説明

工作機械用制御装置

【課題】工作機械で生じる熱変位量を算出処理する処理負担を軽減するとともに処理速度の低下を回避し、しかもワークの加工精度向上を実現する工作機械用制御装置を提供すること。
【解決手段】逐次解析制御部110、事前解析制御部120、補正値算出部130、変化量算出部140及びモード切換部150を備え、工作機械Mの構成部分に発生する熱変位量に基づいて補正された加工プログラムを実行して工作機械Mを動作させ、ワークWに対する高精度な加工を実現する工作機械用制御装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NC自動旋盤装置等の工作機械を制御する工作機械用制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、加工プログラムを実行する際に順次算出される補正量として、例えば工作機械の熱変位量に対する補正量が知られており、前記熱変位量を飽和熱変位量に到達するまで演算し、熱変位量が飽和熱変位量に到達するまでは、逐次熱変位量を補正量として使用し、熱変位量が飽和熱変位量に到達した後には飽和熱変位量を補正量として使用する工作機械の制御装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
また、ワークの加工プログラムを1行ずつ読み込んで実行する逐次解析制御手段と、前記加工プログラムを予め一括して解読し、予め定められた形式に変換して実行する事前解析制御手段とを備え、前記逐次解析制御手段又は事前解析制御手段によって工作機械の動作を制御する数値制御装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−143217号公報(特許請求の範囲、図1乃至図3参照。)
【特許文献2】特開2002−341912号公報(特許請求の範囲、図1乃至図3参照。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の工作機械の制御装置では、飽和熱変位量を予め計測したり、算出したりする必要があり、熱変位の補正を容易に行うことができないという問題点があった。
一方事前解析制御手段は、一般的に逐次解析制御手段に比較して高速に工作機械の動作を制御することができるが、上記熱変位の補正を行う必要がある場合、例えばワークの加工1サイクル毎に、熱変位の補正値(熱変位補正量)に基づき加工プログラムを、解読して変換し、実行データを作成することになるため、処理速度の低下を招く場合があり、事前解析制御手段の実行の際に熱変位の補正を行うことは容易ではないという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、工作機械で生じる熱変位量を補正し、処理速度の低下を回避して、ワークの加工精度向上を実現する工作機械用制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
まず、本請求項1の発明に係る工作機械用制御装置は、ワークの加工プログラムを1行ずつ読み込んで実行する逐次解析制御手段と、前記加工プログラムを予め一括して解読し、予め定められた形式に変換して実行する事前解析制御手段と、前記加工プログラムを実行する際の補正量を順次算出する補正量算出手段とを設け、該補正量算出手段によって算出された補正量に基づき、前記加工プログラムを実行し、工作機械の動作を制御する工作機械用制御装置において、前記補正量の変化量を順次算出する変化量算出手段と、前記事前解析制御手段と逐次解析制御手段とを相互に切り換えるモード切換手段とを設け、該モード切換手段が、前記変化量が、予め定められた所定の範囲内の場合に前記事前解析制御手段を作動させ、前記変化量が前記範囲外の場合に、前記逐次解析制御手段を作動させるように構成され、前記事前解析制御手段が、前記変化量が所定範囲内となる補正量に基づき前記変換を行い、事前解析制御手段の継続中、再変換を行わないように構成されることにより、前述した課題を解決したものである。
【0007】
そして、本請求項2に係る発明は、請求項1に係る工作機械用制御装置において、前記補正量算出手段が、工作機械の熱変位に応じた熱変位補正量を算出することにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0008】
