説明

床暖房パネルユニット

【課題】床暖房パネルの施工性を向上させる。
【解決手段】発熱体を有する床暖房構造体30と、この床暖房構造体30の長手方向Xの側縁部31に密着して延在し、前記床暖房構造体30と同じ厚さを有する小根太32とを、均熱板34の板面に重ねて一体に接着して床暖房パネルユニット12を構成し、複数の前記床暖房パネルユニット12を、それぞれ均熱板34を上にして床面4に隙間無く敷き詰めることにより床暖房パネル8を形成可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床暖房装置の施工性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、室内などを暖房するのに、発熱体を有する床暖房パネルを床に組み込んで床側から暖房する床暖房装置が広く用いられている。
床暖房パネルを床に施工する際には、床面に複数の小根太を一定の間隔で施設し、各小根太の間に発熱体を配置する。そして、小根太の上に、床板(フローリング)や畳等の床材を載せ、小根太にビスを打ち込んだり接着剤を用いることにより、床材を小根太に固定している。また蓄熱式の床暖房装置を構成する場合には、発熱体の上に蓄熱材を施設している。このような床暖房パネルは、二重床工法やスラブ工法、剛床工法などのさまざまな床構造に適用可能である(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−291637号公報
【特許文献2】特開2005−314895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の床暖房パネルにおいては、現地での施工が煩雑であった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、床暖房パネルの施工性を向上させることができる床暖房パネルユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、発熱体を有する床暖房構造体と、この床暖房構造体の長手方向の側縁部に密着して延在し、前記床暖房構造体と同じ厚さを有する小根太とを、均熱板の板面に重ねて一体に接着してユニットを構成し、複数のユニットを、それぞれ均熱板を上にして床面に隙間無く敷き詰めることにより床暖房パネルを形成可能としたことを特徴とする床暖房パネルユニットを提供する。
【0005】
また本発明は、上記床暖房パネルユニットにおいて、前記床暖房構造体及び前記小根太の各横幅の合計が前記均熱板の横幅と一致することを特徴とする。
【0006】
また本発明は、上記床暖房パネルユニットにおいて、前記床暖房構造体及び前記小根太の各横幅の合計が1尺(略303mm)であることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記床暖房パネルユニットにおいて、前記均熱板に前記小根太の位置を示すマークを設けたことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記床暖房パネルユニットにおいて、前記床暖房構造体は所定の剛性を有する断熱材と、この断熱材及び前記均熱板の間に位置する面状発熱体とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記床暖房パネルユニットにおいて、前記床暖房構造体は面状発熱体と、この発熱体及び前記均熱板の間に位置する蓄熱体とを備え、前記蓄熱体は、一対の金属板の間に枠体或いはハニカム構造体を配置して複数の空間を形成し、前記空間の各々に蓄熱材を充填して構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、床暖房パネルユニットは、発熱体を有する床暖房構造体と、この床暖房構造体の長手方向の側縁部に密着して延在し、前記床暖房構造体と同じ厚さを有する小根太とを、均熱板の板面に重ねて一体に接着してユニットを構成し、複数のユニットを、それぞれ均熱板を上にして床面に隙間無く敷き詰めることにより床暖房パネルを形成可能としているため、現地で簡単に床暖房パネルを施工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は本実施形態に係る床暖房装置1の構成を示す斜視図である。
床暖房装置1は、図1に示すように、暖房する部屋2の床面4の床材6の下に敷設される発熱体を有する床暖房パネル8と、この床暖房パネル8の温度をコントロールするためのコントローラー10とを備えている。この床暖房パネル8は、長手方向を有した矩形状の床暖房パネルユニット12を、床面4に隙間なく敷き詰めることにより形成されている。
【0012】
