説明

携帯型電子機器

【課題】 金属性のヒンジフレームと金属性のホルダとが互いに連結された携帯型電子機器において、必要な連結強度を維持し且つ金属紛が発生することのない携帯型電子機器を提供する。
【解決手段】 本発明に係る携帯型電子機器は、第1筐体1と第2筐体2とが金属製のヒンジフレーム50を介して互いに開閉可能に連結され、第2筐体2の内部には、液晶ディスプレイを保持する金属製のホルダ4が配備されている。ヒンジフレーム50は、その一端に一対の支持アーム52、52を有し、該一対の支持アーム52、52とホルダ4の両端部とが、一対の合成樹脂製のU字状連結部材6、6を介してそれぞれ互いに連結され、ヒンジフレーム50の他端が、第1筐体1に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式携帯電話機、ノート型パーソナルコンピュータ等の折り畳み式携帯型電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、折り畳み式携帯電話機においては、操作キーを具えた第1筐体と液晶ディスプレイを具えた第2筐体とが、ヒンジ機構を介して互いに開閉可能に連結されている(特許文献1参照)。
【0003】
該折り畳み式携帯電話機においては、前記ヒンジ機構を金属製のヒンジフレームで構成したものが知られており、該ヒンジフレームは、その一端に一対の支持アームを有している。該一対の支持アームは、前記第2筐体内に配備された液晶ディスプレイを保持する金属製のホルダの両端部に連結され、ヒンジフレームの他端は、前記第1筐体に連結されている。
【特許文献1】特開平11−41328号公報 [H04M 1/02]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の折り畳み式携帯電話機においては、前記ヒンジフレームの一対の支持アームと前記第2筐体内に配備されたホルダの両端部とがビスにより互いに連結されており、然もヒンジフレームとホルダとが共に金属製であるため、組立工程における両者の締結時に、ヒンジフレーム及びホルダがビスによりタッピングされることにより、ヒンジフレーム及びホルダから金属紛が発生する。
又、経年使用に伴ってヒンジフレームとホルダの間の締結に緩みが生じると、一対の筐体の開閉動作に伴うヒンジフレーム及びホルダとビスとの間の摩擦によって、金属紛が発生することがあった。
上記の如く金属紛が発生した場合、金属紛が前記ホルダの表面に実装された電子部品等に付着して、短絡不良が発生することがあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、金属性のヒンジフレームと金属性のホルダとが互いに連結された携帯型電子機器において、必要な連結強度を維持し且つヒンジフレームとホルダの摩擦によって金属紛が発生することのない携帯型電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る携帯型電子機器は、一対の筐体(1)(2)が金属製のヒンジフレーム(50)を介して互いに開閉可能に連結され、前記一対の筐体(1)(2)の内、一方の筐体の内部には、電子部品を保持する金属製のホルダ(4)が配備され、前記ヒンジフレーム(50)の一端には、一対の支持アーム(52)(52)を有して、該一対の支持アーム(52)(52)と前記ホルダ(4)の両端部とが互いに連結されると共に、前記ヒンジフレーム(50)の他端が他方の筐体に連結されている。
前記ヒンジフレーム(50)の一対の支持アーム(52)(52)と前記ホルダ(4)の両端部との間には、一対の合成樹脂製のU字状連結部材(6)(6)が介在し、前記ヒンジフレーム(50)の一対の支持アーム(52)(52)はそれぞれ、該支持アームの長手方向に沿って伸びると共に前記ホルダ(4)の端部との間にU字状連結部材(6)を挟んで互いに対向する一対の連結部材挟持面(55)(55)を有し、各U字状連結部材(6)は、前記支持アーム(52)の一対の連結部材挟持面(55)(55)にそれぞれ摺接する一対のアーム摺接面(66)(66)と、前記ホルダ(4)の端部を挟持する一対のホルダ挟持面(67)(67)とを有している。
