説明

多軸ロボット用の関節構造体およびこのような関節構造体を備えたロボット

【課題】3自由度を有する多関節型ロボットにおいて、小さなイナーシャとなるアーム関節構造を提案すること。
【解決手段】第一軸線Zおよび第二軸線Zに対して垂直な軸線X14,X24のいずれかを中心にしてプレート123,124に対して第一連接棒121の枢着部を制御している第三電動アクチュエータ23を備えている関節構造体において、第三アクチュエータ23が基部10上に、もしくはアーム11上に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも3自由度を有する多軸ロボット用の関節構造体に関しており、さらにこのような関節構造体を備えたロボットにも関する。
【背景技術】
【0002】
多軸ロボットの分野において、平面に接近した軌道に沿って部品を迅速に扱うことが時には必要である。このことは例えばコンベアベルト上で動いており、かつ部品を把持し、かつ部材を条件づける平面内にその部品を位置決めする際に適用される。スカラータイプのロボットは、水平平面内で動作するのに適している。これらのロボットにとって、垂直平面内で動作を行うことができることも時には必要である。このようなロボットにおいて、垂直動作は工具の近くに、すなわち通常ロボットアームと呼ばれる関節構造の端部に設けられたボールネジ機構によって実現されるのが一般的である。これにより関節構造のためのイナーシャの大量の上昇が得られ、これにより工具が移動できる速度が限定される。したがって、ボールネジ機構の大きさは、一定の使用条件の下で障害となることがある。
【0003】
特許文献1は、関節構造を開示しており、この関節構造において、前側アームは連接棒間でヒンジ接続された二つの連接棒を有する二つのプレートを備え、平行四辺形構造を形成しており、したがって工具は前側アームに取付けられたアクチュエータを使用して垂直に動かすことができる。モータにより前側アームのイナーシャは増大し、それにより工具を動かすことができる速度は規定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭59−146774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、3自由度を有し、かつ高速動作に適合するのに十分小さいイナーシャを提供する多軸ロボット用の斬新な関節構造を提案することにより、従来の欠点を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的で、本発明は少なくとも3自由度を有する多軸ロボット用の関節構造体に関しており、この構造体は、
・固定された基部を備えており、
・第一軸線を中心に前記基部に対してヒンジ接続されたアームを備えており、
・第一軸線に対して平行な第二軸線を中心にして前記アームに対してヒンジ接続された前側アームを備え、この前側アームが変形可能な平行四辺形構造体を形成しており、かつ第一軸線と第二軸線に対して垂直な各軸線を中心にして二つのプレートに対してヒンジ接続された第一連接棒と第二連接棒を備えており、
・第一軸線を中心にして前記前側アームの枢着部を制御している第一電動アクチュエータを備えており、
・第二軸線を中心にして前側アーム枢着部を制御している第二電動アクチュエータを備えており、
そして
・第一軸線および第二軸線に対して垂直な軸線のどれかを中心にしてプレートに対して第一連接棒の枢着を制御している第三電動アクチュエータを備えている。
この構造体は第三アクチュエータが基部上にもしくはアーム上に取り付けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明により、前側アームが第二軸線を中心にして枢着運動を行う際に、第三アクチュエータを動かす必要が無い限り、前側アームのイナーシャは従来技術の装置と比べて著しく減る。これにより、工具を担持する関節構造のための高い動作速度が達せられる。
【0008】
有利であるが必要不可欠ではない本発明の側面によれば、このような構造は、技術的に可能ないずれかの組合せにおいて取入れられる一つもしくはそれ以上の以下の特徴を採用している。
・第三アクチュエータは回転アクチュエータであり、その出力シャフトは第一軸線に平行な軸線上で調芯されている。
・第三アクチュエータと連接棒の間で動作を伝達するための手段は、少なくとも一つのベルトと90°角度伝達機構を備えている。角度伝達機構は、はす歯か、曲がり歯かさ歯か、ハイポイドか、あるいはCYLKRO(登録商標)タイプのギア対を備えているかあるいはホイールとウォームネジを有する機構を備えている。
