基地局評価装置およびその信号解析方法
【課題】マルチキャリア、マルチスタンダードに対応した基地局装置の評価を行う装置において、キャリア間相互の影響等を容易に把握できるようにする。
【解決手段】受信記憶部21は、評価対象の基地局装置1が異なるキャリア周波数で同時に出力する信号を一括受信し、その波形データを記憶する。解析部25の解析結果一覧表示手段29は、予め設定された各キャリアのフレームのスロットについての測定結果の一覧を表示部40に表示させ、相関測定結果表示手段30は、異なるキャリア周波数のスロットについての測定結果のうち、同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果を互いに相関する測定結果として選択し、それらの測定結果を対比可能に表示部40に表示させる。
【解決手段】受信記憶部21は、評価対象の基地局装置1が異なるキャリア周波数で同時に出力する信号を一括受信し、その波形データを記憶する。解析部25の解析結果一覧表示手段29は、予め設定された各キャリアのフレームのスロットについての測定結果の一覧を表示部40に表示させ、相関測定結果表示手段30は、異なるキャリア周波数のスロットについての測定結果のうち、同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果を互いに相関する測定結果として選択し、それらの測定結果を対比可能に表示部40に表示させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の移動体通信システムの基地局装置から出力された信号を解析してその評価を行う技術に関し、特に複数の異なる周波数帯域で同時に通信を行うマルチキャリア方式と複数の異なる通信規格に対応したマルチスタンダード方式に対応した基地局装置の評価を効率的に行えるようにするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の移動体通信システムでは、基地局と端末との間で通信を行うための周波数帯(キャリア周波数)に複数のユーザの信号を時分割多重化して通信を行うが、ユーザ数が多くなると1つのキャリア周波数で多重化しきれなくなる。このため、1つの通信業者が複数のキャリア周波数を使用して、利用可能なユーザ数を増やしてきている。
【0003】
これに対応して、その基地局も複数のキャリア周波数を用いて同時に通信を行う所謂マルチキャリアと呼ばれる方式が採用されている。
【0004】
また、端末の変調方式の移行等に伴い、一つの通信業者で異なる通信規格(例えばGSMとW−CDMA)の通信を行うことも要求されてきており、これに対応するための基地局は複数の異なる通信規格の信号を用いて同時に通信を行う所謂マルチスタンダードと呼ばれる方式が採用されており、近年ではマルチキャリア、マルチスタンダードに対応した基地局装置が必要とされている。
【0005】
そのため同一周波数バンドで複数のシステムを運用する場合の無線規格が、3GPPTS37.104で、Multi−Standard Radio(MSR)Base Station(BS)として定義された。その周波数バンドについては図16に示す通りである。
【0006】
図16において、マルチスタンダードの例を挙げれば、基地局の出力(Downlink)で定義されている周波数帯のうち、例えば869〜894MHz、925〜960MHzの周波数帯では、MSR and E−UTRA(LTE)と、UTRA(W−CDMA)と、GSM/EDGEの3つの異なるシステムが使用される。
【0007】
したがって、これら869〜894MHz、925〜960MHzの周波数帯内のキャリア周波数を通信に用いる基地局装置を評価するためには、各キャリア周波数の信号に対して、異なるシステムにそれぞれ応じた測定が必要となるが、従来の移動体通信機器に対する評価装置は、例えば次の特許文献1に記載されているように、1つのキャリア周波数(シングルキャリア)の信号を選択的に受信して評価に必要な処理を行うものであったので、マルチキャリアの測定を行う場合には、一つのキャリア周波数についての評価に必要な一連の試験を行ってから次のキャリア周波数に移行して同様の試験を行うという処理を繰り返す必要があり、手間と時間がかかるという問題があった。
【0008】
また、その測定原理から、複数のキャリア周波数を同時に用いる場合の帯域間相互の影響を把握することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−19741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記問題を解決するための技術として、測定対象となる複数のキャリア周波数の信号成分をヘテロダイン方式の広帯域な受信部により一括に受信して中間周波数帯に変換し、その中間周波数帯の信号の波形データを一定時間取り込んで記憶し、その記憶した波形データから個々のキャリア周波数の信号成分を抽出して解析処理を行う方式が考えられる。
【0011】
ところが、実際に上記方式の評価装置を構成するにあたり、測定対象の複数のキャリア周波数や、その周波数についてそれぞれ測定条件を任意に設定できるようにした場合、キャリア間相互の影響等を容易に把握できる技術が必要となる。
【0012】
本発明は、この問題を解決し、マルチキャリア、マルチスタンダードに対応した基地局装置の評価を行う装置において、キャリア間相互の影響等を容易に把握できる基地局評価装置およびその信号解析方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1の基地局評価装置は、
評価対象の基地局装置が通信に用いる複数の異なるキャリア周波数を含む信号を受け、該信号をローカル信号とミキシングして、前記複数の異なるキャリア周波数をカバーする帯域の中間周波帯に変換する広帯域受信部(22)、該広帯域受信部から出力される信号をサンプリングしてデジタルの波形データに変換するA/D変換器(23)および前記A/D変換器が変換した波形データを記憶する波形データメモリ(24)を有し、前記基地局装置が一定時間に出力した信号の波形データを取得する受信記憶部(21)と、
表示部(40)と、
前記受信記憶部に記憶された波形データを解析し、前記各キャリア周波数のフレーム内の所望タイムスロットに挿入されている信号を検出し、該スロットに対して予め設定された変調方式と測定項目に基づく測定および良否の判定を行い、その測定結果および判定結果を前記表示部に表示させる解析部(25)と、
前記解析部に対し、各キャリア周波数およびキャリア周波数毎のフレーム内の各スロットについての変調方式情報および測定項目情報を含む情報を設定させる設定部(35)とを備えた基地局評価装置であって、
前記解析部は、
異なるキャリア周波数のスロットについての測定結果のうち、同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果を互いに相関する測定結果として選択し、該測定結果を対比可能に前記表示部に表示させる相関測定結果表示手段(30)を有していることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項2の基地局評価装置は、請求項1記載の基地局評価装置において、
前記解析部は、
各キャリア周波数についての測定結果のうち、良否判定の基準となるしきい値を超える測定結果を含むスロットがあるか否かを一覧でき、且つ前記しきい値を超える測定結果を含むスロットのついての指定操作が可能なように前記表示部に表示する解析結果一覧表示手段(29)を有し、
前記相関測定結果表示手段は、前記解析結果一覧表示手段によって前記しきい値を超える測定結果を含むスロットに対する指定操作があったとき、該スロットの測定結果が前記しきい値を超えているタイミングと同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果を選択し、該選択した測定結果と前記指定されたスロットについての測定結果とを対比可能に前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項3の基地局評価装置の信号解析方法は、
評価対象の基地局装置が通信に用いる複数の異なるキャリア周波数を含む信号を受け、該信号をローカル信号とミキシングして、前記複数の異なるキャリア周波数をカバーする帯域の中間周波帯に変換する広帯域受信部(22)、該広帯域受信部から出力される信号をサンプリングしてデジタルの波形データに変換するA/D変換器(23)および前記A/D変換器が変換した波形データを記憶する波形データメモリ(24)を有し、前記基地局装置が一定時間に出力した信号の波形データを取得する受信記憶部(21)と、
表示部(40)と、
前記受信記憶部に記憶された波形データを解析し、前記各キャリア周波数のフレーム内の所望タイムスロットに挿入されている信号を検出し、該スロットに対して予め設定された変調方式と測定項目に基づく測定および良否の判定を行い、その測定結果および判定結果を前記表示部に表示させる解析部(25)と、
前記解析部に対し、各キャリア周波数およびキャリア周波数毎のフレーム内の各スロットについての変調方式情報および測定項目情報を含む情報を設定させる設定部(35)とを備えた基地局評価装置の前記解析部における信号解析方法であって、
異なるキャリア周波数のスロットについての測定結果のうち、同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果を互いに相関する測定結果として選択する段階(S44)と、
前記選択した測定結果を対比可能に前記表示部に表示させる段階(S45)とを含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項4の基地局評価装置の信号解析方法は、請求項3記載の基地局評価装置の信号解析方法において、
各キャリア周波数についての測定結果のうち、良否判定の基準となるしきい値を超える測定結果を含むスロットがあるか否かを一覧でき、且つ前記しきい値を超える測定結果を含むスロットのついての指定操作が可能なように前記表示部に表示する段階(S42)を含み、
前記しきい値を超える測定結果を含むスロットに対する指定操作があったときに、該スロットの測定結果と、該スロットの測定結果が前記しきい値を超えているタイミングと同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果とを選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
このように、本発明では、マルチキャリア方式の基地局装置が異なるキャリア周波数で同時に出力する信号を一括受信していることを利用して、異なるキャリア周波数のスロットについての測定結果のうち、同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果を互いに相関する測定結果として選択し、それらの測定結果を対比可能に表示部に表示させているので、あるキャリア周波数のスロット内の信号変化の影響が、他のキャリア周波数の測定結果に現れるか否かを容易に把握することができ、1キャリアずつ受信していく方式では得られないマルチキャリア方式特有の貴重な評価を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態の構成図