各U字状連結部材(6)とヒンジフレーム(50)の各支持アーム(52)との対向部には、U字状連結部材(6)と支持アーム(52)の互いの離脱を阻止する第1抜け止め構造が形成されると共に、各U字状連結部材(6)と前記ホルダ(4)の端部との間には、U字状連結部材(6)とホルダ(4)の互いの離脱を阻止する第2抜け止め構造が形成されている。
【0007】
上記本発明の携帯型電子機器において、U字状連結部材(6)の一対のホルダ挟持面(67)(67)がホルダ(4)の両端部にそれぞれ摺接して、U字状連結部材(6)がホルダ(4)を狭持すると共に、U字状連結部材(6)の一対のアーム摺接面(66)(66)がヒンジフレーム(50)の支持アーム(52)に形成された一対の連結部材挟持面(55)(55)にそれぞれ摺接して、U字状連結部材(6)がヒンジフレーム(50)の支持アーム(52)に狭持される。これにより、U字状連結部材(6)は、ホルダ(4)の端部とヒンジフレーム(50)の支持アーム(52)との間に挟まれて、前記支持アーム(52)の長手方向に垂直な方向に対して弾性変形不能に拘束されている。
前記一対の筐体の開閉動作に伴って、U字状連結部材(6)には、支持アーム(52)の長手方向に垂直な方向の力が作用するが、U字状連結部材(6)が前記支持アーム(52)の長手方向に垂直な方向に対して弾性変形することはなく、これにより、ホルダ(4)とヒンジフレーム(50)とが、U字状連結部材(6)を介して必要な強度を維持して連結されることになる。
従って、ホルダ(4)とヒンジフレーム(50)とをビス止めする必要はない。又、金属性のホルダ(4)と金属製のヒンジフレーム(50)とが、合成樹脂製のU字状連結部材(6)を間に挟んで互いに連結されており、直接に接触することはないので、金属粉が発生することはない。
【0008】
具体的構成において、前記U字状連結部材(6)の一方の先端部には、他方の先端部に向けてフック部(64)が突設され、該フック部(64)に対向する前記ホルダ(4)の対向面には、該フック部(64)と係合する凹部(47)が凹設されると共に、該凹部(47)には、前記ヒンジフレーム(50)の各支持アーム(52)の長手方向に交叉する方向に拡がって前記フック部(64)を受け止める第1抜け止め面(48)が形成される。
又、前記フック部(64)に対向する前記ヒンジフレーム(50)の各支持アーム(52)の対向面には、該フック部(64)と係合する鉤部(56)が突設されると共に、該鉤部(56)には、前記ホルダ(4)の凹部(47)の第1抜け止め面(48)との間に、前記U字状連結部材(6)のフック部(64)を挟み込む第2抜け止め面(57)が形成される。
そして、前記第1抜け止め構造は、前記U字状連結部材(6)のフック部(64)と、ヒンジフレーム(50)の各支持アーム(52)の鉤部(56)とから構成され、前記第2抜け止め構造は、前記U字状連結部材(6)のフック部(64)と、前記ホルダ(4)の凹部(47)とから構成される。
【0009】
該具体的構成によれば、前記一対の開閉動作に伴って、U字状連結部材(6)にホルダ(4)の離脱方向の力が作用した場合には、U字状連結部材(6)のフック部(64)は、ホルダ(4)の凹部(47)に形成された第1抜け止め面(48)と支持アーム(52)の鉤部(56)に形成された第2抜け止め面(57)とによって狭圧されることになる。これにより、U字状連結部材(6)は、ホルダ(4)の離脱方向の力に対して大きな抗力を発揮する。従って、例えば、前記一対の筐体を開いた状態で、誤って床面に落下させた場合に、両筐体に開き方向の大きな衝撃力が加わって、両筐体に許容限度以上の拡開力が作用したとしても、ホルダ(4)及びU字状連結部材(6)がヒンジフレーム(50)から離脱することはない。
【0010】
又、具体的構成において、前記ホルダ(4)の両端部には、一対の連結部(41)(41)が外側に向けて突設され、該一対の連結部(41)(41)と前記ヒンジフレーム(50)の一対の支持アーム(52)(52)とが、前記一対のU字状連結部材(6)(6)を介して互いに連結される。
更に、前記U字状連結部材(6)の外周面(61)の両側縁には、前記支持アーム(52)の両側面とそれぞれ対向するフランジ部(63)が突設されると共に、前記ホルダ(4)の各連結部(41)には、前記U字状連結部材(6)のフランジ部(63)の両外側面とそれぞれ対向する一対の壁部が突設されている。
【0011】
