撮像装置及び撮像方法
【課題】フラッシュ撮影時に顔が適正露出になるよう測光値の周辺減光補正を行う。
【解決手段】フラッシュ撮影時の本発光前に予備発光を行う。測光部32は、被写体の反射光を測光して測光信号を送出する。顔検出部36は、測光信号に基づいて顔画像領域を検出する。測光値算出部38は、予備発光時に測光手段から得られる予備発光測光信号を用いて予備発光前に顔検出部36が検出した顔画像領域の測光値と、測光領域の予備発光測光値とをそれぞれ算出する。制御部41は、顔画像領域の測光値から定常光成分を除去した第1測光値と、測光領域の測光値から定常光成分を除去した第2測光値とを算出し、算出した第1及び第2測光値をレンズ情報に基づいて周辺減光補正し、補正した第1及び第2測光値とに基づいて本発光時の発光量を演算する。
【解決手段】フラッシュ撮影時の本発光前に予備発光を行う。測光部32は、被写体の反射光を測光して測光信号を送出する。顔検出部36は、測光信号に基づいて顔画像領域を検出する。測光値算出部38は、予備発光時に測光手段から得られる予備発光測光信号を用いて予備発光前に顔検出部36が検出した顔画像領域の測光値と、測光領域の予備発光測光値とをそれぞれ算出する。制御部41は、顔画像領域の測光値から定常光成分を除去した第1測光値と、測光領域の測光値から定常光成分を除去した第2測光値とを算出し、算出した第1及び第2測光値をレンズ情報に基づいて周辺減光補正し、補正した第1及び第2測光値とに基づいて本発光時の発光量を演算する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フラッシュ撮影の予備発光時に撮像した画像を基に、画像内に人物の顔領域が存在するかどうかを検出し、次に、検出された顔領域に応じて調光領域を決定し、この決定した調光領域による予備発光時の測光値に応じて本発光量を演算する撮像装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−184508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、TTL測光であるため、撮影レンズのレンズ特性、例えば画像の光軸中心部に対して周辺部の光量が落ちる周辺減光や、撮影倍率や撮影距離による光量の変化等の特性によって、顔領域の位置に応じて測光値が変化し、これによりフラッシュ光の制御を正しく行えないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明を例示する撮像装置一態様は、被写体の反射光を測光して測光信号を送出する測光手段と、前記測光信号に基づいて主要被写体領域を検出する主要被写体検出手段と、前記予備発光時に前記測光手段から得られる予備発光測光信号を用いて、前記主要被写体検出手段が検出した主要被写体領域の測光値から定常光成分を除去した第1測光値を取得する測光値取得手段と、前記測光手段に前記被写体の反射光を導く光学系の特性の情報に基づいて前記第1測光値に対して周辺減光補正をする測光値補正手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、主要被写体領域の位置に応じて測光値が変化することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態である一眼レフ型電子カメラの概略を示すブロック図である。
【図2】制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】一眼レフ型電子カメラの動画撮影モードの動作手順を説明するフローチャートである。
【図4】図3で説明した動作手順の続きを説明するフローチャートである。
【図5】一眼レフ型電子カメラの動作手順を示すタイミングチャートである。
【図6】測光面における像高に対する周辺減光の形状を説明するための説明図である。
【図7】被写体光を測光センサの測光面に導くための光学系を説明する説明図である。
【図8】測光センサの測光面にマトリックス状に配列した画素を示す説明図である。
【図9】予備発光時に分割測光をする各測光領域を示す説明図である。
【図10】本発光量を算出する時に用いる顔領域反射光量測光値(測光値B)と全画面反射光量測光値(測光値A)との重み付け係数を顔サイズに応じて決めるためのグラフである。
【図11】測光信号の全画面をスキャンして顔画像領域を検出した顔検出枠を仮想的に説明する説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一態様を例示する一眼レフ型電子カメラ(撮像装置)10は、交換可能な撮影レンズ11、絞り12、メインミラー13、サブミラー14、焦点板15、コンデンサレンズ16、ペンタプリズム18、接眼レンズ19、フォーカルプレーンシャッタ(以下「シャッタ」と称す)20、レンズ駆動機構22、絞り駆動機構23、ミラー駆動機構24、測距部25、シャッタ駆動機構26、撮像部21、撮像用のA/D27、撮像用のバッファメモリ28,撮影用の画像処理部29、記録部30、操作部31、測光部32、情報取得部33、測光用のA/D33、測光用のバッファメモリ34、測光用の画像処理部35、顔検出部36、メモリ37,測光値算出部38、フラッシュ制御部39、フラッシュ発光部40、及びROM46等を備えており、これらは制御部41により統括的に制御されている。なお、制御部41、撮影用の画像処理部29、記録部30、測光用の画像処理部35、顔検出部36、メモリ37、及び測光値算出部38は、バス42に接続されている。
【0009】
制御部41には、ROM46、及びRAM47が接続されており、ROM47には、制御部41が種々の制御を行う際に参照される制御プログラム等が格納されている。制御部41は、ROM46に格納されている制御プログラムに従い、RAM47を一時記憶作業領域として利用して各部(回路)の制御を行い、電子カメラ10の各部(回路)の機能を作動させる。
【0010】
また、制御部41は、レンズ交換時、又は交換してからシャッタレリーズが行われる迄の間で、情報取得部33を駆動して、撮影レンズ(交換レンズ)11側から光学情報(光学プロファイル)を取得する。この光学情報は、撮影レンズ11が持つ歪曲や収差、周辺減光等の光学特性を補正するための情報になっており、これら情報は交換レンズ毎に設けられているレンズROM48に予め記憶されている。また、レリーズボタンの半押し操作に応答して取得する撮影距離や、ズーム操作に応答して取得する変倍位置(撮影倍率)の情報を各々取得し、これらの取得した情報をRAM47に更新して記憶しておく。
【0011】
操作部31は、電源スイッチ、レリーズボタン、ズーム操作部、モード選択操作部等で構成される。モード選択操作部は、通常撮影モードとフラッシュ撮影モードとのいずれか一方を選択するためのものである。フラッシュ撮影モードでは、本発光前に予備発光を行う。
【0012】
フラッシュ制御部39は、予備発光と、予備発光の結果に基づく本発光とを制御する。フラッシュ発光部40、及びフラッシュ制御部39は、自然光等の光が足りない場合に光量を補う内蔵フラッシュを構成する。この内蔵フラッシュは、フラッシュの発光量を調節することができる。フラッシュ撮影では、制御部41が予備発光時に得られる被写体の反射光量に基づいて本発光量を演算し、フラッシュ制御部39に本発光量の情報を含むフラッシュ発光信号を送信し、フラッシュ制御部39がその発光量でフラッシュ発光部40を発光させて被写体を明るくする。
【0013】
ミラー駆動機構24は、撮影レンズ11を通る被写体光を撮像部21の撮像面に結像させるミラーアップ位置と、ファインダ光路上のうちの前記撮像面と共役な焦点面に配置されている焦点板15に結像させるミラーダウン位置との間でメインミラー13を移動させる。
【0014】
レンズ駆動機構22は、撮影レンズ11を光軸方向に移動して被写体にピントを合わせる。メインミラー13は、一部がハーフミラーになっている。サブミラー14は、ハーフミラーから入射する被写体光束を反射して測距部25に導く。測距部25は、入射する被写体光束から位相差信号を検出し、位相差信号を被写体距離に対するデフォーカス量として制御部41に送る。制御部41は、デフォーカス量に基づいてレンズ駆動機構22を制御して撮影レンズ11を合焦位置に移動する。なお、サブミラー14は、メインミラー13のミラーアップ位置への移動に連動して光軸上から退避する。
【0015】
撮像部21は、記録用画像を撮像するための撮像センサ(CMOSセンサやCCDセンサ)である。周知のように、撮像センサには、撮像面の前にベイヤ配列の色フィルタ(単板式の色フィルタ)が設けられている。
【0016】
