説明

撮像装置および撮像システム

【課題】狭帯域化された特殊な光を照射して撮影画像を得る場合に、消費電力の削減、または高画質の撮影画像の取得を行うことができる撮像装置および撮像システムを提供する。
【解決手段】第1の波長帯域の光の入射量に応じた第1の電気信号を発生する第1の受光部を有する第1の画素と、第1の波長帯域と異なる第2の波長帯域の光の入射量に応じた第2の電気信号を発生する第2の受光部を有する第2の画素とが、行列状に複数配置された画素部と、画素部の列毎に配置され、第1の波長帯域の光が照射されているときに、画素部から、少なくとも、第1の電気信号に応じた第1の画素信号を読み出し、少なくとも、該読み出した第1の画素信号に対して信号処理を行って出力する信号処理回路と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用環境に応じて駆動方法を切り替える撮像装置および撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像装置は、幅広い分野において静止画像または動画像を撮影する撮像システムに使用されている。
【0003】
特に、医療分野においては、微小な撮像装置が先端に設けられた細長い挿入部を被検者の体内に挿入することによって、被検者の体内をリアルタイムに撮像しながら診断や治療を行うことができる電子内視鏡システムが広く普及している。
【0004】
従来の電子内視鏡システムでは、赤色、緑色、青色の各色の光と、カラーフィルタが配置されていないモノクロのイメージセンサを用いて、それぞれの色の光を被検体に順次照射し、各色の光を照射したときに得られた画像を混合することによって、カラー画像を得るという面順次方式の撮影が一般に行われていた。
【0005】
また、通常の白色光(以下、「通常光」という)とカラーフィルタを配置(例えば、赤色、緑色、青色の光透過フィルタを市松模様に撮像装置の各画素上に配置した場合を、「ベイヤー配列」と呼ぶ)したイメージセンサを用いて、各色の光信号情報を同時に得ることによって、カラー画像を得るという線順次方式の撮影も一般に行われている。
【0006】
しかし、近年では、通常光では明瞭に観察することが難しいもの(例えば、表層の血管、ピットパターン(腺口構造)、陥凹や隆起といった中規模の凹凸構造、毛細血管や発赤、肥厚、深層血管など)の観察画像を得るために、特定の波長の光(以下、「特殊光」という)を、被検体に照射する光として用いる電子内視鏡システムが知られている(特許文献1参照)。
【0007】
例えば、血液中のヘモグロビンに吸収されやすい狭帯域化された2つ特殊光(波長帯域390〜445nmと530〜550nm)を被検体に照射すると、粘膜表層の毛細微細血管や粘膜の微細模様を強調した観察画像を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3586157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のような特殊な波長帯域の光を用いて撮像を行う場合、カラーフィルタを配置したイメージセンサにおける線順次方式のような既存の撮像方式では、以下に述べるような課題がある。図8は、一般的なイメージセンサの光の波長に対する相対感度と狭帯域化された特殊光の波長帯域とを説明する図である。図8には、上述した線順次方式の撮影に用いられるイメージセンサに入射する波長帯域において、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の光透過フィルタが配置された画素(以下、それぞれ、「R画素」、「G画素」、「B画素」という)の相対感度と、2つの特殊光の波長帯域(390〜445nmおよび530〜550nm)を示している。
【0010】
図8を見てわかるように、特殊光の390〜445nmの波長帯域はB画素、530〜550nmの波長帯域はG画素が、それぞれ相対感度が高い波長帯域に重複している。これに対してR画素は、2つの特殊光の波長帯域のいずれにも、高い相対感度を持つ波長帯域が重複していない。すなわち、R画素は特殊光の波長に対して殆ど感度を持っていないため、電子内視鏡システムにおいて上述のような2つの特殊光を照射して撮影画像を得る場合、R画素からの光信号情報は撮影画像の生成において十分な光の情報を得られていないにもかかわらず、光信号情報の読み出しは行っているということになる。
【0011】
一方で、上述のような特殊光による撮影画像では特定の部位の撮影画像しか得ることができない。このため、周辺部位の観察を行うには、例えば、通常光による撮影と特殊光による撮影とを交互に繰り返して行い、得られた撮影画像を同時に表示することが望ましい。しかし、通常光による撮影と特殊光による撮影とを交互に繰り返すと、それぞれの表示画像のフレームレートは、通常光による撮影のみを行う場合に比べて半分になってしまい、視認性が悪くなってしまうという問題がある。
【0012】
この問題を解決して視認性を向上するため、例えば、通常光による撮影におけるフレームレートと特殊光による撮影におけるフレームレートとを、それぞれ上げることが考えられる。しかし、撮影のフレームレートを上げると、その分の消費電力が増加してしまうことになる。この消費電力の増加は、例えば、カプセル内視鏡のような、電池で駆動するタイプの電子内視鏡システムなどに、通常光による撮影と特殊光による撮影との撮影機能を組み込んだ場合には、重要な課題となってしまう。
【0013】
また、CMOSイメージセンサの一般的な構成としては、行列状に画素が配置された画素アレイの列方向にAD(アナログ・デジタル)変換回路を並列に配置した、カラムAD方式のイメージセンサも提案されている。カラムAD方式のイメージセンサでは、画素から読み出した1行分の画素信号データを同時にAD変換できるため、光信号情報の読み出しを高速化し、フレームレートを上げることができるなどのメリットがある。しかし、カラムAD方式のイメージセンサでは、センサ内に配置されたそれぞれのAD変換回路毎の素子特性のバラツキなどに起因して、リニアリティ特性に誤差が生じることがある。カラムAD方式のイメージセンサを用いた撮像システムでは、このリニアリティ特性の誤差が、得られる撮影画像の画質劣化の要因になってしまう。
【0014】
このリニアリティ特性の誤差を補正するため、AD変換回路の入力信号のレンジ内で任意の電圧を出力する補正電圧回路を設けて、それぞれのAD変換回路のリニアリティ特性を補正するという方法がある。この方法では、補正電圧回路から出力した補正電圧をそれぞれのAD変換回路に入力して、それぞれのAD変換回路から補正データを取得し、後に補正処理回路などで、取得した補正データを用いてそれぞれのAD変換回路の信号出力を補正する。
【0015】
しかし、補正データを取得するためには、上述のように、それぞれのAD変換回路に補正電圧を入力して補正データを取得するための動作が必要である。この補正データを取得するための動作は、それぞれのAD変換回路を、より高精度に補正しようとすればするほど、より多くの種類の補正電圧による補正データが必要となるため、リニアリティ特性の補正のためのAD変換に要する時間と消費電力とが、共に増加してしまうという問題がある。
【0016】
本発明は、上記の課題認識に基づいてなされたものであり、狭帯域化された特殊な光を照射して撮影画像を得る場合に、消費電力の削減、または高画質の撮影画像の取得を行うことができる撮像装置および撮像システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するため、本発明の撮像装置は、第1の波長帯域の光の入射量に応じた第1の電気信号を発生する第1の受光部を有する第1の画素と、前記第1の波長帯域と異なる第2の波長帯域の光の入射量に応じた第2の電気信号を発生する第2の受光部を有する第2の画素とが、行列状に複数配置された画素部と、前記画素部の列毎に配置され、前記第1の波長帯域の光が照射されているときに、前記画素部から、少なくとも、前記第1の電気信号に応じた第1の画素信号を読み出し、少なくとも、該読み出した前記第1の画素信号に対して信号処理を行って出力する信号処理回路と、を備える、ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の前記信号処理回路は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するアナログ・デジタル変換回路を備え、少なくとも、入力された前記第1の画素信号をアナログ・デジタル変換した第1のデジタル信号を出力する、ことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の前記信号処理回路は、前記第1の波長帯域の光が照射されているときに、前記画素部から、前記第1の電気信号に応じた第1の画素信号のみを読み出し、該読み出した前記第1の画素信号に応じた前記第1のデジタル信号を出