該具体的構成によれば、U字状連結部材(6)のフランジ部(63)の一対の内側面が、ヒンジフレーム(50)の支持アーム(52)の両側面にそれぞれ摺接し、該フランジ部(63)の一対の外側面が、ホルダ(4)の端部に突設された一対の壁部にそれぞれ摺接して、U字状連結部材(6)は、ヒンジフレーム(50)の支持アーム(52)とホルダ(4)との間の、前記ヒンジフレーム(50)の回転軸方向の所定位置に拘束されて保持されることになる。これにより、例えば、落下等によって、ヒンジフレーム(50)の回転軸に沿う方向の力がホルダ(4)及びU字状連結部材(6)に作用したとしても、U字状連結部材(6)がホルダ(4)及びヒンジフレーム(50)から離脱することはない。
【発明の効果】
【0012】
本発明の携帯型電子機器によれば、金属製のホルダと金属製のヒンジフレームとを必要な強度を維持して連結することが出来、然も、金属紛が発生することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を折り畳み式携帯電話機に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係る折り畳み式携帯電話機は、図1及び図2に示す如く、複数の操作キー(11)が配備された第1筐体(1)と、表面ディスプレイ(31)及び背面ディスプレイ(32)が配備された第2筐体(2)とを具え、第1筐体(1)の基端部と第2筐体(2)の基端部の間にはヒンジ機構(5)が配備され、該ヒンジ機構(5)によって、両筐体(1)(2)が互いに開閉可能に連結されている。
【0014】
図3に示す如く、第2筐体(2)は、表面ディスプレイ(31)及び背面ディスプレイ(図示省略)が配備されたLCDアセンブリ(3)と、LCDアセンブリ(3)の表面を覆う表面カバー(21)と、LCDアセンブリ(3)の背面を覆う背面カバー(22)とから構成される。
ヒンジ機構(5)は、金属製のヒンジフレーム(50)によって構成されており、ヒンジフレーム(50)の一端が第1筐体(1)に連結されると共に、ヒンジフレーム(50)の他端には一対の支持アーム(52)(52)を有し、該一対の支持アーム(52)(52)が、後述する一対のU字状連結部材(6)(6)を介して、LCDアセンブリ(3)の両端部に連結されている。
【0015】
図4(a)は、ヒンジフレーム(50)、一対のU字状連結部材(6)(6)及びLCDアセンブリ(3)の連結前の状態を示しており、図4(b)は、連結後の状態を示している。図4(a)に示す如く、ヒンジフレーム(50)は、一対の支持アーム(52)(52)と、該一対の支持アーム(52)(52)を回動可能に支持する支持部(51)とを具えている。支持部(51)には、一対の枢軸(53)(53)と、両枢軸(53)(53)の間を連繋するブリッジ部(59)と、一対のネジ孔(54)(54)とが配備され、前記第1筐体(1)の背面から上方に向けて2本のビス(図示省略)がねじ込まれ、両ビスが一対のネジ孔(54)(54)を貫通し、その先端部が前記第1筐体(1)の表面に螺合している。これによって、ヒンジフレーム(50)の支持部(51)は、第1筐体(1)に連結されている。
ヒンジフレーム(50)の各支持アーム(52)の先端部はU字状を呈し、U字状に屈曲した内周面には、支持アーム(52)の長手方向に沿って伸びて互いに対向する一対の連結部材挟持面(55)(55)が形成されている。更に、各支持アーム(52)の一方の先端部には、他方の先端部に向けて突出する鉤部(56)が形成されている。
【0016】
LCDアセンブリ(3)は、表面ディスプレイ(31)(図2参照)と、背面ディスプレイ(32)と、両ディスプレイ(31)(32)及び両ディスプレイ(31)(32)を駆動するための回路基板(33)を保持する金属製のホルダ(4)とを具え、該ホルダ(4)の両端部には、ヒンジフレーム(50)の一対の支持アーム(52)(52)にそれぞれ連結される連結部(41)(41)が突設されている。
【0017】
ホルダ(4)の各連結部(41)とヒンジフレーム(50)の各支持アーム(52)に形成された一対の連結部材挟持面(55)(55)との間には、合成樹脂製のU字状連結部材(6)が取り付けられ、一対のU字状連結部材(6)(6)によって、ヒンジフレーム(50)の一対の支持アームとホルダ(4)の両端部に突設された一対の連結部(41)(41)とが互いに連結されている。
