説明

把持装置、搬送システム、把持制御方法

【課題】把持した複数の物体のうち少なくとも1つを個別に開放する技術を提供する。
【解決手段】対向面にピン33を有し、弾力が加えられる複数のバネ爪31と、バネ爪31の対向面の間に設けられ、移動位置に応じてピン33のいずれかに当接することで一対のバネ爪31が把持しているコネクタ101を開放させるカムブロック41と、カムブロック41を垂直方向に移動させるブロック駆動部51と、一対の狭持板であって先部13がバネ爪31それぞれの間に挿入されるリジッド爪12と、リジッド爪12をバネ爪31の弾力方向に移動させる本体部11とを有する把持装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願で開示される技術は、コネクタを把持し、また把持したコネクタを開放する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基板へのコネクタ挿入作業は、コネクタを個別に搬送し、個別に挿入することが主流であるが、コネクタ数の多数化が著しい現在、搬送時間の増加が生産数量に影響を与えている。
【0003】
ここで、従来のコネクタの一括搬送システムの搬送方法を図13を参照しつつ説明する。まず、従来の搬送システムは、ステージ上に設置された複数のコネクタをロボットハンドで把持する(図13(A)、(B)参照)。把持したコネクタの良/不良品の判定を行うため、従来の搬送システムは、コネクタを把持したロボットハンドをカメラ位置まで搬送し、コネクタピンの撮像を行う(図13(B)参照)。
【0004】
把持されているコネクタが全て良品である場合、従来の搬送システムは、算出したコネクタの位置情報と基板の位置情報からロボットハンドの縦軸、横軸、垂直軸、回転方向の位置制御を行い、基板の該当箇所にコネクタを挿入する(図13(C)参照)。一方、把持されているコネクタに不良品が含まれている場合、従来の搬送システムは、コネクタの基板挿入は行わず廃却位置へ搬送し、把持した全てのコネクタを開放して廃却し、ステージに戻り新たに全てのコネクタを把持する(図13(D)参照)。
【0005】
また、この出願に関連する技術として、以下の文献が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−222971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の搬送システムは、把持したコネクタ内に不良コネクタがあると、基板への挿入は行わず、把持したコネクタを全て廃却し、再度全てのコネクタを把持し、良否の判定を行い、基板へ挿入する工程となるため、作業時間が増加する。このように、従来の搬送システムは、不良コネクタを廃却する際に把持したコネクタに良品のコネクタがある場合でも全てのコネクタを開放するため、コネクタ消費量が増加してしまう。また従来の搬送システムにおいて、廃却位置で開放されたコネクタを全て廃却しないようにするためには、これら開放後のコネクタに対しさらに良/不良の選別作業が発生する。
【0008】
ここで、例えば図14(A)のように、ロボットハンドの爪の数を増やし、コネクタごとに把持、開放動作が行えれば、不良コネクタのみ開放することができる。しかながら、図14(B)で示すように、ロボットハンドの爪の取付け精度により、各コネクタの把持位置にズレが生じるおそれがあり、基板への挿入不良が増えてしまう。
【0009】
また一方、例えば図15(A)に示すような吸着方式ハンドの場合について説明すると、バルブスイッチの切り替えによる不良コネクタの廃却(開放)は可能であるが、吸着位置の拘束機構が無いため、各コネクタの把持位置がばらつき、基板への挿入不良が増えてしまう。また、図15(B)で示すような、コネクタ上面が平らなものでない場合、上側からの吸着が困難となる。
【0010】
この出願で開示される技術は、上述のような問題点を解決するためになされたものであり、把持した複数の物体から少なくとも1つの物体を開放する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
把持装置は、複数の物体をそれぞれ個別に把持し、複数の物体をそれぞれ個別に開放する第1把持機構と、複数の物体を一括で把持し、複数の物体を一括で開放する第2把持機構とを有し、第1把持機構は、互いに対向する一対の板体が一方向に複数並設される複数の一対の板体と、一対の板体それぞれに、一対の板体の対向方向に弾力を加える弾性体と、複数の一対の板体のうちの少なくとも一つの一対の板体を構成する板体を、弾性体の弾力に抗う方向に移動させる板体移動部とを有し、第2把持機構は、先部が複数の一対の板体それぞれの間に挿入される、互いに対向する一対の狭持板と、一対の狭持板を構成する狭持板が互いに接離するように狭持板を移動させる狭持板駆動部とを有する。
【発明の効果】
【0012】
把持した複数の物体のうち少なくとも1つを個別に開放する把持装置を提供することができ、例えばコネクタを搬送するシステムにおいて、搬送中に把持しているコネクタのうちから不良コネクタまたは良コネクタを部分廃却でき、コネクタの廃却量あるいは廃却品の再選別作業を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態に係る把持装置の一例を示す斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る本体部、リジッド爪の一例を示す斜視図である。
【図3】本実施の形態に係るコネクタ、位置決めブロックの一例を示す斜視図である。
【図4】本実施の形態に係るバネ爪、バネ、爪シャフトの一例を示す斜視図である。
【図5】本実施の形態に係るカムブロック、ブロック駆動部、ブロック駆動シャフトの一例を示す斜視図である。
