説明

情報機器

【課題】顔の登録等を不要としつつ、通信の通信対象機器を明確に特定して短時間で通信可能な情報機器を提供すること。
【解決手段】カメラ100の所有者がカメラ100に対して特定の動作を行うと、その動作に伴う振動が振動検出部127bによって検出されて振動のパターンが特定される。カメラの所有者の合図を受けてアクセサリ200b〜200gの所有者がアクセサリに対して特定の動作を行うと、その動作に伴う振動が振動検出部204bによって検出されて振動のパターンが特定される。カメラ100の制御部125は、カメラ100の振動のパターンとアクセサリ200b〜200gの振動のパターンとを比較し、この比較結果に従って画像ファイルの通信の候補となるアクセサリを特定する。その後に、制御部125は、通信の候補となるアクセサリを示す画像を表示部123に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機能を有する情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ等の撮影機能を有する情報機器が普及している。また、近年のデジタルカメラ等の情報機器は、当該情報機器による撮影で得られた画像データ等の各種のデータを他の通信対象機器に転送できるものが多くなっている。このようなデータ通信技術の1つとして、特許文献1の技術が提案されている。特許文献1では、通信相手の顔画像データから顔の特徴量を検出し、検出した特徴量と一致した人物に対応したアドレスデータを自動設定するようにしている。このような特許文献1の技術では、ユーザがアドレスデータを入力する必要がなくなるため、電子メール等の誤送信の可能性が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−28077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1の技術では、通信先となる通信対象を明確に特定することが可能である。しかしながら、特許文献1等の技術では、通信先の顔画像データを事前に入手しておく必要があり、また通信対象機器を特定するために事前の顔の特徴量登録等が必要となるので、ユーザに設定の煩わしさを感じさせるおそれがある。さらに、通信対象機器が多くなった場合には、顔の特徴量比較を逐一行わなければならず、通信に時間がかかり易い。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、顔の登録等を不要としつつ、通信の通信対象機器を明確に特定して短時間で通信可能な情報機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様の情報機器は、複数の通信対象機器と通信を行うための通信部と、画像を表示するための表示部と、当該情報機器に発生した第1の振動のパターンを検出する振動検出部と、上記第1の振動が発生したときに、上記複数の通信対象機器のそれぞれから上記通信部を介して、上記複数の通信対象機器のそれぞれに発生した第2の振動のパターンと該第2の振動の発生時刻とを受信し、該受信した第2の振動のパターンと第2の振動の発生時刻とから、上記複数の通信対象機器のうちで上記通信部による通信の候補となる通信対象機器を特定し、該特定した通信の候補となる通信対象機器を示す画像を含む表示情報を上記表示部に表示させる表示制御部と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、顔の登録等の事前の登録を不要としつつ、通信の通信対象機器を明確に特定して短時間で通信可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報機器を有する画像通信システムの構成について説明するための図。
【図2】カメラにアクセサリを装着した際の様子を示す図。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像通信システムの動作の概要を示す図。
【図4】カメラの動作を示すフローチャート。
【図5】アクセサリの動作を示すフローチャート。
【図6】振動のパターンについて説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る情報機器を有する画像通信システムの構成について説明するための図である。本画像通信システムは、図1に示すように、情報機器100と、情報機器100の通信対象となる外部機器200a〜200gとを有している。ここで、図1は、情報機器100がデジタルカメラ等の撮像装置(以下、単にカメラという)であり、外部機器200a〜200gが互いに通信自在に構成されたアクセサリ装置(以下、単にアクセサリという)である例を示している。アクセサリ200a〜200gは、カメラ100に対して着脱自在に構成されている。例えば、図2に示すように、カメラ100にアクセサリ200aが装着された場合には、カメラ100とアクセサリ200aとが通信自在に接続される。この状態で、例えばカメラ100で得られた画像ファイルをアクセサリ200aに転送することが可能である。また、アクセサリ200aは、図2に示すようにして本体120に装着された状態でも、他のアクセサリ200b〜200gと無線通信可能である。
