説明

多発性硬化症治療ためのα‐フェトプロテインおよび免疫調節作用物質の同時投与方法

本発明は、アルファ‐フェトプロテインポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および一種または複数種の免疫調節作用物質を、それを必要とする患者に投与することによって、多発性硬化症を治療する方法を特徴とする。また、アルファ‐フェトプロテインポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および一種または複数種の免疫調節作用物質を含む組成物およびキットも開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、多発性硬化症治療用の1種または複数種の免疫調節作用物質の投与と組み合わせてその機能性断片、類似体、および誘導体を含むα‐フェトプロテインを用いる治療方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
多発性硬化症(MS)は、中枢神経系(CNS)の神経の不可逆的な変性を特徴とする神経疾患である。根本的な原因は不明ではあるが、MSにおける神経変性は、神経の脱髄(すなわち、通常、外層の裏打ちおよび神経の防護をしているタンパク質であるミエリンの、神経からの剥離)の直接の結果である。状態の進行につれて、神経の機能を妨げる炎症の斑および瘢痕が現れる。その結果として、MS患者は、次第に身体の感覚および運動機能を失う。
【0003】
MSは、脳と身体の他の部分との間の伝達が妨害されるようになるにつれて、比較的良性のものから、何らかの支障をきたすもの、甚大な被害をもたらすものまで変動し得る。脱髄の正確な機構は確定されていないものの、多くの研究者たちは、MSは自己免疫疾患‐‐身体がそれ自身の組織に対し、免疫系により防御的な攻撃を開始している‐‐であると考えている。MSの場合、攻撃を受けるのは、神経を防護しているミエリンである。ミエリンが次第に変性し、最終的には消失するにつれて、神経に沿って進む電気的インパルスが減速する。疾患の後期には、神経それ自身が損傷を受けるようになる。より多くの神経が影響を受けるにつれて、患者は、視覚、会話、歩行、記述、および記憶などの、神経系によって制御される機能において進行性の障害を経験する。米国においては、約25万人から35万人がMSに苦しめられている。ほとんどの人が、20歳から40歳までの間に、最初のMSの症状を経験するが、MSと診断されるのは早ければ15歳、遅ければ60歳である。患者が、悪化を停止または遅延させるのに有効である薬物療法を受ける場合を除いて、MSの破壊性は累進的である。一部の個人は短期的には十分に何とかやっていけるとはいえ、MS患者は必ず、時間とともに疾患によってさらに著しく障害されるようになる。
【0004】
MSは、IFNβ‐1aおよびIFNβ‐1aなどの、I型インターフェロン(IFN)を含む、様々な治療様式で治療されることが公知である(例えば、Goodin, Int. M.S. J., 12(3):96-108, 2005(非特許文献1)を参照)。一般的に、耐容性が高く効果的であるものの、インターフェロン療法は、患者に、この療法の効果を劇的に減弱する中和抗体の産生を引き起こし得る。従って、MSの治療のために、新規で効果的な治療上の取り組みが依然として必要とされている。本発明は、これおよびその他の関連する必要性に取り組むものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Goodin, Int. M.S. J., 12(3):96-108, 2005
【発明の概要】
【0006】
本発明は、治療上有効な量のα‐フェトプロテイン(AFP)またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体、および治療上有効な量の免疫調節作用物質を患者に投与することによって、MS患者を治療する方法を提供する。
【0007】
上記の方法の関連する態様において、AFPまたはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体、または免疫調節作用物質は、毎日、毎週、2週間に1度、または毎月投与される。上記方法の別の態様において、AFPまたはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体は、用量当たり約0.5ミリグラムから400ミリグラムの範囲内で投与され、または、免疫調節作用物質は、用量当たり約50マイクログラムから300ミリグラムの範囲内で投与される。
【0008】
上記方法の別の態様において、AFPまたはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体、および免疫調節作用物質は同時期(coextensively)に、例えば、別々の投与形態もしくは同じ投与形態で投与されるか、または別々に投与される。
【0009】
上記方法の関連する態様において、AFPまたはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体は、免疫調節作用物質の前または後に投与される。
【0010】
全ての上記方法の別の態様において、AFPまたはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体、または免疫調節作用物質は、静脈内に、筋肉内に、経口的に、吸入で、非経口的に、腹腔内に、動脈内に、経皮的に、舌下に、経鼻的に、座薬として、頬に(transbuccally)、リポソームで、脂肪内に(adiposally)、眼内に、皮下に、髄腔内に、外用で、または、局所投与を通じて投与される。追加の態様において、AFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および免疫調節作用物質は、二つの異なる投与経路によって投与されるか、または同じ投与経路によって投与される。
【0011】
上記方法の関連する態様において、AFP(またはその生物学的に活性な誘導体、断片、もしくは類似体)および免疫調節作用物質に加えて、一つまたは複数の第2の薬剤(例えば、疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)、コルチコステロイド、または非ステロイド性抗炎症薬(NSAID))を患者に投与する。
【0012】
上記方法の別の態様において、AFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および免疫調節作用物質の投与は、MSの一つまたは複数の症状(例えば、刺痛、しびれ、震え、平衡感覚障害、一つまたは複数の四肢の衰弱、視朦または複視、不明瞭言語、嚥下障害、麻痺、協調運動障害、認知困難、疲労、筋痙縮、眩暈感、呼吸障害、および痙攣)の消失または重症度の軽減(例えば、MSの一つまたは複数の症状の重症度を少なくとも20%軽減)をもたらす。
【0013】
本発明は、患者の多発性硬化症を治療するために治療上有効な量のAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および免疫調節作用物質を含む組成物をさらに提供する。一つの態様において、AFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および免疫調節作用物質に加えて、一つまたは複数の第2の薬剤(例えば、DMARD、コルチコステロイド、またはNSAID)が、組成物中に存在する。
【0014】
本発明はまた、治療上有効な量のAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)、治療上有効な量の免疫調節作用物質、ならびに多発性硬化症を有する患者に該AFPおよび該免疫調節作用物質を投与するための指示書を含むキットも提供する。本発明のキットのいくつかの態様において、AFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および免疫調節作用物質は、二つの異なる投与経路のために製剤化されているか、または同じ投与経路のために製剤化されている。関連する態様において、キットは、AFPおよび免疫調節作用物質と併用して患者に投与するために、一つまたは複数の第2の薬剤(例えば、DMARD、コルチコステロイド、またはNSAID)をさらに含む。
【0015】
上記組成物およびキットの別の態様において、AFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および/または免疫調節作用物質は、静脈内投与、経口的投与、吸入による投与、非経口投与、腹腔内投与、動脈内投与、経皮投与、舌下投与、経鼻投与、座薬としての投与、頬投与、リポソームによる投与、脂肪内投与、眼内投与、皮下投与、髄腔内投与、外用投与、または、局所投与用に製剤化されている。
【0016】
本発明の全ての局面の別の態様において、AFPは、ヒト組換えAFPまたはグリコシル化されていないAFPである。本発明の全ての局面の追加の態様において、免疫調節作用物質は、ペプチドまたはタンパク質(例えば、インターフェロン‐β‐1a、インターフェロン‐β‐1b、インターフェロン‐α、インターフェロン‐γ、インターフェロン‐τ、ならびに酢酸グラチラマー(Copaxone(登録商標)))、抗体(例えば、ナタリズマブ、ダクリズマブ、リツキシマブ、ABT-874、およびアレムツズマブ)、小分子(例えば、BG12(フマル酸塩)、フィンゴリモド(FTY-720)、ミトキサントロン(Novantron(登録商標))、ラキニモド、テリフルノミド(teriflunomide)、およびアトルバスタチン)、または図5に挙げられた薬剤の一つである。
【0017】
定義
本出願において、二つの治療用薬剤が「同時期に投与」される場合、薬剤の投与期間は完全に重なるか、または少なくとも部分的に重なってもよい。二つの薬剤の投与が同時期ではない場合、好ましくは、二つの治療用薬剤は重なっていない期間に投与され;好ましくは、二つの治療用薬剤のうち一つが生物活性である期間のうちに投与が行われる、すなわち、後から投与される薬剤が送達された時点で、先に投与された薬剤が、患者において少なくともその生物学的活性の実質的な部分を維持している。二つの治療用薬剤が同時期に投与されない別の場合、一つの薬剤は、他の薬剤が生物活性である期間以外の期間に投与されてもよい。
【0018】
本明細書において使用される「α‐フェトプロテイン」または「AFP」という用語は、成熟ヒトAFP(SEQ ID NO:1)と実質的に同一なアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはポリペプチド(NCBIアクセッション番号NM_001134;SEQ ID NO:2)をコードする核酸をいう。成熟ヒトAFPは、609アミノ酸の前駆体(GenBank アクセッション番号NP_001125)の、18アミノ酸のシグナル配列を除去する切断に由来する、591アミノ酸のタンパク質(SEQ ID NO:1を参照)である。本発明におけるAFPは、SEQ ID NO:1と実質的に同一なアミノ酸配列を有する。AFPは、全長配列に限定されず、生物学的に活性なAFPの断片も含む。本発明のAFPは、任意の組換えヒトAFP(天然のものと同じ翻訳後修飾を有するかどうかに関わらない)およびヒトAFPの生物学的に活性な変異体(例えば、AFPのグリコシル化されていない形態。例えば、米国特許第7,208,576号参照)も含む。
【0019】
いくつかの態様において、本発明のAFPは、いくつかのアミノ酸残基の置換(例えば、保存的置換)、欠失、または付加を含むSEQ ID NO:1のアミノ酸配列の改変を含んでもよい。例えば、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,208,576号には、組換えヒトAFPが記載されており、これは、SEQ ID NO:1の233番目の位置におけるアスパラギンからグルタミンへの置換を含む。「α‐フェトプロテイン」という用語は、本明細書に記載のAFPの任意の誘導体または類似体も包含する。
【0020】
本発明のAFPは、ネイティブなヒトAFPと同一のまたは実質的に同一の生物学的活性(例えば、少なくとも50%、好ましくは、少なくとも60%、70%、または80%、および、さらに好ましくは、少なくとも90%、95%、もしくは99%、またはそれ以上)を有する。例えば、本発明のAFPは、ネイティブなヒトAFPのように、ヒト白血球に結合する能力および自己免疫反応を抑制する能力を示す。AFPの活性を検査するために使用される白血球結合アッセイが、本明細書および、例えばParker et al., Protein Express. Purification 38:177-183, 2004に記載されている。本発明のAFPの望ましい自己免疫抑制活性は、ヒトの自己混合リンパ球反応(AMLR)を抑制するAFPの能力をアッセイすることによって、またはマウスモデルにおける実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を抑制するAFPの能力をアッセイすることによって示され得る。そのような活性は、本明細書に記載のアッセイによって検証できる。本発明の機能的なAFPは、上述のParker等に記載のアッセイにおいてヒト単球に結合するネイティブなヒトAFPの能力の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、または100%の能力を示し、かつ、自己免疫反応を抑制するネイティブなヒトAFPの能力の少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、または100%の能力を示す。後者の活性は、米国特許第5,965,528号記載の試験におけるヒトAMLRの抑制によって、または別の方法では、マウスモデルにおけるEAEの進展の抑制によって示される(例えば、Fritz et al., J. Immunol. 130:1024, 1983; Naiki et al., Int. J. Immunopharmacol. 13:235, 1991; and Goverman, Lab. Anim. Sci., 46:482, 1996を参照)。
【0021】
本発明のAFP断片は、本明細書に記載の一つまたは複数のアッセイ(例えば、AMLRアッセイ、単球へのAFP結合アッセイ、EAEモデルマウスを用いた実験、および脾細胞アッセイ)を用いて決定できる。典型的な生物学的に活性なAFP断片は、SEQ ID NO:1の、少なくとも5個の長さの連続したアミノ酸、または少なくとも8個の長さの連続したアミノ酸、好ましくは少なくとも10個、20個、または50個の長さの連続したアミノ酸、さらに好ましくは少なくとも100個の長さの連続したアミノ酸、および、最も好ましくは少なくとも200個、300個、400個、またはそれ以上の長さの連続したアミノ酸を含む。例えば、米国特許第6,818,741号は、8アミノ酸のヒトAFP断片(アミノ酸471〜478;

)を開示しており、同様に、この8アミノ酸を含む他のAPF断片も開示している。本発明の活性なAFP断片は、AFP断片がSEQ ID NO:1の中のその対応する配列と少なくとも90%の同一性を有する限りは、限られた数の位置におけるアミノ酸の置換、欠失、または付加をさらに含んでもよい。本出願における配列比較の目的のため、SEQ ID NO:1の対応する配列は、所定のAFP断片として、同数のアミノ酸を有すると見なされる。例えば、SEQ ID NO:1の446〜479部分に相当する34アミノ酸のAFPペプチド(

)は、SEQ ID NO:1の446〜479部分からの変異を最大3アミノ酸まで含んでもよい。生物学的に活性なAFP断片における配列変化の一例が、米国特許第5,707,963号に見られ、これには、2つのアミノ酸残基(SEQ ID NO:4の、9および22番目のアミノ酸)に柔軟性を有する、ヒトAFPの34アミノ酸断片(SEQ ID NO:4)が開示されている。AFP断片の他のいくつかの例は、ドメインI(成熟ヒトAFPのアミノ酸2〜198;SEQ ID NO:5)、ドメインII(成熟ヒトAFPのアミノ酸199〜390;SEQ ID NO:6)、ドメインIII(成熟ヒトAFPのアミノ酸391〜591;SEQ ID NO:7)、ドメインI+II(成熟ヒトAFPのアミノ酸2〜390;SEQ ID NO:8)、ドメインII+III(成熟ヒトAFPのアミノ酸199〜591;SEQ ID NO:9)、およびヒトAFP断片I(成熟ヒトAFPのアミノ酸267〜591;SEQ ID NO:10)を含む。
【0022】