力する、ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の撮像装置は、所定の基準電位を出力する基準信号発生回路と、前記信号処理回路のそれぞれに入力する信号を、少なくとも、前記第1の画素信号または前記基準電位の信号のいずれかの信号に切り替える切り替え回路と、をさらに備え、前記信号処理回路は、少なくとも、入力された前記第1の画素信号に応じた前記第1のデジタル信号、または入力された前記基準電位の信号をアナログ・デジタル変換した第2のデジタル信号を出力する、ことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の前記切り替え回路は、前記第1の波長帯域の光が照射されているときに、前記画素部において前記第1の画素のみが配置された列に対応した前記信号処理回路には、該画素部の列の前記第1の画素信号または前記基準電位の信号のいずれかの信号を入力し、前記画素部において前記第1の画素と前記第2の画素とが配置された列に対応した前記信号処理回路には、該画素部の列の前記第1の画素信号、隣接する前記画素部の列の前記第1の画素信号、または前記基準電位の信号のいずれか1つの信号を入力するように切り替え、前記信号処理回路のそれぞれは、入力された前記第1の画素信号に応じた前記第1のデジタル信号、または入力された前記基準電位の信号に応じた前記第2のデジタル信号を出力する、ことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の撮像システムは、上記本発明の撮像装置と、前記撮像装置に備えた画素部内に配置されている、第1の波長帯域の光の入射量に応じた第1の電気信号を発生する第1の受光部を有する第1の画素からの前記第1の電気信号に応じた第1の画素信号を、前記撮像装置に備えた信号処理回路内のアナログ・デジタル変換回路がアナログ・デジタル変換した第1のデジタル信号を、前記撮像装置に備えた基準信号発生回路が出力した基準電位の信号を、前記アナログ・デジタル変換回路がアナログ・デジタル変換した第2のデジタル信号に基づいて補正し、補正した後の前記第1のデジタル信号を出力する補正回路と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、狭帯域化された特殊な光を照射して撮影画像を得る場合に、消費電力の削減、または高画質の撮影画像の取得を行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態によるイメージセンサの概略構成を示したブロック図である。
【図2】本第1の実施形態のイメージセンサの第1の駆動モードにおける読み出し方法のタイミングを示したタイミングチャートである。
【図3】本第1の実施形態のイメージセンサの第2の駆動モードにおける読み出し方法のタイミングを示したタイミングチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態によるイメージセンサの概略構成を示したブロック図である。
【図5】本第2の実施形態のイメージセンサの第1の駆動モードにおける読み出し方法のタイミングを示したタイミングチャートである。
【図6】本第2の実施形態のイメージセンサの第2の駆動モードにおける読み出し方法のタイミングを示したタイミングチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態の撮像システムの概略構成を示したブロック図である。
【図8】一般的なイメージセンサの光の波長に対する相対感度と狭帯域化された特殊光の波長帯域とを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本第1の実施形態によるイメージセンサ1の概略構成を示したブロック図である。図1において、イメージセンサ1は、画素アレイ102と、垂直走査回路201と、複数の信号処理回路301と、タイミングジェネレータ401と、水平走査回路501とから構成される。
【0026】
タイミングジェネレータ401は、イメージセンサ1の駆動モードに応じて、垂直走査回路201、信号処理回路301、および水平走査回路501のそれぞれを駆動するための駆動信号を出力する。
【0027】
垂直走査回路201は、タイミングジェネレータ401から入力された駆動信号に応じて、画素アレイ102に配置された単位画素101を行単位で駆動するための画素駆動信号を出力する。垂直走査回路201が出力する画素駆動信号には、単位画素101が受光した光信号情報を読み出し、読み出した光信号情報をアナログ信号に変換するための動作を制御する制御信号と、変換したアナログ信号を、画素アレイ102の各列の垂直信号線103に出力するための動作を制御する行選択信号とが含まれている。また、垂直走査回路201から出力する画素駆動信号には、単位画素101を行毎に駆動する行選択信号が含まれている。図1においては、画素駆動信号のうち、行選択信号線に出力される行選択信号のみを明示している。また、行選択信号線としては、画素アレイ102に配置された第1行目の単位画素101を選択する行選択信号線2001と、第2行目の単位画素101を選択する行選択信号線2002とを区別して明示している。
【0028】
画素アレイ102は、光電変換素子を含む複数の単位画素101が行方向および列方向の二次元に配置されている。単位画素101には、それぞれ、赤色(R)、緑色(G1、G2)、青色(B)の光透過フィルタが配置されている。以下の説明において、それぞれの光透過フィルタが配置されている単位画素101を区別する際には、赤色(R)の光透過フィルタが配置されている単位画素101を「R画素101R」、緑色(G1)の光透過フィルタが配置されている単位画素101を「G1画素101G1」、緑色(G2)の光透過フィルタが配置されている単位画素101を「G2画素101G2」、青色(B)の光透過フィルタが配置されている単位画素101を「B画素101B」という。
【0029】
それぞれの単位画素101は、垂直走査回路201から入力された画素駆動信号に応じて、受光した光信号情報をアナログ信号に変換する。そして、行選択信号線2001および行選択信号線2002を含む行選択信号線を介して入力された、垂直走査回路201からの行選択信号に応じて、変換したアナログ信号を画素アレイ102の行毎に、画素アレイ102の各列の垂直信号線103に出力する。
【0030】
信号処理回路301は、画素アレイ102の列毎にそれぞれ配置され、タイミングジェネレータ401から入力された駆動信号に応じて、画素アレイ102の各列の垂直信号線103を介して入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。そして、信号処理回路301は、水平走査回路501から入力された列選択信号に応じて、変換したデジタル信号を水平信号線601に出力する。
【0031】
信号処理回路301のそれぞれは、画素アレイ102の奇数列に対応する駆動信号線4001、および画素アレイ102の偶数列に対応する駆動信号線4002を介して、タイミングジェネレータ401から入力された駆動信号に応じて、画素アレイ102の奇数列および偶数列毎に、それぞれ入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換回路を備えている。また、信号処理回路301のそれぞれは、例えば、CDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)回路などのアナログ的な処理を行うアナログ処理回路を備え、入力されたアナログ信号を処理した後に、処理後のアナログ信号をAD変換回路に出力し、AD変換回路が処理後のアナログ信号をデジタル信号に変換する構成とすることもできる。
【0032】
以下の説明においては、信号処理回路301がAD変換回路であるものとし、信号処理回路301を、「AD変換回路301」と表して説明する。そして、以下の説明において、画素アレイ102の奇数列および偶数列に対応してそれぞれ配置されたAD変換回路301を区別する際には、奇数列に配置されたAD変換回路301を「AD変換回路301a」、偶数列に配置されたAD変換回路301を「AD変換回路301b」という。
【0033】
AD変換回路301のそれぞれは、画素アレイ102の奇数列に対応する列選択信号線5001、および画素アレイ102の偶数列に対応する列選択信号線5002を介して、水平走査回路501から入力された列選択信号に応じて、変換したデジタル信号を水平信号線601に出力する。
【0034】
水平走査回路501は、タイミングジェネレータ401から入力された駆動信号に応じて、AD変換回路301のそれぞれが変換したデジタル信号の水平信号線601への出力動作を制御する。水平走査回路501は、それぞれのAD変換回路301が変換したデジタル信号を水平信号線601に出力させるための列選択信号を、列選択信号線5001および列選択信号線5002を含む列選択信号線を介して、それぞれのAD変換回路301に出力する。