【0010】
カメラ100は、交換レンズ110と、本体120とを有している。交換レンズ110は、本体120に対して着脱自在に構成されている。本体120に交換レンズ110が装着された場合には、交換レンズ110と本体120とが通信自在に接続される。この場合、交換レンズ110は本体120の制御に従って動作する。
【0011】
交換レンズ110は、レンズ部111と、レンズ制御部112とを有している。レンズ部111は、複数のレンズや絞り等から構成され、図示しない被写体からの光束を本体120内部の撮像部121に入射させるための光学系である。レンズ制御部112は、通信部112aを有しており、通信部112aを介して本体120と通信可能になされている。このレンズ制御部112は、通信部112aを介して本体120から入力されるレンズ制御信号に応じて、例えばフォーカシング制御やズーミング制御といったレンズ部111を構成する各種のレンズの制御を行う。
【0012】
本体120は、撮像部121と、音声収録部122と、表示部123と、記録部124と、制御部125と、操作部126と、振動情報検出部127と、通信部128と、通信部129とを有している。撮像部121は、レンズ部111を介して入射した光束(画像情報)を光電変換することにより画像データを取得する。音声収録部122は、マイクロホン等を有し、カメラ100の周辺の音声を電気信号に変換することにより音声データを取得する。表示部123は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)や有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(OELD)等の表示部であり、各種の画像を表示する。記録部124は、例えばカメラ100に内蔵の不揮発性メモリであり、制御部125によって生成された画像ファイルや音声ファイル等の各種のデータを記録する。制御部125は、例えばCPUから構成されており、操作部126の操作内容に応じた本体120の各種の処理を実行する。また、制御部125は、画像処理部及び音声処理部としての機能も有しており、撮像部121から取り込んだ画像データに対して記録用の画像処理を施したり、音声収録部122を介して取り込んだ音声データに対して記録用の音声処理を施したりもする。さらに、制御部125は、表示制御部としての機能も有している。操作部126は、カメラ100の所有者が本体120に対して各種の操作指示を与えるための各種の操作部材である。操作部126としては、例えばカメラ100の電源をオン又はオフするための電源ボタン、カメラ100に対して撮影実行の指示を行うためのレリーズボタン、カメラ100の動作モードを設定するためのモードボタン、カメラ100における各種の選択を行うための選択ボタン等の種々の操作部が含まれる。操作部126の操作を受けた場合に、制御部125は、操作部126の操作内容に応じた各種の処理を制御する。振動情報検出部127は、本体120に発生した振動に関する情報を検出する。振動情報検出部127は、計時部127aと、振動検出部127bとを有している。計時部127aは、本体120に振動が発生した場合に、その振動の発生時刻を計時する。なお、計時部127aは、撮影時刻や録音時刻等、振動の発生時刻以外の各種の時刻も計時することも可能である。振動検出部127bは、例えば3軸の加速度センサから構成され、本体120に発生した振動を電気信号として検出する。通信部128は、制御部125が交換レンズ110と通信するためのインターフェースである。通信部129は、制御部125が本体120に接続されているアクセサリと通信するためのインターフェースである。なお、通信部129に用いられる通信インターフェースとしては、例えばUSBインターフェースを用いることができる。
【0013】
アクセサリ200a〜200gは、記録部201と、表示部202と、制御部203と、振動情報検出部204と、通信部205と、外部機器通信部206とを有している。ここでは、説明を簡単にするためにアクセサリ200a〜200gの構成を同一とし、アクセサリ200aの構成についてのみ説明する。実際には、アクセサリ200a〜200gは、記録部201と、制御部203と、振動情報検出部204と、外部機器通信部206を共通に有していれば良く、その他の構成は同一でなくとも良い。記録部201は、カメラ100で得られた画像をさらに画像処理(リサイズ処理)することによって得られる画像ファイル等の各種のデータを記録する。表示部202は、LED等から構成され、電源のオン・オフ等のアクセサリ200aの各種の状態表示のために設けられている。制御部203は、例えばCPUから構成されており、アクセサリ200aの各種の処理を制御する。振動情報検出部204は、アクセサリ200aに発生した振動に関する情報を検出する。振動情報検出部204は、計時部204aと、振動検出部204bとを有している。計時部204aは、アクセサリ200aに振動が発生した場合に、その振動の発生時刻を計時する。振動検出部204bは、例えば3軸の加速度センサから構成され、アクセサリ200aに発生した振動を電気信号として検出する。なお、カメラ100にアクセサリ200aが装着された場合には、アクセサリ200aの振動をカメラ100の振動として検出するようにしても良い。通信部205は、例えばカメラ100と有線通信を行うための通信インターフェースとして、例えばUSBインターフェース等の有線通信用のインターフェースを備えている。外部機器通信部206は、アクセサリ200b〜200b等の他の外部機器とブルートゥース(登録商標)通信等の無線通信を行うためのインターフェースを備えている。
