説明

携帯端末装置

【課題】ヒンジ部材を地線として用いることにより、装置全体の小型化及び薄型化を図るとともに、部品点数の増加を抑制し、製造コストを抑制すること。
【解決手段】第1の筐体101は、アンテナ115及びアンテナ115のグランド部112を有する。チルトヒンジ部材104a、104bは、導電性を有する材料で形成されるとともに第1の筐体101に設けられ、第1の筐体101と第2の筐体102とを回転自在に連結する。また、チルトヒンジ部材104aは、グランド部112と電気的に接触し、第1の筐体101に対する第2の筐体102の回転に伴って一部が第1の筐体101から外部に突出して地線として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばディジタルテレビ放送を視聴可能な携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折り畳みタイプの携帯電話において、地板に接続した地線を設けることにより、広帯域特性を実現するものが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、携帯電話は、地板の所定の位置に直線、屈曲または湾曲した形状を有する単数または複数の地線を配置する。これにより、特許文献1の携帯電話では、広帯域特性を得ることができる。
【特許文献1】特開2003−283238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の装置においては、地板の所定の位置に直線、屈曲または湾曲した形状を有する地線を配置するので、装置全体の小型化及び薄型化を図ることができないという問題がある。また、従来の装置においては、別部品としての地線を用いるので、部品点数が増加して、製造コストが増大するという問題がある。
【0004】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ヒンジ部材を地線として用いることにより、装置全体の小型化及び薄型化を図ることができるとともに、地線専用の部品を用いる必要がないので、部品点数の増加を抑制することができ、製造コストを抑制することができる携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の携帯端末装置は、アンテナ及び前記アンテナのグランド部を有する第1の筐体と、第2の筐体と、前記第1の筐体に設けられ、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを回転自在に連結する導電性を有するヒンジ部材と、を具備し、前記ヒンジ部材は、前記グランド部と電気的に接触し、前記回転に伴って一部が前記第1の筐体から外部に突出して地線として機能する構成を採る。
【0006】
また、本発明の携帯端末装置は、アンテナ及び前記アンテナのグランド部を有する第1の筐体と、第2の筐体と、前記第1の筐体に設けられ、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを回転自在に連結し、互いに電気的に非接触である導電性を有する第1のヒンジ部材及び第2のヒンジ部材と、を具備し、前記第1のヒンジ部材は、前記グランド部と電気的に接触し、前記回転に伴って一部が前記第1の筐体から外部に突出して地線として機能し、前記第2のヒンジ部材は、前記第1の筐体に設けられる給電部から給電されてアンテナとして機能する構成を採る。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ヒンジ部材を地線として用いることにより、装置全体の小型化及び薄型化を図ることができるとともに、地線専用の部品を用いる必要がないので、部品点数の増加を抑制することができ、製造コストを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る携帯端末装置100の平面図であり、図2は、本発明の実施の形態1に係る携帯端末装置100の正面図である。また、図3〜図5は、本発明の実施の形態1に係る携帯端末装置100の側面図である。
【0010】
携帯端末装置100は、第1の筐体101、第2の筐体102、補助部材103(図1では省略)、及びチルトヒンジ部材104a、104bから主に構成される。なお、図1及び図2において、チルトヒンジ部材104a、104b、回路基板111、グランド部112、導電接続部113、給電部114及びアンテナ115は第1の筐体101に設けられ、スライダー131a、131bは、補助部材103に設けられるとともに、その他の部材は第2の筐体102に設けられるものである。
【0011】
第1の筐体101は、平面視長方形である。
【0012】
