撮像装置及び撮像方法
【課題】 周期的に明るさが変化する環境下にあって、被写体の撮影目的に応じ最適な条件で露光を行うことができる撮像装置を提供することができる。
【解決手段】 撮影者がシャッターを押すと、マイコン9がシャッター操作を検出し、明るさセンサー17が検出した明るさを示すアナログ信号をデジタルデータにA/D変換する。マイコン9は、一定間隔で、最新3回分のデータをメモリ6に記憶する。そして、マイコン9は、3つの値を比較し、値1>値2<値3となったか否かを判定する。マイコン9は、値1>値2<値3となったと判定すると、信号処理回路4及びTG8を制御し、CCDイメージセンサ2に対する露光を開始する。
【解決手段】 撮影者がシャッターを押すと、マイコン9がシャッター操作を検出し、明るさセンサー17が検出した明るさを示すアナログ信号をデジタルデータにA/D変換する。マイコン9は、一定間隔で、最新3回分のデータをメモリ6に記憶する。そして、マイコン9は、3つの値を比較し、値1>値2<値3となったか否かを判定する。マイコン9は、値1>値2<値3となったと判定すると、信号処理回路4及びTG8を制御し、CCDイメージセンサ2に対する露光を開始する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像素子を用いて被写体を撮影する撮像装置及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子カメラは受光した光を電気信号に変換してメモリに書き込むため、室内の蛍光灯下において画像に蛍光灯の反射光が写り込むことは被写体をありのまま撮像したといえる。しかし、室内で例えば料理を撮影する場合、室内の蛍光灯が反射して、本来撮影したかった料理や皿が明瞭に撮影できない場合がある。料理や皿やテーブルに蛍光灯の像が高輝度で写り込み、料理の雰囲気を台無しにしてしまう。すなわち、蛍光灯の発光源からの光が白い皿などの被写体に反射すると、本来の撮影の対象となる被写体が、適切に撮影出来ないという問題があった。
【0003】
そこで、例えば下記特許文献1(特許第3429646号公報)には、画像信号処理技術に関し、特に画像信号中から不必要な情報を除去して適切な画像信号を生成する画像信号処理技術に関する技術が紹介されている。
【0004】
下記特許文献1は、蛍光灯下又は太陽光において被写体を撮像することにより得られる第1の画像信号及びカメラのフラッシュを発光させて該被写体を撮像することにより得られる第2の画像信号の信号レベルを正規化し、正規化された第1の画像信号及び第2の画像信号を画素毎に比較し、小さいほうの画像信号を選択して第3の画像信号を生成するという技術である。
【0005】
【特許文献1】特許第3429646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、蛍光灯下での撮像と、フラッシュ発光させた撮像の2枚を使用して画像処理を行う方法は、2枚撮影することにより時間差が発生し画角を合わせることがむずかしく、また画角を合わせて撮影するためには撮影者が三脚などの手段を用いて、カメラを固定しなければならないケースもある。さらに、特許文献1の電子カメラには、撮像した画像を記録する2つのメモリとその画像を合成する画像合成プロセッサが必要となる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、周期的に明るさが変化する環境下にあって、被写体の撮影目的に応じ最適な条件で露光を行うことができる撮像装置及び撮像方法の提供を目的とする。
【0008】
また、1枚の写真を撮るだけで、被写体への蛍光灯の反射光の写り込みを軽減することができる撮像装置及び撮像方法の提供を目的とする。
【0009】
さらに、被写体を連写するときには、各露光開始タイミングを揃えることができ、周期的に明るさが変化する環境下にあっても、明るさのばらつきを防ぐことができる撮像装置及び撮像方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る撮像装置は、上記課題を解決するために、信号処理手段が撮像素子にて撮像された被写体の映像信号に信号処理を施すと共に露光制御信号を生成し、光電変換素子が周期的に明るさが変化する環境下にあって明るさを示す光量を検出し、タイミング生成手段が光電変換素子にて検出した上記光量が予め設定された所定の値になると上記信号処理手段から上記露光制御信号を受け取り、露光を開始するタイミング信号を生成して上記撮像素子に供給する。
【0011】
また、本発明に係る撮像方法は、上記課題を解決するために、信号処理工程が撮像素子にて撮像された被写体の映像信号に信号処理を施すと共に露光制御信号を生成し、光電変換工程が周期的に明るさが変化する環境下にあって明るさを示す光量を検出し、タイミング生成工程が光電変換工程にて検出した上記光量が予め設定された所定の値になると上記信号処理工程から上記露光制御信号を受け取り、露光を開始するタイミング信号を生成して上記撮像素子に供給する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、1枚の写真を撮るだけで、被写体への蛍光灯の反射光の写り込みを軽減することが出来る。例えば、室内の蛍光灯下で、白い皿の上の料理を撮影するとき、蛍光灯がお皿に反射していても、撮像した画像への写り込みを最小限にすることができる。 また1枚撮影のため、画角を合わせる必要がなく、2枚撮影する上記特許文献1の図1にあるメモリのうち1つと画像合成プロセッサは不要となるため、コストダウンにもつながる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。この実施の形態は、図1に示すように、例えばCCDイメージセンサ2を用いて被写体を撮影するデジタルスチルカメラであって、CCDイメージセンサ2にて撮像された被写体の映像信号に信号処理を施すと共に露光制御信号を生成する信号処理回路4と、周期的に明るさが変化する環境下にあって明るさを示す光量を検出する光電変換素子(明るさセンサー)17と、光電変換素子17にて検出した上記光量が予め設定された所定の値になると信号処理回路4から上記露光制御信号(CCD−FD)を受け取り、露光を開始するタイミング信号を生成してCCDイメージセンサ2に供給するタイミング生成器8とを備える。
【0014】
また、光電変換素子17にて検出した上記光量が予め設定された所定の値になったか否かを判定するマイクロコンピュータ9をさらに備え、マイクロコンピュータ9は上記光量が予め設定された所定の値になったと判断すると信号処理回路4を露光モードに設定し、上記露光制御信号(CCD−FD)を生成させる。