・特定の実施例において第三アクチュエータはアームに取付けられている。
・その他の実施例において、少なくとも第一および第三アクチュエータは基部上に取付けられている。このような状況の下では、第三アクチュエータは回転タイプであるのが有利であり、出力シャフトの回転軸線は第一回転軸線と調芯されている。さらに、第一および第三アクチュエータは回転タイプであり、各々のアクチュエータの出力シャフトの回転軸線は、調芯されている。
・前側アームの二つの連接棒の一つは他の連接棒を取囲む箱を形成する。
・構造体は第一および第二軸線に対して平行な軸線を中心にして工具担持クランプの枢着を制御している第四アクチュエータを備えている。このような状況の下において、第一連接棒は、第三アクチュエータにより生じる動作を伝達するための手段により、第一および第二軸線に対して垂直な軸線の1つを中心にして速く回転し、第二連接棒はプレートに対する連接棒の枢着動作において第一連接棒に追従し、第四アクチュエータはアームにヒンジ接続された前側アームプレートに取付けられており、工具担持クランプは他のプレートにより支持されており、第二連接棒は第四アクチュエータにより生じた動作を工具担持クランプに伝達する。
【0009】
更に本発明は、上記のような関節構造を備えた多軸ロボットを提供する。このようなロボットは従来技術におけるロボットと比べて高速で作動することができる。さらに、動作の際の質量が小さくなったのでロボットの寿命が延びる。
【0010】
本発明は良好に理解でき、他の長所は後述する関節構造の四つの実施例に照合して明瞭となり、そのために使用する多軸ロボットは具体例を介して与えられかつ添付の図を参照するものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一実施例による多軸ロボットの関節構造の斜視図である。
【図2】直線的な外形における図1の構造の長手方向断面図である。
【図3】図2のIII−IIIで切断した縮尺を拡大した断面図である。
【図4】本発明の第二実施例による構造用の、図1に類似した図である。
【図5】図2に類似しているが図4の構造に関する長手方向断面図である。
【図6】本発明の第三実施例による構造体に関する図1に類似の外観図である。
【図7】図2に類似しているが図6の構造のための長手方向断面図である。
【図8】図6および7の上側アームと前側アームの一部の平面図であり、VII−VII線は図7の断面平面を規定している。
【図9】図7のIX−IX線における拡大断面図である。
【図10】本発明の第四実施例による構造体のための、図1に類似しておりかつ縮小された図である。
【図11】図10の構造体のための図2に類似した長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
図1〜3で見てわかる構造体1は、電気制御ユニット、ケーブルの束、および/または圧力のかかった状態でガスを供給するための導管の束、そして図を見やすくするために図示していない他の装備品も備えた多軸ロボットの一部を形成している。同様に、これらの部材は他の実施例のロボット用には示していない。
【0013】
構造体1は様々な位置に工具2を移動させるためにあり、この工具は図1においてのみ一点鎖線で概略的に示してあり、工具は水平面内において延びているだけでなく、この水平面に対して垂直にも延びている軌道に沿って動く。実施例において工具2は担持工具であてもよい。
【0014】
構造体1は基部10を備えており、この基部は構造体1が取付けられている構内に対して固定されている。この基部は垂直軸線Zを中心にしてアーム11をヒンジ接続するためのU字形金具を形成している。
【0015】
基部10には第一アクチュエータ21が取付けられており、この第一アクチュエータは
軸線Z上で一直線になっている出口シャフト211を備えた回転式電気ギアモータにより構成されており、かつアーム19と回転するように固定されている。第一アクチュエータ21は軸線Zを中心に回転するアーム11を駆動する。
【0016】
アーム11は前側アーム12を支持しており、この前側アームは軸線Zに対して平行な、従って図示した実施例では垂直な軸線Zを中心にしてアーム11に対してヒンジ接続されている。
【0017】
