説明

撮像装置

【課題】撮影以外の用途でもレンズバリアを設けることなく保持しやすく操作性も良好で撮影レンズへの指紋等の付着を防止できる撮像装置を提供する。
【解決手段】デジタルカメラ10は、カメラ本体11と、この前面部11a,背面部11bのいずれかに択一的かつ着脱自在に装着される画像表示ユニット12とからなる。画像表示ユニット12を背面部11bに装着すると、LCD15に第1メニュー画面が表示され、モード設定が「静止画撮影モード」,「動画撮影モード」,「再生モード」のうちいずれかに限定される。画像表示ユニット12が前面部11aの全体を覆うように装着されると、第2メニュー画面がLCD15に表示され、モード設定が「画像ビューワモード」,「ミュージックプレーヤモード」のいずれか一方に限定される。画像表示ユニット12を端部11c寄りの位置にセットすると、撮影レンズ18が露呈し、「自分撮り撮影モード」にセットされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話などの撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像を撮像する撮像装置としては、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話が普及している。このような撮像装置の中には、パーソナルコンピュータからビデオや写真や音声,音楽を転送し、画像を再生する画像ビューワとして使用したり、音楽を再生する音楽プレーヤとして使用できる多機能なものがある。
【0003】
一方、光学系を介して入射した被写体像をフィルムに撮像する銀塩写真撮像手段と、光学系を介して入射した被写体像を映像信号に変換して記録媒体に記録する電子写真撮像手段と、電子写真撮像手段から出力される映像及びその他の情報を表示する電気表示素子とを備えた画像撮影装置において、非使用時に電気表示素子を保護する手段を設け、非使用時に電気表示素子を保護するようにした画像撮影装置が知られている(特許文献1)。
【0004】
また、カメラボディをボディ内挿部およびボディカバー部で構成し、ボディ内挿部は、携帯時には、上面部、摘み部および以外をボディカバー部内に挿入している。ボディ内挿部は、ボディカバー部に上下方向にスライド移動可能として保持されており、使用時には、ボディカバー部から引き出して使用する。ボディ内挿部に設けられた撮像光学系、ファインダ光学系、測距窓部、モード切替えスイッチ、選択操作部およびストロボ発光部は、携帯状態では、ボディカバー部により覆われており、使用状態でのみ露出されて使用可能としている。これにより、機能構成およびレイアウトの自由度を充分に活かし、携帯性および操作性に優れ、使い勝手が良好な電子カメラが得られる(特許文献2)。
【0005】
また、カメラボディの背面側にスライド可能に設けた表示部カバーが、第1の位置において再生表示装置の表示画面を覆い、第2の位置において前記表示画面を露出させる。表示部カバーと機械的に連動してカメラボディの前面側にレンズストロボカバーを設ける。表示部カバーが前記第1の位置に操作配置されたときに、カメラボディの撮像光学系の対物入射面およびストロボ発光部をレンズストロボカバーにより覆い、且つ表示部カバーが前記第2の位置に操作配置されたときに、レンズストロボカバーを退避させて前記対物入射面およびストロボ発光部を露出させる。表示部カバーおよびレンズストロボカバーの動作に連動して電源をオン/オフする。これにより、機能構成およびレイアウトの自由度を充分に活かし、携帯性および操作性に優れ、使い勝手が向上した電子カメラが得られる(特許文献3)。
【特許文献1】特開平09−043716号公報
【特許文献2】特開2000−338551号公報
【特許文献3】特開2000−275715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したようにデジタルカメラを画像ビューワや音楽プレーヤとして使用する場合、専用機器に比べて、保持しにくかったり、操作がやりにくいという問題ある。特に、デジタルカメラを携帯用の音楽プレーヤとして使用する場合には、音楽を聴くことに夢中になるにつれ、デジタルカメラを携帯しているという意識が希薄になるため、不用意に撮影レンズに指が触れ、撮影レンズに指紋やゴミを付けるという問題がある。
【0007】
