説明

携帯内視鏡のスイッチ機構

【課題】光源ユニットが携帯内視鏡本体から取り外されると光源の電源がオフ状態とする。
【解決手段】内視鏡本体11に光源ユニット12を着脱自在とする。光源ユニット12にピン25を備えた検出スイッチ24を設け、光源ユニット12が内視鏡本体11に装着されたときにピン25を通して導通し光源28のオン状態とする。光源ユニット12が内視鏡本体11から取り外されたときに、ピン25を絶縁し電池19からの電力供給を遮断し光源28をオフ状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を用いる携帯内視鏡のスイッチ機構に関し、特に、携帯内視鏡の照明用光源の点灯に関わるスイッチの機構に関わる。
【背景技術】
【0002】
一般的に携帯内視鏡では、内視鏡本体に着脱自在に光源ユニットが装着される。光源ユニットの電源には電池が用いられ、光源点灯のためのメインスイッチは光源ユニット本体に設けられる。光源ユニットが内視鏡本体に装着されると光源部は内視鏡本体内に嵌入され、光源が点灯されると光は内視鏡本体に配設されたライトガイドを通して携帯内視鏡の先端から照明光として照射される(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−319906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の構成であると、光源ユニットが携帯内視鏡本体から取り外された状態でも、メインスイッチがオン状態にあると光源は点灯するので電池は無駄に消耗する。特に携帯内視鏡の使用が終了し、光源ユニットを取り外して携帯内視鏡を収納する場合にメインスイッチを切り忘れると、電池の消耗は著しいものとなる。
【0004】
本発明は、光源ユニットが携帯内視鏡本体から取り外されると光源の電源がオフ状態とされる携帯内視鏡のスイッチ機構、およびこのスイッチ機構を備えた携帯内視鏡用光源ユニット、携帯内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の携帯内視鏡のスイッチ機構は、内視鏡本体と内視鏡本体に着脱自在な光源ユニットとを備える携帯内視鏡において、光源ユニットが内視鏡本体から取り外された状態において光源ユニットの光源をオフ状態とし、光源ユニットが内視鏡本体に取り付けられた状態において光源ユニットの光源をオン状態とするスイッチ機構であって、スイッチ機構はピンを備え、光源ユニットが内視鏡本体に装着されたときにピンが内視鏡本体に当接して光源がオン状態とされ、光源ユニットが内視鏡本体から取り外されたときにピンが内視鏡本体から離接されて光源がオフ状態とされることを特徴としている。
【0006】
ピンは導電性の素材から構成され、ピンが内視鏡本体に当接することによりピンと内視鏡本体とが導通され、これにより光源がオン状態とされる。またピンと内視鏡本体とが当接されたときに、光源ユニットの筐体および内視鏡本体の光源ユニット取付部を通して電流が流れることにより前記光源がオン状態とされる。また、ピンは例えばプッシュスイッチの操作ピンである。
【0007】
本発明の携帯内視鏡は、内視鏡本体と内視鏡本体に着脱自在な光源ユニットとを備える携帯内視鏡であって、光源ユニットが内視鏡本体から取り外された状態において光源ユニットの光源をオフ状態とし、光源ユニットが内視鏡本体に取り付けられた状態において光源ユニットの光源をオン状態とするスイッチ機構を備え、スイッチ機構はピンを備え、光源ユニットが内視鏡本体に装着されたときにピンが内視鏡本体に当接して光源がオン状態とされ、光源ユニットが内視鏡本体から取り外されたときにピンが内視鏡本体から離接されて光源がオフ状態とされることを特徴としている。
【0008】
本発明の光源ユニットは、携帯内視鏡の内視鏡本体に着脱自在な光源ユニットであって、光源ユニットは内視鏡本体から取り外された状態において光源ユニットの光源をオフ状態とし、光源ユニットが内視鏡本体に取り付けられた状態において光源ユニットの光源をオン状態とするスイッチ機構を備え、スイッチ機構はピンを備え、光源ユニットが内視鏡本体に装着されたときにピンが内視鏡本体に当接して光源がオン状態とされ、光源ユニットが内視鏡本体から取り外されたときにピンが内視鏡本体から離接されて光源がオフ状態とされることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光源ユニットが携帯内視鏡本体から取り外されると光源の電源がオフ状態とされる携帯内視鏡のスイッチ機構、携帯内視鏡用光源ユニット、携帯内視鏡が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態における携帯内視鏡装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【0011】