本出願における、「アミノ酸」なる用語は、天然および合成のアミノ酸、ならびに、天然のアミノ酸と類似した様式で機能するアミノ酸類似物およびアミノ酸模倣物を指す。天然のアミノ酸は、遺伝コードによってコードされるアミノ酸であり、および後で修飾されるアミノ酸でもあり、例えば、ヒドロキシプロリン、γ‐カルボキシグルタミン酸、およびO‐ホスホセリンである。アミノ酸類似物とは、天然のアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基と結合したα炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのような類似物は、改変されたR基(例えば、ノルロイシン)または改変されたペプチド骨格(例えば、AFPペプトイドなどのペプチド模倣物)を有するが、天然のアミノ酸と同じ基本化学構造を維持する。アミノ酸模倣物とは、一般的なアミノ酸の化学構造とは異なる構造を有するが、天然のアミノ酸と類似した様式で機能を発揮することができる化合物を指す。
【0023】
アミノ酸配列に関しては、当業者であれば、変更が、一つまたは複数のアミノ酸と、他の化学的に類似のアミノ酸との置換をもたらす場合に、配列中の一つのアミノ酸または少ない割合のアミノ酸を変更、追加、または削除する、ポリペプチド配列への個々の置換、欠失、または付加が「保存的に改変された変異体」を構成することを認識するであろう。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的な置換の表は、当技術分野において周知である。そのような、保存的に改変された変異体は追加され、本発明の多型の変異体、種間ホモログ、および対立遺伝子を除外しない。
【0024】
以下の8群それぞれは、互いに保存的置換であるアミノ酸を含む:(1)アラニン(A)、グリシン(G);(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);(4)アルギニン(R)、リジン(K);(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);(7)セリン(S)、スレオニン(T);および(8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton, Proteins (1984)を参照されたい)。
【0025】
「生物学的に活性」なる用語は、天然または合成のペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、化合物、小分子、またはその断片、誘導体、もしくは類似体(例えば、AFPまたは免疫調節作用物質)と関連することが公知の、一つまたは複数の活性を有すること意味する。
【0026】
「疾患修飾抗リウマチ薬」または「DMARD」なる用語は、炎症性疾患の治療に用いられる治療用薬剤を指す。DMARDは、治療上有効な量が投与された場合、患者における炎症性疾患の一つもしくは複数の症状または進行の治療、防止、または軽減に使用できる。当技術分野において公知であるDMARDの例には、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シクロスポリン、D‐ペニシラミン、金チオリンゴ酸ナトリウム(注射可能な金)、ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、メトトレキセート、ミノサイクリン、ミコフェノール酸モフェチル、またはスルファサラジンが含まれる。
【0027】
「コルチコステロイド」とは、水素化シクロペンタノペルヒドロフェナントレン環系を特徴とする、任意の天然または合成の化合物を意味する。天然のコルチコステロイドは、通常、副腎皮質によって産生される。合成のコルチコステロイドは、ハロゲン化されていてもよい。例示的なコルチコステロイドは、本明細書において記載されている。
【0028】
本明細書において用いられる場合、「免疫調節作用物質」とは、以下のものを指す:(1)IFN‐α(例えば、IFN‐α‐1a;その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願番号第20070274950号参照)、IFN‐α‐1b(SEQ ID NO:11)、IFN‐α‐2a(その全体が参照により本明細書に組み入れられる国際公開公報第07/044083号参照)およびIFN‐α‐2b(SEQ ID NO:12)、IFN‐β(例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,238,344号に記載;IFN‐β‐1a(その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,962,978号に記載)およびIFN‐β‐1b(その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,588,585号;第4,959,314号;第4,737,462号;および第4,450,103号に記載)、IFN‐γ(例えば、SEQ ID NO:13)、およびIFN‐τ(その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,738,845号および米国特許出願第20040247565号および第20070243163号に記載)などのインターフェロン(例えば、ヒトインターフェロン)、または酢酸グラチラマー(Copaxone(登録商標))などのペプチドの配列の全てまたは一部と実質的に同一なアミノ酸配列(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはさらには100%同一)を有するインターフェロンまたはペプチドまたはタンパク質;(2)小分子(例えば、BG12(フマル酸塩)、フィンゴリモド(FTY-720)、ラキニモド、テリフルノミド、もしくはアトルバスタチン、またはインターフェロンと同一または実質的に同一の生物学的活性(例えば、マウスモデルでEAEを抑制する能力における、ヒトIFN‐α、ヒトIFN‐β、ヒトIFN‐γ、またはヒトIFN‐τの活性の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%)を示す分子);(3)抗体(例えば、モノクローナル抗体の全体または一部(例えば、ナタリズマブなどのα4インテグリン結合抗体;ダクリズマブなどのIL-2レセプター結合抗体;リツキシマブなどのCD20結合抗体;ABT-874などのIL-12結合抗体;およびアレムツズマブなどのCD52結合抗体)、ポリクローナル抗体、または抗体融合タンパク質);(4)ペプチド(例えば、MBP-8289、NBI-5788、およびT細胞レセプターペプチド(Neurovax(登録商標)));または(5)DNAワクチン(例えば、BNT-3009-01)。限定されない例示的な免疫調節作用物質は、MSの一つもしくは複数の症状の重症度を軽減する能力(例えば、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、またはさらには100%まで)、または患者におけるMSの進行(例えば、神経の脱髄およびMSの一つもしくは複数の症状の頻度または重症度)を防止、阻害、もしくは軽減する能力(例えば、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、またはさらには100%まで)を有する。
【0029】
望ましい免疫調節作用物質は、ヒトIFN‐α、‐β、‐γ、または‐τと少なくとも50%(より好ましくは、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはさらには100%)のアミノ酸配列の同一性を有し、かつ、AFP活性を検証するために使用されるアッセイ系に類似の、マウスモデルにおけるEAEを抑制する能力において、ヒトIFN‐β‐1aの活性の少なくとも50%(より好ましくは、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%)を有するタンパク質である。本発明の意味する範囲内で、免疫調節作用物質は、天然のインターフェロンおよび組換えにより製造されたインターフェロンの両者を包含する。組換えにより製造されたインターフェロンは、欠失、付加および置換を含む、一つもしくは複数のアミノ酸残基に対する改変を含んでよく、または異なる種類の翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、およびPEG化など)を含んでもよい。本発明と共に使用するのに適した、限定されない典型的な免疫調節作用物質は、Rebif(登録商標)(IFN‐β‐1a)、アボネックス(登録商標)(IFN‐β‐1a)、Betaseron(登録商標)(IFN‐β‐1b)、Tauferon(商標)(IFN‐τ)、Roferon-A(登録商標)(IFN‐α‐2a)、Intron-A(登録商標)(IFN‐α‐2b)、Rebetron(登録商標)(IFN‐α‐2b)、Alferon-N(登録商標)(IFN‐α‐n3)、Peg-Intron(登録商標)(モノメトキシポリエチレングリコールと共有結合したIFN‐α‐2b)、Infergen(登録商標)(IFN‐α‐2bと88%相同である非天然1型インターフェロン)、Actimmune(登録商標)(IFN‐γ‐1b)、Pegasys(登録商標)(PEG化IFN‐α‐1a)、Copaxone(登録商標)(酢酸グラチラマー)、およびNovantron(登録商標)(ミトキサントロン)を含む。免疫調節作用物質の追加例は、図5に記載されている;これら免疫調節作用物質の一つまたは複数は、本明細書において記載されるように、MSを治療する方法において使用するための本発明の組成物を製造するために、AFPと併用できる。
【0030】
「多発性硬化症」または「MS」なる用語は、脱髄のの結果として中枢神経系(脳および脊髄)の神経が変性する疾患を指す。タンパク質ミエリンは、通常、神経の被覆または防護を提供する。
【0031】
「非ステロイド性抗炎症薬」または「NSAID」とは、炎症を防止または減弱する、非ステロイド性薬剤を意味する。NSAIDの例は、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、アスピリン、スリンダク、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸ナトリウム、メロキシカム、オキサプロジン、スリンダク、トルメチン、および例えばロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、またはルミラコキシブなどのCOX-2阻害剤を含む。
【0032】
「実質的な同一性」または「実質的に同一」なる用語は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を参照配列と比較する文脈において使用される場合、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列が参照配列と同一であるか、または二つの配列が最適に整列された場合に、参照配列内の対応する位置において同一であるヌクレオチドまたはアミノ酸残基が規定の割合を有するという事実を指す。例えば、既定値のパラメーターでBLASTまたはBLAST 2.0配列比較アルゴリズムを用いた測定、または手作業での整列および目視での検査(例えば、NCBIのウェブサイトを参照)によって、参照配列の全長にわたる最大限の一致のために比較および整列された場合に、参照配列と「実質的に同一」なアミノ酸配列は、参照配列(例えば、SEQ ID NO:1に記載の成熟ヒトAFPアミノ酸配列、もしくはその断片、またはインターフェロン)に対して少なくとも約60%の同一性、好ましくは65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはより高い割合の同一性(最大100%まで)を有する。
【0033】
「相乗効果」は、MSの治療のために治療上有効な量の、α‐フェトプロテイン(またはその生物学的に活性な断片、誘導体もしくは類似体)および一種または複数種の免疫調節作用物質の投与が、AFPまたは一種もしくは複数種の免疫調節作用物質を単独で投与する場合に観察される効果を上回る、相加的な治療効果(例えば、MSの回復の少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、もしくは70%もしくはそれ以上の改善、またはMSにおける一つもしくは複数の症状における重症度または頻度の少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、もしくは70%の減少;「治療」の項を参照)を示すことを意味する。相乗効果は、AFP(または生物学的に活性な断片、誘導体もしくは類似体)および一種または複数種の免疫調節作用物質の併用投与が、AFP、一種もしくは複数種の免疫調節作用物質、またはその両方のいずれかを、単独で投与される場合に必要とされるAFPまたは一種または複数種の免疫調節作用物質の量と比較して同じまたは実質的に類似の治療結果を実現するのに通常必要とされる用量よりも低い用量(例えば、AFP、一種もしくは複数種の免疫調節作用物質、またはその両方の、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、または90%低い用量)で投与し得ることも意味し得る。AFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体もしくは類似体)と一種または複数種の免疫調節作用物質との間の相乗効果は、AFPと併用して投与された場合の一種または複数種の免疫調節作用物質の毒性が、AFP無しに同じ濃度で投与された際の一種または複数種の免疫調節作用物質の毒性と比較して減少する(例えば、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%またはそれ以上まで)場合にも認められうる。相乗効果はAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体もしくは類似体)と一種または複数種の免疫調節作用物質との同時投与の場合にも生じる可能性があり、この時、同時投与は、増加された用量の一種または複数種の免疫調節作用物質において通常予期または認められる毒性を伴わないMSの治療のために通常投与される用量を超える、一種または複数種の免疫調節作用物質の用量の増加(例えば、少なくとも5%、10%、15%, 20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、85%、90%、95%、100%またはそれ以上まで)を可能にする。
【0034】
「治療」とは、MSの一つまたは複数の症状(例えば、刺痛、しびれ、震え、平衡感覚障害、一つまたは複数の四肢の衰弱、視朦または複視、不明瞭言語、嚥下障害、麻痺、協調運動障害、認知困難(例えば、記憶および集中力の低下)、疲労、筋痙縮、眩暈感、呼吸障害、および痙攣)の進行、重症度、もしくは頻度の低下(例えば、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、またはさらには100%まで)、またはヒト患者におけるMSの進行(例えば、神経の脱髄およびMSの一つまたは複数の症状の頻度または重症度)の防止もしくは軽減(例えば、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、またはさらには100%まで)を意味する。
【0035】
治療用薬剤(例えば、AFP、免疫調節作用物質、DMARD、コルチコステロイド、NSAID、または本発明の他の薬剤)の「治療上有効な量」は、特定の状態または疾患に、所望の治療効果を実現するのに十分な薬剤の量である。この量は、達成すべき効果に応じて変動してもよい。例えば、MS治療用の免疫調節作用物質のみでの「治療上有効な量」は、AFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体もしくは類似体;例えば、AFPとの併用で投与される場合は、免疫調節作用物質の治療上有効な量は低下してもよい)と併用してMSを治療するために使用される免疫調節作用物質の「治療上有効な量」と異なってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】成熟ヒトAFPのアミノ酸(SEQ ID NO:1)およびヒトAFPのmRNA核酸配列(SEQ ID NO:2)を示す。Nは成熟ヒトAFPのアミノ酸配列のグリコシル化部位であるアスパラギン233を示す。
