説明

基板搬送装置

【課題】可動の支持部により基板を支持しながら、基板を支持する構成の軽量化を図ること。
【解決手段】基板を支持する支持手段と、前記支持手段を所定の基板受け渡し地点に移動させる移動手段と、を備えた基板搬送装置であって、前記支持手段は、前記基板を支持する支持位置と基板の支持を解除する支持解除位置との間で移動可能な可動支持部を少なくとも含み、前記基板を支持する複数の支持部と、前記可動支持部を、前記支持位置に位置させる方向に付勢する付勢手段と、を含み、前記基板搬送装置は、更に、前記基板受け渡し地点に配置され、前記付勢手段の付勢力に抗して前記可動支持部を前記支持位置から前記支持解除位置に移動する支持部移動手段を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板を搬送する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を搬送する装置は種々の構成のものが提案されている。例えば、特許文献1には液晶表示装置用のガラス基板に代表される基板を、可動の支持部により保持して搬送する装置が開示されている。また、特許文献2には半導体ウエハに代表される基板を支持部上に載置して搬送する装置が開示されている。また、特許文献3には太陽電池パネルに代表される基板を支持部上に載置して搬送する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−172438号公報
【特許文献2】特開平11−145055号公報
【特許文献3】特開平9−141743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2や特許文献3に開示されるように基板を支持部上に載置して搬送する装置では、搬送先の処理装置に対する基板の受け渡しの際、支持部の処理装置への進退動作に時間を要して搬送効率が劣る場合がある。
【0005】
一方、特許文献1に開示される装置のように、可動の支持部により基板を保持して搬送する構成では、支持部の動作によって基板の保持と解除を行うことができるため、処理装置に対する基板の受け渡しをより短時間で行って搬送効率を向上できる場合がある。しかし、支持部を動作させるためのエアシリンダやモータ等の駆動源が必要となり、その分だけ基板を支持する構成の重量が重くなる。基板を支持する構成が重くなると、搬送系の高出力化や高剛性化が必要となり、コストアップの要因となる。
【0006】
本発明の目的は、可動の支持部により基板を支持しながら、基板を支持する構成の軽量化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、基板を支持する支持手段と、前記支持手段を所定の基板受け渡し地点に移動させる移動手段と、を備えた基板搬送装置であって、前記支持手段は、前記基板を支持する支持位置と基板の支持を解除する支持解除位置との間で移動可能な可動支持部を少なくとも含み、前記基板を支持する複数の支持部と、前記可動支持部を、前記支持位置に位置させる方向に付勢する付勢手段と、を含み、前記基板搬送装置は、更に、前記基板受け渡し地点に配置され、前記付勢手段の付勢力に抗して前記可動支持部を前記支持位置から前記支持解除位置に移動する支持部移動手段を備えたことを特徴とする基板搬送装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、可動の支持部により基板を支持しながら、基板を支持する構成の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板搬送装置1の概略図。
【図2】搬送ユニット10の分解斜視図。
【図3】支持ユニット14の部分斜視図。
【図4】(A)及び(B)は支持ユニット14の動作説明図。
【図5】(A)及び(B)は当接ユニット144の動作説明図。
【図6】(A)乃至(C)は基板受け渡し地点Pinにおける基板の受け渡し動作の説明図。
【図7】(A)乃至(D)は処理装置2における基板の受け渡し動作の説明図。
【図8】支持ユニット14に代わる支持ユニット15の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<全体構成>
図1は本発明の一実施形態に係る基板搬送装置1の概略図である。図1及びその他の図において、矢印X、Yは互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは上下方向を示す。基板搬送装置1は、ガラス基板、半導体ウエハ或いは太陽電池パネルといった各種の基板を搬送する装置である。基板搬送装置1は、基板を搬送する搬送ユニット10と、搬送ユニット10の移動経路である基板の搬送経路を規定する一対のレール20と、レール20を支持する枠状の支持体21と、を備える。
