説明

排ガス処理装置、廃棄物処理装置、及び排ガス処理方法

【課題】本発明は、廃熱回収装置内の1200℃〜600℃の範囲で排ガス中のダストを除去し、再合成温度領域でのダストをなくすことでダイオキシン類の再合成を無くすると共に、熱回収効率、コンパクト化を図ることができる排ガス処理装置、廃棄物処理装置、及び排ガス処理方法を提供すること。
【解決手段】燃焼炉又はガス化炉又は熱分解炉から排出されるガスから熱を回収する廃熱回収装置を具備する排ガス処理装置において、廃熱回収装置内にガス中のダストを集塵除去する集塵部を設け、該集塵部のケーシングを廃熱回収部として構築した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却炉又はガス化炉又は熱分解炉から排出される排ガスである燃焼ガス、ガス化ガス、熱分解ガスから熱を回収し、排ガス中のダストを集塵除去し、有害ガス成分を除去して排ガスを処理する排ガス処理装置、排ガス処理装置を用いた廃棄物処理装置、及び排ガス処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
都市ごみや産業廃棄物等の廃棄物の燃焼処理、ガス化処理、熱分解処理を行うプラントは、焼却炉、ガス化炉、熱分解炉、ボイラ等の排熱回収装置、及び排ガス処理装置等で構成されている。通常焼却炉から排出された排ガスは排熱ボイラにて熱回収され、冷却された後、集塵装置や排ガス洗浄装置等を経て、ダスト除去、無害化され、煙突により大気中に排出される。従来、このような焼却処理プラントでは、焼却炉とボイラは一体構造となっているが、集塵装置等の排ガス処理装置は独立した装置として構成されている。また、集塵装置にて除去された飛灰は単独で溶融、脱塩素化、固形化等の処理工程を経て、特別廃棄物として系外に搬出される。
【0003】
図1は、従来のこの種の焼却処理プラントのフローを示す図である。図示するように、焼却炉101から排出された排ガスはボイラ102、過熱器103を経て熱回収され冷却される。その後、脱塩剤104を添加し、バグフィルタ105を通って排ガス中のダストが集塵除去され、更に触媒反応塔(SCR)106を経て有害ガスが除去され、煙突107から大気中に排出する。
【特許文献1】特開2001−116233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(1)廃棄物を燃焼、ガス化、熱分解処理する処理プラントでは、炉内にて発生して排出される排ガス中にダイオキシン類、塩化水素、硫黄酸化物等の酸性ガスが含まれている。通常、高温燃焼化で燃焼炉内で発生するダイオキシン類は酸化分解され極力少ない状況で排出されるが、その後段に設置しているボイラ等の排熱回収装置内でダイオキシン類の再合成温度領域である300℃〜600℃付近を排ガスが通過する際に、ダイオキシン類の再合成で増加する現象が見られる。再合成の要因としては、その温度領域、ダスト中の重金属、塩化水素の存在等が挙げられる。本発明は、600℃〜1200℃の範囲でダストを除去し、再合成温度領域でのダストをなくすことでダイオキシン類の再合成を抑制することができる排ガス処理装置、廃棄物処理装置、及び排ガス処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
(2)通常の処理工程では、飛灰中にダイオキシン類が多く含まれている。飛灰は特別管理廃棄物として、溶融、脱塩素、固形化等の処理を施すとともに、濃度規制が3ng/g−TEQ以下と定められている。本発明の他の目的は、ボイラ等の熱回収装置内部の高温領域で除塵することで、特別な処理が必要な飛灰を少なくし、ダイオキシン類総量の低減化と飛灰処理装置の削減により装置のコンパクト化を図ることができるガス処理装置、廃棄物処理装置、及び排ガス処理方法を提供することにある。
【0006】
(3)本発明の他の目的は、飛灰中のダイオキシン類の除去及び飛灰発生量の低減を行なうことができ、施設からのダイオキシン類の発生量を低減できるガス処理装置、廃棄物処理装置、及び排ガス処理方法を提供することにある。
【0007】
(4)ボイラ等の排熱回収装置は高効率化を観点に高温高圧化が進んでいる。しかし、排ガス温度、排ガスの性状、排ガス中のダストの状況から材質の腐蝕等の問題がある。本発明の他の目的は、高温側で除塵を行なうことで、後段の熱回収部(過熱器等)のスートブロワを無くすることによる管の減肉抑制、排ガス中のダスト低減することによる等の腐食抑制である。減肉抑制及び腐蝕抑制により過熱器部の材質の選定には優位となるとともに、ボイラ等の熱回収装置を高温高圧化させうるため更に熱の有効利用が可能なガス処理装置、廃棄物処理装置及び排ガス処理方法を提供することにある。
