説明

基板搬送用ハンドおよび基板搬送用ハンドを備えた基板搬送装置

【課題】ハンドをカセット内へ進入させることなくハンド上へ基板を載置して搬送すること。
【解決手段】カセットへ基板の出し入れ方向に沿って連結された状態でかかるカセットが備える駆動機構の駆動を受けて回転する受動ローラを備え、かかる受動ローラをその先端部に有する板状のフォークと、上記の受動ローラの回転をかかるフォークに沿って伝達するベルトと、かかるベルトによる回転の伝達を受けて上記の受動ローラと同じ回転方向に回転するその他のローラとを備えるように基板搬送用ハンドおよびかかる基板搬送用ハンドを備える基板搬送装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板搬送用ハンドおよび基板搬送用ハンドを備えた基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルのガラス基板のような板状の基板の搬送および収納カセットへの出し入れを行う基板搬送装置が知られている。
【0003】
かかる基板搬送装置は、複数の板状のフォークを有する基板搬送用ハンドを備えており、かかるフォーク上へ基板を載置して搬送する。また、基板搬送装置は、かかるフォークを収納カセット(以下、「カセット」と記載する)内へ進入させて基板を出し入れする。
【0004】
なお、カセットは、1面を開口部とする箱型のハウジングの対向する側面に1対の棚片を多段に備え、各段の棚片によって基板を1枚ずつ下方から支持するものが一般的である。
【0005】
ところで、近年、大型液晶パネルディスプレイの量産化などにともなって、基板搬送装置が、大型の基板を効率よく搬送する必要性が高まっている。このため、カセットについては、棚片の上下の間隔を小さくすることで基板間のピッチを狭め、収納効率を高めるといった工夫が施されている。
【0006】
また、大型の基板は、自重によるたわみが生じやすいため、これを解消する目的で、基板の下面に沿って基板の引き出し方向と直交する向きに所定の間隔でワイヤを張架したカセット(以下、「ワイヤカセット」と記載する)も開示されている(たとえば、特許文献1参照)。これにより、基板が大型であっても、たわませずに効率よくカセットへ収納することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−145628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のようにカセットの収納効率を向上させた場合、従来の基板搬送用ハンドでは、基板間のピッチを狭めたカセット内へフォークを進入させづらいという問題があった。
【0009】
ここで、基板間のピッチにあわせてフォークの厚みを小さくして進入させることも可能であるが、フォークの剛性の低下や振動などを招きやすいため、好ましくない。
【0010】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、ハンドをカセット内へ進入させることなくハンド上へ基板を載置して搬送することができる基板搬送用ハンドおよび基板搬送用ハンドを備えた基板搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の開示する基板搬送用ハンドは、一つの態様において、カセットからの基板の出し入れおよび搬送を行う基板搬送用ハンドであって、前記カセットへ前記基板の出し入れ方向に沿って連結された状態で当該カセットが備える駆動機構の駆動を受けて回転する受動ローラを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願の開示する基板搬送用ハンドの一つの態様によれば、ハンドをカセット内へ進入させることなくハンド上へ基板を載置して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】図1Aは、実施例に係るハンドおよび基板搬送装置を含む基板搬送システムの概略図である。
【図1B】図1Bは、実施例に係るハンドの基板搬出入方法を示す図である。
【図2】図2は、実施例に係るハンドの構成例を示す図である。
【図3A】図3Aは、実施例に係るハンドの側面図である。
【図3B】図3Bは、受動ローラが駆動機構の駆動を受ける機構部分の拡大図である。
【図4】図4は、ベルトによるローラシャフトの連結手法を示す図である。
【図5】図5は、フォークのA−A断面を示す図である。
【図6】図6は、フォークとカセットとの連結を解除する場合の動作を示す図である。
【図7A】図7Aは、ロックプレートを用いたロック機構の一例を示す図である。
【図7B】図7Bは、電磁ブレーキを用いたロック機構の一例を示す図である。
【図7C】図7Cは、ベルト固定金具を用いたロック機構の一例を示す図である。
【図7D】図7Dは、ベルト固定金具を用いたロック機構の正面図である。
【図7E】図7Eは、テーパ部を有するローラシャフトを用いたロック機構の一例を示す図である。
【図7F】図7Fは、テーパ部近傍の拡大図である。
【図7G】図7Gは、ピンシリンダを用いたロック機構の一例を示す図である。
【図7H】図7Hは、ラッチを用いたロック機構の一例を示す図である。
【図7I】図7Iは、ネオジム磁石を用いたロック機構の一例を示す図である。
【図8A】図8Aは、フォークがガイド部材を有する場合をX軸の正方向からみた模式図である。
【図8B】図8Bは、フォークがガイド部材を有する場合をZ軸の正方向からみた模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板搬送用ハンドおよび基板搬送用ハンドを備える基板搬送装置の実施例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施例における例示で本発明が限定されるものではない。
【0015】
また、以下では、基板搬送用ハンドを、単に「ハンド」と記載する場合がある。また、以下では、カセットが一般的なワイヤーカセットである場合について説明することとし、かかるワイヤーカセットを、単に「カセット」と記載する場合がある。
【実施例】
【0016】
まず、実施例に係るハンドおよび基板搬送装置を含む基板搬送システムの概略について、図1Aを用いて説明する。図1Aは、実施例に係るハンド15および基板搬送装置10を含む基板搬送システム1の概略図である。なお、図1Aには、説明を分かりやすくするために、鉛直上向きを正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、以下の説明に用いる他の図面においても示す場合がある。
【0017】
また、以下では、1対で構成される構成要素については、1対のうちの一方の各部材にのみ符号を付し、他方については符号の付与を省略する場合がある。かかる場合、双方の構成は同様であるものとする。