【0035】
水平信号線601に出力されたAD変換回路301からのデジタル信号は、イメージセンサ1の出力信号として、イメージセンサ1の外部に出力される。
【0036】
<第1の駆動モード>
次に、イメージセンサ1の読み出し方法について説明する。図2は、本第1の実施形態のイメージセンサ1の第1の駆動モードにおける読み出し方法のタイミングを示したタイミングチャートである。第1の駆動モードとは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の全ての波長帯域の光を含む、通常の白色光(以下、「通常光」という)による撮影に相当する。なお、以下の説明においては、図1に示した画素アレイ102の第1行目の単位画素101、すなわち、G1画素101G1およびB画素101Bと、第2行目の単位画素101、すなわち、R画素101RおよびG2画素101G2とを読み出す場合の例を説明する。
【0037】
本第1の駆動モードにおける読み出し方法(以下、「第1の読み出し方法」という)による読み出し制御は、タイミングジェネレータ401から垂直走査回路201、AD変換回路301、および水平走査回路501のそれぞれに出力される駆動信号によって制御される。なお、本第1の読み出し方法の説明では、単位画素101の読み出しにおいて、タイミングジェネレータ401から入力された駆動信号に応じて垂直走査回路201から出力される、単位画素101を行単位で駆動するための画素駆動信号の詳細は省略し、行選択信号線に出力される行選択信号のみを明示する。そして、行選択信号線2001、行選択信号線2002が“H”レベルとなったときに、対応する単位画素101から垂直信号線103にアナログ信号が読み出されるものとして説明する。
【0038】
同様に、AD変換回路301についても、タイミングジェネレータ401から出力される、AD変換の動作および水平信号線601へのデジタル信号の出力動作のための駆動信号の詳細は省略し、駆動信号線に出力される駆動信号のみを明示する。そして、駆動信号線4001、駆動信号線4002が“H”レベルとなったときに、対応するAD変換回路301が適宜AD変換(アナログ・デジタル変換)の動作を行うものとして説明する。また、AD変換回路301は、駆動信号線5001、駆動信号線5002が“H”レベルとなったときに、対応するAD変換回路301が適宜水平信号線601にデジタル信号を出力する出力動作を行うものとして説明する。
【0039】
最初に、期間T1〜期間T3において、画素アレイ102に配置された第1行目の単位画素101(G1画素101G1およびB画素101B)の読み出しを行う。まず、画素信号読み出し期間T1において、タイミングジェネレータ401は、垂直走査回路201への駆動信号によって、行選択信号線2001を“H”レベルとする。これにより、第1行目のG1画素101G1から出力されたアナログ信号が、対応する垂直信号線103を介してAD変換回路301aに入力され、B画素101Bから出力されたアナログ信号が、対応する垂直信号線103を介してAD変換回路301bに入力される。
【0040】
続いて、AD変換期間T2において、タイミングジェネレータ401は、駆動信号線4001および駆動信号線4002を“H”レベルとする。これにより、AD変換回路301aは、入力された第1行目のG1画素101G1のアナログ信号を、AD変換回路301bは、入力された第1行目のB画素101Bのアナログ信号を、それぞれデジタル信号に変換する。
【0041】
続いて、水平信号読み出し期間T3において、タイミングジェネレータ401は、水平走査回路501への駆動信号によって、列選択信号線5001、列選択信号線5002を順次“H”レベルとする。これにより、AD変換回路301から、第1行目の単位画素101のデジタル信号が、イメージセンサ1の出力信号として順次、水平信号線601に出力される。
【0042】
次に、期間T4〜期間T6において、画素アレイ102に配置された第2行目の単位画素101(R画素101RおよびG2画素101G2)の読み出しを行う。まず、画素信号読み出し期間T4において、タイミングジェネレータ401は、垂直走査回路201への駆動信号によって、行選択信号線2002を“H”レベルとする。これにより、第2行目のR画素101Rから出力されたアナログ信号が、対応する垂直信号線103を介してAD変換回路301aに入力され、G2画素101G2から出力されたアナログ信号が、対応する垂直信号線103を介してAD変換回路301bに入力される。
【0043】
続いて、AD変換期間T5において、タイミングジェネレータ401は、駆動信号線4001および駆動信号線4002を“H”レベルとする。これにより、AD変換回路301aは、入力された第2行目のR画素101Rのアナログ信号を、AD変換回路301bは、入力された第2行目のG2画素101G2のアナログ信号を、それぞれデジタル信号に変換する。
【0044】
続いて、水平信号読み出し期間T6において、タイミングジェネレータ401は、水平走査回路501への駆動信号によって、列選択信号線5001、列選択信号線5002を順次“H”レベルとする。これにより、AD変換回路301から、第2行目の単位画素101のデジタル信号が、イメージセンサ1の出力信号として順次、水平信号線601に出力される。
【0045】
上記に述べたとおり、本第1の読み出し方法によれば、画素アレイ102に配置された全ての単位画素101の読み出しを行うことによって、赤色(R)、緑色(G1、G2)、青色(B)の各色の光信号情報(色差情報)を得ることができる。そして、従来のイメージセンサと同様に、各色の出力信号(デジタル信号)を出力することができる。
【0046】
<第2の駆動モード>
次に、イメージセンサ1の別の読み出し方法について説明する。図3は、本第1の実施形態のイメージセンサ1の第2の駆動モードにおける読み出し方法のタイミングを示したタイミングチャートである。第2の駆動モードとは、狭帯域化された特定の波長帯域の光を含む特殊な光(以下、「特殊光」という)による撮影に相当する。以下の説明において特殊光は、波長帯域390〜445nmと530〜550nmとを含む光であるものとする。従って、図8に示したように、画素アレイ102に配置されたR画素101Rは、特殊光の波長に対して殆ど感度を持っていないことになる。
【0047】
なお、本第2の駆動モードにおける読み出し方法(以下、「第2の読み出し方法」という)においても、図2に示した第1の読み出し方法と同様に、図1に示した画素アレイ102の第1行目の単位画素101(G1画素101G1、B画素101B)と、第2行目の単位画素101(R画素101R、G2画素101G2)とを読み出す場合の例を説明する。また、図3に示した各信号やイメージセンサ1内の各構成要素の動作状態は、図2に示した第1の読み出し方法と同様である。
【0048】
最初に、期間T1〜期間T3において、画素アレイ102に配置された第1行目の単位画素101(G1画素101G1およびB画素101B)の読み出しを行う。まず、画素信号読み出し期間T1において、タイミングジェネレータ401は、垂直走査回路201への駆動信号によって、行選択信号線2001を“H”レベルとする。これにより、第1行目のG1画素101G1から出力されたアナログ信号が、対応する垂直信号線103を介してAD変換回路301aに入力され、B画素101Bから出力されたアナログ信号が、対応する垂直信号線103を介してAD変換回路301bに入力される。
【0049】
続いて、AD変換期間T2において、タイミングジェネレータ401は、駆動信号線4001および駆動信号線4002を“H”レベルとする。これにより、AD変換回路301aは、入力された第1行目のG1画素101G1のアナログ信号を、AD変換回路301bは、入力された第1行目のB画素101Bのアナログ信号を、それぞれデジタル信号に変換する。
【0050】
続いて、水平信号読み出し期間T3において、タイミングジェネレータ401は、水平走査回路501への駆動信号によって、列選択信号線5001、列選択信号線5002を順次“H”レベルとする。これにより、AD変換回路301から、第1行目の単位画素101のデジタル信号が、イメージセンサ1の出力信号として順次、水平信号線601に出力される。
【0051】
次に、期間T4〜期間T6において、画素アレイ102に配置された第2行目の単位画素101(R画素101RおよびG2画素101G2)の読み出しを行う。まず、画素信号読み出し期間T4において、タイミングジェネレータ401は、垂直走査回路201への駆動信号によって、行選択信号線2002を“H”レベルとする。これにより、第2行目のR画素101Rから出力されたアナログ信号が、対応する垂直信号線103を介してAD変換回路301aに入力され、G2画素101G2から出力されたアナログ信号が、対応する垂直信号線103を介してAD変換回路301bに入力される。