【0011】
一対のレール20は互いにY方向に離間してX方向に直線的に延設されている。搬送ユニット10は一対のレール20の案内によりX方向に直線的に往復移動する。本実施形態では搬送ユニット10を直線状の搬送経路で移動させるように構成したが、該搬送経路は湾曲したものであってもよい。また、本実施形態では、共通の一対のレール20に対して2機の搬送ユニット10が移動するように構成しているが、搬送ユニット10は1機であっても3機以上であってもよい。
【0012】
処理装置2は、一対のレール20で規定される搬送経路の側方に配置されており、本実施形態の場合、搬送経路の両側方にそれぞれ複数配置されている。これらの処理装置2は同じ処理を行う装置であってもよいし、異なる処理を行う装置であってもよい。処理装置2は、例えば、熱処理(例えば乾燥等)や真空処理(例えばラミネート処理)を行う装置である。
【0013】
一対のレール20の一方端部には搬入コンベア3が配置されている。搬入コンベア3は、例えば、ベルトコンベアやローラコンベアであり、本実施形態の場合、枠状の支持体4により支持されている。処理対象の基板は、搬入コンベア3によって矢印d1方向に搬送され、受け渡し地点Pinにおいて搬送ユニット10に移載される。受け渡し地点Pinには、後述する昇降装置40及び載置部41(いずれも図1において不図示)並びに支持部移動ユニット30が配置されており、これらにより基板の移載が行われる。搬入コンベア3から搬送ユニット10に移載された基板は、搬送ユニット10によって1又は複数の処理装置2へ搬送される。
【0014】
一対のレール20の他方端部には搬出コンベア5が配置されている。搬出コンベア5は、例えば、ベルトコンベアやローラコンベアであり、本実施形態の場合、枠状の支持体6により支持されている。処理が終了した基板は搬送ユニット10により受け渡し地点Poutに搬送され、搬送ユニット10から搬出コンベア5に移載される。受け渡し地点Poutには受け渡し地点Pinと同様の構成の昇降装置40及び載置部41(いずれも図1において不図示)並びに支持部移動ユニット30が配置されており、これらにより基板の移載が行われる。搬送ユニット10から搬出コンベア5に移載された基板は、搬出コンベア5により矢印d2方向に搬送され、次工程へ搬送される。
【0015】
なお、本実施形態では、直線状の搬送経路に沿って配置された処理装置との間で基板の搬入出等を行う搬送ユニット10が、該搬送経路上を移動することで基板の移送を行う構成であるが他の構成も採用可能である。例えば、搬送ユニット10を、垂直多関節アームや、旋回機能を備えた水平多関節アームのアーム先端に取付けて移動する構成とし、該多関節アームを中心として周囲に処理装置2を配置する構成も採用可能である。
【0016】
<搬送ユニット10>
図2は搬送ユニット10の分解斜視図である。搬送ユニット10は、移動ユニット11、11と、支持体12と、移動ユニット13と、支持ユニット14と、を備える。移動ユニット11、11は搬送ユニット10全体をX方向に水平に移動するためのユニットであり、X方向に離間して2つ設けられている。
【0017】
各移動ユニット11は、駆動ユニット11bと、駆動ユニット11bのY方向両側に設けられた駆動輪11aと、を備える。駆動ユニット11bは駆動輪11aを回転させるための駆動機構(例えばモータ及び減速機)を備え、駆動輪11aはレール20上を転動する。これにより搬送ユニット10は4輪の駆動輪11aを回転させてレール20に沿ってX方向に移動する。本実施形態では、このように駆動輪11aを回転させることで搬送ユニット10をX方向に移動する構成としたが、その移動機構としては他の種類の機構(例えば、ラック&ピニオン機構や、ベルト伝動機構(歯付ベルト&プーリ機構等))も採用可能である。
【0018】
支持体12は枠状をなし、2つの移動ユニット11間を連結する連結部12aと、移動ユニット13を支持する支持部12bと、を有する。
【0019】
移動ユニット13は、水平に伸縮し処理装置2へ向けて支持ユニット14を移動するユニットである。移動ユニット13は、本実施形態の場合、Y方向の一方向及び逆方向のいずれの方向にも伸縮可能である。移動ユニット13は、支持部12bに固定された固定部131と、固定部131に対してY方向両方向にスライド自在に支持された第1移動部132と、第1移動部132に対してY方向両方向にスライド自在に支持されると共に、下面に支持ユニット14が固定された第2移動部133と、を備える。
【0020】
