説明

四輪車両の接地機構、四輪車両、四足の接地機構、構造体

【課題】 簡易な構造で、四個の車輪を適切に接地させることができる四輪車両の接地機構およびこれを備えた農作業用四輪車両を課題とする。
【解決手段】 四輪車両の接地機構30は、右側の前後輪31a,32aを支持するサイドフレーム33aと、左側の前後輪31b,32bを支持するサイドフレーム33bと、左右のサイドフレーム33a,33bの回動を許容した状態で、これらに支持されるメインフレーム22と、左右のサイドフレーム33a,33bを連結すると共にその左右方向の中間部がメインフレーム22に接続されたトーションビーム34と、を備える。左右のサイドフレーム33a,33bは、左右方向において一致する仮想回転中心Aの回りを回動するように構成され、且つトーションビーム34によって両サイドフレーム33a,33bの回動位置が逆位相になるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場などの不整地を走行する四輪車両に関し、その四個の車輪を路面に接地させるための四輪車両の接地機構およびこれを備えた四輪車両に関するものである。また本発明は、椅子やテーブルなどの四足を有する構造体に関し、その四個の脚体を接地させるための四足の接地機構およびこれを備えた構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、農作業用のこの種の四輪車両は、構造の簡素化と軽量化を優先するために、リジッド型が採用されており、タイヤの変形のみで接地性を確保していた。しかし、不整地や段差、傾斜などがある路面では、四輪すべての接地を確保することは難しく、三輪のみの接地となり不安定な状態になる場合があった。
【0003】
その対策として、前後車軸のいずれかの中心にヒンジを配したり、ばねを用いたサスペンション機構を導入する方式が採られている。しかし前者の場合、重作業を行う農業用トラクタやフォークリフトなどの車両では、その安定性が著しく低下する欠点があった。
【0004】
そのため、通常の走行時の接地性の確保と作業時の安定性の確保とを両立するための方法として、油圧シリンダを各車輪位置に配し、走行時はアキュムレータによりばねとして用い、作業時は油の流れを止めることで安定性を確保するものなどが開発されてきた(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−14212号公報(第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような主に不整地走行を目的とする車両は、軽量で簡易な構造とすることが好ましい。しかしながら、従来の油圧シリンダを用いた四輪車両の接地機構は、油圧シリンダのぶんだけ重量が増す上、全体として構造が複雑化する問題があった。
【0006】
本発明は、簡易な構造で、四個の車輪を適切に接地させることができる四輪車両の接地機構およびこれを備えた四輪車両を提供することをその目的としている。
【0007】
また、この四輪車両の接地機構を椅子等の四足の接地機構に適用可能であることに着目した。そこで、別の本発明は、簡易な構造で、四つの脚体を適切に接地させることができる四足の接地機構およびこれを備えた構造体を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の四輪車両の接地機構は、左側の前輪および後輪を回転可能に支持する左側サイドフレームと、右側の前輪および後輪を回転可能に支持する右側サイドフレームと、左側サイドフレームおよび右側サイドフレームの回動を許容した状態で、これらに支持されるメインフレームと、左側サイドフレームと右側サイドフレームとを左右方向において連結すると共に、その左右方向の中間部がメインフレームに接続されたトーションビームと、を備え、左側サイドフレームおよび右側サイドフレームは、左右方向において一致する仮想回転中心の回りを回動するように構成され、且つトーションビームによって両サイドフレームの回動位置が逆位相になるように構成されているものである。
【0009】
この構成によれば、例えば左前輪が段差に乗り上げた場合には、左側サイドフレームは仮想回転中心の回りを後方側に回動する。このとき、右側サイドフレームは、左側サイドフレームにトーションビームによって連結されているため、左側サイドフレームとは逆に仮想回転中心の回りを前方側に回動する。このように、左側サイドフレームと右側サイドフレームとの回動位置が逆位相となり、左右の両サイドフレームはニュートラルに保たれるようになる。これにより、四個すべての車輪の接地性が確保される。
【0010】
したがって、一般的なサスペンションのようなばね要素を持たせなくとも、簡易な構造によって、不整地や段差、傾斜などがある路面に対し四個の車輪を適切に接地させることができる。このような構成は、乗り心地に関してはばね要素を持つサスペンションよりも劣るものの、四輪の接地性に関しては優ることができる。特に、重心位置が移動する四輪車両の場合、ばね要素を持つサスペンションでは重心位置の変化に伴うメインフレームの傾斜の変化を回避することができない。本発明の構成によれば、重心位置が移動しても、メインフレーム(四輪車両)の傾斜の変化を最小限に抑えることができる。なお、トーションビームの数は任意であるし、その設置箇所も任意である。
【0011】
この場合、トーションビームは、左右の各端部がピンを介して左側サイドフレームおよび右側サイドフレームに回動可能に接続され、且つ左右方向の中間部がピンを介してメインフレームに回動可能に接続され、3つのピンの軸線は、左側サイドフレームおよび右側サイドフレームの非回動位置において同一平面内にあり、同一平面は、左側サイドフレームおよび右側サイドフレームの各仮想回転中心を結ぶ線に交差することが、好ましい。
【0012】
この構成によれば、左右の両サイドフレームの回動位置を適切に逆位相にすることができ、車輪の接地性を適切に確保することができる。なお、上記構成について別の見方をすれば、ピンの設定角度によって仮想回転中心を適宜設定することができる。このため、四輪車両の安定性や乗り心地、車輪の直径などの用途や要素に対応して特性を設定することができる。
【0013】
これらの場合、メインフレームを左側サイドフレームおよび右側サイドフレームに支持させる支持機構を、更に備えたことが、好ましい。
【0014】
この構成によれば、メインフレームの荷重をサイドフレームに好適に分散させることができる。
【0015】
この場合、支持機構は、左側サイドフレームおよび右側サイドフレームにそれぞれ設けられ、仮想回転中心に中心を有する円弧カムと、メインフレームに設けられ、円弧カムに転動するカムフォロアと、を有していることが、好ましい。
【0016】
この構成によれば、サイドフレームが回動すると、カムフォロアが円弧カムを転動するため、サイドフレームは、その回動動作にあわせてメインフレームを適切に支持することができる。
【0017】
同様に、支持機構は、メインフレームおよび左側サイドフレームと協働して台形リンクを構成する一対のリンクと、メインフレームおよび右側サイドフレームと協働して台形リンクを構成する一対のリンクと、を有し、左側の一対のリンクが向かう基準点は、左側サイドフレームの仮想回転中心の近傍に位置する点であり、右側の一対のリンクが向かう基準点は、右側サイドフレームの仮想回転中心の近傍に位置する点であることが、好ましい。
【0018】
この構成によれば、上記の円弧カムの場合に比べて設計がし易く、また全体として剛性を高めることができる。なおこの場合、トーションビームは一つであることが好ましい。
【0019】
本発明の他の四輪車両の接地機構は、左側の前輪および後輪を回転可能に支持する左側サイドフレームと、右側の前輪および後輪を回転可能に支持する右側サイドフレームと、左側サイドフレームおよび右側サイドフレームに支持手段を介して支持されたメインフレームと、を備え、支持手段は、左側サイドフレームおよび右側サイドフレームを左右方向において連結すると共にその左右方向の中間部をメインフレームに接続されたトーションビームを有し、左側サイドフレームおよび右側サイドフレームは、左右方向において一致する仮想回転中心の回りを回動するように支持手段によってメインフレームに対する回動を許容され、且つトーションビームによって両サイドフレームの回動位置が逆位相になるように構成されているものである。
【0020】
この構成によれば、上記と同様に、一般的なサスペンションのようなばね要素を持たせなくとも、段差等の路面に対し四個の車輪を適切に接地させることができる。また、四輪車両の重心位置が移動しても、メインフレーム(四輪車両)の傾斜の変化を最小限に抑えることができる。なお、トーションビームは、メインフレームを両サイドフレームに支持させる支持手段の一部または全部を構成することができる。