このような問題を改善するためには、上記特許文献1〜3に開示されているように、撮影レンズやファインダ,液晶ディスプレイなどに開閉自在のカバー(レンズバリアなど)を設け、デジタルカメラをミュージックプレーヤとして使用する場合には、前記カバーを閉じることが考えられる。しかしながら、デジタルカメラにカバー及びその開閉機構を付加するため、部品点数の増加と構造の複雑化を招き、ひいてはコストの上昇を招くという不都合が生じる。また、ユーザがカバーを閉じ忘れた場合には、カバーを設けていない従来のデジタルカメラと全く同じ問題が発生する。
【0008】
また、デジタルカメラにレンズバリアを設けた場合、撮影レンズの鏡筒がカメラボディの前面から突出したタイプでは、携帯時に撮影レンズに外力が加わるので好ましくない。また、撮影レンズの鏡筒がカメラボディの前面から突出しないタイプ又は沈胴するタイプでは、携帯時に外力が撮影レンズに加わることがない反面、鏡筒も含む撮影レンズの前部全体を覆い隠すようにレンズバリアを設ける必要があるため、レンズバリアのサイズが大きくなり、結果としてカメラ自体が大型化するという問題がある。
【0009】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、撮影以外の用途で用いる場合でもレンズバリアを設けることなく保持しやすく操作性も良好で撮影レンズへの指紋やゴミの付着を確実に防止できる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の撮像装置は、撮影レンズが配設された前面部と操作部が配設された背面部とを備え、前記撮影レンズからの光学画像を画像信号に変換して出力する撮像素子が内蔵された装置本体と、前記前面部と背面部のいずれかに択一的かつ着脱自在に装着され、前記画像信号に基づいて画像を表示画面に表示する画像表示ユニットとからなることを特徴とする。
【0011】
また、撮影レンズが配設された前面部と操作部が配設された背面部とを備え、前記撮影レンズからの光学画像を画像信号に変換して出力する撮像素子が内蔵された装置本体と、前記前面部,背面部のいずれかに択一的かつ着脱自在に装着され、前記画像信号に基づいて画像を表示画面に表示する画像表示ユニットと、前記装置本体に設けられ、前記画像表示ユニットが前面部,背面部のどちらに装着されたかを検出する検出部と、前記装置本体に設けられ、前記検出部の検出結果に基づいて動作モードを切り替える、もしくは動作モードの選択可能範囲を制限する制御部とからなることを特徴とする。
【0012】
また、前記画像表示ユニットの少なくとも装置本体の前面部に対面される面は、前記前面部と同じサイズ及び形状をしており、前記画像表示ユニットを前面部に装着する際に、前記前面部の全体を過不足なく覆って撮影レンズを保護することを特徴とする。
【0013】
また、前記画像表示ユニットは、前記前面部への装着に際しては、前記前面部の全体を覆って撮影レンズを保護するレンズ保護位置と、前記前面部の一部を覆って前記撮影レンズを露呈することにより自分撮りが行なえる自分撮り位置とのいずれかが選択されることを特徴とする。
【0014】
また、前記画像表示ユニットが前記自分撮り位置に装着されることにより表示画面に表示される画像が左右反転されることを特徴とする。また、前記画像表示ユニットは、前記背面部への装着に際しては、前記操作部が操作自在に露呈されるように背面部の一部を覆うことを特徴とする。また、前記背面部には、前記画像表示ユニットを前面部に装着した状態で装置本体を起立する脚部が開閉自在に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の撮像装置によれば、装置本体の前面部または背面部に択一的かつ着脱自在に画像表示ユニットを装着するようにしたので、撮影以外の用途で用いる場合に撮影レンズを配設した前面部を覆うように画像表示ユニットを装着すれば、レンズバリアを設けることなく保持しやすく操作性も良好で撮影レンズへの指紋やゴミの付着を確実に防止できる。また、撮影レンズが画像表示ユニットによって完全に覆われるので、輸送・携帯時の外力にも強いカメラを実現することができる。さらには、画像表示ユニットの装着位置によって選択的に操作部を露出・隠蔽させれば、それぞれの使用形態において必要な操作部が操作しやすくなり、操作に迷うことがない。
【0016】
また、装置本体の前面部または背面部に択一的かつ着脱自在に画像表示ユニットを装着し、画像表示ユニットが前面部,背面部のどちらに装着されたかを検出することにより、動作モードを切り替える、もしくは動作モードの選択可能範囲を制限するので、動作モードの切替ミスを低減し、レンズバリアを設けることなく保持しやすく操作性も良好で撮影レンズへの指紋やゴミの付着を確実に防止できる。
