説明

撮像装置及びシャッタ動作補正方法

【課題】振れの検出結果に応じた撮像素子の移動量に基づき、電子先幕のリセット走査のタイミングを制御する。
【解決手段】
複数の画素からなる撮像素子104と、前記撮像素子への光の入射を遮断するために走行するメカ後幕と、前記メカ後幕の走行に先行して前記撮像素子104をライン毎に順次リセット走査するリセット部132と、振れの検出結果に基づき移動させた撮像素子104の移動量に基づき、前記リセット部132によるライン毎のリセット走査のタイミングを補正する補正制御部131と、を備える撮像装置10が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びシャッタ動作補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、普及している一眼レフタイプのデジタルカメラでは、電子制御の先幕(以下、電子先幕という)とメカニカルシャッタの後幕(以下、メカ後幕という)を併用した電子シャッタが用いられている(特許文献1参照)。このような電子シャッタでは、メカ後幕の走行に先行して、電子先幕により撮像素子(イメージャー)の画素の蓄積電荷量をゼロにするリセット走査がライン毎に行われる。その後、リセット走査を行ったライン毎に、所定の時間を経過してから信号を読み出す走査を行うことで、電子シャッタによる撮像動作が実現される。従来は先幕も後幕もメカニカルシャッタで制御していたのに対して、電子シャッタでは先幕動作のみ撮像素子の上記ラインリセット機能で代用する上記電子先幕を利用する。これによれば、レリーズタイムラグの短縮、レリーズ時の静音化、シャッタ振動による像ぶれの軽減等、カメラの性能を向上させることができる。
【0003】
電子シャッタを用いたデジタルカメラの多くは手振れ補正機能を有している。手振れ補正には、筐体内の撮像素子本体を移動させることで手振れを打ち消すイメージャーシフト式手振れ補正、レンズ側を駆動させる光学式タイプの補正方式、撮像素子上で撮像した画像を切り出すなど画像処理による補正方式がある。例えば、特許文献2には、レンズ側で振れを補正する光学式タイプの補正方式が開示されている。特許文献2に示した交換レンズシステムの場合、射出瞳長等のレンズの光学特性に応じて電子先幕の走行制御を変化させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−41510号公報
【特許文献1】特開2008−304565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メカニカルシャッタの場合、高速シャッタになるほどメカ先幕及びメカ後幕間のスリット幅を狭くして制御しなければならないため、シャッタ制御に高い精度が要求される。例えば、1/4000s、1/8000sのシャッタ速度を実現するためには、0.1mm単位の高い精度が要求される。これ以下の精度だと、狙いのシャッタ速度が得られない、又は画像上の露光が均一にならないなどの弊害が生じる。
【0006】
電子シャッタの場合、電子先幕とメカ後幕とから構成されるため、メカ後幕のメカ特性変化に対して電子先幕をいかに精度良く制御できるかがカメラの性能を向上させるためのポイントとなる。ここで、メカ後幕のメカ特性変化には、劣化、姿勢差、温度特性、個体差等がある。
【0007】
具体的には、電子先幕では、撮像素子とメカ後幕の位置関係を正確に把握した状態で電子先幕のリセットタイミングを正確に調整する必要がある。ところが、イメージャーシフト式手振れ補正の場合、振れの補正量に応じて撮像素子本体の移動量が変わるため、電子先幕のリセットタイミングを正確に調整した後に撮像素子とメカ後幕との位置関係が大きく変化する。これは、電子先幕撮影においては、電子先幕とメカ後幕の位置関係が変化したことを意味する。よって、何らかの制御を行わないと、この位置のずれのために狙いのシャッタ速度が得られず、露出性能に影響する。特に、高速シャッタの場合には、電子先幕とメカ後幕のスリット幅を狭く制御する必要があるため、制御に高い精度が要求され、上記問題は顕著となる。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、振れの検出結果に応じた撮像素子の移動量に基づき、電子先幕のリセット走査のタイミングを制御することが可能な、新規かつ改良された撮像装置およびシャッタ動作補正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数の画素からなる撮像素子と、撮像素子への光の入射を遮断するために走行する第1の幕と、前記第1の幕の走行に先行して前記撮像素子をライン毎に順次リセット走査するリセット部と、振れの検出結果に基づき移動させた撮像素子の移動量に基づき、前記リセット部によるライン毎のリセット走査のタイミングを補正する補正制御部と、を備える撮像装置が提供される。
【0010】
前記補正制御部は、前記撮像素子の移動量及び前記第1の幕の走行位置に基づき、前記リセット部によるライン毎のリセット走査のタイミングを制御してもよい。
【0011】
前記補正制御部は、第1の閾値より高いシャッタ速度で撮影された場合、前記ライン毎のリセット走査のタイミングを制御してもよい。
【0012】
前記撮像素子の移動量及び前記スリット幅に応じた補正ゲインを用いて、前記第1の幕と前記リセット部による電子シャッタ動作によって撮影された画像を補正する画像処理部を更に備えてもよい。