床面4の構造には二重床工法やスラブ工法、剛床工法などのさまざまな床構造が採用可能である。二重床工法の床面4においては、図2に示すように、建物の基礎(例えばコンクリートスラブ)20に複数の支持具22が立設され、これらの支持具22でパーチクルボード製の基礎板24が基礎20から所定の高さだけ上げた状態で支持され、その隙間に断熱材28が充填され、また、基礎板24の上面に下地合板(下張り合板)26が敷かれている。支持具22は、脚部22aとボルト22bと木製の支持板22cとを有し、ボルト22bを回転させることで高さが調整可能に構成されており、この支持具22の高さを基礎20の凹凸に合わせて調整することで基礎板24の水平面を出すことを可能にしている。
下地合板26の面上に上記床暖房パネル8が施設され、この床暖房パネル8の上に床材6が敷設される。
【0013】
図3は床暖房パネル8を構成する上記床暖房パネルユニット12の構造を示す図であり、図4は図3のA−A線における断面を模式的に示す図である。
床暖房パネルユニット12は、図3に示すように、床暖房構造体30と、この床暖房構造体30の長手方向X(図1参照)の側縁部31に密着して延在し、床暖房構造体30と同じ厚さを有する小根太32とを備え、これらがアルミニウム製の均熱板34の板面に重ねて一体に接着しユニットを構成している。上記のように、床暖房パネルユニット12は、長手方向を有した矩形状になされており、床暖房構造体30及び小根太32の各横幅Wa、Wbの合計が均熱板34の横幅Wと一致し、その合計が1尺(略303mm)であり、また、床暖房構造体30及び小根太32の各長手方向の長さL(図1)が3尺、或いは4尺、6尺である。
このように、床暖房パネルユニット12が、建築の基準である(尺)を基準とした寸法であるため、床暖房パネル8の施工時に床暖房パネルユニット12の寸法調整の手間が省かれる。
【0014】
上記床暖房構造体30は、図4に示すように、例えばアルミニウム製のベース板36、断熱材38、発熱体としての面状発熱シート40、及び蓄熱体42とを備え、これらがこの順に積層され、床暖房構造体30の四方の側縁をアルミニウム製のテープ44で貼り合わせて構成されている。床暖房構造体30の厚みは上記小根太32と略同程度であり、例えば小根太32の厚みが12mmの場合には、ベース板36が0.1〜0.3mm、面状発熱シート40が3mm程度、そして12mmからベース板36及び面状発熱シート40の厚みを差し引いた厚みが断熱材38の厚みである。
【0015】
上記断熱材38は、高い剛性を有する例えば硬質の発泡樹脂材であり、面状発熱シート40と下地合板26とを断熱して暖房効率を高める。この断熱材38が高い剛性を有することで床暖房構造体30の剛性が確保されている。
面状発熱シート40は、温度が上がると電気抵抗が増えることで発熱量が減って一定の温度を維持するPTC(Positive Temperature Coefficient(正温度特性))特性を利用するものであり、その構成を図5に示す。面状発熱シート40、長手方向を有する薄型シート状の絶縁性を有する外装袋50に、上記PTC特性を有する発熱体52を封止し、さらに外装袋50内に発熱体52を挟むように一対の平編銅線電極54A、54Bを延在させて構成されている。そして、各平編銅線電極54A、54Bにはリード線56A、56Bを介して電圧が印加され、これにより発熱体52に電流が流れて発熱する。
【0016】
蓄熱体42は、上記面状発熱シート40の熱を蓄熱するものであり、パネル状に構成されており、この蓄熱体42の構成を図6に示す。
蓄熱体42は、金属製の蓄熱材充填フレーム62と、その表裏面に張り合わされる各厚さ0.1mmの金属製の蓋板63及び底板64とで構成され、底板64、蓋板63の外表面に陽極酸化処理によりアルマイト被膜を形成することで、放熱、吸熱効果が高められている。上記蓄熱材充填フレーム62は金属製の枠体61を連接して構成され、底板64、蓋板63の間に互いに仕切られた複数の空間Kを形成し、各空間Kに蓄熱材66が充填されている。
【0017】
蓄熱体42の製造では、まず、底板64の表面に熱接着剤をコーティングし、各枠体61の一方の開口面を該底板64の表面に隙間無く熱溶着して蓄熱材66を保持する空間Kが整然と配列した一種の容器たる蓄熱材充填フレーム62を形成する。ついで、空間Kに蓄熱材66として80g/lの塩化ナトリウム濃度の弱酸性に調整した食塩水を充填し、その後、各枠体61の他方の開口面に、熱接着剤をコーティングした蓋板63を被せ、蓋板63を隙間無く熱溶着する。接着剤としては耐水性を有したエポキシ樹脂、シリコン系の接着剤などが使用される。
そして最後に仕上げとして、蓄熱材充填フレーム62の端面が露出した、蓄熱体42の四方の側縁をアルミニウム製のテープ(図示せず)で貼り合わせる。この製造工程を経た製造後の蓄熱体42は、その強度が高く十分な建材強度が得られている。
