基板処理装置およびガスノズルならびに基板若しくは半導体デバイスの製造方法
【課題】ガスノズルのガス供給口を閉塞させること無く、歩留まりを良くする。
【解決手段】複数積層されたウェーハ14を処理(熱処理)する反応管42(マニホールド36)と、反応管42内を加熱する加熱体48と、反応管42内に設けられ、各ウェーハ14の積層方向に延びる第1ガス供給ノズル60と、第1ガス供給ノズル60の基端部60aから先端部60bに向けて複数並んで設けられ、各ウェーハ14に向けてSi原子含有ガス(成膜ガス)およびCl原子含有ガス(エッチングガス)を供給する第1ガス供給口68と、第1ガス供給ノズル60の先端部60bに設けられ、ガス供給方向に向けて延びる整流板61とを備えている。これにより、最上段の第1ガス供給口68の周辺におけるエッチングガスの濃度低下を抑えることができ、第1ガス供給口68を閉塞させることが無いので、歩留まりを良くすることができる。
【解決手段】複数積層されたウェーハ14を処理(熱処理)する反応管42(マニホールド36)と、反応管42内を加熱する加熱体48と、反応管42内に設けられ、各ウェーハ14の積層方向に延びる第1ガス供給ノズル60と、第1ガス供給ノズル60の基端部60aから先端部60bに向けて複数並んで設けられ、各ウェーハ14に向けてSi原子含有ガス(成膜ガス)およびCl原子含有ガス(エッチングガス)を供給する第1ガス供給口68と、第1ガス供給ノズル60の先端部60bに設けられ、ガス供給方向に向けて延びる整流板61とを備えている。これにより、最上段の第1ガス供給口68の周辺におけるエッチングガスの濃度低下を抑えることができ、第1ガス供給口68を閉塞させることが無いので、歩留まりを良くすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置およびガスノズルならびに基板若しくは半導体デバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素(SiC)は、ケイ素(Si)に比して、絶縁耐圧や熱伝導性が高いこと等から、特にパワーデバイス用素子材料として注目されている。その一方でSiCは、不純物拡散係数が小さいこと等から、Siに比して結晶基板や半導体装置(半導体デバイス)の製造が難しいことが知られている。例えば、Siのエピタキシャル成膜温度が900℃〜1200℃程度であるのに対し、SiCのエピタキシャル成膜温度は1500℃〜1800℃程度となっており、装置の耐熱構造や材料の分解抑制等に技術的な工夫が必要となる。このようなSiCのエピタキシャル成膜を行う基板処理装置としては、例えば、特許文献1に記載された技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、反応室に複数枚の基板を縦方向に積層して処理する、所謂バッチ式縦型基板処理装置が記載され、反応室の長手方向(上下方向)には、第1ガス供給ノズルおよび第2ガス供給ノズルが延在している。第1ガス供給ノズル(ガスノズル)は、シリコンおよび塩素含有ガスとしてのテトラクロロシラン(SiCl4)ガス等を反応室内に供給し、第2ガス供給ノズル(ガスノズル)は、還元ガスとしての水素(H2)ガス等を反応室内に供給する。そして、少なくともこれらの2種類の反応ガスは反応室の内部で混合され、その後、混合された反応ガスはウェーハ(基板)の表面に沿って流れる。これにより、ウェーハにSiC膜がエピタキシャル成長により形成される。
【0004】
このように、特許文献1に記載された基板処理装置は、第1ガス供給ノズルおよび第2ガス供給ノズルを設け、少なくとも2種類の反応ガスを反応室の内部で混合させている。これにより、1500℃〜1800℃にもなる反応室の内部に延在するガスノズルの内壁やガス供給口へのSiC膜の析出等を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−003885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
HCl等の塩素含有ガスは、ガスノズルの内壁やガス供給口に堆積したSiC膜をエッチングする効果がある。しかしながら、上述の特許文献1に記載された技術においては、第1ガス供給ノズルにおける最上段のガス供給口が、以下に述べる理由により閉塞する虞があった。
【0007】
図14はガス供給口が閉塞する理由を説明する説明図を示している。最上段のガス供給口h1以外は、その上方側にガスの流れが存在するが、最上段のガス供給口h1の上方側には、ガスの流れが存在せず、他のガス供給口h2とその条件が異なっている。即ち、最上段のガス供給口h1の上方側には、他のガス供給口h2と異なりガスの流れ(ガス流)が存在しない空間が広がっている。
【0008】
ここで、最上段以外のガス供給口h2から噴出したガスは、上下側に他のガス供給口から噴出したガスの流れが存在するため、その大部分はウェーハ方向(図中右側)に向かうことになる。しかしながら、最上段のガス供給口h1から噴出したガスは、その上方側に他のガス供給口から噴出したガスの流れが存在しないため、図中破線矢印uf1で示されるように最上段のガス供給口h1の上方側にある空間にも分散して流れることになる。したがって、ガス供給口h1の周辺は、ガスの分散によって、その下方側にある各ガス供給口h2〜hnに比して、HCl濃度が低くなる。
【0009】
そして、ガス供給口h1の周辺のHCl濃度が低下することにより、ガス供給口h1の周辺のエッチング効果が低下し、ひいてはガス供給口h1の周囲にくちばし状のSiC膜が成膜されてしまう。ガス供給口h1は、SiC膜の成長に伴い閉塞していき、これによりウェーハの成膜精度が低下して歩留まりを低下させることになる。また、ガス供給口h1の閉塞後は、その下のガス供給口h2が最上段のガス供給口となり、上述と同様のことを繰り返してしまう。
【0010】
本発明の目的は、ガスノズルのガス供給口を閉塞させること無く、歩留まりを良くすることができる基板処理装置およびガスノズルならびに基板若しくは半導体デバイスの製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0013】
すなわち、本発明に係る基板処理装置は、複数積層された基板を処理する反応容器と、前記反応容器内を加熱する加熱体と、前記反応容器内に設けられ、前記基板の積層方向に延びるガスノズルと、前記ガスノズルの基端部から先端部に向けて複数並んで設けられ、前記基板に向けて成膜ガスおよびエッチングガスを供給するガス供給口と、前記ガスノズルの先端部に設けられ、ガス供給方向に向けて延びる整流部材とが備えられる。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0015】
すなわち、ガスノズルのガス供給口を閉塞させること無く、歩留まりを良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る基板処理装置の概要を示す斜視図である。
【図2】処理炉の内部構造を示す断面図である。
【図3】ウェーハをウェーハホルダに保持させた場合を示す断面図である。
【図4】処理炉の横方向の断面を示す横断面図である。
【図5】(a),(b),(c)は、第1実施の形態に係る第1ガス供給ノズルの先端部の構造を説明する説明図である。
【図6】(a),(b)は、ガス供給ユニットの内部構造を説明する図である。
【図7】処理炉周辺の構造を示す断面図である。
【図8】基板処理装置の制御系統を説明するブロック図である。
【図9】図5(b)の破線円A部を拡大して示す拡大断面図である。
【図10】(a),(b)は、エッチングガスの濃度状態を比較して示す流体解析図(第1実施の形態)である。
【図11】(a),(b),(c)は、第2実施の形態に係る第1ガス供給ノズルの先端部の構造を説明する説明図である。
【図12】図11(b)の破線円B部を拡大して示す拡大断面図である。
【図13】(a),(b)は、エッチングガスの濃度状態を比較して示す流体解析図(第2実施の形態)である。
【図14】ガス供給口が閉塞する理由を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施の形態]
以下、本発明の第1実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施の形態では、基板処理装置の一例であるSiCエピタキシャル成長装置において、高さ方向(縦方向)にSiCウェーハを積層する、所謂バッチ式縦型SiCエピタキシャル成長装置を挙げている。これにより、一度に処理できるSiCウェーハの数を増やしてスループット(製造効率)を向上させている。
【0018】
<全体の構成>
図1は本発明に係る基板処理装置の概要を示す斜視図であり、まず、図1を用いて、本発明の一実施の形態におけるSiCエピタキシャル膜を成膜する基板処理装置、および、半導体デバイスの製造工程の一つであるSiCエピタキシャル膜を成膜する基板の製造方法について説明する。
【0019】
基板処理装置(成膜装置)としての半導体製造装置10は、バッチ式縦型熱処理装置であり、種々の機能を備えた複数の装置を収容する筐体12を有している。この半導体製造装置10では、例えば、SiC等で構成された基板としてのウェーハ14を収納する基板収容器として、ポッド(フープ)16をウェーハキャリアとして使用している。
【0020】
筐体12の正面側には、ポッドステージ18が設けられ、当該ポッドステージ18上にポッド16が搬送されるようになっている。ポッド16には、例えば、25枚のウェーハ14が収納され、蓋16aが閉じられた状態(密閉状態)のもとで、ポッドステージ18上にセットされる。
【0021】
筐体12の正面側で、かつポッドステージ18の背面側には、当該ポッドステージ18と対向するようにしてポッド搬送装置20が設けられている。また、ポッド搬送装置20の近傍でかつ背面側には、複数段(図示では3段)のポッド収納棚22,ポッドオープナ24および基板枚数検知器26が設けられている。各ポッド収納棚22は、ポッドオープナ24および基板枚数検知器26の上方側に設けられ、ポッド16を複数個搭載(図示では5個)し、その状態を保持するよう構成されている。ポッド搬送装置20は、ポッドステージ18,各ポッド収納棚22およびポッドオープナ24間で、次々とポッド16を搬送するようになっている。ポッドオープナ24は、ポッド16の蓋16aを開けるもので、基板枚数検知器26は、ポッドオープナ24に隣接して設けられ、蓋16aが開けられた状態のもとでポッド16内のウェーハ14の枚数を検知するものである。
【0022】
筐体12の内部には、その他に、基板移載機28,基板保持具としてのボート30が設けられている。基板移載機28は、例えば、5本のアーム(ツイーザ)32を備え、各アーム32は、図示しない駆動手段により昇降可能かつ回転可能な構造となっており、ポッド16から5枚のウェーハ14を一度に取り出せるようになっている。そして、各アーム32を正面側から背面側に反転移動させることで、ポッドオープナ24の位置にあるポッド16からボート30に向けて、ウェーハ14を5枚ずつ搬送することができる。
【0023】
ボート30は、例えば、カーボングラファイトやSiC等の耐熱性材料で所定形状に形成され、複数枚のウェーハ14を水平姿勢で、かつ互いに中心を揃えた状態のもとで、縦方向に積層保持するよう構成されている。なお、ボート30の下方側には、例えば、石英やSiC等の耐熱性材料により円柱形状に形成された断熱部材としてのボート断熱部34が設けられ、後述する加熱体48からの熱が、処理炉40の下方側に伝達し難くなっている(図2参照)。
【0024】
筐体12内の背面側でかつ上方側には、処理炉40が設けられている。処理炉40の内部には、複数枚のウェーハ14を装填したボート30が搬入され、これにより、複数積層したウェーハ14を一度に熱処理(バッチ処理)できるようになっている。
【0025】
<処理炉の構成>
図2は処理炉の内部構造を示す断面図を、図3はウェーハをウェーハホルダに保持させた場合を示す断面図を、図4は処理炉の横方向の断面を示す横断面図を、図5(a),(b),(c)は第1実施の形態に係る第1ガス供給ノズルの先端部の構造を説明する説明図を、図6(a),(b)はガス供給ユニットの内部構造を説明する図を、図7は処理炉周辺の構造を示す断面図を、図8は基板処理装置の制御系統を説明するブロック図をそれぞれ表している。次に、これらの図2〜図8を用いて、SiCエピタキシャル膜を成膜する半導体製造装置10の処理炉40について説明する。
【0026】
処理炉40には、第1ガス供給口68を有する第1ガス供給ノズル60,第2ガス供給口72を有する第2ガス供給ノズル70および、各ガス供給ノズル60,70からの反応ガスを外部に排気する第1ガス排気口90が設けられている。また、不活性ガスを供給する第3ガス供給口360および、当該不活性ガスを外部に排気する第2ガス排気口390が設けられている。
【0027】
処理炉40は反応管42を備えている。反応管42は、石英またはSiC等の耐熱性材料よりなり、上方側が閉塞され下方側が開口した有底筒状に形成されている。反応管42の開口側(下方側)には、反応管42と同心円状にマニホールド36が配設されている。マニホールド36は、例えば、ステンレス材料等からなり、上方側および下方側が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド36は反応管42を支持し、マニホールド36と反応管42との間には、シール部材としてのOリング(図示せず)が設けられている。これにより、反応管42およびマニホールド36の内部に充填された反応ガスが外部に漏洩するのを防止している。
【0028】
マニホールド36は、その下方側に設けられた保持体(図示せず)に支持されており、これにより反応管42は、地面(図示せず)に対して垂直に据え付けられた状態となっている。ここで、反応管42およびマニホールド36により、反応容器を形成している。
【0029】
処理炉40は加熱体48を備えている。加熱体48は、上方側が閉塞され下方側が開口された有底筒状に形成されている。加熱体48は反応管42の内部に設けられ、加熱体48の内部には反応室44が形成されている。反応室44には、SiC等で構成されたウェーハ14を保持したボート30が収納されるようになっている。
【0030】
ここで、図3に示すように、ウェーハ14をウェーハホルダ15に保持させるようにすると良い。ウェーハホルダ15を、円環状に形成した下部ウェーハホルダ15aと円板状に形成した上部ウェーハホルダ15bとから形成し、下部ウェーハホルダ15aと上部ウェーハホルダ15bとの間にウェーハ14を挟むようにする。これにより、ウェーハ14の上方側から落下してくるパーティクル(微細ゴミ)からウェーハ14を保護することができ、成膜面(ウェーハ14の下面)とは反対側の面(ウェーハ14の上面)が成膜されるのを抑制できる。さらに、ウェーハ14の成膜面をボート30(ボート柱)から離間させることができるので、ボート柱の影響により反応ガスがウェーハ14の成膜面に流れ難くなるような不具合を確実に防止できる。この場合においても、ボート30は、複数枚のウェーハ14を、水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態のもとで、下部ウェーハホルダ15aおよび上部ウェーハホルダ15bを介して、縦方向に積層保持することになる。