【0017】
また、画像表示ユニットの少なくとも装置本体の前面部に対面される面は、前面部と同じサイズ及び形状をしており、前面部への装着に際しては、前面部の全体を過不足なく覆って撮影レンズを保護するので、レンズバリアを設けることなく保持しやすく操作性も良好で撮影レンズへの指紋やゴミの付着を確実に防止できる。
【0018】
また、画像表示ユニットの前面部への装着に際しては、前面部の全体を覆って撮影レンズを保護するレンズ保護位置と、前面部の一部を覆って撮影レンズを露呈することにより自分撮りが行なえる自分撮り位置とのいずれかが選択されるようにするのが望ましい。
【0019】
また、画像表示ユニットを自分撮り位置に装着することにより表示画面に表示される画像が左右反転するので、違和感なく自分の姿を観察しながら自分撮りを行なうことができる。また、画像表示ユニットは、操作部が操作自在に露呈するように背面部に装着されるので、露呈された操作部周辺を装置本体の把持を容易にするグリップ部として使用することもでき、操作性の向上に寄与できる。
【0020】
また、背面部に脚部を開閉自在に設けたので、画像表示ユニットを背面部に装着するときには脚部を閉じることにより邪魔にならず、画像表示ユニットを前面部に装着するときには脚部を開くことにより、画像表示ユニットを装着した装置本体を机などの上に立てることが簡便にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施形態であるデジタルカメラの外観を示す図1において、デジタルカメラ10は、カメラ本体11と、これに着脱自在に装着され、画像を表示する画像表示ユニット12とからなる。デジタルカメラ10は、カメラ本体11への画像表示ユニット12の装着の仕方を変更することにより、本来のデジタルカメラとしての使用以外に、画像ビューワやミュージックプレーヤとしての使用が簡単かつ操作性よく行なえる。
【0022】
前記画像表示ユニット12は、カメラ本体11の前面部11a,背面部11b(図2参照)と同じ形状かつ同じ大きさの矩形状をしたフレーム14と、この一方の面の中央部に嵌め込まれた液晶ディスプレイ(LCD)15とからなる。このLCD15は、本番撮影前に画面15aにスルー画を表示して電子ファインダとして使用されるとともに、撮影した画像やパーソナルコンピュータ経由でメモリカード44(図2参照)に取り込んだTV画像などのビデオ画像を再生表示する。
【0023】
前記フレーム14の上部と下部には、画像表示ユニット12をカメラ本体11に着脱自在に装着するL字状のアーム部14a,14bが形成されている。この上方のアーム部14aの屈曲された部分の内側には、カメラ本体11とLCD15とを電気的に接続する接点16(図3参照)が設けられている。また、下部のアーム部14bには、メモリカード44に記憶されている複数個の画像を次々と送りながら又は戻しながらLCD15に再生表示するような場合に用いられる操作スイッチ17が設けられている。
【0024】
前記アーム部14a,14bは、フレーム14の長手方向の中央部から図面右方側にやや寄った位置に形成され、画像表示ユニット12をカメラ本体11の前面部11aに装着した際に、撮影レンズ18が露呈されるように画像表示ユニット12を奥まで移動させることができるようになっている(図6参照)。
【0025】
デジタルカメラ10のカメラ本体11の前面部11aには、撮影レンズ18,ストロボ発光部19,調光センサ20及び検出スイッチ(SW)22が設けられている。この検出SW22は、前記画像表示ユニット12をカメラ本体11の前面部11aに装着した際に、前面部11aから突出した可動部22aが画像表示ユニット12によって押されてオンになることにより画像表示ユニット12が前面部11aに装着されたことを検出する。なお、撮影レンズ18,ストロボ発光部19及び調光センサ20のいずれも前面部11aから突出していない。
【0026】
カメラ本体11の上面には、シャッタボタン24と、カメラ本体11の長手方向に細長く延びた溝25とが配設されている。シャッタボタン24は、これに触れることによりカメラ本体11の電源がオンになるタッチセンサであるとともに、軽く押したままにする「半押し」ではAF及び自動露出制御(AE)が作動してAFとAEをロックし、「半押し」から更に押し込む「全押し」で本番撮影が実行される。
【0027】
