説明

履物

【課題】 内部で足の指を充分に動かすことができ、足の病気の治癒と予防を可能とし、膝や腰の障害を予防又は治癒することができ、さらには全身の血行を良好にして健康を増進させることができ、スポーツ時には足の力を確実に地面に伝達させ、運動効率を向上させることができる履物を提供する。
【解決手段】 底部の前端部に足の指先が下方へ屈曲しうる空隙部が設けられ、上記空隙部には足の指先を屈曲する際に弾性変形すると共に足指に対し反発力を付与しうる弾性部材が設けられている。上記底部はインソールとミッドソールを有すると共に、上記インソールとミッドソールの間に衝撃吸収部材が配置され、上記衝撃吸収部材の先端部が切欠れることにより上記空隙部が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は履物に係り、特に、内部で足指を積極的に動かすことができるようにして健康増進に寄与しうる履物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、靴を履くことにより外反母趾等の足の疾病に悩む人が多い。足の指の疾病は、脚の脹脛や膝にも悪影響を与え、さらに悪化した場合には腰痛をも引き起こすことになる。
【0003】
このような足指の疾病は、足にフィットしない靴を着用することによって引き起こされる場合が多い。また、足にフィットする靴を履いた場合であっても、靴内部で足の指が可動できるスペースが少ないため、長年靴を装用する中で、次第に足の指の血行が悪くなる場合がある。
【0004】
特に、現代の靴の多くは、足の裏及び甲に密着するように作られていることから足指の上下には空隙がなく、足指は固定された状態で靴を履いている場合が多い。
【0005】
足は第二の心臓と呼ばれているようにポンプ作用を有しており血行を促すことから、足が正常に機能しないと血行が悪くなり、循環器系統の疾病を引き起こす可能性もある。
【0006】
従って、足指やその他の身体部位の病気を予防するには、靴を着用した状態であっても、足の指が十分に可動することができ、足の指を積極的に鍛え、足指の筋力を高めることができるようにする必要がある。
【0007】
一方、各種のスポーツにおいては、走る、跳ぶ、打つ等の運動の基本動作に関し、いずれも足指で地面を掴む動作が基本となる。即ち、足指で地面を掴むように意識することで、身体を地面にしっかりと固定させ、走る、跳ぶ、打つ等の運動をより正確、効果的に行うことが可能となる。
【0008】
しかしながら、近年の各スポーツシューズにあっては、一般の靴と同様に、足を保護する観点から、革等の素材により足を固定するように作成されており、内部において足指を、
特に上下方向に自由に動かし、地面を掴むような動作を行うことができるものは少ない。
【0009】
従って、スポーツ医学、力学の観点からも、足にフィットして自由に動き回れると同時に、走る場合、跳躍をする場合、ゴルフ、野球、テニス等のスイングを行う場合には足指が地面を掴みうるようなスポーツシューズが要望されている。
【0010】
上記の観点から、特許文献1や特許文献2に記載された靴や履物が公知となっている。
【特許文献1】特開2000−296003号公報
【特許文献2】特許第3083818号公報
【0011】
上記特許文献1に記載された靴は、靴底部のつま先部の上面に凹所を形成し、該凹所に、上面がつま先の先端に向かって徐々に凹所の上縁より高くなるような弾性部材を埋設した構成を有しているが、上記凹所が底を構成する部材のいずれに形成されるのかについては記載されていない。
靴の底は一般的にインソール、ミッドソール及びアウトソールによって構成され、革靴の製法の場合は釣り込み工程を有することから、例えば、グッドイヤーウェルテッド式、セメント式、又はマッケイ式等の製法ではミッドソールが必ず使用されている。
そして、上記インソール及びミッドソールは上記凹所を設けるには厚さ寸法が小さ過ぎるので、上記凹所をインソールやミッドソールに形成することは困難である。
また、上記凹所をアウトソールに設け、上記凹所に上記弾性部材を埋設した場合には、上記ミッドソールやインソールにも上記弾性部材を突出させる部位を形成する必要があるので、底部の構造が複雑化して製造が煩雑となり、実際の靴の製作にあたっては現実的ではない。
また、足の指裏で上記弾性部材の突出部を下方へ圧迫した場合に、その弾性部材の突出部を底部の上面と略面一になる程度までは圧縮することはできるが、足の指先を上記凹所の内部まで没入させることは困難なことから、指先を下方へ屈曲させて地面を掴むような運動をさせることができないという不具合がある。
また、上記弾性部材を底部の上面から上方へ突出させていることにより、靴内部の足指収納空間が制約されるので、却って足指の上下方向の運動がしにくくなり、さらに、着用した場合に窮屈感があって、履き心地が良好ではない、という不具合がある。
さらに、本公知文献にあっては、アウトソールに固定された弾性部材に直接に足指が当たるように構成されているが、上記弾性部材によっては、人間の歩行、走行の際の体重を支持することは不可能であり、靴として十分に機能することは難しい、という問題点がある。
【0012】
また、上記特許文献2に記載された履物は、底の先端の足指の付け根に対応する部位に段部が設けられ、この段部により屈曲した足指が収容される凹部が形成された構成を有している。
