回路基板及び電子機器
【課題】携帯電話装置などの電子機器では、製造番号などを記載した銘板を電子機器の内部、あるいは外部の所定の位置に貼付して、必要により銘板が見えるようにしている。プリント基板に銘板を貼付すると、銘板とプリント基板の間に気泡が出来やすい。
【解決手段】プリント基板5a上で銘板6を貼付する領域のレジスト52aの表面に空気の通り道となる溝部7を形成した。プリント基板5aに銘板6を貼付したときに、プリント基板5aと銘板6との間の空気が溝部7から銘板6を貼付する領域外に出るので、銘板6とプリント基板5aの間に気泡が残らない。
【解決手段】プリント基板5a上で銘板6を貼付する領域のレジスト52aの表面に空気の通り道となる溝部7を形成した。プリント基板5aに銘板6を貼付したときに、プリント基板5aと銘板6との間の空気が溝部7から銘板6を貼付する領域外に出るので、銘板6とプリント基板5aの間に気泡が残らない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙やプラスチックシート等を貼付する回路基板と、この回路基板を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話装置などの電子機器では、製造番号などを記載した銘板を電子機器の内部、あるいは外部の所定の位置に貼付して、必要により銘板が見えるようにしている。そして、多くの折り畳み式携帯電話装置では、銘板を内部に貼付している。
【0003】
図9と図10を用いて、従来の折り畳み式携帯電話装置80の銘板の貼付状況を説明する。図9は、折り畳み式携帯電話装置80の左側面図を示し、図10は折り畳み式携帯電話装置80を裏返して、電池カバーを外し、電池を取り出したときの斜視図を示している。
【0004】
折り畳み式携帯電話装置80は、図示しない液晶表示部を設けた第一筐体10と、図示しない操作部を設けた第二筐体20とをヒンジ30で連結し、図9の矢印のように開閉可能に構成している。第二筐体20には電池40を収納している。製造番号などを記載した銘板60は、電池40を収納する空間の面した領域に貼付している。
【0005】
図10に示すように、第二筐体20は、上筐体20aと下筐体20bを上下に合体して一つの筐体を構成している。そして、下筐体20bには電池40を出し入れするための長方形の穴20cをあけ、この穴20cを塞ぐ電池カバー20dを着脱自在に取り付けている。電池カバー20dを外して、電池40を取り出すと、穴20cから銘板60を見ることができる。
【0006】
従来は、銘板60を貼付する平面部分として、電池40と下筐体20bの内部にある回路基板(以下プリント基板と記載する)70を仕切る仕切壁20eを利用していた。下筐体20bに仕切壁20eがあると、下筐体20bの強度が確保されるだけでなく、プラスチックでできた仕切壁20eが平滑な平面であり、銘板60を美しく見栄え良く貼付することができる。しかし、作業の仕方によっては、銘板60と仕切壁20eの間に気泡が入ったり、本来の貼り付け位置に対して斜めに貼付されたりすることがあった。この場合、見る人によっては、製品の作り方が雑で、品格が無いという印象を与えてしまう。そのため、銘板60を貼付するときには、気泡が入らないように、本来の貼り付け位置に正しく貼付することが求められていた。
【0007】
銘板60を貼付するときに気泡を入れない対策としては、従来から、紙やプラスチックシートの銘板の裏に予め塗布しておく貼着剤を全面に塗らず、一部分に貼着剤を塗布しない非粘着部分を形成し、非粘着部分を空気抜き通路として用いる方法が採用されていた。図11(a)から図11(d)に銘板の裏の貼着剤のパターンを示す。図11(a)では、銘板60aの裏面の部分61に貼着剤を塗布し、貼着剤を塗布しない非粘着部分62を複数の細い筋状に、横方向に所定間隔をあけて形成している。図11(b)では、銘板60bの裏面に、細い筋状の非粘着部分62を縦横に所定間隔をあけた格子状に形成している。図11(c)では、銘板60cの裏面に、細い筋状の非粘着部分62を斜めの格子状に形成している。図11(d)では、銘板60dの裏面に、貼着剤を点状に塗布し、貼着剤を塗布していない非粘着部分62を広く形成している、そして銘板60を貼付するときには、銘板60の下の空気はこれら非粘着部分62で形成された空気抜き通路から銘板60の外に押し出すことができた(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、予め銘板に貼着剤を塗布せず、銘板と銘板を貼着するための絶縁シートを用い、絶縁シートの粘着部分の間に非粘着部分を形成した空気逃げ溝付き絶縁シートとして形成して、先に絶縁シートを貼り、その上に銘板を貼付することも提案されていた。
【0009】
銘板を絶縁シートに貼付する際、貼着剤の貼布されていない銘板外縁に通じる複数の空気抜き通路から空気を逃がすことができ、銘板を貼付するときに気泡が入らないようにすることができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開昭61−201232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一方、折り畳み式携帯電話装置などの電子機器では小型軽量化が進み、最近は特に薄型化が求められるようになってきている。折り畳み式携帯電話装置などの電子機器を薄型化する一つの方法として、従来あった電池と下筐体の内部にあるプリント基板を仕切る仕切壁を無くし、銘板をプリント基板に直接貼付するようにすれば、仕切壁の厚さ分だけ薄型化することができる。
【0012】