【図2】以下のアミノ酸配列を含む、生物学的に活性なAFP断片のアミノ酸配列を図示する:アミノ酸2〜198(ドメインI;SEQ ID NO:5)、アミノ酸199〜390(ドメインII;SEQ ID NO:6)、アミノ酸391〜591(ドメインIII;SEQ ID NO:7)、アミノ酸2〜390(ドメインI+II;SEQ ID NO:8)、アミノ酸199〜591(ドメインII+III;SEQ ID NO:9)、および成熟ヒトAFPのアミノ酸261〜591(ヒトAFP断片1;SEQ ID NO:10)。
【図3】ヒトIFN‐α‐1b(SEQ ID NO:11)およびIFN‐α‐2b(SEQ ID NO:12)のアミノ酸配列を示す。
【図4】ヒトIFN‐γ(SEQ ID NO:13)のアミノ酸配列を示す。
【図5】免疫調節作用物質の表である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
詳細な説明
本発明は、MSのための併用療法を提供する。本併用療法は、一種または複数種の免疫調節作用物質をAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体もしくは類似体)と共に、それぞれの治療上有効な量で、それを必要とする患者に、同時投与することを含む。もう一つの局面において、本発明は、一種または複数種の免疫調節作用物質およびAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体もしくは類似体)を、それぞれのMSの治療のために治療上有効な量で含む、医薬組成物を提供する。そのような組成物は、一つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を任意で含んでいてもよく、静脈内に、筋肉内に、経口的に、吸入で、非経口的に、腹腔内に、動脈内に、経皮的に、舌下に、経鼻的に、座薬の使用を通じて、頬に(transbuccally)、リポソームで、脂肪内に、眼内に、皮下に、髄腔内に、外用で、または、局所投与を通じて投与されるように製剤化される。さらなる局面において、本発明は、免疫調節作用物質およびAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体もしくは類似体)を患者に投与するための適切な指示書と共に、治療上有効な量の免疫調節作用物質およびAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体もしくは類似体)を含む、MS治療のためのキットを提供する。
【0038】
多発性硬化症の診断およびモニタリング
MSは、患者における一つまたは複数の症状の観察によって診断できる。MSの症状は単独または複数であり得、かつ強度は軽度から重症まで、持続期間は短期から長期までに及び得る。MS患者の約70%において、症状からの完全なまたは部分的な寛解が早期に起きる。多くの場合、視覚障害がMSの最初の症状であるが、通常それらは治まる。患者は、視朦もしくは複視、赤-緑の歪み(distortion)、または突発性の失明を認識するかもしれない。一般に、協調運動および平衡の支障をもたらす筋力低下は、早期に認識される。筋痙縮、疲労、しびれ、および穿痛は共通の症状である。感覚障害、発声障害、震え、眩暈感、または時には聴力損失が在る場合がある。患者の50%が、集中力の低下、注意欠陥、ある程度の記憶喪失、または判断障害などの精神的変化を経験する。他の症状は、鬱病、躁鬱病、偏執症、または笑い泣き症候群(laughing-weeping syndrome)と呼ばれる、笑いたいおよび泣きたいという制御できない衝動を含み得る。疾患が悪化するにつれて、患者は、性機能障害または腸および膀胱制御の低下を経験するかもしれない。患者の約60%にとって、熱はMSの症状を増強するようであり、水風呂または水泳で緩和が見られる。妊娠は、発作の回数を低下させるようである。
【0039】
MSのための、単一の検査は存在しない。MSを診断するために、医師、特に神経科医は、詳細な病歴を考慮に入れることができ、全ての理学的および神経学的検査を行うことができる。MSの検査は、例えば、ガドリニウムを静脈注射した磁気共鳴画像法(MRI)または磁気共鳴走査法(MRS)を含むことが可能であり、どちらもMS患者に生じる脳内の病変(すなわち、プラーク)を同定、記述および日付を付けるのに役立つ。他の電気生理学的検査である誘発電位は、インパルスが正常に移動するのか、または過度に遅く移動するのかを確認するため、神経を通して伝わるインパルスを検査する;神経を通じたインパルスの正常な移動よりも遅い移動は、MSを示す。最終的に、MSの存在を示唆する、脳または脊髄中に浮遊する異常な化学物質または細胞を同定するために、脊髄を取り囲む脳脊髄液の検査を用いてもよい。これら3種の検査は共同で、MSの診断を強固にする。MSは、患者における以下の一つまたは複数の症状を同定することによっても診断できる:刺痛、しびれ、震え、平衡感覚障害、一つまたは複数の四肢の衰弱、視朦または複視、不明瞭言語、嚥下障害、麻痺、協調運動障害、認知困難(例えば、記憶および集中力の低下)、疲労、筋痙縮、眩暈感、呼吸障害、および痙攣。
【0040】
上述した全ての方法論は、患者におけるMSの進行のモニタリング、ならびに本発明の組成物および方法を用いた治療後のMSの回復(例えば、MSにおける一つまたは複数の症状の重症度または頻度の回復または軽減)のモニタリングにも有用であり、患者が受ける治療の有効性が評価できる。加えて、当技術分野において公知であるいくつかの方法の一つ(例えば、拡大身体障害状態スケール(EDSS)、Kurtzke, Neurology 33:1444-1452, 1983;および多発性硬化症重症度スコア(the Multiple Sclerosis Severity Score:MSSS)、Roxburgh et al., Neurology 64:1144-1151, 2005を参照)を用いて、治療後のMSの改善(例えば、MSの一つもしくは複数の症状または機能の改善)について、患者を評価することができる。これら症状の一つまたは複数における改善(例えばMSの一つもしくは複数の症状の発生頻度、期間または重症度の軽減)は、本発明の組成物および方法による治療効果を示す。
【0041】
本発明の組成物の投与によるMSの治療方法
本発明は治療上有効な量のAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体もしくは類似体)および一種または複数種の免疫調節作用物質の同時投与による、患者におけるMSの治療方法を提供する;本発明の組成物は、必要であれば、以降に記載される追加の治療用薬剤を含んでもよい。本発明の組成物は、ヒト患者におけるMSの一つまたは複数の症状を治療、防止、改善、進行を阻害、または重症度を軽減するために、患者に投与できる。AFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体もしくは類似体)および一種または複数種の免疫調節作用物質は、同時期に(coextensively)または別々に、単回投与でまたは複数回投与で投与されてもよい。AFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体もしくは類似体)および一種または複数種の免疫調節作用物質は、同じ投与経路用に製剤化するか、または異なる投与経路用に製剤化されてもよい。
【0042】
本発明の組成物を用いて治療できるMSの症状の例は、刺痛、しびれ、震え、平衡感覚障害、一つまたは複数の四肢の衰弱、視朦または複視、不明瞭言語、嚥下障害、麻痺、協調運動障害、認知困難(例えば、記憶および集中力の低下)、疲労、筋痙縮、眩暈感、呼吸障害、および痙攣を含む。これらMSの症状、および治療中のそれらの回復は、理学的検査中に医師によって測定され得る。MSの診断またはMSの重症度の決定に用いられる追加の検査は、上記で説明されている。
【0043】
患者におけるMSの重症度、発生頻度、または進行に基づいて(例えば、MSにおける一つまたは複数の症状の重症度に基づいて)、医師は、患者に投与されるAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体もしくは類似体)および/または一種もしくは複数種の免疫調節作用物質の用量を調節(例えば、用量を増量または減量)してもよい。
【0044】
好ましくは、本発明の併用療法は、MSの患者に投与された場合に、相乗効果を示す。
【0045】
本発明の組成物
本発明は、MS治療用のAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体もしくは類似体)および一種または複数種の免疫調節作用物質を含む組成物を提供する。本発明の組成物は、任意の投与経路用に製剤化(例えば、本明細書において記載された製剤)されてもよく、かつ、単回投与または複数回投与でそれを必要とする対象に投与されてもよい。本発明の組成物はさらに、下記で論じる第2の薬剤、例えば、DMARD、NSAID、またはコルチコステロイドの一つまたは複数を含んでもよい。
【0046】
本発明の組成物および方法における使用のためのAFP
α‐フェトプロテイン(またはその生物学的に活性な断片、誘導体もしくは類似体)は、本発明の併用療法の方法において使用できる。本発明の目的のため、天然のヒトAFPおよび組換えにより製造されたAFPポリペプチド(活性なAFP断片を含む)の両方を投与することができる。天然のヒトAFPは、例えば、臍帯または臍帯血清からの精製を経て得ることが可能である;一方、組換えAFPポリペプチドまたは断片は、例えば、米国特許第5,384,250号および米国特許第7,208,576号に記載のように、原核生物または真核生物の発現系によって得ることが可能である。異なる発現系の使用は、組換えタンパク質の翻訳後修飾に相違をもたらし得る。例えば、天然のヒトAFPは、変化しやすいグリコシル化タンパク質である。対照的に、組換えAFPは、原核宿主細胞で産生された場合非グリコシル化され得るか、または真核宿主細胞で産生された場合、幾分異なってグリコシル化され得る。あるいは、組換えAFPは、それが生産された発現系にかかわらず、グリコシル化を排除するために遺伝子操作され得る(例えば、グリコシル化部位の排除によって)。ヒトAFPは、Fitzgerald Industries International(コンコード、マサチューセッツ州)、Cell Sciences(カントン、マサチューセッツ州)、およびBiodesign International(ソーコ、メイン州)を含む、様々な民間の供給元を通じて入手できる。
【0047】
さらに、特にAFP断片が比較的短い長さ、例えば、100または50アミノ酸未満のペプチドである場合、AFPポリペプチドまたは断片を合成するために、周知の化学合成方法を採用することができる。
【0048】
その起源または翻訳後修飾の有無に関わらず、ポリペプチドが、天然のAFPと比較して、同一または実質的に同一の生物学的活性を有する限り(例えば、天然のAFPの生物学的活性の少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、55%、65%、70%、および75%、ならびに、さらに好ましくは少なくとも80%、85%、90%、95%、99%、もしくは100%またはそれ以上)、任意のAFPポリペプチドが本発明において使用できる。本発明におけるAFPの生物学的活性は、以下でより詳細に記述する一つまたは複数のアッセイを用いて評価することができる。
【0049】
同様に、断片が天然のヒトAFPと実質的に同一の生物学的活性を維持する限り(例えば、本明細書において記載される一つまたは複数のアッセイを用いて決定されるように)、ヒトAFP断片を本発明の組成物および治療方法において使用できる。ヒトAFP断片は、当業者に公知の方法、例えば、タンパク質分解的切断もしくは組換え発現によって作製でき、または通常のタンパク質プロセッシング(例えば、生物学的活性に必要ではないアミノ酸の、新生ポリペプチドからの除去)に由来してもよい。化学的方法も、活性なAFP断片の合成に有用であり得る。
【0050】
組換えヒトAFP断片は、ドメインI(SEQ ID NO:1のアミノ酸 2(Thr)〜198(Ser)(SEQ ID NO:5))、ドメインII(SEQ ID NO:1のアミノ酸 199(Ser)〜390(Ser)(SEQ ID NO:6))、ドメインIII(SEQ ID NO:1のアミノ酸 391(Gln)〜591(Val)(SEQ ID NO:7))、ドメインI+II(SEQ ID NO:1のアミノ酸 2(Thr)〜390(Ser)(SEQ ID NO:8))、ドメインII+III(SEQ ID NO:1のアミノ酸 199(Ser)〜591(Val)(SEQ ID NO:9))、およびrHuAFP断片I(SEQ ID NO:1のアミノ酸 267(Met)〜591(Val)(SEQ ID NO:10))を含む本発明の実施において使用するのに適している。公知のAFP断片の他の例は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,707,963号および米国特許第6,818,741号に見出すことができる。
【0051】
全長ヒトAFPのまたはその断片の、機能を有する誘導体または類似体の使用もまた、想定される。上記のように、そのような誘導体または類似体は、アミノ酸配列の相違(例えば、付加、欠失、保存的もしくは保存的ではない置換)、または配列に影響しない改変(例えば、翻訳後修飾)、またはその両者によって、天然の全長ヒトAFPまたはその一部とは異なり得る。本発明の誘導体/類似体は、通常、天然のヒトAFPアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)のすべてまたは一部と、少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、またはさらには99%のアミノ酸同一性を示すと考えられる。
【0052】
AFPの誘導体/類似体は、インビボ、またはインビトロでのポリペプチドの化学的誘導体化、例えば、アセチル化、またはカルボキシル化を含む翻訳後修飾(通常、最初の配列を変更しない)のため、天然のヒトAFPと異なる場合があり、そのような修飾はポリペプチドの合成もしくはプロセシングまたは単離された修飾酵素を用いた次の処理の後に起こり得る。L-アミノ酸以外の残基、例えば、D-アミノ酸、または例えばβもしくはγアミノ酸などの非天然もしくは合成のアミノ酸、または非天然型側鎖を有するL-アミノ酸(例えば、Noren et al., Science 244:182, 1989を参照)を含む、環化されたペプチド分子および類似体も含まれる。タンパク質のタンパク主鎖への非天然アミノ酸の部位特異的組み込み方法は、例えば、Ellman et al., Science 255:197, 1992に記載されている。本明細書において記載された所望の薬剤学的性質を得るために、ペプチド結合が改変(例えば、米国特許第4,897,445号および米国特許第5,059,653号に記載の非ペプチド結合)されているか、または側鎖が改変されている、化学的に合成されたポリペプチドまたはペプチドもまた含まれる。有用な誘導体および類似体は、例えば、本明細書において記載されている、当技術分野において認識されている方法を用いて、生物学的活性が同定される。
【0053】
AFP活性アッセイ
上記のように、本発明の組成物および方法における使用に適しているAFPポリペプチドおよびその断片、誘導体、もしくは類似体は、天然のAFPと同一または実質的に同一の生物学的活性を保持するものを含む。
【0054】
AFPポリペプチドまたは断片、誘導体、もしくは類似体の活性の第1のアッセイは、ヒト末梢血単球上の細胞レセプターに特異的に結合するその能力の測定である。この目的に適した結合アッセイは、Parker et al., Protein Express. Purification 38:177-183, 2004に記載されている。簡単には、競合アッセイ形式が、ヒト単球細胞株U937細胞に特異的に結合する能力について候補AFPポリペプチド、断片、誘導体、または類似体を試験するために使用される。細胞は、10%ウシ胎児血清を含むRPMI培地内で維持される。結合アッセイに先立って、細胞は血清を含まない培地で2回洗浄され、リン酸緩衝食塩水(PBS)中で2.5×106細胞/mlに調整される。ネイティブなヒトAFP(SEQ ID NO:1)または非グリコシル化ヒトAFP(例えば、アミノ酸残基223がグルタミンである、SEQ ID NO:12を参照)は、例えばゲルろ過による未結合の標識物質の除去に続く適切な反応において、検出可能な標識、例えばフルオレセインで標識されている。ヒトAFPをフルオレセインで標識する場合、タンパク質とフルオレセイン‐5‐イソチオシアネート溶液とをジメチルスルホキシド中、暗所で1時間混合し、その後、結合していない色素を除去するためにゲルろ過する。標識されたヒトAFPは、20%グリセロール中−20℃で使用まで保管される。結合アッセイのため、一定数のU937細胞(例えば、濃度が2.5×106細胞/mlである細胞懸濁液を40μl)が、それぞれが一式の最終濃度(例えば、20、10、5、2.5、1.25、および0.625μM)の非標識のヒトAFPまたは非標識の候補AFPポリペプチドまたは断片、誘導体、もしくは類似体と一緒に、事前に定めた量の標識ヒトAFP(例えば、最終濃度0.5μM)と混合されて、ヒトAFPおよび候補AFPポリペプチドまたは断片、誘導体、もしくは類似体の両者のIC50値が決定される。結合過程の最後に、U937細胞上に残存する標識AFPが、例えば、フローサイトメトリーで測定できるように、細胞はPBSで洗浄され、新しいPBS中に懸濁される。