【図6】本実施の形態に係る駆動機構の一例を示す模式図である。
【図7】本実施の形態に係る把持装置の、コネクタを把持するときの動作の一例を説明する図である。
【図8】本実施の形態に係る把持装置の、把持されたコネクタの一部を開放するときの動作の一例を説明する図である。
【図9】本実施の形態に係る把持装置の、カムブロックの位置によるコネクタの開放状態の一例を説明する図である。
【図10】実施例に係る搬送システムの一例を示すブロック図である。
【図11】実施例に係る搬送システムの動作の一例を説明する図である(実施例1)。
【図12】実施例に係る搬送システムの動作の一例を説明する図である(実施例2)。
【図13】従来の搬送システムの動作を説明する図である。
【図14】従来の把持装置において、複数の爪を有する把持装置を使用した場合の問題点を説明する図である。
【図15】従来の把持装置において、吸着方式ハンドを使用した場合の問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
まず、本実施の形態に係る把持装置の一例を図1の外観斜視図に示す。また、本実施の形態に係る把持装置を構成する各部位を図2から図5に示す。
【0016】
把持装置1は、本体部11、リジッド爪12で構成される機構と、ブロック駆動部51、ブロック駆動シャフト43、カムブロック41、および複数のバネ34、爪シャフト32、バネ爪31で構成される機構とを有する。また把持装置1は、位置決めブロック21を有する。把持装置1はこれら各機構を用いて複数のコネクタ101を1つまたは複数ずつ開放し、また複数のコネクタ101それぞれが、横軸、縦軸にズレが生じないように把持する。以下、横軸をX軸、縦軸をY軸、垂直軸をZ軸と称す。
【0017】
まず、本体部11、リジッド爪12の外観を図2に示す。本体部11は、把持装置1を構成する各部位の支持の基となる部位である。本体部11は、リジッド爪12を支持し、本体部11の内部にリジッド爪12をY軸方向に接離させる駆動部を有する。この駆動部については後述する。
【0018】
リジッド爪12は、指状の先部13をそれぞれ有する2枚の板であり、互いに対向して成す構成となっている。リジッド爪12がY軸方向に互いに近接し、先部13がコネクタ101それぞれの一部を挟むことで、摩擦力をもって複数のコネクタ101を一括で把持する。またリジッド爪12が互いにY軸方向に離反するように移動することで、コネクタ101は一括で開放される。尚、リジッド爪12は硬板であり、またリジット爪12の互いに対向している面は、それぞれが同一平面であるため、把持した際にコネクタ101のY軸方向のズレを防止する。
【0019】
次に、位置決めブロック21の外観を図3に示す。位置決めブロック21は、その上部がカムブロック41と固着することでカムブロック41から支持されている部位である。位置決めブロック21の下部の形状は、コネクタ101の形状と嵌合できる形状となっている。本実施の形態では、位置決めブロック21の下部の形状とコネクタ101の内側面の形状とが嵌合することで、コネクタ101のX軸方向のズレを防止する。尚、位置決めブロック21は、図1に示すようにリジッド爪12、バネ爪31の対向面内側に配置される。尚、コネクタ101はY軸方向に側壁を持たない形状であるが、Y軸方向に側壁を有するコネクタである場合、位置決めブロック21の下部の形状をそのコネクタの形状と合致させることで、コネクタのY軸方向のズレも防止することができる。
【0020】
バネ34、爪シャフト32、バネ爪31について、図4を参照しつつ説明する。バネ爪31は、互いに対向した2枚の硬板で構成され、その対面側に突起物であるピン33が設けられている。またバネ爪31は、爪シャフト32によってその対面間隔が一定(コネクタ101を把持できる程度)となるように支持されている。バネ34は、爪シャフト32の先端を内包した螺旋状バネであり、バネ爪31に対し、バネ爪31が互いに対向している方向に弾力を加える。爪シャフト32は、本体部11によって支持されることでその位置が固定されている部位であり、バネ爪31を支持するとともに、バネ爪31の位置をX軸方向、Z軸方向に固定させる。
【0021】
図4で示すように、互いに対向したバネ爪31と、バネ爪31に対しその対向方向に弾力を加えるバネ34と、爪シャフト32とのセットで1つのコネクタ101を狭持する機構となり、コネクタ101の数に応じて用意される(本実施の形態では3つ)。バネ爪31は、それぞれが一方向(X軸方向)に複数並設される。また、図1で示すように、バネ爪31がリジッド爪12の先部13の間に配置され、バネ爪31の内側の対向面とリジッド爪12の内側の対向面とが、それぞれ同一面となるように配置される。また、バネ爪31のピン33それぞれがZ軸方向に異ならないように(すなわち、X軸方向と平行の並びとなるように)配置される。
【0022】
図5にブロック駆動部51、ブロック駆動シャフト43、カムブロック41の外観を示す。ブロック駆動部51は、カムブロック41および位置決めブロック21をZ軸方向に移動させる駆動部である(詳細は後述する)。ブロック駆動シャフト43は、ブロック駆動部51、カムブロック41を支持するとともに、ブロック駆動部51によって発生する動力をカムブロック41および位置決めブロック21まで伝達する。ブロック駆動シャフト43自体は、本体部11により支持されている。
【0023】
カムブロック41は、その上方がブロック駆動シャフト43と接合しているブロック体であり、その両側面に複数の突起42B、42C、42Dを有する。突起42B、42C、42DのX軸方向の位置は、バネ爪31のピン33と接する位置となり、またそれぞれの位置がZ軸方向で異なるように配置される。またカムブロック41の下部は、その上部よりも突起42B〜42Dの高さ分横幅が広くなっている(上部のY軸方向幅よりも下部のY軸方向幅の方が広い)。以下の説明では、この横幅の差分部位を突起42Aと称する。尚カムブロック41は、図1に示すようにリジッド爪12、バネ爪31の対向面内側に配置される。