【0013】
画像を補正する補正ゲインをもつ補正テーブルを複数記憶する画像記憶部を更に備え、前記画像処理部は、前記複数の補正テーブルから前記撮像素子の移動量及び前記スリット幅に応じた補正テーブルを選択し、該選択された補正テーブルの補正ゲインを用いて、前記撮影された画像を補正してもよい。
【0014】
前記撮影された画像を蓄積する画像記憶部を更に備え、前記画像処理部は、前記画像記憶部に蓄積された画像のうち、第2の閾値より高いシャッタ速度で撮影された画像と、前記高いシャッタ速度より低いシャッタ速度で撮影された画像との差分から補正ゲインを算出し、該算出された補正ゲインを用いて、前記高いシャッタ速度で撮影された画像を補正してもよい。
【0015】
前記第1の幕の走行に先行して前記撮像素子への光の入射を開放する第2の幕を更に備え、前記画像処理部は、前記第1の幕と前記第2の幕の走行によるメカシャッタ動作により撮影された画像と、前記電子シャッタ動作により撮影された画像との差分から補正ゲインを算出し、該算出された補正ゲインを用いて、前記電子シャッタ動作により撮影された画像を補正してもよい。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、補正制御部が、振れの検出結果に基づき移動させた撮像素子の移動量に基づき、ライン毎のリセット走査のタイミングを補正するステップと、リセット部が、前記撮像素子への光の入射を遮断するための第1の幕の走行に先行して、前記補正されたタイミングで前記撮像素子をライン毎に順次リセット走査するステップと、を含むシャッタ動作補正方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、振れの検出結果に応じた撮像素子の移動量に基づき、電子先幕のリセット走査のタイミングを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の各実施形態に係る撮像装置の基本構成図である。
【図2】本発明の各実施形態に係るカメラ制御部130の機能ブロック図である。
【図3】本発明の各実施形態に係るメカシャッタ機構において、撮像素子、メカ先幕およびメカ後幕をレンズ側から光軸方向に沿って観察した様子を示す正面図である。
【図4】本発明の各実施形態に係る電子シャッタ機構において、撮像素子、電子先幕およびメカ後幕をレンズ側から光軸方向に沿って観察した様子を示す正面図である。
【図5】振れ補正による撮像素子の移動量と電子シャッタ動作の時間的変化との関係を示した図である。
【図6】振れ補正による撮像素子の移動量とスリット幅のずれとの関係を説明するための図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る電子先幕のリセット走査タイミングの補正を説明するための図である。
【図8】第1実施形態に係るシャッタ動作補正処理を示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態に係る画像処理を説明するための図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る低速シャッタの場合の電子シャッタ動作の時間的変化を示した図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る高速シャッタの場合の電子シャッタ動作の時間的変化を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本発明の実施形態による撮像装置の基本構成
2.第1実施形態
(2−1)撮像装置の機能の特徴
(2−2)撮像装置の動作
3.第2実施形態
4.第3の実施形態
5.まとめ
【0020】
<1.本発明の実施形態による撮像装置の基本構成>
以下では、まず、各実施形態において共通する基本構成について図1を参照して説明する。図1は、本発明の各実施形態に係る撮像装置10の基本構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る撮像装置10は、カメラ本体100と、カメラ本体100に装着される、撮影光学系としての交換可能なレンズユニット101とを有している。
【0021】
まず、レンズユニット101内の構成について説明する。レンズユニット101は、撮影レンズ114、レンズ制御部115、レンズ駆動部116、絞り駆動部117、絞り117a、ズーム駆動機構118、ズーム位置検出部119および通信部120を有する。
【0022】
撮影レンズ114は、光軸方向に移動可能である。なお、図1では、撮影レンズ114を1つのレンズとして表しているが、実際にはフォーカスレンズやズームレンズ等、複数のレンズから構成されている。レンズ制御部115は、レンズ駆動部116を介して撮影レンズ114の駆動を制御すると共に、絞り駆動部117を介して絞り117aを駆動し、撮影動作時の被写体輝度に応じた絞りの制御を行う。また、ズーム駆動機構118を操作(本実施形態では手動操作)することによりズームレンズの位置を動かすことができる。動かされたズームレンズの位置(焦点距離)はズーム位置検出部119により検出され、レンズ制御部115に送られる。レンズ制御部115は、レンズユニット101側の通信部120及びカメラ本体100側の通信部121を介して、後述するカメラ本体100内のカメラ制御部130と通信することができる。レンズ制御部115は、この通信部120、121を介して、レンズユニット101の種類や、焦点距離、射出瞳距離、焦点位置(フォーカス位置)等に関するレンズ情報をカメラ制御部130に通知する。
