説明

排泄物処理装置

【課題】処理袋の交換時期を適切に把握できるようにする。
【解決手段】排泄物処理装置20は、上面に開口部を有する容器21と、容器21内に収容されるとともに容器21外へ取り出し可能な処理袋30と、処理袋30内に収容されて処理袋30内に落下した排泄物33を受け止めるチップ状処理材32と、処理袋30の底面を突き上げて排泄物33をチップ状処理材32内に埋没させる押上部材35と、処理袋30内のチップ状処理材32が排泄行為の処理に使用されたことを検知する排泄処理検知手段61と、排泄処理検知手段61からの検知信号をカウントするカウンタ43と、カウンタ43の情報に基づいてチップ状処理材32の交換時期の到来を検出する交換時期検出手段62とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、便座を載置可能であって上面に開口部を有する容器と、柔軟に変形可能であって上面を開放させた状態で容器内に収容された処理袋と、処理袋内に収容されたチップ状処理材と、処理袋の底面を部分的に突き上げるための昇降可能な押上部材とを備え、排泄物を処理袋内のチップ状処理材で受け止めるようにした排泄物処理装置が開示されている。この排泄物処理装置では、押上部材の昇降により、処理袋の底面を突き上げてチップ状処理材を部分的に昇降させると、チップ状処理材が崩れるように移動するのに伴い、チップ状処理材の内部に排泄物が埋没するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−220106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この装置では、排泄の回数を重ねる毎に処理袋内の排泄物の重量が増えていくため、排泄物の総重量が処理袋の耐荷重を越える前に、排泄物入りの処理袋を新たな処理袋と交換する必要がある。チップ状処理材内に埋没した排泄物を加熱しながら分解して、排泄物内の水分を蒸発させる場合には、処理袋を頻回に交換せずに済むのであるが、処理袋内の排泄物を加熱も分解もせずに貯めておく場合には、排泄物の水分が殆ど蒸発しないまま排泄物の重量が急激に増えていくため、早急に処理袋を交換する必要がある。しかしながら、この装置が例えば一般家庭で使用される場合は、使用者やその家族等が処理袋の適切な交換時期を把握できない虞があるため、その対策が望まれる。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、チップ状処理材の交換時期を適切に把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、上面に開口部を有する容器と、底面の少なくとも一部が変形可能とされていて、前記容器の上面側の前記開口部を塞ぐ状態で前記容器の内部に収容されるようになっているとともに、前記容器外へ取り出せるようになっている処理袋と、前記処理袋内に収容され、前記処理袋内に落下した排泄物を受け止めるチップ状処理材と、前記処理袋の底面を突き上げることで排泄物を前記チップ状処理材内に埋没させる押上部材と、前記処理袋内の前記チップ状処理材が排泄行為の処理に使用されたことを検知して検知信号を出力する排泄処理検知手段と、前記排泄処理検知手段から出力された検知信号をカウントするカウンタと、前記カウンタのカウント情報に基づいて前記チップ状処理材の交換時期が到来したことを検出する交換時期検出手段とを備えているところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記排泄処理検知手段は、前記容器の上面に載置される便座に使用者が着座したことを検知する着座センサを備えているところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記交換時期検出手段の検出結果に基づいて、前記チップ状処理材の交換時期が到来したことを知らせる報知手段を備えているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
<請求項1の発明>
排泄処理検知手段からの排泄処理検知信号の出力回数が設定数に達すると、交換時期検出手段では、カウンタのカウント情報に基づいてチップ状処理材の交換時期が到来したことを検出する。これにより、チップ状処理材の交換時期を適切に把握することが可能である。
【0009】
<請求項2の発明>