上記の薄型化を実施した場合、銘板をプラスチックで出来た仕切壁の平滑な平面に貼付する場合と異なり、元々凹凸のあるプリント基板に銘板を貼付することになる。そのため、銘板とプリント基板の間に気泡が出来やすいという問題が生じる。ところが、従来の銘板の裏に貼着剤を塗布しない非粘着部分を形成して空気抜き通路として用いる方法では、プリント基板の凹凸と銘板の裏の貼着剤の塗布パターンがマッチしないと、プリント基板と銘板の貼着剤が接触せず、全体としての貼着力が低下するとともに、気泡を残さないように貼付することは難しかった。
【0013】
本発明は、銘板をプリント基板に貼付するときに空気を逃がす対策をプリント基板側に施して、銘板の下に気泡を残さないようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の電子機器は、回路基板と、シールと、前記回路基板の表面に並列に配置された複数の溝部と、を備え、前記回路基板は、該回路基板の表面を覆うレジスト層の内側に複数の回路パターンを有し、前記溝部は、前記複数の回路パターンを構成する領域に対応した前記レジスト層の表面と、該複数の回路パターンを構成しない領域に対応した前記レジスト層の表面との間の段差により形成され、前記シールの少なくとも外縁の一部は、前記回路基板の前記複数の溝部を跨るように貼着されることを特徴とする。
【0015】
前記シールを前記回路基板に貼着した際、前記溝部と前記シールとの間に形成される空間から空気が外周方向へ逃げるよう構成してもよい。
【0016】
前記溝部は細長状であってもよい。
【0017】
前記シールは銘板であってもよい。
【0018】
着脱可能な電池をさらに備え、前記シールは、前記電池を外した際に、露出する領域に配置されるようにしてもよい。
【0019】
また、着脱可能な電池蓋と、着脱可能な電池とをさらに備え、前記溝部および前記シールは、前記電池を装着した際に該電池と重なる領域に配置されるようにしてもよい。
【0020】
また、本発明の電子機器は、回路基板と、シールと、前記回路基板の表面に並列に配置された複数の溝部と、を備え、前記回路基板の表面はレジスト層で覆われるとともに、前記溝部は、該溝部を構成していない領域よりも前記レジスト層の厚さを薄くすることにより形成され、前記シールの少なくとも外縁の一部は、前記回路基板の前記複数の溝部を跨るように貼着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
裏面に貼着剤を塗布した銘板をプリント基板のレジストのある面に貼付するとき、銘板とプリント基板のレジストに挟まれる空気は、レジストに形成した空気の通り道となるパターンから銘板の外周の空間に逃げる。この構成により、銘板の下に気泡は残らないという効果がある。
【0022】
また、本発明は、銘板でプリント基板の金属部分を覆って保護し、金属腐食を抑制するように保護している。
【0023】
また、折り畳み式携帯電話装置などの電子機器で、銘板をプリント基板に直接貼付する本発明を適用すれば、従来あった電池と下筐体の内部にあるプリント基板を仕切る仕切壁を無くして仕切壁の厚さ分だけ薄型化することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるプリント基板と銘板を示す平面図
【図2】本発明の実施の形態1にかかるプリント基板に銘板を貼付したときの部分断面図
【図3】本発明の実施の形態1にかかる他のプリント基板に銘板を貼付したときの部分断面図
【図4】本発明の実施の形態2にかかるプリント基板と銘板を示す平面図
【図5】本発明の実施の形態2にかかるプリント基板に銘板を貼付したときの部分断面図
【図6】本発明の実施の形態3にかかるプリント基板と銘板を示す平面図
【図7】本発明の実施の形態3にかかるプリント基板に銘板を貼付したときの部分断面図
【図8】本発明の実施の形態4にかかるプリント基板と銘板を示す平面図
【図9】従来の折り畳み式携帯電話装置の左側面図
【図10】従来の折り畳み式携帯電話装置の電池カバーと電池をはずしたときの斜視図
【図11】従来の銘板の貼着剤の塗布パターンを示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面とともに本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るプリント基板とプリント基板に貼付する銘板を並べた状態を示す平面図である。本発明の実施の形態1に係るプリント基板5aは、エポキシ樹脂板50aの上に長方形をした回路パターン51aを設けており、その上にレジスト(回路パターンの金属表面を外部の空気と直接接触させないための絶縁層)52aを形成している。エポキシ樹脂板50aは1mm程度の厚さがあり、回路パターン51aは100μm程度の厚さ、レジスト52aは35μm程度の厚さにしている。
【0027】
プリント基板の作り方として、このようにエポキシ樹脂板、回路パターン、レジストの三層構造にすることは普通行われていることであるが、本発明の実施の形態1に係るプリント基板5aでは、特に、レジスト52aの表面に連通した薄い空間を形成している点に特徴がある。つまり図1では、レジスト52aの厚さを他のレジストの領域より薄く構成することにより、格子状に示した溝部7を形成している。縦方向に幅1mm程度の四本の溝部7を平行に並べ、横方向に三本の溝部7が平行に並べ、これらを互いに交差させて連通した空間を形成している。格子状の溝部7の縦方向と横方向の長さは、銘板6の縦方向と横方向のそれぞれの長さより長くしている。そのため、銘板6を格子状の溝部7の上に貼付したときに、銘板6の外側に格子状の溝部7の先端部分がはみ出るようになっている。
【0028】
プリント基板5aのレジスト52aの上、つまり図1のプリント基板5a上に二点鎖線で示した位置に、銘板6を例えば左端から右端へ向けて少しずつ順に押し付けて貼付していくと、プリント基板5aと銘板6に挟まれる空気は、連通している溝部7の空間を通って、銘板6の外へ逃げていく。