【0023】
次に、カメラ本体100の構成について説明する。カメラ本体100は、撮像素子104、メカシャッタ105、シャッタ駆動部106、パルス発生部107、垂直駆動変調部108、信号処理部109、画像表示部110、画像記録部111、スイッチユニット112、通信部121、カメラ制御部130、走査パターン保持部150、および表示装置151振れ制御部200を有する。振れ制御部200は、ジャイロセンサ202を有している。
【0024】
撮像装置10が非撮影状態にある場合、レンズユニット101の撮影レンズ114及び絞り117aを通過した被写体光束は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサやCCD(Charge Coupled Device)などにより構成される撮像素子104に向かう。撮像素子104の各画素は、露光されている間、レンズユニット101により結像された被写体光学像を光量に応じて光電変換し、得られた電荷を蓄積する。蓄積された電荷は信号処理部109に送られ、信号処理部109によりリアルタイムに生成された画像データが、画像表示部110を介して表示装置151に出力されてリアルタイムの画像として表示される。これにより、撮影者は、表示装置151を介して被写体像を観察することができる。
【0025】
後述する不図示のレリーズ釦が押されて非撮影状態から撮影状態に移行すると、撮像素子104には、パルス発生部107から走査クロック(水平駆動パルス)や所定の制御パルスが供給される。パルス発生部107で発生した走査クロックのうち、垂直走査用のクロックは垂直駆動変調部108によって所定のクロック周波数に変調されて、撮像素子104に入力される。この垂直駆動変調部108によって、複数の画素からなる撮像素子104のライン毎に行われるリセット走査の走査パターンが決定される。この撮像素子104のライン毎のリセット走査により、電子先幕としての機能が達成される。また、パルス発生部107は、後述する信号処理部109にもクロック信号を出力する。
【0026】
撮像素子104に対して物体側(レンズ側)には、メカニカルシャッタであるフォーカルプレンシャッタ(以下、「メカシャッタ」と呼ぶ。)105が配置されている。メカシャッタ105は、複数の遮光羽根で構成された後幕(以下、「メカ後幕」と呼ぶ。)のみを有してもよいし、メカ後幕とともに、メカ後幕の走行に先行して走行する、複数の遮光羽根で構成された先幕(以下、「メカ先幕」と呼ぶ。)を有してもよい。本実施形態では、メカ後幕を有していれば、必ずしもメカ先幕を有する必要はないが、第2実施形態では、電子先幕及びメカ後幕とともにメカ先幕が撮像装置10に必須の構成要件となる場合がある。
【0027】
ここで、本実施形態に係る撮像装置10は、上述した撮像素子104で行われる電子先幕としてのリセット走査およびメカシャッタ105が有するメカ後幕を用いて撮影動作を行う電子シャッタ機構を有する。電子シャッタ機構は、撮像素子104で行われるライン毎のリセット走査により電子先幕が、メカシャッタ105によりメカ後幕が構成される。このような電子シャッタ機構では、先ず、撮像素子104の複数画素からなるライン毎に、画素の蓄電電荷量をゼロにするリセット走査が行われる。その後、所定時間経過後に、メカ後幕によって撮像素子を順次遮光した後、各画素に蓄積された電荷を順次読み出す読み出し走査を行うことで、電子シャッタによる撮像動作(電子シャッタ動作)が実現される。
【0028】
メカ先幕が搭載されている場合、メカシャッタ機構では、撮像素子104を覆うメカ先幕を走行させることで撮像素子104への光の入射を開放し、次いでメカ後幕を走行させることで撮像素子104への光の入射を遮断する。これにより、メカシャッタによる撮像動作(メカシャッタ動作)が実現される。
【0029】
なお、撮像素子104への光の入射を遮断するメカ後幕が、特許請求の範囲に記載の「第1の幕」に相当し、メカ後幕に先行して走行するメカ先幕が、特許請求の範囲に記載の「第2の幕」に相当する。
【0030】
続いて、カメラ本体100の他の構成について説明する。シャッタ駆動部106は、メカシャッタ105のメカ先幕およびメカ後幕の走行を制御する。また、シャッタ駆動部106は、メカ後幕の走行を開始させるタイミングを調整することでスリット幅を調整し、露光時間(シャッタースピード)を制御する。
【0031】
信号処理部109は、撮像素子104から読み出された信号に対して二重相関サンプリング処理(CDS)やゲイン(AG)処理、及び所定の処理(色処理やガンマ補正等)を施すことにより画像データを生成する。生成された画像データは、画像表示部110を介して表示装置151に出力されて撮影画像として表示されたり、画像記録部111に記録されたりする。信号処理部109は、画像処理部の機能も有するが、これについては後述する。
【0032】
スイッチユニット112は、主電源のON/OFFを制御するスイッチや、撮影条件等を設定するために操作されるスイッチや、撮影準備動作および撮影動作を開始させるために操作されるスイッチ(レリーズ釦)を含む。レリーズ釦の半押し操作で撮影準備動作(測光動作や焦点調節動作等)が開始される。更に、全押し操作で撮影動作(撮像素子104の露光及び電荷信号の読み出し、及び電荷信号を処理して得られた画像データの記録媒体への記録)が開始される。
