説明

撮像装置および送受信システム

【課題】接触プローブを用いることなくデータ伝送を迅速且つ容易に行うことが可能な撮像装置および送受信システムを提供する。
【解決手段】撮像装置(カプセル内視鏡1A)、データ受信装置およびホストコンピュータを備える。カプセル内視鏡1Aは被検者によって嚥下されるとカメラ11Aによって撮影を開始し、撮影された画像データをメモリ12Aに蓄積する。これら画像データは撮影が終了しカプセル内視鏡1Aが被検者から排出されたのち、カプセル内視鏡1A内の無線送信機13Aによってデータ転送パッドへ一括送信され、このデータ転送パッドからホストコンピュータへ転送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル内視鏡などの無線通信によってデータ等の送受信を行う撮像装置およびこれを用いた送受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カプセル内視鏡の研究開発が盛んに行われている。カプセル内視鏡は、例えば11×26〜33mmのカプセル内に光検知チップ、ボタン電池、LED(Light Emitting Diode)およびCPU(Central Processing Unit)および無線送信機が詰め込まれている。このようなカプセル内視鏡では、一般的に1秒間に2〜35枚の写真が撮影でき、約8時間の検査時間で約5万〜87万枚の写真が撮影される。
【0003】
撮影された画像データは、リアルタイムの映像信号としてMHz帯の無線でカプセル内視鏡から被検者に取り付けられた無線受信アンテナを介して体外の携帯型受信機(データロガー)に転送される。実際には、被検者の腹部に8〜9個のパッチアンテナが取り付けられ、画像データは被検者が携帯した携帯型受信機に記憶される。
【0004】
このようなカプセル内視鏡の送受信システムは、被検体の体腔内に導入される送信装置であるカプセル内視鏡、このカプセル内視鏡から送信されたデータを受信するための受信装置、この受信装置内の記録媒体および表示装置を備えている。この送受信システムでは、カプセル内視鏡で撮影した被検体の体内画像データを順次、リアルタイムで無線送信し、被検者の腹部に取り付けた複数のアンテナを介して受信したデータを受信装置内の記録媒体に記録し、データ取得後、その記録媒体を表示装置に移すか、有線通信または無線通信により表示する(例えば、特許文献1,2参照)。その他、携帯医療機器と汎用PC(Personal Computer)との間でUSB(Universal Serial Bus)、フォトカプラまたはトランスを用いた、電気的絶縁を補償する有線通信アダプタ装置により画像データを取得するシステムが開発されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
ところがこれらの送受信システムは、高価であり、また、被検者の身体にアンテナと受信機を取り付けるため、動きの制約が多く被検者の負担が大きいという問題があった。更に、データ伝送量が限られると共に、食道等のカプセル内視鏡の移動が速い部位で撮影データに不備が発生する虞がある。また、この送受信システムでは受信感度が低いためさらなる開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−189475号公報
【特許文献2】特開2009−153617号公報
【特許文献3】特開2009−178234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらに対して、カプセル内視鏡内に記録部(メモリ)を設け、撮影した画像データをこのメモリに記録することにより被検者へのアンテナの取り付けやデータロガーの携帯を不要としたメモリ内蔵型のカプセル内視鏡が開発されている。
【0008】
このメモリ内蔵型のカプセル内視鏡は、被験者に経口摂取されると撮影検査を開始し、撮影検査が終わると体内から排出される。被験者から排出されたカプセル内視鏡は、そのケースが裂かれたのち、メモリ基板へのプロービングによりホストコンピュータへのデータ転送がなされる。
【0009】
