説明

平面アンテナ

【課題】例えばRFID関連の機器のアンテナとして、小型で安価に構成することができ、複数周波帯で動作することも可能な平面アンテナを提供する。
【解決手段】誘電体基板12と、誘電体基板12の一つの平面に形成され、一部にギャップを有する第1ループ導体14と、第1ループ導体14の内部に形成され、第1ループ導体から離間した基端部からループ内部の末端部まで延びる第1直線導体16と、を備え、第1直線導体16の基端部と第1ループ導体14との間に平衡給電がなされ、第1ループ導体14が第1周波数のループアンテナのループ放射素子を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばRFID関連の機器のアンテナとして、小型で安価に構成することができ、複数周波帯で動作することも可能な平面アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触ICカードや無線ICタグなどを使用した技術が盛んに使用されるようになっており、例えば、セキュリティ応用として入退出管理やオフィスセキュリティ管理などでの使用が多くなり、据え置き型または機器組み込み型のRFIDリーダライタ機器の用途が広がってきている。
【0003】
RFIDリーダライタ機器用のアンテナとしては、13.56MHzのHF帯用プリントループコイル、950MHz帯用の共振型のダイポールアンテナ、2.45GHz用のパッチアンテナが知られている。
【0004】
従来は、それぞれの帯域用として別個の機器として使用されていたが、これらを一体化したリーダライタ機器が必要不可欠となっており、そのため、複数周波帯域で動作することができ、小型で安価な一体型の平面アンテナの実用化が望まれている。
【0005】
従来の平面リングアンテナとしては、例えば、特許文献1記載のアンテナが知られている。
【0006】
特許文献1記載のものでは、ベース基材上に、13.56MHz用のコイル状のアンテナ部と、アンテナ部を取り囲むように互いに所定の間隔を有して形成された2つのL字型導体からなる2.45GHz用のアンテナ部と、該2.45GHz用アンテナ部の外部にて所定の間隔を有して形成された2つの導体からなる950MHz用のアンテナ部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−252853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、小型で安価に構成することができ、1周波以上の所望の周波数で動作することができる新規な構成の平面ループアンテナを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明による平面アンテナは、
誘電体基板と、
前記誘電体基板の一つの平面に形成され、一部にギャップを有する第1ループ導体と、
第1ループ導体の内部に形成され、第1ループ導体に近接して離間した基端部から前記ギャップに接近するループ内部の末端部まで延びる第1直線導体と、
を備え、第1直線導体の基端部と第1ループ導体との間に平衡給電がなされ、前記第1ループ導体が第1周波数のループアンテナのループ放射素子を構成する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の平面アンテナにおいて、前記第1直線導体が第1周波数とは異なる第2周波数で動作するモノポールアンテナの放射素子を構成する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の平面アンテナにおいて、前記誘電体基板の他方の面上に形成され、前記アンテナとは異なる周波数帯で動作し電磁誘導方式による伝送を行うコイル状導体が形成される、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の平面アンテナにおいて、前記誘電体基板の他方の面上に形成され、一部に第2ギャップを有し、第1ループ導体と導通する第2ループ導体をさらに備える、ことを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の平面アンテナにおいて、前記第1ループ導体と前記第2ループ導体との間に配置されて、前記アンテナとは異なる周波数帯で動作し電磁誘導方式による伝送を行うコイル状導体をさらに備える、ことを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の平面アンテナにおいて、前記第2ループ導体の内部に形成され、第2ループ導体に近接して離間した基端部から前記第2ギャップに接近するループ内部の末端部まで延びる第2直線導体をさらに備える、ことを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