前記溝25には、カメラ本体11の左手側の端部11dからアーム部14aが着脱自在に挿入される。また、溝25を構成する対向した壁面25a,25b(図2参照)には、前記アーム部14aに設けられた接点16と接触してこれと電気的に接続される接点26,27(図2参照)が設けられている。なお、接点26,27は、図面が煩雑になるのを避けるため、一続きのように描いているが、実際には複数個の接点からなる。また、前記壁面25aには、画像表示ユニット12の長手方向の位置を規制する段差28が設けられている。
【0028】
画像表示ユニット12を背面部11bに装着する際の位置は、後述するように一定であるから、接点26は、段差28より端部11d側の壁面25aに設けられている。また、画像表示ユニット12を前面部11aに装着する際の位置は、後述するように2箇所あるので、接点27は、壁面25bのほぼ全長にわたって細長く設けられている。また、右手で把持されるカメラ本体11の端部11cは、グリップ部として右手で把持しやすいように丸みを帯びた形状とされている。
【0029】
図2に示すように、カメラ本体11の背面部11bの端部11cに近い仮想線で示す縦に細長い領域30には、ズームボタン32,多機能の十字ボタン33,メニュー/実行ボタン34,液晶表示/戻るボタン35,画像再生モードボタン36及びセルフタイマーセットボタン37が設けられている。なお、デジタルカメラ10をミュージックプレーヤとして使用する際には、ズームボタン32がボリューム調整に、また十字ボタン33が選曲に用いられる。
【0030】
カメラ本体11の背面部11bの中央部には、デジタルカメラ10を写真スタンドのように立てるための脚部40がヒンジ部40aを中心に回動自在に取り付けられている(図10参照)。なお、前記ヒンジ部40aは、分かりやすくするために背面部11bからかなり突出したように描いているが、その突出量は、画像表示ユニット12の背面部11bへの装着に支障がない程度に低く抑えられている。
【0031】
また、背面部11bの左手下方部には、検出SW42が設けられている。この検出SW42は、前記画像表示ユニット12をカメラ本体11の背面部11bに装着した際に、背面部11bから突出した可動部42aが画像表示ユニット12によって押されてオンになることにより画像表示ユニット12が背面部11bに装着されたことを検出する。
【0032】
前記端部11dには、メモリカード44を装着するためのカードスロット45と、デジタルカメラ10をミュージックプレーヤとして使用する際に、ステレオヘッドホンの接続端子が差し込まれるミニステレオジャック47が設けられている。また、カメラ本体11の下部には、前記アーム部14bが着脱自在に挿入される溝48が設けられている。
【0033】
デジタルカメラ10の電気的構成を示す図3において、CPU52は、操作部54から入力される各種の操作信号に応じて、後述するモータドライバやストロボ装置56のストロボ制御回路57にコマンドを送る他、バス58を介してカメラ本体11の各部を制御する。前記操作部54には、前記シャッタボタン24,ズームボタン32及び十字ボタン33などが含まれる。また、前記ストロボ制御回路57は、前記調光センサ20からの出力に応じてストロボ発光部19の発光を制御する。
【0034】
前記撮影レンズ18は、レンズ62と絞り63からなる。レンズ62は、バリエータレンズである前群レンズと、フォーカシング機能をもったコンペンセータレンズである後群レンズとからなる。レンズ62は、ステッピングモータを含むレンズ駆動機構64によって駆動され、光学ズーム倍率の変更と焦点調節が行われる。絞り63は、モータを含む絞り駆動機構65によって駆動されて絞り径が切り換えられる。レンズ駆動機構64及び絞り駆動機構65は、CPU52に制御されるモータドライバ66,67によって駆動される。
【0035】
撮影レンズ18の背後には、CCDイメージセンサ(以下単にCCDという)70が配置されている。CCD70は、撮影レンズ18を通過してその受光面に結像された被写体光を光電変換し、アナログの撮像信号を出力する。CCD70には、シャッタボタン24の操作に応じてシャッタレリーズ動作を行なう電子シャッタ機能が備えられている。この電子シャッタ機能は、CCDドライバ71から入力されるタイミング信号(クロックパルス)に基づいて制御される。
【0036】