【0021】
本発明の他の四輪車両の接地機構は、左側の前輪および後輪を回転可能に支持する左側サイドフレームと、右側の前輪および後輪を回転可能に支持する右側サイドフレームと、左側サイドフレームおよび右側サイドフレームに回動可能に支持されるメインフレームと、左側サイドフレームと右側サイドフレームとを左右方向において連結すると共に、その左右方向の中間部がメインフレームに接続されたトーションビームと、を備え、左側サイドフレームおよび右側サイドフレームは、左右方向において一致するメインフレームの支持点を中心に回動可能に構成され、且つトーションビームによって当該両サイドフレームの回動位置が逆位相になるように構成されているものである。
【0022】
この構成によれば、上記の発明と異なり、左側サイドフレームおよび右側サイドフレームが仮想回転中心の回りを回動する構成ではなく、これら両サイドフレームは、メインフレームの支持点の回りを回動する。このとき、両サイドフレームは、回動する際に、トーションビームによって互いの回動位置が逆位相となる。これにより、上記の発明と同様に、ばね要素を持たせない簡易な構造によって、不整地等の路面に対し四個の車輪を適切に接地させることが可能となる。また同様に、四輪車両の重心位置の移動に対しても適切に対応することができる。さらに、両サイドフレームがメインフレームを支持する支持点を直接の回動中心としているため、上記のような円弧カムやカムフォロアなどの支持手段を設けなくて済むと共に、トーションビームも一つとすることができる。
【0023】
この場合、トーションビームは、左右の各端部がピンを介して左側サイドフレームおよび右側サイドフレームに回動可能に接続され、且つ左右方向の中間部がピンを介してメインフレームに回動可能に接続され、3つのピンの軸線は、左側サイドフレームおよび右側サイドフレームの非回動位置において同一平面内にあり、同一平面は、左側サイドフレームおよび右側サイドフレームのメインフレームの各支持点を結ぶ線に交差することが、好ましい。
【0024】
この構成によれば、左右の両サイドフレームの回動位置を適切に逆位相にすることができ、車輪の接地性を適切に確保することができる。
【0025】
これらの場合、トーションビームは、断面略コ字状に形成され且つその略コ字状の開口側が四輪車両の外側下方に向いていることが、好ましい。
【0026】
この構成によれば、トーションビームの断面形状が略コ字状であるため、トーションビームのねじり剛性を低く且つ曲げ剛性を高くすることができる。また、トーションビームの略コ字状の開口側が四輪車両の外側下方に向いているため、これを上方に向ける場合に比べて排水性を高めることができる。なお、コ字状の形状には、U字状やC字状の形状も含まれる。
【0027】
本発明の他の四輪車両の接地機構は、左右二つの前輪を回転可能に支持する前車軸フレームと、左右二つの後輪を回転可能に支持する後車軸フレームと、前車軸フレームおよび後車軸フレームの回動を許容した状態で、これらに支持されるメインフレームと、前車軸フレームと後車軸フレームとを前後方向において連結すると共に、その前後方向の中間部をメインフレームに接続されたトーションビームと、を備え、前車軸フレームおよび後車軸フレームは、前後方向において一致する仮想回転中心の回りを回動するように構成され、且つトーションビームによって前車軸フレームおよび後車軸フレームの回動位置が逆位相になるように構成されているものである。
【0028】
この構成によれば、上記した本発明と異なり、車輪の設置方向を90度変更し、左右のサイドフレームを前車軸フレームおよび後車軸フレームとした態様となり、リジッドアクスルに対応する機構とすることができる。トーションビームは、上記と同様に、前車軸フレームおよび後車軸フレームの回動位置を逆位相にするように機能するため、四個の車輪を適切に接地させることができる。四輪車両としては、例えばフォークリフトなどの重作業を伴うものにも好適に適用することができる。
【0029】
本発明の四輪車両は、上記の本発明の四輪車両の接地機構を備えたものである。
【0030】
この構成によれば、四輪車両が例えば農作業用四輪車両の場合には、例えば藩種、移植、施肥、収穫などの農作業に際して不整地を走行する場合であっても、車輪の接地性を確保することができる。また、農作業時の安定性を確保することができる。なお、四輪車両には、農作業用のものばかりでなく、例えば手押し車などのいわゆるベビーカーや、車椅子も含まれる。
【0031】
本発明の四足の接地機構は、前後左右の四つの脚体を接地させる四足の接地機構であって、ベースと、ベースを支持する左側ユニットおよび右側ユニットと、左側ユニットと右側ユニットとを左右方向において連結すると共に、その左右方向の中間部がベースに接続されたトーションビームと、を備え、左側ユニットは、左側の前後の脚体を有し、ユニット全体としてベースに対して回動を許容された状態で当該ベースを支持しており、右側ユニットは、右側の前後の脚体を有し、ユニット全体としてベースに対して回動を許容された状態で当該ベースを支持しており、左側ユニットおよび右側ユニットは、左右方向において一致する仮想回転中心の回りを回動するように構成され、且つトーションビームによって当該両ユニットの回動位置が逆位相になるように構成されているものである。
【0032】
この構成によれば、上記の四輪車両の接地機構の発明の場合と同様に、例えば左側の前脚体が段差等に乗り上げた場合には、左側ユニットは全体として後方側に回動し、右側ユニットはトーションビームによって前方側に回動するようになる。これにより、左右の両ユニットはニュートラルに保たれるようになる。このため、四つ全ての脚体の接地性が確保される。また同様に、ベースへの荷重位置が移動する場合であっても、ベースの傾斜の変化を最小限に抑えることができ、例えばベース上に載置させた物体の安定性を適切に確保することができる。
【0033】
この場合、上記の四輪車両の接地機構と同様に、トーションビームは、左右の各端部がピンを介して左側ユニットおよび右側ユニットに回動可能に接続され、且つ左右方向の中間部がピンを介してベースに回動可能に接続され、3つのピンの軸線は、左側ユニットおよび右側ユニットの非回動位置において同一平面内にあり、同一平面は、左側ユニットおよび右側ユニットの各仮想回転中心を結ぶ線に交差することが好ましい。また、ベースを左側ユニットおよび右側ユニットに支持させる支持機構を、更に備えたことが好ましい。
【0034】
好ましくは、支持機構は、左側ユニットおよび右側ユニットにそれぞれ設けられ、仮想回転中心に中心を有する円弧カムと、ベースに設けられ、円弧カムに転動するカムフォロアと、を有している。あるいは好ましくは、支持機構は、ベースおよび左側ユニットと協働して台形リンクを構成する一対のリンクと、ベースおよび右側ユニットと協働して台形リンクを構成する一対のリンクと、を有し、左側の一対のリンクが向かう基準点は、左側ユニットの仮想回転中心の近傍に位置する点であり、右側の一対のリンクが向かう基準点は、右側ユニットの仮想回転中心の近傍に位置する点である。
【0035】
これらの構成を具備することで、上記の四輪車両の接地機構の発明と同様の作用効果を奏することができる。
【0036】
本発明の他の四足の接地機構は、前後左右の四つの脚体を接地させる四足の接地機構であって、ベースと、ベースを支持する左側ユニットおよび右側ユニットと、左側ユニットと右側ユニットとを左右方向において連結すると共に、その左右方向の中間部がベースに接続されたトーションビームと、を備え、左側ユニットは、左側の前後の脚体を有し、ユニット全体としてベースの支持点を中心に回動可能に構成され、右側ユニットは、右側の前後の脚体を有し、ユニット全体としてベースの支持点を中心に回動可能に構成され、左側ユニットおよび右側ユニットのベースの各支持点は、左右方向において一致し、左側ユニットおよび右側ユニットは、トーションビームによって当該両ユニットの回動位置が逆位相になるように構成されているものである。
【0037】
この構成によれば、上記と異なり、左右の両ユニットは、仮想回転中心の回りを回動するのではなく、ベースの支持点の回りを互いに逆位相となるように回動する。これにより、上記同様に、左右の両ユニットはニュートラルに保たれ、四つ全ての脚体の接地性が確保されると共に、ベースの傾斜の変化が最小限に抑えられる。特に、上記のような円弧カムやカムフォロアなどの支持手段を設けなくて済むなどの点で有用である。
【0038】
