説明

回路基板、回路基板が組み込まれる製品及び固定方法

【課題】電気的に接続される2つの基板部を有し、製品に組み込まれた後は、2つの基板部が一体的でない方が良い回路基板について、組立性を向上する。
【解決手段】第1回路を有するインレット基板11と、第2回路を有する周辺回路基板12と、第1支持部22でインレット基板11を支持し、第2支持部23で周辺回路基板12を支持する仮保持基板21と、を備え、第1回路と第2回路とは、インレット基板11と周辺回路基板12とが一体的にならない態様で電気的に接続され、第1支持部22及び第2支持部23を図示破線Aの一直線上の切断線で一度に切断して、仮保持基板21をインレット基板11及び周辺回路基板12から切り離すことで、インレット基板11と周辺回路基板12とが離隔され一体的でなくなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子機器等の製品に用いられ、製品の使用時に外力が作用され得る電気部品を実装する回路基板、回路基板が組み込まれる製品及び固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子機器等の製品に用いられる電源インレットや外部配線接続用コネクタには、ケーブルの挿抜時や接続したケーブルを引っ張った時等に大きな外力が作用することがある。操作用スイッチ等においても同様で、強い力で操作した場合に大きな外力が作用することがある。ここで、これら電気部品をプリント基板に直接半田付けして用いた場合、外力が直接半田付け部位に影響することがある。この影響により、半田の割れや、プリント基板からのパターンの剥離といった破損に至ることがある。
【0003】
この問題に対策を施した従来例を説明する。図6〜図8は、外部配線接続用コネクタ(以下、コネクタという)100を実装した回路基板を示している。図6では、コネクタ100を配置した部位の周囲にスリット103,104を設け、コネクタ100を実装した基板部102と、周辺回路を実装した基板部101とを、接続部105のみを残して一部分離させたものである。なお、コネクタ100から周辺回路への電気的な接続は、基板の接続部105に設けた基板パターンによって行われる。
【0004】
ここで、図7は、コネクタ100にケーブル106を接続させた時の様子を横から見ており、図8は、ケーブル106を図示上方向である矢印107の方向に引っ張ることでコネクタ100に外力を加えた時の様子を横から見ている。コネクタ100に外力が作用していない状態では、図7に示すように2つの基板部101,102は水平となる。しかし、コネクタ100に外力が作用した状態では、図8に示すように基板の接続部105がたわむことで、コネクタ100の半田付け部位にかかる外力を減らし、破損を防ぐ(例えば特許文献1参照)。
【0005】
また、図9は、電源インレット110を実装した回路基板を示している。インレット110は、電線112,113を介して周辺回路基板111のランド穴116,117に電気的に接続される。インレット110とアース端120は、アース線118を介して電気的に接続される。ここで、インレット110には、電線112,113,118を手作業で半田付けしてあるため、半田付け部位から線材の一部が飛び出すなどの懸念が有る。このため、半田付け部位には、その上から熱収縮チューブ114,115,119を装着することで安全性を確保している。これによると、インレット110に外力がかかりインレット110が動いた場合においても、電線112,113,118が自由にしなることで、半田付け部位には外力がかからない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−330006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図6〜図8に示す従来構成では、基板の接続部105のたわみによって外力を逃がしているため、強い外力が作用すると基板が接続部105で割れてしまう可能性がある。さらに、基板がたわむことができるのは基板表裏面方向である基板上下方向の力しか逃がすことができない。このため、基板左右方向やケーブル106の押し込み方向
の外力に対しては、効果が無かった。特に電源インレット等においては、コードを引っ掛けてしまった時やコードを踏んでしまった時等に、全方向に極めて強い外力が作用する可能性が有る。またスイッチ等においても、強い力で操作された時等に、強い押し込み方向の外力が作用する可能性が有る。電源部分おいては、このような異常な外力がかかった場合でも安全性を確保しなくてはならない。
