説明

建材、およびそれを用いた緩衝床材または装飾用緩衝材

【課題】使用後不要となった、あるいは製造時に不要となった部分等種々の廃棄材料において、リサイクル可能な建材を提供すること。
【解決手段】再生樹脂組成物からなる25%圧縮永久歪みが20%以下の再生樹脂架橋発泡体と表皮材と補強材が積層された積層シートからなることを特徴とする、建材。また前記建材を、好ましくは表皮材、補強材、再生樹脂からなる再生樹脂架橋発泡体、および離形材とがこの順に積層された積層シートからなる緩衝床材とすること、ならびに、表皮材、再生樹脂組成物からなる再生樹脂架橋発泡体、補強材の順に積層され、かつ積層シートの破断点荷重が2.5〜25N/mmの装飾用緩衝材とすること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保育所や幼稚園、養護施設、体育館などの公共施設、オフィスビル、ホテル、一般住宅、賃貸住宅、展示場、プレハブ、事務機器、パーテーション、家具、電化製品における床や壁などの装飾と同時に緩衝を目的とする建材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台所、風呂場、洗面所等の水回りの床等は、防水及び緩衝を目的として塩化ビニル樹脂発泡体を用いたもの(例えば特許文献1参照)が多く使われている。しかし、塩化ビニル樹脂は燃焼時にダイオキシンが発生することから環境上の問題があり、非ハロゲン樹脂への置き換えが望まれている。一方、非ハロゲン樹脂を用いたものとして、ポリオレフィン発泡体を用いたもの(例えば特許文献2参照)が知られている。しかし、床材等の建築廃棄物は解体時に完全に分別されることが少なく、埋没または焼却処分されるが、半永久的に残存し環境に負担を与えるという問題点を抱えていた。
【0003】
また、一般住宅の廊下や階段、バスユニット、トイレ、養護施設や低年齢層教育施設など公共施設、オフィスにおいて用いられる事務機器、パーテーション等として、内装用複合壁材として、炭酸カルシュウムとポリビニルクロライド(PVC)樹脂系発泡板などに短繊維を塗装したものを用いたり(例えば特許文献3参照)、装飾用部材自体を表皮、発泡体からなる緩衝材としたものを、接着剤にて貼り付けて使用されている(例えば特許文献4参照)。この壁材も上記床材と同様に廃棄時の処理問題を抱えていた。
【特許文献1】特開平8−28014号公報([0002]〜[0004]段落)
【特許文献2】特開2001−123649号公報([0002]〜[0006]段落)
【特許文献3】特公平6−75940号公報(第1頁左欄第14行目〜第2頁左欄第36行目)
【特許文献4】特開2002−4458号公報([0002]〜[0005]段落)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、使用後不要となった、あるいは製造時に不要となった部分等種々の廃棄材料をリサイクルした樹脂再生物を使用した建材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するため、本発明は以下の構成をとる。すなわち、本発明は、
(1)再生樹脂組成物からなる25%圧縮永久歪みが20%以下の再生樹脂架橋発泡体と表皮材と補強材が積層された積層シートからなることを特徴とする、建材。
(2)前記表皮材が、(A1)ポリオレフィン系樹脂、(B1)ポリオレフィン系樹脂再生物からなる布、(C1)ポリオレフィン系樹脂再生物からなる合成皮革、および(D1)ポリオレフィン系樹脂再生物からなるフィルム、からなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、(1)記載の建材。
(3)前記補強材が、(A2)ポリオレフィン系樹脂、(D2)ポリオレフィン系樹脂再生物からなるフィルム、および(B2)ポリオレフィン系樹脂再生物からなる布からなる群より選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の建材。
(4)前記再生樹脂組成物が、(a)ポリオレフィン系樹脂および/またはポリオレフィン系樹脂の再生物を配合した樹脂組成物、若しくは(b)ポリオレフィン系樹脂の再生物から得られる架橋組成物および/またはポリオレフィン系樹脂の再生物から得られる架橋発泡体、を破砕もしくは減容して熱可塑化して得た樹脂組成物、であることを特徴とする、(1)から(3)のいずれかに記載の建材。
(5)(1)から(4)のいずれかに記載の建材を用いることを特徴とする、緩衝床材。
(6)(1)から(4)のいずれかに記載の建材を用いることを特徴とする、装飾用緩衝材。
(7)建材に離形材を積層したことを特徴とする、(5)に記載の緩衝床材。
(8)表皮材、補強材、再生樹脂架橋発泡体、および離形材が、この順に積層された積層シートからなることを特徴とする、(7)に記載の緩衝床材。
(9)前記離形材が、ポリオレフィン系樹脂および/またはポリオレフィン系樹脂再生物からなる布を含有してなることを特徴とする、(7)または(8)に記載の緩衝床材。