本実施形態では移動ユニット13の伸縮機構は、各種ロボット(例えばスタッカクレーン)のアームの伸縮機構等に用いられる公知のベルト伝動機構が採用されている。詳細には、固定部131には、駆動源としてのモータ134、モータ134の出力軸に取り付けられた駆動プーリ135、従動プーリ136、136が搭載されている。
【0021】
駆動プーリ135、従動プーリ136、136、及び第1移動部132及び第2移動部133に設けられる不図示の従動プーリには、不図示のタイミングベルトが巻きまわされ、モータ134の駆動による駆動プーリ135の回転によりタイミングベルトが走行する。タイミングベルトの走行により第1移動部132及び第2移動部133がY方向に送り出されて移動ユニット13が伸長するか、又は、固定部131とZ方向に重なりあった収縮状態となる。第1移動部132及び第2移動部133の移動方向は駆動プーリ135の回転方向に従う。本実施形態では、このようにベルト伝動機構を採用したが、支持ユニット14をY方向に移動させる各種の機構が採用可能である。例えば、その他の伸縮機構としては、ラック&ピニオン機構による伝動機構を採用してもよい。
【0022】
移動ユニット11により搬送ユニット10をX方向に走行する場合、移動ユニット13は収縮状態とし、処理装置2との基板の受け渡しを行う場合、移動ユニット13を伸長状態とすることになる。
【0023】
次に、図2に加えて図3を参照して支持ユニット14について説明する。図3は支持ユニット14の部分斜視図である。支持ユニット14は搬送対象の矩形基板を支持するためのユニットであり、板状の本体部141と、本体部141のY方向両端部にそれぞれ設けられた支持機構142、142と、を備える。
【0024】
支持機構142は、X方向に延在する軸部材1421を備える。軸部材1421はその両端部の断面形状は円形で、支持板141に設けられた軸受部1422にその軸心回りに回転自在に軸支される一方、その両端部を除く部分の断面形状は六角形となっている。
【0025】
軸部材1421には支持部1423が設けられている。支持部1423は、その断面がL字型をなし、その上端部が軸部材1421に固定されている。支持部1423は、一つの軸部材1421に対してY方向に離間して2つ設けられている。そして、2つの支持機構142、142のうちの一方の支持機構142の2つの支持部1423が基板のY方向の一方側の端部を下方より支持し、他方の支持機構142の2つの支持部1423が基板のY方向の他方側の端部を下方より支持することで、搬送対象の基板を水平に支持する。基板の両端部がそれぞれ支持部1423で支持されることで安定して基板を支持することができる。
【0026】
軸部材1421には、L字型のブラケット1424aを介して被操作部1424が取り付けられている。本実施形態の場合、軸部材1421はブラケット1424aに回転自在に支持されたローラである。
【0027】
軸部材1421に設けられた係止部143aと、本体部141に設けられた係止部143bと、の間には付勢部材143が張設されている。付勢部材143は弾性部材であり、軸部材1421に対して常時一方方向の回転力を付勢する。本実施形態の場合、付勢部材143はコイルスプリングであるが、他の種類の弾性部材も採用可能である。また、本実施形態の場合、付勢部材143、係止部143a及び143bの組は、1つの軸部材1421に対してX方向に離間して2組設けられている。
【0028】
本体部141にはL字型のブラケット1426aを介してストッパ部材1426が取り付けられている。ストッパ部材1426は本実施形態の場合、Y方向に突出したピン状の部材である。軸部材1421には当接板1425が設けられており、ストッパ部材1426の先端が当接板1425に当接することで軸部材1421の回り止めとなる(付勢部材143による軸部材1421の回転を規制する)。
【0029】
本体部141には、当接ユニット144が設けられている。本実施形態では、Y方向の一方側と、他方側とにそれぞれ、2つの当接ユニット144がX方向に離間して本体部141に配置されている。図5(A)に示すように、当接ユニット144は、軸体1441と、軸体1441が挿通する円筒体1442と、軸体1441の下端部に取り付けられた有底円筒状の当接部材1443と、円筒体1442の下端面と当接部材1443との間に装填された弾性部材1444と、軸体1441の上端部に取り付けられたストッパ1445と、を備える。弾性部材1444は本実施形態の場合、コイルスプリングであり、当接部材1443を常時下方へ移動するように付勢する。
【0030】
<昇降装置40及び載置部41並びに支持部移動ユニット30>
基板受け渡し地点PinやPoutには昇降装置40及び載置部41並びに支持部移動ユニット30が配置されている。ここでは図6(A)を参照して基板受け渡し地点Pinを例にとってこれらの構成について説明するが、基板受け渡し地点Poutについても同様である。
