説明

床冷暖房装置及び床冷暖房装置の制御方法

【課題】冷房運転時にはヒートポンプ装置30で冷却した冷水を床材18の水流路16に供給する一方、暖房運転時にはヒートポンプ装置30で加熱した温水を床材18の水流路16に供給するヒートポンプ式の床冷暖房装置において、安定した床表面温度が得られかつ適正な制御が行われるようにしつつ、その省エネルギー性を高める。
【解決手段】床表面温度を放射温度計34により検出し、その検出温度が目標温度になるようにヒートポンプ装置30を制御することで、ヒートポンプポンプ装置を連続運転させて省エネルギー性を高める。また、床材18の床冷暖房パネル7と床仕上げ材9との間に潜熱蓄熱材料含有の温度分散蓄熱材層17を配置し、床材18表面において冷温水管15真上の部位B1と他の部位B2との間の温度差をなくし、床材18の表面温度の測定部位によるばらつきをなくして、ヒートポンプ装置30の制御を安定した効率で適正に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材内部に水等の液体冷熱媒を流して室内の暖房のみならず冷房を行う床冷暖房装置及び床冷暖房装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、床材の内部に流路を形成して、その流路に暖房運転時には熱源機から液体冷熱媒として温水を流して暖房を行い、冷房運転時には熱源機から冷水を流して冷房を行うようにした床冷暖房システムは知られている。
【0003】
この従来の水循環式の床冷暖房システムでは、熱源機への戻り水温度又は熱源機からの往き水温度を測定し、その測定温度が目的の温度帯になるように制御するのが一般的であった。
【0004】
しかし、その場合、室温や床仕上材の層構成の影響により、床表面温度を精度よく目的の温度帯に調整するのが困難であった。
【0005】
また、従来、特許文献1に示されるように、ヒートポンプ熱源機に強制対流式室内機及び床暖房パネルを接続し、室内温度と床表面温度との両方を測定して、それらの温度が目標温度になるように室内機と床暖房パネルとを連携して制御することが提案されている。
【0006】
また、例えば特許文献2に示されるように、ヒートポンプから供給される液体冷熱媒の流路を内部に有する放冷熱パネルと、この放冷熱パネルの上面に積層される床仕上材とで構成された冷暖房床が提案されている。
【0007】
すなわち、これまでは床暖房という観点しかなかった床表面の温度制御技術において、ヒートポンプの仕組みを利用し、床材流路に流す液体を季節に応じて冷媒又は熱媒として使い分けることで、冬季には暖房として、また夏季には冷房としてそれぞれ使用できる床面温度制御技術が提供され始めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−50035号公報
【特許文献2】特開2007−63877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記従来の往き水又は戻り水による温度制御は、予め設定した温度帯に冷媒(又は熱媒)の温度を制御するため、冷却(又は加熱)のオンオフが頻繁に繰り返される。このことにより、省エネルギー性になり難いという問題点がある。これは、梅雨時期ないし夏場の高温多湿条件下においては、床表面温度を下げ過ぎると表面結露を起こすため、比較的高い温度帯で温度制御された冷水を循環させる必要があるからである。
【0010】
同様に、特許文献1や特許文献2に記載の冷暖房システムを利用した場合においても、特に運転時の省エネルギー性については、単にヒートポンプを使っているという程度の技術レベルであり、制御方法に至るまで詳細に検討されていないのが現状である。
【0011】
そこで、本発明者は、床材に流れる液体冷熱媒の温度を検出して該温度が目標温度になるように制御するのではなく、床表面温度を検出してそれが目標温度になるように制御することで、ヒートポンプ装置の運転が連続して行われるようにし、その連続運転によって省エネルギー性を高めることを考えた。
【0012】
しかし、その場合、特許文献2に示される床冷暖房システムを利用し、その表面仕上げ材として薄くて熱伝導率の高い材料を用いたとき、液体冷熱媒が流れる流路の直上部分と他の部分との間で床表面温度に差が出易く、その測定温度の違いによって制御の効率自体が変わるという問題が生じる。特に、流路中に冷水等の冷媒が流れている冷房運転時に、流路真上以外の部分の床表面温度に基づいてヒートポンプ装置のオンオフを制御すると、床表面温度が下がり過ぎて床表面に結露が発生する虞れがある。
【0013】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもので、その目的は、ヒートポンプ式の床冷暖房装置及び床冷暖房装置の制御方法において、その制御技術を特定しかつ床表面の温度むらをなくす工夫を加えることにより、安定した床表面温度が得られかつ適正な制御が行われるようにしつつ、その省エネルギー性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、この発明では、表面温度を検出しようとする床材の表面部に蓄熱材料を配置し、その蓄熱材料により床表面の温度むらをなくすようにした。
【0015】
具体的には、第1の発明では、内部に、液体冷熱媒が流れる流路が形成された床材と、該床材の流路に接続され、該流路に供給される液体冷熱媒を冷却又は加熱するヒートポンプ装置とを備え、冷房運転時にはヒートポンプ装置で冷却した液体冷熱媒を床材の流路に供給する一方、暖房運転時にはヒートポンプ装置で加熱した液体冷熱媒を床材の流路に供給するようにした床冷暖房装置が前提である。
【0016】
そして、上記床材の表面温度の目標温度を設定する目標温度設定手段と、床材の表面温度を検出する床表面温度検出手段と、この床表面温度検出手段により検出された床材の表面温度が、上記目標温度設定手段により設定された目標温度になるように上記ヒートポンプ装置の作動を制御する制御手段とを備えている。
【0017】
さらに、上記床材は、上記流路が形成された床冷暖房パネルと、この床冷暖房パネルの上側に配置された床仕上げ材と、上記床冷暖房パネル及び床仕上げ材の間に配置され、潜熱蓄熱材料を含有する温度分散蓄熱材層とを備えていることを特徴とする。
【0018】
また、第2の発明では、上記第1の発明の前提と同じ床冷暖房装置において、第1発明と同様に、床材の表面温度の目標温度を設定する目標温度設定手段と、床材の表面温度を検出する床表面温度検出手段と、この床表面温度検出手段により検出された床材の表面温度が、上記目標温度設定手段により設定された目標温度になるように上記ヒートポンプ装置の作動を制御する制御手段とを備えている。そして、床材は、上記流路が形成された床冷暖房パネルと、この床冷暖房パネルの上側に配置された床仕上げ材とを備え、この床仕上げ材は潜熱蓄熱材料を含有していることを特徴とする。
【0019】
さらに、第3の発明では、上記目標温度設定手段は目標温度を、冷房運転時にあっては24℃以上でかつ30℃以下に、また暖房運転時にあっては28℃以上でかつ35℃以下にそれぞれ変更可能であることを特徴とする。