この種の排泄物処理装置の利用者は、体力や身体機能の衰えのために、排泄時には殆ど例外なく便座に着座すると推察されるので、着座センサによって使用者が便座に着座したことを検知すれば、排泄行為が行われたことをほぼ確実に検知することができる。
【0010】
<請求項3の発明>
チップ状処理材の交換時期が到来したことを報知手段が知らせてくれるので、使用者がチップ状処理材の交換をし忘れるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態1において、排泄物がチップ状処理材上に落下した状態をあらわす断面図
【図2】押上部材が処理袋を突き上げた状態をあらわす断面図
【図3】押上部材による突き上げが解除されて、排泄物がチップ状処理材内に埋没した状態をあらわす断面図
【図4】処理袋を容器から取り出した状態をあらわす断面図
【図5】制御装置の機能的構成をあらわすブロック図
【図6】排泄物処理手段の機能的構成をあらわすブロック図
【図7】処理袋用報知手段の機能的構成をあらわすブロック図
【図8】排泄処理検知手段の機能的構成をあらわすブロック図
【図9】交換時期検出手段の機能的構成をあらわすブロック図
【図10】押上部材用報知手段の機能的構成をあらわすブロック図
【図11】メンテナンス時期検出手段の機能的構成をあらわすブロック図
【図12】排泄情報記録手段の機能的構成をあらわすブロック図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
以下、本発明を、簡単に移動させることが可能な非水洗タイプのポータブル便器10に適用した排泄物処理装置20の具体例を図1乃至図12を参照して説明する。ポータブル便器10は、上面が開放された箱状のハウジング11と、ハウジング11の上面の開放部の開口縁に沿った支持板部12に載置されるように取り付けられる便座13とを備えており、排泄物処理装置20はハウジング11の内部に収容されている。
【0013】
<排泄物処理装置20の構造>
排泄物処理装置20は、排泄物を処理する手段として、容器21と、閉塞部材27と、処理袋30と、チップ状処理材32と、押上部材35とを備えている。容器21は、上下両面が全領域に亘って開放された円筒状の周壁部22と、周壁部22の上面側開口部23の開口縁から全周に亘って外周側へ水平に張りだしたフランジ部24と、上面側開口部23の開口縁から上方へ突出したリブ25とを有している。容器21は、ハウジング11内に収容され、フランジ部24を支持板部12に載置した状態で取り付けられている。便座13は、その外周縁部を支持板部12の上面に当接させるとともに、便座13の凹んだ底面を、リブ25の上端縁に当接させるようになっている。
【0014】
周壁部22の上端部外周には、引掛け部26が形成されている。周壁部22の下端部には、容易に変形し得るゴム材料からなる膜状の閉塞部材27が取り付けられている。閉塞部材27は、大きく弛んだ状態で、容器21(周壁部22)の下面側開口部28の全領域を塞いでいる。
【0015】
処理袋30は、レジ袋と称される使い捨てタイプの手提げ袋と同じく、上面が開口した合成樹脂製の薄いシート材からなり、その底面と側面を含む全体が容易に変形し得るようになっている。処理袋30には、その上面の開口縁から延出した一対の持ち手部31が形成されている。
【0016】
チップ状処理材32は、処理袋30内に所定量収容されて使用され、処理袋30内に落下した排泄物33を包み込んで、排泄物33の脱臭・消臭を行うためのものである。チップ状処理材32としては、植物由来の脱臭・消臭性能を有するチップ(具体的には、トウモロコシを粉砕したものやコーヒーの残渣を原料としたもの等)が用いられている。
【0017】
チップ状処理材32を収容した処理袋30は、ハウジング11から取り出した状態の容器21に取り付けられる。取付けに際しては、まず、上面側開口部23から容器21内に落とし込み、次いで、処理袋30の上端部を、フランジ部24の上面に被せてその下面へ回り込ませるように折り曲げ、最後に、一対の持ち手部31を一対の引掛け部26に引っ掛ければよい。容器21に処理袋30を取り付けると、容器21の上面側開口部23が閉塞される。処理袋30が取り付けられた容器21をハウジング11に取り付けると、処理袋30の上端部が、フランジ部24の下面と支持板部12の上面との間で上下に挟み付けられる。容器21をハウジング11にセットした後、図1に示すように、便座13をハウジング11にセットすると、便座13の下面とリブ25の上端縁との間で、処理袋30の上端部が上下に挟み付けられる。
【0018】