【0031】
昇降装置40及び載置部41は、搬入コンベア3、3間に配設されている。載置部41はその上面が、基板Pが載置される水平な載置面を構成したテーブル状の部材である。昇降装置40は載置部41をZ方向に昇降する装置であり、その機構としては公知の機構を採用できる。昇降装置40は、搬送ユニット10が基板Pを搬送する水平面Sよりも下方であって、しかも搬入コンベア3、3の搬送面よりも下方に配置されている。
【0032】
支持部移動ユニット30は、被操作部1424に係合される操作部材32と、操作部材32をZ方向に移動する駆動部31と、を備える。操作部材32は本実施形態の場合、板状をなしており、被操作部1424への係合はその上面が単に被操作部1424に当接することによる。駆動部31は例えばソレノイドやエアシリンダ等の伸縮アクチュエータである。
【0033】
支持部移動ユニット30は、2つの被操作部1424に対応して2つ設けられており、本実施形態の場合、2つの被操作部1424の位置に対応した位置において、搬入コンベア3の側部にそれぞれ支持(配設)されている。
【0034】
<処理装置2>
図7(A)は、一例として、基板Pの乾燥処理を行う処理装置2の構成を示している。同図の処理装置2は、基板Pが載置されると共に基板Pを加温するヒータを内蔵した処理テーブル201と、処理テーブル201を支持する支持部材201aと、を備える。
【0035】
処理装置2には、また、昇降装置202、載置部203及び支持部移動ユニット30、30が配置されている。支持部移動ユニット30は、基板受け渡し地点Pinに設けた支持部移動ユニット30と同様の構成であり、本実施形態の場合、支持部材201aに支持されている。
【0036】
載置部203は、板状のテーブル部203aと、テーブル部203a上に立設された複数のピン203bと、を備える。処理テーブル201には複数のピン203bがそれぞれ挿し通される貫通孔が形成されており、載置部203の昇降によりピン203bが処理テーブル201上に出没する構成である。昇降装置202は、搬送ユニット10が基板Pを搬送する水平面Sよりも下方に配置されている。
【0037】
<基板搬送装置1の動作>
<支持ユニット14>
図4を参照して、支持部1423が基板を支持する支持位置と基板の支持を解除する支持解除位置との間で移動する動作について説明する。図4(A)及び(B)は支持ユニット14の動作説明図である。
【0038】
図4(A)は支持部1423が支持位置に位置している場合を示している。軸部材1421には付勢部材143の付勢により矢印d3方向の回転力が常時作用している一方、ストッパ部材1426により図4(A)の状態以上に矢印d3方向に回転しないように回り止めがされている。基板Pは支持部1423の下部上に載置されることにより、その下面が支持部1423に支持される。
【0039】
図4(B)は支持部1423が支持解除位置に位置している場合を示している。図4(A)の状態から被操作部1424に対して矢印d5方向(Z方向)の力を作用させることにより、付勢部材143の付勢力に抗して軸部材1421は矢印d4方向に回転する。これにより、軸部材1421に取り付けられている支持部1423も回動して図4(B)の支持解除位置に移動することになる。この支持解除位置において、一方の支持機構142の支持部1423の下部端部と、他方の支持機構142の支持部1423の下部端部との離間距離(Y方向の離間距離)は基板PのY方向の幅よりも大きくなり、基板Pの支持状態が解除されることになる。被操作部1424に対する矢印d5方向の力が作用されなくなると、付勢部材143の付勢によって再び図4(A)の状態に戻ることになる。
【0040】
このように本実施形態では支持部1423を支持位置と支持解除位置との間で軸部材1421の軸を中心に移動可能な可動部とすることで、基板Pの支持及び支持解除を行う。なお、本実施形態では合計4つの支持部1423の全てが可動する構成としたが、その一部(対向する一方側に配置される支持部)は可動しない固定の支持部としてもよい。また、本実施形態では基板Pが矩形である場合を想定したが、円形等、他の形状であってもよく、支持部1423は基板の形状に合わせて設ければよい。
【0041】
次に、当接ユニット144の動作について説明する。図5(A)及び(B)は当接ユニット144の動作説明図である。図5(A)に示すように、支持部1423により基板Pを支持していない状態においては、弾性部材1444の付勢により当接部材1443は最下位置に位置している。
【0042】