この場合、上記同様に、トーションビームは、左右の各端部がピンを介して左側ユニットおよび右側ユニットに回動可能に接続され、且つ左右方向の中間部がピンを介してベースに回動可能に接続され、3つのピンの軸線は、左側ユニットおよび右側ユニットの非回動位置において同一平面内にあり、同一平面は、左側ユニットおよび右側ユニットのベースの各支持点を結ぶ線に交差することが、好ましい。
【0039】
この構成を具備することで、上記の四輪車両の接地機構の発明について説明したのと同様の作用効果を奏することができる。
【0040】
本発明の構造体は、上記した本発明の四足の接地機構を備えたものである。
【0041】
この構成によれば、四足の接地性が良い構造体を提供することができる。構造体としては、例えば椅子や机などの家具が考えられる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の四輪車両の接地機構および四輪車両によれば、簡易な構造で、四個の車輪を適切に接地させることができる。
【0043】
本発明の四足の接地機構および構造体によれば、簡易な構造で、四個の脚体を適切に接地させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係る四輪車両の接地機構について説明する。この四輪車両の接地機構はフォークリフトやトラクタなどの人が運転する四輪車両にも適用することができるが、ここでは、この接地機構を農作業システムに用いられる農作業用の四輪車両に適用した例について説明する。またその後、四足の接地機構について、四つの脚体を有する机(構造体)に適用した例について説明する。
【実施例1】
【0045】
図1に示すように、農作業システム1は、圃場2外の舗装路3上を走行する親機となる制御車4と、圃場2内を走行する子機となる作業車5と、を有している。制御車4は、その台車部分11に搭載した作業車5を運搬する。作業車5は、台車部分11に乗降可能に構成されている。
【0046】
制御車4は、屋根12上に設けた太陽光発電モジュール13によって発電された電気を蓄電池14に充電し、図外の有線によって作業車5に電源を供給する。作業車5は、電源供給を受けて前後左右の四輪(31a,31b,32a,32b)を駆動させるモータ21を備えている。モータ21は、左右に一つずつ設けられている。右側のモータ21は右側の前後輪31a,32aを同時に駆動回転させ、これに同期して左側のモータは左側の前後輪31b,32bを同時に駆動回転させる。これにより、作業車5は、スキッドステアリングを有する車両で、主に前後進と、方位の修正とが行える。
【0047】
作業車5のメインフレーム22(機体フレーム)上には、圃場2内にて農作業を行う作業機23が図外の横送り装置を介して搭載されている。作業機23は、メインフレーム22の大きく開口した中央部から下方の圃場2内に臨み、例えば播種、移植、施肥、収穫などの農作業を行う。横送り装置は、作業車5の走行方向に直交する方向(制御車4の走行方向)に作業機23を移動させる。
【0048】
農作業システム1により農作業を行う場合、先ず制御車4で作業車5を所定位置まで運搬し、制御車4から作業車5を圃場2内へと降ろす。ここで、作業車5の往動に同期して作業機23を駆動して1ラインの農作業を行った後、横送り装置により作業機23を移動させ、作業機23を次のラインに移動させる。ここから更に作業車5を同じ道(例えば畝)に沿って復動させ、これに同期して作業機23を駆動して2番目のラインの農作業を行う。このような動作を繰り返してその圃場2の農作業が完了すると、作業車5は再び制御車4に乗り、1ピッチ分隣の圃場2に移動して次の農作業を行う。
【0049】
このような圃場2内は段差があるなど不整地となっており、作業車5は、四輪(31a,31b,32a,32b)の接地性の確保が望まれる。また、作業機23の位置に応じて作業車5には偏荷重が付与されて、作業車5の重心位置は移動する。このため、重心位置の移動に伴う作業車5(メインフレーム22)の傾斜の変化を抑え、作業機23を地面に対し正確に誘導して、作業時の安定性を確保することが望まれる。そこで、本実施形態の作業車5は、本発明の四輪車両の接地機構を組み込まれることで、走行時の接地性と作業時の安定性とを確保するようにしている。
【0050】
図2ないし図5は、実施例1に係る四輪車両の接地機構30を組み込んだ作業車5の構成を示したものである。図2は、右前輪31aが段差29に乗り上げた状態の作業車5を示す斜視図であり、図3ないし図5は、車輪全てが同じ高さの接地面にあるニュートラル状態の作業車5を示す図である。なお、図1以外ではモータ21や作業機23等の細部は図示省略されている。
【0051】
図2ないし図5に示すように、作業車5における四輪車両の接地機構30は、右側の前輪31aおよび後輪32aを回転可能に支持する右側サイドフレーム33aと、左側の前輪31bおよび後輪32bを回転可能に支持する左側サイドフレーム33bと、右側サイドフレーム33aおよび左側サイドフレーム33bの回動を許容した状態でこれらの上部に支持された上記のメインフレーム22と、右側サイドフレーム33aと左側サイドフレーム33bとを左右方向において連結する前後一対のトーションビーム34,34と、を有している。
【0052】
四輪車両の接地機構30は、左右対称および前後対称の構成となっており、以下では便宜上、右側サイドフレーム33aおよび左側サイドフレーム33bをサイドフレーム33と総称して説明することがある。
【0053】
メインフレーム22は、前フレーム41、後フレーム42、右フレーム43および左フレーム44により四周枠状に形成されると共に、前フレーム41と後フレーム42との間に掛け渡されるようにして左右一対の中間フレーム45,45が右フレーム43および左フレーム44に平行に設けられている。
【0054】
前フレーム41、後フレーム42および一対の中間フレーム45,45によって、作業機23を圃場2に臨ませるための上記の開口部が方形に画成されている。メインフレーム22の各フレーム部材(41〜45)は、例えば軽量で耐食性のよいアルミニウムなどの金属により形成されており、その骨組構造は、剛節のみから構成されている。
【0055】
サイドフレーム33(右側サイドフレーム33aおよび左側サイドフレーム33b)は、上部材51、下部材52、前部材53および後部材54により、側面視長方形状に形成されている。前部材53と下部材52との交差部分に前輪31(31a、31b)が回転可能に支持され、後部材54と下部材52との交差部分に後輪32(32a、32b)が回転可能に支持されている。サイドフレーム33の各部材は、例えばアルミニウムなどの金属により形成されており、その骨組構造は、剛節のみから構成されている。
【0056】
後述する構造上の工夫によって、右側サイドフレーム33aおよび左側サイドフレーム33bは、左右方向において一致する仮想回転中心Aの回りを回動するように、上記一対のトーションビーム34,34および支持機構35を介してメインフレーム22を支持している。そして、右側サイドフレーム33aおよび左側サイドフレーム33bの回動位置は、一対のトーションビーム34,34によって常に逆位相になるように構成されている。
【0057】
各トーションビーム34は、左右方向に延在しており、例えばアルミニウムにより断面コ字状に形成されている。各トーションビーム34は、左右の各端部を右側サイドフレーム33aおよび左側サイドフレーム33bに接続され、且つ左右方向の中間部をメインフレーム22に接続されている。
【0058】
すなわち、前側のトーションビーム34は、左右の各サイドフレーム33a,33bの上部材51の前端面に固定したブラケット71a,71bに、ピン72a,72bを介して回動可能に接続されている。また、前側のトーションビーム34は、メインフレーム22の前フレーム41に垂設したブラケット71cに、ピン72cを介して回動可能に接続されている。
【0059】
同様に、後側のトーションビーム34は、左右の各サイドフレーム33a,33bの上部材51の後端面に固定したブラケット71a,71bに、ピン72a,72bを介して回動可能に接続されている。また、後側のトーションビーム34は、メインフレーム22の後フレーム42の中間位置に垂設したブラケット71cに、ピン72cを介して回動可能に接続されている。
【0060】
そして図4に示唆するように、右側サイドフレーム33aの二つのピン72a,72aの軸線は、右前輪31aおよび右後輪32aの各回転中心を含む鉛直面内に位置している。同様に、左側サイドフレーム33bの二つのピン72b,72bの軸線は、左前輪31bおよび左後輪32bの各回転中心を含む鉛直面内に位置している。
【0061】