撮像部21は、被写体像を撮像して画像信号を撮像用のA/D27に送出する。撮像用のA/D27は、画像信号をデジタルの画像信号に変換して撮像用のバッファメモリ28に一時的に記憶させる。バッファメモリ28から読み出された画像信号は、撮像用の画像処理部29に送られる。画像処理部29は、画像信号に対してホワイトバランス、RGB画素補間、及びYUV変換等の処理を行って記録用画像データを生成して記録部30に送出する。記録部30は、記録用画像データを記録する。
【0017】
測光部32は、結像レンズ43やプリズム44等で構成された結像光学系、及び測光センサ45で構成されており、これらはペンタプリズム18に配されている。結像光学系は、焦点板15に結像する被写体像を測光センサ45の測光面に再結像させる。撮影窓57、撮影レンズ11を順に通る被写体像は、ミラーダウン位置にセットされているメインミラー13で反射された後に、焦点板15に結像する。焦点板15に結像する被写体像は、コンデンサレンズ16を介してペンタプリズム18を透過して正立像に変換され、接眼レンズ19により拡大してファインダ接眼窓58から観察される。また、焦点板15に結像する被写体像は、コンデンサレンズ16、ペンタプリズム18、及び結像光学系43,44を介して測光センサ45の測光面に結像する。
【0018】
測光センサ45から得られる測光信号は、測光用のA/D33でデジタル変換された後に、測光用のバッファメモリ34に一時的に記憶される。測光用のバッファメモリ34から読み出された測光信号は、測光用の画像処理部35でRGB毎の測光信号に補間され、その後RGB毎の測光信号から輝度信号が生成される。この輝度信号は、メモリ37に一時的に記憶される。測光部32の結像光学系43,44、及びコンデンサレンズ16等の各光学部材が持つ歪曲や収差、周辺減光等の光学特性を補正するための光学情報(光学プロファイル)は、ROM46に予め格納されており、制御部41で測光値の減光周辺補正等を行う時に用いられる。
【0019】
測光センサ45には、たとえばCMOSやCCDにより構成される光電変換素子(画素)が二次元状に配置されている。測光センサ45は、制御部41の制御に応じて駆動する。測光センサ45には、測光面の前にベイヤ配列のカラーフィルタ(単板式のカラーフィルタ)が設けられている。測光センサ45から出力される測光信号は、測光用のA/D33によりデジタルの測光信号に変換され、その後バッファメモリ34に一時的に記憶される。バッファメモリ34から読み出された測光信号は、測光用の画像処理部35に送られる。測光センサ45から出力される測光信号は、測光面のうち、撮像領域と略同じ、又はその周辺を除いた小サイズの測光領域の画素から得られる測光信号が利用される。測光領域の画素から得られる測光信号は、測光用のA/D33によりデジタルの測光信号に変換され、その後バッファメモリ34に一時的に記憶される。バッファメモリ34から読み出された測光信号は、測光用の画像処理部35に送られる。
【0020】
測光用の画像処理部35は、ベイヤ配列の測光信号をRGB毎の測光信号に画素補間し、また、RGB毎の測光信号から輝度信号(Y)を抽出する等の処理を施す。顔検出部36は、前述した輝度信号(Y)に基づいて人物の顔画像領域(主要被写体領域)を検出する。なお、輝度信号の代わりに、RGBの3色成分のうち1色成分、例えばG色成分の測光信号に基づいて顔検出を行ってもよい。この場合のカラーフィルタとしては、マトリックスを構成する各列、及び各行にそれぞれ2個のGフィルタが含まれているものが好適である。
【0021】
メモリ37には、測光用の画像処理部35から得られるRGB毎の測光信号や輝度信号、顔検出部36で検出される顔画像領域の位置や大きさ(サイズ)等の情報が更新して記憶される。測光値算出部38は、メモリ37に記憶する輝度信号に基づいて測光値を算出する。
【0022】
制御部41は、フラッシュ撮影モードの場合にレリーズボタンが全押し操作されると、フラッシュ制御部39に対して、予備発光を行わせるよう制御する。制御部41は、フラッシュ発光部40の予備発光に合わせて測光センサ45の蓄積動作を行わせる。該蓄積動作により得られた信号は、前述したように測光用のA/D33に入力される。
【0023】
制御部41は、TTL調光演算結果に基づいてフラッシュ制御部39に対して本発光を制御する。以下、予備発光時に測光センサ45で行われる電荷蓄積動作を予備発光測光と呼ぶ。さらに、非発光時に測光センサ45で行われる電荷蓄積動作を定常光測光と呼ぶ。
【0024】
制御部41は、図2に示すように、算出部50、判定部51、本発光量演算部52、本発光量補正部53、及び再予備発光処理部54を備えている。算出部50は、被写体反射光量に対応する本発光量を算出するために、予備発光測光値から定常光の光量、すなわち被写体の定常光成分を表す定常光測光値を除去(減算)する演算(減算処理)を行う。減算処理後に得られる測光値を反射光量測光値と呼ぶ。
【0025】
測光値補正部56は、ROM46やRAM47から読み出した光学情報や、撮影レンズ11から取得する撮影距離、及び撮影倍率等の情報に基づいて、周辺減光特性がフラットになるように反射光量測光値を補正する。この減光周辺補正は、被写体光を測光センサ45の測光面に導くための光学系、すなわち、撮影レンズ11、コンデンサレンズ16、及び結像光学系43,44における周辺減光や、撮影倍率や撮影距離に伴う減光、及び光学系がもつ収差や歪曲等を加味した補正である。
【0026】
判定部51は、測光センサ45による測光結果、予備発光測光値が所定の条件を満たしているか否かを判定する。予備発光測光値が所定のしきい値を超える場合、予備発光時の発光量が多いと判断し、再予備発光処理部54に再発光信号を送る。再予備発光処理部54は、発光量を下げて再び予備発光を実行するようフラッシュ制御部39を制御する。逆に、測光値が閾値未満である場合、判定部51は、本発光量演算部52を駆動する。本発光量演算部52は、反射光量測光値に基づいてフラッシュの本発光時の発光量を演算する。
【0027】
ところで、予備発光は、開放絞りで行っている。このため、前述した本発光量には、撮影時の絞り値と異なる可能性がある。本発光量補正部53は、本発光量を撮影時の絞り値やISO感度に基づいて補正する。そして、本発光量補正部53は、補正した本発光量に基づいて本発光を実行するようフラッシュ制御部39を制御する。なお、絞りを適正露出の絞り値に駆動して予備発光を行ってもよい。
【0028】
次に上記構成の作用を、図面を参照しながら説明する。図3及び図4は一眼レフ型電子カメラのフラッシュ撮影モードの動作手順を説明するフローチャートである。まず、電源ボタンをオン(S−1)した後に、フラッシュ撮影モードを選択する(S−2)。ここで、シャッタ20が閉じ位置にセットされているか、また、メインミラー13がミラーダウン位置にセットされているかを順に確認する。どちらもセットされていない場合には閉じ位置、及びミラーダウン位置にそれぞれ強制的にセットする。
【0029】
図5は一眼レフ型電子カメラの各部の駆動タイミングを説明するタイミングチャートである。フラッシュ撮影モードが選択されると、制御部41は、図5に示す時間t1の時に、測光センサ45を駆動する。レリーズボタン全押し以前、すなわちユーザにより撮影指示操作が行われる前は、測光センサ45は、定常光測光(露出用定常光測光)を所定周期毎に行う(S−3)。この定常光測光により得られる測光値を定常光測光値と呼ぶ。制御部41は、定常光測光値に基づいて、定常光露出に関する適正露出値BVansを公知の測光方式(マルチパターン測光方式等)を用いて算出して、絞り値やシャッタ速度を決定する。定常光測光値及び定常光露出値BVansは、所定周期毎に更新され、メモリ37に記憶される。
【0030】
輝度信号は、メモリ37から読み出されて顔検出部36に送られる。顔検出部36は、時間t2の時に、輝度信号に基づいて顔画像領域の位置、及びサイズを検出する。検出された顔画像領域の位置、及びサイズは、メモリ37に記憶される。以後、シャッタレリーズが行われる迄の間で、前述した測光から顔検出・記憶までの一連のサイクルは、所定周期で繰り返し行われる(S−3)。したがってメモリ37には、最近の輝度信号、及び顔画像領域の位置・サイズが常に記憶されている。
【0031】
顔検出後には、制御部41は、情報取得部33を駆動してレンズROM48から光学情報を取得してRAM48に記憶する。また、制御部41は、ROM47からコンデンサレンズ16、及び結像光学系43,44の光学情報をそれぞれ取得してRAM48に記憶する。そして、制御部41は、RAM48に記憶されている光学情報、撮影距離、及び撮影倍率等を読み出して、測光面の画面全体を構成する各画素の周辺減光補正値を算出する。
【0032】