(10)離形材が、フレームラミネートにより再生樹脂架橋発泡体の表面に貼りつけたことを特徴とする、(7)〜(10)のいずれかに記載の緩衝床材。
(11)表皮材、再生樹脂架橋発泡体、補強材の順に積層された積層シートの破断点荷重が2.5〜25N/mmであることを特徴とする、(6)に記載の装飾用緩衝材。
(12)再生樹脂架橋発泡体のシート厚みが2〜10mm、補強材の厚みが10〜100μmであることを特徴とする、(6)または(11)に記載の装飾用緩衝材。
(13)補強材に粘着層を積層したことを特徴とする、(6),(11)または(12)のいずれかに記載の装飾用緩衝材。
により構成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、廃棄時の環境負荷を解消し、緩衝性、施工性に優れた建材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、再生樹脂組成物からなる再生樹脂架橋発泡体と表皮材と補強材とが積層された積層シートからなることを特徴とする建材である。
【0008】
本発明でいう建材とは、保育所や幼稚園、養護施設、体育館などの公共施設、オフィスビル、ホテル、一般住宅、賃貸住宅、展示場、プレハブなどの建築物や事務機器、パーテーション、家具、電化製品など室内を飾るインテリアとして使われるカーペット、緩衝床材(クッションフロア)、ウッドフロア、壁などを飾る装飾用緩衝材などが挙げられ、緩衝性、意匠性との観点から、緩衝床材または装飾用緩衝材とすることが好ましい。
【0009】
再生樹脂架橋発泡体を構成する再生樹脂組成物は、(a)ポリオレフィン系樹脂および/またはポリオレフィン系樹脂の再生物を配合した樹脂組成物、若しくは(b)そのポリオレフィン系樹脂の再生物から得られる架橋組成物および/またはポリオレフィン系樹脂の再生物から得られる架橋発泡体,から選ばれた少なくとも1種を破砕もしくは減容して、その溶融温度以上の温度で剪断力をかけながら溶融混練して熱可塑化したのち、取り出された熱可塑性樹脂再生物を破砕あるいは裁断して粗粒体あるいはペレット化することにより得られる、樹脂組成物である。
【0010】
本発明において、(a)ポリオレフィン系樹脂および/またはポリオレフィン系樹脂の再生物から選ばれた少なくとも1種を配合した樹脂、若しくは(b)ポリオレフィン系樹脂の再生物から得られる架橋組成物および/またはポリオレフィン系樹脂の再生物から得られる架橋発泡体、から選ばれた少なくとも1種を使用にあたり、それが破砕または減容される。破砕の方法としては特に限定されず、例えば通常の破砕機もしくは粉砕機を用いる破砕、冷凍粉砕などの外に押出機などを用いる剪断粉砕のような方法を採用することができる。
【0011】
ポリオレフィン系樹脂の再生物から得られる架橋発泡体の場合、通常の粉砕機により簡便に破砕できることから、好ましく用いることができる。
【0012】
減容の方法としては特に限定されず、例えばミキシングロール等により圧縮して減容する方法、押出機から押出し減容する方法、溶剤に溶かして減容する方法などが挙げられる。尚、押出機から押出し減容する際、少量のブタンジオールやエチレングリコールなどのアルコール類、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、塩酸、硫酸等の酸性、アルカリ性水溶液、水等を添加すると、可塑剤の役目を果たすため、生産性が向上することから好ましく用いることができる。
【0013】
得られる架橋樹脂破砕体、もしくは減容体の形状、寸法は、押出機のホッパーよりシリンダー内への投入を容易にすることから規制される。架橋ポリオレフィン系破砕体もしくは減容体の寸法は、50mm程度以下、好ましくは20mm程度以下が適当で、形状は特に規定しない。尚、オフグレード品等のペレットで粒径が20mm以下のものは粉砕せずにそのまま用いることができる。
【0014】
次にこのような架橋樹脂破砕体もしくは減容体の好ましい再生処理方法について説明する。
【0015】
架橋樹脂破砕体もしくは減容体を加熱しながら混練を行うには、通常押出機を使用する。押出機は、特に制限はないが例えば単軸混練押出機、2軸混練押出機、石臼型混練押出機などを通じて混練する。これらの装置の中でも2軸混練押出機は特に生産性が高く、剪断、混練性が優れており、混練条件による性能変動も小さいので、本発明の材料の調整に適した装置として挙げることができる。
【0016】
押出機には可塑化処理中に発生する揮発成分を除去するため、必要に応じて真空ベント等の脱気設備を設置しても構わない。押出機の長さ/直径(L/D)比は特に制限はない。また、必要に応じて公知の酸化防止剤などの添加剤を適量添加しても構わない。
【0017】
