説明

寿司飯収納容器及び寿司収納パック

【課題】本発明は、簡易な構成でありながら、食味の劣りや型崩れがない状態で飯粒が分離することなく寿司飯を取り出すことが可能な寿司飯収納容器を提案できるようにする。
【解決手段】複数個の寿司飯を個別に収納するための複数の飯用ホール2A〜2Hが枠体に設けられた寿司飯収納トレー1であって、枠体における外周部分の縁部にR状の折返部分が成型された所定幅のフラップ1Aと、複数の飯用ホール2A〜2Hの間には、複数個の寿司飯を互いに非接触状態とするためであり、かつ、複数の飯用ホール2A〜2Hにおける側壁として機能するため、その先端がR状の断面山型に成型され、飯用ホール2A〜2Hの底面11と繋がる裾部分がR面取状態に成型された仕切部20とを備えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寿司飯収納容器及び寿司収納パックに関し、特に冷凍保存した状態で流通し、解凍後の寿司飯の上に解凍後の寿司ねたが載せられた状態の握り寿司として提供するためのパッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍寿司の寿司飯部を人肌に、ねた部を冷たく解凍できると共に、解凍した寿司を容器の一部を利用してそのまま食卓に供することが可能な冷凍寿司収納容器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、複数個の食品として寿司を高周波加熱により解凍および加熱する場合、煮えがなく複数個の寿司がほぼ均一に加熱されるようにした解凍用容器が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、寿司飯に添加された食酢およびサラダオイル等によっても浸され難く破損のない合成樹脂製寿司飯収納容器が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−136975号公報
【特許文献2】特開平5−126343号公報
【特許文献3】特開2002−95430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の冷凍寿司収納容器においては、寿司飯部にマイクロ波を進入可能として寿司飯部を人肌に、ねた部を冷たく解凍できるようにしているものの、底蓋部に対して、マイクロ波遮断膜が形成された収納容器本体を被せなければならない複雑な構成になるという問題があった。
【0007】
また、上述した特許文献2に記載の解凍用容器においては、複数個の寿司を互いに非接触状態で収納するための仕切りと、上面開口部に向かって拡がるように傾斜し、かつ段部を有する外側壁と、仕切りで仕切られた食品収納部と、当該食品収納部の底面に設けられた凹部とからなり、仕切りの高さおよび段部の位置が寿司の高さの1/3ないし2/3としたことにより、寿司が煮えることなくほぼ均一な温度に解凍できるようになされているものの、食品収納部が複雑な構造になると共に、寿司めしと寿司ねたとがほぼ均一な温度になってしまい、通常の握り寿司に比べて食味が大幅に劣るという問題があった。
【0008】
さらに、上述した特許文献3に記載の寿司飯収納容器においては、寿司飯収納凹部の内底部が収納される寿司飯の底部と略同じ大きさであり、その深さが寿司飯の高さと略同じか又は少し低め程度に設定され、内底部から上方開口部に向かって拡大されるように凹設され、その寿司飯収納凹部の内壁面または底部に設けられたリブ等により、寿司飯を取り出す際に形状の崩れを起こさせないようにしているが、寿司飯収納凹部にリブを形成しなければならず、複雑な構成になるという問題があった。