第2の筐体102は、平面視長方形の長手方向(図1の左右方向)の両端部にガイドレール121a、121bを有する。また、第2の筐体102は、第1の筐体101に対して所定角度を設けて起き上がった状態(図1及び図3の状態、以下「開いた状態」と記載する)、第1の筐体101と重なり合った状態で第1の筐体101に対してスライドした状態(図4の状態、以下「スライド状態」と記載する)、及び第1の筐体101と重なり合う状態(図2及び図5の状態、以下「閉じた状態」と記載する)を取り得る。即ち、第2の筐体102は、閉じた状態からスライド状態、またはスライド状態から閉じた状態になり得るように、第1の筐体101に対してスライド自在に取り付けられる。即ち、第2の筐体102は、第1の筐体101に対して図4の矢印Y2方向にスライド自在に取り付けられる。
【0013】
チルトヒンジ部材104a、104bは、導電性を有する材料で形成され、第1の筐体101に設けられるとともに、第1の筐体101と第2の筐体102を回転可能に連結する。また、チルトヒンジ部材104a、104bは、導電接続部113を介してグランド部112と電気的に接続することにより地線として機能する。
【0014】
次に、第1の筐体101について、図1〜図5を用いてさらに詳細に説明する。
【0015】
第1の筐体101は、回路基板111、グランド部112、導電接続部113、給電部114及びアンテナ115を有する。
【0016】
回路基板111は、給電部114を有する。また、回路基板111は、表面及び裏面に印刷形成された導電性の回路パターンを有するとともに、グランド部112を有する。
【0017】
グランド部112は、アンテナ115のグランドであり、回路基板111上に設けられ、導電接続部113を介してチルトヒンジ部材104aと電気的に接続する。
【0018】
導電接続部113は、チルトヒンジ部材104aとの容量結合により、グランド部112とチルトヒンジ部材104aとを電気的に接続する。なお、導電接続部113は、チルトヒンジ部材104aと容量結合により電気的に接続する場合に限らず、チルトヒンジ部材104aと機械的に接続することにより電気的に接続しても良い。
【0019】
給電部114は、グランド部112上に設けられ、回路基板111を貫通する図示しないスルーホールにより、回路基板111の図示しない電源層と電気的に接続してアンテナ115に給電する。
【0020】
アンテナ115は、給電部114から給電される。
【0021】
次に、第2の筐体102について、図1〜図5を用いてさらに詳細に説明する。
【0022】
第2の筐体102は、ガイドレール121a、121b及び表示部122を有する。
【0023】
ガイド部材としてのガイドレール121a、121bは、図2に示すように、底面部201及び側面部202、203により形成された溝部204a、204bを有する。また、ガイドレール121a、121bは、第2の筐体102の平面視長方形の短辺401、402に沿って、第2の筐体102の平面視長方形の短手方向(図1の上下方向)と平行に第2の筐体102に設けられる。溝部204a、204bは、補助部材103のスライダー131a、131bとスライド自在に係合する。これらにより、第2の筐体102は、第2の筐体102の平面視長方形の短手方向にスライド可能になる。即ち、ガイドレール121a、121bは、第1の筐体101に対する第2の筐体102のスライド動作をガイドする。
【0024】
表示部122は、例えばLCDであり、アンテナ115で受信した画像データの画像を表示する。
【0025】
次に、チルトヒンジ部材104a、104bについて、図1〜図5を用いてさらに詳細に説明する。
【0026】
チルトヒンジ部材104a、104bは、第1の筐体101に設けられ、第2の筐体102が矢印Y1方向(図3参照)に回転する際に、第1の筐体101と第2の筐体102とを回転自在に連結する。また、チルトヒンジ部材104aは、導電接続部113を介してグランド部112と電気的に接触しており、地線として機能する。また、チルトヒンジ部材104a、104bは、開いた状態において、一部が第1の筐体101から外部に突出する(図3参照)。一方、チルトヒンジ部材104a、104bは、スライド状態及び閉じた状態において、全体が第1の筐体101の内部に収納される。即ち、チルトヒンジ部材104a、104bは、第1の筐体101に対する第2の筐体102の回転に伴って、携帯端末装置100のスライド状態から開いた状態になる過程で、第1の筐体101に全体が収納される状態から第1の筐体101から一部が外部に突出する状態になる。なお、チルトヒンジ部材104aは、導電接続部113を介してグランド部112と電気的に接触しているが、導電接続部113はリアクタンス素子を介してグランド部112に接続しても良い。
【0027】
また、チルトヒンジ部材104a、104bは、第1の回転部材141、第2の回転部材142及び支持部材143から構成される。
【0028】