【図2】実施形態の要部の動作を説明するための図
【図3】実施形態の要部の構成を示す図
【図4】実施形態のキャリア間フレーム位相情報の具体例を示す図
【図5】実施形態のキャリア間フレーム位相情報の具体例を示す図
【図6】実施形態の解析結果の表示例を示す図
【図7】実施形態の相関する測定結果の表示例を示す図
【図8】実施形態の要部の動作を説明するためのフローチャート
【図9】実施形態の要部の動作を説明するための図
【図10】実施形態の要部の動作を説明するための図
【図11】実施形態の要部の動作を説明するためのフローチャート
【図12】実施形態の要部の動作を説明するための図
【図13】実施形態の要部の動作を説明するためのフローチャート
【図14】実施形態の要部の動作を説明するためのフローチャート
【図15】実施形態の要部の動作を説明するためのフローチャート
【図16】基地局装置が使用する周波数帯と通信に用いるシステムとの関係を表す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を適用した基地局評価装置20の構成を示している。
【0020】
図1において、受信記憶部21は、広帯域受信部22、A/D変換器23および波形データメモリ24によって構成されている。
【0021】
広帯域受信部22は、マルチキャリア、マルチスタンダードに対応した評価対象の基地局装置1が通信に用いる複数の異なるキャリア周波数を含む広い受信帯域(例えば、前記したように869〜894MHz、925〜960MHzの周波数帯域)を有し、その受信帯域の信号のうち、後述する設定部35によって指定された複数のキャリア周波数の信号成分を一括に受信する。
【0022】
広帯域受信部22は、ミキサ22a、ローカル信号発生器22bおよび中間周波フィルタ22cを含み、入力信号SINとローカル信号発生器22bから出力されたローカル信号SLOCとをミキサ22aに与えて混合し、その和と差の成分の一方(ここでは差の成分とする)を中間周波フィルタ22cによって抽出するヘテロダイン方式のものであり、中間周波フィルタ22cの帯域は、測定対象に指定される可能性のあるキャリア周波数の信号成分の全てを通過させるのに必要な幅Wを有している。
【0023】
例えば925〜960MHzの受信帯域全体が測定対象に指定される可能性のある場合には、少なくとも960−925=35MHzの幅が必要となる。
【0024】
また、ローカル信号SLOCの周波数fLOCは、中間周波フィルタ22cの通過中心周波数をfIFとすれば、設定部35によって実際に測定対象として指定されたキャリア周波数の信号成分の全てがfIF±W/2の中間周波帯内にヘテロダイン変換される値であればよく、前記した925〜960MHzの受信帯域全体の信号成分を中間周波帯に一括変換できるように、|(925+960)/2−fLOC|=fIFとしておけば、固定のローカル周波数fLOCで、受信帯域内のいずれのキャリア周波数が指定された場合も対応できる。数値例を上げれば、fIF=200MHz、fLOC=742.5MHz(または1142.5MHz)となる。
【0025】
しかし、測定対象のキャリア周波数(チャンネル)は測定者が任意に指定する項目であり、その指定キャリアが受信帯域の一端側にのみ集中している場合、その信号成分を周波数変換した場合、中間周波フィルタ22cの通過帯域のエッジに集中することになり、これはフィルタのエッジの特性(振幅や位相の変動)の影響を受けやすく、望ましくない。
【0026】
これを防ぐために測定者が自ら指定したキャリア周波数に基づいて、ローカル周波数を設定することも可能ではあるが、前記したキャリア周波数だけでなく、スロットの指定、測定項目の指定操作等のほかに、ローカル周波数の設定操作が加わるとその作業が非常に煩雑化する。
【0027】
このため、この基地局評価装置20では、ローカル信号発生器22bが出力するローカル信号の周波数fLOC(つまり受信周波数)を受信周波数制御手段50によって自動設定している。
【0028】
この受信周波数制御手段50は、設定部35によって設定された各キャリア周波数および測定項目情報に基づいて、測定に必要最小限の周波数範囲f1〜f2を求め、その周波数範囲の中心周波数(f1+f2)/2が中間周波数帯の通過中心周波数fIFに変換されるようにローカル信号の周波数fLOCを設定する。
【0029】
つまり、理解しやすいように、入力信号周波数よりローカル周波数が低い下側ヘテロダインとすれば、測定者によって任意に指定されるキャリア周波数の上限と下限および測定項目に応じて下限周波数f1と上限周波数f2に対し、
fLOC=(f1+f2)/2−fIF
が成り立つローカル周波数を求めて、その周波数情報をローカル信号発生器22bに設定して、周波数fLOCのローカル信号を発生させる。上側ヘテロダインの場合には、
fLOC=(f1+f2)/2+fIF
が成り立つローカル周波数を求めて設定する。
【0030】
なお、下限周波数f1、上限周波数f2は、下限や上限のキャリア周波数について隣接チャンネル漏洩の測定項目が指定されている場合も考慮して決定する。
【0031】
これによって、例えば図2の(a)のように、測定対象のキャリア周波数fc1〜fcnが受信帯域全体の低域側に偏って存在する場合でも、図2の(b)のように、中間周波帯のセンター近傍に集まって出力されることになり、フィルタのエッジの振幅特性や位相特性の暴れ等の影響を受けにくい。なお、図2は下側ヘテロダインの場合を示すが、上側ヘテロダインの場合、中間周波帯に変換される各信号成分の並びが図2の場合に対して反転する。
【0032】
中間周波数帯に変換された信号SIFは、A/D変換器23により所定周波数(中間周波数帯の上限周波数の2倍以上)でサンプリングされてデジタルの信号列D(k)に変換され、波形データメモリ24に一定時間分記憶される。
【0033】
解析部25は、信号抽出手段26、同期手段27、解析手段28、解析結果一覧表示手段29および相関測定結果表示手段30を有しており、受信記憶部21の波形データメモリ24に記憶された波形データを解析し、各キャリア周波数の信号成分をベースバンド帯にそれぞれ変換して抽出し、その抽出したベースバンド成分に対して、シンボル同期処理、フレーム同期処理等を行い、その同期処理されてシンボル位置とフレーム位置が確定した信号に対して、所望タイムスロットに挿入されている信号を検出し、そのスロットに対して予め設定された変調方式と測定項目に基づいて信号復調と測定および判定を行い、その結果を表示部40に表示させる。
【0034】
信号抽出手段26は、受信記憶部21に記憶された波形データを読み出し、その読み出した波形データに対して、複数のキャリア周波数の信号成分にそれぞれ対応する周波数のローカル信号による周波数変換処理を行い、複数のキャリア周波数の各信号成分をそれぞれベースバンド帯に変換する。なお、この周波数変換処理は2つの直交ベースバンド成分を得るために直交検波処理を用いて行うが、後述するように、受信記憶部21において予め直交成分を検出する場合、信号抽出手段26は単純な単相型の周波数変換器で構成することができる。
【0035】
この信号抽出手段26は、例えば図3に示すように、2組のミキサ(乗算器)26a、26b、ローカル信号発生器26c、90度移相器26d、ベースバンドフィルタ26e、26f、ベースバンド信号メモリ26gおよびローカル周波数切替手段26hにより構成され、ローカル信号発生器26cと90度移相器26dによって生成される周波数fLLで直交位相のローカル信号L0、L90をミキサ26a、26bに与え、そのミキサ出力からベースバンドフィルタ26e、26fにより周波数fLLを中心周波数とする信号成分をベースバンド帯(例えば0〜6MHz)の信号Ii、Qiに変換し、これをベースバンド信号メモリ26gに記憶する。
【0036】
また、ローカル周波数制御手段26hは、後述する設定部35により指定された測定対象の各キャリア周波数、受信記憶部21のローカル信号SLOCの周波数に基づいて、ローカル信号発生器26cが出力すべきローカル信号L0の周波数fLLを順次変更させる(なお、信号抽出手段26が扱う信号はデジタルのデータ列であるから、ミキサ26a、26b、ローカル信号発生器26c、90度移相器26d、ベースバンドフィルタ26e、26f等の各構成要素は、その機能と等価な演算処理によって実現される)。
【0037】
信号抽出手段26によってベースバンド帯に変換したキャリア毎のベースバンド成分Ii、Qiは同期手段27によって変調方式情報およびシンボルレート(ビットレートでもよい)情報に応じた周期でサンプリングされ、シンボル同期処理がなされる。シンボル同期処理は、基地局装置1側のシンボルクロックと本装置側のシンボルクロックとを同期させるための処理であり、評価対象の基地局装置から送出された1キャリアについてのサンプリングされた信号成分Iis、Qisによって決まるIQ直交座標上の位置(シンボル位置)が、その変調方式によって決まる基準位置となるように移相処理を行う。
【0038】
例えば、変調方式がQPSKで所定のシンボルレートの場合、IQ直交座標上の(1,1)、(1,−1)、(−1,−1)、(−1,1)の位置がシンボル位置の基準となり、同期がとれていれば各ベースバンドの信号成分Iis、Qisによって決まるシンボル位置は、これら4つの基準位置の間を前記所定のシンボルレートに応じた時間間隔で遷移することになる(厳密にはノイズ等の影響で基準位置からバラツク)。
【0039】
したがって、例えば第1キャリアについて得られたベースバンドの信号成分I1、Q1を前記所定ビットレートに対応した間隔でサンプリングし、そのサンプリングされた信号成分I1s、Q1sによって決まるシンボル位置と基準位置との誤差を求め、その誤差が最小となるように、ベースバンドの信号成分I1、Q1に対するサンプリングタイミングを決定すること(シンボルクロック再生)で、シンボル同期が完了する。この処理により、各シンボル位置に対応したシンボルデータを正しく取得でき、上記変調方式QPSKの場合であれば、4つの基準位置にそれぞれ対応する2ビットのシンボルデータ(00)、(01)、(10)、(11)への変換がなされる。
【0040】
なお、実際には、信号抽出処理でベースバンド成分を取得する際のサンプリングタイミングは、そのベースバンド成分のシンボルタイミングに同期しているとは限らないので、信号に対する補間処理を行い、その補間処理で得られた信号に対するサンプリングを行い、誤差が小さい最良のサンプリングタイミングを決定する。
【0041】
そして、このシンボル同期処理は、基地局装置1側で共通のクロックを用いてシンボルデータを生成していていることを考慮し、第1キャリアについて得られたシンボル同期処理に必要な同期情報(サンプリングタイミング情報)を各キャリアについて共通の同期情報とし、その共通の同期情報と各キャリアについての変調方式情報およびシンボルレート情報とに基づいて、他のキャリアについての信号成分に対するシンボル同期処理を行う。