【0015】
また、マイクロコンピュータ9は、上記光量が最も小さくなったことを検出すると、上記信号処理回路4を露光モードに設定し、信号処理回路4に上記露光制御信号を生成させる。
【0016】
また、タイミング生成器8は、信号処理回路4から供給された上記露光制御信号の開始タイミングから終了タイミングまでの時間を露光時間としたタイミング信号を生成してCCDイメージセンサ2に供給する。
【0017】
また、デジタルカメラは、被写体を連写するとき、マイクロコンピュータ9により1枚目の露光開始点が周期的に明るさが変化する環境下にあって周期上のどこの位相にあるかを検出し、メモリに記憶し、2枚目の撮影以降は、一枚目の撮影時にメモリに記憶した位相と同じ位相になるまで待ってから露光を開始するように、信号処理回路4及びタイミング生成器8を制御する。
【0018】
以下、デジタルカメラの構成及び動作について詳細に説明する。図1に示すように、本発明に適用されるデジタルスチルカメラは、光学系のレンズ(シャッター)1と、レンズ1を通して焦点が合わせられた被写体を撮像しアナログの撮像信号を生成する撮像素子であるCCDイメージセンサ2と、CCDイメージセンサ2からのアナログの撮像信号をデジタルのデータに変換するA/D変換器3と、A/D変換器3からのデジタルデータに対して圧縮又は伸張処理を行う信号処理回路4と、信号処理回路4によって信号処理されたデジタル画像データをメモリバス5を通して受け取り記憶するメモリ6と、レンズ1のフォーカス調整や絞り調整及びズーム駆動を行うレンズ駆動装置7、撮像タイミングを生成してCCDイメージセンサ2に供給するタイミング発生器(Timing Generator:TG)8と、接続される各部を制御するマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)9と、マイコン9の設定データを記憶するEEPROM18と、信号処理回路4によって信号処理された撮像画像を表示する液晶パネル10と、ユーザによる操作及び入力が可能な操作スイッチ11と、所定のスロットに装着されるリムーバブルなメモリカード12をインターフェースするメモリカードI/F13と、ホストバス14によってマイコン9に接続されるプログラムフラッシュメモリー15及び内蔵メモリ16と、撮像対象の明るさを検出する光電変換素子のような明るさセンサー17とを備える。マイコン9と信号処理回路4は、ICブロック20を構成している。
【0019】
CCDイメージセンサ2は撮像素子であり、これによりレンズを通過した光を電気信号に変換する。レンズ駆動装置7は、マイコン9によって制御され、レンズ1のフォーカス位置、絞り開閉、ズーム位置に対して可動部を駆動する。
【0020】
タイミング発生器8は、マイコン9によって制御され、CCDイメージセンサ2のデータ読み出し方式、露光時間、タイミングを駆動する。また、タイミング発生器8は、明るさセンサー17が検出した明るさからマイコン9が蛍光灯の光量が最小、最大、或いは連続して一定値のときであると判断したときにシャッターを切る。
【0021】
A/D変換器3は、CCDイメージセンサ2からのアナログ信号をサンプルホールドし、デジタルデータに変換する。
【0022】
信号処理回路4は、マイコン9により制御され、A/D変換器3からのデジタルデータを静止画のJPEGデータなどに変換したり、静止画データを液晶パネル10に出力したりする。EEPROM18はマイコン9によってデータの書き込み及び読み出しが制御され、カメラパターンやユーザ情報など各種データを記憶しておく。このEEPROM18は、プログラム用フラッシュメモリ15、内蔵メモリ16などを代用してもよい。
【0023】
また、信号処理回路4には、メモリ6を読み書きするためのメモリコントローラブロックがあり、マイコン制御により、メモリ6から画像データやメニューデータを読み出し、データを合成(加算)して液晶パネル10などに表示することができる。
【0024】
明るさセンサー17はマイコン9のA/D入力ポート19に接続される。明るさセンサー17は、光電変換素子からなり、光の明るさを電圧に変換して出力する。
【0025】
マイコン9はこの出力をA/D変換することにより、デジタルデータに変換し、被写体の明るさを判別する。
【0026】
本発明の特徴は、蛍光灯のフリッカを利用し、カメラ内に設けられた、光を受光する明るさセンサー17で、蛍光灯の光量が最小と判断した期間にシャッターを切ることで、蛍光灯の反射の写り込みを軽減するというものである。
【0027】
次に、明るさセンサー17による光量の検出方法について図2を参照して説明する。明るさセンサー17はマイコン9のA/Dポート19に接続される。明るさセンサー17は光の明るさを電圧に変換するデバイスで、明るさに比例して電圧が大きくなる。図2の横軸は明るさを示し、縦軸は明るさセンサー17が出力する電圧を示す。このような特性を持つ明るさセンサー17で、蛍光灯下の被写体を見ると、図3のようになる。図3の横軸は時間を示し、縦軸は明るさセンサー17が出力する電圧である。商用電源は日本にあって周波数50Hz(関西)又は60Hz(関東)で各家庭に提供されている。よって、例えば室内の蛍光灯は、50Hz又は60Hzに相当する周期にてフリッカを繰り返している。
【0028】
マイコン9は明るさセンサー17が出力し、A/D入力ポート19で受信した図3に示した出力電圧波形を、図4に示すように一定間隔時間tでA/D変換して、明るさをデジタルデータに変換する。図4にあって横軸は時間を示し、縦軸は0〜255という8ビット、256ステップで示す明るさである。
【0029】
マイコン9は、明るさセンサー17からA/D入力ポート19を介して受信した出力電圧波形から、操作スイッチ11を用いたユーザによる所望の設定に基づいて露光の開始点を判断する。例えば、被写体への蛍光灯の反射光の写り込みを軽減することを目的とした操作をユーザが行ったのであれば、明るさの最小値を検出し、そのタイミングで露光を開始する。もちろん、撮影条件によっては、周期的に明るさが変化する環境下にあって、被写体の撮影目的に応じた最適な条件で露光を行う。
【0030】