【0009】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、簡易な構成でありながら、型崩れがなく、かつ飯粒の分離することがない状態の寿司飯を容易に取り出すことが可能な寿司飯収納容器および寿司収納パックを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明においては、複数個の寿司飯を個別に収納するための複数の飯用収納凹部が枠体に設けられた寿司飯収納容器であって、枠体における外周部分の縁部にR状の折返部分が成型された所定幅のフラップと、複数の飯用収納凹部の間には、複数個の寿司飯を互いに非接触状態とするためであり、かつ、複数の飯用収納凹部における側壁として機能するため、その先端がR状の断面山型に成型され、飯用収納凹部の底面と繋がる裾部分がR面取状態に成型された仕切部とを備えるようにする。
【0011】
また、本発明に係る寿司収納パックにおいては、複数個の寿司飯を個別に収納するための複数の飯用収納凹部が飯用枠体に設けられ、飯用枠体における外周部分の縁部にR状の折返部分が成型された所定幅の飯用フラップと、複数の飯用収納凹部の間には、複数個の寿司飯を互いに非接触状態とするためであり、かつ、複数の飯用収納凹部における側壁として機能するため、その先端がR状の断面山型に成型され、飯用収納凹部の底面と繋がる裾部分がR面取状態に成型された飯用仕切部とを備える寿司飯収納容器と、複数個の寿司ねたを個別に収納するための複数のねた用収納凹部がねた用枠体に設けられ、ねた用枠体における外周部分の縁部にR状の折返部分が成型された所定幅のねた用フラップと、複数のねた用収納凹部の間には、複数個の寿司ねたを互いに非接触状態とするためであり、かつ、複数のねた用収納凹部における側壁として機能するため、その先端がR状の断面山型に成型され、ねた用収納凹部の底面と繋がる裾部分がR面取状態に成型されたねた用仕切部とを備える寿司ねた収納容器とを備えるようにする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、枠体における外周部分の縁部にR状の折返部分が成型された所定幅のフラップにより真空時の強度を増大させ、複数の飯用収納凹部の間に成型された側壁として機能する仕切部により複数個の寿司飯を互いに非接触状態とすることができると共に、仕切部の先端がR状の断面山型であり飯用収納凹部の底面と繋がる裾部分がR面取状態に成型されているため、真空時の強度を増大させつつ型崩れがなく、かつ飯粒の分離がない状態の寿司飯を容易に取り出すことができる寿司飯収納容器を実現することができる。
【0013】
また本発明によれば、枠体における外周部分の縁部にR状の折返部分が成型された所定幅のフラップにより真空時の強度を増大させ、複数の飯用収納凹部の間に成型された側壁として機能する仕切部により複数個の寿司飯を互いに非接触状態とすることができると共に、仕切部の先端がR状の断面山型であり飯用収納凹部の底面と繋がる裾部分がR面取状態に成型されているため、真空時の強度を増大させつつ型崩れがなく、かつ飯粒の分離がない状態の寿司飯を容易に取り出すことができ、また、ねた用枠体における外周部分の縁部にR状の折返部分が成型された所定幅のねた用フラップにより真空時の強度を増大させ、複数のねた用収納凹部の間に成型された側壁として機能するねた用仕切部により複数個の寿司ねたを互いに非接触状態とすることができると共に、ねた用仕切部の先端がR状の断面山型であり、ねた用収納凹部の底面と繋がる裾部分がR面取状態に成型されているため、真空時の強度を増大させつつ、ねた自身がR形状に曲げられるので、解凍後の寿司飯の上に載せられた際に握り寿司のような風合いを出すことができ、かくして容易に寿司飯及び寿司ねたの組み合わせによる握り寿司を提供し得る寿司収納パックを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態における寿司飯収納トレーの構成を示す上面図、側面図及び断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における寿司ねた収納トレーの構成を示す上面図、側面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0016】
(1)寿司飯収納トレー