の平面アンテナにおいて、第2直線導体の基端部と第2ループ導体との間に平衡給電がなされ、前記第1ループ導体が第1周波数のループアンテナのループ放射素子を構成し、前記第2直線導体が第1周波数とは異なる第2周波数で動作するモノポール放射素子を構成する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の平面アンテナにおいて、前記誘電体基板に所定距離離反して該基板に略平行に金属反射板が配置される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、小型で安価に構成することができる平面アンテナを実現することができる。また、第1ループ導体がループアンテナのループ放射素子を構成し、直線導体がモノポールアンテナの放射素子として構成することで、2周波で動作するアンテナとして構成することができる。さらに電磁誘導方式による伝送を行うコイル状導体を設けることで、2周波以上で動作するアンテナとして構成することができる。コイル状導体を第1ループ導体と第2ループ導体の間に挟むことで、第1ループ導体と第2ループ導体をグランドしたときの、電磁誘導方式のコイル状導体に対する静電シールドを行うことができる。そのため、コイル状導体の電力を大きくしたときにも、遠方の電界を減衰させることができ、コイル状導体による電界が周囲に与える影響を低減することができる。
【0018】
また、本発明の平面アンテナは、RFID関連の機器のアンテナとして、13.56MHz、950MHzまたはその近傍のUHF帯の周波数、2.45GHzで動作するアンテナとして使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る平面アンテナの分解斜視図である。
【図2】第1実施形態の平面図である。
【図3】第1実施形態の側面図である。
【図4】第1実施形態において、第1周波数を950MHzとしたときの950MHz付近のリターンロス特性のシミュレーション結果である。
【図5】第1実施形態の変形例の分解斜視図である(誘電体基板は図示省略している)。
【図6】第1実施形態の変形例の側面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る平面アンテナのブロック図である。
【図8】第2実施形態において、第1周波数を950MHz、第2周波数を2.45GHzとしたときの800MHzから3GHzまでのリターンロス特性のシミュレーション結果である。
【図9】第3実施形態に係る平面アンテナの分解斜視図である(誘電体基板は図示省略している)。
【図10】第3実施形態の側面図である。
【図11】第3実施形態の変形例の分解斜視図である(誘電体基板は図示省略している)。
【図12】第3実施形態及び第5実施形態の変形例の側面図である。
【図13】第3実施形態の変形例のブロック図である。
【図13A】第3実施形態のさらなる変形例を表す側面図である。
【図13B】図13Aの変形例の平面図とその一部部品の平面図と側面図である。
【図14】第4実施形態に係る平面アンテナのブロック図である。
【図15】第4実施形態の変形例に係る平面アンテナのブロック図である。
【図16】本発明の第5実施形態に係る平面アンテナの分解斜視図である(誘電体基板は図示省略している)。
【図17】第5実施形態の平面図である。
【図18】第5実施形態の側面図である。
【図19】第5実施形態のブロック図である。
【図20】第5実施形態の変形例の分解斜視図である(誘電体基板は図示省略している)。
【図21】第5実施形態の変形例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1〜図3は、本発明の第1実施形態に係る平面アンテナを表す。図において、平面アンテナ10は、誘電体基板12の一方の面に形成された第1ループ導体14と、第1ループ導体14内に形成された第1直線導体16とを有している。
【0022】
第1ループ導体14は、具体的には、第1横辺部14A(長さL1、幅W)と、第1横辺部14Aに対して直交する第1縦辺部14B(長さL2、幅W)及び第2縦辺部14C(長さL2、幅W)と、第1縦辺部14B及び第2縦辺部14Cに直交し第1横辺部14Aに平行な第2横辺部14D(長さL1、幅W)とからなる矩形ループの放射エレメントからなり、銅箔エッチングから形成される。縦横のアスペクト比は、約2.0(1.5〜2.5)程度とするとよい。
【0023】
第2横辺部14Dの中央部には、ギャップ15(距離d)が形成されており、そのため、第2横辺部14Dは、第1部分14D1(長さL3、幅W)と、第2部分14D2(長さL4、幅W)とにさらに分かれている。そして、長さL1+2L2+L3+L4は、第1周波数(例えば、950MHz)の波長λ1に対して、誘電体基板12の誘電率による波長の短縮率を考慮した波長λg1の1波長分に相当している。
