説明

建物の給気構造

【課題】夏場において、より冷たい空気を屋内に供給することができるとともに、屋内の快適性を維持あるいは向上させることができ、もって、冷房設備の使用を抑制することができるとともに、省エネルギーに貢献することができる建物の給気構造を提供することを目的とする。
【解決手段】床下空間4に設けられた床下上水管5と、コンクリート基礎2における日照の当たらない位置に形成されるとともに、床下空間4に外気を取り入れるための外部給気口8と、床下空間4を形成する建物1の床3に形成されるとともに、床下空間4の空気を屋内に取り入れるための内部給気口9と、を備え、床下上水管5として、直管6と蛇行管7とが設けられ、所定の条件により直管6と蛇行管7とを切り替える床下上水管切替手段14を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内の換気に用いる外気を、床下空間を通じて屋内に供給する建物の給気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、床下空間の温度は、夏場においては外気温より低く、冬場においては外気温より高いことが知られており、屋内の換気に用いる外気を、床下空間を通じて屋内に供給するといったことが行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−185207号公報
【特許文献2】特開2008−281285号公報
【特許文献3】特開2008−303529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、屋内の換気に用いる外気を、単に床下空間を通じて屋内に供給するだけでは、たとえば、夏場において、換気により屋内の温度が上昇したり、また、たとえば、冬場において、換気により屋内の温度が下降したりする場合があった。そして、このような屋内の温度変化により、屋内の快適性が低下するとともに、冷暖房設備の使用につながる場合があった。
すなわち、屋内の換気に用いる外気を、単に床下空間を通じて屋内に取り入れるだけでは、屋内の快適性、省エネルギー性といった点で、問題があった。
そこで、各請求項にそれぞれ記載された発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1)
すなわち、請求項1記載の発明は、夏場において、より冷たい空気を屋内に供給することができるとともに、屋内の快適性を維持あるいは向上させることができ、もって、冷房設備の使用を抑制することができるとともに、省エネルギーに貢献することができる建物の給気構造を提供することを目的とする。
(請求項2)
すなわち、請求項2記載の発明は、冬場において、より暖かい空気を屋内に供給することができるとともに、屋内の快適性を維持あるいは向上させることができ、もって、暖房設備の使用を抑制することができるとともに、省エネルギーに貢献することができる建物の給気構造を提供することを目的とする。
(請求項3)
すなわち、請求項3記載の発明は、夏場においてはより冷たい空気を、冬場においてはより暖かい空気を屋内に供給することができるとともに、年間を通じて屋内の快適性を維持あるいは向上させることができ、もって、冷暖房設備の使用を抑制することができるとともに、省エネルギーに貢献することができる建物の給気構造を提供することを目的とする。
(請求項4)
すなわち、請求項4記載の発明は、上記請求項1、2又は3記載の発明の目的に加え、夏場においてはより冷たい空気を屋内に供給することができるとともに、冬場においてはより暖かい空気を屋内に供給することができる建物の給気構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項に記載された発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1記載の発明は、コンクリート基礎2の上に構築された建物1の給気構造であって、コンクリート基礎2と建物1の床3とにより形成される床下空間4に設けられた床下上水管5と、コンクリート基礎2における日照の当たらない位置に形成されるとともに、床下空間4に外気を取り入れるための外部給気口8と、床下空間4を形成する建物1の床3に形成されるとともに、床下空間4の空気を屋内に取り入れるための内部給気口9と、を備え、床下上水管5として、直管6と蛇行管7とが設けられ、所定の条件により直管6と蛇行管7とを切り替える床下上水管切替手段14を備えることを特徴とする。
