説明

床化粧板

【課題】床化粧板の床面への敷設と固定を簡単な作業で行え、固定位置が制限されず、強風を受けても床面に確実に固定しておけるようにする。
【解決手段】複数のユニット基板(21)を並設一体化し、周辺に他の床化粧板との継手部(25a、25b)が形成されてなる合成樹脂製の床化粧板(1)において、ユニット基板(21)の目地部(22)に、床面(6)に固定された支持板(4)の係止突部(42)の上端を差し入れ、目地部(22)両側のユニット基板(21)間に架設された連結片(24)に、係止突部(42)の上端をスナップピンからなる留め具(5)で接続することにより、床化粧板(1)を床面(6)に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルコニーやベランダなどの床面上に敷設して化粧床面を形成する床化粧板に関し、強風を受けても捲れ上がったり分離飛散したりせずに、床面上に確実に固定しておけるようにした構成のものに関する。
【背景技術】
【0002】
ベランダなどの建物から張り出した縁の上面は、水捌けを良くするためコンクリートを剥き出しにしているところが多く、見栄えが悪いものであった。そのため、剥き出しのコンクリートに複数の床化粧板を敷き詰め、ベランダの床面を建物の外壁と調和のとれた外観のものに装飾することが行われている。
かかる床化粧板は、合成樹脂材料を用い、上面にタイルが接着固定される複数のベース板を方形状に並設一体化して比較的軽量に成形されており、マンションの高層階のベランダに敷設した場合などに強風を受けて床化粧板が煽られて捲れあがったり分離飛散したりする虞れがあることから、敷設した床化粧板を床面に固定する手段を施す必要があった。
【0003】
従来、床化粧板を床面に固定する手段としては、例えば図8に示されるように、断面L字形に屈曲した板材の一側102aに針状突起102bを一体に列設させてなる固定具102を用い、固定具102の他側102cを床面100にボルト留めした状態で、床化粧板101をその側端部に固定具102の針状突起102bを突き刺して敷設することにより、床面100に固定するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
また、図9に示されるように、床化粧板101の凹状の継手部101aに連結する補助連結片103を用い、補助連結具103が接着固定された床面100に複数枚の床化粧板101を敷き詰め、隣接する床化粧板101同士で凹状の継手部101aと凸状の継手部(図示せず)を接続して連結一体化するとともに、前記凹状の継手部101aと補助連結具103とを連結して、床化粧板101を床面100に固定するものが知られている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−182000号公報
【特許文献2】特開2004−211540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
床化粧板101を床面100に固定する前者の手段は、針状突起102bを床化粧板101の側端部に突き刺して固定具102と床化粧板101を接続する作業に手間を要し、また、針状突起102bを突き刺しただけでは床化粧板101を確実に固定しておくことができず、強風を受けたときに針状突起102aが外れて床化粧板101が捲れ上がることがあった。
後者の手段は、補助連結具103と凹状の継手部101aとを接続して固定するものであるため、床化粧板101の固定位置が制限され、敷き詰められた床化粧板101の端の辺に凸状の継手部が位置する場合に、当該端辺を補助連結具103を用いて固定することができず、他の固定手段を用いなければならないという問題があった。
【0006】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、床面への床化粧板の敷設と固定を簡単な作業で行え、固定位置が制限されず、強風を受けても床面に確実に固定しておけるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明は、複数のユニット基板を並設一体化し、周辺に他の床化粧板との継手部が形成されてなる合成樹脂製の床化粧板において、前記ユニット基板の目地部に、床面に固定された支持板の上端を差し入れるとともに、当該目地部の両側のユニット基板間に架設された連結片に、前記支持板の上端を留め具で接続することにより床面に固定されるように構成したことを特徴とする。
前記構成において、支持板の二股に分岐した上端をユニット基板の目地部に差し入れて連結片の両側に配し、連結片の上方で、前記支持板の上端にスナップピンを嵌着して、連結片と支持板の上端とを接続するようにしてもよく、また、各ユニット基板の上面にタイルを固着して構成してもよい。
【0008】
本発明の床化粧板によれば、床化粧板を敷設する床面の所定位置に支持板を接着剤で固定し、この支持板の上端が、床化粧板のユニット基板の目地部に差し入れられるようにして床化粧板を床面に設置し、目地部に設けられた連結片と支持板の上端とを留め具で接続して支持板と床化粧板とを連結することにより、床化粧板を床面に固定することができる。
