
【請求項2】
歩行中の衝撃吸収を増加させるために、開いた砂時計、じゃばら、円柱の形を好ましく有する前記吸着盤が前記足をのせる表面に向かっていることを特徴とする請求項1に記載の吸着盤を有する膜。
【請求項3】
開いた砂時計、じゃばら、または円柱に類似した高い弾性を有する特定の形が、歩行中に装着者の体重により屈折し、足が上がるとすぐに初期位置に急に戻ることによる直接接触の優しいマッサージを足に伝えることを特徴とする請求項1および2に記載の吸着盤を有する膜。
【請求項4】
歩行中の重量負荷ステップ時に前記足をのせる面の下の、開いた砂時計、じゃばら、または円柱の形を有する前記吸着盤が、この圧力下にて前記膜が取り付けられた空洞の底に開けられた微小な穴を通って、前記靴底の空洞に含まれた空気を外へ押し出すことを特徴とする請求項1、2、および3に記載の吸着盤を有する膜。
【請求項5】
開いた砂時計、じゃばら、または円柱の形を有する前記吸着盤が、吸水性、通気性、および防水性材料から作られた前記支持材の上に、所定の距離を隔てて可撓性の熱可塑性材料から直接成型されていることを特徴とする請求項1、2、3、および4に記載の吸着盤を有する膜。
【請求項6】
足の発汗を促進するために、前記吸着盤の前記距離は、吸水性、通気性、および防水性材料から作られた前記支持材の面から大きく離れるように決定されることを特徴とする請求項5に記載の吸着盤を有する膜。
【請求項7】
出願人をEurosuole spaとした2007年6月4日出願イタリア特許第2007A000114号の優先権を主張する「中間移動式表面を伴う成型」と題する係属中のPCT出願の中で主張された成型を用いて実現化することを特徴とする請求項1、2、3、4、5および6に記載の吸着盤を有する膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−528728(P2010−528728A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510657(P2010−510657)
【出願日】平成20年4月29日(2008.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003461
【国際公開番号】WO2008/148448
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(508257407)
【Fターム(参考)】