【0029】
図2に、銘板6をプリント基板5aの上に左端から右端へ向けて少しずつ順に押し付けて貼付したときの状態を断面図として示す。図2では、図1のプリント基板5aを段階状に切断したA−A断面を示している。また図2では、本発明を理解しやすいように、レジスト52aの格子状の溝部7の領域については、レジストを全てなくして、厚さをゼロとした極端な場合を示して説明する。
【0030】
図2において、プリント基板5aは、エポキシ樹脂板50aの上に回路パターン51aを設けており、その上にレジスト52aを形成している。レジストの間にはレジストを設けていない格子状の溝部7がある。レジスト52aの上に銘板6を左端から右端に向けて貼り付けていくと、レジスト52aと銘板6で挟まれる空気は右向き矢印で示したように移動する。そして、銘板6の右端が貼り終わると、レジスト52aと銘板6で挟まれる空気は右に抜けてしまう。図2では、分かりやすくするためレジスト52aの厚さと溝部7の高さを誇張して図示しているが、溝部7については、先に示したように、溝幅1mm程度に対して溝部7の厚さは35μm(=0.035mm)程度であり、銘板6を一度、レジスト52aの全面的に貼り付けた後、特に銘板6の溝部7に相当する位置を銘板6の中央から外側に押圧していけば、溝部7に相当する位置に残っているわずかな空気についても押し出すことができる。そのため、銘板6を一度、レジスト52aの全面的に貼り付けた後に、銘板6の中央から外側に押圧していく動作を行えば、銘板6の溝部7に相当する位置についても、小さな気泡を残すことなく、銘板6裏面の貼着剤をレジスト52aに貼り付けることが出来る。
【0031】
図3に、格子状の溝部7の領域のレジスト52bの厚さについて、他の領域のレジストの厚さより薄くしたときのプリント基板の断面図を示す。レジストに厚さの違う領域を形成する方法としては、プリント基板の全面に一度、所定の厚さのレジストを塗布し、次に格子状の溝部7以外の領域についてだけ所定の厚さのレジストを二度塗りする方法などがある。図3に示した場合であっても、図2に示したときと同様に、レジスト52bの上に銘板6を左端から右端に向けて貼り付けていくと、レジスト52bと銘板6で挟まれる空気は右向き矢印で示したように移動する。銘板6の右端が貼り終わると、レジスト52bと銘板6で挟まれる空気は右に抜ける。そして、銘板6の下に気泡が残らないという効果が得られる。
【0032】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係るプリント基板について説明する。なお、実施の形態1と同じ箇所については、同じ番号を付して説明を省略する。図4は、本発明の実施の形態2に係るプリント基板とプリント基板に貼付する銘板を並べた状態を示す平面図である。
【0033】
本発明の実施の形態2に係るプリント基板5cは、エポキシ樹脂板50cの上に細長い回路パターン51cが平行して設けてあり、その上にレジスト52cを形成している。レジスト52cは、細長い回路パターン51cに沿って、複数の細い溝部8を並列に配置している。細い溝部8の幅は1mm程度、長さは銘板6の対応する長さより長くしている。エポキシ樹脂板50cは1mm程度の厚さがあり、回路パターン51cは100μm程度の厚さ、レジスト52cは35μm程度の厚さにしている。
【0034】
図5に、銘板6をプリント基板5cの上に貼付した後の状態を断面図として示す。図5は、図4のプリント基板5cをB−B断面で切断した断面図を示している。図5において、プリント基板5cは、エポキシ樹脂板50cの上に回路パターン51cを設けており、その上にレジスト52cを形成している。レジスト52cは、プリント基板5c上の回路パターン51cがあるところと無いところのどちらも同じ厚さで形成している。プリント基板5c上の回路パターン51cがあるところと無いところのどちらも同じ厚さで形成したということは、図5を見れば分かるように、プリント基板5c上の回路パターン51cの無いところでは、レジスト52cの表面が低くなっている。この低くなった部分が細い溝部8を形成する。図5のように、レジスト52cの上に銘板6を貼り付けると、銘板6と細い溝部8の間には空間が出来る。
【0035】
銘板6を溝部8に沿った形で、例えば図4の銘板6の下端から上端へ貼り付けていくと、銘板6とレジスト52cに挟まれる空気は、細い溝部8を空気抜き溝として銘板6の外に抜けていく。銘板6を一度、レジスト52cの全面的に貼り付けた後、特に銘板6の溝部8に相当する位置を銘板6の中央から外側に押圧していけば、溝部8に相当する位置に残っているわずかな空気についても押し出すことができ、銘板6の溝部8に相当する位置についても、銘板6裏面の貼着剤をレジスト52cに貼り付けることが出来る。
【0036】
(実施の形態3)
以上、実施の形態1と実施の形態2で、本発明の代表的な形態を示したが、実際のプリント基板では、いろいろな形の回路パターンが形成される。本実施例では、図6に示すように、直線状に回路パターンと、これに交差する直線状の回路パターンが形成される場合について説明する。この場合、実施の形態1で示した格子状の溝部と、実施の形態2で示した細い筋状の溝部を組み合わせたり、場合によっては斜めの溝部や曲がりくねった溝部を形成したりしても良い。
【0037】
実施の形態3において、銘板の貼り付け箇所の外縁では、腐食防止の為に回路パターンの上をレジストで覆うと溝が形成できずに空気が抜けにくくなるので、図6のように回路パターンの上にレジストで形成した溝部7の先端に回路パターン51dを設けていない溝部8を設けている。
【0038】