【0008】
(5)本発明の他の目的は、ボイラ等の熱回収装置に集塵機能を持たせ、従来の集塵装置の本体放熱量の低減及び省スペース化を図ることができるガス処理装置、廃棄物処理装置、及び排ガス処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、焼却炉又はガス化炉又は熱分解炉から排出される排ガスから熱を回収する廃熱回収装置を備えた排ガス処理装置において、前記廃熱回収装置内に前記排ガス中のダストを集塵除去する集塵部を設け、該集塵部のケーシングを廃熱回収部としたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の排ガス処理装置において、前記廃熱回収装置内に、前記集塵部と別に前記排ガス中の有害ガス成分を除去する有害ガス除去部を設け、前記集塵部と有害ガス除去部とを一体化させて構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の排ガス処理装置において、前記集塵部は、廃熱回収装置内の600℃〜1200℃の高温領域に配置された耐熱性を有するセラミックフィルタで構成されたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の排ガス処理装置において、前記セラミックフィルタには、ダイオキシン類の酸化分解機能を有する触媒成分を担持させたことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の排ガス処理装置において、前記廃熱回収装置の集塵部は、前記排ガス中のダストを集塵除去した後に熱回収を行なう機能を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、廃棄物を処理する焼却炉又はガス化炉又は熱分解炉と、前記焼却炉又はガス化炉又は熱分解炉から排出される排ガスを処理する排ガス処理装置を備えた廃棄物処理装置において、前記排ガス処理装置は、内部に排ガス中のダストを集塵除去する集塵部と、該排ガスより熱を回収する該集塵部のケーシングを有する廃熱回収装置を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の廃棄物処理装置において、前記焼却炉又はガス化炉又は熱分解炉から排出される排ガス中に脱塩剤を混入させる脱塩剤注入装置を更に備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の廃棄物処理装置において、前記排ガス処理装置の集塵部における除塵により得られたダストを、前記焼却炉又はガス化炉又は熱分解炉に供給する供給手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、焼却炉又はガス化炉又は熱分解炉から排出される排ガスから廃熱回収装置により熱を回収すると共に、排出される排ガス中のダスト及び有害成分を除去して排ガスを処理する排ガス処理方法において、前記廃熱回収装置内で排ガスより熱を回収すると共に、前記排ガス中に含まれるダストを集塵除去し、更に排ガス中の有害ガス成分を除去することを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の排ガス処理方法において、前記廃熱回収装置内に設けられ、且つ600℃〜1200℃の高温領域に配置された耐熱性を有するセラミックフィルタにより前記ダストを集塵除去することを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の排ガス処理方法において、前記セラミックフィルタに担持させた触媒成分により、ダイオキシン類の酸化分解を行うことを特徴とする。
【0020】