【0024】
次に、図6を参照しつつ、リジッド爪12、カムブロック41(および位置決めブロック21)を移動させる駆動部について説明する。図6は、図1で示した把持装置1をX軸方向から視認したときの模式図(一部透視)である。また、以下、コネクタ101を把持するときの動作を必要に応じて閉動作と称し、把持している状態を閉状態と称す。またコネクタ101の把持を開放するときの動作を必要に応じて開動作と称し、開放している状態を開状態と称す。
【0025】
図6(A)は本体部11の内部を図示したものである。本体部11は、駆動源であるモータ15と、モータ15の回転駆動をリジッド爪12に伝達し、またリジッド爪12の開動作、閉動作に変換するラックピニオン機構16とを有する。モータ15の回転方向に応じて、リジッド爪12は互いに近接することで開状態となり、互いに離反することで閉状態となる。
【0026】
図6(B)は、ブロック駆動部51の内部を図示したものである。ブロック駆動部51は、駆動源であるモータ52と、モータ52の回転駆動をブロック駆動シャフト53の上下運動(Z軸方向)に変換するボールネジ機構54を有する。モータ52の回転方向に応じてブロック駆動シャフト53が上下に移動し、カムブロック41および位置決めブロック21も上下に移動する。
【0027】
モータ15、モータ52の回転量は、本実施の形態ではCPU、メモリを有するコンピュータによってそれぞれ制御されるものとする。すなわち、コンピュータから所定の制御信号を受けた場合、モータ15、モータ52は、制御信号に応じた回転量で駆動する。尚、このようなモータ15、モータ52を制御する制御部の態様はコンピュータに限られず、デジタル回路を用いた実装であってもよい。
【0028】
次に、コネクタ101を把持するときの動作について、図7を参照しつつ説明する。図7(A)は、コネクタ101を把持するときの把持装置1の配置を示す図である。また図7(B)は、図7(A)で示した把持装置1をX軸方向から視認したときの図であり、把持装置1がコネクタ101を把持するときの各状態を示す図である。
【0029】
まず、コネクタ101がステージ201に設置される。その後、把持装置1がコネクタ101の把持位置まで搬送され、Z軸方向に下降される。このときの把持装置1の開閉状態は開状態である。
【0030】
図7(B)の左図に、このときの状態を示す。リジッド爪12は、本体部11からの動力により外側に開く方向に移動する。また、突起42Aとピン33とが当接するようにカムブロック41が移動することで、突起42Aがピン33を外方向に押し出し、バネ爪31が外方向に開く状態になる。突起42Aは、全てのピン33と当接するため、全てのバネ爪31が外方向に開く。よって、リジッド爪12、および全てのバネ爪31が外側に開き、コネクタ101とは接しない状態になる。尚、このときに位置決めブロック21はコネクタ101のそれぞれと嵌合し、各コネクタ101のX軸方向の位置決めが行われる。
【0031】
次に把持装置1は、リジッド爪12を内側方向に移動させてコネクタ101のY軸方向の位置決めを行う。このときの状態を図7(B)の中央図に示す。リジッド爪12は、本体部11から動力を得ることで内側に閉じる方向に移動し、全てのコネクタ101を把持するとともに、コネクタ101のY軸方向の位置決めを行う。
【0032】
その後把持装置1は、カムブロック41を上方に移動させることでバネ爪31を内側に移動させ、全てのコネクタ101を把持する。このときの状態を図7(B)の右図に示す。カムブロック41は、ブロック駆動部51からの動力をブロック駆動シャフト43経由で得ることで、上方方向に移動する。カムブロック41の上方移動により突起42Aと全てのピン33との接合が解かれ、バネ34の復元力により全てのバネ爪31が内側方向に移動する。これにより、全てのコネクタ101がバネ爪31によっても把持される。
【0033】
次に、把持装置1によるコネクタ101の個別開放の動作について、図8を参照しつつ説明する。図8(A)は、個別開放の動作の全体を示す図であり、図8(B)は、図8(A)の把持装置1をX軸方向から視認したときの図である。また図8(B)は、把持装置1がコネクタ101を個別開放するときの各状態をそれぞれ示している。尚、本例では、把持装置1が把持しているコネクタのうち中央のコネクタを開放するものとして説明するが、他のコネクタを開放する場合も同様の手順となる。
【0034】
まず、把持装置1は、すべてのコネクタを把持している状態、すなわち閉状態であるとする(図8(B)左から1番目の図参照)。その後、把持装置1が例えばコネクタの不良品回収エリア等、所定の開放位置に到達した場合、ブロック駆動部51からの動力に基づきカムブロック41が下方向に移動する(図8(B)左から2番目の図参照)。このとき、カムブロック41の構造上、まず突起42Aがピン33全てと当接し、全てのピン33を外方向に押し出すことで全てのバネ爪31が外方向に開く。尚、この状態では全てのコネクタ101はリジッド爪12によって把持されているため、下方に落下することはない。
【0035】
カムブロック41の突起は、図5や図8(A)で示すようにZ軸方向に異なる階段状になっているため、カムブロック41が下方向に移動すると、ピン33と当接するカムブロック41の突起は42Aから42Bになる。その後さらにカムブロック41が下方向に移動すると、突起42Bとの当接が解かれ突起42Cと当接する(図8(B)左から3番目の図参照)。この段階でカムブロック41の下方移動が停止する。この状態で、バネ爪31によって開放されているコネクタは中央のコネクタのみとなり、その他のコネクタはバネ爪31によって把持されたままの状態となる。