【0052】
続いて、AD変換期間T5において、タイミングジェネレータ401は、駆動信号線4001を“L”レベル、駆動信号線4002を“H”レベルとする。これにより、AD変換回路301bのみが、入力された第2行目のG2画素101G2のアナログ信号をデジタル信号に変換する。すなわち、AD変換回路301aは、入力された第2行目のR画素101Rに対するAD変換の動作を行わない。
【0053】
続いて、水平信号読み出し期間T6において、タイミングジェネレータ401は、水平走査回路501への駆動信号によって、列選択信号線5001、列選択信号線5002を順次“H”レベルとする。これにより、AD変換回路301から、第2行目の単位画素101のデジタル信号が、イメージセンサ1の出力信号として順次、水平信号線601に出力される。このとき、AD変換回路301aは、AD変換期間T5においてAD変換の動作を行っていないため、AD変換回路301aからは、R画素101Rに対応したデジタル信号として、不定の値が出力される。
【0054】
上記に述べたとおり、本第2の読み出し方法によれば、画素アレイ102に配置されたG1画素101G1、B画素101B、G2画素101G2に対応したAD変換回路301によるAD変換の動作によって、G1画素101G1、B画素101B、G2画素101G2に対応したデジタル信号を得ることができる。また、本第2の読み出し方法では、R画素101Rに対応したAD変換回路301aによるAD変換の動作を行わない(停止させる)ことによって、AD変換回路301aの動作に要する消費電力を削減することができる。このことにより、イメージセンサ1の低消費電力化を実現することができる。
【0055】
なお、本第2の読み出し方法では、画素アレイ102に配置されたR画素101Rに対応したデジタル信号を得ることができない。しかしながら、撮影で使用される狭帯域化された特殊光の波長帯域は、波長帯域390〜445nmと530〜550nmとであり、上述のように、R画素101Rは特殊光の波長に対する感度を殆ど持っていない。このため、仮に、R画素101Rに対応したデジタル信号が得られたとしても、その出力信号(デジタル信号)は、後の画像生成の処理における有効性が低い。従って、本第2の読み出し方法において、R画素101Rに対応したデジタル信号を得ることができなくとも、後の画像生成に影響を与えることはない。むしろ、消費電力を削減することができる効果の方が有用である。
【0056】
上記に述べたとおり、本第1の実施形態によれば、光信号情報を読み出しても有効性が低い単位画素101(本第1の実施形態においては、R画素101R)が配置された画素アレイの列(本第1の実施形態においては、奇数列)に対応して配置された信号処理回路と、有効な光信号情報が読み出せる単位画素101が配置された画素アレイの列(本第1の実施形態においては、偶数列)に対応して配置された信号処理回路とを分けて、動作の実行を制御することができる。これにより、狭帯域化された特殊光を用いた撮影を行う際に、光信号情報を読み出しても有効性が低いR画素101Rに対応して配置された信号処理回路の動作を停止させることができ、信号処理回路の動作に要する消費電力を削減することができる。
【0057】
これは、例えば、通常光による撮影と特殊光による撮影とを交互に繰り返して行うために、それぞれの撮影におけるフレームレートを上げる場合や、例えば、カプセル内視鏡のような電池で駆動するタイプの電子内視鏡システムなどにおいて、通常光による撮影と特殊光による撮影との撮影機能を組み込む場合など、消費電力の増加が問題となるような撮像システムを実現する場合に有効である。
【0058】
なお、本第1の実施形態においては、AD変換回路301を、画素アレイ102の奇数列に配置されたAD変換回路301aと、偶数列に配置されたAD変換回路301bとに分けて、光信号情報を読み出しても有効性が低いR画素101Rに対応したAD変換回路301aによるAD変換の動作を停止させて、消費電力を削減する場合について説明した。しかし、消費電力を削減する方法は、本第1の実施形態の構成のみに限定されるものではない。例えば、垂直走査回路201が出力する画素駆動信号を、画素アレイ102の奇数列に配置された単位画素101に対する画素駆動信号と、偶数列に配置された単位画素101に対する画素駆動信号とに分ける。そして、画素信号読み出し期間において、有効性が低い単位画素101からの光信号情報の読み出しや、読み出した光信号情報のアナログ信号への変換動作を停止させるように制御することによって、有効性が低い単位画素101の処理に要する消費電力を、さらに低減させることができる。
【0059】
また、本第1の実施形態においては、光信号情報を読み出しても有効性が低いR画素101Rに対応したAD変換回路301aによるAD変換の動作を停止させたとき、AD変換回路301aから出力されるR画素101Rに対応したデジタル信号が不定の値であるものとして説明した。しかし、AD変換の動作を停止させたAD変換回路301から出力されるデジタル信号の値は、本第1の実施形態に示した値のみに限定されるものではない。例えば、後の画像生成の処理において不都合が生じないように、不定な値のデジタル信号ではなく、一定の値(例えば、光の入射が一切ない暗信号に相当する値)のデジタル信号に固定して出力する構成とすることもできる。また、例えば、後の画像生成の処理に応じて、水平信号読み出し期間T6において、タイミングジェネレータ401が列選択信号線5001を“L”レベルとして、AD変換回路301aから、光信号情報を読み出しても有効性が低いR画素101Rのデジタル信号を水平信号線601に出力しない構成とすることもできる。この場合には、例えば、R画素101Rを用いない画像生成処理や、R画素101Rのデジタル信号が一定の値であるものとするなど、後の画像生成の処理において対応することが考えられる。
【0060】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図4は、本第2の実施形態によるイメージセンサ2の概略構成を示したブロック図である。図4において、イメージセンサ2は、画素アレイ102と、垂直走査回路201と、複数の信号処理回路301と、タイミングジェネレータ402と、水平走査回路501と、基準電圧回路701と、複数のスイッチSW1〜SW5とから構成される。
【0061】
なお、本第2の実施形態のイメージセンサ2と第1の実施形態のイメージセンサ1との構成の違いは、第1の実施形態のイメージセンサ1において画素アレイ102の奇数列と偶数列とを組とした組毎に、画素アレイ102に接続されている垂直信号線103と信号処理回路301との間にスイッチSW1〜SW5を備え、さらに、基準電圧回路701を備えたことである。また、上記構成の違いにより、第1の実施形態のイメージセンサ1に備えたタイミングジェネレータ401に代わり、タイミングジェネレータ402を備える。タイミングジェネレータ402は、タイミングジェネレータ401にスイッチSW1〜SW5の制御信号が追加され、駆動信号線4001および駆動信号線4002が削除され、駆動信号線4003が追加されている。そして、画素アレイ102のそれぞれの列に配置された信号処理回路301に入力される駆動信号が、共通の駆動信号線4003を介してタイミングジェネレータ402から入力されることも異なる。
【0062】
なお、本第2の実施形態のイメージセンサ2と第1の実施形態のイメージセンサ1とにおいて、同様の動作をする構成要素については、同一の符号を付与している。そして、第1の実施形態と同様に、信号処理回路301がAD変換回路301であるものとして説明する。
【0063】
タイミングジェネレータ402は、イメージセンサ2の駆動モードに応じて、スイッチSW1〜SW5、垂直走査回路201、AD変換回路301、および水平走査回路501のそれぞれを駆動するための駆動信号を出力する。
【0064】
垂直走査回路201は、タイミングジェネレータ402から入力された駆動信号に応じて、画素アレイ102に配置された単位画素101を行単位で駆動するための画素駆動信号を出力する。垂直走査回路201が出力する画素駆動信号には、単位画素101が受光した光信号情報を読み出し、読み出した光信号情報をアナログ信号に変換するための動作を制御する制御信号と、変換したアナログ信号を、画素アレイ102の各列の垂直信号線103に出力するための動作を制御する行選択信号とが含まれている。また、垂直走査回路201から出力する画素駆動信号には、単位画素101を行毎に駆動する行選択信号が含まれている。図4においては、画素駆動信号のうち、行選択信号線に出力される行選択信号のみを明示している。また、行選択信号線としては、画素アレイ102に配置された第1行目の単位画素101を選択する行選択信号線2001と、第2行目の単位画素101を選択する行選択信号線2002と、第3行目の単位画素101を選択する行選択信号線2003と、第4行目の単位画素101を選択する行選択信号線2004とを区別して明示している。
