説明

太陽光装置

【課題】本発明は、コスト削減と設置及びメンテナンスなどを効率的に行うことができる太陽光装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の太陽光装置は、太陽エネルギーを吸収して電気エネルギーに変換する太陽光モジュールと、太陽光モジュールから出力された入力電圧を検出し、検出された入力電圧を通じて最大電力点に対応する直流電圧を出力する直流コンバータと、直流コンバータで検出した入力電圧及び最大電力点に対応する直流電圧を含むデータを伝送するインターフェース部と、インターフェース部から受信したデータに太陽光モジュールに対するデータを結合して伝送するデータ結合器と、データ結合器から受信したデータから直流電圧オフセットを除去するデータ合成器と、直流電圧オフセットが除去されたデータを用いて最大電力点を追跡するデータ制御器と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、天然資源の枯渇と火力及び原子力発電に対する環境や安定性などの問題から、環境にやさしい代表的なグリーンエネルギーである太陽光及び風力に対する研究が活発に行われている。特に太陽光発電は無限でクリーンエネルギーという観点から非常に脚光を浴びており、車両、玩具、住居用発電及び街灯などに限らず、系統線(電力線)と遠く離れている無人灯台、時計塔、通信装置などに非常に多様に活用されている。
【0003】
ところが、太陽エネルギーを電力に変換させる太陽電池の変換効率は略10%程度に留まっている。よって、太陽エネルギーをどのように効率的に取得できるのかが当面の課題である。
【0004】
太陽電池(solar cell)は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するものとして、電圧源または電流源とは言えない特殊な電源である。一般的な線形電圧源(linear voltage source)を用いる場合は、負荷条件にかかわらず所望の動作条件を得ることができる。
【0005】
太陽電池は代表的な非線形ソースであるので、太陽電池から生成する電力は、負荷条件や日照量或は周囲温度によってその大きさが変化する特徴を有している。
【0006】
従って、太陽電池から最も大きい有効電力を得ることができる最大電力点(Maximum Power Point:MPP)を追跡(Tracking)して固定させる技術が必要であった。
【0007】
しかし、従来の無線通信を利用した太陽光(発電)装置は無線通信装置及び中継機を必要とするので、コスト上昇だけでなく設置環境が制約されることも多い。また、有線通信を利用した太陽光装置は通信専用ケーブル線を必要とするので、コスト上昇、設置、メンテナンスが困難であるという短所がある。
【0008】
また、従来の最大電力追跡制御装置は、入力と出力に対するそれぞれの電流値及び電圧値の検出器が必要であり、複数のアナログ/デジタルコンバータが必要となるなど多くの部品が使われ、コスト上昇の主な原因となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、太陽光(太陽電池)モジュールから直流/交流コンバータ、または直流コンバータから直流/交流コンバータの間に設置された直流ケーブル線を介してデータを送受信して、コスト削減と設置及びメンテナンスなどを効率的に行うことができる太陽光装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例に係る太陽光装置は、太陽エネルギーを吸収して電気エネルギーに変換する太陽光モジュールと、太陽光モジュールから出力された入力電圧を検出し、検出された入力電圧を通じて最大電力点に対応する直流電圧を出力する直流コンバータと、直流コンバータで検出した入力電圧及び最大電力点に対応する直流電圧を含むデータを伝送するインターフェース部と、インターフェース部から受信したデータに太陽光モジュールに対するデータを結合して伝送するデータ結合器と、データ結合器から受信したデータから直流電圧オフセットを除去するデータ合成器と、直流電圧オフセットが除去されたデータを用いて最大電力点を追跡するデータ制御器と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、直流ケーブル線を利用して直流コンバータの最大電力点の追跡を簡単且つ効率的に行うことができる。また、直流コンバータの構成を単純化して、安価な太陽光装置を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例に係る太陽光装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施例に係る太陽光装置の構成図である。