このような履物の場合は、足指を屈曲する運動はできても、その運動時に足指に負荷を与えることができないので、足指の筋力を積極的に強化することができないという不具合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで本発明の課題は、内部で足の指を充分に動かすことができると共に、積極的に足指の筋力を鍛え、足の握力を強化し、足の病気の治癒と予防を可能とし、膝や腰の障害を予防又は治癒することができ、さらには全身の血行を良好にして健康を増進させることができ、スポーツ時には足の力を確実に地面に伝達させ、運動効率を向上させることができる履物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、請求項1記載の本発明に係る履物は、底部の前端部に足の指先が下方へ屈曲しうる空隙部が設けられ、上記空隙部には足の指先を屈曲する際に弾性変形すると共に足指に対し反発力を付与しうる弾性部材が設けられていることを特徴とする。
【0015】
即ち、請求項1記載の本発明に係る履物にあっては、足指を下方へ屈曲した場合に足指が上記空隙部に収容されることになる。従って、足指を下方に折り曲げる動作を確実に行うことができる。そして足指を下方に折り曲げることにより、足指に地面を掴むような運動をさせることができる。
また、足指を下方へ屈曲させて上記弾性部材を変形させた場合に、上記弾性部材から反発力が得られ、足指に負荷を付与することができる。従って、足指を下方へ屈曲する運動を繰り返し行うことにより、足の血行を良好にして足指の筋力を強化することができる。
【0016】
また、請求項2記載の本発明に係る履物は、上記底部はインソールとミッドソールを有すると共に、上記インソールとミッドソールの間に衝撃吸収部材が配置され、上記衝撃吸収部材の先端部が切欠れることにより上記空隙部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
即ち、請求項2記載の本発明に係る履物にあっては、上記底部はインソールと、衝撃吸収部材と、ミッドソールとを有し、これらは上記衝撃吸収部材を間に挟んで積層されている。そして、上記空隙部は、上記従来例のように凹部を加工するのではなく、上記衝撃吸収部材の先端部が切欠れることにより形成されている。上記衝撃吸収部材はもちろん衝撃を吸収して足を保護する作用を有するが、上記空隙部に下方へ折り曲げた足指を収容できる深さを確保させる機能も有している。
【0018】
また、請求項3記載の本発明に係る履物は、上記弾性部材は、上面部が上方へ突出して先端側が傾斜するように形成され、ミッドソールの幅方向に沿って接着により固定されていることを特徴とする。
【0019】
即ち、請求項3記載の本発明に係る履物にあっては、上記弾性部材が足指の折り曲げ運動を円滑にするような形状に形成されている。即ち、上方へ突出した上記弾性部材の上面部が足指の裏側を支持し、足指を下方へ折り曲げたときは上記弾性部材の先端側の傾斜に沿って足の指先がスムースに折れ曲がるように形成されている。また、上記弾性部材は上記ミッドソールの上面に凹部のような部位を形成することなく、ミッドソールの平坦な上面部に接着により固定されている。
【0020】
また、請求項4記載の本発明に係る履物は、上記弾性部材は上記インソールにより上方を被覆され、上記インソールは足指を下方へ屈曲した場合に変形しうる柔軟な素材により形成されていることを特徴とする。
【0021】
即ち、請求項4記載の本発明に係る履物にあっては、上記弾性部材の上には上記インソールが被せられている。従って、足裏に上記弾性部材が直に触れたり、上記空隙部に足指が直に落ち込むこともないので、足裏を底部に載せた場合の違和感が少ない。足指を下方へ折り曲げた場合は、上記インソールが足指の折り曲げ動作に追従して柔軟に変形することから、足の指先は上記空隙部に支障なく収容されて、足の指により地面を掴むような動作が可能になると共に、上記弾性部材を足指が下方へ押して反発力を受けることにより足指に負荷がかかることになることから、足指を下方へ折り曲げる動作を繰り返し行えば足指の筋力を強化することになる。
【0022】
また、請求項5記載の本発明に係る履物は、上記弾性部材は足指の屈曲時に、足指により適度な圧力で圧迫された場合に変形しうる程度の剛性を備えた合成ラテックスにより形成されていることを特徴とする。
【0023】
即ち、請求項5記載の本発明に係る履物にあっては、上記弾性部材として合成ラテックスが使用されており、この合成ラテックスは適度な剛性を有し、足指を適度な圧力で接触させた場合は適度な反発力を受けることになる。従って、足指を折り曲げる動作には適度な負荷がかかり、この動作を繰り返し行えば足指の鍛錬となって足指の筋力が強化されることになる。また、上記合成ラテックスは他の弾性部材に比べ廉価で入手しやすい。また、上記合成ラテックスは他の弾性部材に比べ安定した弾性反発力を得ることができ、品質を安定させることができる。
【0024】
また、請求項6記載の発明に係る履物にあっては、上記弾性部材は板バネにより形成されていることを特徴とする。
従って、請求項6記載の発明にあっては、履物の先端部に内装し歩行又は走行した場合であっても危険性のない合成樹脂等からなる板バネが内装されている。
【0025】
また、請求項7記載の本発明に係る履物は、革靴として構成されていることを特徴とする。
即ち、請求項7記載の本発明に係る履物にあっては、革靴として構成されていることから、サラリーマンやOL等が日常的に着用して、通勤時等に足指を自然に運動させたり、足指の筋力を強化することができる。
【0026】
また、請求項8記載の本発明に係る履物は、スポーツシューズとして構成されていることを特徴とする。
【0027】
即ち、請求項8記載の本発明に係る履物にあっては、スポーツシューズとして構成されていることから、スポーツする場合に着用して、足指を下方へ折り曲げて地面を確実に掴むことができる。これにより、スポーツの基本動作である走る、跳ぶ、投げる、打つ等のスポーツの基本動作を確実に行うことができる。
【0028】
また、請求項9記載の本発明に係る履物は、サンダルとして構成されていることを特徴とする。
【0029】