【0008】
また、図9に示す従来構成では、電線112,113,118がしなることで全方向の外力を逃がすことができるため、安全性は高い。しかしながら、インレット110に手作業で電線112,113,118を半田付けすると共に、熱収縮チューブ114,115,119を被せる必要が有る。このため、作業工程が多く生産コストが高いという問題がある。また、製品に固定するまでインレット110が保持されないので、組立作業が困難であるという問題もある。
【0009】
本発明は、上述のような、電気的に接続される2つの基板部を有し、製品に組み込まれた後は、2つの基板部が一体的でない方が良い回路基板について、組立性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る回路基板は、
第1回路を有する第1基板部と、第2回路を有する第2基板部と、第1支持部で前記第1基板部を支持し、第2支持部で前記第2基板部を支持する仮保持基板部と、を備え、
前記第1回路と前記第2回路とは、前記第1基板部と前記第2基板部とが一体的にならない態様で電気的に接続され、
前記第1支持部及び前記第2支持部を一直線上の切断線で一度に切断して、前記仮保持基板部を前記第1基板部及び前記第2基板部から切り離すことで、前記第1基板部と前記第2基板部とが離隔され一体的でなくなることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために本発明に係る固定方法は、
電気部品と電気的に接続される第1回路を有する第1基板部と、第2回路を有する第2基板部と、を備える回路基板を、前記第1回路と前記第2回路とが一体的にならない態様で電気的に接続してから前記第1基板部及び前記第2基板部を固定する固定方法であって、
前記回路基板は、第1支持部で前記第1基板部を支持すると共に第2支持部で前記第2基板部を支持する仮保持基板部を備え、
前記第1基板部に固定された前記電気部品を筐体に固定すると共に前記第2基板部を筐体に固定してから、前記第1支持部及び前記第2支持部を一直線上の切断線で一度に切断して、前記仮保持基板部を前記第1基板部及び前記第2基板部から切り離し、前記第1基板部と前記第2基板部とが離隔された状態とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、電気的に接続される2つの基板部を有し、製品に組み込まれた後は、2つの基板部が一体的でない方が良い回路基板について、組立性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1に係る回路基板の概略構成図
【図2】実施例1に係る回路基板のインレット固定時の様子を示す図
【図3】実施例1に係る回路基板の外装装着時の様子を示す図
【図4】実施例2に係る回路基板の概略構成図
【図5】実施例3に係る回路基板の概略構成図
【図6】従来例に係る回路基板の概略構成図
【図7】従来例に係る回路基板のケーブル接続時の様子を示す図
【図8】従来例に係る回路基板に外力が作用した様子を示す図
【図9】従来例に係る回路基板の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0015】
<実施例1>
図1〜図3は、本実施例に係る回路基板としての電源基板を示している。本実施例では、製品使用時に外力が作用され得る電気部品として電源ケーブル端子を差し込む電源インレット(以下、インレットという)10を実装した電源基板について説明する。
【0016】
図1に示すように、電源基板は、第1回路を有し、インレット10を固定する第1基板部(以下、インレット基板という)11と、周辺回路(第2回路)を有する第2基板部(以下、周辺回路基板という)12と、を備える。第1回路はインレット基板11にパターン形成されており、この第1回路にインレット10の1次側端子13,14を半田付けすることで、インレット10がインレット基板11に固定される。第2回路は周辺回路基板12にパターン形成されており、この第2回路に周辺回路を構成する部品を半田付けする。インレット基板11と周辺回路基板12との間には、スリット25が形成されているが、電源基板に形成された仮保持基板部(以下、仮保持基板という)21がインレット基板11及び周辺回路基板12の双方を支持していることで、インレット基板11と周辺回路基板12とは一体的な状態である。仮保持基板21は、図示左側の一辺に設けられた第1支持部22でインレット基板11を支持している。また、仮保持基板21は、第1支持部22が設けられた同じ一辺に当該一辺に沿った第1支持部22と図示破線Aの一直線上に並んで設けられた第2支持部23で周辺回路基板12を支持している。