【0014】
図3は、本実施形態における画像通信システムの動作の概要を示す図である。本実施形態においては、カメラ100の本体120に何れかのアクセサリ(例えばアクセサリ200a)が装着された状態で撮影が行われる。このとき、カメラ100で撮影された画像がリサイズ(縮小)されてアクセサリ200aの記録部201に記録される。記録部201に記録された画像ファイルは、アクセサリ200a内の外部機器通信部206により、アクセサリ200b〜200gや、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話機等の他の外部機器に送信可能である。ここで、複数の外部機器との通信が必要な場合、個々の外部機器と個別に通信するような構成とすると、通信時間が長くなり易く、また、通信のための消費エネルギーも増加し易い。このため、画像ファイルの送信を希望している人が所有している外部機器との間でのみ、画像ファイルの通信を行うようにしたほうが短時間で通信を終えることができる。
【0015】
このような考え方に基づき、本実施形態では、カメラ100の所有者がカメラ100に対して特定の動作を行うとともに、アクセサリ200b〜200gの所有者がアクセサリ200b〜200gに対して特定の動作を行うようにする。そして、カメラ100に対して行われた動作と同じ動作が行われたアクセサリのみを通信の候補とする。即ち、本実施形態において、カメラ100の所有者は、カメラ100の記録部124に予め登録されているカメラ動作(例えば、カメラ100を上方に持ち上げる、といった動作)の中から、これから実行するカメラ動作の内容を、例えば口頭等で他の人に予め伝えておく。この後、カメラ100の所有者は、例えば合図とともに、他の人に伝えておいたカメラ動作を実行する。図3(a)は、カメラ100の所有者が、カメラ動作として、カメラ100を持った手を上方に挙げる動作を行った例を示している。カメラ100に振動(第1の振動)が発生した場合、その振動に関する情報が振動情報検出部127において検出される。
【0016】
一方、アクセサリ200b〜200gの所有者は、画像の送信を希望する場合には、カメラ100の所有者からの合図を受けて、予め伝えられていたカメラ動作と同様の動作を行う。図3(a)は、アクセサリ200bの所有者Aがカメラ100の所有者と同じ動作を行わず、アクセサリ200cの所有者B及びアクセサリ200dの所有者Cがカメラ100の所有者と同じ動作を行った例を示している。アクセサリ200b〜200gに振動(第2の振動)が発生した場合、カメラ100と同様にして、振動情報検出部204において振動に関する情報が検出される。なお、図3(a)の例においては、アクセサリ200cの振動検出部204bとアクセサリ200dの振動検出部204bにおいて、カメラ100とほぼ同じ振動が検出される。
【0017】
アクセサリ200b〜200gにおいて振動が検出された場合、アクセサリ200b〜200gからカメラ100に向けて振動に関する情報が送信される。ここで、アクセサリ200b〜200gから送信される振動に関する情報は、振動の方向及び大きさ並びに回数によって一意に決定される振動パターンと、振動の発生時刻とを含む。カメラ100の制御部125は、本体120における振動に関する情報とアクセサリ200b〜200gの各々から送信された振動に関する情報とを比較する。そして、制御部125は、カメラ100と同一の振動(又はアクセサリ200aと同一の振動)が発生したと考えられるアクセサリを示す画像123aを、図3(b)のようにして表示部123に表示させる。図3(a)の例においては、アクセサリ200cの所有者Bとアクセサリ200dの所有者Cとが、カメラ100の所有者と同じ動作を行っている。この場合には、アクセサリ200cを示す画像とアクセサリ200dを示す画像を表示させる。これらの画像は、例えば記録部124に予め登録しておいた画像を使用することができる。この記録部124に予め登録しておく画像は、所有者Bや所有者Cの顔画像としても良いし、アクセサリ200cやアクセサリ200dを示すグラフィックとしても良い。さらには、振動に関する情報として、各アクセサリのID情報を含めるようにすれば、そのID情報を文字情報として表示させるようにしても良い。
【0018】
図3(b)のような画像が表示されて通信の候補が特定された後、カメラ100の所有者は、例えば操作部126を用いて、表示部123に表示された画像の中から、実際に画像を送信するアクセサリを示す画像を選択する。この選択を受けて、制御部125は、アクセサリ200aの画像を、画像の送信対象のアクセサリに送信するようにアクセサリ200aを制御する。このようにして、アクセサリ200aに記録されている画像が、希望者が所有しているアクセサリにのみ送信される。