即ち、請求項9記載の本発明に係る履物にあっては、サンダルとして構成されていることから、気軽に外出する場合にも着用して、足指を運動させたり、足指の筋力を鍛えることができる。
【0030】
また、請求項10記載の本発明に係る履物は、スリッパとして構成されていることを特徴とする。
【0031】
即ち、請求項10記載の本発明に係る履物にあっては、スリッパとして構成されていることから、室内に居る場合でも気軽に着用して、足指を運動させたり、足指の筋力を鍛えることができる。
【0032】
また、請求項11記載の本発明に係る履物は、リハビリ器具として構成されていることを特徴とする。
【0033】
即ち、請求項11記載の本発明に係る履物にあっては、リハビリ器具として構成されていることから、健常者のみでなく、足の疾病を既に有する人も気軽に着用して、足指を運動させたり、足指の筋力を鍛えることにより、足の機能回復を図ることができる。
【0034】
また、請求項12記載の本発明に係る履物は、上記リハビリ器具は、底部の前端部に足の指先が下方へ屈曲しうる空隙部が設けられ、上記空隙部には足の指先を屈曲する際に弾性変形すると共に足指に対し反発力を付与しうる弾性部材が設けられているスリッパとして形成されていることを特徴とする。
【0035】
即ち、請求項12記載の本発明に係る履物にあっては、上記スリッパを履いた状態で、足指を下方へ屈曲した場合に足指が上記空隙部に収容されることになる。従って、下半身等に何らかの障害がある場合であっても、足指を下方に折り曲げる動作を支障なく行うことができる。そして足指を下方に折り曲げることにより、足指に地面を掴むような動作をさせることができる。
また、足指を下方へ屈曲させて上記弾性部材を変形させた場合に、上記弾性部材から反発力が得られ、足指に負荷を付与することができることから、足指を下方へ屈曲する運動を繰り返し行うことにより、足の血行を良好にして足指の筋力を強化することができる。特に、足指を上方へ動かすことにより脚の脛側の筋力を鍛えることができ、足指を下方へ動かすことにより脚の脹脛側の筋力を鍛えることができる。
従って、足、膝、腰等に疾病を有する人は、このスリッパを履いて足指を上下に動かすことにより身体全体の血行を促進させることができると共に、足の筋力を強化することにより膝や腰への負担を軽減することができるので、上半身各部位、内臓を含め、疾病のある身体各部位の機能回復を図ることができる。
【0036】
また、請求項13記載の本発明に係る履物は、上記リハビリ器具には、足指の上下方向の運動回数を計測して表示しうるカウンタが備えられていることを特徴とする。
【0037】
即ち、請求項13記載の本発明に係る履物にあっては、足指を上下方向に動かした場合に、その運動の動作回数を上記カウンタが計測して表示することができる。従って、使用者は運動回数を認識してリハビリを行い、足指の運動が足らないか、十分であるかを即座に判別することができ、足らない場合は更に運動を続行することにより補足することができるので、リハビリ効果を上げることができる。
【発明の効果】
【0038】
請求項1記載の本発明に係る履物は、底部の前端部に足の指先が下方へ屈曲しうる空隙部が設けられ、上記空隙部には足の指先を屈曲する際に弾性変形すると共に足指に対し反発力を付与しうる弾性部材が設けられていることから、足指を下方へ屈曲した場合に足指を上記空隙部に収容することができるので、足指を下方に折り曲げ、地面を掴むような運動させることができる。
また、足指を下方へ屈曲させて上記弾性部材を変形させた場合に反発力が得られ、足指に負荷がかかるので、足指を下方へ屈曲する運動を繰り返し行うことにより、足の血行を良好にして足指の筋力を強化し、足指の機能障害の治癒と予防を行うことができる。
また、足は全身の神経が集まっている部位であることから、足指の運動を行うことにより、膝や腰の障害を予防又は治癒することができ、さらには全身の血行を良好にして健康を増進させることができる。
また、スポーツ時には、足指により地面を掴むように足指を動かすことができ、運動時の様々な動作の際に、しっかりと地面を確保することができるため、身体を確実に地面に対して固定させることができ、足の力を確実に地面に伝達することができる。
その結果、走る、跳ぶ、打つ、というスポーツの基本動作を良好な運動効率により行うことができる。
【0039】
また、請求項2記載の本発明に係る履物は、上記底部はインソールとミッドソールを有すると共に、上記インソールとミッドソールの間に衝撃吸収部材が配置され、上記衝撃吸収部材の先端部が切欠れることにより上記空隙部が形成されていることから、従来とは異なり、靴としての構成部材であるインソールとミッドソールとの間に上記空隙部を設け弾性部材を配設することができることから、確実に足指を折り曲げる運動をさせる空間を確保することができる。
また、インソールとミッドソールの間に衝撃吸収部材が設けられていることから歩行や走行の際の衝撃を有効に吸収し、歩きやすく走りやすい靴を提供することができる。
【0040】
また、請求項3記載の本発明に係る履物は、上記弾性部材は、上面部が上方へ突出して先端側が傾斜するように形成され、ミッドソールの幅方向に沿って接着により固定されていることから、上記弾性部材の傾斜に沿って足指を下方へ容易に屈曲させることができる。また、上記弾性部材がミッドソールに接着により固定されるので、上記従来例のように底部に凹所を設けて弾性部材を埋設するような煩雑がなく、上記弾性部材の固定が容易で製造コストを低減することができる。
【0041】
また、請求項4記載の本発明に係る履物は、上記弾性部材は上記インソールにより上方を被覆されることから、上記弾性部材がインソールより上方へ突出することがなく、足指の運動空間を制約することがない。従って、足指を十分に上下方向へ運動させることができ、また、着用した場合に窮屈感がなく履き心地が良好である。また、上記インソールは足指を下方へ屈曲した場合に容易に変形しうる柔軟な素材により形成されていることから、足指の屈曲運動を支障無くスムースに行うことができる。また、サンダルのような底部の先端部が露出する履物では、上記弾性部材がインソールにより隠蔽されるので見栄えが良好となる。