【0017】
仮保持基板21がインレット基板11及び周辺回路基板12の双方を支持しており仮保持基板21をインレット基板11及び周辺回路基板12から切り離さなければ、インレット基板11と周辺回路基板12とが一体的な状態である。このため、電源基板の製造方法として、まず、インレット10、周辺回路を構成する部品及び束線15,16等の部品群を、インレット基板11と周辺回路基板12とが一体的な状態の電源基板に組み込む。そして、部品群が組み込まれた電源基板を半田付け用フロー槽にくぐらせることで、これら部品群を一度に電源基板に半田付けするフロー実装が可能である。このように、インレット基板11と周辺回路基板12とが一体的な状態の電源基板では、全体で一つの基板として部品群の組み込み及び半田付けができ、組立性が良い。
【0018】
電源基板は、仮保持基板21とインレット基板11及び周辺回路基板12の双方とを接続する第1支持部22及び第2支持部23が図示破線Aの一直線上に並んでいる。このため、フロー実装後等に、仮保持基板21を1回折って第1支持部22及び第2支持部23を一直線の図示破線Aを切断線として切断することで、仮保持基板21はインレット基板11及び周辺回路基板12の双方を一度に切り離すことができる。このように仮保持基板21をインレット基板11及び周辺回路基板12から切り離すことで、インレット基板11と周辺回路基板12とが離隔され一体的でなくなりバラバラになる。これにより、インレット基板11と周辺回路基板12とが一体的にならない態様で、束線15,16によって電気的に接続される。すなわち、インレット基板11と周辺回路基板12とが一体的にならない態様で電気的に接続されるとは、基板のプリントパターンではなく、インレット
基板11と周辺回路基板12とが離隔した状態で、束線15,16等の電線や電通部材等によって両者を電気的に接続することである。また、仮保持基板21はインレット基板11及び周辺回路基板12を別々ではなく、双方を一直線上の切断線で一度に切り離すことができるので、仮保持基板21を切り離す工程が一回で済み、作業性、組立性が良い。
【0019】
ここで、仮保持基板21がインレット基板11、周辺回路基板12を支持する第1支持部22及び第2支持部23には、それぞれ切断を容易にする加工としてミシン目が形成されている。これにより、仮保持基板21を折る場合に、第1支持部22及び第2支持部23に形成されたミシン目によって、仮保持基板21を容易に折ることができ、仮保持基板21をインレット基板11及び周辺回路基板12の双方から一度に容易に切り離すことができる。なお、本実施例では、第1支持部22及び第2支持部23にミシン目を形成していた。しかしこれに限られない。第1支持部22及び第2支持部23にVカット溝等の溝や切り込み等、切断を容易にする加工が施されているとよい。
【0020】
次に、図2を用いてインレット10の固定について説明する。図2に示すように、インレット板金30は、インレット10を覆う形状になっていると共に、アース端子24にネジ止めすることでインレット10と締結される。インレット板金30は、ネジ穴31にて製品筐体へネジ止めすると共に、ネジ穴32にて周辺回路基板12と一緒に製品筐体へネジ止めすることで、インレット10及び周辺回路基板12が製品筐体に固定される。これらインレット板金30へのネジ止めは、インレット10のアース端子24を電気的に接続する機能も兼ねている。なお、インレット10及び周辺回路基板12が固定される部材は、製品筐体に限られず、製品内部に取り付けられる部品等であってもよい。
【0021】
仮保持基板21は、図2に示すようにインレット板金30によってインレット10及び周辺回路基板12を製品筐体へ固定した後、インレット基板11及び周辺回路基板12から切り離される。そして、インレット基板11は、インレット10によってのみ保持された状態となる。このような電源基板及びそれに付属された部品の固定方法によって、組立中にインレット10及びインレット基板11が自由に動いてしまうことがなく、作業性が良く、組立性が良い。