回路パターンの上にレジストで形成した溝部7は、実施の形態1で説明した図2のA−A断面図のように構成されている。一方、回路パターン51dを設けていない溝部8は、実施の形態2で説明した図5のB−B断面図のように構成されている。
【0039】
レジストを設けていない溝部7の先端に回路パターン51dを設けていない溝部8を作って溝部7と連通させると、空気抜きとなるスペースがとれるため、空気が逃げやすくなる。図6のC−C断面図を図7に示す。図7は、溝部7に沿って押し出されてきた空気が溝部8から銘板6の外に出て行く様子を示している。
【0040】
このように本発明によれば、裏面に貼着剤を塗布した銘板をプリント基板のレジストのある面に貼付するとき、従来、銘板とプリント基板のレジストに挟まれていた空気は、レジストに形成した空気の通り道となる空気抜きパターンから銘板の外周の空間に逃げるため、銘板を貼り付けても、銘板の下に気泡は残らない。
【0041】
また、本発明によれば、銘板の外縁近くでは溝をレジストのみで形成し、銘板の貼り付け部の内側は銘板で回路パターンを覆って保護し、金属腐食を抑制することができる。
【0042】
そして、折り畳み式携帯電話装置などの電子機器に本発明を適用すれば、従来あった電池と下筐体の内部にあるプリント基板を仕切る仕切壁を無くして仕切壁の厚さ分だけ薄型化することができる。
【0043】
また、単に薄型化するだけでなく、例えば、プラスチックシート製のやや厚みのある防水機能のある銘板をプリント基板に貼付し、図10で示した穴20cの底を銘板に密着させれば、穴20cから電子機器の内部に水が入るのを阻止することができる。そして、内部のプリント基板と実装されている電子部品を水濡れから保護するという防水機能を付加することが出来る。
【0044】
(実施の形態4)
実施の形態4として、レジストに放射状の溝部を設けた場合を示す。図8は、本発明の実施の形態4に係るプリント基板と銘板を並べておいたときの平面図を示す。図8に示すように、プリント基板5eには、長方形の回路パターン51eが設けてあり、その上にレジスト52eを設けている。レジスト52eには、レジストを設けていない細い溝部7を放射線状に配置している。レジスト52eの上に貼着剤を塗布した銘板6を重ね、中央から外に向けて押圧して貼り付けていけば、銘板6の下に挟まれる空気は、放射線状に配置された細い溝部7から銘板6の外側に押し出される。そして、更に放射線状に配置された細い溝部7の上を中央から外に向けて押圧すれば、細い溝部7にわずかに残っている空気も銘板の外側に押し出すことができる。結局、実施の形態4に係るプリント基板を用いれば、銘板の下には気泡が残らず、銘板をプリント基板にきれいに見栄え良く貼ることができる。
【0045】
本発明の空気抜きパターンとして、格子状のパターン、放射線状のパターンを説明したが、これに限定されるものではなく、斜めの格子状のパターンを用いてもよいし、ドット状のパターンとしてもよい。少なくとも回路基板が銘板に覆われる領域から覆われない領域に通じるパターンであれば本発明の空気抜きパターンとして機能する。
【0046】
また本発明の貼り付け部材として、銘板を例にとって説明したが、紙やプラスチックシート等のシールであれば銘板に限らずどのようなシールでも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、銘板を回路基板にきれいに見栄え良く貼りたいときに適用することが出来るので、銘板を回路基板に貼付する携帯電話装置のような電子機器を始め、大型機械の制御盤など各種機械にも適用することが出来る。
【符号の説明】
【0048】
5 プリント基板
6 銘板
7,8 溝部
51 回路パターン
52 レジスト
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙やプラスチックシート等を貼付する回路基板と、この回路基板を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話装置などの電子機器では、製造番号などを記載した銘板を電子機器の内部、あるいは外部の所定の位置に貼付して、必要により銘板が見えるようにしている。そして、多くの折り畳み式携帯電話装置では、銘板を内部に貼付している。
【0003】
図9と図10を用いて、従来の折り畳み式携帯電話装置80の銘板の貼付状況を説明する。図9は、折り畳み式携帯電話装置80の左側面図を示し、図10は折り畳み式携帯電話装置80を裏返して、電池カバーを外し、電池を取り出したときの斜視図を示している。
【0004】
折り畳み式携帯電話装置80は、図示しない液晶表示部を設けた第一筐体10と、図示しない操作部を設けた第二筐体20とをヒンジ30で連結し、図9の矢印のように開閉可能に構成している。第二筐体20には電池40を収納している。製造番号などを記載した銘板60は、電池40を収納する空間の面した領域に貼付している。
【0005】
図10に示すように、第二筐体20は、上筐体20aと下筐体20bを上下に合体して一つの筐体を構成している。そして、下筐体20bには電池40を出し入れするための長方形の穴20cをあけ、この穴20cを塞ぐ電池カバー20dを着脱自在に取り付けている。電池カバー20dを外して、電池40を取り出すと、穴20cから銘板60を見ることができる。
【0006】
従来は、銘板60を貼付する平面部分として、電池40と下筐体20bの内部にある回路基板(以下プリント基板と記載する)70を仕切る仕切壁20eを利用していた。下筐体20bに仕切壁20eがあると、下筐体20bの強度が確保されるだけでなく、プラスチックでできた仕切壁20eが平滑な平面であり、銘板60を美しく見栄え良く貼付することができる。しかし、作業の仕方によっては、銘板60と仕切壁20eの間に気泡が入ったり、本来の貼り付け位置に対して斜めに貼付されたりすることがあった。この場合、見る人によっては、製品の作り方が雑で、品格が無いという印象を与えてしまう。そのため、銘板60を貼付するときには、気泡が入らないように、本来の貼り付け位置に正しく貼付することが求められていた。