図1(A)〜(C)において、1は本発明の実施の形態における寿司飯収納トレーを示し、全幅67mm、全長216mm及び全高23mmの全体として略直方体状の枠体でなり、その枠体の外周部分の縁部に所定幅(例えば長手方向の幅6.5mm、短手方向の幅5mm)のフラップ1Aが成型されており、当該フラップ1Aをユーザが把持し得るようになされている。
【0017】
なお、フラップ1Aでは、折り曲げられた状態の角部にR状(この場合、R2)の折返部分が成型されており、これにより、握り寿司に用いられる寿司飯(酢飯)を収納した後に真空状態としたときピンホールが発生することを未然に防止し得ると共に、折返部分によりフラップ1A自体の強度を増大させ得るようになされている。
【0018】
また寿司飯収納トレー1は、寿司飯をそれぞれ1個づつ収納する飯用収納凹部としての8個の飯用ホール2A〜2Hが横一列に並べられた構成を有している。ここで、寿司飯収納トレー1の飯用ホール2A〜2Hは、全て同じ形状およびサイズとなっている。
【0019】
例えば飯用ホール2A〜2Hは、寿司飯の底部の面積とほぼ同じ大きさか、それより僅かに大きなサイズの底面11をそれぞれ有しており、その底面11は例えば幅19mm、長さ42mmとなっている。
【0020】
また飯用ホール2A〜2Hは、その深さ18.5mmが寿司飯の高さとほぼ同じか、それより僅かに高く設定されており、底面11から上方開放へ向かって拡大されるような開口部12を有する断面凹形状に成型されている。
【0021】
飯用ホール2A〜2Hの開口部12は、例えば幅22.5mm、長さ50mmとなっている。なお、飯用ホール2Aおよび飯用ホール2Hについても幅22.5mmであるが、当該飯用ホール2Aおよび当該飯用ホール2Hについてだけは、フラップ1Aの頂点に合わせた測定された幅24.75mmについても示されている。
【0022】
飯用ホール2A〜2Hとの境界部分には、その先端がR状の断面山型でなり、先端部分の幅2.5mm、高さ18.5mmおよび裾部分の幅6mmでなる仕切部20がそれぞれ成型されており、当該仕切部20が寿司飯を飯用ホール2A〜2Hに収納したときの側壁として機能するようになされている。
【0023】
なお、飯用ホール2A〜2Hでは、仕切部20の高さ18.5mmが飯用ホール2A〜2H自体の深さ(18.5mm)と等しく、その深さ(18.5mm)がフラップ1Aの高さ23mmよりも4.5mm程度低くなっている。
【0024】
これにより寿司飯収納トレー1は、飯用ホール2A〜2Hに寿司飯が収納された状態で、フラップ1Aの上から透明な可撓性フィルム(図示せず)が貼られて真空状態とされる際、仕切部20よりも4.5mmだけ高くなった当該フラップ1Aの側壁部分に当該可撓性フィルムが密着することになるため、当該可撓性フィルムと当該飯用ホール2A〜2Hに収納された寿司飯との密着度を増大させ得るようになされている。
【0025】
また、飯用ホール2A〜2Hでは、仕切部20により各飯用ホール2A〜2Hをそれぞれ隔離することができるので、当該可撓性フィルムにより封口された後では、当該飯用ホール2A〜2Hに収納された隣り合う寿司飯同士が互いにくっついてしまうことを確実に防止し得るようになされている。
【0026】
さらに、これら仕切部20は、それぞれ飯用ホール2A〜2Hの底面11と繋がる全ての裾部分がR4のR面取状態に成型されている。これにより飯用ホール2A〜2Hでは、全ての裾部分がR4のR面取状態に成型されているため、解凍後に寿司飯を取り出す際、寿司飯が型崩れなく、かつ飯粒が分離して裾部分に付着したままになることがなく、容易に取り出すことが出来るようになされている。
【0027】
なお、飯用ホール2A〜2Hの側壁として機能する仕切部20は、垂直方向に対して4度〜6度(好ましくは5度)の傾斜角度が設けられており、その傾斜角度についても、解凍後の寿司飯の飯粒が側壁として機能する仕切部20に付着することなく容易に取り出し得る要因となっている。
【0028】
さらに、飯用ホール2A〜2Hにおいて仕切部20と直交する寿司飯収納トレー1の枠体の側壁部分15についても、垂直方向に対して9度〜11度(好ましくは10度)の傾斜角度が設けられており、その傾斜角度についても、解凍後の寿司飯の飯粒が側壁部分15に付着することなく容易に取り出し得る要因となっている。
