説明

基板、発光装置及び基板の製造方法

【課題】発光素子の発光効率の低下を抑制しつつも、配線の狭ピッチ化に対応することができる基板、発光装置及び基板の製造方法を提供する。
【解決手段】基板1は、複数の外部接続用の電極11と放熱板12を有する第1リードフレーム10と、発光素子搭載用の第1配線21及び第2配線22を有し、第1リードフレーム10上に積層された第2リードフレーム20と、第1リードフレーム10と第2リードフレーム20との間に充填された樹脂層30と、を有している。放熱板12の上方に第1配線21が配置され、電極11と第2配線22とが接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板、発光装置及び基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子が基板に実装されてなる発光装置には、様々な形状のものが提案されている。この種の発光装置としては、金属製の基板に形成された絶縁層上に配線層を形成し、その配線層上に発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)などの発光素子を実装した構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−092011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、上記発光装置の用途は、照明装置や表示装置などに拡大している。このような用途では、複数の発光素子を高密度に実装することが望まれており、上記配線層の微細化(狭ピッチ化)が要求されている。しかし、発光素子の実装される配線層はサブトラクティブ法などにより形成されるため、その配線層の狭ピッチ化が困難である。さらに、上記発光装置では、発光ダイオードの通電に伴ってその発光ダイオードに発熱が生じ、それに伴う温度上昇によって発光ダイオードの発光効率が低下する。よって、発光ダイオードから生じた熱を上記配線層から効率良く放熱させるべく配線層が厚く形成される傾向にある。このような場合には、配線層の狭ピッチ化が益々困難になるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、放熱板と複数の外部接続用の電極を有する第1リードフレームと、発光素子搭載用の複数の配線を有し、前記第1リードフレーム上に積層された第2リードフレームと、前記第1リードフレームと前記第2リードフレームとの間に充填された樹脂層と、を有し、前記放熱板の上方に前記配線が配置され、前記電極と一部の前記配線とが接合されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一観点によれば、発光素子の発光効率の低下を抑制しつつも、配線の狭ピッチ化に対応することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】(a)は、一実施形態の基板を示す概略断面図、(b)は、第1リードフレームを示す概略平面図、(c)は、第2リードフレームを示す概略平面図。なお、(a)は、(b),(c)のA−A線位置における基板の断面構造を示している。
【図2】(a)は、一実施形態の発光装置を示す概略断面図、(b)は、一実施形態の発光装置を示す概略平面図、(c)は、ツェナーダイオード周辺の構造を示す概略断面図。なお、(a)は、(b)のB−B線位置における基板の断面構造を示している。また、(b)、(c)では、封止樹脂の図示を省略している。
【図3】(a)は、一実施形態の基板の製造方法を示す概略平面図、(b)は、(a)の一部を拡大した拡大平面図、(c)は、(b)に示す単位リードフレームのC−C概略断面図。
【図4】(a)は、一実施形態の基板の製造方法を示す概略平面図、(b)は、(a)の一部を拡大した拡大平面図、(c)は、(b)に示す単位リードフレームのD−D概略断面図。
【図5】(a)、(b)は、一実施形態の基板の製造方法を示す概略断面図、(c)は、一実施形態の基板の製造方法を示す説明図。なお、(a)、(b)は、図3(b)のC−C線位置及び図4(b)のD−D線位置における基板の断面構造を示している。
【図6】(a)〜(d)は、一実施形態の基板の製造方法を示す概略断面図。なお、(a)〜(d)は、図3(b)のC−C線位置及び図4(b)のD−D線位置における基板の断面構造を示している。
【図7】(a)、(b)は、一実施形態の基板の製造方法を示す拡大平面図。
【図8】(a)は、一実施形態の基板の製造方法を示す概略断面図、(b)、(c)は、一実施形態の発光装置の製造方法を示す概略断面図。なお、(a)は、図1(b)、(c)のA−A線位置における基板の断面構造を示している。また、(b)、(c)は、図2(b)のB−B線位置における発光装置の断面構造を示している。
【図9】(a)〜(c)は、変形例の基板の製造方法を示す概略断面図。
【図10】(a)、(b)は、変形例の基板の製造方法を示す概略断面図。
【図11】(a)〜(d)は、変形例の基板の製造方法を示す概略断面図。
【図12】変形例の発光装置を示す概略断面図。
【図13】(a)は、変形例の基板を示す概略平面図、(b)は、変形例の発光装置を示す概略平面図。
【図14】発光装置の実装例を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して各実施形態を説明する。なお、添付図面は、特徴を分かりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の樹脂層のハッチングを省略している。
【0009】
以下、一実施形態を図1〜図8に従って説明する。
(基板の構造)
図1(a)に示すように、発光装置に適用される基板1は、第1リードフレーム10と、その第1リードフレーム10と接合された第2リードフレーム20と、第1リードフレーム10及び第2リードフレーム20間に充填された樹脂層30とを有している。
【0010】
第1リードフレーム10は、プリント配線板等の実装基板の配線に電気的に接続される外部接続用の一対の電極11と、一対の電極11の間に配設された放熱板12とを有している。第1リードフレーム10の材料としては、銅(Cu)、Cuをベースにした合金、鉄−ニッケル(Fe−Ni)又はFe−Niをベースにした合金を用いることができる。この第1リードフレーム10は、例えば金属板をエッチング加工又はプレス加工することにより得られる。
【0011】