前側アーム12はメイン連接棒と121と呼ばれる第一連接棒と、第二あるいは従動連接棒122と呼ばれる第二連接棒を備えており、これらの連接棒は前側アーム11の一部を形成しているプレート123から互いに平行に延びており、かつ基部10から最も遠くにあるアーム11の端部111に取付けられている。さらに前側アーム12は第二プレート124を備えており、この第二プレートはそれを介して工具2を取付けることができる工具担持クランプ13を支持している。第二プレート124は収容円筒体を形成しており、この収容円筒体において、工具担持クランプ13は軸線ZおよびZに平行な軸線Zを中心に枢着するように取付けられており、かつ工具担持クランプ13の中心軸線を構成している。
【0018】
13とX23は各々、プレート123に対して連接棒121および122のヒンジ軸を特定するために使用されている。X14とX24は各々、プレート124に対する連接棒121および122のヒンジ軸である。軸線X13,X23,X14,X24は、軸線ZとZに対して垂直であり、かつ図2の平面では変形可能な平行四辺形を規定している。従って、連接棒121と122およびプレート123と124は、ヒンジ接続されたもしくは変形可能な平行四辺形の形状の前側アーム構造体を形成しており、故に図2の両端矢印Fで示したようにクランプ13の高さは変化することができる一方で、クランプ13の中央軸線Zの向きは一定に保たれる。
【0019】
プレート123は軸線Zを中心に回るための自由度を備えたアーム11の端部111に取付けられている。構造体1が組立てられた状態であると、プレート123は軸線Zを中心とした管状である。プレート123は栽頭円錐形部127により互いに接続されている、直径が異なる二つの部分125と126を備えている。
【0020】
端部111に向かって、アーム11は軸線Zを中心にしたスリーブ112を形成している。プレート123の部分125は、スリーブ112の部分の周囲に配置されており、軸受141と142は、前記プレートの部分と前記スリーブの間に挿入されており、それによりプレート123はスリーブ122と軸線Zを中心に回転することができる。
【0021】
さらにプーリ15の中心棒151はスリーブ112の内側に配置されており、かつ軸線Z2上に並べられており、二つのボール軸受143と144は、前記中心棒と前記スリーブの間に挿入されている。
【0022】
第二アクチュエータ22はプレート10に配置されている。第二アクチュエータ22の出口シャフト221は、水平軸線Z22に沿って延びており、かつ挿入された球軸受145を備えた基部10上で自由に回転するように取付けられているプーリ162の有歯環状部分161と係合する歯車形状端部を有している。出口シャフト221とプーリ162は協働して90°の伝達機構を形成している。プーリ162の回転軸線Z162は図示した実施例では軸線Zに一致している。
【0023】
プーリ162はベルト163を駆動して回動させ、このベルトはプレート123の部分125の一部の周囲を通過する。従って、アクチュエータ22により発生し、かつ部材221,161,162および163を介して伝達される推進力によって、軸線Zを中心にプレート123を回転させることができる。言い換えれば、アクチュエータ22は軸線Zを中心に前側アーム12の旋回を制御する。
【0024】
第三アクチュエータ23はアーム11に取付けられており、第三アクチュエータの出口シャフト231はプーリ15の頭部の周囲を通過するベルト164を駆動する。プーリヘッド115から間隔をおいたその端部において、中心棒151は連接棒121に固定された有歯領域128と係合する歯車153を担持している。部材153と128により歯車対は、90°の角度伝達部を構成しており、この角度伝達により軸線軸線Zを中心にしたプーリ15の回転運動を、軸線X13を中心にした連接棒121の旋回運動に変換することができる。
【0025】
部分158と128の間で形成されている歯車部分は、CYLKRO(登録商標)の名称で知られたタイプであり、このCYLKROはインボリュート歯切り部と補足的歯を備えたホイール部分を有する通常の歯車で構成されている。このような歯車対は、回転軸線Zに沿った歯車153の位置が正確に設定される必要が無いので、調節するのに容易である長所を備えている。別のタイプの90°歯車対が中心棒151と連接棒121の間に使用されていてもよい。
【0026】