これによって、前記第1筐体(1)と前記第2筐体(2)とが、ヒンジフレーム(50)を介して、該ヒンジフレーム(50)の一対の枢軸(53)(53)を中心に回動可能に連結されることになる。
【0018】
図5及び図6に示す如く、U字状連結部材(6)は、U字状に屈曲する外周面(61)及び内周面(62)を有し、該内周面(62)には、前記ホルダ(4)の連結部(41)に摺接して該連結部(41)を挟持する一対のホルダ挟持面(67)(67)が形成され、外周面(61)には、前記ヒンジフレーム(50)の支持アーム(52)に形成された一対の連結部材挟持面(55)(55)にそれぞれ摺接する一対のアーム摺接面(66)(66)が形成されている。更に、U字状連結部材(6)の外周面(61)には、該外周面(61)の両側縁から垂直にフランジ部(63)が突設されている。U字状連結部材(6)の一方の先端部には、他方の先端部に向けてフック部(64)が突設され、他方の先端部には、該フック部(64)の突出方向と同方向に屈曲する屈曲部(65)が形成されている。
【0019】
図7乃至図10に示す如く、ホルダ(4)の端部に突設された連結部(41)は、その表面及び裏面に、前記U字状連結部材(6)の内周面(62)に形成された一対のホルダ挟持面(67)(67)にそれぞれ摺接する一対の連結部材摺接面(42)(42)と、表面側の連結部材摺接面(42)に突設され、前記U字状連結部材(6)のフランジ部(63)の両外側面にそれぞれ対向する一対の上壁部(43)(43)と、裏面側の連結部材摺接面(42)に凹設されて前記U字状連結部材(6)の一方の先端部に突設されたフック部(64)が嵌まる凹部(47)と、裏面側の連結部材摺接面(42)の外側縁に突設されて前記U字状連結部材(6)のフランジ部(63)の外側面に対向する下壁部(46)とを有している。
【0020】
図11乃至図15は、ヒンジフレーム(50)、一対のU字状連結部材(6)(6)及びLCDアセンブリ(3)の連結状態を示しており、図12及び図13に示す如く、ホルダ(4)の連結部(41)の裏面に凹設された凹部(47)には、ヒンジフレーム(50)の支持アーム(52)の長手方向に交叉する方向に拡がる第1抜け止め面(48)が形成され、支持アーム(52)の一方の先端に形成された鉤部(56)には、ホルダ(4)の凹部(47)に形成された第1抜け止め面(48)との間に、U字状連結部材(6)のフック部(64)を支持アーム(52)の長手方向に沿って挟み込む第2抜け止め面(57)が形成されている。一方、U字状連結部材(6)のフック部(64)には、ホルダ(4)の凹部(47)に形成された第1抜け止め面(48)に対向してホルダ(4)を受け止めるホルダ受け止め面(68)と、支持アーム(52)の鉤部(56)に形成された第2抜け止め面(57)と対向して支持アーム(52)を受け止めるアーム受け止め面(69)とが形成されている。
更に、ヒンジフレーム(50)の支持アーム(52)の一対の連結部材挟持面(55)(55)の内、ホルダ(4)の連結部(41)の裏面に対向する一方の連結部材挟持面(55)には、
U字状連結部材(6)が連結された支持アーム(52)をホルダ(4)の連結部(41)に連結する際、U字状連結部材(6)の先端に形成したフック部(64)がホルダ(4)の連結部(41)の裏面側の連結部材摺接面(42)に当接することによるU字状連結部材(6)の弾性変形を許容する逃げ部(58)が凹設されている。
【0021】
U字状連結部材(6)は、その内周面(62)に形成した一対のホルダ挟持面(67)(67)が、ホルダ(4)の連結部(41)に形成した一対の連結部材摺接面(42)(42)にそれぞれ摺接して、ホルダ(4)の連結部(41)を狭持すると共に、その外周面(61)に形成した一対のアーム摺接面(66)(66)が、ヒンジフレーム(50)の支持アーム(52)に形成した一対の連結部材挟持面(55)(55)にそれぞれ摺接して、ヒンジフレーム(50)の支持アーム(52)に狭持されている。これにより、U字状連結部材(6)は、ホルダ(4)の連結部(41)とヒンジフレーム(50)の支持アーム(52)との間に挟まれて、支持アーム(50)の長手方向に交叉する方向の弾性変形不能に拘束されるので、前記第1筐体(1)及び第2筐体(2)の開閉動作に伴って、U字状連結部材(6)に支持アーム(50)の長手方向に交叉する方向の力が作用しても、U字状連結部材(6)が弾性変形することはなく、この結果、ホルダ(4)とヒンジフレーム(50)とが、U字状連結部材(6)を介して必要な強度を維持して互いに連結されることになる。