【0024】
第1横辺部14Aの中央の近傍からは、第1直線導体16(幅a、長さb)がループ内部に向かって延びており(第1縦辺部14Bからの距離c)、第1直線導体16の末端部は、ギャップ15の方向に向かっている。但し、ギャップ15の横方向位置と第1直線導体16の横方向位置とは厳密に一致している必要はない。また、第1直線導体16の基端部は、第1横辺部14Aに向かって幅狭になるテーパ部16aとなっている。
【0025】
また、誘電体基板12から離反して金属反射板20が誘電体基板12と平行に配置されている。この距離h1は0.1λ1程度とするとよい。
【0026】
給電は、バラン及び整合回路を介して、第1直線導体16の基端部と第1横辺部14Aの略中央部との間で平衡給電が行われる。
【0027】
以上のように構成される平面アンテナ10において、第1周波数での平衡給電を行うことにより、第1ループ導体14がその1波長に相当することからループアンテナのループ放射素子として動作し、第1周波数の直線偏波の放射を行うことができる。
【0028】
図4は、第1周波数を950MHzとしたときの950MHz付近のリターンロス特性のシミュレーション結果を表す。このときの各種パラメータは、L1=104mm、L2=57mm、L3=L4=48.5mm、W=8mm、ギャップ15の間隔d=7mm、a=12.5mm、c=L1/2=28.5mm、誘電体基板12の厚みh=1.6mmであり、誘電体基板12の誘電率は4.6であり、bの寸法を変化させている。
【0029】
図4から950MHzにおける共振特性が得られることが分かり、bの寸法を変化させることで、共振周波数を調整することができることが分かる。また、実測データも、シミュレーションデータとほぼ同じとなることが確認された。
【0030】
また、この第1実施形態において、図5及び図6に示すように、誘電体基板12の他方の面にHF帯(13.56MHz)用のコイル状導体34を設けることで、13.56MHzにおける電磁誘導方式による伝送を行うことができ、2周波対応のアンテナとすることができる。また、誘電体損失による放射効率の影響が小さいため、誘電体基板12をFR−4のような低グレードで実現することができて、安価で小型のアンテナとすることができる。そして、950MHzまたはその近傍のUHF帯の周波数で動作するRFID関連の機器として、例えばリーダ側アンテナとして、または、ICチップと組み合わせることによりタグ側またはカード側のアンテナとして、使用することができる。
【0031】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係る平面アンテナを表す。この第2実施形態では、第1実施形態とほぼ同じ構成をなしているが、第1直線導体16の長さbを、第2周波数(例えば、2.45GHz)の波長λ2に対して、誘電体基板12の誘電率による波長の短縮率を考慮した波長λg2の1/4波長分に相当させる。これによって、第1直線導体16が、第2周波数に対してモノポールアンテナの放射素子として、第1ループ導体14が、モノポールアンテナのグランドプレートとして動作する。
【0032】
給電は、第1周波数用バラン及び整合回路30及び第2周波数用バラン及び整合回路32をスイッチ(高周波スイッチ)38を介して行う。
【0033】
図8は、第1直線導体16の長さbを様々に変化させたときの、800MHzから3GHzまでのリターンロス特性のシミュレーション結果を表す。b以外の寸法の条件は、図4の条件と同じである。
【0034】
この図から、bの変化によって950MHzと2.45GHz近傍に共振特性が見られることが分かる。従って、bの値を適度に調整することで、2周波対応のアンテナとすることができる。また、その他のパラメータとして、L1を3mm変化させると950MHz付近の共振周波数が2.6%変化し、hを0.8mm変化させると950MHz付近の共振周波数が4.2%変化し、2.45GHz付近の共振周波数が2.2%変化する。誘電率を3.8〜4.8の間で変化させると、950MHz付近の共振周波数が3.2%変化し、2.45GHz付近の共振周波数が2.0%変化する。
【0035】
パラメータを微調整することで、第1周波数と第2周波数の両方に適した共振条件を満足させることができる。一般的には、第1直線導体16の長さの長い方が、第1周波数におけるリターンロスが良く、短いと第2周波数におけるリターンロスが良い傾向となるため、両方の周波数の最適長さに第1直線導体16の長さを設定するとよい。
【0036】
こうして、第1実施形態と同様の効果を得ると共に、2周波対応のアンテナとすることができる。
【0037】