押出機の設定温度は特に制限はないが、少なくとも押出機の圧縮部において架橋樹脂破砕体もしくは減容体の融点(示差走査熱量計(DSC)で測定した場合の融解曲線の頂点を融点と呼ぶ)以上150℃未満の温度であることが望ましい。設定温度が融点温度以下である場合、剪断による摩擦がシリンダー領域にて効果的に作用せず、架橋構造を破壊して架橋度を十分に低いものにすることが困難であり、また融点より150℃以上であると高熱のため架橋構造の破壊が過度に進行し、悪臭を発生するとともに低分子量反応に伴って生成した二重結合、及びこれに起因すると思われる着色度が大きくなる。その結果、架橋部分や高分子量の成分、低分子量反応に伴って生成した二重結合のレベルを架橋前の樹脂に近いレベルに制御することが困難となる。尚、通常樹脂温は押出機の圧縮部分等においてはその剪断発熱により押出機の設定温度より高温になるのが普通である。従って押出機の設定温度はそれより低い方が良い。
【0018】
上記方法を用いて架橋樹脂破砕体もしくは減容体を溶融混練したのち、押出機から取り出される熱可塑化した樹脂再生物は、破砕あるいは裁断して粗粒体あるいはペレット化することにより再生用樹脂材料として供給することができ、繰り返し使用することができる。再生した樹脂は、架橋による分子鎖が効率的に切断されており、過度の分子量低下がないため、架橋部分や高分子量の成分、低分子量反応に伴って生成した二重結合のレベルを架橋前の樹脂に近いレベルに制御することができる。なお、再生した樹脂のメルトインデックス等は、押出機の混練温度、比エネルギー、混練時間等を変えることにより、その使用用途に適する値となるよう、幅広い範囲で適宜調節することができる。
【0019】
本発明に係るポリオレフィン系樹脂は特に限定されず、例えばポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、プロピレンとエチレン及び/または1−ブテンとのあらゆる比率でのランダム共重合体またはブロック共重合体、エチレンとプロピレンとのあらゆる比率においてジエン成分が50重量%以下であるエチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンとエチレン及び/またはプロピレンとの共重合体などの環状ポリオレフィン、エチレンまたはプロピレンと50重量%以下の例えば酢酸ビニル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸エステル、芳香族アルキルエステル、芳香族ビニルなどのビニル化合物などとのランダム共重合体、ブロック共重合体またはグラフト共重合体などが使用され、これらのポリオレフィン系樹脂は、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。
【0020】
また、本発明に係る再生樹脂組成物は、上記樹脂再生物とポリオレフィン系樹脂から選ばれた少なくとも1種を配合した樹脂と少なくとも1種類以上の添加剤を含有していることを特徴としており、該添加物には、架橋剤、架橋助剤除く例えば発泡剤、酸化防止剤、滑剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、核剤、可塑剤、抗菌剤、発泡剤分解促進剤、光安定剤、気泡安定剤、金属害防止剤、有機過酸化物、充填剤、補強繊維など通常のポリオレフィン系樹脂、もしくは再性樹脂に配合されている組成物を意味しており、単独もしくは2種類以上併用して用いることができる。
【0021】
本発明は、再生樹脂組成物からなる再生樹脂架橋発泡体を用いる必要がある。再生樹脂架橋発泡体は、独立気泡で気泡径のきめが細かいことから、ソフトで腰がある発泡体であり、反発弾性に優れるため好適に用いられる。一方、無架橋の発泡体の場合、緩衝性には優れるが、発泡倍率、厚みにより底付き感が出やすく、望ましくない。
【0022】
架橋構造を形成する方法は特に制限はないが、従来公知の方法を用いて良く、例えば、電離性放射線を所定線量照射する方法、紫外線架橋法、有機過酸化物により架橋させる方法、シラン化合物を用いて架橋させる方法などを挙げることができる。
【0023】
電離性放射線としては、例えば、α線、β線、γ線、電子線等を挙げることができ、中でも特に電子加速器の使用によりβ線、電子線などの電離性放射線を所定線量照射する電子線架橋法を用いると、表面の外観が良好で、気泡の均一な再生樹脂架橋発泡体が得られるため好適に用いられる。
【0024】
架橋手段として電子線架橋法が選ばれる場合は、樹脂再生物とポリオレフィン系樹脂から選ばれた少なくとも1種を配合した樹脂と少なくとも1種類以上の添加剤を含有した再生樹脂組成物、またはその再生樹脂組成物を架橋した架橋樹脂組成物に予め光架橋剤、シラン架橋剤、または有機過酸化物のような架橋に必要とされる架橋剤を添加する必要はない。これら架橋剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
尚、上記架橋剤は必要により用いればよいが、架橋剤の配合量は、配合する架橋剤の種類および配合量によりその分解速度を調節することができるので、目的とする製品に応じ、配合する架橋剤の種類および配合量を決定すればよい。また、架橋剤を配合する方法は、通常、溶融前、溶融時あるいは溶融後に配合し、溶融し混合することにより行われ、溶融して充分に混合すれば、いつでもかまわない。
【0026】