ユニット基板の目地部に留め具を装着して接続しているので、目地部の中に留め具が収まってユニット基板間又はユニット基板上面に固着したタイル間に潜り込み、留め具が床化粧板の上方から目に付くようなことはなく、床化粧板を見栄え良く敷設することができ、また、留め具が歩行の邪魔となるようなこともない。
また、連結片と支持板の上端を接続する作業は、床面に設置した床化粧板の上方で留め具を操作して行うことができるので、作業がし易く手間をかけずに両部材を確実に接続可能であり、また、床化粧板内で縦横に配されたどの位置の目地部であっても、差し入れた支持板の上端と連結片との接続を行えるので固定位置が制限されず、床化粧板の設置条件などに応じて板内の適宜な位置の目地部において支持板と連結片とを接続し、床化粧板を固定することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の好適な一実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態の床化粧板の構成を上下両面を半面づつ示した図、図2は同じく床化粧板のベースパネルの目地部の拡大断面図、図3は同じく床化粧板の継手部である水平突起と垂直突起の拡大図、図4は同じく床化粧板同士を連結した状態の継手部分の拡大断面図、図5は床化粧板を床面に固定するための支持板と留め具の斜視図、図6は同じく支持板と留め具の側面図、図7は床化粧板を床面に固定する工程を説明するための図である。各図において、符番1は床化粧板、2はベース板、21はユニット基板、23は目地部、3はタイル、4は支持板、5は留め具、6はバルコニーなどの床面をそれぞれ示している。
【0010】
図示した形態の床化粧板1は、その上面に複数枚のタイル3が接着固定されてなり、後述する支持板4に留め具5で一体に連結されて床面6上に固定されるように設けてある。
【0011】
より詳しくは、床化粧板1は、塩化ビニル樹脂やポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料を用いて平面視正方形に形成されたベース板2の上面に、縦横3列に並べた9枚のタイル3をエポキシ樹脂などの接着剤で接着固定して形成してある。
ベース板2は、下面に複数の脚部23を突設させた平面視正方形状の小型のユニット基板21を目地部22を挟んで縦横3列に並べるとともに、図2に示されるように、目地部22を横切ってユニット基板21の側端部間に架け渡された連結片24で、隣接ユニット基板21同士を一体に連結して形成されており、各ユニット基板21の上面にタイル3が接着固定してある。また、ベース板2の周側面には、対角コーナー部を挟む隣接二辺に、図3に示されるような、継手部25としての水平突起25aと水平突起25bをそれぞれ複数設けてある。
そして、床化粧板1は、床面6上に複数枚を敷き詰め、図4に示されるように、隣り合う一方の床化粧板1の側面の垂直突起25bを他方の床化粧板1の側面の水平突起25aの溝孔に上方から凹凸嵌合させ、両床化粧板1の周辺部同士を互いに接続することで一体の化粧床面を構成するようになっている。
【0012】
支持板4は、ステンレスなどの耐蝕性を有する薄い鋼板を折曲加工してなり、図5及び図6に示されるように、平面視線矩形の基板41の対向長手辺の中央部に上方へ適宜な高さ突出していて先端を逆U字形に折り返した係止突部42を設けるとともに、当該係止突部42の中央部に適宜な幅だけ切除した切欠き部43を配して係止突部42を二股に分岐させた形状に設けてある。
前記係止突部42の幅は、その内側面間に後述する留め具5が圧入可能な幅に設定してあり、また、その高さ(図5中の符番H)は、前記ユニット基板21間の連片24の高さ(図2中の符番h)よりも若干高くなるように設定してある。
また、基板41の面内には複数の通孔44が形成してあり、支持板4を床面6に接着固定する際に、基板41の下面と床面6の上面間に充填された接着剤が各通孔44から基板41の上面に溢れ出て盛り上がることにより、支持板4が床面6上に強固に固着できるようになっている。
【0013】
留め具5は、耐蝕鋼材からなる針金を屈曲形成したスナップピンであり、図5及び図6に示されるように、その中央に半円状に湾曲したストッパー51、一端に湾曲しつつ折り返された係止部52をそれぞれ設け、係止部52から先端53までの全長を前記支持板4の短手辺よりも若干長くなるように設けて形成してある。
【0014】
これらの部材を用いて床化粧板1を床面6に敷設し固定する作業は以下の手順により行われる。
先ず、床面6上に複数枚の床化粧板1を敷き並べ、各床化粧板1で各々隣接する床化粧板1の側面に設けられた水平突起25aと垂直突起25bを凹凸嵌合させて連結し、一体の化粧床面を形成する。全ての床化粧板1を一体に連結したならば、その状態で床化粧板1を床面6に固定するための支持板4の接続位置を位置決めしておく。なお、支持板4は、一体の化粧床面に複数個が接続される。