また図5に示すように、各トーションビーム34における三つのピン72a,72b,72cの軸線は、右側サイドフレーム33aおよび左側サイドフレーム33bの非回動位置において同一平面内にある。そして、この同一平面は、右側サイドフレーム33aおよび左側サイドフレーム33bの各仮想回転中心Aを結ぶ線に交差している。これは、別の見方をすれば、トーションビーム34に設置される3つのピン72a,72b,72cの角度によって、サイドフレーム33の仮想回転中心Aが設定されることを意味する。
【0062】
このようなトーションビーム34の取付け構造によって、右側サイドフレーム33aはその仮想回転中心Aの回りを回動し、左側サイドフレーム33bはその仮想回転中心Aの回りを回動する。このとき、右側サイドフレーム33aの回動位置と左側サイドフレーム33bの回動位置とは、トーションビーム34によって逆位相となる。
【0063】
図6ないし図8は、メインフレーム22を水平に支持した状態でサイドフレーム33を回動させた状態の作業車5を示している。これらの図に示すように、右側サイドフレーム33aが仮想回転中心Aの回りを後方側に回動することで、前後一対のトーションビーム34,34によって、左側サイドフレーム33bは、右側サイドフレーム33aとは逆に仮想回転中心Aの回りを前方側に回動する。この状態においても、作業車5の構成は左右対称および上下対称となる。
【0064】
再び図2ないし図5に戻って説明する。支持機構35は、トーションビーム34と協働してメインフレーム22を左右のサイドフレーム33a,33bに支持させる支持手段を構成するものである。支持機構35によって、メインフレーム22の荷重を左右のサイドフレーム33a,33bに逃がすことができる。
【0065】
支持機構35は、左右の各サイドフレーム33a,33bに設けられた円弧カム81,81と、メインフレーム22に設けられたコロ82(カムフォロア)と、を有している。円弧カム81は、左右の各サイドフレーム33a,33bの上部材51の上端面の一部(前後中間部)に隆起するように形成されている。円弧カム81は、サイドフレーム33a,33bの仮想回転中心Aに円弧の中心を有している(図5参照)。
【0066】
コロ82は、一つの円弧カム81に対して4個が分散して設けられている。計8個のコロ82は、右フレーム43、左フレーム44および一対の中間フレーム45,45にそれぞれ2つずつ垂設した支持ブラケット83に、回転可能に保持されている。
【0067】
各コロ82は、車輪(31a,31b,32a,32b)の回転方向と同方向に、すなわち円弧カム81の周方向と同方向に回転可能に各支持ブラケット83に保持されている。各コロ82は、円弧カム81に転動可能に構成されている。したがって、サイドフレーム33が回動すると、これと一体に円弧カム81も回動するが、このとき各コロ82は円弧カム81を転動する。すなわち、サイドフレーム33は、その回動動作中も支持機構35によりメインフレーム22を支持し続ける。
【0068】
以上のように構成された本実施例の四輪車両の接地機構30の作用について、図2を参照して簡単に説明する。同図に示すように、例えば右前輪31aが段差29に乗り上げると、右側サイドフレーム33aは、トーションビーム34および支持機構35を介してメインフレーム22を支持しながら後方側に回動する。
【0069】
このとき前側トーションビーム34の変位によって、左側サイドフレーム33bは逆にメインフレーム22に対し前方側に回動させられる。すなわち、メインフレーム22は、左右の両サイドフレーム33a,33bに対し、ニュートラルに保たれるようになる。
【0070】
これにより、右前輪31aの接地性はもとより他の車輪(31a,32a,32b)の接地性が適切に確保される。このように、一般的なサスペンションのようなばね要素がなくとも、四個の車輪(31a,31b,32a,32b)を適切に接地させることができる。また、このような車輪の接地性の確保によって、作業機23が移動して作業車5の重心位置が移動しても、メインフレーム22(作業車5)の傾斜の変化が十分に抑制される。このため、農作業時の安定性を適切に確保することができる。
【0071】
なお、上述のように、トーションビーム34におけるピン72a,72b,72cの設定角度によって、サイドフレーム33の仮想回転中心Aの位置を適宜設定することができるため、四輪車両の安定性や、車輪の直径などの用途や要素に対応して特性を設定することができる。
【0072】
また、トーションビーム34の断面形状によって、ねじり剛性や曲げ剛性を独立して設定することができるため、機構全体の剛性や回動に対する復元力など設定の自由度が高い。トーションビーム34の断面形状としては、上記のコ字状のほか、ねじり剛性が低く且つ曲げ剛性が高い例えばC字状やU字状など、全体として略コ字状とする方が好ましい。
【0073】
また、図2ないし図8に示すトーションビーム34は、その略コ字状の開口側が作業車5の内側上方に向いているが、この構成に代えて、その略コ字状の開口側を作業車5の外側下方に向ける方が好ましい。前者の場合ではトーションビーム34に水などが滞留するおそれがあるが、後者のようにすることで、トーションビーム34における排水性を高めることができる。
【0074】
なおまた、メインフレーム22にかかる荷重が比較的小さい場合には、上記の支持機構35は省略することもできる。この場合には、前後一対のトーションビーム34,34のみの支持手段によって、メインフレーム22は左右の各サイドフレーム33a,33bに支持される。また、上記の支持機構35を設けておくことで、前後一対のトーションビーム34,34のうちの一方を省略することもできるし、さらに別のトーションビームを任意の位置に設置することができる。すなわち、トーションビーム34の数や設置箇所は任意であるが、トーションビーム34におけるピン(72a,72b,72c)の軸線は、上記のように、左右の各仮想回転中心Aを結ぶ線上で交点を結ぶことが要求される。
【実施例2】
【0075】
次に、図9ないし図12を参照して、本発明の実施例2について実施例1との相違点を中心に説明する。本実施例の実施例1との主な相違点は、トーションビーム34が一つのみであること、支持機構35の構成が台形リンク式であること、である。
【0076】
トーションビーム34は、作業車5の前側にのみ設けられているが、もちろんこの設置位置はここに限定されるものではない。トーションビーム34における三つのピン72a,72b,72cの軸線は、上記同様に、左右の各サイドフレーム33a,33bの非回動位置において同一平面内にあり、この同一平面は、左右の各サイドフレーム33a,33bの仮想回転中心Aを結ぶ線に交差している。
【0077】
支持機構35は、右側サイドフレーム33a側の2組の台形リンク手段101a,101aと、左側サイドフレーム33b側の2組の台形リンク手段101b,101bと、を有している。
【0078】
右側の2組の台形リンク手段101a,101aの一方は、台形の上底をメインフレーム22の右フレーム43に、台形の下底を右側サイドフレーム33aの上部材51にして、これらの間を前リンク111cおよび後リンク112cからなる一対のリンクで連結して構成される。もう一方は、台形の上底をメインフレーム22の中間フレーム45に、台形の下底を右側サイドフレーム33aの上部材51にして、これらの間を前リンク111dおよび後リンク112dからなる一対のリンクで連結して構成される。
【0079】
そして、右側の2組の一対のリンクは、前リンク111c,111d同士の上端部および下端部をロッド114で連結されて、後リンク112c,112d同士の上端部および下端部をロッド115で連結されている。このように、一つのサイドフレーム33につき2組の台形リンク手段101,101を設けることで、1組だけの台形リンク手段とする場合に比べて、メインフレーム22の荷重をより分散させてメインフレーム22をサイドフレーム33に支持させることができる。なお、左側の2組の台形リンク手段101b,101bについても同様に構成されているが、構造が左右対称であるため、説明は省略した。
【0080】
一対のリンク111c,112c(111d,112d)は、各上端部をメインフレーム22に回動可能に軸支され、各下端部をサイドフレーム33に回動可能に軸支されている。一対のリンク111c,112c(111d,112d)が向かう基準点B(一対のリンクの軸線が交差する点)は、サイドフレーム33の仮想回転中心Aの近傍に位置する点となっている。より詳細には図12に示すように、この基準点Bと仮想回転中心Aとは同一の鉛直面内に位置するが、基準点Bは、仮想回転中心Aの僅かに下方に位置する。
【0081】