【0042】
つまり、例えば第2キャリアの変調方式がQPSKで第1キャリアの1/4のシンボルレートの場合には、第2キャリアについて得られたベースバンドの信号成分I2、Q2のうち、第1キャリアのシンボル同期されて最終的にサンプリングされた信号成分I1s、Q1sと同一タイミングの信号成分I2s、Q2sに注目し、その4組に1組の割合で時系列にサンプリングし、前記同様に基準位置との誤差を求める。ここで4組から1組を抽出するので4通りの信号列が得られるが、それらの中から誤差が最も少ない信号列を求め、その信号列から第2キャリアについてのシンボルデータを取得する。
【0043】
また、例えば第3キャリアの変調方式が、IQ平面上に16個の基準シンボル位置を有する16QAM方式で、第1キャリアの例えば2倍のシンボルレートの場合、変調方式で4倍、シンボルレートで2倍であるから第1キャリアに対して8倍のサンプリング速度となる。
【0044】
この場合、第3キャリアについて得られたベースバンドの信号成分I3、Q3のうち、第1キャリアのシンボル同期されて最終的にサンプリングされた信号成分I1s、Q1sと同一タイミングの信号成分I3s、Q3sおよびそのサンプリング間隔を8等分する7つタイミングにおける信号成分I3s′、Q3s′からなる信号列をサンプリングして、その信号列から第3キャリアについての4ビット単位のシンボルデータを取得する。
【0045】
このように、一つのキャリアについてのシンボル同期処理で得られた同期情報を、他のキャリアについてのシンボル同期処理に共通に用いているために、極めて短時間に各キャリアについてのシンボル同期処理を行うことができる。
【0046】
なお、上記処理で得られたシンボルデータは、例えば所定ビット幅(1ビット幅または複数ビット幅のいずれでもよい)のデータ信号列としてフレーム同期処理される。
【0047】
フレーム同期処理は、シンボル同期処理で得られたデータ信号列に対してフレーム同期処理を行い、フレームの位置(先頭位置)および各スロットの位置を確定する。
このフレーム同期処理とはデータ信号列から、各フレームの先頭位置に挿入されている所定のパイロットパターンを見つけることによって行い、その先頭位置が特定されれば、その既知のフレーム構造から各スロットの位置も特定できる。
【0048】
このフレーム同期処理も、シンボル同期処理と同様に、1キャリアについて得られたデータ信号列に対するフレーム同期処理で得られたフレーム同期情報(先頭位置のタイミング情報)を共通の同期情報とし、他のデータ信号列に対するフレーム同期処理を、この共通の同期情報と、評価対象の基地局装置1が並行して出力するキャリア間のフレーム位置のズレを特定するためのキャリア間フレーム位相情報(評価装置側で既知であるものとする)とに基づいて行う。
【0049】
キャリア間フレーム位相情報は、例えば図4の(a)のように、ある測定基準タイミングT0における各キャリアそれぞれのフレーム番号Nf1〜Nfnとシンボル番号Ns1〜Nsnであって、図4の(b)のような情報となる。また、例えば図5の(a)のように、ある測定基準タイミングT0からの各キャリアの先頭フレームまでの時間をそれぞれシンボル数Cs1〜Csnで表した図5の(b)のような情報でもよい。
【0050】
このようなキャリア間フレーム位相情報が既知であれば、1キャリアについてのフレーム同期処理でその先頭位置が特定できれば、他のキャリアについてのフレームの先頭位置を簡単に検出できる。また、前記したように各キャリアについての信号成分は、共通のクロックソースからなるシンボルクロックのデータ信号列を有しているので、上記のようにフレームのずれをシンボル単位で表すことが可能で、タイミングの特定が容易である。
【0051】
なお、キャリア間のフレーム位置が同一の場合も上記情報で対応できる。即ち、その場合、図4の情報では各キャリアそれぞれのフレーム番号とシンボル番号が同一となり、図5の情報では各キャリアの先頭フレームまでの時間を表すシンボル数が等しくなる。
【0052】
このようにして、各キャリアについてのフレーム位置とスロット位置が特定されて、その情報がデータ信号列とともに解析手段28に送られる。
【0053】
解析手段28は、各キャリアについてのフレーム内の所望タイムスロットに挿入されている信号を検出し、そのスロットに対して予め設定された変調方式と測定項目に基づいて測定を行い、その測定結果に対する良否判定を行う。
【0054】
解析結果一覧表示手段29は、解析手段28で得られた各キャリア周波数についての測定結果のうち、良否判定の基準となるしきい値を超える測定結果を含むスロットがあるか否かを一覧でき、且つそのしきい値を超える測定結果を含むスロットのついての操作部45による指定操作が可能なように表示部40に表示する。
【0055】
図6は、その表示例を示すものであり、測定対象のキャリア周波数について、測定項目として、変調誤差比(EVM)、電力(Power)等があり、その測定項目についての最大値(MAX)、最小値(MIN)、平均値(AVE)が数値表示され、判定結果が表示される。
【0056】
図6の測定項目EVMについての判定結果覧で、「FAIL Frame5,Slot4」は、良否判定のための基準となるしきい値を超える不良が、5フレーム目の4番目のスロットにあることを示すものであり、ここで最小値MINが良否判定のしきい値を超える場合で、その欄が不良であることを示す表示(図ではハッチングで示しているが、色や濃度等で識別表示してもよい)がなされている。なお、「FAIL」にはマウスカーソル等の操作部45で指定可能な文字列であることを示す下線表示(色の違い等でもよい)がなされている。
【0057】
また、図6の測定項目Powerについての判定結果覧で、「OK」はこのキャリア周波数の指定されたどのスロットについても信号電力が許容範囲内に入っていることを表している。
【0058】
相関測定結果表示手段30は、解析結果一覧表示手段29によってしきい値を超える測定結果を含むスロットに対する指定操作、即ち上記例で「FAIL」に対するマウスカーソルのよる選択操作があったとき、そのスロットの測定結果がしきい値を超えているタイミングと同一測定タイミングに所定以上(上記しきい値と同一である必要はなく、ノイズによる変動成分より大きい値であればよい)変化が現れる測定結果を選択し、指定されたスロットの測定結果と選択した測定結果とを対比可能に表示部40に表示させる。
【0059】
図7は、その表示例を示すものであり、例えば2番目のキャリア周波数fc2のあるスロット中である測定タイミングt1(実際にはt1±Δtの期間)に、電力が良否判定の基準となるしきい値Prを超えていて、その測定結果に関する「FAIL」を指定操作したときに、それに隣接する1番目と3番目のキャリア周波数fc1、fc3のタイミングt1と同一測定タイミング(t1を中心とする期間)に、変調誤差比(EVM)が悪化している。
【0060】
これら3つの測定結果は、横軸の時間軸を揃えて縦に並べて対比可能に表示しているから、この表示から、キャリア周波数fc2の信号電力の急増により、それに隣接するキャリアの変調誤差が増加したと判断することができ、あるキャリア周波数の不良の影響が別のキャリア周波数の測定結果にどのような影響を与えるかを容易に把握できる。
【0061】
設定部35は、操作部45の操作にしたがい且つ表示部40に設定に必要な情報を表示させつつ、解析部25に対し、各キャリア周波数のフレーム内の各スロットについての変調方式情報、測定項目情報等を設定させるためのものである。
【0062】
ここで指定する情報は、キャリア周波数、そのキャリア周波数の信号成分のフレームおよびスロット、GMSK、8PSK等の変調方式、シンボルレート(ビットレート)と、Power、Modulation(変調誤差)、ORFS(隣接チャンネル漏洩)等の測定項目であり、指定したキャリア周波数の信号成分の所望のフレームの所望スロットに対して、指定した変調方式に基づく復調処理を行わせて、その結果に対して指定した項目の測定を行わせる。また、前記したシンボル同期処理やフレーム同期処理を効率的に行うために必要な情報である。
【0063】
受信周波数制御手段50は、設定部35によって指定されたキャリア周波数fc1、fc2、……、変調方式(占有帯域幅を特定する)および隣接チャンネル漏洩の有無により、広帯域受信部22の受信周波数を決定する。
【0064】
図8は、受信周波数制御手段50の処理手順を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに基づいて実施形態の受信周波数制御処理を説明する。
【0065】
始めに、設定部35によって測定対象に指定されたキャリア周波数(チャンネル)の中で、最高周波数のものの測定項目に隣接チャンネル漏洩(ORFSまたはACLR)の項目があるか否かを調べる(S1)。
【0066】
隣接チャンネル漏洩の項目がある場合には、図9の(a)のように、キャリア周波数の最高周波数の測定に必要な上限周波数f2′に、隣接チャンネル漏洩の測定に必要な周波数幅Waと所定のマージンαを加えて上限周波数f2を決定する(S2)。また、隣接チャンネル漏洩の項目がない場合には、図9の(b)のように、キャリア周波数の最高周波数のものについての測定に必要な上限周波数f2′に所定のマージンβを加えて上限周波数f2とする(S3)。
【0067】
次に設定部35によって測定対象に指定されたキャリア周波数(チャンネル)の中で、最低周波数のものの測定項目に隣接チャンネル漏洩(ACLRまたはORFS)の項目があるか否かを調べる(S4)。
【0068】
そして、隣接チャンネル漏洩の項目がある場合には、図10の(a)のように、キャリア周波数の最低周波数の測定に必要な下限周波数f1′から、隣接チャンネル漏洩の測定に必要な周波数幅Waと所定のマージンαを加えたものを差し引いて下限周波数f1を決定する(S5)。また、隣接チャンネル漏洩の項目がない場合には、図10の(b)のように、キャリア周波数の最低周波数の測定に必要な下限周波数f1′から、所定のマージンβを差し引いて下限周波数f1とする(S6)。
【0069】
そして、その下限周波数f1と上限周波数f2の中心値fm=(f1+f2)/2を求め(S7)、その中心値fmが中間周波帯の通過中心周波数fIFに変換されるためのローカル周波数fLOCを、fLOC=fm−fIF(またはfLOC=fm+fIF)によって求め、その周波数情報をローカル信号発生器22bに設定する(S8)。
【0070】
上記処理によって波形データメモリ24には、測定対象に指定されたキャリア周波数の信号成分を含む信号が中間周波数帯に変換され、その信号の一定時間分の波形データが波形データメモリ24に記憶される。
【0071】
この波形データメモリ24に記憶された波形データは、所定タイミングに解析部25の信号抽出処理を受ける。
【0072】
即ち、測定対象のキャリア信号の周波数をfc1〜fcnとし、受信記憶部21において下側ヘテロダインを用いているとすれば、各キャリア周波数fc1〜fcnは、中間周波数帯の中の周波数(fc1−fLOC)〜(fcn−fLOC)に変換されることになる。
【0073】