【0031】
処理炉40は、磁場発生部として機能する誘導コイル50を備えている。誘導コイル50は、円筒形状の支持部材51の内周側に螺旋状に固定され、当該誘導コイル50は外部電源(図示せず)により通電されるようになっている。誘導コイル50を通電することにより当該誘導コイル50は磁場を発生し、ひいては加熱体48が誘導加熱される。このように加熱体48を誘導加熱により発熱させることで、反応室44内が加熱されるようになっている。
【0032】
加熱体48の近傍には、反応室44内の温度を検出する温度検出体としての温度センサ(図示せず)が設けられており、当該温度センサおよび誘導コイル50は、コントローラ152の温度制御部52(図8参照)と電気的に接続されている。温度制御部52は、温度センサにより検出された温度情報に基づいて、反応室44内の温度が所望の温度分布となるよう、誘導コイル50への通電具合を所定のタイミングで調節(制御)するようになっている。
【0033】
反応管42と加熱体48との間には、例えば、誘導加熱され難いカーボンフェルト等で形成された断熱材54が設けられている。断熱材54は、反応管42および加熱体48と同様に、上方側が閉塞され下方側が開口された有底筒状に形成されている。このように、断熱材54を設けることで、加熱体48の熱が反応管42あるいは反応管42の外部に伝達されるのを抑制している。
【0034】
また、誘導コイル50の外周側には、反応室44内の熱が外部に伝達されるのを抑制するために、例えば、水冷構造の外側断熱壁55が設けられている。外側断熱壁55は円筒形状に形成され、反応室44(支持部材51)を包囲するよう配置されている。さらに、外側断熱壁55の外周側には、誘導コイル50を通電することで発生する磁場が、外部に漏洩するのを防止するための磁気シール58が設けられている。磁気シール58においても、上方側が閉塞され下方側が開口された有底筒状に形成されている。
【0035】
加熱体48の内周側とウェーハ14の外周側との間には、第1ガス供給口68を有する第1ガス供給ノズル60が設けられている。また、加熱体48の内周側とウェーハ14の外周側との間には、第2ガス供給口72を有する第2ガス供給ノズル70が設けられている。第1ガス供給ノズル60および第2ガス供給ノズル70は、それぞれウェーハ14の周方向に沿って所定間隔を持って設けられ、各ガス供給ノズル60,70の各ガス供給口68,72は、ウェーハ14に向けられている。また、第1ガス排気口90においても、加熱体48の内周側とウェーハ14の外周側との間に開口している。つまり、各ガス供給口68,72および第1ガス排気口90は、それぞれ反応室44と対向している。さらに、反応管42の内周側と断熱材54の外周側との間には、第3ガス供給口360および第2ガス排気口390が設けられている。
【0036】
ここで、第1ガス供給ノズル60および第2ガス供給ノズル70は、図2に示すように、少なくともそれぞれ1本ずつ設ければ良いが、図4に示すように、2本の第1ガス供給ノズル60と3本の第2ガス供給ノズル70を設けるようにしても良い。この場合、3本の第2ガス供給ノズル70の間に、ウェーハ14の周方向に沿うよう交互に2本の第1ガス供給ノズル60を並べて配置する。これにより、第1ガス供給ノズル60および第2ガス供給ノズル70から異なる種類の反応ガスを供給したときに、反応室44内において効率の良く反応ガスを混合させることができる。また、第1ガス供給ノズル60および第2ガス供給ノズル70を合計奇数本とすることで、中央部分に位置するガス供給ノズルを中心として、その両側(図4中上下側)にバランス良く反応ガスを供給することができる。よって、ウェーハ14の成膜面に対して反応ガスを均一に供給することができ、成膜精度を向上させることが可能となる。なお、第1ガス供給ノズル60および第2ガス供給ノズル70から供給される反応ガスの種類については後述する。
【0037】
図2に示すように、第1ガス供給ノズル(ガスノズル)60は、例えば、カーボングラファイト等の耐熱材料にて中空パイプ状に形成され、基端部60aおよび先端部60bを備えている。第1ガス供給ノズル60の基端部60aは、反応管42およびマニホールド36からなる反応容器の開口側、つまりマニホールド36側に設けられ、マニホールド36を貫通して当該マニホールド36に固定されている。第1ガス供給ノズル60は、反応室44内にその長手方向に延在するよう、つまり各ウェーハ14の積層方向に延びるよう設けられ、第1ガス供給ノズル60の先端部60bは、反応管42の底側(上方側)に設けられている。
【0038】
第1ガス供給ノズル60の基端部60aと先端部60bとの間で、かつ第1ガス供給ノズル60の長手方向に沿う先端部60b寄り、つまりウェーハ14に対応する部位には、基端部60aから先端部60b向けて複数並んで、ウェーハ14に向けて反応ガスを供給するための複数の第1ガス供給口68が設けられている。各第1ガス供給口68はそれぞれ等間隔で設けられ、これにより複数のウェーハ14のそれぞれに対して反応ガスを均一に供給できるようにしている。なお、第1ガス供給ノズル60の基端部60aは、第1ガスライン222を介してガス供給ユニット200に接続されている。
【0039】
第1ガス供給ノズル60の先端部60bには、図5に示すように、整流部材としての整流板61が設けられている。整流板61は、第1ガス供給ノズル60と同じ材料、つまり、カーボングラファイト等の耐熱材料にて平板状に形成されている。整流板61には、第1ガス供給ノズル60の先端部60bが差し込まれて固定される固定凹部61aが形成されており、この固定凹部61aは、整流板61の各短辺部61b,61cのうちの一方の短辺部61b寄りに設けられている。そして、固定凹部61aに先端部60bを差し込んで両者を溶着等することで、互いに強固に固定されている。ただし、整流板61と第1ガス供給ノズル60とを別体とせずに、図5(c)に示すように、整流板61と第1ガス供給ノズル60とを一体としても良い。
【0040】
整流板61は、第1ガス供給口68側(図中右方側)を上方側から覆うよう設けられ、つまり整流板61の他方の短辺部61cは、ガス供給方向(ウェーハ14側)に向けて延びている。また、整流板61は、各第1ガス供給口68のうちの最上段(図中上方側)にある第1ガス供給口681の上方側に近接配置され、これにより整流板61は、第1ガス供給口681から噴出する反応ガスをウェーハ14側に向けて整流する。以下、各第1ガス供給口68を、それぞれ最上段から符号681,682,683・・・68nを付して説明する。
【0041】
第2ガス供給ノズル70は、例えば、カーボングラファイト等の耐熱材料にて中空パイプ状に形成され、基端部70aおよび先端部70bを備えている。第2ガス供給ノズル70の基端部70aは、反応管42およびマニホールド36からなる反応容器の開口側、つまりマニホールド36側に設けられ、マニホールド36を貫通して当該マニホールド36に固定されている。第2ガス供給ノズル70は、反応室44内にその長手方向に延在するよう設けられ、第2ガス供給ノズル70の先端部70bは、反応管42の底側に設けられている。
【0042】
第2ガス供給ノズル70の基端部70aと先端部70bとの間で、かつ第2ガス供給ノズル70の長手方向に沿う先端部70b寄り、つまりウェーハ14に対応する部位には、基端部70aから先端部70b向けて複数並んで、ウェーハ14に向けて反応ガスを供給するための複数の第2ガス供給口72が設けられている。各第2ガス供給口72はそれぞれ等間隔で設けられ、これにより複数のウェーハ14のそれぞれに対して反応ガスを均一に供給できるようにしている。なお、第2ガス供給ノズル70の基端部70aは、第2ガスライン260を介してガス供給ユニット200に接続されている。また、第1ガス供給ノズル60のように先端部70bに整流板を設けても良い。これにより、最上段の第2ガス供給口72から噴出するガスの流れをウェーハ14の方向に向けることが可能となる。
【0043】
ここで、図4に示すように、反応室44の内部において、各ガス供給ノズル60,70と第1ガス排気口90との間でかつ加熱体48とウェーハ14との間に、当該空間を埋めるよう反応室44の長手方向に延在する断面が円弧形状の構造物300を設けるようにすると良い。例えば、図4に示すように、対向位置に構造物300をそれぞれ設けることで、各ガス供給ノズル60,70から供給される反応ガスが、加熱体48の内壁に沿って流れてウェーハ14を迂回してしまうのを防止できる。構造物300としては、耐熱性およびパーティクルの発生を考慮すると、カーボングラファイト等で構成するのが望ましい。
【0044】
図2に示すように、ボート30を挟む各ガス供給口68,72との対向箇所でかつボート30の下方側には、第1ガス排気口90が設けられ、マニホールド36には、第1ガス排気口90に接続されたガス排気管230が貫通して固定されている。ガス排気管230の下流側には、圧力検出器としての圧力センサ(図示せず)が設けられ、さらには圧力調整器としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ214を介して真空ポンプ等の真空排気装置220が接続されている。圧力センサおよびAPCバルブ214には、コントローラ152の圧力制御部98(図8参照)が電気的に接続されている。圧力制御部98は、圧力センサにより検出された圧力に基づき、所定のタイミングでAPCバルブ214の開度を調節(制御)し、ひいては処理炉40内の圧力を所定の圧力とするように調整するようになっている。
【0045】
このように、第1ガス排気口90を各ガス供給口68,72の対向箇所に配置することで、各ガス供給口68,72から供給された反応ガスを、ウェーハ14の側方から水平方向に流してウェーハ14の成膜面に満遍なく行き渡らせた後、第1ガス排気口90から排気することができる。これにより、ウェーハ14の成膜面全体を効果的かつ均一となるよう反応ガスに曝して成膜精度を向上させている。
【0046】
第3ガス供給口360は、各ガス供給口68,72側で、反応管42と断熱材54との間に配置されている。第3ガス供給口360は、マニホールド36を貫通して当該マニホールド36に固定された第3ガスライン240の一端側に設けられ、第3ガスライン240の他端側はガス供給ユニット200に接続されている。また、第2ガス排気口390は、第1ガス排気口90側で、反応管42と断熱材54との間、つまり断熱材54を挟む第3ガス供給口360との対向箇所に配置されており、当該第2ガス排気口390は、ガス排気管230に接続されている。
【0047】
第3ガスライン240は、図6に示すように、バルブ212fおよびMFC(Mass Flow Controller)211fを介して、第4ガス供給源210fに接続されている。第4ガス供給源210fからは、例えば不活性ガスとして、希ガスのArガスが供給され、SiCエピタキシャル膜の成長に寄与する反応ガスが、反応管42と断熱材54との間に進入するのを防止している。これにより、反応管42の内壁や断熱材54の外壁に不要な生成物が付着せず、装置のメンテナンス周期を延ばせるようにしている。なお、反応管42と断熱材54との間に供給された不活性ガス(Arガス等)は、第2ガス排気口390,ガス排気管230およびAPCバルブ214を介して、真空排気装置220から外部に排気される。
【0048】
<反応ガス供給系の構成>
次に、図6を用いて、第1ガス供給系および第2ガス供給系について説明する。図6(a)は、Si原子含有ガスとC(炭素)原子含有ガスとを異なるガス供給ノズルから供給するセパレート方式を示し、図6(b)は、Si原子含有ガスとC原子含有ガスとを同じガス供給ノズルから供給するプレミックス方式を示している。
【0049】
まず、セパレート方式について説明する。図6(a)に示すように、セパレート方式では、第1ガスライン222は、バルブ212a,212b,212cおよびMFC(流量制御手段)211a,211b,211cを介して、第1ガス供給源210a,第2ガス供給源210b,第3ガス供給源210cに接続されている。第1ガス供給源210aからはSiH4ガスが、第2ガス供給源210bからはHClガスが、第3ガス供給源210cからは不活性ガスがそれぞれ供給される。
【0050】
これにより、SiH4ガス,HClガス,不活性ガスのそれぞれの供給流量,濃度,分圧,供給タイミングを、反応室44内に対して制御可能となっている。バルブ212a〜212cおよびMFC211a〜211cは、コントローラ152のガス流量制御部78(図8参照)に電気的に接続されている。ガス流量制御部78は、供給すべきそれぞれのガスの流量を所定流量とするよう、所定のタイミングで制御するようになっている。ここで、SiH4ガス(成膜ガス),HClガス(エッチングガス),不活性ガスをそれぞれ供給するガス供給源210a〜210c,バルブ212a〜212c,MFC211a〜211c,第1ガスライン222,第1ガス供給ノズル60および各第1ガス供給口68によって、第1ガス供給系を構成している。
【0051】
第2ガスライン260は、バルブ212d,212eおよびMFC211d,211eを介して、第5ガス供給源210d,第6ガス供給源210eに接続されている。第5ガス供給源210dからは、C原子含有ガスとして、例えばC3H8ガス(成膜ガス)が、第6ガス供給源210eからは、還元ガスとして、例えばH2ガスがそれぞれ供給される。
【0052】
これにより、C3H8ガス,H2ガスのそれぞれの供給流量,濃度,分圧,供給タイミングを、反応室44内に対して制御可能となっている。バルブ212d,212eおよびMFC211d,211eは、コントローラ152のガス流量制御部78(図8参照)に電気的に接続されている。ガス流量制御部78は、供給すべきそれぞれのガスの流量を所定流量とするよう、所定のタイミングで制御するようになっている。ここで、C3H8ガス,H2ガスをそれぞれ供給するガス供給源210d,210e,バルブ212d,212e,MFC211d,211e,第2ガスライン260,第2ガス供給ノズル70および第2ガス供給口72によって、第2ガス供給系を構成している。
【0053】
このようにセパレート方式においては、Si原子含有ガスとC原子含有ガスとを異なるガス供給ノズルから供給することにより、ガス供給ノズル内においてSiC膜が成膜されないよう(堆積しないよう)にしている。なお、Si原子含有ガスおよびC原子含有ガスの濃度や流速を調整する場合には、それぞれ適切なキャリアガスを供給すれば良い。
【0054】
また、Si原子含有ガスをより効率的に使用するために、還元ガスとしてH2ガスを用い、当該H2ガスをC原子含有ガスとともに第2ガス供給ノズル70から供給している。これにより、反応室44内において、H2ガスおよびC原子含有ガスをSi原子含有ガスと混合させてH2ガスを少ない状態とし、その結果、Si原子含有ガスの分解を成膜時と比較して抑制している。よって、第1ガス供給ノズル60内でのSi膜の成膜(堆積)を抑制している。この場合、H2ガスをC原子含有ガスのキャリアガスとして用いることができる。なお、Si原子含有ガスのキャリアガスとしては、Arガスのような不活性ガス(特に希ガス)を用いることで、Si膜の堆積を抑制することができる。