また、該樹脂または該樹脂組成物単独では架橋構造を導入することが困難な場合、架橋助剤を用いて上記の方法と併用することで、架橋構造を導入することができる。架橋助剤としては特に制限はないが、例えばジビニルベンゼン、ジアリルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルフェニル、ジビニルカルバゾール、ジビニルピリジンおよびこれらの核置換化合物や近縁同族体、エチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等の多官能性アクリル酸系化合物、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート等の多官能性メタクリル酸系化合物、ジビニルフタレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ビスアクリロイルオキシエチルテレフタレート等の脂肪族および芳香族多価カルボン酸のポリビニルエステル、ポリアリルエステル、ポリアクリロイルオキシアルキルエステル、ポリメタクリロイルオキシアルキルエステル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジビニルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル等の脂肪族および芳香族多価アルコールのポリビニルエーテルやポリアリルエーテル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のシアヌール酸又はイソシアヌール酸のアリルエステル、トリアリルホスフェート、トリスアクリルオキシエチルホスフェート、N−フェニルマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系化合物、フタル酸ジプロパギル、マレイン酸ジプロパギル等の2個以上の三重結合を有する化合物などの多官能性モノマーを使用することができる。
【0027】
本発明のデスクマットの樹脂組成物中の全樹脂成分に対する再生樹脂組成物の割合は、使用する再生樹脂組成物、または電離性放射線による照射線量、または配合した架橋剤、または架橋助剤の種類、またはその配合量により異なるので特に規定されるものではないが、再生処理することを目的として製品設計する場合、50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは25重量%以下である。再生樹脂組成物の成分割合が25重量%を上回るものは電離性放射線を照射して架橋させる際の架橋度の制御が反応性モノマーを多量に添加しても難しくなり、所望の架橋度を得ることが難しくなるので好ましくない。
【0028】
架橋度は好ましくは10〜70%、より好ましくは、15〜60%である。架橋度が低過ぎると高温下での耐圧性が低下し、加工成形が困難となるので好ましくない。70%を超えると耐圧性は向上するが硬くなり、低温下での衝撃性が悪化し割れが生じやすくなるので好ましくない。
【0029】
本発明の再生樹脂組成物からなる再生樹脂架橋発泡体は、25%圧縮永久歪みが20%以下である必要がある。好ましくは10%以下である。すなわち、25%圧縮永久歪みが20%を超えると、緩衝床材または装飾用緩衝材などとした建材に重いものを乗せたり、大きな力がかかった場合にできる凹みの回復が小さく、表面の凹凸が目立つので好ましくない。
【0030】
本発明の再生樹脂架橋発泡体の発泡倍率および厚さは、その用途により異なるため一概には言えないが、緩衝床材の場合、好ましくは5〜30倍、より好ましくは7〜25倍の範囲である。発泡倍率が5〜30倍の範囲内では底付き感もなく、床材としての適度な緩衝性を保持しているからである。厚さは好ましくは1〜10mm、より好ましくは2〜9mmである。厚みが1〜10mmの範囲であれば、緩衝性は十分あり、船酔い現象が発生せず、施工が容易であるからである。
【0031】
また装飾用緩衝材の場合、好ましくは5〜50倍、より好ましくは10〜40倍の範囲である。発泡倍率が10〜40倍の範囲内であれば、底付き感もなく、緩衝壁材としての適度な緩衝性を保持しているので好ましい。本発明の再生樹脂架橋発泡体の厚さは、好ましくは2〜10mm、より好ましくは2.5〜9mmである。スポーツ施設の怪我防止等、激しい衝突に対応するような場合は厚みが10mm以上であることが望ましいが、本発明は、主として、一般建築物内で起こりうる転倒などのけがを軽度にとどめることなどを目的としているため、上記範囲内にあれば、緩衝性は十分に確保され、かつ施工も容易となるので好ましい。
【0032】
本発明の建材は、加飾と汚れ防止のために片面に表皮材を有している。表皮材としては、特に限定されるものではないが、(A1)ポリオレフィン系樹脂、(B1)ポリオレフィン系樹脂再生物からなる布、(C1)ポリオレフィン系樹脂再生物からなる合成皮革、および(D1)ポリオレフィン系樹脂再生物からなるフィルムが好ましく用いられる。布を積層したものは加飾性に優れ、緩衝床材の場合には滑り止めに成るなどの効果が期待できる。本発明の表皮材、補強材に好ましく用いられる布としては特に限定されるものではないが、長繊維または短繊維からなる織布または不織布などが挙げられる。また、合成皮革、またはフィルムは、汚れたときの清掃効率も高くなるので好ましい。また、フィルムを使用した場合、再生樹脂架橋発泡体表面やフィルムに印刷を施し、例えばフィルムの印刷面が再生樹脂組成物を用いた架橋発泡体側になるように積層することで、自在の装飾が付加できる利点がある。また、装飾性の観点からは、該表皮材に模様を付したものが好ましく使用される。