したがって、信号抽出手段26による信号抽出処理では、図11に示すように、キャリアを指定する変数iを1に初期化し(S11)、ローカル信号L0、L90の周波数fLLを(fci−fLOC)にセットして(S12)、波形データメモリ24に記憶された波形データに対する直交検波処理を行う。
【0074】
これによって、図12の(a)のように、中間周波数帯の周波数(fci−fLOC)を中心とする信号成分は、図12の(b)、(c)のように、周波数0を中心とするベースバンド成分Ii、Qiに変換され、その直交ベースバンド成分Ii、Qiが対応する変数iに対応するアドレスに記憶される(S13)。
【0075】
そして、上記S12、S13の処理を測定対象のキャリア周波数について繰り返し(S14、S15)、各キャリアについてのベースバンド成分(I1、Q1)〜(In、Qn)を求める。
【0076】
このようにして得られた各キャリアついてのベースバンドの信号成分は、同期手段27によるシンボル同期処理を受ける。
【0077】
図13は、このシンボル同期処理の手順を示すフローチャートである。以下、その手順について説明する。
【0078】
初めに、キャリア(チャンネル)指定する変数iを1に初期化し、第1のキャリアについてのベースバンド成分I1、Q1に対して前述した通常のシンボル同期処理(シンボルクロック再生)を行い、そのベースバンド成分に対して最適なタイミングでサンプリングを行ってデータ信号列D1を生成する(S21、S22)。
【0079】
次に、iを1増加して、次のキャリアについてのベースバンド成分I2、Q2に対して、最初のシンボル同期処理で得られた最適なサンプリングタイミング(シンボルクロック位相)の情報を共通の同期情報として、それに変調方式、シンボルレート等の情報を用いて最適なサンプリングタイミングを求めて、ベースバンド成分I2、Q2に対するサンプリングを行い、データ信号列D2を生成する(S23、S24)。
【0080】
以下、処理S23、S24を繰り返し、全てのキャリアについてのシンボルクロック同期処理を行い、ぞれぞれのデータ信号列D1〜Dnを生成する(S25)。
【0081】
なお、上記例は、評価対象の基地局装置1側で全てのキャリアについてのシンボルタイミングが同期している(シンボルクロック周期が整数倍の関係にある)場合のものであるが、通信規格が相違してシンボルタイミングの同期性がないチャンネルが含まれる場合には、通信規格毎に共通の同期情報を求めて、同一通信規格のものについてはその共通の同期情報を用いることで、シンボル同期処理を効率化できる。
【0082】
次に、図14に示すフレーム同期処理が行われる。
即ち、初めに、キャリア(チャンネル)指定する変数iを1に初期化し、第1のキャリアについてのデータ信号列D1に対して前述した通常のフレーム同期処理(パイロットパターンによる先頭検出)を行い、そのフレーム先頭位置を示す同期情報を求める(S31、S32)。
【0083】
次に、iを1増加して、次のキャリアについてのデータ信号列D2のフレーム先頭位置を示す同期情報を、データ信号列D1の処理で得られた共通の同期情報と、前記したキャリア間フレーム位相情報とを用いて特定する(S33、S34)。
【0084】
以下、処理S33、S34を繰り返し、全てのキャリアについてのフレーム同期処理を行い、各データ信号列D1〜Dnについてのフレーム先頭位置を示す同期情報を生成する(S35)。
【0085】
なお、上記例は、評価対象の基地局装置1側で全てのキャリアについてのキャリア間フレーム位相情報が与えられている場合のものであるが、フレーム長が変動して位相が特定できないチャンネルが含まれる場合、そのチャンネルについては通常のフレーム同期処理をおこなうが、キャリア間フレーム位相が特定されているチャンネルについては、パイロットパターンの検出処理が不要となり、その分フレーム同期処理を効率化できる。
【0086】
上記した同期処理によって得られた各キャリアについてのフレームデータに対して、図15に示すように、予め設定された項目についての測定処理および判定処理が解析手段28により行なわれ(S41)、その解析結果の一覧が前記図6のように、解析結果一覧表示手段29により、表示部40に表示される(S42)。
【0087】
そして、しきい値を超える測定結果を含むスロットに対する指定操作があったとき(S43)、そのスロットの測定結果がしきい値を超えているタイミングと同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果を選択し(S44)、その選択した測定結果と指定されたスロットについての測定結果とを対比可能に表示部40に表示させる(S45)。この表示から、あるキャリア周波数の不良の影響が、別のキャリア周波数の測定結果にどのような影響を与えるかを容易に把握できる。
【0088】
上記実施形態では、受信記憶部21において、測定に必要な上限周波数と下限周波数の中心が中間周波数帯の通過中心周波数に一致するように受信周波数を制御していたが、測定に必要な上限周波数から下限周波数の間が中間周波数帯に入っていれば、上記した各キャリアのベースバンド成分を抽出が可能である。
【0089】
また、上記実施形態では、各キャリアの信号成分を直交ベースバンドに変換するために信号抽出手段26において直交検波処理を用いていたが、受信記憶部21において直交2相型の周波数変換処理を行い、受信信号を中間周波数帯の直交成分IIF、QIFに変換し、波形データメモリ24に記憶する構成も可能であり、その場合には、信号抽出手段26では、その波形データメモリ24に記憶された直交成分IIF、QIFを読み出して、それぞれ単相型の周波数変換器(例えば図3の各ミキサ26a、26bの信号入力を独立させ、両ミキサ26a、26bに同相のローカル信号を与える構成)に与えて、その周波数変換器のローカル周波数を各キャリアに合わせて順次変更して、各キャリアの信号成分を、周波数0を中心とするベースバンド成分(I1、Q1)〜(In、Qn)に順次変換すればよい。
【0090】
また、前記実施形態の相関測定結果表示手段30は、解析処理の良否判定でNGと判定されたスロットに関して相関する測定結果を選択、表示していたが、良品と判定された測定結果であってもその値がある値以上変化した場合には、それを選択操作できるように構成することも可能であり、また、良否判定の結果によらず、作業者が指定操作しないでも、相関のある測定結果(同一タイミングに測定値が所定以上変動する測定結果)を装置が自動的に選択して表示してもよい。
【符号の説明】
【0091】
20……基地局評価装置、21……受信記憶部、22……広帯域受信部、22a……ミキサ、22b……ローカル信号発生器、22c……中間周波フィルタ、23……A/D変換器、24……波形データメモリ、25……解析部、26……信号抽出手段、27……同期手段、28……解析手段、29……解析結果一覧表示手段、30……相関測定結果表示手段、35……設定部、40……表示部、45……操作部、50……受信周波数制御手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の移動体通信システムの基地局装置から出力された信号を解析してその評価を行う技術に関し、特に複数の異なる周波数帯域で同時に通信を行うマルチキャリア方式と複数の異なる通信規格に対応したマルチスタンダード方式に対応した基地局装置の評価を効率的に行えるようにするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の移動体通信システムでは、基地局と端末との間で通信を行うための周波数帯(キャリア周波数)に複数のユーザの信号を時分割多重化して通信を行うが、ユーザ数が多くなると1つのキャリア周波数で多重化しきれなくなる。このため、1つの通信業者が複数のキャリア周波数を使用して、利用可能なユーザ数を増やしてきている。
【0003】
これに対応して、その基地局も複数のキャリア周波数を用いて同時に通信を行う所謂マルチキャリアと呼ばれる方式が採用されている。
【0004】
また、端末の変調方式の移行等に伴い、一つの通信業者で異なる通信規格(例えばGSMとW−CDMA)の通信を行うことも要求されてきており、これに対応するための基地局は複数の異なる通信規格の信号を用いて同時に通信を行う所謂マルチスタンダードと呼ばれる方式が採用されており、近年ではマルチキャリア、マルチスタンダードに対応した基地局装置が必要とされている。
【0005】
そのため同一周波数バンドで複数のシステムを運用する場合の無線規格が、3GPPTS37.104で、Multi−Standard Radio(MSR)Base Station(BS)として定義された。その周波数バンドについては図16に示す通りである。
【0006】
図16において、マルチスタンダードの例を挙げれば、基地局の出力(Downlink)で定義されている周波数帯のうち、例えば869〜894MHz、925〜960MHzの周波数帯では、MSR and E−UTRA(LTE)と、UTRA(W−CDMA)と、GSM/EDGEの3つの異なるシステムが使用される。
【0007】
したがって、これら869〜894MHz、925〜960MHzの周波数帯内のキャリア周波数を通信に用いる基地局装置を評価するためには、各キャリア周波数の信号に対して、異なるシステムにそれぞれ応じた測定が必要となるが、従来の移動体通信機器に対する評価装置は、例えば次の特許文献1に記載されているように、1つのキャリア周波数(シングルキャリア)の信号を選択的に受信して評価に必要な処理を行うものであったので、マルチキャリアの測定を行う場合には、一つのキャリア周波数についての評価に必要な一連の試験を行ってから次のキャリア周波数に移行して同様の試験を行うという処理を繰り返す必要があり、手間と時間がかかるという問題があった。
【0008】
また、その測定原理から、複数のキャリア周波数を同時に用いる場合の帯域間相互の影響を把握することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−19741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記問題を解決するための技術として、測定対象となる複数のキャリア周波数の信号成分をヘテロダイン方式の広帯域な受信部により一括に受信して中間周波数帯に変換し、その中間周波数帯の信号の波形データを一定時間取り込んで記憶し、その記憶した波形データから個々のキャリア周波数の信号成分を抽出して解析処理を行う方式が考えられる。
【0011】
ところが、実際に上記方式の評価装置を構成するにあたり、測定対象の複数のキャリア周波数や、その周波数についてそれぞれ測定条件を任意に設定できるようにした場合、キャリア間相互の影響等を容易に把握できる技術が必要となる。
【0012】
本発明は、この問題を解決し、マルチキャリア、マルチスタンダードに対応した基地局装置の評価を行う装置において、キャリア間相互の影響等を容易に把握できる基地局評価装置およびその信号解析方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1の基地局評価装置は、