【図3】本発明の他の実施例に係る直流コンバータのブロック図である。
【図4】本発明の他の実施例に係る太陽光装置の構成図である。
【図5】本発明の他の実施例に係る直流コンバータのブロック図である。
【図6a】本発明の一実施例に係るデータ結合器の多様な実施例である。
【図6b】本発明の一実施例に係るデータ結合器の多様な実施例である。
【図6c】本発明の一実施例に係るデータ結合器の多様な実施例である。
【図6d】本発明の一実施例に係るデータ結合器の多様な実施例である。
【図7】本発明の一実施例に係るデータ制御器の構成図である。
【図8】本発明の一実施例に係る各太陽光モジュールに対する情報が、データ結合器によって直流ケーブル線を介して伝達される方式を示す図である。
【図9】本発明の他の実施例に係る太陽光装置の動作推移を示す図である。
【図10】本発明の他の実施例に係る太陽光装置の動作推移を示す図である。
【図11】本発明の他の実施例に係る太陽光装置の動作推移を示す図である。
【図12】本発明の一実施例に係る太陽光モジュールをバッテリーセルに代替した太陽光装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付された図面を参照しながら、本発明の好ましい実施例を詳しく説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施例に係る太陽光(発電)装置の構成図である。図1に示すように、太陽光装置は太陽光モジュール10、直流コンバータ20、無線通信部(RF)30、中継機40、直流/交流コンバータ50を含む。一実施例で、太陽光装置は、構成要素が直列に連結され、直列に連結された太陽光装置は並列に複数個のアレイを構成することができる。
【0015】
一実施例では、太陽光モジュール10は太陽エネルギーを吸収するためのモジュールとして太陽電池からなることができる。一実施例では、太陽光モジュール10はシリコンで構成されたウェハからなることができる。
【0016】
各太陽光モジュール10は、各太陽光装置の日照条件や温度条件に応じてその位置を変えることができる。一実施例では、太陽光モジュール10はP型半導体とN型半導体を接合させた形態で構成することができる。光が太陽光モジュール10に照射されると、光が有しているエネルギーにより太陽光モジュール10に正孔(Hole)と電子(Electron)が発生し、この時正孔はP型半導体側に、電子はN型半導体側に集まることになり、これによって、電位差が発生し、電流が流れることになる。
【0017】
ここで、太陽光モジュール10は、光エネルギー(太陽エネルギー)を電気エネルギーに変えるモジュールとして、一般的な電気エネルギー源(代表的に電気-化学バッテリー、発電機)とは異なる電気的特性を有している。既存の電気エネルギーは、線形電圧源(Linear Voltage Source)の特性を有しているので、負荷端に線形や非線形の負荷がかかっても、常に一定電圧を維持しながら安定して動作し、一つの動作点しか有しないので、いかなる入出力条件でも常に安定したシステムで動作する。すなわち、線形電圧源を有する電気エネルギー源を用いる場合は、負荷条件にかかわらず所望の動作条件が得られるようになる。しかし、太陽光モジュール10は、既存の電気エネルギーとは異なる非線形ソース(Non Linear Source)の特性を有しているので、負荷端に線形や非線形の負荷がかかると、一定電圧を維持できず、複数の動作点を有することになるなど不安定に動作することになる。
【0018】
直流コンバータ20は、太陽光モジュール10から出力する最大電力点を追跡することができる。直流コンバータ20は、後述する入力検出器21及び出力検出器23を含むことができる。