ここで、周辺減光について図6を用いて説明する。同図(a)は、周辺減光がある場合の測光センサ45の測光面に入射する光量の様子を描いたものである。周辺減光は、撮影レンズ11、コンデンサレンズ16、結像光学系43,44等の光学特性により、結像レンズ43の光軸中心L0に対して同心円状に画面全体の周辺部の光量が落ちて暗くなる現象である。なお、同図では、分かり易いように、光量の変化を同心円で階段状に変化させて記載しているが、実際には輝度の階調の範囲内で滑らかに変化する。
【0033】
図6(b)のグラフは、測光センサ45の測光面を対角線(二点鎖線A−A’)で切断した時の出力レベルの変化(周辺減光特性59)を示したグラフである。同図(b)のグラフにおいて、横軸は像高、縦軸は出力レベルを示す。ここでは、測光センサ45の測光面の光軸中心L0での像高rを「0」mm、出力レベルを「1.0」として、光軸中心L0から同心円状に広がる等距離の位置(像高)毎の出力レベルの変化を描くと周辺減光特性59のようになり、測光面の周辺部になるほど出力レベルが低下していく。
【0034】
また、周辺減光の形状は、例えば図7に示すように、測光センサ45の測光面に入射する光の入射角、撮影レンズ11、コンデンサレンズ16、及び結像光学系43,44の各直径、絞り12の絞り径(本実施形態では開放絞り)S、測光センサ45に対して撮影レンズ11、絞り12、コンデンサレンズ16、及び結像光学系43、44までの各距離等により異なる。また、撮影レンズ11がズームレンズの場合はズーム位置に応じて周辺減光の形状が変化する。制御部41は、このような光学・撮影情報に基づいて周辺減光の形状を算出し、この周辺減光の形状に基づいて詳しくは後述する顔領域反射光量測光値(本発明の第1測光値)を補正するための周辺減光補正値を求める。
【0035】
具体的には、制御部41は、前述したような光学・撮影情報に基づき、例えば像高毎の周辺光量補正値を求める。そして、像高毎の周辺光量補正値から画素毎の周辺光量補正値を補間して求める。画素毎の周辺光量補正値は画面全体の画素に対する補正値であるので、画面全体の画素毎の補正値から、直前に検出した顔画像領域における画素毎の周辺光量補正値を抽出し、顔画像領域における画素毎の周辺光量補正値を平均した平均値(顔領域減光補正値)を算出し、この顔領域減光補正値をRAM47に記憶しておく。
【0036】
制御部41は、レリーズボタンの半押し操作を監視し(S−4)、半押し操作が行われることに応答して、撮影準備動作を実行する(S−5)。撮影準備動作は、測距部25を駆動し、測距部25から得られるデフォーカス量に基づいてレンズ駆動機構22を制御して撮影レンズ11を合焦位置に移動する。
【0037】
制御部41は、半押し操作の状態からそのまま全押し操作(撮影指示操作)が行われることを監視し(S−6)し、時刻t3にてユーザにより撮影指示操作が行われると、デジタルカメラ10の制御部41は、フラッシュ制御部39に対して予備発光を指示する予備発光指示信号を出力する(S−7)。予備発光指示信号を入力すると、フラッシュ制御部39は、時刻t4で所定の予備発光量にてフラッシュ発光部40を予備発光させる。その結果、図5に示すように、フラッシュ発光部40は、蓄積時間Δtで予備発光を行う。
【0038】
フラッシュ制御部39により予備発光指示信号が出力されると、制御部41は、測光センサ45に対して、フラッシュ発光部40が発光している間、期間Δtで電荷を蓄積させる。この場合、測光センサ45は、フラッシュ発光部40から発光され、被写体によって反射され、撮影レンズ11を介して入射された光の量(被写体反射光量)と被写体の周囲光(定常光)の光量とに応じた電荷信号をA/D33へ出力する。測光値算出部38は、予備発光測光結果から、予備発光測光値を算出する(S−8)。
【0039】
予備発光測光が行われた直後、すなわち予備発光測光により蓄積された電荷の掃出しが終了した後、時刻t5にて、制御部41は、測光センサ45に対して、期間Δtで電荷を蓄積させる。換言すると、測光センサ45は、予備発光測光に連続して期間Δtの間電荷蓄積を行う(S−9)。期間Δtは、予備発光測光の時間と同一である。この場合、測光センサ45は、予備発光していない非発光時に撮影レンズ11を介して入射された光の量、すなわち被写体の周囲光である定常光の光量に応じた電荷信号をA/D33へ出力する。測光値算出部38は、定常光測光結果から、定常光測光値を算出する(S−10)。
【0040】
時刻t6にて、算出部50は、全画面反射光量測光値(測光値A)(本発明の第2測光値)と顔領域反射光量測光値(測光値B)(本発明の第1測光値)を算出する。
まず、全画面反射光量測光値(測光値A)の算出について説明する。
測光センサ45は、図8に示すように、マトリクス状に配列された複数の画素(光電変換素子)を備えているため、予備発光測光値も複数のデータから成る。本実施例においては、予備発光測光値を、図9に示すように、5領域に分割する。これら測光値を5分割予備発光測光値(測光値C[i])と呼ぶ。iは0〜4である。5分割予備発光測光値(測光値C[i])のそれぞれは、平均値から算出される。なお、分割領域の数は「5」個に限らず、複数個の領域であれば何個でもよい。
【0041】
また、予備発光直後に取得する定常光測光値から、5分割定常光測光値(測光値D[i])を算出する。算出方法は、5分割予備発光測光値(測光値C[i])と同じである。
つぎに、5分割予備発光測光値(測光値C[i])から5分割定常光測光値(測光値D[i])を減算することで、定常光成分を除去する。得られる測光値を5分割反射光量測光値(測光値E[i])とする。
【0042】
また、測光値補正部56は、時間t7の時に、RAM47から測光センサの各画素に対応する周辺減光補正値を読み出す。読み出した周辺減光補正値から、5分割測光値の周辺減光補正値KZ5[i]を算出する。
5分割反射光量測光値(測光値E[i])と5分割測光値の周辺減光補正値KZ5[i]から全画面反射光量測光値(測光値A)を算出する(S−11)。本実施例では、[数1]に記載のように、(測光値E[i])に重み付けを行い、合成することで算出する。
【0043】
[数1]
測光値A=0.33*E[0]*KZ5[0]+0.16*E[1]*KZ5[1]+0.16*E[2]*KZ5[2]+0.16*E[3]*KZ5[3]+0.16*E[4]*KZ5[4]
【0044】
顔領域反射光量測光値(測光値B)の算出について説明する。 予備発光測光値から、予備発光前に顔検出部36が検出した顔画像領域における測光値、顔領域予備発光測光値(測光値F)を算出する。このときの顔画像領域は、予備発光前に検出されてメモリ37に記憶されている顔画像領域の位置情報を用いる。
【0045】
予備発光直後に取得する定常光測光値から、顔領域定常光測光値(測光値G(本発明の第3測光値))を算出する。算出方法は、顔領域予備発光測光値(測光値F)と同じである。読み出した周辺減光補正値から、顔領域の周辺減光補正値KZKaoを算出する。
顔領域反射光量測光値(測光値B)は、[数2]に記載のように、顔領域予備発光測光値(測光値F)から顔領域定常光測光値(測光値G)を減算し、顔領域の周辺減光補正値KZKaoを掛け算して算出する(S−12)。
【0046】
[数2]
測光値B=(測光値F−測光値G)*KZKao
【0047】
判定部51は、時間t8の時に、周辺減光補正した測光値Fと閾値Hとを比較し(S−13)、比較した結果、測光値Fが閾値Hを超える場合、すなわち顔画像領域の輝度値が飽和している場合、光量を下げて予備発光を再度実行するよう再予備発光処理部54を制御する(S−14)。
【0048】
判定部51は、測光値Fが閾値H未満の場合、すなわち顔画像領域の輝度値が飽和していない場合に本発光量演算部52を駆動する。本発光量演算部52は、時間t9の時に、その時点でメモリ37に記憶されている全画面反射光量測光値(測光値A)を読み出し、読み出した測光値Aと前記測光値Bとに基づいてフラッシュの本発光量を演算する(S−15)。ここで、本発光量を演算するのに使用する本発光量算出用反射光量測光値を、[数3]に記載の式を用いて求める。
【0049】
[数3]
RMmain=(1.0−K)×RMAll+K×RMKao
RMmainは本発光量算出用反射光量測光値、RMAllは測光値A、RMKaoは測光値B、Kは「1」以下の係数である。
【0050】
本発光量算出用反射光量測光値(RMmain)は、[数3]に示すように、測光値Aと測光値Bとの重み付けをする係数Kを変えて算出する。重み付けの係数Kは、図10に示すように、顔検出部36で検出された顔画像領域(顔検出枠55)のサイズに応じて決まる。すなわち、顔サイズが測光領域に対して大きくなるほど係数Kの値を「1」に近付けて測光値Bの重み付けを測光値Aよりも高くして本発光量算出用反射光量測光値を求める。これにより、フラッシュ撮影時に顔がオーバー露出になって白飛びするのを確実に防止することができる。このときの顔サイズは、図11に示すように、顔画像を検出した時の顔検出枠55の縦長さとしている。測光領域と顔検出枠55との縦長さとが略同じ場合に係数Kが「1」になる。なお、係数Kとしては、顔検出枠55が正方形であるので、測光領域に対する顔検出枠55の縦長さに応じた係数としているが、顔検出枠55が円形や長方形、あるいは三角形の場合には、横長さ、あるいは面積等に応じた係数としてもよい。