評価対象の基地局装置が通信に用いる複数の異なるキャリア周波数を含む信号を受け、該信号をローカル信号とミキシングして、前記複数の異なるキャリア周波数をカバーする帯域の中間周波帯に変換する広帯域受信部(22)、該広帯域受信部から出力される信号をサンプリングしてデジタルの波形データに変換するA/D変換器(23)および前記A/D変換器が変換した波形データを記憶する波形データメモリ(24)を有し、前記基地局装置が一定時間に出力した信号の波形データを取得する受信記憶部(21)と、
表示部(40)と、
前記受信記憶部に記憶された波形データを解析し、前記各キャリア周波数のフレーム内の所望タイムスロットに挿入されている信号を検出し、該スロットに対して予め設定された変調方式と測定項目に基づく測定および良否の判定を行い、その測定結果および判定結果を前記表示部に表示させる解析部(25)と、
前記解析部に対し、各キャリア周波数およびキャリア周波数毎のフレーム内の各スロットについての変調方式情報および測定項目情報を含む情報を設定させる設定部(35)とを備えた基地局評価装置であって、
前記解析部は、
異なるキャリア周波数のスロットについての測定結果のうち、同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果を互いに相関する測定結果として選択し、該測定結果を対比可能に前記表示部に表示させる相関測定結果表示手段(30)を有していることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項2の基地局評価装置は、請求項1記載の基地局評価装置において、
前記解析部は、
各キャリア周波数についての測定結果のうち、良否判定の基準となるしきい値を超える測定結果を含むスロットがあるか否かを一覧でき、且つ前記しきい値を超える測定結果を含むスロットのついての指定操作が可能なように前記表示部に表示する解析結果一覧表示手段(29)を有し、
前記相関測定結果表示手段は、前記解析結果一覧表示手段によって前記しきい値を超える測定結果を含むスロットに対する指定操作があったとき、該スロットの測定結果が前記しきい値を超えているタイミングと同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果を選択し、該選択した測定結果と前記指定されたスロットについての測定結果とを対比可能に前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項3の基地局評価装置の信号解析方法は、
評価対象の基地局装置が通信に用いる複数の異なるキャリア周波数を含む信号を受け、該信号をローカル信号とミキシングして、前記複数の異なるキャリア周波数をカバーする帯域の中間周波帯に変換する広帯域受信部(22)、該広帯域受信部から出力される信号をサンプリングしてデジタルの波形データに変換するA/D変換器(23)および前記A/D変換器が変換した波形データを記憶する波形データメモリ(24)を有し、前記基地局装置が一定時間に出力した信号の波形データを取得する受信記憶部(21)と、
表示部(40)と、
前記受信記憶部に記憶された波形データを解析し、前記各キャリア周波数のフレーム内の所望タイムスロットに挿入されている信号を検出し、該スロットに対して予め設定された変調方式と測定項目に基づく測定および良否の判定を行い、その測定結果および判定結果を前記表示部に表示させる解析部(25)と、
前記解析部に対し、各キャリア周波数およびキャリア周波数毎のフレーム内の各スロットについての変調方式情報および測定項目情報を含む情報を設定させる設定部(35)とを備えた基地局評価装置の前記解析部における信号解析方法であって、
異なるキャリア周波数のスロットについての測定結果のうち、同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果を互いに相関する測定結果として選択する段階(S44)と、
前記選択した測定結果を対比可能に前記表示部に表示させる段階(S45)とを含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項4の基地局評価装置の信号解析方法は、請求項3記載の基地局評価装置の信号解析方法において、
各キャリア周波数についての測定結果のうち、良否判定の基準となるしきい値を超える測定結果を含むスロットがあるか否かを一覧でき、且つ前記しきい値を超える測定結果を含むスロットのついての指定操作が可能なように前記表示部に表示する段階(S42)を含み、
前記しきい値を超える測定結果を含むスロットに対する指定操作があったときに、該スロットの測定結果と、該スロットの測定結果が前記しきい値を超えているタイミングと同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果とを選択することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
このように、本発明では、マルチキャリア方式の基地局装置が異なるキャリア周波数で同時に出力する信号を一括受信していることを利用して、異なるキャリア周波数のスロットについての測定結果のうち、同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果を互いに相関する測定結果として選択し、それらの測定結果を対比可能に表示部に表示させているので、あるキャリア周波数のスロット内の信号変化の影響が、他のキャリア周波数の測定結果に現れるか否かを容易に把握することができ、1キャリアずつ受信していく方式では得られないマルチキャリア方式特有の貴重な評価を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態の構成図
【図2】実施形態の要部の動作を説明するための図
【図3】実施形態の要部の構成を示す図
【図4】実施形態のキャリア間フレーム位相情報の具体例を示す図
【図5】実施形態のキャリア間フレーム位相情報の具体例を示す図
【図6】実施形態の解析結果の表示例を示す図
【図7】実施形態の相関する測定結果の表示例を示す図
【図8】実施形態の要部の動作を説明するためのフローチャート
【図9】実施形態の要部の動作を説明するための図
【図10】実施形態の要部の動作を説明するための図
【図11】実施形態の要部の動作を説明するためのフローチャート
【図12】実施形態の要部の動作を説明するための図
【図13】実施形態の要部の動作を説明するためのフローチャート
【図14】実施形態の要部の動作を説明するためのフローチャート
【図15】実施形態の要部の動作を説明するためのフローチャート
【図16】基地局装置が使用する周波数帯と通信に用いるシステムとの関係を表す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明を適用した基地局評価装置20の構成を示している。
【0020】
図1において、受信記憶部21は、広帯域受信部22、A/D変換器23および波形データメモリ24によって構成されている。
【0021】
広帯域受信部22は、マルチキャリア、マルチスタンダードに対応した評価対象の基地局装置1が通信に用いる複数の異なるキャリア周波数を含む広い受信帯域(例えば、前記したように869〜894MHz、925〜960MHzの周波数帯域)を有し、その受信帯域の信号のうち、後述する設定部35によって指定された複数のキャリア周波数の信号成分を一括に受信する。
【0022】
広帯域受信部22は、ミキサ22a、ローカル信号発生器22bおよび中間周波フィルタ22cを含み、入力信号SINとローカル信号発生器22bから出力されたローカル信号SLOCとをミキサ22aに与えて混合し、その和と差の成分の一方(ここでは差の成分とする)を中間周波フィルタ22cによって抽出するヘテロダイン方式のものであり、中間周波フィルタ22cの帯域は、測定対象に指定される可能性のあるキャリア周波数の信号成分の全てを通過させるのに必要な幅Wを有している。
【0023】
例えば925〜960MHzの受信帯域全体が測定対象に指定される可能性のある場合には、少なくとも960−925=35MHzの幅が必要となる。
【0024】
また、ローカル信号SLOCの周波数fLOCは、中間周波フィルタ22cの通過中心周波数をfIFとすれば、設定部35によって実際に測定対象として指定されたキャリア周波数の信号成分の全てがfIF±W/2の中間周波帯内にヘテロダイン変換される値であればよく、前記した925〜960MHzの受信帯域全体の信号成分を中間周波帯に一括変換できるように、|(925+960)/2−fLOC|=fIFとしておけば、固定のローカル周波数fLOCで、受信帯域内のいずれのキャリア周波数が指定された場合も対応できる。数値例を上げれば、fIF=200MHz、fLOC=742.5MHz(または1142.5MHz)となる。
【0025】
しかし、測定対象のキャリア周波数(チャンネル)は測定者が任意に指定する項目であり、その指定キャリアが受信帯域の一端側にのみ集中している場合、その信号成分を周波数変換した場合、中間周波フィルタ22cの通過帯域のエッジに集中することになり、これはフィルタのエッジの特性(振幅や位相の変動)の影響を受けやすく、望ましくない。
【0026】
これを防ぐために測定者が自ら指定したキャリア周波数に基づいて、ローカル周波数を設定することも可能ではあるが、前記したキャリア周波数だけでなく、スロットの指定、測定項目の指定操作等のほかに、ローカル周波数の設定操作が加わるとその作業が非常に煩雑化する。
【0027】
このため、この基地局評価装置20では、ローカル信号発生器22bが出力するローカル信号の周波数fLOC(つまり受信周波数)を受信周波数制御手段50によって自動設定している。
【0028】
この受信周波数制御手段50は、設定部35によって設定された各キャリア周波数および測定項目情報に基づいて、測定に必要最小限の周波数範囲f1〜f2を求め、その周波数範囲の中心周波数(f1+f2)/2が中間周波数帯の通過中心周波数fIFに変換されるようにローカル信号の周波数fLOCを設定する。
【0029】
つまり、理解しやすいように、入力信号周波数よりローカル周波数が低い下側ヘテロダインとすれば、測定者によって任意に指定されるキャリア周波数の上限と下限および測定項目に応じて下限周波数f1と上限周波数f2に対し、
fLOC=(f1+f2)/2−fIF
が成り立つローカル周波数を求めて、その周波数情報をローカル信号発生器22bに設定して、周波数fLOCのローカル信号を発生させる。上側ヘテロダインの場合には、
fLOC=(f1+f2)/2+fIF
が成り立つローカル周波数を求めて設定する。
【0030】
なお、下限周波数f1、上限周波数f2は、下限や上限のキャリア周波数について隣接チャンネル漏洩の測定項目が指定されている場合も考慮して決定する。
【0031】
これによって、例えば図2の(a)のように、測定対象のキャリア周波数fc1〜fcnが受信帯域全体の低域側に偏って存在する場合でも、図2の(b)のように、中間周波帯のセンター近傍に集まって出力されることになり、フィルタのエッジの振幅特性や位相特性の暴れ等の影響を受けにくい。なお、図2は下側ヘテロダインの場合を示すが、上側ヘテロダインの場合、中間周波帯に変換される各信号成分の並びが図2の場合に対して反転する。