【0055】
AFPポリペプチドまたは断片、誘導体、もしくは類似体の活性の第2のアッセイは、AMLRまたはEAEのマウスモデルのいずれかで、自己免疫反応を抑制するその能力の測定である。当技術分野において、AMLRおよびその阻害を試験する方法は公知である。例えば、米国特許第5,965,528号および第6,288,034号は、以下のようにAMLR系を記載している:標準的な手順に従って実施される、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)の単離、その非T‐細胞集団への分画、およびAMLR。簡単には、レスポンダーT‐細胞は、1.5x108個のPMBCを市販の抗Igアフィニティーカラム(US Biotek Laboratories、シアトル、ワシントン州)を通過させることにより単離され、その後、2x105個のレスポンダー細胞は、一人の提供者に由来する137Csを照射(2500ラド)した自身の非T刺激細胞2x105個と共に培養される。使用した培地は、AMLR用のレスポンダーT‐細胞提供者自身の10%の新鮮なヒト血清を追加し、20mMのHEPES(Invitrogen)、5x10-5 Mの2‐メルカプトエタノール(BDH、モントリオール、ケベック州)、4mMのL‐グルタミン(Invitrogen)、100U/mlのペニシリン(Invitrogen)、および100μg/mlの硫酸ストレプトマイシンが補充されたRPMI-1640からなる。種々の濃度の精製された組換えヒトAFP、ヒト血清アルブミン、抗ヒトAFPモノクローナル抗体クローン#164(培養中の最終濃度は125μg/ml)(Leinco Technologies、セントルイス、ミズーリ州)が培養の開始時に加えられる。AMLRの培養は、95%の空気および5%のCO2中で、37℃で4〜7日間インキュベートされる。示した間隔で、1μCiの3H‐チミジン(比放射能56から80Ci/mmol;ICN ラジオアイソトープ、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)の6時間パルスによってDNA合成がアッセイされる。培養物は、マルチプルサンプルハーベスター(Skatron、スターリング、バージニア州)で回収され、3H-TdRの取り込みは、Packard 2500TR液体シンチレーションカウンターで測定される。結果は、三つ組みまたは四つ組の培養の、平均cpm±標準誤差として表される。
【0056】
本発明の範囲内の、候補のAFPポリペプチドまたは断片、誘導体、もしくは類似体の免疫抑制活性は、ヒトの自己混合リンパ球反応(AMLR)を抑制するその能力により評価することができる。一般的に、候補のAFPポリペプチド、断片、または誘導体は、リンパ球の自動増殖の4から7日間の経時変化の測定によって、自己の非T‐細胞によって刺激された自己反応性リンパ球の増殖反応を阻害するその能力について試験される。用量依存的な様式のAMLRの抑制は、AFPポリペプチドまたは断片、誘導体、もしくは類似体が培養の開始時に添加される、T‐細胞の自動増殖が最大時に実施される用量依存的な実験の結果によって示される。さらに、AFPポリペプチドまたは断片、誘導体、もしくは類似体の、ヒト自己反応性T‐細胞に対する阻害活性が、非特異的な細胞毒性効果に起因しないことを証明するために、並行して生存実験を用いることができる。
【0057】
AFPポリペプチドまたは断片、誘導体、もしくは類似体の活性の第3のアッセイは、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)のミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)マウスモデルを用いて実施することができる。このインビボ試験において、マウスの遺伝的に感受性の系統は、動物にEAEの発生をもたらす、完全フロインドアジュバント(CFA)に乳化されたMOGで皮下的に免疫化されている。候補のAFPポリペプチドまたは断片、誘導体、もしくは類似体は、動物へのMOGの投与開始の開始前、開始と同時、または、開始後に、毎日マウスの選択された群に投与される。これらの動物におけるEAEの症状はモニタリングされ、一定期間、例えば、30日間、対照群(例えば、生理食塩水の注射のみを受けた動物)における症状と比較される。各動物におけるEAEの重症度は、規定の臨床症状に基づいて、1〜5の間のスコアを与えられる;群内の動物の平均スコアが、群の疾患状態を示す。生物学的に活性なAFPタンパク質または断片は、対照と比較して、MOGを投与された動物におけるEAEの重症度を軽減すると考えられる(例えば、30日間の治療後に、疾患の重症度が少なくとも50%減弱する)。
【0058】
ナイーブなマウスに由来する、マイトジェン刺激された脾細胞のインビトロ培養によって誘導された炎症性サイトカインを本発明の範囲内の候補AFPが阻害する能力に依拠する、第4の試験を使うことができる(例えば、Hooper and Evans, J. Reprod. Immunol.16: 83-961,1989;およびKruisbeek, Current Protocols in Immunology, Vol. 1, Section 3.1.1-3.1.5, 2000に記載のとおり)。脾細胞は、濃度が増加するAFPの存在下で24時間、フィトヘマグルチニン(PHA)、コンカナバリンA(Con A)、またはリポ多糖(LPS)で刺激される。ヒト血清アルブミンは、アッセイのための陰性対照として用いられる。10点での用量反応実験によって、生物学的に活性なAFPが、再現性のある様式で、PHAが誘導したIFN‐γの分泌を阻害するまたは実質的に阻害することが示された。
【0059】
本発明の組成物および方法において使用するための免疫調節作用物質
本発明の組成物は、MSの治療に使用するための、一種または複数種の免疫調節作用物質も含む。本明細書において規定される免疫調節作用物質は以下の通りである:(1)ヒトIFN‐α(例えば、IFN‐α‐1a、IFN‐α‐1b、IFN‐α‐2a、およびIFN‐α‐2b;それぞれ、SEQ ID NO:11、12、13、および14)、ヒトIFN‐β(例えば、IFN‐β‐1a、およびIFN‐β‐1b;それぞれ、SEQ ID NO:15および16)、ヒトIFN‐γ(例えば、SEQ ID NO:17)、またはヒトIFN‐τ(SEQ ID NO:18)、または酢酸グラチラマー(Copaxone(登録商標))などのペプチドの配列と実質的に同一な(例えば、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはさらには100%同一)アミノ酸配列を有するタンパク質;(2)小分子(例えば、BG12(フマル酸塩)、フィンゴリモド(FTY-720)、ラキニモド、テリフルノミド、もしくはアトルバスタチン、またはインターフェロンと同一または類似の生物学的活性(例えば、マウスモデルでEAEを抑制する能力における、ヒトIFN‐α、ヒトIFN‐β、ヒトIFN‐γ、またはヒトIFN‐τの活性の少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%)を示す分子);(3)抗体(例えば、モノクローナル抗体の全体または一部(例えば、ナタリズマブなどのα4インテグリン結合抗体;ダクリズマブなどのIL-2レセプター結合抗体;リツキシマブなどのCD20結合抗体;ABT-874などのIL-12結合抗体;およびアレムツズマブなどのCD52結合抗体)、ポリクローナル抗体、または抗体融合タンパク質);(4)ペプチド(例えば、MBP-8289、NBI-5788、およびT細胞レセプターペプチド(Neurovax(登録商標));または(5)DNAワクチン(例えば、BNT-3009-01)。免疫調節作用物質の追加例は、図5に記載されている。
【0060】
好ましい免疫調節作用物質は、MSの一つもしくは複数の症状の重症度を軽減する能力(例えば、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、またはさらには100%まで)、または、患者におけるMSの進行(例えば、神経の脱髄またはMSの一つもしくは複数の症状の頻度または重症度)を、免疫調節作用物質を投与されていないMS患者またはプラセボを投与された患者のMSの進行と比較して、防止、もしくは軽減する能力(例えば、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、またはさらには100%まで)を有する。
【0061】
免疫調節作用物質の限定されない例は、ヒトIFN‐α、‐β、‐γ、または‐τと少なくとも50%(より好ましくは、少なくとも60%、70%、75%、80%、90%、95%、または100%)のアミノ酸配列の同一性を有するタンパク質、およびAFP活性を検証するために使用されるアッセイ系に類似の、マウスモデルにおけるEAEを抑制する能力において、ヒトIFN‐β‐1aの活性の少なくとも50%(より好ましくは、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%)を有するタンパク質を含む。免疫調節作用物質の限定されない例は、天然の精製されたインターフェロンおよび組換えによって製造されたインターフェロンの両者を含む。
【0062】
インターフェロンの組換えによる製造は、生物医学研究の分野および様々な臨床目的において、日常的に実施されている。例えば、天然では166アミノ酸の糖タンパク質である、ヒトIFN‐β‐1aは、チャイニーズハムスター卵巣細胞株において、天然のヒト対応物のグリコシル化パターンと異なるグリコシル化パターンを示すであろう、アボネックス(登録商標)(Biogen、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)またはRebif(登録商標)(Serono、ジュネーブ、スイス)として産生されてきた。
【0063】
同様に、IFN‐β‐1bは、大腸菌(E. coli)細胞の系統で、Betaseron(登録商標)(Berlex、ウェーン、ニュージャージー州)またはベタフェロン(Schering AG、ベルリン、ドイツ)として組換えにより産生されてきた。天然のヒトIFN‐β‐1bもグリコシル化タンパク質であるが、細菌で生産されたIFN‐β‐1bはグリコシル化タンパク質ではない。さらに、一部の例では、望ましくないジスルフィド結合の形成を防止するために、ヒトIFN‐β‐1bの17番目の位置のシステイン残基がセリンに置換されている。他の例では、ヒトIFN‐β‐1bの最初のアミノ酸であるメチオニンが欠失しており、組換えタンパク質は165アミノ酸しか有していない。ヒトIFNのその他の公知の改変型は、ヒトIFN‐αと約55%の配列相同性を共有し、かつ経口投与に適している、Tauferon(商標)(Pepgen、アラメダ、カリフォルニア州)である。この改変されたヒトインターフェロンタンパク質は、例えば、参照により本明細書に組み入れられる、国際公開公報第05/044297号に記載されている。
【0064】
限定されない例示的な免疫調節作用物質は、Roferon-A(登録商標)(IFN‐α‐2a)、Intron-A(登録商標)(IFN‐α‐2b)、Rebetron(登録商標)(IFN‐α‐2b)、Alferon-N(登録商標)(IFN‐α‐n3)、Peg-Intron(登録商標)(モノメトキシポリエチレングリコールが共有結合されたIFN‐α‐2b)、Infergen(登録商標)(IFN‐α‐2bと88%相同である非天然1型インターフェロン)、Actimmune(登録商標)(IFN‐γ‐1b)、およびPegasys(登録商標)(PEG化IFN‐α‐1a)を含む組換えインターフェロンである。
【0065】
本発明における追加の免疫調節作用物質は、Copaxone(登録商標)、Novantron(登録商標)、ラキニモド、テリフルノミド、アトルバスタチン、ナタリズマブ、ダクリズマブ、リツキシマブ、ABT-874、アレムツズマブ、MBP-8289、NBI-5788、Neurovax(登録商標)、およびBNT-3009-01を含む。
【0066】
本発明の併用療法における使用のための補助的治療用薬剤
AFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体もしくは類似体)および一種または複数種の免疫調節作用物質に加えて、必要であれば、本発明の併用療法は以下に示すような一つまたは複数の第2の薬剤の同時投与を含んでもよい。
【0067】
疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)
いくつかの薬物が当技術分野において公知であり、現在、炎症性疾患の患者の治療に用いられている。望ましければ、本発明の組成物は、一種または複数種のDMARDと組み合わせて投与してよい。本発明において使用され得るDMARDの限定されない例は、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シクロスポリン、D‐ペニシラミン、金チオリンゴ酸ナトリウム(注射可能な金)、ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、メトトレキセート、ミノサイクリン、ミコフェノール酸モフェチル、またはスルファサラジンを含むが、これらに限定されない。
【0068】
本発明の併用療法の方法の一つの態様において用いることが可能なメトトレキセートは、DMARDの一例である。メトトレキセートは、アメトプテリン、RHUMATREX(登録商標)(Lederle Pharmaceutical)、またはFOLEX(登録商標)(Aventis)としても公知であり、葉酸の合成代謝経路の一部である酵素であるジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を競合的および可逆的に阻害する代謝拮抗剤である。
【0069】
通常ナトリウム塩の形態で医薬組成物内に存在し、かつそのような組成物内の量は遊離酸と同等として決定されるものの、メトトレキセートの化学名は、N-[4-[[(2,4-ジアミノ-6-プテリジニル)メチル]メチルアミノ]ベンゾイル]-L-グルタミン酸である。したがって、組成物が10ミリグラムのメトトレキセートを含有するといわれた場合、その組成物には、より多い重量のメトトレキセートのナトリウム塩が存在し得る。メトトレキセートは、何年もの間使用されてきたジェネリック薬であり、様々な供給元を通じて市販されている。例えば、メトトレキセートは、PfizerおよびWyethの両者によって、製造および販売されている。
【0070】
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)
望ましければ、本発明の組成物は、一種または複数種のNSAIDと併用して投与されうる。本発明において使用され得るNSAIDの限定されない例は、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジクロフェナクカリウム、アスピリン、スリンダク、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、トリサリチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナム酸ナトリウム、メロキシカム、オキサプロジン、スリンダク、トルメチン、および例えばロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、またはルミラコキシブなどのCOX-2阻害剤を含む。
【0071】
コルチコステロイド