請求項12に記載の発明は、請求項9乃至11のいずれか1項に記載の排ガス処理方法において、前記焼却炉又はガス化炉又は熱分解炉から排出される排ガス中に脱塩剤を混入させて該排ガス中の酸性成分と該脱塩剤との反応生成物を得て、該反応生成物を前記廃熱回収装置内で前記ダストと共に除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、廃熱回収装置内に排ガス中のダストを集塵除去する集塵部を設け、該集塵部のケーシングを廃熱回収部としたので、従来排熱回収装置の外に別途必要であった集塵機を設けることがなく、装置のコンパク化が可能となる。また、廃熱回収装置内のダイオキシン類の再合成温度より高温領域に集塵部を設け、ガス中の飛灰を除去することにより、ダイオキシン類の低減及びその後のガス冷却プロセスでのダイオキシン類の再合成を抑制できる。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、廃熱回収装置内に有害ガス除去部を設け、該集塵部と有害ガス除去部を一体化させるので、装置の更なるコンパク化が可能となる。また、ダストや生成物の処理が容易となる。また、集塵部で除去したダストや生成物を燃焼炉又はガス化炉又は熱分解炉内に戻すので、ダスト中の飛灰の未燃分、ダイオキシン類は完全燃焼し、燃焼灰として排出するから、装置の飛灰発生を無くし、飛灰の単独処理装置を必要としない。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、集塵部は、廃熱回収装置内の600℃〜1200℃の高温領域に配置された耐熱性を有するセラミックフィルタで構成されたので、ダイオキシン類の再合成温度領域である300℃〜600℃より高温である600℃〜1200℃の温度領域にセラミックフィルタを配設して飛灰等のダストを集塵除去することにより、ダイオキシン類の低減及びその後のガス冷却プロセスでのダイオキシン類の再合成を抑制できる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、セラミックフィルタには、ダイオキシン類の酸化分解機能を有する触媒成分を担持させたので、セラミックフィルタでダイオキシン類の有害成分も酸化分解させて無害化することができる。また、セラミックフィルタで脱塩することで、塩化水素(HCl)、硫黄酸化物(SOx)が減少するため、後段に触媒反応塔を設置した場合の被毒や目詰まりの問題も解決できる。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、廃熱回収装置の集塵部は、排ガス中のダストを集塵除去した後に熱回収を行なう機能を備えたので、ダイオキシン類の再合成を抑制しながら更に後段の熱回収部(過熱器)のストープロワを無くすることによる管の減肉抑制、腐食抑制を行なうことができるから、耐摩耗性、耐食性に優れた材質にする必要がなく過熱器の材質選定が容易となる。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、排ガス処理装置は、内部に排ガス中のダストを集塵除去する集塵部と、該排ガスより熱を回収する集塵部のケーシングを有する廃熱回収装置を備えたので、上記効果を有する廃棄物処理装置を提供できる。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、焼却炉又はガス化炉又は熱分解炉から排出される排ガス中に脱塩剤を混入させる脱塩剤注入装置を更に備えたので、炉から排出される排ガス中に脱塩剤を混入させ、塩化水素、硫黄酸化物と反応させ、反応生成物を集塵部で集塵除去する廃棄物処理装置を提供できる。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、排ガス処理装置の集塵部における除塵により得られたダストを、焼却炉又はガス化炉又は熱分解炉に供給する供給手段を備えたので、ダスト中に含まれる飛灰やダイオキシン類は、燃焼、熱分解され、焼却灰として系外に搬出することが可能となる。
【0029】
請求項9に記載の発明によれば、廃熱回収装置内で排ガスより熱を回収すると共に、排ガス中に含まれるダストを集塵除去し、更に排ガス中の有害ガス成分を除去するので、排熱回収装置内のダイオキシン類の再合成温度より高温にある領域の排ガス中の飛灰を除去することにより、ダイオキシン類が再合成しない条件下で飛灰を除去できるから、ダイオキシン類の発生量の低減及びその後のガス冷却プロセスでのダイオキシン類の再合成を抑制できる。
【0030】
請求項10に記載の発明によれば、廃熱回収装置内に設けられ、且つ600℃〜1200℃の高温領域に配置された耐熱性を有するセラミックフィルタによりダストを集塵除去するので、ダイオキシン類が再合成しない条件でのダスト除去によりダスト由来のダイオキシン類発生量の低減及びその後のガス冷却プロセスでのダイオキシン類の再合成を抑制できる。
【0031】
請求項11に記載の発明によれば、セラミックフィルタに担持させた触媒成分により、ダイオキシン類の酸化分解を行うので、セラミックフィルタでダイオキシン類の有害成分も酸化分解させて無害化することができる。また、セラミックフィルタで脱塩することで、塩化水素(HCl)、硫黄酸化物(SOx)が減少するため、後段に触媒反応塔を設置した場合の被毒や目詰まりの問題も解決できる。