【0029】
さらに飯用ホール2A〜2Hは、底面11のほぼ中央部分に、先端がR4の半円形状で、飯用ホール2A〜2Hの長手方向へ所定の長さ(この場合、12mm)の切り込みが入れられたことにより形成された舌片13をそれぞれ有している。
【0030】
これにより寿司飯収納トレー1は、飯用ホール2A〜2Hの底面11のほぼ中央部分に切り込みが入れられた舌片13を介して真空状態を形成し易くなされており、当該舌片13を有していない場合における冷凍保存前の空気抜き時の真空率に比べて、当該真空率を6%も増大させることができる。その結果、寿司飯収納トレー1は、真空後における寿司飯収納トレー1全体の一体感を増し、全体としての強度を増大させ得るようになされている。
【0031】
因みに寿司飯収納トレー1は、当該舌片13が底面11の外側から指で押されることにより、飯用ホール2A〜2Hの底面11に付着している解凍後の寿司飯を容易に取り出すことができるようになされている。
【0032】
以上の構成において、このような寿司飯収納トレー1では、飯用ホール2A〜2Hに対してそれぞれ寿司飯が所定量だけ収納された後、透明な可撓性フィルムで蓋をし、真空処理しながら熱融着することにより当該可撓性フィルム、当該寿司飯収納トレー1及び当該寿司飯同士の密着度を増した状態で封口し、所定の方法で冷凍保存する。これにより寿司飯収納トレー1は、飯用ホール2A〜2Hに収納された寿司飯の鮮度を保持しながら保存期間を長期化させることができる。
【0033】
そして寿司飯収納トレー1においては、電子レンジ等を用いて解凍するようになされており、解凍後、飯用ホール2A〜2Hの底面11に形成された舌片13が当該底面11の外側から指で押されることにより、解凍後の寿司飯を仕切部20及び枠体の側壁部分15に付着させることなく、また型崩れ及び飯粒の分離なしに容易に取り出すことができる。
【0034】
以上の構成によれば、寿司飯収納トレー1は、簡易な構成の飯用ホール2A〜2Hでありながら、型崩れがなく、かつ飯粒の分離することがない状態の寿司飯を当該飯用ホール2A〜2Hから容易に取り出すことができる。
【0035】
(2)寿司ねた収納トレー
図2(A)〜(C)において、30は本発明の実施の形態における寿司ねた収納トレーを示し、全幅106.5mm、全長285.4mm及び全高12mmの全体として略直方体状の枠体でなり、その外周部分の縁部に所定幅(例えば長手方向の幅9mm、短手方向の幅9mm)のフラップ30Aが成型されており、当該フラップ30Aをユーザが把持し得るようになされている。
【0036】
なお、フラップ30Aでは、折り曲げられた状態の角部にR状(この場合、R2)の折返部分が成型されており、これにより、握り寿司に用いられる寿司ねたを収納した後に真空状態としたときピンホールが発生することを未然に防止し得ると共に、折返部分によりフラップ30A自体の強度を増大させ得るようになされている。
【0037】
また寿司ねた収納トレー30は、寿司ねた(例えば、鮪、海老、蛸、烏賊、平目、鮭、貝、鯛等)をそれぞれ1個づつ収納するねた用収納凹部としての8個のねた用ホール32A〜32Hが横一列に並べられた構成を有している。ここで、寿司ねた収納トレー30のねた用ホール32A〜32Hは、全て同じ形状およびサイズとなっている。
【0038】
例えばねた用ホール32A〜32Hは、寿司ねたの面積とほぼ同じ大きさか、それより僅かに大きなサイズの底面31を有しており、その底面31は例えば幅30.3mm、長さ76.5mmとなっている。
【0039】
また、ねた用ホール32A〜32Hは、寿司ねたの厚さよりも深く設定された深さ12mmを有しており、底面31から上方開放へ向かって僅かに拡大されるような開口部33を有する断面凹形状に成型されている。このねた用ホール32A〜32Hの開口部33は、例えば幅30.3mm、長さ84.5mmとなっている。
【0040】