第1の回転部材141は、シャフト144により支持部材143に回転自在に取り付けられるとともに、シャフト145により第2の回転部材142に回転自在に取り付けられる。
【0029】
第2の回転部材142は、シャフト145により第1の回転部材141に回転自在に取り付けられるとともに、シャフト146により支持部材143に対してスライド自在に取り付けられる。
【0030】
支持部材143は、長孔部147を有し、長孔部147に対してシャフト146がスライド自在に取り付けられることにより、第2の回転部材142がスライド自在に取り付けられる。
【0031】
図6は、補助部材103の斜視図である。
【0032】
補助部材103は、一端を支点として矢印Y1方向に回転自在に第1の筐体101に取り付けられる。補助部材103は、スライド状態から開いた状態になる際、または開いた状態からスライド状態になる際に、第2の筐体102と係合して第2の筐体102と共に矢印Y1方向に回転する。また、補助部材103は、ガイドレール121aの溝部204aとスライド自在に係合するスライダー131a、及びガイドレール121bの溝部204bとスライド自在に係合するスライダー131bを有する。
【0033】
次に、携帯端末装置100の動作について、図1〜図5を用いて説明する。
【0034】
携帯端末装置100の閉じた状態において、第1の筐体101に対して、第2の筐体102を図3の右方向にスライドさせる。この際、スライダー131a、131bがガイドレール121a、121bにガイドされて、第2の筐体102が第1の筐体101に対してスライドする。これにより、携帯端末装置100は、閉じた状態からスライド状態になる。
【0035】
次に、携帯端末装置100のスライド状態において、第1の筐体101に対して、第2の筐体102をチルトアップする。即ち、第2の筐体102は、第1の筐体101とチルトヒンジ部材104a、104bで連結した状態で、第1の筐体101に対して、起き上がる方向に回転し、チルトヒンジ部材104a、104bにより第1の筐体101に対して所定角度を設けて起き上がった状態で保持される。これにより、携帯端末装置100は、開いた状態になる。
【0036】
この際に、チルトヒンジ部材104a、104bは、第1の回転部材141がシャフト144を支点として図3において時計回りに回転するとともに、第2の回転部材142がシャフト145を支点として図3において反時計回りに回転し、それに伴ってシャフト146が長孔部147を図3の右方向にスライドする。これにより、チルトヒンジ部材104a、104bは、第1の回転部材141及び第2の回転部材142の各々の一部が外部に突出する。
【0037】
開いた状態において、携帯端末装置100は、ディジタルテレビ放送等の電波を受信して、第2の筐体102に設けた表示部122にディジタルテレビ放送等の画像を表示する。
【0038】
ディジタルテレビ放送等の視聴を終了する際には、携帯端末装置100の開いた状態において、第2の筐体102は、第1の筐体101とチルトヒンジ部材104で連結した状態で、第1の筐体101に対して、寝る方向に回転する。これにより、携帯端末装置100は、スライド状態になる。
【0039】
この際に、チルトヒンジ部材104a、104bは、第1の回転部材141がシャフト144を支点として図3において反時計回りに回転するとともに、第2の回転部材142がシャフト145を支点として図3において時計回りに回転し、それに伴ってシャフト146が長孔部147を図3の左方向にスライドする。これにより、チルトヒンジ部材104a、104bは、全体が第1の筐体101に収納される。
【0040】
次に、第2の筐体102は、第1の筐体101に対して、第1の筐体101と重なり合う方向にスライドする。これにより、携帯端末装置100は、閉じた状態になる。
【0041】
このように、本実施の形態によれば、チルトヒンジ部材を地線として用いることにより、装置全体の小型化及び薄型化を図ることができるとともに、地線専用の部品を用いる必要がないので、部品点数の増加を抑制することができ、製造コストを抑制することができる。
【0042】
(実施の形態2)
図7及び図9は、本発明の実施の形態2に係る携帯端末装置700の平面図であり、図8は、本発明の実施の形態2に係る携帯端末装置700の正面図である。また、図10〜図12は、本発明の実施の形態2に係る携帯端末装置700の側面図である。図7及び図10は、携帯端末装置700の開いた状態を示すものであり、図11は、携帯端末装置100の開いた状態と閉じた状態の途中の状態を示すものであり、図8及び図12は、携帯端末装置100の閉じた状態を示すものである。なお、図7〜図9において、チルトヒンジ部材104a、104b、回路基板111、グランド部112、導電接続部113、給電部114及びアンテナ115は第1の筐体101に設けられ、スライダー131a、131bは、補助部材103に設けられるとともに、その他の部材は第2の筐体102に設けられるものである。