【0051】
本発光量補正部53は、本発光量を絞り値やISO感度に応じて補正する(S−16)。このとき、絞り値が絞り12にセットできない値の場合には、ISO感度を変更して対応する。この場合、本発光量補正部53は、絞り値に加えて、変更したISO感度に応じて本発光量を補正する。そして、フラッシュ制御部39は、時間t10の時に、補正した本発光量でフラッシュ発光部40を本発光させる(S−17)。このフラッシュ本発光は、撮影動作(S−18)に同期して実行される。
【0052】
撮影動作は、メインミラー13を一瞬ミラーアップ位置に移動させる跳上げ動作を行うようミラー駆動機構24を制御し、そして、この間に、決定したシャッタ速度に基づいてシャッタ20を駆動する動作(先幕開及び後幕閉の動作)である。シャッタ20の開閉の間に撮像部21は、被写体像を撮像する。撮像部21で取得した画像データは、撮像用のA/D27を介して撮像用のバッファメモリ28に蓄積され、バッファメモリ28から読み出される画像データは画像処理部29に送られ、ここで種々の画像処理が施されてから、記録用画像データとして記録部30で記録される(S−19)。以下、前述した動作は、電源スイッチをオフするまで繰り返し行われる(S−20)。
【0053】
上記実施形態では、顔検出部36が、輝度信号に基づいて顔画像領域を検出しているが、本発明ではこれに限らず、RGB信号から変換される輝度信号と色差信号とに基づいて肌色領域を検出することで顔画像領域を検出するようにしてもよい。
【0054】
上記各実施形態では、測光センサ45に設けたカラーフィルタを加色混合の3原色RGBのカラーフィルタとしているが、代わりに原色混合のCMY系のカラーフィルタを設けても良い。また、カラーフィルタの前に、可視光領域の範囲内の光のみを感知させる赤外線カットフィルタを設けてもよい。
【0055】
上記各実施形態では、内蔵フラッシュについて説明しているが、本発明では、外付けフラッシュを使う場合についても、図3及び図4で説明したと同じ手順で行えることは言うまでもない。外付けフラッシュには、フラッシュ発光部40とフラッシュ制御部39とが設けられており、アクセサリシューの端子を通じてフラッシュ制御部39が電子カメラ側の制御部41に電気的に接続される。外付けフラッシュを使用する場合には、内蔵フラッシュの発光が禁止される。電子カメラ側の制御の違いとしては、外付けフラッシュ撮影の場合、最初は弱い発光量で予備発光を行い、判定部51が測光値Bと予め決めた閾値Iとを比較して測光値Bが閾値I未満と判定した場合、すなわちフラッシュ光が弱すぎて被写体に届かないと判定した場合、二回目は発光量を強くして予備発光を行う点である。ただし、閾値Iと比較する測光値としては、測光値Eを用いても良い。
【0056】
上記各実施形態では、撮像部21を単板式の撮像センサとして説明しているが、3個の撮像センサを有する3板式の撮像部としてもよい。また、測光部32も3個の測光センサを有する3板式の測光部としてもよい。
【0057】
上記各実施形態では、予備発光時の測光信号の画面(撮像領域と同じ測光領域)全体に基づいて測光値を算出してもよいが、処理を簡単にするために、全画面の周辺(一部)を切り取った小サイズの画面に対して測光値を算出してもよい。この場合には、顔画像領域の検出、及び画素毎の周辺減光補正値の算出も小サイズの画面に対して行うようにすればよい。周辺をカットした小サイズの画面から測光値を算出すれば、周辺減光の影響を避けることができ、周辺減光補正の手間も少なくて済む。
【0058】
上記各実施形態では、画面内に1つの顔画像領域を検出した場合について説明しているが、画面内に複数の顔画像領域を検出した場合には、顔検出部36が画面の最も中央に位置する顔画像領域、又は顔検出枠(顔サイズ)の最も大きい顔画像領域を主要被写体領域として選択し、測光値算出部38が選択した1つの主要被写体領域から測光値を取得すればよい。勿論、画面の中央寄りに複数の顔画像領域が検出されている場合、又は最も大きい顔検出枠(顔サイズ)が複数検出されている場合、顔検出部36は、これら複数の顔画像領域を主要被写体領域として選択し、測光値算出部38は、各顔画像領域の測光値を平均した測光値を主要顔画像領域の測光値として取得するように構成してもよい。
【0059】
上記各実施形態では、顔検出部36を設けているが、本発明ではこれに限らず、顔検出部36の代わりに人物検出部を設け、人物検出部で人物を主要被写体として検出するように構成してもよい。この場合には、検出した人物画像領域に基づき測光値算出部38が測光値を取得すればよい。勿論、人物検出部の代わりに、動物検出部を設け、検出した動物画像領域を主要被写体として検出し、検出した動物画像領域に基づき測光値算出部38が測光値を取得するよう構成してもよい。
【0060】
上記各実施形態では、予備発光測光時、及び定常光測光時に算出部50が分割測光により全画面反射光量測光値(測光値A)を算出しているが、全画素の測光値を平均する平均測光により測光値Aを求めてもよい。
【0061】
上記各実施形態では、前記測光値Aと測光値Bとに基づいてフラッシュの本発光量を演算しているが、本発明ではこれらのみに限らず、撮影レンズ又は焦点検出部からの被写体距離情報も加味して本発光量を演算してもよい。
【0062】
上記実施形態によれば、フラッシュ撮影時の本発光量を決めるための主要被写体領域の定常光を除去した予備発光時の第1測光値(主要被写体領域反射光量測光値(測光値B))に対して周辺減光補正を行うため、主要被写体領域の位置に応じて測光値が変化することを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0063】
10 一眼レフ型電子カメラ
11 撮影レンズ
13 メインミラー
15 焦点板
45 測光センサ
36 顔検出部
38 測光値算出部
56 測光値補正部
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フラッシュ撮影の予備発光時に撮像した画像を基に、画像内に人物の顔領域が存在するかどうかを検出し、次に、検出された顔領域に応じて調光領域を決定し、この決定した調光領域による予備発光時の測光値に応じて本発光量を演算する撮像装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−184508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、TTL測光であるため、撮影レンズのレンズ特性、例えば画像の光軸中心部に対して周辺部の光量が落ちる周辺減光や、撮影倍率や撮影距離による光量の変化等の特性によって、顔領域の位置に応じて測光値が変化し、これによりフラッシュ光の制御を正しく行えないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明を例示する撮像装置一態様は、被写体の反射光を測光して測光信号を送出する測光手段と、前記測光信号に基づいて主要被写体領域を検出する主要被写体検出手段と、前記予備発光時に前記測光手段から得られる予備発光測光信号を用いて、前記主要被写体検出手段が検出した主要被写体領域の測光値から定常光成分を除去した第1測光値を取得する測光値取得手段と、前記測光手段に前記被写体の反射光を導く光学系の特性の情報に基づいて前記第1測光値に対して周辺減光補正をする測光値補正手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、主要被写体領域の位置に応じて測光値が変化することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態である一眼レフ型電子カメラの概略を示すブロック図である。
【図2】制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】一眼レフ型電子カメラの動画撮影モードの動作手順を説明するフローチャートである。
【図4】図3で説明した動作手順の続きを説明するフローチャートである。
【図5】一眼レフ型電子カメラの動作手順を示すタイミングチャートである。
【図6】測光面における像高に対する周辺減光の形状を説明するための説明図である。
【図7】被写体光を測光センサの測光面に導くための光学系を説明する説明図である。
【図8】測光センサの測光面にマトリックス状に配列した画素を示す説明図である。