ねた用ホール32A〜32Hの間の境界部分には、その先端部分がR1.5のR状とされた断面山型でなり、当該先端部分の幅3mm、高さ12mmでなる仕切部40がそれぞれ成型されており、当該仕切部40が寿司ねたを収納したときの側壁として機能するようになされている。なお、ねた用ホール32A〜32Hでは、仕切部40の高さ12mmがねた用ホール32A〜32H自体の深さ(12mm)と等しくなっている。
【0041】
従って寿司ねた収納トレー30は、底面31からフラップ30Aまでの高さ12mmと、仕切部40の高さ12mmとが同じであるため、フラップ30A及び仕切部40の上から透明な可撓性フィルム(図示せず)が貼られて真空状態とされる際、可撓性フィルムがねた用ホール32A〜32Hの蓋となる。これにより寿司ねた収納トレー30は、蓋として機能する可撓性フィルムにより、隣接する寿司ねた同士が接触することを未然に防止し得ると共に、空気抜き時の真空率を増大させ得るようになされている。
【0042】
なお、寿司ねた収納トレー30の仕切部40は、ねた用ホール32A〜32Hの底面31とそれぞれ繋がる全ての裾部分がR8のR面取状態に成型されている。これにより、ねた用ホール32A〜32Hでは、全ての裾部分がR面取状態に成型されているため、寿司ねた収納トレー30が逆様にされたとき水解凍後の寿司ねたが下方へ落ち易く、容易に取り出し得るようになされている。
【0043】
また、このとき寿司ねた収納トレー30は、ねた用ホール32A〜32Hの全ての裾部分がR面取状態に成型されていることにより、真空時に寿司ねた自身がR状に湾曲されたまま冷凍され、水解凍後にねた用ホール32A〜32Hから取り出された寿司ねたもR状に湾曲されたままの状態となる。従って、寿司ねた収納トレー30から取り出された寿司ねたが寿司飯収納トレー1から取り出された寿司飯の上に載せられた際、普通の握り寿司のような風合いが出るようになされている。
【0044】
また仕切部40のねた用ホール32A〜32Hでは、その底面31の角部がR面取状態に成型されていない場合、水解凍後に寿司ねたを取り出す際、寿司ねたが角部に引っ掛かって取り出せない事態が起こり得るが、ねた用ホール32A〜32Hの底面31と仕切部40との全ての裾部分がR面取状態に成型されていることにより、そのような事態を未然に防止し得る機能をも併せ持つようになされている。
【0045】
また、ねた用ホール32A〜32Hの側壁として機能する仕切部40は、垂直方向に対して9〜11度(より好ましくは10度)の傾斜角度が設けられており、その傾斜角度についても、水解凍後の寿司ねたが側壁として機能する仕切部40に付着することなく容易に取り出し得る要因となっている。
【0046】
さらに、ねた用ホール32A〜32Hにおいて仕切部40と直交する寿司ねた収納トレー30の枠体の側壁部分35についても、垂直方向に対して9〜11度(より好ましくは10度)の傾斜角度が設けられており、その傾斜角度についても、水解凍後の寿司ねたが側壁部分35に付着することなく容易に取り出し得る要因となっている。
【0047】
さらに寿司ねた収納トレー30においては、フラップ30Aの長手方向に沿って、幅4mm、長さ263.4mmおよび深さ2mmでなる断面U字状溝でなるリブ36、37が成型されており、当該リブ36、37により、寿司ねた収納トレー30に対する真空時のねじり方向の強度を増大させ得るようになされている。
【0048】
これにより寿司ねた収納トレー30は、水解凍後においても、ねた用ホール32A〜32Hの寿司ねたを取り出す際、リブ36、37によりトレー自体の強度が増大されているので、寿司ねた収納トレー30が途中で折り曲がってしまうような事態を未然に回避し得るようになされている。
【0049】
以上の構成において、このような寿司ねた収納トレー30では、ねた用ホール32A〜32Hに対してそれぞれ寿司ねたが収納された後、透明な可撓性フィルムで蓋をし、真空処理しながら熱融着することにより封口し、所定の方法で冷凍保存するようになされている。これにより寿司ねた収納トレー30は、ねた用ホール32A〜32Hに収納された寿司ねたの鮮度を保持しながら保存期間を長期化させることができる。
【0050】