【0033】
表皮材の厚さは材質によって好適な範囲が異なるので一概にはいえないが、耐久性、緩衝性の面から0.1〜2mmが好ましい。
【0034】
本発明において、表皮材の積層方法は特に限定されないが、例えば、熱融着や接着剤の使用などが挙げられる。
【0035】
本発明において、補強材に使用する素材としては、融点100度以上の樹脂であるのが好ましい。融点が100度以上の樹脂を使用することで、例えば、熱湯をこぼした場合でも、熱による収縮で積層装飾物が波打ってしまうことがないからである。
【0036】
補強材としては、薄くて高い破断強度を示すポリオレフィン系樹脂、樹脂再生物からなるフィルム、または樹脂再生物からなる布のいずれか一種である必要がある。
【0037】
補強材の厚みは、10μm〜100μmであるのが好ましい。厚みが10μm〜100μmの範囲であることで、表皮材を充分に支持出来る強度を持ち、緩衝性も保持できるためである。さらに、装飾用緩衝材とした場合、補強材の厚みが10μm〜100μmの範囲であれば積層シートの破断点荷重が2.5〜25N/mmであり、粘着剤の接着強度以上であることより、施工後の修正や張り替え時に装飾用緩衝材が材料破壊することなく剥離することができ、また、曲げに対して十分な柔軟性があるからである。好ましくは、20〜100μm、更に好ましくは30〜60μmである。
【0038】
本発明の積層シートを緩衝床材として用いた場合、さらに離形材を積層することが好ましい。離形材としては伸縮性のある素材で離形効果を付与できるものであれば制限無く使用することができるが、JIS−L−1906での測定で、伸びが10%以上であるポリオレフィン系樹脂および/または樹脂再生物からなる長繊維または短繊維からなる織布または不織布を含むものが好ましい。伸びが10%以上であれば、施工時の曲げに対して追従でき、折れジワが発生しにくいからである。
【0039】
本発明の積層シートを緩衝床材として用いた場合、表皮材、補強材、再生樹脂架橋発泡体、および離形材の積層順序としては特に限定されないが、表皮材、補強材、再生樹脂架橋発泡体、および離形材がこの順に積層されたものであることが好ましい。この順に積層することによって、施工時の折れジワが解消する。各層を積層する工程の順番は特に限定されないが、例えば、再生樹脂架橋発泡体の片面に補強材を積層し、さらにその上に表皮材を積層し、再生樹脂架橋発泡体の反対側の面に離形材を積層することで好ましく作製される。
【0040】
なお、離形材を再生樹脂架橋発泡体の表面に貼りつける方法としては特に限定されないが、好ましくはフレームラミネートが使用される。接着剤等を用いると接着力が強すぎ、張替え時に再生樹脂架橋発泡体が材料破壊する懸念があるからである。フレームラミネート法であれば、その懸念は小さい。
【0041】
本発明の緩衝床材の厚みは特に限定されないが、好ましくは1mmを越え13mm以下である。より好ましくは1.2mm以上12mm以下である。
【0042】
本発明の緩衝床材の用途は特に限定されないが、例えば、展示場、工事現場のプレハブ、賃貸マンション、アパート、住居、教室、体育館、オフィス、ホテルなどの床材として好適に使用することができる。
【0043】
本発明の積層シートを装飾用緩衝材として用いた場合、積層シートの破断点荷重が2.5〜25N/mmであることが好ましい。2.5N/mm以下であると、通常の粘着剤の接着強度よりも小さくなるので、施工後の修正や張り替え時に装飾用緩衝材が材料破壊し、剥離がうまくできない場合があり、また、曲げに対して十分な柔軟性が得られない。25N/mm以上であると、鋭角部に、折れジワや、浮きが発生し、施工性が悪くなることがある。積層シートの破断点荷重は、好ましくは5.0〜25N/mm、より好ましくは6.0〜23N/mmである。
【0044】
積層シートの破断点荷重を上記範囲にする方法としては、表皮材、再生樹脂架橋発泡体、補強材の順に積層し、再生樹脂架橋発泡体のシート厚みが2〜10mm、補強材の厚みが10〜100μmである積層シートとすることが一例として挙げられる。
【0045】
本発明において、補強材の積層方法は、特に限定されないが、フィルムシートを補強材として用いる場合は接着剤又は粘着剤にて接着する方法等が好ましい。再生樹脂架橋発泡体と同一樹脂の補強材を使用する場合には押出ラミネーションによる融着が好ましい。
【0046】
本発明の積層シートを装飾用緩衝材として用いた場合、補強材に粘着層を積層することが好ましい。補強材に、粘着加工を施してあるため、そのまま基材に施工することができるためである。
【0047】
本発明の装飾用緩衝材の厚みは特に限定されないが、好ましくは2mmを越え13mm以下である。より好ましくは2.7mm以上11mm以下である。