【0043】
図7〜図12に示す携帯端末装置700は、図1〜図5に示す実施の形態1に係る携帯端末装置100に対して、拡張素子701を追加する。なお、図7〜図12において、図1〜図5と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
第2の筐体102は、平面視長方形であり、ガイドレール121a、121b、表示部122及び拡張素子701を有する。また、第2の筐体102は、第1の筐体101に対して図11の矢印Y2方向にスライド自在に取り付けられる。
【0045】
チルトヒンジ部材104a、104bは、第1の筐体101に設けられ、第2の筐体102が矢印Y1方向(図10参照)に回転する際に、第1の筐体101と第2の筐体102とを回転自在に連結する。また、チルトヒンジ部材104aは、拡張素子701と容量結合して拡張素子701と電気的に接触することにより、ガイドレール121aと電気的に接触する。これにより、チルトヒンジ部材104aは、ガイドレール121aと共に地線として機能する。一方、チルトヒンジ部材104aは、閉じた状態において、拡張素子701と電気的に非接触になることにより、ガイドレール121aとも電気的に非接触になる。この際、チルトヒンジ部材104aは、単体で地線として機能する。なお、チルトヒンジ部材104aは、導電接続部113を介してグランド部112と電気的に接触しているが、導電接続部113はリアクタンス素子を介してグランド部112に接続しても良い。
【0046】
拡張素子701は、ガイドレール121aとチルトヒンジ部材104aとを電気的に接続する。この際、拡張素子701は、チルトヒンジ部材104aと容量結合により電気的に接続する。なお、拡張素子701は、チルトヒンジ部材104aと電気的に接続する代わりに、チルトヒンジ部材104bと電気的に接続しても良い。また、拡張素子701は、チルトヒンジ部材104aと容量結合する場合に限らず、チルトヒンジ部材104aと物理的に接続して電気的に接続するようにしても良い。
【0047】
ガイドレール121a、121bは、導電性を有する材料で形成され、図8に示すように、底面部201及び側面部202、203により形成された溝部204a、204bを有する。また、ガイドレール121a、121bは、第2の筐体102の平面視長方形の長手方向(図7の左右方向)の両端部に設けられる。また、ガイドレール121a、121bは、第2の筐体102の平面視長方形の短辺401、402に沿って、第2の筐体102の平面視長方形の短手方向(図7の上下方向)と平行に第2の筐体102に設けられる。溝部204a、204bは、補助部材103のスライダー131a、131bとスライド自在に係合する。これらにより、第2の筐体102は、第2の筐体102の平面視長方形の短手方向(図7の上下方向)にスライド可能になる。また、ガイドレール121a、121bは、拡張素子701を介してチルトヒンジ部材104aと電気的に接触する。
【0048】
次に、携帯端末装置700の動作について、図7〜図12を用いて説明する。
【0049】
携帯端末装置700の閉じた状態において、第1の筐体101に対して、第2の筐体102を図10の右方向にスライドさせる。この際、スライダー131a、131bがガイドレール121a、121bにガイドされて、第2の筐体102が第1の筐体101に対してスライドする。これにより、携帯端末装置700は、閉じた状態からスライド状態になる。
【0050】
また、携帯端末装置700は、閉じた状態からスライド状態になることにより、拡張素子701が第2の筐体102と共にスライドし、拡張素子701とチルトヒンジ部材104aとが電気的に非接触な状態から接触した状態になり、ガイドレール121aとチルトヒンジ部材104aとが電気的に非接触な状態から接触した状態になる。
【0051】
これにより、携帯端末装置700は、チルトヒンジ部材104aが単体で地線として機能する状態から、チルトヒンジ部材104aとガイドレール121aとが地線として機能する状態になる。
【0052】
次に、携帯端末装置700のスライド状態において、第1の筐体101に対して、第2の筐体102をチルトアップする。即ち、第2の筐体102は、第1の筐体101とチルトヒンジ部材104a、104bで連結した状態で、第1の筐体101に対して、起き上がる方向に回転し、チルトヒンジ部材104a、104bにより第1の筐体101に対して所定角度を設けて起き上がった状態で保持される。これにより、携帯端末装置700は、開いた状態になる。
【0053】
開いた状態において、ガイドレール121aとチルトヒンジ部材104aとが電気的に接触した状態を維持し、携帯端末装置700は、ガイドレール121aとチルトヒンジ部材104aとが地線として機能する状態になる。これにより、携帯端末装置700は、ディジタルテレビ放送等の電波を受信して、第2の筐体102に設けた表示部122にディジタルテレビ放送等の画像を表示する。