【0065】
画素アレイ102は、光電変換素子を含む複数の単位画素101が行方向および列方向の二次元に配置されている。単位画素101には、それぞれ、赤色(R)、緑色(G1、G2)、青色(B)の光透過フィルタが配置されている。以下の説明において、それぞれの光透過フィルタが配置されている単位画素101を区別する際には、赤色(R)の光透過フィルタが配置されている単位画素101を「R画素101R」、緑色(G1)の光透過フィルタが配置されている単位画素101を「G1画素101G1」、緑色(G2)の光透過フィルタが配置されている単位画素101を「G2画素101G2」、青色(B)の光透過フィルタが配置されている単位画素101を「B画素101B」という。
【0066】
それぞれの単位画素101は、垂直走査回路201から入力された画素駆動信号に応じて、受光した光信号情報をアナログ信号に変換する。そして、行選択信号線2001〜2004を含む行選択信号線を介して入力された、垂直走査回路201からの行選択信号に応じて、変換したアナログ信号を画素アレイ102の行毎に、画素アレイ102の各列の垂直信号線103に出力する。
【0067】
スイッチSW1〜スイッチSW5は、信号線の接続または切断の切り替えを行う信号線接続用のスイッチである。スイッチSW1〜スイッチSW5は、タイミングジェネレータ402から入力される制御信号に応じて、スイッチSW1〜スイッチSW5のそれぞれのONまたはOFFが制御される。なお、図4では、スイッチSW1〜スイッチSW5がONしているときに信号線が接続された状態となり、スイッチSW1〜スイッチSW5がOFFしているときに信号線が切断された状態となる一例を示している。
【0068】
スイッチSW1は、一端が画素アレイ102の奇数列の垂直信号線103に接続され、他端が同じ奇数列のAD変換回路301aのアナログ信号の入力に接続されている。また、スイッチSW2は、一端が画素アレイ102の偶数列の垂直信号線103に接続され、他端がスイッチSW1の他端、すなわち、画素アレイ102の奇数列のAD変換回路301aのアナログ信号の入力に接続されている。また、スイッチSW3は、一端が画素アレイ102の偶数列の垂直信号線103に接続され、他端が同じ偶数列のAD変換回路301bのアナログ信号の入力に接続されている。また、スイッチSW4は、一端が基準電圧回路701の出力に接続され、他端が画素アレイ102の奇数列のAD変換回路301aのアナログ信号の入力に接続されている。また、スイッチSW5は、一端が基準電圧回路701の出力に接続され、他端が画素アレイ102の偶数列のAD変換回路301bのアナログ信号の入力に接続されている。
【0069】
スイッチSW1〜スイッチSW5のONまたはOFFによって、AD変換回路301aおよびAD変換回路301bのアナログ信号の入力端子に入力されるアナログ信号を切り替える。より具体的には、スイッチSW1、スイッチSW2、およびスイッチSW4によって、AD変換回路301aに入力されるアナログ信号を、画素アレイ102の奇数列の単位画素101から出力されたアナログ信号、偶数列の単位画素101から出力されたアナログ信号、または基準電圧回路701から出力されたアナログ信号(基準電圧)のいずれか1つのアナログ信号に切り替える。また、スイッチSW3およびスイッチSW5によって、AD変換回路301bに入力されるアナログ信号を、画素アレイ102の偶数列の単位画素101から出力されたアナログ信号、または基準電圧回路701から出力されたアナログ信号(基準電圧)のいずれか1つのアナログ信号に切り替える。
【0070】
AD変換回路301は、画素アレイ102の列毎にそれぞれ配置され、駆動信号線4002を介してタイミングジェネレータ402から入力された駆動信号に応じて、スイッチSW1〜スイッチSW5のいずれかを介して入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。そして、AD変換回路301は、水平走査回路501から入力された列選択信号に応じて、変換したデジタル信号を水平信号線601に出力する。
【0071】
AD変換回路301のそれぞれは、画素アレイ102の奇数列および偶数列毎に、それぞれ入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。以下の説明において、画素アレイ102の奇数列および偶数列に対応してそれぞれ配置されたAD変換回路301を区別する際には、奇数列に配置されたAD変換回路301を「AD変換回路301a」、偶数列に配置されたAD変換回路301を「AD変換回路301b」という。
【0072】
また、AD変換回路301のそれぞれは、画素アレイ102の奇数列に対応する列選択信号線5001、および画素アレイ102の偶数列に対応する列選択信号線5002を介して、水平走査回路501から入力された列選択信号に応じて、変換したデジタル信号を水平信号線601に出力する。
【0073】
水平走査回路501は、タイミングジェネレータ402から入力された駆動信号に応じて、AD変換回路301のそれぞれが変換したデジタル信号の水平信号線601への出力動作を制御する。水平走査回路501は、それぞれのAD変換回路301が変換したデジタル信号を水平信号線601に出力させるための列選択信号を、列選択信号線5001および列選択信号線5002を含む列選択信号線を介して、それぞれのAD変換回路301に出力する。
【0074】
水平信号線601に出力されたAD変換回路301からのデジタル信号は、イメージセンサ2の出力信号として、イメージセンサ2の外部に出力される。
【0075】
基準電圧回路701は、図示しない制御回路によって設定された基準電圧を、アナログ信号として出力する。本第2の実施形態のイメージセンサ2においては、基準電圧回路701が出力した基準電圧を、AD変換回路301のリニアリティ特性を補正するための補正電圧として使用する。基準電圧回路701が出力した基準電圧は、スイッチSW4を介してAD変換回路301aに、スイッチSW5を介してAD変換回路301bに、適宜入力される。
【0076】
<第1の駆動モード>
次に、イメージセンサ2の読み出し方法について説明する。図5は、本第2の実施形態のイメージセンサ2の第1の駆動モードにおける読み出し方法のタイミングを示したタイミングチャートである。第1の駆動モードとは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の全ての波長帯域の光を含む通常光による撮影に相当する。なお、以下の説明においては、図2に示した画素アレイ102の第1行目〜第4行目の単位画素101、すなわち、G1画素101G1、B画素101B、R画素101R、およびG2画素101G2を読み出す場合の例を説明する。
【0077】
本第1の駆動モードにおける読み出し方法(以下、「第1の読み出し方法」という)による読み出し制御は、タイミングジェネレータ402から垂直走査回路201、スイッチSW1〜SW5、AD変換回路301、および水平走査回路501のそれぞれに出力される駆動信号によって制御される。なお、本第1の読み出し方法の説明では、単位画素101の読み出しについて、タイミングジェネレータ402から入力された駆動信号に応じて垂直走査回路201から出力される、単位画素101を行単位で駆動するための画素駆動信号の詳細は省略し、行選択信号線に出力される行選択信号のみを明示する。そして、行選択信号線2001〜2004が“H”レベルとなったときに、対応する単位画素101から垂直信号線103にアナログ信号が読み出されるものとして説明する。
【0078】
同様に、AD変換回路301についても、タイミングジェネレータ402から出力される、AD変換の動作および水平信号線601へのデジタル信号の出力動作のための駆動信号の詳細は省略し、駆動信号線に出力される駆動信号のみを明示する。そして、駆動信号線4003が“H”レベルとなったときに、対応するAD変換回路301が適宜AD変換(アナログ・デジタル変換)の動作を行うものとして説明する。また、AD変換回路301は、駆動信号線5001、駆動信号線5002が“H”レベルとなったときに、対応するAD変換回路301が適宜水平信号線601にデジタル信号を出力する出力動作を行うものとして説明する。
【0079】
また、スイッチSW1〜SW5のそれぞれは、タイミングジェネレータ402から出力される制御信号SW1〜SW5が“H”レベルとなったときにONし、“L”レベルとなったときにOFFするものとして説明する。なお、スイッチSW1〜スイッチSW5がONしているときに信号線が接続された状態となり、スイッチSW1〜スイッチSW5がOFFしているときに信号線が切断された状態となる。
【0080】