【0022】
また、仮保持基板21は、図3に示すように、電源基板が製品に組み込まれ仮保持基板21をインレット基板11及び周辺回路基板12から切り離さない状態では、製品の外装40,41が装着される場合に、外装40の取り付け作業を妨げる。すなわち、仮保持基板21が切り離されていないと、仮保持基板21は、外装40が配置されるスペースに位置(干渉)する。これにより、仮保持基板21を切り離さないと外装40が取り付けられず、仮保持基板21を外し忘れるといったことがない。なお、仮保持基板21が取り付け作業を妨げる部品は、外装40に限られない。電源基板が製品に組み込まれた後に製品に取り付けられる部品であればよい。また、仮保持基板21が取り付け作業を妨げるスペースに位置することは、当該部品の配置スペースに位置するだけでなく、当該部品の取り付けに用いる取り付け作業スペースに位置するものでもよい。要は、仮保持基板21は、電源基板が製品に組み込まれ仮保持基板21を切り離さない状態では、製品にその後に取り付けられる部品の取り付け作業を妨げるスペースに位置すればよい。
【0023】
以上説明した通り、部品実装及び組立中は、仮保持基板21によってインレット10及びインレット基板11が固定されて電源基板が一体的に取り扱える。よって、インレット10や束線15,16等の部品群のフロー実装やフロー実装後の作業性も良く、組立性が良い。また、仮保持基板21の切り離しが、第1支持部22及び第2支持部23を図示破線Aで一度に切断するよう仮保持基板21を折るだけなので、仮保持基板21を切り離す工程が一回で済み作業性が良く、組立性が良い。このように、本実施例によると、電気的に接続されるインレット基板11及び周辺回路基板12を有し、製品に組み込まれた後は
、インレット基板11及び周辺回路基板12が一体的でない方が良い電源基板について、組立性を向上することができる。さらに、仮保持基板21を切り離した後は、インレット基板11と周辺回路基板12とはバラバラになり、インレット基板11はインレット10によってのみ保持された状態となり、周辺回路基板12とは触れない状態となる。このため、製品使用時にインレット10に外力が作用してインレット10がどの方向に動いたとしても、インレット基板11はインレット10と共に動く。よって、インレット基板11の半田付け部位等に外力が影響することはなく、外力に起因する半田の割れや、インレット基板11からのパターンの剥離といった破損を回避することができる。
【0024】
なお、製品使用時後に外力が作用され得る電気部品は、電源ケーブル端子が差し込まれるインレット10に限定するものではない。電気部品としては、例えば、DCプラグやUSBケーブル端子等が差し込まれ接続される外部配線接続用コネクタを用いてもよい。また、その他の製品使用時に外力が作用され得る電気部品であってもよい。本実施例では、インレット基板11は、仮保持基板21を切り離す前にフロー実装によってインレット10が固定され、仮保持基板21を切り離すことでインレット10によってのみ保持された状態となる構成であった。しかしこれに限られない。例えば、仮保持基板21を切り離した後に、インレット基板11にインレット10が固定され、製品完成までにインレット基板11がインレット10によってのみ保持された状態となる構成であってもよい。
【0025】
<実施例2>
図4は、本実施例に係る回路基板である電源基板を示している。本実施例では、製品使用時に外力が作用され得る電気部品として電源の操作用スイッチ(以下、スイッチという)50を実装した電源基板について説明する。
【0026】
図4に示すように、電源基板は、スイッチ50を固定する第1基板部(以下、スイッチ基板という)51と、周辺回路を実装する第2基板部(以下、周辺回路基板という)52と、を備える。スイッチ基板51は、第1回路がパターン形成されており、この第1回路にスイッチ50を半田付けすることで、スイッチ50がスイッチ基板51に固定される。周辺回路基板52には第2回路がパターン形成されており、この第2回路に周辺回路を構成する部品を半田付けする。スイッチ基板51と周辺回路基板52との間には、スリット53が形成されているが、電源基板に形成された仮保持基板部(以下、仮保持基板という)57がスイッチ基板51及び周辺回路基板52の双方を支持していることで、スイッチ基板51と周辺回路基板52とは一体的な状態である。仮保持基板57は、図示左側の一辺に設けられた第1支持部59でスイッチ基板51を支持している。また、仮保持基板57は、第1支持部59が設けられた同じ一辺に当該一辺に沿った第1支持部59と図示破線Aの一直線上に並んで設けられた第2支持部60で周辺回路基板52を支持している。仮保持基板57の切り離しについては、実施例1と同様であるのでその説明は省略する。