しかしながら、このようにカプセルケースを裂いたのちメモリ基板にプロービングしてホストコンピュータにデータ転送する方式では、カプセルケースを裂く手間がかかるだけでなく、プローブ接続時における接触不良や静電破壊でデータが完全に転送できない虞があった。そして、このような問題はカプセル内視鏡に限らず、無人探査ヘリや海中探査船のデータ収集等、観測地点に常駐することが物理的、経済的あるいは安全上困難な場合や、観測対象が移動する場合に、主にバッテリ駆動のデータ収集装置またはその装置に挿入された媒体から映像やデータを安全な場所や環境の整った場所でホストコンピュータ等に転送する撮像装置においても生じていた。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、データ伝送を迅速且つ容易に行うことが可能であり、かつ安価な撮像装置およびこれを用いた送受信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の撮像装置は、撮像部と、撮像部により撮影されたデータを蓄積する記録部と、記録部に蓄積されたデータを無線により外部に送信する送信部と、撮像部による撮影が完了したのち、送信部がデータ送信を開始するよう制御する制御部と、を備えたものである。
【0012】
本発明の送受信システムは、撮影したデータを蓄積する撮像装置と、撮像装置により蓄積されたデータを受信するデータ受信装置とを備え、撮像装置として本発明の撮像装置を有するものである。
【0013】
本発明の撮像装置では、撮像部による撮影が完了したのちに、記録部(メモリ)を外部に出すことなく、無線によるデータ送信を開始する。
【0014】
本発明の送受信システムでは、撮像装置から送信されたデータはデータ受信装置へ送信される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の撮像装置およびこれを備えた送受信システムによれば、撮像装置に蓄積したデータを無線により送信するようにしたので、記録部(メモリ)を外部に取り出す必要がなく、データの伝送を迅速且つ容易に行うことが可能となる。また、データの伝送に接触プローブが不要になるため、接触不良や静電破壊によるデータの転送不良がなくなる。更に、撮影終了後にまとめて蓄積データの伝送を行うようにしたので、省電力化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係る撮像装置を用いた送受信システムの概略図である。
【図2】撮像装置の具体的構成を表す断面図である。
【図3】データ受信装置の構成を表す斜視図である。
【図4】データ受信装置の断面図である。
【図5】送受信システムにおけるデータ伝送時の動作を表す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(カプセル内視鏡を用いた例)
(1)送受信システムの全体構成
(2)カプセル内視鏡
(3)データ受信装置
2.その他の適用例
【0018】
1.実施の形態
(1)システム全体構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る送受信システムの概略構成を表すものである。この送受信システムは、撮影対象の画像などのデータを取得する撮像装置1、撮像装置1が蓄積したデータを受信し、転送するためのデータ受信装置2、およびデータ受信装置2から転送されたデータを取得して、各種の処理および表示を行うホストコンピュータ3により構成されている。
【0019】
撮像装置1は、撮像部11、この撮像部11が取得したデータを蓄積する記録部(メモリ)12、この記録部12に蓄積されたデータを外部に送信するための送信部13、これら撮像部11,記録部12および送信部13の各部の動作(撮影,データ蓄積,送信)を制御するための制御部14、照明用の光源11b、および各部に電力を供給するための電力供給部15を備えている。送信部13は、無線送信機13Aおよび送信アンテナ13Bにより構成されている。電力供給部15は具体的には例えば磁力・電力変換コイルであるが、内蔵ボタン型のバッテリとしてもよい。
【0020】
データ受信装置2は、例えば、撮像装置1から無線送信されたデータを受信する受信部21、およびこの受信部21で受信したデータをケーブル23を介してホストコンピュータ3へ送信するための転送部22を備えている。なお、ホストコンピュータ3へのデータ転送は無線でもよい。受信部21は受信アンテナ21Bおよび無線受信機21Aにより構成されている。なお、撮像装置1側の電力供給部15が磁力・電力変換コイルである場合には、このデータ受信装置2に電力伝送コイル26(図3)を含める。これによりデータ受信装置2から撮像装置1側へ無線で電力供給が行われる。
【0021】