また、この第2実施形態において、誘電体基板12の他方の面にHF帯(13.56MHz)用のコイルを設けることで(図5及び図6参照)、13.56MHzにおける電磁誘導方式による伝送を行うことができ、3周波対応のアンテナとすることができる。
【0038】
(第3実施形態)
図9〜図10は、第3実施形態に係る平面アンテナを表す。この例では、誘電体基板12の一方の面に、第1実施形態と同様に第1ループ導体14及び第1直線導体16が形成されると共に、誘電体基板12の他方の面に、第2ループ導体24が形成されている。
【0039】
第2ループ導体24は、第1ループ導体14と同様に構成され、具体的には、第1横辺部24Aと、第1横辺部24Aに対して直交する第1縦辺部24B及び第2縦辺部24Cと、第1縦辺部24B及び第2縦辺部24Cに直交し第1横辺部24Aに平行な第2横辺部24Dとからなる矩形ループの放射エレメントからなり、銅箔エッチングから形成される。第2横辺部24Dの中央部には、ギャップ25が形成されて、第1部分24D1と第2部分24D2とに分かれている。各部の長さと幅は、第1ループ導体14と同じとなっているとよい。
【0040】
そして、第1ループ導体14と第2ループ導体24とは、誘電体基板12を貫通する接続導体28によって第1横辺部14Aと第1横辺部24Aとが繋がることによって、互いに導通している。
【0041】
この実施形態においても、第2ループ導体24が第1ループ導体14と同様に動作することで、第1実施形態と同様に作用させることができる。
【0042】
また、図11及び図12に示すように、誘電体基板12内の第1ループ導体14と第2ループ導体24との間に、HF帯(13.56MHz)のためのコイル状導体34を埋設させることができる。この場合、図13に示すように、コイル状導体34に送受信回路36から給電を行うことによって、13.56MHzにおける電磁誘導方式による伝送を行うことができる。
【0043】
コイル状導体34は、第1ループ導体14と第2ループ導体24とによって上下が挟まれており、第1ループ導体14と第2ループ導体24をグランドしたときに、コイル状導体34の静電シールドをすることができる。よって、コイル状導体34の電力を大きくしたときにも、遠方の電界を電波法規制値内に減衰させることができ、電界が周囲に与える影響を低減することができる。コイル状導体34によって発生する磁界は、第1ループ導体14及び第2ループ導体24にギャップ15、25を設けることにより減衰せずに、外部に発生させることができる。
【0044】
第1ループ導体14による電波方式と、コイル状導体34による電磁誘導方式の2つの方式との互いの影響に関しては、コイル状導体34は、磁界動作であるために、周囲の電波方式の電界の影響は少なく、共振周波数の変動もそれほどない。一方の電波方式は、コイル状導体34の影響を受け、共振周波数がずれ、また、放射パターンも変化するおそれがある。しかしながら、図13に示すように、第1ループ導体14及び第1直線導体16に接続される第1周波数用の送受信回路31と、コイル状導体34に接続される電磁誘導方式用の送受信回路36とのグランドを別々にして、両者を絶縁することで、第1周波数における放射パターンへの影響を無くすることができる。共振周波数のずれに対しては、第1ループ導体14及び第2ループ導体24の長さ(特に矩形ループの長手方向の長さである第1横辺部14A、24Aの長さL1)、誘電体基板12の誘電率、基板厚を調整することで、第1周波数において共振周波数となるような調整をすることができる。
【0045】
また、図13A及び13Bに示したように、誘電体基板12と反射板20との間に13.56MHzの送信スパイラルコイル42を設けて、コイル状導体34に非接触給電することで、電波方式のアンテナに影響を与えないようにすることもできる。コイル状導体34にキャパシタCを接続し、コイル状導体によるインダクタンスLとキャパシタCとで共振状態(f=1/2π√LC=13.56MHz)にすることで、スパイラルコイル42からの13.56MHz送信誘起電力が磁界共鳴により増幅されQ倍されて電流に比例する磁界がコイル状導体34から発生する。
【0046】
こうして、前実施形態の効果に加えて、コイル状導体34を設けることにより、2周波対応のアンテナとすることができる。
【0047】
(第4実施形態)
図14は、第4実施形態に係る平面アンテナである。この第4実施形態では、第3実施形態とほぼ同じ構成をなしているが、第1直線導体16の長さbを、第2周波数(例えば、2.45GHz)の波長λ2に対して、誘電体基板12の誘電率による波長の短縮率を考慮した波長λg2の1/4波長分に相当させる。これによって、第1直線導体16が、第2周波数に対してモノポールアンテナの放射素子として動作する。
【0048】
給電は、第1周波数用バラン及び整合回路30及び第2周波数用バラン及び整合回路32をスイッチ(高周波スイッチ)38を介して行う。