【0055】
さらに、第1ガス供給ノズル60からは、塩素原子含有ガスとしてHClガスを供給するようにしている。これにより、Si原子含有ガスが熱により分解され、第1ガス供給ノズル60内に堆積し得る状態となったとしても、HClガスによりエッチングモードとなり、その結果、第1ガス供給ノズル60内でのSi膜の成膜(堆積)を抑制している。なお、HClガスには堆積してしまったSi膜をエッチングする効果もあるため、第1ガス供給口68が閉塞するのを効果的に抑制することもできる。
【0056】
次に、図6(b)に示すプレミックス方式について説明する。プレミックス方式のセパレート方式と異なる点は、C原子含有ガスのガス供給源210dを、MFC211d,バルブ212dを介して第1ガスライン222に接続した点である。これにより、Si原子含有ガスとC原子含有ガスとを、第1ガスライン222内で予め混合しておくことができる。よって、上述したセパレート方式に比して反応ガスの混合効率を高めることができ、ひいては成膜時間の短縮等を図ることが可能となる。
【0057】
この場合、第2ガスライン260を介して第2ガス供給ノズル70から、H2ガスを単独で供給することができるので、HClガスとH2ガスとの比(Cl/H)を大きくすることができ、ひいては第1ガス供給ノズル60におけるエッチング効果の方を大きくして、Si原子含有ガスの反応を抑制することができる。このように、プレミックス方式であっても、ある程度、第1ガス供給ノズル60におけるSiC膜の成膜(堆積)を抑制することができる。
【0058】
なお、上述においては、SiCエピタキシャル膜を成膜する際に使用する塩素原子含有ガス(エッチングガス)として、HClガスを使用しているが、これに限らず、Clガス(塩素ガス)等を使用しても良い。
【0059】
また、上述においては、SiCエピタキシャル膜を成膜する際に、Si(シリコン)原子含有ガスとCl(塩素)原子含有ガスとを別々に供給しているが、これに限らず、Si原子とCl原子とを含むガス、例えば、テトラクロロシラン(SiCl4)ガス,トリクロロシラン(SiHCl3)ガス,ジクロロシラン(SiH2Cl2)ガス等を供給しても良い。これらのSi原子とCl原子とを含むガスは、Si原子含有ガス、または、Si原子含有ガスおよびCl原子含有ガスの混合ガスであるとも言える。特に、SiCl4ガスは、熱分解される温度が比較的高温であるため、第1ガス供給ノズル60内でのSi原子の消費を抑制するという観点から優れている。
【0060】
さらに、上述においては、C(炭素)原子含有ガスとして、C3H8ガスを使用しているが、これに限らず、エチレン(C2H4)ガス,アセチレン(C2H2)ガス等を使用しても良い。
【0061】
また、上述においては、還元ガスとして、H2ガスを使用しているが、これに限らず、他のH(水素)原子含有ガスを使用しても良い。さらに、キャリアガスとしては、Ar(アルゴン)ガス,He(ヘリウム)ガス,Ne(ネオン)ガス,Kr(クリプトン)ガス,Xe(キセノン)ガス等の希ガスのうちの少なくとも1つを使用しても良いし、これらの希ガスを任意に組み合わせた混合ガスを使用しても良い。
【0062】
<処理炉の周辺の構成>
次に、図7を用いて、処理炉40およびその周辺の構成について説明する。処理炉40の下方側には、当該処理炉40の開口部分である炉口144を気密に閉塞するシールキャップ(炉口蓋体)102が設けられている。シールキャップ102は、例えば、ステンレス等の金属材料により略円盤状に形成されている。シールキャップ102と処理炉40の天板126との間には、両者間をシールするシール部材としてのOリング(図示せず)が設けられ、これにより処理炉40内を気密に保持できるようにしている。
【0063】
シールキャップ102には回転機構104が設けられ、当該回転機構104の回転軸106は、シールキャップ102を貫通してボート断熱部34に連結されている。そして、回転機構104を回転駆動することにより、回転軸106を介して処理炉40内でボート30が回転し、これに伴いウェーハ14も回転するようになっている。
【0064】
シールキャップ102は、処理炉40の外側に設けられた昇降モータ(昇降機構)122によって垂直方向(上下方向)に昇降されるよう構成され、これによりボート30を処理炉40に対して搬入搬出できるようになっている。回転機構104および昇降モータ122には、コントローラ152の駆動制御部108(図8参照)が電気的に接続されている。駆動制御部108は、回転機構104および昇降モータ122を、所定の動作をするよう所定のタイミングにて制御するようになっている。
【0065】
処理炉40の下方側には、予備室としてのロードロック室110が設けられ、当該ロードロック室110の外側には下基板112が設けられている。下基板112には、昇降台114を摺動自在に支持するガイドシャフト116の基端部が固定され、また、昇降台114と螺合するボール螺子118の基端部が回転自在に支持されている。また、ガイドシャフト116の先端部およびボール螺子118の先端部には、上基板120が装着されている。ボール螺子118は上基板120に搭載された昇降モータ122により回転駆動され、昇降台114はボール螺子118の回転駆動により昇降するようになっている。
【0066】
昇降台114には、中空パイプ状の昇降シャフト124が垂下するよう固定され、昇降台114と昇降シャフト124との連結部分は気密となっている。これにより、昇降シャフト124は、昇降台114とともに昇降するようになっている。昇降シャフト124は、ロードロック室110の上方側の天板126に設けられた貫通孔126aを、所定の隙間を持って貫通している。つまり、昇降シャフト124が昇降する際に、当該昇降シャフト124は天板126に接触することが無い。
【0067】
ロードロック室110と昇降台114との間には、昇降シャフト124の周囲を覆うよう伸縮性を有するベローズ(中空伸縮体)128が設けられ、当該ベローズ128によりロードロック室110は気密に保持されている。なお、ベローズ128は、昇降台114の昇降量に対応し得る充分な伸縮量を備え、ベローズ128の内径は昇降シャフト124の外径に比べて充分に大きくなっている。これにより、ベローズ128は、その伸縮時において、昇降シャフト124と接触すること無くスムーズに伸縮することができる。
【0068】
昇降シャフト124の下方側には、昇降基板130が水平に固定され、当該昇降基板130の下方側には、Oリング等のシール部材(図示せず)を介して駆動部カバー132が気密に取り付けられている。昇降基板130および駆動部カバー132は、駆動部収納ケース134を構成しており、これにより、駆動部収納ケース134内の雰囲気とロードロック室110内の雰囲気とを隔離している。
【0069】
駆動部収納ケース134の内部には、ボート30を回転駆動する回転機構104が設けられ、当該回転機構104の周辺は、水冷構造の冷却機構135により冷却されるようになっている。
【0070】
回転機構104には電力ケーブル138が電気的に接続されており、当該電力ケーブル138は、昇降シャフト124の上方側から中空部を通って、回転機構104に導かれている。また、冷却機構135およびシールキャップ102には、冷却水流路140がそれぞれ形成されており、これらの冷却水流路140には、それぞれ冷却水配管142が接続されている。各冷却水配管142は、昇降シャフト124の上方側から中空部を通って、各冷却水流路140に導かれている。
【0071】
コントローラ152の駆動制御部108により昇降モータ122を回転駆動させることで、ボール螺子118が回転し、これにより昇降台114および昇降シャフト124が昇降し、ひいては駆動部収納ケース134が昇降する。そして、駆動部収納ケース134を上昇させることで、昇降基板130に気密に設けたシールキャップ102が処理炉40の開口部である炉口144を密閉し、これによりウェーハ14を熱処理できる状態となる。また、駆動部収納ケース134を下降させることで、シールキャップ102とともにボート30が降下して、ウェーハ14を処理炉40の外部に搬出できる状態となる。
【0072】
図8に示すように、SiCエピタキシャル膜を成膜する半導体製造装置10を制御するコントローラ152は、温度制御部52,ガス流量制御部78,圧力制御部98および駆動制御部108を備えている。これらの温度制御部52,ガス流量制御部78,圧力制御部98および駆動制御部108は、操作部および入出力部を構成し、半導体製造装置10の全体を制御する主制御部150に電気的に接続されている。
【0073】
<SiCエピタキシャル膜の成膜方法>
次に、上述した半導体製造装置10を用い、半導体デバイスの製造工程の一工程として、SiC等で構成されるウェーハ14等の基板上に、例えば、SiCエピタキシャル膜を成膜する基板の製造方法(処理方法)について説明する。なお、以下の説明における半導体製造装置10を構成する各部分の動作は、コントローラ152によって制御される。
【0074】
まず、図1に示すように、ポッドステージ18に複数枚のウェーハ14を収納したポッド16をセットする(図1参照)。すると、ポッド搬送装置20が動作して、ポッド16がポッドステージ18からポッド収納棚22へ搬送されてストックされる。次に、ポッド搬送装置20により、ポッド収納棚22にストックされたポッド16をポッドオープナ24に搬送してセットし、当該ポッドオープナ24によりポッド16の蓋16aが開かれて、基板枚数検知器26によりポッド16に収納されているウェーハ14の枚数を検知する。
【0075】
その後、基板移載機28の動作により、ポッドオープナ24の位置にあるポッド16からウェーハ14を取出し、ボート30に移載する。
【0076】
複数枚のウェーハ14がボート30に装填されて積層されると、各ウェーハ14を保持したボート30は、昇降モータ122の回転駆動による昇降台114および昇降シャフト124の昇降動作により反応室44内に搬入、つまりボートローディングされる。ボート30が反応室44内に完全に搬入されると、シールキャップ102は反応室44をシールした状態となり、これにより反応室44の気密が保持される。ここまでの一連の工程、つまりボート30に複数積層された各ウェーハ14を反応管42内に搬入し、シールキャップ102により密閉するまでの工程(ボートローディング工程)が、本発明における基板搬送工程を構成している。
【0077】
ボート30を反応室44に搬入した後、反応室44の内部圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気装置220が駆動され、反応室44が真空排気(真空引き)される。この時、反応室44の内部圧力は、圧力センサによって測定され、測定された圧力に基づいて第1ガス排気口90および第2ガス排気口390に連通するAPCバルブ214がフィードバック制御される。
【0078】
また、ウェーハ14の温度および反応室44の内部温度を所定の温度とするよう、誘導コイル50が通電され、これにより加熱体48が加熱される。この時、反応室44の内部温度が所定の温度分布(例えば均一温度分布)となるよう、温度センサが検出した温度情報に基づいて誘導コイル50への通電具合をフィードバック制御する。続いて、回転機構104によりボート30が回転駆動されて、これにより各ウェーハ14も反応室44の内部で回転される。
【0079】
その後、MFC211a,211bおよびバルブ212a,212bを制御し、これにより、SiCエピタキシャル膜の成膜に寄与するSi原子含有ガス(成膜ガス)およびCl原子含有ガス(エッチングガス)を、各ガス供給源210a,210bから供給する。すると、第1ガス供給ノズル60の各第1ガス供給口68から、反応室44内の各ウェーハ14に向けて反応ガスが噴射される。
【0080】
ここで、図9は図5(b)の破線円A部を拡大して示す拡大断面図を、図10(a),(b)はエッチングガスの濃度状態を比較して示す流体解析図(第1実施の形態)をそれぞれ表している。
【0081】
図9に示すように、各第1ガス供給口68から各ウェーハ14に向けて噴射された反応ガスは、基本的に、各ウェーハ14に向けて真っ直ぐ流れる。即ち、第1ガス供給ノズル60の先端部60bには整流板61を設けているので、第1ガス供給ノズル60の最上段にある第1ガス供給口681からの上方側への反応ガスの流れが規制され、各ウェーハ14に向けて流れるよう整流される。
【0082】
これにより、従前のように反応ガスが斜め上方に拡散するのを防止することができる。つまり、第1ガス供給口681の周辺におけるエッチングガスの濃度を、他の各ガス供給口682〜68nと略同等にして、第1ガス供給口681のエッチング効果の低下を抑制することができる。具体的には、図10の流体解析結果(比較結果)に示すように、整流板61を設けた図10(a)においては、整流板61を設けていない図10(b)に比して、第1ガス供給口681の周辺におけるエッチングガスの濃度低下が抑えられていることが分かる。つまり、第1実施の形態の方が比較例よりも、エッチングガスの濃度が高い濃色部分が多くなっていることが分かる。
【0083】
また、C原子含有ガスおよび還元ガスであるH2ガスを、所定の流量となるよう対応するMFC211d,211eの開度を制御した後、バルブ212d,212eを制御する。すると、それぞれの反応ガスが第2ガスライン260を流通するようになる。これにより、第2ガス供給ノズル70の各第2ガス供給口72から、反応室44内の各ウェーハ14に向けて反応ガスが噴射される。
【0084】
各第1ガス供給口68および各第2ガス供給口72から噴射された反応ガスは、反応室44内の加熱体48の内周側を流れて、第1ガス排気口90からガス排気管230を介して外部に排気される。各第1ガス供給口68および第2ガス供給口72より供給された反応ガスは、それぞれ噴射直後に混合され、反応室44内を通過する際にSiC等で構成される各ウェーハ14と接触し、これにより各ウェーハ14の表面上に、SiCエピタキシャル膜が成膜されていく。
【0085】
また、MFC211fおよびバルブ212fが制御され、第4ガス供給源210fからの不活性ガスとしてのArガス(希ガス)が所定の流量となるよう調整され、第3ガスライン240および第3ガス供給口360を介して、断熱材54と反応管42との間に供給される。第3ガス供給口360から供給されたArガスは、断熱材54と反応管42との間を流れて、第2ガス排気口390から排気される。その後、上述のように反応ガスを各ウェーハ14に曝して、予め設定された時間が経過すると、各反応ガスの供給制御が停止される。ここまでの一連の工程、つまり反応ガスの供給により各ウェーハ14の表面上にSiCエピタキシャル膜を成膜する工程が、本発明における基板処理工程を構成している。
【0086】
次いで、図示しない不活性ガス供給源から不活性ガスが供給され、反応室44内の加熱体48の内側の空間が不活性ガスで置換され、さらに反応室44の内部圧力が常圧に復帰される。
【0087】