次に、連結した一体の化粧床面を床面6の隅に立て掛けておいたり、床面6から移動させたりするなどして、床面6を一旦露出させ、図7(A)に示されるように、前記位置決めされた床面6上の各位置に支持板4を各々接着剤で固定する。
各支持板4を床面6に固定したならば、その上に前記一体の化粧床面を被せて床面6上に再び敷き並べる。その際、支持板4の上端である係止突部42をユニット基板21の目地部22に下側から差し入れるとともに、二股の係止突部42の間の切欠け部43内に、ユニット基板21間に架設された連結片24が位置するように床化粧板1の敷設位置を調整する。目地部22内に差し入れられた二股の係止突部42は、図7(B)に示されるように、その上端を連結片24よりも若干上方に突出させて、連結片24の両側に配置される。
そして、図7(C)に示されるように、連結片24の上方に突出した二股の係止突部42を貫くようにして、留め具5を係止突部42に挿入するとともに、留め具5が抜け出ないようにそのストッパー51を連結片24に嵌着させる。
なお、床面6上に床化粧板1を敷き並べる前に、予め床面6上の所定位置に複数の支持板5を接着固定しておき、その後、床面6上に床化粧板1を順次設置してゆき、互いに連結しつつ固定して敷き並べるようにしてもよい。
【0015】
このような作業手順で床面6に敷設された床化粧板1は、そのユニット基板21の連結片24に、床面6に固定された支持板4の係止突部42が留め具5を介して一体に接続しているので、強風を受けても捲れ上がるようなことはなく、床面6上に確実に固定して安定的に敷き並べておくことができる。
また、ユニット基板21の目地部22内に係止突部42を挿入させて留め具5を連結してあるので、留め具5が目地部22内に収まってタイル3よりも下方に潜り込み、床化粧板1の上方から留め具5が目に付くようなことはなく、また、留め具5が歩行の邪魔となるようなこともない。
【0016】
なお、図示した床化粧板1やベース板2、支持板4、留め具5の各部材の形態は一例であり、本発明は床化粧板1の敷設位置や広さなど、設置条件に応じて適宜な形態に設けることが可能である。ベース板2内で支持板4を接続する位置や支持板4の接続数なども設置条件に応じて適宜に選定される。床化粧板1の周側辺に設けられる継手部25の形状も、図示した水平突起25aや垂直突起25bの他に、互いに凹凸嵌合する他の適宜な形状のものとしてもよい。各ユニット基板21の上面に装飾模様を施してベース板2を形成し、タイル3を固着せずに、ベース板2の上面が露出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態の床化粧板の構成を上下両面を半面づつ示した図である。
【図2】同じく床化粧板のユニット基板の目地部の拡大断面図である。
【図3】同じく床化粧板の継手部である水平突起(A)と垂直突起(B)の拡大図である。
【図4】同じく床化粧板同士を連結した状態の継手部分の拡大断面図である。
【図5】床化粧板を床面に固定するための支持板と留め具の一例の斜視図である。
【図6】同じく支持板と留め具の側面図である。
【図7】(A)〜(C)は床化粧板を床面に固定する工程を説明するための図である。
【図8】従来の一例の床化粧板における固定具の外観図(A)と床面に固定された状態の床化粧板の端部断面図(B)である。
【図9】従来の他の例の床化粧板に補助連結具を接続した状態の外観図(A)と床面に固定された状態の床化粧板の概略側面図(B)である。
【符号の説明】
【0018】
1 床化粧板、2 ベース板、21 ユニット基板、22 目地部、23 脚部、24 連結片、25 継手部、25a 水平突起、25b 垂直突起、3 タイル、4 支持板、41 基板、42 係止突部、43 切欠き部、5留め具、6 床面




【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユニット基板を並設一体化し、周辺に他の床化粧板との継手部が形成されてなる合成樹脂製の床化粧板において、
前記ユニット基板の目地部に、床面に固定された支持板の上端を差し入れるとともに、当該目地部の両側のユニット基板間に架設された連結片に、前記支持板の上端を留め具で接続することにより床面に固定されるように構成したことを特徴とする床化粧板。
【請求項2】
支持板の二股に分岐した上端をユニット基板の目地部に差し入れて連結片の両側に配し、連結片の上方で、前記支持板の上端にスナップピンを嵌着して、連結片と支持板の上端とを接続した請求項1に記載の床化粧板。
【請求項3】
各ユニット基板の上面にタイルが固着されてなる請求項1又は2に記載の床化粧板。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−84778(P2009−84778A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251597(P2007−251597)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】