【0032】
請求項12に記載の発明によれば、焼却炉又はガス化炉又は熱分解炉から排出される排ガス中に脱塩剤を混入させて排ガス中の酸性成分と該脱塩剤との反応生成物を得て、該反応生成物を廃熱回収装置内で前記ダストと共に除去するので、比較的容易に塩化水素、硫黄酸化物の除去が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図2は本発明に係るガス処理装置及び排ガス処理方法を適用するストーカ式ごみ焼却炉の概略構成例を示す図である。図2において、1はストーカ式の焼却炉、2は廃熱ボイラ、3はごみピット、4はホッパ、5はごみクレーン、6はホッパ4の下部からごみを焼却炉1に供給する給塵装置である。ここで、ごみピット3に集められたごみはごみピット3よりホッパ4にごみクレーン5により移送される。燃焼炉1は図2の左側から、ごみを乾燥させる乾燥帯1a、ごみを燃焼させる燃焼帯1b、燃焼帯1c、後燃焼帯1dの分割構造を有し、それぞれに設けられたストーカ7a、7b、7c、7dによって焼却炉1内でごみを移送すると共に、それぞれの下部に接続された空気導入路9a、9b、9c、9dに設けられた空気調整ダンパ8a、8b、8c、8dを介して空気が供給される。
【0034】
また、焼却炉1の出口1eには排ガス中の可燃分を完全燃焼させるため更に二次空気押込送風機20から空気導入路19を通して二次空気の供給を行っている。ごみの焼却後に残る灰10a〜10fは図示しない灰押出装置に集められ、系外に排出され、次の処理工程へ供給される。図示しないが、ごみ焼却プラント設備は焼却によって生じる排ガス中の煤塵を除去する集塵機や有害ガスを分解する触媒反応塔等も備えている。(不図示)また、焼却炉1の上部に廃熱ボイラ2が設置されており、ごみ焼却処理した熱を利用して蒸気100を発生している。図示しないが、この蒸気100は蒸気式タービンでの発電利用や場内熱利用に利用される。
【0035】
上記ごみ焼却プラント設備は、更に焼却炉1の出口1eに排ガス温度を測定する温度センサ11、ボイラ出口の蒸気量を測定する蒸気量センサ12、炉出口1eにおける排ガス中の酸素濃度を測定する酸素濃度センサ13、焼却炉1内のごみの燃焼状況を監視して燃焼完結点を監視する工業用テレビカメラ14と画像処理装置を備えている。また、図示は省略するが、必要な位置に温度センサ、圧力センサ、流量センサ等を設けている。
【0036】
そしてこれらのセンサからの信号に基いて、給塵装置6から焼却炉1内へのごみ供給量、焼却炉1内の乾燥帯1a、燃焼帯1b、燃焼帯1c、後燃焼帯1dへの空気供給量、ストーカ7a、7b、7c、7dによるごみの移動速度等がPID若しくは演算制御される。更に、クレーン5には一掴みのごみの重量を測定する重量センサ15が設けられ、一掴みのごみの重量とホッパ4内へ投入した際のレベル変化をセンサ(図示せず)で測定し、体積増加量から投入ごみ密度ρを演算し、その密度に応じてごみ供給量を給塵装置6にて調整する。なお、図1において、16はバーナ、17は空気導入路9を通して空気を押し込む押込送風機である。また、21はプラットホームであり、該プラットホーム21からごみ収集車22で収集されたごみがごみピット3内に投入される。
【0037】
図3は本発明に係るガス処理装置を上記ストーカ式の焼却炉に使用した廃棄物焼却処理装置の構成を示す図である。図示するように、廃棄物焼却処理装置はストーカ式の焼却炉1の出口1eに本発明に係るガス処理装置30を接続している。ガス処理装置30は第1ボイラ31、第2ボイラ32、及び過熱器(対流伝熱部)33を具備し、焼却炉1の出口1eから排出された排ガスGは、第1ボイラ31、第2ボイラ32、及び過熱器を通って、ボイラ出口34から排出され、触媒反応塔(SCR)40、エコノマイザ41、誘引送風機42を煙突43から大気中に放出させる。また給水105はエコノマイザ41で加熱され、(熱回収され)ボイラに供給される。
【0038】
ストーカ式の焼却炉1のストーカ7a、7b、7c、7d上で完全燃焼し、燃焼後の焼却灰10fは炉下に排出される。本ガス処理装置30は、第2ボイラ32内にはセラミックフィルタ35が組み込まれている。第1ボイラ31及び第2ボイラ32は輻射伝熱面で形成されており、排ガスGはこの中を通過することで熱吸収される。セラミックフィルタ35は第2ボイラ32内に組み込まれているが、ボイラ構造体の規模によっては、ボイラの外部の架台に吊り下げた状態で設置されている。温度領域は第1ボイラ31で約1200℃〜750℃程度に降下し、第2ボイラ32では750℃〜600℃程度に降下するように設計する。また、セラミックフィルタ35による集塵部のケーシングはボイラ伝熱管にて構成され、排熱はここでも吸収される。