最初に、期間T1〜期間T3において、画素アレイ102に配置された第1行目の単位画素101(G1画素101G1およびB画素101B)の読み出しを行う。まず、画素信号読み出し期間T1において、タイミングジェネレータ402は、垂直走査回路201への駆動信号によって、行選択信号線2001を“H”レベルとする。
【0081】
このとき、タイミングジェネレータ402から出力されている制御信号SW1〜SW5は、それぞれ、制御信号SW1が“H”レベル、制御信号SW2が“L”レベル、制御信号SW3が“H”レベル、制御信号SW4が“L”レベル、制御信号SW5が“L”レベルである。従って、AD変換回路301aには、同じ奇数列の単位画素101から出力されたアナログ信号が、AD変換回路301bには、同じ偶数列の単位画素101から出力されたアナログ信号が、それぞれ入力される状態である。
【0082】
これにより、第1行目のG1画素101G1から出力されたアナログ信号が、対応する垂直信号線103およびスイッチSW1を介してAD変換回路301aに入力され、B画素101Bから出力されたアナログ信号が、対応する垂直信号線103およびスイッチSW3を介してAD変換回路301bに入力される。
【0083】
続いて、AD変換期間T2において、タイミングジェネレータ402は、駆動信号線4003を“H”レベルとする。これにより、AD変換回路301aは、入力された第1行目のG1画素101G1のアナログ信号を、AD変換回路301bは、入力された第1行目のB画素101Bのアナログ信号を、それぞれデジタル信号に変換する。
【0084】
続いて、水平信号読み出し期間T3において、タイミングジェネレータ402は、水平走査回路501への駆動信号によって、列選択信号線5001、列選択信号線5002を順次“H”レベルとする。これにより、AD変換回路301から、第1行目の単位画素101のデジタル信号が、イメージセンサ2の出力信号として順次、水平信号線601に出力される。
【0085】
以降、期間T4〜期間T12において、期間T1〜期間T3の第1行目の単位画素101の読み出しと同様に、第2行目〜第4行目の単位画素101の読み出しを行い、変換したデジタル信号を、イメージセンサ2の出力信号として順次、水平信号線601に出力する。より具体的には、期間T4〜期間T6において、画素アレイ102に配置された第2行目の単位画素101(R画素101RおよびG2画素101G2)、期間T7〜期間T9において、画素アレイ102に配置された第3行目の単位画素101(G1画素101G1およびB画素101B)、期間T10〜期間T2において、画素アレイ102に配置された第4行目の単位画素101(R画素101RおよびG2画素101G2)の読み出しと、デジタル信号の出力とを行う。なお、期間T4〜期間T12の動作は、対象の単位画素101が異なるのみで、期間T1〜期間T3の動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0086】
上記に述べたとおり、本第1の読み出し方法によれば、画素アレイ102に配置された全ての単位画素101の読み出しを行うことによって、赤色(R)、緑色(G1、G2)、青色(B)の各色の光信号情報(色差情報)を得ることができ、従来のイメージセンサと同様に、各色の出力信号(デジタル信号)を出力することができる。
【0087】
<第2の駆動モード>
次に、イメージセンサ2の別の読み出し方法について説明する。図6は、本第2の実施形態のイメージセンサ2の第2の駆動モードにおける読み出し方法のタイミングを示したタイミングチャートである。第2の駆動モードとは、狭帯域化された特定の波長帯域の光を含む特殊光による撮影に相当する。以下の説明において特殊光は、波長帯域390〜445nmと530〜550nmとを含む光であるものとする。従って、図8に示したように、画素アレイ102に配置されたR画素101Rは、特殊光の波長に対して殆ど感度を持っていないことになる。
【0088】
なお、本第2の駆動モードにおける読み出し方法(以下、「第2の読み出し方法」という)においても、図5に示した第1の読み出し方法と同様に、図4に示した画素アレイ102の第1行目〜第4行目の単位画素101、すなわち、G1画素101G1、B画素101B、R画素101R、およびG2画素101G2を読み出す場合の例を説明する。また、図6に示した各信号やイメージセンサ2内の各構成要素の動作状態は、図5に示した第1の読み出し方法と同様である。
【0089】
最初に、期間T1〜期間T3において、画素アレイ102に配置された第1行目の単位画素101(G1画素101G1およびB画素101B)の読み出しを行う。まず、画素信号読み出し期間T1において、タイミングジェネレータ402は、垂直走査回路201への駆動信号によって、行選択信号線2001を“H”レベルとする。
【0090】
このとき、タイミングジェネレータ402から出力されている制御信号SW1〜SW5は、それぞれ、制御信号SW1が“H”レベル、制御信号SW2が“L”レベル、制御信号SW3が“H”レベル、制御信号SW4が“L”レベル、制御信号SW5が“L”レベルである。従って、AD変換回路301aには、同じ奇数列の単位画素101から出力されたアナログ信号が、AD変換回路301bには、同じ偶数列の単位画素101から出力されたアナログ信号が、それぞれ入力される状態である。
【0091】
これにより、第1行目のG1画素101G1から出力されたアナログ信号が、対応する垂直信号線103およびスイッチSW1を介してAD変換回路301aに入力され、B画素101Bから出力されたアナログ信号が、対応する垂直信号線103およびスイッチSW3を介してAD変換回路301bに入力される。
【0092】
続いて、AD変換期間T2において、タイミングジェネレータ402は、駆動信号線4003を“H”レベルとする。これにより、AD変換回路301aは、入力された第1行目のG1画素101G1のアナログ信号を、AD変換回路301bは、入力された第1行目のB画素101Bのアナログ信号を、それぞれデジタル信号に変換する。
【0093】
続いて、水平信号読み出し期間T3において、タイミングジェネレータ402は、水平走査回路501への駆動信号によって、列選択信号線5001、列選択信号線5002を順次“H”レベルとする。これにより、AD変換回路301から、第1行目の単位画素101のデジタル信号が、イメージセンサ2の出力信号として順次、水平信号線601に出力される。
【0094】
次に、期間T4〜期間T6において、画素アレイ102に配置された第2行目の単位画素101(R画素101RおよびG2画素101G2)の読み出しを行う。まず、画素信号読み出し期間T4において、タイミングジェネレータ402は、垂直走査回路201への駆動信号によって、行選択信号線2002を“H”レベルとする。
【0095】
このとき、タイミングジェネレータ402から出力されている制御信号SW1〜SW5は、それぞれ、制御信号SW1が“L”レベル、制御信号SW2が“L”レベル、制御信号SW3が“H”レベル、制御信号SW4が“H”レベル、制御信号SW5が“L”レベルである。従って、AD変換回路301aには、基準電圧回路701から出力されたアナログ信号(基準電圧)が、AD変換回路301bには、同じ偶数列の単位画素101から出力されたアナログ信号が、それぞれ入力される状態である。
【0096】
これにより、基準電圧回路701から出力されたAD変換回路301aのリニアリティ特性を補正するための基準電圧が、スイッチSW4を介してAD変換回路301aに入力され、第2行目のG2画素101G2から出力されたアナログ信号が、対応する垂直信号線103およびスイッチSW3を介してAD変換回路301bに入力される。
【0097】
続いて、AD変換期間T5において、タイミングジェネレータ402は、駆動信号線4003を“H”レベルとする。これにより、AD変換回路301aは、入力されたリニアリティ補正用の基準電圧を、AD変換回路301bは、入力された第2行目のG2画素101G2のアナログ信号を、それぞれデジタル信号に変換する。
【0098】
続いて、水平信号読み出し期間T6において、タイミングジェネレータ402は、水平走査回路501への駆動信号によって、列選択信号線5001、列選択信号線5002を順次“H”レベルとする。これにより、AD変換回路301から、リニアリティ補正用の基準電圧をAD変換した結果のデジタル信号と、第2行目のG2画素101G2のデジタル信号とが、イメージセンサ2の出力信号として順次、水平信号線601に出力される。
【0099】
以降、期間T7〜期間T9において、期間T1〜期間T3の第1行目の単位画素101の読み出しと同様に、第3行目の単位画素101の読み出しを行い、変換したデジタル信号を、イメージセンサ2の出力信号として順次、水平信号線601に出力する。より具体的には、期間T7〜期間T9において、画素アレイ102に配置された第3行目の単位画素101(G1画素101G1およびB画素101B)の読み出しと、デジタル信号の出力とを行う。なお、期間T7〜期間T9の動作は、対象の単位画素101が配置された画素アレイ102の行が異なるのみで、期間T1〜期間T3の動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0100】