そして、本請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る工作機械用制御装置において、前記モード切換手段が、事前解析制御手段と逐次解析制御手段とを、1加工サイクルの開始時に切り換えるように構成されたことにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0009】
そして、本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに係る工作機械用制御装置において、前記モード切換手段が、前記逐次解析制御手段から事前解析制御手段に切り換えた後、予め定められた所定時間内に、前記事前解析制御手段から逐次解析制御手段に切り換えた場合に、逐次解析制御手段を、予め定められた所定の逐次解析実行時間継続して作動させる逐次解析継続作動手段を備えることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に係る工作機械用制御装置は、予め補正量の飽和値を計測したり、演算したりすることなく、補正量の変化量に応じて事前解析制御手段と逐次解析制御手段とを切り換えて作動させることによって、ワークの加工精度を向上させることができるとともに、事前解析制御手段の継続中、加工プログラムの再変換を行わないことによって、事前解析制御手段によるワークの加工時間短縮を図ることができる。
【0011】
そして、本請求項2に係る工作機械用制御装置は、請求項1に係る工作機械用制御装置が奏する効果に加えて、前記補正量算出手段が、工作機械の熱変位に応じた熱変位補正量を算出するため、予め飽和熱変位量の計測や演算を行うことなく、容易に熱変位量を補正して工作機械の動作を制御して高精度でワークを加工することができる。
【0012】
そして、本請求項3に係る工作機械用制御装置は、請求項1又は請求項2に係る工作機械用制御装置が奏する効果に加えて、前記モード切換手段が、事前解析制御手段と逐次解析制御手段とを、1加工サイクルの開始時に切り換えるように構成されたため、高速且つ高精度で工作機械を制御し、ワークを高精度で加工することができる。
【0013】
そして、本請求項4に係る工作機械用制御装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに係る工作機械用制御装置が奏する効果に加えて、前記逐次解析制御手段と事前解析制御手段との切り換えが頻繁に発生して、事前解析制御手段による加工プログラムの変換が頻発することを防止し、加工時間を更に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例に係る工作機械用制御装置の構成を示したブロック図。
【図2】工作機械の加工プログラム及び解析モードを時間軸に沿って示したテーブル。
【図3】本発明の実施例に係る工作機械用制御装置の制御フローを示したフローチャート。
【図4】本発明の実施例に係る工作機械用制御装置の制御フローを示したフローチャート。
【図5】熱変位量、ワーク寸法及び補正値の時間変化グラフと解析モードのタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施例に係る工作機械用制御装置100を説明する。図1に示すように、本発明の実施例に係る工作機械用制御装置100は、逐次解析制御部110と、事前解析制御部120と、補正量算出部130と、変化量算出部140と、モード切換部150とを備え、工作機械Mを制御する。工作機械Mは、例えば、複数のワークを連続して加工する工作機械、例えば棒材を加工する自動旋盤などが想定され、主軸M1、主軸Z軸モータM2、Z軸ボールねじM3、加工工具M4、刃物台M5、X軸ボールねじM6及び刃物台X軸モータM7を備える。
【0016】
工作機械用制御装置100が、予め記憶された加工プログラムに基づき、主軸Z軸モータM2を回転制御し、主軸M1をZ軸ボールねじM3に沿ってZ軸方向に移動させるとともに、刃物台X軸モータM7を回転制御し、刃物台M5をX軸ボールねじM6に沿ってX軸方向に移動させることによって、工作機械Mは、ワークWを加工することができる。
【0017】
一般的に前記工作機械MによるワークWの加工時には、各モータの回転やボールネジの摩擦等により熱が発生し、この熱に起因するボールネジの伸び等により加工誤差(熱変位)が発生する。これに対して、本工作機械用制御装置100は、前記補正量算出部130によって、前記変位(熱変位)を補正する熱変位補正量を補正値として算出し、前記変化量算出部140によって補正値(補正量)の変化量を算出するように構成されている。
【0018】