図5は、マイコン9が、例えば、明るさの最小値を検出し、露光を開始すると判断する処理手順を示すフローチャートである。先ず、撮影者がシャッターを押すと、ステップS1にてマイコン9がシャッター操作を検出し、ステップS2にて明るさセンサー17が検出した明るさを示すアナログ信号をデジタルデータにA/D変換する。ステップS3にてマイコン9は、一定間隔で、最新3回分のデータをメモリ6に記憶する。そして、マイコン9は、ステップS4にて3つの値を比較し、値1>値2<値3となったか否かを判定する。マイコン9は、値1>値2<値3となったと判定する(Yes)と、ステップS4に進み、信号処理回路4及びTG8を制御し、CCDイメージセンサ2に対する露光を開始する。
【0031】
図6は、上記ステップS5の露光開始からのキャプチャー時の露光動作を説明するための要部の構成図である。また、図7は、CCD−FDの波形を示しており、露光開始と露光終了を説明するための図である。
【0032】
図6にあってTG8は、マイコン9からのシリアル通信により制御される。まず動作モードに設定され、それに従い、CCDイメージセンサ2を駆動する。露光モードでは、信号処理回路4から制御信号CCD_FDを受け取り、CCD_FDの立ち下りを基準に露光を開始し、立ち上がり基準で露光を終了させる。すなわち、CCD_FDの立ち下りタイミングで露光開始タイミングを決定する。また、CCD_FDの長さで露光時間を決定する。このCCD_FDは、上述したようにマイコン9により制御され、信号処理回路4がTG8に出力する。図7のタイミングチャートで示すと、CCD_FDの立ち下りTsを基準に露光を開始し、立ち上がりTe基準で1/30(sec)の露光を終了する。
【0033】
次に、シャッタースイッチが撮影者によって操作されてからキャプチャー動作が行われるまでの動作について詳細に説明する。先ず、比較のために従来の例について図8を参照して説明する。従来の例が適用されるデジタルスチルカメラのハードウェアは、図1に示した構成から明るさセンサー17を削除した構成である。ここでは、図1及び図6に示した符号を用いる。
【0034】
まず、撮影者がシャッターを押し(a)、マイコン9がシャッター操作を検出する。次に、マイコン9は、信号処理回路4をコントロールし、CCD−FD(d)出力モードを(c)に示すVDに対して非同期モードに設定する(1)。具体的には、マイコンのレジスタ設定を(e)のように設定し、VD非同期モードにする。次に、マイコン9は、TG8に対して、シリアル通信で露光モードを設定する((g)に示す(2)のように)。すると、次のCCD−FD立下りタイミングTsから露光が開始される。そして、マイコン9は、信号処理回路4に対して、CCD−FD出力モードを露光モードに設定する(h)。露光モードが終わると、次のFDの立下りを基準にして露光を開始する。
【0035】
このように従来のキャプチャー処理では、露光タイミング制御をしていない。単に、最も早く露光ができるようにマイコン9が処理している。
【0036】
次に、図9を参照して本発明における、シャッタースイッチが撮影者によって操作されてからキャプチャー動作が行われるまでの動作について説明する。先ず、撮影者がシャッターを押し(a)、マイコン9がシャッター操作を検出する。次に、マイコン9は、信号処理回路4をコントロールし、CCD−FD(d)出力モードを(c)に示すVDに対して非同期モードに設定する(1)。具体的には、マイコン9により信号処理ICのレジスタ設定を(e)のように設定し、VD非同期モードにする。次に、マイコン9は、TG8に対して、シリアル通信で露光モードを設定する((g)に示す(2)のように)。
【0037】
次に、本発明にあっては、明るさセンサー17が検出した明るさを示すアナログ信号をデジタルデータにA/D変換する。マイコン9は、一定間隔で、最新3回分のデータをメモリ6に記憶する。マイコン9は、3つの値を比較し、値1>値2<値3となったか否かを判断する。つまり、マイコン9は、蛍光灯のフリッカを明るさセンサー17の検出信号より判断し、明るさが最も暗くなるところまで待つ。そして、最も暗くなったタイミングを検出し、信号処理回路4に対して、そのレジスタ設定によりCCD−FD出力モードを露光モードに設定する((e)の(4))。マイコン9の信号処理回路4に対する露光モード設定が終わると、次のCCD−FDの立下りを基準にして露光を開始する。
【0038】
本実施の形態では、シャッタースイッチの検出をした後、明るさセンサー17のA/D値が小さくなるタイミングを待って露光を開始すると説明した。具体的には、図10、図11に示すような露光の設定方法がある。図10は、シャッタースイッチ(a)を検出してから明るさセンサーのA/D値(b)が最小となったポイントが、露光時間の中間点となるように設定する方法である。つまり、露光開始タイミングTsから露光終了タイミングTeまでの露光時間の中間点が上記明るさセンサーのA/D値の最小ポイントになるように露光開始タイミングTsを制御する方法である。
【0039】
また、図11は、シャッタースイッチ(a)を検出してから明るさセンサーのA/D値(b)が最小となったポイントを含むように露光時間を設定する方法である。つまり、露光開始タイミングTsから露光終了タイミングTeまでの露光時間がA/D値の最小ポイントを含むように、露光開始タイミングTsを制御する方法である。
【0040】
さらに、図12に示すように、露光開始ポイントTsをA/D値が予め決められたしきい値thより低くなったときに設定してもよい。
【0041】
このように本実施の形態では、従来のキャプチャー処理では何もしなかった露光タイミング制御を、明るさセンサー17を用いた蛍光灯のフリッカ検出から、最も暗いタイミングを検出し、そのタイミングで露光タイミングを制御している。このため、被写体への蛍光灯の反射光の写り込みを軽減することができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態にのみ適用されるわけではない。例えば、デジタルスチルカメラにあって、被写体を連写する場合にも適用できる。従来、デジタルスチルカメラにあって、被写体を連写する場合には、各露光タイミングを合わせることなく露光を行っていた。このため、被写体を連写した場合には、蛍光灯のフリッカの影響により明るさにばらつきが生じ、露光量が異なることがあった。例えば同じ被写体を3枚連写したが、1枚目、2枚目、3枚目とも明るさが異なっていたということがあった。
【0043】
そこで、本発明の技術を用いる。図13は、蛍光灯のフリッカによる影響を軽減することのできる連写のタイミングを説明するチャートである。まず、撮影者がシャッターを押し(a)、マイコン9がシャッター操作を検出する。同時に、マイコン9は信号処理回路4を制御しCCD−FDを立ち上げ、その立下りタイミングにて露光を開始する。このとき、マイコン9は、1枚目の露光開始点が蛍光灯のフリッカ周期でどこの位相にあるかを検出し、メモリ6に記憶する。2枚目の撮影以降は、一枚目の撮影時に記憶したフリッカ位相と同じ位相になるまで待ってから露光を開始する。つまり、露光量は同じになる。したがって、各露光開始タイミングを揃えることができ、蛍光灯のフリッカによる明るさのばらつきを防ぐことができる。