スルー画表示の際にはCCD70からフィールド画(偶数フィールド又は奇数フィールド)の撮像信号が読み出され、アナログ信号処理回路72に入力される。また、本番撮影時にはCCD70からフレーム画の撮像信号が読み出され、アナログ信号処理回路72に入力される。このアナログ信号処理回路72は、相関二重サンプリング回路(CDS)と、増幅器(AMP)とからなる。CDSは、前記撮像信号からR,G,Bのアナログ画像信号を生成する。AMPは、前記R,G,Bのアナログ画像信号を増幅する。
【0037】
前記アナログ信号処理回路72から出力された撮像信号は、A/D変換器74によりデジタルの画像データに変換された後、バス58を介してSDRAMなどの画像メモリ76に格納される。タイミングジェネレータ(TG)77は、CPU52の指令に従ってCCDドライバ71、アナログ信号処理回路72及びA/D変換器74に対してタイミング信号を与えており、このタイミング信号によって各回路の同期がとられている。
【0038】
前記バス58には、前記CPU52,A/D変換器74,画像メモリ76の他、画像信号処理回路78,圧縮伸長処理回路79,ビデオエンコーダ80,メディアコントローラ82,AE検出回路84,AF検出回路85,音声再生回路86,ユニット取付検出回路87及びカウンタ89が接続されている。前記ビデオエンコーダ80には、前記接点26,27が接続されている。また、前記音声再生回路86には、ミニステレオジャック47が接続されている。また、前記ユニット取付検出回路87には、前記検出SW22,42が接続されている。
【0039】
画像信号処理回路78は、デジタルのR,G,Bの画像データに対して、階調変換、ホワイトバランス補正、γ補正処理などの各種画像信号処理と、YC変換処理とを施す。撮影モード下で本番撮影が実行される前には、画像信号処理回路78に入力されたスルー画の画像データ(フィールド画)は、簡易な画像信号処理とYC変換処理とが施されて画像メモリ76に一時的に書き込まれる。
【0040】
画像メモリ76には、連続した2フィールド画分を記憶するスルー画用のメモリ領域があり、一方から読み出し中に、他方に書き込みをする。ビデオエンコーダ80は、画像メモリ76に書き込まれた画像データをコンポジット信号に変換し、接点26,16または接点27,16と制御基板88を介してLCD15にスルー画像として表示する。また、前記制御基板88には、前記操作スイッチ17が取り付けられている。
【0041】
また、シャッタボタン24の全押しによる本番撮影が実行されたときには、画像信号処理回路78に入力されたフレーム画の画像データは、本格的な画像信号処理とYC変換処理とが施され、画像メモリ76に一時的にストアされた後、圧縮伸長処理回路79で圧縮処理が施されてから、メディアコントローラ82を介してメモリカード44に記憶される。
【0042】
前記AE検出回路84は、撮像信号の輝度信号を積分演算し、得られた測光データとしての輝度積分値をCPU52に送る。また、AF検出回路85は、撮像信号を空間周波数成分に分解し、このうち高周波数成分のコントラストデータをCPU52に送る。CPU52は、モータドライバ66を介してレンズ駆動機構64を制御し、フォーカシングレンズを光軸方向に進退させて、被写体像の高周波数成分のコントラストが最も高くなる位置で停止させる。
【0043】
前記ユニット取付検出回路87は、図4に示すように、画像表示ユニット12がカメラ本体11の背面部11bに装着されると(図11(B)参照)、検出SW42がオンになってこの信号が入力されるから、画像表示ユニット12がカメラ本体11の背面部11bに装着されたことを検出する。また、図5又は図6に示すように、画像表示ユニット12がカメラ本体11の前面部11aに装着されると(図11(C)参照)、検出SW22のオン信号が入力されるから、ユニット取付検出回路87は、画像表示ユニット12がカメラ本体11の前面部11aに装着されたことを検出する。
【0044】
前記ユニット取付検出回路87からの検出信号は、バス58を介してCPU52に送られ、CPU52は検出信号に応じてモードを切り替える。前記検出信号が、カメラ本体11の背面部11bに画像表示ユニット12が装着されたことを示すものである場合には、CPU52は、図7に示すように、LCD15に第1メニュー画面101を表示し、選択可能なモードを周知の「静止画撮影モード」,「動画撮影モード」,「再生モード」のうちいずれかに制限する。
【0045】
また、前記検出信号が、カメラ本体11の前面部11aに画像表示ユニット12が装着されたことを示すものである場合には、CPU52は、撮影レンズ18が画像表示ユニット12によって塞がれているか否かを判断する。この判断は、CCD70からフィールド画の撮像信号が読み出せるか否かで行なわれ、撮像信号が読み出せる場合には、撮影レンズ18が露呈しており、撮像信号が読み出せない場合には、撮影レンズ18が塞がれていると判断される。