次に、期間T10〜期間T12において、画素アレイ102に配置された第4行目の単位画素101(R画素101RおよびG2画素101G2)の読み出しを行う。まず、画素信号読み出し期間T10において、タイミングジェネレータ402は、垂直走査回路201への駆動信号によって、行選択信号線2004を“H”レベルとする。
【0101】
このとき、タイミングジェネレータ402から出力されている制御信号SW1〜SW5は、それぞれ、制御信号SW1が“L”レベル、制御信号SW2が“H”レベル、制御信号SW3が“L”レベル、制御信号SW4が“L”レベル、制御信号SW5が“H”レベルである。従って、AD変換回路301aには、隣の偶数列の単位画素101から出力されたアナログ信号が、AD変換回路301bには、基準電圧回路701から出力されたアナログ信号(基準電圧)が、それぞれ入力される状態である。
【0102】
これにより、第4行目のG2画素101G2から出力されたアナログ信号が、対応する垂直信号線103およびスイッチSW2を介してAD変換回路301aに入力され、基準電圧回路701から出力されたAD変換回路301aのリニアリティ特性を補正するための基準電圧が、スイッチSW5を介してAD変換回路301bに入力される。
【0103】
続いて、AD変換期間T11において、タイミングジェネレータ402は、駆動信号線4003を“H”レベルとする。これにより、AD変換回路301aは、入力された第4行目のG2画素101G2のアナログ信号を、AD変換回路301bは、入力されたリニアリティ補正用の基準電圧を、それぞれデジタル信号に変換する。
【0104】
続いて、水平信号読み出し期間T12において、タイミングジェネレータ402は、水平走査回路501への駆動信号によって、列選択信号線5001、列選択信号線5002を順次“H”レベルとする。これにより、AD変換回路301から、第4行目のG2画素101G2のデジタル信号と、リニアリティ補正用の基準電圧をAD変換した結果のデジタル信号とが、イメージセンサ2の出力信号として順次、水平信号線601に出力される。
【0105】
上記に述べたとおり、本第2の読み出し方法によれば、画素アレイ102に配置されたG1画素101G1、B画素101B、G2画素101G2に対応したAD変換回路301によるAD変換の動作によって、G1画素101G1、B画素101B、G2画素101G2に対応したデジタル信号を得ることができる。また、本第2の読み出し方法では、R画素101Rに対応したデジタル信号を得る代わりに、AD変換回路301aおよびAD変換回路301bのリニアリティ特性を補正するための基準電圧をAD変換した結果のデジタル信号(以下、「補正データ」という)を得ることができる。このことにより、イメージセンサ2では、より高画質な撮影画像を得ることができる。
【0106】
なお、本第2の読み出し方法では、画素アレイ102に配置されたR画素101Rに対応したデジタル信号を得ることができない。しかしながら、撮影で使用される狭帯域化された特殊光の波長帯域は、波長帯域390〜445nmと530〜550nmとであり、上述のように、R画素101Rは特殊光の波長に対する感度を殆ど持っていない。このため、仮に、R画素101Rに対応したデジタル信号が得られたとしても、その出力信号(デジタル信号)は、後の画像生成の処理における有効性が低い。従って、本第2の読み出し方法において、R画素101Rに対応したデジタル信号を得ることができなくとも、後の画像生成に影響を与えることはない。むしろ、AD変換回路301のリニアリティ特性を補正するための補正データを得ることができる効果の方が有用である。
【0107】
上記に述べたとおり、本第2の実施形態によれば、基準電圧回路701と複数のスイッチSW1〜SW5とW設けることによって、信号処理回路に入力するアナログ信号を切り替えることができる。これにより、狭帯域化された特殊光を用いた撮影を行う際に、光信号情報を読み出しても有効性が低い単位画素101(本第2の実施形態においては、R画素101R)に対応したデジタル信号を得る代わりに、信号処理回路に備えたAD変換回路のリニアリティ特性を補正するためのデジタル信号(補正データ)を得ることができる。このことにより、通常光による撮影と特殊光による撮影とを行う場合において、別途、リニアリティ特性を補正するための補正データを取得するための動作期間を設ける必要がなくなる。これにより、補正データを取得するためのAD変換の動作に要する消費電力の増大を防ぐことができる。また、取得した補正データを用いてAD変換回路のリニアリティ特性を補正することで、より高画質な撮影画像を得ることができる。
【0108】
また、本第2の実施形態においては、例えば、光信号情報を読み出しても有効性が低い単位画素101が含まれる画素アレイ102の行の読み出し毎に、基準電圧回路701が出力する基準電圧を適宜変更することによって、AD変換回路に入力するアナログ信号の入力範囲(レンジ)に応じた、より詳細な補正データを取得することができる。
【0109】
なお、本第2の実施形態においては、補正データを、AD変換回路301のリニアリティ特性を補正するために用いる場合について説明したが、基準電圧回路701の利用方法は、本第2の実施形態の方法のみに限定されるものではなく、基準電圧回路701が出力する基準電圧を適宜変更することによって、他の補正に用いる補正データを取得してもよい。例えば、基準電圧回路701から一定の基準電圧を出力し、全ての列に配置されたAD変換回路301からAD変換した結果を取得することによって、各AD変換回路301の特性のばらつきに起因するAD変換結果の基準値のずれ(一般的には、オフセット成分と言われる)を補正するようにしてもよい。また、例えば、AD変換回路301から異なる2つの基準電圧におけるAD変換の結果を取得することによって、各AD変換回路301の特性のばらつきに起因するゲインのずれを補正するようにしてもよい。
【0110】
また、補正データを取得するための動作は、常に行う動作ではないため、例えば、数フレームの読み出しに1度の割合で補正データの取得を行うなど、補正データを取得するための動作を行うタイミングを、適宜変更してもよい。その際、補正データの取得を行わないフレームでは、基準電圧回路701が出力する基準電圧を、例えば、AD変換回路301がAD変換の動作に要する消費電力が最小となる電圧に設定することによって、AD変換回路301の動作に要する消費電力を低減することもできる。また、例えば、第1の実施形態のイメージセンサ1の構成のように、例えば、画素アレイの奇数列に対応して配置された信号処理回路と、偶数列に対応して配置された信号処理回路とを分けて制御する構成にすることによって、補正データの取得を行わないフレームでは、補正データの取得に用いる信号処理回路の動作を停止させ、信号処理回路の動作に要する消費電力を削減することもできる。
【0111】
なお、本第2の実施形態においては、補正データを取得する場合においても、有効性が低い単位画素101からの光信号情報の読み出しを行う場合について説明したが、補正データを取得する場合の単位画素101からの光信号情報の読み出し方法は、本第2の実施形態の方法のみに限定されるものではない。例えば、垂直走査回路201が出力する画素駆動信号を、画素アレイ102の奇数列に配置された単位画素101に対する画素駆動信号と、偶数列に配置された単位画素101に対する画素駆動信号とに分ける。そして、画素信号読み出し期間において、有効性が低い単位画素101からの光信号情報の読み出しや、読み出した光信号情報のアナログ信号への変換動作を停止させるように制御することによって、有効性が低い単位画素101の処理に要する消費電力を低減させることができる。
【0112】
また、本第2の実施形態においては、水平信号読み出し期間T6および水平信号読み出し期間T12において、リニアリティ補正用の基準電圧をAD変換した結果のデジタル信号と、G2画素101G2のデジタル信号とを出力する順番が、画素アレイ102の列の順番である場合について説明した。この場合には、例えば、後の画像生成の処理において、入力されたデジタル信号の順番に対応した処理を行うことが考えられる。しかし、それぞれのデジタル信号を出力する順番は、本第2の実施形態の方法のみに限定されるものではない。例えば、後の画像生成の処理において不都合が生じないように、水平信号読み出し期間T6または水平信号読み出し期間T12において、タイミングジェネレータ401が、列選択信号線5001および列選択信号線5002を“H”レベルとする順番を変更することによって、それぞれのデジタル信号を出力する順番を変更する構成とすることもできる。