【0018】
図1Aに示すように、基板搬送システム1は、基板搬送装置10と、コントローラ20と、カセット30とを備えている。
【0019】
基板搬送装置10は、カセット30へ多段に収納された基板100を1枚ずつ出し入れして搬送する装置である。ここで、基板搬送装置10の構成例について説明しておく。
【0020】
図1Aに示すように、基板搬送装置10は、昇降機構11と、旋回機構12と、伸縮機構13と、支持部材14と、ハンド15と、ベース16とを備えている。昇降機構11は、フロアなどに固定されるベース16に支持され、図中のX軸およびZ軸を含むXZ平面に沿って昇降する動作を行う機構である。
【0021】
旋回機構12は、昇降機構11に支持され、Z軸に平行な回転軸まわりに旋回する動作を行う機構である。伸縮機構13は、旋回機構12に支持され、XY平面に沿って伸縮する動作を行う機構である。なお、図1Aには、1対の伸縮機構13を図示しているが、図を分かりやすくするために、一方の伸縮機構13については途中から図示を省略している。
【0022】
基板搬送装置10は、これら昇降機構11、旋回機構12および伸縮機構13によっていわゆる多関節アームを構成する。なお、かかる多関節アームの各関節は図示しないサーボモータによって駆動される。コントローラ20は、かかるサーボモータの指示プログラムを格納し、かかる指示プログラムによって多関節アームの動作を制御する制御装置である。
【0023】
そして、かかる多関節アームの終端部には、支持部材14を介してハンド15が取り付けられる。
【0024】
ハンド15は、1対の板状のフォーク150を備え、かかるフォーク150へ基板100を載置する。なお、フォーク150は、伸縮機構13の端部(すなわち、多関節アームの終端部)に支持される支持部材14によって支持される。
【0025】
カセット30は、基板100の収納装置であり、基板100の板面を図中のXY平面へ平行に向けて基板100を多段に収納する。また、カセット30は、最下段にコンベア部31を備えており、かかるコンベア部31が有する駆動機構(図示せず)の駆動によって、基板100を下段に収納されているものから順に1枚ずつ排出することができる。また、駆動機構を排出の場合とは逆向きに駆動させることによって、基板100を1枚ずつ収納することができる。
【0026】
ここで、実施例に係るハンド15の基板搬出入方法について、図1Bを用いて説明する。図1Bは、実施例に係るハンド15の基板搬出入方法を示す図である。なお、図1Bは、Y軸の負方向からみた場合を簡略的に示している。また、図1Bに示すカセット30には、上記した駆動機構を駆動機構32として図示している。
【0027】
図1Bに示すように、実施例に係るハンド15は、カセット30へ基板100の搬出入方向に沿って連結された状態で、カセット30が備える駆動機構32の駆動を受けて回転する受動ローラ151を備えており、実施例に係るハンド15の基板搬出入方法では、かかる受動ローラ151の回転に基づいて基板100の搬出入を行う。
【0028】
具体的には、図1Bに示すように、基板100の搬出入が行われる際、実施例に係るハンド15のフォーク150は、カセット30の基板100の搬出入口へ連結される。このとき、受動ローラ151は、駆動機構32の駆動を受けることができる所定位置へ配置される。なお、図1Bには、受動ローラ151が、フォーク150の先端部に備えられており、搬出入口の近傍で駆動機構32の駆動を受ける例を示している。
【0029】
ここで、フォーク150は、カセット30の搬出入口へ連結される間、振動によるずれなどが生じないように、図示しない支持構造あるいは支持部材によってカセット30へ支持される。たとえば、カセット30へあらかじめ嵌合可能に設けられた凹形状の溝へフォーク150を嵌め込むことによってかかる支持を行うことができる。
【0030】
また、実施例に係るハンド15は、ベルト152および複数の他ローラ153を備えている。そして、ベルト152は、受動ローラ151が受けた回転をフォーク150に沿って伝達し、他ローラ153は、ベルト152による伝達を受けて受動ローラ151と同じ回転方向に回転する。そして、他ローラ153は、基板100を外周面において載置しつつ回転することによって、基板100をフォーク150に沿って搬送する。
【0031】
これにより、図1Bの(1)に示す駆動機構32の駆動、言い換えるなら、コンベア部31の動作に連動して、図1Bの(2)に示すように、基板100をカセット30から排出してフォーク150へ載置したり、逆に、フォーク150へ載置された基板100をカセット30へ収納したりすることができる。
【0032】
たとえば、駆動機構32が、Y軸の負方向からみて右回りに回転駆動する場合、コンベア部31はX軸の負方向へ基板100を排出し、かかる動作に連動して、実施例に係るハンド15は、基板100を同じくX軸の負方向へ搬送してフォーク150へ載置することができる。
【0033】
また、駆動機構32が、Y軸の負方向からみて左回りに回転駆動する場合、実施例に係るハンド15は、フォーク150へ載置された基板100をX軸の正方向へ搬送し、かかる動作に連動して、コンベア部31はX軸の正方向へ基板100を収納することができる。
【0034】
このように、実施例に係るハンド15の基板搬出入方法によれば、フォーク150をカセット30へ進入させることなく基板100の搬出入を行うことができるので、カセット30における基板100の間のピッチが狭い場合であっても、支障なく効率的に作業を行うことができる。
【0035】
また、実施例に係るハンド15の基板搬出入方法によれば、カセット30が備える駆動機構32の駆動を利用することができるので、ハンド15自体が駆動機構を備える必要がない。したがって、ハンド15を含む基板搬送装置10の多関節アームにかかる重量負荷を抑えることができるので、大型の基板100に支障なく対応することができる。
【0036】
なお、図1Bでは、ベルト152を用いて受動ローラ151の回転を伝達する場合について示したが、伝達の手法を限定するものではない。たとえば、ベルト152を用いることなく、ローラ部材の組み合わせのみでかかる伝達を行ってもよい。
【0037】
また、図1Bでは、ベルト152が、フォーク150の外部に露出している簡略図を示したが、ベルト152の配置位置を限定するものではない。たとえば、フォーク150の内部に配置してもよい。かかる点について、以下では、ベルト152をフォーク150の内部に配置するものとして説明を行う。
【0038】
次に、実施例に係るハンド15の構成例について、図2を用いて説明する。図2は、実施例に係るハンド15の構成例を示す図である。なお、図2は、Z軸の正方向からみた場合の平面図を示している。