各電極11は、ベース部11Aと、そのベース部11Aの上面に形成され、ベース部11Aの内側面よりも内側に突出して形成された接続部11Bとを有している。ベース部11Aの下面全面には、金属層13が形成されている。金属層13の例としては、銀(Ag)又はAg合金からなるAg層、ニッケル(Ni)又はNi合金からなるNi層、Ni層/金(Au)又はAu合金からなるAu層を順に積層した金属層、Ni層/パラジウム(Pd)又はPd合金からなるPd層/Au層を順に積層した金属層などを挙げることができる。また、金属層13の例としては、Ni層/Pd層/Ag層/Au層を順に積層した金属層、Ni層/Ag層を順に積層した金属層、Ni層/Pd層/Ag層を順に積層した金属層なども挙げることができる。このような金属層13が形成されたベース部11Aの下面は、樹脂層30の下面から露出されている。また、ベース部11Aの下面は、樹脂層30の下面と略面一になるように形成されている。具体的には、ベース部11Aの下面に形成された金属層13の下面が樹脂層30の下面と略面一になるように形成されている。そして、このようなベース部11Aの下面が、基板外部との接続部(例えば、プリント配線板等の実装基板に実装される面)となる。なお、電極11には、外部の電源から実装基板の配線等を介して給電される。
【0012】
また、ベース部11Aの基板1外周側の側面は、樹脂層30の側面から露出されている。このベース部11Aの基板1外周側の側面は、樹脂層30の側面と略面一になるように形成されている。
【0013】
図1(b)に示すように、平面視略矩形状に形成された上記ベース部11Aの上面には、平面視略半楕円状に形成された接続部11Bが設けられている。接続部11Bは、ベース部11Aの上面から上方に突出して形成されている。接続部11Bは、ベース部11Aと一体的に形成されており、ベース部11Aと電気的に接続されている。また、接続部11Bは、その上面が第2リードフレーム20の配線22に当接しており、その配線22と電気的に接続されている。この接続部11Bの上面には、図1(a)に示すように、上記第2リードフレーム20と接合するための溝部11Xが形成されている。この溝部11Xは、接続部11Bの上面から該接続部11Bの厚さの中途まで形成されている。なお、ベース部11Aと第2リードフレーム20との間には、空間S1が形成されている。
【0014】
ここで、各電極11の厚さ(つまりベース部11Aの下面から接続部11Bの上面までの高さ)は、例えば0.4〜0.8mm程度とすることができる。
一方、放熱板12は、ベース部12Aと、そのベース部12Aの上面に形成され、ベース部12Aよりも幅の広い幅広部12Bとを有している。ベース部12Aの下面全面には、上記ベース部11Aの下面と同様に、金属層13が形成されている。このベース部12Aの厚さは、上記ベース部11Aと略同じ厚さに設定されている。その一方で、幅広部12Bの厚さは、上記接続部11Bの厚さよりも薄く設定されている。これにより、幅広部12Bと第2リードフレーム20との間には、空間S2が形成されている。
【0015】
ここで、放熱板12の厚さ(つまりベース部12Aの下面から幅広部12Bの上面までの高さ)は、例えば0.3〜0.7mm程度とすることができ、空間S2の厚さは、例えば0.1〜0.2mm程度とすることができる。なお、図1(b)に示すように、幅広部12Bの平面形状は、ベース部12Aの平面形状よりも大きく形成されている。
【0016】
このような放熱板12は、ベース部11A,12A間に形成された開口部10X、及び幅広部12Bと接続部11Bとの間に形成された開口部10Yによって、電極11と分離されている。換言すると、一対の電極11及び放熱板12は、開口部10X,10Yによって画定されている。
【0017】
図1(a)に示すように、第2リードフレーム20は、発光素子40(図2参照)が搭載される複数の第1配線21(リード)、発光素子40が搭載されると共に上記電極11と電気的に接続された一対の第2配線22(リード)と、第2配線22よりも外側に形成された枠部23とを有している。第2リードフレーム20の材料としては、銅(Cu)、Cuをベースにした合金、鉄−ニッケル(Fe−Ni)又はFe−Niをベースにした合金を用いることができる。この第2リードフレーム20は、例えば金属板をエッチング加工又はプレス加工することにより得られる。
【0018】
複数の第1配線21は、発光素子40搭載用の配線である。また、複数の第1配線21は、放熱板12の上方に設けられている。これら第1配線21と放熱板12との間には、上述したように空間S2が形成されている。このため、各第1配線21と放熱板12とは電気的に分離されている。
【0019】
各第1配線21の上面には、金属層24が形成されている。金属層24の例としては、銀(Ag)又はAg合金からなるAg層、ニッケル(Ni)又はNi合金からなるNi層/金(Au)又はAu合金からなるAu層を順に積層した金属層、Ni層/パラジウム(Pd)又はPd合金からなるPd層/Au層を順に積層した金属層などを挙げることができる。また、金属層24の例としては、Ni層/Pd層/Ag層/Au層を順に積層した金属層、Ni層/Ag層を順に積層した金属層、Ni層/Pd層/Ag層を順に積層した金属層なども挙げることができる。このような金属層24が形成された第1配線21の上面は、樹脂層30の上面から露出されている。また、第1配線21の上面は、樹脂層30の上面と略面一になるように形成されている。そして、このような第1配線21の上面が、発光素子40(図2参照)の搭載部となり、上記金属層24が発光素子40との接続部となる。
【0020】
図1(c)に示すように、各第1配線21の平面形状は、略帯状又は長方形状に形成されている。これら複数の第1配線21は、第2リードフレーム20の中央部において、平行に隣接して配置されている。これら複数の第1配線21は、第2リードフレーム20の開口部20Xによって、互いに電気的に分離されている。
【0021】
一対の第2配線22は、発光素子40搭載用の配線である。また、一対の第2配線22は、第1配線21を囲むように形成されている。具体的には、各第2配線22は、平面視略半楕円状に形成された接続部22Aと、その接続部22Aの両端から第2リードフレーム20の内側に向かって延在された延出部22Bとを有し、平面視略コの字状に形成されている。これら一対の第2配線22は、上記開口部20Xによって、第1配線21と電気的に分離されている。
【0022】
図1(a)に示すように、第2配線22の上面は、樹脂層30の上面から露出されている。また、第2配線22の上面は、樹脂層30の上面と略面一になるように形成されている。
【0023】
上記接続部22Aの上面の一部には、金属層24が形成されている。この金属層24上には、複数の発光素子40(図2参照)が実装される。すなわち、第2配線22(接続部22A)の上面が発光素子40の搭載部となり、上記金属層24が発光素子40との接続部となる。
【0024】
また、接続部22Aには、上記電極11と接合するための開口部22Xが形成されている。この開口部22Xは、第2リードフレーム20の厚さ方向に貫通して形成され、電極11の接続部11Bに形成された溝部11Xと連通するように形成されている。そして、これら開口部22X及び溝部11X内に接合部材31が充填されている。この接合部材31によって、第2配線22が電極11と接合されている。また、第2配線22の接続部22Aの下面が電極11の接続部11Bの上面に当接しており、第2配線22と電極11とが電気的に接続されている。このように第2配線22(接続部22A)の下面が、電極11との接続部となる。
