説明

地盤の改良工法

【課題】地盤の広範囲な対象領域を均等的に飽和度を低下させて地盤の改良を行う。
【解決手段】混入管の先端付近に気泡発生ノズルを取り付け、対象領域の地盤内に導入する。予め容器内で多量に空気を含む混入水を生成し、前記混入管を介して対象領域の地盤に混入する直前に、前記気泡発生ノズルにより、前記混入水に平均径10〜60マイクロメートルの多数の超微細気泡を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤の改良工法に係り、好適には液状化対策が必要な地盤の改良工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地盤の液状化は、含水率の高い地盤が地震により衝撃や振動を受けて変形することに伴い、土粒子間に飽和状態で存在している間隙水の水圧が急激に上昇し、その結果、土粒子間の摩擦抵抗が消失して地盤があたかも液体のように挙動して耐力を失ってしまう現象である。
【0003】
液状化を防止するためには、地盤強度を高める、あるいは地盤に細粒分を注入するといった手法が知られているが、最近においては地下水の揚水による液状化防止方法も有効であることが判明している。しかし、地下水位を常に低く維持するために地下水を常時連続的にしかも恒久的に揚水し続けなければならないから、それに要する運転費と維持管理費が嵩む問題がある。
【0004】
そこで、本出願人は、地下水を揚水し続けて地下水位を常に低く維持するのではなく、地下水位を一時的な低下により砂地盤に過圧密履歴(プレローディング)を与えるとともに、地盤の飽和度(地盤中の地下水の体積/地盤の間隙体積)を低下させ、それによって液状化に対する地盤強度を高めるという液状化防止方法を提案した(特許文献1)。
【0005】
他方、特許文献2には、液状化防止対策地盤に圧縮気体を注入する方法が開示されているが、単に圧縮気体を混入するのでは、飽和度を低下させるのに限界があり、しかも、地盤を隆起させるおそれがあった。
【0006】
本出願人は、上記の問題を解決するために、直径が100マイクロメートル未満の超微細気泡を多数有する混入水を、地盤強度の改善を図る対象領域に混入することにより、広範囲において均等的に地盤の飽和度を低下させる方法を提示した(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3678828号公報
【特許文献2】特許第3757216号公報
【特許文献3】特開2008−2170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献3で開示された方法によれば、超微細気泡を多数有する混入水をあらかじめ容器内で調整した後、対象領域に混入するまでに、一部の気泡同士が結合することにより大きくなってしまい、地盤内への混入の効率が落ちる、という問題がある。特に低流量での混入を行う際にこのような現象が起きやすい。
したがって、本発明が解決しようとする主たる課題は、地盤の広範囲な対象領域の飽和度を低下させるにあたり、従来よりも効率的に超微細気泡を多数有する水を地盤に供して、地盤の改良を行うことができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
対象領域の地盤中に超微細気泡を多数有する水を混入する地盤の改良工法であって、
対象領域の地盤に、先端付近に気泡発生ノズルを有する混入管を設け、
予め生成された多量に空気を含む混入水を前記混入管に供給し、
前記混入水を対象領域の地盤中に混入する直前に、前記気泡発生ノズルによって平均径10〜60マイクロメートルの多数の超微細気泡を混入水中に発生させながら前記地盤中に混入する、
ことを特徴とする地盤の改良工法。
【0010】
(作用効果)
本発明では、予め容器内で多数の空気を含む水を生成した後、地盤強度の改善を図る対象領域付近まで混入し、混入直前に超微細気泡を発生させる。本発明により、地盤中に平均径10〜60マイクロメートル、好適には10〜45マイクロメートル、より好適には20〜30マイクロメートルの多数の気泡を多数に含有する水を混入することができる。
【0011】
混入によって、混入した水は地盤、たとえば液状化層中の間隙を流動する過程で、砂粒子に超微細気泡が吸着され、残存するようになる。この現象は、次の要因であると考えられる。すなわち、超微細気泡は高圧力下において水の表面張力によって小さくなっているが、圧力を解放された超微細気泡が地下水中で漂っている過程で砂粒子表面に付着することで、気泡の曲率半径が小さくなり、気泡内圧が減少し、気泡同士が結合することにより、気泡が析出するものと考えられる。