【図9】予備発光時に分割測光をする各測光領域を示す説明図である。
【図10】本発光量を算出する時に用いる顔領域反射光量測光値(測光値B)と全画面反射光量測光値(測光値A)との重み付け係数を顔サイズに応じて決めるためのグラフである。
【図11】測光信号の全画面をスキャンして顔画像領域を検出した顔検出枠を仮想的に説明する説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一態様を例示する一眼レフ型電子カメラ(撮像装置)10は、交換可能な撮影レンズ11、絞り12、メインミラー13、サブミラー14、焦点板15、コンデンサレンズ16、ペンタプリズム18、接眼レンズ19、フォーカルプレーンシャッタ(以下「シャッタ」と称す)20、レンズ駆動機構22、絞り駆動機構23、ミラー駆動機構24、測距部25、シャッタ駆動機構26、撮像部21、撮像用のA/D27、撮像用のバッファメモリ28,撮影用の画像処理部29、記録部30、操作部31、測光部32、情報取得部33、測光用のA/D33、測光用のバッファメモリ34、測光用の画像処理部35、顔検出部36、メモリ37,測光値算出部38、フラッシュ制御部39、フラッシュ発光部40、及びROM46等を備えており、これらは制御部41により統括的に制御されている。なお、制御部41、撮影用の画像処理部29、記録部30、測光用の画像処理部35、顔検出部36、メモリ37、及び測光値算出部38は、バス42に接続されている。
【0009】
制御部41には、ROM46、及びRAM47が接続されており、ROM47には、制御部41が種々の制御を行う際に参照される制御プログラム等が格納されている。制御部41は、ROM46に格納されている制御プログラムに従い、RAM47を一時記憶作業領域として利用して各部(回路)の制御を行い、電子カメラ10の各部(回路)の機能を作動させる。
【0010】
また、制御部41は、レンズ交換時、又は交換してからシャッタレリーズが行われる迄の間で、情報取得部33を駆動して、撮影レンズ(交換レンズ)11側から光学情報(光学プロファイル)を取得する。この光学情報は、撮影レンズ11が持つ歪曲や収差、周辺減光等の光学特性を補正するための情報になっており、これら情報は交換レンズ毎に設けられているレンズROM48に予め記憶されている。また、レリーズボタンの半押し操作に応答して取得する撮影距離や、ズーム操作に応答して取得する変倍位置(撮影倍率)の情報を各々取得し、これらの取得した情報をRAM47に更新して記憶しておく。
【0011】
操作部31は、電源スイッチ、レリーズボタン、ズーム操作部、モード選択操作部等で構成される。モード選択操作部は、通常撮影モードとフラッシュ撮影モードとのいずれか一方を選択するためのものである。フラッシュ撮影モードでは、本発光前に予備発光を行う。
【0012】
フラッシュ制御部39は、予備発光と、予備発光の結果に基づく本発光とを制御する。フラッシュ発光部40、及びフラッシュ制御部39は、自然光等の光が足りない場合に光量を補う内蔵フラッシュを構成する。この内蔵フラッシュは、フラッシュの発光量を調節することができる。フラッシュ撮影では、制御部41が予備発光時に得られる被写体の反射光量に基づいて本発光量を演算し、フラッシュ制御部39に本発光量の情報を含むフラッシュ発光信号を送信し、フラッシュ制御部39がその発光量でフラッシュ発光部40を発光させて被写体を明るくする。
【0013】
ミラー駆動機構24は、撮影レンズ11を通る被写体光を撮像部21の撮像面に結像させるミラーアップ位置と、ファインダ光路上のうちの前記撮像面と共役な焦点面に配置されている焦点板15に結像させるミラーダウン位置との間でメインミラー13を移動させる。
【0014】
レンズ駆動機構22は、撮影レンズ11を光軸方向に移動して被写体にピントを合わせる。メインミラー13は、一部がハーフミラーになっている。サブミラー14は、ハーフミラーから入射する被写体光束を反射して測距部25に導く。測距部25は、入射する被写体光束から位相差信号を検出し、位相差信号を被写体距離に対するデフォーカス量として制御部41に送る。制御部41は、デフォーカス量に基づいてレンズ駆動機構22を制御して撮影レンズ11を合焦位置に移動する。なお、サブミラー14は、メインミラー13のミラーアップ位置への移動に連動して光軸上から退避する。
【0015】
撮像部21は、記録用画像を撮像するための撮像センサ(CMOSセンサやCCDセンサ)である。周知のように、撮像センサには、撮像面の前にベイヤ配列の色フィルタ(単板式の色フィルタ)が設けられている。
【0016】
撮像部21は、被写体像を撮像して画像信号を撮像用のA/D27に送出する。撮像用のA/D27は、画像信号をデジタルの画像信号に変換して撮像用のバッファメモリ28に一時的に記憶させる。バッファメモリ28から読み出された画像信号は、撮像用の画像処理部29に送られる。画像処理部29は、画像信号に対してホワイトバランス、RGB画素補間、及びYUV変換等の処理を行って記録用画像データを生成して記録部30に送出する。記録部30は、記録用画像データを記録する。
【0017】
測光部32は、結像レンズ43やプリズム44等で構成された結像光学系、及び測光センサ45で構成されており、これらはペンタプリズム18に配されている。結像光学系は、焦点板15に結像する被写体像を測光センサ45の測光面に再結像させる。撮影窓57、撮影レンズ11を順に通る被写体像は、ミラーダウン位置にセットされているメインミラー13で反射された後に、焦点板15に結像する。焦点板15に結像する被写体像は、コンデンサレンズ16を介してペンタプリズム18を透過して正立像に変換され、接眼レンズ19により拡大してファインダ接眼窓58から観察される。また、焦点板15に結像する被写体像は、コンデンサレンズ16、ペンタプリズム18、及び結像光学系43,44を介して測光センサ45の測光面に結像する。
【0018】
測光センサ45から得られる測光信号は、測光用のA/D33でデジタル変換された後に、測光用のバッファメモリ34に一時的に記憶される。測光用のバッファメモリ34から読み出された測光信号は、測光用の画像処理部35でRGB毎の測光信号に補間され、その後RGB毎の測光信号から輝度信号が生成される。この輝度信号は、メモリ37に一時的に記憶される。測光部32の結像光学系43,44、及びコンデンサレンズ16等の各光学部材が持つ歪曲や収差、周辺減光等の光学特性を補正するための光学情報(光学プロファイル)は、ROM46に予め格納されており、制御部41で測光値の減光周辺補正等を行う時に用いられる。
【0019】
測光センサ45には、たとえばCMOSやCCDにより構成される光電変換素子(画素)が二次元状に配置されている。測光センサ45は、制御部41の制御に応じて駆動する。測光センサ45には、測光面の前にベイヤ配列のカラーフィルタ(単板式のカラーフィルタ)が設けられている。測光センサ45から出力される測光信号は、測光用のA/D33によりデジタルの測光信号に変換され、その後バッファメモリ34に一時的に記憶される。バッファメモリ34から読み出された測光信号は、測光用の画像処理部35に送られる。測光センサ45から出力される測光信号は、測光面のうち、撮像領域と略同じ、又はその周辺を除いた小サイズの測光領域の画素から得られる測光信号が利用される。測光領域の画素から得られる測光信号は、測光用のA/D33によりデジタルの測光信号に変換され、その後バッファメモリ34に一時的に記憶される。バッファメモリ34から読み出された測光信号は、測光用の画像処理部35に送られる。
【0020】
測光用の画像処理部35は、ベイヤ配列の測光信号をRGB毎の測光信号に画素補間し、また、RGB毎の測光信号から輝度信号(Y)を抽出する等の処理を施す。顔検出部36は、前述した輝度信号(Y)に基づいて人物の顔画像領域(主要被写体領域)を検出する。なお、輝度信号の代わりに、RGBの3色成分のうち1色成分、例えばG色成分の測光信号に基づいて顔検出を行ってもよい。この場合のカラーフィルタとしては、マトリックスを構成する各列、及び各行にそれぞれ2個のGフィルタが含まれているものが好適である。
【0021】
メモリ37には、測光用の画像処理部35から得られるRGB毎の測光信号や輝度信号、顔検出部36で検出される顔画像領域の位置や大きさ(サイズ)等の情報が更新して記憶される。測光値算出部38は、メモリ37に記憶する輝度信号に基づいて測光値を算出する。
【0022】
制御部41は、フラッシュ撮影モードの場合にレリーズボタンが全押し操作されると、フラッシュ制御部39に対して、予備発光を行わせるよう制御する。制御部41は、フラッシュ発光部40の予備発光に合わせて測光センサ45の蓄積動作を行わせる。該蓄積動作により得られた信号は、前述したように測光用のA/D33に入力される。