【0048】
本発明において、装飾用緩衝材の施工方法は、特に限定はされないが、施工前に施工対象物(基材)の表面を中性洗剤で拭き取り、油分及び付着物を取り除いた後、基材表面を乾燥させる。次に、基材に接着剤又は粘着剤を塗布し、装飾用緩衝材を施工する。補強材に粘着加工を施してあるものについてはそのまま基材に施工する。施工する基材は特に限定されるものではないが、鉄、アルミニウムなどの金属、木材、コンクリート、塩ビシート、FRPなどが挙げられる。接着剤、粘着剤の硬化時間は接着剤、硬化剤の種類及び配合比により異なるが、最長でも24時間で最大接着力を発揮することより、24時間のエージング後施工完了とする。
【0049】
本発明の緩衝壁材の用途は特に限定されないが、例えば事務機器、パーテーション表面緩衝材、また、廊下や階段、トイレ、養護施設や低年齢層教育施設など公共施設の緩衝用壁材、柱、机の角部分を覆う防護緩衝材として好適に使用することができる。
【実施例】
【0050】
次に実施例に基づいて本発明を説明する。本発明における測定法、評価基準は次の通りである。
1.架橋発泡体の架橋度
発泡性シートを50mg秤量し、25℃のクロロホルム25mlに3時間浸漬した後、200メッシュのステンレス製金網で濾過して、金網状の不溶解分を真空乾燥する。次いで、この不溶解分の重量を精密に秤量し、以下の式に従って架橋度を百分率で算出した。
架橋度(%)={不溶解分の重量(mg)/秤量した再生樹脂架橋発泡体の重量(mg)}×100
2.発泡倍率
発泡倍率は、JIS K6767に準じて測定した再生樹脂架橋発泡体の見掛け密度の逆数で定義される。
3.再生樹脂架橋発泡体の厚み
再生樹脂架橋発泡体を10×10cmに切り出し、その中心部をJIS K−6767に準じて測定した。
4.積層シートの各構成層厚み
積層シートを片刃剃刀にて、表皮材から補強材への方向にスライスし、その断面をキーエンス(株)製マイクロウオッチャー(VH−7000)にて拡大倍率25倍にて、各層の界面を指定することにより自動的に厚みを測定する、2点間距離測定機能を用い、積層シートの各構成層の厚みを測定する。
5.25%圧縮永久歪み
25%圧縮永久歪みは、JIS K−6767に従い、以下の方法にて算出した。すなわち、再生樹脂架橋発泡体を上下面が平行で周囲を切断したシート状サンプルを積み重ね、その外形寸法が長さ50mm、幅50mm、厚さ25mmとなるように積み重ねる。このものの厚みを精密に測定し、所定の試験装置に挟み、試験片の厚さの25%だけ圧縮固定して、標準状態の場所に連続22時間放置する。その後、試験片を取り外し、標準状態の場所に24時間放置した後、前と同じ箇所の厚さを測定し、以下の式に従い算出する。
C=(t0−t1)/t0×100
C:25%圧縮永久歪み(%)
t0:試験片の初めの厚さ(mm)
t1:試験片の試験後の厚さ(mm)。
6.破断点荷重
表皮、再生樹脂架橋発泡体、補強材の順で積層された積層シートをJIS K−6301に準じてダンベル状2号形で打ち抜き、その両端を引っ張り試験機にセットし、補強材が破断する時点の応力強度を測定する。
7.離形材の伸び
離形材をダンベルで打ち抜き、JIS−L−1906に準じて測定した。
8.施工性
積層シートを30×30cmにカットし、水系接着剤(シンコールSG−10)でコンクリートに施工した。尚、接着力は常温下において、24時間で最大値に到達することより、24時間放置後、該積層シートを剥離し、積層シートの材料破壊の有無を目視にて判断した。
【0051】
以下に再生樹脂架橋発泡体の製造方法を記す。
[参考例1]
樹脂再生物として、ポリエチレン樹脂架橋発泡体をスリットする際に発生したトリミング屑等の廃材を押出機に入る大きさ約5mm粒径にクラッシャーで破砕したのち、単軸押出機(中部機械製作所(株)製、L/D=32、40mmφ、フルフライトスクリュー、押出機の機械効率係数0.9)のホッパーへ供給、シリンダー温度を250℃、スクリュー回転数を32rpmの条件に保ち、混練物をノズルから押出し、冷却、カッティングして直径3mmの棒状のストランドを作り、密度が0.920g/cm3、MFRが4.7g/10分、融点が115℃の樹脂再生物を得た。
【0052】
次に、得られた樹脂再生物10kgとエチレンに炭素数4〜8のαオレフィンを共重合した密度が0.918g/cm3、MFRが5.0g/10分の高圧法ポリエチレン系樹脂“ノバテックLD”(日本ポリケム株製)の粉体90kg、安定剤として“イルガノックス1010”(旭電化工業株製)、発泡剤としてアゾジカルボンアミド“ユニフォームAZ”(大塚化学株)5.0kgを準備し、ヘンシェルミキサーに投入し、6分間混合して樹脂混合物を作成した。この樹脂混合物を熱分解型発泡剤の分解しない温度、具体的には150℃に加熱したベント付きの単軸押出機に導入、Tダイから押出し、厚みが1.5mm、幅720mmのシートを得た。しかる後、該シートに55kGyの電子線を照射し、架橋せしめたシート状架橋再生樹脂組成物を熱風発泡装置に連続的に導入、230℃で3〜4分加熱発泡し、製品幅1000mmにスリットされた連続シート状再生樹脂架橋発泡体として巻取った。このようにして得られた発泡体は、厚み3.0mm、架橋度は25%、発泡倍率15倍、25%圧縮永久歪みは2.8%であった。