そして寿司ねた収納トレー30においては、水だけを用いて解凍する所謂、水解凍するようになされており、これにより寿司ねたが適度な温度で取り出され、これらが寿司飯収納トレー1から取り出された寿司飯の上に載せられるだけで、簡単に握り寿司の風合いを持つお寿司が作られる。
【0051】
このとき寿司ねた収納トレー30では、ねた用ホール32A〜32Hから寿司ねたが取り出される場合、寿司ねた収納トレー30における縁部30Aが把持された際に寿司ねたの重み等によりトレー自体が折れかねないが、フラップ30Aの長手方向に沿って成型された断面半円形状のリブ36、37により強度が増大されているため、トレー自体の損傷を防止することができる。
【0052】
以上の構成によれば、寿司ねた収納トレー30は簡易な構成のねた用ホール32A〜32Hでありながら、取り出された寿司ねたがそのまま寿司飯の上に載せられるだけで、普通の握り寿司のような状態になるような形状の寿司ねたを当該ねた用ホール32A〜32Hから容易に取り出すことができる。
【0053】
(3)寿司収納パック
上述した寿司飯収納トレー1だけを単独で製造及び販売する場合や、上述した寿司ねた収納トレー30だけを単独で製造及び販売する場合に留まらず、寿司飯収納トレー1及び寿司ねた収納トレー30を1組の寿司収納パックとして製造及び販売することや、寿司飯が収納されて真空冷凍された状態の寿司飯収納トレー1及び寿司ねたが収納されて真空冷凍された状態の寿司ねた収納トレー30を1組の寿司収納パックとして製造及び販売することが考えられる。
【0054】
このような寿司収納パックでは、電子レンジ等を介して寿司飯収納トレー1の飯用ホール2A〜2Hに収納された寿司飯を解凍することにより、解凍後の寿司飯を仕切部20及び側壁部分15に付着させることなく型崩れなしに取り出す。
【0055】
そして、寿司収納パックでは、寿司ねた収納トレー30のねた用ホール32A〜32Hに収納された寿司ねたを水解凍により解凍することにより、寿司ねたを適度な温度で取り出し、これらを寿司飯収納トレー1から取り出された寿司飯の上に載せるだけで、簡単に握り寿司の風合いを持つお寿司を作ることができる。
【0056】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、寿司飯をそれぞれ1個づつ収納するための8個の飯用ホール2A〜2Hが横一列に並べられた構成の寿司飯収納トレー1を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、複数個の飯用ホール2A〜2nが複数列設けられた寿司飯収納トレーを用いるようにしても良い。
【0057】
また上述の実施の形態においては、寿司ねたをそれぞれ1個づつ収納するための8個のねた用ホール32A〜32Hが横一列に並べられた構成の寿司ねた収納トレー30を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、複数個のねた用ホール32A〜32nが複数列設けられた寿司ねた収納トレーを用いるようにしても良い。
【0058】
さらに上述の実施の形態においては、先端がR4の半円形状で、飯用ホール2A〜2Hの長手方向へ所定の長さの切り込みが入れられた舌片13が当該飯用ホール2A〜2Hに設けられるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その形状および長さは任意でも良く、また長手方向ではなく短手方向へ所定の長さの切り込みが入れられた複数の舌片が当該飯用ホール2A〜2Hに設けられるようにしても良い。
【0059】
さらに上述の実施の形態においては、寿司ねた収納トレー30におけるフラップ30Aの長手方向に沿って幅4mm、長さ263.4mmおよび深さ2mmでなる断面U字状溝でなるリブ36、37が成型されるようにした場合について述べたが、寿司ねた収納トレー30のねじれ方向の強度を増大できれば、そのサイズや形状、及び個数はこれに限るものではない。
【0060】