【0025】
図1(c)に示すように、一対の第2配線22に形成された延出部22Bは、その先端部が他方の延出部22Bの先端部と対向して配置されている。そして、この延出部22Bの先端部の上面には、金属層24が形成されている。この金属層24上には、ツェナーダイオード28(図2(b)、(c)参照)が搭載される。すなわち、延出部22Bはツェナーダイオード28接続用の配線(リード)であり、その延出部22Bに形成された金属層24はツェナーダイオード28との接続部である。
【0026】
図1(c)に示すように、枠部23は、第1配線21及び第2配線22を囲むように枠状に形成されている。枠部23は、上記開口部20Xによって、第1配線21及び第2配線22と電気的に分離されている。また、枠部23と上記電極11との間には、上述したように空間S1が形成されている。このため、枠部23と電極11とは電気的に分離されている。
【0027】
図1(a)に示すように、枠部23の上面は、樹脂層30の上面から露出されている。この枠部23の上面は、樹脂層30の上面と略面一になるように形成されている。また、枠部23の基板1外周側の側面は、樹脂層30の側面から露出されている。この枠部23の基板1外周側の側面は、樹脂層30の側面と略面一になるように形成されている。なお、この枠部23は、基板1の製造過程において、第1配線21及び第2配線22を保持するために設けられている。
【0028】
このように第2リードフレーム20では、上記開口部20Xによって、第1配線21、第2配線22及び枠部23が互いに分離されている。換言すると、複数の第1配線21、一対の第2配線22及び枠部23は、開口部20Xによって画定されている。なお、これら第1配線21、第2配線22及び枠部23の厚さはそれぞれ、例えば0.1〜0.25mm程度とすることができる。
【0029】
図1(a)に示すように、樹脂層30は、電極11と枠部23との間の空間S1及び放熱板12と第1配線21との間の空間S2に充填されている。また、樹脂層30は、第1リードフレーム10に形成された開口部10X,10Y、及び第2リードフレーム20に形成された開口部20Xに充填されている。すなわち、電極11と放熱板12との間に樹脂層30が形成され、各第1配線21間、第1配線21と第2配線22との間、及び第1配線21及び第2配線22と枠部23との間に樹脂層30が形成されている。この樹脂層30の材料としては、例えばポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂やシリコーン樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。また、樹脂層30の材料としては、例えば白色の絶縁性樹脂を用いることもできる。白色の絶縁性樹脂としては、例えばエポキシ系樹脂やオルガノポリシロキサン系樹脂に白色の酸化チタン等のフィラーを混入した樹脂材やTiO又はBaSOなどの白色顔料を含有した樹脂材を用いることができる。
【0030】
(発光装置の構造)
図2(a)に示すように、発光装置2は、上記基板1と、その基板1に実装された複数の発光素子40と、基板1に搭載された複数のツェナーダイオード28と、発光素子40等を封止する封止樹脂50とを有している。発光素子40としては、例えば発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)や面発光型半導体レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)を用いることができる。なお、発光ダイオードとしては、サファイア(Al)、炭化ケイ素(SiC)等の単結晶基板上に窒化インジウムガリウム(InGaN)等の化合物半導体を積層し、pn接合構造を形成した発光素子基体の片面に正負両電極パッドを形成した構造を用いることができる。
【0031】
各発光素子40は、第1配線21上及び第2配線22上に形成された金属層24上に実装されている。具体的には、各発光素子40は、第1配線21と第2配線22の間又は各第1配線21間に形成された開口部20Xを跨るように、その開口部20Xの両側に形成された2つの金属層24上にフリップチップ実装されている。より具体的には、発光素子40の片面(図2では下面)に形成された一方のバンプ41が上記2つの金属層24のうちの一方の金属層24にフリップチップ接合され、他方のバンプ41が他方の金属層24にフリップチップ接合されている。また、図2(b)に示すように、発光素子40は、金属層24上にマトリクス状(図2(b)では、7×7)に配列されている。このため、本実施形態の発光装置2では、一対の第2配線22間に7個の発光素子40が直列に接続されるとともに、それら直列に接続された発光素子40群が7個並列に接続されることになる。これら発光素子40は、第1配線21及び第2配線22を介して電極11に接続されている。そして、これら発光素子40は、外部の電源(図示略)から電極11や第2配線22などを介して給電されて発光する。なお、発光素子40の平面形状は例えば矩形状に形成されており、そのサイズは例えば0.3〜0.5mm程度である。
【0032】
なお、バンプ41としては、例えば金バンプやはんだバンプを用いることができる。はんだバンプの材料としては、例えば鉛(Pb)を含む合金、錫(Sn)とAuの合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0033】
各ツェナーダイオード28は、一方の延出部22Bの先端部上面に形成された金属層24上に搭載されている。詳述すると、各ツェナーダイオード28は、ツェナーダイオードチップ下面に電極28Aが形成されるとともに、ツェナーダイオードチップ上面に電極28Bが形成されている。具体的には、ツェナーダイオードチップ下面では、下面全体が電極28Aに形成されている。そして、図2(c)に示すように、各ツェナーダイオード28は、ツェナーダイオードチップ下面(電極28A)が一方の延出部22Bの先端部上面に形成された金属層24上に接合部材28Cを介して接合され、延出部22B上に搭載されている。これにより、ツェナーダイオードチップ下面(電極28A)が、一方の延出部22Bと電気的に接続されている。また、ツェナーダイオードチップ上面の電極28Bは、ボンディングワイヤ29を介して、対向する延出部22Bの先端部上面に形成された金属層24と電気的に接続されている。このようにして、対向する2つの延出部22B間に、ツェナーダイオード28が搭載される。なお、このツェナーダイオード28は、発光ダイオード等の発光素子40の静電気による破壊防止のために搭載されている。
【0034】
上記接合部材28Cとしては、例えば銀ペーストやはんだを用いることができる。また、ボンディングワイヤ29としては、例えばAuワイヤ、アルミニウム(Al)ワイヤやCuワイヤを用いることができる。