【0023】
制御部41は、TTL調光演算結果に基づいてフラッシュ制御部39に対して本発光を制御する。以下、予備発光時に測光センサ45で行われる電荷蓄積動作を予備発光測光と呼ぶ。さらに、非発光時に測光センサ45で行われる電荷蓄積動作を定常光測光と呼ぶ。
【0024】
制御部41は、図2に示すように、算出部50、判定部51、本発光量演算部52、本発光量補正部53、及び再予備発光処理部54を備えている。算出部50は、被写体反射光量に対応する本発光量を算出するために、予備発光測光値から定常光の光量、すなわち被写体の定常光成分を表す定常光測光値を除去(減算)する演算(減算処理)を行う。減算処理後に得られる測光値を反射光量測光値と呼ぶ。
【0025】
測光値補正部56は、ROM46やRAM47から読み出した光学情報や、撮影レンズ11から取得する撮影距離、及び撮影倍率等の情報に基づいて、周辺減光特性がフラットになるように反射光量測光値を補正する。この減光周辺補正は、被写体光を測光センサ45の測光面に導くための光学系、すなわち、撮影レンズ11、コンデンサレンズ16、及び結像光学系43,44における周辺減光や、撮影倍率や撮影距離に伴う減光、及び光学系がもつ収差や歪曲等を加味した補正である。
【0026】
判定部51は、測光センサ45による測光結果、予備発光測光値が所定の条件を満たしているか否かを判定する。予備発光測光値が所定のしきい値を超える場合、予備発光時の発光量が多いと判断し、再予備発光処理部54に再発光信号を送る。再予備発光処理部54は、発光量を下げて再び予備発光を実行するようフラッシュ制御部39を制御する。逆に、測光値が閾値未満である場合、判定部51は、本発光量演算部52を駆動する。本発光量演算部52は、反射光量測光値に基づいてフラッシュの本発光時の発光量を演算する。
【0027】
ところで、予備発光は、開放絞りで行っている。このため、前述した本発光量には、撮影時の絞り値と異なる可能性がある。本発光量補正部53は、本発光量を撮影時の絞り値やISO感度に基づいて補正する。そして、本発光量補正部53は、補正した本発光量に基づいて本発光を実行するようフラッシュ制御部39を制御する。なお、絞りを適正露出の絞り値に駆動して予備発光を行ってもよい。
【0028】
次に上記構成の作用を、図面を参照しながら説明する。図3及び図4は一眼レフ型電子カメラのフラッシュ撮影モードの動作手順を説明するフローチャートである。まず、電源ボタンをオン(S−1)した後に、フラッシュ撮影モードを選択する(S−2)。ここで、シャッタ20が閉じ位置にセットされているか、また、メインミラー13がミラーダウン位置にセットされているかを順に確認する。どちらもセットされていない場合には閉じ位置、及びミラーダウン位置にそれぞれ強制的にセットする。
【0029】
図5は一眼レフ型電子カメラの各部の駆動タイミングを説明するタイミングチャートである。フラッシュ撮影モードが選択されると、制御部41は、図5に示す時間t1の時に、測光センサ45を駆動する。レリーズボタン全押し以前、すなわちユーザにより撮影指示操作が行われる前は、測光センサ45は、定常光測光(露出用定常光測光)を所定周期毎に行う(S−3)。この定常光測光により得られる測光値を定常光測光値と呼ぶ。制御部41は、定常光測光値に基づいて、定常光露出に関する適正露出値BVansを公知の測光方式(マルチパターン測光方式等)を用いて算出して、絞り値やシャッタ速度を決定する。定常光測光値及び定常光露出値BVansは、所定周期毎に更新され、メモリ37に記憶される。
【0030】
輝度信号は、メモリ37から読み出されて顔検出部36に送られる。顔検出部36は、時間t2の時に、輝度信号に基づいて顔画像領域の位置、及びサイズを検出する。検出された顔画像領域の位置、及びサイズは、メモリ37に記憶される。以後、シャッタレリーズが行われる迄の間で、前述した測光から顔検出・記憶までの一連のサイクルは、所定周期で繰り返し行われる(S−3)。したがってメモリ37には、最近の輝度信号、及び顔画像領域の位置・サイズが常に記憶されている。
【0031】
顔検出後には、制御部41は、情報取得部33を駆動してレンズROM48から光学情報を取得してRAM48に記憶する。また、制御部41は、ROM47からコンデンサレンズ16、及び結像光学系43,44の光学情報をそれぞれ取得してRAM48に記憶する。そして、制御部41は、RAM48に記憶されている光学情報、撮影距離、及び撮影倍率等を読み出して、測光面の画面全体を構成する各画素の周辺減光補正値を算出する。
【0032】
ここで、周辺減光について図6を用いて説明する。同図(a)は、周辺減光がある場合の測光センサ45の測光面に入射する光量の様子を描いたものである。周辺減光は、撮影レンズ11、コンデンサレンズ16、結像光学系43,44等の光学特性により、結像レンズ43の光軸中心L0に対して同心円状に画面全体の周辺部の光量が落ちて暗くなる現象である。なお、同図では、分かり易いように、光量の変化を同心円で階段状に変化させて記載しているが、実際には輝度の階調の範囲内で滑らかに変化する。
【0033】
図6(b)のグラフは、測光センサ45の測光面を対角線(二点鎖線A−A’)で切断した時の出力レベルの変化(周辺減光特性59)を示したグラフである。同図(b)のグラフにおいて、横軸は像高、縦軸は出力レベルを示す。ここでは、測光センサ45の測光面の光軸中心L0での像高rを「0」mm、出力レベルを「1.0」として、光軸中心L0から同心円状に広がる等距離の位置(像高)毎の出力レベルの変化を描くと周辺減光特性59のようになり、測光面の周辺部になるほど出力レベルが低下していく。
【0034】
また、周辺減光の形状は、例えば図7に示すように、測光センサ45の測光面に入射する光の入射角、撮影レンズ11、コンデンサレンズ16、及び結像光学系43,44の各直径、絞り12の絞り径(本実施形態では開放絞り)S、測光センサ45に対して撮影レンズ11、絞り12、コンデンサレンズ16、及び結像光学系43、44までの各距離等により異なる。また、撮影レンズ11がズームレンズの場合はズーム位置に応じて周辺減光の形状が変化する。制御部41は、このような光学・撮影情報に基づいて周辺減光の形状を算出し、この周辺減光の形状に基づいて詳しくは後述する顔領域反射光量測光値(本発明の第1測光値)を補正するための周辺減光補正値を求める。
【0035】
具体的には、制御部41は、前述したような光学・撮影情報に基づき、例えば像高毎の周辺光量補正値を求める。そして、像高毎の周辺光量補正値から画素毎の周辺光量補正値を補間して求める。画素毎の周辺光量補正値は画面全体の画素に対する補正値であるので、画面全体の画素毎の補正値から、直前に検出した顔画像領域における画素毎の周辺光量補正値を抽出し、顔画像領域における画素毎の周辺光量補正値を平均した平均値(顔領域減光補正値)を算出し、この顔領域減光補正値をRAM47に記憶しておく。
【0036】
制御部41は、レリーズボタンの半押し操作を監視し(S−4)、半押し操作が行われることに応答して、撮影準備動作を実行する(S−5)。撮影準備動作は、測距部25を駆動し、測距部25から得られるデフォーカス量に基づいてレンズ駆動機構22を制御して撮影レンズ11を合焦位置に移動する。
【0037】
制御部41は、半押し操作の状態からそのまま全押し操作(撮影指示操作)が行われることを監視し(S−6)し、時刻t3にてユーザにより撮影指示操作が行われると、デジタルカメラ10の制御部41は、フラッシュ制御部39に対して予備発光を指示する予備発光指示信号を出力する(S−7)。予備発光指示信号を入力すると、フラッシュ制御部39は、時刻t4で所定の予備発光量にてフラッシュ発光部40を予備発光させる。その結果、図5に示すように、フラッシュ発光部40は、蓄積時間Δtで予備発光を行う。
【0038】
フラッシュ制御部39により予備発光指示信号が出力されると、制御部41は、測光センサ45に対して、フラッシュ発光部40が発光している間、期間Δtで電荷を蓄積させる。この場合、測光センサ45は、フラッシュ発光部40から発光され、被写体によって反射され、撮影レンズ11を介して入射された光の量(被写体反射光量)と被写体の周囲光(定常光)の光量とに応じた電荷信号をA/D33へ出力する。測光値算出部38は、予備発光測光結果から、予備発光測光値を算出する(S−8)。
【0039】
予備発光測光が行われた直後、すなわち予備発光測光により蓄積された電荷の掃出しが終了した後、時刻t5にて、制御部41は、測光センサ45に対して、期間Δtで電荷を蓄積させる。換言すると、測光センサ45は、予備発光測光に連続して期間Δtの間電荷蓄積を行う(S−9)。期間Δtは、予備発光測光の時間と同一である。この場合、測光センサ45は、予備発光していない非発光時に撮影レンズ11を介して入射された光の量、すなわち被写体の周囲光である定常光の光量に応じた電荷信号をA/D33へ出力する。測光値算出部38は、定常光測光結果から、定常光測光値を算出する(S−10)。