【0033】
カメラ制御部130は、演算処理装置および制御装置として機能するCPU(Central Processing Unit)であり、各種プログラムに従って撮像装置全体の動作を制御する。また、カメラ制御部130は、スイッチユニット112の操作に応じた動作を行う。
【0034】
走査パターン保持部150は、後述するような電子先幕の走査パターンを複数種類保持する。走査パターンとは、電子先幕としての撮像素子104のライン毎に行われるリセット走査のタイミングをパターン化したものである。
【0035】
振れ制御部200は、ジャイロセンサ202等のセンサを用いてカメラ本体100の振れを検出する。ジャイロセンサ202は、例えば、ヨーイング方向における振れに応じて例えば角速度を検出するヨーイング角速度センサと、ピッチング方向における振れに応じて例えば角速度を検出するピッチング角速度センサとから構成される。ジャイロセンサ202は、カメラ本体100の振れを検出するセンサの一例であり、センサの他の種類としては、加速度センサ等を用いて振れの検出を行うようにしてもよい。加速度センサを用いる場合、加速度センサの出力を積分して速度を算出し、さらに速度を積分することにより移動距離を算出することが可能である。このため、加速度センサの出力に基づき振れの大きさを判別することができる。
【0036】
振れ制御部200は、ジャイロセンサ202により検出された検出信号に基づき振れの大きさを算出し、算出された振れの大きさに基づき、この振れを打ち消すために撮像素子104本体をどれだけ移動させたらよいか、その移動量を算出する。振れ制御部200は、算出された移動量だけ撮像素子104本体を移動させる。振れ制御部200は、また、撮像素子104の移動量を、信号処理部109を経由してカメラ制御部130に送る。
【0037】
次に、図2を参照してカメラ制御部130について説明する。図2に示すように、カメラ制御部130は、補正制御部131およびリセット部132を有する。
【0038】
補正制御部132は、信号処理部109から撮像素子104の移動量を入力し、この移動量に基づきリセット部131によるライン毎のリセット走査のタイミングを補正する。
【0039】
リセット部131は、所定のタイミングで撮像素子104の画素をライン毎に順次リセット走査することで電子先幕の機能を実現する。具体的には、リセット部131は、垂直駆動変調部108を制御し、垂直駆動変調部108からリセット走査用のクロックを撮像素子104に入力させる。振れにより撮像素子104が所定の移動量だけ移動している場合には、リセット部131は、補正されたタイミングで撮像素子104の画素をライン毎に順次リセット走査する。
【0040】
上述したカメラ制御部130が有する各部の処理は、撮像装置10に内蔵されるCPU、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのハードウェア(図示せず)で実現される。ここで、ROMは、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAMは、CPUの実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバスにより相互に接続されている。
【0041】
以上、本発明の実施形態による撮像装置10の基本構成について説明した。続いて、各シャッタ機構による撮影動作について図を参照して詳細に説明する。
【0042】
(メカシャッタ機構による撮影動作)
まず、メカ先幕を搭載している場合に実現可能なメカシャッタ機構による撮影動作について図3を参照して説明する。図3は、撮像素子104、メカ先幕2およびメカ後幕3をレンズ側から光軸方向に沿って観察した様子を示す正面図であり、レリーズ釦の押下により撮影が開始された後の、メカ先幕の走行およびメカ後幕の走行が途中にあるときの状態を示している。矢印1は、メカ先幕2及びメカ後幕3の走行方向を示す。
【0043】
図3では、メカシャッタ105のメカ先幕2とメカ後幕3が、撮像素子104の上部及び下部領域をそれぞれ遮光している状態が示されている。
【0044】
メカ先幕2の端部4とメカ後幕3の端部5との間のスリット間の領域6は、メカ先幕2およびメカ後幕3により遮光されておらず、撮像素子104において露光による電荷蓄積が行われている領域(電荷蓄積領域)である。電荷蓄積領域6はメカ先幕2とメカ後幕3の走行に従って、矢印1の方向へ移動していくことになる。メカ先幕2の端部4が通過してから、つまり撮像素子104への光の入射が開放されてから、メカ後幕3によって遮光状態となるまでの時間が、画素の露光による電荷蓄積時間となる。したがって、スリット幅Lを調整することで、電荷蓄積領域6を変化し、露光時間を調整することができる。
【0045】
このように、メカ先幕2の端部4が矢印1の方向へ走行して各ラインの電荷蓄積が開始されるので、電荷蓄積の開始タイミングは撮像素子104のライン毎に異なる。図3に示す例では、撮像素子104の最も下に位置するラインにおいて電荷蓄積動作が最も早いタイミングで行われ、最も上に位置するラインで電荷蓄積動作が最も遅いタイミングで行われる。
【0046】