【0032】
中間周波数帯に変換された信号SIFは、A/D変換器23により所定周波数(中間周波数帯の上限周波数の2倍以上)でサンプリングされてデジタルの信号列D(k)に変換され、波形データメモリ24に一定時間分記憶される。
【0033】
解析部25は、信号抽出手段26、同期手段27、解析手段28、解析結果一覧表示手段29および相関測定結果表示手段30を有しており、受信記憶部21の波形データメモリ24に記憶された波形データを解析し、各キャリア周波数の信号成分をベースバンド帯にそれぞれ変換して抽出し、その抽出したベースバンド成分に対して、シンボル同期処理、フレーム同期処理等を行い、その同期処理されてシンボル位置とフレーム位置が確定した信号に対して、所望タイムスロットに挿入されている信号を検出し、そのスロットに対して予め設定された変調方式と測定項目に基づいて信号復調と測定および判定を行い、その結果を表示部40に表示させる。
【0034】
信号抽出手段26は、受信記憶部21に記憶された波形データを読み出し、その読み出した波形データに対して、複数のキャリア周波数の信号成分にそれぞれ対応する周波数のローカル信号による周波数変換処理を行い、複数のキャリア周波数の各信号成分をそれぞれベースバンド帯に変換する。なお、この周波数変換処理は2つの直交ベースバンド成分を得るために直交検波処理を用いて行うが、後述するように、受信記憶部21において予め直交成分を検出する場合、信号抽出手段26は単純な単相型の周波数変換器で構成することができる。
【0035】
この信号抽出手段26は、例えば図3に示すように、2組のミキサ(乗算器)26a、26b、ローカル信号発生器26c、90度移相器26d、ベースバンドフィルタ26e、26f、ベースバンド信号メモリ26gおよびローカル周波数切替手段26hにより構成され、ローカル信号発生器26cと90度移相器26dによって生成される周波数fLLで直交位相のローカル信号L0、L90をミキサ26a、26bに与え、そのミキサ出力からベースバンドフィルタ26e、26fにより周波数fLLを中心周波数とする信号成分をベースバンド帯(例えば0〜6MHz)の信号Ii、Qiに変換し、これをベースバンド信号メモリ26gに記憶する。
【0036】
また、ローカル周波数制御手段26hは、後述する設定部35により指定された測定対象の各キャリア周波数、受信記憶部21のローカル信号SLOCの周波数に基づいて、ローカル信号発生器26cが出力すべきローカル信号L0の周波数fLLを順次変更させる(なお、信号抽出手段26が扱う信号はデジタルのデータ列であるから、ミキサ26a、26b、ローカル信号発生器26c、90度移相器26d、ベースバンドフィルタ26e、26f等の各構成要素は、その機能と等価な演算処理によって実現される)。
【0037】
信号抽出手段26によってベースバンド帯に変換したキャリア毎のベースバンド成分Ii、Qiは同期手段27によって変調方式情報およびシンボルレート(ビットレートでもよい)情報に応じた周期でサンプリングされ、シンボル同期処理がなされる。シンボル同期処理は、基地局装置1側のシンボルクロックと本装置側のシンボルクロックとを同期させるための処理であり、評価対象の基地局装置から送出された1キャリアについてのサンプリングされた信号成分Iis、Qisによって決まるIQ直交座標上の位置(シンボル位置)が、その変調方式によって決まる基準位置となるように移相処理を行う。
【0038】
例えば、変調方式がQPSKで所定のシンボルレートの場合、IQ直交座標上の(1,1)、(1,−1)、(−1,−1)、(−1,1)の位置がシンボル位置の基準となり、同期がとれていれば各ベースバンドの信号成分Iis、Qisによって決まるシンボル位置は、これら4つの基準位置の間を前記所定のシンボルレートに応じた時間間隔で遷移することになる(厳密にはノイズ等の影響で基準位置からバラツク)。
【0039】
したがって、例えば第1キャリアについて得られたベースバンドの信号成分I1、Q1を前記所定ビットレートに対応した間隔でサンプリングし、そのサンプリングされた信号成分I1s、Q1sによって決まるシンボル位置と基準位置との誤差を求め、その誤差が最小となるように、ベースバンドの信号成分I1、Q1に対するサンプリングタイミングを決定すること(シンボルクロック再生)で、シンボル同期が完了する。この処理により、各シンボル位置に対応したシンボルデータを正しく取得でき、上記変調方式QPSKの場合であれば、4つの基準位置にそれぞれ対応する2ビットのシンボルデータ(00)、(01)、(10)、(11)への変換がなされる。
【0040】
なお、実際には、信号抽出処理でベースバンド成分を取得する際のサンプリングタイミングは、そのベースバンド成分のシンボルタイミングに同期しているとは限らないので、信号に対する補間処理を行い、その補間処理で得られた信号に対するサンプリングを行い、誤差が小さい最良のサンプリングタイミングを決定する。
【0041】
そして、このシンボル同期処理は、基地局装置1側で共通のクロックを用いてシンボルデータを生成していていることを考慮し、第1キャリアについて得られたシンボル同期処理に必要な同期情報(サンプリングタイミング情報)を各キャリアについて共通の同期情報とし、その共通の同期情報と各キャリアについての変調方式情報およびシンボルレート情報とに基づいて、他のキャリアについての信号成分に対するシンボル同期処理を行う。
【0042】
つまり、例えば第2キャリアの変調方式がQPSKで第1キャリアの1/4のシンボルレートの場合には、第2キャリアについて得られたベースバンドの信号成分I2、Q2のうち、第1キャリアのシンボル同期されて最終的にサンプリングされた信号成分I1s、Q1sと同一タイミングの信号成分I2s、Q2sに注目し、その4組に1組の割合で時系列にサンプリングし、前記同様に基準位置との誤差を求める。ここで4組から1組を抽出するので4通りの信号列が得られるが、それらの中から誤差が最も少ない信号列を求め、その信号列から第2キャリアについてのシンボルデータを取得する。
【0043】
また、例えば第3キャリアの変調方式が、IQ平面上に16個の基準シンボル位置を有する16QAM方式で、第1キャリアの例えば2倍のシンボルレートの場合、変調方式で4倍、シンボルレートで2倍であるから第1キャリアに対して8倍のサンプリング速度となる。
【0044】
この場合、第3キャリアについて得られたベースバンドの信号成分I3、Q3のうち、第1キャリアのシンボル同期されて最終的にサンプリングされた信号成分I1s、Q1sと同一タイミングの信号成分I3s、Q3sおよびそのサンプリング間隔を8等分する7つタイミングにおける信号成分I3s′、Q3s′からなる信号列をサンプリングして、その信号列から第3キャリアについての4ビット単位のシンボルデータを取得する。
【0045】
このように、一つのキャリアについてのシンボル同期処理で得られた同期情報を、他のキャリアについてのシンボル同期処理に共通に用いているために、極めて短時間に各キャリアについてのシンボル同期処理を行うことができる。
【0046】
なお、上記処理で得られたシンボルデータは、例えば所定ビット幅(1ビット幅または複数ビット幅のいずれでもよい)のデータ信号列としてフレーム同期処理される。
【0047】
フレーム同期処理は、シンボル同期処理で得られたデータ信号列に対してフレーム同期処理を行い、フレームの位置(先頭位置)および各スロットの位置を確定する。
このフレーム同期処理とはデータ信号列から、各フレームの先頭位置に挿入されている所定のパイロットパターンを見つけることによって行い、その先頭位置が特定されれば、その既知のフレーム構造から各スロットの位置も特定できる。
【0048】
このフレーム同期処理も、シンボル同期処理と同様に、1キャリアについて得られたデータ信号列に対するフレーム同期処理で得られたフレーム同期情報(先頭位置のタイミング情報)を共通の同期情報とし、他のデータ信号列に対するフレーム同期処理を、この共通の同期情報と、評価対象の基地局装置1が並行して出力するキャリア間のフレーム位置のズレを特定するためのキャリア間フレーム位相情報(評価装置側で既知であるものとする)とに基づいて行う。
【0049】
キャリア間フレーム位相情報は、例えば図4の(a)のように、ある測定基準タイミングT0における各キャリアそれぞれのフレーム番号Nf1〜Nfnとシンボル番号Ns1〜Nsnであって、図4の(b)のような情報となる。また、例えば図5の(a)のように、ある測定基準タイミングT0からの各キャリアの先頭フレームまでの時間をそれぞれシンボル数Cs1〜Csnで表した図5の(b)のような情報でもよい。
【0050】
このようなキャリア間フレーム位相情報が既知であれば、1キャリアについてのフレーム同期処理でその先頭位置が特定できれば、他のキャリアについてのフレームの先頭位置を簡単に検出できる。また、前記したように各キャリアについての信号成分は、共通のクロックソースからなるシンボルクロックのデータ信号列を有しているので、上記のようにフレームのずれをシンボル単位で表すことが可能で、タイミングの特定が容易である。
【0051】
なお、キャリア間のフレーム位置が同一の場合も上記情報で対応できる。即ち、その場合、図4の情報では各キャリアそれぞれのフレーム番号とシンボル番号が同一となり、図5の情報では各キャリアの先頭フレームまでの時間を表すシンボル数が等しくなる。
【0052】
このようにして、各キャリアについてのフレーム位置とスロット位置が特定されて、その情報がデータ信号列とともに解析手段28に送られる。
【0053】
解析手段28は、各キャリアについてのフレーム内の所望タイムスロットに挿入されている信号を検出し、そのスロットに対して予め設定された変調方式と測定項目に基づいて測定を行い、その測定結果に対する良否判定を行う。
【0054】
解析結果一覧表示手段29は、解析手段28で得られた各キャリア周波数についての測定結果のうち、良否判定の基準となるしきい値を超える測定結果を含むスロットがあるか否かを一覧でき、且つそのしきい値を超える測定結果を含むスロットのついての操作部45による指定操作が可能なように表示部40に表示する。
【0055】
図6は、その表示例を示すものであり、測定対象のキャリア周波数について、測定項目として、変調誤差比(EVM)、電力(Power)等があり、その測定項目についての最大値(MAX)、最小値(MIN)、平均値(AVE)が数値表示され、判定結果が表示される。
【0056】
図6の測定項目EVMについての判定結果覧で、「FAIL Frame5,Slot4」は、良否判定のための基準となるしきい値を超える不良が、5フレーム目の4番目のスロットにあることを示すものであり、ここで最小値MINが良否判定のしきい値を超える場合で、その欄が不良であることを示す表示(図ではハッチングで示しているが、色や濃度等で識別表示してもよい)がなされている。なお、「FAIL」にはマウスカーソル等の操作部45で指定可能な文字列であることを示す下線表示(色の違い等でもよい)がなされている。
【0057】