従って、ホルダ(4)とヒンジフレーム(50)とをビス止めする必要はなく、金属製のホルダ(4)と金属製のヒンジフレーム(50)とが、合成樹脂製のU字状連結部材(6)を間に挟んで互いに連結されて、直接に接触することはないので、金属粉が発生することはない。
【0022】
又、例えば、前記第1筐体(1)及び第2筐体(2)を開いた状態で誤って床面に落下させた場合、第1及び第2筐体(1)(2)に開き方向の大きな衝撃力が加わって、第2筐体(2)が許容限度以上に開かれることによって、U字状連結部材(6)に、ホルダ(4)の離脱方向の大きな力が作用すると、U字状連結部材(6)のフック部(64)は、ホルダ(4)の凹部(47)に形成された第1抜け止め面(48)と支持アーム(52)の鉤部(56)に形成された第2抜け止め面(57)とによって狭圧される。これにより、U字状連結部材(6)は、ホルダ(4)の離脱方向の力に対して大きな抗力を発揮する。従って、ホルダ(4)及びU字状連結部材(6)がヒンジフレーム(50)から離脱することはない。
【0023】
更に、落下等により、ヒンジフレーム(50)の一対の枢軸(53)(53)に沿う方向の力がU字状連結部材(6)及びホルダ(4)に作用したとしても、図14及び図15に示す如く、U字状連結部材(6)のフランジ部(63)の互いに対向する一対の両内側面が、ヒンジフレーム(50)の支持アーム(52)の両側面にそれぞれ摺接し、該フランジ部(63)の両外側面が、ホルダ(4)の裏面側の連結部材摺接面(42)に突設さした下壁部(43)とホルダ(4)の表面側の連結部材摺接面(42)に突設した上壁部(46)にそれぞれ摺接しているので、U字状連結部材(6)は、ヒンジフレーム(50)の支持アーム(52)とホルダ(4)との間に拘束されることになる。従って、ホルダ(4)及びU字状連結部材(6)がヒンジフレーム(50)から離脱することはない。
【0024】
一方、図16乃至図18に示す如く、第1筐体(1)は、表面に操作キー(11)(図1参照)が配備された上ケース半体(12)と、上ケース半体(12)と係合する下ケース半体(13)と、上ケース半体(12)と下ケース半体(13)との間の開口(15)を閉塞するためのカバー部材(7)とから構成される。又、該開口(15)から露出したヒンジフレーム(50)の支持部(51)とカバー部材(7)との間には、ヒンジフレーム(50)とカバー部材(7)とを互いに連結するための2つの連結片(8)(8)が介在している。
下ケース半体(13)には、SDカードを挿入するための開口を閉塞するSDカードカバー(17)が取り付けられている。
【0025】
図19乃至図21に示す如く、カバー部材(7)は、前記開口(15)を閉塞する本体部(71)と、該本体部(71)に突設されて前記第1筐体(1)の上ケース半体(12)の表面に沿って伸びる上カバー部(72)とを有している。本体部(71)の前記上ケース半体(12)との係合部には、該上ケース半体(12)と係合する複数の上係合片(75)〜(75)が突設され、本体部(71)の前記下ケース半体(13)との係合部には、該下ケース半体(13)と係合する複数の下係合片(76)〜(76)が突設されている。
更に、本体部(71)の裏面には、前記一対の連結片(8)(8)とそれぞれ係合する一対の鉤部(74)(74)と、前記下ケース半体(13)の上端面に突設された一対の凹状係合部(14)(14)とそれぞれ係合する一対の爪部(73)(73)とが突設されている。
【0026】
図22に示す如く、各連結片(8)は、平板状の基端部(81)と、該基端部(81)に突設されて互いに平行に伸びる第1突片(82)及び第2突片(83)と、該第1突片(82)の先端部から第2突片(83)に向けて突出するフック部(84)と、第2突片(83)が突設された基端部(81)の一方の端部から該基端部(81)に沿って伸びる第3突片(85)とを有している。
【0027】