【0039】
また、図2では、主に上段に示すフォーク150の各部材へ符号を付しているが、他方の下段に示すフォーク150の構成もほぼ同様であるため、かかる他方については一部の部材についてのみ符号を付与する。
【0040】
図2に示すように、ハンド15は、1対のフォーク150を備えている。フォーク150の一方の端部は、カセット30へ基板100の搬出入方向(図中のX軸の正負方向)に沿って連結され、基板100の搬出入および搬送の際に基板100を載置する部材であり、その素材には炭素繊維強化プラスチックなどを用いることができる。
【0041】
また、フォーク150のカセット30へ連結されない側の端部は、上述の多関節アームの終端部に取り付けられる支持部材14へ固定される。このとき、支持部材14への固定方法は、特に限定されない。たとえば、図2に示すように、フォーク150へタップ穴155を穿ち、連結ボルトなどを用いて固定することができる。
【0042】
また、フォーク150は、その内部に複数のローラシャフト154を備えている。ローラシャフト154は、基板100の搬出入方向に対し、フォーク150の板面に沿った直交方向(図中のY軸の正負方向)にフォーク150を貫通する回転軸となる部材であり、フォーク150の外殻と交わる位置に設けられる軸受(図示せず)によって軸支される。また、ローラシャフト154は、所定の間隔で並設される。
【0043】
そして、フォーク150の側面から突出したローラシャフト154の両端には、受動ローラ151または他ローラ153が取り付けられる。受動ローラ151は、カセット30との連結箇所において、カセット30が備える駆動機構32の駆動を受けて回転するローラ部材である。かかる受動ローラ151の詳細については、図3Bを用いて後述する。
【0044】
他ローラ153は、フォーク150に沿って並設されるローラ部材のうち、受動ローラ151を除くその他のローラ部材である。かかる他ローラ153は、受動ローラ151の回転の伝達を受けてすべて同じ回転方向に回転する。
【0045】
なお、図2では、一部の他ローラ153およびローラシャフト154についてのみ符号を付し、並設されるその他については符号を省略している。かかる点は、以下の説明の図示においても同様とする。
【0046】
ここで、受動ローラ151の回転の伝達は、ベルト152によって行われる。ベルト152は、フォーク150の内部で並設されるローラシャフト154を連結する部材である。
【0047】
なお、ベルト152によるローラシャフト154の連結手法については、特に限定されない。たとえば、隣接するローラシャフト154ごとにベルト152を架けることとしてもよいし(図2に示す上段のフォーク150参照)、すべてのローラシャフト154に対してひと繋ぎのベルト152を架けることとしてもよい(図2に示す下段のフォーク150参照)。隣接するローラシャフト154ごとにベルト152を架ける例については、図4および図5を用いて後述する。
【0048】
また、図2を用いて、カセット30の内部機構についても説明しておく。図2に示すように、カセット30は、駆動機構32と、駆動シャフト33と、ローラシャフト34と、ローラ35とを備えている。
【0049】
駆動機構32は、駆動シャフト33を、Y軸に沿った回転軸まわりに回転させる機構であり、ギアードモータなどによって構成することができる。駆動シャフト33は、カセット30をY軸方向に貫通する回転軸となる部材であり、カセット30の外殻と交わる位置に設けられる軸受(図示せず)によって軸支される。
【0050】
また、駆動シャフト33は、その一端を駆動機構32に連結されており、駆動機構32の駆動によって直接回転する。
【0051】
ローラシャフト34は、駆動シャフト33と同様にカセット30をY軸方向に貫通する回転軸となる部材であり、カセット30の外殻と交わる位置に設けられる軸受(図示せず)によって軸支される。また、ローラシャフト34は、所定の間隔で並設される。
【0052】
また、ローラシャフト34は、駆動シャフト33の回転に連動して、すべて同じ回転方向に回転する。なお、駆動シャフト33およびローラシャフト34の連動方法については、特に限定されない。
【0053】
ローラ35は、駆動シャフト33およびローラシャフト34の中途に設けられるローラ部材であり、回転する外周面へ基板100を載置しつつ同じ回転方向に回転することによって、基板100をX軸に沿って搬出入する。
【0054】
そして、実施例に係るハンド15は、かかるカセット30の駆動機構32の駆動に基づく駆動シャフト33の回転を、受動ローラ151によって受けることとなる。かかる点については、図3Bを用いて後述する。
【0055】
ここで、実施例に係るハンド15を側面からみた場合について、図3Aを用いて説明する。図3Aは、実施例に係るハンド15の側面図である。なお、図3Aは、Y軸の負方向からみた場合の側面図を示している。
【0056】
図3Aに示すように、受動ローラ151および他ローラ153は、その外周が、Y軸の負方向からみた場合のフォーク150の上面をやや上方へはみ出すように取り付けられる。たとえば、図3Aに示すように、フォーク150の厚みよりやや大きい直径の受動ローラ151および他ローラ153を用いることで、かかる取り付けを行うことができる。なお、受動ローラ151および他ローラ153の直径はすべて同一であることが好ましい。
【0057】
これにより、基板100は、受動ローラ151および他ローラ153の外周面へ載置されつつX軸に沿って搬出入されることとなる。なお、フォーク150に所定の厚みがあり、かつ、受動ローラ151および他ローラ153の直径がかかる厚みに満たない場合には、受動ローラ151および他ローラ153の外周が、フォーク150の上面をやや上方へはみ出すような位置へ、ローラシャフト154を貫通させることとすればよい。
【0058】
ところで、図3Aに示す閉曲線200で囲まれた部分は、受動ローラ151が、カセット30が備える駆動機構32の駆動を受ける機構部分を示している。次に、かかる機構部分について説明する。
【0059】
図3Bは、受動ローラ151が駆動機構32の駆動を受ける機構部分の拡大図である。図3Bに示すように、受動ローラ151は、フォーク150がカセット30へ連結された状態において、駆動シャフト33に取り付けられたローラ35と接触する。
【0060】
かかる接触は、駆動シャフト33の回転を受動ローラ151が受けることができれば、その形態を問わない。たとえば、図3Bには、ローラ35の外周と受動ローラ151が有する内径部151aとが接触している例を示している。
【0061】
このとき、ローラ35の外周および内径部151aは、たとえば、それぞれギヤ形状に成形されていれば、それらをかみ合わせることによって駆動シャフト33の回転が受動ローラ151を回転させることとなる。