携帯内視鏡10は、内視鏡本体11と光源ユニット12とからなり、光源ユニット12は内視鏡本体11に着脱自在である。内視鏡本体11内には、照明光を内視鏡先端にまで伝送するためのライトガイド13と照明光により照明された内視鏡先端の映像を観察するためのイメージガイド14が配設される。
【0012】
ライトガイド13の一端である入射端は、内視鏡本体11の操作部に配置され、その前方にはレンズ15が設けられる。装着された光源ユニット12からの光は、レンズ15を通してライトガイド13の入射端に集光され入射される。ライトガイド13の他端である射出端は、内視鏡挿入部の先端に配置され、入射された光はライトガイド13内を伝搬されて他端である射出端からレンズ16を通して照射される。
【0013】
また、イメージガイド14の一端は、内視鏡挿入部の先端に配置され、ライトガイド13からの照明光は、観察対象物で反射され対物レンズ17を通してイメージガイド14に入射される。イメージガイド14の他端は内視鏡本体の操作部に配置され、イメージガイド14を通して伝送された光学像は、接眼レンズ18を通して観察される。
【0014】
内視鏡本体11の操作部には、光源ユニット12を装着するための光源ユニット取付部11Aが設けられる。光源ユニット取付部11Aは、例えば円筒形状を呈し、その外周部には雄ネジ11Mが設けられる。また、光源ユニット取付部11Aの円筒中央には、円筒軸に沿った円筒形の窪部11Rが形成され、その底面にレンズ15が配置される。窪部11Rには、後述するように光源ユニット12の光源部12Lが挿入される。
【0015】
光源ユニット12の筐体12C内には、電源である電池19が装填される。電池19のプラス極は例えば接点20に電気的に接続され、接点20はメインスイッチ21の一方の端子に接続される。また、メインスイッチ21の他方の端子は光源用回路基板22に接続される。一方、電池19のマイナス極は例えば接点23に電気的に接続され、接点23は検出スイッチ24に接続される。
【0016】
検出スイッチ24は、導電性の材料からなるピン25と、ピン25の周囲を取り囲む合成樹脂などからなる絶縁物材26と、ピン25に付勢力を与える付勢部材27とから構成される。ピン25の一端は光源ユニット12の筐体12C内に配置されるが、他端は筐体12Cの外へ突出する。筐体12Cは導電性材料から形成され、筐体12Cとピン25との間は絶縁部材26により絶縁される。また、ピン25は絶縁部材26内において軸方向に摺動自在である。なお、ピン25と絶縁部材26の断面図を図2に示す。
【0017】
ピン25の先端はスプリングなどの付勢部材27により光源ユニット12の筐体12Cの外部へと押し出されているが、その先端が付勢部材27の付勢力に抗して押し戻されるとピン25は筐体12C内に向けて引っ込められる。なお、ピン25の根本部には、ピン25が筐体12Cから抜け落ちないように図示しない係止機構が設けられる。またピン25は接点23と電気的に接続されるが、本実施形態では、付勢部材27として導電性を有するコイルスプリングが用いられるため、コイルスプリング27を介して電池19のマイナス極と電気的に接続される。
【0018】
光源用回路基板22には、例えばLEDなどの光源28が取り付けられる。光源28は、光源用回路基板22に設けられた光源駆動回路によりその点灯が駆動制御され、光源28から照射された光は照明用レンズ29を介して射出される。また、光源用回路基板22の光源駆動回路は、光源ユニット12の筐体12Cにアースされる。
【0019】
光源ユニット12の筐体12Cには内視鏡取付部12Aが一体的に形成される。内視鏡取付部12Aは、光源ユニット12を内視鏡本体11へ取り付けるときに、光源ユニット取付部11Aに連結される連結部である。内視鏡取付部12Aは光源ユニット取付部11Aと同径の円筒形状を呈し、その外周面には雄ネジ12Mが設けられ、雄ネジ12Mには、その内周面に雌ネジが形成された回転リング部材12Rが螺嵌される。
【0020】
内視鏡取付部12Aの頂面の略中央には、光源28および照明用レンズ29が納められた円筒形の光源部12Lが形成され、内視鏡取付部12Aの円筒軸に沿って延出する。また、内視鏡取付部12Aにおいて、内視鏡取付部11Aの外周面に螺嵌された回転リング12Rに囲まれ、内視鏡取付部12Aの外周面と光源部12Lの根本部とを連絡する内視鏡取付部12Aの頂面には、検出スイッチ24が設けられる。検出スイッチ24は、そのピン25の軸が内視鏡取付部12Aの円筒軸に平行になるように配置され、ピン25と筐体12Cとの間は絶縁部材16によって絶縁される。