第1筐体(1)の組み立てにおいては、先ず、図16に示す如く、ヒンジフレーム(50)が連結された第2筐体(2)に第1筐体(1)の上ケース半体(12)を取り付けた後、該上ケース半体(12)にカバー部材(7)を取り付ける。この状態で、図17に示す如く、ヒンジフレーム(50)の支持部(51)のブリッジ部(59)は、開口(15)から露出しており、図18に示す如く、2つの連結片(8)(8)は、カバー部材(7)の下ケース半体(13)との係合部に突設された一対の下係合片(76)(76)の間にそれぞれ挿入され、ブリッジ部(59)を挟持してヒンジフレーム(50)に取り付けられる。このとき、各連結片(8)は、カバー部材(7)の一対の下係合片(76)の間に挟持され、ヒンジフレーム(50)の一対の枢軸(53)(53)方向の所定位置に保持される。
【0028】
その後、下ケース半体(13)が取り付けられ、下ケース半体(13)と上ケース半体(12)とが互いに係合すると共に、下ケース半体(13)の上端面に突設された一対の凹状係合部(14)(14)が、カバー部材(7)の一対の爪部(73)(73)とそれぞれ係合して、第1筐体(1)が組み立てられることになる。
【0029】
図23乃至図25は、第1筐体(1)にカバー部材(7)を取り付けた通常の使用状態を示しており、図24に示す如く、連結片(8)の第1突片(82)及び第2突片(83)は、前記ヒンジフレーム(50)の一対の枢軸(53)(53)方向(図24の紙面貫通方向)に直交する第1方向に交叉して基端部(81)から伸びており、該第1突片(82)及び第2突片(83)の互いに対向する一対の対向面の間にヒンジフレーム(50)のブリッジ部(59)を挟持している。
又、第1方向に交叉して形成された連結片(8)の第2突片(83)の第1受け止め面(86)と、該第1受け止め面(86)に対向して形成されたカバー部材(7)の鉤部(74)の第1連結片摺接面(77)とが互いに摺接している。
前記ヒンジフレーム(50)の一対の枢軸(53)(53)方向及び第1方向に直交する第2方向に交叉して形成された連結片(8)の第3突片(85)の第2受け止め面(87)と、該第2受け止め面(87)に対向して形成されたカバー部材(7)の鉤部(74)の第2連結片摺接面(78)とが互いに摺接している。
又、第2方向に交叉して形成された連結片(8)のフック部(84)のフレーム摺接面(88)はヒンジフレーム(50)のブリッジ部(59)に摺接している。
【0030】
この状態において、例えば、前記第1筐体(1)及び第2筐体(2)を開いた状態で、誤って床面に落下させることにより、第1及び第2筐体(1)(2)に開き方向の大きな衝撃力が加わって、第1筐体(1)が許容限度以上に開かれた場合、カバー部材(7)には、第1方向及び第2方向の力が加わることになる。
【0031】
カバー部材(7)に第1方向の力F1が加わると、カバー部材(7)の鉤部(74)が連結片(8)の第2突片(83)に受け止められて、該第1方向の力F1は、連結片(8)の第2突片(83)を介して連結片(8)に伝達される。更に、連結片(8)の第2突片(83)がヒンジフレーム(50)のブリッジ部(59)によって受け止められて、該第1方向の力F1は、連結片(8)を介してヒンジフレーム(50)に伝達されることになる。ヒンジフレーム(50)は金属製であり、高い剛性を有するので、該第1方向の力F1に対して大きな抗力を発揮する。従って、カバー部材(7)が第1筐体(1)から外れることはない。
【0032】
又、カバー部材(7)に第2方向の力F2が加わると、カバー部材(7)の鉤部(74)が連結片(8)の第3突片(85)に受け止められて、該第2方向の力F2は、連結片(8)の第3突片(85)を介して連結片(8)に伝達される。更に、連結片(8)のフック部(84)が前記ヒンジフレーム(50)のブリッジ部(59)によって受け止められて、該第2方向の力F2は、連結片(8)を介してヒンジフレーム(50)に伝達されることになる。従って、ヒンジフレーム(50)は、第2方向の力F2に対しても大きな抗力を発揮するので、第1方向の力F1と第2方向の力F2の合力からなる任意方向の力がカバー部材(7)に加わったとしても、カバー部材(7)及び連結片(8)が、ヒンジフレーム(50)から離脱することはない。
このため、カバー部材(7)を筐体にビス止めする必要がなく、組み立ては容易である。
【0033】