ホストコンピュータ3は、データ受信装置2から転送されたデータの正当性を確認したのちこれを取得すると共に各種の処理および表示を行うものであり、データ受信装置2からのデータを入力部31を介して記録部(メモリ)32に順次格納する。記録部32に蓄積されたデータはデータ処理部33により各種の処理が施されたのち、表示部34に出力されるようになっている。
【0022】
この送受信システムでは、撮像装置1において制御部14の制御の下、撮像部11により撮影対象の画像を撮影し、そのデータを順次記録部12に格納する。そして、撮影が終了したのち、これらデータは無線送信機13Aにより送信用のアンテナ13Bを介してデータ受信装置2へ無線により伝送される。データ受信装置2に伝送されたデータは、ケーブル23を介してホストコンピュータ3へ転送される。ホストコンピュータ3では、このデータを記録部32に順次格納すると共にデータ処理部33により所定の処理を施して表示部34に表示する。
【0023】
本実施の形態では、撮像装置1からデータ受信装置2およびホストコンピュータ3側へのデータの送信は、撮像装置1をデータ受信装置2に近接させ無線伝送が可能になった時点で、予め定めた手順に従って自動的に開始されるようになっている。なお、撮像装置1をデータ受信装置2に近接させ無線伝送が可能になったのち、ホストコンピュータ3側からの指示に基づきデータ送信を開始するようにしてもよい。
【0024】
以下、この送受信システムの具体例として、撮像装置1としてカプセル内視鏡1Aを用いた例について説明する。
(2)カプセル内視鏡
【0025】
図2は撮像装置1の一例としてのカプセル内視鏡1Aの断面構成を表すものである。カプセル内視鏡1Aは、例えば両端面が半球状で中央部が円筒状の筐体10内に、体腔内の画像を撮影するためのカメラ(超小型カメラ)11Aを備えている。筐体10内には、また、カメラ11Aにより撮影したデータを記録するためのメモリ12A、およびカプセル内視鏡1Aが被験者の体外に排出されたのち記録した画像データをアンテナ13Bを介して外部へ送信するための無線送信機13Aを備えている。
【0026】
更に、筐体10内にはCPU(Central Processing Unit)14Aおよびコイル(磁力・電流変換コイル)15Aが設けられている。CPU14Aは、カメラ11Aによる撮影 、およびメモリ12Aへのデータ蓄積動作を制御すると共に、メモリ12Aから無線送信機13Aによる筐体10外のデータ受信装置2(データ転送パッド2A)へのデータ送信を制御するものである。コイル15Aは、カメラ11A,メモリ12A,無線送信機13A、アンテナ13Aおよび後述する光源11bへの電力供給を行う。更に、この筐体10には、当該カプセル内視鏡1Aを後述のようにデータ転送パッド2Aにセットした際に、これを検知するための磁気(リード)スイッチ、磁気センサなどのセンサ(ここではリードスイッチ16A)が設けられている。CPU14Aはこのリードスイッチ16Aがデータ転送パッド2Aへのセットを検知し、データの送信が可能になった時点で、コイル15Aからの無線送信機13Aへの電力供給を行うようになっている。
【0027】
カメラ11Aは、例えば体腔内の画像を撮影するための対物光学系、例えばレンズ11a、体腔内を照明する複数(ここでは2個)の光源11bを有している。具体的には、例えば光源11bとしてLED(Light Emitting Diode)を備えたCOMS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )センサまたはCCD(Charge Coupled Device )等によって構成されている。
【0028】
メモリ12Aは、例えばデータの書き込み・消去が可能な記憶素子である。CPU14Aは、上記のようにカプセル内視鏡1Aの全体の動作制御を行うものであるが、特に、メモリ12Aに蓄積されたデータのデータ受信装置2への送信を、当該カプセル内視鏡1Aが被験者から取り出され、後述のデータ受信装置2(データ転送パッド2A)に装着された時点で開始するよう、無線送信機13Aの動作、および無線送信機13Aへの電力供給を制御するようになっている。即ち、本実施の形態では、カメラ1Aで撮影したデータをリアルタイムで順次送信することなく、撮影が終了したのちに体外において一括して送信するものである。
【0029】
コイル15Aは外部磁界を電流に変換して上記のように各部に電力を供給する。カプセル内視鏡1Aが体内にある間は、体外の磁界発生装置(図示せず)から放射された磁界をコイル15Aによって電流に変換することによって電力が確保される。カプセル内視鏡1Aが体外に排出されたのちは、後述のデータ転送パッド2Aに設けられた電力伝送用コイル26からコイル15Aに電力が供給される。