【0062】
このように、ギヤをかみ合わせることとした場合、受動ローラ151が、駆動機構32の駆動を確実に受けることができるというメリットを得ることができる。
【0063】
なお、図3Bに示した例の場合、駆動シャフト33の回転方向と、受動ローラ151の回転方向とは、それぞれ逆向きとなる。すなわち、駆動シャフト33がY軸の負方向からみて右回りに回転すれば、受動ローラ151は左回りに、すなわち、基板100をX軸の負方向へ搬出する向きに回転する。
【0064】
また、駆動シャフト33がY軸の負方向からみて左回りに回転すれば、受動ローラ151は右回りに、すなわち、基板100をX軸の正方向へ搬入する向きに回転する。かかる受動ローラ151の回転は、カセット30のコンベア部31の搬送方向と一致する必要があるので、ローラ35および受動ローラ151は、かかる要件を満たすように組み合わせることが肝要である。
【0065】
なお、ここまでは、受動ローラ151とローラ35とを接触させる場合について述べたが、受動ローラ151とローラ35とを接触させることなく、駆動機構32の駆動を伝えることとしてもよい。
【0066】
これは、マグネットギヤなどを用いることによって実現することができる。かかる場合、磁力作用によって受動ローラ151を回転させることができるので、接触にともなう部品の磨耗や劣化などを防止することができる。また、部品の接触によって生じるほこりの離散などを防ぐことができるので、基板100が、ほこりによる悪影響を受けやすい液晶パネルのガラス基板などである場合に、特に有効となる。
【0067】
なお、ここまでは、駆動機構32が、カセット30の内部に配置されている場合を例に挙げて説明したが、駆動機構32の配置位置を特に限定するものではない。したがって、駆動機構32が、カセット30の外部に配置されている場合には、かかる駆動機構32の駆動を受動ローラ151が受けることができるように、たとえば、複数のギヤを組み合わせたり、ベルトプーリを用いたりして駆動機構32の駆動を伝達してもよい。
【0068】
次に、受動ローラ151の回転をフォーク150に沿って伝達する場合の、ベルト152によるローラシャフト154の連結手法について、図4を用いて説明する。図4は、ベルト152によるローラシャフト154の連結手法を示す図である。なお、図4には、図2に示した1対のフォーク150のうちの上段に示したものを拡大して図示している。
【0069】
図4に示すように、実施例に係るハンド15は、隣接するローラシャフト154ごとに順次個別にベルト152を架けることによってローラシャフト154を連結し、受動ローラ151の回転をフォーク150に沿ってX軸の正負方向へ伝達させることができる。
【0070】
このように、隣接するローラシャフト154ごとにベルト152を架ける場合、たとえば、劣化によるベルト152の緩みの影響を、少なくとも隣接する1組のローラシャフト154間のみに抑えることができる。
【0071】
また、かかる場合、図4に示すように、他ローラ153が取り付けられたローラシャフト154に対して掛かるベルト152によるテンションは、2箇所に分散されることとなるため、ローラシャフト154へかかる力の偏りを抑えることができ、偏りのない回転の伝達を可能とすることができる。
【0072】
ここで、図4に示すA−Aにおける断面図を用いて、ローラシャフト154についてさらに説明する。図5は、フォーク150のA−A断面を示す図である。
【0073】
図5に示すように、ローラシャフト154は、フォーク150の上面部材、下面部材および側面部材から形成されるフォーク150の外殻をY軸方向へ貫通し、ベアリング160を介して回転自在に支持される。
【0074】
そして、既に述べたが、フォーク150の外殻から突出したローラシャフト154の端部には、他ローラ153が取り付けられる。かかる取り付けには、図示した係止ピン159やボルトなどを用いることができる。
【0075】
そして、ローラシャフト154の中途には、複数のプーリ158が取り付けられる。なお、図5には、2つのプーリ158が取り付けられている例を示しているが、部材の個数を限定するものではなく、連結箇所に応じた個数とすることができる。
【0076】
そして、プーリ158には、ベルト152が架けられる。なお、架けるベルト152の横転を防ぐために、プーリ158には、ガイド158aを備えてもよい。
【0077】
このように、フォーク150の内部に受動ローラ151の回転を伝達する機構を備えることで、部品の接触によって生じるほこりの離散などを防ぐことができるので、液晶パネルのガラス基板などを、ほこりを付着させることなく品質を保ったまま搬送することができる。
【0078】
ところで、カセット30から基板100を搬出する場合、引き出された基板100がフォーク150の所定の位置に達したならば、実施例に係るハンド15は、フォーク150とカセット30との連結を解除することが好ましい。
【0079】
かかる点について、図6を用いて説明する。図6は、フォーク150とカセット30との連結を解除する場合の動作を示す図である。なお、図6は、Z軸の正方向からみた場合を模式的に示している。
【0080】
図6に示すように、実施例に係るハンド15は、引き出された基板100がフォーク150の所定の位置に達したことを検知するセンサ156を備えることができる。たとえば、図6には、少なくともフォーク150の一方に、センサ156を備えている例を示している。
【0081】
図6の(1)に示すように、基板100は、カセット30からX軸の負方向へ向けて引き出される。このとき、センサ156は、基板100の端部を検知するまでは、基板100の引き出し途中であるとして反応を示さない。図6では、センサ156のかかる様子を白い丸印で示している。
【0082】
そして、図6の(2)に示すように、基板100の端部が、センサ156の設置位置に達した場合、センサ156は、基板100が所定量引き出されたことを検知して(図中の黒い丸印参照)、たとえば、かかる旨をコントローラ20(図1A参照)に対して通知する。
【0083】
そして、かかる通知を受けたコントローラ20は、図6の(3)に示すように、フォーク150とカセット30との連結を解除するように多関節アームを制御する。このように、基板100が所定量引き出されるのにあわせてかかる連結の解除を行うことにより、基板100の引き出し過ぎを防ぎ、かつ、基板100を用いる処理を行うユニットなどへの搬送をスムーズに行うことができる。
【0084】
なお、かかる図6を用いた説明では、センサ156によって基板100の引き出し量を検知する例を示したが、特にその手法を限定するものではない。たとえば、受動ローラ151の回転角などに基づいて基板100の引き出し量を判定することとしてもよい。