【0019】
図4は、本実施形態におけるカメラ100の動作を示すフローチャートである。カメラ100の所有者の操作部126の操作によって、カメラ100の電源がオンされることによって、図4の動作が開始される。カメラ100の制御部125は、まず、カメラ100の動作モードが撮影モードであるか否かを判定する(S101)。上述したように、動作モードは、例えば操作部126のモードボタンの操作によって設定される。S101において、動作モードが撮影モードである場合に、制御部125は、撮影指示がなされたか否かを判定する(S102)。撮影指示とは、例えば操作部126のレリーズボタンの操作である。S102において、撮影指示がなされた場合に、制御部125は、撮影処理を行い、撮影により得られた画像ファイルを記録部124に記録させる(S103)。撮影処理として、制御部125は、シーンの明るさ等から撮像素子の適正露出量を算出する。そして、制御部125は、算出した適正露出量に従って撮像部121の露出動作(画像取得動作)を制御する。このような撮影処理の後、制御部125は、撮影処理により得られた画像データに対して各種の画像処理を施し、画像処理の結果として得られた画像ファイルを記録部124に記録させる。また、制御部125は、例えば動画撮影時等、必要に応じて、音声収録部122を介して得られた音声ファイルを記録部124に記録させる。
【0020】
画像ファイル(及び音声ファイル)を記録部124に記録した後、制御部125は、現在、カメラ100にアクセサリが装着されているか否かを判定する(S104)。S104において、アクセサリが装着されている場合に、制御部125は、S103において得られた画像データをリサイズ(縮小)して本体120に装着されているアクセサリ(例えばアクセサリ200aとする)への記録用の画像ファイルを生成し、生成したアクセサリ200aへの記録用の画像ファイルを、通信部129を介してアクセサリ200aに送信する(S105)。これにより、アクセサリ200aの記録部201にはカメラ100で得られた画像に対応したリサイズ画像ファイルがコピーされる。
【0021】
また、S101において、撮影モードでない場合に、制御部125は、カメラ100の動作モードが再生モードであるか否かを判定する(S106)。S106において、動作モードが再生モードでない場合には処理がS101に戻る。一方、S106において、動作モードが再生モードである場合に、制御部125は、画像ファイルの一覧(サムネイル画像)を表示部123に表示させる(S107)。ここで、アクセサリ200aが装着されていない場合には記録部124に記録されている画像ファイルの一覧を表示させる。一方、アクセサリ200aが装着されている場合には記録部201に記録されている画像ファイルの一覧を表示させる。なお、説明を簡単にするために、以後は、記録部201に記録されている画像ファイルの一覧が表示されたものとする。画像ファイルの一覧表示の後、制御部125は、例えばカメラ100の所有者の操作部126の選択ボタンの操作に従って画像ファイルの選択がなされたか否かを判定する(S108)。S108において、画像ファイルの選択がなされていない場合には処理がS107に戻る。この場合には一覧表示が継続される。また、S108において、画像ファイルの選択がなされた場合に、制御部125は、選択された画像ファイルを再生する(S109)。即ち、制御部125は、画像ファイル内の画像データを伸張し、伸張した画像データに基づく画像を表示部123に表示させる。
【0022】
画像ファイルの再生後、制御部125は、振動情報検出部127の振動検出部127bの出力(或いはカメラ100に装着されているアクセサリ200aの振動検出部204bの出力でも良い)から、カメラ100の本体120振動が発生したか否かを判定する(S110)。S110において、本体120に振動が発生していない場合(アクセサリ200aに振動が発生していない場合)に、制御部125は、S111〜S114の処理をスキップする。一方、S110において、本体120に振動が発生している場合に、制御部125は、通信部129を介してアクセサリ200aに、他のアクセサリ200b〜200gとの通信を開始するように指示する(S111)。これにより、アクセサリ200b〜200gからの振動に関する情報(振動パターンと発生時刻)が、アクセサリ200aを介して本体120において受信される。アクセサリ200b〜200gからの振動に関する情報を受信した後、制御部125は、本体120において発生した振動に関する情報(振動パターンと発生時刻)を、アクセサリ200b〜200gのそれぞれにおいて発生した振動に関する情報と比較する。振動パターンは、例えば図6に示すように、振動の方向と大きさと回数とによって一意に決定される番号である。例えば、図3(a)のような、カメラ100(及びアクセサリ200b〜200g)を上方に持ち上げる動作は、振動の方向が上で回数が1回であるので、振動パターンが「01」となる。なお、図6に示すような振動の方向、大きさ、回数と、振動パターンを示す番号との対応を示すテーブルは、本体120の記録部124やアクセサリ200a〜200gの記録部201に予め記録しておく。また、図6のテーブルは一例であって適宜変更可能である。例えば、振動パターンとして、方向、大きさ、回数の全てを必ずしも含める必要はない。