一方、図5(B)に示すように、支持部1423により基板Pを支持する状態においては、基板Pの受渡し時に基板Pの存在(基板Pが上昇すること)により弾性部材1444の付勢に抗して当接部材1443が最下位置よりも上方に押し上げられ、当接部材1443は基板Pの上面に当接して基板Pを支持部1423に向かって付勢する。これにより基板Pは当接部材1443と支持部1423とによって上下に挟まれた状態で維持されることとなり、基板Pの保持性能を向上できる。このため、基板Pをより高速で搬送しても、搬送中に基板Pが傾いたり、支持部1423から脱落したりすることを防止できる。
【0043】
<基板受け渡し地点における基板の移載>
次に、基板の受け渡し地点における基板の移載動作について説明する。
【0044】
<基板受け渡し地点Pin>
まず、基板受け渡し地点Pinにおける搬入コンベア3から搬送ユニット10の支持ユニット14への基板の移載動作について図6を参照して説明する。図6(A)乃至(C)は基板受け渡し地点Pinにおける基板の受け渡し動作の説明図である。
【0045】
図6(A)を参照して、基板Pの移載にあたっては、昇降装置40は、載置部41を搬入コンベア3、3上の所定の位置に待機する基板Pよりも下方の降下位置に位置させている。支持部移動ユニット30は、駆動部31により操作部材32が被操作部1424に当接しない降下位置に位置させている。この状態で、移動ユニット11の駆動により搬送ユニット10を基板受け渡し地点Pinに移動する。基板の移載の間、移動ユニット13は収縮状態にある。
【0046】
次に、図6(B)に示すように2つの支持部移動ユニット30の各駆動部31を駆動して各操作部材32を上昇位置に移動し、各操作部材32を各被操作部1424に当接させることで各被操作部1424を押し上げる。これにより、各支持部1423が支持位置から支持解除位置へ軸部材の軸を中心として回動することで移動する。本実施形態では、付勢部材143の付勢により支持部1423を支持位置に付勢する構成としたことで、被操作部1424の押し上げ操作のみで支持部1423を支持位置から支持解除位置へ移動でき、簡易な構成で基板の支持及びその解除が行える。
【0047】
続いて、昇降装置40により載置部41を基板Pの受け渡し位置となる上昇位置に上昇させる。載置部41の上昇の過程で搬入コンベア3、3上の所定の位置に待機する基板Pが載置部41上に載置される。載置部41の上昇位置は、これに載置されている基板Pが水平面S上に位置する位置(または、水平面Sより上方の所定の位置)であり、この位置において、当接ユニット144の当接部材1443は基板Pからの押圧により上方に押し上げられる。
【0048】
次に、図6(C)に示すように2つの支持部移動ユニット30の各駆動部31を駆動して各操作部材32を降下位置に移動し、各被操作部1424の押し上げを解除する。これにより、支持部1423が支持解除位置から支持位置へ移動する。続いて、昇降装置40により載置部41を降下位置に降下させる。これにより、基板Pが支持部1423に支持され、基板の移載が完了する。載置部41の降下途中で、搬送ユニット10のX方向の移動を開始することができ、基板Pの受渡後の動作を並列的に行える。このため、基板の移送効率が向上する。
【0049】
なお、基板受け渡し地点Poutにおいても、昇降装置40、載置部41及び支持部移動ユニット30が基板受け渡し地点Pinと同様に配置され、上述した基板受け渡し地点Pinにおける基板Pの移載動作と逆の動作により、搬送ユニット10の支持ユニット14から搬出コンベア5へ基板の移載が行われる。
【0050】
<処理装置2での移載>
次に、基板受け渡し地点である処理装置2における搬送ユニット10の支持ユニット14から処理装置2への基板の移載動作について図7を参照して説明する。図7は(A)乃至(D)は処理装置2における基板の受け渡し動作の説明図である。
【0051】
基板Pの移載にあたっては、昇降装置202は、載置部203をそのピン203bが処理テーブル201の載置面から突出しない降下位置に位置させている。駆動部31は操作部材32が被操作部1424に当接しない降下位置に位置させている。この状態で、図7(B)に示すように、処理装置2の側方(Y方向側)に位置している搬送ユニット10は、その移動ユニット13を伸長して支持ユニット14を処理テーブル201上に移動する。
【0052】
次に、図7(C)に示すように昇降装置202により載置部203を基板Pの受け渡し位置となる上昇位置に上昇させる。これにより載置部203の複数のピン203bが処理テーブル201の挿通孔から上方へ突出し、複数のピン203bの先端が支持部1423に支持されている基板Pに当接して、基板Pを支持した状態となる。
【0053】
続いて、2つの支持部移動ユニット30の各駆動部31を駆動して各操作部材32を上昇位置に移動し、各被操作部1424を押し上げる。これにより、支持部1423が支持位置から支持解除位置へ移動する。
【0054】