【0085】
ところで、図6の(3)に示したように、フォーク150とカセット30との連結を解除する際、基板100の引き出し過ぎを確実に防止するためには、受動ローラ151、ベルト152および他ローラ153のうちの少なくともいずれか1つをロックして、それ以上フォーク150に沿った回転の伝達が行われないようにするのが好ましい。
【0086】
そこで、かかる機能を実現するロック機構の構成例について、図7Aから図7Iを用いて説明する。まず、ロックプレートを用いたロック機構の構成例を示す。図7Aは、ロックプレート161を用いたロック機構の一例を示す図である。なお、図7Aは、Y軸の負方向からみた場合を模式的に示している。
【0087】
図7Aの(1)に示すように、フォーク150は、ロック機構として、たとえば、受動ローラ151の近傍にロックプレート161を備えることができる。
【0088】
ロックプレート161は、板ばねなどの弾性体素材からなる部材であり、図7Aの(1)に示すようなカセット30への非連結状態においては、その弾性により、受動ローラ151の外周面へ押し付けられ、受動ローラ151の回転をロックする。
【0089】
そして、図7Aの(2)に示すように、フォーク150をカセット30へ連結させた場合、ロックプレート161はその端部をカセット30の外殻表面に沿わせることとなる。すなわち、ロックプレート161は、受動ローラ151の外周面に代わってカセット30の外殻表面へ押し付けられる。
【0090】
これにより、受動ローラ151は、ロックプレート161の弾性による付勢力から解放され、回転自在となることができる。
【0091】
そして、あらたにフォーク150とカセット30との連結が解除されたならば、ロックプレート161は、その弾性により、ふたたび受動ローラ151の外周面へ押し付けられ、受動ローラ151の回転をロックさせる(図7Aの(1)参照)。
【0092】
このように、受動ローラ151を、フォーク150とカセット30との連結時には回転自在に解放し、連結解除時にはロックすることにより、基板100の搬送時における無用なずれを確実に防ぐことができる。
【0093】
また、ロックプレート161は、フォーク150に対してのみ取り付けるだけのロック機構として構成することができるので、カセット30に対してあらたな部材を追加する必要がないというメリットを得ることができる。
【0094】
次に、電磁ブレーキを用いたロック機構の構成例を示す。図7Bは、電磁ブレーキ162を用いたロック機構の一例を示す図である。なお、図7Bには、Z軸の正方向からみた平面図を示している。
【0095】
図7Bに示すように、フォーク150は、ロック機構として、たとえば、電磁ブレーキ162を備えることができる。電磁ブレーキ162は、内蔵するコイルへの通電が断たれたときに制動力を生ずる、いわゆる無励磁作動形ブレーキであり、ローラシャフト154の1つに取り付けられる。
【0096】
そして、電磁ブレーキ162は、コイルへの通電が行われることによって制動力を解放する。かかる通電は、フォーク150がその先端部に備え、接続ケーブルなどで電磁ブレーキ162と接続されたプローブ150aを介して行われる。なお、プローブ150aは、リセプタクル(図示せず)と組み合わせることで交換などを容易に行うことができる。
【0097】
具体的には、カセット30にあらかじめ設けられた電源供給部36へプローブ150aを挿し込むことによって電源の供給線が確立され、通電が行われる。すなわち、プローブ150aの挿し込みによってフォーク150がカセット30へ連結されるのにあわせて、電磁ブレーキ162は制動力を解放し、各ローラを回転自在とする。
【0098】
このように、電磁ブレーキ162を用いて、各ローラを、フォーク150とカセット30との連結時には回転自在に解放し、連結解除時にはロックすることにより、基板100の搬送時における無用なずれを確実に防ぐことができる。
【0099】
また、図7Bに示したように、カセット30側から電源の供給を受けるようにすることで、ハンド15側は配線を行うだけで済ますことができるので、構成部品によってかかる重量負荷を抑えることができる。
【0100】
なお、かかる点は、カセット30へ電源供給部36を設けることが困難な場合に、ハンド15側から電源供給を行うことを妨げるものではない。この場合、フォーク150とカセット30とが接触することによってオンとなるスイッチなどを用いて、フォーク150とカセット30との連結時には電源の供給線を確立させ、非連結時にはかかる供給線を非確立とするような接続形態にすればよい。
【0101】
また、電磁ブレーキ162を励磁作動形ブレーキとしてもよい。かかる場合、無励磁作動形ブレーキの場合とは逆に、フォーク150とカセット30との連結時には電源の供給線を非確立とし、非連結時にはかかる供給線を確立させるような接続形態にすればよい。
【0102】
次に、ベルト固定金具を用いたロック機構の構成例を示す。図7Cは、ベルト固定金具163を用いたロック機構の一例を示す図である。なお、図7Cは、Y軸の負方向(正方向でも可)からみた場合を模式的に示している。
【0103】
図7Cに示すように、フォーク150は、ロック機構として、たとえば、ベルト固定金具163を備えることができる。ベルト固定金具163は、ベルト152の歯面(図示せず)と嵌合可能に成形された金具であり、Z軸の負方向へ可動した場合には、ベルト152と嵌合することによってベルト152を停止させ、Z軸の正方向へ可動した場合には、ベルト152を回転の伝達自在に解放する。
【0104】
かかるベルト固定金具163を用いたロック機構の構成例について具体的に説明する。図7Dは、ベルト固定金具163を用いたロック機構の正面図である。なお、図7Dは、X軸の負方向(正方向でも可)からみた場合を示している。
【0105】
図7Dに示すように、ベルト固定金具163を用いたロック機構は、ベルト固定金具163と、1対のスライドブッシュ166と、1対のリニアシャフト167と、1対の支持部168と、押圧部169とを備えている。
【0106】
スライドブッシュ166は、ベアリングを内蔵し、Z軸方向に沿ってリニアシャフト167を直動させる直動軸受である。なお、スライドブッシュ166は、無給油ブッシュでもよい。リニアシャフト167は、かかるスライドブッシュ166を介してベルト固定金具163を貫通し、フォーク150の底板に固定される。
【0107】
リニアシャフト167の固定されない側の先端部には止め輪164が取り付けられ、スライドブッシュ166との間に圧縮ばね165を挟み込んでいる。押圧部169は、フォーク150の底板の外部に配置され、かかる底板を貫通する支持部168を介してベルト固定金具163に連結されている。
【0108】