反応室44内が常圧に復帰した後、昇降モータ122の回転駆動によりシールキャップ102が下降し、処理炉40の炉口144が開口される。これに伴い、熱処理済み(成膜処理済み)の各ウェーハ14が、ボート30に保持された状態でマニホールド36の下方側から反応管42の外部に搬出、つまりボートアンローディングされる。ボート30に保持された各ウェーハ14は、冷えるまでロードロック室110の内部で待機状態となる。
【0088】
その後、各ウェーハ14が所定の温度にまで冷却されると、基板移載機28の動作により、各ウェーハ14がボート30から取り出され、ポッドオープナ24にセットされている空のポッド16に搬送されて収納される。その後、ポッド搬送装置20の動作により、各ウェーハ14を収納したポッド16が、ポッド収納棚22またはポッドステージ18に搬送される。このようにして、半導体製造装置10の一連の動作が完了する。
【0089】
<第1実施の形態の代表的効果>
以上、第1実施の形態で説明した技術的思想によれば、少なくとも、以下に記載する複数の効果のうち、1つ以上の効果を奏する。
【0090】
(1)第1実施の形態によれば、複数積層されたウェーハ14を処理(熱処理)する反応管42(マニホールド36)と、反応管42内を加熱する加熱体48と、反応管42内に設けられ、各ウェーハ14の積層方向に延びる第1ガス供給ノズル60と、第1ガス供給ノズル60の基端部60aから先端部60bに向けて複数並んで設けられ、各ウェーハ14に向けてSi原子含有ガス(成膜ガス)およびCl原子含有ガス(エッチングガス)を供給する第1ガス供給口68と、第1ガス供給ノズル60の先端部60bに設けられ、ガス供給方向に向けて延びる整流板61とを備えている。これにより、最上段の第1ガス供給口681の周辺におけるエッチングガスの濃度低下を抑えることができ、第1ガス供給口681を閉塞させることが無いので、歩留まりを良くすることができる。
【0091】
(2)第1実施の形態によれば、第1ガス供給ノズル60と整流板61とを別部材で形成し、第1ガス供給ノズル60の先端部60bに整流板61を固定したので、第1ガス供給ノズル60と整流板61とを別々に容易に成形することができる。
【0092】
(3)第1実施の形態によれば、第1ガス供給ノズル60と整流板61とを一体成形することもでき、この場合、半導体製造装置10の組み立て時や使用時の振動等により、整流板61が第1ガス供給ノズル60から外れるようなことが無い。したがって、組み立て性やメンテナンス性を向上させることが可能となる。
【0093】
(4)第1実施の形態によれば、第1ガス供給ノズルおよび第2ガス供給ノズルを備え、第1ガス供給ノズル60の第1ガス供給口68からは、Si原子含有ガスとCl原子含有ガスとを供給し、第2ガス供給ノズル70の第2ガス供給口72からは、還元ガスを供給し、さらにC原子含有ガスを、第1ガス供給口68(プレミックス方式)または第2ガス供給口72(セパレート方式)のいずれか一方から供給することができる。
【0094】
(5)第1実施の形態で説明した半導体製造装置10を、半導体装置の製造方法における基板の処理工程において用いることにより、半導体装置の製造方法において、上述した複数の効果のうち、1つ以上の効果を奏する。
【0095】
(6)第1実施の形態で説明した半導体製造装置10を、SiCエピタキシャル膜を形成する基板の製造方法における基板の処理工程において用いることにより、SiCエピタキシャル膜を形成する基板の製造方法において、上述した複数の効果のうち、1つ以上の効果を奏する。
【0096】
[第2実施の形態]
次に、本発明の第2実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、上述した第1実施の形態と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0097】
図11(a),(b),(c)は第2実施の形態に係る第1ガス供給ノズルの先端部の構造を説明する説明図を、図12は図11(b)の破線円B部を拡大して示す拡大断面図を、図13(a),(b)はエッチングガスの濃度状態を比較して示す流体解析図(第2実施の形態)をそれぞれ表している。
【0098】
図11に示すように、第2実施の形態に係る半導体製造装置400は、上述した第1実施の形態に比して整流部材の形状のみが異なっている。第1実施の形態に係る半導体製造装置10では、整流部材として板状の整流板61(図5参照)を採用したが、第2実施の形態に係る半導体製造装置400では、略箱形状の整流部材410を採用している。
【0099】
整流部材410は、第1ガス供給ノズル60と同じ材料、つまり、カーボングラファイト等の耐熱材料にて略箱形状に形成されている。整流部材410は、図5に示す整流板61よりも肉厚に形成され、各ウェーハ14側となるガス供給方向(図中右側)に向けて延びる第1延在部411と、第1延在部411の先端側(図中右方側)から第1ガス供給ノズル60の基端部60a(図2参照)に向けて延びる第2延在部412とを備えている。第1延在部411および第2延在部412は、第1ガス供給ノズル60の先端部60bが差し込まれて固定される固定凹部413と、第1ガス供給口681と対向する流路屈曲凹部414とを形成している。
【0100】
固定凹部413は、整流部材410の各短辺部415,416のうちの一方の短辺部415寄りに設けられている。そして、固定凹部413に先端部60bを差し込んで両者を溶着等することで、互いに強固に固定されている。ただし、整流部材410と第1ガス供給ノズル60とを別体とせずに、図11(c)に示すように、整流部材410と第1ガス供給ノズル60とを一体としても良い。
【0101】
整流部材410の第2延在部412は、整流部材410の他方の短辺部416寄りに設けられ、第2延在部412により形成される流路屈曲凹部414は、最上段の第1ガス供給口681に対して所定の隙間を持って対向している。そして、流路屈曲凹部414は、第1ガス供給口681から供給される反応ガスの流路を、他の第1ガス供給口682,683・・・68nに向けて(図中下方側に向けて)屈曲させるようになっている。
【0102】
図12に示すように、各第1ガス供給口68から各ウェーハ14に向けて噴射された反応ガスは、基本的に、各ウェーハ14に向けて真っ直ぐ流れる。即ち、第1ガス供給ノズル60の先端部60bには整流部材410を設けているので、第1ガス供給ノズル60の最上段にある第1ガス供給口681から噴射される反応ガスは、その全てが流路屈曲凹部414により第1ガス供給口681の下方側にある他の第1ガス供給口682,683・・・68nに向けられる。
【0103】
これにより、従前のように反応ガスが斜め上方に拡散するのを防止することができる。つまり、第1ガス供給口681の周辺におけるエッチングガスの濃度を、他の各ガス供給口682〜68nと略同等かそれ以上にして、第1ガス供給口681のエッチング効果の低下を抑制することができる。具体的には、図13の流体解析結果(比較結果)に示すように、整流部材410を設けた図13(a)においては、整流部材410を設けていない図13(b)に比して、第1ガス供給口681の周辺におけるエッチングガスの濃度低下が抑えられていることが分かる。つまり、第1実施の形態の方が比較例よりも、エッチングガスの濃度が高い濃色部分が多くなっていることが分かる。
【0104】
<第2実施の形態の代表的効果>
以上、第2実施の形態で説明した技術的思想においても、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。これに加え、第2実施の形態においては、第1ガス供給口681から噴射される反応ガスの流れを、第1ガス供給ノズル60の基端部60a側、つまり他の第1ガス供給口682,683・・・68nに向けることができるので、第1実施の形態に比して、他の第1ガス供給口682,683・・・68nの周辺におけるエッチングガス濃度を高めることができる。
【0105】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、SiCエピタキシャル膜を成膜する成膜装置(基板処理装置)を例示して説明したが、2種類以上の反応ガスを反応室44内で混合して成膜する成膜装置で、かつ成膜された膜をエッチングするエッチングガスを成膜ガスとともに供給するような装置であれば、他の形式の基板処理装置にも本発明における技術的思想を適用することができる。
【0106】
本発明は少なくとも以下の実施の形態を含む。
【0107】
〔付記1〕
複数積層された基板を処理する反応容器と、
前記反応容器内を加熱する加熱体と、
前記反応容器内に設けられ、前記基板の積層方向に延びるガスノズルと、
前記ガスノズルの基端部から先端部に向けて複数並んで設けられ、前記基板に向けて成膜ガスおよびエッチングガスを供給するガス供給口と、
前記ガスノズルの先端部に設けられ、ガス供給方向に向けて延びる整流部材と、
を備える基板処理装置。
【0108】
〔付記2〕
前記ガスノズルと前記整流部材とを別部材で形成し、前記ガスノズルの先端部に前記整流部材を固定したことを特徴とする付記1記載の基板処理装置。
【0109】
〔付記3〕
前記ガスノズルと前記整流部材とを一体成形したことを特徴とする付記1記載の基板処理装置。
【0110】
〔付記4〕
前記整流部材を、ガス供給方向に向けて延びる第1延在部と、前記第1延在部から前記ガスノズルの基端部に向けて延びる第2延在部とから形成することを特徴とする付記1〜3のいずれか1つに記載の基板処理装置。
【0111】
〔付記5〕
前記ガスノズルを、第1ガス供給ノズルおよび第2ガス供給ノズルから形成し、前記第1ガス供給ノズルの第1ガス供給口からは、Si原子含有ガスとCl原子含有ガスとを供給し、前記第2ガス供給ノズルの第2ガス供給口からは、還元ガスを供給し、さらにC原子含有ガスを、前記第1ガス供給口または前記第2ガス供給口のいずれか一方から供給することを特徴とする付記1〜4のいずれか1つに記載の基板処理装置。
【0112】
〔付記6〕
複数積層された基板を処理する反応容器内に設けられ、
前記反応容器の開口側に設けられる基端部と、
前記反応容器の底側に設けられる先端部と、
前記基端部から前記先端部に向けて複数並んで設けられ、前記基板に向けて成膜ガスおよびエッチングガスを供給するガス供給口と、
前記先端部に設けられ、ガス供給方向に向けて延びる整流部材と、
を備えるガスノズル。
【0113】
〔付記7〕
前記ガスノズルと前記整流部材とを別部材で形成し、前記ガスノズルの先端部に前記整流部材を固定したことを特徴とする付記6記載のガスノズル。
【0114】
〔付記8〕
前記ガスノズルと前記整流部材とを一体成形したことを特徴とする付記6記載のガスノズル。
【0115】
〔付記9〕
前記整流部材を、ガス供給方向に向けて延びる第1延在部と、前記第1延在部から前記ガスノズルの基端部に向けて延びる第2延在部とから形成することを特徴とする付記6〜8のいずれか1つに記載のガスノズル。
【0116】
〔付記10〕
複数積載された基板を反応容器内に搬送する基板搬送工程と、
前記反応容器内に設けられ、前記反応容器の開口側に設けられる基端部と、前記反応容器の底側に設けられる先端部と、前記基端部から前記先端部に向けて複数並んで設けられ、前記基板に向けて成膜ガスおよびエッチングガスを供給するガス供給口と、前記先端部に設けられ、ガス供給方向に向けて延びる整流部材と、を備えるガスノズルの前記ガス供給口から前記基板に向けて成膜ガスおよびエッチングガスを供給し、前記反応容器内を加熱体により加熱しつつ前記基板を処理する基板処理工程と、
を有する基板若しくは半導体デバイスの製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、半導体装置(半導体デバイス)やSiCエピタキシャル膜を形成する基板などを製造する製造業等に幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0118】
10…半導体製造装置(基板処理装置)、12…筐体、14…ウェーハ(基板)、15…ウェーハホルダ、15a…下部ウェーハホルダ、15b…上部ウェーハホルダ、16…ポッド、16a…蓋、18…ポッドステージ、20…ポッド搬送装置、22…ポッド収納棚、24…ポッドオープナ、26…基板枚数検知器、28…基板移載機、30…ボート、32…アーム、34…ボート断熱部、36…マニホールド(反応容器)、40…処理炉、42…反応管(反応容器)、44…反応室、48…加熱体、50…誘導コイル、51…支持部材、52…温度制御部、54…断熱材、55…外側断熱壁、58…磁気シール、60…第1ガス供給ノズル(ガスノズル)、60a…基端部、60b…先端部、61…整流板(整流部材)、61a…固定凹部、61b…一方の短辺部、61c…他方の短辺部、68…第1ガス供給口(ガス供給口)、70…第2ガス供給ノズル、70a…基端部、70b…先端部、72…第2ガス供給口、78…ガス流量制御部、90…第1ガス排気口、98…圧力制御部、102…シールキャップ、104…回転機構、106…回転軸、108…駆動制御部、110…ロードロック室、112…下基板、114…昇降台、116…ガイドシャフト、118…ボール螺子、120…上基板、122…昇降モータ、124…昇降シャフト、126…天板、126a…貫通孔、128…ベローズ、130…昇降基板、132…駆動部カバー、134…駆動部収納ケース、135…冷却機構、138…電力ケーブル、140…冷却水流路、142…冷却水配管、144…炉口、150…主制御部、152…コントローラ、200…ガス供給ユニット、210a…第1ガス供給源、210b…第2ガス供給源、210c…第3ガス供給源、210d…第5ガス供給源、210e…第6ガス供給源、210f…第4ガス供給源、211a〜211f…MFC、212a〜212f…バルブ、214…APCバルブ、220…真空排気装置、222…第1ガスライン、230…ガス排気管、240…第3ガスライン、260…第2ガスライン、300…構造物、360…第3ガス供給口、390…第2ガス排気口、400…半導体製造装置(基板処理装置)、410…整流部材、411…第1延在部、412…第2延在部、413…固定凹部、414…流路屈曲凹部、415…一方の短辺部、416…他方の短辺部、681…第1ガス供給口(最上段)、682〜68n…他の第1ガス供給口
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置およびガスノズルならびに基板若しくは半導体デバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素(SiC)は、ケイ素(Si)に比して、絶縁耐圧や熱伝導性が高いこと等から、特にパワーデバイス用素子材料として注目されている。その一方でSiCは、不純物拡散係数が小さいこと等から、Siに比して結晶基板や半導体装置(半導体デバイス)の製造が難しいことが知られている。例えば、Siのエピタキシャル成膜温度が900℃〜1200℃程度であるのに対し、SiCのエピタキシャル成膜温度は1500℃〜1800℃程度となっており、装置の耐熱構造や材料の分解抑制等に技術的な工夫が必要となる。このようなSiCのエピタキシャル成膜を行う基板処理装置としては、例えば、特許文献1に記載された技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、反応室に複数枚の基板を縦方向に積層して処理する、所謂バッチ式縦型基板処理装置が記載され、反応室の長手方向(上下方向)には、第1ガス供給ノズルおよび第2ガス供給ノズルが延在している。第1ガス供給ノズル(ガスノズル)は、シリコンおよび塩素含有ガスとしてのテトラクロロシラン(SiCl4)ガス等を反応室内に供給し、第2ガス供給ノズル(ガスノズル)は、還元ガスとしての水素(H2)ガス等を反応室内に供給する。そして、少なくともこれらの2種類の反応ガスは反応室の内部で混合され、その後、混合された反応ガスはウェーハ(基板)の表面に沿って流れる。これにより、ウェーハにSiC膜がエピタキシャル成長により形成される。