【0113】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図7は、本第3の実施形態の撮像システム10の概略構成を示したブロック図である。図7において、撮像システム10は、イメージセンサ2と、補正回路801とから構成される。なお、撮像システム10内のイメージセンサ2は、図4〜図6に示した第2の実施形態のイメージセンサ2と同様である。従って、イメージセンサ2に関しての詳細な説明は省略する。
【0114】
補正回路801は、イメージセンサ2の出力端子である水平信号線601に接続され、水平信号線601から出力されたイメージセンサ2の出力信号に基づいて、リニアリティ特性の補正を行う回路である。補正回路801は、イメージセンサ2の水平信号線601から順次入力される画素のデジタル信号に対して、同じくイメージセンサ2の水平信号線601から入力されるリニアリティ補正用の基準電圧をAD変換した結果のデジタル信号(補正データ)を用いてリニアリティの補正を行う。そして、補正回路801は、リニアリティの補正を行った後の画素のデジタル信号を、撮影画像信号として、画像信号出力線901を介して出力する。なお、補正回路801における画素のデジタル信号のリニアリティ補正の方法は、既存の方法と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0115】
上記に述べたとおり、本第3の実施形態によれば、補正回路801が、イメージセンサ2から出力されるリニアリティ補正用の基準電圧をAD変換した結果のデジタル信号(補正データ)を用いて、画素のデジタル信号を補正することができる。これにより、高画質な撮影画像を得ることができる。
【0116】
なお、本第3の実施形態においては、補正回路801を、イメージセンサ2の外部に、別途備える場合について説明したが、この構成は本第3の実施形態の構成のみに限定されるものではない。例えば、イメージセンサ2に補正回路801の機能を内蔵した構成とすることもできる。この構成でも、図7に示した撮像システム10の構成と同様に、リニアリティ補正した後の高画質な撮影画像を出力することができる。
【0117】
上記に述べたとおり、本発明を実施するための形態によれば、光信号情報を読み出しても有効性が低い画素に対応した信号処理回路の動作を停止させることができる。これにより、信号処理回路の動作に要する消費電力を削減することができる。このことにより、例えば、通常光による撮影と特殊光による撮影とを交互に繰り返して行うために、それぞれの撮影におけるフレームレートを上げる場合でも、消費電力が増加を抑えることができる。
【0118】
また、本発明を実施するための形態によれば、光信号情報を読み出しても有効性が低い画素に対応した信号処理回路を用いて、信号処理回路に備えた処理回路(本実施形態では、AD変換回路)を補正するためのデジタル信号(補正データ)を得ることができる。これにより、有効な光信号情報が読み出された画素のデジタル信号を補正することができ、最終的に得られる撮影画像の画質を向上させることができる。
【0119】
なお、本実施形態においては、赤色(R)の光透過フィルタが配置されているR画素101Rが、特殊光の波長に対して殆ど感度を持っていない、すなわち、光信号情報を読み出しても有効性が低い単位画素101である場合を例として説明したが、有効性が低い画素は、本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態におけるR画素101Rではなく、例えば、本実施形態において有効な光信号情報が読み出せるとしたG1画素101G1、G2画素101G2、またはB画素101Bのいずれかが有効性が低い画素である場合においても、同様の考え方に基づいて、有効性が低い画素に対応した構成に変更することによって、同様の効果を得ることができる。
【0120】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
【符号の説明】
【0121】
1,2・・・イメージセンサ(撮像装置)
10・・・撮像システム
101・・・単位画素(第1の画素,第2の画素)
101G1,101G2・・・G画素(第1の画素)
101B・・・B画素(第1の画素)
101R・・・R画素(第2の画素)
102・・・画素アレイ(画素部)
103・・・垂直信号線
201・・・垂直走査回路(信号処理回路)
301,301a,301b・・・信号処理回路,AD変換回路(信号処理回路,アナログ・デジタル変換回路)
401,402・・・タイミングジェネレータ(信号処理回路,切り替え回路)
501・・・水平走査回路(信号処理回路)
601・・・水平信号線
701・・・基準電圧回路(基準信号発生回路)
801・・・補正回路
901・・・画像信号出力線
SW1,SW2,SW3,SW4,SW5・・・スイッチ(切り替え回路)
2001,2002,2003,2004・・・行選択信号線
4001,4002,4003・・・駆動信号線
5001,5002・・・列選択信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長帯域の光の入射量に応じた第1の電気信号を発生する第1の受光部を有する第1の画素と、前記第1の波長帯域と異なる第2の波長帯域の光の入射量に応じた第2の電気信号を発生する第2の受光部を有する第2の画素とが、行列状に複数配置された画素部と、
前記画素部の列毎に配置され、前記第1の波長帯域の光が照射されているときに、前記画素部から、少なくとも、前記第1の電気信号に応じた第1の画素信号を読み出し、少なくとも、該読み出した前記第1の画素信号に対して信号処理を行って出力する信号処理回路と、
を備える、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記信号処理回路は、
入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して出力するアナログ・デジタル変換回路を備え、
少なくとも、入力された前記第1の画素信号をアナログ・デジタル変換した第1のデジタル信号を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記信号処理回路は、
前記第1の波長帯域の光が照射されているときに、前記画素部から、前記第1の電気信号に応じた第1の画素信号のみを読み出し、該読み出した前記第1の画素信号に応じた前記第1のデジタル信号を出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
所定の基準電位を出力する基準信号発生回路と、
前記信号処理回路のそれぞれに入力する信号を、少なくとも、前記第1の画素信号または前記基準電位の信号のいずれかの信号に切り替える切り替え回路と、
をさらに備え、
前記信号処理回路は、
少なくとも、入力された前記第1の画素信号に応じた前記第1のデジタル信号、または入力された前記基準電位の信号をアナログ・デジタル変換した第2のデジタル信号を出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記切り替え回路は、
前記第1の波長帯域の光が照射されているときに、前記画素部において前記第1の画素のみが配置された列に対応した前記信号処理回路には、該画素部の列の前記第1の画素信号または前記基準電位の信号のいずれかの信号を入力し、前記画素部において前記第1の画素と前記第2の画素とが配置された列に対応した前記信号処理回路には、該画素部の列の前記第1の画素信号、隣接する前記画素部の列の前記第1の画素信号、または前記基準電位の信号のいずれか1つの信号を入力するように切り替え、
前記信号処理回路のそれぞれは、
入力された前記第1の画素信号に応じた前記第1のデジタル信号、または入力された前記基準電位の信号に応じた前記第2のデジタル信号を出力する、
ことを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置と、
前記撮像装置に備えた画素部内に配置されている、第1の波長帯域の光の入射量に応じた第1の電気信号を発生する第1の受光部を有する第1の画素からの前記第1の電気信号に応じた第1の画素信号を、前記撮像装置に備えた信号処理回路内のアナログ・デジタル変換回路がアナログ・デジタル変換した第1のデジタル信号を、前記撮像装置に備えた基準信号発生回路が出力した基準電位の信号を、前記アナログ・デジタル変換回路がアナログ・デジタル変換した第2のデジタル信号に基づいて補正し、補正した後の前記第1のデジタル信号を出力する補正回路と、
を備える、
ことを特徴とする撮像システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−62713(P2013−62713A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200421(P2011−200421)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】