【0046】
前記検出信号がカメラ本体11の前面部11aに画像表示ユニット12が装着されたことを示すと同時に撮影レンズ18が塞がれていると判断された場合には、図8に示すように、LCD15に第2メニュー画面102を表示し、選択可能なモードを「画像ビューワモード」か「ミュージックプレーヤモード」のうちいずれかに制限する。
【0047】
前記「画像ビューワモード」は、メモリカード44に記録されている静止画像を所定時間間隔で自動再生したり、パーソナルコンピュータなどからメモリカード44に取り込んだTV画像などの動画を鑑賞するモードであり、表示画像の送りや戻しなどの操作は、操作スイッチ17で行なわれる。また、前記「ミュージックプレーヤモード」は、周知のように、MP3などのデータ形式でメモリカード44に録音された音声データを音声再生回路86が再生してミニステレオジャック47に接続されたステレオヘッドホンから出力する。
【0048】
また、前記検出信号がカメラ本体11の前面部11aに画像表示ユニット12が装着されたことを示すと同時に撮影レンズ18が露呈されていると判断された場合には、図9に示すように、LCD15に自分撮り撮影モードにセットされた旨を示すメッセージ画面103を所定時間,例えば5秒間表示し、自分自身を撮影する撮影モードである「自分撮り撮影モード」にモード設定する。この「自分撮り撮影モード」では、前面部11aに装着した画像表示ユニット12のLCD15に表示される自分自身の姿が鏡を見ているように左右反転表示される。
【0049】
また、画像表示ユニット12をカメラ本体11の前面部11aに装着した場合には、図10に示すように、背面部11bに設けられた脚部40を開いてカメラ本体11を机上などに起立させることができる。前記カウンタ89は、セルフタイマーセットボタン37を押してからシャッタボタン24を全押しすると、動作を開始する。
【0050】
カメラ本体11及び画像表示ユニット12の断面を示す図11において、撮影レンズ18とCCD70からなる撮像ユニット90やCPU52をはじめとするほとんどの部品がメイン基板92に取り付けられ、カメラ本体11の内部に固定されている。また、メイン基板92に隣接して、十字ボタン33や液晶表示/戻るボタン35などの操作ボタン類を実装した操作基板94が設けられている。
【0051】
溝25の壁面25a,25bに取り付けられた接点26,27は、それぞれコード線96,97を介してメイン基板92に接続されている。また、前面部11a,背面部11bに取り付けられた検出SW22,42は、コード線98,99を介してメイン基板92に接続されている。
【0052】
同図(B)に示すように、画像表示ユニット12をカメラ本体11の背面部11bに装着すると、検出SW42が画像表示ユニット12に押されてオンになると同時に接点16が接点26に接触する。また、同図(C)に示すように、画像表示ユニット12をカメラ本体11の前面部11aに装着すると、検出SW22が画像表示ユニット12に押されてオンになると同時に接点16が接点27に接触する。
【0053】
このように構成された実施形態の作用を説明する。まず、デジタルカメラ10をカメラとして使用する際には、図4に示すように、画像表示ユニット12をカメラ本体11の背面部11bに装着する。この装着に際しては、カメラ本体11の端部11d側からアーム部14a,14bを溝25,48に差し込み、端部11c側へ画像表示ユニット12をスライド移動させてゆく。壁面25aに形成された段差28にアーム部14aの端部が当接し、それ以上のスライド移動が阻止されるから、背面部11bのうち領域30のみが露呈した状態で画像表示ユニット12が背面部11bに装着され、接点16が接点26に接触される。これにより、操作部54の操作を支障なく行なえるともに、端部11cをグリップ部として使用できる。
【0054】
シャッタボタン24に軽く触れると、カメラ本体11の電源がオンになる。図12のフローチャートに示されるように、可動部42aが画像表示ユニット12に押されて検出SW42がオンになり(st1)、画像表示ユニット12が背面部11bに装着されていることを示す検出信号が検出SW42からCPU52に入力される。
【0055】