本実施形態において補正量算出部130は、図2に示されるように、ワークWの加工サイクルとは無関係に、一定周期で補正値を順次算出し、この補正値が不図示のレジスタ等のメモリに格納される。前記補正値は工作機械側の温度や熱変位量等に基づき算出される。なお前記補正値の算出方法等は公知であるため詳細な説明は割愛する。
【0019】
前記変化量算出部140は、図3に示されるように、補正量算出部130より補正値が算出されたか否かを判定し(ステップS101)、補正値が算出されている場合は、補正値を取得し(ステップS102)、取得した補正値に基づき変化量を算出する(ステップS103)。変化量は、時間的に相前後して算出された補正量同士の差分や、移動平均等によって算出することができる。
【0020】
次に前記変化量が所定の範囲内か否かを判定し(ステップS104)、変化量が所定の閾値(範囲)内に収まっている場合、事前解析フラグをセットする(ステップS105)。ステップS104において、変化量が所定の範囲内に収まっていない(閾値外)場合は、事前解析フラグがセットされているか否かを判定し(ステップS106)、事前解析フラグがセットされていない場合は、フローをリターンし、事前解析フラグがセットされていた場合は、事前解析フラグをリセットしてフローをリターンする。
【0021】
以上により補正値に応じて、補正値の変化量が順次算出され、変化量に応じて事前解析フラグのセットとリセットが行われる。なお前記補正値が、ワークWの加工サイクルとは無関係に出力されるため、事前解析フラグもワークWの加工サイクルとは無関係にセット又はリセットされる。
【0022】
前記工作機械用制御装置100は、前記逐次解析制御部(逐次解析制御手段)110によって、加工プログラムを1行ずつ読み込んで実行し、前記各モータを制御する逐次解析モードと、事前解析制御部(事前解析制御手段)120によって、加工プログラムを予め一括して解読し、予め定められた形式に変換し、変換されたプログラムにより前記各モータを制御する事前解析モードとを備えている。前記逐次解析モードと事前解析モードとは、前記モード切換部150によって切り換えられて択一的に設定され、前記工作機械用制御装置100は、逐次解析モードと事前解析モードのいずれかによってワークWの加工制御を行う。
【0023】
モード切換部150は、図4に示すように、ステップS210でセットされ、ステップS207でOFFされる逐次解析継続フラグがセットされているか否かを判定し(ステップS201)、逐次解析継続フラグがセットされていない場合には、前記事前解析フラグがセットされているか否かを判定する(ステップS202)。
【0024】
事前解析フラグがセットされている場合は、逐次解析モードが設定されているか否かを判定し(ステップS203)、逐次解析モードが設定されている場合には事前解析制御部120に事前解析を実行させ、事前解析の演算を行い(ステップS204)、事前解析モードに設定する(ステップS205)。逐次解析モードが設定されていない場合には、直接ステップS205を実行し、事前解析の再演算を行うことなく事前解析モードの設定を継続する。
【0025】
一方ステップS202において、事前解析フラグがセットされていない場合には、事前解析モードが設定されているか否かを判定し(ステップS208)、事前解析モードが設定されていた場合には、事前解析モードが一定時間継続して設定されているか否かを判定する(ステップS209)。
【0026】
事前解析モードが一定時間継続して設定されていた場合には、逐次解析モードを設定し(ステップS211)、事前解析モードが一定時間継続して設定されていなかった場合には、前記逐次解析継続フラグをセットし(ステップS210)、ステップS211で逐次解析モードを設定する。ステップS208において、事前解析モードが設定されていなかった場合も、ステップS211で逐次解析モードを設定し、逐次解析モードを継続する。
【0027】
ステップS201において、逐次解析継続フラグがセットされている場合には、逐次解析モードが一定時間継続して設定されているか否かを判定する(ステップS206)。逐次解析モードが一定時間継続して設定されていると判定された場合には、逐次解析モードを継続する前記逐次解析継続フラグをリセットし(ステップS207)、ステップS202を実行する。ステップS206で逐次解析モードが一定時間継続して実行されていないと判定された場合にはステップS211を実行する。モード切換部150は、工作機械MによるワークWの加工動作が終了するまで、ワークWの加工1サイクルの終了毎に、ステップS201乃至S211を繰り返し実行する。