【0020】
冷房運転時の24〜30℃については、24℃よりも低いと結露の危険性が高くなり、30℃を超えると床冷房の効果が実感され難い。一方、暖房運転時の28〜35℃については、28℃を下回ると床暖房の効果が実感され難く、35℃を超えると熱くなり過ぎ、低温やけどの虞れがあり、好ましくは、冷房運転時は24〜30℃、暖房運転時は28〜35℃に設定されるのがよい。
【0021】
このとき「冷房運転時の24〜30℃」、又は「暖房運転時の28〜35℃」の意味合いとしては、それぞれ「冷房運転時は24℃以上でかつ30℃以下の範囲に含まれる」及び「暖房運転時は28℃以上でかつ35℃以下の範囲に含まれる」を意味する。つまり、省エネ性能を上げるためには、ヒートポンプ装置のオンオフ回数を減らすことが効果的であるが、そのためには、できるだけ目標温度の範囲を広くした方がよい。この場合、例えば「25℃以上でかつ29℃以下」というような制御も含まれその温度帯は上記温度範囲であれば任意に選択可能であり、最も好適には「冷房運転時の24〜30℃」又は「暖房運転時の28〜35℃」である。
【0022】
これら第1〜第3の発明では、目標温度設定手段により床材の表面温度の目標温度が設定されるとともに、床表面温度検出手段により床材の表面温度が検出される。そして、制御手段において、この検出された床材の表面温度が、設定された目標温度(冷房運転時には24〜30℃、暖房運転時には28〜35℃)になるようにヒートポンプ装置の作動(運転)が制御される。このことで、床表面温度を安定した目標温度に保つことができるとともに、往き水又は戻り水による温度制御に比べ、ヒートポンプ装置の運転が連続して行われるようになり、その連続運転が増えた分だけ省エネルギー性を高めることができる。
【0023】
また、上記床材における床冷暖房パネルの上側に、潜熱蓄熱材料を含有する温度分散蓄熱材層が設けられ、或いは床冷暖房パネル上側の床仕上げ材に同様の潜熱蓄熱材料が含有されているので、この蓄熱材料により流路から床材表面への伝熱が床材全体に亘って均等になり、床材表面において冷熱媒の流路の真上の部位と流路真上以外の部位との間でも温度差が生じず、床材の表面温度が全体に亘って均一になる。そのため、上記床表面温度検出手段により測定される床材の表面温度は測定部位によってばらつきのない安定したものとなり、上記ヒートポンプ装置の制御を安定した効率で適正に行うことができる。また、冷房運転時に、仮に流路間部分の床表面温度に基づいてヒートポンプ装置のオンオフを制御しても、床表面温度が下がり過ぎて床表面に結露が発生することはない。
【0024】
第4の発明では、上記潜熱蓄熱材料は、24℃以上でかつ30℃以下の融点を有する冷房運転用蓄熱材料と、28℃以上でかつ35℃以下の融点を有する暖房運転用蓄熱材料との少なくとも一方からなるものとする。このことで、冷房運転時又は暖房運転時の少なくとも一方で上記効果が得られる。
【0025】
第5の発明では、床表面温度検出手段は、部屋の壁面又は天井面に設置されかつ床材表面の一部を測温部位として、その測温部位から放射される赤外線又は可視光線の強度を測定することで床材の表面温度を非接触で検出する放射温度計とする。
【0026】
この第5の発明では、床表面温度検出手段は室の壁面又は天井面に設置された非接触式の放射温度計であり、床材表面の測温部位から放射される赤外線又は可視光線の強度の測定によって床材表面温度を検出するので、温度計を床表面に設置する場合のように、床面の美観を損なうことがない。
【0027】
しかも、上記放射温度計は、床材表面の一部である測温部位の温度を検出するので、部屋全体に亘るような広範囲な部分の表面温度を検出し、それらを平均化して制御する場合のように、温度が低過ぎる部分や高過ぎる部分が現れたり、人間の居住スペースや座布団等の敷物の使用が限定されたりすることはない。
【0028】
第6の発明では、上記放射温度計が温度を検出している床材表面の測温部位が視認可能であることを特徴とする。
【0029】
この第6の発明では、放射温度計が温度を検出している床材表面の測温部位が視認可能であるので、制御中にその床材表面の測温部位が常に露出していて、その測温部位で温度の検出をしているかどうかを容易に確認することができ、安定した制御を行うことができる。
【0030】
第7の発明では、上記放射温度計は、温度を検出している床材表面の測温部位を任意に変更可能とされていることを特徴とする。
【0031】
この第7の発明では、放射温度計が温度検出を行う床材表面の測温部位が任意に変更可能であるので、ある測温部位の上(床材表面上)に物体等が存在して該測温部位での温度検出ができないときには、放射温度計の測温部位を他の測温部位に移動すればよく、安定した制御を行うことができる。
【0032】
第8の発明では、床材が施工された部屋の露点温度を検出する露点温度検出手段を設ける。また、制御手段は、冷房運転時、上記露点温度検出手段により検出された露点温度に対し一定温度だけ高い基準温度を設定し、目標温度設定手段により設定された目標温度が上記基準温度以上のときには、床表面温度検出手段により検出された床材の表面温度が上記目標温度になるようにヒートポンプ装置の作動を制御する一方、目標温度が基準温度よりも低いときには、床表面温度検出手段により検出された床材の表面温度が基準温度になるようにヒートポンプ装置の作動を制御するものとする。
【0033】
この第8の発明では、冷房運転時に、露点温度検出手段により部屋の露点温度が検出される。そして、制御手段において、露点温度検出手段により検出された露点温度に対し一定温度だけ高い基準温度が設定され、上記目標温度設定手段により設定された目標温度が基準温度以上のときには、上記検出された床材の表面温度が目標温度になるように、また目標温度が基準温度よりも低いときには、検出された床材の表面温度が基準温度になるように、それぞれヒートポンプ装置の作動が制御される。
【0034】
このことで、冷房運転時、制御手段で設定される基準温度は、室内の露点温度に対し一定温度だけ高く、目標温度が基準温度以上で床材の表面温度が目標温度になるようにヒートポンプ装置の作動が制御されるとき、及び、目標温度が基準温度よりも低くて床材の表面温度が基準温度になるようにヒートポンプ装置の作動が制御されるときのいずれであっても、床材の表面温度が露点温度に低下するようなことはなく、冷房運転時に床材表面に結露が発生するのを確実に防ぐことができる。
【0035】
第9の発明では、床冷暖房パネルには流路を形成するパイプが配置されており、その床冷暖房パネルの上面に設けられる温度分散蓄熱材層は、施工状態において上記床冷暖房パネルのパイプの位置を視認可能な程度に半透明又は透明とする。また、第10の発明では、同様に、床冷暖房パネルには流路を形成するパイプが配置されており、その床冷暖房パネルの上面に設けられる温度分散蓄熱材層は、施工状態において上記床冷暖房パネルのパイプの位置を視認可能な程度の開口が形成されているものとする。
【0036】