【0006】
ここで、「コンクリート基礎」とは、たとえば、布基礎や、ベタ基礎である。
また、「基礎における日照の当たらない位置」とは、コンクリート基礎2と建物1の床3とにより形成される床下空間4に取り込む外気の温度を、少しでも低いものとするためのものであり、たとえば、北側に面する基礎の立ち上がりにおける所定の位置などである。
また、「直管」は、直線状に形成された管に限られず、ほぼ直線状に形成された管も含むものである。
また、「蛇行管」は、少なくとも、その表面積が、直管6の表面積より大きくなるように蛇行状に形成されていれば良いものである。
【0007】
また、「所定の条件」としては、たとえば、屋外の温度などが挙げられる。
本発明に係る建物1の給気構造において、屋内の換気に用いる外気は、コンクリート基礎2における日照の当たらない位置に形成された外部給気口8から取り入れられ、床下空間4を通じて屋内に供給される。これにより、夏場において、冷たい空気を屋内に供給することができる。
また、本発明に係る建物1の給気構造において、床下空間4には、床下上水管5が設けられる。具体的には、床下上水管5として、直管6と蛇行管7とが設けられる。そして、直管6と蛇行管7とは、所定の条件により切り替えられる。たとえば、気温の高い夏場には、床下上水管5として蛇行管7が選択され、気温の低い冬場には、床下上水管5として直管6が選択される。これにより、気温の高い夏場において、外部給気口8から床下空間4に取り入れられた外気は、上水道から供給される冷たい水が流れる蛇行管7により、さらに冷やされる。したがって、より冷たい空気を屋内に供給することができる。
(請求項2)
請求項2記載の発明は、コンクリート基礎2の上に構築された建物1の給気構造であって、コンクリート基礎2と建物1の床3とにより形成される床下空間4に設けられるとともに、浴槽などからの排水を行う床下排水管15と、コンクリート基礎2における日照の当たる位置に形成されるとともに、床下空間4に外気を取り入れるための外部給気口8と、床下空間4を形成する建物1の床3に形成されるとともに、床下空間4の空気を屋内に取り入れるための内部給気口9と、を備え、床下排水管15として、直管16と蛇行管17とが設けられ、所定の条件により直管16と蛇行管17とを切り替える床下排水管切替手段22を備えることを特徴とする。
【0008】
ここで、「コンクリート基礎」、「直管」、「蛇行管」および「所定の条件」については、上述の通りである。
また、「基礎における日照の当たる位置」とは、コンクリート基礎2と建物1の床3とにより形成される床下空間4に取り込む外気の温度を、少しでも高いものとするためのものであり、たとえば、南側に面する基礎の立ち上がりにおける所定の位置などである。
本発明に係る建物1の給気構造において、屋内の換気に用いる外気は、コンクリート基礎2における日照の当たる位置に形成された外部給気口8から取り入れられ、床下空間4を通じて屋内に供給される。これにより、冬場において、暖かい空気を屋内に供給することができる。
【0009】
また、本発明に係る建物1の給気構造において、床下空間4には、浴槽などからの排水を行う床下排水管15が設けられる。具体的には、床下排水管15として、直管16と蛇行管17とが設けられる。そして、直管16と蛇行管17とは、所定の条件により切り替えられる。たとえば、気温の高い夏場には、床下排水管15として直管16が選択され、気温の低い冬場には、床下排水管15として蛇行管17が選択される。これにより、気温の低い冬場において、外部給気口8から床下空間4に取り入れられた外気は、浴槽などから排出される温かい排水が流れる蛇行管17により、さらに暖められる。したがって、より暖かい空気を屋内に供給することができる。
(請求項3)
請求項3記載の発明は、コンクリート基礎2の上に構築された建物1の給気構造であって、コンクリート基礎2と建物1の床3とにより形成される床下空間4に設けられた床下上水管5と、床下空間4に設けられるとともに、浴槽などからの排水を行う床下排水管15と、コンクリート基礎2に形成されるとともに、床下空間4に外気を取り入れるための外部給気口8と、床下空間4を形成する建物1の床3に形成されるとともに、床下空間4の空気を屋内に取り入れるための内部給気口9と、を備え、床下上水管5として、直管6と蛇行管7とが設けられるとともに、所定の条件により直管6と蛇行管7とを切り替える床下上水管切替手段14と、床下排水管15として、直管16と蛇行管17とが設けられるとともに、所定の条件により直管16と蛇行管17とを切り替える床下排水管切替手段22と、を備え、床下上水管切替手段14と床下排水管切替手段22とは、一方が直管6,16を選択しているときには他方は蛇行管7,17を選択することが可能なように形成されていることを特徴とする。