【0039】
セラミックフィルタ35を通過した排ガスは同じボイラ内の過熱器(対流伝熱部)33にて熱回収され、ボイラ発生蒸気量として蒸気タービン等の熱利用装置へ送られる。ここでは、排ガス中の飛灰を除去した後のため、従来は不可欠であったスートブローは設置しない。また、過熱器33の伝熱管に設置しているプロテクタ等の減肉防止装置も割愛することが可能である。第2ボイラ32に組み込まれたセラミックフィルタ35の表面に付着する飛灰は、第2ボイラ32の入口と出口の差圧で検知し、該差圧が所定以上に上昇した場合、セラミックフィルタ35の内部に空気噴射ノズル36を介して高温空気101をパルス噴射することで、この付着している飛灰102を払い落とし、第2ボイラ32の下部シュート37から焼却炉1に戻す。
【0040】
セラミックフィルタ35の表面温度は常に550℃以上を維持できるようにパルス用の高温空気101の温度を設定する。焼却炉1内に戻された飛灰102は焼却炉1の後燃焼帯1dに滞留させることで、未燃分の完全燃焼及びダイオキシン類の分解を行ない燃焼灰10fと伴に炉下に排出される。ダスト成分及びダスト粒径によっては、脱塵助剤としてけい藻土等の利用も考慮して炉内噴霧も可能となる。
【0041】
また、セラミックフィルタ35には、触媒機能を持った成分を担持させてダイオキシン類の酸化分解機能を持たせて有害ガス除去部としてもよい。また、焼却炉1からの排ガスG中に脱塩剤を混入させ、塩化水素、硫黄酸化物と反応させ、反応生成物をセラミックフィルタで集塵除去するようにしてもよい。除去されたダストは、第2ボイラ32の下部シュート37から、焼却炉1内にもどされるから、ダスト中に含まれる飛灰やダイオキシン類、及び反応生成物は、燃焼、熱分解され、焼却灰として系外に搬出される。
【0042】
図4は本発明に係るガス処理装置を用いた廃棄物処理装置のフロー例を示す図である。図示するように焼却炉1から排出された排ガスGは第1ボイラ31で熱回収され、第2ボイラ32でセラミックフィルタ(CF)35によりダストの集塵除去更に熱回収され、過熱器33で熱回収され、触媒反応塔(SCR)38でNOx等が除去され、無害化されて煙突39から大気中に放出する。第1ボイラ31の排ガス中に脱塩剤104を混入させ、塩化水素、硫黄酸化物と反応させ、反応生成物をセラミックフィルタで飛灰等のダストと伴に集塵除去するようにする。
【0043】
なお、上記例では、ストーカ式の焼却炉1に本発明に係るガス処理装置を使用する例を示したが、焼却炉はストーカ式に限定されるものではなく、例えば流動床焼却炉でもよい。流動床焼却炉の場合はストーカ式炉に比べて排ガス中のダスト量が増すため本発明のガス処理装置が好適に用いることができる。また、焼却炉に限定されるものではなく、ガス化炉又は熱分解炉でもよい。ガス化炉又は熱分解炉から排出される排ガス(可燃性ガス)に含まれるダスト処理に本発明は有効である。また、後段の排ガス処理フローは実施例に示したものに限定されるものではなく、排ガス処理方法はその要求によって変化が可能である。
【0044】
また、本発明に係る高温集塵機能付廃熱回収装置は焼却部、ガス化炉等と別置きの単独装置とすることが可能であり、その際の排ガスは両装置をつなぐダクト内で移行される。このように別置きの単独の装置とするとトラブル等が生じた時に補修等がより容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】従来の焼却処理プラントのフローを示す図である。
【図2】本発明に係るストーカ式の焼却ブラントの概略構成例を示すずである。
【図3】本発明に係る廃棄物焼却処理装置の構成例を示す図である。
【図4】本発明に係る廃棄物処理装置のフローを示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1 焼却炉
2 廃熱ボイラ
3 ごみピット
4 ホッパ
5 ごみクレーン
6 給塵装置
7a〜d ストーカ
8a〜d 空気調整ダンパ
9a〜d 空気導入路
10a〜f 灰
11 温度センサ
12 蒸気量センサ
13 酸素濃度センサ
14 工業用テレビカメラ
15 重量センサ
16 バーナ
17 押込送風機
20 二次空気押込送風機
21 プラットホーム
22 ごみ収集車
30 ガス処理装置
31 第1ボイラ
32 第2ボイラ
33 過熱器
34 ボイラ出口