【0044】
また、上記被写体を連写するとき、周期的に明るさが変化する環境下にあってマイコン9は予め1枚目を撮影する露光開始点の位相を決めておき、2枚目以降も同位相時に撮影するようにしてもよい。予め1枚目を撮影する露光開始点の位相は、ユーザの好みに応じて設定できるようにし、2枚目以降は同じ位相になったときに露光を開始する。このようにすればユーザの意図した露光量で連写することができる。つまり、同じ露光量で連写が可能となり、被写体を連写するときには、各露光開始タイミングを揃えることができ、周期的に明るさが変化する環境下にあっても、明るさのばらつきを防ぐことができる。
【0045】
なお、図1に示したデジタルスチルカメラでは、光電変換素子として明るさセンサー17を用いているが、明るさセンサー17の代わりにCCDイメージセンサ2そのものを光電変換素子として利用してもよい。その際には、CCDイメージセンサ2の出力をA/D変換器3によりA/D変換し、信号処理回路4で信号処理変換したY(輝度)データを積分して使用する。積分回路は信号処理回路内にあり、画面内の全画素を加算する回路である。一般に、AE検波などにも使用される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】デジタルスチルカメラのハードウェアブロック図である。
【図2】明るさセンサーによる明るさと電圧特性を示す図である。
【図3】図2に示す特性を持つ明るさセンサーにて蛍光灯下の被写体を見たときの特性図である。
【図4】明るさセンサーの出力電圧波形を一定間隔時間でA/D変換したデジタルデータを示す特性図である。
【図5】マイコンが、明るさの最小値を検出し、露光を開始すると判断する処理手順を示すフローチャートである。
【図6】露光開始からのキャプチャー時の露光動作を説明するための要部の構成図である。
【図7】CCD−FDの波形を示しており、露光開始と露光終了を説明するための図である。
【図8】シャッタースイッチが撮影者によって操作されてからキャプチャー動作が行われるまでの従来の動作例を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】シャッタースイッチが撮影者によって操作されてからキャプチャー動作が行われるまでの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】明るさセンサーのA/D値が最小となったポイントが、露光時間の中間点となるように設定する方法を説明するタイミングチャートである。
【図11】明るさセンサーのA/D値が最小となったポイントを含むように露光時間を設定する方法を説明するためのタイミングチャートである。
【図12】露光開始ポイントをA/D値が予め決められたしきい値thより低くなったときに設定する方法を説明するためのタイミングチャートである。
【図13】蛍光灯のフリッカによる影響を軽減することのできる連写を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 レンズ、2 CCDイメージセンサ、3 A/D変換器、4 信号処理回路、6 メモリ、7 レンズ駆動装置、8 タイミング発生器、9 マイクロコンピュータ、11 操作スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像素子を用いて被写体を撮影する撮像装置及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子カメラは受光した光を電気信号に変換してメモリに書き込むため、室内の蛍光灯下において画像に蛍光灯の反射光が写り込むことは被写体をありのまま撮像したといえる。しかし、室内で例えば料理を撮影する場合、室内の蛍光灯が反射して、本来撮影したかった料理や皿が明瞭に撮影できない場合がある。料理や皿やテーブルに蛍光灯の像が高輝度で写り込み、料理の雰囲気を台無しにしてしまう。すなわち、蛍光灯の発光源からの光が白い皿などの被写体に反射すると、本来の撮影の対象となる被写体が、適切に撮影出来ないという問題があった。
【0003】
そこで、例えば下記特許文献1(特許第3429646号公報)には、画像信号処理技術に関し、特に画像信号中から不必要な情報を除去して適切な画像信号を生成する画像信号処理技術に関する技術が紹介されている。
【0004】
下記特許文献1は、蛍光灯下又は太陽光において被写体を撮像することにより得られる第1の画像信号及びカメラのフラッシュを発光させて該被写体を撮像することにより得られる第2の画像信号の信号レベルを正規化し、正規化された第1の画像信号及び第2の画像信号を画素毎に比較し、小さいほうの画像信号を選択して第3の画像信号を生成するという技術である。
【0005】
【特許文献1】特許第3429646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、蛍光灯下での撮像と、フラッシュ発光させた撮像の2枚を使用して画像処理を行う方法は、2枚撮影することにより時間差が発生し画角を合わせることがむずかしく、また画角を合わせて撮影するためには撮影者が三脚などの手段を用いて、カメラを固定しなければならないケースもある。さらに、特許文献1の電子カメラには、撮像した画像を記録する2つのメモリとその画像を合成する画像合成プロセッサが必要となる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、周期的に明るさが変化する環境下にあって、被写体の撮影目的に応じ最適な条件で露光を行うことができる撮像装置及び撮像方法の提供を目的とする。
【0008】
また、1枚の写真を撮るだけで、被写体への蛍光灯の反射光の写り込みを軽減することができる撮像装置及び撮像方法の提供を目的とする。
【0009】
さらに、被写体を連写するときには、各露光開始タイミングを揃えることができ、周期的に明るさが変化する環境下にあっても、明るさのばらつきを防ぐことができる撮像装置及び撮像方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る撮像装置は、上記課題を解決するために、信号処理手段が撮像素子にて撮像された被写体の映像信号に信号処理を施すと共に露光制御信号を生成し、光電変換素子が周期的に明るさが変化する環境下にあって明るさを示す光量を検出し、タイミング生成手段が光電変換素子にて検出した上記光量が予め設定された所定の値になると上記信号処理手段から上記露光制御信号を受け取り、露光を開始するタイミング信号を生成して上記撮像素子に供給する。