【0010】
ここで、「コンクリート基礎」、「直管」、「蛇行管」および「所定の条件」については、上述の通りである。
本発明に係る建物1の給気構造において、屋内の換気に用いる外気は、コンクリート基礎2に形成された外部給気口8から取り入れられ、床下空間4を通じて屋内に供給される。これにより、夏場においては冷たい空気を、冬場においては暖かい空気を屋内に供給することができる。
また、本発明に係る建物1の給気構造において、床下空間4には、床下上水管5と、浴槽などからの排水を行う床下排水管15とが設けられる。具体的には、床下上水管5として、直管6と蛇行管7とが設けられる。そして、直管6と蛇行管7とは、所定の条件により切り替えられる。たとえば、気温の高い夏場には、床下上水管5として蛇行管7が選択され、気温の低い冬場には、床下上水管5として直管6が選択される。
【0011】
また、床下排水管15として、直管16と蛇行管17とが設けられる。そして、直管16と蛇行管17とは、所定の条件により切り替えられる。たとえば、気温の高い夏場には、床下排水管15として直管16が選択され、気温の低い冬場には、床下排水管15として蛇行管17が選択される。
また、本発明に係る建物1の給気構造では、たとえば、床下上水管5として直管6が選択されているときには、床下排水管15として蛇行管17が選択されることが可能なように形成されている。具体的に、たとえば、気温の高い夏場に、床下上水管5として蛇行管7が選択されているときには、床下排水管15として直管16が選択されることが可能なように形成されている。また、たとえば、気温の低い冬場に、床下上水管5として直管6が選択されているときには、床下排水管15として蛇行管17が選択されることが可能なように形成されている。これにより、気温の高い夏場において、外部給気口8から床下空間4に取り入れられた外気は、上水道から供給される冷たい水が流れる、床下上水管5としての蛇行管7により、さらに冷やされる。また、気温の低い冬場において、外部給気口8から床下空間4に取り入れられた外気は、浴槽などから排出される温かい排水が流れる、床下排水管15としての蛇行管17により、さらに暖められる。したがって、夏場においてはより冷たい空気を、冬場においてはより暖かい空気を屋内に供給することができる。
(請求項4)
請求項4記載の発明は、上記請求項1、2又は3記載の発明の特徴に加え、床下空間4の地面には、コンクリートが打設されていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る建物1の給気構造において、床下空間4の地面には、コンクリートが打設されている。具体的には、本発明に係る建物1の給気構造において、コンクリート基礎2は、布基礎であって、床下空間4の地面に防湿土間コンクリートが打設されているもの、またはベタ基礎である。これにより、床下空間4の断熱効果を向上させることができる。したがって、夏場においてはより冷たい空気を屋内に供給することができるとともに、冬場においてはより暖かい空気を屋内に供給することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
(請求項1)
すなわち、請求項1記載の発明は、夏場において、より冷たい空気を屋内に供給することができるとともに、屋内の快適性を維持あるいは向上させることができ、もって、冷房設備の使用を抑制することができるとともに、省エネルギーに貢献することができる建物の給気構造を提供することができる。
(請求項2)
すなわち、請求項2記載の発明は、冬場において、より暖かい空気を屋内に供給することができるとともに、屋内の快適性を維持あるいは向上させることができ、もって、暖房設備の使用を抑制することができるとともに、省エネルギーに貢献することができる建物の給気構造を提供することができる。
(請求項3)
すなわち、請求項3記載の発明は、夏場においてはより冷たい空気を、冬場においてはより暖かい空気を屋内に供給することができるとともに、年間を通じて屋内の快適性を維持あるいは向上させることができ、もって、冷暖房設備の使用を抑制することができるとともに、省エネルギーに貢献することができる建物の給気構造を提供することができる。