【0019】
一実施例では、直流コンバータ20は、入力検出器21により検出された電圧または電流値と、出力検出器23により検出された電圧または電流値とを用いて、各太陽光モジュール10から最大の電力を出力する最大電力点を追跡することができる。直流コンバータ20の詳しい構成は後述する。
【0020】
無線通信部30は、各直流コンバータ20で測定した入力電圧、入力電流、出力電圧、出力電流及び入力電力、出力電力及び追跡された最大電力点に対する情報を中継機40に伝送する。
【0021】
中継機40は、各直流コンバータ20で測定した入力電圧、入力電流、出力電圧、出力電流及び入力電力、出力電力及び追跡された最大電力点に対する情報を無線通信部30から受信する。また、中継機40は、各太陽光モジュール10が有している情報、例えば、各太陽光モジュール10の識別番号(ID)、各太陽光モジュール10が受ける太陽光の強度(日射量)、太陽光モジュール10の温度(表面温度)に対する情報を受信することができる。
【0022】
中継機40は、情報をリアルタイムで監視し、各太陽光装置から最大電力を出力できない場合、最大電力点を追跡するように太陽光装置を制御することができる。
【0023】
直流/交流コンバータ50は、受信した直流電力を交流電流に変換して負荷に供給する。しかし、上記のように、無線通信を利用した太陽光装置は、別途の無線通信部30及び中継機40を必要とするので、コスト上昇だけでなく設置環境が制約されるという問題がある。
【0024】
図2は、本発明の他の実施例に係る太陽光装置の構成図である。図2に示すように、太陽光装置は太陽光モジュール10、直流コンバータ20、有線通信部60、直流/交流コンバータ50、データ制御器70を含む。
【0025】
太陽光モジュール10、直流コンバータ20及び直流/交流コンバータ50は、図1で説明したものと同一なので、詳しい説明は省略する。
【0026】
各有線通信部60は相互に有線で連結され、各直流コンバータ20で測定した入力電圧、入力電流、出力電圧、出力電流及び入力電力、出力電力及び追跡された最大電力点に対する情報をデータ制御器に伝送する。
【0027】
データ制御器70は、各直流コンバータ20で測定した入力電圧、入力電流、出力電圧、出力電流及び入力電力、出力電力及び追跡された最大電力点に対する情報を、各有線通信部60を介して受信する。また、データ制御器70は、各有線通信部60を介して各太陽光モジュール10が有している情報、例えば、各太陽光モジュール10の識別番号(ID)、各太陽光モジュール10が受ける太陽光の強度(日射量)、太陽光モジュール10の温度(表面温度)に対する情報を受信することができる。
【0028】
データ制御器70は、情報をリアルタイムで監視し、各太陽光装置から最大電力を出力できない場合、最大電力点を追跡するように太陽光装置を制御することができる。
【0029】
しかし、上記のように有線を利用した太陽光装置は、別途の通信専用ケーブル線を必要とするので、コスト上昇、設置及びメンテナンスが困難であるという問題がある。
【0030】
図3は、本発明の一実施例に係る直流コンバータのブロック図である。直流コンバータ20は、入力電圧検出器21a及び入力電流検出器21bを含む入力検出器21、出力電圧検出器23a及び出力電流検出器23bを含む出力検出器23、第1〜第4アナログ/デジタルコンバータ22a、22b、24a、24b、制御部25、最大電力追跡部26、スイッチドライバー27、スイッチング回路28を含む。
【0031】
入力電圧検出器21aは、太陽光モジュール10から出力されてスイッチング回路28に入力される電圧を検出する。入力電流検出器21bは、太陽光モジュール10から出力されてスイッチング回路28に入力される電流を検出する。第1アナログ/デジタルコンバータ22aは、スイッチング回路28に入力される入力電圧値をデジタル値に変換する。第2アナログ/デジタルコンバータ22bは、スイッチング回路28に入力される入力電流値をデジタル値に変換する。出力電圧検出器23aは、スイッチング回路28から出力する電圧を検出する。出力電流検出器23bは、スイッチング回路28から出力する電流を検出する。第3アナログ/デジタルコンバータ24aは、スイッチング回路28から出力する出力電圧値をデジタル値に変換する。第4アナログ/デジタルコンバータ24bは、スイッチング回路28から出力する出力電流値をデジタル値に変換する。最大電力追跡部26は、入力電源値と出力電源値を用いて、太陽光モジュール10が出力できる最大電力点を追跡する。