以上のような本実施例の構成によれば、支持機構35を台形リンク式としているために、サイドフレーム33の実際の回転中心は、サイドフレーム33の傾斜によって移動する。したがって、実施例1において図6ないし図8に示したように、メインフレーム22を水平に支持した状態でサイドフレーム33を回動させたとしても、作業車5の構成は左右非対称となる。
【0082】
しかし、右側サイドフレーム33aおよび左側サイドフレーム33bは、左右方向において一致する仮想回転中心Aの回りを回動しようとし、トーションビーム34によって右側サイドフレーム33aの回動位置と左側サイドフレーム33bの回動位置とは逆位相となることは同様である。
【0083】
したがって本実施例においても、作業車5が不整地を走行する場合であっても、全車輪(31a,31b,32a,32b)の接地性を適切に確保することができると共に、メインフレーム22の傾斜を最小限に抑制して作業時の安定性を適切に確保することができる。また、実施例1の円弧カム81等の支持機構35に比べて、剛性を高めることができる。さらに、一対のリンク111c,112c(111d、112d)の基準点Bをどの位置に設定するかにより、安定性を確保することができるため、設計の自由度も高い。
【0084】
なお、トーションビーム34が一つの場合について説明したが、もちろん実施例1と同様に、前後一対のトーションビーム34とすることも可能である。もっとも、こうすると、ハーシュネスが大きくなり易いため、上記のように台形リンク式の場合には一つのトーションビーム34で構成することが好ましい。
【実施例3】
【0085】
次に、図13ないし図16を参照して、本発明の実施例3について実施例1との相違点を中心に説明する。本実施例の実施例1との主な相違点は、トーションビーム34が一つのみであることと、右側サイドフレーム33aおよび左側サイドフレーム33bが、ブラケット118a,118bを介してメインフレーム22を回動可能に支持していること、である。
【0086】
ブラケット118a,118bは、左右に二つずつの合計4つが設けられている。右側の二つのブラケット118a,118bは、右側サイドフレーム33aを外側から挟むようにして、作業車5の前後方向の中間位置に設けられている。二つのブラケット118a,118bの下端部は、右側サイドフレーム33aの下部材52にそれぞれ回動可能に支持されていると共に、連結棒119により左右方向において互いに連結されている。外側のブラケット118aは、その上端部をメインフレーム22の右フレーム43に固定され、右フレーム43と協働して側面視T字を構成するようになる。同様に、内側のブラケット118bは、その上端部をメインフレーム22の右側の中間フレーム45に固定され、この中間フレーム45と協働して側面視T字を構成するようになる。
【0087】
同様に、左側の二つのブラケット118a,118bは、左側サイドフレーム33bを外側から挟むようにして、作業車5の前後方向の中間位置に設けられている。二つのブラケットブラケット118a,118bの下端部は、左側サイドフレーム33bの下部材52にそれぞれ回動可能に支持されていると共に、連結棒119により左右方向において連結されている。外側のブラケット118aは、その上端部をメインフレーム22の左フレーム44に固定され、左フレーム44と協働して側面視T字を構成するようになる。同様に、内側のブラケット118bは、その上端部をメインフレーム22の左側の中間フレーム45に固定され、この中間フレーム45と協働して側面視T字を構成するようになる。
【0088】
右側サイドフレーム33aによるブラケット118a,118bの二つの支持点と、左側サイドフレーム33bによるブラケット118a,118bの二つの支持点とは、左右方向に一致している。図16に示す符号Cは、この支持点を示している。右側サイドフレーム33aおよび左側サイドフレーム33bは、この支持点Cを中心にメインフレーム22に対し回動する。このとき、右側サイドフレーム33aの回動位置と左側サイドフレーム33bの回動位置とは、トーションビーム34によって逆位相となる。
【0089】
トーションビーム34は、作業車5の前側にのみ設けられているが、もちろんこの設置位置はここに限定されるものではない。トーションビーム34における三つのピン72a,72b,72cの軸線は、上記同様に、左右の各サイドフレーム33a,33bの非回動位置において同一平面内にあり、この同一平面は、左右の各サイドフレーム33a,33bの支持点Cを結ぶ線に交差している。
【0090】
以上のように、本実施例では、ブラケット118a,118bを利用することで、メインフレーム22を左右の各サイドフレーム33a,33bで直接的に回動可能に支持する支持点Cを設け、左右の各サイドフレーム33a,33bの回転中心を実施例1等の仮想回転中心Aに構造上設けるようにしている。したがって、実施例1等と同様に、作業車5が不整地を走行する場合であっても、全車輪(31a,31b,32a,32b)の接地性を適切に確保することができると共に、メインフレーム22の傾斜を最小限に抑えて作業時の安定性を適切に確保することができる。
【0091】
また、ブラケット118a,118bによって、左右の各サイドフレーム33a,33bの回動に対する支持手段が十分な剛性を有することになる。このため、実施例1の円弧カムやカムフォロアや、実施例2の台形リンク手段を設けなくて済むと共に、トーションビーム34も1本で足り得る。なお、ブラケット118aの下端部およびブラケット118bの下端部の間を連結棒119で連結するのみならず、上下の中間部も剛体により連結するようにしてもよい。こうすることで、左右の各サイドフレーム33a,33bの回動に対する支持機構に、より一層十分な剛性を持たせることができる。
【実施例4】
【0092】
次に、本発明の実施例4について説明する。本実施例専用の図は特にないが、本実施例は、図2ないし図5に示した実施例1の構成において、各車輪(31a,31b,32a,32b)の設置方向を90度変更し、左右のサイドフレーム33a,33bを前車軸フレームおよび後車軸フレームとした構成である。
【0093】
すなわち、本実施例の四輪車両の設置機構は、左右二つの前輪31a,31bを回転可能に支持する前車軸フレームと、左右二つの後輪32a,32bを回転可能に支持する後車軸フレームと、前車軸フレームおよび後車軸フレームの回動を許容した状態で、これらに支持されるメインフレーム22と、を備える。また、この四輪車両の設置機構は、前車軸フレームと後車軸フレームとを前後方向において連結すると共に、その前後方向の中間部をメインフレーム22に接続された左右一対のトーションビーム34を備える。
【0094】
そして、前車軸フレームおよび後車軸フレームは、前後方向において一致する仮想回転中心Aの回りを回動するように構成され、且つトーションビーム34によって前車軸フレームおよび後車軸フレームの回動位置が逆位相になるように構成される。また、円弧カム81およびコロ82からなる支持機構35についても同様に設けられる。
【0095】
本実施例によれば、簡易な構造により、リジッドアクスルに対応する機構とすることができる。この場合、トーションビーム34は、前車軸フレームの回動位置と後車軸フレームの回動位置と逆位相にするように機能する。これにより、四個の車輪(31a,31b,32a,32b)の接地性は適切に確保されると共に、メインフレーム22の傾斜を最小限に抑制して作業時の安定性を適切に確保することができる。また、四輪車両としては、例えばフォークリフトなどの重作業を伴うものにも好適に適用することができる。なお、以上の説明では実施例1の構成を例に説明したが、もちろん実施例2の構成を上記のように適用してもよい。
【実施例5】
【0096】
次に、図17ないし図20を参照して、フレームの枠組み構造について説明する。この枠組み構造は、各種構造物の部材間の結合に適用することができるが、ここでは本実施例のメインフレーム22に適用した一例について説明する。図17および図18に拡大して示すメインフレーム22の部分は、前フレーム41、右フレーム43およびこれに平行な中間フレーム45である。ここでは、便宜上、前フレーム41を横フレーム121とし、右フレーム43を縦フレーム122とし、中間フレーム45を縦フレーム122として説明する。
【0097】
これらの図に示すように、横フレーム121および一対の縦フレーム122,122は、中空の形材からなり、方形の断面形状で形成されている。横フレーム121と縦フレーム122とは、横フレーム121の側面131に縦フレーム122の小口141(開口部)を突き当てて両者を直交させた状態で、ねじ部材150およびジョイント部材151を介して結合されることにより枠組みされる。
【0098】