【0030】
筐体10は、半球状の両端面のうち一方の端面は透明プラスティックドームによって形成され、その他の部分には金属およびカーボンを含まないシリコン、プラスティック等が用いられている。
【0031】
(3)データ受信装置
図3はデータ受信装置2の一例としてのデータ転送パッド2Aの斜視構成を内部を透視して表したものである。図4はこのデータ転送パッド2Aの断面構成を表している。データ転送パッド2Aは、台座状の筐体20を有し、その中央にカプセル内視鏡1Aをセットするための挿入口24が設けられている。この挿入口24の下部には受信アンテナ21Bを有する無線受信機21Aが設けられている。この無線受信機21Aは、インターフェース25およびケーブル23を介してホストコンピュータ3へ接続されている。挿入口24の内壁面には電力伝送用コイル26が設けられている。この電力伝送用コイル26はデータ伝送時のカプセル内視鏡1Aへの非接触電力供給源として用いられる。なお、カプセル内視鏡1Aに内部バッテリを有する場合にはこの電力伝送用コイル26は不要である。
【0032】
挿入口24の壁面の電力伝送用コイル26の下方位置には、必要に応じて高周波信号や輻射信号を遮断するためのシールド27が設けてもよい。また、カプセル内視鏡1Aのアンテナ13Bとデータ転送パッド2Aの受信アンテナ21Bとの間には、必要に応じて導波路28を設けてもよい。
【0033】
カプセル内視鏡1Aはアンテナ13Bを備えた無線送信機13A側を下にして挿入口24に挿脱可能にセットされるようになっている。挿入口24の底部には突部29Aが設けられており、この突部29Aにカプセル内視鏡1Aの下端部分が当接するようになっている。筐体20の側面には複数、例えば対向する位置に2つの排水口29Cが設けられ、これら排水口29Cと突部29Aの周囲との間には排水路29Bが設けられている。排水路29Bには、カプセル内視鏡1Aとデータ転送パッド2Aが接する点、即ち突部29Aから排水口29Cに向かって徐々に下るように傾斜が設けられている。即ち、このデータ転送パッド2Aでは、突部29A、排水路29Bおよび排水口29Cが設けられていることにより、洗浄時にカプセル内視鏡1Aに付着した水滴wを効果的に排出し、カプセル内視鏡1Aに水膜が形成されることを防止するようになっている。
【0034】
次に、このカプセル内視鏡1Aを用いた送受信システムの動作について説明する。
【0035】
カプセル内視鏡1Aは、被検者によって嚥下されると、CPU14Aの制御の下に体腔内に導入された状態で撮影を開始する。まず、コイル16Aからの電力供給を受けて光源(LED)11bから照明光が体腔壁に照射される。続いて、体腔壁から反射された光がレンズ11aを介してカメラ11Aによって撮影され、画像データが生成される。生成された画像データはメモリ12Aへ送られ蓄積される。メモリ12Aに蓄積された画像データは、カプセル内視鏡1Aが被検者から排出されたのちに、カプセル内視鏡1A内の無線送信機13Aによって送信アンテナ13Bを介してデータ転送パッド2Aへ無線で送信される。
【0036】
図5はカプセル内視鏡1Aが体外へ排出された後のデータ転送処理を表したものである。まず、被検者から排出されたカプセル内視鏡1Aは水洗い等により洗浄、消毒(ステップS101)され、そののち送信アンテナ13Bと受信アンテナ21Bとが近接するように送信アンテナ13B側を下にしてデータ転送パッド2Aの挿入口24に挿入される(ステップS102)。
【0037】
カプセル内視鏡1Aがデータ転送パッド2Aに挿入されると、データ転送パッド2Aからの磁界をカプセル内視鏡1A内のセンサ16Aが検知し、カプセル内視鏡1Aが自動的にオン状態となる(ステップS103)。これによりデータ転送パッド2Aからホストコンピュータ3に対して確認信号が送られる。次に、ホストコンピュータ3ではカプセル内視鏡1Aのデータ転送パッド2Aへの設置、およびカプセル内視鏡1Aからのデータが正当であるか否かが判断される。データが正当であるとホストコンピュータ3が認識するとデータ転送準備が完了する(ステップS104)。
【0038】
続いてデータ転送パッド2Aを介してホストコンピュータ3Aへのデータ転送が開始される(ステップS105)。具体的には、メモリ12Aから無線送信機13Aによりデータ伝送が開始され、送信されたデータは送信アンテナ13Bおよび受信アンテナ21Bを介してデータ転送パッド2Aの無線受信機21Aにより受信される。無線受信機21Aにより受信されたデータは送信部22によりケーブル23を介してホストコンピュータ3に送信される。ホストコンピュータ3では、転送されたデータの信頼性を確認し、データ伝送の終了を表示部34に表示する(ステップS106)。最後に、カプセル内視鏡1Aはデータ転送パッドから取り出される(ステップS107)。