これら第9及び第10の発明では、温度分散蓄熱材層は、半透明又は透明であるか、開口が形成されているので、床冷暖房パネル上に温度分散蓄熱材層を例えば固定具等により固定して施工する際、半透明又は透明の温度分散蓄熱材層、或いは温度分散蓄熱材層の開口を通して床冷暖房パネルのバイブの位置を視認することができ、誤って固定具でパイプを傷付けることがなく、施工性を高めることができる。
【0037】
また、第11の発明では、内部に、液体冷熱媒が流れる流路が形成された床材と、該床材の流路に接続され、該流路に供給される液体冷熱媒を冷却又は加熱するヒートポンプ装置とを備え、冷房運転時にはヒートポンプ装置で冷却した液体冷熱媒を床材の流路に供給する一方、暖房運転時にはヒートポンプ装置で加熱した液体冷熱媒を床材の流路に供給するようにした床冷暖房装置の制御方法であって、上記床材は、上記流路が形成された床冷暖房パネルと、該床冷暖房パネルの上側に配置された床仕上げ材と、上記床冷暖房パネル及び床仕上げ材の間に配置され、潜熱蓄熱材料を含有する温度分散蓄熱材層とを備えており、上記床材の表面温度を検出し、その検出された床材の表面温度が予め設定された目標温度になるように上記ヒートポンプ装置の作動を制御する。
【0038】
また、第12の発明では、第11の発明において、冷房運転時にはヒートポンプ装置で冷却した少なくとも5〜15℃の温度帯の液体冷熱媒が含まれる液体冷熱媒を床材の流路に供給するようにヒートポンプ装置の作動を制御するヒートポンプ装置の作動を制御することを特徴とする。このとき、少なくとも5〜15℃の温度帯の液体冷熱媒が含まれる液体冷熱媒とは、一般的な熱源機への戻り水温度又は熱源機からの往き水温度による制御で使用される15〜25℃の比較的高い温度帯の冷水に加え、その温度で熱源機への戻り水温度又は熱源機からの往き水温度による制御を行うと結露する可能性が非常に高いので使用されない、5〜15℃の温度帯の低い温度帯の液体冷熱媒が含まれるということである。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように、第1の発明では、床材内の流路に対しヒートポンプ装置から液体冷熱媒を給排して冷房又は暖房を行う床冷暖房装置において、床冷暖房パネルと床仕上げ材との間に潜熱蓄熱材料含有の温度分散蓄熱材層を配置し、一方、第2の発明では、床材において、床冷暖房パネル上側の床仕上げ材に潜熱蓄熱材料を含有させた。そして、床表面温度検出手段により床材の表面温度を検出し、この検出された床材の表面温度が、その目標温度になるようにヒートポンプ装置の作動を制御するようにした。さらに、第3の発明では、冷房運転時の目標温度は24℃以上でかつ30℃以下とし、暖房運転時の目標温度は28℃以上でかつ35℃以下とした。
【0040】
これらの発明によると、床表面温度を安定した目標温度に保ちつつ、ヒートポンプ装置の運転を連続して行って、床冷暖房装置の省エネルギー性を高めることができるとともに、床材に含有される蓄熱材料により、床材表面において冷熱媒の流路の真上の部位と流路真上以外の部位との間の温度差をなくし、検出される床材の表面温度を測定部位によってばらつきのない安定したものとして、ヒートポンプ装置の制御を安定した効率で適正に行うことができ、特に冷房運転時に床表面温度が下がり過ぎて床表面に結露が発生することはない。
第4の発明によると、潜熱蓄熱材料は、24℃以上でかつ30℃以下の融点を有する冷房運転用蓄熱材料と、28℃以上でかつ35℃以下の融点を有する暖房運転用蓄熱材料との少なくとも一方からなるものとしたことにより、冷房運転時又は暖房運転時の少なくとも一方で上記効果が得られる。
【0041】
第5の発明によると、床表面温度検出手段は、部屋の壁面又は天井面に設置されかつ床材表面の一部を測温部位として、その測温部位から放射される赤外線又は可視光線の強度を測定して床材の表面温度を非接触で検出する放射温度計としたことにより、温度計を床表面に設置する場合のように、床面の美観を損なうことがないとともに、部屋全体に亘る広範囲な部分の表面温度を検出して平均化する場合のように、温度が低過ぎる部分や高過ぎる部分が現れたり、人間の居住スペースや座布団等の敷物の使用が限定されたりすることはない。
【0042】
第6の発明によると、放射温度計が温度を検出している床材表面の測温部位を視認可能としたことにより、制御中に床材表面の露出している測温部位で温度の検出をしているかどうかを容易に確認することができ、安定した制御を行うことができる。
【0043】
第7の発明によると、放射温度計は、温度を検出している床材表面の測温部位を任意に変更可能としたことにより、放射温度計による測温部位を移動変更できるようになり、安定した制御を行うことができる。
【0044】
第8の発明によると、冷房運転時に、部屋の露点温度を検出してそれよりも一定温度だけ高い基準温度を設定し、床材の表面温度の目標温度が基準温度以上のときには、検出された床材の実際の表面温度が目標温度になるように、また目標温度が基準温度よりも低いときには、床材の実際の表面温度が基準温度になるようにそれぞれヒートポンプ装置の作動を制御するようにしたことにより、冷房運転時に床材の表面温度が露点温度に低下するのを防止して、床材表面に結露が発生するのを確実に防ぐことができる。
【0045】
第9の発明では、温度分散蓄熱材層は、施工状態において床冷暖房パネルのパイプの位置を視認可能な程度に半透明又は透明とした。また、第10の発明では、温度分散蓄熱材層は、施工状態において床冷暖房パネルのパイプの位置を視認可能な程度の開口が形成されているものとした。これらの発明によると、床冷暖房パネル上に温度分散蓄熱材層を固定具等により固定して施工する際、床冷暖房パネルのバイブの位置を半透明又は透明の温度分散蓄熱材層、或いは温度分散蓄熱材層の開口を通して視認することができ、誤って固定具でパイプを傷付けることがなく、床冷暖房装置の床材の施工性を高めることができる。
【0046】
また、第11の発明では、内部に、液体冷熱媒が流れる流路が形成された床材と、該床材の流路に接続され、該流路に供給される液体冷熱媒を冷却又は加熱するヒートポンプ装置とを備え、冷房運転時にはヒートポンプ装置で冷却した液体冷熱媒を床材の流路に供給する一方、暖房運転時にはヒートポンプ装置で加熱した液体冷熱媒を床材の流路に供給するようにした床冷暖房装置の制御方法であって、上記床材は、上記流路が形成された床冷暖房パネルと、該床冷暖房パネルの上側に配置された床仕上げ材と、上記床冷暖房パネル及び床仕上げ材の間に配置され、潜熱蓄熱材料を含有する温度分散蓄熱材層とを備えており、上記床材の表面温度を検出し、その検出された床材の表面温度が予め設定された目標温度になるように上記ヒートポンプ装置の作動を制御するので、表面温度制御を行う場合により温度ムラの少ない床表面で温度制御できるため、暖房運転中に昇温しすぎたり、冷却運転中に冷却しすぎたりするリスクを軽減することができる。加えて蓄熱材料の蓄熱効果により、ヒートポンプ装置の連続運転の時間が長くなるため、床冷暖房装置の省エネルギー性を高めることができる。
【0047】