【0032】
スイッチング回路28は、太陽光モジュール10から負荷に入力される電源の大きさを変換することができる。一実施例で、スイッチング回路28は、トランジスター、例えばFET、MOSFETあるいはIGBTからなることができる。
【0033】
制御部25は、直流コンバータ20の全般的な動作を制御することができる。制御部25は、入力電圧値、入力電流値のいずれか1つを用いて、または、入力電圧値及び入力電圧を用いて、最大電力点を出力するようにする制御信号を生成して、最大電力追跡部26に伝送することができる。
【0034】
制御部25は、出力電圧値、出力電流値のいずれか1つを用いて、または、出力電圧値及び出力電圧を用いて、最大電力点を出力するようにする制御信号を生成して、最大電力追跡部26に伝送することができる。
【0035】
制御部25は、入力電源値及び出力電源値を用いて、最大電力点を出力するようにする制御信号を生成して、最大電力追跡部26に伝送することができる。
【0036】
制御部25は、最大電力追跡部26で追跡した最大電力値を出力するように、スイッチング回路28を制御することができる。スイッチング回路28は、制御部25の制御によって、太陽光モジュール10から負荷に入力される電圧値及び電流値の大きさを変換することができる。
【0037】
上記のように、直流コンバータ20は最大電力点を追跡するための構成を有するが、入力と出力に対する電流値及び電圧値に対する検出器を必要とするので、4個のアナログ/デジタルコンバータが要求されるなど、複雑で多くの構成品が使われて、コスト上昇の主な要因として作用する。
【0038】
また、図1〜図3に記載された太陽光装置では、各太陽光モジュール10と各直流コンバータ20で流れる電流は同一なので、各直流コンバータ20から電流を直接検出する方法は非効率的であり、電流検出には高価な方式が使われるので、全体として太陽光装置のコストを上昇させることになる。よって、全体の太陽光装置のコスト削減及び設置、メンテナンスを効率的にできる方案が必要である。
【0039】
図4は、本発明の他の実施例に係る太陽光装置の構成図である。図4に示すように各太陽光装置は、太陽光モジュール100、直流コンバータ200、インターフェース部300、データ結合器400、データ合成器500、データ制御器600、直流/交流コンバータ700を含むことができる。
【0040】
図4に示すように、各太陽光モジュールの構成要素は直列方式で連結され、各太陽光モジュール100は並列に連結されて一つのアレイを構成することができる。
【0041】
一実施例では、太陽光モジュール100は、太陽エネルギーを吸収するためのモジュールとして太陽電池からなることができる。一実施例では、太陽光モジュール100はシリコンで構成されたウェハからなることができる。各太陽光モジュール100は、各太陽光装置の日照条件や温度条件に応じてその位置を変えることができる。太陽光モジュール100は太陽エネルギーを電気エネルギーに変換して出力する。
【0042】
直流コンバータ200は、太陽光モジュール100の出力電圧及び直流コンバータ200の出力電圧を用いて、後述するデータ制御器600によって最大電力点による出力電圧を生成して出力する。ここで、最大電力点とは、太陽光モジュール100が負荷に供給できる最大電力値を意味する。
【0043】
図4に示すように、各太陽光モジュール100が出力する電圧値は、Vm1、Vm2、…、Vmnのように示しており、各太陽光モジュール100と直列連結された直流コンバータ200を介して最大電力を負荷に供給できるように電圧値を出力する。直流コンバータ200から出力する出力電圧値は、Vo1、Vo2、…、Vonのように示している。
【0044】
インターフェース部300は、直流コンバータ200で検出した入力電圧値及び追跡された最大電力点に対するデータを、直流コンバータ200からデジタル値として受信して、後述するデータ結合器400に伝送することができる。