【0012】
予め気泡を発生させた水を混入したとしても、混入した水が地盤に到達する前に気泡同士の結合が起こり、地盤中の間隙に気泡が効率よく入り込めない、という問題がある。しかし、本発明は、地盤への混入直前に混入水に気泡を発生させるため、気泡同士の結合の影響を最小限に抑えることが可能である。
【0013】
〔請求項2記載の発明〕
前記気泡発生ノズルの吐出口にオリフィスを配する請求項1記載の地盤の改良工法。
【0014】
(作用効果)
前記気泡発生ノズルの吐出口にオリフィスを配することにより、低流量でも安定して微細気泡を発生させることができる。
【0015】
〔請求項3記載の発明〕
前記混入管の外壁にスリーブ逆止弁を有する請求項1または2に記載の地盤の改良工法。
【0016】
(作用効果)
混入管の外壁、好ましくは先端付近の外壁に、スリーブ逆止弁を配する。逆止弁は複数設置することも可能である。スリーブ逆止弁自体が混入水に超微細気泡を発生させる機能を有するのに加えて、地盤中からの微細粒子のノズル内への混入を防止することが可能である。
【0017】
〔請求項4記載の発明〕
前記の予め生成された多量に空気を含む混入水は、耐圧容器内の水中に気泡発生ノズルを臨ませ、かつ、容器内を加圧状態に保持した状態で、前記水中の気泡発生ノズルから気泡を発生させて得られる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の地盤の改良工法。
【0018】
(作用効果)
混入水を地盤中に混入する直前に気泡発生ノズルを用いるのみでは、混入された水に十分な空気を含んでいないため、効率的に気泡を発生させることができない。したがって、予め混入水にできるだけ多くの空気を含ませる必要がある。
【0019】
容器内を加圧状態に保持した状態で、気泡発生ノズルから気泡を発生させると、より多くの空気を水中に含ませることができることが知見された。水の溶存酸素量DOは水温により変化するが、大気圧下で20mL/L程度だとすると、400kPaの加圧下では、通常80mL/L程度までの溶解度、つまり空気溶存量を上げることが可能である。
【0020】
容器内の圧力は、地盤の対象領域における圧力より有意に高くすることが望ましい。例えば、地盤の対象領域の深さ10mまでを不飽和化させる場合、地盤の深さ10mにおける圧力(地盤密度により異なるが100kPa程度)より高い圧力で水中の気泡発生を行うことにより、地盤内で溶存空気をより大量に微細気泡として発生させることが可能となる。
【0021】
〔請求項5記載の発明〕
前記の予め生成された多量に空気を含む混入水は、渦流タービンポンプを用いて生成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の地盤の改良工法。
【0022】
(作用効果)
多量に空気を含む水は、渦流タービンポンプを使用して生成することも可能である。この場合、渦流タービンポンプを用いて水と空気を混合し、過飽和の空気溶存水を生成し。余剰エア分離タンクで充分に空気の溶存量を高めた後、混入管に混入する。
【0023】
〔請求項6記載の発明〕
対象地盤に設けた揚水井戸によって地下水を揚水し地下水位を低下させ過圧密を生じさせた後、前記混入水を混入する請求項1〜5のいずれか1項に記載の地盤の改良工法。
【0024】
(作用効果)
本出願人は、地下水を揚水し続けて地下水位を常に低く維持するのではなく、地下水位を一時的に低下させて地盤の飽和度を低下させ、それによって液状化に対する地盤強度を高めるという液状化防止方法を提案した(特許文献1)。この方法は、地下水位を常に低く維持するために地下水を常時連続的にしかも恒久的に揚水し続けなければならないために伴う、運転費と維持管理費が嵩む問題を解消できる利点がある。
【0025】
請求項3の発明に従って、対象地盤に設けた揚水井戸によって地下水を揚水し地下水位を低下させ過圧密を生じさせ、その後に、地下水位を元の地下水位状態に自然復旧させた時点で、あるいは復旧過程で、本発明の混入水を混入すると、超微細気泡を対象領域に均質的に分散させることができる。その結果、過圧密履歴による液状化に対する地盤強度を高める効果と、超微細気泡の分散に伴う飽和度の低下効果とが相俟って、高い液状化に対する地盤強度を得ることができる。
【0026】
〔請求項7記載の発明〕
前記気泡発生ノズルが、ノズル中心軸回りの旋回水流の縮流の中心に沿って圧力空気を噴出させる構成である請求項1〜6のいずれか1項に記載の地盤の改良工法。