【0007】
銘板60を貼付するときに気泡を入れない対策としては、従来から、紙やプラスチックシートの銘板の裏に予め塗布しておく貼着剤を全面に塗らず、一部分に貼着剤を塗布しない非粘着部分を形成し、非粘着部分を空気抜き通路として用いる方法が採用されていた。図11(a)から図11(d)に銘板の裏の貼着剤のパターンを示す。図11(a)では、銘板60aの裏面の部分61に貼着剤を塗布し、貼着剤を塗布しない非粘着部分62を複数の細い筋状に、横方向に所定間隔をあけて形成している。図11(b)では、銘板60bの裏面に、細い筋状の非粘着部分62を縦横に所定間隔をあけた格子状に形成している。図11(c)では、銘板60cの裏面に、細い筋状の非粘着部分62を斜めの格子状に形成している。図11(d)では、銘板60dの裏面に、貼着剤を点状に塗布し、貼着剤を塗布していない非粘着部分62を広く形成している、そして銘板60を貼付するときには、銘板60の下の空気はこれら非粘着部分62で形成された空気抜き通路から銘板60の外に押し出すことができた(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、予め銘板に貼着剤を塗布せず、銘板と銘板を貼着するための絶縁シートを用い、絶縁シートの粘着部分の間に非粘着部分を形成した空気逃げ溝付き絶縁シートとして形成して、先に絶縁シートを貼り、その上に銘板を貼付することも提案されていた。
【0009】
銘板を絶縁シートに貼付する際、貼着剤の貼布されていない銘板外縁に通じる複数の空気抜き通路から空気を逃がすことができ、銘板を貼付するときに気泡が入らないようにすることができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開昭61−201232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一方、折り畳み式携帯電話装置などの電子機器では小型軽量化が進み、最近は特に薄型化が求められるようになってきている。折り畳み式携帯電話装置などの電子機器を薄型化する一つの方法として、従来あった電池と下筐体の内部にあるプリント基板を仕切る仕切壁を無くし、銘板をプリント基板に直接貼付するようにすれば、仕切壁の厚さ分だけ薄型化することができる。
【0012】
上記の薄型化を実施した場合、銘板をプラスチックで出来た仕切壁の平滑な平面に貼付する場合と異なり、元々凹凸のあるプリント基板に銘板を貼付することになる。そのため、銘板とプリント基板の間に気泡が出来やすいという問題が生じる。ところが、従来の銘板の裏に貼着剤を塗布しない非粘着部分を形成して空気抜き通路として用いる方法では、プリント基板の凹凸と銘板の裏の貼着剤の塗布パターンがマッチしないと、プリント基板と銘板の貼着剤が接触せず、全体としての貼着力が低下するとともに、気泡を残さないように貼付することは難しかった。
【0013】
本発明は、銘板をプリント基板に貼付するときに空気を逃がす対策をプリント基板側に施して、銘板の下に気泡を残さないようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の電子機器は、回路基板と、シールと、前記回路基板の表面に並列に配置された複数の溝部と、を備え、前記回路基板は、該回路基板の表面を覆うレジスト層の内側に複数の回路パターンを有し、前記溝部は、前記複数の回路パターンを構成する領域に対応した前記レジスト層の表面と、該複数の回路パターンを構成しない領域に対応した前記レジスト層の表面との間の段差により形成され、前記シールの少なくとも外縁の一部は、前記回路基板の前記複数の溝部を跨るように貼着されることを特徴とする。
【0015】
前記シールを前記回路基板に貼着した際、前記溝部と前記シールとの間に形成される空間から空気が外周方向へ逃げるよう構成してもよい。
【0016】
前記溝部は細長状であってもよい。
【0017】
前記シールは銘板であってもよい。
【0018】
着脱可能な電池をさらに備え、前記シールは、前記電池を外した際に、露出する領域に配置されるようにしてもよい。
【0019】
また、着脱可能な電池蓋と、着脱可能な電池とをさらに備え、前記溝部および前記シールは、前記電池を装着した際に該電池と重なる領域に配置されるようにしてもよい。
【0020】
また、本発明の電子機器は、回路基板と、シールと、前記回路基板の表面に並列に配置された複数の溝部と、を備え、前記回路基板の表面はレジスト層で覆われるとともに、前記溝部は、該溝部を構成していない領域よりも前記レジスト層の厚さを薄くすることにより形成され、前記シールの少なくとも外縁の一部は、前記回路基板の前記複数の溝部を跨るように貼着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
裏面に貼着剤を塗布した銘板をプリント基板のレジストのある面に貼付するとき、銘板とプリント基板のレジストに挟まれる空気は、レジストに形成した空気の通り道となるパターンから銘板の外周の空間に逃げる。この構成により、銘板の下に気泡は残らないという効果がある。
【0022】
また、本発明は、銘板でプリント基板の金属部分を覆って保護し、金属腐食を抑制するように保護している。
【0023】
また、折り畳み式携帯電話装置などの電子機器で、銘板をプリント基板に直接貼付する本発明を適用すれば、従来あった電池と下筐体の内部にあるプリント基板を仕切る仕切壁を無くして仕切壁の厚さ分だけ薄型化することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるプリント基板と銘板を示す平面図