【0004】
このように、特許文献1に記載された基板処理装置は、第1ガス供給ノズルおよび第2ガス供給ノズルを設け、少なくとも2種類の反応ガスを反応室の内部で混合させている。これにより、1500℃〜1800℃にもなる反応室の内部に延在するガスノズルの内壁やガス供給口へのSiC膜の析出等を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−003885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
HCl等の塩素含有ガスは、ガスノズルの内壁やガス供給口に堆積したSiC膜をエッチングする効果がある。しかしながら、上述の特許文献1に記載された技術においては、第1ガス供給ノズルにおける最上段のガス供給口が、以下に述べる理由により閉塞する虞があった。
【0007】
図14はガス供給口が閉塞する理由を説明する説明図を示している。最上段のガス供給口h1以外は、その上方側にガスの流れが存在するが、最上段のガス供給口h1の上方側には、ガスの流れが存在せず、他のガス供給口h2とその条件が異なっている。即ち、最上段のガス供給口h1の上方側には、他のガス供給口h2と異なりガスの流れ(ガス流)が存在しない空間が広がっている。
【0008】
ここで、最上段以外のガス供給口h2から噴出したガスは、上下側に他のガス供給口から噴出したガスの流れが存在するため、その大部分はウェーハ方向(図中右側)に向かうことになる。しかしながら、最上段のガス供給口h1から噴出したガスは、その上方側に他のガス供給口から噴出したガスの流れが存在しないため、図中破線矢印uf1で示されるように最上段のガス供給口h1の上方側にある空間にも分散して流れることになる。したがって、ガス供給口h1の周辺は、ガスの分散によって、その下方側にある各ガス供給口h2〜hnに比して、HCl濃度が低くなる。
【0009】
そして、ガス供給口h1の周辺のHCl濃度が低下することにより、ガス供給口h1の周辺のエッチング効果が低下し、ひいてはガス供給口h1の周囲にくちばし状のSiC膜が成膜されてしまう。ガス供給口h1は、SiC膜の成長に伴い閉塞していき、これによりウェーハの成膜精度が低下して歩留まりを低下させることになる。また、ガス供給口h1の閉塞後は、その下のガス供給口h2が最上段のガス供給口となり、上述と同様のことを繰り返してしまう。
【0010】
本発明の目的は、ガスノズルのガス供給口を閉塞させること無く、歩留まりを良くすることができる基板処理装置およびガスノズルならびに基板若しくは半導体デバイスの製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0013】
すなわち、本発明に係る基板処理装置は、複数積層された基板を処理する反応容器と、前記反応容器内を加熱する加熱体と、前記反応容器内に設けられ、前記基板の積層方向に延びるガスノズルと、前記ガスノズルの基端部から先端部に向けて複数並んで設けられ、前記基板に向けて成膜ガスおよびエッチングガスを供給するガス供給口と、前記ガスノズルの先端部に設けられ、ガス供給方向に向けて延びる整流部材とが備えられる。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0015】
すなわち、ガスノズルのガス供給口を閉塞させること無く、歩留まりを良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る基板処理装置の概要を示す斜視図である。
【図2】処理炉の内部構造を示す断面図である。
【図3】ウェーハをウェーハホルダに保持させた場合を示す断面図である。
【図4】処理炉の横方向の断面を示す横断面図である。
【図5】(a),(b),(c)は、第1実施の形態に係る第1ガス供給ノズルの先端部の構造を説明する説明図である。
【図6】(a),(b)は、ガス供給ユニットの内部構造を説明する図である。
【図7】処理炉周辺の構造を示す断面図である。
【図8】基板処理装置の制御系統を説明するブロック図である。
【図9】図5(b)の破線円A部を拡大して示す拡大断面図である。
【図10】(a),(b)は、エッチングガスの濃度状態を比較して示す流体解析図(第1実施の形態)である。
【図11】(a),(b),(c)は、第2実施の形態に係る第1ガス供給ノズルの先端部の構造を説明する説明図である。
【図12】図11(b)の破線円B部を拡大して示す拡大断面図である。
【図13】(a),(b)は、エッチングガスの濃度状態を比較して示す流体解析図(第2実施の形態)である。
【図14】ガス供給口が閉塞する理由を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施の形態]
以下、本発明の第1実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施の形態では、基板処理装置の一例であるSiCエピタキシャル成長装置において、高さ方向(縦方向)にSiCウェーハを積層する、所謂バッチ式縦型SiCエピタキシャル成長装置を挙げている。これにより、一度に処理できるSiCウェーハの数を増やしてスループット(製造効率)を向上させている。
【0018】
<全体の構成>
図1は本発明に係る基板処理装置の概要を示す斜視図であり、まず、図1を用いて、本発明の一実施の形態におけるSiCエピタキシャル膜を成膜する基板処理装置、および、半導体デバイスの製造工程の一つであるSiCエピタキシャル膜を成膜する基板の製造方法について説明する。
【0019】
基板処理装置(成膜装置)としての半導体製造装置10は、バッチ式縦型熱処理装置であり、種々の機能を備えた複数の装置を収容する筐体12を有している。この半導体製造装置10では、例えば、SiC等で構成された基板としてのウェーハ14を収納する基板収容器として、ポッド(フープ)16をウェーハキャリアとして使用している。
【0020】
筐体12の正面側には、ポッドステージ18が設けられ、当該ポッドステージ18上にポッド16が搬送されるようになっている。ポッド16には、例えば、25枚のウェーハ14が収納され、蓋16aが閉じられた状態(密閉状態)のもとで、ポッドステージ18上にセットされる。
【0021】
筐体12の正面側で、かつポッドステージ18の背面側には、当該ポッドステージ18と対向するようにしてポッド搬送装置20が設けられている。また、ポッド搬送装置20の近傍でかつ背面側には、複数段(図示では3段)のポッド収納棚22,ポッドオープナ24および基板枚数検知器26が設けられている。各ポッド収納棚22は、ポッドオープナ24および基板枚数検知器26の上方側に設けられ、ポッド16を複数個搭載(図示では5個)し、その状態を保持するよう構成されている。ポッド搬送装置20は、ポッドステージ18,各ポッド収納棚22およびポッドオープナ24間で、次々とポッド16を搬送するようになっている。ポッドオープナ24は、ポッド16の蓋16aを開けるもので、基板枚数検知器26は、ポッドオープナ24に隣接して設けられ、蓋16aが開けられた状態のもとでポッド16内のウェーハ14の枚数を検知するものである。
【0022】
筐体12の内部には、その他に、基板移載機28,基板保持具としてのボート30が設けられている。基板移載機28は、例えば、5本のアーム(ツイーザ)32を備え、各アーム32は、図示しない駆動手段により昇降可能かつ回転可能な構造となっており、ポッド16から5枚のウェーハ14を一度に取り出せるようになっている。そして、各アーム32を正面側から背面側に反転移動させることで、ポッドオープナ24の位置にあるポッド16からボート30に向けて、ウェーハ14を5枚ずつ搬送することができる。
【0023】
ボート30は、例えば、カーボングラファイトやSiC等の耐熱性材料で所定形状に形成され、複数枚のウェーハ14を水平姿勢で、かつ互いに中心を揃えた状態のもとで、縦方向に積層保持するよう構成されている。なお、ボート30の下方側には、例えば、石英やSiC等の耐熱性材料により円柱形状に形成された断熱部材としてのボート断熱部34が設けられ、後述する加熱体48からの熱が、処理炉40の下方側に伝達し難くなっている(図2参照)。
【0024】
筐体12内の背面側でかつ上方側には、処理炉40が設けられている。処理炉40の内部には、複数枚のウェーハ14を装填したボート30が搬入され、これにより、複数積層したウェーハ14を一度に熱処理(バッチ処理)できるようになっている。
【0025】
<処理炉の構成>
図2は処理炉の内部構造を示す断面図を、図3はウェーハをウェーハホルダに保持させた場合を示す断面図を、図4は処理炉の横方向の断面を示す横断面図を、図5(a),(b),(c)は第1実施の形態に係る第1ガス供給ノズルの先端部の構造を説明する説明図を、図6(a),(b)はガス供給ユニットの内部構造を説明する図を、図7は処理炉周辺の構造を示す断面図を、図8は基板処理装置の制御系統を説明するブロック図をそれぞれ表している。次に、これらの図2〜図8を用いて、SiCエピタキシャル膜を成膜する半導体製造装置10の処理炉40について説明する。
【0026】
処理炉40には、第1ガス供給口68を有する第1ガス供給ノズル60,第2ガス供給口72を有する第2ガス供給ノズル70および、各ガス供給ノズル60,70からの反応ガスを外部に排気する第1ガス排気口90が設けられている。また、不活性ガスを供給する第3ガス供給口360および、当該不活性ガスを外部に排気する第2ガス排気口390が設けられている。
【0027】
処理炉40は反応管42を備えている。反応管42は、石英またはSiC等の耐熱性材料よりなり、上方側が閉塞され下方側が開口した有底筒状に形成されている。反応管42の開口側(下方側)には、反応管42と同心円状にマニホールド36が配設されている。マニホールド36は、例えば、ステンレス材料等からなり、上方側および下方側が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド36は反応管42を支持し、マニホールド36と反応管42との間には、シール部材としてのOリング(図示せず)が設けられている。これにより、反応管42およびマニホールド36の内部に充填された反応ガスが外部に漏洩するのを防止している。
【0028】
マニホールド36は、その下方側に設けられた保持体(図示せず)に支持されており、これにより反応管42は、地面(図示せず)に対して垂直に据え付けられた状態となっている。ここで、反応管42およびマニホールド36により、反応容器を形成している。
【0029】
処理炉40は加熱体48を備えている。加熱体48は、上方側が閉塞され下方側が開口された有底筒状に形成されている。加熱体48は反応管42の内部に設けられ、加熱体48の内部には反応室44が形成されている。反応室44には、SiC等で構成されたウェーハ14を保持したボート30が収納されるようになっている。
【0030】
ここで、図3に示すように、ウェーハ14をウェーハホルダ15に保持させるようにすると良い。ウェーハホルダ15を、円環状に形成した下部ウェーハホルダ15aと円板状に形成した上部ウェーハホルダ15bとから形成し、下部ウェーハホルダ15aと上部ウェーハホルダ15bとの間にウェーハ14を挟むようにする。これにより、ウェーハ14の上方側から落下してくるパーティクル(微細ゴミ)からウェーハ14を保護することができ、成膜面(ウェーハ14の下面)とは反対側の面(ウェーハ14の上面)が成膜されるのを抑制できる。さらに、ウェーハ14の成膜面をボート30(ボート柱)から離間させることができるので、ボート柱の影響により反応ガスがウェーハ14の成膜面に流れ難くなるような不具合を確実に防止できる。この場合においても、ボート30は、複数枚のウェーハ14を、水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態のもとで、下部ウェーハホルダ15aおよび上部ウェーハホルダ15bを介して、縦方向に積層保持することになる。
【0031】
処理炉40は、磁場発生部として機能する誘導コイル50を備えている。誘導コイル50は、円筒形状の支持部材51の内周側に螺旋状に固定され、当該誘導コイル50は外部電源(図示せず)により通電されるようになっている。誘導コイル50を通電することにより当該誘導コイル50は磁場を発生し、ひいては加熱体48が誘導加熱される。このように加熱体48を誘導加熱により発熱させることで、反応室44内が加熱されるようになっている。
【0032】
加熱体48の近傍には、反応室44内の温度を検出する温度検出体としての温度センサ(図示せず)が設けられており、当該温度センサおよび誘導コイル50は、コントローラ152の温度制御部52(図8参照)と電気的に接続されている。温度制御部52は、温度センサにより検出された温度情報に基づいて、反応室44内の温度が所望の温度分布となるよう、誘導コイル50への通電具合を所定のタイミングで調節(制御)するようになっている。
【0033】
反応管42と加熱体48との間には、例えば、誘導加熱され難いカーボンフェルト等で形成された断熱材54が設けられている。断熱材54は、反応管42および加熱体48と同様に、上方側が閉塞され下方側が開口された有底筒状に形成されている。このように、断熱材54を設けることで、加熱体48の熱が反応管42あるいは反応管42の外部に伝達されるのを抑制している。
【0034】
また、誘導コイル50の外周側には、反応室44内の熱が外部に伝達されるのを抑制するために、例えば、水冷構造の外側断熱壁55が設けられている。外側断熱壁55は円筒形状に形成され、反応室44(支持部材51)を包囲するよう配置されている。さらに、外側断熱壁55の外周側には、誘導コイル50を通電することで発生する磁場が、外部に漏洩するのを防止するための磁気シール58が設けられている。磁気シール58においても、上方側が閉塞され下方側が開口された有底筒状に形成されている。
【0035】
加熱体48の内周側とウェーハ14の外周側との間には、第1ガス供給口68を有する第1ガス供給ノズル60が設けられている。また、加熱体48の内周側とウェーハ14の外周側との間には、第2ガス供給口72を有する第2ガス供給ノズル70が設けられている。第1ガス供給ノズル60および第2ガス供給ノズル70は、それぞれウェーハ14の周方向に沿って所定間隔を持って設けられ、各ガス供給ノズル60,70の各ガス供給口68,72は、ウェーハ14に向けられている。また、第1ガス排気口90においても、加熱体48の内周側とウェーハ14の外周側との間に開口している。つまり、各ガス供給口68,72および第1ガス排気口90は、それぞれ反応室44と対向している。さらに、反応管42の内周側と断熱材54の外周側との間には、第3ガス供給口360および第2ガス排気口390が設けられている。