【0011】
また、本発明に係る撮像方法は、上記課題を解決するために、信号処理工程が撮像素子にて撮像された被写体の映像信号に信号処理を施すと共に露光制御信号を生成し、光電変換工程が周期的に明るさが変化する環境下にあって明るさを示す光量を検出し、タイミング生成工程が光電変換工程にて検出した上記光量が予め設定された所定の値になると上記信号処理工程から上記露光制御信号を受け取り、露光を開始するタイミング信号を生成して上記撮像素子に供給する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、1枚の写真を撮るだけで、被写体への蛍光灯の反射光の写り込みを軽減することが出来る。例えば、室内の蛍光灯下で、白い皿の上の料理を撮影するとき、蛍光灯がお皿に反射していても、撮像した画像への写り込みを最小限にすることができる。 また1枚撮影のため、画角を合わせる必要がなく、2枚撮影する上記特許文献1の図1にあるメモリのうち1つと画像合成プロセッサは不要となるため、コストダウンにもつながる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。この実施の形態は、図1に示すように、例えばCCDイメージセンサ2を用いて被写体を撮影するデジタルスチルカメラであって、CCDイメージセンサ2にて撮像された被写体の映像信号に信号処理を施すと共に露光制御信号を生成する信号処理回路4と、周期的に明るさが変化する環境下にあって明るさを示す光量を検出する光電変換素子(明るさセンサー)17と、光電変換素子17にて検出した上記光量が予め設定された所定の値になると信号処理回路4から上記露光制御信号(CCD−FD)を受け取り、露光を開始するタイミング信号を生成してCCDイメージセンサ2に供給するタイミング生成器8とを備える。
【0014】
また、光電変換素子17にて検出した上記光量が予め設定された所定の値になったか否かを判定するマイクロコンピュータ9をさらに備え、マイクロコンピュータ9は上記光量が予め設定された所定の値になったと判断すると信号処理回路4を露光モードに設定し、上記露光制御信号(CCD−FD)を生成させる。
【0015】
また、マイクロコンピュータ9は、上記光量が最も小さくなったことを検出すると、上記信号処理回路4を露光モードに設定し、信号処理回路4に上記露光制御信号を生成させる。
【0016】
また、タイミング生成器8は、信号処理回路4から供給された上記露光制御信号の開始タイミングから終了タイミングまでの時間を露光時間としたタイミング信号を生成してCCDイメージセンサ2に供給する。
【0017】
また、デジタルカメラは、被写体を連写するとき、マイクロコンピュータ9により1枚目の露光開始点が周期的に明るさが変化する環境下にあって周期上のどこの位相にあるかを検出し、メモリに記憶し、2枚目の撮影以降は、一枚目の撮影時にメモリに記憶した位相と同じ位相になるまで待ってから露光を開始するように、信号処理回路4及びタイミング生成器8を制御する。
【0018】
以下、デジタルカメラの構成及び動作について詳細に説明する。図1に示すように、本発明に適用されるデジタルスチルカメラは、光学系のレンズ(シャッター)1と、レンズ1を通して焦点が合わせられた被写体を撮像しアナログの撮像信号を生成する撮像素子であるCCDイメージセンサ2と、CCDイメージセンサ2からのアナログの撮像信号をデジタルのデータに変換するA/D変換器3と、A/D変換器3からのデジタルデータに対して圧縮又は伸張処理を行う信号処理回路4と、信号処理回路4によって信号処理されたデジタル画像データをメモリバス5を通して受け取り記憶するメモリ6と、レンズ1のフォーカス調整や絞り調整及びズーム駆動を行うレンズ駆動装置7、撮像タイミングを生成してCCDイメージセンサ2に供給するタイミング発生器(Timing Generator:TG)8と、接続される各部を制御するマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)9と、マイコン9の設定データを記憶するEEPROM18と、信号処理回路4によって信号処理された撮像画像を表示する液晶パネル10と、ユーザによる操作及び入力が可能な操作スイッチ11と、所定のスロットに装着されるリムーバブルなメモリカード12をインターフェースするメモリカードI/F13と、ホストバス14によってマイコン9に接続されるプログラムフラッシュメモリー15及び内蔵メモリ16と、撮像対象の明るさを検出する光電変換素子のような明るさセンサー17とを備える。マイコン9と信号処理回路4は、ICブロック20を構成している。
【0019】
CCDイメージセンサ2は撮像素子であり、これによりレンズを通過した光を電気信号に変換する。レンズ駆動装置7は、マイコン9によって制御され、レンズ1のフォーカス位置、絞り開閉、ズーム位置に対して可動部を駆動する。
【0020】
タイミング発生器8は、マイコン9によって制御され、CCDイメージセンサ2のデータ読み出し方式、露光時間、タイミングを駆動する。また、タイミング発生器8は、明るさセンサー17が検出した明るさからマイコン9が蛍光灯の光量が最小、最大、或いは連続して一定値のときであると判断したときにシャッターを切る。
【0021】
A/D変換器3は、CCDイメージセンサ2からのアナログ信号をサンプルホールドし、デジタルデータに変換する。
【0022】
信号処理回路4は、マイコン9により制御され、A/D変換器3からのデジタルデータを静止画のJPEGデータなどに変換したり、静止画データを液晶パネル10に出力したりする。EEPROM18はマイコン9によってデータの書き込み及び読み出しが制御され、カメラパターンやユーザ情報など各種データを記憶しておく。このEEPROM18は、プログラム用フラッシュメモリ15、内蔵メモリ16などを代用してもよい。
【0023】
また、信号処理回路4には、メモリ6を読み書きするためのメモリコントローラブロックがあり、マイコン制御により、メモリ6から画像データやメニューデータを読み出し、データを合成(加算)して液晶パネル10などに表示することができる。
【0024】
明るさセンサー17はマイコン9のA/D入力ポート19に接続される。明るさセンサー17は、光電変換素子からなり、光の明るさを電圧に変換して出力する。
【0025】