望ましければ、本発明の組成物は、一種または複数種のコルチコステロイドと併用して投与されてよい。コルチコステロイドは、水素化シクロペンタノペルヒドロフェナントレン環系を特徴とする、天然または合成の化合物である。天然のコルチコステロイドは、通常、副腎皮質によって産生される。合成のコルチコステロイドは、ハロゲン化されていてもよい。本発明で使用され得る例示的なコルチコステロイドは、アルゲストン、6‐α‐フルオロプレドニゾロン、6‐α‐メチルプレドニゾロン、6‐α‐メチルプレドニゾロン21‐アセテート、6‐α‐メチルプレドニゾロン21‐ヘミスクシネートナトリウム塩、6‐α‐9‐α‐ジフルオロプレドニゾロン21‐アセテート17‐ブチレート、アムシナファル、ベクロメタゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、ベクロメタゾンジプロピオネートモノハイドレート、6‐β‐ヒドロキシコルチゾール、ベタメタゾン、ベタメタゾン‐17‐バレレート、ブデソニド、クロベタゾール、クロベタゾールプロピオネート、クロベタゾン、クロコルトロン、クロコルトロンピバレート、コルチゾン、コルチゾンアセテート、コルトドキソン、デフラザコート、21‐デオキシコルチゾール、デプロドン、デスシノロン、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン‐21‐アセテート、ジクロリゾン、ジフロラゾン、ジフロラゾンジアセテート、ジフルコルトロン、ドキシベタゾール、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、フルメタゾンピバレート、フルモキソニド、フルニソリド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、9‐フルオロコルチゾン、フルオロヒドロキシアンドロステンジオン、フルオロメトロン、フルオロメトロンアセテート、フルオキシメステロン、フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、ホルモコータル、ハルシノニド、ハロメタゾン、ハロプレドン、ヒルカノシド、ハイドロコルチゾン、ハイドロコルチゾンアセテート、ハイドロコルチゾンブチレート、ハイドロコルチゾンシピオネート、ハイドロコルチゾンナトリウムホスフェート、ハイドロコルチゾンナトリウムスクシネート、ハイドロコルチゾンプロブテート、ハイドロコルチゾンバレレート、6‐ヒドロキシデキサメタゾン、イソフルプレドン、イソフルプレドンアセテート、イソプレドニデン、メクロリゾン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンアセテート、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート、パラメタゾン、パラメタゾンアセテート、プレドニゾロン、プレドニゾロンアセテート、プレドニゾロンメタスルホベンゾエート、プレドニゾロンナトリウムホスフェート、プレドニゾロンテブテート、プレドニゾロン‐21‐ヘミスクシネート遊離酸、プレドニゾロン‐21‐アセテート、プレドニゾロン‐21(β‐D‐グルクロニド)、プレドニゾン、プレドニリデン、プロシノニド、トラロニド、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド21‐パルミテート、トリアムシノロンジアセテート、トリアムシノロンヘキサセトニド、およびウォルトマンニンを含む。特に望ましいコルチコステロイドは、プレドニゾロン、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、フルチカゾン、 プレドニゾン、トリアムシノロン、および ジフロラゾンである。
【0072】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、治療上有効な量のAFP(またはその生物学的に機能的なな断片、誘導体、もしくは類似体)および/または一種もしくは複数種の免疫調節作用物質を含む。活性成分であるAFPおよび一種または複数種の免疫調節作用物質は、同じ医薬組成物として投与されてもよく、または、両者とも患者に投与される(例えば、同時期に、または同時期ではなく)、二つの別の医薬組成物内に存在してもよい。組成物は、各種の薬物送達システムにおいて使用するために製剤化されることが可能である。一つまたは複数の生理的に許容される賦形剤および担体が、適切な製剤のために、組成物に含まれることも可能である。本発明における使用のための適切な製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Philadelphia, PA, 17th ed. (1985)に見られる。薬物送達のための方法の簡単な総説としては、Langer, Science 249: 1527-1533 (1990)を参照されたい。
【0073】
医薬組成物は、予防的および/または治療的処置のための、非経口投与、経鼻投与、外用投与、経口投与、または、例えば経皮的手段のような局所投与のために意図される。一般に、医薬組成物は、非経口的に(例えば、静脈内、筋肉内、または皮下への注射)、または経口摂取によって、またはMSに冒された箇所での局所適用によって投与される。従って、本発明は、許容される担体、好ましくは水性の担体、例えば、水、緩衝液、生理食塩水、およびPBS等に溶解または懸濁された、AFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および一種または複数種の免疫調節作用物質を含有する、非経口投与用の組成物を提供する。組成物は、生理的条件に近づけるために必要とされる、薬学的に許容される、例えばpH調整および緩衝剤、浸透圧調節剤、湿潤剤、および界面活性剤などの補助的な物質を含んでもよい。本発明は、錠剤およびカプセルなどの製剤用の結合剤または充填剤のような活性の無い成分を含み得る、経口送達用の組成物も提供する。さらに、本発明は、クリームおよび軟膏などの製剤用の溶媒または乳化剤のような活性の無い成分を含み得る、局所投与用の組成物を提供する。本発明の異なる態様において、AFPおよび一種または複数種の免疫調節作用物質は、同じまたは二つの異なる投与経路を介した投与のための、同じまたは別々の組成物内に製剤化されてもよい。
【0074】
これらの組成物は、通常の滅菌技術によって滅菌されてもよく、または滅菌ろ過されてもよい。結果として生じた水溶液はそのまま用いるために、または凍結乾燥されて包装され得、凍結乾燥された調製物は、投与前に滅菌された水性担体と混合される。製剤のpHは、典型的には3〜11であり、さらに好ましくは5〜9、または6〜8であり、最も好ましくは7〜8、例えば7〜7.5であると考えられる。結果として生じた固体状の組成物は、錠剤またはカプセルの密封包装のように、それぞれが一定量のAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および一種または複数種の免疫調節作用物質を含む、複数の単回投与単位で包装され得る。固体状の組成物は、外用適用可能なクリームまたは軟膏用に設計された絞り出し可能なチューブのように、量が変動する容器にも包装できる。
【0075】
有効な量のAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および一種または複数種の免疫調節作用物質を含有する組成物は、予防的および/または治療的処置のために投与され得る。予防的な適用において、AFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および/または一種もしくは複数種の免疫調節作用物質を含有する本発明の組成物は、MSに感受性の、またはさもなければMSを発症する危険性がある患者に投与される。そのような量は、「予防上有効な用量」と定義される。この使用において、的確な量は、さらに患者の健康状態に依存するが、一般的に、用量当たり約0.5ミリグラムから約400ミリグラムの範囲のAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)(例えば、用量当たり10ミリグラム、50ミリグラム、100ミリグラム、200ミリグラム、300ミリグラム、または400ミリグラム)、および用量当たり約0.1マイクログラムから約300ミリグラムの一種または複数種の免疫調節作用物質(例えば、用量当たり10マイクログラム、30マイクログラム、50マイクログラム、0.1ミリグラム、10ミリグラム、50ミリグラム、100ミリグラム、または200ミリグラム)である。AFPおよび/または免疫調節作用物質の用量を、患者に対して予防的に、1時間当たり、1日当たり、1週間当たり、1ヶ月当たり、または1年当たり1回もしくは複数回(例えば、1時間当たり、1日当たり、1週間当たり、1ヶ月当たり、または1年当たり2、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12回)投与することができる。より一般的には、1週間当たり1用量のAFPおよび/または免疫調節作用物質が、患者に投与される。
【0076】
治療用途において、組成物は、既にMSを患っている患者(例えば、ヒトである患者)に、治癒に十分な量で、または疾患およびその合併症の症状の一つもしくは複数の進行を少なくとも部分的に止めるまたは軽減するのに十分な量で投与される。この目的を達成するのに十分な量は、「治療上有効な用量」と定義される。この使用に有効な量は、疾患の重症度または患者の状態および全身状態に依存し得るが、一般的に、用量当たり約0.5ミリグラムから約400ミリグラムの範囲のAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)(例えば、用量当たり10ミリグラム、50ミリグラム、100ミリグラム、200ミリグラム、300ミリグラム、または400ミリグラム)、および用量当たり約0.1マイクログラムから約1.2グラムの一種または複数種の免疫調節作用物質(例えば、用量当たり10マイクログラム、30マイクログラム、50マイクログラム、0.1ミリグラム、10ミリグラム、50ミリグラム、100ミリグラム、200ミリグラム、300ミリグラム、500ミリグラム、700ミリグラム、または1.0グラム)である。AFPおよび/または免疫調節作用物質の用量を、患者に対して治療として、1時間当たり、1日当たり、1週間当たり、1ヶ月当たり、または1年当たり1回もしくは複数回(例えば、1時間当たり、1日当たり、1週間当たり、1ヶ月当たり、または1年当たり2、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12回)投与することができる。より一般的には、1週間当たり1回のAFPおよび/または免疫調節作用物質が、患者に投与される。
【0077】
いくつかの態様において、患者は、AFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)を、用量当たり約0.5ミリグラムから約400ミリグラムの範囲で1週間当たり1回または複数回(例えば、1週間当たり2、3、4、5、6、もしくは7回またはそれ以上)、好ましくは、用量当たり約5ミリグラムから約300ミリグラムで1週間当たり1回または複数回、さらにより好ましくは、用量当たり約5ミリグラムから約200ミリグラムで1週間当たり1回または複数回、投与され得る。患者はまた、AFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)の2週間に1回の用量を約50ミリグラムから約800ミリグラムの範囲で、またはAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)の1ヶ月に1回の用量を約50ミリグラムから約1,200ミリグラムの範囲で、投与されてもよい。
【0078】
他の態様において、AFPは患者に対して、1週間当たり約0.5ミリグラムから1週間当たり約400ミリグラム、1週間当たり約1.0ミリグラムから1週間当たり約300ミリグラム、1週間当たり約5ミリグラムから1週間当たり約200ミリグラム、1週間当たり約10ミリグラムから1週間当たり約100ミリグラム、1週間当たり約20ミリグラムから1週間当たり約80ミリグラム、1週間当たり約100ミリグラムから1週間当たり約300ミリグラム、または1週間当たり約100ミリグラムから1週間当たり約200ミリグラムの典型的な用量範囲で投与されてもよい。AFPは、1日おきに約0.5ミリグラムから1日おきに約100ミリグラム、好ましくは、1日おきに約5ミリグラムから1日おきに約75ミリグラム、より好ましくは、1日おきに約10ミリグラムから1日おきに約50ミリグラム、さらにより好ましくは、1日おきに20ミリグラムから1日おきに約40ミリグラム、の範囲で投与されてもよい。AFPはまた、1週間当たり約0.5ミリグラム3回から1週間当たり約100ミリグラム3回、好ましくは、1週間当たり約5ミリグラム3回から1週間当たり約75ミリグラム3回、より好ましくは、1週間当たり約10ミリグラム3回から1週間当たり約50ミリグラム3回、さらにより好ましくは、1週間当たり約20ミリグラム3回から1週間当たり約40ミリグラム3回、の範囲で投与されてもよい。
【0079】
いくつかの態様において、患者は、免疫調節作用物質を、用量当たり約30マイクログラムから約300ミリグラムの範囲で1週間当たり1回または複数回(例えば、1週間に2、3、4、5、6、もしくは7回またはそれ以上)、好ましくは、用量当たり約30マイクログラムから約200ミリグラムで1週間当たり1回または複数回、さらにより好ましくは、用量当たり約30マイクログラムから約100ミリグラムで1週間当たり1回または複数回、投与され得る。患者はまた、免疫調節作用物質の2週間に1回、3週間に1回、または1ヶ月に1回の用量を、投与を約30マイクログラムから約1.2グラムの範囲で、好ましくは、用量を約50マイクログラムから約1,000ミリグラムの範囲で、より好ましくは、用量を約100マイクログラムから約500ミリグラムの範囲で、投与されてもよい。
【0080】
投与される免疫調節作用物質がアボネックス(登録商標)である、いくつかの態様において、患者は、1週間当たり約15マイクログラムから1週間当たり約75マイクログラム、好ましくは、1週間当たり約20マイクログラムから1週間当たり約50マイクログラム、より好ましくは、1週間当たり約25マイクログラムから1週間当たり約40マイクログラム、およびさらにより好ましくは、1週間当たり約30マイクログラムから1週間当たり40マイクログラムの範囲の典型的な投薬量を投与される。患者はまた、AFPポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)を、1週間当たり約0.5ミリグラムから1週間当たり約100ミリグラム、好ましくは、1週間当たり約5ミリグラムから1週間当たり約75ミリグラム、より好ましくは、1週間当たり約10ミリグラムから1週間当たり約50ミリグラム、およびさらにより好ましくは、1週間当たり約20ミリグラムから1週間当たり約40ミリグラムの範囲で投与されてもよい。
【0081】
投与される免疫調節作用物質がBetaseron(登録商標)である、もう一つの例示的な態様において、投与される典型的な投薬量は、1日おきに約6マイクログラムから1日おきに約2.0ミリグラム、好ましくは、1日おきに約50マイクログラムから1日おきに約1.0ミリグラム、より好ましくは、1日おきに約100マイクログラムから1日おきに約500マイクログラム、およびさらにより好ましくは、1日おきに約250マイクログラムから1日おきに約500マイクログラムの範囲でもよい。患者はまた、AFPポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)を、1日おきに約0.5ミリグラムから1日おきに約100ミリグラム、好ましくは、1日おきに約5ミリグラムから1日おきに約75ミリグラム、より好ましくは、1日おきに約10ミリグラムから1日おきに約50ミリグラム、およびさらにより好ましくは、1日おきに約20ミリグラムから1日おきに約40ミリグラムの範囲で投与されてもよい。
【0082】
免疫調節作用物質がRebif(登録商標)である、もう一つの態様において、投与される典型的な投薬量は、1週間当たり約4.4マイクログラム3回から1週間当たり約100マイクログラム3回、好ましくは、1週間当たり約10マイクログラム3回から1週間当たり約75マイクログラム3回、より好ましくは、1週間当たり約15マイクログラム3回から1週間当たり約50マイクログラム3回、およびさらにより好ましくは、1週間当たり約22マイクログラム3回から1週間当たり約44マイクログラム3回の範囲でもよい。患者はまた、AFPポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)を、1週間当たり約0.5ミリグラム3回から1週間当たり約100ミリグラム3回、好ましくは、1週間当たり約5ミリグラム3回から1週間当たり約75ミリグラム3回、より好ましくは、1週間当たり約10ミリグラム3回から1週間当たり約50ミリグラム3回、およびさらにより好ましくは、1週間当たり約20ミリグラム3回から1週間当たり約40ミリグラム3回の範囲で投与されてもよい。