ここで、フォーク150とカセット30との非連結時は、図中の矢印が示すZ軸の正方向へ向けた付勢力がかからない状態である。かかる場合、ベルト固定金具163は、圧縮ばね165のZ軸の負方向へ向けた復元力によってベルト152へ押し付けられ、ベルト152の歯面と嵌合し、ベルト152を停止させてロックする。
【0109】
そして、押圧部169が押圧され、図中の矢印が示す向きの付勢力がかかると、ベルト固定金具163は、リニアシャフト167に沿ってZ軸の正方向へ押し上げられ、ベルト152との嵌合を外す。すなわち、ベルト152を、ロック状態から回転の伝達自在に解放する。
【0110】
したがって、フォーク150とカセット30とを連結させるにあたっては、基板搬送装置10は、押圧部169を押圧するようにフォーク150の動きを制御することとなる。たとえば、X軸の正方向へ向けてフォーク150をカセット30の搬出入口へやや挿し込んだ後、Z軸の負方向へ向けてフォーク150を移動させ、押圧部169をかかる搬出入口へ押し付けてもよい。
【0111】
このように、ベルト固定金具163を用いて、ベルト152を、フォーク150とカセット30との連結時には回転の伝達自在に解放し、連結解除時にはロックすることにより、基板100の搬送時における無用なずれを確実に防ぐことができる。
【0112】
次に、テーパ形状のテーパ部を有するローラシャフト154を用いたロック機構の構成例を示す。図7Eは、テーパ部154aを有するローラシャフト154を用いたロック機構の一例を示す図である。なお、図7Eは、Z軸の正方向からみた場合の、フォーク150の先端部を示している。
【0113】
図7Eに示すように、テーパ部154aを有するローラシャフト154を用いたロック機構は、かかるローラシャフト154と、押圧部170と、1対の可動バー171と、1対のスライドブッシュ172と、引張ばね173とを備えている。
【0114】
ローラシャフト154は、熱処理加工などによって外径の大きい太軸部と外径の小さい細軸部とを有するように成形されており、双方はテーパ形状に加工されたテーパ部154aで繋がれている。
【0115】
1対のスライドブッシュ172は、かかるローラシャフト154を貫通させる貫通孔を有しており、かかる貫通孔は、太軸部に外接する円径を有している。
【0116】
また、1対のスライドブッシュ172には、押圧部170とあわせてY字状に、かつ、可動可能に組み合わされた1対の可動バー171が連結される。また、1対のスライドブッシュ172の間には、引張ばね173が架けられる。
【0117】
ここで、テーパ部154aを有するローラシャフト154とスライドブッシュ172について、さらに詳しく説明する。図7Fは、テーパ部154a近傍の拡大図である。図7Fにおいて、実線で示すように、ローラシャフト154の細軸部の位置にあるスライドブッシュ172は、ローラシャフト154とベアリング172aで接しない。したがって、このとき、ローラシャフト154は、ラジアル方向への回転に影響を受けずに、軸心まわりに自在に回転することができる。
【0118】
これに対し、図7Fにおいて、二点鎖線で示すように、ローラシャフト154の太軸部の位置にあるスライドブッシュ172は、ローラシャフト154とベアリング172aで接する。したがって、このとき、ローラシャフト154はラジアル方向への回転、すなわち、軸心まわりの回転を抑制される。
【0119】
すなわち、図7Eに示すように、押圧部170が、図中の矢印が示すX軸の負方向へ押圧された場合には、1対の可動バー171が開き、1対のスライドブッシュ172をローラシャフト154の細軸部の位置へ移動させ、ローラシャフト154を回転自在に解放する。
【0120】
一方、押圧部170が押圧されない場合には、引張ばね173の張力によって1対の可動バー171が閉じ、1対のスライドブッシュ172をローラシャフト154の太軸部の位置へ移動させ、ローラシャフト154の回転をロックする。
【0121】
したがって、フォーク150とカセット30との連結時には、基板搬送装置10は、押圧部170を押圧するようにフォーク150の動きを制御することによって、ローラシャフト154およびそれに取り付けられた受動ローラ151のロックを解除することができる。また、非連結時には、引張ばね173の張力に基づいてローラシャフト154および受動ローラ151をロックすることができる。
【0122】
なお、押圧部170の押圧によって確実に1対の可動バー171が開かれるように、ロック時においては、1対の可動バー171が形成する内角は、90度以上であることが好ましい。
【0123】
このように、テーパ部154aを有するローラシャフト154を用いて、受動ローラ151およびローラシャフト154を、フォーク150とカセット30との連結時には回転自在に解放し、連結解除時にはロックすることにより、基板100の搬送時における無用なずれを確実に防ぐことができる。
【0124】
なお、図7Eを用いた説明では、押圧部170の押圧方向が、X軸の負方向である場合について示したが、図7Dに示したのと同様に、かかる押圧方向が、Z軸の正方向であってもよい。すなわち、フォーク150の底板の下方から押圧することとしてもよい。この場合、図7Eおよび図7Fを、X軸の正方向あるいは負方向からみたものと見なせばよい。
【0125】
次に、ピンシリンダを用いたロック機構の構成例を示す。図7Gは、ピンシリンダ174を用いたロック機構の一例を示す図である。なお、図7Gには、Y軸の負方向(正方向でも可)からみた場合を示している。
【0126】
図7Gに示すように、ピンシリンダ174を用いたロック機構は、ピンシリンダ174と、外周面に複数のロック孔151bを設けた受動ローラ151または他ローラ153と、ピンシリンダ174を支持する支持部175とを備えている。ピンシリンダ174は、空圧や通電などによって駆動し、かかる駆動によって内蔵するピン174aをX軸方向に沿って出し入れすることができる。
【0127】
すなわち、ピンシリンダ174を用いたロック機構は、ピン174aを突出させ、ロック孔151bへ嵌合することによって受動ローラ151または他ローラ153の回転をロックし、ピン174aをロック孔151bから引き抜くことによって、かかるロックを解除することができる。
【0128】
したがって、ピンシリンダ174は、フォーク150とカセット30との連結時には、ピン174aを引き抜くように制御され、非連結時には、ピン174aを突出させるように制御されることとなる。なお、空圧や電源などの供給元は、既に図7Bで示した例と同様に、カセット30側であってもよいし、ハンド15側であってもよい。
【0129】
このように、ピンシリンダ174を用いて、受動ローラ151または他ローラ153を、フォーク150とカセット30との連結時には回転自在に解放し、連結解除時にはロックすることにより、基板100の搬送時における無用なずれを確実に防ぐことができる。