チップ状処理材32(処理袋30)を交換するとともにチップ状処理材32内の排泄物33を廃棄する場合には、便座13を外し、次いで、容器21をハウジング11から外した状態、又は容器21をハウジング11から少し持ち上げた状態とし、その状態で、処理袋30の持ち手部31を引掛け部26から外し、図4に示すように、処理袋30を容器21から取り出す。容器21から外した処理袋30は、図4に示すように、チップ状処理材32と排泄物33を収容したままの状態で、持ち手部31を縛って上面の開口を閉じ、廃棄する。本実施形態では、チップ状処理材32の交換とチップ状処理材32に埋没している排泄物33の廃棄を行う際に、チップ状処理材32のみを交換するのではなく、チップ状処理材32と排泄物33を収容したままの処理袋30を外し、未使用のチップ状処理材32が収容されている処理袋30を新たにセットする。つまり、処理袋30ごと交換する。したがって、以下の説明では、「処理袋30の交換」の文言を、「チップ状処理材32の交換、及び排泄物33の廃棄」と同義で用いる。
【0019】
押上部材35は、エアの供給と排出とによって上下方向(鉛直方向)に伸縮する伸縮部材36と、伸縮部材36の上端部に取り付けられた当接部材37とを備えて構成されている。伸縮部材36は、径寸法が異なる複数の円筒部材を鉛直方向へのスライドを可能に且つ気密状に重ねた周知の形態のものであり、伸縮部材36の下端部はハウジング11の底面に固定されている。ハウジング11の底面には、モータ38Mにより駆動されるピストン38Pを備えたエアポンプ38が設けられている。エアポンプ38は、ピストン38Pを移動させることにより、伸縮部材36に対する作動エアの供給と、伸縮部材36からの作動エアの排出とを行う。伸縮部材36は、作動エアの供給によって伸長した突き上げ状態(図2を参照)と、作動エアの排出によって収縮した待機状態(図1,3を参照)との間で変位するようになっている。当接部材37は、上面が略球面状をなしており、平面形状は周壁部22の内径よりも小径の円形をなす。水平面上において、当接部材37は伸縮部材36に対して同心に取り付けられ、当接部材37と伸縮部材36は、容器21と同心状に配置されている。
【0020】
押上部材35は、閉塞部材27の下面と対応するように配置されている。押上部材35の当接部材37が待機位置に保持されている状態(最も低い位置にある状態)では、図1,3に示すように、閉塞部材27の中央部が当接部材37の上面に当接するとともに、閉塞部材27のうち当接部材37に当接していない周縁部分は、大きく弛んだ状態で当接部材37よりも低い位置に垂れ下がっている。このとき、当接部材37の最も高い位置は、チップ状処理材32の重みで垂れ下がっている処理袋30の底面のうちの最も低い部分(最下端30L)よりも更に低い位置にある。
【0021】
通常は、押上部材35が待機位置に保持されており、この状態で、使用者が便座13に着座して排泄を終えると、図1に示すように、排泄物33が処理袋30内のチップ状処理材32の上面に載って露出した状態となる。この後、エアポンプ38が作動して伸縮部材36に作動エアが供給されると、押上部材35の当接部材37が突き上げ位置まで上昇し、これに伴って、当接部材37が閉塞部材27を介して処理袋30の底面の中央部を部分的に突き上げる。この突き上げにより、処理袋30の底面が、その中央部のみを上昇させるとともに、底面部の外径を拡径させるような形態で変形させられる。
【0022】
この処理袋30の底面の変形に伴い、処理袋30内のチップ状処理材32のうち中央部分のチップ状処理材32だけが押し上げられるため、処理袋30内ではチップ状処理材32に高低差が生じ、中央部分のチップ状処理材32が、相対的に低い周縁側に向かって崩れ落ちるように移動する。すると、図2に示すように、排泄物33が、チップ状処理材32の動きに乗じて周縁側へ落下するように移動し、移動しながらチップ状処理材32の内部に埋没し始める。
【0023】
当接部材37が突き上げ位置に到達した後は、伸縮部材36から作動エアが急速に排出されるので、当接部材37が突き上げ位置から待機位置へ一気に下降する。この当接部材37の下降に伴い、処理袋30内のチップ状処理材32のうち中央部分が、周縁部分よりも低くなって(凹んで)いくので、チップ状処理材32は周縁部分から中央部分に向かって崩れ落ちるように移動する。そして、このチップ状処理材32の移動に伴い、周縁部分においてチップ状処理材32内に埋没していた排泄物33が、チップ状処理材32の動きに乗じて中央側へ移動して、図3に示すように、チップ状処理材32内に深く埋没した状態となる。