また、第12の発明によると、第11の発明において、冷房運転時にはヒートポンプ装置で冷却した少なくとも5〜15℃の温度帯の液体冷熱媒が含まれる液体冷熱媒を床材の流路に供給するようにヒートポンプ装置の作動を制御するヒートポンプ装置の作動を制御することを特徴とする。これにより、冷房運転時にはヒートポンプ装置で冷却した少なくとも5〜15℃の温度帯の液体冷熱媒が含まれる液体冷熱媒を床材の流路に供給するようにヒートポンプ装置の作動を制御するので、熱源機への戻り水温度又は熱源機からの往き水温度による制御と比較して、少なくとも5〜15℃という、より低い温度の冷水を使用することができ、そのため、ヒートポンプ装置の連続運転の時間はさらに長くなり、床冷暖房装置の省エネルギー性をより高めることができる。加えて、蓄熱材のよる均熱効果により、結露が発生するリスクが大幅に軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る床冷暖房装置の全体構成を概略的に示す説明図である。
【図2】図2は制御装置に対する入出力系統を示すブロック図である。
【図3】図3は床構造を拡大して示す断面図である。
【図4】図4は、省エネルギー試験における実施例及び比較例の平均床表面温度についての特性を示す図である。
【図5】図5は、省エネルギー試験における実施例及び比較例の消費電力量についての特性を示す図である。
【図6】図6は、省エネルギー試験における実施例及び比較例の成績係数についての特性を示す図である。
【図7】図7は、省エネルギー試験における実施例及び比較例について床表面温度、往き水温度及び戻り水温度の変化を示す図である。
【図8】図8は結露試験の結果を示す図である。
【図9】図9は、床面温度安定化試験における実施例及び比較例について床表面温度及び往き水温度の変化を示す図である。
【図10】図10は、床面温度安定化試験における実施例及び比較例について各部位の床表面温度の最低値及び最高値を温度及び往き水温度とともに示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0050】
図1は本発明の実施形態に係る床冷暖房装置Aの全体構成を示し、1は建物の部屋で、この部屋1には天井2、壁3及び床4が施工され、この床4は冷暖房床とされている。
【0051】
すなわち、図3に拡大して示すように、上記床4は、例えば構造用合板6上に床冷暖房パネル7を施工し、その上に薄いアルミ箔等の均熱板8を介して床仕上げ材9を施工したものであり、合板6の下側には硬質ウレタンフォームからなる断熱材10が施工されている。
【0052】
上記床冷暖房パネル7は、発泡ポリスチレン等からなる板状の基材12を有し、その表面(上面)には、互いに平行な部分を有するように蛇行して延びる凹溝13が形成され、この凹溝13内にはアルミ箔等の放冷熱材14を介して冷温水管15(パイプ)が収容配置され、この冷温水管15内を液体冷熱媒としての水が温水又は冷水となって流れるようになっている。
【0053】
さらに、上記床冷暖房パネル7とその上側の床仕上げ材9との間には温度分散蓄熱材層17が配置されている。この温度分散蓄熱材層17はシート状の基材に潜熱蓄熱材料が含有(内添)されているもので、施工状態において、床冷暖房パネル7の冷温水管15の配置位置を均熱板8を通して視認可能な程度に半透明又は透明とされている。すなわち、均熱板8は薄いので、その均熱板8を通して下側の冷温水管15の位置を視認できる。尚、均熱板8に現出する形状を視認することによっても、その下側の冷温水管15の配置位置を視認可能である。
【0054】
上記潜熱蓄熱材料は、所定の融点(融解温度)で融解して相変化する材料で、24℃以上でかつ30℃以下(24〜30℃)の融点を有する冷房運転用蓄熱材料と、28℃以上でかつ35℃以下(28〜35℃)の融点を有する暖房運転用蓄熱材料との2種類が用いられている。
【0055】
この潜熱蓄熱材料は、蓄熱材料であるノルマルパラフィンや無機水和塩を、塩化カルシウム水和塩、多孔質シリカ等の多孔質材料からなる担持体に含浸させたもの、或いは蓄熱材料をカプセルに封入したものである。上記担持体にノルマルパラフィンを含浸させたものを樹脂コーティングしてもよい。
【0056】
上記無機水和塩としては、例えば融点が約30℃の塩化カルシウム六水和塩や約32℃の硫酸ナトリウム10水和塩等がある。ノルマルパラフィンとしては、例えば融点が約28℃のn−オクタデカンや約32℃のn−ノナデカン、融点が約18℃のn−ヘキサデカンや約22℃のn−ヘプタデカン等がある。これら蓄熱材料に対して変性や混合を行うことにより、融点が24〜30℃に調整された冷房運転用蓄熱材料と、28〜35℃に調整された暖房運転用蓄熱材料とを使用する。
【0057】
上記潜熱蓄熱材料が含有される基材としては、インシュレーションボード、ロックウールボード、火山性ガラス質複層板、石膏ボードが用いられ、その他に塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂等の有機材料シート、無機材料シート等が用いられる。
【0058】
そして、上記合板6、温度分散蓄熱材層17、床冷暖房パネル7及び床仕上げ材9で床材18が構成され、この床材18の内部に水(液体冷熱媒)が流れる水流路16が冷温水管15により形成されている。
【0059】
上記冷温水管15(水流路16)の両端部はそれぞれ往き水連絡配管20及び戻り水連絡配管21を介してヒートポンプ装置30にループ状に接続されている。このヒートポンプ装置30は、図示しないが、冷媒サイクルを正逆サイクルに切り換えることで、冷温水管15から戻り水連絡配管21を経てヒートポンプ装置30に戻った水を冷却して冷水とし、その冷水を往き水連絡配管20を経て再び冷温水管15に供給する冷房運転状態と、冷温水管15から戻り水連絡配管21を経てヒートポンプ装置30に戻った水を加熱して温水とし、その温水を往き水連絡配管20を経て再び冷温水管15に供給する暖房状態との間で切り換わる公知の切換機構及び冷却加熱源を備えており、ヒートポンプ装置30において、床材18の水流路16に供給される水(液体冷熱媒)を冷却又は加熱し、冷房運転時にはヒートポンプ装置30で冷却した冷水を床材18の冷温水管15内の水流路16に供給する一方、暖房運転時にはヒートポンプ装置30で加熱した温水を床材18の水流路16に供給するようになっている。
【0060】
上記ヒートポンプ装置30は制御装置32(制御手段)に接続されていて、この制御装置32によりヒートポンプ装置30の作動(運転)が制御される。図2にも示すように、制御装置32には、目標温度設定手段としての温度調節器33と、床表面温度検出手段としての放射温度計34と、部屋1の温度及び湿度を測定する温湿度センサ37(温度センサと相対湿度センサとを組み合わせてなるもの)とが接続されている。
【0061】
上記温度調節器33は、使用者によって操作されて床材18表面の温度を所望の目標温度に設定するためのものであり、その設定された目標温度に対応する温度信号が制御装置32に出力される。そして、温度調節器33は目標温度を変更調整可能であり、目標温度は、冷房運転時にあっては24℃以上でかつ30℃以下(24〜30℃)に、また暖房運転時にあっては28℃以上でかつ35℃以下(28〜35℃)にそれぞれ変更される。