図18に示すように、ねじ部材150は、例えば十字穴付き小ねじで構成されている。ねじ部材150は、ジョイント部材151に螺合するねじ部161と、ねじ部161に一体に連なり、十字穴が形成された頭部162と、で構成されている。横フレーム121には、ねじ部材150を挿通させるための二つの穴132,133が貫通形成されており、一方の穴132は、ねじ部材150の頭部162の挿通を許容するばか穴となっている。
【0099】
もう一方の穴133は、縦フレーム122の小口141に面する側面131に貫通形成されており、ねじ部材150のねじ部161の挿通を許容し且つその頭部162の挿通を許容しない径となっている。したがって、横フレーム121のばか穴132から挿通されたねじ部材150は、もう一方の小穴133からねじ部161を挿通させて縦フレーム122側に臨ませることができると共に、その小穴133の開口縁部に内壁側から頭部162を当接させることができるようになっている。
【0100】
図18および図19に示すように、ジョイント部材151は、縦フレーム122に対応して形成された例えば円筒状の部材であり、縦フレーム122の小口141に挿入可能に構成されている。ジョイント部材151は、その軸線方向を横フレーム121の延在方向および縦フレーム122の延在方向の両者に直交する方向にして、縦フレーム122の小口141に挿入される。ジョイント部材151は、横フレーム121や縦フレーム122と同一の金属により形成されているが、両者は異種金属であってもよい。
【0101】
ジョイント部材151の周壁には、周方向に均等に分散して且つ同一の平面内に位置するように計4つの穴171,172,173,174が貫通形成されている。すなわち、ジョイント部材151の軸線方向に直交する方向に「十字」を結ぶように4つの穴171,172,173,174が設けられ、これら4つの穴171,172,173,174は、ジョイント部材151の軸線方向の中間部に形成されている。4つの穴171,172,173,174は略同じ径からなるが、そのうちの1つがねじ穴171として形成されている。
【0102】
ねじ穴171は、ねじ部161を螺合可能に構成されている。このため、ねじ部材150を螺進することにより、ねじ部材150とジョイント部材151とは相対的に移動する。なお、ジョイント部材151にねじ穴171を直接刻設したが、ねじ穴171はウェルドナットで構成されてもよい。ねじ穴171に対面する穴172は、ねじ部161を挿通可能に構成されている。
【0103】
本実施例のジョイント部材151は、ねじ穴171を縦フレーム122の小口141側に臨ませ且つねじ穴171に対面する穴172を横フレーム121の小穴133に臨ませて、フレームの枠組みに用いられる。一方、ねじ穴171およびこれに対面する穴172に直交する方向に位置する二つの穴173,174は、縦フレーム122の小口141においてその内壁に臨むようになっている。
【0104】
フレームの枠組みを行う場合、横フレーム121のばか穴132からねじ部材150のねじ部161を案内して、ねじ部161を小穴133から横フレーム121外に挿通する。続いて、ねじ部161をジョイント部材151の穴172から挿通すると共に、ねじ部161をねじ穴171に螺合する。そして、ジョイント部材151を縦フレーム122の小口141に挿入すると共に、縦フレーム122の小口141を横フレーム121の側面131に突き当てる。
【0105】
この状態で、ねじ部材150をその頭部162を介して増締めする。このねじ部材150の螺進により、ジョイント部材151は横フレーム121の側面131に引きつけられて変形し、変形したジョイント部材151の周壁が縦フレーム122の小口141に強密着する。
【0106】
図20は、この状態の縦フレーム122の小口141とジョイント部材151との関係を示している。上記のようにジョイント部材151に二つの穴173,174を形成したことにより、ねじ部材150の増締めによって変形するジョイント部材151は、その上下の周縁部が、その二つの穴173,174がある中間の周縁部に優先して拡径方向に変形する。
【0107】
これにより、ジョイント部材151が縦フレーム122の小口141における上下の隅部に強密着し、ジョイント部材151およびねじ部材150を介して横フレーム121と縦フレーム122との結合がなされ、横フレーム121や縦フレーム122との枠組みが完了する。なお、密着圧は、ジョイント部材151のチューブ材の板圧および穴173,174によって設定することができ、ジョイント部材151と相手フレーム(122)の材質によって最適化することが可能である。
【0108】
以上のように、本実施例のフレームの枠組み構造によれば、溶接等を必要としない簡易な構造により、直交するフレーム同士を適切に且つ強固に枠組みすることができる。なお、ねじ部材150の頭部162と横フレーム121との間に座金を設けたり、横フレーム121の小口にキャップを装着したりするなど、上記構造には各種の構成を付加することができる。また、ねじ部材150としては、小ねじに限らず、六角ボルトなどを用いることもできる。
【実施例6】
【0109】
次に、本発明の四足の接地機構およびこれを備えた構造体について説明する。この四足の接地機構は、上記した実施例1ないし3の四輪車両の接地機構を、机などの四つの脚体を有する構造体に適用したものである。以下では、図21および図22を参照して、実施例3に相当する接地機構30を机に組み込んだ例について説明する。
【0110】
机200は、ベースとなる天板202と、天板202の四隅の下側に設けられた前後左右の四つの脚体204a,204b,206a,206bと、を有している。天板202の上面は、物体を載置可能に構成されている。四つの脚体204a,204b,206a,206bは、例えば角柱状に形成されており、その下端面が接地可能に構成されている。
【0111】
右側の前後の脚体204a,206aの上部は、前後方向に延在する角材状の連結部材208aによって連結されている。連結部材208aと天板202とは、上下方向に延在するブラケット208aによって連結されている。ブラケット208aは、その上端部が天板202の右側面に固定されると共に、その下端部が連結部材208aの外側面にピン212aを介して回動可能に支持されている。この右側の二つの脚体204a,206aおよび連結部材208aから、右側ユニット214aが構成される。右側ユニット214aは、天板202をブラケット208aを介して支持すると共に、ユニット全体として天板202の支持点となるピン212aを中心に回動可能に構成されている。
【0112】
同様に、左側の前後の脚体204b,206bの上部は、連結部材208bによって連結されており、連結部材208bと天板202とは、上下方向に延在するブラケット208bによって連結されている。ブラケット208bの上端部は天板202の左側面に固定され、ブラケット208bの下端部は連結部材208bの外側面にピンを介して回動可能に支持されている。この左側の二つの脚体204b,206bおよび連結部材208bから、左側ユニット214bが構成される。左側ユニット214bは、天板202をブラケット208bを介して支持すると共に、ユニット全体として天板202の支持点となるピンを中心に回動可能に構成されている。この場合、右側ユニット214aの天板202の支持点(ピン212aの位置)と、左側ユニット214bの天板202の支持点(ピンの位置)とは、左右方向において一致している。
【0113】
机200に組み込まれた四足の接地機構220は、天板202、右側ユニット214aおよび左側ユニット214bに加え、右側ユニット214aと左側ユニット214bとを左右方向において連結するトーションビーム222を更に有している。トーションビーム222の左右の各端部は、右側ユニット214aの前脚体204aおよび左側ユニットの前脚体204bの前面に、ピン224a,224bを介してそれぞれ回動可能に接続されている。また、トーションビーム222の左右方向の中間部は、天板202の前面に垂設したブラケット226に、ピン224cを介して回動可能に接続されている。
【0114】
そして、上記の実施例(実施例1、実施例3)で説明したように、トーションビーム222における三つのピン224a,224b,224cの軸線は、右側ユニット214aおよび左側ユニット214bの非回動位置において同一平面内にある。また、この同一平面は、右側ユニット214aおよび左側ユニット214bの天板202の各支持点を結ぶ線に交差している。このようなトーションビーム222の取付け構造とすることで、右側ユニット214aおよび左側ユニット214bは、トーションビーム222によって回動位置が互いに逆位相となる。