【0023】
振動に関する情報の比較後、制御部125は、本体120において今回発生した振動と同一の振動が発生したと考えられるアクセサリを、アクセサリ200b〜200gの中から判別する。ここでの「同一の振動が発生したと考えられる」とは、振動パターン(振動の方向、大きさ、回数)がほぼ等しく、振動の発生時刻もほぼ等しい状態を言うものである。なお、実際には、アクセサリ200b〜200gの所有者が、カメラ100の所有者の動作と同一の動作を行おうとしても、本体120において発生した振動に関する情報とアクセサリ200b〜200gのそれぞれにおいて発生した振動に関する情報との間では差異が生じる可能性が高い。このため、本体120において発生した振動に関する情報とアクセサリ200b〜200gのそれぞれにおいて発生した振動に関する情報との差異がある許容値内である場合には、両者の振動に関する情報が同一であると判別するようにすることが望ましい。このような振動に関する情報を用いた判別を行うことにより、図3(a)に示すような、カメラ100の所有者と同一の動作を行ったアクセサリの所有者を判別することが可能となる。カメラ100と同一の振動が発生したアクセサリの判別後、制御部125は、そのアクセサリを示す画像を、例えば図3(b)に示すようにして表示させる(S112)。その後、制御部125は、例えばカメラ100の所有者の操作部126の選択ボタンの操作に従って、表示部123に表示させたアクセサリの選択がなされたか否かを判定する(S113)。S113において、アクセサリの画像の選択がなされていない場合には処理がS115に移行する。また、S113において、アクセサリの画像の選択がなされた場合に、制御部125は、S109において再生された画像ファイルを、カメラ100の所有者によって選択されたアクセサリに送信するように指示する(S114)。これにより、カメラ100の所有者と同一の動作を行った所有者が所有するアクセサリにのみ、アクセサリ200aに記録されていた画像ファイルが送信される。なお、図4の例では画像ファイルの送信について例示しているが、送信するファイルは画像ファイルに限るものではない。
【0024】
画像ファイルの送信指示後、制御部125は、再生モードを終了するか否かを判定する(S115)。例えば、再生モードから撮影モードへ切り替える操作がなされた場合や再生終了の操作がなされた場合に再生モードを終了すると判定する。S115において、再生モードを終了しない場合に、制御部125は、S106以後の処理を行う。また、S115において、再生モードを終了する場合に、制御部125は、S101以後の処理を行う。
【0025】
図5は、本実施形態におけるアクセサリ200a〜200gの動作を示すフローチャートである。アクセサリ200a〜200gの制御部203は、まず、カメラ100が接続されたか否かを判定している(S201)。S201において、カメラ100が接続された場合に、制御部203は、通信部205を介して、カメラ100から画像ファイルが転送されたか否かを判定する(S202)。S202において、画像ファイルが転送されてきていない場合には、処理がS201に戻る。また、S202において、画像ファイルが転送されてきた場合に、制御部203は、転送されてきた画像ファイルを記録部201に記録させる(S203)。その後に処理がS201に戻る。
【0026】
また、S201において、カメラ100が接続されていない場合に、制御部203は、振動情報検出部204の振動検出部204bの出力から、振動が発生したか否かを判定する(S204)。S204において、振動が発生している場合に、制御部203は、振動検出部204bの出力から、振動の方向、大きさ、回数を特定し、これらを図6に示すテーブルと比較することで振動パターンを検出する(S205)。S205の後、制御部203は、今回発生した振動のパターンが予め登録されているパターンの何れかと合致したか否かを判定する(S206)。S206において、今回の振動のパターンが特定の振動のパターンに合致していない場合には処理がS201に戻る。一方、S206において、今回の振動のパターンが特定の振動のパターンに合致した場合に、制御部203は、今回の振動パターンを示す番号データと振動の発生時刻を示すデータとを、外部機器通信部206を介してカメラ100(アクセサリ200a)に送信するように指示する(S207)。その後に、処理がS201に戻る。
【0027】