なお、蓋板63及び底板64の厚みは蓄熱体42に求められる強度により適宜変更すればよいが、蓄熱体42は蓋板63、枠体61を配列してなる蓄熱材充填フレーム62及び底板64がメタルコンタクト接合され、蓋板63及び底板64の引張強度が剛性を生む構成となっているため非常に高強度であり、例えば0.1mmの蓋板63及び底板64を用いた場合も建材として使用も可能な十分な強度を有する。
【0018】
また、各枠体61の開口面がアルミニウム板からなる底板64と蓋板63とにより閉止され、蓄熱材66は各枠体61毎に仕分けられて充填され、各枠体61間が区画された状態となる。各枠体61内には空気が含まれる場合があるが、これは蓄熱材66が固体に変化する際の膨張分を融通する空間として利用される。
【0019】
上記蓄熱材66にpH値、略6.9程度のきわめて弱酸性に調整された蓄熱材が使用されている。pH値が大き過ぎても小さ過ぎても、アルミニウム板からなる底板64および蓋板63や枠体61が浸食され、蓄熱体42の耐久性が悪化する。よって、該pH値は6.5〜6.9に調整し、望ましくは6.9前後に調整される。この蓄熱材66には種々の蓄熱材が使用されるが、例えば水、塩化カリウム水溶液(融点が−11℃)、塩化ナトリウム水溶液(融点が−21℃)や、硫酸ナトリウム10水塩、エリスリトール(融点、以下同じ:119℃)、酢酸ナトリウム(58℃)、ポリエチレングリコール(40〜50℃)、チオ硫酸ナトリウム(48℃)、硫酸ナトリウム(32.4℃)、塩化カルシウム(29.7℃)等の水溶液等が用いられる。これらの水溶液は、蓄熱材66として利用する場合、酸の濃度を若干高め、或いは酸(例えば、塩酸)を添加することで弱酸性に調整されている。また、蓄熱材としてはパラフィン等の油脂類を用いることもできる。例えばパラフィンを用いる場合、その融点は概ね20℃〜80℃の範囲で適宜調整可能であり、典型的な例として、パラフィンC20を用いた場合の融点は約45℃である。これら弱酸性の蓄熱材或いは油脂類は、所定の温度で融解させて、その温度における蓄熱を行うように構成することが可能である。
【0020】
一般に、蓄熱材66は、ある温度において固体のものが吸熱によって融解して(相変化)、その融解熱に相当する熱量を蓄熱する。そして放熱によって温度低下して元の固体に変化する。本発明者は、蓄熱作用を用いた保温装置開発などの長い経験から、蓄熱材66を各枠体61に区画し、一つの塊として扱う量を少なくすると、吸熱による融解と放熱による固化とが過冷却せずにメリハリが付いて相変化することが多い、という知見を得た。過冷却せずに相変化すると、蓄熱材66が所望の温度で放熱、吸熱を行うため、極めて高い熱伝導性及び熱応答性が発揮され、蓄熱効率が大幅に向上し、蓄熱材66の量に応じた十分な熱エネルギーを潜熱として貯蔵できるようになる。この効果は弱酸性の蓄熱材66も同じであった。
【0021】
さて、床暖房パネルユニット12においては、図2に示すように、以上のようにして構成された床暖房構造体30と小根太32とを面一に密着して配置し、これら床暖房構造体30及び小根太32の各上面30A、32Aが均熱板34に接着或いは接着テープ等で接着されてユニット化され均熱板34を上にして床面4に設置される。この床暖房パネルユニット12においては、小根太32の部分も含めて表面が全て均熱板34に覆われるため、床暖房パネル8の均熱性が高められる。
小根太32の下面32Bには粘着テープ46が貼設され、この粘着テープ46により床暖房パネルユニット12を下地合板26に貼り付けて固定する。そして、施工時には、床面4の広さに応じて複数の床暖房パネルユニット12を床面4に隙間なく敷き詰めて各々を床面4に固定することで、図1に示すように、床暖房パネル8が形成される。
【0022】
床暖房パネル8を形成した後、床暖房パネル8の上に床材6を載せ、小根太32にビスや釘を打ち込んだりして床材6を小根太32に固定する。このとき、上記のように、床暖房パネルユニット12の上面は均熱板34により覆われているため、表側から小根太32の位置を視認することができない。特に、床材6が床板のフローリングの場合は、各床板を小根太32と直交させて敷き詰めることから小根太32の予測が付き難い。そこで、本実施形態では、図1に示すように、均熱板34の表面に、小根太32の位置を示すマーク70が施されている。このマーク70は、小根太32に対応して設けられた着色帯状線、或いは、小根太32と床暖房構造体30との境界に沿って描かれた境界線等である。
このように、均熱板34の表面にマーク70を予め施しておくことで、床材6を小根太32にビスや釘等を打ち込んで固定する際に、床暖房構造体30へのビスや釘の打ち込みを確実に防止することができる。
【0023】