【0021】
光源ユニット12を内視鏡本体11へ取り付ける際には、光源部12Lが光源ユニット取付部11Aの窪部11Rに挿入されるとともに、回転リング12Rの雌ネジが、手動回転操作により光源ユニット取付部11Aの雄ネジ11Mに螺合される。すなわち、回転リング12Rが回転されると、回転リング12Rは内視鏡取付部12Aの雄ネジ12Mから螺脱される方向に進むとともに、光源ユニット取付部11Aの雄ネジ11Mに螺合され、光源ユニット12の内視鏡本体11への取り付けが完了する。なお内視鏡取付部12Aには、回転リング12Rが完全に内視鏡取付部12Aから脱落しないように、図示しない係止機構が設けられている。
【0022】
光源ユニット12の光源部12Lが、光源ユニット取付部11Aの窪部11Rに挿入されると、内視鏡取付部12Aから突出する検出スイッチ24のピン25は、窪部11Rを取り囲む光源ユニット11Aの頂面にピン25の先端が当接し、ピン25は筐体12内に向けて押し込まれる。なお、このときの検出スイッチ24の周囲の状態を図3に部分的な拡大図として示す。
【0023】
光源ユニット取付部11A、雄ネジ11M、回転リング12R、雄ネジ12M、内視鏡取付部12Aは、導電性の素材から形成され、内視鏡取付部12Aは筐体12Cと一体的である。したがって、光源ユニット12が内視鏡本体11に装着されると、ピン25は、光源ユニット取付部11Aの窪部11Rを取り囲む頂面に接触するため、ピン25は光源ユニット取付部11A、雄ネジ11M、回転リング12R、雄ネジ12M、内視鏡取付部12Aを通して光源駆動回路のアースである光源ユニット12の筐体12Cと電気的に接続される。これにより、光源ユニット12が内視鏡本体11から装着された状態で、メインスイッチ21がオン状態にされると、電池19から光源駆動回路へと電力が供給され、光源28が点灯される。
【0024】
一方、光源ユニット12が内視鏡本体11から取り外されているときには、ピン25は筐体12Cから絶縁されているため、光源駆動回路は電池19のマイナス極と電気的に絶縁されており、メインスイッチ21をオン状態としても、光源用駆動回路に電力が供給されることはなく、光源28が点灯されることはない。
【0025】
以上のように、第1の実施形態によれば、光源ユニットが携帯内視鏡本体から取り外された状態では、光源の電源が常にオフ状態とされ、例えメインスイッチをオフし忘れたときでも、光源は消灯され、電池を無駄に消耗することが防止される。
【0026】
次に図4、図5を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。図4は、第2の実施形態の構成を示す模式的なブロック図であり、図5は、検出スイッチ近傍の部分拡大模式図である。
【0027】
第2の実施形態において、検出スイッチに関わる構成以外の構成は第1の実施形態と同様であるためその説明を省略する。また、第1の実施形態と同様の構成には同一参照符号を用いる。
【0028】
第1の実施形態では、導電性のピン25に電源の一方の極を接続するとともに筐体12Cを光源駆動回路のアースとし、光源ユニット12が内視鏡本体11に装着されたときに、ピン25を光源ユニット取付部11Aに接触させて、導電性の光源ユニット取付部11A、雄ネジ11M、回転リング12R、雄ネジ12M、内視鏡取付部12A、筐体12Cを通して検出スイッチがオンされる構成としたが、第2の実施形態では、検出スイッチとしてプッシュスイッチ31を用いる。
【0029】
すなわち、第2の実施形態では、光源用回路基板22に光源駆動回路と電源である電池19の何れか一方の極との間にプッシュスイッチ31を接続する。第1の実施形態と同様に、プッシュスイッチ31は、内視鏡取付部12Aにおける回転リング12Rと光源部12Lの間の頂面に設けられ、プッシュスイッチ31の操作ピン32は、その軸が内視鏡取付部12Aの円筒軸に沿って配置される。操作ピン32の基端部は、スイッチ33に連結され、操作ピン32は外側に向けてバネなどの付勢手段により付勢される。
【0030】
光源ユニット12が内視鏡本体11に取り付けられると、第1の実施形態のピン25と同様に操作ピン32の先端は、窪部11Rを取り囲む光源ユニット取付部11Aの頂面と当接し、操作ピン32は付勢力に抗して押し下げられる。これによりプッシュスイッチ31のスイッチ33がオン状態とされる。また、光源ユニット12が内視鏡本体11に取り外されると、操作ピン32はバネの付勢力で押し出され、スイッチ33がオフ状態とされる。これにより、電池19から電源用駆動回路への電力の供給は停止される。
【0031】