【0036】
その後、リジッド爪12によるコネクタの一括把持が開放されることで、所望のコネクタ(本例では中央のコネクタ)のみが落下する(図8(B)左から4番目の図参照)。
【0037】
図9を参照しつつ、カムブロック41がいずれの位置にあるときにいずれのバネ爪31が開状態(または閉状態)になるかについて説明する。図9で示した各図は、把持装置1をY軸方向から視認した場合の図である。
【0038】
図9(A)は、カムブロック41がピン33に対し上方にある状態を示している。この状態では、全てのピン33はカムブロック41のいずれの突起とも当接していないため、全てのバネ爪31が閉状態となる。
【0039】
図9(B)は、カムブロック41の突起42Aがピン33と当接している状態を示している。この状態では、突起42Aと全てのピン33とが当接しているため、全てのバネ爪31が開状態となる。また図9(C)は、カムブロック41の突起42Bがピン33と当接している状態を示している。この状態では、突起42Bのみがピン33と当接しているため、図9における右側のバネ爪31のみが開状態となる。
【0040】
図9(D)は、カムブロック41の突起42Cがピン33と当接している状態を示しており、この状態では、突起42Cのみがピン33と当接しているため、中央のバネ爪31のみが開状態となる。図9(E)も同様に、カムブロック41の突起42Dのみがピン33と当接している状態であるため、図9における左側のバネ爪31のみが開状態となる。
【0041】
このように、カムブロック41とバネ爪31のピン33との相対位置に応じて、カムブロック41がいずれのピン33と当接するかが変わるため、バネ爪31の個別開放が可能となる。また、バネ爪31が所望でないコネクタを開放している状態のときには、全てのコネクタがリジッド爪12によって一括把持されているため、コネクタが落下することは無い。一方、所望のコネクタのみがバネ爪31で開放されているときにリジッド爪12が一括開放することで、所望のコネクタのみを落下させることができる。このような把持、開放の制御は、本実施の形態では上述したようにコンピュータの制御に依拠する。
【0042】
バネ爪31、爪シャフト32、ピン33、バネ34、カムブロック41、ブロック駆動シャフト43、ブロック駆動部51によって構成される機構を第1把持機構と称し、リジッド爪12、本体部11によって構成される機構を第2把持機構と称した場合、このコンピュータは、第1把持機構のブロック駆動部51の駆動量(具体的にはモータ52の回転量)を制御するとともに、第1把持機構が複数のコネクタのうち所望のコネクタ以外のコネクタを開放している場合、第2把持機構の一対のリジッド爪12が互いの対向方向に移動するように本体部11の駆動を制御し、第1把持機構が複数のコネクタのうち所望のコネクタのみを開放している場合、第2把持機構の一対のリジッド爪12が互いの離反する方向に移動するように本体部11の駆動量(具体的にはモータ15の回転量)を制御する。
【0043】
また、バネ爪31のピン33は、それぞれがZ軸方向で異ならないようにX軸方向横並びに配置されており、またカムブロック41の突起42B、42C、42Dは、それぞれがZ軸方向で異なるように、またX軸方向においてはピン33と対応した配置であるものとして説明したが、態様を限定するものではない。それぞれがZ軸方向で異ならないように突起42B、42C、42Dを配置させ、それぞれがZ軸方向で異なるようにバネ爪31のピン33を配置させてもよい。すなわちカムブロック41は、その移動位置に対応してバネ爪31のピン33のうち少なくとも一対のピン33に当接して、一対のバネ爪31に加えられた弾力に抗してバネ爪31が把持している物体を開放させるものであればよい。
【0044】
また、第1把持機構がコネクタを個別に開放する場合、コネクタは1つずつ開放されるものとして説明したが、カムブロック41の突起42B、42C、42Dの配置やピン33の配置によっては複数開放することもできる。例えば上記において、突起42B、42CをZ軸方向に異ならないように配置することで、突起42Bがピン33と当接するときには突起42Cもピン33と当接することとなり、2つのコネクタが開放される。
【0045】
また、上記では把持されるコネクタ数が3つであるとして説明したが、態様を限定するものではない。コネクタ数に応じてバネ爪31、リジッド爪12の先部13を設けることで、いくつでも対応可能である。
【0046】
上述の説明では、一対のリジッド爪12の両方が共に動くことで開動作、閉動作となるものとしたが、一方の爪を固定させ、他方の爪が動く実装であっても、開動作、閉動作を実現できる。バネ爪31に関しても同様である。
【0047】
[実施例1]
次に、把持装置1を使用した実施例を説明する。図10は、コネクタの良否判定を行い、良判定となったコネクタのみを基板に設置する搬送システムのブロック図である。搬送システム300は、把持装置1、把持装置搬送部301、開閉制御部302、撮像部303、コネクタ良否判定部304、コネクタ配置部305を有する。
【0048】
把持装置搬送部301は、把持装置1を支持し所定の位置まで搬送するユニットである。本実施例での把持装置搬送部301は、基板に設置される前のコネクタが置かれたステージ(ステージ201)、撮像部303の撮像位置、不良コネクタを回収するステージ、コネクタを配置する基板の位置の順序となるように把持装置1を搬送する。
【0049】
把持装置1は、ステージ201に配置されたコネクタを把持し、把持装置搬送部301によって搬送される所定位置で、開閉制御部302から送信される制御情報に基づき、把持したコネクタのうちの一部のコネクタの開放、または把持したコネクタの全てを開放する。