(請求項4)
すなわち、請求項4記載の発明は、上記請求項1、2又は3記載の発明の効果に加え、夏場においてはより冷たい空気を屋内に供給することができるとともに、冬場においてはより暖かい空気を屋内に供給することができる建物の給気構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態であって、建物の給気構造を説明する側断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態であって、床下上水管を示す斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態であって、床下排水管を示す斜視図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態であって、床下上水管および床下排水管を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
本実施の形態に係る建物1の給気構造は、住宅に適用される。具体的には、住宅は、図1に示すように、コンクリート基礎2と、コンクリート基礎2の上に構築された建物1とにより構成されている。また、図1に示すように、コンクリート基礎2と建物1の床3とにより床下空間4が形成されている。
(コンクリート基礎2)
本実施の形態におけるコンクリート基礎2は、ベタ基礎である。
【0016】
また、北側に面する基礎の立ち上がりには、図1に示すように、床下空間4に外気を取り入れるための外部給気口8が形成されている。
そして、床下空間4には、図1に示すように、床下上水管5が設けられている。
(建物1)
床下空間4を構成する建物1の床3には、図1に示すように、床下空間4の空気を屋内に取り入れるための内部給気口9が形成されている。
また、建物1の内部は、特に図示していないが、リビングルーム、寝室、ダイニングルーム、洗面所および台所などに区画されている。
【0017】
また、特に図示していないが、建物1の天井には、通気口が形成されているとともに、屋根には、排気口が形成されている。これにより、屋内の換気が行われるものとなっている。なお、通気口および排気口については、特に限定されるものではない。また、排気は、ファンなどにより強制的に行うようにしても良い。
(床下上水管5)
本実施の形態では、床下上水管5として、図2に示すように、直管6と蛇行管7とが並列的に設けられている。また、直管6および蛇行管7は、床下空間4の地面に沿って設けられている。具体的には、直管6および蛇行管7は、外部給気口8から取り入れられた外気が内部給気口9に向けて流れる空気の流路上に、少なくとも、蛇行管7が位置するように、設けられている。
【0018】
また、直管6は、ほぼ直線状に形成されている。また、蛇行管7は、少なくとも、その表面積が、直管6の表面積より大きくなるように蛇行状に形成されている。
また、直管6は、塩化ビニル管などとすることができる。また、蛇行管7は、金属などの熱伝導率の高い材質により形成することができる。
そして、直管6および蛇行管7における上流側の端部は、それぞれ、図2に示すように、直管6と蛇行管7とを切り替える三方切替上水弁10を介して、上流側立上り管12と接続されている。そして、上流側立上り管12は、図示しない上水道の本管と連通している。
また、直管6および蛇行管7における下流側の端部は、それぞれ、図2に示すように、三方継手11を介して、下流側立上り管13と接続されている。そして、下流側立上り管13は、図示しない建物1内部の水道管と連通している。
(床下上水管切替手段14)
床下上水管切替手段14は、所定の条件により直管6と蛇行管7とを切り替えるものである。具体的には、床下上水管切替手段14は、直管6と蛇行管7とを切り替える三方切替上水弁10と、屋外の温度を検出する、図示しない温度センサと、温度センサが検出する温度により三方切替上水弁10の動作を制御する、図示しない制御装置と、を備える。
【0019】
そして、制御装置は、温度センサが検出する屋外の温度が所定の温度(たとえば、25度)以上のときには、上流側立上り管12と蛇行管7とを連通させるとともに、直管6における上流側の開口が遮断されるように、三方切替上水弁10を動作させる。また、制御装置は、温度センサが検出する屋外の温度が所定の温度(たとえば、25度)未満のときには、上流側立上り管12と直管6とを連通させるとともに、蛇行管7における上流側の開口が遮断されるように、三方切替上水弁10を動作させる。