【0024】
押上部材35の突き上げ動作によって、排泄物33がチップ状処理材32内に埋没すると、排泄物33から発せられる臭気がチップ状処理材32に吸収され、又は排泄物33の臭気の発生源がチップ状処理材32によって分解されるので、処理袋30を容器21から外して廃棄するまでの間、排泄物33の臭いが周囲に拡がる虞はない。
【0025】
<排泄物処理装置20の機能>
本実施形態の排泄物処理装置20には、機能的構成をあらわす図5に示すように、制御部41、比較部42、カウンタ43、メモリ44、タイマー45、カレンダークロック46を有する制御装置40(コンピュータ)が設けられている。この制御装置40は、排泄物33の処理(押上部材35の突き上げ)を行うための排泄物処理手段50、処理袋30(チップ状処理材32)の交換を知らせるための処理袋用報知手段60、押上部材35のメンテナンス時期を知らせるための押上部材用報知手段70、排泄行為(排泄物処理装置20の使用状況)に関する情報を記録するための情報記録手段80を構成する。
【0026】
<排泄物処理手段50>
排泄物処理手段50は、排泄物処理装置20が排泄のために使用された場合に押上部材35とチップ状処理材32によって排泄物33の処理を行うためのものであり、機能的構成をあらわす図6に示すように、制御部41、比較部42、カウンタ43、メモリ44、タイマー45、着座センサ51(赤外線により人体が便座13に着座したことを検知する赤外線センサ)、押上部材35の突き上げ動作を検知する突き上げセンサ52、エアポンプ38、手動スイッチ53を備えている。着座センサ51は、便座13に人が着座したことを検知すると制御部41へON信号を出力し、便座13から人が離れたことを検知すると制御部41へOFF信号を出力するようになっている。
【0027】
排泄物処理手段50は、押上部材35の突き上げ動作を指示するための操作を行わなくても排泄行為に伴って押上部材35の突き上げが自動的に行われる自動処理モードと、押上部材35の突き上げ動作を指示するための操作が必要な手動処理モードのいずれかに切り替えることができるようになっている。この切替は、排泄物処理装置20又は、その付属機器として用意されたタッチパネル(図示省略)や切り替え装置(図示省略)等において行うことができる。
【0028】
自動処理モードでは、着座センサ51から制御部41にOFF信号が出力されるとタイマー45がスタートし、タイマー45の経過時間と、メモリ44に記憶されている設定値とが比較部42で比較される。そして、タイマー45の経過時間が設定値に達すると、制御部41からエアポンプ38に対してポンプ38Mを駆動させるための制御信号が出力される。
【0029】
エアポンプ38の駆動により押上部材35の突き上げ動作が開始すると、突き上げセンサ52が押上部材35の突き上げ動作を検知し、1回の突き上げが行われる毎にカウンタ43へ突き上げ検知信号を出力する。押上部材35の突き上げが行われている間、カウンタ43に入力される突き上げ検知信号の数(カウント情報)と、メモリ44に記憶されている設定値(本実施形態では5回であるが、4回以下でも、6回以上でもよい)とが比較部42で比較される。そして、カウンタ43に入力される突き上げ検知信号(押上部材35の突き上げ回数)の数が設定値に達すると、制御部41からエアポンプ38の駆動を停止させるための制御信号が出力され、押上部材35の突き上げが終了する。制御信号が出力されると、カウンタ43においては、突き上げセンサ52からの突き上げ検知信号に関するカウント情報がクリアされる。
【0030】
一方、手動処理モードでは、手動スイッチ53がON操作されると、手動スイッチ53から制御部41にON信号が出力され、制御部41からエアポンプ38に対してポンプ38Mを駆動させるための制御信号が出力される。エアポンプ38の駆動により押上部材35の突き上げ動作が開始すると、自動処理モードと同じく、突き上げセンサ52から突き上げ動作が行われたことを検知する突き上げ検知信号がカウンタ43に入力されるとともに、そのカウント情報とメモリ44の設定値とが比較され、押上部材35の突き上げ回数が所定数に達すると、制御部41からの制御信号によって押上部材35の突き上げが終了する。
【0031】
<処理袋用報知手段60>
処理袋用報知手段60は、処理袋30内の収容物(チップ状処理材32と排泄物33)の重量と処理袋30の耐用荷重とを勘案して、または、処理袋30内の排泄物33の腐敗の進み具合を勘案して、使用者に対して処理袋30を交換を促すための手段であり、機能的構成をあらわす図7に示すように、排泄処理検知手段61、カウンタ43、交換時期検出手段62、報知手段63を備えている。