【0050】
開閉制御部302は、コネクタ良否判定部304からコネクタの良否判定結果を取得し、この判定結果に基づき把持装置1のバネ爪31、リジッド爪12の開動作、閉動作を制御するコンピュータである。すなわち開閉制御部302は、ブロック駆動部51の駆動量(モータ52の回転量)を制御することで、バネ爪31それぞれの開動作、閉動作を制御し、本体部11の駆動量(モータ15の回転量)を制御することで、リジッド爪12の開動作、閉動作を制御する。
【0051】
撮像部303は、把持装置搬送部301によって搬送された把持装置1が把持しているコネクタを下方から撮像するCCD(Charge Coupled Device)カメラであり、コネクタ良否判定部304は、撮像画像に対し画像処理を施し、いずれのコネクタが良であるか、また不良であるかを、コネクタごとに判定するコンピュータである。
【0052】
コネクタ配置部305は、コネクタ良否判定部304の良否判定結果を取得し、ステージ201に、不良判定となったコネクタが配置かれていた場所に再度新しいコネクタを配置する、少なくともコンピュータを有するユニットである。またコネクタ配置部305は、全てのコネクタが良判定である場合、コネクタが置かれていた全ての場所に、次回用として新しいコネクタを配置する。
【0053】
尚、把持装置搬送部301は、所定の搬送位置に把持装置1を搬送したときに、いずれの位置に搬送したかを示す到達情報を開閉制御部302に送信する。到達情報を受信した開閉制御部302は、その到達位置に応じた開閉制御を実施し、開閉制御が完了した場合に制御完了情報を把持装置搬送部301に送信する。制御完了情報を受信した把持装置搬送部301は、次の搬送位置まで把持装置1を搬送する。本実施例では、この動作が繰り返し行われるものとする。尚、把持装置搬送部301の搬送時間や開閉制御部302の制御に要する時間を事前に計測し、これらをタイミングチャートとして搬送システム300に設定し、このタイミングチャートに基づき把持装置搬送部301、開閉制御部302が動作してもよい。
【0054】
図11を参照しつつ、搬送システム300の動作を説明する。まず、コネクタ配置部305は、初回、基板401に配置されるコネクタ101をステージ201に置き、把持装置1は、開閉制御部302の制御に基づきステージ201に置かれた全てのコネクタ101を把持する(図11(A)、(B)参照)。このときの開閉制御部302による開閉制御およびバネ爪31、リジッド爪12の状態は図7で説明した通りである。
【0055】
把持装置搬送部301は、コネクタ101を把持している把持装置1を撮像部303まで搬送する。撮像部303は、コネクタ101を下方部から撮像する(図11(C)参照)。コネクタ良否判定部304は、エッジ検出処理等の画像処理を撮像画像に対し行い、主にコネクタピンの欠落や折れ曲がり等の判定をコネクタ101ごと行う。コネクタ良否判定部304は、全てのコネクタ101が良判定である場合はその結果を、また不良判定である場合は何番目のコネクタ101が不良であるかの情報を開閉制御部302、コネクタ配置部305に送信する。本実施例では、コネクタ良否判定部304はコネクタ101が全て良判定である場合は識別番号0を送信する。また不良判定である場合、コネクタ良否判定部304は、各コネクタの把持位置ごとに事前に割り当てられた識別番号1〜3のうちから、不良コネクタに対応する識別番号(不良コネクタが複数の場合は該当する不良コネクタ全ての識別番号)を送信する。
【0056】
ここで、全てのコネクタ101が良判定の結果である場合について説明する。把持装置搬送部301は、次に、不良コネクタを回収するステージに把持装置1を搬送する。ここで、開閉制御部302は、全て良品のコネクタである場合は把持装置1に対し閉状態のままとなるように制御する。その後把持装置搬送部301は、全てのコネクタ101を把持したままの把持装置1を基板401の配置位置まで搬送する(図11(D)参照)。開閉制御部302は、全てのコネクタ101が開放されるように把持装置1を制御する。図8(B)を用いて説明すると、開閉制御部302は、図8(B)左から1番目の閉状態から2番目の状態(突起42Aがピン33と当接する状態、すなわち全てのバネ爪31が開状態)となるように制御し、その後、リジッド爪12が開状態になるように制御する。このようにすることで、全てのコネクタ101を同時に一括で開放することができる。把持装置搬送部301は、基板401へのコネクタ101の配置が完了した後、次回用のコネクタ101を取得すべくステージ201まで把持装置1を搬送する。
【0057】
一方、コネクタ配置部305は、全てのコネクタ101が良判定であるとする結果をコネクタ良否判定部304から取得することで、次回用としてステージ201上に全てのコネクタ101を配置する。
【0058】
コネクタ101が全て良結果である場合は、上述の動作が繰り返し行われる。一方、コネクタ良否判定部304によって不良コネクタがあると判定された場合、把持装置1が不良コネクタを回収するステージに搬送された際に、開閉制御部302は、不良コネクタが開放されるように把持装置1の開閉動作を制御する(図11(E)参照)。すなわち、開閉制御部302は、把持装置1が不良コネクタを把持しているバネ爪31に対して、図8(B)を用いて説明した動作を行い、その後図7(B)を用いて説明した動作を行うように、本体部11、ブロック駆動部51の駆動量をそれぞれ制御する。尚、図8(B)を用いて説明した動作と図7(B)を用いて説明した動作を繰り返し行うことで、不良コネクタが複数ある場合も対応できる。
【0059】
その後、良判定を受けたコネクタのみが基板に搬送され、配置される(図11(F)参照)。このときの開閉制御部302は、把持装置1が全てのコネクタ101を同時に開放する動作(上述の図11(D)と同様の動作)となるように制御する。