【0130】
次に、ラッチを用いたロック機構の構成例を示す。図7Hは、ラッチ176を用いたロック機構の一例を示す図である。なお、図7Hには、Y軸の負方向(正方向でも可)からみた場合を示している。
【0131】
図7Hに示すように、ラッチ176を用いたロック機構は、1対のラッチ176と、1対のラッチ176の間に架けられる引張ばね177と、押圧部178とを備えている。
【0132】
ここで、押圧部178が押圧されていない場合、1対のラッチ176は、引張ばね177の張力によって受動ローラ151または他ローラ153を挟みつけ、かかる受動ローラ151または他ローラ153の回転をロックする。
【0133】
そして、押圧部178が図中の矢印が示す向きに押圧された場合、1対のラッチ176はかかる押圧部178に接触して開かれ、挾みつけを解いて受動ローラ151または他ローラ153を回転自在に解放する。
【0134】
すなわち、フォーク150とカセット30との連結時には、基板搬送装置10は、既に図7Dで示したのと同様に、押圧部178を押圧するようにフォーク150の動きを制御することによって、ロックを解除することができる。
【0135】
このように、ラッチ176を用いて、受動ローラ151または他ローラ153を、フォーク150とカセット30との連結時には回転自在に解放し、連結解除時にはロックすることにより、基板100の搬送時における無用なずれを確実に防ぐことができる。
【0136】
なお、かかる例におけるロックの確実性を増すために、受動ローラ151または他ローラ153の外周面を平歯車状に加工することとしてもよい。また、1対のラッチ176が、受動ローラ151または他ローラ153ではなく、軸心まわりの外周面をやはり平歯車状に加工したローラシャフト154を挟みつけることとしてもよい。
【0137】
次に、ネオジム磁石を用いたロック機構の構成例を示す。図7Iは、ネオジム磁石179を用いたロック機構の一例を示す図である。なお、図7Iには、Y軸の負方向からみた場合を示している。
【0138】
図7Iに示すように、ネオジム磁石179を用いたロック機構は、ネオジム磁石179と、復元力によってネオジム磁石179の支持部をX軸の正方向へ付勢する圧縮ばね180と、押圧部181とを備えている。
【0139】
また、ローラシャフト154は、XZ平面で切ったときの断面形状が六角形である六角形状部154bを有している。
【0140】
ここで、フォーク150とカセット30との非連結時は、磁力作用によってネオジム磁石179と六角形状部154b(すなわち、ローラシャフト154)とが吸着するので、ローラシャフト154の軸心まわりの回転がロックされる。
【0141】
そして、押圧部181が図中の矢印が示すX軸の負方向へ向けて押圧されると、かかる押圧の付勢によってネオジム磁石179は六角形状部154bから外され、ローラシャフト154は、回転自在に解放される。すなわち、フォーク150とカセット30との連結時には、基板搬送装置10は、押圧部181を押圧するようにフォーク150の動きを制御することによって、ロックを解除することができる。
【0142】
そして、押圧部181からの押圧が解かれたならば、すなわち、フォーク150とカセット30との連結が解除されたならば、圧縮ばね180の復元力によってネオジム磁石179はX軸の正方向へ付勢され、六角形状部154bを吸着し、ローラシャフト154をロックする。
【0143】
なお、ここでは、六角形の六角形状部154bを例に挙げたが、吸着時にネオジム磁石179と嵌合可能であり、ロック可能な形状に成形されていれば、その形状は六角形に限られるものではない。
【0144】
このように、ネオジム磁石179を用いて、ローラシャフト154を、フォーク150とカセット30との連結時には回転自在に解放し、連結解除時にはロックすることにより、基板100の搬送時における無用なずれを確実に防ぐことができる。
【0145】
なお、かかる図7Aから図7Iに示した本実施例に係るロック機構はいずれも、たとえば、引張ばね173(図7E参照)の張力などを利用することによって、フォーク150とカセット30とが連結されていない状態では自律的にロックし、フォーク150とカセット30とが連結されることによって、かかるロックが他律的に解除される機構ということができる。すなわち、フォーク150とカセット30とが連結されていない状態である搬送時の、基板100の無用なずれを確実に防ぐことができる。
【0146】
また、かかる図7Aから図7Iに示したロック機構の構成例は、あくまでも構成の一例であって、その実現手法を限定するものではない。また、各構成例を、適宜組み合わせてもよい。
【0147】
ところで、図6、および、図7Aから図7Iを用いた説明で示したのは、いわば、X軸方向における基板100のずれを防止するものである。ここで、Y軸方向においても、基板100を適切な位置に保つような処置を施すこととしてもよい。
【0148】
これは、たとえば、基板100の側面を適切な位置へ案内するガイド部材を用いることによって実現することができる。かかる点について、図8Aおよび図8Bを用いて説明する。
【0149】
図8Aは、フォーク150がガイド部材157を有する場合を、X軸の正方向からみた模式図として示している。同じく、図8Bは、Z軸の正方向からみた模式図として示している。
【0150】
図8Aに示すように、実施例に係るハンド15は、フォーク150の先端部に、たとえば断面がL字形状のガイド部材157を備えることができる。かかるガイド部材157を備えることにより、図8Bに示すように、実施例に係るハンド15は、搬出入の際の基板100をY軸方向に沿った範囲rへ収めることができ、基板100を用いる処理を行うユニットなどへの搬送をスムーズに行うことを可能にする。
【0151】
なお、図8Aおよび図8Bには、フォーク150の先端部にガイド部材157を備える例を示しているが、取り付け位置を限定するものではなく、たとえば、フォーク150の側面全体に沿うガイド部材157であってもよい。
【0152】
また、形状についても断面をL字形状に限定するものではない。また、ガイド部材157の内壁面に、搬送物である基板100を滑らかに案内することができるローラやベアリングといった部材をあわせて用いることとしてもよい。
【0153】
上述したように、実施例に係る基板搬送用ハンドおよび基板搬送用ハンドを備えた基板搬送装置は、カセットへ基板の搬出入方向に沿って連結された状態でかかるカセットが備える駆動機構の駆動を受けて回転する受動ローラを備える。
【0154】
したがって、実施例に係る基板搬送用ハンドおよび基板搬送用ハンドを備えた基板搬送装置によれば、ハンドをカセット内へ進入させることなくハンド上へ基板を載置して搬送することができる。