【0049】
これによって、第4実施形態においては、2周波対応のアンテナとすることができ、その調整が容易となる。
【0050】
即ち、第1ループ導体14は、専ら第1周波数の共振に適した長さ及び位置に設定され、第1ループ導体14が第1周波数(例えば950MHz)におけるループ放射素子として動作し、第1直線導体16は、専ら第2周波数(例えば2.45GHz)の共振に適した長さ及び位置に設定され、第2直線導体26は、第2周波数におけるモノポール放射素子として動作する。
【0051】
これによって、前実施形態の効果に加えて、2周波対応のアンテナとすることができる。それぞれ第1ループ導体14、第1直線導体16を個別に微調整することで、それぞれ共振するべき第1周波数と第2周波数に適した微調整を行うことができる。
【0052】
さらに、誘電体基板12内の第1ループ導体14と第2ループ導体24との間に、HF帯(13.56MHz)のためのコイル状導体34を埋設させることができる。この場合、図15に示すように、コイル状導体34に給電を行い、第1周波数のための送受信用回路31及び第2周波数のための送受信用回路33と、HF帯(13.56MHz)のための送受信用回路36とのグランドを別々にして互いに絶縁することにより、第1周波数における放射パターンへの影響を無くすることができる。共振周波数のずれに対しては、第1ループ導体14及び第2ループ導体24の長さ(特に矩形ループの長手方向の長さである第1横辺部14A、24Aの長さL1)、誘電体基板12の誘電率、基板厚を調整することで、第1周波数において共振周波数となるような調整をすることができる。
【0053】
また、図13A及び13Bに示したものと同様に、誘電体基板12と反射板20との間に13.56MHzの送信スパイラルコイル42を設けて、コイル状導体34に非接触給電することで、電波方式のアンテナに影響を与えないようにすることもできる。コイル状導体34にキャパシタCを接続し、コイル状導体によるインダクタンスLとキャパシタCとで共振状態(f=1/2π√LC=13.56MHz)にすることで、スパイラルコイル42からの13.56MHz送信誘起電力が磁界共鳴により増幅されQ倍されて電流に比例する磁界がコイル状導体34から発生する。
こうして、前実施形態の効果に加えて、3周波対応のアンテナとすることができる。
【0054】
(第5実施形態)
図16〜図19は、第5実施形態に係る平面アンテナである。この第5実施形態では、第3実施形態に対して、さらに、第2ループ導体24内に第2直線導体26が形成されている。
【0055】
即ち、第2ループ導体24の第1横辺部24Aの中央の近傍からは、第1直線導体26がループ内部に向かって延びており、第2直線導体26の末端部は、ギャップ25の方向に向かっている。但し、ギャップ25の横方向位置と第2直線導体26の横方向位置とは厳密に一致している必要はない。また、第2直線導体26の基端部は、第1横辺部24Aに向かって幅狭になるテーパ部26aとなっている。
【0056】
給電は、図19に示すように、バラン及び整合回路30を介して、第1直線導体16の基端部と第1横辺部14Aの略中央部との間で平衡給電が行われると共に、バラン及び整合回路32を介して、第2直線導体26の基端部と第1横辺部24Aの略中央部との間で平衡給電が行われる。バラン及び整合回路30からは第1周波数での給電がなされ、バラン及び整合回路32からは第2周波数での給電がなされる。
【0057】
そして、第1直線導体16は、専ら第1周波数の共振に適した長さ及び位置に設定され、第1ループ導体14が第1周波数(例えば950MHz)におけるループ放射素子として動作し、第2直線導体26は、専ら第2周波数(例えば2.45GHz)の共振に適した長さ及び位置に設定され、第2直線導体26は、第2周波数におけるモノポール放射素子として動作する。
【0058】
または、第1直線導体16は、専ら第1周波数の共振に適した長さ及び位置に設定され、第1ループ導体14が第1周波数(例えば950MHz)におけるループ放射素子として動作し、第2直線導体26は、専ら第2周波数(例えば915MHz)の共振に適した長さ及び位置に設定され、第2ループ導体24が、第2周波数におけるループ放射素子として動作するようにしてもよい。
【0059】
これによって、前実施形態の効果に加えて、2周波対応のアンテナとすることができる。それぞれ第1直線導体16、第2直線導体26を個別に微調整することで、それぞれ共振するべき第1周波数と第2周波数に適した微調整を行うことができる。
【0060】
さらに、図20及び図12に示すように、誘電体基板12内の第1ループ導体14と第2ループ導体24との間に、HF帯(13.56MHz)のためのコイル状導体34が埋設されることができる。この場合、図21に示すように、コイル状導体34に給電を行うことによって、13.56MHzにおける電磁誘導方式による伝送を行うことができ、3周波対応のアンテナとすることができる。