【0027】
(作用効果)
ノズル中心軸回りの旋回水流の縮流の中心に沿って圧力空気を噴出させる構成であると、高速旋回水流の縮流部位において渦が崩壊するようになり、そこに圧力空気の噴出に伴う気泡を混入すると、その気泡が破壊し、小さい気泡となる。この場合、容器内を加圧状態に保持しておくと、気泡はさらに微細となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、地盤の対象領域の飽和度を低下させるために、超微細気泡水を地盤に混入させるにあたり、低流量の状態であっても安定して超微細気泡を混入水に含ませ、ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る施工の概要説明図である。
【図2】気泡発生装置例の概要斜視図である。
【図3】案内体の縦断面図である。
【図4】案内体の側面図である。
【図5】他の気泡発生装置例の縦断面図である。
【図6】混入ロッドの先端付近の概略説明図である。
【図7】(a)レジューサーロッドの概略説明図、及び(b)B−B断面図である。
【図8】(a)ゴムスリーブ式逆止弁外観、(b)内部構造、及び(c)A−A断面図である。
【図9】他の例の施工概要図である。
【図10】実地盤模型実験概要図である。
【図11】実験結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の実施の形態を、液状化対策地盤の改良を例に採って説明する。
<工法の概要>
図1に超微細気泡水地盤混入システムの一例を示す。超微細気泡水(以下、マイクロバブル水)生成装置は耐圧タンク1、気泡発生ノズル2、循環用高揚程ポンプ3、コンプレッサー4からなり、圧力下でのマイクロバブル水の生成が可能である。マイクロバブル水は例えば揚水孔5から地下水を汲み取り、耐圧タンク内に充填を行い、タンク内を加圧して所定の時間タンク内の水を循環させることにより、マイクロバブルを発生させ高濃度の超微細な気泡水の作成を行う。生成完了後、混入管6(例えば混入ロッド10)からマイクロバブル水を混入する。その際、混入するボーリング孔または混入ロッド10の先端付近に気泡発生ノズル7を付けることにより、さらにマイクロバブルを発生させ地盤を不飽和化させる。
【0031】
このシステムは混入管よりマイクロバブル水混入を行うとともに改良地盤内の地下水位低下とマイクロバブル水の浸透を促すため、同時に揚水ポンプ9により用水孔5から地下水の汲み取りを行い、地下水を循環させながら対象地盤を不飽和化させる仕組みである。しかし、本発明において、揚水を行い液状化対策地盤に過圧密を生じさせた後に、マイクロバブル水混入を行うことも可能である。 また、過圧密を行わなかったとしても、本発明の効果は十分に発揮する。
【0032】
<気泡発生ノズルの例示>
図2〜図4は気泡発生ノズル2,7を例示したもので、筒体21内に翼付案内体22を内装してある。筒体21は、円筒形の本体21Aと、先窄まりの円錐状の縮流部21Bと、小円筒形の噴出部21Cとを備える。円筒形の本体21A内には、案内体22が内装されている。
【0033】
案内体22は、円柱状の本体部22Aとその後端(図5の左側)がほぼ半球状の入口部22Bとを有し、入口部22Bから本体部22A先端までの外周に翼体22C、22C…が一体化されている。ここで、各翼体22C、22C…の先端部は順次角度を曲げるように形成され、翼状をなしている。翼体22C、22C間と筒体21とで囲まれる溝空間は、筒体21内にその後方から高揚程ポンプ3、または耐圧タンク1からの水W0が導入されるようになっている。また、本体部22Aの外周面から内部に入り、先端(図5の右側)の中央から抜ける圧力空気Aの導入孔22Dが形成されている。
【0034】
かかる気泡発生ノズル2,7においては、筒体21内にその後方から高揚程ポンプ3、または耐圧タンク1からの導入された水W0は、入口部22Bから各溝空間内に入り込む。溝空間内に入り込んだ水は、その空間を先端側に流れ、先端部においては、各翼体22C、22C…が捩れている関係で、周方向に向きを変えながら、本体部22Aの先端から本体21A内に流出する。その結果、本体部22Aの先端から前方の本体21A内においては、旋回流F1が生じる。この旋回流F1は、縮流部21Bにおいては、順次小さい渦流F2となって先端に向かい、特に縮流部21Bの先端部分において、渦流F2が崩壊し、気泡が発生する。
【0035】