【0115】
以上のように、本実施例によれば、例えば右側の前脚体204aが段差等に乗り上げた場合(図21に示す場合)には、右側ユニット214aは、全体として後方側に回動する一方、左側ユニット214bに連結されたトーションビーム222によって前方への回動力を付与される。これにより、天板202は、左右の両ユニット214a,214bに対し、ニュートラルに保たれるようになる。
【0116】
したがって、本実施例の机200は、段差等の不整地に置かれた場合であっても、四つ全ての脚体204a,204b,206a,206bの接地性を確保することができる。このため、机200は、接地面の影響によってぐらつくことが抑制される。また、不整地に置かれた場合でも、天板202の傾斜の変化を抑制することができるため、天板202上に載置させた物体の安定性を適切に確保することができる。
【0117】
なお、本実施例の説明において、「前後左右」は任意である。すなわち、図の見方を変えれば、例えば、右側ユニット214aは前側ユニットとなるし、左側ユニット214bは後側ユニットとなる。いずれにせよ、前後左右の四つの脚体204a,204b,206a,206bの接地性が確保されることに変わりはない。また、トーションビーム222は、実施例3で説明したように一つあれば足りるが、例えば机200の後側にもトーションビーム222を設けるなど、トーションビーム222の数や設置箇所は適宜設計変更することができる。トーションビーム222の形状は、断面略コ字状が好ましいが、本実施例のように平板状であってもよい。
【0118】
以上の本実施例の説明では、実施例3の四輪車両の接地機構30を四足の接地機構220に適用した例について説明したが、もちろん実施例1や実施例2の四輪車両の接地機構30を四足の接地機構220に適用することもできる。これらの適用例は同様であるため、特に図示しないが、概略以下のとおりである。
【0119】
例えば実施例1の四輪車両の接地機構30を適用した四足の接地機構220は、上記の天板202、右側ユニット214a、左側ユニット214bおよびトーションビーム222を有するが、ブラケット208a,208bを有しない。もっとも、トーションビーム222は、例えば前後に少なくとも2本が設けられる。したがって右側ユニット214aおよび左側ユニット214bは、左右方向において一致する仮想回転中心の回りを回動する。また、天板202と右側ユニット214aとの間、および天板202と左側ユニット214bとの間には、天板202をこれらユニット214a,214bに支持させる支持機構が設けられており、この支持機構が円弧カムおよびカムフォロアから構成される。
【0120】
具体的には、右側ユニット214aの連結部材208aの上端面および左側ユニット214bの連結部材208bの上端面には、仮想回転中心に中心を有する円弧カムが隆起するように形成される。カムフォロアとなるコロは、天板202から垂設した支持ブラケット(例えば図1の符号83)に保持され、円弧カムの周方向と同方向に円弧カムに転動する。このような構成により、右側ユニット214aおよび左側ユニット214bは、天板202に対して回動を許容された状態でこれを支持していると共に、トーションビーム222によって回動位置が互いに逆位相になる。
【0121】
また、実施例2の四輪車両の接地機構30を適用した四足の接地機構220は、同様に、上記の天板202、右側ユニット214a、左側ユニット214bおよびトーションビーム222を有するが、ブラケット208a,208bを有しない。したがって、右側ユニット214aおよび左側ユニット214bは、左右方向において一致する仮想回転中心の回りを回動する。また、天板202と右側ユニット214aとの間、および天板202と左側ユニット214bとの間には、天板202をこれらユニット214a,214bに支持させる支持機構が設けられており、この支持機構が台形リンクから構成される。
【0122】
具体的には、支持機構は、天板202および右側ユニットの連結部材208aと協働して台形リンクを構成する一対のリンクと、天板202および左側ユニットの連結部材208bと協働して台形リンクを構成する一対のリンクと、を有する。天板202の側面が台形の上底となり、連結部材208a,208bの外側面(あるいは内側面)が台形の下底となる。そして、右側および左側の各一対のリンクが向かう基準点は、右側および左側の各ユニット214a,214bの仮想回転中心の近傍(例えば仮想回転中心の僅かに下方)に位置している。このような構成により、右側ユニット214aおよび左側ユニット214bは、天板202に対して回動を許容された状態でこれを支持していると共に、トーションビーム222によって回動位置が互いに逆位相になる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】実施形態に係る農作業用四輪車両を示す外観斜視図である。
【図2】実施例1に係る四輪車両を示し、その一つの車輪が段差に乗り上げた状態を示す外観斜視図である。
【図3】実施例1に係る四輪車両の構成を示す平面図である。
【図4】実施例1に係る四輪車両の構成を示す正面図である
【図5】実施例1に係る四輪車両の構成を示す右側面図である。
【図6】図3と同様の平面図であり、メインフレームを水平に支持した状態でサイドフレームを回動させた状態を示す図である。
【図7】図4と同様の正面図であり、メインフレームを水平に支持した状態でサイドフレームを回動させた状態を示す図である。
【図8】図5と同様の右側面図であり、メインフレームを水平に支持した状態でサイドフレームを回動させた状態を示す図である。
【図9】実施例2に係る四輪車両を示し、図2と同様の外観斜視図である。
【図10】実施例2に係る四輪車両の構成を示す平面図である。
【図11】実施例2に係る四輪車両の構成を示す正面図である。
【図12】実施例2に係る四輪車両の構成を示す右側面図である。
【図13】実施例3に係る四輪車両を示し、図2と同様の外観斜視図である。
【図14】実施例3に係る四輪車両の構成を示す平面図である。
【図15】実施例3に係る四輪車両の構成を示す正面図である。
【図16】実施例3に係る四輪車両の構成を示す右側面図である。
【図17】四輪車両の一部のフレームの枠組みを拡大して示す拡大斜視図である。
【図18】図17のフレームの枠組みを分解して示す分解斜視図である。
【図19】フレームの枠組みに用いるジョイント部材を示す斜視図である。
【図20】ジョイント部材で固定した状態のフレームの小口を示す図である。
【図21】実施例6に係る四足の接地機構を組み込んだ机を示す外観斜視図である。
【図22】図21と同様の外観斜視図であり、回動状態の机を示す図である。
【符号の説明】
【0124】
1 農作業システム、2 圃場、3 舗装路、4 制御車、5 作業車、22 メインフレーム、30 四輪車両の接地機構、31a 右前輪、31b 左前輪、32a 右後輪、32b 左後輪、33a 右側サイドフレーム、33b 左側サイドフレーム、34 トーションビーム、35 支持機構、72a、72b、72c ピン、81 円弧カム、82 コロ、111c、112c リンク、111d、112d リンク 、118a、118b ブラケット、200 机(構造体)、202 天板(ベース)、204a 右前脚体、204b 左前脚体、206a 右後脚体、206b 左後脚体、214a 右側ユニット、214b 左側ユニット、220 四足の接地機構、222 トーションビーム、A 仮想回転中心、B 基準点、C 支持点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左側の前輪および後輪を回転可能に支持する左側サイドフレームと、
右側の前輪および後輪を回転可能に支持する右側サイドフレームと、
前記左側サイドフレームおよび前記右側サイドフレームの回動を許容した状態で、これらに支持されるメインフレームと、
前記左側サイドフレームと前記右側サイドフレームとを左右方向において連結すると共に、その左右方向の中間部が前記メインフレームに接続されたトーションビームと、を備え、
前記左側サイドフレームおよび前記右側サイドフレームは、左右方向において一致する仮想回転中心の回りを回動するように構成され、且つ前記トーションビームによって当該両サイドフレームの回動位置が逆位相になるように構成されている四輪車両の接地機構。
【請求項2】
前記トーションビームは、左右の各端部がピンを介して前記左側サイドフレームおよび前記右側サイドフレームに回動可能に接続され、且つ左右方向の中間部がピンを介して前記メインフレームに回動可能に接続され、
前記3つのピンの軸線は、前記左側サイドフレームおよび前記右側サイドフレームの非回動位置において同一平面内にあり、