次に、図7(C)に示すように昇降装置202により載置部203を降下位置に降下させる。載置部203の降下の過程で、複数のピン203b上に支持されている基板Pが処理テーブル201上に載置され、基板が処理テーブル201上に移載される。そして、2つの支持部移動ユニット30の各駆動部31を駆動して各操作部材32を降下位置に移動し、各被操作部1424の押し上げを解除する。これにより、支持部1423が支持解除位置から支持位置へ移動する。以上により、支持ユニット14から処理装置2への基板の移載が完了する。その後、搬送ユニット10は移動ユニット13を収縮させて、別の基板の搬送処理に移行することになる。
【0055】
このように本実施形態では、基板受け渡し地点に支持部移動ユニット30を設けてこれにより支持部1423を支持解除位置に移動する構成としたことで、基板を支持する構成である支持ユニット14自体は支持部1423を支持解除位置に移動させるための駆動源を持たせる必要が無くなり、支持ユニット14の軽量化を図ることができる。つまり、支持部1423を動作させるためのエアシリンダやモータ等の駆動源を支持ユニット14に設ける必要がなく、その分だけ支持ユニット14の重量を軽くでき、搬送系の高出力化や高剛性化を低減してコストアップを抑制できる。
【0056】
また、搬送ユニット10が移動ユニット11と移動ユニット13とを備えたことで、レール20に沿って配置された各処理装置2と搬送ユニット10との間の基板の移載を効率的に行うことができる。つまり、移動ユニット11によって基板の搬送経路であるレール20に沿った支持ユニット14の移動が可能で、また、移動ユニット13によって、処理装置2に対して基板を搬出入(ロード/アンロード)することが可能であり、全体的な処理効率が向上する。
【0057】
<支持ユニットの他の構成例>
上記実施形態では、2つの支持機構142を支持ユニット14の対向する端部に設け、一方の支持機構142の支持部1423が他方の支持機構142の支持部1423とは独立して移動する構成としたが、これらの支持部1423の移動を連動させてもよい。図8は支持ユニット14に代わる支持ユニット15の分解斜視図である。
【0058】
支持ユニット15は、板状の本体部151と、支持機構152と、を備える。本体部151には、支持ユニット14の場合と同様の当接ユニット144が4つ配設されている。図8において、支持機構152の構成のうち、本体部151の下面に固定される構成については、その固定面に「X」印を図示してある。
【0059】
支持機構152は、X方向に延設され、支持部1521aをその両端部に備えたスライド部材1521を備える。スライド部材1521にはスライダ1522、1522が設けられており、レール1522a、1522aを介して本体部151に支持されている。レール1522aは、Y方向に延設されて本体部151に固定されており、スライダ1522はレール1522aに案内されてY方向にスライド自在となっている。これにより、スライド部材1521がY方向にスライド自在となっており、支持部1521aがY方向に移動する。つまり、本実施形態では、支持部1521aは、支持部1423のように回動するのではなく、水平方向に平行移動する。本実施形態では、支持部1521aをスライド部材1521と一体に形成したが、別々に形成して固定してもよい。
【0060】
本実施形態の場合、スライド部材1521、スライダ1522及びレール1522aの組が本体部151のY方向両端部にそれぞれ配設されており、一方の組の支持部1521aと他方の組の支持部1521aとが互いに近接することで支持位置に位置し、互いに離間することで支持解除位置に位置することになる。基板の支持は、支持ユニット14の場合と同様に、基板の一方端部と、他方端部とをそれぞれ2つの支持部1521aで下方から支持する構成である。
【0061】
スライド部材1521に設けられた係止部153aと、本体部151に設けられた係止部153bと、の間には付勢部材153が張設されている。付勢部材153は弾性部材であり、スライド部材1521に対して常時一方方向(スライド部材1521、1521が互いに近接する方向)の移動力を付勢する。本実施形態の場合、付勢部材153はコイルスプリングであるが、他の種類の弾性部材も採用可能である。また、本実施形態の場合、付勢部材153、係止部153a及び153bの組は、1つのスライド部材1521に対してX方向に離間して2組設けられている。
【0062】
本体部151にはブラケット1523aを介してストッパ部材1523が取り付けられている。ストッパ部材1523は、本実施形態の場合、Y方向に突出したピン状の部材である。スライド部材1521には当接板1527が設けられており、ストッパ部材1523の先端が当接板1527に当接することで付勢部材153により付勢されるスライド部材1521の付勢方向の移動を規制する。