【0060】
一方、コネクタ配置部305は、不良コネクタの識別番号を取得し、その識別番号に対応する位置のみにコネクタを再配置する(図11(G)参照)。把持装置1は、把持装置搬送部301によってステージ201まで搬送された後、再配置されたコネクタを把持し(図11(G)参照)、再度撮像部303、コネクタ良否判定部304による良否判定を受け、良結果である場合に前回コネクタが配置されなかった基板401上の箇所に当該コネクタを配置する(図11(I)参照)。
【0061】
[実施例2]
上述の実施例とは別の例を、図12を参照しつつ説明する。本実施例は、不良コネクタと良品コネクタを分別する場合の例である。本実施例の搬送システムの構成は図10と同様であるため説明を割愛する。また、本実施例のコネクタ配置部305は、コネクタ良否判定部304の良否判定結果を取得せず、常に、次回用として全てのコネクタを再配置する。
【0062】
本実施例の分別方法について説明する。把持装置1によりステージ201に置かれたコネクタ101が全て把持される(図12(A)、(B)参照)。把持されたコネクタ101は撮像部303によって撮像され、撮像されたコネクタ101は、コネクタ良否判定部304の画像処理によって良否判定が行われる(図12(C)参照)。
【0063】
その後把持装置1は、不良コネクタ回収ステージ601に搬送され、不良と判定されたコネクタを把持している場合は、開閉制御部302の制御に基づき該当コネクタを開放する(図12(E)参照)。その後、残った良品コネクタは良品ステージ501に搬送され、開閉制御部302の制御に基づき開放される(図12(F)参照)。一方、把持されているコネクタ全てが良品である場合、開閉制御部302は、不良コネクタ回収ステージ601では把持装置1が開閉動作を行わないように制御し、良品ステージ501に搬送されたときに全てのコネクタが開放されるように制御する(図12(D)参照)。
【0064】
上述の各実施例では、把持装置1は不良コネクタを不良コネクタ回収ステージに開放した後に良品コネクタを良品ステージ(もしくは基板)に開放するものとして説明したが、態様を限定するものではなく、良品ステージ(もしくは基板)、不良コネクタ回収ステージの順で搬送されてもよい。この場合、把持装置1は良品コネクタを開放した後に不良コネクタを開放することとなるが、良品コネクタを開放する際には、開閉制御部302は、把持装置1が良品コネクタを把持しているバネ爪31に対して図8(B)を用いて説明した動作を行った後に、図7(B)を用いて説明した動作を行うように、本体部11、ブロック駆動部51の駆動量をそれぞれ制御する。
【0065】
上述の各実施例では、把持装置1と開閉制御部302とでそれぞれ別ユニットであるものとして説明したが、把持装置1と開閉制御部302とで1つの把持装置として提供されてもよい。この場合、開閉制御部302はパーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータではなく、エンベデッドシステム(Embedded system)として実装されてもよい。
【0066】
本実施の形態では、把持される物体をコネクタとして説明したが、態様を限定するものではなく、いずれの物体であってもよい。
【0067】
尚、板体は、本実施の形態のバネ爪31に対応し、弾性体は、爪シャフト32、バネ34に対応する。またブロック体は、本実施の形態のカムブロック41に対応し、ブロック体駆動部は、ブロック駆動部51、ブロック駆動シャフト43に対応する。また、板体移動部は、本実施の形態のカムブロック41、ブロック駆動部51、ブロック駆動シャフト43に対応する。
【0068】
狭持板は、本実施の形態のリジッド爪12に対応し、狭持板駆動部は、本体部11に対応する。また、嵌合部は、本実施の形態の位置決めブロック21に対応する。
【0069】
制御部は、本実施の形態の開閉制御部302に対応し、判定部は、本実施の形態の撮像部303、コネクタ良否判定部304に対応する。
【0070】
本実施の形態を実施することで、以下の効果を奏する。
1.基板への挿入不良率が低い、一括搬送が可能となる。
2.搬送中に把持しているコネクタのうちから不良コネクタを部分廃却できる機能を付与したことにより、コネクタの廃却量あるいは廃却品の再選別作業を低減できる。
3.基板への挿入作業ではなく、コネクタの選別作業として使用した場合、不良品の個別選別が可能であるため、従来の「各個」若しくは「一括把持」搬送方式に対して、短時間で作業を完了させることができる。
【0071】
以上、本実施の形態によれば、以下の付記で示す技術的思想が開示されている。
(付記1) 複数の物体をそれぞれ個別に把持し、前記複数の物体をそれぞれ個別に開放する第1把持機構と、
前記複数の物体を一括で把持し、前記複数の物体を一括で開放する第2把持機構とを有し、
前記第1把持機構は、
互いに対向する一対の板体が一方向に複数並設される複数の一対の板体と、
前記一対の板体それぞれに、該一対の板体の対向方向に弾力を加える弾性体と、
前記複数の一対の板体のうちの少なくとも一つの一対の板体を構成する板体を、前記弾性体の弾力に抗う方向に移動させる板体移動部とを有し、
前記第2把持機構は、
先部が前記複数の一対の板体それぞれの間に挿入される、互いに対向する一対の狭持板と、
前記一対の狭持板を構成する狭持板が互いに接離するように前記狭持板を移動させる狭持板駆動部とを有する
把持装置。
(付記2) 付記1に記載の把持装置において、
前記一対の板体それぞれは、その対向する面に突起を有し、
前記板体移動部は、