【0028】
上記モード切換部150の作動によって、工作機械用制御装置100は、ワークWの加工1サイクル終了の際に、前記変化量算出部140によって事前解析フラグがセットされている場合に事前解析モードが設定され、事前解析フラグがセットされていない場合に逐次解析モードが設定される。
【0029】
ただし事前解析モードが予め定められた一定時間経過する前に逐次解析モードに切り換えられると、切り換えられた逐次解析モードは、事前解析フラグのセットとは無関係に、予め定められた所定の逐次解析実行時間継続して設定され続ける。ステップS201,S206,S207によって、逐次解析モードを、前記逐次解析実行時間継続して作動させる逐次解析継続作動手段が機能する。
【0030】
工作機械用制御装置100に逐次解析モードが設定されている場合、前記逐次解析制御部110が、ワークWの加工1サイクル開始時の補正値(例えば図2の補正値A)に基づいて補正しながら、加工プログラムを1行ずつ実行することによって、熱変位が補正され、工作機械Mは、ワークWを高精度に加工することができる。
【0031】
工作機械用制御装置100に事前解析モードが設定されている場合、前記事前解析制御部120によって変換されるプログラムにより、工作機械Mは、工作機械用制御装置100に逐次解析モードが設定されている場合に比較して、ワークWを高速で加工することができる。事前解析制御部120による加工プログラムの変換演算を、補正値の変化量が前記閾値内となる最新の補正値(例えば図2の補正値F)に基づいて実行することによって、事前解析モードにおいて熱変位が補正され、ワークWの加工精度も高精度に維持される。なお事前解析制御部120による加工プログラムの変換演算の際に用いる補正値は、前記変化量が前記閾値内となる補正値であれば、前記最新の補正値の他、前記変化量が前記閾値内となる最初の補正値(例えば図2の補正値C)や、変化量が閾値内となる各補正値の平均値等を使用することも考えられる。
【0032】
ただし事前解析モードが継続して設定される場合、工作機械用制御装置100は、いったん事前解析制御部120によって変換されたプログラムを継続的に使用して制御を行うため、図5(a)に示されるように、事前解析制御部120による加工プログラムの変換演算に適用した補正値に対して、熱変位量の変化が増大し、順次算出される補正値の変化量が前記閾値から外れると、ワークWの加工精度が低下し、加工誤差が増大する。
【0033】
これに対して、補正量算出部130による補正値の算出と、変化量算出部140による変化量の算出と事前解析フラグのセット及びリセットが、事前解析モードに設定された後も継続的に実行され続け、工作機械用制御装置100は、図5(b)に示されるように、いったん補正値の変化量が閾値内に収まり、事前解析モードが設定された後も、補正値の変化量が閾値内から外れると逐次解析モードに再度設定され、現時点での補正値に基づく逐次解析モードによって、熱変位量に追従させて、ワークWの加工精度を向上させることができる。
【0034】
これにより工作機械Mによるワークの加工精度を高精度に維持することができ、従って予め飽和熱変位量を計測したり、演算したりすることなく、工作機械用制御装置100に事前解析モードを設定して、事前解析によってワークWの加工の処理速度を向上させることができるとともに、事前解析モードに設定した後、必要に応じて逐次解析モードに再設定することによって、ワークWの加工精度を維持することができる。このため前記閾値は、ワークの設計寸法に対して、加工誤差が許容できる範囲となる値に設定される。
【0035】
事前解析モードによってワークWを加工する場合、逐次解析モードによってワークWを加工する場合に比べてワークWの1加工サイクルあたり所定の割合で処理速度が向上するため、逐次解析モードにおける1加工サイクルのサイクルタイムをt、向上する割合をα%とすると、事前解析モードでワークWを加工することで1加工サイクル当たりα・t/100処理時間を短縮することができる。例えばワークWの1加工サイクルあたり5%で処理速度が向上する場合は、1加工サイクル当たり、0.05t処理時間を短縮することができる。
【0036】