撮像素子104の下部から上部へ向かうメカ先幕2およびメカ後幕3の移動は、シャッタ駆動部106により制御される。シャッタ駆動部106は、メカ後幕3の走行を開始させるタイミングを調整することでスリット幅Lを調整し、露光時間(シャッタースピード)を制御する。
【0047】
(電子シャッタ機構による撮影動作)
次に、電子シャッタ機構による撮影動作について図4を参照して説明する。図4は、撮像素子104およびメカ後幕3をレンズ側から光軸方向に沿って観察した様子を示す正面図であり、レリーズ釦の押下により撮影が開始された後の、撮像素子104で行われるリセット走査およびメカ後幕3の走行が途中にあるときの状態を示している。矢印1は、リセット走査の走査方向(電子先幕7の走行方向)及びメカ後幕3の走行方向を示す。
【0048】
図4において、メカシャッタ105のメカ後幕3が、撮像素子104の一部の領域を遮光している状態が示されている。さらに、撮像素子104で行われるリセット走査のライン(リセットライン)8を図4に示す。リセットライン8は、画素の蓄積電荷量がゼロにされるラインであり、電子先幕7の端部に相当する。
【0049】
リセットライン8とメカ後幕3の端部5との間のスリットによって形成される領域6は、撮像素子104において露光による電荷蓄積が行われている領域(電荷蓄積領域)である。電荷蓄積領域6は電子先幕7とメカ後幕3の走行に従って、矢印1の方向へ移動していくことになる。リセットライン8が通過してから、つまり画素が矢印1の方向へライン毎に順次リセットされてから、メカ後幕3によって遮光状態となるまでの時間が、画素の露光による電荷蓄積時間となる。このように、リセットライン8が矢印1の方向へ走行してライン毎の電荷蓄積が開始されるので、電荷蓄積の開始タイミングは撮像素子104のライン毎に異なる。図4に示す例では、撮像素子104の最も下に位置するラインで電荷蓄積動作が最も早いタイミングで行われ、最も上に位置するラインで電荷蓄積動作が最も遅いタイミングで行われる。
【0050】
撮像素子104の下部から上部へ向かうリセットライン8の移動(リセット走査)は、垂直駆動変調部108により制御される。このリセットライン8の移動パターンを「走査パターン」と称する。この走査パターンは、前述のように撮像素子104のライン毎にリセット走査が行われるタイミングを示したものということができる。走査パターン保持部150には、例えば、焦点距離や射出瞳距離などに応じて異なる走査パターンが複数保持されている。カメラ制御部130は、装着されたレンズの焦点距離や射出瞳距離などに応じてこれらのうちの一つを選択し、選択した走査パターンに従ってリセットライン8が移動するように垂直駆動変調部108を制御する。
【0051】
(各実施形態に至る経緯)
ここで、イメージャーシフト式手振れ補正の問題点と電子先幕のタイミング補正の必要性について、図5を参照しながら説明する。イメージャーシフト式手振れ補正では、撮影シーケンスに移行した直後から振れの検出信号の出力に応じて、振れを打ち消す動作を開始する。そして、イメージャーシフト式振れ機構の動特性が安定したところで、本露光(本撮影)シーケンスが開始され、撮像素子104の露光が始まり、所定のシャッタ速度に応じて、電子先幕とメカ後幕が走行し、本露光(本撮影)が完了する。
【0052】
前述したとおり、電子シャッタの場合、電子先幕とメカ後幕とから構成されるため、メカ後幕のメカ特性変化に対して電子先幕をいかに精度良く制御できるかがカメラの性能を向上させるためのポイントとなる。具体的には、電子先幕では、撮像素子104とメカ後幕の位置関係を正確に把握した状態で電子先幕のリセットタイミングを正確に調整する必要がある。図5の左図には、撮像素子104の振れ補正前の位置にて、電子先幕とメカ後幕からなるシャッタ幕がいずれの位置においても、露光時間が一定となるように撮像素子104のライン毎のリセット走査のタイミングが調整される。ある調整値では、撮像素子104がシャッタ幕のセンタの位置にある状態で、電子先幕とメカ後幕が正しい露光結果になるように制御されている。その場合には、露光時間の目標が1/4000sや1/8000sの場合であっても正しい露光結果になるように調整されている。
【0053】
ここで、図5の2本の太線のカーブは、電子先幕とメカ後幕の作動位置を示している。撮像素子104のライン毎のリセット走査後にメカ後幕が走行するために、電子先幕の作動位置(リセット走査のタイミング)のカーブは、メカ後幕の作動位置を表すカーブより時間的に前に図示されている。また、2本のカーブの横幅は露光時間を表し、縦幅はスリット幅を表す。図5の左図では、2本のカーブ間の横幅は一定であり、露光時間は一定に制御される。
【0054】
ところが、イメージャーシフト式手振れ補正では、撮像素子104本体を変化させる。その際、振れの大きさに応じて撮像素子104本体の移動量が変わる。図5の右図では、振れの大きさに応じて撮像素子104本体が移動量Qだけ下方の位置にずれている。その結果、撮像素子104とメカ後幕との位置関係は大きく変化し、2本のカーブ間の横幅は一定でなくなり、露光時間はシャッタ幕の位置により上下で差が生じる。
【0055】
このように、イメージャーシフト式手振れ補正ではレリーズシーケンスに突入した直後、メカシャッタの動特性が安定するまでの動作時間が必要となるため、撮影時のシャッタ速度に関係なく撮像素子104を動かす動作を一定時間行う必要がある。このため、撮像素子104の露光開始の時点でメカ後幕の位置に対する電子先幕の位置は一定ではない。
【0056】