35 セラミックフィルタ
36 空気噴射ノズル
37 下部シュート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却炉又はガス化炉又は熱分解炉から排出される排ガスから熱を回収する廃熱回収装置を備えた排ガス処理装置において、
前記廃熱回収装置内に前記排ガス中のダストを集塵除去する集塵部を設け、該集塵部のケーシングを廃熱回収部としたことを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排ガス処理装置において、
前記廃熱回収装置内に、前記集塵部と別に前記排ガス中の有害ガス成分を除去する有害ガス除去部を設け、前記集塵部と有害ガス除去部とを一体化させて構成したことを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の排ガス処理装置において、
前記集塵部は、廃熱回収装置内の600℃〜1200℃の高温領域に配置された耐熱性を有するセラミックフィルタで構成されたことを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の排ガス処理装置において、
前記セラミックフィルタには、ダイオキシン類の酸化分解機能を有する触媒成分を担持させたことを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の排ガス処理装置において、
前記廃熱回収装置の集塵部は、前記排ガス中のダストを集塵除去した後に熱回収を行なう機能を備えたことを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項6】
廃棄物を処理する焼却炉又はガス化炉又は熱分解炉と、前記焼却炉又はガス化炉又は熱分解炉から排出される排ガスを処理する排ガス処理装置を備えた廃棄物処理装置において、
前記排ガス処理装置は、内部に前記排ガス中のダストを集塵除去する集塵部と、該排ガスより熱を回収する該集塵部のケーシングを有する廃熱回収装置を備えたことを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の廃棄物処理装置において、
前記焼却炉又はガス化炉又は熱分解炉から排出される排ガス中に脱塩剤を混入させる脱塩剤注入装置を更に備えたことを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の廃棄物処理装置において、
前記排ガス処理装置の集塵部における除塵により得られたダストを、前記焼却炉又はガス化炉又は熱分解炉に供給する供給手段を備えたことを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項9】
焼却炉又はガス化炉又は熱分解炉から排出される排ガスから廃熱回収装置により熱を回収すると共に、排出される排ガス中のダスト及び有害成分を除去して排ガスを処理する排ガス処理方法において、
前記廃熱回収装置内で排ガスより熱を回収すると共に、前記排ガス中に含まれるダストを集塵除去し、更に排ガス中の有害ガス成分を除去することを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の排ガス処理方法において、
前記廃熱回収装置内に設けられ、且つ600℃〜1200℃の高温領域に配置された耐熱性を有するセラミックフィルタにより前記ダストを集塵除去することを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項11】
請求項10に記載の排ガス処理方法において、
前記セラミックフィルタに担持させた触媒成分により、ダイオキシン類の酸化分解を行うことを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれか1項に記載の排ガス処理方法において、
前記焼却炉又はガス化炉又は熱分解炉から排出される排ガス中に脱塩剤を混入させて該排ガス中の酸性成分と該脱塩剤との反応生成物を得て、該反応生成物を前記廃熱回収装置内で前記ダストと共に除去することを特徴とする排ガス処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−15179(P2006−15179A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192736(P2004−192736)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】