このように、本実施形態によれば、発熱体を有する床暖房構造体30と、この床暖房構造体30の長手方向Xの側縁部31に密着して延在し、床暖房構造体30と同じ厚さを有する小根太32とを、均熱板34の板面に重ねて一体に接着して床暖房パネルユニット12を構成し、複数の床暖房パネルユニット12を、それぞれ均熱板34を上にして床面4に隙間無く敷き詰めることにより床暖房パネル8を形成可能としたため、現地で簡単に床暖房パネル8を組んで施工することができる。
【0024】
また、床暖房構造体30及び小根太32の各横幅Wa、Wbの合計が均熱板34の横幅Wと一致し、その合計を1尺(略303mm)としているため、部屋2の床面4に合わせた床暖房パネル8を、整数枚の床暖房パネルユニット12を敷き詰めて簡単に形成することができる。
【0025】
また、均熱板34に小根太32の位置を示すマーク70を設ける構成としたため、床暖房パネルユニット12を敷き詰めて床暖房パネル8を形成した際に、均熱板34に覆われた小根太32の位置を把握し、床材6を小根太32にビスや釘等を打ち込んで固定する際に、床暖房構造体30へのビスや釘の打ち込みを確実に防止することができる。
【0026】
また、床暖房構造体30が、面状発熱シート40及び均熱板34の間に位置する蓄熱体42とを備え、この蓄熱体42は、一対の金属板たる底板64、蓋板63の間に複数の枠体61を配置して複数の空間Kを形成し、この空間Kの各々に蓄熱材66を充填して構成したため、蓄熱材66が所望の温度で放熱、吸熱を行うため、極めて高い熱伝導性及び熱応答性が発揮され、蓄熱効率が大幅に向上し、蓄熱材66の量に応じた十分な熱エネルギーを潜熱として貯蔵できる。さらに、枠体61により蓄熱体42の剛性が高められ、床面4に配置するに際に求められる剛性や運搬時の撓み等を防止可能な剛性といった所定の剛性を床暖房パネルユニット12に持たせることができる。
【0027】
<第2実施形態>
第1実施形態においては、床暖房パネルユニット12の床暖房構造体30において、蓄熱体42が備える蓋板63及び底板64の間に複数の枠体61を設けて仕切られた複数の空間Kを形成した。本実施形態では蓄熱体42を次のように構成している。
図7は本実施形態に係る蓄熱体142の構成を示す図である。
この図に示すように、蓄熱体142は、上述した金属製の蓄熱材充填フレーム62と、その表裏面に張り合わされる各厚さ0.1mmの金属製の蓋板63及び底板64とを有し、蓄熱材充填フレーム62が金属製の枠体61を連接して構成され、各枠体61の空間Kに蓄熱材66が充填されると共に、さらに、各枠体61の空間Kに六角形のセル(空間)cの集合体であるアルミニウム製のハニカム板Hが収められている。ハニカム板Hは、これに使用したアルミニウム板の板厚が約0.1mmで、これを線接着と展張加工によって製造される。
【0028】
このように、本実施形態によれば、枠体61の空間K毎にハニカム板Hが収められることで、蓄熱材66が充填される空間が細かく区画され、一つの塊として扱う量がより少なくなり、吸熱による融解と放熱による固化とが過冷却せずに一層のメリハリが付いて相変化することになる。これに加え、ハニカム板Hのハニカム構造により蓄熱体142の剛性が高められ、床暖房パネルユニット12の強度がより強くすることができる。
上記ハニカム板Hは、各枠体61の空間Kに遊びを持って収められているため、蓄熱体142の製造時には、枠体61の各空間Kに蓄熱材66を充填した後、それぞれの空間Kにハニカム板Hを落とし込むようにして収めれば良く、その製造が容易となる。
【0029】
<第3実施形態>
第1実施形態においては、床暖房パネルユニット12の床暖房構造体30において、蓄熱体42が備える蓋板63及び底板64の間に複数の枠体61を設けて仕切られた複数の空間Kを形成し、また、第2実施形態においては、枠体61の各空間Kにハニカム板Hを設けて蓄熱体142を構成した。本実施形態では蓄熱体42、142を次のように構成している。
図8は本実施形態に係る蓄熱体242の構成を示す図である。
この図に示すように、蓄熱体242は、第1実施形態にて説明した金属製の蓄熱材充填フレーム62に代えて、六角形のセル(空間)cの集合体であるアルミニウム製のハニカム板Hを備え、その表裏面に張り合わされる各厚さ0.1mmの金属製の蓋板63及び底板64を有して構成されている。このハニカム板Hは、寸法を除き上述した第2実施形態と同様のものであり、ハニカム板Hの各セル(空間)Cに蓄熱材66が充填され蓋板63及び底板64により閉止されている。
【0030】
このように、本実施形態によれば、蓋板63及び底板64の間の空間にハニカム板Hを設け、各セルcに蓄熱材66が充填される空間が細かく区画され、一つの塊として扱う量がより少なくなり、吸熱による融解と放熱による固化とが過冷却せずに一層のメリハリが付いて相変化することになる。これに加え、ハニカム板Hのハニカム構造により剛性が高められ、床暖房パネルユニット12の強度がより強くすることができる。
【0031】
<第4実施形態>