【図2】本発明の実施の形態1にかかるプリント基板に銘板を貼付したときの部分断面図
【図3】本発明の実施の形態1にかかる他のプリント基板に銘板を貼付したときの部分断面図
【図4】本発明の実施の形態2にかかるプリント基板と銘板を示す平面図
【図5】本発明の実施の形態2にかかるプリント基板に銘板を貼付したときの部分断面図
【図6】本発明の実施の形態3にかかるプリント基板と銘板を示す平面図
【図7】本発明の実施の形態3にかかるプリント基板に銘板を貼付したときの部分断面図
【図8】本発明の実施の形態4にかかるプリント基板と銘板を示す平面図
【図9】従来の折り畳み式携帯電話装置の左側面図
【図10】従来の折り畳み式携帯電話装置の電池カバーと電池をはずしたときの斜視図
【図11】従来の銘板の貼着剤の塗布パターンを示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面とともに本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るプリント基板とプリント基板に貼付する銘板を並べた状態を示す平面図である。本発明の実施の形態1に係るプリント基板5aは、エポキシ樹脂板50aの上に長方形をした回路パターン51aを設けており、その上にレジスト(回路パターンの金属表面を外部の空気と直接接触させないための絶縁層)52aを形成している。エポキシ樹脂板50aは1mm程度の厚さがあり、回路パターン51aは100μm程度の厚さ、レジスト52aは35μm程度の厚さにしている。
【0027】
プリント基板の作り方として、このようにエポキシ樹脂板、回路パターン、レジストの三層構造にすることは普通行われていることであるが、本発明の実施の形態1に係るプリント基板5aでは、特に、レジスト52aの表面に連通した薄い空間を形成している点に特徴がある。つまり図1では、レジスト52aの厚さを他のレジストの領域より薄く構成することにより、格子状に示した溝部7を形成している。縦方向に幅1mm程度の四本の溝部7を平行に並べ、横方向に三本の溝部7が平行に並べ、これらを互いに交差させて連通した空間を形成している。格子状の溝部7の縦方向と横方向の長さは、銘板6の縦方向と横方向のそれぞれの長さより長くしている。そのため、銘板6を格子状の溝部7の上に貼付したときに、銘板6の外側に格子状の溝部7の先端部分がはみ出るようになっている。
【0028】
プリント基板5aのレジスト52aの上、つまり図1のプリント基板5a上に二点鎖線で示した位置に、銘板6を例えば左端から右端へ向けて少しずつ順に押し付けて貼付していくと、プリント基板5aと銘板6に挟まれる空気は、連通している溝部7の空間を通って、銘板6の外へ逃げていく。
【0029】
図2に、銘板6をプリント基板5aの上に左端から右端へ向けて少しずつ順に押し付けて貼付したときの状態を断面図として示す。図2では、図1のプリント基板5aを段階状に切断したA−A断面を示している。また図2では、本発明を理解しやすいように、レジスト52aの格子状の溝部7の領域については、レジストを全てなくして、厚さをゼロとした極端な場合を示して説明する。
【0030】
図2において、プリント基板5aは、エポキシ樹脂板50aの上に回路パターン51aを設けており、その上にレジスト52aを形成している。レジストの間にはレジストを設けていない格子状の溝部7がある。レジスト52aの上に銘板6を左端から右端に向けて貼り付けていくと、レジスト52aと銘板6で挟まれる空気は右向き矢印で示したように移動する。そして、銘板6の右端が貼り終わると、レジスト52aと銘板6で挟まれる空気は右に抜けてしまう。図2では、分かりやすくするためレジスト52aの厚さと溝部7の高さを誇張して図示しているが、溝部7については、先に示したように、溝幅1mm程度に対して溝部7の厚さは35μm(=0.035mm)程度であり、銘板6を一度、レジスト52aの全面的に貼り付けた後、特に銘板6の溝部7に相当する位置を銘板6の中央から外側に押圧していけば、溝部7に相当する位置に残っているわずかな空気についても押し出すことができる。そのため、銘板6を一度、レジスト52aの全面的に貼り付けた後に、銘板6の中央から外側に押圧していく動作を行えば、銘板6の溝部7に相当する位置についても、小さな気泡を残すことなく、銘板6裏面の貼着剤をレジスト52aに貼り付けることが出来る。
【0031】
図3に、格子状の溝部7の領域のレジスト52bの厚さについて、他の領域のレジストの厚さより薄くしたときのプリント基板の断面図を示す。レジストに厚さの違う領域を形成する方法としては、プリント基板の全面に一度、所定の厚さのレジストを塗布し、次に格子状の溝部7以外の領域についてだけ所定の厚さのレジストを二度塗りする方法などがある。図3に示した場合であっても、図2に示したときと同様に、レジスト52bの上に銘板6を左端から右端に向けて貼り付けていくと、レジスト52bと銘板6で挟まれる空気は右向き矢印で示したように移動する。銘板6の右端が貼り終わると、レジスト52bと銘板6で挟まれる空気は右に抜ける。そして、銘板6の下に気泡が残らないという効果が得られる。
【0032】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係るプリント基板について説明する。なお、実施の形態1と同じ箇所については、同じ番号を付して説明を省略する。図4は、本発明の実施の形態2に係るプリント基板とプリント基板に貼付する銘板を並べた状態を示す平面図である。
【0033】