図7に示すように、LCD15に第1メニュー画面101が表示され(st2)、その他のメニュー画面は表示されないから、選択できるモードが第1メニュー画面101が表示された「静止画撮影モード」,「動画撮影モード」,「再生モード」のうちいずれかに限定される。LCD15の表面にはタッチセンサが設けられており、指で「静止画撮影モード」,「動画撮影モード」,「再生モード」のうちいずれか1個をタッチすれば、そのタッチされたモードが選択される(st3)。
【0056】
また、図5に示すように、カメラ本体11の前面部11aの全体を覆うように画像表示ユニット12を装着すると、接点16が接点27に接触するとともに、検出SW22がオンになり(st4)、撮影レンズ18が露呈していないから(st5)、図8に示すように、第2メニュー画面102がLCD15に表示される(st6)。このとき、第2メニュー画面102以外のメニューは表示されないから、選択できるモードが「画像ビューワモード」,「ミュージックプレーヤモード」のうちいずれか一方に限定される。「画像ビューワモード」,「ミュージックプレーヤモード」のうちいずれか一方をタッチすると、そのタッチされたモードが選択される(st3)。
【0057】
このように、「画像ビューワモード」,「ミュージックプレーヤモード」の各モードでは、レンズバリアを設けることなく、撮影レンズ18が完全に覆われるので、コストの上昇を招くことなく、撮影レンズ18への指紋やゴミの付着を防止できるとともに、輸送・携帯時の外力にも強いデジタルカメラ10が得られる。
【0058】
また、図6に示すように、画像表示ユニット12を溝25の最奥部まで差し込み、前面部11aの最も端部11c寄りの位置にセットすると、撮影レンズ18が露呈する。この状態では、検出SW22がオンになり(st4)、撮影レンズ18が露呈しているから(st5)、CPU52は「自分撮り撮影モード」にセットすると同時に、図9に示すように、LCD15に「自分撮り撮影モードにセットされました」という画面103を例えば5秒間表示した後、スルー画を左右反転して表示する。
【0059】
また、セルフタイマーセットボタン37を押してからシャッタボタン24を全押しすると、カウンタ89が作動を開始し、LCD16に、例えば「10」,「9」,・・・,「3」,「2」,「1」,「0」の数字が1秒間隔で順番に表示されるカウントダウン表示が行なわれる。
【0060】
以上説明した実施形態では、画像表示ユニットを背面部に装着する際には、シャッタボタンを除く操作部の全部を露呈するようにしたが、本発明はこれに限定されることなく、例えば「画像ビューワモード」,「ミュージックプレーヤモード」に設定する各モード設定スイッチを領域30の外に設け、これらが撮影を行なう時には画像表示ユニットによって覆い隠され、画像表示ユニットを前面部に装着すると、露呈されるようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、LCDをタッチセンサ方式とし、モードの選択を指のタッチで行なったが、本発明はこれに限定されることなく、例えばカーソルをLCDの画面に表示し、これを十字ボタン等で移動させてからメニュー/実行ボタンを押圧してモード選択を行なうようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、自分撮り撮影モードにセットした旨の表示を5秒間としたが、本発明はこれに限定されることなく、例えば2秒間でも、10秒間でもよい。また、上記実施形態では、撮影レンズをカメラ本体11の前面から突出しないタイプとしたが、撮影レンズを沈胴式としてもよい。この場合には、撮影レンズの近傍にセンサを設け、画像表示ユニットの着脱時に撮影レンズが自動的に沈胴するように制御する。
【0063】
また、上記実施形態では、溝の断面形状を矩形としたが、レールのようなT字状にしてもよい。また、画像表示ユニットとカメラ本体との装着構造をアーム部と細長い溝とから構成し、アーム部を溝の端から挿入してスライド移動するようにしたが、本発明はこれに限定されることなく、例えばアーム部を弾力性のある材料から形成するとともに、前記溝の代わりに凹部をカメラ本体に設け、アーム部を撓ませて凹部に嵌め込むようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、画像表示ユニットの装着を検出SWのオン/オフで検出したが、接点の抵抗値変動を検出することにより検出することもできる。また、上記実施形態は、本発明をデジタルカメラに適用した例であったが、例えばカメラ付き携帯電話やカメラ付きPDAなどの撮像装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態であるデジタルカメラを構成するカメラ本体と画像表示ユニットの外観を示す斜視図である。