【0045】
データ結合器400は、インターフェース部300から受信したデータに、太陽光モジュール100に対するデータを含ませて伝送する。
【0046】
データ合成器500は、各データ結合器400から受信したデータから直流電圧オフセットを除去し、直流電圧オフセットが除去されたデータをデータ制御器600に伝送する。
【0047】
データ制御器600は、直流電圧オフセットが除去されたデータを用いて最大電力点を検出することができる。最大電力点は、全体としての太陽光装置が負荷に最大電力を供給するための点として、特定電圧に対応する最大電力値を意味し、特定電流に対応する最大電力値を意味する。
【0048】
直流/交流コンバータ700は、最大電力点に該当する最大電力を交流形態に変換して負荷に提供する。
【0049】
図5は、本発明の一実施例に係る直流コンバータ200のブロック図である。図5に示すように、直流コンバータ200は、入力電圧検出器210、出力電圧検出器230、入力アナログ/デジタル変換部220、出力アナログ/デジタル変換部240、スイッチドライバー250、スイッチング回路260を含むことができる。
【0050】
入力電圧検出器210は、太陽光モジュール100から出力されてスイッチング回路260に入力される入力電圧を検出する。入力アナログ/デジタルコンバータ220は、検出された入力電圧をデジタル信号に変換する。出力電圧検出器230は、直流コンバータ200の出力電圧を検出する。出力アナログ/デジタルコンバータ240は、検出された入力電圧をデジタル信号に変換する。
【0051】
デジタル信号に変換された入力電圧及び出力電圧は、後述するデータ制御器600によって最大電力点の追跡に利用され、最大電力点に対する追跡制御信号がスイッチドライバー250に伝達される。
【0052】
スイッチドライバー250は、最大電力点に対応する電圧値を出力するようにスイッチング回路260を駆動する駆動信号を生成してスイッチング回路260に伝送する。スイッチング回路260は、スイッチドライバー250から駆動信号を受信して、最大電力点に対応する電圧値を出力するように作動する。
【0053】
図6a〜図6dは、本発明の一実施例に係るデータ結合器400の多様な実施例である。
【0054】
データ結合器400は、受信した各直流コンバータ200の出力電圧値を含むデータから直流電圧オフセットを除去し、各太陽光モジュール100に対する情報を含むデータを結合してデータ制御器600に伝送、またはデータ制御器600からデータを受信してインターフェース部300に伝送する。
【0055】
結合のために図6a〜図6dの実施例を利用する。
【0056】
図6aは、キャパシターを用いて各直流コンバータ200の出力電圧値を含むデータと各太陽光モジュール100に対する情報を含むデータを結合する例を示す。
【0057】
図6bは、トランスフォーマーを用いて各直流コンバータ200の出力電圧値を含むデータと各太陽光モジュール100に対する情報を含むデータを結合する例を示す。
【0058】
図6cは、ミキサー(Mixer)を用いて各直流コンバータ200の出力電圧値を含むデータと各太陽光モジュール100に対する情報を含むデータを結合する例を示す。
【0059】
図6dは、マルチプレクサ(MUX:Multiplexer)を用いて各直流コンバータ200の出力電圧値を含むデータと各太陽光モジュール100に対する情報を含むデータを結合する例を示す。
【0060】
図7は、本発明の一実施例に係るデータ制御器600の構成図である。図7に示すように、データ制御器600は電流検出器610、アナログ/デジタルコンバータ620、制御部630、最大電力追跡部640を含む。
【0061】
電流検出器610は、直流コンバータ200から出力された電流を検出する。アナログ/デジタルコンバータ620は、検出された出力電流をデジタル信号に変換する。
【0062】
制御部630は、各直流コンバータ200(1〜N)の出力電圧(V01〜ON)を、電流検出器で検出された電流値(I)と乗じて、各太陽光モジュール100が出力する電力値(PM1〜PMN)を計算する。また、各太陽光モジュール100が出力する出力電圧値及び各太陽光モジュール100に対する情報を収集して、最大電力点を追跡するように後述する最大電力追跡部640を制御する。