さらに上述の実施の形態においては、種々の寸法で規定された寿司飯収納トレー1及び寿司ねた収納トレー30を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、寿司飯収納トレー1及び寿司ねた収納トレー30と相似形であれば、寿司飯や寿司ねたのサイズに合わせてその他種々の寸法で規定された寿司飯収納トレー及び寿司ねた収納トレーを用いるようにしても良い。
【符号の説明】
【0061】
1……寿司飯収納トレー、2A〜2H……飯用ホール、11……底面、12、33……開口部、13……舌片、15、35……側壁部分、20、40……仕切部、30……寿司ねた収納トレー、31……底面、32A〜32H……ねた用ホール32A〜32、36,37……リブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の寿司飯を個別に収納するための複数の飯用収納凹部が枠体に設けられた寿司飯収納容器であって、
前記枠体における外周部分の縁部にR状の折返部分が成型された所定幅のフラップと、
前記複数の飯用収納凹部の間には、前記複数個の寿司飯を互いに非接触状態とするためであり、かつ、前記複数の飯用収納凹部における側壁として機能するため、その先端がR状の断面山型に成型され、前記飯用収納凹部の底面と繋がる裾部分がR面取状態に成型された仕切部と
を備えることを特徴とする寿司飯収納容器。
【請求項2】
前記フラップは、前記折返部分がR2のR状に形成されると共に、上記所定幅が6.5mmに形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の寿司飯収納容器。
【請求項3】
前記仕切部は、前記先端の幅が2.5mmのR状の断面山形であり、前記先端の高さが前記フラップの高さよりも4.5mmだけ下げられている
ことを特徴とする請求項2に記載の寿司飯収納容器。
【請求項4】
前記仕切部は、前記飯用収納凹部の底面と繋がる裾部分がR4のR面取状態に形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の寿司飯収納容器。
【請求項5】
前記仕切部は、前記飯用収納凹部の垂直方向に対する傾斜角度が4度〜6度に形成されている
ことを特徴とする請求項4に記載の寿司飯収納容器。
【請求項6】
前記飯用収納凹部は、その底面の一部に切り込みが入れられたことにより所定形状の舌片が形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至5に記載の寿司飯収納容器。
【請求項7】
複数個の寿司飯を個別に収納するための複数の飯用収納凹部が飯用枠体に設けられ、前記飯用枠体における外周部分の縁部にR状の折返部分が成型された所定幅の飯用フラップと、前記複数の飯用収納凹部の間には、前記複数個の寿司飯を互いに非接触状態とするためであり、かつ、前記複数の飯用収納凹部における側壁として機能するため、その先端がR状の断面山型に成型され、前記飯用収納凹部の底面と繋がる裾部分がR面取状態に成型された飯用仕切部とを備える寿司飯収納容器と、
複数個の寿司ねたを個別に収納するための複数のねた用収納凹部がねた用枠体に設けられ、前記ねた用枠体における外周部分の縁部にR状の折返部分が成型された所定幅のねた用フラップと、前記複数のねた用収納凹部の間には、前記複数個の寿司ねたを互いに非接触状態とするためであり、かつ、前記複数のねた用収納凹部における側壁として機能するため、その先端がR状の断面山型に成型され、前記ねた用収納凹部の底面と繋がる裾部分がR面取状態に成型されたねた用仕切部とを備える寿司ねた収納容器と
を備えることを特徴とする寿司収納パック。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−249545(P2012−249545A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122530(P2011−122530)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(501211279)株式会社つきじ入船 (1)
【Fターム(参考)】