これにより、直管6および蛇行管7のいずれか一方の管が選択されて、上水道から建物1に水が供給されるものとなっている。
(作用・効果)
上述の如く、本実施の形態に係る建物1の給気構造において、屋内の換気に用いる外気は、ベタ基礎における北側に面する基礎の立ち上がりに形成された外部給気口8から取り入れられ、床下空間4を通じて屋内に供給される。これにより、夏場において、冷たい空気を屋内に供給することができる。
【0020】
また、本実施の形態に係る建物1の給気構造では、床下上水管切替手段14により、屋外の温度が所定の温度(たとえば、25度)以上になると、床下上水管5として蛇行管7が選択されるとともに、屋外の温度が所定の温度(たとえば、25度)未満になると、床下上水管5として直管6が選択される。具体的には、屋外の温度が所定の温度(たとえば、25度)以上になると、上流側立上り管12と蛇行管7とが連通されるとともに、直管6における上流側の開口が遮断される。すなわち、かかる場合において、上水道から供給される水は、蛇行管7を通り、建物1に供給される。また、屋外の温度が所定の温度(たとえば、25度)未満になると、上流側立上り管12と直管6とが連通されるとともに、蛇行管7における上流側の開口が遮断される。すなわち、かかる場合において、上水道から供給される水は、直管6を通り、建物1に供給される。
【0021】
これにより、屋外の温度が所定の温度(たとえば、25度)以上となる夏場では、外部給気口8から床下空間4に取り入れられた外気は、上水道から供給される冷たい水が流れる蛇行管7により、さらに冷やされる。
以上より、夏場において、より冷たい空気を屋内に供給することができるとともに、屋内の快適性を維持あるいは向上させることができ、もって、冷房設備の使用を抑制することができるとともに、省エネルギーに貢献することができる。
なお、床下空間4に床下上水管5を設けることで、床下上水管5のメンテナンスが容易となることは、言うまでもない。
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図3は、本発明の第2の実施の形態であって、床下排水管15を示す斜視図である。
また、上記第1の実施の形態において、床下空間4には、床下上水管5が設けられていたが、本実施の形態において、床下空間4には、床下排水管15が設けられる。また、本実施の形態は、上記第1の実施の形態が備える「床下上水管切替手段14」に替えて、「床下排水管切替手段22」を備える。
以下、相違点を中心に本発明の第2の実施の形態を説明する。
本実施の形態において、外部給気口8は、南側に面する基礎の立ち上がりに形成されている。また、床下空間4には、図3に示すように、浴槽などからの排水を行う床下排水管15が設けられている。
(床下排水管15)
本実施の形態では、床下排水管15として、直管16と蛇行管17とが並列的に設けられている。また、直管16および蛇行管17は、床下空間4の地面に沿って設けられている。具体的には、直管16および蛇行管17は、外部給気口8から取り入れられた外気が内部給気口9に向けて流れる空気の流路上に、少なくとも、蛇行管17が位置するように、設けられている。
【0023】
また、直管16は、ほぼ直線状に形成されている。また、蛇行管17は、少なくとも、その表面積が、直管16の表面積より大きくなるように蛇行状に形成されている。
また、直管16は、塩化ビニル管などとすることができる。また、蛇行管17は、金属などの熱伝導率の高い材質により形成することができる。
そして、直管16および蛇行管17における上流側の端部は、それぞれ、図3に示すように、直管16と蛇行管17とを切り替える三方切替排水弁18を介して、上流側立上り管20と接続されている。そして、上流側立上り管20は、特に図示していないが、建物1内部における浴槽などからの排水を行う排水管と連通している。
【0024】
また、直管16および蛇行管17における下流側の端部は、それぞれ、図3に示すように、三方継手19を介して、下流側立上り管21と接続されている。そして、下流側立上り管21は、図示しない下水道の本管と連通している。
そして、直管16および蛇行管17には、特に図示していないが、上流側立上り管20から下流側立上り管21に向けて水勾配が設けられている。
(床下排水管切替手段22)