バネ171はプレート123の部分126の取付けられており、かつ主連接棒121に固定された留め釘(peg)を支承しており、この留め釘には復元力Eが作用しており、これによりプレート124は上がり易くなる。従って、バネ171は図2の上向き方向でのプレート124の運動を助けるための手段としてみなすことができる。軸線ZとZが垂直であると図示したように、バネ171は工具2の重量を相殺するための手段を構成している。
【0027】
図3でさらに明瞭にわかるように、軸線X13に沿って延びている軸181は、プレート123に対して連接棒121をヒンジ接続している手段を構成している。バネ171は軸181の周囲に取付けられている。軸線X23に沿って延びている留め釘182と183は、プレート123に対して連接棒122をヒンジ接続するための手段を構成している。同じタイプの軸が、連接部121および122とプレート124の間のヒンジを構成するために使用されている。
【0028】
連接棒121は図2で明らかに見てとれるほぼ垂直なウェブを備えている。連接棒122は図1と3で見て取れる二つの垂直壁122Aと122Bを備えかつ軸線X23を中心にして連接棒122を枢着する機能として変化し、かつ図2において明白な向きの壁122Cと122Dを備えた長方形横断面の箱型梁部材の形状をしている。
【0029】
第三アクチュエータ23は、図2の両向き矢印FとFで示したように、その重さが前側アーム12とクランプ13の動きを妨げないように、アーム11により支持された重さを有する電動ギアモータであり、これは工具2のための高い移動速度を達するためには特に有利である。
【0030】
アクチュエータ21,22および23の出力シャフト211,221および231の軸線Z21,Z22およびZ23は、軸線ZとZに対して垂直でありかつ平行である。軸線ZとZ21は一致している。
【0031】
アクチュエータ23と連接棒121の間の関係から、プーリ162と90°動力伝達装置を用いることにより、クランプ13を垂直に動かす場合に、前側アーム12を駆動するための低イナーシャを提供する低重量材料を使用することができる。出力シャフト231と連接棒121の間の減速比は30〜100である。
【0032】
これに類似して、プーリ162と15およびベルト163による関係から、軽量材料により、軸線Zを中心に枢着した状態で前側アーム12を駆動するための、使用されるべき低イナーシャを提供することができる。
【0033】
第四アクチュエータ24はプレート124に取付けられており、その出力シャフト24はクランプ13の有歯環状面131と係合する歯車を形成しており、それによってクランプ13とこのクランプが担持する工具2を、軸線Zを中心にして回転駆動することができる。
【0034】
カバー191と192が取付けられており、一方はアクチュエータ21と22を保護するために基部10に、他方はベルト164とプーリ15の頭部152を保護するためにアーム15に取付けられている。
【0035】
図4〜11に示したような本発明の第二〜第四実施例において、第一実施例の部材と類似した部材は同じ符号が与えられている。
【0036】
第二実施例において、関節構造1は基部10、アーム11および前側アーム12を備えており、前側アームそれ自体は主たる第一連接棒121、第二連接棒122および変形可能な平行四辺形構造を形成している二つのプレート123と124により構成されている。二つのアクチュエータ21と22は、アーム11が垂直軸線Zを中心に枢着するように、かつ前側アーム12が軸線Zに対して平行な垂直軸線Zを中心に枢着するように、各々基部10に取付けられている。
【0037】
この目的で、アクチュエータ21の出力シャフト211はアーム11に係合しているが、アクチュエータ22の出力シャフト221は歯車の形状をしており、かつプーリ162の有歯部分161と係合している。従って部材221と162は90°の伝達機構組立を形成しており、プーリ162は駆動されて軸線Zと調整して軸線Z162を中心にして回転する。このプーリはそれ自体、前側アーム12のプレート123の回転を駆動するベルト163を駆動しており、このプレートは前側アームをアーム11の端部111に固定する。
【0038】
第三アクチュエータ23は基部10に取付けられており、かつ第一実施例におけるように、両方向矢印Fで示したようにプレート124を垂直に動かすための前側アーム12のその動作を駆動するのに役立つ。
【0039】
第三アクチュエータ23はプーリ162の中央に取付けられており、このプーリは玉軸受145を介して基部10のより支持されている。第三アクチュエータ23は基部10に対して固定状態で取付けられており、これは第三アクチュエータとプーリ162の間の半径方向の間隙により可能となっている。