【0036】
ここで、第1ガス供給ノズル60および第2ガス供給ノズル70は、図2に示すように、少なくともそれぞれ1本ずつ設ければ良いが、図4に示すように、2本の第1ガス供給ノズル60と3本の第2ガス供給ノズル70を設けるようにしても良い。この場合、3本の第2ガス供給ノズル70の間に、ウェーハ14の周方向に沿うよう交互に2本の第1ガス供給ノズル60を並べて配置する。これにより、第1ガス供給ノズル60および第2ガス供給ノズル70から異なる種類の反応ガスを供給したときに、反応室44内において効率の良く反応ガスを混合させることができる。また、第1ガス供給ノズル60および第2ガス供給ノズル70を合計奇数本とすることで、中央部分に位置するガス供給ノズルを中心として、その両側(図4中上下側)にバランス良く反応ガスを供給することができる。よって、ウェーハ14の成膜面に対して反応ガスを均一に供給することができ、成膜精度を向上させることが可能となる。なお、第1ガス供給ノズル60および第2ガス供給ノズル70から供給される反応ガスの種類については後述する。
【0037】
図2に示すように、第1ガス供給ノズル(ガスノズル)60は、例えば、カーボングラファイト等の耐熱材料にて中空パイプ状に形成され、基端部60aおよび先端部60bを備えている。第1ガス供給ノズル60の基端部60aは、反応管42およびマニホールド36からなる反応容器の開口側、つまりマニホールド36側に設けられ、マニホールド36を貫通して当該マニホールド36に固定されている。第1ガス供給ノズル60は、反応室44内にその長手方向に延在するよう、つまり各ウェーハ14の積層方向に延びるよう設けられ、第1ガス供給ノズル60の先端部60bは、反応管42の底側(上方側)に設けられている。
【0038】
第1ガス供給ノズル60の基端部60aと先端部60bとの間で、かつ第1ガス供給ノズル60の長手方向に沿う先端部60b寄り、つまりウェーハ14に対応する部位には、基端部60aから先端部60b向けて複数並んで、ウェーハ14に向けて反応ガスを供給するための複数の第1ガス供給口68が設けられている。各第1ガス供給口68はそれぞれ等間隔で設けられ、これにより複数のウェーハ14のそれぞれに対して反応ガスを均一に供給できるようにしている。なお、第1ガス供給ノズル60の基端部60aは、第1ガスライン222を介してガス供給ユニット200に接続されている。
【0039】
第1ガス供給ノズル60の先端部60bには、図5に示すように、整流部材としての整流板61が設けられている。整流板61は、第1ガス供給ノズル60と同じ材料、つまり、カーボングラファイト等の耐熱材料にて平板状に形成されている。整流板61には、第1ガス供給ノズル60の先端部60bが差し込まれて固定される固定凹部61aが形成されており、この固定凹部61aは、整流板61の各短辺部61b,61cのうちの一方の短辺部61b寄りに設けられている。そして、固定凹部61aに先端部60bを差し込んで両者を溶着等することで、互いに強固に固定されている。ただし、整流板61と第1ガス供給ノズル60とを別体とせずに、図5(c)に示すように、整流板61と第1ガス供給ノズル60とを一体としても良い。
【0040】
整流板61は、第1ガス供給口68側(図中右方側)を上方側から覆うよう設けられ、つまり整流板61の他方の短辺部61cは、ガス供給方向(ウェーハ14側)に向けて延びている。また、整流板61は、各第1ガス供給口68のうちの最上段(図中上方側)にある第1ガス供給口681の上方側に近接配置され、これにより整流板61は、第1ガス供給口681から噴出する反応ガスをウェーハ14側に向けて整流する。以下、各第1ガス供給口68を、それぞれ最上段から符号681,682,683・・・68nを付して説明する。
【0041】
第2ガス供給ノズル70は、例えば、カーボングラファイト等の耐熱材料にて中空パイプ状に形成され、基端部70aおよび先端部70bを備えている。第2ガス供給ノズル70の基端部70aは、反応管42およびマニホールド36からなる反応容器の開口側、つまりマニホールド36側に設けられ、マニホールド36を貫通して当該マニホールド36に固定されている。第2ガス供給ノズル70は、反応室44内にその長手方向に延在するよう設けられ、第2ガス供給ノズル70の先端部70bは、反応管42の底側に設けられている。
【0042】
第2ガス供給ノズル70の基端部70aと先端部70bとの間で、かつ第2ガス供給ノズル70の長手方向に沿う先端部70b寄り、つまりウェーハ14に対応する部位には、基端部70aから先端部70b向けて複数並んで、ウェーハ14に向けて反応ガスを供給するための複数の第2ガス供給口72が設けられている。各第2ガス供給口72はそれぞれ等間隔で設けられ、これにより複数のウェーハ14のそれぞれに対して反応ガスを均一に供給できるようにしている。なお、第2ガス供給ノズル70の基端部70aは、第2ガスライン260を介してガス供給ユニット200に接続されている。また、第1ガス供給ノズル60のように先端部70bに整流板を設けても良い。これにより、最上段の第2ガス供給口72から噴出するガスの流れをウェーハ14の方向に向けることが可能となる。
【0043】
ここで、図4に示すように、反応室44の内部において、各ガス供給ノズル60,70と第1ガス排気口90との間でかつ加熱体48とウェーハ14との間に、当該空間を埋めるよう反応室44の長手方向に延在する断面が円弧形状の構造物300を設けるようにすると良い。例えば、図4に示すように、対向位置に構造物300をそれぞれ設けることで、各ガス供給ノズル60,70から供給される反応ガスが、加熱体48の内壁に沿って流れてウェーハ14を迂回してしまうのを防止できる。構造物300としては、耐熱性およびパーティクルの発生を考慮すると、カーボングラファイト等で構成するのが望ましい。
【0044】
図2に示すように、ボート30を挟む各ガス供給口68,72との対向箇所でかつボート30の下方側には、第1ガス排気口90が設けられ、マニホールド36には、第1ガス排気口90に接続されたガス排気管230が貫通して固定されている。ガス排気管230の下流側には、圧力検出器としての圧力センサ(図示せず)が設けられ、さらには圧力調整器としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ214を介して真空ポンプ等の真空排気装置220が接続されている。圧力センサおよびAPCバルブ214には、コントローラ152の圧力制御部98(図8参照)が電気的に接続されている。圧力制御部98は、圧力センサにより検出された圧力に基づき、所定のタイミングでAPCバルブ214の開度を調節(制御)し、ひいては処理炉40内の圧力を所定の圧力とするように調整するようになっている。
【0045】
このように、第1ガス排気口90を各ガス供給口68,72の対向箇所に配置することで、各ガス供給口68,72から供給された反応ガスを、ウェーハ14の側方から水平方向に流してウェーハ14の成膜面に満遍なく行き渡らせた後、第1ガス排気口90から排気することができる。これにより、ウェーハ14の成膜面全体を効果的かつ均一となるよう反応ガスに曝して成膜精度を向上させている。
【0046】
第3ガス供給口360は、各ガス供給口68,72側で、反応管42と断熱材54との間に配置されている。第3ガス供給口360は、マニホールド36を貫通して当該マニホールド36に固定された第3ガスライン240の一端側に設けられ、第3ガスライン240の他端側はガス供給ユニット200に接続されている。また、第2ガス排気口390は、第1ガス排気口90側で、反応管42と断熱材54との間、つまり断熱材54を挟む第3ガス供給口360との対向箇所に配置されており、当該第2ガス排気口390は、ガス排気管230に接続されている。
【0047】
第3ガスライン240は、図6に示すように、バルブ212fおよびMFC(Mass Flow Controller)211fを介して、第4ガス供給源210fに接続されている。第4ガス供給源210fからは、例えば不活性ガスとして、希ガスのArガスが供給され、SiCエピタキシャル膜の成長に寄与する反応ガスが、反応管42と断熱材54との間に進入するのを防止している。これにより、反応管42の内壁や断熱材54の外壁に不要な生成物が付着せず、装置のメンテナンス周期を延ばせるようにしている。なお、反応管42と断熱材54との間に供給された不活性ガス(Arガス等)は、第2ガス排気口390,ガス排気管230およびAPCバルブ214を介して、真空排気装置220から外部に排気される。
【0048】
<反応ガス供給系の構成>
次に、図6を用いて、第1ガス供給系および第2ガス供給系について説明する。図6(a)は、Si原子含有ガスとC(炭素)原子含有ガスとを異なるガス供給ノズルから供給するセパレート方式を示し、図6(b)は、Si原子含有ガスとC原子含有ガスとを同じガス供給ノズルから供給するプレミックス方式を示している。
【0049】
まず、セパレート方式について説明する。図6(a)に示すように、セパレート方式では、第1ガスライン222は、バルブ212a,212b,212cおよびMFC(流量制御手段)211a,211b,211cを介して、第1ガス供給源210a,第2ガス供給源210b,第3ガス供給源210cに接続されている。第1ガス供給源210aからはSiH4ガスが、第2ガス供給源210bからはHClガスが、第3ガス供給源210cからは不活性ガスがそれぞれ供給される。
【0050】
これにより、SiH4ガス,HClガス,不活性ガスのそれぞれの供給流量,濃度,分圧,供給タイミングを、反応室44内に対して制御可能となっている。バルブ212a〜212cおよびMFC211a〜211cは、コントローラ152のガス流量制御部78(図8参照)に電気的に接続されている。ガス流量制御部78は、供給すべきそれぞれのガスの流量を所定流量とするよう、所定のタイミングで制御するようになっている。ここで、SiH4ガス(成膜ガス),HClガス(エッチングガス),不活性ガスをそれぞれ供給するガス供給源210a〜210c,バルブ212a〜212c,MFC211a〜211c,第1ガスライン222,第1ガス供給ノズル60および各第1ガス供給口68によって、第1ガス供給系を構成している。
【0051】
第2ガスライン260は、バルブ212d,212eおよびMFC211d,211eを介して、第5ガス供給源210d,第6ガス供給源210eに接続されている。第5ガス供給源210dからは、C原子含有ガスとして、例えばC3H8ガス(成膜ガス)が、第6ガス供給源210eからは、還元ガスとして、例えばH2ガスがそれぞれ供給される。
【0052】
これにより、C3H8ガス,H2ガスのそれぞれの供給流量,濃度,分圧,供給タイミングを、反応室44内に対して制御可能となっている。バルブ212d,212eおよびMFC211d,211eは、コントローラ152のガス流量制御部78(図8参照)に電気的に接続されている。ガス流量制御部78は、供給すべきそれぞれのガスの流量を所定流量とするよう、所定のタイミングで制御するようになっている。ここで、C3H8ガス,H2ガスをそれぞれ供給するガス供給源210d,210e,バルブ212d,212e,MFC211d,211e,第2ガスライン260,第2ガス供給ノズル70および第2ガス供給口72によって、第2ガス供給系を構成している。
【0053】
このようにセパレート方式においては、Si原子含有ガスとC原子含有ガスとを異なるガス供給ノズルから供給することにより、ガス供給ノズル内においてSiC膜が成膜されないよう(堆積しないよう)にしている。なお、Si原子含有ガスおよびC原子含有ガスの濃度や流速を調整する場合には、それぞれ適切なキャリアガスを供給すれば良い。
【0054】
また、Si原子含有ガスをより効率的に使用するために、還元ガスとしてH2ガスを用い、当該H2ガスをC原子含有ガスとともに第2ガス供給ノズル70から供給している。これにより、反応室44内において、H2ガスおよびC原子含有ガスをSi原子含有ガスと混合させてH2ガスを少ない状態とし、その結果、Si原子含有ガスの分解を成膜時と比較して抑制している。よって、第1ガス供給ノズル60内でのSi膜の成膜(堆積)を抑制している。この場合、H2ガスをC原子含有ガスのキャリアガスとして用いることができる。なお、Si原子含有ガスのキャリアガスとしては、Arガスのような不活性ガス(特に希ガス)を用いることで、Si膜の堆積を抑制することができる。
【0055】
さらに、第1ガス供給ノズル60からは、塩素原子含有ガスとしてHClガスを供給するようにしている。これにより、Si原子含有ガスが熱により分解され、第1ガス供給ノズル60内に堆積し得る状態となったとしても、HClガスによりエッチングモードとなり、その結果、第1ガス供給ノズル60内でのSi膜の成膜(堆積)を抑制している。なお、HClガスには堆積してしまったSi膜をエッチングする効果もあるため、第1ガス供給口68が閉塞するのを効果的に抑制することもできる。
【0056】
次に、図6(b)に示すプレミックス方式について説明する。プレミックス方式のセパレート方式と異なる点は、C原子含有ガスのガス供給源210dを、MFC211d,バルブ212dを介して第1ガスライン222に接続した点である。これにより、Si原子含有ガスとC原子含有ガスとを、第1ガスライン222内で予め混合しておくことができる。よって、上述したセパレート方式に比して反応ガスの混合効率を高めることができ、ひいては成膜時間の短縮等を図ることが可能となる。
【0057】
この場合、第2ガスライン260を介して第2ガス供給ノズル70から、H2ガスを単独で供給することができるので、HClガスとH2ガスとの比(Cl/H)を大きくすることができ、ひいては第1ガス供給ノズル60におけるエッチング効果の方を大きくして、Si原子含有ガスの反応を抑制することができる。このように、プレミックス方式であっても、ある程度、第1ガス供給ノズル60におけるSiC膜の成膜(堆積)を抑制することができる。
【0058】
なお、上述においては、SiCエピタキシャル膜を成膜する際に使用する塩素原子含有ガス(エッチングガス)として、HClガスを使用しているが、これに限らず、Clガス(塩素ガス)等を使用しても良い。
【0059】
また、上述においては、SiCエピタキシャル膜を成膜する際に、Si(シリコン)原子含有ガスとCl(塩素)原子含有ガスとを別々に供給しているが、これに限らず、Si原子とCl原子とを含むガス、例えば、テトラクロロシラン(SiCl4)ガス,トリクロロシラン(SiHCl3)ガス,ジクロロシラン(SiH2Cl2)ガス等を供給しても良い。これらのSi原子とCl原子とを含むガスは、Si原子含有ガス、または、Si原子含有ガスおよびCl原子含有ガスの混合ガスであるとも言える。特に、SiCl4ガスは、熱分解される温度が比較的高温であるため、第1ガス供給ノズル60内でのSi原子の消費を抑制するという観点から優れている。
【0060】
さらに、上述においては、C(炭素)原子含有ガスとして、C3H8ガスを使用しているが、これに限らず、エチレン(C2H4)ガス,アセチレン(C2H2)ガス等を使用しても良い。