更に、図25に示す如く、カバー部材(7)は、本体部(71)の裏面に突設された爪部(73)が、下ケース半体(13)の凹状係合部(14)と互いに係合して、第1筐体(1)に取り付けられているので、カバー部材(7)は、第1筐体(1)の開口(15)を閉塞した状態に確実に保持されることになる。
【0034】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態においては、U字状連結部材(6)のフック部(64)とヒンジフレーム(50)の各支持アーム(52)の鉤部(56)とにより、U字状連結部材(6)と支持アーム(52)の互いの離脱を阻止する第1抜け止め構造を構成し、U字状連結部材(6)のフック部(64)と、前記ホルダ(4)の凹部(47)とにより、U字状連結部材(6)とホルダ(4)の互いの離脱を阻止する第2抜け止め構造を構成したが、これに限るものではなく、第1及び第2の抜け止め構造を他の周知の抜け止め構造から構成することも可能である。
又、ヒンジフレーム(50)及びカバー部材(7)とそれぞれ係合する連結片(8)の形状は、本実施例の形状に限るものではなく、ヒンジフレーム(50)との係合部、及びカバー部材(7)との係合部にそれぞれ、カバー部材(7)を筐体から離脱させる方向に作用する力を受け止める受け止め構造を具えた他の形状を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る折り畳み式携帯電話機の開いた状態を示す斜視図である。
【図2】該折り畳み式携帯電話機の閉じた状態を示す斜視図である。
【図3】第2筐体とヒンジフレームとの連結構造を示す分解斜視図である。
【図4】ヒンジフレーム、U字状連結部材及びLCDアセンブリの連結前の状態及び連結後の状態を示す分解斜視図である。
【図5】U字状連結部材を上方から見た斜視図である。
【図6】U字状連結部材を下方から見た斜視図である。
【図7】LCDアセンブリを表面側から見た斜視図である。
【図8】図7のA部を拡大して示す斜視図である。
【図9】LCDアセンブリを表面側から見た斜視図である。
【図10】図9のB部を拡大して示す斜視図である。
【図11】ヒンジフレーム、U字状連結部材及びLCDアセンブリの連結状態を示す平面図である。
【図12】図11のX−X線に沿う断面図である。
【図13】図12のC部を拡大して示す斜視図である。
【図14】図11のY−Y線に沿う断面図である。
【図15】図14のD部を拡大して示す斜視図である。
【図16】第1筐体を構成する上ケース半体、カバー部材及び連結片の分解斜視図である。
【図17】上ケース半体にカバー部材を取り付けた状態を示す分解斜視図である。
【図18】カバー部材に連結片を取り付けた状態を示す分解斜視図である。
【図19】カバー部材の斜視図である。
【図20】カバー部材を裏面側から見た平面図である。
【図21】カバー部材を上方から見た平面図である。
【図22】連結片の斜視図である。
【図23】第1筐体を表面側から見た平面図である。
【図24】図23のG−G線に沿う断面図である。
【図25】図23のH−H線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0036】
(1) 第1筐体
(14) 凹状係合部
(15) 開口
(2) 第2筐体
(3) LCDアセンブリ
(31) 表面ディスプレイ
(32) 背面ディスプレイ
(33) 回路基板
(4) ホルダ
(41) 連結部
(42) 連結部材摺接面
(43) 上壁部
(46) 下壁部
(47) 凹部
(48) 第1抜け止め面
(5) ヒンジ機構
(50) ヒンジフレーム
(51) 支持部
(52) 支持アーム
(53) 枢軸
(54) ネジ孔
(55) 連結部材挟持面
(56) 鉤部
(57) 第2抜け止め面
(58) 逃げ部
(59) ブリッジ部
(6) U字状連結部材
(61) 外周面
(62) 内周面
(63) フランジ部
(64) フック部
(65) 屈曲部
(66) アーム摺接面
(67) ホルダ挟持面
(68) ホルダ受け止め面
(69) アーム受け止め面
(7) カバー部材
(71) 本体部
(72) 上カバー部
(73) 爪部
(74) 鉤部
(75) 上係合片
(76) 下係合片
(77) 第1連結片摺接面