【0040】
第三アクチュエータ23の出力シャフト231は第一実施例のように、プーリ15の頭部152を取囲むベルト164に係合する。このプーリ頭部152は端部軸受でもって棒体151に固定されており、ウォームネジ154はメイン連接棒121に固定された扇形歯車129に係合している。
【0041】
前述のように、符号X13、X14、X23およびX24はプレート123と124に対して連接棒121と122のヒンジ軸線を示している。軸線X13、X14、X23およびX24は、軸線ZおよびZに対して垂直である。
【0042】
第三アクチュエータ23は基部10により支持されているので、そのイナーシャは軸線Zを中心にしたアーム11と12により構成された組立体の動きを低下させない。
【0043】
出力シャフト231の中心軸線Z23は出力シャフト211の中心軸線Z21と調芯されており、この軸線は軸線Zに一致する。このような配列により構造体1は極めてコンパクトになる一方、アーム11と前側アーム12は迅速かつ正確に駆動することができる。特に軸線Z23、Z162およびZが一致している事実により、軸線Z23、Z162およびZの間の間隔が一定であることが保証され、それによりベルト163と164の張力は確実に一定となる。
【0044】
第一実施例のように、プレート124は第四アクチュエータ24を担持している。その出力シャフト241は、軸線ZとZに対して平行な軸線Zを中心にしたクランプ13の回転を駆動するために、クランプ13の歯部131の環状セットと係合している。
【0045】
図6〜9に示したような第三実施例に関して、記述は第二実施例に対する相違点のみに関する。前側アーム12は副次的な第二連接棒122を備えたハウジングの形状の主たる第一連接棒121により構成されている。第一連接棒121はプレート123の一部を形成しているスリーブ221を中心とした玉軸受146を介してヒンジ接続されている。この第一連接棒121はシャフト222に固定されており、このシャフトから第一実施例と同じタイプの扇形歯輪128が延びており、第一実施例と同タイプのようにして歯車153に係合しており、それにより第一連接棒121は、アーム11に対して前側アーム12の垂直なヒンジ軸線Zに垂直な軸線X13を中心に回転するために駆動することができる。
【0046】
補助プレート223と224は主たる第一連接棒121に形成されたスロット225を通過するペグ226を介してプレート123と124に対して各々固定されている。補助プレート223と224は、軸線X23とX24を中心に第二連接棒122のヒンジを支持する。従って軸線X13とX23は、プレート124を基準とした軸線X14とX24のようにプレート123を基準にして互いに固定されたままである。
【0047】
第一連接棒121が第二連接棒122を取囲んでいる事実は、前側アーム12のサイズ全体に影響を与えることなく、安全に関して明らかな長所を提供する。
【0048】
第四アクチュエータ24は、出力シャフト241の回転軸線Z24を備えたプレート124により支持されており、この回転軸線は前側アーム12とアーム11の間のヒンジ軸線Zに対して、かつ工具担持クランプの回転軸線Zに対して平行である。出力シャフト241はベルト165により工具担持クランプ13に接続している。
【0049】
第四実施例の記述は第二実施例に対する相違点のみに関する。
【0050】
この実施例において、構造体1の終端部分のイナーシャ、すなわちクランプ13を担持している部分は、さらに第四アクチュエータ24が前側アーム12のプレート123に取付けられている事実により低減され、それにより前側アームはアーム11に接続している。
【0051】
主たる第一連接棒121は、第二および第三アクチュエータにより各々駆動されるベルト163と164により、かつ歯車153と扇形歯車128を備えたかさ歯車による角度伝達機構により、第二実施例と似た方法でプレート123に対してかつ軸線X13を中心にして回転させるために駆動される。
【0052】
アクチュエータ24の出力シャフト241は、二次的なあるいは補助的な第二連接棒122第一端部122Eに(図示していない)スパイダを介して接続した二叉状部材に係合している。第二連接棒の第二端部122F、すなわち第一端部から離れた端部は、(図示していない)別のスパイダを介して歯車244に固定された第二二叉状部材243に接続しており、この第二二叉状部材は前側アーム12とアーム11の間のヒンジ軸線Zに対して平行な垂直軸線Zを中心にしてクランプを回転駆動するために、クランプ13の有歯面131に係合する。