【0063】
最大電力追跡部640は、最大電力追跡アルゴリズムを用いて各直流コンバータ200に含まれたスイッチング回路のデューティ比を決めて、最大電力点を追跡することができる。
【0064】
図8は、本発明の一実施例に係る各太陽光モジュール100に対する情報が、データ結合器400によって直流ケーブル線を介して伝達される方式を示す図である。
【0065】
一実施例では、太陽光モジュール100から出力された電圧は、直流コンバータ200で検出され、アナログ/デジタルコンバータによってデジタル信号に変換され、インターフェース部300によって識別番号(ID)を与えられ、情報N1〜NKとフレームNに定型化(formatted)される。一実施例では、情報N1〜NKは、太陽光モジュール100の出力電圧VMN、直流コンバータ200の出力電圧VON、太陽光モジュール100の表面温度などに対する情報を意味するが、これに限定されるものではない。
【0066】
定型化されたフレームNは、デジタルまたはアナログ信号に変調され、データ結合器400によってVONの直流電圧オフセット(DC offset)を有し、T1の時間の間結合される。他の太陽光モジュール100のフレームも、上記と同様な方式でインターフェース部300によって順次定型化され、各データ結合器400によって直流電圧オフセット(DC offset)を有し、一定時間の間結合される。一番高い電位を有する直流コンバータ200にはVO1〜VONが合わされた電位がかかり、データ結合器400はフレーム1からフレームNまでのすべてのデータを合わせて、直流ケーブル線を介してデータ合成器500に伝送する。
【0067】
データ合成器500は、受信した各直流コンバータ200の出力電圧値を含むデータから直流電圧オフセットを除去し、各太陽光モジュール100に対する情報を含むデータを合成してデータ制御器600に伝送する。各太陽光モジュール100に対する情報は、各太陽光モジュール100の出力電圧、識別番号、各太陽光モジュール100の表面温度、日照時間などを含むことができる。
【0068】
データ制御器600は、受信したデータがアナログ信号である場合、復調する過程を行い、受信したデータがデジタル信号である場合、復調過程を行わない。
【0069】
一実施例では、直流ケーブル線を介してデータ合成器500にデータを伝送する際、アナログ信号とデジタル信号のいずれかで伝送するかは、太陽光装置に応じて選択的に適用することができる。
【0070】
データ制御器600は、直流電圧オフセットが除去されたデータを制御部によって読み取り、電流検出器によって電流を検出する。データ制御器600は、各太陽光モジュール100の出力電圧であるVM1〜VMN、または各直流コンバータ200(1〜N)の出力電圧(V01〜ON)を、電流検出器で検出された電流値(I)に乗じて、各太陽光モジュール100が出力する電力値(PM1〜PMN)を計算する。各太陽光モジュール100が出力する電力値及び出力電圧値などに対する情報は、使用者や管理者が監視するために用いることができる。
【0071】
最大電力追跡部640は、情報及び最大電力追跡アルゴリズムを用いて、各直流コンバータ200の内部スイッチング回路260のデューティ比を決めることができる。ここで、デューティ比とは、デジタル信号のある周期内の波形の1と0の値の比率を意味し、スイッチング回路260がONまたはOFFになる時間間隔を意味する。
【0072】
制御部630は、各直流コンバータ200(1〜N)内に含まれた各スイッチング回路260のデューティ比に関する情報或いは必要な制御信号などを、図8に図示したようにN1〜NK形態にフレーム化して、デジタルまたはアナログ信号としてデータ結合器400に伝送する。データ結合器400は、直流ケーブル線を介して各データ結合器400(1〜N)にフレーム化されたデータを伝送し、各データ結合器400(1〜N)は、フレーム化されたデータから直流成分をオフセットする。デジタル形態で転送されたデータは復調過程なしに読み取られるが、アナログ信号に変調した情報は復調されてから読み取られる。各インターフェース部300(1〜N)は、固有の識別情報(ID)に該当する信号のみ認識し、残りは無視する。