【0062】
一方、上記放射温度計34は、部屋1の壁3(又は天井2でもよい)の表面に設置されている。この放射温度計34は、温度計本体34aと、この温度計本体34aに角度調整可能に揺動可能に取り付けられた可動部34bとを備え、この可動部34bに、床材18表面から放射される赤外線又は可視光線の強度を受けて測定するセンサ部35(受光部)が設けられており、このセンサ部35で赤外線又は可視光線の強度を測定することで床材18の表面温度を非接触で検出するようになっている。
【0063】
上記放射温度計34は、床材18表面の全体ではなく、その一部を測温部位として、その測温部位の温度を検出するようにしている。また、放射温度計34の可動部34bには、例えば使用者のマニュアル操作によりレーザ光Lを出射するレーザポインタ36が受光部35に対応して連動するように設けられており、このレーザポインタ36のレーザ光Lが照射される位置を受光部35の測温部位とするようにしている。このことで、放射温度計34が温度を検出している床材18表面の測温部位は、レーザポインタ36からのレーザ光Lが当たって赤色等の照射ポイントが現出することで必要に応じて視認可能とされている。
【0064】
また、放射温度計34は、上記可動部34bを例えば使用者がマニュアル操作して角度調整することにより受光部35及びレーザポインタ36の向きが変更調整可能に設置されており、この放射温度計34の受光部35の向きの変更調整により床材18表面での測温部位が変わるようになっている。つまり、放射温度計34は、温度を検出している床材18表面の測温部位を任意に変更可能とされている。
【0065】
さらに、上記温湿度センサ37も壁3の表面(天井2の表面でもよい)に設置されている。すなわち、部屋1の露点温度は絶対湿度で決まり、この絶対湿度は部屋1の内部では略均一であることが判っている。それ故、床材18の表面から離れた場所に温湿度センサ37があっても問題はない。
【0066】
上記制御装置32は、上記温湿度センサ37に接続された露点温度算出部32a(温湿度露点変換機)を備えており、この露点温度算出部32aにおいて、温湿度センサ37により測定された部屋1の温度及び湿度から、その部屋1の露点温度を算出するようにしている。
【0067】
そして、制御装置32は、冷房運転時には、露点温度算出部32aにより算出された露点温度に対し余裕温度としての一定温度(例えば1〜2℃)だけ高い基準温度を設定し、温度調節器33により設定された目標温度が基準温度以上のときには、放射温度計34により検出された床材18の表面温度が上記目標温度になるように上記ヒートポンプ装置30の作動(運転)を制御する一方、上記目標温度が基準温度よりも低いときには、検出された床材18の表面温度が基準温度になるようにヒートポンプ装置30の作動を制御するようにしている。具体的には、基準温度又は目標温度に対し、それよりも第1所定温度(例えば1〜2℃)だけ高いオフ温度と、該オフ温度よりも第2所定温度(例えば1〜2℃)だけ高いオン温度とをそれぞれ算出し、検出された床材18の表面温度が上記オン温度になると、ヒートポンプ装置30を作動させる一方、床材18の表面温度がオフ温度になると、ヒートポンプ装置30の作動を停止させるように制御する。
【0068】
一方、暖房運転時には、床材18の表面温度が目標温度よりも低くなると、ヒートポンプ装置30がオン状態になってヒートポンプ装置30から床材18の冷温水管15に供給される温水の温度が上がる一方、床材18の表面温度が目標温度よりも高くなると、ヒートポンプ装置30がオフ状態になってヒートポンプ装置30からの温水の温度が下がるように制御される。
【0069】
そして、上記温度調節器33により設定される目標温度は、例えば冷房運転時にあっては24℃以上でかつ30℃以下(24〜30℃)であり、暖房運転時にあっては28℃以上でかつ35℃以下(28〜35℃)とされている。
【0070】
したがって、この実施形態においては、冷房運転時、放射温度計34により床材18表面の測温部位の温度が検出され、その検出信号が制御装置32に入力される。また、部屋1の温度及び湿度が温湿度センサ37により測定され、その測定信号も制御装置32に入力される。さらに、使用者によって温度調節器33が操作されて床材18表面の目標温度が24〜30℃内の所望の温度に設定され、この温度調節器33の温度信号も制御装置32に入力される。
【0071】
上記制御装置32では、その露点温度算出部32aにより、上記温湿度センサ37により測定された部屋1の温度及び湿度から部屋1の露点温度が算出され、この算出された露点温度に対し一定温度(例えば1〜4℃のうち、任意の温度)だけ高い基準温度が設定される。そして、温度調節器33により設定された目標温度と基準温度とが対比され、目標温度が基準温度以上のときには、放射温度計34により検出された床材18の表面温度が目標温度になるようにヒートポンプ装置30の作動(運転)が制御される。一方、上記目標温度が基準温度よりも低いときには、検出された床材18の表面温度が基準温度になるようにヒートポンプ装置30の作動が制御される。
【0072】
例えば、冷房運転を行う際に、上記一定温度を、部屋1の温度に対応させて段階的に変化させてもよい。一般的に、高い温度ほど、高い湿度ほど結露を起こし易いので、例えば部屋1の温度が25℃以下の場合に一定温度を1℃、部屋1の温度が25〜35℃の場合は2℃、部屋1の温度が35℃を超える場合は3℃というように、室温が高いほど余裕を大きくすることにより、室温が比較的高い状態での結露のリスクが解消される。
【0073】
その際、基準温度又は目標温度に対し、それよりも第1所定温度だけ高いオフ温度と、そのオフ温度よりも第2所定温度だけ高いオン温度とがそれぞれ求められ、検出された床材18の表面温度が上記オン温度になると、ヒートポンプ装置30がオン状態(作動状態)となる一方、床材18の表面温度がオフ温度になると、ヒートポンプ装置30がオフ状態(作動停止状態)となる。
【0074】
一方、暖房運転時には、放射温度計34により床材18表面の測温部位の温度が検出され、その検出信号が制御装置32に入力されるとともに、使用者によって温度調節器33が操作されて床材18表面の目標温度が28〜35℃内の温度に設定され、この温度調節器33の温度信号も制御装置32に入力される。そして、上記制御装置32において、上記放射温度計34により検出された床材18の表面温度が、温度調節器33で設定された目標温度になるようにヒートポンプ装置30の運転(作動)が制御される。
【0075】
このことで、冷房運転時及び暖房運転時のいずれにおいても、床表面温度を安定した目標温度に保つことができる。また、このように床材18の表面温度を目標温度又は基準温度へ収束させる制御を行うことにより、ヒートポンプ装置30から床材18の冷温水管15に供給される往き水の温度、又は床材18の冷温水管15からヒートポンプ装置30に戻る戻り水の温度を検出して、その温度が目標温度になるように制御する冷温水温度制御に比べ、ヒートポンプ装置30の運転が連続して行われることとなるため、より温度の低い5〜15℃の温度帯の冷水を含む水(液体冷熱媒)を用いて制御することが可能になる。その結果、ヒートポンプ装置30の連続運転が増えた分だけ省エネルギー性を高めることができる。