一方、事前解析モードでワークWを加工する場合、加工前に事前解析制御部120による前記事前解析の演算を実行する必要がある。このため演算時間をTとすると、逐次解析モードから事前解析モードに一旦切り替わった後、「T/短縮時間」(サイクル)、事前解析モードで加工を行うことによって、演算時間Tを相殺することができ、「T/短縮時間」サイクル以上の回数、つまり「t・T/短縮時間」以上の時間、事前解析モードで加工を行うことによって、加工時間全体を短縮できる。例えば短縮時間が上記のように0.05tの場合、「t・T/0.05t=T/0.05時間」以上の時間、事前解析モードで加工を行うことによって、加工時間全体を短縮できる。
【0037】
ただし逐次解析モードから事前解析モードに切り換わった後、「t・T/短縮時間」以内に、再度事前解析モードから逐次解析モードに切り換わると、事前解析モードに切り換わる際の演算時間Tを相殺することができず、以降逐次解析モードのままであれば、全体の加工時間はかえって長くなる。
【0038】
「t・T/短縮時間」以内に、事前解析モードから逐次解析モードに切り換わるという状態は、熱変位が安定しないために発生すると考えられるため、前記モード切換部150は、前記ステップS209における一定時間を、「t・T/短縮時間(例えばT/0.05時間)」とし、前記逐次解析継続作動手段によって、「t・T/短縮時間」以内に、事前解析モードから逐次解析モードに切り換わった場合は、事前解析フラグのON,OFFとは無関係に、前記逐次解析実行時間だけ継続して逐次解析モードを実行するように構成されている。
【0039】
これにより逐次解析モードと事前解析モードとの切り換えが頻繁に発生することを防止し、加工時間の増加を規制する。逐次解析実行時間は、熱変位が安定すると考えられる時間であればよく、例えば、t・T/短縮時間の2倍程度に設定することができる。
【符号の説明】
【0040】
100 ・・・ 工作機械用制御装置
110 ・・・ 逐次解析制御部
120 ・・・ 事前解析制御部
130 ・・・ 補正量算出部
140 ・・・ 変化量算出部
150 ・・・ モード切換部
M ・・・ 工作機械
M1 ・・・ 主軸
M2 ・・・ 主軸Z軸モータ
M3 ・・・ Z軸ボールねじ
M4 ・・・ 加工工具
M5 ・・・ 刃物台
M6 ・・・ X軸ボールねじ
M7 ・・・ 刃物台X軸モータ
W ・・・ ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの加工プログラムを1行ずつ読み込んで実行する逐次解析制御手段と、前記加工プログラムを予め一括して解読し、予め定められた形式に変換して実行する事前解析制御手段と、前記加工プログラムを実行する際の補正量を順次算出する補正量算出手段とを設け、該補正量算出手段によって算出された補正量に基づき、前記加工プログラムを実行し、工作機械の動作を制御する工作機械用制御装置において、
前記補正量の変化量を順次算出する変化量算出手段と、前記事前解析制御手段と逐次解析制御手段とを相互に切り換えるモード切換手段とを設け、該モード切換手段が、前記変化量が、予め定められた所定の範囲内の場合に前記事前解析制御手段を作動させ、前記変化量が前記範囲外の場合に、前記逐次解析制御手段を作動させるように構成され、前記事前解析制御手段が、前記変化量が所定範囲内となる補正量に基づき前記変換を行い、事前解析制御手段の継続中、再変換を行わないように構成されることを特徴とする工作機械用制御装置。
【請求項2】
前記補正量算出手段が、工作機械の熱変位に応じた熱変位補正量を算出する請求項1の工作機械用制御装置。
【請求項3】
前記モード切換手段が、事前解析制御手段と逐次解析制御手段とを、1加工サイクルの開始時に切り換えるように構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の工作機械用制御装置。
【請求項4】
前記モード切換手段が、前記逐次解析制御手段から事前解析制御手段に切り換えた後、予め定められた所定時間内に、前記事前解析制御手段から逐次解析制御手段に切り換えた場合に、逐次解析制御手段を、予め定められた所定の逐次解析実行時間継続して作動させる逐次解析継続作動手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の工作機械用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−27946(P2013−27946A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164370(P2011−164370)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(000137856)シチズンマシナリーミヤノ株式会社 (30)
【Fターム(参考)】