マイコン9はこの出力をA/D変換することにより、デジタルデータに変換し、被写体の明るさを判別する。
【0026】
本発明の特徴は、蛍光灯のフリッカを利用し、カメラ内に設けられた、光を受光する明るさセンサー17で、蛍光灯の光量が最小と判断した期間にシャッターを切ることで、蛍光灯の反射の写り込みを軽減するというものである。
【0027】
次に、明るさセンサー17による光量の検出方法について図2を参照して説明する。明るさセンサー17はマイコン9のA/Dポート19に接続される。明るさセンサー17は光の明るさを電圧に変換するデバイスで、明るさに比例して電圧が大きくなる。図2の横軸は明るさを示し、縦軸は明るさセンサー17が出力する電圧を示す。このような特性を持つ明るさセンサー17で、蛍光灯下の被写体を見ると、図3のようになる。図3の横軸は時間を示し、縦軸は明るさセンサー17が出力する電圧である。商用電源は日本にあって周波数50Hz(関西)又は60Hz(関東)で各家庭に提供されている。よって、例えば室内の蛍光灯は、50Hz又は60Hzに相当する周期にてフリッカを繰り返している。
【0028】
マイコン9は明るさセンサー17が出力し、A/D入力ポート19で受信した図3に示した出力電圧波形を、図4に示すように一定間隔時間tでA/D変換して、明るさをデジタルデータに変換する。図4にあって横軸は時間を示し、縦軸は0〜255という8ビット、256ステップで示す明るさである。
【0029】
マイコン9は、明るさセンサー17からA/D入力ポート19を介して受信した出力電圧波形から、操作スイッチ11を用いたユーザによる所望の設定に基づいて露光の開始点を判断する。例えば、被写体への蛍光灯の反射光の写り込みを軽減することを目的とした操作をユーザが行ったのであれば、明るさの最小値を検出し、そのタイミングで露光を開始する。もちろん、撮影条件によっては、周期的に明るさが変化する環境下にあって、被写体の撮影目的に応じた最適な条件で露光を行う。
【0030】
図5は、マイコン9が、例えば、明るさの最小値を検出し、露光を開始すると判断する処理手順を示すフローチャートである。先ず、撮影者がシャッターを押すと、ステップS1にてマイコン9がシャッター操作を検出し、ステップS2にて明るさセンサー17が検出した明るさを示すアナログ信号をデジタルデータにA/D変換する。ステップS3にてマイコン9は、一定間隔で、最新3回分のデータをメモリ6に記憶する。そして、マイコン9は、ステップS4にて3つの値を比較し、値1>値2<値3となったか否かを判定する。マイコン9は、値1>値2<値3となったと判定する(Yes)と、ステップS4に進み、信号処理回路4及びTG8を制御し、CCDイメージセンサ2に対する露光を開始する。
【0031】
図6は、上記ステップS5の露光開始からのキャプチャー時の露光動作を説明するための要部の構成図である。また、図7は、CCD−FDの波形を示しており、露光開始と露光終了を説明するための図である。
【0032】
図6にあってTG8は、マイコン9からのシリアル通信により制御される。まず動作モードに設定され、それに従い、CCDイメージセンサ2を駆動する。露光モードでは、信号処理回路4から制御信号CCD_FDを受け取り、CCD_FDの立ち下りを基準に露光を開始し、立ち上がり基準で露光を終了させる。すなわち、CCD_FDの立ち下りタイミングで露光開始タイミングを決定する。また、CCD_FDの長さで露光時間を決定する。このCCD_FDは、上述したようにマイコン9により制御され、信号処理回路4がTG8に出力する。図7のタイミングチャートで示すと、CCD_FDの立ち下りTsを基準に露光を開始し、立ち上がりTe基準で1/30(sec)の露光を終了する。
【0033】
次に、シャッタースイッチが撮影者によって操作されてからキャプチャー動作が行われるまでの動作について詳細に説明する。先ず、比較のために従来の例について図8を参照して説明する。従来の例が適用されるデジタルスチルカメラのハードウェアは、図1に示した構成から明るさセンサー17を削除した構成である。ここでは、図1及び図6に示した符号を用いる。
【0034】
まず、撮影者がシャッターを押し(a)、マイコン9がシャッター操作を検出する。次に、マイコン9は、信号処理回路4をコントロールし、CCD−FD(d)出力モードを(c)に示すVDに対して非同期モードに設定する(1)。具体的には、マイコンのレジスタ設定を(e)のように設定し、VD非同期モードにする。次に、マイコン9は、TG8に対して、シリアル通信で露光モードを設定する((g)に示す(2)のように)。すると、次のCCD−FD立下りタイミングTsから露光が開始される。そして、マイコン9は、信号処理回路4に対して、CCD−FD出力モードを露光モードに設定する(h)。露光モードが終わると、次のFDの立下りを基準にして露光を開始する。
【0035】
このように従来のキャプチャー処理では、露光タイミング制御をしていない。単に、最も早く露光ができるようにマイコン9が処理している。
【0036】
次に、図9を参照して本発明における、シャッタースイッチが撮影者によって操作されてからキャプチャー動作が行われるまでの動作について説明する。先ず、撮影者がシャッターを押し(a)、マイコン9がシャッター操作を検出する。次に、マイコン9は、信号処理回路4をコントロールし、CCD−FD(d)出力モードを(c)に示すVDに対して非同期モードに設定する(1)。具体的には、マイコン9により信号処理ICのレジスタ設定を(e)のように設定し、VD非同期モードにする。次に、マイコン9は、TG8に対して、シリアル通信で露光モードを設定する((g)に示す(2)のように)。
【0037】
次に、本発明にあっては、明るさセンサー17が検出した明るさを示すアナログ信号をデジタルデータにA/D変換する。マイコン9は、一定間隔で、最新3回分のデータをメモリ6に記憶する。マイコン9は、3つの値を比較し、値1>値2<値3となったか否かを判断する。つまり、マイコン9は、蛍光灯のフリッカを明るさセンサー17の検出信号より判断し、明るさが最も暗くなるところまで待つ。そして、最も暗くなったタイミングを検出し、信号処理回路4に対して、そのレジスタ設定によりCCD−FD出力モードを露光モードに設定する((e)の(4))。マイコン9の信号処理回路4に対する露光モード設定が終わると、次のCCD−FDの立下りを基準にして露光を開始する。
【0038】