本発明の実施の形態2に係るプリント基板5cは、エポキシ樹脂板50cの上に細長い回路パターン51cが平行して設けてあり、その上にレジスト52cを形成している。レジスト52cは、細長い回路パターン51cに沿って、複数の細い溝部8を並列に配置している。細い溝部8の幅は1mm程度、長さは銘板6の対応する長さより長くしている。エポキシ樹脂板50cは1mm程度の厚さがあり、回路パターン51cは100μm程度の厚さ、レジスト52cは35μm程度の厚さにしている。
【0034】
図5に、銘板6をプリント基板5cの上に貼付した後の状態を断面図として示す。図5は、図4のプリント基板5cをB−B断面で切断した断面図を示している。図5において、プリント基板5cは、エポキシ樹脂板50cの上に回路パターン51cを設けており、その上にレジスト52cを形成している。レジスト52cは、プリント基板5c上の回路パターン51cがあるところと無いところのどちらも同じ厚さで形成している。プリント基板5c上の回路パターン51cがあるところと無いところのどちらも同じ厚さで形成したということは、図5を見れば分かるように、プリント基板5c上の回路パターン51cの無いところでは、レジスト52cの表面が低くなっている。この低くなった部分が細い溝部8を形成する。図5のように、レジスト52cの上に銘板6を貼り付けると、銘板6と細い溝部8の間には空間が出来る。
【0035】
銘板6を溝部8に沿った形で、例えば図4の銘板6の下端から上端へ貼り付けていくと、銘板6とレジスト52cに挟まれる空気は、細い溝部8を空気抜き溝として銘板6の外に抜けていく。銘板6を一度、レジスト52cの全面的に貼り付けた後、特に銘板6の溝部8に相当する位置を銘板6の中央から外側に押圧していけば、溝部8に相当する位置に残っているわずかな空気についても押し出すことができ、銘板6の溝部8に相当する位置についても、銘板6裏面の貼着剤をレジスト52cに貼り付けることが出来る。
【0036】
(実施の形態3)
以上、実施の形態1と実施の形態2で、本発明の代表的な形態を示したが、実際のプリント基板では、いろいろな形の回路パターンが形成される。本実施例では、図6に示すように、直線状に回路パターンと、これに交差する直線状の回路パターンが形成される場合について説明する。この場合、実施の形態1で示した格子状の溝部と、実施の形態2で示した細い筋状の溝部を組み合わせたり、場合によっては斜めの溝部や曲がりくねった溝部を形成したりしても良い。
【0037】
実施の形態3において、銘板の貼り付け箇所の外縁では、腐食防止の為に回路パターンの上をレジストで覆うと溝が形成できずに空気が抜けにくくなるので、図6のように回路パターンの上にレジストで形成した溝部7の先端に回路パターン51dを設けていない溝部8を設けている。
【0038】
回路パターンの上にレジストで形成した溝部7は、実施の形態1で説明した図2のA−A断面図のように構成されている。一方、回路パターン51dを設けていない溝部8は、実施の形態2で説明した図5のB−B断面図のように構成されている。
【0039】
レジストを設けていない溝部7の先端に回路パターン51dを設けていない溝部8を作って溝部7と連通させると、空気抜きとなるスペースがとれるため、空気が逃げやすくなる。図6のC−C断面図を図7に示す。図7は、溝部7に沿って押し出されてきた空気が溝部8から銘板6の外に出て行く様子を示している。
【0040】
このように本発明によれば、裏面に貼着剤を塗布した銘板をプリント基板のレジストのある面に貼付するとき、従来、銘板とプリント基板のレジストに挟まれていた空気は、レジストに形成した空気の通り道となる空気抜きパターンから銘板の外周の空間に逃げるため、銘板を貼り付けても、銘板の下に気泡は残らない。
【0041】
また、本発明によれば、銘板の外縁近くでは溝をレジストのみで形成し、銘板の貼り付け部の内側は銘板で回路パターンを覆って保護し、金属腐食を抑制することができる。
【0042】
そして、折り畳み式携帯電話装置などの電子機器に本発明を適用すれば、従来あった電池と下筐体の内部にあるプリント基板を仕切る仕切壁を無くして仕切壁の厚さ分だけ薄型化することができる。
【0043】
また、単に薄型化するだけでなく、例えば、プラスチックシート製のやや厚みのある防水機能のある銘板をプリント基板に貼付し、図10で示した穴20cの底を銘板に密着させれば、穴20cから電子機器の内部に水が入るのを阻止することができる。そして、内部のプリント基板と実装されている電子部品を水濡れから保護するという防水機能を付加することが出来る。
【0044】
(実施の形態4)
実施の形態4として、レジストに放射状の溝部を設けた場合を示す。図8は、本発明の実施の形態4に係るプリント基板と銘板を並べておいたときの平面図を示す。図8に示すように、プリント基板5eには、長方形の回路パターン51eが設けてあり、その上にレジスト52eを設けている。レジスト52eには、レジストを設けていない細い溝部7を放射線状に配置している。レジスト52eの上に貼着剤を塗布した銘板6を重ね、中央から外に向けて押圧して貼り付けていけば、銘板6の下に挟まれる空気は、放射線状に配置された細い溝部7から銘板6の外側に押し出される。そして、更に放射線状に配置された細い溝部7の上を中央から外に向けて押圧すれば、細い溝部7にわずかに残っている空気も銘板の外側に押し出すことができる。結局、実施の形態4に係るプリント基板を用いれば、銘板の下には気泡が残らず、銘板をプリント基板にきれいに見栄え良く貼ることができる。
【0045】
本発明の空気抜きパターンとして、格子状のパターン、放射線状のパターンを説明したが、これに限定されるものではなく、斜めの格子状のパターンを用いてもよいし、ドット状のパターンとしてもよい。少なくとも回路基板が銘板に覆われる領域から覆われない領域に通じるパターンであれば本発明の空気抜きパターンとして機能する。
【0046】