また、図6の測定項目Powerについての判定結果覧で、「OK」はこのキャリア周波数の指定されたどのスロットについても信号電力が許容範囲内に入っていることを表している。
【0058】
相関測定結果表示手段30は、解析結果一覧表示手段29によってしきい値を超える測定結果を含むスロットに対する指定操作、即ち上記例で「FAIL」に対するマウスカーソルのよる選択操作があったとき、そのスロットの測定結果がしきい値を超えているタイミングと同一測定タイミングに所定以上(上記しきい値と同一である必要はなく、ノイズによる変動成分より大きい値であればよい)変化が現れる測定結果を選択し、指定されたスロットの測定結果と選択した測定結果とを対比可能に表示部40に表示させる。
【0059】
図7は、その表示例を示すものであり、例えば2番目のキャリア周波数fc2のあるスロット中である測定タイミングt1(実際にはt1±Δtの期間)に、電力が良否判定の基準となるしきい値Prを超えていて、その測定結果に関する「FAIL」を指定操作したときに、それに隣接する1番目と3番目のキャリア周波数fc1、fc3のタイミングt1と同一測定タイミング(t1を中心とする期間)に、変調誤差比(EVM)が悪化している。
【0060】
これら3つの測定結果は、横軸の時間軸を揃えて縦に並べて対比可能に表示しているから、この表示から、キャリア周波数fc2の信号電力の急増により、それに隣接するキャリアの変調誤差が増加したと判断することができ、あるキャリア周波数の不良の影響が別のキャリア周波数の測定結果にどのような影響を与えるかを容易に把握できる。
【0061】
設定部35は、操作部45の操作にしたがい且つ表示部40に設定に必要な情報を表示させつつ、解析部25に対し、各キャリア周波数のフレーム内の各スロットについての変調方式情報、測定項目情報等を設定させるためのものである。
【0062】
ここで指定する情報は、キャリア周波数、そのキャリア周波数の信号成分のフレームおよびスロット、GMSK、8PSK等の変調方式、シンボルレート(ビットレート)と、Power、Modulation(変調誤差)、ORFS(隣接チャンネル漏洩)等の測定項目であり、指定したキャリア周波数の信号成分の所望のフレームの所望スロットに対して、指定した変調方式に基づく復調処理を行わせて、その結果に対して指定した項目の測定を行わせる。また、前記したシンボル同期処理やフレーム同期処理を効率的に行うために必要な情報である。
【0063】
受信周波数制御手段50は、設定部35によって指定されたキャリア周波数fc1、fc2、……、変調方式(占有帯域幅を特定する)および隣接チャンネル漏洩の有無により、広帯域受信部22の受信周波数を決定する。
【0064】
図8は、受信周波数制御手段50の処理手順を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに基づいて実施形態の受信周波数制御処理を説明する。
【0065】
始めに、設定部35によって測定対象に指定されたキャリア周波数(チャンネル)の中で、最高周波数のものの測定項目に隣接チャンネル漏洩(ORFSまたはACLR)の項目があるか否かを調べる(S1)。
【0066】
隣接チャンネル漏洩の項目がある場合には、図9の(a)のように、キャリア周波数の最高周波数の測定に必要な上限周波数f2′に、隣接チャンネル漏洩の測定に必要な周波数幅Waと所定のマージンαを加えて上限周波数f2を決定する(S2)。また、隣接チャンネル漏洩の項目がない場合には、図9の(b)のように、キャリア周波数の最高周波数のものについての測定に必要な上限周波数f2′に所定のマージンβを加えて上限周波数f2とする(S3)。
【0067】
次に設定部35によって測定対象に指定されたキャリア周波数(チャンネル)の中で、最低周波数のものの測定項目に隣接チャンネル漏洩(ACLRまたはORFS)の項目があるか否かを調べる(S4)。
【0068】
そして、隣接チャンネル漏洩の項目がある場合には、図10の(a)のように、キャリア周波数の最低周波数の測定に必要な下限周波数f1′から、隣接チャンネル漏洩の測定に必要な周波数幅Waと所定のマージンαを加えたものを差し引いて下限周波数f1を決定する(S5)。また、隣接チャンネル漏洩の項目がない場合には、図10の(b)のように、キャリア周波数の最低周波数の測定に必要な下限周波数f1′から、所定のマージンβを差し引いて下限周波数f1とする(S6)。
【0069】
そして、その下限周波数f1と上限周波数f2の中心値fm=(f1+f2)/2を求め(S7)、その中心値fmが中間周波帯の通過中心周波数fIFに変換されるためのローカル周波数fLOCを、fLOC=fm−fIF(またはfLOC=fm+fIF)によって求め、その周波数情報をローカル信号発生器22bに設定する(S8)。
【0070】
上記処理によって波形データメモリ24には、測定対象に指定されたキャリア周波数の信号成分を含む信号が中間周波数帯に変換され、その信号の一定時間分の波形データが波形データメモリ24に記憶される。
【0071】
この波形データメモリ24に記憶された波形データは、所定タイミングに解析部25の信号抽出処理を受ける。
【0072】
即ち、測定対象のキャリア信号の周波数をfc1〜fcnとし、受信記憶部21において下側ヘテロダインを用いているとすれば、各キャリア周波数fc1〜fcnは、中間周波数帯の中の周波数(fc1−fLOC)〜(fcn−fLOC)に変換されることになる。
【0073】
したがって、信号抽出手段26による信号抽出処理では、図11に示すように、キャリアを指定する変数iを1に初期化し(S11)、ローカル信号L0、L90の周波数fLLを(fci−fLOC)にセットして(S12)、波形データメモリ24に記憶された波形データに対する直交検波処理を行う。
【0074】
これによって、図12の(a)のように、中間周波数帯の周波数(fci−fLOC)を中心とする信号成分は、図12の(b)、(c)のように、周波数0を中心とするベースバンド成分Ii、Qiに変換され、その直交ベースバンド成分Ii、Qiが対応する変数iに対応するアドレスに記憶される(S13)。
【0075】
そして、上記S12、S13の処理を測定対象のキャリア周波数について繰り返し(S14、S15)、各キャリアについてのベースバンド成分(I1、Q1)〜(In、Qn)を求める。
【0076】
このようにして得られた各キャリアついてのベースバンドの信号成分は、同期手段27によるシンボル同期処理を受ける。
【0077】
図13は、このシンボル同期処理の手順を示すフローチャートである。以下、その手順について説明する。
【0078】
初めに、キャリア(チャンネル)指定する変数iを1に初期化し、第1のキャリアについてのベースバンド成分I1、Q1に対して前述した通常のシンボル同期処理(シンボルクロック再生)を行い、そのベースバンド成分に対して最適なタイミングでサンプリングを行ってデータ信号列D1を生成する(S21、S22)。
【0079】
次に、iを1増加して、次のキャリアについてのベースバンド成分I2、Q2に対して、最初のシンボル同期処理で得られた最適なサンプリングタイミング(シンボルクロック位相)の情報を共通の同期情報として、それに変調方式、シンボルレート等の情報を用いて最適なサンプリングタイミングを求めて、ベースバンド成分I2、Q2に対するサンプリングを行い、データ信号列D2を生成する(S23、S24)。
【0080】
以下、処理S23、S24を繰り返し、全てのキャリアについてのシンボルクロック同期処理を行い、ぞれぞれのデータ信号列D1〜Dnを生成する(S25)。
【0081】
なお、上記例は、評価対象の基地局装置1側で全てのキャリアについてのシンボルタイミングが同期している(シンボルクロック周期が整数倍の関係にある)場合のものであるが、通信規格が相違してシンボルタイミングの同期性がないチャンネルが含まれる場合には、通信規格毎に共通の同期情報を求めて、同一通信規格のものについてはその共通の同期情報を用いることで、シンボル同期処理を効率化できる。
【0082】
次に、図14に示すフレーム同期処理が行われる。
即ち、初めに、キャリア(チャンネル)指定する変数iを1に初期化し、第1のキャリアについてのデータ信号列D1に対して前述した通常のフレーム同期処理(パイロットパターンによる先頭検出)を行い、そのフレーム先頭位置を示す同期情報を求める(S31、S32)。
【0083】
次に、iを1増加して、次のキャリアについてのデータ信号列D2のフレーム先頭位置を示す同期情報を、データ信号列D1の処理で得られた共通の同期情報と、前記したキャリア間フレーム位相情報とを用いて特定する(S33、S34)。
【0084】
以下、処理S33、S34を繰り返し、全てのキャリアについてのフレーム同期処理を行い、各データ信号列D1〜Dnについてのフレーム先頭位置を示す同期情報を生成する(S35)。
【0085】
なお、上記例は、評価対象の基地局装置1側で全てのキャリアについてのキャリア間フレーム位相情報が与えられている場合のものであるが、フレーム長が変動して位相が特定できないチャンネルが含まれる場合、そのチャンネルについては通常のフレーム同期処理をおこなうが、キャリア間フレーム位相が特定されているチャンネルについては、パイロットパターンの検出処理が不要となり、その分フレーム同期処理を効率化できる。
【0086】
上記した同期処理によって得られた各キャリアについてのフレームデータに対して、図15に示すように、予め設定された項目についての測定処理および判定処理が解析手段28により行なわれ(S41)、その解析結果の一覧が前記図6のように、解析結果一覧表示手段29により、表示部40に表示される(S42)。
【0087】
そして、しきい値を超える測定結果を含むスロットに対する指定操作があったとき(S43)、そのスロットの測定結果がしきい値を超えているタイミングと同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果を選択し(S44)、その選択した測定結果と指定されたスロットについての測定結果とを対比可能に表示部40に表示させる(S45)。この表示から、あるキャリア周波数の不良の影響が、別のキャリア周波数の測定結果にどのような影響を与えるかを容易に把握できる。
【0088】
上記実施形態では、受信記憶部21において、測定に必要な上限周波数と下限周波数の中心が中間周波数帯の通過中心周波数に一致するように受信周波数を制御していたが、測定に必要な上限周波数から下限周波数の間が中間周波数帯に入っていれば、上記した各キャリアのベースバンド成分を抽出が可能である。
【0089】
また、上記実施形態では、各キャリアの信号成分を直交ベースバンドに変換するために信号抽出手段26において直交検波処理を用いていたが、受信記憶部21において直交2相型の周波数変換処理を行い、受信信号を中間周波数帯の直交成分IIF、QIFに変換し、波形データメモリ24に記憶する構成も可能であり、その場合には、信号抽出手段26では、その波形データメモリ24に記憶された直交成分IIF、QIFを読み出して、それぞれ単相型の周波数変換器(例えば図3の各ミキサ26a、26bの信号入力を独立させ、両ミキサ26a、26bに同相のローカル信号を与える構成)に与えて、その周波数変換器のローカル周波数を各キャリアに合わせて順次変更して、各キャリアの信号成分を、周波数0を中心とするベースバンド成分(I1、Q1)〜(In、Qn)に順次変換すればよい。