【0042】
また、請求項5記載の本発明に係る履物は、上記弾性部材は足指の屈曲時に、足指により適度な圧力で圧迫された場合に変形しうる程度の剛性を備えた合成ラテックスにより形成されていることから、足指の屈曲時に足指の筋力を強化するための上記弾性部材を容易に形成することができる。
【0043】
また、請求項6記載の本発明に係る履物にあっては、上記合成ラテックスの代わりに可撓性板を有するバネが履物の前端部に配置されていることから、上記同様の効果を得ることができる。
請求項7記載の履物は革靴であることから、日常に外出して歩行する際に、足指の運動を十分に行うことができると共に、歩行しながら足指、脹脛、脚のすね部の筋力をごく自然に強化することができる。
【0044】
また、請求項8記載の本発明に係る履物はスポーツシューズであることから、運動者は着用することにより、運動時に、走る、跳ぶ、打つ等のスポーツにおける基本動作を行う際に、足指を曲げることにより確実に地面を掴む動作を行うことができ、その結果、身体を充分に地面に対して固定することができるため、走る、跳ぶ、打つ等の運動の基本動作を円滑に、かつ運動効率よく行うことができる。
【0045】
また、請求項9記載の本発明に係る履物はサンダルであることから、革靴の場合よりも、より気軽に外出して歩行する際、足指の運動を十分に行うことができると共に、より気軽に足指の運動を行い、足の筋力を強化し、健康を増進することができる。
【0046】
また、請求項10記載の本発明に係る履物はスリッパであることから、室内においてスリッパを履いて生活する中でも足指の運動を十分に行うことができると共に、より気軽に足指の運動を行い、足の筋力を強化し、健康を増進することができる。
【0047】
また、請求項11記載の本発明に係る履物はリハビリ用具として使用されることから、健常者の足の病気予防のみでなく、外反母趾等の足の疾病を既に有する人でも、足の機能回復を図ることができる。
即ち、足指を曲げる動作を繰り返し行うことにより、足の血行を良好にすると共に、足の筋肉そのものを増強し、脹脛及びすね側の筋肉を増強することができ、足の筋肉を増強することにより足の機能を増大させることができる。
その結果、膝への負担を軽減すると共に腰への負担も軽減し、下半身の機能を全体として良好にすることができる。
さらに、多くの神経が集まっている脹脛の機能が増大することから、全身の血行を良好にし、循環器系の疾患を予防し、再発を防止することができる。
従って、本請求項に係るリハビリ器具を使用して足指の屈曲運動を繰り返すのみで、日常生活の中で手軽にかつ自然に健康回復及び健康増進を図ることができる。
【0048】
また、請求項12記載の本発明に係る履物は、上記リハビリ器具は、底部の前端部に足の指先が下方へ屈曲しうる空隙部が設けられ、上記空隙部には足の指先を屈曲する際に弾性変形すると共に足指に対し反発力を付与しうる弾性部材が設けられているスリッパとして形成されていることから、室内においても上記スリッパを履いて足指を上下に動かすことにより足指が十分な運動を行うことができるので、足の筋力強化に効果的である。特に、足指を上方へ動かすことにより脚の脛側の筋力を鍛えることができ、足指を下方へ動かすことにより脚の脹脛側の筋力を鍛えることができる。
従って、足、膝、腰等に疾病を有する人は、このスリッパを履いて足指を上下に動かすことにより身体全体の血行を促進させることができると共に、足の筋力を強化することにより膝や腰への負担を軽減することができるので、疾病した身体各部位の機能回復を図ることができ、顕著なリハビリ効果を得ることができる。
【0049】
また、請求項13記載の本発明に係る履物は、上記リハビリ器具には、足指の上下方向の運動回数を計測して表示しうるカウンタが備えられていることから、上記履物の着用者は上記カウンタにより計測され足指の動作回数を認識することができ、その回数が足りない場合は更に足指の運動を続行することができるので、足指の運動を十分に行って健康増進を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態に係る履物11は、図1及び図3〜図6に示すように、底部17の前端部に足の指先が下方へ屈曲しうる空隙部21が設けられ、上記空隙部21には足の指先を屈曲する際に弾性変形すると共に足指に対し反発力を付与しうる弾性部材22が設けられている。
また、上記履物11の底部17は、図1及び図3〜図6に示すように、インソール18とミッドソール14を有すると共に、上記インソール18とミッドソール14の間に衝撃吸収部材19が配置され、上記衝撃吸収部材19の先端部が切欠かれることにより上記空隙部21が形成されている。
また、上記弾性部材22は、図1及び図3〜図6に示すように、上面部が上方へ突出して先端側が傾斜するように形成され、図2に示すように、ミッドソール14の幅方向に沿って接着により固定されている。
また、上記弾性部材22は、図3に示すように、上記インソール18により上方を被覆され、上記インソール18は足指を下方へ屈曲した場合に変形しうる柔軟な素材により形成されている。
また、上記弾性部材22は足指の屈曲時に、足指により適度な圧力で圧迫された場合に変形しうる程度の剛性を備えた合成ラテックス33により形成されている。
また、上記履物11は本実施形態では、図1〜図3に示すように、革靴12として構成されている。しかしながら、図4に示すように、上記履物11がスポーツシューズ25として構成される実施形態、図5に示すように、サンダル26として構成される実施形態、又は図5及び図7に示すように、スリッパ27として構成される実施形態も可能である。