【0155】
なお、上述した実施例では、ハンドが備えるフォークが1対である場合について示したが、これに限定されるものではない。たとえば、フォークが3つ以上である場合に本願の開示する技術を適用することとしてもよい。
【0156】
また、上述した実施例では、搬送される基板が、主に液晶パネルのガラス基板を例に挙げて説明したが、半導体ウェハなどの薄板状の基板全般を含むことができるのはいうまでもない。
【0157】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施例に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0158】
1 基板搬送システム
10 基板搬送装置
11 昇降機構
12 旋回機構
13 伸縮機構
14 支持部材
15 ハンド
16 ベース
20 コントローラ
30 カセット
31 コンベア部
32 駆動機構
33 駆動シャフト
34 ローラシャフト
35 ローラ
36 電源供給部
100 基板
150 フォーク
150a プローブ
151 受動ローラ
151a 内径部
151b ロック孔
152 ベルト
153 他ローラ
154 ローラシャフト
154a テーパ部
154b 六角形状部
155 タップ穴
156 センサ
157 ガイド部材
158 プーリ
159 係止ピン
160 ベアリング
161 ロックプレート
162 電磁ブレーキ
163 ベルト固定金具
164 止め輪
165 圧縮ばね
166 スライドブッシュ
167 リニアシャフト
168 支持部
169 押圧部
170 押圧部
171 可動バー
172 スライドブッシュ
172a ベアリング
173 引張ばね
174 ピンシリンダ
174a ピン
175 支持部
176 ラッチ
177 引張ばね
178 押圧部
179 ネオジム磁石
180 圧縮ばね
181 押圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カセットからの基板の出し入れおよび搬送を行う基板搬送用ハンドであって、
前記カセットへ前記基板の出し入れ方向に沿って連結された状態で当該カセットが備える駆動機構の駆動を受けて回転する受動ローラ
を備えることを特徴とする基板搬送用ハンド。
【請求項2】
前記カセットへ連結される板状のフォークと、
前記受動ローラの回転を前記フォークに沿って伝達するベルトと、
前記ベルトによる回転の伝達を受けて前記受動ローラと同じ回転方向に回転するその他のローラと
を備えることを特徴とする請求項1に記載の基板搬送用ハンド。
【請求項3】
前記受動ローラは、
前記駆動機構に対して接触することなく、磁力作用によって前記駆動機構の駆動を受けることを特徴とする請求項1または2に記載の基板搬送用ハンド。
【請求項4】
前記ベルトは
前記フォークの内部に配置されることを特徴とする請求項2に記載の基板搬送用ハンド。
【請求項5】
前記基板が前記カセットから所定量引き出されたことを検知する検知手段
をさらに備え、
前記検知手段による検知に基づいて前記カセットと前記フォークとの連結を解除することを特徴とする請求項2、3または4に記載の基板搬送用ハンド。
【請求項6】
前記基板の側面を前記フォークの板面に沿った所定の領域内へ案内するガイド
をさらに備えることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の基板搬送用ハンド。
【請求項7】
前記受動ローラ、前記ベルトおよび前記その他のローラのうちの少なくともいずれか一つを自律的にロックし、前記フォークが前記カセットへ連結されることによって、ロックが解除されるロック機構
をさらに備えることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一つに記載の基板搬送用ハンド。
【請求項8】
前記ロック機構は、
電磁ブレーキを備え、
前記電磁ブレーキの生ずる制動力に基づいて前記受動ローラまたは前記その他のローラをロックすることを特徴とする請求項7に記載の基板搬送用ハンド。
【請求項9】
前記ロック機構は、
前記ベルトの歯面と嵌合可能に成形された金具を有しており、
前記金具を前記歯面へ嵌合させることによって、前記ベルトをロックすることを特徴とする請求項7に記載の基板搬送用ハンド。
【請求項10】
前記受動ローラまたは前記その他のローラの回転軸は、外径が大きい太軸部と外径が小さい細軸部とを有しており、
前記ロック機構は、
前記回転軸を貫通させ、前記太軸部に外接する貫通孔を有するスライドブッシュを備え、
前記スライドブッシュを前記回転軸に沿って前記細軸部から前記太軸部へ移動することによって当該回転軸の回転を制動し、前記受動ローラまたは前記その他のローラをロックすることを特徴とする請求項7に記載の基板搬送用ハンド。
【請求項11】
前記ロック機構は、
ピンシリンダを備え、
前記受動ローラまたは前記その他のローラの外周面に設けられたロック孔へ前記ピンシリンダのピンを嵌合させることによって、前記受動ローラまたは前記その他のローラをロックすることを特徴とする請求項7に記載の基板搬送用ハンド。
【請求項12】
前記ロック機構は、
1対のラッチを備え、
前記受動ローラまたは前記その他のローラを前記1対のラッチで挟みつけることによってロックすることを特徴とする請求項7に記載の基板搬送用ハンド。
【請求項13】
前記ロック機構は、
ネオジム磁石を備え、
前記ネオジム磁石を、当該ネオジム磁石と嵌合可能に成形された前記受動ローラまたは前記その他のローラの回転軸へ吸着させることによって、前記受動ローラまたは前記その他のローラをロックすることを特徴とする請求項7に記載の基板搬送用ハンド。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一つに記載の基板搬送用ハンド
を備えることを特徴とする基板搬送装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【図7I】
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【図8A】
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【図8B】
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【公開番号】特開2013−4678(P2013−4678A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133403(P2011−133403)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】