例えば、図6の左側に示したようにイメージャーシフト式手振れ補正を実行しない場合、シャッタ幕の位置がスタート位置(t時)では、図6の左下図のようにスリット幅がSaに調整され、センタ位置(t時)では、図6の左上図のようにスリット幅がSbに調整される。メカシャッタ105のメカ後幕3は走行開始から徐々に加速するため、スリット幅を走行開始時から徐々に広げて撮像素子104の画素のライン毎の露光時間を調整する。したがって、スリット幅は走行開始時が最も小さい。このように、メカ後幕の走行スピードにあわせてスリット幅を適正値に調整することにより、露光時間を一定に制御している。
【0057】
一方、図6の右側に示したようにイメージャーシフト式手振れ補正を実行する場合、スタート位置(t時)では、図6の右下図のようにスリット幅がSa’に調整され、センタ位置(t時)では、図6の右上図のようにスリット幅がSb’に調整される。このように、手振れ補正により撮像素子104の位置が移動すると、スリット幅が適正値からずれてしまい、露光時間を一定に制御することができない。よって、何らかの制御を行わないと、撮像素子104の位置のずれのために狙いのシャッタ速度が得られず、露出性能に影響する。
【0058】
<2.第1実施形態>
(2−1)撮像装置の機能の特徴
そこで、第1実施形態に係る撮像装置10では、図2に示したカメラ制御部130が有する補正制御部132により、撮像素子104の移動量に基づき、リセット部131によるライン毎のリセット走査のタイミングを補正する。具体的には、補正制御部132は、撮像素子104の移動量及びメカ後幕の走行位置に基づき、露光時間が一定になるようにリセット部131によるライン毎のリセット走査のタイミングを補正する。
【0059】
例えば、図7の右図では、リセット部131によるライン毎のリセット走査のタイミングが制御されたことにより、電子先幕の作動位置を表すカーブが、カーブAからカーブA’に補正される。これにより、補正後の電子先幕及びメカ後幕間の横幅は一定となり、露光時間を一定時間に制御することができる。
(2−2)撮像装置の動作
次に、第1実施形態に係る撮像装置10の動作について、図8に示すシャッタ動作補正処理のフローチャートを参照して説明する。まず、ステップS805にて、振れ制御部200は、ジャイロセンサ202を用いてカメラ本体100の振れを検出した検出信号を取得したかを判定する。
【0060】
取得していないと判定した場合、本処理は直ちに終了される。一方、取得したと判定した場合、ステップS810にて、振れ制御部200は、ジャイロセンサ202により検出された検出信号に基づき振れの大きさを算出する。次に、ステップS815にて、振れ制御部200は、算出された振れの大きさに基づき、この振れを打ち消すために撮像素子104本体をどれだけ移動させたらよいか、その移動量を算出する。
【0061】
次に、ステップS820にて、補正制御部132は、算出された撮像素子の移動量及びメカ後幕の走行位置に基づき、リセット部131によるライン毎のリセット走査のタイミングを補正する。次に、ステップS825にて、リセット部131は、補正されたタイミングで撮像素子104の画素をライン毎に順次リセット走査する。
【0062】
これにより、前述したように、図7の電子先幕の作動位置(リセット走査のタイミング)を表すカーブがカーブAからカーブA’に補正され、メカ後幕の作動位置を表すカーブBとの横幅は一定になる。これにより、露光時間が一定に制御される。
【0063】
特に、図10に示したように、低速シャッタの場合、電子先幕とメカ後幕の作動位置のカーブの横幅は広く、露光時間は長い。一方、図11に示したように、高速シャッタの場合、電子先幕とメカ後幕の作動位置のカーブの横幅は狭く、露光時間は短い。したがって、高速シャッタになるほど電子先幕及びメカ後幕間のスリット幅を狭くして制御する必要がある。このため、高速シャッタの場合には、低速シャッタの場合より、制御に高い精度が要求される。よって、低速シャッタの場合、振れの補正による電子先幕の作動位置のカーブのずれの影響は小さいが、高速シャッタの場合、上記動特性安定待ち時間と撮像素子104の移動量は、カメラを三脚にて固定した時等のように静的な場合を除いて、露光精度を低下させるには十分な移動量となる。
【0064】
したがって、補正制御部131は、予め定められた第1の閾値より高いシャッタ速度で撮影された場合、前記ライン毎のリセット走査のタイミングを補正し、それより低速のシャッタ速度で撮影される場合には、撮像素子104の移動量を加味しなくても露光精度への影響は少ないとして、前記ライン毎のリセット走査のタイミングを補正する処理は省略するようにしてもよい。もちろん、低速のシャッタ速度で撮影される場合にも上記リセット走査のタイミングを補正する処理を行ってもよい。なお、第1の閾値は、1/500sが好ましい。
【0065】
以上に説明したように、本実施形態に係る撮像装置10によれば、筐体の振れの検出結果に応じた撮像素子104の移動量に基づき、電子先幕のリセット走査のタイミングを制御し、露光時間を一定に制御することができる。なお、本実施形態に係る撮像装置10は、電子シャッタ機構(電子先幕及びメカ後幕)のみ有していれば、メカシャッタ機構のメカ先幕を有していなくてもよい。
【0066】