【0076】
また、上記床材18における床冷暖房パネル7の上側に温度分散蓄熱材層17が設けられているので、その温度分散蓄熱材層17に含有される潜熱蓄熱材料の伝熱特性により水流路16(冷温水管15)から床材18表面への伝熱が床材18全体に亘って均等になり、床材18表面において水流路16(冷温水管15)の真上の部位B1と水流路16(冷温水管15)真上以外の部位B2との間でも温度差が生じず、床材18の表面温度が全体に亘って均一になる。そのため、放射温度計により検出される床材18表面の測温部位がどの位置であっても、その検出温度はばらつきのない安定したものとなり、測温部位の制限や制約がなくなるとともに、ヒートポンプ装置30の制御を安定した効率で適正に行うことができる。特に、冷房運転時に、仮に隣接する冷温水管15,15間の部位B2が測温部位となって、その測温部位の床表面温度に基づいてヒートポンプ装置30の作動を制御しても、床表面温度が下がり過ぎて床表面に結露が発生することはない。
【0077】
尚、上記温度分散蓄熱材層17によって床材18の表面温度を全体に亘って均一にできるので、上記均熱板8を不要にすることも可能である。
【0078】
また、上記冷房運転時、制御装置32で設定される基準温度は、部屋1内の露点温度に対し一定温度だけ高いので、目標温度が基準温度以上で床材18の表面温度が目標温度になるようにヒートポンプ装置30の作動が制御されるとき、及び、目標温度が基準温度よりも低くて床材18の表面温度が基準温度になるようにヒートポンプ装置30の作動が制御されるときのいずれであっても、目標温度又は基準温度のうちの高い方が選択されて、床材18の表面温度は露点温度よりも高い温度に制御されるようになり、その表面温度が露点温度に低下することはなく、冷房運転時に床材18表面に結露が発生するのをより一層確実に防ぐことができる。
【0079】
しかも、制御装置32では、上記基準温度又は目標温度よりも第1所定温度だけ高いオフ温度と、そのオフ温度よりも第2所定温度だけ高いオン温度とがそれぞれ算出され、床材18の表面温度がオン温度になると、ヒートポンプ装置30が作動され、床材18の表面温度がオフ温度になると、ヒートポンプ装置30が作動停止されるので、ヒートポンプ装置30の頻繁なオンオフが抑制され、より一層の省エネルギー化を図ることができる。
【0080】
また、部屋1の温度及び湿度を測定する温湿度センサ37を備え、その温湿度センサ37により測定された部屋1の温度及び湿度から露点温度を算出するので、部屋1の露点温度を容易に求めることができる。
【0081】
また、床材18の表面温度を検出する放射温度計34は、部屋1の壁3表面(又は天井2表面)に設置されて、床材18表面から放射される赤外線又は可視光線の強度を測定することで床材18の表面温度を非接触で検出するものであるので、温度計を床面に直接設置してその温度を検出する場合のように、温度計が床面の美観を損なうようなことはない。
【0082】
また、放射温度計34は、床材18表面の一部を測温部位として、その測温部位の温度を検出するので、仮に、部屋1全体に亘るような広範囲な部分の表面温度を検出し、それらを平均化して制御する場合のように、床材18表面に温度が低過ぎて結露を生じる部分や高過ぎる部分ができたり、人間の居住スペースや座布団等の敷物の使用が限定されたりすることは生じない。
【0083】
また、使用者の操作等により放射温度計34のレーザポインタ36からレーザ光Lを照射させると、そのレーザ光Lが当たっている床材18表面が測温部位となる。こうして放射温度計34の受光部35が温度を検出している床材18表面の測温部位がレーザ光Lの照射ポイントにより視認可能であるので、制御中にその床材18表面の測温部位が物体に邪魔されることなく常に露出していて、その測温部位で温度の検出をしているかどうかを容易に確認することができ、安定した制御を行うことができる。
【0084】
さらに、上記放射温度計34は、例えば使用者のマニュアル操作により受光部35及びレーザポインタ36の向きが変更調整可能であり、温度を検出している床材18表面の測温部位を任意に変更可能であるので、ある測温部位の上(床材18表面上)に一時的に例えば椅子やクッション、鞄等の物体が存在して該測温部位での温度検出ができないときには、放射温度計34の測温部位(受光部35の向き)をその測温部位から他の測温部位に移動すればよく、このことによっても安定した制御を行うことができる。
【0085】
また、床冷暖房パネル7の上面に設けられる温度分散蓄熱材層17は、施工状態で下側の床冷暖房パネル7の冷温水管15の配置位置を均熱板8を通して視認可能な程度に半透明又は透明とされているので、床冷暖房パネル7上に温度分散蓄熱材層17を例えばビス等により固定して施工する際、半透明又は透明の温度分散蓄熱材層17を通して床冷暖房パネル7の冷温水管15の位置を視認することができ、誤ってビスで冷温水管15を傷付けることがなく、床材18の施工性を高めることができる。
【0086】
(その他の実施形態)
尚、上記実施形態では、温度分散蓄熱材層17を、その下側の床冷暖房パネル7の冷温水管15の位置を視認可能な程度に半透明又は透明としているが、この温度分散蓄熱材層17に、床冷暖房パネル7の冷温水管15の配置位置が施工状態において視認可能な程度に打ち抜き孔(開口)を加工しておいてもよい。その場合も抜き打ち孔を通して床冷暖房パネル7の冷温水管15の位置を視認することができ、誤ってビスで冷温水管15を傷付けることがなく、床材18の施工性を高めることができる。
【0087】
また、上記実施形態では、床冷暖房パネル7と床仕上げ材9との間に温度分散蓄熱材層17を配置しているが、床冷暖房パネル7の上側に配置される床仕上げ材9自体に上記潜熱蓄熱材料を含有(内添)させてもよく、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0088】
また、上記実施形態では、24℃以上でかつ30℃以下の融点を有する冷房運転用蓄熱材料と、28℃以上でかつ35℃以下の融点を有する暖房運転用蓄熱材料との双方を含有させるようにしているが、一方のみを含有させてもよく、冷房運転又は暖房運転の用途に応じて適宜選択すればよい。
【0089】
さらに、上記実施形態では、温湿度センサ37により部屋1の温度及び湿度を測定し、その温度及び湿度から露点温度を算出するようにしているが、温湿度センサ37及び制御装置32の露点温度算出部32aに代えて、部屋1の露点温度を直接測定する露点温度センサを設けてもよく、その場合も部屋1の露点温度を容易に求めることができる。
【0090】
また、上記実施形態では、放射温度計34にレーザポインタ36を設け、そのレーザポインタ36の照射により床材18表面の測温部位を視認できるようにしているが、レーザポインタ36を設けることに代え、予め床材18表面の測温部位にシールを貼ったりマーカを付けたりして標識を付けておき、その標識により測温部位を視認して、測温部位の床材18表面が常に露出できていることを確認できるようにしてもよい。