前記複数の一対の板体の対向する面の間に設けられ、前記一方向と直交する方向に移動され、移動位置に対応して前記一対の板体それぞれの対向する面に設けられた突起のうちの少なくとも一つの突起に当接して、該一対の板体に加えられた弾力に抗して該一対の板体が把持している物体を開放させるブロック体と、
前記ブロック体を移動させるブロック体駆動部と、を有する
把持装置。
(付記3) 付記1に記載の把持装置において、さらに、
前記第1把持機構の板体移動部がいずれの板体を移動させるかを制御することで、前記第1把持機構による前記複数の物体の個別の把持、または個別の開放を制御するとともに、前記第1把持機構が前記複数の物体のうち所望の物体以外の物体を少なくとも開放している場合、前記第2把持機構の一対の狭持板が互いに近接した位置となるように前記第2把持機構の狭持板駆動部の駆動を制御し、前記第1把持機構が前記複数の物体のうち所望の物体のみを開放している場合、前記第2把持機構の一対の狭持板が互いの離反する方向に移動するように前記第2把持機構の狭持板駆動部の駆動量を制御する制御部と、
を有する把持装置。
(付記4) 付記1に記載の把持装置において、
前記一対の狭持板の互いに対向している面は、それぞれが同一平面であることを特徴とする把持装置。
(付記5) 付記2に記載の把持装置において、さらに、
前記ブロック体と固着し、前記ブロック体が前記複数の物体と近接することで、前記複数の物体それぞれの形状と嵌合する嵌合部を有する把持装置。
(付記6) 付記2に記載の把持装置において、
前記板体ごとに設けられるそれぞれの突起は、その並びが前記一方向と平行になるように配置され、
前記ブロック体は、前記一対の板体と対向する面それぞれに、前記板体ごとに設けられるそれぞれの突起にそれぞれ当接する複数の突起であって前記ブロック体の移動方向で異なる位置となるように配置される複数の突起を有する
ことを特徴とする把持装置。
(付記7) 互いに対向する一対の板体が一方向に複数並設される複数の一対の板体と、前記一対の板体それぞれに、該一対の板体の対向方向に弾力を加える弾性体と、前記複数の一対の板体のうちの少なくとも一つの一対の板体を構成する板体を、前記弾性体の弾力に抗う方向に移動させる板体移動部とを有し、複数の物体をそれぞれ個別に把持し、前記複数の物体をそれぞれ個別に開放する第1把持機構と、
先部が前記複数の一対の板体それぞれの間に挿入される、互いに対向する一対の狭持板と、前記一対の狭持板を構成する狭持板が互いに接離するように前記狭持板を移動させる狭持板駆動部とを有し、前記複数の物体を一括で把持し、前記複数の物体を一括で開放する第2把持機構と、
前記第1把持機構と前記第2把持機構とが把持している前記複数の物体それぞれの良否を判定する判定部と、
前記第1把持機構の板体移動部がいずれの板体を移動させるかを制御することで、前記第1把持機構による前記複数の物体の個別の把持、または個別の開放を制御するとともに、前記第1把持機構が前記複数の物体のうち前記判定部よって良または不良のいずれかの結果である第1結果と判定された物体を少なくとも開放している場合、前記第2把持機構の一対の狭持板が互いに近接した位置となるように前記第2把持機構の狭持板駆動部の駆動を制御し、前記第1把持機構が前記複数の物体のうち前記判定部によって前記第1結果とは異なる結果である第2結果と判定された物体のみを開放している場合、前記第2把持機構の一対の狭持板が互いの離反する方向に移動するように前記第2把持機構の狭持板駆動部の駆動量を制御する制御部と、
を有する搬送システム。
(付記8) 把持装置の把持制御方法であって、
互いに対向する一対の板体が一方向に複数並設される複数の一対の板体と、前記一対の板体それぞれに、該一対の板体の対向方向に弾力を加える弾性体と、前記複数の一対の板体のうちの少なくとも一つの一対の板体を構成する板体を、前記弾性体の弾力に抗う方向に移動させる板体移動部とを有し、複数の物体をそれぞれ個別に把持し、前記複数の物体をそれぞれ個別に開放する第1把持機構と、
先部が前記複数の一対の板体それぞれの間に挿入される、互いに対向する一対の狭持板と、前記一対の狭持板を構成する狭持板が互いに接離するように前記狭持板を移動させる狭持板駆動部とを有し、前記複数の物体を一括で把持し、前記複数の物体を一括で開放する第2把持機構と、
を有する把持装置が、
前記第1把持機構の板体移動部がいずれの板体を移動させるかを制御することで、前記第1把持機構による前記複数の物体の個別の把持、または個別の開放を制御するとともに、
前記第1把持機構が前記複数の物体のうち所望の物体以外の物体を少なくとも開放している場合、前記第2把持機構の一対の狭持板が互いに近接した位置となるように前記第2把持機構の狭持板駆動部の駆動を制御し、
前記第1把持機構が前記複数の物体のうち所望の物体のみを開放している場合、前記第2把持機構の一対の狭持板が互いの離反する方向に移動するように前記第2把持機構の狭持板駆動部の駆動量を制御する
把持制御方法。
【符号の説明】
【0072】
1 把持装置、11 本体部、12 リジッド爪、13 先部、21 位置決めブロック、31 バネ爪、32 爪シャフト、33 ピン、34 バネ、41 カムブロック、43 ブロック駆動シャフト、42A、42B、42C、42D 突起、51 ブロック駆動部、101 コネクタ、300 搬送システム、301 把持装置搬送部、302 開閉制御部、303 撮像部、304 コネクタ良否判定部、305 コネクタ配置部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物体をそれぞれ個別に把持し、前記複数の物体をそれぞれ個別に開放する第1把持機構と、
前記複数の物体を一括で把持し、前記複数の物体を一括で開放する第2把持機構とを有し、
前記第1把持機構は、
互いに対向する一対の板体が一方向に複数並設される複数の一対の板体と、
前記一対の板体それぞれに、該一対の板体の対向方向に弾力を加える弾性体と、