【0083】
免疫調節作用物質がTauferon(商標)である、もう一つの態様において、投与される典型的な投薬量は、1日に約0.1ミリグラムから1日に約40ミリグラム、好ましくは、1日に約0.1ミリグラムから1日に約10ミリグラム、より好ましくは、1日に約1ミリグラムから1日に約10ミリグラム、およびさらにより好ましくは、1日に約2ミリグラムから1日に約5ミリグラムの範囲でもよい。患者はまた、AFPポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)を、1週間当たり約0.5ミリグラム3回から1週間当たり約100ミリグラム3回、好ましくは、1週間当たり約5ミリグラム3回から1週間当たり約75ミリグラム3回、より好ましくは、1週間当たり約10ミリグラム3回から1週間当たり約50ミリグラム3回、およびさらにより好ましくは、1週間当たり約20ミリグラム3回から1週間当たり約40ミリグラム3回の範囲で投与されてもよい。
【0084】
免疫調節作用物質がRoferon-A(登録商標)である、もう一つの態様において、投与される典型的な投薬量は、1日に約2.0 x 106 IUから1日に約36.0 x 106 IU、好ましくは、1日に約3.0 x 106 IUから1日に約36.0 x 106 IU、より好ましくは、1日に約5.0 x 106 IUから1日に約30.0 x 106 IU、およびさらにより好ましくは、1日に約5.0 x 106 IUから1日に約25.0 x 106 IUの範囲でもよい。患者はまた、AFPポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)を、1週間当たり約0.5ミリグラム3回から1週間当たり約100ミリグラム3回、好ましくは、1週間当たり約5ミリグラム3回から1週間当たり約75ミリグラム3回、より好ましくは、1週間当たり約10ミリグラム3回から1週間当たり約50ミリグラム3回、およびさらにより好ましくは、1週間当たり約20ミリグラム3回から1週間当たり約40ミリグラム3回の範囲で投与されてもよい。
【0085】
免疫調節作用物質がIntron-A(登録商標)である、もう一つの態様において、投与される典型的な投薬量は、1週間に約5.0 x 106 IUから1週間に約35.0 x 106 IU、好ましくは、1週間に約6.0 x 106 IUから1週間に約35.0 x 106 IU、より好ましくは、1週間に約6.0 x 106 IUから1週間に約30.0 x 106 IU、およびさらにより好ましくは、1週間に約25.0 x 106 IUから1週間に約35.0 x 106 IUの範囲でもよい。患者はまた、AFPポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)を、1週間当たり約0.5ミリグラム3回から1週間当たり約100ミリグラム3回、好ましくは、1週間当たり約5ミリグラム3回から1週間当たり約75ミリグラム3回、より好ましくは、1週間当たり約10ミリグラム3回から1週間当たり約50ミリグラム3回、およびさらにより好ましくは、1週間当たり約20ミリグラム3回から1週間当たり約40ミリグラム3回の範囲で投与されてもよい。
【0086】
免疫調節作用物質がRebetron‐A(登録商標)である、もう一つの態様において、投与される典型的な投薬量は、1週間に約0.5 x 106 IUから1週間に約10.0 x 106 IU、好ましくは、1週間に約1.0 x 106 IUから1週間に約10.0 x 106 IU、より好ましくは、1週間に約2.0 x 106 IUから1週間に約10.0 x 106 IU、およびさらにより好ましくは、1週間に約5.0 x 106 IUから1週間に約10.0 x 106 IUの範囲でもよい。患者はまた、AFPポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)を、1週間当たり約0.5ミリグラム3回から1週間当たり約100ミリグラム3回、好ましくは、1週間当たり約5ミリグラム3回から1週間当たり約75ミリグラム3回、より好ましくは、1週間当たり約10ミリグラム3回から1週間当たり約50ミリグラム3回、およびさらにより好ましくは、1週間当たり約20ミリグラム3回から1週間当たり約40ミリグラム3回の範囲で投与されてもよい。
【0087】
投与される免疫調節作用物質がPeg-Intron(登録商標)である、いくつかの態様において、患者は、1週間当たり約15マイクログラムから1週間当たり約150マイクログラム、好ましくは、1週間当たり約20マイクログラムから1週間当たり約150マイクログラム、より好ましくは、1週間当たり約50マイクログラムから1週間当たり約150マイクログラム、およびさらにより好ましくは、1週間当たり約50マイクログラムから1週間当たり100マイクログラムの範囲の典型的な投薬量を投与される。患者はまた、AFPポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)を、1週間当たり約0.5ミリグラム3回から1週間当たり約100ミリグラム3回、好ましくは、1週間当たり約5ミリグラム3回から1週間当たり約75ミリグラム3回、より好ましくは、1週間当たり約10ミリグラム3回から1週間当たり約50ミリグラム3回、およびさらにより好ましくは、1週間当たり約20ミリグラム3回から1週間当たり約40ミリグラム3回の範囲で投与されてもよい。
【0088】
免疫調節作用物質がAlferon-N(登録商標)である、もう一つの態様において、投与される典型的な投薬量は、1日に約0.05 x 106 IUから1日に約15.0 x 106 IU、好ましくは、1日に約0.1 x 106 IUから1日に約15.0 x 106 IU、より好ましくは、1日に約1.0 x 106 IUから1日に約15.0 x 106 IU、およびさらにより好ましくは、1日に約2.0 x 106 IUから1日に約15.0 x 106 IUの範囲でもよい。患者はまた、AFPポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)を、1週間当たり約0.5ミリグラム3回から1週間当たり約100ミリグラム3回、好ましくは、1週間当たり約5ミリグラム3回から1週間当たり約75ミリグラム3回、より好ましくは、1週間当たり約10ミリグラム3回から1週間当たり約50ミリグラム3回、およびさらにより好ましくは、1週間当たり約20ミリグラム3回から1週間当たり約40ミリグラム3回の範囲で投与されてもよい。
【0089】
投与される免疫調節作用物質がInfergen(登録商標)である、いくつかの態様において、患者は、1日当たり約2マイクログラムから1日当たり約30マイクログラム、好ましくは、1日当たり約5マイクログラムから1日当たり約30マイクログラム、より好ましくは、1日当たり約5マイクログラムから1日当たり約25マイクログラム、およびさらにより好ましくは、1日当たり約5マイクログラムから1日当たり20マイクログラムの範囲の典型的な投薬量を投与される。患者はまた、AFPポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)を、1週間当たり約0.5ミリグラム3回から1週間当たり約100ミリグラム3回、好ましくは、1週間当たり約5ミリグラム3回から1週間当たり約75ミリグラム3回、より好ましくは、1週間当たり約10ミリグラム3回から1週間当たり約50ミリグラム3回、およびさらにより好ましくは、1週間当たり約20ミリグラム3回から1週間当たり約40ミリグラム3回の範囲で投与されてもよい。
【0090】
免疫調節作用物質がActimmune(登録商標)である、もう一つの態様において、投与される典型的な投薬量は、1週間に約0.5 x 106 IUから1週間に約30.0 x 106 IU、好ましくは、1週間に約1.0 x 106 IUから1週間に約30.0 x 106 IU、より好ましくは、1週間に約5.0 x 106 IUから1週間に約30.0 x 106 IU、およびさらにより好ましくは、1週間に約5.0 x 106 IUから1週間に約10.0 x 106 IUの範囲でもよい。Actimmune(登録商標)はまた、1週間に約40マイクログラムから1週間に約600マイクログラム、好ましくは、1週間に約100マイクログラムから1週間に約600マイクログラム、より好ましくは、1週間に約150マイクログラムから1週間に約600マイクログラム、およびさらにより好ましくは、1週間に約200マイクログラムから1週間に約600マイクログラムの範囲で投与されてもよい。患者はまた、AFPポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)を、1週間当たり約0.5ミリグラム3回から1週間当たり約100ミリグラム3回、好ましくは、1週間当たり約5ミリグラム3回から1週間当たり約75ミリグラム3回、より好ましくは、1週間当たり約10ミリグラム3回から1週間当たり約50ミリグラム3回、およびさらにより好ましくは、1週間当たり約20ミリグラム3回から1週間当たり約40ミリグラム3回の範囲で投与されてもよい。
【0091】
免疫調節作用物質がPegasys(登録商標)である、もう一つの態様において、投与される典型的な投薬量は、1週間に約10マイクログラムから1週間に約300マイクログラム、好ましくは、1週間に約50マイクログラムから1週間に約300マイクログラム、より好ましくは、1週間に約50マイクログラムから1週間に約200マイクログラム、およびさらにより好ましくは、1週間に約100マイクログラムから1週間に約200マイクログラムの範囲でもよい。患者はまた、AFPポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)を、1週間当たり約0.5ミリグラム3回から1週間当たり約100ミリグラム3回、好ましくは、1週間当たり約5ミリグラム3回から1週間当たり約75ミリグラム3回、より好ましくは、1週間当たり約10ミリグラム3回から1週間当たり約50ミリグラム3回、およびさらにより好ましくは、1週間当たり約20ミリグラム3回から1週間当たり約40ミリグラム3回の範囲で投与されてもよい。
【0092】
免疫調節作用物質がNovantron(登録商標)である、もう一つの態様において、投与される典型的な投薬量は、1週間に約0.2ミリグラム/m2から1週間に約80ミリグラム/m2、好ましくは、1週間に約1.0ミリグラム/m2から1週間に約80ミリグラム/m2、より好ましくは、1週間に約5.0ミリグラム/m2から1週間に約80ミリグラム/m2、およびさらにより好ましくは、1週間に約20.0ミリグラム/m2から1週間に約80ミリグラム/m2の範囲でもよい。患者はまた、AFPポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)を、1週間当たり約0.5ミリグラム3回から1週間当たり約100ミリグラム3回、好ましくは、1週間当たり約5ミリグラム3回から1週間当たり約75ミリグラム3回、より好ましくは、1週間当たり約10ミリグラム3回から1週間当たり約50ミリグラム3回、およびさらにより好ましくは、1週間当たり約20ミリグラム3回から1週間当たり約40ミリグラム3回の範囲で投与されてもよい。
【0093】
免疫調節作用物質がCopaxone(登録商標)である、もう一つの態様において、投与される典型的な投薬量は、1日に約0.1ミリグラムから1日に約40ミリグラム、好ましくは、1日に約1.0ミリグラムから1日に約40ミリグラム、より好ましくは、1日に約5.0ミリグラムから1日に約40ミリグラム、およびさらにより好ましくは、1日に約10.0ミリグラムから1日に約40ミリグラムの範囲でもよい。患者はまた、AFPポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片)を、1週間当たり約0.5ミリグラム3回から1週間当たり約100ミリグラム3回、好ましくは、1週間当たり約5ミリグラム3回から1週間当たり約75ミリグラム3回、より好ましくは、1週間当たり約10ミリグラム3回から1週間当たり約50ミリグラム3回、およびさらにより好ましくは、1週間当たり約20ミリグラム3回から1週間当たり約40ミリグラム3回の範囲で投与されてもよい。
【0094】
本発明における方法の限定されない態様において、AFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および一種または複数種の免疫調節作用物質は、次のように患者に投与される:1、2、3、または4時間継続的に;1日に1、2、3、または4回;1日おき、または3日目、4日目、5日目、もしくは6日目毎;1週間に1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回;2週間に1回;1ヵ月に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30回;2ヵ月に1回;6ヵ月毎に1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回;1年に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20回;または1年に2回。AFP(およびその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および一種または複数種の免疫調節作用物質は、治療プログラム中に異なる頻度で投与され得る(すなわち、MSの後期に高頻度で投与される(例えば、MSの初期には1週間に1回投与され、MSの後期には1週間に3回投与される)か、またはMSの早期に高頻度で投与される(例えば、MSの初期の間には1週間に3回投与され、MSの後期には1週間に1回投与される))。追加の態様において、AFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および一種または複数種の免疫調節作用物質は、同じ頻度または異なる頻度で、患者に投与されてもよい。
【0095】
所望の治療効果を達成するために必要な、一種または複数種の免疫調節作用物質およびAFPポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)の量は、選択した特定の免疫調節作用物質、投与の様式、および受容者の臨床状態のような、複数の要因に依存する。当業者であれば、所望の結果を達成するために、一種または複数種の免疫調節作用物質およびAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)の適切な投薬量を決定することができると考えられる。
【0096】
本発明の方法による、AFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および一種または複数種の免疫調節作用物質の同時投与は、全体的な期間が同じである、または全体的な投与方法が同じである方法を用いた、2種の活性成分の使用を指す。しかしながら、両者を全く同時に投与することは、必ずしも必要ではない。例えば、AFPおよび一種または複数種の免疫調節作用物質が、2種の別々の医薬組成物の状態でMSを患った患者に投与される場合、この2種の組成物は、同じ期間に、または部分的に重なった2つの期間にも、患者に送達される必要はない。いくつかの場合において、第2の薬剤(例えば、AFP)の投与は、第1の薬剤(例えば、IFN‐β‐1a)の投与期間終了のすぐ後に開始されてもよく、またはその逆でもよい。2つの投与期間の間の空白時間は、1日から1週間または1ヶ月まで変動し得る。いくつかの場合において、ある治療用薬剤(例えば、AFP)は最初に、第2の薬剤(例えば、IFN)と別々の期間に投与され、続いて、次の期間には第2の薬剤なしで投与されてもよい。この形式の典型的なスケジュールは、1回目の同時投与期間における第1の治療用薬剤のより高い投薬量、および2回目の期間における、より低い投薬量を必要とする場合があり、また逆も同様である。同じ事が、第2の薬剤にも当てはまる。
【0097】