【0061】
また、上述においては、還元ガスとして、H2ガスを使用しているが、これに限らず、他のH(水素)原子含有ガスを使用しても良い。さらに、キャリアガスとしては、Ar(アルゴン)ガス,He(ヘリウム)ガス,Ne(ネオン)ガス,Kr(クリプトン)ガス,Xe(キセノン)ガス等の希ガスのうちの少なくとも1つを使用しても良いし、これらの希ガスを任意に組み合わせた混合ガスを使用しても良い。
【0062】
<処理炉の周辺の構成>
次に、図7を用いて、処理炉40およびその周辺の構成について説明する。処理炉40の下方側には、当該処理炉40の開口部分である炉口144を気密に閉塞するシールキャップ(炉口蓋体)102が設けられている。シールキャップ102は、例えば、ステンレス等の金属材料により略円盤状に形成されている。シールキャップ102と処理炉40の天板126との間には、両者間をシールするシール部材としてのOリング(図示せず)が設けられ、これにより処理炉40内を気密に保持できるようにしている。
【0063】
シールキャップ102には回転機構104が設けられ、当該回転機構104の回転軸106は、シールキャップ102を貫通してボート断熱部34に連結されている。そして、回転機構104を回転駆動することにより、回転軸106を介して処理炉40内でボート30が回転し、これに伴いウェーハ14も回転するようになっている。
【0064】
シールキャップ102は、処理炉40の外側に設けられた昇降モータ(昇降機構)122によって垂直方向(上下方向)に昇降されるよう構成され、これによりボート30を処理炉40に対して搬入搬出できるようになっている。回転機構104および昇降モータ122には、コントローラ152の駆動制御部108(図8参照)が電気的に接続されている。駆動制御部108は、回転機構104および昇降モータ122を、所定の動作をするよう所定のタイミングにて制御するようになっている。
【0065】
処理炉40の下方側には、予備室としてのロードロック室110が設けられ、当該ロードロック室110の外側には下基板112が設けられている。下基板112には、昇降台114を摺動自在に支持するガイドシャフト116の基端部が固定され、また、昇降台114と螺合するボール螺子118の基端部が回転自在に支持されている。また、ガイドシャフト116の先端部およびボール螺子118の先端部には、上基板120が装着されている。ボール螺子118は上基板120に搭載された昇降モータ122により回転駆動され、昇降台114はボール螺子118の回転駆動により昇降するようになっている。
【0066】
昇降台114には、中空パイプ状の昇降シャフト124が垂下するよう固定され、昇降台114と昇降シャフト124との連結部分は気密となっている。これにより、昇降シャフト124は、昇降台114とともに昇降するようになっている。昇降シャフト124は、ロードロック室110の上方側の天板126に設けられた貫通孔126aを、所定の隙間を持って貫通している。つまり、昇降シャフト124が昇降する際に、当該昇降シャフト124は天板126に接触することが無い。
【0067】
ロードロック室110と昇降台114との間には、昇降シャフト124の周囲を覆うよう伸縮性を有するベローズ(中空伸縮体)128が設けられ、当該ベローズ128によりロードロック室110は気密に保持されている。なお、ベローズ128は、昇降台114の昇降量に対応し得る充分な伸縮量を備え、ベローズ128の内径は昇降シャフト124の外径に比べて充分に大きくなっている。これにより、ベローズ128は、その伸縮時において、昇降シャフト124と接触すること無くスムーズに伸縮することができる。
【0068】
昇降シャフト124の下方側には、昇降基板130が水平に固定され、当該昇降基板130の下方側には、Oリング等のシール部材(図示せず)を介して駆動部カバー132が気密に取り付けられている。昇降基板130および駆動部カバー132は、駆動部収納ケース134を構成しており、これにより、駆動部収納ケース134内の雰囲気とロードロック室110内の雰囲気とを隔離している。
【0069】
駆動部収納ケース134の内部には、ボート30を回転駆動する回転機構104が設けられ、当該回転機構104の周辺は、水冷構造の冷却機構135により冷却されるようになっている。
【0070】
回転機構104には電力ケーブル138が電気的に接続されており、当該電力ケーブル138は、昇降シャフト124の上方側から中空部を通って、回転機構104に導かれている。また、冷却機構135およびシールキャップ102には、冷却水流路140がそれぞれ形成されており、これらの冷却水流路140には、それぞれ冷却水配管142が接続されている。各冷却水配管142は、昇降シャフト124の上方側から中空部を通って、各冷却水流路140に導かれている。
【0071】
コントローラ152の駆動制御部108により昇降モータ122を回転駆動させることで、ボール螺子118が回転し、これにより昇降台114および昇降シャフト124が昇降し、ひいては駆動部収納ケース134が昇降する。そして、駆動部収納ケース134を上昇させることで、昇降基板130に気密に設けたシールキャップ102が処理炉40の開口部である炉口144を密閉し、これによりウェーハ14を熱処理できる状態となる。また、駆動部収納ケース134を下降させることで、シールキャップ102とともにボート30が降下して、ウェーハ14を処理炉40の外部に搬出できる状態となる。
【0072】
図8に示すように、SiCエピタキシャル膜を成膜する半導体製造装置10を制御するコントローラ152は、温度制御部52,ガス流量制御部78,圧力制御部98および駆動制御部108を備えている。これらの温度制御部52,ガス流量制御部78,圧力制御部98および駆動制御部108は、操作部および入出力部を構成し、半導体製造装置10の全体を制御する主制御部150に電気的に接続されている。
【0073】
<SiCエピタキシャル膜の成膜方法>
次に、上述した半導体製造装置10を用い、半導体デバイスの製造工程の一工程として、SiC等で構成されるウェーハ14等の基板上に、例えば、SiCエピタキシャル膜を成膜する基板の製造方法(処理方法)について説明する。なお、以下の説明における半導体製造装置10を構成する各部分の動作は、コントローラ152によって制御される。
【0074】
まず、図1に示すように、ポッドステージ18に複数枚のウェーハ14を収納したポッド16をセットする(図1参照)。すると、ポッド搬送装置20が動作して、ポッド16がポッドステージ18からポッド収納棚22へ搬送されてストックされる。次に、ポッド搬送装置20により、ポッド収納棚22にストックされたポッド16をポッドオープナ24に搬送してセットし、当該ポッドオープナ24によりポッド16の蓋16aが開かれて、基板枚数検知器26によりポッド16に収納されているウェーハ14の枚数を検知する。
【0075】
その後、基板移載機28の動作により、ポッドオープナ24の位置にあるポッド16からウェーハ14を取出し、ボート30に移載する。
【0076】
複数枚のウェーハ14がボート30に装填されて積層されると、各ウェーハ14を保持したボート30は、昇降モータ122の回転駆動による昇降台114および昇降シャフト124の昇降動作により反応室44内に搬入、つまりボートローディングされる。ボート30が反応室44内に完全に搬入されると、シールキャップ102は反応室44をシールした状態となり、これにより反応室44の気密が保持される。ここまでの一連の工程、つまりボート30に複数積層された各ウェーハ14を反応管42内に搬入し、シールキャップ102により密閉するまでの工程(ボートローディング工程)が、本発明における基板搬送工程を構成している。
【0077】
ボート30を反応室44に搬入した後、反応室44の内部圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気装置220が駆動され、反応室44が真空排気(真空引き)される。この時、反応室44の内部圧力は、圧力センサによって測定され、測定された圧力に基づいて第1ガス排気口90および第2ガス排気口390に連通するAPCバルブ214がフィードバック制御される。
【0078】
また、ウェーハ14の温度および反応室44の内部温度を所定の温度とするよう、誘導コイル50が通電され、これにより加熱体48が加熱される。この時、反応室44の内部温度が所定の温度分布(例えば均一温度分布)となるよう、温度センサが検出した温度情報に基づいて誘導コイル50への通電具合をフィードバック制御する。続いて、回転機構104によりボート30が回転駆動されて、これにより各ウェーハ14も反応室44の内部で回転される。
【0079】
その後、MFC211a,211bおよびバルブ212a,212bを制御し、これにより、SiCエピタキシャル膜の成膜に寄与するSi原子含有ガス(成膜ガス)およびCl原子含有ガス(エッチングガス)を、各ガス供給源210a,210bから供給する。すると、第1ガス供給ノズル60の各第1ガス供給口68から、反応室44内の各ウェーハ14に向けて反応ガスが噴射される。
【0080】
ここで、図9は図5(b)の破線円A部を拡大して示す拡大断面図を、図10(a),(b)はエッチングガスの濃度状態を比較して示す流体解析図(第1実施の形態)をそれぞれ表している。
【0081】
図9に示すように、各第1ガス供給口68から各ウェーハ14に向けて噴射された反応ガスは、基本的に、各ウェーハ14に向けて真っ直ぐ流れる。即ち、第1ガス供給ノズル60の先端部60bには整流板61を設けているので、第1ガス供給ノズル60の最上段にある第1ガス供給口681からの上方側への反応ガスの流れが規制され、各ウェーハ14に向けて流れるよう整流される。
【0082】
これにより、従前のように反応ガスが斜め上方に拡散するのを防止することができる。つまり、第1ガス供給口681の周辺におけるエッチングガスの濃度を、他の各ガス供給口682〜68nと略同等にして、第1ガス供給口681のエッチング効果の低下を抑制することができる。具体的には、図10の流体解析結果(比較結果)に示すように、整流板61を設けた図10(a)においては、整流板61を設けていない図10(b)に比して、第1ガス供給口681の周辺におけるエッチングガスの濃度低下が抑えられていることが分かる。つまり、第1実施の形態の方が比較例よりも、エッチングガスの濃度が高い濃色部分が多くなっていることが分かる。
【0083】
また、C原子含有ガスおよび還元ガスであるH2ガスを、所定の流量となるよう対応するMFC211d,211eの開度を制御した後、バルブ212d,212eを制御する。すると、それぞれの反応ガスが第2ガスライン260を流通するようになる。これにより、第2ガス供給ノズル70の各第2ガス供給口72から、反応室44内の各ウェーハ14に向けて反応ガスが噴射される。
【0084】
各第1ガス供給口68および各第2ガス供給口72から噴射された反応ガスは、反応室44内の加熱体48の内周側を流れて、第1ガス排気口90からガス排気管230を介して外部に排気される。各第1ガス供給口68および第2ガス供給口72より供給された反応ガスは、それぞれ噴射直後に混合され、反応室44内を通過する際にSiC等で構成される各ウェーハ14と接触し、これにより各ウェーハ14の表面上に、SiCエピタキシャル膜が成膜されていく。
【0085】
また、MFC211fおよびバルブ212fが制御され、第4ガス供給源210fからの不活性ガスとしてのArガス(希ガス)が所定の流量となるよう調整され、第3ガスライン240および第3ガス供給口360を介して、断熱材54と反応管42との間に供給される。第3ガス供給口360から供給されたArガスは、断熱材54と反応管42との間を流れて、第2ガス排気口390から排気される。その後、上述のように反応ガスを各ウェーハ14に曝して、予め設定された時間が経過すると、各反応ガスの供給制御が停止される。ここまでの一連の工程、つまり反応ガスの供給により各ウェーハ14の表面上にSiCエピタキシャル膜を成膜する工程が、本発明における基板処理工程を構成している。
【0086】
次いで、図示しない不活性ガス供給源から不活性ガスが供給され、反応室44内の加熱体48の内側の空間が不活性ガスで置換され、さらに反応室44の内部圧力が常圧に復帰される。
【0087】
反応室44内が常圧に復帰した後、昇降モータ122の回転駆動によりシールキャップ102が下降し、処理炉40の炉口144が開口される。これに伴い、熱処理済み(成膜処理済み)の各ウェーハ14が、ボート30に保持された状態でマニホールド36の下方側から反応管42の外部に搬出、つまりボートアンローディングされる。ボート30に保持された各ウェーハ14は、冷えるまでロードロック室110の内部で待機状態となる。
【0088】
その後、各ウェーハ14が所定の温度にまで冷却されると、基板移載機28の動作により、各ウェーハ14がボート30から取り出され、ポッドオープナ24にセットされている空のポッド16に搬送されて収納される。その後、ポッド搬送装置20の動作により、各ウェーハ14を収納したポッド16が、ポッド収納棚22またはポッドステージ18に搬送される。このようにして、半導体製造装置10の一連の動作が完了する。
【0089】
<第1実施の形態の代表的効果>
以上、第1実施の形態で説明した技術的思想によれば、少なくとも、以下に記載する複数の効果のうち、1つ以上の効果を奏する。
【0090】
(1)第1実施の形態によれば、複数積層されたウェーハ14を処理(熱処理)する反応管42(マニホールド36)と、反応管42内を加熱する加熱体48と、反応管42内に設けられ、各ウェーハ14の積層方向に延びる第1ガス供給ノズル60と、第1ガス供給ノズル60の基端部60aから先端部60bに向けて複数並んで設けられ、各ウェーハ14に向けてSi原子含有ガス(成膜ガス)およびCl原子含有ガス(エッチングガス)を供給する第1ガス供給口68と、第1ガス供給ノズル60の先端部60bに設けられ、ガス供給方向に向けて延びる整流板61とを備えている。これにより、最上段の第1ガス供給口681の周辺におけるエッチングガスの濃度低下を抑えることができ、第1ガス供給口681を閉塞させることが無いので、歩留まりを良くすることができる。
【0091】
(2)第1実施の形態によれば、第1ガス供給ノズル60と整流板61とを別部材で形成し、第1ガス供給ノズル60の先端部60bに整流板61を固定したので、第1ガス供給ノズル60と整流板61とを別々に容易に成形することができる。
【0092】
(3)第1実施の形態によれば、第1ガス供給ノズル60と整流板61とを一体成形することもでき、この場合、半導体製造装置10の組み立て時や使用時の振動等により、整流板61が第1ガス供給ノズル60から外れるようなことが無い。したがって、組み立て性やメンテナンス性を向上させることが可能となる。
【0093】
(4)第1実施の形態によれば、第1ガス供給ノズルおよび第2ガス供給ノズルを備え、第1ガス供給ノズル60の第1ガス供給口68からは、Si原子含有ガスとCl原子含有ガスとを供給し、第2ガス供給ノズル70の第2ガス供給口72からは、還元ガスを供給し、さらにC原子含有ガスを、第1ガス供給口68(プレミックス方式)または第2ガス供給口72(セパレート方式)のいずれか一方から供給することができる。