また、S204において、振動が発生していない場合に、制御部203は、カメラ100(アクセサリ200a)に対して機器信号が通信可能であるか否かを判定する(S208)。機器信号とは、カメラ100(アクセサリ200a)との通信接続を確立するために、アクセサリ200b〜200gが送信する信号である。ブルートゥース通信の場合、パスキー(PINコードとも呼ばれる)等が機器信号となる。S208において、機器信号が通信可能である場合に、制御部203は、外部機器通信部206を介して機器信号を外部に送信する(S209)。また、機器信号が送信不能である、或いは機器信号の送信の必要がない場合に、制御部203は、アクセサリ200aから画像ファイルを受信可能であるか否か、即ちカメラ100による画像ファイルの送信対象として選択されているか否かを判定する(S210)。S210において、画像ファイルを受信可能でない場合には、処理がS201に戻る。また、S210において、画像ファイルを受信可能である場合には、アクセサリ200aからの画像ファイルの受信後(S211)、処理がS201に戻る。
【0028】
以上説明したように、本実施形態では、カメラ100に対して行われた動作と同じ動作が行われたアクセサリのみを画像ファイルの通信の候補とし、この候補の中からカメラ100の所有者が実際の画像ファイルの通信対象を選択できるようにしている。これにより、事前の登録作業をなくしつつ、確実に通信対象を特定して短時間で画像ファイルの通信を行うことが可能である。
【0029】
ここで、上述した本実施形態では、カメラ100に装着されたアクセサリ200aと、アクセサリ200b〜200gとの間での画像ファイルの通信について例示している。実際には、カメラ100と、アクセサリ200b〜200gとが直接的に無線通信可能に構成されている場合であっても上述した本実施形態の技術を適用可能である。なお、カメラ100にアクセサリ200aを装着した状態で通信を行う場合には、本体120の振動情報検出部127とアクセサリ200aの振動情報検出部204の何れかを省略することもできる。また、上述した実施形態では情報機器の例としてカメラを示しているが、カメラ以外の各種の情報機器に対して本実施形態の技術を適用可能である。
【0030】
また、上述した本実施形態では、アクセサリ200aと同時通信可能なアクセサリの数について特に言及していない。しかしながら、通常は、同時通信可能な機器の台数に制限があることが多い。例えばブルートゥース機器の場合には7台までの同時通信が可能である。このような同時通信可能な機器の台数に制限がある場合において本実施形態の技術を適用する際には、例えば振動の発生時刻が早いものを優先して通信対象の候補とする。ただし、この場合には、カメラ100(アクセサリ200a)の所有者よりも早い時刻に他の人が動作を行った場合でも通信対象の候補となってしまう。これを防止するため、カメラ100(アクセサリ200a)の振動の発生時刻よりも早い時刻に振動は発生しているアクセサリについては通信対象の候補から除外することがより望ましい。この場合、通信対象の候補の数が規定の数に達するまで、振動検出を繰り返し行う。
【0031】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0032】
100…情報機器(カメラ)、101…撮像部、110…交換レンズ、111…レンズ部、112…レンズ制御部、120…本体、121…撮像部、122…音声収録部、123…表示部、124…記録部、125…制御部、126…操作部、127…振動情報検出部、128,129…通信部、200a〜200g…外部機器(アクセサリ)、201…記録部、202…表示部、203…記録部、204…振動情報検出部、205…通信部、206…外部機器通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信対象機器と通信を行うための通信部と、
画像を表示するための表示部と、
当該情報機器に発生した第1の振動のパターンを検出する振動検出部と、
上記第1の振動が発生したときに、上記複数の通信対象機器のそれぞれから上記通信部を介して、上記複数の通信対象機器のそれぞれに発生した第2の振動のパターンと該第2の振動の発生時刻とを受信し、該受信した第2の振動のパターンと第2の振動の発生時刻とから、上記複数の通信対象機器のうちで上記通信部による通信の候補となる通信対象機器を特定し、該特定した通信の候補となる通信対象機器を示す画像を含む表示情報を上記表示部に表示させる表示制御部と、
を具備することを特徴とする情報機器。
【請求項2】
上記表示制御部は、上記第1の振動のパターンと一致した上記第2のパターンの振動が発生した通信対象機器の中で、上記第2の振動の発生時刻が上位の複数の通信対象機器を上記通信の候補と特定することを特徴とする請求項1に記載の情報機器。
【請求項3】
上記振動検出部は、上記第1の振動の発生時刻をさらに検出し、
上記表示制御部は、上記第1の振動の発生時刻よりも早い時刻に上記第2の振動が発生した上記通信対象機器を上記通信の候補から除外することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−48320(P2012−48320A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187556(P2010−187556)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】