【0035】
図2(a)に示すように、封止樹脂50は、発光素子40、バンプ41、ツェナーダイオード28及びボンディングワイヤ29を封止するように第2リードフレーム20及び樹脂層30の上面に設けられている。この封止樹脂50の材料としては、例えばシリコーン樹脂に蛍光体を含有させた樹脂材を用いることができる。このような蛍光体を含有させた樹脂材を発光素子40上に形成することにより、発光素子40の発光と蛍光体の発光の混色を用いることが可能となり、発光装置2の発光色を様々に制御することができる。
【0036】
(作用)
電極11を有する第1リードフレーム10と、発光素子40の実装領域となる第1配線21及び第2配線22を有する第2リードフレーム20とを接合して基板1を形成するようにした。このため、第1リードフレーム10及び第2リードフレーム20を個別に製造した後に、それら第1リードフレーム10及び第2リードフレーム20を接合することができる。これにより、第2リードフレーム20を製造する際には、第2リードフレーム20の両面からの加工が可能となるため、従来の発光装置のようにサブトラクティブ法などで片面からのエッチング加工しかできない場合よりも、第1配線21及び第2配線22を狭ピッチ化(微細化)することができる。具体的には、サブトラクティブ法で配線層を形成する場合には、エッチングが配線層の面内方向に進行するサイドエッチ現象により配線層の断面形状が台形となるため、配線層が厚くなり配線のピッチが狭くなると配線間のスペースを確保することが困難になる。これに対し、第2リードフレーム20に第1配線21及び第2配線22を形成する場合には、第2リードフレーム20となる金属板の両面からエッチング加工を行うことができる。このようなエッチング加工によれば、第1配線21及び第2配線22の厚さが厚くなっても、その厚さ(例えば、105μm)に相当するスペース(例えば、105μm)を容易に確保することができる。このため、第1配線21及び第2配線22を狭ピッチ化することができる。
【0037】
(基板の製造方法)
次に、上記基板1の製造方法について図3〜図7に従って説明する。
まず、図3(a)〜(c)に示す工程では、金属板をプレス加工又は両面からエッチング加工して基板フレーム60を形成する。この基板フレーム60は、図3(a)に模式的に示すように、その一方の面において複数(図では、3つ)の樹脂充填領域61が分離して画定されている。各樹脂充填領域61には、上記第1リードフレーム10となる単位リードフレーム10Aがマトリクス状(図3(a)では、4×3)に複数個連設して形成されている。各樹脂充填領域61では、4×3個の単位リードフレーム10Aが、長手方向(図中の左右方向)に延在される一対のレール部62と、幅方向(図中の上下方向)に延在される一対のレール部63とに支持されている。各単位リードフレーム10Aにおいては、図3(b)に示すように、一対の電極11と放熱板12が画定されている。また、各単位リードフレーム10Aにおいては、電極11及び放熱板12を隣接する単位リードフレーム10A内の電極11及び放熱板12にそれぞれ接続し、又は電極11及び放熱板12をレール部62,63に支持するタイバー64が画定されている。さらに、図3(c)に示すように、各単位リードフレーム10Aにおいては、電極11の接続部11Bに溝部11Xが形成されている。なお、後工程の樹脂充填工程では、一括モールディング方式により樹脂充填領域61毎に樹脂充填が行われる。
【0038】
一方、図4(a)〜(c)に示す工程では、金属板をプレス加工又は両面からエッチング加工して基板フレーム70を形成する。この基板フレーム70は、図4(a)に模式的に示すように、その一方の面において複数(図では、3つ)のフレーム領域71が分離して画定されている。各フレーム領域71には、上記第2リードフレーム20となる単位リードフレーム20Aがマトリクス状(図では、4×3)に複数個連設して形成されている。また、各フレーム領域71では、4×3個の単位リードフレームが、長手方向(図中の左右方向)に延在される一対のレール部72と、幅方向(図中の上下方向)に延在される一対のレール部73とに支持されている。各単位リードフレーム20Aにおいては、第1配線21、第2配線22及び枠部23が画定されている。また、各単位リードフレーム20Aにおいては、第1配線21、第2配線22及び枠部23を互いに電気的に接続する連結部74が画定されている。この連結部74は、複数の第1配線21を第2配線22の延出部22Bに支持し、第2配線22を枠部23に支持する機能を有している。また、各単位リードフレーム20Aにおいては、枠部23を隣接する単位リードフレーム20A内の枠部23に接続し、又は枠部23を上記レール部72,73に支持するタイバー75が画定されている。さらに、図4(c)に示すように、各単位リードフレーム20Aにおいては、第2配線22の接続部22Aに開口部22Xが形成されている。
【0039】
次に、図5(a)に示す工程では、各単位リードフレーム20Aの各第1配線21の上面全面、各第2配線22の上面の一部に金属層24を形成する。例えば部分めっき装置により、金属層24の形成が不要な部分をマスクして、基板フレーム70の上面に該基板フレーム70を給電層とする電解めっきを施して上記金属層24を形成する。
【0040】
次に、図5(b)に示す工程では、基板フレーム60の下面全面、つまり電極11のベース部11A及び放熱板12のベース部12Aの下面全面に金属層13を形成する。例えば部分めっき装置により、金属層13の形成が不要な部分をマスクして、基板フレーム60の下面に該基板フレーム60を急電層とする電解めっきを施して上記金属層13を形成する。
【0041】
続いて、図5(c)に示す工程では、図4(a)に示した基板フレーム70をダイサーやルータ、又はプレス金型によりフレーム領域71毎に切断し、その切断したフレーム領域71を基板フレーム60の樹脂充填領域61に積層する。すなわち、4×3個の単位リードフレーム20Aを、対応する4×3個の単位リードフレーム10A上に積層する。
【0042】