【0039】
従来のカプセル内視鏡を用いた送受信システムでは、前述のように、体腔内で撮影した画像データはリアルタイムで順次、被検者の身体の所定の位置に貼付された複数のアンテナを介して、被検者が装着した携帯型受信機(データロガー)に記録される。このように被検者の身体にアンテナおよび受信機を取り付けるため、動きの制約など被検者の負担が大きかった。一方、メモリ内蔵型のカプセル内視鏡では検査終了後、体外に排出されたカプセルを裂いて有線ホストインターフェースを介してデータを転送するため、カプセルを割る手間、プローブ時の接触不良や静電破壊によるデータの転送不良の可能性があった。
【0040】
これに対して、本実施の形態の送受信システムでは、カプセル内視鏡1A内に撮影したデータを記録するためのメモリ12Aおよび無線によって外部にデータを送信するための無線送信機13Aを有する。これにより、被検者への複数のアンテナの取り付けや携帯型受信機の装着が不要となる。また、無線によってデータの送受信を行うことにより、カプセル内視鏡1Aのカプセルを裂くことなくデータを回収することが可能となる。更に体外においてデータの送受信を行うことにより、人体での減衰が大きいミリ波等の高周波を用いることが可能となる。また、撮影終了後に一括してデータの送信を行うことにより、常に外部のデータロガーに通信を行う場合と比較して省電力化が可能となる。
【0041】
以上のように、本実施の形態の送受信システムでは、撮像装置1(カプセル内視鏡1A)内にメモリ12Aを設け、カプセル内視鏡1Aが体外に排出されたのち撮影したデータを回収するようにしたので、被検者の負担を軽減することが可能となる。また、画像データの送受信を無線にて行うようにしたので、カプセルを裂く手間が不要となり、撮影検査後、迅速且つ容易にデータの転送を行うことが可能となる。更に、画像データの送信を制御するCPU14Aは、カプセル内視鏡1Aが体外に排出された後のデータ転送時、つまり従来のリアルタイム無線伝送と比較して短時間の間のみ無線送信機13Aを制御すればよいため、省電力化が可能となる。これにより、カプセル内視鏡1A内の電力供給部15としてのコイル15A(あるいはバッテリ)を小型化することができるためカプセル内視鏡1A自体を小型化することが可能となる。
【0042】
また、体外で画像データの送受信を行うようにしたので、データの転送にミリ波等の高周波を用いることができる。そのため、従来のカプセル内視鏡における転送レートと比較して原理的に2000倍程度の転送レートで画像データを転送することが可能となる。具体的には、60GHz,帯域幅7〜9GHzの高周波を用いることにより、他のシステムと干渉する可能性が極めて少なく、Gbpsオーダーの高速伝送を容易に実現することが可能となる。また、波長は約5mmと短いため、アンテナ13B,21Aや回路を小型化することが可能となり、極短距離の近接無線であれば、省電力で送信することが可能となる。具体的には、簡素なモノポールアンテナで通信距離が14mmの場合には、送信側の電力は29mWであった。
【0043】
また、非接触でデータ転送を行うこと可能であるため、接触不良や静電破壊などの不具合や操作ミスを低減することが可能となる。更に、カプセルを裂く必要がないため、カプセルの洗浄消毒作業が簡素化でき、衛生管理も容易となる。また、防水性および耐酸性が要求されるカプセル構造が簡素化でき、更に使用済みのカプセル内視鏡1Aはカプセル表皮と電池のみを交換し、高価な光学系、メモリ、基板などを再利用することも可能となるため、コストを抑えることが可能となる。
【0044】
2.他の適用例
次に、上記実施の形態の撮像装置1および送受信システムの適用例について説明する。上記実施の形態では、撮像装置1をカプセル内視鏡1Aとしたが、これに限らず、観測地点に常駐することが物理的、経済的または安全上困難な場所の撮影、あるいは観測対象が移動する場合などの撮影を行う撮像装置にも用いることができる。例えば遠隔地測定に用いられるテレメータ、高空の気象を観測するゾンデに搭載してもよい。また、火山の火口観測や住宅地図作製などに用いられる無人ヘリに搭載してもよい。なお、画像データの送受信システムは上記実施の形態において説明した送受信システムを適用することができる。
【0045】