【0091】
さらに好ましくは、放射温度計34の受光部35が床材18表面において露出している部分を自動的に検出できるようにすることもできる。
【実施例】
【0092】
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
【0093】
(1)省エネルギー試験
(実施例1)
図1及び図3に示す上記実施形態の構成の床冷暖房装置について(床冷暖房パネルの隣接する冷温水管の間隔は75mm)、その冷房運転を行った。放射温度計で床材の表面温度を測定し、この検出温度が25℃の目標温度になるようにヒートポンプ装置の作動(運転)を制御した(床表面温度制御)。外気の温度は30℃、湿度は60%であった。
【0094】
(比較例1)
実施例1と同様の床構造において、ヒートポンプ装置から冷温水管に供給される往き水の温度を検出し、その温度が21℃の目標温度になるようにヒートポンプ装置の作動(運転)を制御した(冷温水制御)。他の条件は実施例1と同じである。
【0095】
(試験)
実施例1及び比較例1について、5時間の制御を継続し、その平均の床表面温度及び消費電力量を測定した。その結果をそれぞれ図4及び図5に示す。また、成績係数(COP)を算出した。その結果を図6に示す。また、実際の床表面温度の経時変化を図7に示す。上記成績係数は以下のように算出した。
COP=冷房能力:W/消費電力:W
冷房能力=(戻り水温度−往き水温度:℃)×流量:g/h×冷媒の比熱:Wh/g・K
この図5を見ると、実施例1(床表面温度制御)では、消費電力が比較例1(冷温水制御)と比較して平均で47%の削減となっている。また、図6により、実施例1の成績係数COPは、比較例1と比較して平均で122%の増加となっている。これは、実施例1では、ヒートポンプ装置が最大負荷で継続的に運転するようになっていて、同じ時間を運転する場合には、実施例1のように最大負荷で継続的に運転する方が、比較例1のように頻繁なオンオフを繰り返す制御よりも効率がよく、ヒートポンプ装置の省エネルギー効果を発揮できているためである。
【0096】
具体的には、図7に示すように、5時間の運転中に、比較例1(冷温水制御)では40回以上のヒートポンプ装置のオンオフが繰り返されたのに対し、実施例1(床表面温度制御)ではオンオフは8回程度であり、ヒートポンプ装置は継続的に運転されていることが判る。
【0097】
(2)結露試験
(試験例1)
上記実施形態の構成の床冷暖房装置及び床構造において、部屋の温度を28℃とし、その部屋の相対湿度を加湿により50%から90%に上昇させた。そして、床表面の目標温度を25℃に設定したとき、露点温度に対し1℃(一定温度)だけ高い基準温度を設定し、目標温度が基準温度以上のときには、床材の実際の表面温度が目標温度になるように、また目標温度が基準温度よりも低いときには、実際の床表面温度が基準温度になるようにそれぞれヒートポンプ装置を制御した。その結果、図8に示すように、部屋の湿度を90%に上昇させたときに露点温度は26.2℃であったが、床表面温度は27.2℃となり、床表面で結露が発生しなかった。
【0098】
また、比較のために、露点温度に関係なく、床材の実際の表面温度が目標温度25℃になるようにヒートポンプ装置をオンオフさせる制御のみを行った。その結果、図8に示すように、部屋の湿度を90%に上昇させたときに、露点温度が26.2℃であるのに対し、床表面温度は25.0℃となり、床表面で結露が確認された。図8中、○は結露発生なしを、また×は結露発生ありをそれぞれ示している。
【0099】
(試験例2)
部屋の温度を30℃として、部屋の相対湿度を加湿により50%から80%に上昇させた。その他は試験例1と同様である。
【0100】
そして、図8に示すように、基準温度を設定した制御では、部屋の湿度を80%に上昇させたときに露点温度は26.2℃であったが、床表面温度は27.2℃であり、床表面で結露が発生しなかった。
【0101】
これに対し、図8に示すように、基準温度の設定のない床表面温度制御のみの場合、部屋の湿度を80%に上昇させたときに露点温度は26.2℃であるのに対し、床表面温度は25.1℃となり、床表面で結露が確認された。
【0102】
(試験例3)
部屋の温度を32℃として、部屋の相対湿度を加湿により50%から70%に上昇させた。その他は試験例1と同様である。
【0103】
そして、図8に示すように、基準温度を設定した制御では、部屋の湿度を70%に上昇させたときに露点温度は25.9℃であった。このとき、床表面温度は26.8℃であり、床表面で結露が発生しなかった。
【0104】
一方、図8に示すように、基準温度の設定のない床表面温度制御のみの場合、部屋の湿度を70%に上昇させたときに露点温度は25.9℃であったが、床表面温度は24.9℃となり、床表面で結露が確認された。
【0105】
これらの試験例1〜3から、本発明のように、露点温度よりも一定温度高い基準温度を設定し、その基準温度と目標温度とを対比して高い方になるように制御を切り換えることによって、床表面での結露の発生を確実に防止できる。
【0106】
(3)床面温度安定化試験
(実施例2)
上記実施形態の床冷暖房装置において、その床材(図3参照)として、オレフィン樹脂100重量%に潜熱蓄熱材料としてノルマルパラフィン蓄熱材(JOMO製の商品名「TS−87」:融解温度24.7〜26.7℃、凝固温度25.5℃〜23.6℃)60重量%を均一混合させ(600g/mとなる)、厚さ2.7mmのシート状にカレンダー成形して温度分散蓄熱材を得た。この温度分散蓄熱材を床冷暖房パネルと厚さ3mmのMDFからなる床仕上げ材との間に配置したものを実施例2とした。
【0107】
(比較例2)
また、上記実施形態の床材において、床冷暖房パネル上に厚さ3mmのMDFからなる床仕上げ材を配置したもの(温度分散蓄熱材層のないもの)を比較例2とした。
【0108】
そして、部屋の温度を30℃とし、湿度を60%として床冷暖房装置を冷房運転させ、上記実施例2及び比較例2の各々における床材表面の任意の4つの位置P1〜P4の温度を測定した。このうち、P1,P2は冷温水管の真上位置、P3,P4は隣接する冷温水管間の位置である。また、床材表面において制御に用いる放射温度計の測温部位はP3(隣接する冷温水管間の位置)である。その結果を往き水の温度と共に図9に示す。
【0109】
また、P1位置、P2位置及びP4位置についての温度変化における最低及び最高温度を往き水の温度(通水温度)と共に図10に示す。
【0110】
この図9及び図10によると、比較例2では床表面の最低温度が22.6℃であったのに対し、実施例2では24℃であり、実施例2は比較例2に比べと高温となっており、床表面の結露の発生を防止できることが判る。また、実施例2におけるヒートポンプ装置のオンオフは比較例2よりも少なく、ヒートポンプ装置が継続的に運転されて安定した制御が行われている。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、床冷房装置の制御において省エネルギー効果が高く、安定した制御を行うことができて、冷房運転時に床表面の結露の発生もないので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0112】