【0040】
時刻t6にて、算出部50は、全画面反射光量測光値(測光値A)(本発明の第2測光値)と顔領域反射光量測光値(測光値B)(本発明の第1測光値)を算出する。
まず、全画面反射光量測光値(測光値A)の算出について説明する。
測光センサ45は、図8に示すように、マトリクス状に配列された複数の画素(光電変換素子)を備えているため、予備発光測光値も複数のデータから成る。本実施例においては、予備発光測光値を、図9に示すように、5領域に分割する。これら測光値を5分割予備発光測光値(測光値C[i])と呼ぶ。iは0〜4である。5分割予備発光測光値(測光値C[i])のそれぞれは、平均値から算出される。なお、分割領域の数は「5」個に限らず、複数個の領域であれば何個でもよい。
【0041】
また、予備発光直後に取得する定常光測光値から、5分割定常光測光値(測光値D[i])を算出する。算出方法は、5分割予備発光測光値(測光値C[i])と同じである。
つぎに、5分割予備発光測光値(測光値C[i])から5分割定常光測光値(測光値D[i])を減算することで、定常光成分を除去する。得られる測光値を5分割反射光量測光値(測光値E[i])とする。
【0042】
また、測光値補正部56は、時間t7の時に、RAM47から測光センサの各画素に対応する周辺減光補正値を読み出す。読み出した周辺減光補正値から、5分割測光値の周辺減光補正値KZ5[i]を算出する。
5分割反射光量測光値(測光値E[i])と5分割測光値の周辺減光補正値KZ5[i]から全画面反射光量測光値(測光値A)を算出する(S−11)。本実施例では、[数1]に記載のように、(測光値E[i])に重み付けを行い、合成することで算出する。
【0043】
[数1]
測光値A=0.33*E[0]*KZ5[0]+0.16*E[1]*KZ5[1]+0.16*E[2]*KZ5[2]+0.16*E[3]*KZ5[3]+0.16*E[4]*KZ5[4]
【0044】
顔領域反射光量測光値(測光値B)の算出について説明する。 予備発光測光値から、予備発光前に顔検出部36が検出した顔画像領域における測光値、顔領域予備発光測光値(測光値F)を算出する。このときの顔画像領域は、予備発光前に検出されてメモリ37に記憶されている顔画像領域の位置情報を用いる。
【0045】
予備発光直後に取得する定常光測光値から、顔領域定常光測光値(測光値G(本発明の第3測光値))を算出する。算出方法は、顔領域予備発光測光値(測光値F)と同じである。読み出した周辺減光補正値から、顔領域の周辺減光補正値KZKaoを算出する。
顔領域反射光量測光値(測光値B)は、[数2]に記載のように、顔領域予備発光測光値(測光値F)から顔領域定常光測光値(測光値G)を減算し、顔領域の周辺減光補正値KZKaoを掛け算して算出する(S−12)。
【0046】
[数2]
測光値B=(測光値F−測光値G)*KZKao
【0047】
判定部51は、時間t8の時に、周辺減光補正した測光値Fと閾値Hとを比較し(S−13)、比較した結果、測光値Fが閾値Hを超える場合、すなわち顔画像領域の輝度値が飽和している場合、光量を下げて予備発光を再度実行するよう再予備発光処理部54を制御する(S−14)。
【0048】
判定部51は、測光値Fが閾値H未満の場合、すなわち顔画像領域の輝度値が飽和していない場合に本発光量演算部52を駆動する。本発光量演算部52は、時間t9の時に、その時点でメモリ37に記憶されている全画面反射光量測光値(測光値A)を読み出し、読み出した測光値Aと前記測光値Bとに基づいてフラッシュの本発光量を演算する(S−15)。ここで、本発光量を演算するのに使用する本発光量算出用反射光量測光値を、[数3]に記載の式を用いて求める。
【0049】
[数3]
RMmain=(1.0−K)×RMAll+K×RMKao
RMmainは本発光量算出用反射光量測光値、RMAllは測光値A、RMKaoは測光値B、Kは「1」以下の係数である。
【0050】
本発光量算出用反射光量測光値(RMmain)は、[数3]に示すように、測光値Aと測光値Bとの重み付けをする係数Kを変えて算出する。重み付けの係数Kは、図10に示すように、顔検出部36で検出された顔画像領域(顔検出枠55)のサイズに応じて決まる。すなわち、顔サイズが測光領域に対して大きくなるほど係数Kの値を「1」に近付けて測光値Bの重み付けを測光値Aよりも高くして本発光量算出用反射光量測光値を求める。これにより、フラッシュ撮影時に顔がオーバー露出になって白飛びするのを確実に防止することができる。このときの顔サイズは、図11に示すように、顔画像を検出した時の顔検出枠55の縦長さとしている。測光領域と顔検出枠55との縦長さとが略同じ場合に係数Kが「1」になる。なお、係数Kとしては、顔検出枠55が正方形であるので、測光領域に対する顔検出枠55の縦長さに応じた係数としているが、顔検出枠55が円形や長方形、あるいは三角形の場合には、横長さ、あるいは面積等に応じた係数としてもよい。
【0051】
本発光量補正部53は、本発光量を絞り値やISO感度に応じて補正する(S−16)。このとき、絞り値が絞り12にセットできない値の場合には、ISO感度を変更して対応する。この場合、本発光量補正部53は、絞り値に加えて、変更したISO感度に応じて本発光量を補正する。そして、フラッシュ制御部39は、時間t10の時に、補正した本発光量でフラッシュ発光部40を本発光させる(S−17)。このフラッシュ本発光は、撮影動作(S−18)に同期して実行される。
【0052】
撮影動作は、メインミラー13を一瞬ミラーアップ位置に移動させる跳上げ動作を行うようミラー駆動機構24を制御し、そして、この間に、決定したシャッタ速度に基づいてシャッタ20を駆動する動作(先幕開及び後幕閉の動作)である。シャッタ20の開閉の間に撮像部21は、被写体像を撮像する。撮像部21で取得した画像データは、撮像用のA/D27を介して撮像用のバッファメモリ28に蓄積され、バッファメモリ28から読み出される画像データは画像処理部29に送られ、ここで種々の画像処理が施されてから、記録用画像データとして記録部30で記録される(S−19)。以下、前述した動作は、電源スイッチをオフするまで繰り返し行われる(S−20)。
【0053】
上記実施形態では、顔検出部36が、輝度信号に基づいて顔画像領域を検出しているが、本発明ではこれに限らず、RGB信号から変換される輝度信号と色差信号とに基づいて肌色領域を検出することで顔画像領域を検出するようにしてもよい。
【0054】
上記各実施形態では、測光センサ45に設けたカラーフィルタを加色混合の3原色RGBのカラーフィルタとしているが、代わりに原色混合のCMY系のカラーフィルタを設けても良い。また、カラーフィルタの前に、可視光領域の範囲内の光のみを感知させる赤外線カットフィルタを設けてもよい。
【0055】
上記各実施形態では、内蔵フラッシュについて説明しているが、本発明では、外付けフラッシュを使う場合についても、図3及び図4で説明したと同じ手順で行えることは言うまでもない。外付けフラッシュには、フラッシュ発光部40とフラッシュ制御部39とが設けられており、アクセサリシューの端子を通じてフラッシュ制御部39が電子カメラ側の制御部41に電気的に接続される。外付けフラッシュを使用する場合には、内蔵フラッシュの発光が禁止される。電子カメラ側の制御の違いとしては、外付けフラッシュ撮影の場合、最初は弱い発光量で予備発光を行い、判定部51が測光値Bと予め決めた閾値Iとを比較して測光値Bが閾値I未満と判定した場合、すなわちフラッシュ光が弱すぎて被写体に届かないと判定した場合、二回目は発光量を強くして予備発光を行う点である。ただし、閾値Iと比較する測光値としては、測光値Eを用いても良い。
【0056】
上記各実施形態では、撮像部21を単板式の撮像センサとして説明しているが、3個の撮像センサを有する3板式の撮像部としてもよい。また、測光部32も3個の測光センサを有する3板式の測光部としてもよい。
【0057】
上記各実施形態では、予備発光時の測光信号の画面(撮像領域と同じ測光領域)全体に基づいて測光値を算出してもよいが、処理を簡単にするために、全画面の周辺(一部)を切り取った小サイズの画面に対して測光値を算出してもよい。この場合には、顔画像領域の検出、及び画素毎の周辺減光補正値の算出も小サイズの画面に対して行うようにすればよい。周辺をカットした小サイズの画面から測光値を算出すれば、周辺減光の影響を避けることができ、周辺減光補正の手間も少なくて済む。
【0058】