本実施の形態では、シャッタースイッチの検出をした後、明るさセンサー17のA/D値が小さくなるタイミングを待って露光を開始すると説明した。具体的には、図10、図11に示すような露光の設定方法がある。図10は、シャッタースイッチ(a)を検出してから明るさセンサーのA/D値(b)が最小となったポイントが、露光時間の中間点となるように設定する方法である。つまり、露光開始タイミングTsから露光終了タイミングTeまでの露光時間の中間点が上記明るさセンサーのA/D値の最小ポイントになるように露光開始タイミングTsを制御する方法である。
【0039】
また、図11は、シャッタースイッチ(a)を検出してから明るさセンサーのA/D値(b)が最小となったポイントを含むように露光時間を設定する方法である。つまり、露光開始タイミングTsから露光終了タイミングTeまでの露光時間がA/D値の最小ポイントを含むように、露光開始タイミングTsを制御する方法である。
【0040】
さらに、図12に示すように、露光開始ポイントTsをA/D値が予め決められたしきい値thより低くなったときに設定してもよい。
【0041】
このように本実施の形態では、従来のキャプチャー処理では何もしなかった露光タイミング制御を、明るさセンサー17を用いた蛍光灯のフリッカ検出から、最も暗いタイミングを検出し、そのタイミングで露光タイミングを制御している。このため、被写体への蛍光灯の反射光の写り込みを軽減することができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態にのみ適用されるわけではない。例えば、デジタルスチルカメラにあって、被写体を連写する場合にも適用できる。従来、デジタルスチルカメラにあって、被写体を連写する場合には、各露光タイミングを合わせることなく露光を行っていた。このため、被写体を連写した場合には、蛍光灯のフリッカの影響により明るさにばらつきが生じ、露光量が異なることがあった。例えば同じ被写体を3枚連写したが、1枚目、2枚目、3枚目とも明るさが異なっていたということがあった。
【0043】
そこで、本発明の技術を用いる。図13は、蛍光灯のフリッカによる影響を軽減することのできる連写のタイミングを説明するチャートである。まず、撮影者がシャッターを押し(a)、マイコン9がシャッター操作を検出する。同時に、マイコン9は信号処理回路4を制御しCCD−FDを立ち上げ、その立下りタイミングにて露光を開始する。このとき、マイコン9は、1枚目の露光開始点が蛍光灯のフリッカ周期でどこの位相にあるかを検出し、メモリ6に記憶する。2枚目の撮影以降は、一枚目の撮影時に記憶したフリッカ位相と同じ位相になるまで待ってから露光を開始する。つまり、露光量は同じになる。したがって、各露光開始タイミングを揃えることができ、蛍光灯のフリッカによる明るさのばらつきを防ぐことができる。
【0044】
また、上記被写体を連写するとき、周期的に明るさが変化する環境下にあってマイコン9は予め1枚目を撮影する露光開始点の位相を決めておき、2枚目以降も同位相時に撮影するようにしてもよい。予め1枚目を撮影する露光開始点の位相は、ユーザの好みに応じて設定できるようにし、2枚目以降は同じ位相になったときに露光を開始する。このようにすればユーザの意図した露光量で連写することができる。つまり、同じ露光量で連写が可能となり、被写体を連写するときには、各露光開始タイミングを揃えることができ、周期的に明るさが変化する環境下にあっても、明るさのばらつきを防ぐことができる。
【0045】
なお、図1に示したデジタルスチルカメラでは、光電変換素子として明るさセンサー17を用いているが、明るさセンサー17の代わりにCCDイメージセンサ2そのものを光電変換素子として利用してもよい。その際には、CCDイメージセンサ2の出力をA/D変換器3によりA/D変換し、信号処理回路4で信号処理変換したY(輝度)データを積分して使用する。積分回路は信号処理回路内にあり、画面内の全画素を加算する回路である。一般に、AE検波などにも使用される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】デジタルスチルカメラのハードウェアブロック図である。
【図2】明るさセンサーによる明るさと電圧特性を示す図である。
【図3】図2に示す特性を持つ明るさセンサーにて蛍光灯下の被写体を見たときの特性図である。
【図4】明るさセンサーの出力電圧波形を一定間隔時間でA/D変換したデジタルデータを示す特性図である。
【図5】マイコンが、明るさの最小値を検出し、露光を開始すると判断する処理手順を示すフローチャートである。
【図6】露光開始からのキャプチャー時の露光動作を説明するための要部の構成図である。
【図7】CCD−FDの波形を示しており、露光開始と露光終了を説明するための図である。
【図8】シャッタースイッチが撮影者によって操作されてからキャプチャー動作が行われるまでの従来の動作例を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】シャッタースイッチが撮影者によって操作されてからキャプチャー動作が行われるまでの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】明るさセンサーのA/D値が最小となったポイントが、露光時間の中間点となるように設定する方法を説明するタイミングチャートである。
【図11】明るさセンサーのA/D値が最小となったポイントを含むように露光時間を設定する方法を説明するためのタイミングチャートである。
【図12】露光開始ポイントをA/D値が予め決められたしきい値thより低くなったときに設定する方法を説明するためのタイミングチャートである。
【図13】蛍光灯のフリッカによる影響を軽減することのできる連写を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 レンズ、2 CCDイメージセンサ、3 A/D変換器、4 信号処理回路、6 メモリ、7 レンズ駆動装置、8 タイミング発生器、9 マイクロコンピュータ、11 操作スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を用いて被写体を撮影する撮像装置において、
上記撮像素子にて撮像された被写体の映像信号に信号処理を施すと共に露光制御信号を生成する信号処理手段と、
周期的に明るさが変化する環境下にあって明るさを示す光量を検出する光電変換素子と、
上記光電変換素子にて検出した上記光量が予め設定された所定の値になると上記信号処理手段から上記露光制御信号を受け取り、露光を開始するタイミング信号を生成して上記撮像素子に供給するタイミング生成手段と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