【0054】
ディジタルテレビ放送等の視聴を終了する際には、携帯端末装置700の開いた状態において、第2の筐体102は、第1の筐体101とチルトヒンジ部材104a、104bで連結した状態で、第1の筐体101に対して、寝る方向に回転する。これにより、携帯端末装置700は、スライド状態になる。
【0055】
次に、第2の筐体102は、第1の筐体101に対して、第1の筐体101と重なり合う方向にスライドする。これにより、携帯端末装置700は、閉じた状態になる。
【0056】
また、携帯端末装置700は、スライド状態から閉じた状態になることにより、拡張素子701が第2の筐体102と共にスライドする。これにより、拡張素子701は、チルトヒンジ部材104aから離れる方向にスライドし、チルトヒンジ部材104aと電気的に接触した状態から非接触の状態になり、ガイドレール121aとチルトヒンジ部材104aとが電気的に接触した状態から非接触の状態になる。
【0057】
これにより、携帯端末装置700は、ガイドレール121aとチルトヒンジ部材104aとが地線として機能する状態から、チルトヒンジ部材104aが単体で地線として機能する状態になる。
【0058】
このように、本実施の形態によれば、チルトヒンジ部材に加えてガイドレールを地線として用いることにより、装置全体の小型化及び薄型化を図ることができるとともに、地線専用の部品を用いる必要がないので、部品点数の増加を抑制することができ、製造コストを抑制することができる。
【0059】
なお、本実施の形態において、ガイドレールをチルトヒンジ部材と共にアンテナの地線として機能するようにしたが、本発明はこれに限らず、任意の導電性を有する部材をチルトヒンジ部材と共にアンテナの地線として機能させることができる。
【0060】
(実施の形態3)
図13及び図15は、本発明の実施の形態3に係る携帯端末装置1300の平面図であり、図14は、本発明の実施の形態3に係る携帯端末装置1300の正面図である。なお、携帯端末装置1300の側面図は、図10〜図13と同一であるので、その説明を省略する。
【0061】
図13〜図15に示す携帯端末装置1300は、図1及び図2に示す実施の形態1に係る携帯端末装置100に対して、給電部114及びアンテナ115を除き、拡張素子1301、無線回路1302、導電接続部1303及び拡張素子1304を追加する。なお、図13〜図15において、図1及び図2と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。なお、図13〜図15において、チルトヒンジ部材104a、104b、回路基板111、グランド部112、導電接続部113、無線回路1302及び導電接続部1303は第1の筐体101に設けられ、スライダー131a、131bは、補助部材103に設けられるとともに、その他の部材は第2の筐体102に設けられるものである。
【0062】
第1の筐体101は、回路基板111、グランド部112、導電接続部113、無線回路1302、導電接続部1303を有する。
【0063】
回路基板111は、表面及び裏面に印刷形成された導電性の回路パターンを有するとともに、グランド部112を有する。また、回路基板111は、グランド部112上に無線回路1302が実装される。
【0064】
無線回路1302は、グランド部112上に実装され、回路基板111に形成した回路パターンと電気的に接続して、アンテナで受信した受信信号に対して無線処理を施す。また、無線回路1302は、回路基板111を貫通する図示しないスルーホールにより、回路基板111の図示しない電源層と電気的に接続して、導電接続部1303を介してチルトヒンジ部材121bに給電する。
【0065】
導電接続部1303は、無線回路1302とチルトヒンジ部材104bとを容量結合により電気的に接続する。導電接続部1303は、回路基板111とは別体の部材で形成しても良いし、回路基板111上に回路パターンとして形成しても良い。
【0066】
次に、第2の筐体102について、図13〜図15を用いて、さらに詳細に説明する。 第2の筐体102は、表示部122、ガイドレール121a、121b、拡張素子1301及び拡張素子1304を有する。
【0067】
拡張素子1301は、ガイドレール121aとチルトヒンジ部材104aとを電気的に接続する。この際、拡張素子1301は、チルトヒンジ部材104aと容量結合により電気的に接続する。なお、拡張素子1301は、チルトヒンジ部材104aと容量結合する場合に限らず、チルトヒンジ部材104aと物理的に接続して電気的に接続するようにしても良い。
【0068】