また、上記履物11は、図6及び図7に示すように、リハビリ器具28として構成されている。
また、上記リハビリ器具28は、図6に示すように、底部17の前端部に足の指先が下方へ屈曲しうる空隙部21が設けられ、上記空隙部21には足の指先を屈曲する際に弾性変形すると共に足指に対し反発力を付与しうる弾性部材22が設けられているスリッパ27として形成されている。
また、上記リハビリ器具28には、図6及び図7に示すように、足指の上下方向の運動回数を計測して表示しうるカウンタ29が備えられている。
【実施例1】
【0051】
図1〜図3は実施例1に係る履物11を示したものであり、この履物11は革靴12として形成されている。
【0052】
上記革靴12はセメント式により形成されている。
即ち、甲皮を裁断し、上記甲皮を縫い纏めて製甲することによりアッパー13を形成し、木型の底面にミッドソール14を仮り止めしてから、上記木型に上記製甲したアッパー13を被せて釣り込みし、上記アッパー13の底面を起毛し、中物15を上記中底14の外側に入れ、最後にアウトソール16を接着することにより製造されている。
なお、上記革靴12の製法は自由であり、上記セメント式に限定されず、他の製法、例えばグッドイヤー・ウェルト式、マッケイ式、カリフォルニア式等の方法で製造することも勿論可能である。
【0053】
上記革靴12は、上記革靴12の底部17は、図1及び図3に示すように、上記ミッドソール14の他に、上記アウトソール16、インソール18及び衝撃吸収部材19を用いて構成されている。
【0054】
上記衝撃吸収部材19は合成樹脂の繊維により立体網状に形成され適宜な厚さを有している。なお、この衝撃吸収部材19には「フローリアン(商品名)」が使用されている。
【0055】
上記衝撃吸収部材19は、図2に示すように、前端部が切欠かれ(符号20がその切欠部を示す)、上記ミッドソール14の上面側に接着により固定されている。従って、図1及び図3に示すように、上記衝撃吸収部材19の前方でミッドソール14の上方には空隙部21が形成されている。この空隙部21は、下方へ折り曲げた足指を収容可能なスペースを有するように形成されている。
【0056】
上記ミッドソール14は通気性、吸放湿性、耐水性、耐汗性等に優れたパルプボードにより形成されている。また、その下面側にはシャンク(図示せず)が固着されている。なお、ミッドソール14の素材は自由であり、天然皮革やレザーボードを素材として用いることも可能である。
【0057】
上記空隙部21には、図1〜図3に示すように、弾性部材22がミッドソール14の幅方向に沿って配置されている。この弾性部材22は合成ラテックス33により形成され、上面部が上方へ膨出して先端側に傾斜部23を有し、平面形状が図2に示すように略三日月形となるように形成されている。
なお、上記弾性部材22は同一素材のシート24を介して上記ミッドソール14の上面部に接着により固定されている。なお、上記シート24は上記弾性部材22と一体に形成することも可能である。
【0058】
上記弾性部材22は適度な剛性を有し、図3に示すように、足指で押した場合に反発力を得ることができる。従って、足指を下方へ動かした場合に適度な負荷が足指にかかることになり、足指を繰り返し下方へ折り曲げると足指の筋力を鍛えることができる。
【0059】
上記衝撃吸収部材19は、図1及び図3に示すように、上方を上記インソール18により被覆されている。このインソール18は前端部が上記衝撃吸収部材19のように切欠かれていないので、上記空隙部21及び上記弾性部材22も上方を上記インソール18により被覆され、隠蔽された状態にされている。
【0060】
上記インソール18は柔軟性を有する素材により形成され、図3に示すように、足指34を下方へ折り曲げた場合に、足指34に押されて下方へ折れ曲がることにより上記空隙部21に没入するように構成されている。従って、足指34を下方へ曲げた場合に、その足指34を上記空隙部21に収容することができる。
なお、上記インソール18は、その上面全体若しくは後ろ半分を中敷(図示せず)により被覆することも可能である。
【0061】
上記アウトソール16は合成ゴムにより形成され、上記ミッドソール14の下側に上記中物15を挟んで被覆されている。
なお、アウトソール16の素材は自由であり、天然皮革、合成皮革、又は天然ゴム等を用いることも可能である。
【0062】
上記中物15はコルクボード、コルク、樹脂スポンジ、革、ウールフェルト等により形成されているが、この中物15は省略することも可能である。
【0063】
上記アッパー13は天然若しくは合成皮革により構成されている。
【実施例2】
【0064】
次に、図4は実施例2に係る履物11を示したものであり、この履物11はスポーツシューズ25として形成されている。
なお、このスポーツシューズ25には、野球、ゴルフ、サッカー、テニス、陸上競技等、すべてのスポーツ用の靴が含まれる。
【0065】
上記スポーツシューズ25の底部17は、図4に示すように、インソール18、ミッドソール14、衝撃吸収部材19、及びアウトソール16により構成され、当該底部17にアッパー13が接続されている。
なお、該スポーツシューズ25ではミッドソール14とアウトソール16の間に上記中物15が入れられていないが、中物15を入れて底部17を構成してもよい。
【0066】
上記インソール18、ミッドソール14、衝撃吸収部材19、アウトソール16、及びアッパー13の素材は、上記実施例1の革靴12と同様なので説明は省略する。
【0067】
上記衝撃吸収部材19は前端部が切欠かれ(符号20がその切欠部を示す)、上記ミッドソール14の上面側に接着により固定されている。従って、上記衝撃吸収部材19の前方でミッドソール14の上方には空隙部21が形成されている。