【0027】
実施例1と異なる点は、インレットでは無く、スイッチ50にかかる外力の影響を回避することを対象としている点である。このため、本実施例では、スイッチ50に外力が作用する方向が、図示上方向である矢印58に示す押し込み方向に限定される。また、スイッチ50にかかる外力は、人が指で押す力であることから、実施例1のインレットに掛かる外力と比べて小さく、スイッチ50及びスイッチ基板51の移動量も小さい。そこで、実施例1での束線を用いず、本実施例では、スイッチ基板51から周辺回路基板52への接続にジャンパ線55,56を用いている。このジャンパ線55,56は、矢印58の外力の方向と垂直の方向にスイッチ基板51と周辺回路基板52との間をまたぐよう実装され、スイッチ基板51が矢印58の方向に動けるようにしている。ジャンパ線55,56は、束線に比して安価であり、コストダウンを図ることができる。
【0028】
以上説明した通り、本実施例では、部品実装及び組立中は、仮保持基板57によってス
イッチ50及びスイッチ基板51が固定されて電源基板が一体的に取り扱える。よって、スイッチ50やジャンパ線55,56等の部品群のフロー実装やフロー実装後の作業性も良く、組立性が良い。また、仮保持基板57の切り離しが、第1支持部59及び第2支持部60を図示破線Aで一度に切断するよう仮保持基板57を折るだけなので、仮保持基板57を切り離す工程が一回で済み作業性が良く、組立性が良い。このように、本実施例によると、電気的に接続されるスイッチ基板51及び周辺回路基板52を有し、製品に組み込まれた後は、スイッチ基板51及び周辺回路基板52が一体的でない方が良い電源基板について、組立性を向上することができる。さらに、束線ではなくジャンパ線55,56を用いているので、実施例1で示すよりもコストダウンを図ることができる。
【0029】
<実施例3>
図5は、本実施例に係る電気部品実装基板である電源基板を示している。本実施例では、製品使用時に外力が作用され得る電気部品としてインレット10及びスイッチ50を一緒に実装した電源基板について説明する。なお、実施例1,2と共通の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0030】
図5に示すように、インレット10及びスイッチ50を固定する第1基板部(以下、インレットスイッチ基板という)71と、周辺回路を実装する第2基板部(以下、周辺回路基板という)72とを、備える。インレットスイッチ基板71には第1回路がパターン形成されており、この第1回路にインレット10及びスイッチ50を半田付けすることで、インレット10及びスイッチ50が一緒にインレットスイッチ基板71に固定される。周辺回路基板72には第2回路がパターン形成されており、この第2回路に周辺回路を構成する部品を半田付けする。インレットスイッチ基板71と周辺回路基板72との間には、スリット73が形成されているが、仮保持基板部(以下、仮保持基板という)77がインレットスイッチ基板71及び周辺回路基板72の双方を支持していることで、インレットスイッチ基板71と周辺回路基板72とは一体的な状態である。インレットスイッチ基板71と周辺回路基板72との電気的な接続は、実施例1と同様に束線75,76を介して行われる。仮保持基板77は、図示左側の一辺に設けられた第1支持部79でインレットスイッチ基板71を支持している。また、仮保持基板77は、第1支持部79が設けられた同じ一辺に当該一辺に沿った第1支持部79と図示破線Aの一直線上に並んで設けられた第2支持部80で周辺回路基板72を支持している。仮保持基板77の切り離しについては、実施例1と同様であるのでその説明は省略する。
【0031】
実施例1,2に示した、周辺回路基板72から切り離す電気部品は1つである必要はなく、本実施例に示すように、インレット10及びスイッチ50を共にインレットスイッチ基板71に実装し、周辺回路基板72から切り離すよう構成してもよい。
【0032】