床下排水管切替手段22は、所定の条件により直管16と蛇行管17とを切り替えるものである。具体的には、床下排水管切替手段22は、直管16と蛇行管17とを切り替える三方切替排水弁18と、屋外の温度を検出する、図示しない温度センサと、温度センサが検出する温度により三方切替排水弁18の動作を制御する、図示しない制御装置と、を備える。
【0025】
そして、制御装置は、温度センサが検出する屋外の温度が所定の温度(たとえば、10度)以上のときには、上流側立上り管20と直管16とを連通させるとともに、蛇行管17における上流側の開口が遮断されるように、三方切替排水弁18を動作させる。また、制御装置は、温度センサが検出する屋外の温度が所定の温度(たとえば、10度)未満のときには、上流側立上り管20と蛇行管17とを連通させるとともに、直管16における上流側の開口が遮断されるように、三方切替排水弁18を動作させる。
これにより、直管16および蛇行管17のいずれか一方の管が選択されて、建物1から下水道に排水が行われるものとなっている。
(作用・効果)
上述の如く、本実施の形態に係る建物1の給気構造において、屋内の換気に用いる外気は、ベタ基礎における南側に面する基礎の立ち上がりに形成された外部給気口8から取り入れられ、床下空間4を通じて屋内に供給される。これにより、冬場において、暖かい空気を屋内に供給することができる。
【0026】
また、本実施の形態に係る建物1の給気構造では、床下排水管切替手段22により、屋外の温度が所定の温度(たとえば、10度)以上になると、床下排水管15として直管16が選択されるとともに、屋外の温度が所定の温度(たとえば、10度)未満になると、床下排水管15として蛇行管17が選択される。具体的には、屋外の温度が所定の温度(たとえば、10度)以上になると、上流側立上り管20と直管16とが連通されるとともに、蛇行管17における上流側の開口が遮断される。すなわち、かかる場合において、浴槽などからの排水は、直管16を通り、下水道に排出される。また、屋外の温度が所定の温度(たとえば、10度)未満になると、上流側立上り管20と蛇行管17とが連通されるとともに、直管16における上流側の開口が遮断される。すなわち、かかる場合において、浴槽などからの排水は、蛇行管17を通り、下水道に排出される。
【0027】
これにより、屋外の温度が所定の温度(たとえば、10度)未満となる冬場では、外部給気口8から床下空間4に取り入れられた外気は、浴槽などから排出される温かい排水が流れる蛇行管17により、さらに暖められる。
以上より、冬場において、より暖かい空気を屋内に供給することができるとともに、屋内の快適性を維持あるいは向上させることができ、もって、暖房設備の使用を抑制することができるとともに、省エネルギーに貢献することができる。
なお、床下空間4に床下排水管15を設けることで、床下排水管15のメンテナンスが容易となることは、言うまでもない。
(第3の実施の形態)
以下、本発明の第3の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
図4は、本発明の第3の実施の形態であって、床下上水管5および床下排水管15を示す斜視図である。
また、上記第1の実施の形態において、床下空間4には、床下上水管5が設けられていたが、本実施の形態において、床下空間4には、床下上水管5に加えて、床下排水管15が設けられる。また、本実施の形態は、上記第1の実施の形態が備える「床下上水管切替手段14」に加えて、「床下排水管切替手段22」を備える。なお、床下上水管5および床下上水管切替手段14については、上記第1の実施の形態と、床下排水管15および床下排水管切替手段22については、上記第2の実施の形態と、同様なので、説明を省略する。
【0029】
以下、相違点を中心に本発明の第3の実施の形態を説明する。
本実施の形態において、外部給気口8は、コンクリート基礎2の基礎の立ち上がりにおけるいずれの位置に形成されていても良い。
また、上述の如く、本実施の形態において、床下空間4には、床下上水管5および床下排水管15が設けられている。具体的には、床下上水管5および床下排水管15は、図4に示すように、床下上水管5としての蛇行管7と、床下排水管15としての蛇行管17とが、外部給気口8から取り入れられた外気が内部給気口9に向けて流れる空気の流路上に位置するように、並列的に設けられている。
【0030】