なお、図5に光源ユニット12が内視鏡本体11に取り付けられ、プッシュスイッチ31がオンされた状態が模式的に示される。なお本図では、雄ネジ11M、回転リング12R、雄ネジ12Mが省略されている。
【0032】
以上のように、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0033】
なお、本実施形態では、1つのピンを用いた検出スイッチの構成のみ示したが、例えば、第1の実施形態の検出スイッチを2個設け、2つのピンが導電性を有する光源ユニット取付部11Aに接触することにより、2つのピンを導通させてスイッチのオン状態を実現する構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1の実施形態の携帯内視鏡の模式的なブロック図である。
【図2】ピンと絶縁部材の横断面図である。
【図3】第1の実施形態の検出スイッチがオン状態されたときの部分的な拡大図である。
【図4】第2の実施形態の携帯内視鏡の模式的なブロック図である。
【図5】第2の実施形態の検出スイッチがオン状態されたときの部分的な拡大図である。
【符号の説明】
【0035】
10、30 携帯内視鏡
11 内視鏡本体
12 光源ユニット
12C 筐体
24 検出スイッチ
25 導電性のピン
31 検出スイッチ(プッシュスイッチ)
32 ピン(操作ピン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡本体と前記内視鏡本体に着脱自在な光源ユニットとを備える携帯内視鏡において、前記光源ユニットが前記内視鏡本体から取り外された状態において前記光源ユニットの光源をオフ状態とし、前記光源ユニットが前記内視鏡本体に取り付けられた状態において前記光源ユニットの光源をオン状態とするスイッチ機構であって、
前記スイッチ機構はピンを備え、前記光源ユニットが前記内視鏡本体に装着されたときに前記ピンが前記内視鏡本体に当接して前記光源がオン状態とされ、前記光源ユニットが前記内視鏡本体から取り外されたときに前記ピンが前記内視鏡本体から離接されて前記光源がオフ状態とされる
ことを特徴とする携帯内視鏡のスイッチ機構。
【請求項2】
前記ピンが導電性の素材から構成され、前記ピンが前記内視鏡本体に当接することにより前記ピンと前記内視鏡本体とが導通され、これにより前記光源がオン状態とされることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ機構。
【請求項3】
前記ピンと前記内視鏡本体とが当接されたときに、前記光源ユニットの筐体および前記内視鏡本体の光源ユニット取付部を通して電流が流れることにより前記光源がオン状態とされることを特徴とする請求項2に記載のスイッチ機構。
【請求項4】
前記ピンがプッシュスイッチの操作ピンであることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ機構。
【請求項5】
内視鏡本体と前記内視鏡本体に着脱自在な光源ユニットとを備える携帯内視鏡であって、
前記光源ユニットが前記内視鏡本体から取り外された状態において前記光源ユニットの光源をオフ状態とし、前記光源ユニットが前記内視鏡本体に取り付けられた状態において前記光源ユニットの光源をオン状態とするスイッチ機構を備え、
前記スイッチ機構はピンを備え、前記光源ユニットが前記内視鏡本体に装着されたときに前記ピンが前記内視鏡本体に当接して前記光源がオン状態とされ、前記光源ユニットが前記内視鏡本体から取り外されたときに前記ピンが前記内視鏡本体から離接されて前記光源がオフ状態とされる
ことを特徴とする携帯内視鏡。
【請求項6】
携帯内視鏡の内視鏡本体に着脱自在な光源ユニットであって、
前記光源ユニットは前記内視鏡本体から取り外された状態において前記光源ユニットの光源をオフ状態とし、前記光源ユニットが前記内視鏡本体に取り付けられた状態において前記光源ユニットの光源をオン状態とするスイッチ機構を備え、
前記スイッチ機構はピンを備え、前記光源ユニットが前記内視鏡本体に装着されたときに前記ピンが前記内視鏡本体に当接して前記光源がオン状態とされ、前記光源ユニットが前記内視鏡本体から取り外されたときに前記ピンが前記内視鏡本体から離接されて前記光源がオフ状態とされる
ことを特徴とする光源ユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−43666(P2008−43666A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224441(P2006−224441)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】