有効量のAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および/または一種または複数種の免疫調節作用物質を含有する組成物の単回または複数回投与は、治療している医師によって選択された用量レベルおよび様式で実施可能である。用量および投与計画は、患者における多発性硬化症の重症度に基づいて決定および調節されることが可能であり、これは、臨床医によって一般に実施されている方法、または本明細書において記載されている方法に従った治療の経過を通じて観察され得る。
【0098】
第2の薬剤の投薬量
AFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および一種または複数種の免疫調節作用物質に加えて、必要であれば、本発明の併用療法は、一つまたは複数の第2の薬剤(例えば、DMARD、NSAID、またはコルチコステロイド)の同時投与を含んでもよい。これら第2の薬剤の投薬量を以下に記載する。
【0099】
第2の薬剤として、DMARDは、1週間当たり1回もしくは複数回(例えば、1週間当たり2、3、4、5、6、もしくは7回またはそれ以上)の用量当たり約0.1ミリグラムから3,000ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから2,500ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから2,000ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから1,500ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから1,000ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから800ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから600ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから500ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから400ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから300ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから250ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから200ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから150ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから100ミリグラム、または1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから50ミリグラムの範囲で患者に投与されることが可能である。
【0100】
第2の薬剤として、NSAIDは、1週間当たり1回もしくは複数回(例えば、1週間当たり2、3、4、5、6、もしくは7回またはそれ以上)の用量当たり0.1ミリグラムから1,500ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから1,200ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから1,000ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから800ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから600ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから500ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから400ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから300ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから200ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから150ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから100ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから80ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから60ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから40ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから20ミリグラム、または1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから10ミリグラムの範囲で患者に投与されることが可能である。
【0101】
第2の薬剤として、コルチコステロイドは、1週間当たり1回もしくは複数回(例えば、1週間当たり2、3、4、5、6、もしくは7回またはそれ以上)の用量当たり0.1ミリグラムから1,500ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから1,200ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから1,000ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから800ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから600ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから500ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから400ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから300ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから200ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから150ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから100ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから80ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから60ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから40ミリグラム、1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから20ミリグラム、または1週間当たり1回もしくは複数回の用量当たり0.1ミリグラムから10ミリグラムの範囲で患者に投与されることが可能である。
【0102】
キット
本発明は、MSを治療するキットも提供する。キットは、典型的には、それぞれMSの治療のために治療上有効な量で、AFPポリペプチド(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)を含有する医薬組成物、ならびに、一種または複数種の免疫調節作用物質を含有する医薬組成物をも含む。あるいは、有効な量のAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および一種または複数種の免疫調節作用物質が、一つの医薬組成物中に存在し得る。任意で、この医薬組成物は、1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤を含んでもよく、または1つもしくは複数の第2の薬剤(例えば、DMARD、コルチコステロイド、もしくはNSAID)を含んでもよい。
【0103】
好ましくは、キットは、有効な量のAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および/または一種または複数種の免疫調節作用物質を含む、単回用量の医薬組成物の複数の包装を含む。任意で、医薬組成物を投与するために必要な器具または装置が、キットに含まれていてもよい。例えば、本発明のキットは、有効量のAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)を含む1本または複数本の充填済みの注射器、および有効量の一種または複数種の免疫調節作用物質を含む1本または複数本の充填済みの注射器または錠剤を提供し得る。さらに、キットは、MS患者がAFP(またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体)および/または一種もしくは複数種の免疫調節作用物質を含有する医薬組成物を使用するための指示書または投与スケジュールのような追加の構成要素を含んでもよい。本発明のキットの異なる態様は、1つまたは複数の第2の薬剤(例えば、NSAID 、DMARD、またはコルチコステロイド)を含んでもよい。
【0104】
本発明の精神または特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明の組成物、方法、およびキットに様々な改変および変更を行い得ることは、当業者にとって明らかであると考えられる。したがって、本発明が、添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内であるという条件で、本発明の改変および変更にも及ぶことが意図される。
【0105】
実施例
以下の実施例は、例示する目的でのみ提供されており、限定を目的としたものではない。当業者であれば、本質的に同一または類似の結果を得るために変化または改変され得る種々の重要ではないパラメーターを容易に認識するものと思われる。
【0106】
実施例1:MOG-EAEマウスモデルを用いた組換えAFPの機能試験
ヒトAFPの組換え体(米国特許出願公開第20040098755号に従って作製したrhAFP)の有効性の実験を、遺伝的に感受性の系統のマウスをミエリン抗原またはペプチド(ミエリンオリゴデンドロサイトタンパク質[MOG]またはプロテオリピドタンパク質[PLP])で免疫化することによって実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を誘導したマウスモデルにおいて実施した。このアッセイ系は、本発明におけるAFPポリペプチドまたは生物学的に活性なAFP断片の機能性を決定するのに有用である。
【0107】
研究の目的:
これらの研究の目的は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスII分子HLA-DR2と直接的に関連した自己免疫疾患であるMSのための治療として意図した試験化合物と実施することであった。マウス実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルは、ヒトのMSとの関連性から選定した。
【0108】
EAEモデルの説明および特徴:
実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)は、中枢神経系の脱髄性の疾患である。それは、多発性硬化症(MS)のための動物モデルとしての役割をはたす(Goverman, Lab. Anim. Sci. 46:482, 1996; Paterson, Clin. Immunol. Rev. 1:581, 1981)。EAEは、誘導方法および使用する動物の種類に依存する、急性、慢性、または再発寛解型の疾患経過を呈し得る。疾患の誘導は、動物の麻痺の増加の度合いを高める結果となる。現れた麻痺は衰弱をもたらすが、痛みはなく、ほとんどの動物は、EAEの進行期からでさえ、ある程度の回復を示すと考えられる。通常、麻痺は尾部の衰弱から始まり、続いて徐々に、麻痺へ進行する後肢の衰弱、およびそれほど多くはないが前肢の麻痺が起きる。EAEの疾患の進行は、通常状態から開始し、マウスが瀕死になった際に終了するスコア化システムによってモニタリングできる。疾患の重症度は動物間で変動しているので、動物が回復するかどうかを確実に予想する方法はない。結果として、この動物モデルにおいては綿密に観察することが必要とされる。
【0109】
EAEは、中枢神経系の構成要素(Levine and Sowinski, J. Immunol. 110:139, 1973;Fritz et al., J. Immunol. 130:1024, 1983)またはペプチド(Tuohy et al., J. Immunol. 140:1868, 1988; McFarlin et al., Science 179:478, 1973;およびLinington et al., Eur. J. Immunol. 23:1364, 1993)によって誘導可能であり、および、EAEを誘導した動物から通常の受容個体へのT細胞の移植(Yamamura et al., J. Neurol. Sci. 76:269, 1986)によっても誘導可能である。効率的に自己免疫反応を誘発するためには、タンパク質またはペプチドと共に完全フロインドアジュバント(CFA)を使用しなければならない。CFAは、免疫化の効率を上げるために、しばしば百日咳毒素と併用される(Lee, Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 89:263, 1955;Kamradt et al., J. Immunol. 147:3296, 1991)。CFAの注射に関連する痛みを少しでも和らげるために鎮痛薬を投与することは、ほとんどの鎮痛薬がモデルの不可欠な構成要素である免疫反応に影響することから不可能である(Billiau, J. Leukoc. Biol. 70:849, 2001; Naiki et al., Int. J. Immunopharmacol. 13:235, 1991)。
【0110】
実験の設計および方法
実験的MS様疾患症候群の誘発:
6から8週齢の雌性マウス(C57BL6)50匹を、0日目(左側方腰部)および7日目(右側方腰部)に、加熱殺菌した結核菌(Mycobacterium tuberculosis)H37RAを含有する、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(mMOG-35-55ペプチド)の、CFA中エマルジョン(マウス当たり125マイクログラム)を皮下的に免疫化した。加えて、免疫化後0日目および2日目に、百日咳毒素(Ptx)をマウスに腹腔内投与した。
【0111】
疾患のモニタリング:
疾患の初期兆候(尾部の衰弱または麻痺)が、最初の免疫化後、初めから10日後に観察された。能動的に免疫化されたマウスを、毎日、30日目まで、確立された以下の基準に従って、EAEの臨床兆候について評価した。
0 疾患なし
1 尾部衰弱
2 立ち直り障害に十分な片方または両方の後肢衰弱、または片肢の麻痺
3 対麻痺
4 四肢麻痺
5 瀕死または死亡
【0112】
50匹のマウスを、それぞれがマウス10匹の5群にランダム化した。動物10匹の一つの群に、未処置EAE疾患対照としての役割を果たすように、生理食塩水を注射した。残りの4群で、4種類の化合物を評価した。
【0113】
マウスに、毎日、100μlの試験用のrhAFPまたは対照物質を腹腔内注射した。これらの化合物は次のものである:1〜500マイクログラムのrhAFP;1〜500マイクログラムのヒト血清アルブミン(対照)。さらに、いくつかの研究において、追加の対照として特定の白血球サブセット(例えば、CD4陽性細胞)に対する除去用抗体を用いる。
【0114】
MSの実験モデルであるEAEにおける疾患の進行に対するrhAFPの効果を評価するため、この研究にマウスを用いた。処置しない場合、多くの動物が、EAEの兆候および症状、すなわち進行性の脳障害および麻痺を発症するであろうと予想された。
【0115】
30日にわたる経時的な動物の疾患の進行についての毎日のモニタリングに加えて、動物を研究の最後に屠殺し、中枢神経系の組織(脳および脊髄)を、浸潤、疾患の原因となる細胞(すなわち、CD4陽性T細胞)の免疫組織化学的分析のために回収した。