[比較例1]
密度が0.920g/cm3、MFRが4.7g/10分、融点が115℃の樹脂再生物50kgとエチレンに炭素数4〜8のαオレフィンを共重合した密度が0.918g/cm3、MFRが5.0g/10分の高圧法ポリエチレン系樹脂“ノバテックLD”(日本ポリケム株製)の粉体50kg、架橋助剤としてジビニルベンゼン(新日鐵化学工業(株))5.0kg、熱安定剤として“イルガノックス”1076(チバ・スペシャルティケミカルズ(株)製)0.5kgを準備した以外は参考例1と同様の方法で再生樹脂架橋発泡体を作成した。このようにして得られた架橋発泡体の厚みは2.5.mm、架橋度は35%、発泡倍率は15倍、25%圧縮永久歪みは2.8%であったが、気泡径が不揃いで外観的に満足できる発泡体を得ることができなかった。
[参考例2]
密度が0.920g/cm3、MFRが4.7g/10分、融点が115℃の樹脂再生物を30mmφ単軸エクストルーダーにて、145℃でTダイより押出し、キャスティングロールで急冷して約300μmの未延伸シートを得、続いて赤外線ヒーターでフィルム 温度が65℃になるように設定して縦(長手)方向に2.1倍にロール延伸を行った。次いで、縦延伸後のフィルム をテンター内で65℃で予熱した後、65℃に設定した延伸ゾーンで横(幅)方向に縦延伸前のフィルム 幅に対して2.1倍延伸して厚み65μmの再生樹脂フィルムを得た。
[参考例3]
密度が0.920g/cm3、MFRが4.7g/10分、融点が115℃の樹脂再生物を用い、丸型の紡糸口金より、紡糸温度155℃、単孔吐出量0.8g/分で溶融紡糸した。次に紡出糸状を冷却空気流にて冷却した後、引き続いてエアサッカーにて3000m/分で引き取り、これを開繊して移動するコンベアの捕集面上に堆積してウエブを形成した。次いでこのウエブをエンボスロールからなる部分熱圧着装置に通し、ロール温度120℃、圧着面積率14.9%、圧着点密度21.9個/cm 、線圧30kg/cmの条件にて部分的に熱圧着し、単糸繊度3.0デニールの長繊維からなる目付20g/mの不織布を得た。
[実施例1]
参考例1の再生樹脂架橋発泡体の片面に、参考例3の不織布をフレームラミネートし、もう一方のフォーム面に両面粘着した参考例2の再生樹脂フィルムを接着した物を準備し、このフォーム表面に再生樹脂を厚さ0.2mmに押し出しラミネートして積層し緩衝床材とした。このものを水系接着剤(シンコールSG−10)でモルタル床面に貼り付けた。このとき、壁際のセットしにくい角部を完全に被覆し、また折れジワも発生しなかった。
[実施例2]
参考例1の再生樹脂架橋発泡体の片面に、参考例3の不織布をフレームラミネートにて接着した。一方のフォーム面に参考例2の再生樹脂フィルムを接着した物を準備し、この表面に再生樹脂シート(厚さ0.2mm)を接着して積層し緩衝床材とした。このものを水系接着剤(シンコールSG−10)でコンクリート床面に貼り付けた。このとき、構造上、柱などの出っ張り部分に施工するため、表皮方向に90度に折り曲げて施工したが折れジワは発生せず、景観的にも優れたものとなった。
[実施例3]
参考例1の再生樹脂架橋発泡体の片面に、丸編みの布をフレームラミネートし、もう一方のフォーム表面に参考例2の再生樹脂フィルムを接着した物を準備し、この表面にポリエチレン製織物を接着、積層し緩衝床材とした。このものを水系接着剤(シンコールSG−10)でモルタル床面に貼り付けた。このとき、構造上、柱などの出っ張り部分に施工するため、表皮方向に90度に折り曲げて施工したが折れジワは発生せず、景観的にも優れたものとなった。
[実施例4]
参考例1の再生樹脂架橋発泡体に木目模様を施したポリエチレンシート(厚さ:0.1mm)をポリウレタン系接着剤で接着、積層した。もう一方の架橋発泡体表面に両面粘着加工(粘着剤:アクリル系共重合体)を施した参考例2の再生樹脂フィルムを接着し、破断点荷重3N/mmの積層シートを作成し装飾用緩衝材とした。尚、架橋発泡体に貼り付ける面の再生樹脂フィルムに施す粘着剤は反対面の粘着剤に対し、硬化剤添加量を2倍にし、再生樹脂架橋発泡体と再生樹脂フィルムの接着力が反対面の接着量より高くなるように設定した。
[実施例5]
参考例1の再生樹脂架橋発泡体にPBS樹脂シート(厚さ0.2mm)を接着して積層した。もう片方のフォーム表面に両面粘着加工を施した参考例2の再生樹脂フィルムを接着し、破断点荷重23N/mmの積層シートを作成し装飾用緩衝材とした。尚、両面粘着加工した再生樹脂フィルムにおいて、フォームに接着させる面の粘着力は反対側より高めに設定したものを使用した。
[実施例6]
参考例1の再生樹脂架橋発泡体に押出ラミネーションにてポリエチレン樹脂(厚さ:50μm)を接着し、もう一方のフォーム表面に大理石柄を施した再生樹脂シート(厚さ50μm)を接着し、破断点荷重6N/mmの積層シートを作成し装飾用緩衝材とした。
[比較例1]