<3.第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る撮像装置10について説明する。上述した第1実施形態では、筐体の振れに対してイメージャー式手振れ補正を採用し、撮像素子104自身を動かすものであった。その際、筐体がどれだけずれているかは、ジャイロセンサ202で検出し、その検出信号に基づき筐体の動いている状態を把握して撮像素子104の振れを打ち消すように撮像素子104を移動させた。そして、撮像素子104の移動量に基づき、電子先幕の走行タイミングを補正した。
【0067】
しかしながら、このようなジャイロセンサ202からの検出信号に基づいて、電子先幕のリセット走査のタイミングを補正するというフィードバック制御では、筐体の振れを検出してからリセット走査のタイミングを補正するまでのタイムラグの影響で、露光ムラがある画像が撮影されてしまう場合がある。
【0068】
そこで、本発明の第2の実施形態では、撮像素子104の移動量と電子先幕及びメカ後幕のスリット幅に応じて、撮影された画像を補正する画像処理部の機能を更に備える。画像処理部の機能は、信号処理部109のゲイン処理により実現される。
【0069】
画像処理の方法はいくつか考えられる。まず、一つ目の画像処理方法について、図9を参照しながら説明する。図9の左下部には、画像記憶部111に記憶された補正テーブルの一例が示されている。補正テーブルは、横軸が像高(理想)、縦軸が画像出力(ゲイン)を示している。補正テーブルは、シャッタ速度(スリット幅)と撮像素子104の移動量の関係で発生する露光誤差を予め測定したものであり、画像記憶部111には、予めこのような画像テーブルが複数記憶されている。
【0070】
画像処理部(信号処理部109)は、画像記憶部111に記憶された複数の補正テーブルから撮像素子104の移動量及び必要なスリット幅に応じた補正テーブルを選択する。画像処理部は、選択された補正テーブルの理想像高のゲインVと撮影された画像の実像高のゲインWの差分を補正ゲインとして算出し、その補正ゲインを用いて撮影された画像の露光ムラをなくすための画像処理を行う。
【0071】
これによれば、ジャイロセンサ202からの検出信号の取得から、リセット走査のタイミングの補正までのタイムラグの影響で、露光ムラがある画像が撮影された場合にも、補正ゲインを用いた画像処理により、画像の露光ムラをなくすことができる。
【0072】
なお、以上では、図7の右図に示したように、第1実施形態の補正方法に基づき、電子先幕の作動位置を表すカーブをカーブA’に補正して電子シャッタ動作を実行した後、撮影された画像に本実施形態の画像処理を行った。しかし、図9の右図に示したように、電子先幕の作動位置を表すカーブを補正せずにカーブAのまま電子シャッタ動作を実行することにより撮影された画像に本実施形態の画像処理を行ってもよい。
【0073】
本実施形態の画像処理の二つ目の画像処理方法では、例えば、撮影された画像を画像記憶部111に蓄積する。画像処理部は、画像記憶部111に蓄積された画像のうち、第2の閾値より高いシャッタ速度で撮影された画像と、前記高いシャッタ速度より低いシャッタ速度で撮影された画像との差分から補正ゲインを算出する。画像処理部は、該算出された補正ゲインを用いて、前記高いシャッタ速度で撮影された画像を補正する。この場合、上記補正テーブルを予め登録しておく必要はない。また、一つ目と二つ目の画像処理方法では、必ずしもメカ先幕を必要としない。なお、第2の閾値は、1/500sが好ましい。
【0074】
一方、メカ先幕を有し、メカシャッタ動作と電子シャッタ動作の両方が可能なカメラの場合には、次の画像処理方法も可能である。画像処理部は、メカ先幕とメカ後幕の走行によるメカシャッタ動作により撮影された画像と、電子先幕のリセットとメカ後幕の走行による電子シャッタ動作により撮影された画像との差分から補正ゲインを算出する。画像処理部は、該算出された補正ゲインを用いて、電子シャッタ動作により撮影された画像を補正する。これによれば、メカシャッタ動作による撮影では、撮像素子104の移動量が露光精度に影響することはない。よって、電子シャッタ動作により撮影された画像を、メカシャッタ動作により撮影された画像との差分を補正ゲインとして用いて画像処理することにより画像の露光ムラをなくすことができる。
【0075】
<4.第3の実施形態>
次に、第3実施形態に係る撮像装置10について説明する。前述したように、イメージャーシフト式手振れ補正では、図10の低速シャッタの場合、電子先幕とメカ後幕の作動位置のカーブの横幅は広く、露光時間は長い。一方、図11の高速シャッタの場合、電子先幕とメカ後幕の作動位置のカーブの横幅は狭く、露光時間は短い。したがって、高速シャッタになるほど電子先幕及びメカ後幕間のスリット幅を狭くして制御する必要がある。このため、高速シャッタの場合には、低速シャッタの場合より制御に高い精度が要求される。よって、低速シャッタの場合、振れ補正による電子先幕の作動位置のカーブのずれ(位置の誤差)が生じても露光精度にほとんど影響しない。
【0076】
一方、振れ補正の効果という観点では、シャッタ速度が低速であるほど振れ補正が発生しやすく、高速シャッタの場合には手振れ補正はほとんど発生しない。
【0077】
そこで、第3実施形態に係る撮像装置10では、撮像素子104が露光精度に影響しない低速シャッタ速度閾値(第3の閾値)を予め定めておき、第3の閾値より低速なシャッタ速度の場合には、イメージャーシフト式手振れ補正を行い、それより高速なシャッタ速度の場合には、イメージャーシフト式手振れ補正を行わない。これにより、より最適な電子先幕撮影を実現することができる。なお、第3の閾値は、1/500sが好ましい。