【0063】
支持機構152はY方向に延設された主伝達部材1525aを備える。主伝達部材1525aは、そのY方向の一方端部に被操作部1525を備え、その他方端部が図8で左側(対向するY方向)のスライド部材1521に固定されている。主伝達部材1525aにはスライダ1526が設けられており、レール1527を介して本体部151に移動可能に支持されている。
【0064】
レール1527は、Y方向に延設されて本体部151に固定されており、スライダ1526はレール1527に案内されてY方向にスライド自在となっている。これにより、主伝達部材1525aがY方向にスライド自在となっている。
【0065】
支持機構152は副伝達部材1524aを備える。副伝達部材1524aは、主伝達部材1525aがY方向に移動する直線上でY方向に延設されており、その一方端部に被操作部1524を備える。副伝達部材1524aにはスライダ1526aが設けられており、レール1527を介して本体部151に移動可能に支持されている。スライダ1526aはレール1527に案内されてY方向にスライド自在となっている。これにより、副伝達部材1524aがY方向にスライド自在となっている。
【0066】
支持機構152はリンク部材1528、1529を備え、これらは、それぞれ、本体部151に固定された軸支部1528c、1529cにより水平面内で回動自在に支持されている。リンク部材1528、1529は、その両端部にそれぞれ長孔形状のリンク孔を有する。リンク部材1528の一方のリンク孔には主伝達部材1525aに立設されたピン部材1528bが挿入されており、他方のリンク孔には副伝達部材1524aに立設されたピン部材1528aが挿入されている。リンク部材1529の一方のリンク孔には主伝達部材1525aに立設されたピン部材1529aが挿入されており、他方のリンク孔には図8で右側のスライド部材1521に固定されている連結板1521bに立設されたピン部材1529bが挿入されている。
【0067】
係る構成からなる支持ユニット15では、付勢部材153の付勢により、通常時は、2つのスライド部材1521が互いに近接して、各スライド部材1521の支持部1521a間が相対的に近接した支持位置にある。一方、被操作部1525が矢印d6方向に押圧されると、主伝達部材1525がY方向に図8で左側に移動する。
【0068】
主伝達部材1525aには一方側(図8で左側)のスライド部材1521が固定されているので、主伝達部材1525aがその延設方向の一方側(図8のY方向における矢印d6の方向)に移動すると、付勢部材153の付勢に抗してこの左側(本体部151のY方向の一方側)のスライド部材1521が他方側(図8で右側)のスライド部材1521から離間する方向(矢印d6の方向)に移動する。同時に、リンク部材1529が平面視で反時計回りに回動するので、他方側(図8で右側)のスライド部材1521も一方側(図8で左側)のスライド部材1521から離間する方向(図8のY方向における矢印d7の方向)に移動する。つまり、2つのスライド部材1521が互いにY方向の逆方向に移動し、これにより各スライド部材1521の支持部1521a間が相対的に離間した支持解除位置に移動することになる。
【0069】
このように支持ユニット15では、被操作部1525を操作すると、全ての支持部1521aが連動して移動するので、基板受け渡し地点には支持部移動ユニットを一つ設ければ足りる。支持ユニット15の被操作部1525に対する押圧方向がY方向(矢印d6方向)であり、上記の支持部移動ユニット30の押圧方向(X方向)とは90度異なるが、これは支持部移動ユニット30の向きを90度変えて設置すれば足りる。
【0070】
なお、支持ユニット15では、被操作部1525に代えて被操作部1524を矢印d7方向に押圧しても、支持部1521aを支持解除位置に移動することができる。つまり、被操作部1524を矢印d7方向に押圧すると、副伝達部材1524aがY方向に図8で右側(本体部151のY方向の他方側)に移動し、リンク部材1528が平面視で時計回りに回動する。これにより、主伝達部材1525aがY方向に図8で左側(本体部151のY方向の一方側)に移動することになり、被操作部1525を矢印d6方向に押圧した場合と同様の状態となる。リンク部材1528およびリンク部材1529は、同じ長さで製作され対称に構成されているので、支持部材1521の接近・離間動作時の移動距離を同じにすることができる。また、被操作部1525および被操作部1524は、Y方向の同一線上に配置されることで、支持部材移動ユニット30の配置位置を設定する場合、X方向に対して対称の位置とすることができる。
【0071】