【0068】
上記空隙部21には、図4に示すように、合成ラテックス33で形成された弾性部材22がミッドソール14の幅方向に沿って配置されている。この弾性部材22も、上面部が上方へ膨出して先端側に傾斜部23を有し、平面形状が上記実施例1の弾性部材22と同様に略三日月形となるように形成されている。
なお、本実施例2では上記実施例1で用いられた上記シート24が使用されていないが、該シート24を用いることも可能である。
【0069】
上記弾性部材22は適度な剛性を有し、足指で押した場合に反発力を得ることができる。従って、足指を下方へ動かした場合に適度な負荷がかかることになる。
【0070】
上記衝撃吸収部材19は、図4に示すように、上方を上記インソール18により被覆されている。このインソール18は前端部が上記衝撃吸収部材19のように切欠かれていないので、上記空隙部21及び上記弾性部材22も上方を上記インソール18により被覆され、隠蔽された状態にされている。
【0071】
上記インソール18は柔軟性を有する素材により形成され、上記実施例1と同様に、足指を下方へ折り曲げた場合に、足指に押されて下方へ折れ曲がることにより上記空隙部21に没入する。従って、足指を下方へ曲げた場合に、その足指を上記空隙部21に収容することができる。
なお、上記インソール18は、その上面全体若しくは後ろ半分を中敷(図示せず)により被覆することも可能である。
【実施例3】
【0072】
次に、図5は実施例3に係る履物11を示したものであり、この履物11はサンダル26として形成されている。
【0073】
上記サンダル26の底部17は、図5に示すように、インソール18、ミッドソール14、衝撃吸収部材19、及びアウトソール16により構成され、当該底部17にアッパー13が接続されている。
なお、上記アッパー13は上記実施例1の革靴12や上記実施例2のスポーツシューズ25のように足の甲全体を被覆しうる形状は有しておらず、甲の一部のみを被覆しうる形状に形成されている。
【0074】
上記インソール18、ミッドソール14、衝撃吸収部材19、アウトソール16、及びアッパー13の素材は、上記実施例1の革靴12と同様なので説明は省略する。
【0075】
上記衝撃吸収部材19は、図5に示すように、前端部が切欠かれ(符号20がその切欠部を示す)、上記ミッドソール14の上面側に接着により固定されている。従って、上記衝撃吸収部材19の前方でミッドソール14の上方には空隙部21が形成されている。
【0076】
上記空隙部21には、図5に示すように、合成ラテックス33で形成された弾性部材22がミッドソール14の幅方向に沿って配置されている。この弾性部材22も、上面部が上方へ膨出して先端側に傾斜部23を有し、平面形状が上記実施例1の弾性部材22と同様に略三日月形となるように形成されている。
【0077】
上記弾性部材22は適度な剛性を有し、足指で押した場合に反発力を得ることができる。従って、足指を下方へ動かした場合に適度な負荷がかかることになる。
【0078】
上記衝撃吸収部材19は、図5に示すように、上方を上記インソール18により被覆されている。このインソール18は前端部が上記衝撃吸収部材19のように切欠かれていないので、上記空隙部21及び上記弾性部材22も上方を上記インソール18により被覆され、隠蔽された状態にされている。
【0079】
上記インソール18は柔軟性を有する素材により形成され、上記実施例1と同様に、足指を下方へ折り曲げた場合に、足指に押されて下方へ折れ曲がることにより上記空隙部21に没入する。従って、足指を下方へ曲げた場合に、その足指を上記空隙部21に収容することができる。
なお、上記インソール18は、その上面全体若しくは後ろ半分を中敷(図示せず)により被覆することも可能である。
【実施例4】
【0080】
次に、図6及び図7は実施例4に係る履物11を示したものであり、この履物11はスリッパ27として形成されている。
また、このスリッパ27はリハビリ器具として使用されうるように構成されている。
【0081】
上記スリッパ27の底部17は、図6に示すように、インソール18、ミッドソール14、衝撃吸収部材19、及びアウトソール16により構成され、当該底部17にアッパー13が接続されている。
なお、上記アッパー13は上記実施例1の革靴12や上記実施例2のスポーツシューズ25のように足の甲全体を被覆しうる形状は有しておらず、足の前半部のみを挿入しうる略袋状に形成されている。
【0082】
上記インソール18、ミッドソール14、衝撃吸収部材19、アウトソール16、及びアッパー13の素材は、上記実施例1の革靴12と同様なので説明は省略する。
【0083】
上記衝撃吸収部材19は、図6に示すように、前端部が切欠かれ(符号20がその切欠部を示す)、上記ミッドソール14の上面側に接着により固定されている。従って、上記衝撃吸収部材19の前方でミッドソール14の上方には空隙部21が形成されている。
【0084】
上記空隙部21には、図6に示すように、合成ラテックス33により形成された弾性部材22がミッドソール14の幅方向に沿って配置されている。この弾性部材22も、上面部が上方へ膨出して先端側に傾斜部23を有し、平面形状が上記実施例1の弾性部材22と同様に略三日月形となるように形成されている。
【0085】
上記弾性部材22は適度な剛性を有し、足指で押した場合に反発力を得ることができる。従って、足指を下方へ動かした場合に適度な負荷がかかることになる。
【0086】
上記衝撃吸収部材19は、図6に示すように、上方を上記インソール18により被覆されている。このインソール18は前端部が上記衝撃吸収部材19のように切欠かれていないので、上記空隙部21及び上記弾性部材22も上方を上記インソール18により被覆され、隠蔽された状態となっている。
【0087】