第1実施形態においては、床暖房パネルユニット12の床暖房構造体30が蓄熱体42を備える構成とした。これに対して、本実施形態では、蓄熱体42を省略して構成され、非蓄熱式の床暖房パネル8に用いられる床暖房パネルユニット120について説明する。
図9は床暖房パネルユニット120の構造を示す図であり、図10は図9のB−B線における断面を模式的に示す図である。
これらの図に示すように、床暖房パネルユニット120が備える床暖房構造体300は、ベース板36の上に、断熱材38と面状発熱シート40とが順に積層して構成されており、蓄熱体42が省略された分だけ断熱材38が厚くなっている。上記の通り、断熱材38は、高い剛性を有し、この剛性により、床面4に配置するに際に求められる剛性や運搬時の撓み等を防止可能な剛性といった所定の剛性を床暖房パネルユニット12に持たせることができる。
【0032】
なお、上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、床暖房構造体30の片側に小根太32を配置して床暖房パネルユニット12を構成したが、これに限らず、床暖房構造体30の左右両側に小根太32を配置して床暖房パネルユニット12を構成しても良い。この場合には、小根太32のそれぞれの横幅Wbは、片側配置の場合の2分の1の寸法とされる。
床暖房構造体30の左右両側に小根太32を配置することで、床暖房パネルユニット12が床暖房構造体30の左右両側で下地合板26に固定されることとなり、床暖房パネルユニット12の浮き上がりを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る床暖房装置の施工状態を示す斜視図である。
【図2】床暖房パネルが施工された床面の断面図である。
【図3】床暖房パネルユニットの断面図である。
【図4】床暖房構造体の断面の模式図である。
【図5】面状発熱シートの構成を示す図である。
【図6】蓄熱体の構成を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る蓄熱体の構成を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る蓄熱体の構成を示す図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る床暖房パネルユニットの断面図である。
【図10】同床暖房構造体の断面の模式図である。
【符号の説明】
【0034】
1 床暖房装置
4 床面
6 床材
8 床暖房パネル
12、120 床暖房パネルユニット
30、300 床暖房構造体
32 小根太
34 均熱板
36 ベース板
38 断熱材
40 面状発熱シート(面状発熱体)
42、142、242 蓄熱体
61 枠体
63 蓋板
64 底板
66 蓄熱材
70 マーク
H ハニカム板
K 空間
W 横幅
X 長手方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体を有する床暖房構造体と、この床暖房構造体の長手方向の側縁部に密着して延在し、前記床暖房構造体と同じ厚さを有する小根太とを、均熱板の板面に重ねて一体に接着してユニットを構成し、
複数のユニットを、それぞれ均熱板を上にして床面に隙間無く敷き詰めることにより床暖房パネルを形成可能とした
ことを特徴とする床暖房パネルユニット。
【請求項2】
前記床暖房構造体、及び前記小根太の各横幅の合計が前記均熱板の横幅と一致することを特徴とする請求項1に記載の床暖房パネルユニット。
【請求項3】
前記床暖房構造体、及び前記小根太の各横幅の合計が1尺(略303mm)であることを特徴とする請求項2に記載の床暖房パネルユニット。
【請求項4】
前記均熱板に前記小根太の位置を示すマークを設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の床暖房パネルユニット。
【請求項5】
前記床暖房構造体は所定の剛性を有する断熱材と、この断熱材及び前記均熱板の間に位置する面状発熱体とを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の床暖房パネルユニット。
【請求項6】
前記床暖房構造体は面状発熱体と、この発熱体及び前記均熱板の間に位置する蓄熱体とを備え、前記蓄熱体は、一対の金属板の間に枠体或いはハニカム構造体を配置して複数の空間を形成し、前記空間の各々に蓄熱材を充填して構成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の床暖房パネルユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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