【0032】
<排泄処理検知手段61>
排泄処理検知手段61は、機能的構成をあらわす図8に示すように、制御部41、比較部42、タイマー45、着座センサ51、手動スイッチ53を備えており、処理袋30とチップ状処理材32が排泄行為の処理に使用されたことを検知することで使用者による排泄行為が行われたと見做して排泄処理検知信号を出力する。排泄処理検知信号を出力する条件は、自動処理モードと手動処理モードで異なる。
【0033】
自動処理モードの場合は、着座センサ51から制御部41へOFF信号が入力され、且つ、このOFF信号が入力してから所定時間の経過後に制御部41からエアポンプ38にポンプ38Mを駆動させるための制御信号が出力されたことを条件として、排泄処理検知信号がカウンタ43へ入力される。手動処理モードの場合は、着座センサ51から制御部41へON信号が入力された後にOFF信号が入力され、且つ、手動スイッチ53から制御部41へのON信号の入力が、着座センサ51のON信号が入力されてからOFF信号が入力されるまでの間、又は着座センサ51のOFF信号が入力されてから所定時間内のいずれかに行われたことを条件として、排泄処理検知信号がカウンタ43に入力される。
【0034】
<交換時期検出手段62>
交換時期検出手段62は、機能的構成をあらわす図9に示すように、制御部41、比較部42、メモリ44、タイマー45、リセットスイッチ64を備えている。排泄処理検知信号がカウンタ43に入力されると、カウンタ43に入力される排泄処理検知信号の数(カウント情報)と、メモリ44に記憶されている設定値(本実施形態では6回であるが、5回以下でも、7回以上でもよい)とが比較部42で比較される。そして、カウンタ43に入力される排泄処理検知信号(排泄行為が行われて処理袋30が使用されたと見做した回数)の数が設定値に達すると、処理袋30の交換時期が到来したことを検出する。処理袋30の交換時期が到来したことが検出されると、制御部41から報知手段63へ報知信号が出力される。
【0035】
また、交換時期検出手段62では、後述するように処理袋30を交換した後にリセットスイッチ64が操作されると、タイマー45がスタートし、前回の処理袋30の交換からの経過時間(日数)を計測する。そして、排泄処理検知信号の入力回数(排泄行為の回数)が所定の回数(6回)に達しない場合でも、前回の処理袋30の交換(リセットスイッチ64の操作)が行われてから所定の時間(日数)が経過すると、処理袋30の交換時期が到来したと判定し、報知手段63へ報知信号を出力する。このようにすれば、処理袋30内の排泄物33が時間経過とともに腐敗が進んで異臭や腐敗ガス等を発することが防止される。この場合、リセットスイッチ64が操作されると、リセットスイッチ64から制御部41へリセット信号が入力されることによって、タイマー45が初期状態に戻る。
【0036】
<報知手段63>
報知手段63は、制御部41から報知信号が入力されると、使用者等に処理袋30の交換を促すための報知動作を行う。報知動作の具体例としては、ハウジング11に設けたアラームランプ(図示省略)を点灯又は点滅させる方法や、ハウジング11に設けたスピーカ(図示省略)からブザー音や音声を出す方法などがある。この報知により、使用者等は処理袋30の交換時期が到来したことを知ることができるので、適切なタイミングで処理袋30の交換を行うことができる。処理袋30の交換を行った後は、リセットスイッチ64を操作する。リセットスイッチ64が操作されると、リセットスイッチ64から制御部41へリセット信号が入力されるので、カウンタ43においては排泄処理検知信号に関するカウント情報がクリアされる。
【0037】
もし、処理袋30の交換(リセットスイッチ64の操作)が行われなかった場合は、再び報知信号が報知手段63へ出力され、2度目の報知が行われる。その後も、処理袋30の交換が行われなければ、報知が繰り返される。2度目以降の報知を行うタイミングとしては、最初に報知信号が出力されてから所定の時間が経過する毎に毎回報知してもよく、着座センサ51からON信号が出力される毎に毎回報知してもよい。
【0038】
<押上部材用報知手段70>
押上部材用報知手段70は、押上部材35の突き上げ動作の累積回数及び排泄物処理装置20の使用開始からの経過年数に基づいて、押上部材35のメンテナンス時期を検出して使用者等に知らせるためのものであって、機能的構成をあらわす図10に示すように、リセット装置71、突き上げセンサ52、メンテナンス時期検出手段72、カウンタ43、報知手段63を備えている。