【0078】
なお、本実施形態の場合、高速なシャッタ速度の場合には、イメージャーシフト式手振れ補正を行わない代わりに、レンズ光学式手振れ補正または電子式手振れ補正の少なくともいずれかを利用してもよい。
【0079】
また、第3の閾値は、撮影時の撮像素子104の移動量に応じて動的に変化させてもよい。
【0080】
<5.まとめ>
以上説明したように、本発明の各実施形態にかかる撮像装置10によれば、振れの検出結果に応じた撮像素子の移動量に基づき、電子先幕のリセット走査のタイミングを制御することができる。これにより、イメージャーシフト式手振れ補正機構を搭載した撮像装置10において、最適な電子先幕撮影を実現することができる。
【0081】
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0082】
たとえば、撮像装置10に内蔵されるハードウェアを、上述した撮像装置10の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0083】
10 撮像装置
100 カメラ本体
101 レンズユニット
104 撮像素子
105 メカシャッタ
106 シャッタ駆動部
107 パルス発生部
108 垂直駆動変調部
109 信号処理部
110 画像表示部
111 画像記録部
112 スイッチユニット
114 撮影レンズ
115 レンズ制御部
116 レンズ駆動部
117 絞り駆動部
117a 絞り
118 ズーム駆動機構
119 ズーム位置検出部
120 通信部
121 通信部
130 カメラ制御部
131 補正制御部
132 リセット部
150 走査パターン保持部
200 振れ制御部
202 ジャイロセンサ
O 光軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素からなる撮像素子と、
前記撮像素子への光の入射を遮断するために走行する第1の幕と、
前記第1の幕の走行に先行して前記撮像素子をライン毎に順次リセット走査するリセット部と、
振れの検出結果に基づき移動させた撮像素子の移動量に基づき、前記リセット部によるライン毎のリセット走査のタイミングを補正する補正制御部と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記補正制御部は、前記撮像素子の移動量及び前記第1の幕の走行位置に基づき、前記リセット部によるライン毎のリセット走査のタイミングを補正する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記補正制御部は、第1の閾値より高いシャッタ速度で撮影された場合、前記ライン毎のリセット走査のタイミングを制御する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像素子の移動量及び前記スリット幅に応じた補正ゲインを用いて、前記第1の幕と前記リセット部による電子シャッタ動作によって撮影された画像を補正する画像処理部を更に備える請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
画像を補正する補正ゲインをもつ補正テーブルを複数記憶する画像記憶部を更に備え、
前記画像処理部は、前記複数の補正テーブルから前記撮像素子の移動量及び前記スリット幅に応じた補正テーブルを選択し、該選択された補正テーブルの補正ゲインを用いて、前記撮影された画像を補正する請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮影された画像を蓄積する画像記憶部を更に備え、
前記画像処理部は、前記画像記憶部に蓄積された画像のうち、第2の閾値より高いシャッタ速度で撮影された画像と、前記高いシャッタ速度より低いシャッタ速度で撮影された画像との差分から補正ゲインを算出し、該算出された補正ゲインを用いて、前記高いシャッタ速度で撮影された画像を補正する請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1の幕の走行に先行して前記撮像素子への光の入射を開放する第2の幕を更に備え、
前記画像処理部は、前記第1の幕と前記第2の幕の走行によるメカシャッタ動作により撮影された画像と、前記電子シャッタ動作により撮影された画像との差分から補正ゲインを算出し、該算出された補正ゲインを用いて、前記電子シャッタ動作により撮影された画像を補正する請求項4に記載の撮像装置。
【請求項8】
補正制御部が、振れの検出結果に基づき移動させた撮像素子の移動量に基づき、ライン毎のリセット走査のタイミングを補正するステップと、
リセット部が、前記撮像素子への光の入射を遮断するための第1の幕の走行に先行して、前記補正されたタイミングで前記撮像素子をライン毎に順次リセット走査するステップと、を含むシャッタ動作補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−129588(P2012−129588A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276629(P2010−276629)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】