このような各種撮像装置を無人探査ヘリ等様々な機器に搭載する場合、非接触データ転送が可能になるため、機器の耐久性、防水性、耐酸性、耐油性または耐候性等を考慮した設計が容易になる。また、主にバッテリ駆動のデータ収集装置、またはその装置に内蔵された媒体からデータを安全な場所や環境の整った場所でホストコンピュータ等に転送することができる。
【0046】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、データ受信装置2には受信および送信を切り替える送受信切替部、受信信号を変換する信号処理部あるいはカプセル内視鏡1Aへの制御信号を生成するための信号生成部等を備え、双方向通信ができるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…撮像装置、1A…カプセル内視鏡、2…データ受信装置、2A…データ転送パッド、3…入出力装置、3…ホストコンピュータ、10、20…筐体、11…撮像部、11A…カメラ、11a…レンズ、11b…光源、12…記録部、12A…メモリ、13…送信部、13A…無線送信機、13B…アンテナ、14…制御部、14A…CPU、15…電力供給部、15A…コイル、16A…リードスイッチ、21A…無線受信機、21B…アンテナ,22…転送部、22A…無線受信機、23…ケーブル、24…挿入口、25…インターフェース、26…電力伝送用コイル、27…シールド、28…導波路、29A…突部、29B…排水路、29C…排水口、31…入力部、32…記録部、33…データ処理部、34…表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
前記撮像部により撮影されたデータを蓄積する記録部と、
前記記録部に蓄積されたデータを無線により外部に送信する送信部と、
前記撮像部による撮影が完了したのち、前記送信部がデータ送信を開始するよう制御する制御部と
を備えた撮像装置。
【請求項2】
前記撮像部、前記記録部および前記送信部が同一筐体内に設けられている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
カプセル内視鏡である、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
撮影したデータを蓄積する撮像装置と、
前記撮像装置により蓄積されたデータを受信し、転送するデータ受信装置と
を備え、
前記撮像装置は、
撮像部と、
前記撮像部により撮影されたデータを蓄積する記録部と、
前記記録部に蓄積されたデータを無線にて外部に送信する送信部と、
前記撮像部による撮影が完了したのち、前記送信部がデータ送信を開始するよう制御する制御部と
を有する送受信システム。
【請求項5】
前記撮像装置は、前記撮像装置が前記データ受信装置へデータ送信可能な位置に設置されたときにデータの送信を開始する、請求項4に記載の送受信システム。
【請求項6】
前記撮像装置は、前記データ受信装置から転送されたデータを取得するホストコンピュータを備え、前記撮像装置が前記データ受信装置へデータ送信可能な位置に設置され、かつ前記ホストコンピュータからの送信指示があったときにデータの送信を開始する、請求項4に記載の送受信システム。
【請求項7】
前記データ受信装置は、前記撮像装置が前記データ受信装置へデータ送信可能な位置に設置されたときに前記撮像装置に対して電力を供給する機能を有する、請求項4に記載の送受信システム。
【請求項8】
前記データ受信装置は、筐体と、前記筐体に設けられた前記撮像装置が挿脱可能な挿入口と、前記挿入口の底部に設けられ、前記撮像装置の下端が当接可能な突部と、前記筐体の側面に設けられた1または複数の排水口と、前記突部の周囲から前記排水口に向かって傾斜した排水路とを備えた、請求項4乃至7のいずれか1項に記載の送受信システム。
【請求項9】
前記データ受信装置は、前記挿入口に挿入された前記撮像装置との間でデータの送受信可能な位置に無線による受信部を有する、請求項8に記載の送受信システム。
【請求項10】
前記撮像装置はカプセル内視鏡である、請求項8に記載の送受信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−16449(P2012−16449A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155045(P2010−155045)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】