【0053】
二叉状部材242および243と連接棒122の間の接続部内のスパイダにより、軸線X23とX24を規定することができる。軸線X13とX14は上記実施例におけるようにシャフトもしくは留め釘により規定されている。
【0054】
この実施例において、第二連接棒122は二つの機能を果たす。二つの機能とは、前側アームを構成している変形可能な平行四辺形の第二連接棒を構成することと、第四アクチュエータ24から工具担持クランプ13まで矢印F3で示した回転運動を伝達することである。
【0055】
部材122,242および243の間の接続部は、カルダン継手対とみなしてもよい。
【0056】
そうでなければ、第三および第四実施例は第二実施例と同じ様式で作動する。特に三つのアクチュエータ21,22および23は、基部10に取付けられており、垂直軸線Zを中心にアーム11を駆動し、かつ垂直軸線Zを中心にしてさらに軸線X13とX23を中心に垂直方向に枢着した状態で前側アーム12を駆動する。前側アーム12は変形可能な平行四辺形構造を提供する。アクチュエータ22の出力シャフト221に取付けられた歯車と、部分162の有歯部分161と、ベルト163および164は、各々軸線Zを中心に第二アクチュエータからプレート123まで、かつ90°角度伝達機構153/128を介して第三アクチュエータ213第一連接棒121まで回転運動を伝達する働きをする。
【0057】
記載された実施例において、アクチュエータ21〜24は回転電動ギアモータにより形成されている。本発明の目的として、ギアモータは独自のギア部材に必ずしも取付けられておらず、この場合ギアモータは1に等しい減速比を示す。
【0058】
実施例全てにおいて、アクチュエータ23が主として軸線X13を中心にした枢着を制御するのに役立つという意味では中心である。この枢着により第二連接棒122の枢着は減り、したがってこの動作のための従動部を構成する。したがって、高さ方向での前側アーム12の枢着は、第一連接棒121に関してはプーリ15を介してアクチュエータ23により直接制御されており、第二連接棒122に関しては連接棒121とプレート123および124を介して間接的に制御されている。
【0059】
図示してはいないが実施例すべてに当てはまる本発明の変形において、第二アクチュエータ22は、プーリ162の回転軸に対して平行な出力シャフトの回転軸と共に基部に取付けられていてもよい。ベルトは前記アクチュエータと前記プーリの間の動作を伝達するために使用されている。このような状況下で、第二アクチュエータ22は二本のベルトと中間プーリを用いて軸線Zを中心とした前側アーム12の回転を制御する。
【0060】
上記の実施例の技術的特徴は、本発明の範囲内において互いに組合せられてもよい。
【0061】
本発明の範囲内において、前側アームのメイン連接棒121のを駆動するのに使用される角度伝達機構は、はす歯か、曲がり歯かさ歯か、ハイポイドか、あるいはCYLKROタイプのギア対を備えている。ハイポイドギア対において、歯車と有歯輪の回転軸は交差しない。先に述べたようにウォーム歯車機構を使うことも可能である。
【0062】
検討中の実施例が何であろうと、本発明の構造により、ロボットの全体サイズ、すなわちロボットの動作部分によりえがかれる包絡線は垂直方向では小さくなることができる一方で、振幅が有義である水平および垂直方向の動作が可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3自由度を有する多軸ロボット用の関節構造体であって、この構造体が、
・固定された基部(10)を備えており、
・第一軸線(Z)を中心に前記基部に対してヒンジ接続されたアーム(11)を備えており、
・第一軸線に対して平行な第二軸線(Z)を中心にして前記アームに対してヒンジ接続された前側アーム(12)を備え、この前側アームが変形可能な平行四辺形構造体を形成しており、かつ第一軸線と第二軸線に対して垂直な各軸線(X13,X14,X23,X24)を中心にして二つのプレート(123,124)に対してヒンジ接続された第一連接棒(121)と第二連接棒(122)を備えており、
・第一軸線(Z)を中心にして前記前側アーム(11)の枢着部を制御している第一電動アクチュエータ(21)を備えており、
・第二軸線(Z)を中心にして前側アーム(12)枢着部を制御している第二電動アクチュエータ(22)を備えており、