各直流コンバータ200は、認識された情報に応じて命令を遂行する。例えば、各直流コンバータ200の内部スイッチング回路260のデューティ比によって、各太陽光モジュール100の出力電圧(VM1〜VMN)と各直流コンバータ200の出力電圧(VO1〜VO2)が再調整されると共に再検出される。再検出された値は、各インターフェース部300、各データ結合器400、直流ケーブル線を介してデータ合成器500に転送され、データ制御器600で再解釈される。再解釈された情報によって、再び最大電力追跡アルゴリズムによって各スイッチング回路260のデューティ比が決定され、再び各直流コンバータ200を制御して各太陽光モジュール100の出力電圧と各直流コンバータ200の出力電圧を調整し、所望の最大電力点に達するまでこの過程は繰り返される。
【0073】
図9〜図11は、本発明の他の実施例に係る太陽光装置の動作推移を示した図である。図9は、本発明の一実施例の太陽光装置が、理想的に動作した時の状態を示したものとして、各太陽光モジュール100は等しく最大電力値である100Wだけ電力を出力し(内部消耗電力を無視するとする)、各直流コンバータ200の出力電圧は30Vとして同一であり、各太陽光モジュール100に流れる電流は3.33Aとして同一であると仮定する。
【0074】
図10は、太陽光装置の状態が変化した場合の状態を図示した図である。特に、太陽光モジュール100が合計10個であり、そのうちの太陽光モジュール100の状態が変化した場合を想定した図である。
【0075】
一実施例では、太陽光装置の状態が変化した場合とは、太陽光モジュール100に陰が発生した場合、または、その他外部の原因によって状態が変化した場合を意味する。図10に示すように、太陽光モジュール100の状態が変化した場合、太陽光モジュール100(1〜9)まで各直流コンバータ200の出力電圧は30Vから34Vに、太陽光モジュール100の電圧は20Vに変わり、太陽光モジュール100に流れる電流が3.33Aから1.5Aに減少して、全体の太陽光装置に流れる電流に影響を与えることになる。すなわち、全体の太陽光装置に流れる電流が1.5Aに減少することになる。
【0076】
よって、太陽光モジュール100(1〜9)が出力する電力値は51Wになり、太陽光モジュール100が出力する電力は30Wになって、太陽光モジュール100(1〜10)が出力する全体の出力値は489Wとして、図9の全体の太陽光装置に比べて511W減少した電力値を出力する。
【0077】
この場合、図8で説明した方法では、各直流コンバータ200の出力電圧及び各太陽光モジュール100に流れる電流値に対する情報を伝送し、データ制御器600によって太陽光モジュール100の最大電力点を追跡できるまで命令と情報をやり取りすることになる。
【0078】
図11は、太陽光モジュール100の最大電力点が検出された場合の全体の太陽光装置の状態を示した図である。図11に示すように、最終的に太陽光モジュール100の最大電力点は直流コンバータ10によって19Vと2.9Aに再調整され、残りの太陽光モジュール100(1〜9)は2.9Aから最大電力点を得るために34.48Vに再調整されて、合計電力は955.1Wに増加する。
【0079】
即ち、異常が生じた太陽光モジュール100を除いた残りの太陽光モジュール100は100Wに復帰して、全体の太陽光装置が図10のように出力電力値が低下することを防止することがある。
【0080】
このような方法で、各太陽光モジュール100の不整合(mismatch)や特定の太陽光モジュール100に異常が生じて効率が減少し、全体システムの効率を減少させる問題を解消できるので、既存の最大電力追跡システム方式に比べて、単純且つ効率的に運営することができる。これと同じ方法で、各太陽光モジュール100と各直流コンバータ200の温度測定データ、過電圧及び過電流保護などの情報を受けて命令を再伝達することで、全体の太陽光装置を監視及び保護することができる。
【0081】
図12は、本発明の一実施例に係る太陽光モジュール100をバッテリーセルに代替した太陽光装置の構成図である。
【0082】