【0061】
また、図13A及び13Bに示したものと同様に、誘電体基板12と反射板20との間に13.56MHzの送信スパイラルコイル42を設けて、コイル状導体34に非接触給電することで、電波方式のアンテナに影響を与えないようにすることもできる。コイル状導体34にキャパシタCを接続し、コイル状導体によるインダクタンスLとキャパシタCとで共振状態(f=1/2π√LC=13.56MHz)にすることで、スパイラルコイル42からの13.56MHz送信誘起電力が磁界共鳴により増幅されQ倍されて電流に比例する磁界がコイル状導体34から発生する。
【0062】
尚、以上の各実施形態では、金属反射板20を設けていたが、金属反射板20を省略することも可能である。金属反射板20の有無で第1周波数の共振周波数が変動し、また、金属反射板20が有る場合には無い場合に比較して、利得が上がるため、金属反射板20の有無による調整も可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 平面アンテナ
12 誘電体基板
14 第1ループ導体
15 ギャップ
16 第1直線導体
20 金属反射板
24 第2ループ導体
25 ギャップ
26 第2直線導体
34 コイル状導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体基板と、
前記誘電体基板の一つの平面に形成され、一部にギャップを有する第1ループ導体と、
第1ループ導体の内部に形成され、第1ループ導体に近接して離間した基端部から前記ギャップに接近するループ内部の末端部まで延びる第1直線導体と、
を備え、第1直線導体の基端部と第1ループ導体との間に平衡給電がなされ、前記第1ループ導体が第1周波数のループアンテナのループ放射素子を構成する、ことを特徴とする平面アンテナ。
【請求項2】
前記第1直線導体が第1周波数とは異なる第2周波数で動作するモノポールアンテナの放射素子を構成する、ことを特徴とする請求項1記載の平面アンテナ。
【請求項3】
前記誘電体基板の他方の面上に形成され、前記アンテナとは異なる周波数帯で動作し電磁誘導方式による伝送を行うコイル状導体が形成される、ことを特徴とする請求項1または2記載の平面アンテナ。
【請求項4】
前記誘電体基板の他方の面上に形成され、一部に第2ギャップを有し、第1ループ導体と導通する第2ループ導体をさらに備える、ことを特徴とする請求項1または2記載の平面アンテナ。
【請求項5】
前記第1ループ導体と前記第2ループ導体との間に配置されて、前記アンテナとは異なる周波数帯で動作し電磁誘導方式による伝送を行うコイル状導体をさらに備える、ことを特徴とする請求項4記載の平面アンテナ。
【請求項6】
前記第2ループ導体の内部に形成され、第2ループ導体に近接して離間した基端部から前記第2ギャップに接近するループ内部の末端部まで延びる第2直線導体をさらに備える、ことを特徴とする請求項5記載の平面アンテナ。
【請求項7】
第2直線導体の基端部と第2ループ導体との間に平衡給電がなされ、前記第1ループ導体が第1周波数のループアンテナのループ放射素子を構成し、前記第2直線導体が第1周波数とは異なる第2周波数で動作するモノポール放射素子を構成する、ことを特徴とする請求項6記載の平面アンテナ。
【請求項8】
前記誘電体基板に所定距離離反して該基板に略平行に金属反射板が配置される、ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の平面アンテナ。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図1】
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【図5】
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【図9】
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【図11】
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【図16】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−217204(P2011−217204A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84597(P2010−84597)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000003388)東京計器株式会社 (103)
【Fターム(参考)】