【0094】
(5)第1実施の形態で説明した半導体製造装置10を、半導体装置の製造方法における基板の処理工程において用いることにより、半導体装置の製造方法において、上述した複数の効果のうち、1つ以上の効果を奏する。
【0095】
(6)第1実施の形態で説明した半導体製造装置10を、SiCエピタキシャル膜を形成する基板の製造方法における基板の処理工程において用いることにより、SiCエピタキシャル膜を形成する基板の製造方法において、上述した複数の効果のうち、1つ以上の効果を奏する。
【0096】
[第2実施の形態]
次に、本発明の第2実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、上述した第1実施の形態と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0097】
図11(a),(b),(c)は第2実施の形態に係る第1ガス供給ノズルの先端部の構造を説明する説明図を、図12は図11(b)の破線円B部を拡大して示す拡大断面図を、図13(a),(b)はエッチングガスの濃度状態を比較して示す流体解析図(第2実施の形態)をそれぞれ表している。
【0098】
図11に示すように、第2実施の形態に係る半導体製造装置400は、上述した第1実施の形態に比して整流部材の形状のみが異なっている。第1実施の形態に係る半導体製造装置10では、整流部材として板状の整流板61(図5参照)を採用したが、第2実施の形態に係る半導体製造装置400では、略箱形状の整流部材410を採用している。
【0099】
整流部材410は、第1ガス供給ノズル60と同じ材料、つまり、カーボングラファイト等の耐熱材料にて略箱形状に形成されている。整流部材410は、図5に示す整流板61よりも肉厚に形成され、各ウェーハ14側となるガス供給方向(図中右側)に向けて延びる第1延在部411と、第1延在部411の先端側(図中右方側)から第1ガス供給ノズル60の基端部60a(図2参照)に向けて延びる第2延在部412とを備えている。第1延在部411および第2延在部412は、第1ガス供給ノズル60の先端部60bが差し込まれて固定される固定凹部413と、第1ガス供給口681と対向する流路屈曲凹部414とを形成している。
【0100】
固定凹部413は、整流部材410の各短辺部415,416のうちの一方の短辺部415寄りに設けられている。そして、固定凹部413に先端部60bを差し込んで両者を溶着等することで、互いに強固に固定されている。ただし、整流部材410と第1ガス供給ノズル60とを別体とせずに、図11(c)に示すように、整流部材410と第1ガス供給ノズル60とを一体としても良い。
【0101】
整流部材410の第2延在部412は、整流部材410の他方の短辺部416寄りに設けられ、第2延在部412により形成される流路屈曲凹部414は、最上段の第1ガス供給口681に対して所定の隙間を持って対向している。そして、流路屈曲凹部414は、第1ガス供給口681から供給される反応ガスの流路を、他の第1ガス供給口682,683・・・68nに向けて(図中下方側に向けて)屈曲させるようになっている。
【0102】
図12に示すように、各第1ガス供給口68から各ウェーハ14に向けて噴射された反応ガスは、基本的に、各ウェーハ14に向けて真っ直ぐ流れる。即ち、第1ガス供給ノズル60の先端部60bには整流部材410を設けているので、第1ガス供給ノズル60の最上段にある第1ガス供給口681から噴射される反応ガスは、その全てが流路屈曲凹部414により第1ガス供給口681の下方側にある他の第1ガス供給口682,683・・・68nに向けられる。
【0103】
これにより、従前のように反応ガスが斜め上方に拡散するのを防止することができる。つまり、第1ガス供給口681の周辺におけるエッチングガスの濃度を、他の各ガス供給口682〜68nと略同等かそれ以上にして、第1ガス供給口681のエッチング効果の低下を抑制することができる。具体的には、図13の流体解析結果(比較結果)に示すように、整流部材410を設けた図13(a)においては、整流部材410を設けていない図13(b)に比して、第1ガス供給口681の周辺におけるエッチングガスの濃度低下が抑えられていることが分かる。つまり、第1実施の形態の方が比較例よりも、エッチングガスの濃度が高い濃色部分が多くなっていることが分かる。
【0104】
<第2実施の形態の代表的効果>
以上、第2実施の形態で説明した技術的思想においても、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。これに加え、第2実施の形態においては、第1ガス供給口681から噴射される反応ガスの流れを、第1ガス供給ノズル60の基端部60a側、つまり他の第1ガス供給口682,683・・・68nに向けることができるので、第1実施の形態に比して、他の第1ガス供給口682,683・・・68nの周辺におけるエッチングガス濃度を高めることができる。
【0105】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、SiCエピタキシャル膜を成膜する成膜装置(基板処理装置)を例示して説明したが、2種類以上の反応ガスを反応室44内で混合して成膜する成膜装置で、かつ成膜された膜をエッチングするエッチングガスを成膜ガスとともに供給するような装置であれば、他の形式の基板処理装置にも本発明における技術的思想を適用することができる。
【0106】
本発明は少なくとも以下の実施の形態を含む。
【0107】
〔付記1〕
複数積層された基板を処理する反応容器と、
前記反応容器内を加熱する加熱体と、
前記反応容器内に設けられ、前記基板の積層方向に延びるガスノズルと、
前記ガスノズルの基端部から先端部に向けて複数並んで設けられ、前記基板に向けて成膜ガスおよびエッチングガスを供給するガス供給口と、
前記ガスノズルの先端部に設けられ、ガス供給方向に向けて延びる整流部材と、
を備える基板処理装置。
【0108】
〔付記2〕
前記ガスノズルと前記整流部材とを別部材で形成し、前記ガスノズルの先端部に前記整流部材を固定したことを特徴とする付記1記載の基板処理装置。
【0109】
〔付記3〕
前記ガスノズルと前記整流部材とを一体成形したことを特徴とする付記1記載の基板処理装置。
【0110】
〔付記4〕
前記整流部材を、ガス供給方向に向けて延びる第1延在部と、前記第1延在部から前記ガスノズルの基端部に向けて延びる第2延在部とから形成することを特徴とする付記1〜3のいずれか1つに記載の基板処理装置。
【0111】
〔付記5〕
前記ガスノズルを、第1ガス供給ノズルおよび第2ガス供給ノズルから形成し、前記第1ガス供給ノズルの第1ガス供給口からは、Si原子含有ガスとCl原子含有ガスとを供給し、前記第2ガス供給ノズルの第2ガス供給口からは、還元ガスを供給し、さらにC原子含有ガスを、前記第1ガス供給口または前記第2ガス供給口のいずれか一方から供給することを特徴とする付記1〜4のいずれか1つに記載の基板処理装置。
【0112】
〔付記6〕
複数積層された基板を処理する反応容器内に設けられ、
前記反応容器の開口側に設けられる基端部と、
前記反応容器の底側に設けられる先端部と、
前記基端部から前記先端部に向けて複数並んで設けられ、前記基板に向けて成膜ガスおよびエッチングガスを供給するガス供給口と、
前記先端部に設けられ、ガス供給方向に向けて延びる整流部材と、
を備えるガスノズル。
【0113】
〔付記7〕
前記ガスノズルと前記整流部材とを別部材で形成し、前記ガスノズルの先端部に前記整流部材を固定したことを特徴とする付記6記載のガスノズル。
【0114】
〔付記8〕
前記ガスノズルと前記整流部材とを一体成形したことを特徴とする付記6記載のガスノズル。
【0115】
〔付記9〕
前記整流部材を、ガス供給方向に向けて延びる第1延在部と、前記第1延在部から前記ガスノズルの基端部に向けて延びる第2延在部とから形成することを特徴とする付記6〜8のいずれか1つに記載のガスノズル。
【0116】
〔付記10〕
複数積載された基板を反応容器内に搬送する基板搬送工程と、
前記反応容器内に設けられ、前記反応容器の開口側に設けられる基端部と、前記反応容器の底側に設けられる先端部と、前記基端部から前記先端部に向けて複数並んで設けられ、前記基板に向けて成膜ガスおよびエッチングガスを供給するガス供給口と、前記先端部に設けられ、ガス供給方向に向けて延びる整流部材と、を備えるガスノズルの前記ガス供給口から前記基板に向けて成膜ガスおよびエッチングガスを供給し、前記反応容器内を加熱体により加熱しつつ前記基板を処理する基板処理工程と、
を有する基板若しくは半導体デバイスの製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、半導体装置(半導体デバイス)やSiCエピタキシャル膜を形成する基板などを製造する製造業等に幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0118】
10…半導体製造装置(基板処理装置)、12…筐体、14…ウェーハ(基板)、15…ウェーハホルダ、15a…下部ウェーハホルダ、15b…上部ウェーハホルダ、16…ポッド、16a…蓋、18…ポッドステージ、20…ポッド搬送装置、22…ポッド収納棚、24…ポッドオープナ、26…基板枚数検知器、28…基板移載機、30…ボート、32…アーム、34…ボート断熱部、36…マニホールド(反応容器)、40…処理炉、42…反応管(反応容器)、44…反応室、48…加熱体、50…誘導コイル、51…支持部材、52…温度制御部、54…断熱材、55…外側断熱壁、58…磁気シール、60…第1ガス供給ノズル(ガスノズル)、60a…基端部、60b…先端部、61…整流板(整流部材)、61a…固定凹部、61b…一方の短辺部、61c…他方の短辺部、68…第1ガス供給口(ガス供給口)、70…第2ガス供給ノズル、70a…基端部、70b…先端部、72…第2ガス供給口、78…ガス流量制御部、90…第1ガス排気口、98…圧力制御部、102…シールキャップ、104…回転機構、106…回転軸、108…駆動制御部、110…ロードロック室、112…下基板、114…昇降台、116…ガイドシャフト、118…ボール螺子、120…上基板、122…昇降モータ、124…昇降シャフト、126…天板、126a…貫通孔、128…ベローズ、130…昇降基板、132…駆動部カバー、134…駆動部収納ケース、135…冷却機構、138…電力ケーブル、140…冷却水流路、142…冷却水配管、144…炉口、150…主制御部、152…コントローラ、200…ガス供給ユニット、210a…第1ガス供給源、210b…第2ガス供給源、210c…第3ガス供給源、210d…第5ガス供給源、210e…第6ガス供給源、210f…第4ガス供給源、211a〜211f…MFC、212a〜212f…バルブ、214…APCバルブ、220…真空排気装置、222…第1ガスライン、230…ガス排気管、240…第3ガスライン、260…第2ガスライン、300…構造物、360…第3ガス供給口、390…第2ガス排気口、400…半導体製造装置(基板処理装置)、410…整流部材、411…第1延在部、412…第2延在部、413…固定凹部、414…流路屈曲凹部、415…一方の短辺部、416…他方の短辺部、681…第1ガス供給口(最上段)、682〜68n…他の第1ガス供給口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数積層された基板を処理する反応容器と、
前記反応容器内を加熱する加熱体と、
前記反応容器内に設けられ、前記基板の積層方向に延びるガスノズルと、
前記ガスノズルの基端部から先端部に向けて複数並んで設けられ、前記基板に向けて成膜ガスおよびエッチングガスを供給するガス供給口と、
前記ガスノズルの先端部に設けられ、ガス供給方向に向けて延びる整流部材と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
複数積層された基板を処理する反応容器内に設けられ、
前記反応容器の開口側に設けられる基端部と、
前記反応容器の底側に設けられる先端部と、
前記基端部から前記先端部に向けて複数並んで設けられ、前記基板に向けて成膜ガスおよびエッチングガスを供給するガス供給口と、
前記先端部に設けられ、ガス供給方向に向けて延びる整流部材と、
を備えるガスノズル。
【請求項3】
複数積載された基板を反応容器内に搬送する基板搬送工程と、
前記反応容器内に設けられ、前記反応容器の開口側に設けられる基端部と、前記反応容器の底側に設けられる先端部と、前記基端部から前記先端部に向けて複数並んで設けられ、前記基板に向けて成膜ガスおよびエッチングガスを供給するガス供給口と、前記先端部に設けられ、ガス供給方向に向けて延びる整流部材と、を備えるガスノズルの前記ガス供給口から前記基板に向けて成膜ガスおよびエッチングガスを供給し、前記反応容器内を加熱体により加熱しつつ前記基板を処理する基板処理工程と、
を有する基板若しくは半導体デバイスの製造方法。
【請求項1】
複数積層された基板を処理する反応容器と、
前記反応容器内を加熱する加熱体と、
前記反応容器内に設けられ、前記基板の積層方向に延びるガスノズルと、
前記ガスノズルの基端部から先端部に向けて複数並んで設けられ、前記基板に向けて成膜ガスおよびエッチングガスを供給するガス供給口と、
前記ガスノズルの先端部に設けられ、ガス供給方向に向けて延びる整流部材と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
複数積層された基板を処理する反応容器内に設けられ、
前記反応容器の開口側に設けられる基端部と、
前記反応容器の底側に設けられる先端部と、
前記基端部から前記先端部に向けて複数並んで設けられ、前記基板に向けて成膜ガスおよびエッチングガスを供給するガス供給口と、
前記先端部に設けられ、ガス供給方向に向けて延びる整流部材と、
を備えるガスノズル。
【請求項3】
複数積載された基板を反応容器内に搬送する基板搬送工程と、
前記反応容器内に設けられ、前記反応容器の開口側に設けられる基端部と、前記反応容器の底側に設けられる先端部と、前記基端部から前記先端部に向けて複数並んで設けられ、前記基板に向けて成膜ガスおよびエッチングガスを供給するガス供給口と、前記先端部に設けられ、ガス供給方向に向けて延びる整流部材と、を備えるガスノズルの前記ガス供給口から前記基板に向けて成膜ガスおよびエッチングガスを供給し、前記反応容器内を加熱体により加熱しつつ前記基板を処理する基板処理工程と、
を有する基板若しくは半導体デバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−178490(P2012−178490A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41213(P2011−41213)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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