図4で、各太陽光モジュール100は電気自動車または太陽光充電用電池のバッテリーセル(Cell)に代替することができ、これによって、追加的なシステムを用いることなくバッテリー運営システムに適用することもできる。
【0083】
以上、本発明の好ましい実施例に対して説明したが、本発明は上述の特定の実施例に限定されるものではなく、請求範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなくいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽エネルギーを吸収して電気エネルギーに変換する太陽光モジュールと、
前記太陽光モジュールから出力された入力電圧を検出し、前記検出された入力電圧を通じて最大電力点に対応する直流電圧を出力する直流コンバータと、
前記直流コンバータで検出した入力電圧及び前記最大電力点に対応する直流電圧を含むデータを伝送するインターフェース部と、
前記インターフェース部から受信したデータに前記太陽光モジュールに対するデータを結合して伝送するデータ結合器と、
前記データ結合器から受信したデータから直流電圧オフセットを除去するデータ合成器と、
前記直流電圧オフセットが除去されたデータを用いて最大電力点を追跡するデータ制御器と、
を含む太陽光装置。
【請求項2】
前記直流コンバータ、前記インターフェース部、前記データ結合器、前記データ合成器及び前記データ制御器は、直流ケーブル線によって連結された、請求項1に記載の太陽光装置。
【請求項3】
前記太陽光モジュール、前記直流コンバータ、前記インターフェース部及び前記データ結合器は、複数個に構成される、請求項2に記載の太陽光装置。
【請求項4】
前記追跡された最大電力点に該当する最大電力を交流電力に変換して負荷に提供する直流/交流コンバータをさらに含む、請求項2に記載の太陽光装置。
【請求項5】
前記太陽光モジュールは、日照条件または温度条件に応じて配置された、請求項1に記載の太陽光装置。
【請求項6】
前記直流コンバータは、
前記太陽光モジュールから出力されて前記直流コンバータに入力される電圧を検出する入力電圧検出器と、
前記直流コンバータから出力される電圧を検出する出力電圧検出器と、
前記入力電圧及び出力電圧を用いて前記最大電力点に対応する直流電圧を出力するスイッチング回路と、を含む、請求項1に記載の太陽光装置。
【請求項7】
前記太陽光モジュールに対するデータは、前記太陽光モジュールの出力電圧、前記太陽光モジュールの識別番号を含む、請求項1に記載の太陽光装置。
【請求項8】
前記データ制御器は、前記太陽光モジュールに流れる電流を検出する電流検出器と、
前記直流コンバータの出力電圧と前記検出された電流を用いて最大電力点を生成する制御信号を出力する制御部と、
前記出力された制御信号を受信して最大電力点を追跡する最大電力追跡部と、を含む、請求項1に記載の太陽光装置。
【請求項9】
前記データ結合器は、キャパシターを用いて各直流コンバータの出力電圧に対するデータと各太陽光モジュールに対するデータを結合する、請求項1に記載の太陽光装置。
【請求項10】
前記データ結合器は、トランスフォーマーを用いて各直流コンバータの出力電圧に対するデータと各太陽光モジュールに対するデータを結合する、請求項1に記載の太陽光装置。
【請求項11】
前記データ結合器は、ミキサーを用いて各直流コンバータの出力電圧に対するデータと各太陽光モジュールに対するデータを結合する、請求項1に記載の太陽光装置。
【請求項12】
前記データ結合器は、マルチプレクサを用いて各直流コンバータの出力電圧に対するデータと各太陽光モジュールに対するデータを結合する、請求項1に記載の太陽光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−114693(P2013−114693A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−259500(P2012−259500)
【出願日】平成24年11月28日(2012.11.28)
【出願人】(593121379)エルエス産電株式会社 (221)
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO., LTD
【Fターム(参考)】