具体的には、図6(a)に示すように、各単位リードフレーム20Aの開口部22Xが各単位リードフレーム10Aの溝部11Xと連通するように、且つ第2配線22の接続部22Aの下面が電極11の接続部11Bの上面に当接するように、各単位リードフレーム20Aを対応する単位リードフレーム10A上に位置合わせする。このとき、第1配線21は、放熱板12の上方に配置されることになる。ここで、第1配線21及び第2配線22は連結部74によって枠部23に支持され、その枠部23はタイバー75(図4(b)参照)によってレール部72,73に支持されている。このため、第2配線22の接続部22Aと電極11の接続部11Bとが当接すると、枠部23と電極11のベース部11Aとの間に空間S1が形成されるとともに、第1配線21と放熱板12との間に空間S2が形成される。次いで、図6(b)に示すように、はんだ接合により電極11と第2配線22を接合する。例えば開口部22Xと溝部11Xにはんだボールを搭載し(又は、はんだボールを入れ)、その後リフローすることで電極11と第2配線22を接合する。これにより、各単位リードフレーム20Aが、対応する単位リードフレーム10A上に積層される。また、開口部22X及び溝部11Xには、接合部材31(ここでは、はんだ)が充填されることになる。なお、第2配線22と接続部11Bとをはんだからなる接合部材31で接合する場合には、各基板フレーム60,70に電解めっきで金属層13,24をそれぞれ形成する際に、溝部11Xの内部表面に金属層13を形成し、開口部22Xの内部表面に金属層24を形成すると、第2配線22と電極11との接続を良好に行うことができる。すなわち、溝部11Xの内部表面及び開口部22Xの内部表面に形成された金属層13,24により、はんだ濡れ性が向上するため、第2配線22及び電極11の相互の接合を良好に行うことができる。
【0043】
次に、図6(c)に示す工程では、一括モールディング方式により、単位リードフレーム10Aと単位リードフレーム20Aとの間の空間S1,S2、単位リードフレーム10Aの開口部10X,10Y及び単位リードフレーム20Aの開口部20Xに樹脂層30を形成する。これは、特に図示はしないが、例えばモールディング金型(1組の上型及び下型)の下型上に図6(b)に示した構造体を載せ、上方から上型で挟み込むようにして、モールドゲート部(図示略)から対応する樹脂充填領域61(図5(c)参照)に絶縁性樹脂を注入しながら加熱及び加圧することにより行われる。この樹脂層30としては、例えばトランスファーモールド法、コンプレッションモールド法やインジェクションモールド法などにより形成されたモールド樹脂を用いることができる。
【0044】
続いて、図6(d)に示す工程では、図6(c)に示した連結部74を除去する。具体的には、図7(a)に示すように、第1配線21、第2配線22及び枠部23を互いに接続する連結部74(図中の丸枠参照)を除去する。これにより、図7(b)に示すように、第1配線21及び第2配線22が枠部23から分離されるとともに、第1配線21と第2配線22との間、及び各第1配線21間が分離される。なお、連結部74の除去は、例えばルータ加工、レーザ加工やダイサーによる切断により行うことができる。
【0045】
以上の製造工程により、各単位リードフレーム10A上に、基板1に相当する構造体が形成される。
次に、図7(b)に示した構造体をダイシング位置D1(破線参照)に沿ってダイサーやルータ等で切断する。これにより、図8(a)に示すように、基板1が個片化され、複数の基板1が製造される。なお、このときの切断により、図7(b)に示したタイバー75及び枠部23よりも外側に形成された樹脂層30が基板1から除去される。
【0046】
(発光装置の製造方法)
図8(b)に示す工程では、基板1の第1配線21及び第2配線22の上面に形成された金属層24上に発光素子40を実装する。具体的には、隣り合う金属層24の各々の上面に、発光素子40のバンプ41をフリップチップ接合する。例えばバンプ41が金バンプである場合には、そのバンプ41を金属層24上に超音波接合することにより固定する。
【0047】
また、図示は省略するが、基板1の第2配線22の延出部22B上にツェナーダイオード28(図2(b)、(c)参照)を搭載する。具体的には、ツェナーダイオード28を延出部22Bの先端部上面に形成された金属層24に接合部材28Cを介して接合し、ツェナーダイオードチップ上面の電極28Bを、ワイヤボンディングにより、対向する延出部22Bに電気的に接続する。
【0048】
次に、図8(c)に示す工程では、基板1上に実装された複数の発光素子40、バンプ41、ツェナーダイオード28及びボンディングワイヤ29(図2(c)参照)を封止する封止樹脂50を形成する。例えば封止樹脂50として熱硬化性を有する樹脂を用いる場合には、図8(b)に示す構造体を金型内に収容し、圧力(例えば、5〜10MPa)を印加し、流動化した樹脂を金型内に導入する。その後、樹脂を例えば180℃程度で加熱して硬化させることで、封止樹脂50を形成する。なお、封止樹脂50は、液状の樹脂のポッティングにより形成することもできる。以上の製造工程により、図2に示した発光装置2が製造される。
【0049】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)第1配線21及び第2配線22の厚さが厚くなっても、第1配線21及び第2配線22の狭ピッチ化が可能である。このため、多数の発光素子40を高密度に搭載することができる。また、第1配線21及び第2配線22を厚く形成することにより、発光素子40から発生する熱を第1配線21及び第2配線22から効率良く放熱することができる。これにより、発光素子40の温度上昇を抑制することができるため、発光素子40の発光効率の低下を好適に抑制することができる。
【0050】
(2)第2配線22と電極11とを接合することにより、それら第2配線22及び電極11によって、発光素子40が搭載される基板1の上面から下面まで貫通する電極を形成するようにした。これによれば、電極11によっても、発光素子40から発生する熱を放熱させることができるため、放熱効率をより向上させることができる。また、電極11を実装基板の配線層に直接接続することで、発光素子40に給電することができるようになる。このため、ワイヤボンディング等によって基板1の電極と実装基板とを電気的に接続する場合に比べて、発光装置2全体を小型化することができる。
【0051】
(3)一対の電極11の間に放熱板12を設けるようにした。この放熱板12により発光素子40から効率良く放熱することができるため、発光素子40の発光効率の低下をより好適に抑制することができる。
【0052】
(4)第1リードフレーム10及び第2リードフレーム20を個別に製造することが可能である。このため、第1リードフレーム10及び第2リードフレーム20の材料を個々に選択することができ、広い用途に対応することができる。
【0053】
(5)単位リードフレーム20Aでは、第1配線21、第2配線22及び枠部23を接続する連結部74を形成し、枠部23をレール部72,73に接続するタイバー75を形成するようにした。これにより、単位リードフレーム20Aを単位リードフレーム10Aに積層する際にハンドリングが容易になる。
【0054】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記実施形態において、単位リードフレーム20Aを単位リードフレーム10Aに積層する工程を、図9に示される工程に変更するようにしてもよい。詳述すると、図9(a)に示すように、まず、各単位リードフレーム20Aの放熱板12の幅広部12B上に接着フィルム32を貼着する。接着フィルム32としては、ポリイミド系樹脂やエポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂からなる接着フィルムを用いることができる。