拡張素子1304は、ガイドレール121bとチルトヒンジ部材104bとを電気的に接続する。この際、拡張素子1304は、チルトヒンジ部材104bと容量結合により電気的に接続する。なお、拡張素子1304は、チルトヒンジ部材104bと容量結合する場合に限らず、チルトヒンジ部材104bと物理的に接続して電気的に接続するようにしても良い。
【0069】
ガイドレール121a、121bは、導電性を有する材料で形成され、図14に示すように、底面部201及び側面部202、203により形成された溝部204a、204bを有する。また、ガイドレール121a、121bは、第2の筐体102の平面視長方形の長手方向(図13の左右方向)の両端部に設けられる。また、ガイドレール121a、121bは、第2の筐体102の平面視長方形の短辺401、402に沿って、第2の筐体102の平面視長方形の短手方向(図13の上下方向)と平行に第2の筐体102に設けられる。溝部204a、204bは、補助部材103のスライダー131a、131bとスライド自在に係合する。これらにより、第2の筐体102は、第2の筐体102の平面視長方形の短手方向にスライド可能になる。
【0070】
チルトヒンジ部材104a、104bは、第1の筐体101に設けられ、第1の筐体101と第2の筐体102とを回転自在に連結する。また、チルトヒンジ部材104a、104bは、開いた状態において、一部が第1の筐体101から外部に突出する。一方、チルトヒンジ部材104a、104bは、スライド状態及び閉じた状態において、全体が第1の筐体101の内部に収納される。即ち、チルトヒンジ部材104a、104bは、第1の筐体101に対する第2の筐体102の回転に伴って、携帯端末装置100のスライド状態から開いた状態になる過程で、第1の筐体101に全体が収納される状態から第1の筐体101から一部が外部に突出する状態になる。また、チルトヒンジ部材104aは、導電接続部113を介してグランド部112と電気的に接触しており、地線として機能する。また、チルトヒンジ部材104bは、導電接続部1303を介して無線回路1302から給電されてアンテナとして機能する。なお、チルトヒンジ部材104aは、導電接続部113を介してグランド部112と電気的に接触しているが、導電接続部113はリアクタンス素子を介してグランド部112に接続しても良い。
【0071】
次に、携帯端末装置1300の動作について、図13〜図15を用いて説明する。なお、携帯端末装置1300の側面図は、図10〜図12と同一であるので、携帯端末装置1300の動作の説明において、図10〜図12も用いて説明する。
【0072】
携帯端末装置1300の閉じた状態において、第1の筐体101に対して、第2の筐体102を図12の右方向にスライドさせる。この際、スライダー131a、131bがガイドレール121a、121bにガイドされて、第2の筐体102が第1の筐体101に対してスライドする。これにより、携帯端末装置1300は、閉じた状態からスライド状態になる。
【0073】
また、携帯端末装置1300は、閉じた状態からスライド状態になることにより、拡張素子1301、1304が第2の筐体102と共にスライドし、拡張素子1301とチルトヒンジ部材104aとが電気的に非接触の状態から接触した状態になるとともに、拡張素子1304とチルトヒンジ部材104bとが電気的に非接触の状態から接触した状態になる。
【0074】
これにより、携帯端末装置1300は、チルトヒンジ部材104aが単体で地線として機能するとともに、チルトヒンジ部材104bが単体でアンテナとして機能する状態から、チルトヒンジ部材104aとガイドレール121aが地線として機能するとともに、チルトヒンジ部材104bとガイドレール121bがアンテナとして機能する状態になる。
【0075】
次に、携帯端末装置1300のスライド状態において、第1の筐体101に対して、第2の筐体102をチルトアップする。即ち、第2の筐体102は、第1の筐体101とチルトヒンジ部材104a、104bで連結した状態で、第1の筐体101に対して、起き上がる方向に回転し、所定角度を設けて起き上がった状態で保持される。これにより、携帯端末装置1300は、開いた状態になる。
【0076】
開いた状態において、ガイドレール121aとチルトヒンジ部材104aとが電気的に接触した状態を維持するとともに、ガイドレール121bとチルトヒンジ部材104bとが電気的に接触した状態を維持する。即ち、携帯端末装置1300は、ガイドレール121aとチルトヒンジ部材104aにより構成される地線、及びガイドレール121bとチルトヒンジ部材104bにより構成されるアンテナを有する。これにより、ガイドレール121bとチルトヒンジ部材104bで構成したアンテナでディジタルテレビ放送等の電波を受信して、第2の筐体102に設けた表示部122にディジタルテレビ放送等の画像を表示する。
【0077】