また、本実施の形態において、床下上水管切替手段14と床下排水管切替手段22とは、一方が直管6,16を選択しているときには他方は蛇行管7,17を選択することが可能なように形成されている。すなわち、本実施の形態において、床下上水管切替手段14における三方切替上水弁10と、床下排水管切替手段22における三方切替排水弁18とは、図示しない単一の制御装置により、その動作が制御される。
具体的には、制御装置は、温度センサが検出する屋外の温度が所定の温度(たとえば、25度)以上のときには、床下上水管5として蛇行管7が選択されるように、かつ床下排水管15として直管16が選択されるように、三方切替上水弁10および三方切替排水弁18の動作を制御する。
【0031】
また、制御装置は、温度センサが検出する屋外の温度が所定の温度(たとえば、10度)未満のときには、床下上水管5として直管6が選択されるように、かつ床下排水管15として蛇行管17が選択されるように、三方切替上水弁10および三方切替排水弁18の動作を制御する。
(作用・効果)
上述の如く、本実施の形態に係る建物1の給気構造において、屋内の換気に用いる外気は、ベタ基礎における基礎の立ち上がりに形成された外部給気口8から取り入れられ、床下空間4を通じて屋内に供給される。これにより、夏場においては冷たい空気を、冬場においては暖かい空気を屋内に供給することができる。
【0032】
また、本実施の形態に係る建物1の給気構造では、床下上水管切替手段14により、屋外の温度が所定の温度(たとえば、25度)以上になると、床下上水管5として蛇行管7が選択されるとともに、屋外の温度が所定の温度(たとえば、25度)未満になると、床下上水管5として直管6が選択される。
また、本実施の形態に係る建物1の給気構造では、床下排水管切替手段22により、屋外の温度が所定の温度(たとえば、10度)以上になると、床下排水管15として直管16が選択されるとともに、屋外の温度が所定の温度(たとえば、10度)未満になると、床下排水管15として蛇行管17が選択される。
【0033】
また、本発明に係る建物1の給気構造では、たとえば、床下上水管5として直管6が選択されているときには、床下排水管15として蛇行管17が選択されることが可能なように形成されている。具体的には、屋外の温度が所定の温度(たとえば、25度)以上のときには、床下上水管5として蛇行管7が選択されるとともに、床下排水管15として直管16が選択される。また、屋外の温度が所定の温度(たとえば、10度)未満のときには、床下上水管5として直管6が選択されるとともに、床下排水管15として蛇行管17が選択される。
これにより、屋外の温度が所定の温度(たとえば、25度)以上となる夏場では、外部給気口8から床下空間4に取り入れられた外気は、外部給気口8から内部給気口9へと至る空気の流路上に位置する、床下上水管5としての蛇行管7により、さらに冷やされる。かかる場合において、浴槽などからの排水は、外部給気口8から内部給気口9へと至る空気の流路上に位置しない、床下排水管15としての直管16を通り、下水道に排出される。したがって、外部給気口8から内部給気口9へと至る空気は、床下排水管15により暖められることはない。
【0034】
また、屋外の温度が所定の温度(たとえば、10度)未満となる冬場では、外部給気口8から床下空間4に取り入れられた外気は、外部給気口8から内部給気口9へと至る空気の流路上に位置する、床下排水管15としての蛇行管17により、さらに暖められる。かかる場合において、上水道から供給される水は、外部給気口8から内部給気口9へと至る空気の流路上に位置しない、床下上水管5としての直管6を通り、建物1に供給される。したがって、外部給気口8から内部給気口9へと至る空気は、床下上水管5により冷やされることはない。
また、本発明に係る建物1の給気構造において、床下上水管切替手段14と床下排水管切替手段22とは、双方が直管6,16または蛇行管7,17を選択するようにすることができる。たとえば、春期や秋期において、床下上水管切替手段14と床下排水管切替手段22とは、双方が直管6,16を選択するようにすることができる。
【0035】
以上より、夏場においてはより冷たい空気を、冬場においてはより暖かい空気を屋内に供給することができるとともに、年間を通じて屋内の快適性を維持あるいは向上させることができ、もって、冷暖房設備の使用を抑制することができるとともに、省エネルギーに貢献することができる。
(他の実施の形態)