【0055】
また、図9(a)に示す工程では、各単位リードフレーム20Aの開口部22Xが各単位リードフレーム10Aの溝部11Xと対向するように、且つ第1配線21が上記接着フィルム32と対向するように、各単位リードフレーム20Aを対応する単位リードフレーム10Aの上方に配置する。
【0056】
続いて、図9(b)に示す工程では、単位リードフレーム10A,20Aを両面側から190〜250℃程度の温度で加熱・加圧する。これにより、図9(b)に示すように、接着フィルム32が硬化して、第1配線21と放熱板12との間に絶縁層32Aが形成される。また、上記接着フィルム32の硬化に伴って、第1配線21と放熱板12とが接着フィルム32を介して接着され、単位リードフレーム10Aと単位リードフレーム20Aとが接着される。これにより、単位リードフレーム10A上に単位リードフレーム20Aが積層される。このとき、開口部22Xが溝部11Xと連通され、第2配線22の接続部22Aの下面が電極11の接続部11Bの上面に当接される。
【0057】
また、図9(b)に示す工程では、開口部22Xと溝部11Xにはんだボールを搭載し、その後リフローするはんだ接合により、電極11と第2配線22を接合する。これにより、単位リードフレーム10A上に単位リードフレーム20Aが強固に接合される。
【0058】
次に、図9(c)に示す工程では、一括モールディング方式により、単位リードフレーム10Aと単位リードフレーム20Aとの間の空間S1、単位リードフレーム10Aの開口部10X,10Y及び単位リードフレーム20Aの開口部20Xに樹脂層30を形成する。その後、図9(b)に示した連結部74を除去する。
【0059】
このような製造方法によれば、はんだ接合による接合と併せて、接着フィルム32を介して第1配線21と放熱板12とが接着されているため、単位リードフレーム10A,20Aの接合強度を高めることができる。また、単位リードフレーム20Aを単位リードフレーム10Aに積層する際に、複数の第1配線21に反りや変形が生じることを好適に抑制することができる。
【0060】
・上記実施形態及び上記変形例では、はんだ接合により第2配線22を電極11に接合するようにした。これに限らず、例えば抵抗溶接や超音波接合などにより第2配線22を電極11に接合するようにしてもよい。図10は、抵抗溶接により第2配線22を電極11に接合する方法を示している。詳述すると、図10(a)に示すように、各単位リードフレーム20Aの接続部22Aの下面が電極11の接続部11Bの上面に当接するように、且つ第1配線21が放熱板12と対向するように、各単位リードフレーム20Aを対応する単位リードフレーム10A上に位置合わせする。続いて、第1溶接電極81の先端面を接続部11Bと対向する金属層13の下面に当接させるとともに、第2溶接電極82の先端面を接続部22Aの上面に当接させる。次いで、第1溶接電極81及び第2溶接電極82によって単位リードフレーム10A,20Aを挟むことによってそれらを押圧した状態で、第1溶接電極81及び第2溶接電極82を通して単位リードフレーム10A,20Aの間に電圧を印加する。これにより、接続部22Aの下面と接続部11Bの上面との当接部で抵抗発熱が生じ、その当接部に合金層33が形成され、第2配線22と電極11とが溶融接合される。なお、このような抵抗溶接の場合には、図6(a)に示したような開口部22X及び溝部11Xを形成する必要がない。
【0061】
・上記実施形態では、基板1を個片化した後に、その基板1の金属層24上に発光素子40を実装するようにした。これに限らず、例えば基板1の個片化の前に、各単位リードフレーム20Aの金属層24上に発光素子40を実装し、その発光素子40を封止樹脂50で封止した後に、ダイシング位置D1に沿って切断して個々の発光装置2を得るようにしてもよい。
【0062】
詳述すると、まず、図3(a)〜図6(d)に示す製造工程を実行することにより、図11(a)に示した構造体を得る。すなわち、図11(a)に示した構造体では、各単位リードフレーム10A上に、基板1に相当する構造体が形成されている。
【0063】
次に、図11(b)に示す工程では、各単位リードフレーム20Aの第1配線21及び第2配線22の上面に形成された金属層24上に発光素子40をフリップチップ実装する。続いて、図11(c)に示す工程では、一括モールディング方式により、各単位リードフレーム20Aの発光素子40が搭載されている側の全面を封止樹脂50で封止する。これは、特に図示はしないが、例えばモールディング金型(1組の上型及び下型)の下型上に図11(b)に示した構造体を載せ、上方から上型で挟み込むようにして、モールドゲート部から対応する樹脂充填領域61(図5(c)参照)に絶縁性樹脂を注入しながら加熱及び加圧することにより行われる。封止の手法としては、例えばトランスファーモールドが用いられる。
【0064】
その後、図11(c)に示した構造体をダイシング位置D1(図7(b)参照)に沿ってダイサーやルータ等で切断する。これにより、図11(d)に示すように、発光装置2が個片化され、複数の発光装置2が製造される。
【0065】
このような製造方法によれば、封止樹脂50の形成についても一括モールディング方式により行うことができるため、製造コストを低減することができる。
・上記実施形態の基板1では、電極11の基板1外周側の側面及び枠部23の基板1外周側の側面と面一になるように樹脂層30を形成するようにした。これに限らず、例えば図12に示す発光装置2Aの基板1Aのように、電極11の基板1外周側の側面及び枠部23の基板1外周側の側面を被覆するように樹脂層30Aを形成するようにしてもよい。この場合、発光素子40等を封止するように封止樹脂50が樹脂層30Aの上面に形成される。なお、このような基板1A及び発光装置2Aは、例えば図7(b)に示したダイシング位置D1を、電極11の外方や枠部23の外方にずらすように一回り大きくして樹脂層30部分を切断することにより、容易に得ることができる。
【0066】
・上記実施形態及び上記変形例では、樹脂層30の形成や封止樹脂50の形成を、複数個の基板1(発光装置2)単位で樹脂充填や樹脂封止を行う一括モールディング方式を採用するようにした。これに限らず、一括モールディング方式の代わりに、個々の基板1(発光装置2)毎に樹脂充填や樹脂封止を行う個別モールディング方式を採用するようにしてもよい。
【0067】
・上記実施形態における連結部74を除去する工程(図7参照)において、連結部74と併せて、例えば枠部23を除去するようにしてもよい。
・上記実施形態の第1リードフレーム10では、電極11のベース部11Aの下面全面及び放熱板12のベース部12Aの下面全面に金属層13を形成するようにした。これに限らず、例えば第1リードフレーム10の全面(全表面)に金属層13を形成するようにしてもよい。この場合の金属層13の材料としては、例えばニッケル、銀又はそれらの合金を用いることができる。
【0068】