【図2】カメラ本体の背面部を示す斜視図である。
【図3】デジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】カメラ本体の背面部に画像表示ユニットを装着した状態を示す斜視図である。
【図5】カメラ本体の前面部の全面を覆うように画像表示ユニットを装着した状態を示す斜視図である。
【図6】撮影レンズを露呈してカメラ本体の前面部に画像表示ユニットを装着した状態を示す斜視図である。
【図7】第1メニュー画面を示す説明図である。
【図8】第2メニュー画面を示す説明図である。
【図9】メッセージ画面を示す説明図である。
【図10】脚部を開いた状態を示す斜視図である。
【図11】カメラ本体と画像表示ユニットの断面図である。
【図12】デジタルカメラの主なシーケンスを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
10 デジタルカメラ
11 カメラ本体
11a 前面部
11b 背面部
11c,11d 端部
12 画像表示ユニット
14a,14b アーム部
15 LCD
16,26,27 接点
18 撮影レンズ
22,42 検出SW
25,48 溝
30 領域
40 脚部
52 CPU
54 操作部
87 ユニット取付検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズが配設された前面部と操作部が配設された背面部とを備え、前記撮影レンズからの光学画像を画像信号に変換して出力する撮像素子が内蔵された装置本体と、
前記前面部,背面部のいずれかに択一的かつ着脱自在に装着され、前記画像信号に基づいて画像を表示画面に表示する画像表示ユニットと
からなることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮影レンズが配設された前面部と操作部が配設された背面部とを備え、前記撮影レンズからの光学画像を画像信号に変換して出力する撮像素子が内蔵された装置本体と、
前記前面部,背面部のいずれかに択一的かつ着脱自在に装着され、前記画像信号に基づいて画像を表示画面に表示する画像表示ユニットと、
前記装置本体に設けられ、前記画像表示ユニットが前面部,背面部のどちらに装着されたかを検出する検出部と、
前記装置本体に設けられ、前記検出部の検出結果に基づいて動作モードを切り替える、もしくは動作モードの選択可能範囲を制限する制御部と
からなることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記画像表示ユニットの装置本体に装着される面は、前記前面部と同じサイズ及び形状をしており、前記画像表示ユニットを前面部に装着する際に、前記前面部の全体を過不足なく覆って撮影レンズを保護することを特徴とする請求項1または2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記画像表示ユニットは、前記前面部への装着に際しては、前記前面部の全体を覆って撮影レンズを保護するレンズ保護位置と、前記前面部の一部を覆って前記撮影レンズを露呈することにより自分撮りが行なえる自分撮り位置とのいずれかが選択されることを特徴とする請求項1または2記載の撮像装置。
【請求項5】
前記画像表示ユニットが前記自分撮り位置に装着されることにより表示画面に表示される画像が左右反転されることを特徴とする請求項4記載の撮像装置。
【請求項6】
前記画像表示ユニットは、前記背面部への装着に際しては、前記操作部が操作自在に露呈されるように背面部の一部を覆うことを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の撮像装置。
【請求項7】
前記背面部には、前記画像表示ユニットを前面部に装着した状態で装置本体を起立する脚部が開閉自在に設けられていることを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−312014(P2007−312014A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137987(P2006−137987)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】