架橋発泡体(東レ(株)製トーレペフ25020AP66(ポリプロピレン(PP)製、厚さ2mm、架橋度37%、発泡倍率25倍、25%圧縮永久歪み4.5%))の片面に、不織布(王子製紙(株)製、キノクロス)をフレームラミネートし、もう一方のフォーム面に厚さ10μmの両面粘着したPETフィルムを接着した物を準備し、このフォーム表面にPP樹脂を厚さ0.2mmに押し出しラミネートして積層シートを作成し、緩衝床材とした。このものを水系接着剤(シンコールSG−10)でモルタル床面に貼り付けた。このとき、壁際のセットしにくい角部を完全に被覆し、また折れジワも発生しなかった。
[比較例2]
参考例1の再生樹脂架橋発泡体の片面に、参考例3の不織布をフレームラミネートし、もう一方のフォーム面に両面粘着した参考例2の再生樹脂フィルムを接着した物を準備し、このフォーム表面にポリエチレン樹脂を厚さ0.2mmに押し出しラミネートして積層し緩衝床材とした。
【0053】
このものを水系接着剤(シンコールSG−10)でモルタル床面に貼り付けた。このとき、壁際のセットしにくい角部を完全に被覆しよう緩衝床材を押さえた際にできた凹みが回復せず、表面に凹凸のある醜悪な施工となった。
[比較例3]
ポリ乳酸フィルムが無い以外は実施例4と同じ構成の積層体を実施例4と同様に施工したところ、位置調整時に架橋発泡体が材料破壊し、コンクリート壁に残り、施工性の悪い不満足なものであった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の建材は、保育所や幼稚園、養護施設、体育館などの公共施設、オフィスビル、ホテル、一般住宅、賃貸住宅、展示場、プレハブなどの建築物や事務機器、パーテーション、家具、電化製品など室内を飾るインテリアとして使われるカーペット、緩衝床材(クッションフロア)、ウッドフロア、壁などを飾る装飾用緩衝材として用いることができるが、これらに限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生樹脂組成物からなる25%圧縮永久歪みが20%以下の再生樹脂架橋発泡体と表皮材と補強材が積層された積層シートからなることを特徴とする、建材。
【請求項2】
前記表皮材が、(A1)ポリオレフィン系樹脂、(B1)ポリオレフィン系樹脂再生物からなる布、(C1)ポリオレフィン系樹脂再生物からなる合成皮革、および(D1)ポリオレフィン系樹脂再生物からなるフィルム、からなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1記載の建材。
【請求項3】
前記補強材が、(A2)ポリオレフィン系樹脂、(D2)ポリオレフィン系樹脂再生物からなるフィルム、および(B2)ポリオレフィン系樹脂再生物からなる布、からなる群より選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1または2に記載の建材。
【請求項4】
前記再生樹脂組成物が、(a)ポリオレフィン系樹脂および/またはポリオレフィン系樹脂の再生物を配合した樹脂組成物、若しくは(b)ポリオレフィン系樹脂の再生物から得られる架橋組成物および/またはポリオレフィン系樹脂の再生物から得られる架橋発泡体、を破砕もしくは減容して熱可塑化して得た樹脂組成物、であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の建材。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の建材を用いることを特徴とする、緩衝床材。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の建材を用いることを特徴とする、装飾用緩衝材。
【請求項7】
建材に離形材を積層したことを特徴とする、請求項5に記載の緩衝床材。
【請求項8】
表皮材、補強材、再生樹脂架橋発泡体、および離形材が、この順に積層された積層シートからなることを特徴とする、請求項7に記載の緩衝床材。
【請求項9】
前記離形材が、ポリオレフィン系樹脂および/またはポリオレフィン系樹脂再生物からなる布を含有してなることを特徴とする、請求項7または8に記載の緩衝床材。
【請求項10】
離形材が、フレームラミネートにより再生樹脂架橋発泡体の表面に貼りつけたことを特徴とする、請求項7〜10のいずれかに記載の緩衝床材。
【請求項11】
表皮材、再生樹脂架橋発泡体、補強材の順に積層された積層シートの破断点荷重が2.5〜25N/mmであることを特徴とする、請求項6に記載の装飾用緩衝材。
【請求項12】
再生樹脂架橋発泡体のシート厚みが2〜10mm、補強材の厚みが10〜100μmであることを特徴とする、請求項6または11に記載の装飾用緩衝材。
【請求項13】
補強材に粘着層を積層したことを特徴とする、請求項6,11または12のいずれかに記載の装飾用緩衝材。

【公開番号】特開2008−196213(P2008−196213A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33009(P2007−33009)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】