そして
・第一軸線および第二軸線(Z,Z)に対して垂直な軸線(X14,X24)のいずれかを中心にしてプレート(123,124)に対して第一連接棒(121)の枢着部を制御している第三電動アクチュエータ(23)を備えている関節構造体において、
第三アクチュエータ(23)が基部(10)上にもしくはアーム(11)上に取り付けられていることを特徴とする関節構造体。
【請求項2】
第三電動アクチュエータ(23)が回転アクチュエータであり、その出力シャフト(231)が前記第一軸線(Z)に対して平行な軸線(Z23)上で調芯されていることを特徴とする請求項1記載の関節構造体。
【請求項3】
第三電動アクチュエータ(23)と両連接棒の間で動作を伝達するための手段が、少なくとも1つのベルト(164)と90°角度伝達機構(153/128,154/129)を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の関節構造体。
【請求項4】
角度伝達機構が、はす歯、曲がり歯かさ歯、ハイポイド、あるいはCYLKROタイプのギア対(153/128)を備えているか、もしくはホイールとウォームネジを有する機構(154/129)を備えていることを特徴とする請求項3記載の関節構造体。
【請求項5】
前記第三電動アクチュエータ(23)がアーム(11)上に取付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の関節構造体。
【請求項6】
少なくとも第一電動アクチュエータおよび第三電動アクチュエータ(21,23)が基部(10)上に取付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の関節構造体。
【請求項7】
前記第三電動アクチュエータ(23)が回転タイプであり、その出力シャフト(231)の回転軸線(Z23)が前記第一軸線(Z)と調芯されていることを特徴とする請求項6記載の関節構造体。
【請求項8】
第一電動アクチュエータおよび第三電動アクチュエータ(21,23)が回転タイプであり、前記両アクチュエータの各出力シャフト(211,231)の回転軸線(Z21,Z23)が調芯されていることを特徴とする請求項6または7に記載の関節構造体。
【請求項9】
前側アーム(12)の二つの連接棒(121,122)の一つ(121)が他の連接棒(122)を取囲む箱を形成していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の関節構造体。
【請求項10】
構造体が第一および第二軸線(Z,Z)に対して平行な軸線(Z)を中心にして工具担持体クランプ(13)の枢着部を制御している第四アクチュエータ(24)を備えていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の関節構造体。
【請求項11】
前記第一連接棒(121)が前記第三アクチュエータ(23)により生じる動作を伝達するための手段(128)により、第一軸線および第二軸線(Z,Z)に対して垂直な軸線(X13,X14,X23,X24)の1つ(X13)を中心にして回転が速いこと、
前記第二連接棒(122)が前記プレート(123,124)に対して連接棒の枢着動作(F)において前記第一連接棒に追従すること、
前記第四アクチュエータ(24)が前記アーム(11)にヒンジ接続された前側アームのプレート(123)上に取付けられていること、
前記工具担持体クランプ(13)が他のプレート(124)により支持されていること、および
前記第二連接棒(122)が前記第四アクチュエータ(24)により生じる動作(F)を前記工具担持体クランプ(13)に伝達していることを特徴とする請求項10記載の関節構造体。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一つに記載の関節構造体(1)を備えていることを特徴とする多軸ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−115776(P2010−115776A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−238122(P2009−238122)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(591023572)シュトイブリー・ファベルゲ (31)
【Fターム(参考)】