他方で、導入孔22Dの先端から圧力空気Aが噴出され、そのエネルギーは、渦流F2またはその崩壊部に与えられる。その結果、発生した気泡が微細化され、噴出部21Cから噴出される。
【0036】
かくして、微細化されたマイクロバブルが耐圧タンク1、または混入ロッド10先端付近の水中に形成される。この水は、混入水Wとして、地盤強度の改善を図る対象領域に混入する。
【0037】
図5は他の気泡発生ノズル2aの例を示したもので、噴出部21Caの先端側に拡大径部を形成したものである。
【0038】
気泡発生方式としては、超音波方式、超高速旋回方式、気液二層対流混合・せん断方式などもできるが、容器内を加圧状態に維持することでマイクロバブルを発生させることができる。しかし、本発明者らの研究によれば、上記例のものがマイクロバブルの発生率及び安定性において最適であることを知見している。
【0039】
<混入ロッドの例示>
図6に、混入水の地盤混入に使用する混入管の一例として、混入ロッド10の先端部分を示す。現場での簡易な施工を目的とし、比較的に径が小さく、簡易なサウンディングマシンでも施工可能な33.5mm径のボーリングロッドを使用している。
【0040】
33.5mm径の混入ロッド10の破線で囲った部分31は、レジューサーロッド(図7)であり、図2〜5に示した気泡発生ノズルはこの部分の空隙38に取り付けられる。レジューサーロッド31は、図3(b)に示すような穴37を有するオリフィス状の蓋33を有する。高濃度の空気を含んだ水がレジューサーロッドに設置した気泡発生ノズルを通過することで、マイクロバブルが復元される。このとき、レジューサーロッドが前記のオリフィスを有することで、低流量でも安定してマイクロバブルを復元させることができる。レジューサーロッドより先端側に、地盤へのマイクロバブル水混入のために複数のゴムスリーブ式逆止弁が取り付けられている(図8)。マイクロバブル水は、ゴムスリーブ式逆止弁に内側から圧力が掛かることにより、穴部分34を塞いでいるゴムスリーブ弁35が開き、地盤にマイクロバブル水を混入出来る仕組みとなっている。逆止弁は、地盤へのロッドの貫入時のような、マイクロバブル水を混入しない状態では弁が閉まっており、地盤中の砂や粘土がロッド内に進入しないようになっている。
なお、ロッドの先端は貫入が容易なように円錐型のコーンの形状とした。
【0041】
<施工条件等>
本発明では、直径が100マイクロメートル未満のマイクロバブルを多数有する混入水を使用する。好ましいマイクロバブルの直径は、平均で10〜60マイクロメートル、好ましくは10〜45マイクロメートル、さらに好ましく20〜30マイクロメートルである。本発明において規定する気泡の直径は、70%以上、特に80%以上が上記に規定する直径のものを有すればよく、すべての気泡が上記に規定する直径である必要はない。
【0042】
気泡生成容器(たとえば耐圧タンク1)内の加圧力は、0.2MPa〜0.7MPa程度が望ましい。混入時の圧力としては、0.05MPa〜0.6MPa程度とすることができる。
【0043】
地盤強度の改善を図る対象領域としては、改良が必要な地盤であれば限定されない。混入水の混入量は、マイクロバブルで置換できるだけの混入量であるのが望ましい。通常は、飽和度が90%以下となることを目標とし、その目標の飽和度になったか否かはたとえば地盤の比抵抗測定により判定が可能である。
【0044】
マイクロバブルで置換した地盤は、前述のように地盤を構成する粒子、たとえば地盤の間隙に残存するので、長期間その置換状態を維持できる。仮に、激しい地下水流が予想される場合には、2〜3年程度の時間間隔で飽和度の測定を行い、必要により混入水の再混入を行うことができる。
【0045】
<他の実施形態>
図9に他の実施形態を示す。図9に示す形態は、地下水を汲み上げるところまでは一図1に示す形態と同様であるが、過飽和の空気溶存水を生成するのに渦流タービンポンプ43を使い、余剰エア分離タンク41で余剰エアを除き、空気の溶存率に十分に高い水を混入管に注入する。混入水を地盤に混入する直前に混入ロッド10の気泡発生ノズル7を使ってマイクロバブルを発生させ、逆止弁11より地盤内に注水する。
【実施例】
【0046】
実地盤模型へのマイクロバブル水混入実験によって、本発明における地盤の飽和度低下の効果の検証を行った。試験装置を図10に示す。実験は、内径75mm、高さ300mmのアクリル製円筒容器(カラム)52を用い、実地盤と同程度の湿潤密度ρt=1.6g/cm3の地盤51を用いて作成し、飽和させた後、マイクロバブル水混入による飽和度Srの低下を調査した。さらに実地盤実験と同地盤条件にするため,供試体の背圧を50kPaとし、混入マイクロバブル水も現場で使用する装置を用い生成した。なお、Srはカラムの重量変化を測定し下記の式[数1]より算出した。