上記光電変換素子にて検出した上記光量が予め設定された所定の値になったか否かを判定する制御手段をさらに備え、
上記制御手段は上記光量が予め設定された所定の値になったと判断すると上記信号処理手段を露光モードに設定し、上記露光制御信号を生成させることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
上記制御手段は、上記光量が最も小さくなったことを検出すると、上記信号処理手段を露光モードに設定し、上記信号処理手段に上記露光制御信号を生成させることを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
上記タイミング生成手段は、上記信号処理手段から供給された上記露光制御信号の開始タイミングから終了タイミングまでの時間を露光時間としたタイミング信号を生成して上記撮像素子に供給することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項5】
上記被写体を連写するとき、周期的に明るさが変化する環境下にあって上記制御手段は予め1枚目を撮影する露光開始点の位相を決めておき、2枚目以降も同位相時に撮影することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項6】
上記被写体を連写するとき、露光開始点が周期的に明るさが変化する環境下にあって上記制御手段は1枚目の周期上のどこの位相にあるかを検出し、メモリに記憶し、2枚目の撮影以降は、一枚目の撮影時にメモリに記憶した位相と同じ位相になるまで待ってから露光を開始するように、上記信号処理手段及びタイミング生成手段を制御することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項7】
撮像素子を用いて被写体を撮影する撮像方法において、
上記撮像素子にて撮像された被写体の映像信号に信号処理を施すと共に露光制御信号を生成する信号処理工程と、
周期的に明るさが変化する環境下にあって明るさを示す光量を検出する光電変換工程と、
上記光電変換工程にて検出した上記光量が予め設定された所定の値になると上記信号処理工程から上記露光制御信号を受け取り、露光を開始するタイミング信号を生成して上記撮像素子に供給するタイミング生成工程と
を備えることを特徴とする撮像方法。
【請求項8】
上記光電変換工程にて検出した上記光量が予め設定された所定の値になったか否かを判定する制御工程をさらに備え、
上記制御工程は上記光量が予め設定された所定の値になったと判断すると上記信号処理工程を露光モードに設定し、上記露光制御信号を生成させることを特徴とする請求項7記載の撮像方法。
【請求項1】
撮像素子を用いて被写体を撮影する撮像装置において、
上記撮像素子にて撮像された被写体の映像信号に信号処理を施すと共に露光制御信号を生成する信号処理手段と、
周期的に明るさが変化する環境下にあって明るさを示す光量を検出する光電変換素子と、
上記光電変換素子にて検出した上記光量が予め設定された所定の値になると上記信号処理手段から上記露光制御信号を受け取り、露光を開始するタイミング信号を生成して上記撮像素子に供給するタイミング生成手段と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
上記光電変換素子にて検出した上記光量が予め設定された所定の値になったか否かを判定する制御手段をさらに備え、
上記制御手段は上記光量が予め設定された所定の値になったと判断すると上記信号処理手段を露光モードに設定し、上記露光制御信号を生成させることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
上記制御手段は、上記光量が最も小さくなったことを検出すると、上記信号処理手段を露光モードに設定し、上記信号処理手段に上記露光制御信号を生成させることを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
上記タイミング生成手段は、上記信号処理手段から供給された上記露光制御信号の開始タイミングから終了タイミングまでの時間を露光時間としたタイミング信号を生成して上記撮像素子に供給することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項5】
上記被写体を連写するとき、周期的に明るさが変化する環境下にあって上記制御手段は予め1枚目を撮影する露光開始点の位相を決めておき、2枚目以降も同位相時に撮影することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項6】
上記被写体を連写するとき、露光開始点が周期的に明るさが変化する環境下にあって上記制御手段は1枚目の周期上のどこの位相にあるかを検出し、メモリに記憶し、2枚目の撮影以降は、一枚目の撮影時にメモリに記憶した位相と同じ位相になるまで待ってから露光を開始するように、上記信号処理手段及びタイミング生成手段を制御することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項7】
撮像素子を用いて被写体を撮影する撮像方法において、
上記撮像素子にて撮像された被写体の映像信号に信号処理を施すと共に露光制御信号を生成する信号処理工程と、
周期的に明るさが変化する環境下にあって明るさを示す光量を検出する光電変換工程と、
上記光電変換工程にて検出した上記光量が予め設定された所定の値になると上記信号処理工程から上記露光制御信号を受け取り、露光を開始するタイミング信号を生成して上記撮像素子に供給するタイミング生成工程と
を備えることを特徴とする撮像方法。
【請求項8】
上記光電変換工程にて検出した上記光量が予め設定された所定の値になったか否かを判定する制御工程をさらに備え、
上記制御工程は上記光量が予め設定された所定の値になったと判断すると上記信号処理工程を露光モードに設定し、上記露光制御信号を生成させることを特徴とする請求項7記載の撮像方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−336470(P2007−336470A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169069(P2006−169069)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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