(78) 第2連結片摺接面
(8) 連結片
(82) 第1突片
(83) 第2突片
(84) フック部
(85) 第3突片
(86) 第1受け止め面
(87) 第2受け止め面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の筐体(1)(2)が金属製のヒンジフレーム(50)を介して互いに開閉可能に連結され、前記一対の筐体(1)(2)の内、一方の筐体の内部には、電子部品を保持する金属製のホルダ(4)が配備され、前記ヒンジフレーム(50)の一端には、一対の支持アーム(52)(52)を有して、該一対の支持アーム(52)(52)と前記ホルダ(4)の両端部とが互いに連結されると共に、前記ヒンジフレーム(50)の他端が他方の筐体に連結されている携帯型電子機器において、前記ヒンジフレーム(50)の一対の支持アーム(52)(52)と前記ホルダ(4)の両端部との間には、一対の合成樹脂製のU字状連結部材(6)(6)が介在し、前記ヒンジフレーム(50)の一対の支持アーム(52)(52)はそれぞれ、該支持アームの長手方向に沿って伸びると共に前記ホルダ(4)の端部との間にU字状連結部材(6)を挟んで互いに対向する一対の連結部材挟持面(55)(55)を有し、各U字状連結部材(6)は、前記支持アーム(52)の一対の連結部材挟持面(55)(55)にそれぞれ摺接する一対のアーム摺接面(66)(66)と、前記ホルダ(4)の端部を挟持する一対のホルダ挟持面(67)(67)とを有し、各U字状連結部材(6)とヒンジフレーム(50)の各支持アーム(52)との対向部には、U字状連結部材(6)と支持アーム(52)の互いの離脱を阻止する第1抜け止め構造が形成されると共に、各U字状連結部材(6)と前記ホルダ(4)の端部との間には、U字状連結部材(6)とホルダ(4)の互いの離脱を阻止する第2抜け止め構造が形成されていることを特徴とする携帯型電子機器。
【請求項2】
前記U字状連結部材(6)の一方の先端部には、他方の先端部に向けてフック部(64)が突設され、該フック部(64)に対向する前記ホルダ(4)の対向面には、該フック部(64)と係合する凹部(47)が凹設されると共に、該凹部(47)には、前記ヒンジフレーム(50)の各支持アーム(52)の長手方向に交叉する方向に拡がって前記フック部(64)を受け止める第1抜け止め面(48)が形成され、前記フック部(64)に対向する前記ヒンジフレーム(50)の各支持アーム(52)の対向面には、該フック部(64)と係合する鉤部(56)が突設されると共に、該鉤部(56)には、前記ホルダ(4)の凹部(47)の第1抜け止め面(48)との間に、前記U字状連結部材(6)のフック部(64)を挟み込む第2抜け止め面(57)が形成されて、前記第1抜け止め構造は、前記U字状連結部材(6)のフック部(64)と、ヒンジフレーム(50)の各支持アーム(52)の鉤部(56)とから構成され、前記第2抜け止め構造は、前記U字状連結部材(6)のフック部(64)と、前記ホルダ(4)の凹部(47)とから構成される請求項1に記載の携帯型電子機器。
【請求項3】
前記ホルダ(4)の両端部には、一対の連結部(41)(41)が外側に向けて突設され、該一対の連結部(41)(41)と前記ヒンジフレーム(50)の一対の支持アーム(52)(52)とが、前記一対のU字状連結部材(6)(6)を介して互いに連結される請求項1又は請求項2に記載の携帯型電子機器。
【請求項4】
前記U字状連結部材(6)の外周面(61)の両側縁には、各支持アーム(52)の両側面とそれぞれ対向するフランジ部(63)が突設されると共に、前記ホルダ(4)の各連結部(41)には、前記U字状連結部材(6)のフランジ部(63)の両外側面とそれぞれ対向する一対の壁部が突設されている請求項3に記載の携帯型電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−135718(P2006−135718A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−323319(P2004−323319)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(591218857)ミヨシ電子株式会社 (15)
【Fターム(参考)】