ディジタルテレビ放送等の視聴を終了する際には、携帯端末装置1300の開いた状態において、第2の筐体102は、第1の筐体101とチルトヒンジ部材104a、104bで連結した状態で、第1の筐体101に対して、寝る方向に回転する。これにより、携帯端末装置1300は、スライド状態になる。
【0078】
次に、第2の筐体102は、第1の筐体101に対して、第1の筐体101と重なり合う方向にスライドする。これにより、携帯端末装置1300は、閉じた状態になる。
【0079】
また、携帯端末装置1300は、スライド状態から閉じた状態になることにより、拡張素子1301、1304が第2の筐体102と共にスライドする。これにより、拡張素子1301、1304は、チルトヒンジ部材104a、104bから離れる方向にスライドし、チルトヒンジ部材104a、104bと電気的に接触した状態から非接触の状態になり、ガイドレール121aとチルトヒンジ部材104a、及びガイドレール121bとチルトヒンジ部材104bが、電気的に接触した状態から非接触の状態になる。
【0080】
また、携帯端末装置1300は、ガイドレール121aとチルトヒンジ部材104aとが地線として機能するとともに、ガイドレール121bとチルトヒンジ部材104bとがアンテナとして機能する状態から、チルトヒンジ部材104aが単体で地線として機能するとともに、チルトヒンジ部材104bが単体でアンテナとして機能する状態になる。
【0081】
因みに、従来の携帯端末装置においては、第1の筐体と第2の筐体とを折り畳んだ状態で、第2の筐体の金属フレーム、第1の筐体と第2の筐体を回転自在に連結するヒンジ部及び第1の筐体の回路基板のグランドパターンが電気的に接続されているとともに、第2の筐体の金属フレームと第1の筐体の回路基板のグランドパターンとが近接して対向する。これにより、第2の筐体の金属フレームに流れる電流と第1の筐体の回路基板のグランドパターンに流れる電流とが互いに打ち消し合い、アンテナとして使用できないという問題がある。また、従来の携帯端末装置においては、第1の筐体と第2の筐体とを折り畳んだ状態で、筐体の金属フレーム、ヒンジ部及び下筐体の回路基板のグランドパターンから構成されるダイポールアンテナはアンテナとして機能しないので、折り畳んだ状態で使用可能な別体のアンテナを設ける必要がある。この結果、従来の携帯端末装置においては、部品点数が増えることにより製造コストが増大するとともに、装置の小型化及び薄型化が図れないという問題がある。本実施の形態においては、第2の筐体102のスライド動作に伴って、アンテナとして機能するチルトヒンジ部材104bと第2の筐体102に設けたガイドレール121bとを拡張素子1304を介して電気的に接触または非接触にし、閉じた状態において、チルトヒンジ部材104bが単体でアンテナとして機能するので、携帯端末装置1300は、別体のアンテナを設けることなく、閉じた状態においても使用可能なアンテナを有することができる。
【0082】
このように、本実施の形態によれば、ヒンジ部材に加えてガイドレールを地線として用いることにより、装置全体の小型化及び薄型化を図ることができるとともに、地線専用の部品を用いる必要がないので、部品点数の増加を抑制することができ、製造コストを抑制することができる。また、本実施の形態によれば、2つのチルトヒンジ部材の内の1つをアンテナとして使用するとともに、第2の筐体のスライド動作に伴って、アンテナとして機能するヒンジ部材とガイドレールとを電気的に接触または非接触にし、閉じた状態において、チルトヒンジ部材が単体でアンテナとして機能することにより、種々の使用態様において使用可能なアンテナ構成にすることができ、製造コストを抑制し、小型化及び薄型化を図ることができる。また、本実施の形態によれば、手で把持される箇所にアンテナを設けないので、アンテナ特性の劣化を防ぐことができる。
【0083】
なお、本実施の形態において、ガイドレールをチルトヒンジ部材と共に地線として機能するようにしたが、本発明はこれに限らず、任意の導電性を有する部材をチルトヒンジ部材と共に地線として機能させることができる。また、本実施の形態において、ガイドレールをチルトヒンジ部材と共にアンテナとして機能するようにしたが、本発明はこれに限らず、任意の導電性を有する部材をチルトヒンジ部材と共にアンテナとして機能させることができる。
【0084】
(実施の形態4)
図16は、本発明の実施の形態4に係る携帯端末装置1600の側面図である。図16(a)は、携帯端末装置1600の閉じた状態を示すものであり、図16(b)は、携帯端末装置1600の開いた状態を示すものである。
【0085】
本実施の形態では、第1の筐体101及び第2の筐体102に加えて、第3の筐体1601を有する点を特徴とするものである。
【0086】