【0039】
排泄物処理装置20は、初めて使用を開始したとき、及び押上部材35に関するメンテナンスを行う毎に、リセット装置71が初期状態にリセットされ、そのリセット情報がメンテナンス時期検出手段72を構成する制御部41に入力される。メンテナンス時期検出手段72は、機能的構成をあらわす図11に示すように、制御部41、比較部42、メモリ44、タイマー45を備えている。リセット装置71がリセットされた後は、突き上げセンサ52からの突き上げ検知信号がカウンタ43に入力されると、カウンタ43に入力される突き上げ検知信号の累積数(カウント情報)と、メモリ44に記憶されている設定値とが比較部42で比較される。また、タイマー45においては、リセット装置71がリセットされてからの経過年数が計測され、この経過日数と、メモリ44に記憶されている設定値とが比較部42で比較される。そして、カウンタ43に入力される突き上げ検知信号の累積数が設定値に達したこと、又は、タイマー45の計測年数が設定値に達したことを条件として、押上部材35のメンテナンス時期が到来したことを検出する。押上部材35のメンテナンス時期が到来したことが検出されると、制御部41から報知手段63へ報知信号が出力される。
【0040】
<情報記録手段80>
情報記録手段80は、機能的構成をあらわす図12に示すように、制御部41、カウンタ43、メモリ44、カレンダークロック46を備えている。情報記録手段80は、排泄処理検知手段61から得られた排泄行為に関する情報や、交換時期検出手段62から得られた処理袋30の交換状況に関する情報等を電子データとしてメモリ44に記憶するようになっている。記憶される電子データとしては、毎日の一日分の排泄回数、最後に排泄行為が行われた日時、リセットスイッチ64の操作状況等がある。
【0041】
記憶された電子データは、排泄物処理装置20又はその付属機器として用意されたモニター(図示省略)に随時表示したり、汎用の補助記憶装置に取り込んでパソコンに保存したり、プリンタ(図示省略)で印刷したり、電子メール等で自動的に遠隔配信したりする等、種々の形態で活用することができる。これにより、使用者やその家族が使用者の健康状態を記録したり、遠くで暮らす家族や親族が使用者の健康状態や生活状態を把握したり、医療機関や介護サービス機関が使用者の健康状態をチェックしたり、使用者の異常を把握したりすることが可能となる。
【0042】
上述のように本実施形態の排泄物処理装置20は、処理袋30とチップ状処理材32が排泄行為の処理に使用されたことを検知することで使用者による排泄行為が行われたと見做して排泄処理検知信号を出力する排泄処理検知手段61と、この排泄処理検知手段61から出力された排泄処理検知信号をカウントするカウンタ43と、このカウンタ43のカウント情報に基づいて処理袋30の交換時期が到来したことを検出する交換時期検出手段62とを備えている。この構成によれば、排泄処理検知手段61からの排泄処理検知信号の出力回数が設定数に達すると、交換時期検出手段62では、カウンタ43のカウント情報に基づいて処理袋30の交換時期が到来したことが検出されるので、この検出結果により、処理袋30の交換時期を適切に把握することが可能である。
【0043】
また、この種の排泄物処理装置20の利用者は、体力や身体機能の衰えのために、排泄時には殆ど例外なく便座13に着座すると推察される。この点に着目して、本実施形態では、排泄処理検知手段61として、容器21の上面に載置される便座13に使用者が着座したことを検知する着座センサ51を設けたので、着座センサ51によって使用者が便座13に着座したことを検知することにより、排泄行為が行われたことを確実に検知することができる。また、交換時期検出手段62の検出結果に基づいて、処理袋30の交換時期が到来したことを知らせる報知手段63を設けたので、使用者が処理袋30の交換をし忘れるのを防止することができる。
【0044】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、排泄処理検知手段である着座センサとして、赤外線により人体が便座に着座したことを検知する赤外線センサを用いたが、これに替えて、使用者が便座に接触したときの静電容量の変動に基づいて着座したことを検知する静電容量センサや、便座の重量の変動に基づいて着座したことを検知する重量センサ等を用いることができる。