・上記実施形態の第2リードフレーム20では、第1配線21の上面全面及び第2配線22の上面の一部に金属層24を形成するようにした。これに限らず、例えば第2リードフレーム20の上面全面に金属層24を形成するようにしてもよい。すなわち、第1配線21の上面全面、第2配線22の上面全面及び枠部23の上面全面に金属層24を形成するようにしてもよい。
【0069】
・上記実施形態における放熱板12を省略するようにしてもよい。
・上記実施形態では、基板1に発光素子40をフリップチップ実装するようにしたが、これに限らず、例えば基板1に発光素子40をワイヤボンディング実装するようにしてもよい。
【0070】
・上記実施形態のツェナーダイオード28では、ツェナーダイオードチップ下面に電極28Aを形成し、ツェナーダイオードチップ上面に電極28Bを形成するようにした。これに限らず、例えばツェナーダイオードチップ上面に2つの電極を形成するようにしてもよい。この場合には、一方の延出部22B上に接着剤によりツェナーダイオードチップ下面を接着し、ツェナーダイオードチップ上面の2つの電極の各々を、ワイヤボンディングにより一方の延出部22B上面及び他方の延出部22Bの上面と電気的に接続する。
【0071】
あるいは、対向する2つの延出部22Bの先端部間に形成された樹脂層30の上面に、接着剤によりツェナーダイオードチップ下面を接着する。そして、ツェナーダイオードチップ上面の2つの電極の各々を、ワイヤボンディングにより一方の延出部22B上面及び他方の延出部22Bの上面と電気的に接続する。
【0072】
・上記実施形態におけるツェナーダイオード28を省略するようにしてもよい。具体的には、静電気による発光素子40の破壊を考慮する必要のない場合には、ツェナーダイオード28を省略するようにしてもよい。なお、この場合には、延出部22Bの先端部の上面に形成された金属層24を省略することができる。
【0073】
・上記実施形態では、金属層13,24を電解めっき法により形成するようにした。これに限らず、例えば金属層13,24を無電解めっき法により形成するようにしてもよい。
【0074】
・上記実施形態における溝部11X及び開口部22Xの平面形状は、円形状に限らず、例えば楕円状や、矩形状、五角形や六角形等の多角形状であってもよい。
・上記実施形態における基板1及び発光装置2の平面形状は、矩形状に限らず、例えば三角形や五角形以上の多角形状であってもよく、円形状であってもよい。
【0075】
・上記実施形態における基板1に搭載される発光素子40を、平面視してマトリクス状に配置するようにしたが、発光素子40の配置形態は特に限定されない。
・上記実施形態における基板1に搭載される発光素子40の個数は、特に限定されない。
【0076】
・上記実施形態における第1配線21及び第2配線22の形状や電極11の形状も特に限定されない。例えば第1配線21及び第2配線22の形状を、図13(a)に示されるような形状に変更してもよい。詳述すると、第2リードフレーム20は、一対の配線25,26と、配線25,26を囲むように形成された枠部27とを有している。配線25は、平面視略半楕円状に形成された接続部25Aと、その接続部25Aから内側に向かって延在される櫛歯状の複数(図13(a)では6つ)のリード25Bとを有している。配線26は、平面視略半楕円状に形成された接続部26Aと、その接続部26Aから内側に向かって延在される櫛歯状の複数(図13(a)では5つ)のリード26Bとを有している。これら一対の配線25,26は、互いのリード25B,26Bが交互に入り組むように配置されている。この場合には、配線25と配線26との間には、平面視において、略W字が連続した形状の開口部20Yが形成されている。そして、この開口部20Yによって、一対の配線25,26は互いに電気的に分離されている。なお、配線25の接続部25Aには、電極11(図1参照)と接合するための開口部25Xが形成され、配線26の接続部26Aには、電極11と接合するための開口部26Xが形成されている。
【0077】
このような配線25,26を有する基板1に複数の発光素子40を実装した場合には、図13(b)に示すように、各発光素子40は、上記開口部20Yを跨るように、その開口部20Yの両側に形成されたリード25B,26B上にフリップチップ実装されている。より具体的には、発光素子40の一方のバンプ41がリード25B上にフリップチップ接合され、他方のバンプ41がリード26B上にフリップチップ接合されている。また、複数の発光素子40は、リード25B,26B上にマトリクス状(図13(b)では、8×4)に配列されている。これにより、発光素子40が直列及び並列に接続されることになる。この場合であっても、上記実施形態の第2配線22と同様に、配線25,26が電極11と接合されることにより、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0078】
(発光装置の実装例)
図14は、上記実施形態の基板1に発光素子40を実装してなる発光装置2の適用例を示したものであり、発光装置2を実装基板90に実装した場合の断面構造を示している。
【0079】
実装基板90は、樹脂基板91と、配線層92とを有している。そして、発光装置2は、配線層92上に搭載されている。具体的には、発光装置2は、電極11の下面に形成された金属層13と配線層92とがはんだ接合等により接続され、実装基板90上に実装されている。このとき、発光装置2では、発光素子40が搭載された面とは反対側の面(図中の下面)に電極11(具体的には、金属層13)が露出されているため、その金属層13を実装基板90の配線層92に対向させるようにして、電極11と配線層92とを接合すればよい。このため、電極11と配線層92とは、はんだ93を介して電気的に接続されている。また、この場合に、放熱板12は、熱伝導部材94を介して放熱用の配線層92と熱的に接続されている。なお、熱伝導部材94としては、例えばインジウム(In)、シリコーン(又は炭化水素)グリース、金属フィラー、グラファイトなどの高熱伝導性物質を樹脂バインダでシート状に成形したものを用いることができる。
【0080】
このような構造によれば、発光素子40の搭載される第1配線21及び第2配線22が、電極11を介して実装基板90の配線層92に接続されている。また、発光素子40の搭載される第1配線21の下方に形成された放熱板12が、熱伝導部材94を介して実装基板90の配線層92に熱的に接続されている。これらにより、発光素子40から発生した熱を配線層92に効率良く放熱することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 基板
2 発光装置
10 第1リードフレーム
11 電極
12 放熱板
13 金属層(第1金属層)
20 第2リードフレーム
21 第1配線
22 第2配線
23,27 枠部
24 金属層(第2金属層)
25,26 配線
30 樹脂層
32 接着フィルム
32A 絶縁層
40 発光素子
50 封止樹脂