また本発明の貼り付け部材として、銘板を例にとって説明したが、紙やプラスチックシート等のシールであれば銘板に限らずどのようなシールでも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、銘板を回路基板にきれいに見栄え良く貼りたいときに適用することが出来るので、銘板を回路基板に貼付する携帯電話装置のような電子機器を始め、大型機械の制御盤など各種機械にも適用することが出来る。
【符号の説明】
【0048】
5 プリント基板
6 銘板
7,8 溝部
51 回路パターン
52 レジスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
シールと、
前記回路基板の表面に並列に配置された複数の溝部と、を備え、
前記回路基板は、該回路基板の表面を覆うレジスト層の内側に複数の回路パターンを有し、
前記溝部は、前記複数の回路パターンを構成する領域に対応した前記レジスト層の表面と、該複数の回路パターンを構成しない領域に対応した前記レジスト層の表面との間の段差により形成され、
前記シールの少なくとも外縁の一部は、前記回路基板の前記複数の溝部を跨るように貼着されることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記シールを前記回路基板に貼着した際、前記溝部と前記シールとの間に形成される空間から空気が外周方向へ逃げるよう構成することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記溝部は細長状であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記シールは銘板であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
着脱可能な電池をさらに備え、
前記シールは、前記電池を外した際に、露出する領域に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
着脱可能な電池蓋と、着脱可能な電池とをさらに備え、
前記溝部および前記シールは、前記電池を装着した際に該電池と重なる領域に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
回路基板と、
シールと、
前記回路基板の表面に並列に配置された複数の溝部と、を備え、
前記回路基板の表面はレジスト層で覆われるとともに、前記溝部は、該溝部を構成していない領域よりも前記レジスト層の厚さを薄くすることにより形成され、
前記シールの少なくとも外縁の一部は、前記回路基板の前記複数の溝部を跨るように貼着されることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
回路基板と、
シールと、
前記回路基板の表面に並列に配置された複数の溝部と、を備え、
前記回路基板は、該回路基板の表面を覆うレジスト層の内側に複数の回路パターンを有し、
前記溝部は、前記複数の回路パターンを構成する領域に対応した前記レジスト層の表面と、該複数の回路パターンを構成しない領域に対応した前記レジスト層の表面との間の段差により形成され、
前記シールの少なくとも外縁の一部は、前記回路基板の前記複数の溝部を跨るように貼着されることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記シールを前記回路基板に貼着した際、前記溝部と前記シールとの間に形成される空間から空気が外周方向へ逃げるよう構成することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記溝部は細長状であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記シールは銘板であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
着脱可能な電池をさらに備え、
前記シールは、前記電池を外した際に、露出する領域に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
着脱可能な電池蓋と、着脱可能な電池とをさらに備え、
前記溝部および前記シールは、前記電池を装着した際に該電池と重なる領域に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
回路基板と、
シールと、
前記回路基板の表面に並列に配置された複数の溝部と、を備え、
前記回路基板の表面はレジスト層で覆われるとともに、前記溝部は、該溝部を構成していない領域よりも前記レジスト層の厚さを薄くすることにより形成され、
前記シールの少なくとも外縁の一部は、前記回路基板の前記複数の溝部を跨るように貼着されることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−165027(P2012−165027A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−118918(P2012−118918)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【分割の表示】特願2009−255771(P2009−255771)の分割
【原出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【分割の表示】特願2009−255771(P2009−255771)の分割
【原出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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