【0116】
加えて、疾患の誘発期におけるrhAFP投与の効果を評価するために、6から10日間の短期間の研究を実施した。これらの比較的短期間の研究において、T細胞、CD4陽性細胞、調節性T細胞、およびそれらの活性化マーカーを含むがそれに限定されない免疫性細胞のサブセットのFACs分析のため、排出しているリンパ節細胞を回収した。それぞれの処理群から回収した細胞の分画を、免疫化抗原(銀)であるMOG35-55に対する銀特異的リコール応答、および一群のマイトジェン(コンカナバリンA、PHA、LPS)に対する銀非特異的応答を評価するための、一団の刺激に対するインビトロ増殖応答について評価した。同じように準備された培養からの上清を、サイトカイン(IL-2、IL-4、IFN‐γなど)について分析した。
【0117】
実施例2:MOG-EAEマウスモデルにおけるAFPおよびインターフェロンβ1aの相乗効果
組換えヒトAFPおよびインターフェロンβ1aの、EAEの治療に対する相乗効果を、MSのMOG-EAEまたはPLP-EAEマウスモデルを利用した研究において試験した。
【0118】
全体的な実験の設計は、実施例1と同一である。簡単に言うと、6から8週齢の雌性マウス(C57BL6)70匹を、0日目(左側方腰部)および7日目(右側方腰部)に、加熱殺菌した結核菌H37RAを含有する、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(mMOG-35-55ペプチド)のCFA中エマルジョン(マウス当たり125マイクログラム)を皮下的に免疫化する。
【0119】
70匹のマウスを、それぞれがマウス10匹の7群にランダム化する。動物10匹の一つの群に、未処置EAE疾患対照としての役割を果たすように、生理食塩水を注射する。残りの6群で、6種類の異なる調合を評価する。第1群のマウスには、プラセボを投与する;第2群にはrhAFPを10μg/日で投与する;第3群にはrhAFPを100μg/日で投与する;第4群にはIFN‐β‐1aを0.1μg/日で投与する;第5群にはIFN‐β‐1aを1μg/日で投与する;第6群にはrhAFPおよびIFN‐β‐1aの両方をそれぞれ1日当たり10μgおよび0.1μgで投与する;ならびに第7群にはrhAFPおよびIFN‐β‐1aの両方をそれぞれ100μgおよび1μgで投与する。投与は毎日の注射(腹腔内または皮下)により、0日目から実験の最後の60日目まで行う。すべての群を疾患症状について、実施例1に記載の基準に従って、研究の継続期間中毎日スコア付けする。
【0120】
60日目に、全てのマウスを安楽死させ、各種の臓器および血液(例えば、脾臓、膝、前後の脚)を、免疫組織化学的および免疫学的な分析のために回収する。
【0121】
他の態様
本発明は、特定のその態様に関連して説明されているが、更なる改変が可能であること、本出願が、概して本発明の原理に従う本発明のあらゆる変動、使用、または適合を包含することを意図していること、およびこのような、本発明が属する技術分野において公知のまたは慣行とされる、かつ前述の本質的特徴に適用され得る、本発明の開示からの逸脱を含むことが理解されるであろう。
【0122】
本明細書において言及するすべての出版物、および特許出願は、各独立した出版物または特許出願が具体的かつ個別にその全体が参照により組み入れられていることが示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】

【図1−4】

【図2−1】

【図2−2】

【図2−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療上有効な量のα‐フェトプロテイン(AFP)またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体、および治療上有効な量の免疫調節作用物質を患者に投与する段階を含む、多発性硬化症(MS)の患者を治療する方法。
【請求項2】
AFPまたはその生物学的に活性な断片が、ヒト組換えAFPである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
AFPまたはその生物学的に活性な断片が、グリコシル化されていない、請求項1記載の方法。
【請求項4】
免疫調節作用物質が、タンパク質である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
タンパク質が、インターフェロンまたは酢酸グラチラマーである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
インターフェロンが、インターフェロン‐β‐1a、インターフェロン‐β‐1b、インターフェロン‐α、インターフェロン‐γ、インターフェロン‐τからなる群より選択される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
免疫調節作用物質が、抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
抗体が、ナタリズマブ、ダクリズマブ、リツキシマブ、ABT-874、およびアレムツズマブからなる群より選択される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
免疫調節作用物質が、小分子である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
小分子が、BG12、フィンゴリモド、ミトキサントロン、ラキニモド、テリフルノミド(teriflunomide)、またはアトルバスタチンである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
AFPまたはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体が、毎日、毎週、2週間に1度で、または毎月投与される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
AFPまたはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体が、毎日投与される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
AFPまたはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体が、用量当たり約0.5ミリグラムから400ミリグラムの範囲内で投与される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
免疫調節作用物質が、毎日、毎週、2週間に1度で、または毎月投与される、請求項1記載の方法。
【請求項15】
免疫調節作用物質が、用量当たり約50マイクログラムから300ミリグラムの範囲内で投与される、請求項1記載の方法。
【請求項16】
AFPおよび免疫調節作用物質が、同時期(coextensively)に投与される、請求項1記載の方法。
【請求項17】
AFPおよび免疫調節作用物質が、別々の投与形態で投与される、請求項1記載の方法。
【請求項18】
AFPおよび免疫調節作用物質が、同一の投与形態で投与される、請求項1記載の方法。
【請求項19】
AFPおよび免疫調節作用物質が、別々に投与される、請求項1記載の方法。
【請求項20】
AFPが、免疫調節作用物質の前に投与される、請求項1記載の方法。
【請求項21】
AFPが、免疫調節作用物質の後に投与される、請求項1記載の方法。
【請求項22】
AFPまたは免疫調節作用物質が、静脈内に、筋肉内に、経口的に、吸入で、非経口的に、腹腔内に、動脈内に、経皮的に、舌下に、経鼻的に、座薬として、頬に(transbuccally)、リポソームで、脂肪内に(adiposally)、眼内に、皮下に、髄腔内に、外用で、または、局所投与を通じて投与される、請求項1記載の方法。
【請求項23】
AFPおよび免疫調節作用物質が、二つの異なる投与経路によって投与される、請求項1記載の方法。
【請求項24】
AFPおよび免疫調節作用物質が、同じ投与経路によって投与される、請求項1記載の方法。
【請求項25】
疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)、コルチコステロイド、または非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の一つまたは複数を患者に投与する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項26】
投与が、MSの一つまたは複数の症状の消失または重症度の軽減をもたらす、請求項1記載の方法。
【請求項27】
MSの一つまたは複数の症状が、刺痛、しびれ、震え、平衡感覚障害、一つまたは複数の四肢の衰弱、視朦または複視、不明瞭言語、嚥下障害、麻痺、協調運動障害、認知困難、疲労、筋痙縮、眩暈感、呼吸障害、および痙攣からなる群より選択される、請求項26記載の方法。
【請求項28】
α‐フェトプロテイン(AFP)またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体、および患者の多発性硬化症を治療するために治療上有効な量の免疫調節作用物質を含む組成物。
【請求項29】
AFPまたはその生物学的に活性な断片が、ヒト組換えAFPである、請求項28記載の組成物。
【請求項30】
AFPまたはその生物学的に活性な断片が、グリコシル化されていない、請求項28記載の組成物。
【請求項31】
免疫調節作用物質が、タンパク質である、請求項28記載の組成物。
【請求項32】
タンパク質が、インターフェロンまたは酢酸グラチラマーである、請求項31記載の組成物。
【請求項33】
インターフェロンが、インターフェロン‐β‐1a、インターフェロン‐β‐1b、インターフェロン‐α、インターフェロン‐γ、インターフェロン‐τからなる群より選択される、請求項32記載の組成物。
【請求項34】
免疫調節作用物質が、抗体である、請求項28記載の組成物。
【請求項35】
抗体が、ナタリズマブ、ダクリズマブ、リツキシマブ、ABT-874、およびアレムツズマブからなる群より選択される、請求項34記載の組成物。
【請求項36】
免疫調節作用物質が、小分子である、請求項28記載の組成物。
【請求項37】
小分子が、BG12、フィンゴリモド、ミトキサントロン、ラキニモド、テリフルノミド、またはアトルバスタチンである、請求項36記載の組成物。
【請求項38】
静脈内投与、筋肉内投与、経口的投与、吸入による投与、非経口投与、腹腔内投与、動脈内投与、経皮投与、舌下投与、経鼻投与、座薬としての投与、頬投与、リポソームによる投与、脂肪内投与、眼内投与、皮下投与、髄腔内投与、外用投与、または、局所投与用に製剤化されている、請求項28記載の組成物。
【請求項39】
疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)、コルチコステロイド、または非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の一つまたは複数をさらに含む、請求項28記載の組成物。
【請求項40】
以下を含むキット:
(i)治療上有効な量のα‐フェトプロテイン(AFP)またはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体;
(ii)治療上有効な量の免疫調節作用物質;ならびに
(iii)前記AFPまたはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体、および前記免疫調節作用物質を多発性硬化症の患者に投与するための指示書。
【請求項41】
AFPまたはその生物学的に活性な断片が、ヒト組換えAFPである、請求項40記載のキット。
【請求項42】
AFPまたはその生物学的に活性な断片が、グリコシル化されていない、請求項40記載のキット。
【請求項43】
免疫調節作用物質が、タンパク質である、請求項40記載のキット。
【請求項44】
タンパク質が、インターフェロンまたは酢酸グラチラマーである、請求項43記載のキット。
【請求項45】
インターフェロンが、インターフェロン‐β‐1a、インターフェロン‐β‐1b、インターフェロン‐α、インターフェロン‐γ、インターフェロン‐τからなる群より選択される、請求項44記載のキット。
【請求項46】
免疫調節作用物質が、抗体である、請求項40記載のキット。
【請求項47】
抗体が、ナタリズマブ、ダクリズマブ、リツキシマブ、ABT-874、およびアレムツズマブからなる群より選択される、請求項46記載のキット。
【請求項48】
免疫調節作用物質が、小分子である、請求項40記載のキット。
【請求項49】
小分子が、BG12、フィンゴリモド、ミトキサントロン、ラキニモド、テリフルノミド、またはアトルバスタチンである、請求項48記載のキット。
【請求項50】
AFPもしくはその生物学的に活性な断片、誘導体、もしくは類似体、および/または免疫調節作用物質が、静脈内投与、筋肉内投与、経口的投与、吸入による投与、非経口投与、腹腔内投与、動脈内投与、経皮投与、舌下投与、経鼻投与、座薬としての投与、頬投与、リポソームによる投与、脂肪内投与、眼内投与、皮下投与、髄腔内投与、外用投与、または局所投与用に製剤化されている、請求項40記載のキット。
【請求項51】
AFPおよび免疫調節作用物質が、二つの異なる投与経路用に製剤化されている、請求項50記載のキット。
【請求項52】
AFPおよび免疫調節作用物質が、同じ投与経路用に製剤化されている、請求項50記載のキット。
【請求項53】
疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)、コルチコステロイド、または非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の一つまたは複数をさらに含む、請求項40記載のキット。
【請求項54】
以下を含むキット:
(i)請求項28記載の組成物;および
(ii)前記組成物を多発性硬化症(MS)の患者に投与するための指示書。
【請求項55】
組成物が、静脈内投与、筋肉内投与、経口投与、吸入による投与、非経口投与、腹腔内投与、動脈内投与、経皮投与、舌下投与、経鼻投与、座薬としての投与、頬投与、リポソームによる投与、脂肪内投与、眼内投与、皮下投与、髄腔内投与、外用投与、または局所投与用に製剤化されている、請求項54記載のキット。
【請求項56】
疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)、コルチコステロイド、または非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の一つまたは複数をさらに含む、請求項54記載のキット。

【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図5−5】
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【図5−6】
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【図5−7】
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【図5−8】
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【図5−9】
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【図5−10】
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【図5−11】
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【公表番号】特表2010−513518(P2010−513518A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542914(P2009−542914)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/026015
【国際公開番号】WO2008/079270
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(508044829)メリマック ファーマシューティカルズ インコーポレーティッド (8)
【Fターム(参考)】