74 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱板と複数の外部接続用の電極を有する第1リードフレームと、
発光素子搭載用の複数の配線を有し、前記第1リードフレーム上に積層された第2リードフレームと、
前記第1リードフレームと前記第2リードフレームとの間に充填された樹脂層と、を有し、
前記放熱板の上方に前記配線が配置され、
前記電極と一部の前記配線とが接合されていることを特徴とする基板。
【請求項2】
前記樹脂層は、前記第1リードフレームと前記第2リードフレームとの間と併せて、複数の前記配線の間と、前記電極と前記放熱板の間に充填され、
前記配線の上面が前記樹脂層の上面から露出し、前記電極及び前記放熱板の下面が前記樹脂層の下面から露出していることを特徴とする請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記第2リードフレームは、発光素子との接続部を有する複数の第1配線と、前記電極及び前記発光素子との接続部を有する一対の第2配線とを有し、
前記一対の第2配線間に、前記複数の第1配線が平行に隣接して配置されており、
前記第1配線及び前記第2配線の上面が、前記発光素子の搭載部であり、
前記第2配線の下面が、前記電極との接続部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板。
【請求項4】
前記第1リードフレームは、一対の前記電極と、前記一対の電極間に設けられた前記放熱板とを有し、
前記電極の上面が前記配線との接続部であり、前記樹脂層から露出した前記電極の下面が、基板外部との接続部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の基板。
【請求項5】
前記放熱板は、前記複数の電極の間に設けられ、前記電極と接合されていない前記配線と対向するように設けられ、
前記電極と接合されていない配線と前記放熱板との間に形成された絶縁層と、を有し、
前記樹脂層は、前記電極と前記放熱板との間に充填されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の基板。
【請求項6】
前記第2リードフレームは、前記複数の配線を囲むように形成された枠部を有し、
前記樹脂層は、前記枠部と前記電極との間に充填されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の基板。
【請求項7】
前記樹脂層から露出した前記電極の下面に第1金属層が形成され、
前記樹脂層から露出した前記配線の上面に第2金属層が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の基板。
【請求項8】
前記樹脂層がモールド樹脂からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の基板。
【請求項9】
放熱板及び複数の外部接続用の電極を有する第1リードフレームと、
発光素子搭載用の複数の配線を有し、前記第1リードフレーム上に積層された第2リードフレームと、
前記第1リードフレームと前記第2リードフレームとの間に充填された樹脂層と、
前記複数の配線上に実装された発光素子と、
前記発光素子を封止するように形成された封止樹脂と、を有し、
前記放熱板の上方に前記配線が配置され、
前記電極と一部の前記配線とが接合されていることを特徴とする発光装置。
【請求項10】
金属板をプレス加工又はエッチング加工し、放熱板及び複数の外部接続用の電極を有する第1リードフレームを形成する工程と、
金属板をプレス加工又はエッチング加工して、発光素子搭載用の複数の配線を有する第2リードフレームを形成する工程と、
前記第1リードフレーム上に前記第2リードフレームを積層し、前記電極と一部の前記配線とを接合する工程と、
前記第1リードフレームと前記第2リードフレームの間に樹脂層を充填する工程と、
を有することを特徴とする基板の製造方法。
【請求項11】
前記樹脂層を充填する工程では、
前記第1リードフレームと前記第2リードフレームとの間と併せて、前記複数の配線の間、及び前記電極と前記放熱板の間に前記樹脂層が充填され、
前記樹脂層の上面から前記配線の上面が露出されるように、且つ前記樹脂層の下面から前記電極及び前記放熱板の下面が露出されるように前記樹脂層が形成されることを特徴とする請求項10に記載の基板の製造方法。
【請求項12】
前記第2リードフレームを形成する工程では、発光素子との接続部を有する複数の第1配線と、電極及び前記発光素子との接続部を有する一対の第2配線とを有し、前記一対の第2配線間に、前記複数の第1配線が平行に隣接して配置され、前記第1配線及び前記第2配線の上面が前記発光素子の搭載部となり、前記第2配線の下面が前記電極との接続部になる前記第2リードフレームを形成することを特徴とする請求項10又は11に記載の基板の製造方法。
【請求項13】
前記放熱板は、前記複数の電極の間に設けられ、
前記積層する工程では、前記放熱板上に絶縁性の接着フィルムを貼着し、前記電極と接合されない前記配線を前記接着フィルムに接着するように、前記第1リードフレーム上に前記第2リードフレームを積層し、
前記樹脂層を充填する工程では、前記第1リードフレームと前記第2リードフレームとの間と併せて、前記放熱板と前記電極との間に前記樹脂層を充填することを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
【請求項14】
前記第1リードフレームを形成する工程では、一対の前記電極と、前記一対の電極間に設けられた前記放熱板とを有し、前記電極の上面が前記配線との接続部となり、前記樹脂層から露出した前記電極の下面が基板外部との接続部となる前記第1リードフレームを形成することを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
【請求項15】
前記第2リードフレームは、前記各配線を接続する連結部を有し、
前記複数の配線及び前記連結部を給電層とする電解めっき法により、前記複数の配線上に金属層を形成する工程と、
前記樹脂層を充填する工程の後に、前記連結部を除去する工程と、
を有することを特徴とする請求項10〜14のいずれか1つに記載の基板の製造方法。
【請求項16】
前記電極と前記配線の接合は、はんだ接合、抵抗溶接及び超音波接合のいずれかの方法により行われることを特徴とする請求項10〜15のいずれか1つに記載の基板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−101996(P2013−101996A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243700(P2011−243700)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】