上記の通り、支持ユニット15では基板受け渡し地点には支持部移動ユニットを一つ設ければ足りるが、その配設部位の選択肢として、被操作部1525に対応した位置と被操作部1524に対応した位置とのいずれかを選択できる。これは、レイアウト上の制約を少なくする利点がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持する支持手段と、
前記支持手段を所定の基板受け渡し地点に移動させる移動手段と、
を備えた基板搬送装置であって、
前記支持手段は、
前記基板を支持する支持位置と基板の支持を解除する支持解除位置との間で移動可能な可動支持部を少なくとも含み、前記基板を支持する複数の支持部と、
前記可動支持部を、前記支持位置に位置させる方向に付勢する付勢手段と、を含み、
前記基板搬送装置は、更に、
前記基板受け渡し地点に配置され、前記付勢手段の付勢力に抗して前記可動支持部を前記支持位置から前記支持解除位置に移動する支持部移動手段を備えたことを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
前記支持部移動手段が、
前記可動支持部を前記支持位置と前記支持解除位置との間で移動可能に支持する支持機構に設けられた被操作部に係合され、前記可動支持部を前記支持位置から前記支持解除位置に移動させる操作部材と、
前記操作部材を移動させる駆動手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記複数の支持部は、
前記基板の一方側の端部を支持する第1の前記可動支持部と、
前記基板の他方側の端部を支持する第2の前記可動支持部と、を備え、
前記支持機構は、前記第1の可動支持部と前記第2の可動支持部とで、それぞれ設けられ、
前記支持部移動手段は、
前記第1の可動支持部を移動させる第1の前記操作部材及び第1の前記駆動手段と、
前記第2の可動支持部を移動させる第2の前記操作部材及び第2の前記駆動手段と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記複数の支持部は、
前記基板の一方側の端部を支持する第1の前記可動支持部と、
前記基板の他方側の端部を支持する第2の前記可動支持部と、を備え、
前記支持機構は、
前記第1の可動支持部が設けられ、前記支持位置と前記支持解除位置との間で所定の移動方向にスライド自在に支持された第1のスライド部材と、
前記第2の可動支持部が設けられ、前記支持位置と前記支持解除位置との間で前記移動方向にスライド自在に支持された第2のスライド部材と、
前記被操作部を有すると共に、前記第1のスライド部材が固定され、前記移動方向にスライド自在に支持された伝達部材と、
前記伝達部材と前記第2のスライド部材とを連結して回動自在に支持され、前記伝達部材の移動方向と逆方向に前記第2のスライド部材を移動させるリンク部材と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記複数の支持部は前記基板の下面を支持し、
前記支持手段は、
前記基板の上面に当接され、前記基板を前記支持部に向かって付勢する当接部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項6】
前記基板搬送装置は、更に、
前記基板が載置される載置部と、
前記載置部を昇降する昇降手段と、を備え、
前記載置部と前記昇降手段とは、前記基板受け渡し地点に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。
【請求項7】
前記移動手段は、前記支持手段を水平面上で移動させ、
前記昇降手段が、前記水平面よりも下方に配置されると共に、前記載置部を前記支持手段に対して基板を受け渡す上昇位置と、該上昇位置よりも下方の降下位置との間で昇降させることを特徴とする請求項6に記載の基板搬送装置。
【請求項8】
前記移動手段が、
所定の搬送経路上で前記支持手段を移動する第1移動手段と、
前記搬送経路の側方に配置された処理装置へ向けて前記支持手段を移動する第2移動手段と、を備え、
前記処理装置の配置地点は、前記基板受け渡し地点であることを特徴とする請求項1に記載の基板搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−84611(P2012−84611A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227776(P2010−227776)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(391032358)平田機工株式会社 (107)
【Fターム(参考)】