前記複数の一対の板体のうちの少なくとも一つの一対の板体を構成する板体を、前記弾性体の弾力に抗う方向に移動させる板体移動部とを有し、
前記第2把持機構は、
先部が前記複数の一対の板体それぞれの間に挿入される、互いに対向する一対の狭持板と、
前記一対の狭持板を構成する狭持板が互いに接離するように前記狭持板を移動させる狭持板駆動部とを有する
把持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の把持装置において、
前記一対の板体それぞれは、その対向する面に突起を有し、
前記板体移動部は、
前記複数の一対の板体の対向する面の間に設けられ、前記一方向と直交する方向に移動され、移動位置に対応して前記一対の板体それぞれの対向する面に設けられた突起のうちの少なくとも一つの突起に当接して、該一対の板体に加えられた弾力に抗して該一対の板体が把持している物体を開放させるブロック体と、
前記ブロック体を移動させるブロック体駆動部と、を有する
把持装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の把持装置において、さらに、
前記第1把持機構の板体移動部がいずれの板体を移動させるかを制御することで、前記第1把持機構による前記複数の物体の個別の把持、または個別の開放を制御するとともに、前記第1把持機構が前記複数の物体のうち所望の物体以外の物体を少なくとも開放している場合、前記第2把持機構の一対の狭持板が互いに近接した位置となるように前記第2把持機構の狭持板駆動部の駆動を制御し、前記第1把持機構が前記複数の物体のうち所望の物体のみを開放している場合、前記第2把持機構の一対の狭持板が互いの離反する方向に移動するように前記第2把持機構の狭持板駆動部の駆動量を制御する制御部と、
を有する把持装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の把持装置において、
前記一対の狭持板の互いに対向している面は、それぞれが同一平面であることを特徴とする把持装置。
【請求項5】
請求項2に記載の把持装置において、さらに、
前記ブロック体と固着し、前記ブロック体が前記複数の物体と近接することで、前記複数の物体それぞれの形状と嵌合する嵌合部を有する把持装置。
【請求項6】
互いに対向する一対の板体が一方向に複数並設される複数の一対の板体と、前記一対の板体それぞれに、該一対の板体の対向方向に弾力を加える弾性体と、前記複数の一対の板体のうちの少なくとも一つの一対の板体を構成する板体を、前記弾性体の弾力に抗う方向に移動させる板体移動部とを有し、複数の物体をそれぞれ個別に把持し、前記複数の物体をそれぞれ個別に開放する第1把持機構と、
先部が前記複数の一対の板体それぞれの間に挿入される、互いに対向する一対の狭持板と、前記一対の狭持板を構成する狭持板が互いに接離するように前記狭持板を移動させる狭持板駆動部とを有し、前記複数の物体を一括で把持し、前記複数の物体を一括で開放する第2把持機構と、
前記第1把持機構と前記第2把持機構とが把持している前記複数の物体それぞれの良否を判定する判定部と、
前記第1把持機構の板体移動部がいずれの板体を移動させるかを制御することで、前記第1把持機構による前記複数の物体の個別の把持、または個別の開放を制御するとともに、前記第1把持機構が前記複数の物体のうち前記判定部よって良または不良のいずれかの結果である第1結果と判定された物体を少なくとも開放している場合、前記第2把持機構の一対の狭持板が互いに近接した位置となるように前記第2把持機構の狭持板駆動部の駆動を制御し、前記第1把持機構が前記複数の物体のうち前記判定部によって前記第1結果とは異なる結果である第2結果と判定された物体のみを開放している場合、前記第2把持機構の一対の狭持板が互いの離反する方向に移動するように前記第2把持機構の狭持板駆動部の駆動量を制御する制御部と、
を有する搬送システム。
【請求項7】
把持装置の把持制御方法であって、
互いに対向する一対の板体が一方向に複数並設される複数の一対の板体と、前記一対の板体それぞれに、該一対の板体の対向方向に弾力を加える弾性体と、前記複数の一対の板体のうちの少なくとも一つの一対の板体を構成する板体を、前記弾性体の弾力に抗う方向に移動させる板体移動部とを有し、複数の物体をそれぞれ個別に把持し、前記複数の物体をそれぞれ個別に開放する第1把持機構と、
先部が前記複数の一対の板体それぞれの間に挿入される、互いに対向する一対の狭持板と、前記一対の狭持板を構成する狭持板が互いに接離するように前記狭持板を移動させる狭持板駆動部とを有し、前記複数の物体を一括で把持し、前記複数の物体を一括で開放する第2把持機構と、
を有する把持装置が、
前記第1把持機構の板体移動部がいずれの板体を移動させるかを制御することで、前記第1把持機構による前記複数の物体の個別の把持、または個別の開放を制御するとともに、
前記第1把持機構が前記複数の物体のうち所望の物体以外の物体を少なくとも開放している場合、前記第2把持機構の一対の狭持板が互いに近接した位置となるように前記第2把持機構の狭持板駆動部の駆動を制御し、
前記第1把持機構が前記複数の物体のうち所望の物体のみを開放している場合、前記第2把持機構の一対の狭持板が互いの離反する方向に移動するように前記第2把持機構の狭持板駆動部の駆動量を制御する
把持制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−731(P2012−731A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138910(P2010−138910)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】