A 床冷暖房装置
1 部屋
3 壁
4 床
7 床冷暖房パネル
15 冷温水管(パイプ)
16 水流路
17 温度分散蓄熱材層
18 床材
B1 冷温水管の真上の部位
B2 冷温水管真上以外の部位
30 ヒートポンプ装置
32 制御装置
32a 露点温度算出部(露点温度検出手段)
33 温度調節器(目標温度設定手段)
34 放射温度計(床表面温度検出手段)
35 センサ部
36 レーザポインタ
L レーザ光
37 温湿度センサ(露点温度検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に、液体冷熱媒が流れる流路が形成された床材と、該床材の流路に接続され、該流路に供給される液体冷熱媒を冷却又は加熱するヒートポンプ装置とを備え、冷房運転時にはヒートポンプ装置で冷却した液体冷熱媒を床材の流路に供給する一方、暖房運転時にはヒートポンプ装置で加熱した液体冷熱媒を床材の流路に供給するようにした床冷暖房装置において、
上記床材の表面温度の目標温度を設定する目標温度設定手段と、
上記床材の表面温度を検出する床表面温度検出手段と、
上記床表面温度検出手段により検出された床材の表面温度が、上記目標温度設定手段により設定された目標温度になるように上記ヒートポンプ装置の作動を制御する制御手段とを備え、
上記床材は、上記流路が形成された床冷暖房パネルと、該床冷暖房パネルの上側に配置された床仕上げ材と、上記床冷暖房パネル及び床仕上げ材の間に配置され、潜熱蓄熱材料を含有する温度分散蓄熱材層とを備えていることを特徴とする床冷暖房装置。
【請求項2】
内部に、液体冷熱媒が流れる流路が形成された床材と、該床材の流路に接続され、該流路に供給される液体冷熱媒を冷却又は加熱するヒートポンプ装置とを備え、冷房運転時にはヒートポンプ装置で冷却した液体冷熱媒を床材の流路に供給する一方、暖房運転時にはヒートポンプ装置で加熱した液体冷熱媒を床材の流路に供給するようにした床冷暖房装置において、
上記床材の表面温度の目標温度を設定する目標温度設定手段と、
上記床材の表面温度を検出する床表面温度検出手段と、
上記床表面温度検出手段により検出された床材の表面温度が、上記目標温度設定手段により設定された目標温度になるように上記ヒートポンプ装置の作動を制御する制御手段とを備え、
上記床材は、上記流路が形成された床冷暖房パネルと、該床冷暖房パネルの上側に配置された床仕上げ材とを備え、該床仕上げ材は潜熱蓄熱材料を含有していることを特徴とする床冷暖房装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
目標温度設定手段は目標温度を、冷房運転時にあっては24℃以上でかつ30℃以下に、また暖房運転時にあっては28℃以上でかつ35℃以下にそれぞれ変更可能であることを特徴とする床冷暖房装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つにおいて、
潜熱蓄熱材料は、24℃以上でかつ30℃以下の融点を有する冷房運転用蓄熱材料と、28℃以上でかつ35℃以下の融点を有する暖房運転用蓄熱材料との少なくとも一方からなることを特徴とする床冷暖房装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つにおいて、
床表面温度検出手段は、部屋の壁面又は天井面に設置されかつ床材表面の一部を測温部位として、その測温部位から放射される赤外線又は可視光線の強度を測定することで床材の表面温度を非接触で検出する放射温度計であることを特徴とする床冷暖房装置。
【請求項6】
請求項5において、
放射温度計が温度を検出している床材表面の測温部位が視認可能であることを特徴とする床冷暖房装置。
【請求項7】
請求項5又は6において、
放射温度計は、温度を検出している床材表面の測温部位を任意に変更可能とされていることを特徴とする床冷暖房装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つにおいて、
床材が施工された部屋の露点温度を検出する露点温度検出手段を備え、
制御手段は、冷房運転時、上記露点温度検出手段により検出された露点温度に対し一定温度だけ高い基準温度を設定し、目標温度設定手段により設定された目標温度が上記基準温度以上のときには、床表面温度検出手段により検出された床材の表面温度が上記目標温度になるようにヒートポンプ装置の作動を制御する一方、目標温度が基準温度よりも低いときには、床表面温度検出手段により検出された床材の表面温度が基準温度になるようにヒートポンプ装置の作動を制御するものとされていることを特徴とする床冷暖房装置。
【請求項9】
請求項1において、
床冷暖房パネルには流路を形成するパイプが配置されており、
上記床冷暖房パネルの上面に設けられる温度分散蓄熱材層は、施工状態において上記床冷暖房パネルのパイプの位置を視認可能な程度に半透明又は透明であることを特徴とする床冷暖房装置。
【請求項10】
請求項1において、
床冷暖房パネルには流路を形成するパイプが配置されており、
上記床冷暖房パネルの上面に設けられる温度分散蓄熱材層は、施工状態において上記床冷暖房パネルのパイプの位置を視認可能な程度の開口が形成されていることを特徴とする床冷暖房装置。
【請求項11】
内部に、液体冷熱媒が流れる流路が形成された床材と、該床材の流路に接続され、該流路に供給される液体冷熱媒を冷却又は加熱するヒートポンプ装置とを備え、冷房運転時にはヒートポンプ装置で冷却した液体冷熱媒を床材の流路に供給する一方、暖房運転時にはヒートポンプ装置で加熱した液体冷熱媒を床材の流路に供給するようにした床冷暖房装置の制御方法であって、
上記床材は、上記流路が形成された床冷暖房パネルと、該床冷暖房パネルの上側に配置された床仕上げ材と、上記床冷暖房パネル及び床仕上げ材の間に配置され、潜熱蓄熱材料を含有する温度分散蓄熱材層とを備えており、
上記床材の表面温度を検出し、その検出された床材の表面温度が予め設定された目標温度になるように上記ヒートポンプ装置の作動を制御することを特徴とする床冷暖房装置の制御方法。
【請求項12】
請求項11において、
冷房運転時にはヒートポンプ装置で冷却した少なくとも5〜15℃の温度帯の液体冷熱媒が含まれる液体冷熱媒を床材の流路に供給するようにヒートポンプ装置の作動を制御することを特徴とする床冷暖房装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−174656(P2011−174656A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38651(P2010−38651)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】