以上説明した通り、本実施例では、部品実装及び組立中は、仮保持基板57によってインレット10、スイッチ50及びインレットスイッチ基板71が固定されて電源基板が一体的に取り扱える。よって、インレット10やスイッチ50や束線75,76等の部品群のフロー実装やフロー実装後の作業性も良く、組立性が良い。また、仮保持基板77の切り離しが、第1支持部79及び第2支持部80を図示破線Aで一度に切断するよう仮保持基板77を折るだけなので、仮保持基板77を切り離す工程が一回で済み作業性が良く、組立性が良い。このように、電気的に接続されるインレットスイッチ基板71及び周辺回路基板72を有し、製品に組み込まれた後は、インレットスイッチ基板71及び周辺回路基板72が一体的でない方が良い電源基板について、組立性を向上することができる。さらに、周辺回路基板72から切り離した基板はインレットスイッチ基板71の1つである。このようにインレット10及びとスイッチ50のような複数の部品を実装した場合にも、低コスト且つ簡単な構成で、製品完成後にインレット10及びスイッチ50に作用する外力に起因する破損を回避することができる。
【符号の説明】
【0033】
11…インレット基板、12,52,72…周辺回路基板、21,57,77…仮保持基板、22,59,79…第1支持部、23,60,80…第2支持部、51…スイッチ基板、71…インレットスイッチ基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回路を有する第1基板部と、第2回路を有する第2基板部と、第1支持部で前記第1基板部を支持し、第2支持部で前記第2基板部を支持する仮保持基板部と、を備え、
前記第1回路と前記第2回路とは、前記第1基板部と前記第2基板部とが一体的にならない態様で電気的に接続され、
前記第1支持部及び前記第2支持部を一直線上の切断線で一度に切断して、前記仮保持基板部を前記第1基板部及び前記第2基板部から切り離すことで、前記第1基板部と前記第2基板部とが離隔され一体的でなくなることを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記第1基板部には、前記第1回路と電気的に接続される電気部品であって使用時に外力が作用され得る電気部品が固定されることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記仮保持基板部は、前記電気部品が固定された後に、前記第1基板部及び前記第2基板部から切り離されることを特徴とする請求項2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記第1支持部及び前記第2支持部には、切断を容易にする加工が施されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項5】
前記切断を容易にする加工は、ミシン目であることを特徴とする請求項4に記載の回路基板。
【請求項6】
前記切断を容易にする加工は、Vカット溝であることを特徴とする請求項4に記載の回路基板。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の回路基板が組み込まれる製品であって、
前記回路基板が製品に組み込まれ前記仮保持基板部を前記第1基板部及び前記第2基板部から切り離さない状態では、前記仮保持基板部はその後に取り付けられる部品の取り付け作業を妨げるスペースに位置することを特徴とする回路基板が組み込まれる製品。
【請求項8】
電気部品と電気的に接続される第1回路を有する第1基板部と、第2回路を有する第2基板部と、を備える回路基板を、前記第1回路と前記第2回路とが一体的にならない態様で電気的に接続してから前記第1基板部及び前記第2基板部を固定する固定方法であって、
前記回路基板は、第1支持部で前記第1基板部を支持すると共に第2支持部で前記第2基板部を支持する仮保持基板部を備え、
前記第1基板部に固定された前記電気部品を筐体に固定すると共に前記第2基板部を筐体に固定してから、前記第1支持部及び前記第2支持部を一直線上の切断線で一度に切断して、前記仮保持基板部を前記第1基板部及び前記第2基板部から切り離し、前記第1基板部と前記第2基板部とが離隔された状態とすることを特徴とする固定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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