【0090】
また、前記実施形態の相関測定結果表示手段30は、解析処理の良否判定でNGと判定されたスロットに関して相関する測定結果を選択、表示していたが、良品と判定された測定結果であってもその値がある値以上変化した場合には、それを選択操作できるように構成することも可能であり、また、良否判定の結果によらず、作業者が指定操作しないでも、相関のある測定結果(同一タイミングに測定値が所定以上変動する測定結果)を装置が自動的に選択して表示してもよい。
【符号の説明】
【0091】
20……基地局評価装置、21……受信記憶部、22……広帯域受信部、22a……ミキサ、22b……ローカル信号発生器、22c……中間周波フィルタ、23……A/D変換器、24……波形データメモリ、25……解析部、26……信号抽出手段、27……同期手段、28……解析手段、29……解析結果一覧表示手段、30……相関測定結果表示手段、35……設定部、40……表示部、45……操作部、50……受信周波数制御手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象の基地局装置が通信に用いる複数の異なるキャリア周波数を含む信号を受け、該信号をローカル信号とミキシングして、前記複数の異なるキャリア周波数をカバーする帯域の中間周波帯に変換する広帯域受信部(22)、該広帯域受信部から出力される信号をサンプリングしてデジタルの波形データに変換するA/D変換器(23)および前記A/D変換器が変換した波形データを記憶する波形データメモリ(24)を有し、前記基地局装置が一定時間に出力した信号の波形データを取得する受信記憶部(21)と、
表示部(40)と、
前記受信記憶部に記憶された波形データを解析し、前記各キャリア周波数のフレーム内の所望タイムスロットに挿入されている信号を検出し、該スロットに対して予め設定された変調方式と測定項目に基づく測定および良否の判定を行い、その測定結果および判定結果を前記表示部に表示させる解析部(25)と、
前記解析部に対し、各キャリア周波数およびキャリア周波数毎のフレーム内の各スロットについての変調方式情報および測定項目情報を含む情報を設定させる設定部(35)とを備えた基地局評価装置であって、
前記解析部は、
異なるキャリア周波数のスロットについての測定結果のうち、同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果を互いに相関する測定結果として選択し、該測定結果を対比可能に前記表示部に表示させる相関測定結果表示手段(30)を有していることを特徴とする基地局評価装置。
【請求項2】
前記解析部は、
各キャリア周波数についての測定結果のうち、良否判定の基準となるしきい値を超える測定結果を含むスロットがあるか否かを一覧でき、且つ前記しきい値を超える測定結果を含むスロットのついての指定操作が可能なように前記表示部に表示する解析結果一覧表示手段(29)を有し、
前記相関測定結果表示手段は、前記解析結果一覧表示手段によって前記しきい値を超える測定結果を含むスロットに対する指定操作があったとき、該スロットの測定結果が前記しきい値を超えているタイミングと同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果を選択し、該選択した測定結果と前記指定されたスロットについての測定結果とを対比可能に前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1記載の基地局評価装置。
【請求項3】
評価対象の基地局装置が通信に用いる複数の異なるキャリア周波数を含む信号を受け、該信号をローカル信号とミキシングして、前記複数の異なるキャリア周波数をカバーする帯域の中間周波帯に変換する広帯域受信部(22)、該広帯域受信部から出力される信号をサンプリングしてデジタルの波形データに変換するA/D変換器(23)および前記A/D変換器が変換した波形データを記憶する波形データメモリ(24)を有し、前記基地局装置が一定時間に出力した信号の波形データを取得する受信記憶部(21)と、
表示部(40)と、
前記受信記憶部に記憶された波形データを解析し、前記各キャリア周波数のフレーム内の所望タイムスロットに挿入されている信号を検出し、該スロットに対して予め設定された変調方式と測定項目に基づく測定および良否の判定を行い、その測定結果および判定結果を前記表示部に表示させる解析部(25)と、
前記解析部に対し、各キャリア周波数およびキャリア周波数毎のフレーム内の各スロットについての変調方式情報および測定項目情報を含む情報を設定させる設定部(35)とを備えた基地局評価装置の前記解析部における信号解析方法であって、
異なるキャリア周波数のスロットについての測定結果のうち、同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果を互いに相関する測定結果として選択する段階(S44)と、
前記選択した測定結果を対比可能に前記表示部に表示させる段階(S45)とを含むことを特徴とする基地局評価装置の信号解析方法。
【請求項4】
各キャリア周波数についての測定結果のうち、良否判定の基準となるしきい値を超える測定結果を含むスロットがあるか否かを一覧でき、且つ前記しきい値を超える測定結果を含むスロットのついての指定操作が可能なように前記表示部に表示する段階(S42)を含み、
前記しきい値を超える測定結果を含むスロットに対する指定操作があったときに、該スロットの測定結果と、該スロットの測定結果が前記しきい値を超えているタイミングと同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果とを選択することを特徴とする請求項3記載の基地局評価装置の信号解析方法。
【請求項1】
評価対象の基地局装置が通信に用いる複数の異なるキャリア周波数を含む信号を受け、該信号をローカル信号とミキシングして、前記複数の異なるキャリア周波数をカバーする帯域の中間周波帯に変換する広帯域受信部(22)、該広帯域受信部から出力される信号をサンプリングしてデジタルの波形データに変換するA/D変換器(23)および前記A/D変換器が変換した波形データを記憶する波形データメモリ(24)を有し、前記基地局装置が一定時間に出力した信号の波形データを取得する受信記憶部(21)と、
表示部(40)と、
前記受信記憶部に記憶された波形データを解析し、前記各キャリア周波数のフレーム内の所望タイムスロットに挿入されている信号を検出し、該スロットに対して予め設定された変調方式と測定項目に基づく測定および良否の判定を行い、その測定結果および判定結果を前記表示部に表示させる解析部(25)と、
前記解析部に対し、各キャリア周波数およびキャリア周波数毎のフレーム内の各スロットについての変調方式情報および測定項目情報を含む情報を設定させる設定部(35)とを備えた基地局評価装置であって、
前記解析部は、
異なるキャリア周波数のスロットについての測定結果のうち、同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果を互いに相関する測定結果として選択し、該測定結果を対比可能に前記表示部に表示させる相関測定結果表示手段(30)を有していることを特徴とする基地局評価装置。
【請求項2】
前記解析部は、
各キャリア周波数についての測定結果のうち、良否判定の基準となるしきい値を超える測定結果を含むスロットがあるか否かを一覧でき、且つ前記しきい値を超える測定結果を含むスロットのついての指定操作が可能なように前記表示部に表示する解析結果一覧表示手段(29)を有し、
前記相関測定結果表示手段は、前記解析結果一覧表示手段によって前記しきい値を超える測定結果を含むスロットに対する指定操作があったとき、該スロットの測定結果が前記しきい値を超えているタイミングと同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果を選択し、該選択した測定結果と前記指定されたスロットについての測定結果とを対比可能に前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1記載の基地局評価装置。
【請求項3】
評価対象の基地局装置が通信に用いる複数の異なるキャリア周波数を含む信号を受け、該信号をローカル信号とミキシングして、前記複数の異なるキャリア周波数をカバーする帯域の中間周波帯に変換する広帯域受信部(22)、該広帯域受信部から出力される信号をサンプリングしてデジタルの波形データに変換するA/D変換器(23)および前記A/D変換器が変換した波形データを記憶する波形データメモリ(24)を有し、前記基地局装置が一定時間に出力した信号の波形データを取得する受信記憶部(21)と、
表示部(40)と、
前記受信記憶部に記憶された波形データを解析し、前記各キャリア周波数のフレーム内の所望タイムスロットに挿入されている信号を検出し、該スロットに対して予め設定された変調方式と測定項目に基づく測定および良否の判定を行い、その測定結果および判定結果を前記表示部に表示させる解析部(25)と、
前記解析部に対し、各キャリア周波数およびキャリア周波数毎のフレーム内の各スロットについての変調方式情報および測定項目情報を含む情報を設定させる設定部(35)とを備えた基地局評価装置の前記解析部における信号解析方法であって、
異なるキャリア周波数のスロットについての測定結果のうち、同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果を互いに相関する測定結果として選択する段階(S44)と、
前記選択した測定結果を対比可能に前記表示部に表示させる段階(S45)とを含むことを特徴とする基地局評価装置の信号解析方法。
【請求項4】
各キャリア周波数についての測定結果のうち、良否判定の基準となるしきい値を超える測定結果を含むスロットがあるか否かを一覧でき、且つ前記しきい値を超える測定結果を含むスロットのついての指定操作が可能なように前記表示部に表示する段階(S42)を含み、
前記しきい値を超える測定結果を含むスロットに対する指定操作があったときに、該スロットの測定結果と、該スロットの測定結果が前記しきい値を超えているタイミングと同一測定タイミングに所定以上の変化が現れる測定結果とを選択することを特徴とする請求項3記載の基地局評価装置の信号解析方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−211508(P2011−211508A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77518(P2010−77518)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】
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