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲における変形および改良なども含むものである。
また、上述した本発明の実施の形態において、コンクリート基礎2は、ベタ基礎であるが、布基礎や、布基礎であって、床下空間4の地面に防湿土間コンクリートを打設したものであっても良い。
【0036】
また、上述した実施の形態において、床下上水管5が凍結する恐れがある場合には、床下上水管5としての直管6に凍結防止ヒーターを取り付け、冬場においては、床下上水管5として直管6が選択されるようにしても良い。
また、上述した実施の形態において、床下上水管切替手段14と床下排水管切替手段22とは、屋外の温度に基づいて、直管6,16と蛇行管7,17とを切り替えていたが、これに限定されるものではない。
たとえば、床下排水管切替手段22を、排出される排水の温度に基づいて、直管16と蛇行管17とを切り替えるようにしても良い。具体的には、上流側立上り管20に、その内部を流れる排水の温度を検出する温度センサを設ける。そして、冬場において、温度センサが検出する排水の温度が所定の温度(たとえば、10度)以上のときには、蛇行管17を選択するとともに、温度センサが検出する排水の温度が所定の温度(たとえば、10度)未満のときには、直管16を選択するようにする。
【符号の説明】
【0037】
1 建物 2 コンクリート基礎
3 床 4 床下空間
5 床下上水管 6 直管
7 蛇行管 8 外部給気口
9 内部給気口 10 三方切替上水弁
11 三方継手 12 上流側立上り管
13 下流側立上り管 14 床下上水管切替手段
15 床下排水管 16 直管
17 蛇行管 18 三方切替排水弁
19 三方継手 20 上流側立上り管
21 下流側立上り管 22 床下排水管切替手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート基礎の上に構築された建物の給気構造であって、
コンクリート基礎と建物の床とにより形成される床下空間に設けられた床下上水管と、
コンクリート基礎における日照の当たらない位置に形成されるとともに、床下空間に外気を取り入れるための外部給気口と、
床下空間を形成する建物の床に形成されるとともに、床下空間の空気を屋内に取り入れるための内部給気口と、を備え、
床下上水管として、直管と蛇行管とが設けられ、
所定の条件により直管と蛇行管とを切り替える床下上水管切替手段を備えることを特徴とする建物の給気構造。
【請求項2】
コンクリート基礎の上に構築された建物の給気構造であって、
コンクリート基礎と建物の床とにより形成される床下空間に設けられるとともに、浴槽などからの排水を行う床下排水管と、
コンクリート基礎における日照の当たる位置に形成されるとともに、床下空間に外気を取り入れるための外部給気口と、
床下空間を形成する建物の床に形成されるとともに、床下空間の空気を屋内に取り入れるための内部給気口と、を備え、
床下排水管として、直管と蛇行管とが設けられ、
所定の条件により直管と蛇行管とを切り替える床下排水管切替手段を備えることを特徴とする建物の給気構造。
【請求項3】
コンクリート基礎の上に構築された建物の給気構造であって、
コンクリート基礎と建物の床とにより形成される床下空間に設けられた床下上水管と、
床下空間に設けられるとともに、浴槽などからの排水を行う床下排水管と、
コンクリート基礎に形成されるとともに、床下空間に外気を取り入れるための外部給気口と、
床下空間を形成する建物の床に形成されるとともに、床下空間の空気を屋内に取り入れるための内部給気口と、を備え、
床下上水管として、直管と蛇行管とが設けられるとともに、所定の条件により直管と蛇行管とを切り替える床下上水管切替手段と、
床下排水管として、直管と蛇行管とが設けられるとともに、所定の条件により直管と蛇行管とを切り替える床下排水管切替手段と、を備え、
床下上水管切替手段と床下排水管切替手段とは、一方が直管を選択しているときには他方は蛇行管を選択することが可能なように形成されていることを特徴とする建物の給気構造。
【請求項4】
床下空間の地面には、コンクリートが打設されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の建物の給気構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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