【0047】
【数1】

【0048】
ここで,Sr:地盤の飽和度(%)、Vw(m3):間隙水の体積、Vv (m3):間隙の体積、ΔW(g/min):重量変化(g)、ρw:水の密度(g/cm3)である。
【0049】
本試験装置における実地盤51中のマイクロバブルの平均径を、マイクロバブル上昇速度からストークス法則を用いて算出した。マイクロバブル上昇速度は400μm/sであり、平均径は30μmと算出された。
【0050】
実施例、比較例の試験条件を表1に示す。直接マイクロバブル水を混入したケースを比較例、これに加えて混入直前に再度マイクロバブル発生ノズルを使用したケースを実施例とした。
【0051】
【表1】

【0052】
本実験装置に実地盤模型実験結果を図11に示す。混入直前にマイクロバブル発生を行った実施例において、より効率よく地盤の飽和度を低下させることができることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、地盤改良、特に液状化防止を目的とした発明であり、おもに建築の分野で利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…耐圧タンク、2…気泡発生ノズル、3…高揚程ポンプ、4…コンプレッサー、5…用水孔、6…混入管、7…気泡発生ノズル、8…ノッチタンク、9…揚水ポンプ、10…混入ロッド、11…逆止弁、21…筒体、22…タービン翼付案内体、W0…導入水、W…混入水、31…ノズルレジューサー、32…ボーリングロッドネジ、33…オリフィス状蓋、34…穴、35…パッカーゴムスリーブ逆止弁、36…ネジ、37…穴、38…気泡発生ノズル取り付け位置、41…余剰エア分離タンク、43…渦流タービンポンプ、51…実地盤、52…カラム、53…ロードセル、54…間隙水圧計、55…背圧用コンプレッサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域の地盤中に超微細気泡を多数有する水を混入する地盤の改良工法であって、
対象領域の地盤に、先端付近に気泡発生ノズルを有する混入管を設け、
予め生成された多量に空気を含む混入水を前記混入管に供給し、
前記混入水を対象領域の地盤中に混入する直前に、前記気泡発生ノズルによって平均径10〜60マイクロメートルの多数の超微細気泡を混入水中に発生させながら前記地盤中に混入する、
ことを特徴とする地盤の改良工法。
【請求項2】
前記気泡発生ノズルの吐出口にオリフィスを配する請求項1記載の地盤の改良工法。
【請求項3】
前記混入管の外壁にスリーブ逆止弁を有する請求項1または2に記載の地盤の改良工法。
【請求項4】
前記の予め生成された多量に空気を含む混入水は、耐圧容器内の水中に気泡発生ノズルを臨ませ、かつ、容器内を加圧状態に保持した状態で、前記水中の気泡発生ノズルから気泡を発生させて得られる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の地盤の改良工法。
【請求項5】
前記の予め生成された多量に空気を含む混入水は、渦流タービンポンプを用いて生成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の地盤の改良工法。
【請求項6】
対象地盤に設けた揚水井戸によって地下水を揚水し地下水位を低下させ過圧密を生じさせた後、前記混入水を混入する請求項1〜5のいずれか1項に記載の地盤の改良工法。
【請求項7】
前記気泡発生ノズルが、ノズル中心軸回りの旋回水流の縮流の中心に沿って圧力空気を噴出させる構成である請求項1〜6のいずれか1項に記載の地盤の改良工法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−209633(P2010−209633A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59230(P2009−59230)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000172813)佐藤工業株式会社 (73)
【出願人】(505359023)
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【Fターム(参考)】