上記各実施形態では、画面内に1つの顔画像領域を検出した場合について説明しているが、画面内に複数の顔画像領域を検出した場合には、顔検出部36が画面の最も中央に位置する顔画像領域、又は顔検出枠(顔サイズ)の最も大きい顔画像領域を主要被写体領域として選択し、測光値算出部38が選択した1つの主要被写体領域から測光値を取得すればよい。勿論、画面の中央寄りに複数の顔画像領域が検出されている場合、又は最も大きい顔検出枠(顔サイズ)が複数検出されている場合、顔検出部36は、これら複数の顔画像領域を主要被写体領域として選択し、測光値算出部38は、各顔画像領域の測光値を平均した測光値を主要顔画像領域の測光値として取得するように構成してもよい。
【0059】
上記各実施形態では、顔検出部36を設けているが、本発明ではこれに限らず、顔検出部36の代わりに人物検出部を設け、人物検出部で人物を主要被写体として検出するように構成してもよい。この場合には、検出した人物画像領域に基づき測光値算出部38が測光値を取得すればよい。勿論、人物検出部の代わりに、動物検出部を設け、検出した動物画像領域を主要被写体として検出し、検出した動物画像領域に基づき測光値算出部38が測光値を取得するよう構成してもよい。
【0060】
上記各実施形態では、予備発光測光時、及び定常光測光時に算出部50が分割測光により全画面反射光量測光値(測光値A)を算出しているが、全画素の測光値を平均する平均測光により測光値Aを求めてもよい。
【0061】
上記各実施形態では、前記測光値Aと測光値Bとに基づいてフラッシュの本発光量を演算しているが、本発明ではこれらのみに限らず、撮影レンズ又は焦点検出部からの被写体距離情報も加味して本発光量を演算してもよい。
【0062】
上記実施形態によれば、フラッシュ撮影時の本発光量を決めるための主要被写体領域の定常光を除去した予備発光時の第1測光値(主要被写体領域反射光量測光値(測光値B))に対して周辺減光補正を行うため、主要被写体領域の位置に応じて測光値が変化することを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0063】
10 一眼レフ型電子カメラ
11 撮影レンズ
13 メインミラー
15 焦点板
45 測光センサ
36 顔検出部
38 測光値算出部
56 測光値補正部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッシュ撮影時に本発光の前に予備発光を行う撮像装置において、
被写体の反射光を測光して測光信号を送出する測光手段と、
前記測光信号に基づいて主要被写体領域を検出する主要被写体検出手段と、
前記予備発光時に前記測光手段から得られる予備発光測光信号を用いて、前記主要被写体検出手段が検出した主要被写体領域の測光値から定常光成分を除去した第1測光値を取得する測光値取得手段と、
前記測光手段に前記被写体の反射光を導くための光学系の特性に基づいて前記第1測光値に対して周辺減光補正をする測光値補正手段と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記測光値取得手段は、前記予備発光時に前記予備発光測光信号を用いて測光領域の測光値から定常光成分を除去した第2測光値を取得し、
前記測光値補正手段は、前記光学系の特性に基づいて前記第2測光値に対して周辺減光補正をするとともに、
前記補正後の第1測光値と前記第2測光値とに基づいて前記本発光時の発光量を演算する本発光量演算手段を備えている、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の撮像装置において、
撮影レンズにより撮像面に結像する被写体像を記録用として撮像する記録用撮像手段を備え、
前記測光手段は、前記撮像面と共役な面に結像する被写体像を前記撮像手段とは異なる位置で撮像する測光用撮像手段になっていることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記測光値取得手段は、前記主要被写体領域における予備発光時に取得する主要被写体領域予備発光測光値から前記予備発光前又は後に取得する第3測光値を減算して前記第1測光値を算出することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記本発光量演算手段は、前記測光値取得手段が前記第1測光値を取得した時に用いた主要被写体領域のサイズが測光領域に対して大きくなるほど、前記補正した第1測光値の重み付けを前記第2測光値に対して上げて前記本発光量を演算することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
フラッシュ撮影時に予備発光を行うことで取得する予備発光時の測光値に基づいて発光量を決めて本発光を行う撮像方法において、
被写体の反射光を測光して測光信号を送出する測光ステップと、
前記測光信号に基づいて主要被写体領域を検出する主要被写体検出ステップと、
前記予備発光時に前記測光手段から得られる予備発光測光信号を用いて、前記主要被写体検出手段が検出した主要被写体領域の測光値から定常光成分を除去した第1測光値を取得する測光値取得ステップと、
前記測光手段に前記被写体の反射光を導くための光学系の特性に基づいて前記第1測光値に対して周辺減光補正をする測光値補正ステップと、
を含むことを特徴とする撮像方法。
【請求項1】
フラッシュ撮影時に本発光の前に予備発光を行う撮像装置において、
被写体の反射光を測光して測光信号を送出する測光手段と、
前記測光信号に基づいて主要被写体領域を検出する主要被写体検出手段と、
前記予備発光時に前記測光手段から得られる予備発光測光信号を用いて、前記主要被写体検出手段が検出した主要被写体領域の測光値から定常光成分を除去した第1測光値を取得する測光値取得手段と、
前記測光手段に前記被写体の反射光を導くための光学系の特性に基づいて前記第1測光値に対して周辺減光補正をする測光値補正手段と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記測光値取得手段は、前記予備発光時に前記予備発光測光信号を用いて測光領域の測光値から定常光成分を除去した第2測光値を取得し、
前記測光値補正手段は、前記光学系の特性に基づいて前記第2測光値に対して周辺減光補正をするとともに、
前記補正後の第1測光値と前記第2測光値とに基づいて前記本発光時の発光量を演算する本発光量演算手段を備えている、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の撮像装置において、
撮影レンズにより撮像面に結像する被写体像を記録用として撮像する記録用撮像手段を備え、
前記測光手段は、前記撮像面と共役な面に結像する被写体像を前記撮像手段とは異なる位置で撮像する測光用撮像手段になっていることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記測光値取得手段は、前記主要被写体領域における予備発光時に取得する主要被写体領域予備発光測光値から前記予備発光前又は後に取得する第3測光値を減算して前記第1測光値を算出することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記本発光量演算手段は、前記測光値取得手段が前記第1測光値を取得した時に用いた主要被写体領域のサイズが測光領域に対して大きくなるほど、前記補正した第1測光値の重み付けを前記第2測光値に対して上げて前記本発光量を演算することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
フラッシュ撮影時に予備発光を行うことで取得する予備発光時の測光値に基づいて発光量を決めて本発光を行う撮像方法において、
被写体の反射光を測光して測光信号を送出する測光ステップと、
前記測光信号に基づいて主要被写体領域を検出する主要被写体検出ステップと、
前記予備発光時に前記測光手段から得られる予備発光測光信号を用いて、前記主要被写体検出手段が検出した主要被写体領域の測光値から定常光成分を除去した第1測光値を取得する測光値取得ステップと、
前記測光手段に前記被写体の反射光を導くための光学系の特性に基づいて前記第1測光値に対して周辺減光補正をする測光値補正ステップと、
を含むことを特徴とする撮像方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−44938(P2013−44938A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182574(P2011−182574)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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