前記同一平面は、前記左側サイドフレームおよび前記右側サイドフレームの各仮想回転中心を結ぶ線に交差する請求項1に記載の四輪車両の接地機構。
【請求項3】
前記メインフレームを前記左側サイドフレームおよび前記右側サイドフレームに支持させる支持機構を、更に備えた請求項1または2に記載の四輪車両の接地機構。
【請求項4】
前記支持機構は、
前記左側サイドフレームおよび前記右側サイドフレームにそれぞれ設けられ、前記仮想回転中心に中心を有する円弧カムと、
前記メインフレームに設けられ、前記円弧カムに転動するカムフォロアと、
を有している請求項3に記載の四輪車両の接地機構。
【請求項5】
前記支持機構は、
前記メインフレームおよび前記左側サイドフレームと協働して台形リンクを構成する一対のリンクと、
前記メインフレームおよび前記右側サイドフレームと協働して台形リンクを構成する一対のリンクと、を有し、
前記左側の一対のリンクが向かう基準点は、前記左側サイドフレームの前記仮想回転中心の近傍に位置する点であり、
前記右側の一対のリンクが向かう基準点は、前記右側サイドフレームの前記仮想回転中心の近傍に位置する点である請求項3に記載の四輪車両の接地機構。
【請求項6】
左側の前輪および後輪を回転可能に支持する左側サイドフレームと、
右側の前輪および後輪を回転可能に支持する右側サイドフレームと、
前記左側サイドフレームおよび前記右側サイドフレームに支持手段を介して支持されたメインフレームと、を備え、
前記支持手段は、前記左側サイドフレームおよび前記右側サイドフレームを左右方向において連結すると共にその左右方向の中間部を前記メインフレームに接続されたトーションビームを有し、
前記左側サイドフレームおよび前記右側サイドフレームは、左右方向において一致する仮想回転中心の回りを回動するように前記支持手段によって前記メインフレームに対する回動を許容され、且つ前記トーションビームによって当該両サイドフレームの回動位置が逆位相になるように構成されている四輪車両の接地機構。
【請求項7】
左側の前輪および後輪を回転可能に支持する左側サイドフレームと、
右側の前輪および後輪を回転可能に支持する右側サイドフレームと、
前記左側サイドフレームおよび前記右側サイドフレームに回動可能に支持されるメインフレームと、
前記左側サイドフレームと前記右側サイドフレームとを左右方向において連結すると共に、その左右方向の中間部が前記メインフレームに接続されたトーションビームと、を備え、
前記左側サイドフレームおよび前記右側サイドフレームは、左右方向において一致する前記メインフレームの支持点を中心に回動可能に構成され、且つ前記トーションビームによって当該両サイドフレームの回動位置が逆位相になるように構成されている四輪車両の接地機構。
【請求項8】
前記トーションビームは、左右の各端部がピンを介して前記左側サイドフレームおよび前記右側サイドフレームに回動可能に接続され、且つ左右方向の中間部がピンを介して前記メインフレームに回動可能に接続され、
前記3つのピンの軸線は、前記左側サイドフレームおよび前記右側サイドフレームの非回動位置において同一平面内にあり、
前記同一平面は、前記左側サイドフレームおよび前記右側サイドフレームの前記メインフレームの各支持点を結ぶ線に交差する請求項7に記載の四輪車両の接地機構。
【請求項9】
前記トーションビームは、断面略コ字状に形成され且つその略コ字状の開口側が四輪車両の外側下方に向いている請求項1ないし8のいずれか一項に記載の四輪車両の接地機構。
【請求項10】
左右二つの前輪を回転可能に支持する前車軸フレームと、
左右二つの後輪を回転可能に支持する後車軸フレームと、
前記前車軸フレームおよび前記後車軸フレームの回動を許容した状態で、これらに支持されるメインフレームと、
前記前車軸フレームと前記後車軸フレームとを前後方向において連結すると共に、その前後方向の中間部を前記メインフレームに接続されたトーションビームと、を備え、
前記前車軸フレームおよび前記後車軸フレームは、前後方向において一致する仮想回転中心の回りを回動するように構成され、且つ前記トーションビームによって当該前車軸フレームおよび当該後車軸フレームの回動位置が逆位相になるように構成されている四輪車両の接地機構。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の四輪車両の接地機構を備えた四輪車両。
【請求項12】
前後左右の四つの脚体を接地させる四足の接地機構であって、
ベースと、
前記ベースを支持する左側ユニットおよび右側ユニットと、
前記左側ユニットと前記右側ユニットとを左右方向において連結すると共に、その左右方向の中間部が前記ベースに接続されたトーションビームと、を備え、
前記左側ユニットは、左側の前後の脚体を有し、ユニット全体として前記ベースに対して回動を許容された状態で当該ベースを支持しており、
前記右側ユニットは、右側の前後の脚体を有し、ユニット全体として前記ベースに対して回動を許容された状態で当該ベースを支持しており、
前記左側ユニットおよび前記右側ユニットは、左右方向において一致する仮想回転中心の回りを回動するように構成され、且つ前記トーションビームによって当該両ユニットの回動位置が逆位相になるように構成されている四足の接地機構。
【請求項13】
前記トーションビームは、左右の各端部がピンを介して前記左側ユニットおよび前記右側ユニットに回動可能に接続され、且つ左右方向の中間部がピンを介して前記ベースに回動可能に接続され、
前記3つのピンの軸線は、前記左側ユニットおよび前記右側ユニットの非回動位置において同一平面内にあり、
前記同一平面は、前記左側ユニットおよび前記右側ユニットの各仮想回転中心を結ぶ線に交差する請求項12に記載の四足の接地機構。
【請求項14】
前記ベースを前記左側ユニットおよび前記右側ユニットに支持させる支持機構を、更に備えた請求項12または13に記載の四足の接地機構。
【請求項15】
前記支持機構は、
前記左側ユニットおよび前記右側ユニットにそれぞれ設けられ、前記仮想回転中心に中心を有する円弧カムと、
前記ベースに設けられ、前記円弧カムに転動するカムフォロアと、
を有している請求項14に記載の四足の接地機構。
【請求項16】
前記支持機構は、
前記ベースおよび前記左側ユニットと協働して台形リンクを構成する一対のリンクと、
前記ベースおよび前記右側ユニットと協働して台形リンクを構成する一対のリンクと、を有し、
前記左側の一対のリンクが向かう基準点は、前記左側ユニットの前記仮想回転中心の近傍に位置する点であり、
前記右側の一対のリンクが向かう基準点は、前記右側ユニットの前記仮想回転中心の近傍に位置する点である請求項14に記載の四足の接地機構。
【請求項17】
前後左右の四つの脚体を接地させる四足の接地機構であって、
ベースと、
前記ベースを支持する左側ユニットおよび右側ユニットと、
前記左側ユニットと前記右側ユニットとを左右方向において連結すると共に、その左右方向の中間部が前記ベースに接続されたトーションビームと、を備え、
前記左側ユニットは、左側の前後の脚体を有し、ユニット全体として前記ベースの支持点を中心に回動可能に構成され、
前記右側ユニットは、右側の前後の脚体を有し、ユニット全体として前記ベースの支持点を中心に回動可能に構成され、
前記左側ユニットおよび前記右側ユニットの前記ベースの各支持点は、左右方向において一致し、
前記左側ユニットおよび前記右側ユニットは、前記トーションビームによって当該両ユニットの回動位置が逆位相になるように構成されている四足の接地機構。
【請求項18】
前記トーションビームは、左右の各端部がピンを介して前記左側ユニットおよび前記右側ユニットに回動可能に接続され、且つ左右方向の中間部がピンを介して前記ベースに回動可能に接続され、
前記3つのピンの軸線は、前記左側ユニットおよび前記右側ユニットの非回動位置において同一平面内にあり、
前記同一平面は、前記左側ユニットおよび前記右側ユニットの前記ベースの各支持点を結ぶ線に交差する請求項17に記載の四足の接地機構。
【請求項19】
請求項12ないし18のいずれか一項に記載の四足の接地機構を備えた構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−176031(P2006−176031A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−372612(P2004−372612)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(598096991)学校法人東京農業大学 (85)
【Fターム(参考)】