第3の筐体1601は、第1の筐体101に対して、閉じた状態からスライド状態、またはスライド状態から閉じた状態に第2の筐体102と共にスライド自在である。また、第3の筐体1601は、第2の筐体102に対して、図16の紙面手前側と奥側でスライド自在に第2の筐体102に取り付けられている。また、第3の筐体1601は、外部に露出する図示しない表示部を有する。
【0087】
第2の筐体102は、第3の筐体の外表面部1610と対向する外表面部1620に、図示しない操作部が露出する。
【0088】
なお、本実施の形態における携帯端末装置1600は、第3の筐体1601を設ける以外は、上記実施の形態1〜実施の形態3の何れかの携帯端末装置と同一構成及び同一動作であるため、その説明を省略する。
【0089】
このように、本実施の形態によれば、3つの筐体が積層される構造の携帯端末装置においても、上記実施の形態1〜実施の形態3の何れかと同様の効果を得ることができる。
【0090】
なお、上記実施の形態1〜実施の形態4において、チルトヒンジ部材を地線としたが、本発明はこれに限らず、チルトヒンジ部材以外の任意のヒンジ部材を地線として用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明にかかる携帯端末装置は、例えばディジタルテレビ放送を視聴するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態1に係る携帯端末装置の平面図
【図2】本発明の実施の形態1に係る携帯端末装置の正面図
【図3】本発明の実施の形態1に係る携帯端末装置の側面図
【図4】本発明の実施の形態1に係る携帯端末装置の側面図
【図5】本発明の実施の形態1に係る携帯端末装置の側面図
【図6】本発明の実施の形態1に係る補助部材の斜視図
【図7】本発明の実施の形態2に係る携帯端末装置の平面図
【図8】本発明の実施の形態2に係る携帯端末装置の正面図
【図9】本発明の実施の形態2に係る携帯端末装置の平面図
【図10】本発明の実施の形態2に係る携帯端末装置の側面図
【図11】本発明の実施の形態2に係る携帯端末装置の側面図
【図12】本発明の実施の形態2に係る携帯端末装置の側面図
【図13】本発明の実施の形態3に係る携帯端末装置の平面図
【図14】本発明の実施の形態3に係る携帯端末装置の正面図
【図15】本発明の実施の形態3に係る携帯端末装置の平面図
【図16】本発明の実施の形態4に係る携帯端末装置の側面図
【符号の説明】
【0093】
100、700、1300、1600 携帯端末装置
101 第1の筐体
102 第2の筐体
103 補助部材
104a、104b チルトヒンジ部材
111 回路基板
112 グランド部
113 導電接続部
114 給電部
115 アンテナ
121a、121b ガイドレール
131a、131b スライダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ及び前記アンテナのグランド部を有する第1の筐体と、
第2の筐体と、
前記第1の筐体に設けられ、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを回転自在に連結する導電性を有するヒンジ部材と、を具備し、
前記ヒンジ部材は、前記グランド部と電気的に接触し、前記回転に伴って一部が前記第1の筐体から外部に突出して地線として機能する携帯端末装置。
【請求項2】
前記第2の筐体は、前記第1の筐体に対してスライド自在に取り付けられるとともに、前記スライド動作をガイドする導電性を有するガイド部材を備え、
前記ヒンジ部材は、前記ガイド部材と電気的に接触して前記ガイド部材と共に地線として機能する請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記ヒンジ部材は、前記グランド部との容量結合により電気的に接触する請求項1または請求項2記載の携帯端末装置。
【請求項4】
アンテナ及び前記アンテナのグランド部を有する第1の筐体と、
第2の筐体と、
前記第1の筐体に設けられ、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを回転自在に連結し、互いに電気的に非接触である導電性を有する第1のヒンジ部材及び第2のヒンジ部材と、を具備し、
前記第1のヒンジ部材は、前記グランド部と電気的に接触し、前記回転に伴って一部が前記第1の筐体から外部に突出して地線として機能し、
前記第2のヒンジ部材は、前記第1の筐体に設けられる給電部から給電されてアンテナとして機能する携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−260815(P2009−260815A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109286(P2008−109286)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】