上記インソール18は柔軟性を有する素材により形成され、上記実施例1と同様に、足指を下方へ折り曲げた場合に、足指に押されて下方へ折れ曲がることにより上記空隙部21に没入する。従って、足指を下方へ曲げた場合に、その足指を上記空隙部21に収容することができる。
なお、上記インソール18は、その上面全体若しくは後ろ半分を中敷(図示せず)により被覆することも可能である。
【0088】
上記スリッパ27はリハビリ器具として使用されうるように構成されており、そのリハビリ運動を効果的に行うために、上記スリッパ27には、図6及び図7に示すように、上記アッパー13の外面部にカウンタ29が設置され、このカウンタ29には液晶表示部30が備えられている。
【0089】
上記カウンタ29は、足指を上下方向に動かした場合に、その動作回数を計測しうるように構成されている。
即ち、図6に示すように、上記底部17の空隙部21において、上記インソール18の下面部と上記ミッドソール14の上面部における対向位置に一対の接点スイッチ31,32が配置され、足指を下方へ折り曲げた場合に、上記インソール18も下方へ折り曲がって上記スイッチ31,32同士が接触することによりカウンタ29に信号を送るように構成されている。
【0090】
上記のように回数を数えながら足指を上下方向に動かせば、その足指の運動が足らないか十分であるかが即座に認識され、足らない場合は更に足指の上下運動を続行させることにより、足指に十分な運動を行わせることができる。また、回数が十分であれば、そこで運動を停止することができるので、無理な負荷を足指に与えることがない。
なお、足指を上方へ動かすことにより脚の脛側の筋力を鍛えることができ、足指を下方へ動かすことにより脚の脹脛側の筋力を鍛えることができる。
【0091】
次に、上記実施例の作用について説明する。
上記実施例に係る履物11としての上記革靴12、上記スポーツシューズ25、上記サンダル26及び上記スリッパ27は、図1及び図3〜図6に示すように、底部17の前端部に足の指先が下方へ屈曲しうる空隙部21が設けられていることから、足指の先端部を下方へ折り曲げた場合に、その足指を上記空隙部21に収容することができる。従って、足指を上下方向へ動かす運動が可能となり、この運動を行うことにより血行を促し、健康を増進させることができる。
また、上記空隙部21には、図1〜図6に示すように、足の指先を下方へ屈曲する際に弾性変形すると共に足指に対し反発力を付与しうる弾性部材22が設けられていることから、足指を下方へ折り曲げた場合に上記弾性部材22の反発力を受け、足指の上下運動時に負荷がかかることになる。従って、足指を下方へ折り曲げる運動を繰り返し行うことにより足指の筋力を鍛えることができ、膝痛や腰痛も防ぐことができる。
【0092】
また、上記履物11の底部17は、図1及び図3〜図6に示すように、インソール18とミッドソール14を有すると共に、上記インソール18とミッドソール14の間に衝撃吸収部材19が配置され、上記衝撃吸収部材19の先端部が切欠かれることにより上記空隙部21が形成されることから、底部17に凹部を形成するような煩雑な工程を経ることなく、足指を下方へ折り曲げた場合に足指を収容するための空隙部21を容易に形成することができる。
また、上記弾性部材22は、図1及び図3〜図6に示すように、上面部が上方へ突出して先端側が傾斜するように形成されていることから、その傾斜部23に沿って足指を容易に下方へ折り曲げることができる。また、上記弾性部材22はミッドソール14の幅方向に沿って接着により固定されることから、上記弾性部材22を凹部に埋設して固定するような煩雑な工程が必要ない。
【0093】
また、上記弾性部材22は、図3に示すように、上記インソール18により上方を被覆され、上記インソール18は足指を下方へ屈曲した場合に変形しうる柔軟な素材により形成されていることから、足指を下方へ折り曲げた場合に、上記インソール18も追従して変形するので、足指を支障なく上記空隙部21に収容することができる。また、上記インソール18は上記弾性部材22を隠蔽するので、サンダル26のような底部17の前端部が露出する履物11では見栄えが良好となる。
【0094】
また、上記弾性部材22は足指の屈曲時に、足指により適度な圧力で圧迫された場合に変形しうる程度の剛性を備えた合成ラテックス33により形成されていることから、足指を下方へ折り曲げる運動を行った場合に足指に適度な負荷をかけることができる。
【0095】
また、図4に示すように、上記履物11がスポーツシューズ25として構成されることにより、足指で地面をしっかりと掴むことができるので、走る、跳ぶ、打つ等のスポーツの基本動作を確実に行うことができる。
また、図5に示すように、上記履物11がサンダル26として構成されることにより、気軽に外出するような場合でも、足指の運動を十分に行って、足、膝、腰等の疾病を予防することができる。
また、図6及び図7に示すように、上記履物11がスリッパ27として構成されることにより、室内に居る場合も、足指の運動を十分に行って、足、膝、腰等の疾病を予防することができる。
【0096】
また、上記履物11は、図6及び図7に示すように、リハビリ器具28として構成されることにより、健常者のみでなく、既に足、膝、腰等の疾病を有する人でも、それらの治癒に該履物11を利用することができる。
また、上記リハビリ器具28は、図6に示すように、底部17の前端部に足の指先が下方へ屈曲しうる空隙部21が設けられ、上記空隙部21には足の指先を屈曲する際に弾性変形すると共に足指に対し反発力を付与しうる弾性部材22が設けられているスリッパ27として形成されることにより、足指を上下方向に動かして足指を十分に運動させることにより身体の血行を促進させると共に、足指の筋力を上記弾性部材22の反発力を利用して鍛えることができる。