(2)上記実施形態では、自動処理モードにおける排泄処理検知手段として、着座センサを用いたが、この着座センサに替えて、又は着座センサと併用して、処理袋内収容物(チップ状処理材と排泄物)の重量変動を検知する重量センサを用いることができる。この場合、重量センサの検知信号に基づいて排泄行為を検知するようにすれば、使用者が便座に着座せずに立ったままで排泄を済ませた場合にも、排泄行為をカウントすることができる。
(3)上記実施形態では、自動処理モードにおける排泄処理検知手段では、着座センサと突き上げセンサの2つのセンサのうち着座センサからの信号に基づいて排泄行為が行われたことを検知するようにしたが、これに替えて、着座センサだけでなく突き上げセンサからの検知信号も考慮して、排泄行為が行われたことを検知してもよい。
(4)上記実施形態では、手動処理モードにおける排泄処理検知手段として、着座センサからの信号と手動スイッチからの信号に基づいて排泄行為がおこなわれたことを検知したが、この着座センサと手動スイッチのうち少なくとも一方に替えて、又は着座センサ及び手動スイッチと併用して、処理袋内収容物(チップ状処理材と排泄物)の重量変動を検知する重量センサを用いることができる。この場合、重量センサの検知信号に基づいて排泄行為を検知するようにすれば、使用者が便座に着座せずに立ったままで排泄を済ませた場合や、使用者が押上部材用の手動スイッチ操作をし忘れた場合でも、排泄行為をカウントすることができる。
(5)上記実施形態では、処理袋の交換時期と押上部材のメンテナンス時期の両方の時期を検出するようにしたが、検出対象は、処理袋と押上部材のうちのいずれか一方だけとしてもよい。
(6)上記実施形態において、処理袋の交換の際に、処理袋がセットされていない状態では便座を着座可能な位置へ載置できないようにするためのロック装置を設けてもよい。このようなロック装置を設けておけば、処理袋がセットされないままの状態で排泄行為が行われるのを防止することが可能である。
(7)上記実施形態では、チップ状処理材の交換と排泄物の廃棄を行う際に、チップ状処理材と排泄物を収容したままの処理袋を外し、未使用のチップ状処理材が収容されている処理袋を新たにセットするようにしたが、処理袋は交換せずに、処理袋内のチップ状処理材のみを交換するとともに排泄物を廃棄するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
13…便座
20…排泄物処理装置
21…容器
30…処理袋
32…チップ状処理材
33…排泄物
35…押上部材
43…カウンタ
51…着座センサ
61…排泄処理検知手段
62…交換時期検出手段
63…報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部を有する容器と、
底面の少なくとも一部が変形可能とされていて、前記容器の上面側の前記開口部を塞ぐ状態で前記容器の内部に収容されるようになっているとともに、前記容器外へ取り出せるようになっている処理袋と、
前記処理袋内に収容され、前記処理袋内に落下した排泄物を受け止めるチップ状処理材と、
前記処理袋の底面を突き上げることで排泄物を前記チップ状処理材内に埋没させる押上部材と、
前記処理袋内の前記チップ状処理材が排泄行為の処理に使用されたことを検知して検知信号を出力する排泄処理検知手段と、
前記排泄処理検知手段から出力された検知信号をカウントするカウンタと、
前記カウンタのカウント情報に基づいて前記チップ状処理材の交換時期が到来したことを検出する交換時期検出手段とを備えていることを特徴とする排泄物処理装置。
【請求項2】
前記排泄処理検知手段は、前記容器の上面に載置される便座に使用者が着座したことを検知する着座センサを備えていることを特徴とする請求項1記載の排泄物処理装置。
【請求項3】
前記交換時期検出手段の検出結果に基づいて、前記チップ状処理材の交換時期が到来したことを知らせる報知手段を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の排泄物処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−147963(P2012−147963A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9137(P2011−9137)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】