また、足指を上方へ動かすと、脚の脛側の筋力を鍛えることができ、足指を下方へ動かすと、脚の脹脛側の筋力を鍛えることができるので、足の前後をもれなく鍛えることができ、疾病を有する足の機能回復に極めて効果的である。
【0097】
また、上記リハビリ器具28には、図6及び図7に示すように、足指の上下方向の運動回数を計測して表示しうるカウンタ29が備えられていることから、使用者はカウンタ29に表示された数字を見て、足指の上下方向の運動回数を容易に認識することができる。従って、足指の上下運動が足らないか、十分であるかを即座に認識することができ、足らない場合は足指の運動を続行することができるので、極めて効果的に足指の運動を行うことができる。
なお、上記実施例にあっては、合成ラテックスにより形成された弾性部材を例に説明したが上記実施例に限定されず、可撓性を有すると共に一定の剛性を有する合成樹脂素材により形成され、ミッドソール14の前端部においてインソール18の下方に配置され、上記ミッドソール14の幅方向に沿って配置された所定幅の板バネ部材により形成されていてもよく上記実施例に限定されない。
このように板バネにより弾性部材が形成された場合には、上記合成ラテックスにより構成された場合に比して、より反発力が強く、足指の筋肉をより鍛えられる、リハビリ効果の高い履物が提供される。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、すべての履物に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施例1に係る革靴の一部を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る革靴の底部の一部を示す平面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る革靴を履いて足指を下方へ曲げた状態を示す一部断面図である。
【図4】本発明の実施例2に係るスポーツシューズの一部を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例3に係るサンダルの一部を示す断面図である。
【図6】本発明の実施例4に係るスリッパの一部を示す断面図である。
【図7】本発明の実施例4に係るスリッパの一部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0100】
11 履物
12 革靴
13 アッパー
14 ミッドソール
15 中物
16 アウトソール
17 底部
18 インソール
19 衝撃吸収部材
20 切欠部
21 空隙部
22 弾性部材
23 傾斜部
24 シート
25 スポーツシューズ
26 サンダル
27 スリッパ
29 カウンタ
30 液晶表示部
31 スイッチ
32 スイッチ
33 合成ラテックス
34 足指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部の前端部に足の指先が下方へ屈曲しうる空隙部が設けられ、上記空隙部には足の指先を屈曲する際に弾性変形すると共に足指に対し反発力を付与しうる弾性部材が設けられていることを特徴とする履物。
【請求項2】
上記底部はインソールとミッドソールを有すると共に、上記インソールとミッドソールの間に衝撃吸収部材が配置され、上記衝撃吸収部材の先端部が切欠かれることにより上記空隙部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の履物。
【請求項3】
上記弾性部材は、上面部が上方へ突出して先端側が傾斜するように形成され、ミッドソールの幅方向に沿って接着により固定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の履物。
【請求項4】
上記弾性部材は上記インソールにより上方を被覆され、上記インソールは足指を下方へ屈曲した場合に変形しうる柔軟な素材により形成されていることを特徴とする請求項1〜3記載の履物。
【請求項5】
上記弾性部材は足指の屈曲時に、足指により適度な圧力で圧迫された場合に変形しうる程度の剛性を備えた合成ラテックスにより形成されていることを特徴とする請求項1〜4記載の履物。
【請求項6】
上記弾性部材は可撓性を有する板バネ部材により構成されていることを特徴とする請求項1〜4記載の履物。
【請求項7】
革靴として構成されているを特徴とする請求項1〜6記載の履物。
【請求項8】
スポーツシューズとして構成されていることを特徴とする請求項1〜6記載の履物。
【請求項9】
サンダルとして構成されていることを特徴とする請求項1〜6記載の履物。
【請求項10】
スリッパとして構成されていることを特徴とする請求項1〜6記載の履物。
【請求項11】
リハビリ器具として構成されていることを特徴とする請求項1〜6記載の履物。
【請求項12】
上記リハビリ器具は、底部の前端部に足の指先が下方へ屈曲しうる空隙部が設けられ、上記空隙部には足の指先を屈曲する際に弾性変形すると共に足指に対し反発力を付与しうる弾性部材が設けられているスリッパ状に形成されていることを特徴とする請求項11記載の履物。
【請求項13】
上記リハビリ器具には、足指の上下方向の運動回数を計測して表示しうるカウンタが備えられていることを特徴とする請求項11又は12記載の履物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−230802(P2006−230802A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−51681(P2005−51681)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(505072166)株式会社東仙 (1)
【Fターム(参考)】